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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230706BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230706BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022036889
(22)【出願日】2022-03-10
(62)【分割の表示】P 2018168856の分割
【原出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2022066531
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 暁治
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-197184(JP,A)
【文献】特開2013-252906(JP,A)
【文献】国際公開第2018/099133(WO,A1)
【文献】特開平10-297716(JP,A)
【文献】特開2006-193230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
B65G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる頻度が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアから前記第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項2】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる頻度が閾値未満である物品を格納する容器が、前記第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項3】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる数量が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアから前記第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項4】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる数量が閾値未満である物品を格納する容器が、前記第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項5】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる回数が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアから前記第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項6】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる回数が閾値未満である物品を格納する容器が、前記第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項7】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される頻度が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアからフロア属性が作業フロアである第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項8】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される頻度が閾値未満である物品を格納する容器が、フロア属性が作業フロアである第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項9】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される数量が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアからフロア属性が作業フロアである第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項10】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される数量が閾値未満である物品を格納する容器が、フロア属性が作業フロアである第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項11】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される回数が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアからフロア属性が作業フロアである第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項12】
フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、
前記フロア情報を参照し、注文される回数が閾値未満である物品を格納する容器が、フロア属性が作業フロアである第1フロアに配置されている場合、前記第1フロアからフロア属性が倉庫フロアである第2フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、
を備え
前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、
特徴とする搬送システム。
【請求項13】
前記搬送ロボットと前記フロア間搬送装置とをさらに備えること、
を特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記容器は、
前記物品を格納する棚であり、
前記搬送ロボットは、
前記棚を持ち上げて搬送することが可能な搬送車であること、
を特徴とする請求項13に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記記憶装置は、
前記棚を特定する識別子と、前記棚に格納された前記物品の識別子と、前記棚の位置の情報と、を関連付ける棚情報を記憶し、
前記制御装置は、
前記棚情報を参照して、前記物品を格納する前記棚の位置の情報を取得し、
前記フロア情報を参照して、取得した棚の位置に対応するフロアの属性を取得すること、
を特徴とする請求項14に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記制御装置は、
前記棚を搬送する経路、前記搬送車、前記フロア間搬送装置を決定し、
前記決定した経路についての指示を前記搬送車と前記フロア間搬送装置に送信すること、
を特徴とする請求項15に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記作業フロアは、
前記棚を配置可能な保管エリアと、作業員又はロボットにより前記棚から前記物品が取り出されるエリアであるピッキングエリアと、を有し、
前記倉庫フロアは、
前記棚を配置可能な保管エリアを有すること、
を特徴とする請求項16に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の取引に係る物品を迅速に届けるためのインフラ施設の1つとして、物流センタが存在する。物流センタは、メーカ等から物品を受け取り、受け取った物品を一旦保管する。その後、物流センタは、注文を受け取ると、注文に係る物品を取り出し、梱包したうえで顧客あて発送する。
【0003】
物流センタは、前記した一連の流れの各工程(受け取り、保管、取り出し、梱包、発送)を実行するエリアを有している。したがって、それぞれのエリア間での物品の移動を効率的に行うことが物流センタを運営する企業にとって重要な経営戦略となる。近時、このような物品の移動は自動化・機械化されていることが多い。物流センタが取り扱う物品の数量が増加すると、各工程のエリアの面積は拡大する。しかしながら、物流に適した土地(高速道路のインターチェンジ周辺等)には限りがあり、敷地面積を充分に拡大できない場合もある。このような場合、物流センタは、徐々に多層化されて行くことになる。
【0004】
特許文献1の生産設備は、生産ラインフロア、部品格納フロア、各フロアを結ぶ昇降機(エレベータ)、及び、部品を格納したパレットを搬送する無人搬送車を有する。生産ラインフロアには、未完成の自動車(車体)をコンベアによって流す生産ライン、及び、生産ラインに沿って配置された複数のステーションが存在する。部品格納フロアは、車体に取り付けられるべき多くの種類の部品を保管する。無人搬送車は、部品を格納したパレットを部品格納フロアにおいて搭載し、昇降機に乗り込み、生産ラインフロアに移動する。その後、無人搬送車は、目的のステーションにおいて、そのステーションが必要としている部品を降ろす。さらにその後、無人搬送車は、空になったパレットを部品格納フロアに搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-155761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の生産設備は、専ら自動車生産の効率化を目的にしている。例えば、車体に対してまずエンジンを取り付け、次にバッテリを取り付け、最後にエンジンとバッテリとを接続するワイヤハーネスを取り付けるという工程が存在するとする。このような複数の工程間の順序は、概ね固定されている。当然のことであるが、ワイヤハーネスの取り付けが工程の最初に来ることはあり得ない。すると、無人搬送車は、生産ラインの下流のステーションにワイヤハーネスを搬送し、上流のステーションにエンジンを搬送するというように、経路及び部品の組合せが固定化され、一方では復路は必ず空車であるという無駄も生じる。
【0007】
そして、特許文献1の生産設備は、フロアの役割を“生産ラインフロア”及び“部品格納フロア”の2つに固定し、それらが相互に入れ替わること、既存の機能を有するフロアが増設されること、他の機能を有するフロアが追加されること等は想定していない。さらに、特許文献1の生産設備から搬出される物品は、同じような部品を備え付けた完成車であり、顧客の注文に応じて複数の異なる物品を取り出すという発想からは遠い。
そこで本発明は、異なる機能を有する多層のフロア間における物品の移動を個々の注文ごとに効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の搬送システムは、フロアの区分とフロア属性とを関連付けるフロア情報を記憶する記憶装置と、前記フロア情報を参照し、フロア属性が作業フロアである第1フロアでピッキングされる頻度が閾値以上である物品を格納する容器が、フロア属性が倉庫フロアである第2フロアに配置されている場合、前記第2フロアから前記第1フロアへ前記容器を搬送するように、搬送ロボットとフロア間搬送装置とを制御する制御装置と、を備え、前記第2フロアは、前記第1フロアとは異なる階であること、を特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なる機能を有する多層のフロア間における物品の移動を個々の注文ごとに効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物流センタの平面図である。
図2】物流センタの側面図である。
図3】棚の斜視図である。
図4】棚の側面図である。
図5】(a)は、搬送車の平面図である。(b)は、搬送車が荷役台を持ち上げた状態の側面図である。(c)は、搬送車が荷役台を下げた状態の側面図である。
図6】搬送管理装置の構成を説明する図である。
図7】フロア情報を説明する図である。
図8】棚情報を説明する図である。
図9】搬送車情報を説明する図である。
図10】エレベータ情報を説明する図である。
図11】物品情報を説明する図である。
図12】注文情報を説明する図である。
図13】指示情報を説明する図である。
図14】指示の内容を説明する図である。
図15】入荷処理手順のフローチャートである。
図16】ピッキング処理手順のフローチャートである。
図17】第1の棚配置見直し処理手順のフローチャートである。
図18】第2の棚配置見直し処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、通信販売用の物流センタが、メーカ等から物品を入荷し、顧客の注文に応じて物品を出荷する例を説明する。しかしながら、本発明は、例えばメーカ等が自社内で部品を保管・管理する場合にも適用可能である。なお、本実施形態の“物品”は、取引の対象になる商品、それ以外の製品、部品等を含む概念である。
【0012】
(物流センタ)
図1は、物流センタのレイアウトの平面図である。図1の物流センタは、3階建ての建物である。1階部分は、入荷フロア8cである。入荷フロア8cは、入荷エリア43及び一時保管エリア44を有する。一時保管エリア44には、空の棚7が配置されている。個々の棚7は、各種の物品を格納する(詳細後記)。棚7は、2行6列の“島”を構成し、島が3行1列に並んでいる。島の間の通路では、棚7を持ち上げて搬送することが可能な搬送車2が移動している(詳細後記)。物品を搭載したトラック9がメーカ等から入荷エリア43に到着すると、荷役作業員47(又は荷役ロボット)は、物品を空の棚7に格納する。
【0013】
2階部分は、作業フロア8bである。作業フロア8bは、ピッキングエリア41及び一時保管エリア42を有する。一時保管エリア42には、棚7が配置されている。棚7は、2行6列の“島”を構成し、その島が3行1列に並んでいる。島の間の通路では、搬送車2が移動している。搬送車2は、一時保管エリア42のうちピッキングエリア41に隣接する位置に棚7を搬送する。すると、ピッキングエリア41において、ピッキング作業員46(又はロボット)は、棚7から所定の物品を取り出し、取り出した物品をパッケージに梱包したうえで、仕分棚45に格納する。このパッケージは、顧客からの注文の対象となっている1又は複数の物品を格納し、顧客に送付される。このように、作業フロア8bでは、フロアの一方の側に人が作業するピッキングエリア41(第1のエリア)と、フロアのもう一方の側に搬送車2が走行して作業する一次保管エリア42(第2のエリア)とが区画して配置されている。
【0014】
3階部分は、倉庫フロア8aである。倉庫フロア8aの全体が長期保管エリア8aとなっている。倉庫フロア8aには、棚7が配置されている。棚7は、2行6列の“島”を構成し、その島が3行2列に並んでいる。島の間の通路では、搬送車2が移動している。
【0015】
エレベータ3が、1階部分、2階部分及び3階部分を貫通している。エレベータ3は、棚7を持ち上げた状態の搬送車2を上下方向に複数のフロアを跨って搬送する。なお、図1の3階部分に記された目盛(1、2、3、・・・)については後記する。作業フロア8bでは、搬送車2がエレベータ3に対して乗降する乗降口が一次保管エリア42に面するように、エレベータ3が配置されている。また、当該乗降口が一次保管エリア42内に存在するように、エレベータ3が配置されていてもよい。
【0016】
図2は、物流センタのレイアウトの側面図である。詳細の説明は省略するが、図2では、作業フロア8bが2層になっている。エレベータ3は、棚7を持ち上げた状態の搬送車2を各フロア間で搬送する。
【0017】
(典型的な物品の流れ)
図1に戻る。物品を格納した棚7は、まず入荷フロア8cの一時保管エリア44に保管される。その後、棚7は、倉庫フロア8aに搬送され、顧客からの注文を待つ。顧客からの注文があると、棚7は、作業フロア8bの一時保管エリア42に搬送される。その後直ちに、ピッキング作業員46は、棚7から注文に係る物品を取り出し、任意のパッケージに梱包し、パッケージを仕分棚45に置く。
【0018】
仕分棚45に置かれたパッケージは、やがてトラック等によって出荷される。出荷のためのフロア(図示せず)を、入荷フロアが兼ねていてもよい。注文がない限り、物品を格納した棚7は、倉庫フロア8aに保管され続ける。その意味で、倉庫フロア8aは、長期保管をその用途としており、他のフロアに比して多くの棚7を配置している。なお、“保管フロア”は、ここでの倉庫フロア(長期保管用)に相当する。
【0019】
図3は、棚7の斜視図である。棚7は、正方形の平面及び4本の脚51を有する。図3では、そのうち1本が隠れている。棚7は、上段、中段及び下段を有する。各段は、左、中央及び右の格納スペースを有する。結局、棚7は、9箇所の格納スペースを有することになる。上段、中段及び下段にそれぞれ、U、M及びLの符号をあて、左、中央及び右にそれぞれ、L、C及びRの符号をあてる。すると、例えば上段左の格納スペースは、“UL”と表記される。
【0020】
図4は、棚7の側面図である。棚7は、下段の下に空間を有する。搬送車2は、当該空間に入り込むことができる。さらに、搬送車2は、棚7を持ち上げた状態で搬送することができる。なお、“容器”は、棚を含む概念である。容器は、棚以外にも、パレット、タンク、籠、収納庫等を含む。
【0021】
図5(a)は、搬送車2の平面図である。搬送車2は正方形の平面を有する。搬送車2は、その上面の中央に円盤状の荷役台55を有する。
図5(b)は、搬送車2が荷役台55を持ち上げた状態の側面図である。搬送車2は、シャフト58の高さ(長さ)を調整することによって、荷役台55を持ち上げる。搬送車2は、駆動輪56及び補助輪57を有する。駆動輪56は、独自の動力によって回転する。補助輪57は、動力を有さず、専ら搬送車2を支持する。駆動輪56の個数及び位置は任意である。補助輪57の個数及び位置は任意である。
なお、“保持する”とは、“持ち上げる”を含む概念である。“保持する”は、上からクレーン等で容器を引き上げる、車輪等が付された容器等を牽引又は推進する等の動作を含む。
【0022】
図5(c)は、搬送車2が荷役台55を下げた状態の側面図である。荷役台55の上面が搬送車2の上面に一致している。搬送車2は、棚7を搬送しないときは、図5(c)のように荷役台55を下げている。搬送車2の上面の床面からの高さは、棚7の下部の空間の床面からの高さよりも低い。よって、搬送車2は、図5(c)の状態で、棚7の下部の空間に入り込むことができるし、通過することもできる。つまり、図5(c)の状態の搬送車2にとって、棚7及び棚7が構成する島は何ら障害にならない。
【0023】
図6に沿って、搬送管理装置1の構成を説明する。搬送管理装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、キーボード等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を有する。これらの装置は、バスで相互に接続されている。補助記憶装置1は、フロア情報31、棚情報32、搬送車情報33、エレベータ情報34、物品情報35、注文情報36及び指示情報37(いずれも詳細後記)を格納している。主記憶装置14における物品管理部21、搬送管理部22及びフロア管理部23は、プログラムである。以降において、“○○部は、”と動作主体を記した場合、それは、中央制御装置11が補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで各プログラムの機能(詳細後記)を実現することを意味する。
【0024】
搬送管理装置1は、有線又は無線のネットワーク6(構内専用回線を含む)を介して、1又は複数の搬送車2、1又は複数のエレベータ3、搬送車制御装置4及びエレベータ制御装置5と通信可能に接続されている。
【0025】
搬送車2は、図5(a)~(c)で説明した構成の他に、駆動輪56を回転させる電動機、シャフト58の長さを調節する電動機、これらの電動機に給電する蓄電池、センサ、及び、車載コンピュータを有する。
【0026】
センサは、床面に配置されている床マーカを読み取ることによって、自身の現在位置を取得する。車載コンピュータは、リアルタイムで、現在位置を含む様々なデータを搬送車制御装置4に送信し、搬送車制御装置4から指示を受信する。車載コンピュータは、受信した指示に基づき前記した電動機を操作することによって、駆動輪56の回転方向及び回転速度を調節し、シャフト58の長さを調節する。また、センサは、棚7の任意の箇所に記載されている棚ID(詳細後記)を読み取ることもできる。なお、搬送車2は、床マーカを用いることなく、周囲の環境情報等に基づいた地図情報に基づいて動作するものであってもよい。
【0027】
エレベータ3は、各フロアを貫通するエレベータシャフト内において、駆動ロープに吊り下げられている。屋上機械室等に配置された電動機は、駆動ロープを巻き上げ、又は、開放することによって、エレベータ3の上下位置を調整する。エレベータは、センサ及び塔載コンピュータを有する。センサは、エレベータシャフトの内側に配置されているシャフトマーカを読み取ることによって、自身の現在位置(階数)を取得する。塔載コンピュータは、リアルタイムで、現在位置を含む様々なデータをエレベータ制御装置5に送信し、エレベータ制御装置5から指示を受信する。塔載コンピュータは、受信した指示に基づき、前記した電動機を操作することによって、エレベータの現在位置を調節する。
【0028】
前記した指示は、いずれも搬送管理装置1によって生成される。搬送車制御装置4及びエレベータ制御装置5は、搬送管理装置1と一体化された構成となっていてもよい。説明の単純化のために、以降では、搬送管理装置1は、搬送車制御装置4及びエレベータ制御装置5の機能を併せ持つものとする。一方、搬送管理装置1の補助記憶装置15は、搬送管理装置1から独立した構成となっていてもよい。
【0029】
搬送ロボットは、前記した搬送車2を含む概念である。搬送ロボットの移動手段としては、車輪以外にも、キャタピラ、人間形の脚等があり得る。フロア間搬送装置は、前記したエレベータを含む概念である。フロア間搬送装置は、鉛直方法に移動するエレベータ以外にも、エスカレータ、クレーン等を含む。なお、搬送ロボット、フロア間搬送装置及び搬送管理装置1は、搬送システムを構成する。
【0030】
(位置情報)
図1に戻る。物流センタの各フロアには、仮想上の方眼が引かれている。その方眼のマス目のそれぞれに、前記した床マーカが、搬送車2の走行の妨げにならないように貼付又は埋設されている。このマス目の縦横の長さは、棚7の縦横の長さと同じである。床マーカには、図1の“3階”に示すような横軸の座標値及び縦軸の座標値、並びに、階数が記載されている。例えば、図1の符号7aの棚7の真下のマス目には、3次元の位置情報“[16,4,3]”が記載された床マーカが貼付されている。“16”は横軸の位置を示し、“4”は縦軸の位置を示し、“3”は階数を示す。
【0031】
(フロア情報)
図7に沿って、フロア情報31を説明する。フロア情報31においては、区分欄101に記憶された区分に関連付けて、フロア属性欄102にはフロア属性が、フロア用途欄103にはフロア用途が、位置欄104には位置が記憶されている。
区分欄101の区分は、物流センタのフロアの管理上の区分であり、ここでは、階数に“東側”又は“西側”を付した文字列である。
フロア属性欄102のフロア属性は、前記した“倉庫フロア”、“作業フロア”及び“入荷フロア”のうちのいずれかである。
【0032】
フロア用途欄103のフロア用途は、区分ごとの用途であり、“長期保管”、“ピッキング”、“一時保管”及び“入荷”のうちのいずれかである。作業フロアに対しては、ピッキング及び一時保管が対応する。入荷フロアに対しては、入荷及び一時保管が対応する。倉庫フロアに対しては、長期保管のみが対応する。
位置欄104の位置は、前記した3次元の位置情報であるが、ここでは特に、その区分が含むすべてのマス目を特定する位置情報が記憶されている。なお、“#”は、異なる値を省略的に示している(以降、図8等でも同様)。
【0033】
搬送管理装置1のユーザは、物流センタのフロア属性若しくはフロア用途の見直し、又は、区分間の線引きの見直しを行う都度、見直し後のデータを入力装置12を介して入力する。搬送管理装置1は、入力されたデータをフロア情報31として補助記憶装置15に記憶する。
【0034】
(棚情報)
図8に沿って、棚情報32を説明する。棚情報32においては、棚ID欄111に記憶された棚IDに関連付けて、格納位置欄112には格納位置が、物品ID欄113には物品IDが、数量欄114には数量が、保管開始日欄115には保管開始日が、棚位置欄116には棚位置が記憶されている。
棚ID欄111の棚IDは、棚7を一意に特定する識別子である。
格納位置欄112の格納位置は、その棚における格納スペースの位置であり、上段U、中段M及び下段Lの内の1つと、左L、中央C及び右Rのうちの1つとの組合せである。
【0035】
物品ID欄113の物品IDは、物品の種類(個体ではない)を一意に特定する識別子である。説明の単純化のため、本実施形態では、1つの格納スペースには1種類の物品のみが格納されるものとする。
数量欄114の数量は、格納されている物品の数量である。
保管開始日欄115の保管開始日は、その物品が物流センタに入荷された年月日である。説明の単純化のため、物品は所定の数のロットごとに入荷されるものとする。そして、ここでの保管開始日は、そのロットが入荷された年月日である。
【0036】
棚位置欄116の棚位置は、棚7が現在配置されている床面のマス目の3次元座標値である。
ある格納スペースに物品が格納されていない場合、その格納位置についてのレコード(行)の物品ID欄113、数量欄114及び保管開始日欄115は空欄となる。なお、このような格納スペースを“空格納スペース”と呼ぶ。
【0037】
物品がロットごとに入荷される都度、物品ID、数量及び保管開始日が更新される。棚7が配置されている位置が変わる都度、棚位置が更新される。物品が取り出される(ピッキングされる)都度、数量が更新(減少)される。搬送管理装置1は、荷役作業員47が携帯する端末装置(図示せず)又は搬送車2からこれらの情報を入手し、棚情報32を最新の状態に維持している。
【0038】
(搬送車情報)
図9に沿って、搬送車情報33を説明する。搬送車情報33においては、搬送車ID欄121に記憶された搬送車IDに関連付けて、搬送車位置欄122には搬送車位置が、状態欄123には状態フラグが、稼働欄124には稼働フラグが、棚ID欄125には棚IDが記憶されている。
搬送車ID欄121の搬送車IDは、搬送車2を一意に特定する識別子である。
搬送車位置欄122の搬送車位置は、搬送車が現在移動又は停止している床面のマス目の3次元座標値である。
【0039】
状態欄123の状態フラグは、“実車”及び“空車”のうちのいずれかである。“実車”は、搬送車が棚7を搬送中であることを示す。“空車”は、搬送車が棚7を搬送中でないことを示す。
稼働欄124の稼働フラグは、“稼働中”、“待機中”及び“故障中”のうちのいずれかである。“稼働中”は、搬送車が搬送管理装置1から受け付けた指示に係る搬送・動作を実行中であることを示す。“待機中”は、搬送車が指示を完了した後、次の指示を受信するのを待っていることを示す。“故障中”は、障害が発生したことに起因し搬送車が停止中であることを示す。
【0040】
棚ID欄125の棚IDは、図8の棚IDと同じであるが、ここでは特に、搬送車が現在搬送している棚7を特定している。
搬送車が床面のマス目の境界線を通過する都度、搬送車位置が更新される。搬送車が棚を上げ下げする都度、状態フラグが“実車”及び“空車”の間で遷移する。搬送管理装置1は、搬送車からこれらの情報を入手し、搬送車情報33を最新の状態に維持している。
【0041】
(エレベータ情報)
図10に沿って、エレベータ情報34を説明する。エレベータ情報34においては、エレベータID欄131に記憶されたエレベータIDに関連付けて、容量欄122には容量が、平面位置欄133には平面位置が、上下位置欄134には上下位置が記憶されている。
エレベータID欄131のエレベータIDは、エレベータを一意に特定する識別子である。
容量欄132の容量は、エレベータが1度に塔載可能な搬送車の最大台数である。
【0042】
平面位置欄133の平面位置は、各フロアの床面のマス目のうち、エレベータシャフトの開口部に隣接しているマス目の(階数以外の)2次元座標値である。各フロアにおいて、搬送車2は、当該平面位置を通過してエレベータに乗降する。あるエレベータの平面位置が、1階において例えば[18,9]であれば、当該エレベータの平面位置は、他の階においても[18,9]である(図1参照)。
上下位置欄134の上下位置は、エレベータが現在位置している階数である。
エレベータが上下する都度、上下位置が更新される。搬送管理装置1は、各エレベータからこの情報を入手し、エレベータ情報34を最新の状態に維持している。
【0043】
(物品情報)
図11に沿って、物品情報35を説明する。物品情報35においては、物品ID欄141に記憶された物品IDに関連付けて、物品名称欄142には物品名称が、メーカ名称欄143にはメーカ名称が、サイズ欄144にはサイズが、色欄145には色が記憶されている。
物品ID欄141の物品IDは、図8の物品IDと同じである。
物品名称欄142の物品名称は、物品の種類の名称である。
メーカ名称欄143のメーカ名称は、物品のメーカの名称である。
【0044】
サイズ欄144のサイズは、物品の大きさである。
色欄145の色は、物品の色である。
図11の物品情報35は、物品が衣料品である場合の例である。各欄のデータは、機械部品の型式、食料品の産地のように、物品の特性に応じて適宜ユーザにより選択される。搬送管理装置1のユーザは、自身が取り扱う物品についてのこのようなデータを適宜のタイミングで入力装置12を介して入力する。搬送管理装置1は、入力されたデータを物品情報35として補助記憶装置15に記憶する。
【0045】
(注文情報)
図12に沿って、注文情報36を説明する。注文情報36においては、注文ID欄151に記憶された注文IDに関連付けて、顧客名称欄152には顧客名称が、物品ID欄153には物品IDが、数量欄154には数量が、時刻欄155には時刻が記憶されている。
注文ID欄151の注文IDは、顧客からの注文を一意に特定する識別子である。注文とは、物品の購入申し込みである。物流センタは、注文に係る物品をピッキングしたうえで、出荷する。
【0046】
顧客名称欄152の顧客名称は、顧客の氏名又は名称である。
物品ID欄153の物品IDは、図8の物品IDと同じである。
数量欄154の数量は、注文に係る物品の数量である。
時刻欄155の時刻は、搬送管理装置1が注文を受け付けた年月日時分秒である。
【0047】
図12から明らかなように、1つの注文は、1又は複数の数量からなる1又は複数の種類の物品を対象としている。そして、ピッキング作業員は、1つの注文に係る物品を1つのパッケージに梱包し、仕分棚45(図1)に並べる。注文が発生する都度、注文情報36の新たなレコードが作成される。搬送管理装置1は、例えば物品販売サイトの運営者のサーバ等からこのようなレコードを受信し、注文情報36として補助記憶装置15に記憶する。
【0048】
(指示情報)
図13に沿って、指示情報37を説明する。指示情報37においては、指示ID欄161に記憶された指示IDに関連付けて、指示先ID欄162には指示先IDが、指示欄163には指示が、時刻欄164には時刻が記憶されている。
指示ID欄161の指示IDは、指示を一意に特定する識別子である。指示とは、搬送管理装置1が搬送車2又はエレベータ3に送信する命令である。
【0049】
指示先ID欄162の指示先IDは、指示を受信する搬送車又はエレベータを特定する搬送車ID又はエレベータIDである。
指示欄163の指示は、前記した指示である。指示の詳細については後記する。
時刻欄164の時刻は、搬送管理装置1が搬送車2又はエレベータ3に指示を送信した年月日時分秒である。
【0050】
(搬送車に送信される指示)
指示情報37のレコード165aに注目する。このレコードは、搬送管理装置1が搬送車“C001”に対して送信した指示である。指示は“,”で区切られた複数の“節”からなる。各節は、3次元座標値を有する。節の中には、3次元座標値以外の文字列を有するものもある。以下に、図14を参照しつつ、指示の内容(各節の意味)を左から順に説明する。11個の節からなる当該指示は、全体として、搬送車“C001”がある棚を3階の倉庫フロアから、2階の作業フロアに搬送するための経路及び動作を示す指示となっている。
【0051】
[1,3,3]start:搬送車“C001”は、図14の●61から移動を開始する。なお、図14では、わかり易さのために、マス目を“●”で表現している。なお、●61は、搬送車“C001”が指示を受信する直前の時点に空車で待機していたマス目である。このように“start”が付されたマス目を“起点”と呼ぶ。
【0052】
[1,8,3]:搬送車“C001”は、●62へ移動する。
[6,8,3]up:搬送車“C001”は、●63へ移動する。このとき、搬送車“C001”は、島を構成する棚の下の空間を通過する。その後、●63に配置されている棚を持ち上げる。搬送車“C001”は、その後、棚を持ち上げた状態を維持する。このように“up”が付されたマス目を“棚上げ点”と呼ぶ。
【0053】
[6,9,3]:搬送車“C001”は、●64へ移動する。
[18,9,3]in:搬送車“C001”は、●65へ移動する。●65は、エレベータシャフトの開口部に隣接している。その後、搬送車“C001”は、エレベータへ乗り込む。すると、エレベータは、別途受信した指示に基づき、3階から2階へ移動する。このように“in”が付されたマス目を“エレベータ入口点”と呼ぶ。
【0054】
[18,9,2]out:搬送車“C001”は、エレベータから降りて、●66へ移動する。このように“out”が付されたマス目を“エレベータ出口点”と呼ぶ。
【0055】
[18,5,2]:搬送車“C001”は、●67へ移動する。
[9,5,2]pause:搬送車“C001”は、●68へ移動し、棚の開放面を図の左側に向けて停止する。ここでピッキング作業員46が棚から目的の物品を取り出す。搬送車“C001”は、ピッキング作業員が作業している間は、その場に停止している。このように“pause”が付されたマス目を“作業点”と呼ぶ。
[9,3,2]:搬送車“C001”は、●69へ移動する。
【0056】
[11,3,2]down:搬送車“C001”は、●70へ移動し棚を床面に下ろす。このマス目には、他の棚が配置されていなかったものとする。このように“down”が付されたマス目を“棚下げ点”と呼ぶ。
【0057】
[11,1,2]wait:搬送車“C001”は、●71へ移動し次の指示を受信するまで待機する。このように“wait”が付されたマス目を“終点”と呼ぶ。
なお、経路は、縦方向、横方向及び垂直方向の線分の集合体であること、つまり、搬送車が斜めに移動することはないことに留意すべきである。
【0058】
(エレベータに送信される指示)
指示情報37のレコード165bに注目する。このレコードは、搬送管理装置1がエレベータ“D001”に対して送信した指示である。指示は“,”で区切られた複数の“節”からなる。各節は、階数及び文字列を有する。以下に、指示の内容(各節の意味)を左から順に説明する。3個の節からなる当該指示は、全体として、あるエレベータがある棚を1階の入荷フロアから、3階の倉庫フロアに搬送するための経路及び動作を示す指示となっている。
【0059】
[2階]start:エレベータ“D001”は、2階を出発点とする。なお、“2階”は、エレベータ“D001”が指示を受信する直前の時点において待機していた階数である。
[1階]charge:エレベータ“D001”は、1階に移動し、ある棚を塔載する。実際には、搬送車が自走してエレベータに乗り込んで来る。
[3階]discharge and wait:エレベータ“D001”は、3階に移動し、3階で搬送車を降ろす。実際には搬送車が自走してエレベータから出て行く。その後、エレベータ“D001”は、次の指示を受信するまで3階で待機する。
以上、フロア間搬送装置を経由する搬送車の経路の決定を搬送管理装置が行う例を説明したが、搬送すべき容器を示す情報を搬送管理装置が搬送車に送信し、搬送車が当該情報に基づいて経路を決定する構成であってもよい。
【0060】
(処理手順)
以降で処理手順を説明する。処理手順は、4つ存在し、それらは、入荷処理手順、ピッキング処理手順、第1の棚配置見直し処理手順及び第2の棚配置見直し処理手順である。
【0061】
(入荷処理手順)
図15に沿って、入荷処理手順を説明する。
ステップS101において、搬送管理装置1の物品管理部21は、物品の入荷を認識する。具体的には、物品管理部21は、荷役作業員47が携帯する端末装置から、物品が入荷された旨の入荷信号を受信する。入荷信号は、物品ID及び物品の数量(ロット数×ロット当たりの個体数)を含む。
【0062】
ステップS102において、物品管理部21は、物品を格納する棚を決定する。具体的には、物品管理部21は、棚情報32を参照して、例えば以下の条件1~3のすべてを満たす棚を決定する。このような棚が配置されているマス目が棚上げ点である。なお、入荷される物品はロットごとにパッケージに梱包されており、そのパッケージが開封されたうえでパッケージごと空格納スペースに格納されるものとする。なお、条件4の適用は、任意(オプション)である。
【0063】
〈条件1〉その棚が、少なくとも1つの空格納スペースを有すること。
〈条件2〉その棚が有する空格納スペースが、入荷信号が含む物品IDの物品を、入荷信号が含む数量以上格納できること。なお、物品IDと1つの格納スペースが格納できるその物品の最大数量との対応関係を示す情報が、補助記憶装置15に記憶されており(図示せず)、物品管理部21は、当該情報を参照することができる。
〈条件3〉その棚が、入荷フロアに最も近いフロアに配置されていること。
〈条件4〉その棚が、既に同じ物品IDの物品を格納していること。
説明の単純化のために、ここでは1台の棚が決定されたとする。
【0064】
ステップS103において、物品管理部21は、棚を配置するフロア及びマス目を決定する。具体的には、第1に、物品管理部21は、例えば以下の条件11及び12のすべてを満たすフロアを、ステップS102において決定した棚を今後配置するフロアとして決定する。
〈条件11〉入荷信号が含む物品IDの物品が直近の所定期間において注文された数量が所定の閾値以上である場合、今後その棚を作業フロアに配置する。入荷信号が含む物品IDの物品が直近の所定期間において注文された数量が所定の閾値未満である場合、今後その棚を倉庫フロアに配置する。なお、物品管理部21は、注文情報36(図12)を参照することによって、当該数量を取得することができる。なお、ここでは、説明を単純にするために、その棚に既に格納されている他の物品の直近の注文数量は捨象されている。
〈条件12〉そのフロアにおいて、棚を配置すべき空き状態のマス目が存在すること。物品管理部21は、棚情報32(図8)の棚位置(欄116)に該当せず、かつ、通路にも該当しないマス目(空き状態のマス目)を知ることができる。
【0065】
第2に、物品管理部21は、例えば以下の条件21~23のすべてを満たすマス目を決定する。つまり、物品管理部21は、棚下げ点を決定する。
〈条件21〉そのマス目が、ステップS103の“第1”において決定されたフロア上にあること。
〈条件22〉そのマス目が空き状態のマス目であること。
〈条件23〉空き状態のマス目が複数ある場合、そのマス目とエレベータとの距離が最短であること。エレベータが複数ある場合、ここでの距離とは、各エレベータからの距離の平均値である。
【0066】
ステップS104において、搬送管理装置1の搬送管理部22は、棚を搬送する搬送車を決定する。具体的には、搬送管理部22は、搬送車情報33(図9)を参照し、例えば以下の条件31及び32のすべてを満たす搬送車を決定する。このような搬送車が存在するマス目が起点である。
〈条件31〉その搬送車の稼働フラグが“待機中”であること。
〈条件32〉待機中の搬送車が複数存在する場合、その搬送車が棚を搬送する際の“階数距離”が最短であること。ここでの階数距離とは、“起点の階数と棚上げ点の階数との差の絶対値”と“起点の階数と棚下げ点の階数との差の絶対値”との和である。
【0067】
ステップS105において、搬送管理部22は、搬送車を搬送するエレベータを決定する。具体的には、搬送管理部22は、エレベータ情報34(図10)を参照し、例えば以下の条件41及び42のすべてを満たすエレベータを決定する。
〈条件41〉そのエレベータの容量がステップS102において決定した棚の数以上であること。前記の例では、当該数は“1”であるので、どのエレベータでも当該条件を満たす。しかしながら、同じフロアに配置されている複数の棚を同時に搬送する場合、当該条件が満たされなければならない。
〈条件42〉そのエレベータが搬送車を搬送する際の“階数距離”が最短であること。ここでの階数距離とは、“エレベータが待機中の階数と棚上げ点の階数との差の絶対値”と“エレベータが待機中の階数と棚下げ点の階数との差の絶対値”との和である。
【0068】
ステップS106において、搬送管理部22は、経路を決定する。具体的には、搬送管理部22は、以下の条件51~56のすべてを満たす経路を決定する。
〈条件51〉その経路が、ステップS104において決定した起点を有すること。
〈条件52〉その経路が、棚下げ点の近辺において予め搬送車が待機するために指定された終点を有すること。
〈条件53〉その経路において、搬送車が実車となった後、棚が配置されているマス目を通過しないこと。
【0069】
〈条件54〉その経路が、起点と終点との間に、棚上げ点、作業点及び棚下げ点をこの順で有すること。搬送車が複数のフロアを跨いで移動する場合、その経路が、エレベータ入口点及びエレベータ出口点の組合せを1又は複数個有すること。なお、ここでの作業点においては、入荷作業が行われる。
〈条件55〉複数の経路の候補のうち、その経路の起点から終点までの長さが最短であること。
〈条件56〉条件55で差がつかない場合、複数の経路の候補のうち、空車としての搬送車が棚の下を通過するマス目の数が最小であること。
【0070】
ここで決定される経路は、図13のレコード165aの指示のような搬送車向けのものと、レコード165bの指示のようなエレベータ向けのものとを含む。
【0071】
ステップS107において、搬送管理部22は、指示を送信する。具体的には、第1に、搬送管理部22は、ステップS106において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS104において決定した搬送車及びステップS105において決定したエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、搬送管理部22は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。その後、入荷処理手順を終了する。
【0072】
(ピッキング処理手順)
図16に沿って、ピッキング処理手順を説明する。
ステップS201において、搬送管理装置1の物品管理部21は、注文を受け付ける。
具体的には、物品管理部21は、例えば物品販売サイトの運営者のサーバから注文情報36(図12)の新たなレコードを受信する。このレコードを“新規注文レコード”と呼ぶ。新規注文レコードは、物品ID及び物品の数量を含む。説明の単純化のため、ここでは、新規注文レコードが含む物品IDの数は、“1”であったとする。
【0073】
ステップS202において、物品管理部21は、物品を格納している棚を決定する。具体的には、物品管理部21は、棚情報32(図8)を参照して、例えば以下の条件61及び62のすべてを満たす棚、つまり、注文に係る物品を格納する棚を探し出す。このような棚が配置されているマス目が棚上げ点である。
【0074】
〈条件61〉その棚が、新規注文レコードの物品IDが特定する物品を、新規注文レコードの数量以上格納していること。当該数量は、同じ棚の複数の格納スペースに分散して格納されていてもよい。
〈条件62〉その棚が、ピッキングを行う作業フロアに最も近いフロアに配置されていること。
説明の単純化のために、ここでは1台の棚が決定されたとする。
【0075】
ステップS203において、物品管理部21は、棚を配置するフロア及びマス目を決定する。具体的には、第1に、物品管理部21は、例えば以下の条件71及び72のすべてを満たすフロアを、ステップS202において決定した棚を今後配置するフロアとして決定する。
〈条件71〉新規注文レコードが含む物品IDの物品が直近の所定期間において注文された数量が所定の閾値以上であり、かつ、その棚が倉庫フロアに配置されていた場合、今後その棚を作業フロアに配置する。新規注文レコードが含む物品IDの物品が直近の所定期間において注文された数量が所定の閾値未満であり、かつ、その棚が作業フロアに配置されていた場合、今後その棚を倉庫フロアに配置する。これら以外の場合、その棚が配置されていたフロアに、その棚を引き続き配置する。なお、物品管理部21は、注文情報36(図12)を参照することによって、当該数量を取得することができる。なお、ここでは、説明を単純にするために、その棚に既に格納されている他の物品の直近の注文数量は捨象されている。
【0076】
〈条件72〉条件71においてフロアを見直す場合、見直し後のフロアにおいて、棚を配置すべき空き状態のマス目が存在すること。物品管理部21は、棚情報32(図8)の棚位置(欄116)に該当せず、かつ、通路にも該当しないマス目(空き状態のマス目)を知ることができる。
【0077】
第2に、物品管理部21は、例えば以下の条件81~83のすべてを満たすマス目を決定する。つまり、物品管理部21は、棚下げ点を決定する。
〈条件81〉そのマス目が、ステップS203の“第1”において決定されたフロア上にあること。
〈条件82〉そのマス目が空き状態のマス目であること。
〈条件82〉空き状態のマス目が複数ある場合、そのマス目とエレベータとの距離が最短であること。エレベータが複数ある場合、ここでの距離とは、各エレベータからの距離の平均値である。
【0078】
ステップS204において、搬送管理装置1の搬送管理部22は、棚を搬送する搬送車を決定する。具体的には、搬送管理部22は、搬送車情報33(図9)を参照し、例えば以下の条件91及び92のすべてを満たす搬送車を決定する。このような搬送車が存在するマス目が起点である。
〈条件91〉その搬送車の稼働フラグが“待機中”であること。
〈条件92〉待機中の搬送車が複数存在する場合、その搬送車が棚を搬送する際の“階数距離”が最短であること。ここでの階数距離とは、“起点の階数と棚上げ点の階数との差の絶対値”と“起点の階数と棚下げ点の階数との差の絶対値”との和である。
【0079】
ステップS205において、搬送管理部22は、搬送車を搬送するエレベータを決定する。具体的には、搬送管理部22は、エレベータ情報34(図10)を参照し、例えば以下の条件101及び102のすべてを満たすエレベータを決定する。
〈条件101〉そのエレベータの容量がステップS202において決定した棚の数以上であること。前記の例では、当該数は“1”であるので、どのエレベータでも当該条件を満たす。しかしながら、同じフロアに配置されている複数の棚を同時に搬送する場合、当該条件が満たされなければならない。
〈条件102〉そのエレベータが搬送車を搬送する際の“階数距離”が最短であること。ここでの階数距離とは、“エレベータが待機中の階数と棚上げ点の階数との差の絶対値”と“エレベータが待機中の階数と棚下げ点の階数との差の絶対値”との和である。
【0080】
ステップS206において、搬送管理部22は、経路を決定する。具体的には、搬送管理部22は、以下の条件111~116のすべてを満たす経路を決定する。
〈条件111〉その経路が、ステップS204において決定した起点を有すること。
〈条件112〉その経路が、棚下げ点の近辺において予め搬送車が待機するために指定された終点を有すること。
〈条件113〉その経路において、搬送車が実車となった後、棚が配置されているマス目を通過しないこと。
【0081】
〈条件114〉その経路が、起点と終点との間に、棚上げ点、作業点及び棚下げ点をこの順で有すること。搬送車が複数のフロアを跨いで移動する場合、その経路が、エレベータ入口点及びエレベータ出口点の組合せを1又は複数個有すること。なお、ここでの作業点においては、ピッキング作業が行われる。
〈条件115〉複数の経路の候補のうち、その経路の起点から終点までの長さが最短であること。
〈条件116〉条件115で差がつかない場合、複数の経路の候補のうち、空車としての搬送車が棚の下を通過するマス目の数が最小であること。
【0082】
ステップS207において、搬送管理部22は、指示を送信する。具体的には、第1に、搬送管理部22は、ステップS206において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS204において決定した搬送車及びステップS205において決定したエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、搬送管理部22は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。その後、ピッキング処理手順を終了する。
【0083】
(第1の棚配置見直し処理手順)
図17に沿って、第1の棚配置見直し処理手順を説明する。
ステップS301において、搬送管理装置1のフロア管理部23は、注文が多い物品を決定する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、第1の棚配置見直し処理手順を開始するべき所定のタイミングが到来したことを認識する。所定のタイミングとは、例えば、“毎月末日の午後8時”である。
【0084】
第2に、フロア管理部23は、注文情報36(図12)を参照し、直近の所定の期間において注文された数量が所定の閾値以上である物品の物品IDを決定する。直近の所定の期間とは、例えば、前月末日の午後8時以降当月末日の午後8時までの期間である。いま、このような物品IDとして、“B001”が決定されたとする。なお、該当する物品IDが存在しない場合、フロア管理部23は、ステップS305に進む(図17に図示せず)。
【0085】
フロア管理部23は、注文される物品の数量の他に、物品が注文される回数若しくは頻度、又は、作業フロアにおける物品のピッキングの回数、数量若しくは頻度のうちの少なくとも1つの値を取得し、それぞれに対して閾値を適用してもよい。さらに、フロア管理部23は、物品が注文される回数、数量若しくは頻度、又は、物品が作業フロアにおいてピッキングされる回数、数量若しくは頻度を常時監視しておき、これらのうち少なくとも1つの値を取得し、これらの値が所定の範囲に該当したことを契機として第1の棚配置見直し処理手順を開始してもよい。
【0086】
ステップS302において、フロア管理部23は、棚が倉庫フロアに配置されているか否かを判断する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、棚情報32(図8)を参照し、物品“B001”が格納されている棚の棚IDを決定する。説明の単純化のため、ここでは、そのような棚IDとして“A001”が1つだけ決定されたとする。そして、フロア管理部23は、“A001”の棚位置(図8の欄116)を取得する。
第2に、フロア管理部23は、ステップS302の“第1”において取得した棚位置を検索キーとしてフロア情報31(図7)を検索し、その棚位置に対応するフロア属性(図7の欄102)を取得する。
【0087】
第3に、フロア管理部23は、ステップS302の“第2”において取得したフロア属性が“倉庫フロア”であった場合(ステップS302“Yes”)、ステップS303に進み、それ以外の場合(ステップS302“No”)、ステップS305に進む。
【0088】
ステップS303において、フロア管理部23は、棚を作業フロアに搬送する経路を決定する。ここでの経路の決定方法は、入荷処理手順及びピッキング処理手順において説明した方法に準じる。つまり、フロア管理部23は、棚“A001”を倉庫フロアから作業フロアに搬送する経路、搬送車及びエレベータを決定する。
【0089】
ステップS304において、フロア管理部23は、指示を送信する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、ステップS303において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS303において決定した搬送車及びエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、フロア管理部23は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。
【0090】
ステップS305において、フロア管理部23は、注文が少ない物品を決定する。具体的には、フロア管理部23は、注文情報36(図12)を参照し、直近の所定の期間において注文された数量が所定の閾値未満である物品の物品IDを決定する。いま、このような物品IDとして、“B003”が決定されたとする。なお、該当する物品IDが存在しない場合、フロア管理部23は、第1の棚配置見直し処理手順を終了する(図17に図示せず)。なお、フロア管理部23は、ステップS301と同様に、注文される物品の数量の他に、物品が注文される回数若しくは頻度、又は、作業フロアにおける物品のピッキングの回数、数量若しくは頻度のうち少なくとも1つの値を取得し、それぞれに対して閾値を適用してもよい。
【0091】
ステップS306において、フロア管理部23は、棚が作業フロアに配置されているか否かを判断する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、棚情報32(図8)を参照し、物品“B003”が格納されている棚の棚IDを決定する。説明の単純化のため、ここでは、そのような棚IDとして“A002”が1つだけ決定されたとする。そして、フロア管理部23は、“A002”の棚位置(図8の欄116)を取得する。
第2に、フロア管理部23は、ステップS306の“第1”において取得した棚位置を検索キーとしてフロア情報31(図7)を検索し、その棚位置に対応するフロア属性(図7の欄102)を取得する。
【0092】
第3に、フロア管理部23は、ステップS306の“第2”において取得したフロア属性が“作業フロア”であった場合(ステップS306“Yes”)、ステップS307に進み、それ以外の場合(ステップS306“No”)、第1の棚配置見直し処理手順を終了する。
【0093】
ステップS307において、フロア管理部23は、棚を倉庫フロアに搬送する経路を決定する。ここでの経路の決定方法は、入荷処理手順及びピッキング処理手順において説明した方法に準じる。つまり、フロア管理部23は、棚“A002”を作業フロアから倉庫フロアに搬送する経路、搬送車及びエレベータを決定する。
【0094】
ステップS308において、フロア管理部23は、指示を送信する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、ステップS307において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS307において決定した搬送車及びエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、フロア管理部23は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。その後、第1の棚配置見直し処理手順を終了する。
【0095】
(第2の棚配置見直し処理手順)
図18に沿って、第2の棚配置見直し処理手順を説明する。第2の棚配置見直し処理手順においては、ピッキングを行う作業フロアが複数存在することが前提になっている。
ステップS401において、搬送管理装置1のフロア管理部23は、当該作業フロアに搬送される回数が多い物品を決定する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、第2の棚配置見直し処理手順を開始するべき所定のタイミングが到来したことを認識する。所定のタイミングとは、例えば、“毎月末日の午後8時”である。当該作業フロアとは、複数の作業フロア(作業点があるフロア)のうち、その作業フロアに搬送されて来る棚が配置されている作業フロア(棚上げ点があるフロア)を見直そうとするフロアである。なお、複数の作業フロアのうち、当該作業フロア以外のフロアを“他の作業フロア”と呼ぶ。
【0096】
第2に、フロア管理部23は、指示情報37(図13)を参照し、直近の所定の期間において当該作業フロアに搬送されてきた回数(レコードの数)が所定の閾値以上である物品の物品IDを決定する。直近の所定の期間とは、例えば、前月末日の午後8時以降当月末日の午後8時までの期間である。例えば、指示を構成する節のうち、“[6,8,3]up”の“[6,8,3]”を検索キーとして棚情報32(図8)を検索することによって、フロア管理部23は、どの物品が搬送されたかを知ることができる。さらに、指示を構成する節のうち、“[9,5,2]pause” の“[9,5,2]”を検索キーとしてフロア情報31(図7)を検索することによって、フロア管理部23は、どのフロアに物品が搬送されたかを知ることができる。いま、このような物品IDとして、“B005”が決定されたとする。なお、該当する物品IDが存在しない場合、フロア管理部23は、ステップS405に進む(図18に図示せず)。
【0097】
フロア管理部23は、物品が作業フロアに搬送される回数の他に、物品が作業フロアに搬送される数量等に閾値を適用してもよい。つまり、一般的に、フロア管理部23は、物品が作業フロアに搬送される頻度に対して所定の閾値を適用することができる。さらに、フロア管理部23は、物品が作業フロアに搬送される頻度を常時監視しておき、頻度が所定の範囲に該当したことを契機として第2の棚配置見直し処理手順を開始してもよい。なお、フロア管理部23は、物品が作業フロアに搬送される頻度、又は、作業フロアにおいて物品が注文される回数、数量若しくは頻度のうちの少なくとも1つの値を取得し、それぞれに対して閾値を適用してもよい。
【0098】
ステップS402において、フロア管理部23は、棚が他の作業フロアに配置されているか否かを判断する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、棚情報32(図8)を参照し、物品“B005”が格納されている棚の棚IDを決定する。説明の単純化のため、ここでは、そのような棚IDとして“A003”が1つだけ決定されたとする。そして、フロア管理部23は、“A003”の棚位置(図8の欄116)を取得する。
第2に、フロア管理部23は、ステップS402の“第1”において取得した棚位置を検索キーとしてフロア情報31(図7)を検索し、その棚位置に対応するフロア属性(図7の欄102)及び区分(欄101)を取得する。
【0099】
第3に、フロア管理部23は、ステップS402の“第2”において取得したフロア属性及び区分が“他の作業フロア”を示す場合(ステップS402“Yes”)、ステップS403に進み、それ以外の場合(ステップS402“No”)、ステップS405に進む。
【0100】
ステップS403において、フロア管理部23は、棚を当該作業フロアに搬送する経路を決定する。ここでの経路の決定方法は、入荷処理手順及びピッキング処理手順において説明した方法に準じる。つまり、フロア管理部23は、棚“A003”を他の作業フロアから当該作業フロアに搬送する経路、搬送車及びエレベータを決定する。
【0101】
ステップS404において、フロア管理部23は、指示を送信する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、ステップS403において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS403において決定した搬送車及びエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、フロア管理部23は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。
【0102】
ステップS405において、フロア管理部23は、当該作業フロアに搬送される回数が少ない物品を決定する。フロア管理部23は、指示情報37(図13)を参照し、直近の所定の期間において当該作業フロアに搬送されてきた回数(レコードの数)が所定の閾値未満である物品の物品IDを決定する。
いま、このような物品IDとして、“B006”が決定されたとする。なお、該当する物品IDが存在しない場合、フロア管理部23は、第2の棚配置見直し処理手順を終了する(図18に図示せず)。なお、フロア管理部23は、物品が作業フロアに搬送される頻度、又は、作業フロアにおいて物品が注文される回数、数量若しくは頻度のうちの少なくとも1つの値を取得し、それぞれに対して閾値を適用してもよい。
【0103】
ステップS406において、フロア管理部23は、棚が当該作業フロアに配置されているか否かを判断する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、棚情報32(図8)を参照し、物品“B006”が格納されている棚の棚IDを決定する。説明の単純化のため、ここでは、そのような棚IDとして“A004”が1つだけ決定されたとする。そして、フロア管理部23は、“A004”の棚位置(図8の欄116)を取得する。
第2に、フロア管理部23は、ステップS406の“第1”において取得した棚位置を検索キーとしてフロア情報31(図7)を検索し、その棚位置に対応するフロア属性(図7の欄102)及び区分(欄101)を取得する。
【0104】
第3に、フロア管理部23は、ステップS406の“第2”において取得したフロア属性及び区分が“当該作業フロア”を示す場合(ステップS406“Yes”)、ステップS407に進み、それ以外の場合(ステップS406“No”)、第2の棚配置見直し処理手順を終了する。
【0105】
ステップS407において、フロア管理部23は、棚を他の作業フロアに搬送する経路を決定する。ここでの経路の決定方法は、入荷処理手順及びピッキング処理手順において説明した方法に準じる。つまり、フロア管理部23は、棚“A004”を当該作業フロアから他の作業フロアに搬送する経路、搬送車及びエレベータを決定する。
【0106】
ステップS408において、フロア管理部23は、指示を送信する。具体的には、第1に、フロア管理部23は、ステップS407において決定した経路を、複数の“節”を有する指示として、ステップS407において決定した搬送車及びエレベータのそれぞれに送信する。
第2に、フロア管理部23は、送信した経路を指示情報37(図13)の2本のレコード(搬送車についてのレコード及びエレベータについてのレコード)として記憶する。その後、第2の棚配置見直し処理手順を終了する。
【0107】
(本実施形態の効果)
本実施形態の搬送システムの効果は以下の通りである。
(1)搬送システムは、複数のフロアを有する物流センタにおいて、効率的にピッキング作業をすることを可能にする。
(2)搬送システムは、入荷フロア、倉庫フロア及び作業フロア間の物品の上下搬送を効率的に行うことができる。
(3)搬送システムは、ピッキング作業の対象となる頻度が高い物品を作業フロアに搬送できる。
(4)搬送システムは、(3)の処理を自動的に開始できる。
(5)搬送システムは、ピッキング作業が行われる作業フロアが複数存在する場合に、ピッキング作業の対象となる頻度が高い物品を当該作業フロアに搬送できる。
(6)搬送システムは、(5)の処理を自動的に開始できる。
【0108】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 搬送管理装置
2 搬送車(搬送ロボット)
3 エレベータ(フロア間搬送装置)
7 棚
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 物品管理部
22 搬送管理部
23 フロア管理部
31 フロア情報
32 棚情報
33 搬送車情報
34 エレベータ情報
35 物品情報
36 注文情報
37 指示情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18