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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】光信号の伝播損失及び伝播指数の変調器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/025 20060101AFI20230706BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
G02F1/025
H01S5/026 616
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022009834
(22)【出願日】2022-01-26
(62)【分割の表示】P 2019506421の分割
【原出願日】2017-07-27
(65)【公開番号】P2022058750
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】1657626
(32)【優先日】2016-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】メネゾ シルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール オリヴィエ
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194002(WO,A1)
【文献】特表2013-505485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0208694(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0222812(US,A1)
【文献】特表2006-515082(JP,A)
【文献】特開2012-027198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0055910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0301975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0063679(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103439807(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00- 1/125
G02F 1/21- 7/00
G02B 6/12- 6/14
H01S 5/00- 5/50
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の伝播損失及び伝播指数の変調器(100;550;560;580;590)であって、該変調器は、
-主に「基板の平面」と呼ばれる平面に延在する基板(44)と、
-誘電材料(116)に封入された半導体層(3)であって、該封入された半導体層は、前記基板(44)側に直接向いた下面と、該基板(44)とは反対側に向いた上面とを備え、該封入された半導体層(3)はまた、少なくとも半導体材料に形成された前記変調器の第1の電極(120)を備え、該第1の電極(120)は、中間部(13)と、前記第1の電極の近位端に直接接するまで横方向に連続する前記誘電材料とを介して、前記基板の平面と平行な横方向に、近位端(12)から遠位端(11)まで延在しており、前記近位端(12)、前記遠位端(11)、及び前記中間部(13)は、前記封入された半導体層(3)の前記上面と同一面にある、半導体層(3)と、
-前記第1の電極(120)のドーピングの符号と反対の符号を有する半導体材料から成る第2の電極(130;582)であって、該第2の電極は中間部を介して近位端(32)から遠位端(31)まで延在し、前記近位端(32)は前記第1の電極の前記近位端(12)と向かい合うように位置し、前記遠位端(31)は前記横方向に直交し且つ前記近位端を通る平面に対して前記第1の電極の前記遠位端(11)とは反対側に位置している、第2の電極(130)と、
-前記第1の電極及び前記第2の電極の前記近位端(12、32)の間に設けられた誘電体層(20)であって、前記近位端(12、32)と前記誘電体層(20)との重ね合わせにより変調されることになる光信号を導くことが可能な導波路(70)を形成する、誘電体層(20)と、
-前記第1の電極及び前記第2の電極の前記遠位端(11、31)とそれぞれ直接機械的且つ電気的に接触するバンプコンタクト(21、22)であって、前記導波路における電荷キャリアの濃度を変えるようにこれらの電極を異なる電位に電気的に接続する、バンプコンタクト(21、22)と、
を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極(120;552;562;582)よりなる群から選択された1つの電極の前記近位端(12;564;32)が、前記中間部(13;584)よりも厚く、当該選択された電極(120;552;562;582)の前記中間部(13;584)の厚さが0.8eより小さい、但し前記eは選択された電極の近位端の最大厚さである、変調器。
【請求項2】
前記第1の電極(562)又は前記第2の電極の前記近位端(564)は、誘電体層(20)と直接接する第1の領域(566)を備え、該領域は、前記誘電体層(20)から遠く離れた前記近位端(564)の第2の領域(568)よりも高濃度にドープされている、
請求項1に記載の変調器。
【請求項3】
前記第1の領域(566)の厚さは70nm以上である、
請求項2に記載の変調器。
【請求項4】
前記誘電材料の層は、700℃以上の温度で基板を酸化させることにより得られる熱酸化物の層である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の変調器。
【請求項5】
前記誘電体層(20)の全ての点において、その厚さはe2iniから約10nm以内であり、ここで、e2iniは前記誘電体層の平均厚さと等しい定数である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の変調器。
【請求項6】
前記選択された電極の近位端に向かい合う電極(130)の前記近位端(32)は、前記選択された電極の前記近位端(12)の両側に前記横方向に少なくとも5nmの距離にわたって延在する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の変調器。
【請求項7】
前記選択された電極が、第2の電極(582)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の変調器。
【請求項8】
前記選択された電極が、第1の電極(120;552;562)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の変調器。
【請求項9】
前記近位端、前記遠位端、及び前記第2の電極の中間部が、前記封入された半導体層の上面と同一面にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波光信号の伝播損失及び伝播指数の変調器を製造する方法に関し、本発明はまたこの方法により製造される変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
「伝播損失」とは、導波路内を伝播する光学モードが被る光損失を指す。
【0003】
「伝播指数」とは、導波路内を伝播する光学モードの有効伝播指数を指す。
【0004】
このような既知の変調器は以下の要素を互いの上に積み重ねることによって形成された導波路を備える。
-第1の電極の近位端
-薄膜誘電体層
-第2の電極の近位端
【0005】
第1の電極と第2の電極との間の電位差を印加することにより、誘電体層と第1の電極及び第2の電極の近位端との間の接点において電荷キャリアの密度が変わる。これにより、導波路を伝播する光場が被る伝播損失及び伝播指数が変わることになる。典型的には、誘電体層は二酸化ケイ素の層である。
【0006】
このような変調器を製造する既知の方法は、
-ベース基板と、誘電材料の埋め込み層と、半導体層とを連続して含むスタックであって、該埋め込み層の厚さはe2iniから約5nm以内であるスタックを設けること、なお、e2iniは定数である、その後
-半導体層をエッチングして、変調器の第1の電極をこの半導体層内に構成すること、ここで、該第1の電極は、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで、これらの端を機械的且つ電気的に接続するように横方向に延在する中間部とを有する、その後
-誘電材料内に封入された半導体層を得るために構造化半導体層を誘電材料内に封入することであって、第1の電極の近位端に直接接するまで横方向に延在している誘電材料に封入すること、その後
-基板を封入された半導体層上に接合すること、その後
-第1の電極の近位端と向かい合う近位端を有する変調器の第2の電極を形成すること、ここで、これら近位端は変調されることになる光信号を導くことが可能な導波路を形成するように誘電体層の分だけ互いに離間している、
を含む。
【0007】
例えば、このような製造方法は特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1に開示される方法は、誘電体層が薄い、すなわち、厚さが25nm未満である変調器を製造することができるため有利である。このような変調器は、良好な変調効率及び低伝播損失の両方を得ることができる点で有利である。
【0009】
一方、これらの出願に記載される既知の製造方法の実施により、性能特性にばらつきがある変調器がもたらされることになる。ここで用いられる「性能特性」という用語はとりわけ変調器の帯域幅及びこの変調器の変調効率を指すものである。変調効率は、変調器の2つの電極に印加される1ボルト当たりに誘起される屈折率の変化の比率である。
【0010】
「性能特性のばらつき」とは、性能特性が変調器毎に異なっており、たとえこれら全ての変調器が同じ製造方法により製造されたとしてもその性能特性が変調器毎に異なるという事実を指す。このような変動は、典型的には、製造過程中の不正確さにより生じ、これにより、ランダム且つ制御されない方法で、変調器の2つの電極の間に設けられた誘電体層により形成されたコンデンサの静電容量、及び変調器により導かれる光場の最大強度の位置が変わる。例えば、この不正確さは、誘電体層の厚さ又は電極の互いに対する位置にあり得る。
【0011】
先行技術は、以下の文献からも知られている(特許文献2~7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2011/037686号
【文献】米国特許出願公開第2015/0055910号
【文献】国際公開第2005/091057号
【文献】国際公開第2015/194002号
【文献】国際公開第2013/155378号
【文献】米国特許公報第8363986号
【文献】仏国特許出願公開第2867898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、この方法により製造される変調器の性能特性のばらつきを低減する製造方法を提供することを目的とする。言い換えると、本発明の目的は、製造される変調器の性能特性をより再現可能にする製造方法を得ることである。したがって、その主題の1つは、請求項1に記載の方法である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
特許請求の範囲に記載された方法では、誘電体層は、第1の電極の形成前に構成された埋め込み層により直接形成される。埋め込み層により「直接」形成される、という表現は、誘電体層が埋め込み層の初期の厚さe2iniを実質的に変えることなく得られるという事実を意味する。「初期の厚さを実質的に変えることなく」という表現は、変調器の電極間に設けられた誘電体層を形成する埋め込み層の初期の厚さe2iniが、初期の厚さe2iniに対してerrより大きくは増減しないという事実を意味しており、ここでerrは5nm又は4nmに等しい定数であり、好ましくは、3nm又は1nmに等しい定数である。特に、特許請求の範囲に記載された方法では、誘電体層は、誘電材料の層を第1の電極上に形成した結果ではなく、またより厚い誘電体層を薄くした結果でもない。このために、誘電体層の厚さは、変調器の既知の製造方法と比べてより高い精度で制御される。加えて、誘電体層の厚さはより均一である。これにより、特許請求の範囲に記載された方法を実施した場合、変調器のコンデンサの静電容量のばらつきが、既知の製造方法によるばらつきよりもはるかに少なくなる。したがって、これにより、性能特性がより再現可能にされた変調器を製造することが可能になる。特に、特許請求の範囲に記載された方法により製造される変調器の帯域幅及び変調効率のばらつきが、特許文献1又は特許文献2に記載されているような既知の方法で製造された場合のばらつきよりもはるかに少なくなる。
【0015】
さらに、特許請求の範囲に記載された方法により、第1の電極の隣に空きスペースを残す必要なく、変調器の第1の電極を誘電材料に封入することが可能になる。これは、このような空きスペースが存在する特許文献2のような既知の方法では、この空きスペースが第2の電極の下に位置するために、特に有利である。しかしながら、第2の電極とベース基板との間の空きスペースにより、変調器の性能特性を低下させる浮遊容量が形成されることになる。
【0016】
この製造方法の実施形態は、1つ又は複数の従属項の特徴を含んでもよい。
【0017】
特許請求の範囲に記載された製造方法の実施形態はさらに、以下の利点の1つ又は複数を提供し得る。
-特許請求の範囲に記載された方法により、熱酸化シリコンの層を誘電体層として使用可能とし、これにより、第2の電極の結合、ひいては、最終的に変調器の性能特性が改善される。
-同じ電極の中間部よりも厚い近位端を有するという事実により、この方法における、一方の電極の、他方の電極に対する位置決めの誤差に対する影響を少なくすることができる。より正確には、変調器により導かれる光場の最大強度の位置、ひいては製造される変調器の効率をより精密に制御することが可能になる。この特徴ゆえ、製造される変調器の性能特性がより再現可能なものになる。
-誘電体層に近い領域においてのみ、近位端がより高濃度にドープされるという事実により、同じ性能特性に対して、光場の分布を変化させることなく、製造される変調器の伝播損失を等しいアクセス抵抗で減少させること、又はアクセス抵抗を等しい光伝播損失で減少させることが可能になる。
-誘電体層の厚さが25nm未満又は15nm未満であるという事実により、良好な変調効率を有する変調器を得ることが可能になる。
-変調器と、同じ誘電体層を介して光導波路に結合されたIII-V材料から成る導波路を含むレーザ源とが同時に製造されるという事実により、変調器の製造方法にいかなる追加のステップをも追加することなくこのレーザ源の特性がさらに再現可能になる。
【0018】
本発明の別の主題は、請求項9に記載の変調器である。
【0019】
本発明は、非限定的な例としてのみ与えられ図面を参照して提示された以下の説明を読むことにより、より良く理解することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、垂直断面として示す送信機の概略図である。
図2図2は、図1に示す送信機の変調器及び位相整合装置を上から見た概略図である。
図3図3は、垂直断面として示す、図1に示す送信機の変調器の拡大図である。
図4図4は、図1に示す送信機の製造方法のフロー図である。
図5図5は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図6図6は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図7図7は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図8図8は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図9図9は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図10図10は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図11図11は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図12図12は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図13図13は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図14図14は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図15図15は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図16図16は、垂直断面として示す、図4に示す方法を実施する間に得られた製造の状態を示す概略図である。
図17図17は、垂直断面として示す、図3に示す変調器の他の可能な実施形態の概略図である。
図18図18は、垂直断面として示す、図3に示す変調器の他の可能な実施形態の概略図である。
図19図19は、垂直断面として示す、図3に示す変調器の他の可能な実施形態の概略図である。
図20図20は、垂直断面として示す、図3に示す変調器の他の可能な実施形態の概略図である。
図21図21は、垂直断面として示す、図3に示す変調器の他の可能な実施形態の概略図である。
図22図22は、垂直断面として示す、図1に示す送信機の他の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これらの図面では、同一の要素には同一の符号が用いられている。以下の説明においては、当業者には既知である特徴及び機能は詳細には説明しない。
【0022】
本明細書において、「層は材料M製である」、「材料Mの層」又は「M層」という表現は、材料Mが、この層の質量の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%又は99%を占める層を指す。
【0023】
図1は、例えば光ファイバによって受信機に情報のビットを送信するために、位相及び/又は振幅が変調された光信号用の送信機5を示す図である。この目的のために、送信機5は、位相及び/又は振幅がこの光信号の位相及び/又は振幅変調のためのシステム6によって後に変調される光信号を出射するレーザ源7を備える。
【0024】
例えば、レーザ源7が出射する光信号の波長λLiは1250nm~1590nmの範囲内にある。
【0025】
典型的には、レーザ源7はDBR(分布ブラッグ反射器)レーザ又はDFB(分布帰還型)レーザである。このようなレーザ光源は既知であるため、ここでは本発明を理解するのに必要である詳細のみを説明する。このようなレーザ光源の一般的な詳細及び動作については、例えば以下の記事を参照されたい。
- Xiankai Sun and Amnon Yariv: “Engineering supermode silicon/III-V hybrid waveguides for laser oscillation”, Vol. 25, No. 6/June 2008/Journal of the Optical Society of America B.
- B. Ben Bakir et al., “Hybrid Si/III-V lasers with adiabatic coupling”, 2011.
- B. Ben Bakir, C. Sciancalepore, A. Descos, H. Duprez, D. Bordel, L. Sanchez, C. Jany, K. Hassan, P. Brianceau, V. Carron, and S. Menezo, “Heterogeneously Integrated III-V on Silicon Lasers”, Invited Talk ECS 2014.
【0026】
図1及びそれ以降の図を簡略化するために、ハイブリッドレーザ導波路200、220及びレーザ源7の表面格子結合器(a surface grating coupler)8のみを示す。
【0027】
このような結合器8は例えば以下の記事に記される。F. Van Laere, G. Roelkens, J. Schrauwen, D. Taillaert, P. Dumon, W. Bogaerts, D. Van Thourhout and R. Baets, “Compact grating couplers between optical fibers and Silicon-on-Insulator photonic wire waveguides with 69% coupling efficiency”。
この結合器は封入された半導体層3内に形成されている。結合器は設計により、上方放射又は下方放射とすることができる。本明細書では、それは反転するが、設計によって、上方又は下方放射が選択できる。ここで、層3は誘電材料116に封入された、構造化された単結晶シリコンを備える。一般的に、誘電材料は20℃で10-7S/m未満、好ましくは、10-9S/m未満又は10-15S/m未満の導電率を有する。加えて、誘電材料116の場合、屈折率はシリコンの屈折率よりも厳密に低い。例えば、本実施形態では、誘電材料116は二酸化ケイ素(SiO)である。
【0028】
層3は、リジッド基板44の上に直接、水平に延在している。層3では、単結晶シリコンは、基板44の平面と平行な同一の水平面に位置している。ここで、層3の単結晶シリコンはまた誘電材料116の厚さの分だけ機械的且つ電気的に基板44から分離されている。典型的には、層3における単結晶シリコンの最大厚さは100nm~800nmの範囲内にある。この例では、層3における単結晶シリコンの最大厚さは500nmである。
【0029】
図1及びそれ以降の図では、水平方向は、直交基準フレームのX方向及びY方向で表される。この直交基準フレームのZ方向は垂直方向を表す。以下の説明において、「上部」、「下部」、「上に」、「下に」、「高い」、及び「低い」等の用語は、このZ方向に対して規定される。「左」及び「右」という用語は、X方向に対して規定される。「前」及び「後」という用語は、Y方向に対して規定される。
【0030】
図1は、X方向及びZ方向と平行な垂直面内の断面における送信機5の要素を示す図である。
【0031】
基板44は水平に延在している。基板44はベース基板441と誘電材料の層442とが連続して層なって形成されている。ベース基板441の厚さは典型的には80μmよりも大きく又は400μmよりも大きい。例えば、ベース基板441はシリコンベース基板である。層442は二酸化ケイ素製である。層442の厚さは典型的には500nm又は1μmよりも大きく、或いはそれよりも大きい。
【0032】
ハイブリッドレーザ導波路200、220は、III-Vゲイン材料(III-V gain material)から形成された導波路200と、単結晶シリコンから形成された導波路220で構成される。一般的に、導波路200はレーザ源7の光キャビティの内部で光信号を生成し且つ増幅するために使用される。ここで、この目的のために、導波路200は、誘電材料117に封入されたIII-Vゲイン材料を含む層36に形成される。例えば、この材料117は二酸化ケイ素又は窒化ケイ素である。この層36は誘電体層20のすぐ上に水平に延在している。層20自体は層3の上面のすぐ上に水平に延在している。
【0033】
層20の厚さは通常5nm~25nmの範囲内にあり、好ましくは10nm~25nmの範囲内にある。ここで、層20の厚さは20nmである。
【0034】
層36は典型的には、ドープされた下部サブレイヤ30、四元合金から成る量子井戸又は量子ドットのスタック34、及びサブレイヤ30のドーパントの符号とは反対の符号を有するドーパントがドープされた上部サブレイヤ35を含む。ここで、サブレイヤ30及び35はドープされたInPから形成される。
【0035】
図1では、それぞれサブレイヤ30と、スタック34と、サブレイヤ35とに形成されたストリップ(strip)33と、スタック233と、ストリップ234とのみを示す。このストリップ33、スタック233、及びストリップ234の重ね合わせが導波路200を構成する。
【0036】
導波路200はまた、以下の要素を備える。
-ストリップ33と直接機械的且つ電気的に接触し、それぞれスタック233の左側及び右側に位置するバンプコンタクト243G及び243D
-ストリップ234と直接機械的且つ電気的に接触するバンプコンタクト244
【0037】
これらのコンタクト243G、243D、及び244により、電流をコンタクト243G、243Dとコンタクト244との間のスタック233に注入することが可能になる。
【0038】
導波路220は、層3の単結晶シリコン内に形成される。この導波路220はストリップ33の下に延在している。典型的には、導波路220の厚さ及び幅は、Ben Bakir等により上記で引用された記事に記載されているようにY軸に沿って変わる。図1の例では、導波路220は、この導波路内の光信号の伝播の方向がY方向に平行である特定の場合が示されている。例えば、この目的のために、導波路220は「リブ」という用語で知られる構成を採用している。したがって、この導波路の横断面は、XZ平面と平行であり、中央凸部(central spine)222を有している。この中央凸部222から薄い横方向のアーム223G及び223DがX方向に平行に中央凸部222の両側に延在している。ここで、導波路220は層20の一部の分だけストリップ33から分離している。例えば、導波路220は、断熱結合又はエバネッセント結合により導波路200に光学的に結合する。断熱結合のより詳細な説明については、X.Sun及びA.Yarivにより上記で引用された記事、又は次の記事、すなわち、Amnon Yariv et al., “Supermode Si/III-V hybrid lasers, optical amplifiers and modulators: proposal and analysis” Optics Express 9147, vol. 14, No. 15, 07/23/2007を参照されたい。
導波路220と導波路200との間の光結合の特徴は、とりわけ導波路220の寸法に、特に、中央凸部222の厚さに依存する。したがって、重要なのは、この凸部222の厚さが、同じ基板44上に形成される他のフォトニック部品の寸法とは無関係に調整され得ることである。例えば、ここで、凸部222の厚さは層3における単結晶シリコンの最大厚さと等しく、すなわち、ここでは500nmである。
【0039】
システム6は、位相のみを変調するシステムであってもよいし、振幅のみを変調するシステムであってもよいし、又は位相及び振幅を同時に変調するシステムであってもよい。光信号の位相又は振幅を変調するために、システム6は、導波光信号の伝播損失及び伝播指数の少なくとも1つの変調器、及びしばしば、少なくとも1つの位相整合装置を備える。例えば、システム6は、マッハ・ツェンダー干渉計であり、このマッハ・ツェンダー干渉計では、変調器100と位相整合装置300とがレーザ源7により生成された光信号の振幅及び/又は位相を変調するためこの干渉計の分岐の1つに設けられる。マッハ・ツェンダー干渉計の構造は既知であるためここでは説明しない。したがって、簡略化のため、図1には1つの変調器100及び1つの位相整合装置300のみを示す。
【0040】
装置300により、導波路320の内部をY方向に平行に伝播する光信号の位相を調整することが可能になる。例えば、導波路320はX方向における幅の長さよりもY方向における長さの方が大きい。導波路320は層3の単結晶シリコンから構成されている。ここで、導波路320の厚さは例えば隆起部(bulging part)222の厚さと等しい。シリコンの屈折率は温度に応じて大きく変化する。したがって、導波路320の温度を変化させることにより、この導波路における光信号の伝播指数は変わり得、かくして光信号の位相が調整される。この目的のために、装置300は2つのヒータ322G及び322Dを備え、これら2つのヒータ322G及び322Dはそれぞれ導波路320の両側に1つずつ設けられる。ここで、ヒータ322Dは、Y方向及びZ方向に平行であり且つ導波路320の真ん中を通る垂直面に対して対称なヒータ322Gから導くことができる。したがって、図1及び図2を参照して、ヒータ322Gについてのみより詳細に以下説明する。
【0041】
ヒータ322Gはアーム324を備え、アーム324はX方向に平行に、近位端56から遠位端58まで延在している。アーム324はY方向にも平行に延在している。アーム324は層3の単結晶シリコンから形成されている。
【0042】
近位端56は、導波路320と直接機械的に接触している。ここで、近位端56は導波路320の1つの垂直辺と接している。この目的のために、アーム324と導波路320とは単一の材料ブロックを形成する。
【0043】
近位端56の厚さは、光信号を導波路320内に閉じ込めるように、導波路320の最大厚さよりも小さい。例えば、近位端56の厚さは、導波路320の最大厚さよりも1.5倍、2倍、3倍、又は4倍小さい。
【0044】
単結晶シリコンを抵抗性のものにし、且つ導波路320と共に単一の材料ブロックを形成する電気抵抗を形成するために、遠位端58はドープされる。図1では、単結晶シリコンのドープ領域は細かくハッチングされ暗く示されている。このアーム324のドープ領域と導波路320との間の最短距離は、例えば、厳密に200nm又は400nmより大きい。
【0045】
遠位端58の内部に電流を流すために、ヒータ322Gはまた、遠位端58に直接機械的且つ電気的に接触する2つのバンプコンタクト51G及び52Gを含む。ここで、これらのコンタクト51G及び52GはY方向に互いに前後になるように、且つこのY方向に遠位端58の各端部に配置されている。図2に示すヒータ322Dのバンプコンタクトはそれぞれ参照符号51D及び52Dで示す。
【0046】
コンタクト51G及び52Gを介して流れる電流が遠位端58を通ると、遠位端58は受け取った電気エネルギーの一部を熱に変換し、この熱が、熱伝導により、近位端56を通って導波路320まで伝播する。したがって、ヒータ322Gにより、導波路320内に又はこの導波路に近接して抵抗素子を設けることなく、導波路320を加熱することが可能になる。装置300により、導波路320における光信号の位相がゆっくりと調整される。一方、光信号の位相を素早く変えることはできない。
【0047】
逆に、変調器100により、光信号の位相を素早く変えることが可能になる。この目的のために、変調器100は2つの電極120及び130を含む。これらの電極120及び130はまた、図2において上面図として示すことができる。
【0048】
電極120は、層3の単結晶シリコンから構成されている。電極120は、X方向において、近位端12から遠位端11まで、薄膜中間部13を通って延在している。電極120はまたY方向に延在している。Y方向において、電極120の横断面は一定のままである。両端11及び12並びに中間部13の横断面は、XZ平面と平行であり、それぞれ矩形である。両端11及び12、並びに中間部13は層3の平面上面と同一面にある。したがって、両端11及び12、並びに中間部13は層20の下面と直接接している。
【0049】
中間部13は両端11及び12を機械的に且つ電気的に互いに接続する。中間部13の厚さe13は、光場の強度分布を近位端12内に横方向に閉じ込める(X-Z断面)ように選択される。この目的のために、厚さe13は0.8e12より小さく、好ましくは0.5e12又は0.25e12より小さい。ここでe12は端12の最大厚さである。厚さe13はまた、両端11及び12の間の電気抵抗を少なくするべく通常70nmより大きい。この抵抗は「アクセス抵抗」とも呼ばれる。この目的のために、厚さe13は0.1e12又は0.15e12よりも大きいことが多い。ここで、遠位端11の厚さe11は厚さe12と等しい。本実施形態では、厚さe12は300nmであり厚さe13は150nm又は100nmである。中間部13の水平下面は誘電材料116の分だけ基板44から分離されている。
【0050】
ここで、遠位端11は近位端12よりも高濃度にドープされている。例えば、端11のドーパント濃度は1017~2×1019atoms/cmの範囲内である。端12のドーパント濃度は例えば1017~2×1018atoms/cmの範囲内である。
【0051】
電極130は、電極120のドーピングの符号と反対の符号を有するドープされた半導体材料から成る。ここで、電極130はサブレイヤ30においてInPから形成されている。電極130のドーパント濃度は、例えば、1017~2×1018atoms/cm又は1017~5×1018atoms/cmの範囲内にある。
【0052】
電極130は、近位端32から遠位端31まで、X方向と平行に延在する。電極130はまたY方向にも延在する。電極130は層20上に直接位置している。電極130の横断面は、XZ平面と平行であり、矩形である。Y方向においては、この横断面は一定である。
【0053】
近位端32は近位端12と向かい合うように位置しており、中間部13に面した突出部32d(図3)を示すように、X方向に、この端12を超えて延びる。典型的には、突出部32dはX方向における長さが少なくとも5nm、10nm、又は25nmである。近位端32は、これらの近位端の間に設けられた層20の一部の分だけ近位端12及び中間部13から離間している。
【0054】
Y方向及びZ方向と平行な且つ両端12及び32を通る垂直面に対して、遠位端31はこの面の一方の側に位置しており、一方遠位端11は他方の側に位置している。したがって、両端11及び31は互いに向かい合っていない。
【0055】
本実施形態において、図1及び以下の実施形態では、領域34は、端31から基板44まで垂直に延びており、固体誘電材料のみを有する。ここで、これらは誘電材料116及び層20である。図1では、領域34は円で塗りつぶされ強調されている。しかしながら、領域34内に位置する誘電材料とこの領域34の外側に位置する誘電材料との間には不連続性がない。
【0056】
層20の一部の端12と端32とのZ方向の重ね合わせの寸法は、レーザ源7により生成された光信号をY方向に導くことが可能な導波路70を形成するように決められる。導波路70及び320は、例えばここでは図示しない断熱カプラを介して互いに光学的に接続される。
【0057】
近位端12及び32の最大厚さは、導波路70を伝播する光信号の光場の最大強度が位置する点Mが層20にできるだけ近づくように選択される。好ましくは、点Mは、この両端12及び32の間に設けられたこの層20の一部の中心に位置する。実際に、これらの近位端の間に電位差がある場合、電荷キャリアの密度が最大になる位置は、両端12、32と層20との間の接点である。したがって、点Mをこの位置に設けることにより、変調器100の効率は改善する。近位端32の最大厚さe32は通常50nm~300nmの範囲内にある。本実施形態では、両端12及び32の屈折率は互いに近い。したがって、両端12及び32の最大厚さは、点Mが層20の内部に位置するよう、実質的に等しくなるように選択される。例えば、近位端12の最大厚さe12は0.5e32~1.5e32の範囲内、好ましくは、0.7e32~1.3e32の範囲内にある。ここで、厚さe12及びe32は共に300nmとなるように選択される。
【0058】
中間部13により、X方向における点Mの位置をより良く制御することが可能になり、かくして変調器100が製造される間の変調器100の性能特性のばらつきが制限される。より正確には、X方向における点Mの位置は基本的にX方向における近位端12の幅W12図3)により固定される。実際に、中間部13の限定された厚さe13により、光信号は端12に閉じ込められる。エッチングによって、幅W12は、+/-δ以内に画定される。ここでδは、典型的には、+/-5nm又は+/-10nmと等しい誤差である。逆に、もし中間部13の厚さが端12の厚さと同じである場合、幅W12は電極130及び120のカバレッジの幅により画定される。しかしながら、電極130の位置決めは、それに関する限り(for its part)、精度δal、典型的には+/-25nm又は+/-50nmと等しい精度δalでリソグラフィアラインメントによって決定される。それゆえ、薄膜中間部がない場合には、幅W12の誤差は+/-δalとなり、変調器100の性能特性のばらつきがより大きくなる。したがって、電極120が上記の構成を有することにより、電極130を位置決めする際の誤差に対する影響を少なくすることができる。特に、変調効率は幅W12に直接依存する。結果として、中間部13及び突出部32dの存在により変調効率のばらつきが小さくなる。
【0059】
さらに、本実施形態により、変調器の静電容量をより良く制御することも可能になる。
【0060】
変調器100はまた、それぞれが遠位端11、31と直接機械的且つ電気的に接触する2つのバンプコンタクト21、22を備える。これらのコンタクト21及び22は、送信機5により送信されることになる1つ又は複数の情報のビットに応じて制御可能な電圧源に接続されている。
【0061】
送信機5の1つの可能な動作は次のものである。レーザ源7が光信号を生成する。この光信号の少なくとも一部はマッハ・ツェンダー干渉計に向けられ、その分岐のうちの少なくとも1つは、連続して設けられる変調器100と位相整合装置300とを備える。したがって、光信号のこの部分は導波路70により、続いて導波路320により連続的に導かれ、その後マッハ・ツェンダー干渉計の他の分岐によって導かれた光信号の別の部分と再結合され、変調された光信号を形成することになる。例えば、導波路70及び320は断熱カプラを介して互いに光学的に結合される。マッハ・ツェンダー干渉計の出力においては、光場は、導波路320と類似の導波路を介して、次に表面格子結合器8によって光ファイバに結合され得る。
【0062】
以下、図4乃至16を参照して、送信機100の製造方法について説明する。図5乃至16は、X方向及びZ方向と平行な垂直断面として、送信機5の製造の様々な状態を示す図である。
【0063】
ステップ500の間、方法は基板4(図5)を設けることにより開始する。ここで、この基板4は、SOI(silicon-on-insulator)基板である。基板4は、Z方向に互いの上に直接積み重ねた以下の要素を備える。
-従来では厚さが400μm又は700μmより大きいシリコンのベース基板1
-厚さe2iniの熱二酸化ケイ素の埋め込み層2
-この段階では未だエッチングされていない又は誘電材料に封入されていない単結晶シリコンの層43。
【0064】
熱二酸化ケイ素は、高温、すなわち、650℃又は800℃より高い温度でベース基板1を酸化することにより得られるシリコン酸化膜である。この酸化物の性質により、層2は、注目すべき2つの特性を示す。
1)層2の厚さが、たとえ薄くとも均一であること。
2)層2により、より高品質の直接接合が得られること。
【0065】
層2が「均一」の厚さであるとは、層2上のいかなる点においても、層2の厚さが(e2ini-err2ini)nm~(e2ini+err2ini)nmであるということを意味する。ここで、
・e2iniは定数、典型的には層2の平均厚さと等しい。
・err2iniは、5nm以下の定数、好ましくは、3nm又は1nmと等しい。
【0066】
直接接合は、2つのウェハが接着剤の中間層を加えることなく直接互いに接合するという接合方法である。この接合は、これらウェハの2つの面の間に直接化学的接合が現れることから生じる。一般的に、ウェハは互いに機械的に接触した後、接合を強化するために熱処理される。
【0067】
一般的に、厚さe2iniは7nm又は10nmより大きく、典型的には、100nm又は50nmより小さい。ここで、層2の初期の厚さe2iniは20nm+/-1nmであり、層43の厚さは500nmである。層2のこのような厚さe2ini及びこのような精度は、SOI基板の従来の製造方法により得られる。
【0068】
ステップ502の間、層43の局所的なドーピングが実行される。ここで、第1の局所的なドーピング動作504がまず行われ、この動作の間に同じドーピングを有するドープ領域506(図6)が層43に形成される。これらの領域506は、整合装置300のアームが形成される箇所及び変調器100の電極120にのみ形成される。これらの領域506は、遠位端58及び近位端12のドーピングレベルと等しいドーピングレベルを有する。
【0069】
続いて、領域506よりも高濃度にドープされている領域510(図7)を得ることができるように、層43をドーピングする第2の動作508が実行される。ここで領域510は部分的に領域506のうちの1つに重なっている。例えば、領域510は、領域506のうちの1つの一部に新たな注入を適用することによって得られる。領域510は、電極120の遠位端11となる箇所に形成される。ここでの領域510のドーピングは遠位端11のドーピングと等しい。
【0070】
ステップ514の間、層43は、電極120及びヒータ322G及び322Dのアーム324の位置においてシリコンの厚さを薄くするように第1の局所的な部分エッチング(図8)を受ける。ステップ514の最後に、領域506及び510は薄くされ、層43の初期の厚さよりも小さい厚さを有する。ここで、薄膜領域506及び510の厚さは電極120及びアーム324の厚さと同じであり、すなわち300nmである。
【0071】
この第1の局所的な部分エッチングの間、層43の厚さはまた、例えば、後に表面格子結合器8となるもの及び導波路220の横方向のアーム223G及び223Dのパターンを形成するために、非ドープ領域において薄くされる。一方、このステップ514の間、「非薄膜」と言われる他の領域はエッチングされず初期の厚さを保っている。特に、これらの非薄膜領域は、導波路220の凸部222の位置及び導波路320の位置にある。
【0072】
このステップ514の間、また、層43は続けて、後に中間部13となる位置でのみシリコンの厚さを小さくするために、第2の局所的な部分エッチングを受ける。この第2の局所的な部分エッチングの最後には、後に中間部13となる位置における層43の厚さは150nmとなる。
【0073】
ステップ516の間、層43の局所的なトータルエッチングが実行される(図9)。部分エッチングとは対照的に、トータルエッチングでは、それが適用される非マスク領域では層43のシリコンの厚さが完全に削減される。逆に、マスク領域はこのトータルエッチングから層43を保護する。このトータルエッチングは、導波路220及び320、整合装置300のアーム、表面格子結合器8、及び電極120を層43に同時に構成するように実行される。この目的のために、これらの様々な要素に対応する領域のみがマスクされる。このステップの最後に、図9に示す状態が得られる。
【0074】
ステップ518の間、以前のステップの間に構成された単結晶シリコンの層43が二酸化ケイ素116に封入される(図10)。その後、誘電材料116に封入された、構造化された単結晶シリコンを含む層3が得られる。その後材料116の上面は接合、例えば直接接合又は分子接合、のために準備される。例えば、材料116の上面は、CMP(化学機械研磨)法等の方法を用いて研磨される。
【0075】
ステップ520の間、基板4の上面、すなわち、この段階では材料116の研磨面が次に、例えば直接接合又は分子接合によって基板44(図11)の外面に接合される。基板44については既に図1を参照して説明した。
【0076】
ステップ522の間(図12)、ベース基板1は、層2の表面を露出させるために除去される。これは、層2の初期の厚さe2iniを実質的に変えることなく行われる。この目的のために、ベース基板1は2つの連続した動作により除去される。先ずは、層2に残っているベース基板1の残留薄膜層のみを残すようにベース基板1の厚みの大半を粗く除去するための第1の動作である。典型的には、第1の動作の後、この残留層の厚さは40μm未満又は30μm未満である。この第1の動作は「粗い」動作と言われる。その理由は、残留薄膜層の厚さの精度が粗い、すなわち、±0.5μmより大きい又は±1μmより大きく且つ一般的に±4μm未満、好ましくは、±3μm未満であるためである。残留薄膜層の厚さに要求される精度が粗いことを考慮すると、迅速又は低コストの除去方法を使用し得る。典型的には、粗い除去のための動作は、機械研磨によりベース基板1を薄くするための動作である。ここで、この第1の動作の最後には、残留薄膜層は、20μmから±2μm以内の厚さを有する。
【0077】
続いて、層2の厚さを変えることなくベース基板1の残留薄膜層を完全に除去するために第2の仕上げ動作が実施される。典型的には、この第2の動作は極めて選択的な化学エッチング動作である。「極めて選択的な」とは、この動作中に用いられる化学物質が、層2よりも少なくとも500倍、好ましくは少なくとも1000倍又は2000倍速くベース基板1をエッチングするという事実を指すものである。ここで、用いられる化学物質はTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)である。TMAHは熱酸化シリコンよりも2000倍速くシリコンをエッチングする。本実施形態では、残留薄膜層全体を確実に除去するために、極めて選択的なエッチングが、シリコンを22μm、すなわち、残留薄膜層の理論厚みよりも2μm大きくエッチングするように適合される。最悪のシナリオでは、この選択は、層2の厚さを2nm(=2μm/2000)オーバーエッチングすることにつながる。実際に、残留薄膜層の厚さが20μm±2μmであるため、場所によっては厚さが18μmになり得る。仮に22μmエッチングする予定である場合、厚さが18μmである位置でのオーバーエッチングは4μmに上る。それゆえ、この点における層2のオーバーエッチングは2nmである。したがって、ステップ522の後、層2は露出し、層20を形成する。層20の厚さは20nm±3nmとなり、すなわち、オーバーエッチングによる±2nmの不正確さが加わる層2の初期の厚さe2iniに対する不正確さのため、±1nmである。薄膜層を得る他の方法に対して、この方法には、厚さがはるかに均一な薄膜層を得ることができるという利点がある。実際に、薄膜層がより厚い酸化物層を薄くすることにより、又は封入された構造化層の表面上に薄い酸化物層を成長させることにより得られる場合(例えば国際公開第2011037686号又は米国特許出願公開第2015055910号参照)、厚さははるかに不均一になる。典型的には、既知の方法では、酸化物層の厚さはせいぜい±10nm以内又は±20nm以内に制御されるにすぎない。
【0078】
上記の理由により、この方法により製造される変調器の性能特性のばらつきは、既知の方法により得られるばらつきよりもはるかに少ない。
【0079】
最後に、有利には、ガス放出キャビティが、電極130及びストリップ33が形成されることになる位置の外側の層20の中に設けられる。典型的には、これらのキャビティは、一方の側から他方の側へ垂直に層20を横切るものである。これらのキャビティは、層を層20上に直接接合する間に発生するガス状元素を補足するという役割を果たす。したがって、これらのキャビティにより、より優れた品質の接合が層20上において得られることになる。図を簡略化するために、これらのキャビティはこれらの図には示さない。
【0080】
ステップ522の終わりには、基板44並びに層3及び20のスタック(図12)が得られる。
【0081】
ステップ524の間、III-Vゲイン材料の層36A(図13)が層20上に形成される。例えば、層36Aは導波路220及び電極120の上の層20上に接合される。層36Aは、電極120のドーピングの符号と反対の符号を有する、ドープされたInPのサブレイヤ30、スタック34、及びサブレイヤ35を含む。
【0082】
ステップ526の間、ストリップ234をサブレイヤ35に形成し、且つスタック233をスタック34に形成するために、サブレイヤ35及びスタック34の局所エッチング(図14)が行われる。このステップの間、サブレイヤ30はエッチングされない。
【0083】
ステップ528の間、このサブレイヤにおいてストリップ33と電極130とを同時に構成するためにサブレイヤ30の局所的なトータルエッチング(図15)が行われる。電極120に対する電極130の位置決めの精度δalは、このステップを実行するのに用いられるツール及び技法に依存する。したがって、この精度δalは予め知ることができる。電極130の突出部32dの長さはこの精度δalに依存する。ここで、電極130の望ましい位置は、この突出部32dの目標長が精度δalの絶対値以上となるように選択される。したがって、変調器100の製造中に起こる位置決め誤差とは無関係に、突出部32dは、アライメント誤差が予測可能な範囲±δal内に留まる限り体系的に形成される。
【0084】
ステップ528の間、電極130とストリップ33との間に位置する層20の厚さの一部又は全部が除去されてもよい。しかしながら、これは電極120と130との間及び導波路220とストリップ33との間に設けられた層20の部分の厚さには影響しない。
【0085】
ステップ530の間、構造化層36Aは誘電材料117内に封入される(図16)。誘電材料117内に封入されたIII-Vゲイン材料を含む層36はこのようにして得られる。
【0086】
最後に、ステップ532の間、バンプコンタクト21、22、51G、52G、51D、52D、243G、及び243Dが形成される。図1に図示するような送信機5はこのようにして得られる。
【0087】
この製造方法はいくつもの利点を有する。特に、
-この方法により、層20の厚さを正確に制御することが可能になり、且つ特に平らな層20を得ることが可能になる。その理由は、前記層がどこでも同じレベル(高さ)を有する層3の側に形成され、それにより層36Aの接合が単純化されるからである。
-この方法により、電極120の厚さを導波路220の厚さとは無関係に、より一般的には単結晶シリコンの層43の厚さとは無関係に調整することができる。一般的に言うと、レーザ源7の動作を改善するためには、導波路220は十分に厚く、すなわち、ここでは500nm程度でなければならず、ストリップ33は十分に薄く、すなわち、ここでは300nm又は150nm程度でなければならないため、これは特に有益である。逆に、変調器100の動作を改善するためには、上で説明したように、電極120の厚さ、及び特に電極120の近位端12の厚さは、近位端32の厚さに応じて選択されるべきである。ここで、近位端32の厚さは、結晶化InPのサブレイヤ30の厚さにより決まる(imposed)。したがって、近位端32の厚さは300nm又は150nmである。
-この方法により送信機5の製造の複雑さが増すことはない。例えば、この方法により、導波路200のストリップ33及び変調器100の電極130が全く同一のエッチング動作において形成される。同様に、電極120と導波路220とは同じエッチング動作中に同時に製造される。
【0088】
図17は、変調器100に代わり得る変調器550を示す図である。変調器550は、電極120の代わりに電極552が用いられている点を除いて、変調器100と同じである。電極552は、遠位端11の代わりに、厚さが中間部13の厚さe13と同じである遠位端554が用いられている点を除いて電極120と同じである。したがって、遠位端554と中間部13とは互いに連続しており、矩形の横断面の単一ブロックのみを形成する。
【0089】
図18は変調器100に代わり得る変調器560を示す図である。変調器560は、電極552の代わりに電極562が用いられている点を除いて変調器550と同じである。電極562は近位端12の代わりに近位端564が用いられている点を除いて電極552と同じである。近位端564は、Z方向に互いにスタックされたより高濃度にドープされた領域566とより低濃度にドープされた領域568を有するという点以外は近位端12と同じである。領域566は層20と直接接している。領域568は層20の反対側に設けられている。領域566のドーピングは、同じ変調効率を維持するため近位端12について説明したドーピングと同じである。領域566又は568のドーピングとは、この領域におけるドーパントの単位体積当たりの平均密度を意味する。アクセス抵抗を制限しつつ同時に導波路内の光損失を制限するために、領域566の厚さe566は好ましくは中間部13の厚さe13から±10%又は±5%以内である。その厚さはまた通常70nmより大きい。ここで、この厚さは厚さe13と等しい。
【0090】
領域568のドーピングは、領域566のドーピングよりも少なくとも2倍、好ましくは4倍又は10倍少ない。典型的には、領域568はドープされないか又は非常に低濃度にドープされる。
【0091】
領域568の厚さはe12-e566と等しい。近位端564のドーピングのこのような構造により、変調効率や変調速度等の他の性能特性を実質的に変えることなく、且つ近位端564におけるアクセス抵抗を変えることなく、変調器560における伝播損失を低減することが可能になる。近位端564のドーピングのこのような構造は、例えば、ステップ502の間、すなわち、領域566のみがドープされるようにシリコンの層43内の近位電極564の位置でドーピングを実施することによって実行される。例えば、領域566及び568は、ドーパントの注入エネルギー及び注入されるドーパントのドーズ量を変化させてドーパントの密度とドーパントの最大密度が位置する深さとの両方を調整することによって得られる。
【0092】
図19は、変調器100に代わり得る変調器570を示す図である。変調器570は、電極120の代わりに電極572が用いられている点を除いて変調器100と同じである。電極572は中間部13の代わりに中間部574が用いられている点を除いて電極120と同じである。中間部574の厚さは厚さe12と同じである。したがって、本実施形態では、変調器570の性能特性の再現性は、層20の厚さをより良く制御することができるおかげで得られる。
【0093】
図20は、変調器100に代わり得る変調器580を示す図である。この変調器580は、電極130の代わりに電極582が用いられている点を除いて変調器100と同じである。電極582は、近位端32と遠位端31との間に薄膜中間部584が導入されている点を除いて電極130と同じである。中間部584は、例えば、中間部13と構造的に同じである。
【0094】
加えて、本実施形態では、近位端32は遠位端31と比べてより低濃度にドープされる。端31及び32間のドーピングの違いは、ステップ528の直後且つステップ530の前に、端31に対して局所的なドーピングを行うステップを実行することによって引き起こされ得る。
【0095】
前の実施形態と同様に、本実施形態では、遠位端32は電極120の中間部13の上に位置する突出部32dを備える。これらの条件下において、X方向における光場の最大強度の位置は依然として近位端12の幅W12により制御される。
【0096】
図21は、変調器100に代わり得る変調器590を含む。変調器590は、電極120の代わりに電極592が用いられている点で変調器580と同じである。電極592は、変調器570の電極572と同じである。電極592は、中間部584の下にX方向に延在する突出部12dを有する。この突出部12dは突出部32dのように構成される。したがって、本実施形態では、変調器により導かれる光場の最大強度の位置は、近位端12の幅によってではなく、近位電極32の幅W32によって制御される。これにより、製造される変調器の性能特性の再現性に関して、図1の実施形態及び近位端12の場合について既に説明した利点と同じ利点が得られる。
【0097】
変調器590の製造方法は例えば以下の点を除いて図4に示す方法と同じである。
-ステップ514の間、中間部13を薄くするための第2の局所的な部分エッチングが省略される。
-ステップ528の間、中間部584を薄くすることができる第2の局所的な部分エッチングが局所的なトータルエッチングに加えて実施される。
【0098】
図22は送信機600を示す図であり、送信機600は、封入された半導体層602が層20と層36との間に設けられている点を除いて送信機5と同じである。層602は、酸化シリコンに封入された構造化半導体層604を備える。層604は層20と直接接している。ここで、層604は多結晶シリコン(ポリシリコン)の層である。この層は、変調器の電極608及びレーザ光源の凸部610を形成するために、例えば前述のような局所的なトータルエッチングによって構成されている。電極608は、例えば、ポリシリコンから形成されている点を除いて電極130と同じである。電極608はエッチング後に注入によりドープされる。凸部610はドープされない。
【0099】
凸部610は導波路220の上に位置しており、バイマテリアル(bi-material)導波路612を形成するために層20を介してこの導波路220と光学的に結合している。ここで、バイマテリアル導波路612は単結晶シリコン及びポリシリコンから形成される。
【0100】
III-V材料から成る導波路200は、バイマテリアル導波路612の上の層602上に直接堆積又は接合され、この導波路612に光学的に結合している。本実施形態では、電極608は、導波路200のストリップ33の材料と同じ材料からは構成されない。
【0101】
変調器の変形形態:
【0102】
変調器100はリング変調器であってもよい。この目的のために、導波路70は電荷キャリアの濃度がコンタクト21及び22間に印加される電位差に応じて変更されてもよい環状導波路を形成するようにそれ自体が閉じている。典型的には、この環状導波路は、変調されることになる光信号がエバネッセント結合を通して伝播する導波路に接続している。この場合、位相整合装置300は設けられていなくてもよい。導波路70はまた環状導波路の限られた部分のみを構成してもよい。
【0103】
別の実施形態では、変調器は、変調器を通過する光信号の強度を変調するために用いられる。これは、導波路70内の電荷キャリアの濃度が変わることで、導波路70を通過する光信号の強度も変わるからである。
【0104】
1つの変形として、端11の厚さは単結晶シリコンの層43の厚さと等しい。実際に、光信号の光場の最大強度が位置する点Mを層20の中心に置くために重要なのは両端12及び32の厚さである。遠位端11及び31の厚さはこの点と特に関連がない。
【0105】
層20の厚さは25nm又は40nmより大きくてもよい。
【0106】
近位端564について説明したものと同様に、電極130の近位端32の代わりに、ある領域が他の領域よりも高濃度にドープされている端部が用いられてもよい。他の変形形態では、端32のみが、異なるレベルのドーピングを有する2つの領域を含み、端12のドーピングは均一である。
【0107】
異なるレベルのドーピングを有する領域566及び568の他の実施形態も可能である。例えば、1つの変形形態では、層20からの距離が増加するにつれて近位端564のドーピングは徐々に減少する。こうしてドーピング勾配が形成される。そのため、領域566から領域568に移動する際に、ドーパントの単位体積当たりの密度が急激に変化することはない。一方、領域566におけるドーパントの単位体積当たりの平均密度は、領域568におけるドーパントの単位体積当たりの平均密度よりもはるかに高いままである。
【0108】
電極120のドープ領域は、近位端32を超えてX方向に延びてもよいし、前記端までは延びていなくてもよい。
【0109】
1つの変形として、変調器580の近位端32の幅W32は近位端12の幅W12よりも小さい。この場合、導波路70内部の光場の最大強度の位置は、幅W12によってではなく、幅W32によって制御される。
【0110】
他の変形形態では、突出部32d又は12dは設けられていない。実際に、点Mの位置決めの再現性は、この突出部32d又は12dがない場合でも改善される。
【0111】
電極120又は130を形成するのに他の半導体材料が用いられてもよい。例えば、2つの電極は、InP、或いは多結晶シリコン又は単結晶シリコンにより形成される。
【0112】
材料116及び層20には他の誘電材料が用いられてもよい。他の誘電材料とは例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、電気絶縁ポリマー、又はAlである。さらに、層20の場合には、その屈折率は必ずしもシリコンの屈折率よりも低くなくてもよい。
【0113】
別の実施形態では、電極130は、ストリップ33を形成するのに用いられた材料とは異なる半導体材料から成る。この場合、電極130及びストリップ33はIII-V材料の同じサブレイヤに構成されていない。
【0114】
実施形態とは無関係に、Nドープ領域及びPドープ領域を入れ替えることも可能である。
【0115】
レーザ源の変形形態:
【0116】
層36を形成するために他のIII-Vゲイン材料が用いられてもよい。例えば、層36は下から上に向かって積み重なった以下のスタックから成る。
-NドープGaAsの下部サブレイヤ
-AlGaAsの量子ドット又はAlGaAs量子井戸を有するサブレイヤ
-PドープGaAsの上部サブレイヤ
【0117】
サブレイヤ30を形成するために用いられるIII-V材料は異なっていてもよい。例えば、この材料はNドープAsGa又はPドープAsGaであり得る。PドープInPはNドープInPよりも光損失が大きいこと、且つそのため電極130用の変調器においてNドープInPを用いることが好ましいこともまた留意されたい。
【0118】
導波路220は、「ストリップモード」と呼ばれる構成、すなわち、横方向アーム223G及び223Dが省略されている構成、又は光信号を導く事が可能な他の構成を有してもよい。
【0119】
他の変形形態では、層20は、送信機の動作に不可欠ではない箇所では、完全に除去される。例えば、層20は、近位端12と32との間を除いて完全に除去される。
【0120】
製造方法の変形形態:
【0121】
ベース基板1の除去は別の方法で実行されてもよい。例えば、1つの変形として、ベース基板1は、粗い除去の動作を実施せずに仕上げ動作のみを実施することによってエッチング除去される。他の変形形態では、仕上げ動作中に実施されるものとは異なる粗いエッチングのための動作によって粗い除去が実行される。
【0122】
特に層20が厚い場合、層20内のガス放出キャビティは設けられていなくてもよい。実際に、もし層20が厚い場合、ガス放出キャビティの使用は不要である。
【0123】
1つの変形として、電極130及びストリップ33は同じサブレイヤ30に同時には形成されない。例えば、ステップ528中には、ストリップ33のみが構成される。続いて、半導体層は、後に電極130が形成される位置において、層20の上に堆積又は接合される。続いて、この半導体層がエッチングされ電極130が形成される。この場合、電極130は、結晶シリコン等のストリップ33に用いられる材料とは異なる材料で形成されてもよい。
【0124】
部分エッチングステップ及びトータルエッチングステップの順は逆であってもよい。例えば、第1のマスクが、電極120の周囲の範囲を定めるために層43の上に配置される。そして、この電極120の垂直側を構成するために局所的なトータルエッチングが行われる。続いて、電極120の中間部13を薄くするために、局所的な部分エッチングが行われる。この局所的な部分エッチングの間、少なくとも電極120の近位端を覆う第2のマスクが堆積される。この第2のマスクにより、中間部13は露出したままになる。
【0125】
他の変形形態では、第2の局所的なトータルエッチングに代わって、非薄膜領域を薄膜領域に変換し、且つ薄膜領域を完全に除去するように、層3の全面の均一なエッチングが行われる。
【0126】
ドーピングステップとエッチングステップの順は逆であってもよい。
【0127】
変調器とレーザ光源とは互いに独立して製造されてもよい。例えば、ここで説明する製造方法は変調器のみ又はレーザ光源のみの製造に容易に適合されてもよい。
【0128】
他の変形形態:
【0129】
層442は酸化シリコン以外の他の材料から成ってもよい。例えば、1つの有利な変形形態では、層442はレーザ光源200により生成される熱が基板441に向けて放熱されるのを改善する窒化アルミニウム(AlN)から成る。
【0130】
1つの変形として、バンプコンタクトの一部又は全体は材料117を貫くようにではなく基板44を貫くように形成される。この場合、既に示した図に示されたものに対して、1つ又は複数の電気バンプコンタクトが基板の下に表れる。
【0131】
1つの変形として、導波路70、220又は320は湾曲している。この場合、これらの導波路に光学的に結合する様々な要素の構成はこれらの導波路の曲率半径に適応する。
【0132】
1つの変形として、位相整合装置は設けられておらず、又は異なるように形成される。
【0133】
中間部よりも厚い近位端を用いることにより電極の位置決めにおける誤差に関して製造方法がより頑強なものになるという事実はまた、変調器の他の製造方法を改善するためにも利用され得る。特に、これは、誘電体層が埋め込み層によって直接形成される方法以外の方法で実施され得る。特に、中間部よりも厚い近位端の形成はまた、出願国際公開第2011037686号又は米国特許出願公開第2015/0055910号に記載されているような既知の方法で実施され得る。後者の場合、中間部は、電極が構成されている間且つ酸化シリコン内に封入される前に薄くされる。
【0134】
同様に、誘電体層20に直接接する近位端の領域566のより高いレベルのドーピングはまた、誘電体層が埋め込み層により直接形成されるという事実とは無関係に実施されてもよい。例えば、1つの変形として、層20はまずステップ522の間に除去され、その後除去された層20に代わって新たな誘電体層が堆積される。ステップ522の間、層20をまた10nmより多く薄くしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22