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特許7308327フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法
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  • 特許-フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法 図1
  • 特許-フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法 図2
  • 特許-フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法 図3
  • 特許-フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】フレーム構造、ロボットおよびフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/00 20060101AFI20230706BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20230706BHJP
   B22C 9/24 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B25J18/00
F16B11/00 C
B22C9/24 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022053063
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】514074382
【氏名又は名称】カワダロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 墾
(72)【発明者】
【氏名】富士谷 裕介
(72)【発明者】
【氏名】玉川 迅
(72)【発明者】
【氏名】田邊 博史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一平
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015127(JP,A)
【文献】特開昭60-118487(JP,A)
【文献】特開2020-082311(JP,A)
【文献】特開平06-313707(JP,A)
【文献】国際公開第2022/210314(WO,A1)
【文献】特開平03-017934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
F16B 11/00
B22C 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフレーム構造であって、
長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部と、
該リンク部の一端に接着されて他の部材に取り付けるための第1の端部と、
前記リンク部の他端に接着されて別の部材に取り付けるための第2の端部と、を有し、
前記第1の端部および前記第2の端部が鋳造および切削のいずれか一方または両方で形成され
前記第1の端部および前記第2の端部には、接着用治具に位置決め可能に固定するための孔、および、接着用治具に緊密に沿わせるための接触面を持ち、
前記接着用治具は、前記第1の端部および前記第2の端部が固定される位置が原器によって規定されている、フレーム構造。
【請求項2】
前記第1の端部と前記リンク部との接着および前記第2の端部と前記リンク部との接着は、一方が他方に挿入されている、請求項1に記載のフレーム構造。
【請求項3】
前記第1の端部および前記第2の端部と前記リンク部とは同種素材または異種素材である、請求項1または2に記載のフレーム構造。
【請求項4】
前記フレーム構造は、ロボットのアームの一部を構成するものであって、前記第1の端部および前記第2の端部が関節部である、請求項1~のいずれか1に記載のフレーム構造。
【請求項5】
前記原器が高い剛性を持つ金属ブロックであって、前記接着用治具が持つ位置決めピン間の相対位置関係を再現するための原器側孔と、前記接着用治具が持つ基準面間の平行度関係を再現するための原器側基準面を持つ、請求項1~3のいずれか1に記載のフレーム構造
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1に記載のフレーム構造を有するフレームを係合して製作された、ロボット。
【請求項7】
長尺のフレームを製造する方法であって、両端の部品を鋳造および切削のいずれかの工程または両方の工程を経て形成し、長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部品の両端に接着するにあたり、前記両端の部品を接着用治具に固定し位置決めして接着し、
前記接着用治具の備える位置決めピンを用いて、前記両端の部品がそれぞれ持つ孔の相対的位置関係を調整し、
前記接着用治具は、前記フレームの前記両端の部品を固定する位置を原器によって規定する、フレームの製造方法。
【請求項8】
前記両端の部品を前記リンク部品の両端に接着するにあたり、一方を他方に挿入して接着する、請求項7に記載のフレームの製造方法。
【請求項9】
記接着用治具の備える基準面を用いて、前記両端の部品がそれぞれ持つ接触面の平行度関係を調整する、請求項7または8に記載のフレームの製造方法。
【請求項10】
前記原器は、高い剛性を持つ金属ブロックとし、前記接着用治具の部品固定位置を調節できるものである、請求項7~9のいずれか1に記載のフレームの製造方法。
【請求項11】
前記原器は、前記接着用治具が持つ位置決めピン間の相対位置関係を再現するための原器側孔と、前記接着用治具が持つ基準面間の平行度関係を再現するための原器側基準面を持つ、請求項7~10のいずれか1に記載のフレームの製造方法。
【請求項12】
前記接着用治具を複製する際に共通の原器を用いる、請求項7~11のいずれか1に記載のフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にロボットに用いて好適なフレームの構造、それを用いたロボットおよびフレームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットの多関節アームなどのフレームは、鋳造品の切削加工で製作されてきた。ロボットのフレームは構造上、長手方向が長くなりやすく、鋳造品では素材の寸法精度に限界がある。また、鋳造品では、鋳造時の湯流れなどの制約により、鋳造物の肉厚を薄くすることに限界がある。したがって、軽量化を進めることを難しくしていた。鋳造物を加工する際には、部材を固定し、また、加工面を変えるために、位置を変えて再度固定するなど、被加工物に応力が加わる。そのため、発生する歪みや段取り変更など、加工精度が落ちてしまう場合がある。長手方向両端の部品の位置や角度の誤差が生じる場合もあった。加えて、部材の長手方向寸法が大きいものでは、加工機のサイズも大きくせざるを得ず、温度管理や加工精度の面で管理を難しくしていた。また、加工コストが上昇する問題があった。さらに、両端に接続する他のフレームとの接続面はそれぞれ位置・寸法や幾何公差を管理する必要があり、製作時に製作難度が高くなる問題があった。
【0003】
そのような問題を解決するため、たとえば、特許文献1~3に開示の技術では、長尺の筒状アームの両端に取付けインターフェース部を備え、アームを中央のパイプ状部材とその両端に接合された部品で構成し、両端に接合される取付けインターフェース部はその部品に接合されている。そうすることで、強度を保持しながら軽量化を図るとともに製造コストをおさえたロボットアームを提供するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-015127号公報
【文献】特開2020-082311号公報
【文献】特開2021-167063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1~3に開示の技術では、樹脂の射出成形やプレス成形で筒状アームの両端に取付けインターフェース部を接合・形成するため、筒状アームの両端に金型を別途備え付ける必要があるなど作業が煩雑になる問題があった。また、インターフェース部を射出成形やプレス成形で形成するため、形成可能なインターフェース部の形状には制限があり、接合・形成後のインターフェース部に追加工を施すには、筒状アームと接合された状態で取り回す必要があるため、加工設備が大型化する問題があった。
【0006】
それゆえ、本発明では、フレーム両端の関節部間における位置精度が高く、安価に製作・組み立て可能なフレーム構造、それを用いたロボットおよびフレームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意開発を進め、長尺のフレームを両端の関節部品と中間のリンク部品とに分割し、接着することで、簡便に長尺フレームが構成できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
上記課題を有利に解決する本発明のフレーム構造は、長尺のフレーム構造であって、長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部と、該リンク部の一端に接着されて他の部材に取り付けるための第1の端部と、前記リンク部の他端に接着されて別の部材に取り付けるための第2の端部と、を有し、前記第1の端部および前記第2の端部が鋳造および切削のいずれか一方または両方で形成されることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明にかかるフレーム構造は、
(a)前記第1の端部と前記リンク部との接着および前記第2の端部と前記リンク部との接着は、一方が他方に挿入されていること、
(b)前記第1の端部および前記第2の端部には、接着用治具に位置決め可能に固定するための孔、および、接着用治具に緊密に沿わせるための接触面を持つこと、
(c)前記第1の端部および前記第2の端部と前記リンク部とは同種素材または異種素材であること、
(d)前記フレーム構造は、ロボットのアームの一部を構成するものであって、前記第1の端部および前記第2の端部が関節部であること、
などが好ましい実施態様になるものと考えられる。
【0010】
上記課題を有利に解決する本発明のロボットは、上記いずれかのフレーム構造を有するフレームを係合して製作されたものである。
【0011】
上記課題を有利に解決する本発明のフレームの製造方法は、長尺のフレームを製造する方法であって、両端の部品を鋳造および切削のいずれかの工程または両方の工程を経て形成し、長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部品の両端に接着するにあたり、前記両端の部品を位置決めして接着することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明にかかるフレームの製造方法は、
(e)前記両端の部品を前記リンク部品の両端に接着するにあたり、一方を他方に挿入して接着すること、
(f)前記両端の部品を接着用治具に固定して位置決めすること、
(g)前記接着用治具の備える位置決めピンを用いて、前記両端の部品がそれぞれ持つ孔の相対的位置関係を調整し、前記接着用治具の備える基準面を用いて、前記両端の部品がそれぞれ持つ接触面の平行度関係を調整すること、
(h)前記接着用治具は、前記フレームの前記両端の部品を固定する位置を原器によって規定すること、
(i)前記原器は、高い剛性を持つ金属ブロックとし、前記接着用治具の部品固定位置を調節できるものであること、
(j)前記原器は、前記接着用治具が持つ位置決めピン間の相対位置関係を再現するための原器側孔と、前記接着用治具が持つ基準面間の平行度関係を再現するための原器側基準面を持つこと、
(k)前記接着用治具を複製する際に共通の原器を用いること、
などが好ましい実施態様になるものと考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフレーム構造およびフレームの製造方法によれば、長尺のフレーム構造は両端の部品とそれを繋ぐリンク部品とを接着するようにしたので、両端の部品の形状は小型に分割され、各部品の形状を単純化できるようになった。さらに、個々の部品が小さくなったことから鋳造の難易度が下がり、作業負荷が軽減できた。加えて、両端部品がそれぞれ小型化したことで、鋳造にて成形した後に高い精度で追加工を施すことでき、両端部品間の相対的な位置精度や平行度は、接着用治具を用いることで担保できるため、フレームを一体部品として製作する場合と比べて加工難度を下げることができ、加工難度が下がったことから部品のコストダウンを図ることができた。
【0014】
加えて、異種素材を組みあわせることが可能となり、フレームの軽量化を図ることができた。リンク長さの変更は、単純な筒状部品の長さを変えるだけで対処でき、簡便となった。
【0015】
接着用治具を原器に固定して製作するにあたり、原器は高い剛性を持つ金属ブロックとして製作されることが好ましく、原器を使用して接着用治具の部品固定位置を調節することで、部品固定位置を高い精度で再現することができるので好ましい。
【0016】
また、接着用治具を複製する際に共通の原器を用いることで、接着用治具間の部品固定位置の差異を小さくできるため、接着用治具を用いて製作されたフレーム間、ひいては当該フレームを係合して製作されるロボット間における機械的精度誤差を低減することができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態にかかるフレーム構造を示す斜視図である。
図2】上記実施形態のフレームを製造する方法を表す模式分解図である。
図3】上記実施形態にかかるフレームの端部固定の様子を示す切り欠き断面図であって、(a)は第1の端部近傍であり、(b)は第2の端部近傍である。
図4】上記実施形態で用いる接着用治具の製造過程および複製過程を示す模式分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は本発明の一実施形態にかかるフレーム構造の斜視図である。図2は接着により上記フレームを製造する方法を模式的に示す分解図である。図3は、図2に示すフレームの端部の部品と接着用治具との固定方法を示す切り欠き断面図であって、図3(a)は、第1の端部を表し、図3(b)は、第2の端部を表す。図4は、本実施形態に用いる接着用治具を原器によって製造および複製する様子を示す模式分解図である。
【0019】
フレーム構造1は、一方の端に第1の関節部品である第1の端部11と、他方の端に第2の関節部品である第2の端部12を有し、両端部11、12をリンク部13の端部に接着してつないでいる。図2の例では、リンク部13は、長尺の横断面均一なパイプである。リンク部13として、円断面以外に矩形や多角形であってもよい、また、中実の柱状や中空の筒状が適用できる。軽量化と位置合わせの容易さから、円筒状のパイプとすることが好ましい。材質としては、金属製や樹脂製、特に炭素繊維強化プラスチックを用いたカーボンパイプ等が適用できる。
【0020】
両端部11、12は関節部品として、精密鋳造し、切削加工により精度よく製作することが好ましい。鋳造のままであってもよいし、無垢材からの切り出しであってもよい。図2図3の例では、第1の端部11をリンク部13の一端に挿入し、挿入部を接着するように構成している。また、リンク部13の他端を第2の端部12に挿入し、挿入部を接着するように構成している。リンク部13を各端部11、12に挿入して接着しても、各端部11、12をリンク部13に挿入して接着してもよい。
【0021】
接着剤の適用については、リンク部13または第1の端部11または第2の端部12の接合部分(接着範囲14)に予め接着剤を塗布した状態で第1の端部11および第2の端部12とリンク部13とを接合しても良い。また、第1の端部11および第2の端部12とリンク部12とはその一方を挿入した後に外部から接着剤を注入するための孔を第1の端部11および第2の端部12に設けてもよい。接合する際に接合面(接着範囲14)となる第1の端部11および第2の端部12の内径側または外径側に接着剤を充填させるための溝と、接合部の隙間から接着材が漏れ出ることを防ぐ密閉部を持たせることが好ましい。第1の端部11および第2の端部12とリンク部13とを接着用治具2に固定したのち、接着剤を充填させても良い。
【0022】
図2図3に示すように、両端部11、12の部品には位置決め用の貫通孔16を備えており、接着用治具2の位置決めピン24が挿入できるようになっている。また、第1の端部には、固定用の螺子4が貫通する貫通孔15を複数、図2の例では3個有している。もって、第1の端部11を貫通させた螺子4が接着用治具2の第1の固定部21の螺子穴5に螺合して固定できるようになっている。なお、位置決め用ピンを複数とし、1個の螺子で固定しても、第1の端部の回転が規制される。図2図3の例では、第2の端部12の位置決め用貫通孔16を貫通する接着用治具2の位置決めピン24の頭部に固定用の螺子穴5を有している。第2の端部12はその位置決めピン24を軸に回転可能に固定される。
【0023】
本実施形態においては、両端部11、12がそれぞれに持つ貫通孔16の間における相対位置精度と、第1の端部11と第2の端部12がそれぞれに持つ別フレームや別関節部との接触面17の間における平行度を高い精度で得ることを目的としている。上記のように両端部11、12を接着用治具2に固定するにあたり、両端部11、12の接触面17を接着用治具2のフレーム構造の端部との接触面(基準面)26に緊密に沿わせることで達成するものである。
【0024】
両端部11、12がそれぞれに持つ貫通孔16および接触面17は、当該フレーム構造が別フレームや別関節部と接続される際に基準位置・基準面となるため、貫通孔16の位置精度および接触面17の平行度を高い精度で達成することで、当該フレームを係合して製作されるロボット間における機械的精度誤差を低減することができる。
【0025】
本実施形態のフレームの製造方法は、長尺のフレームの両端部品である関節部品11、12を精密鋳造し、必要に応じて、切削加工して、寸法精度と他のフレームとの接合精度が所望の値となるように製作する。たとえば、アルミ合金のダイカストなどが好適に用いられる。長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部品13をプレス成形、押出成形、溶接接合などにより製作する。引き抜き加工であってもよい。
【0026】
つぎに、リンク部品13の両端に製作した関節部品11、12を位置決めして接着する。図2の例では、一方の部品の接着範囲14に接着剤を塗布したうえで、他方の部品に挿入する。ただちに、接着用治具2の固定部21、22の位置決めピン24を各関節部品11、12の位置決め用貫通孔16に挿入する。さらに、螺子4を、固定用貫通孔15を介して、または、位置決めピンの頭部に設けた、螺子穴5に螺入して固定する。ここで、フレーム構造1の両端部11、12に備える別のフレーム等との接触面17と、接着用治具2の固定部21、22に備える基準面26と、を緊密に沿わせることが好ましい。その後接着強度が十分になるまで静置する。接着強度が所定の強度に達したら、螺子4を外し、フレーム構造1を接着用治具2と分離する。
【0027】
使用する接着剤は、フレームの使用環境によって選択することが好ましい。たとえば、エポキシ樹脂系接着剤、弾性接着剤、有機溶剤系接着剤、水性接着剤などがあげられる。二液混合型エポキシ樹脂など常温で、かつ、溶剤を蒸散する必要のない接着剤が好ましい。
【0028】
本実施形態にかかるフレームの製造方法は、接着用治具で固定して、養生することにより、作業者やロットごとのばらつきを最小とすることができ、本実施形態のフレーム構造について、所定の寸法精度を高い再現性で製作することができる。また、異種素材の組み合わせにより、熱膨張の影響の少ない組み合わせとすることも可能となる。リンク部13は、長尺の横断面均一な筒状または柱状としているため、長さの変更が容易となる。
【0029】
図4に本実施形態で用いる接着用治具2の製作および複製過程を模式分解図で示す。原器3には、フレーム構造1の形状寸法の基準となる接着用治具2の位置決め用および固定用の貫通孔が形成されている。原器3は高い剛性を持つ金属ブロックとして製作されることが好ましい。接着用治具2の第1の固定部21および第2の固定部22は、それぞれの位置決めピン24を原器3の位置決め用貫通孔に挿入する。図4の例では、第1の固定部21は、原器3の複数の固定用貫通孔を介して、螺子4を螺子穴5に螺入することにより、原器に固定される。また、第2の固定具22は位置決めピン24を軸に回転可能に原器3に螺子4を位置決めピン24の頭部の螺子穴5に螺合して固定される。本実施形態においては、接着用治具2の第1の固定部21および第2の固定部22がそれぞれ持つ位置決めピン24の間における相対位置精度と、第1の固定部21および第2の固定部22がそれぞれに持つ基準面26の間における平行度を高い精度で得ることを目的としており、上記のように第1の固定部21および第2の固定部22を原器3に固定することで達成するものである。
【0030】
たとえば、接着用治具2の本体23の接着範囲14に接着剤を塗布し、本体23の螺子穴5を第1の固定部21および第2の固定部22の固定用貫通孔25に合わせる。固定用貫通孔25を介して螺子4を各固定部21、22の螺子穴5に螺合し、各固定部21、22を本体23に固定する。その際、各固定部21、22の持つ位置決めピン24の相対的位置関係を原器3側孔で再現し、各固定部21、22の持つ基準面26を原器3の基準面に緊密に沿わせて平行度関係を再現する。接着強度が所定の強度にとどくまで養生し、螺子4を外して、接着用治具2と原器3を分離する。上記の通り、第1の固定部21および第2の固定部22を原器3に固定して接着用治具2を製作することで、接着用治具2を複製する場合にあっても、先に述べたフレームの製造方法のごとく第1の端部11および第2の端部12との間における貫通孔16の相対位置精度および別フレーム等との接触面17における平行度を高い精度で再現することができる。リンク部13の長さの異なるフレーム構造1とする場合には、第1の固定部21および第2の固定部22は共通として接着用治具本体23のみ変更することで、接着用治具2の本体長さを調節することが好ましい。また、リンク部13の長さに合わせた原器3を製作することが好ましい。接着用治具2を複製する際に共通の原器3を用いることが好ましい。接着用治具2間の部品固定位置の差異を小さくできるため、接着用治具2を用いて製作されたフレーム間、ひいては当該フレームを係合して製作されるロボット間における機械的精度誤差を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
かくして、本発明のフレーム構造およびフレームの製造方法は、長尺のフレームの両端を他のフレームなどと組み合わせて構成する機械、特にロボットに適用して、高精度の複製と軽量化を両立でき、産業上有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 フレーム構造
11 第1の端部(関節部品)
12 第2の端部(関節部品)
13 リンク部
14 接着範囲
15 貫通孔(固定用)
16 貫通孔(位置決め用)
17 (別フレーム等との)接触面
2 接着用治具
21 第1の固定部
22 第2の固定部
23 接着用治具の本体
24 位置決めピン
25 貫通孔(固定用)
26 (フレーム構造の端部との)接触面(基準面)
3 原器
4 螺子
5 螺子穴
【要約】
【課題】フレーム両端に備える関節部間の位置精度が高く、安価に製作・組み立て可能なフレーム構造、それを用いたロボットおよびフレームの製造方法を提供する。
【解決手段】長尺のフレーム構造であって、長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部と、該リンク部の一端に接着されて他の部材に取り付けるための第1の端部と、前記リンク部の他端に接着されて別の部材に取り付けるための第2の端部と、を有し、前記第1の端部および前記第2の端部が鋳造および切削のいずれか一方または両方で形成されるものである。そのフレーム構造を有するフレームを係合して製作されたロボットである。長尺のフレームを製造する方法であって、両端の部品を鋳造および切削のいずれかの工程または両方の工程を経て形成し、長尺の横断面均一な筒状または柱状のリンク部品の両端に接着するにあたり、前記両端の部品を位置決めして接着する方法である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4