(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-05
(45)【発行日】2023-07-13
(54)【発明の名称】コンバータ制御方法、コンバータ及び太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20230706BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230706BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230706BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20230706BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02M3/155 H
H02J3/38 150
H02S50/00
(21)【出願番号】P 2022520928
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2020096888
(87)【国際公開番号】W WO2021253352
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グイ,グイレイ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジーウー
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ユイ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/74768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/18931(US,A1)
【文献】特表2015-532983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
H02M 3/155
H02J 3/38
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータの出力を制御するために用いられるコンバータ制御方法であって、該コンバータの入力端は少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、前記コンバータの出力端はインバータに接続され、前記コンバータは、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、出力するように構成され、当該制御方法は、
前記太陽電池モジュールの出力電力-電圧(PV)曲線に基づいて前記コンバータの出力PV曲線を決定することであって、該出力PV曲線は、互いに接続された模擬電圧制限部分と定電力部分とを少なくとも含み、該模擬電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する前記コンバータの出力電圧は、前記太陽電池モジュールの出力電圧と比例し、同じ比例係数があることを意味し、前記定電力部分は、該部分内の任意の2つの点が異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電力間の差は第1のプリセット閾値よりも小さいことを意味する、ことと、
前記出力PV曲線に基づいて、前記コンバータの電圧出力を制御することと、
を含む、制御方法。
【請求項2】
前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電力は、前記太陽電池モジュールの最大出力電力に対応し、該第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び前記比例係数に基づいて決定され、前記定電力部分は前記第1の端点に接続されている、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記模擬電圧制限部分の第2の端点に対応する電圧は前記コンバータの最大出力電圧であり、前記第2の端点に対応する電力は0であり、前記最大出力電圧は、前記太陽電池モジュールの開回路電圧及び前記比例係数に基づいて決定されるか又は前記最大出力電圧は、前記インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記出力PV曲線は、前記模擬電圧制限部分に接続される固定電圧制限部分をさらに含み、該固定電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は固定され、変化しないことを意味し、前記第1の端点は該固定電圧制限部分から遠く離れている、請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
前記模擬電圧制限部分の第2の端点は前記固定電圧制限部分の第1の端点であり、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び膨張係数に基づいて決定され、該膨張係数は前記比例係数よりも大きい、請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記固定電圧制限部分に対応する電圧より小さく、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧と前記固定電圧制限部分に対応する電圧との差はプリセット電圧よりも大きい、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記コンバータが唯一のブーストコンバータである場合、前記定電力部分の1つの端点は前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記コンバータの出力PV曲線は、前記定電力部分に接続されるストレートスルー部分をさらに含み、該ストレートスルー部分は、前記太陽電池モジュールの出力PV曲線の最大電力点と短絡電流点との間の曲線と一致する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記出力PV曲線は、前記定電力部分に接続される電流制限部分をさらに含み、該電流制限部分は、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電流間の差が第2のプリセット閾値より小さく、前記コンバータの出力電力は出力電圧が低下するにつれて直線的に低下することを意味する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記比例係数は、前記インバータの最大許容入力電圧及び各太陽電池ストリングの開路電圧に基づいて決定され、各太陽電池ストリングの開路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数と各太陽電池モジュールの開路電圧との積である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
コンバータであって、当該コンバータの入力端は少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、当該コンバータの出力端はインバータに接続され、当該コンバータは、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、出力するように構成され、当該コンバータは、
前記太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電流を調整するように構成されたDC/DC回路と、
前記太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電流をサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
収集された電圧及び電流に基づいて、前記太陽電池モジュールの出力電力-電圧(PV)曲線を決定するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、前記太陽電池モジュールのPV曲線に基づいて前記コンバータの出力PV曲線を決定するようにさらに構成され、該出力PV曲線は、互いに接続された模擬電圧制限部分と定電力部分とを少なくとも含み、該模擬電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する前記コンバータの出力電圧は、前記太陽電池モジュールの出力電圧に比例し、同じ比例係数があることを意味し、前記定電力部分は、該部分内の任意の2つの点が異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電力間の差は第1のプリセット閾値よりも小さいことを意味し、
前記コントローラは、前記出力PV曲線に基づいて前記コンバータの電圧出力を制御するようにさらに構成されている、コンバータ。
【請求項12】
前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電力は、前記太陽電池モジュールの最大出力電力に対応し、該第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び前記比例係数に基づいて決定され、前記定電力部分は前記第1の端点に接続されている、請求項11に記載のコンバータ。
【請求項13】
前記模擬電圧制限部分の第2の端点に対応する電圧は前記コンバータの最大出力電圧であり、前記第2の端点に対応する電力は0であり、前記最大出力電圧は、前記太陽電池モジュールの開回路電圧及び前記比例係数に基づいて決定されるか又は前記最大出力電圧は、前記インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される、請求項12に記載のコンバータ。
【請求項14】
前記出力PV曲線は、前記模擬電圧制限部分に接続される固定電圧制限部分をさらに含み、該固定電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は固定であり、変化しないことを意味し、前記第1の端点は該固定電圧制限部分から遠く離れている、請求項12に記載のコンバータ。
【請求項15】
前記模擬電圧制限部分の第2の端点は前記固定電圧制限部分の第1の端点であり、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び膨張係数に基づいて決定され、該膨張係数は前記比例係数よりも大きい、請求項14に記載のコンバータ。
【請求項16】
前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記固定電圧制限部分に対応する電圧より小さく、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧と前記固定電圧制限部分に対応する電圧との差はプリセット電圧よりも大きい、請求項15に記載のコンバータ。
【請求項17】
前記コンバータが唯一のブーストコンバータである場合、前記定電力部分の1つの端点は前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のコンバータ。
【請求項18】
前記コンバータの出力PV曲線は、前記定電力部分に接続されるストレートスルー部分をさらに含み、該ストレートスルー部分は、前記太陽電池モジュールの出力PV曲線の最大電力点と短絡電流点との間の曲線と一致する、請求項17に記載のコンバータ。
【請求項19】
前記出力PV曲線は、前記定電力部分に接続される電流制限部分をさらに含み、該電流制限部分は、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電流の差が第2のプリセット閾値より小さいことを意味し、前記コンバータの出力電力は、出力電圧が低下するにつれて直線的に低下する、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のコンバータ。
【請求項20】
前記比例係数は、前記インバータの最大許容入力電圧及び各太陽電池ストリングの開路電圧に基づいて決定され、各太陽電池ストリングの開路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数と各太陽電池モジュールの開路電圧との積である、請求項11乃至19のいずれか一項に記載のコンバータ。
【請求項21】
太陽光発電システムであって、少なくとも1つの太陽電池ストリング及びインバータを含み、該インバータの入力端は該少なくとも1つの太陽電池ストリングに接続され、各太陽電池ストリングは、互いに直列に組み合わされた複数の太陽電池ユニットを含み、各太陽電池ユニットは、少なくとも1つの太陽電池モジュールと、請求項11乃至20のいずれか一項に記載のコンバータとを含み、前記コンバータの入力端は、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続されて、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、変換したエネルギーを前記インバータに出力する、太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は太陽光発電技術の分野に関し、特にコンバータ制御方法、コンバータ及び太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池モジュールの直列不整合及び並列不整合の問題を解決するために、各太陽電池モジュールは、独立したMPPT(最大電力点追従、Maximum Power Point Tracking)機能を有するコンバータ(オプティマイザとも呼ばれる)に通常接続されている。コンバータの出力は、特定の直列/並列の組み合わせを介してインバータに接続されている。分散型のMPPT技術が用いられる太陽電池システムにおいて、コンバータは、太陽電池モジュールの入力電圧/電流を異なる出力電圧/電流に変換して、太陽電池モジュールレベルのMPPT機能を実施し、システムのエネルギー収率を最大限に改善させる。
【0003】
コンバータが太陽光発電システム内に構成された後、コンバータは電圧制限出力を行い得るため、太陽光発電モジュールを構成の柔軟性がより高いものとなる。太陽光発電システムがより高い容量比を有することができるように、単一の太陽電池ストリングにおいて直列に接続される太陽電池モジュールの数の上限が上げられ得る。太陽電池ストリングの電圧が高くなりすぎ、その結果としてインバータが過電圧保護を行うか又はさらには故障が起こるような場合を回避するため電圧制限出力を実施するために、既存のコンバータ制御方法では固定電圧制限方法が用いられている。具体的には、コンバータに固定電圧制限点が設定され、コンバータは出力電圧を固定電圧制限点以下になるように制御する。
【0004】
コンバータの固定電圧制限方法に合わせるために、インバータの入力電圧制御ポリシーを調整し、MPPTモードから固定入力電圧制御モードに変更する必要がある。しかしながら、太陽電池ストリング内の複数の太陽電池モジュールが著しく遮断されると、インバータの入力電圧動作点が太陽電池ストリングの電圧制限点よりも大きくなり、インバータの入力電流がインバータの入力電圧ループの作用の下でゼロに低下し、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下するため、エネルギー収量が著しい影響を受ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施形態は、電圧制限出力が実施される場合に、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下する場合を回避することで、太陽光発電システムの安定性を確保し、システムのエネルギー収量を高めるために、インバータの既存MPPT制御ポリシーを適用することができるように、コンバータ制御方法、コンバータ及び太陽光発電システムを開示する。
【0006】
第1の態様によれば、本願の実施形態は、コンバータの出力を制御するために用いられるコンバータ制御方法を開示する。該コンバータの入力端は少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、前記コンバータの出力端はインバータに接続され、前記コンバータは、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、出力するように構成されている。当該制御方法は、
前記太陽電池モジュールの出力電力-電圧(PV)曲線に基づいて前記コンバータの出力PV曲線を決定することであって、該出力PV曲線は、互いに接続された模擬電圧制限部分と定電力部分とを少なくとも含み、該模擬電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する前記コンバータの出力電圧は、前記太陽電池モジュールの出力電圧と比例し、同じ比例係数があることを意味し、前記定電力部分は、該部分内の任意の2つの点が異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電力間の差は第1のプリセット閾値よりも小さいことを意味する、ことと、前記出力PV曲線に基づいて、前記コンバータの電圧出力を制御することと、を含む。
【0007】
第1の態様の技術的解決策に基づいて、コンバータの出力PV曲線は、模擬電圧制限部分を含むため、コンバータの出力PV曲線は太陽電池モジュールの出力PV曲線と部分的に類似している。つまり、コンバータに接続された太陽電池モジュールが太陽電池モジュールと等価になり得るように、電圧を制限するために太陽電池モジュールの出力特性がシミュレートされる。つまり、下流のインバータの観点から、コンバータで構成された太陽電池モジュールは新たな太陽電池モジュールとみなされ得る。したがって、電圧制限出力が実施される場合にインバータの既存のMPPT制御ポリシーを適合させることができ、太陽光発電システムの安定性を確保でき、システムのエネルギー収率を改善できる。
【0008】
第1の態様によれば、可能な実施では、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電力は、前記太陽電池モジュールの最大出力電力に対応し、該第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び前記比例係数に基づいて決定され、前記定電力部分は前記第1の端点に接続されている。このように、インバータのためにMPPTポリシーが用いられる場合、最大電力点を迅速に見つけることができ、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下するケースを回避できる。
【0009】
第1の態様によれば、可能な実施では、前記模擬電圧制限部分の第2の端点に対応する電圧は前記コンバータの最大出力電圧であり、前記第2の端点に対応する電力は0であり、前記最大出力電圧は、前記太陽電池モジュールの開回路電圧及び前記比例係数に基づいて決定されるか又は前記最大出力電圧は、前記インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される。このように、模擬電圧制限部分は、太陽電池モジュールの出力PV曲線における最大電力点と太陽電池モジュールの開回路電圧との間の部分に類似しているため、コンバータに接続された太陽電池モジュールの出力は太陽電池モジュールの出力により類似する。
【0010】
第1の態様によれば、可能な実施では、インバータのMPPT制御ポリシーが適合された場合に、コンバータの出力PV曲線を多様化して、コンバータの適応性を改善するために、前記出力PV曲線は、前記模擬電圧制限部分に接続される固定電圧制限部分をさらに含み、該固定電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は固定され、変化しないことを意味し、前記第1の端点は該固定電圧制限部分から遠く離れている。
【0011】
第1の態様によれば、可能な実施では、固定電圧制限部分に対応する電圧は、電圧制限出力を実施し、太陽電池ストリングの電圧が高くなりすぎて、インバータが過電圧保護を行うか又はさらに故障が起こる場合を回避するためにコンバータの最大出力電圧である。最大出力電圧は太陽電池モジュールの開回路電圧及び比例係数に基づいて決定されるか又は最大出力電圧は、インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される。
【0012】
第1の態様によれば、可能な実施において、前記模擬電圧制限部分の第2の端点は前記固定電圧制限部分の第1の端点であり、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び膨張係数に基づいて決定され、該膨張係数は前記比例係数よりも大きい。このように、模擬電圧制限部分と固定電圧制限部分との間に交点が存在し、コンバータがバックコンバータである場合に、出力電圧は一定の電力周期で増加する。したがって、変換効率を改善できる。
【0013】
第1の態様によれば、可能な実施形態では、模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、固定電圧制限部分に対応する電圧よりも小さく、模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧と固定電圧制限部分に対応する電圧との間の差は、模擬電圧制限部分が短すぎることにより、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下する場合を回避するためにプリセット電圧よりも大きい。
【0014】
第1の態様によれば、可能な実施では、前記コンバータが唯一のブーストコンバータである場合、前記定電力部分の1つの端点は前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する。
【0015】
第1の態様によれば、可能な実施形態では、前記コンバータの出力PV曲線は、前記定電力部分に接続されるストレートスルー部分をさらに含み、該ストレートスルー部分は、前記太陽電池モジュールの出力PV曲線の最大電力点と短絡電流点との間の曲線と一致するため、コンバータに接続された太陽電池モジュールを太陽電池モジュールの出力と完全に等価にすることができる。
【0016】
第1の態様によれば、可能な実施形態では、前記出力PV曲線は、前記定電力部分に接続される電流制限部分をさらに含み、該電流制限部分は、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電流間の差が第2のプリセット閾値より小さく、前記コンバータの出力電力は出力電圧が低下するにつれて直線的に低下することを意味する。電流制限部分を設定し、出力電圧が低すぎるためにコンバータが大電流を出力することにより、コンバータ又はインバータが破損する場合が回避される。
【0017】
第1の態様によれば、可能な実施形態では、前記比例係数は、前記インバータの最大許容入力電圧及び各太陽電池ストリングの開路電圧に基づいて決定され、各太陽電池ストリングの開路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数と各太陽電池モジュールの開路電圧との積である。
【0018】
第2の態様によれば、本願の実施形態はコンバータを開示する。当該コンバータの入力端は少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続され、当該コンバータの出力端はインバータに接続され、当該コンバータは、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、出力するように構成されている。当該コンバータはDC/DC回路、サンプリング回路及びコントローラを含む。DC/DC回路は前記太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電流を調整するように構成されている。サンプリング回路は前記太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電流をサンプリングするように構成されている。コントローラは収集された電圧及び電流に基づいて、前記太陽電池モジュールの出力電力-電圧(PV)曲線を決定するように構成されている。前記コントローラは、前記太陽電池モジュールのPV曲線に基づいて前記コンバータの出力PV曲線を決定するようにさらに構成され、該出力PV曲線は、互いに接続された模擬電圧制限部分と定電力部分とを少なくとも含み、該模擬電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する前記コンバータの出力電圧は、前記太陽電池モジュールの出力電圧に比例し、同じ比例係数があることを意味し、前記定電力部分は、該部分内の任意の2つの点が異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電力間の差は第1のプリセット閾値よりも小さいことを意味する。前記コントローラは、前記出力PV曲線に基づいて前記コンバータの電圧出力を制御するようにさらに構成されている。
【0019】
第2の態様の技術的解決策に基づいて、コンバータの出力PV曲線は、模擬電圧制限部分を含むため、コンバータの出力PV曲線は太陽電池モジュールの出力PV曲線と部分的に類似している。つまり、コンバータに接続された太陽電池モジュールが太陽電池モジュールと等価になり得るように、電圧を制限するために太陽電池モジュールの出力特性がシミュレートされる。つまり、下流のインバータの観点から、コンバータで構成された太陽電池モジュールは新たな太陽電池モジュールとみなされ得る。したがって、電圧制限出力が実施される場合にインバータの既存のMPPT制御ポリシーを適合させることができ、太陽光発電システムの安定性を確保でき、システムのエネルギー収率を改善できる。
【0020】
第2の態様によれば、可能な実施では、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電力は、前記太陽電池モジュールの最大出力電力に対応し、該第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び前記比例係数に基づいて決定され、前記定電力部分は前記第1の端点に接続されている。このように、インバータのためにMPPTポリシーが用いられる場合、最大電力点を迅速に見つけることができ、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下するケースを回避できる。
【0021】
第2の態様によれば、可能な実施では、前記模擬電圧制限部分の第2の端点に対応する電圧は前記コンバータの最大出力電圧であり、前記第2の端点に対応する電力は0であり、前記最大出力電圧は、前記太陽電池モジュールの開回路電圧及び前記比例係数に基づいて決定されるか又は前記最大出力電圧は、前記インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される。このように、模擬電圧制限部分は、太陽電池モジュールの出力PV曲線における最大電力点と太陽電池モジュールの開回路電圧との間の部分に類似しているため、コンバータに接続された太陽電池モジュールの出力は太陽電池モジュールの出力により類似する。
【0022】
第2の態様によれば、可能な実施では、インバータのMPPT制御ポリシーが適合された場合に、コンバータの出力PV曲線を多様化して、コンバータの適応性を改善するために、前記出力PV曲線は、前記模擬電圧制限部分に接続される固定電圧制限部分をさらに含み、該固定電圧制限部分は、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は固定され、変化しないことを意味し、前記第1の端点は該固定電圧制限部分から遠く離れている。
【0023】
第2の態様によれば、可能な実施では、固定電圧制限部分に対応する電圧は、電圧制限出力を実施し、太陽電池ストリングの電圧が高くなりすぎて、インバータが過電圧保護を行うか又はさらに故障が起こる場合を回避するためにコンバータの最大出力電圧である。最大出力電圧は太陽電池モジュールの開回路電圧及び比例係数に基づいて決定されるか又は最大出力電圧は、インバータの最大入力電圧及び各太陽電池ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数に基づいて決定される。
【0024】
第2の態様によれば、可能な実施において、前記模擬電圧制限部分の第2の端点は前記固定電圧制限部分の第1の端点であり、前記模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び膨張係数に基づいて決定され、該膨張係数は前記比例係数よりも大きい。このように、模擬電圧制限部分と固定電圧制限部分との間に交点が存在し、コンバータがバックコンバータである場合に、出力電圧は一定の電力周期で増加する。したがって、変換効率を改善できる。
【0025】
第2の態様によれば、可能な実施形態では、模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧は、固定電圧制限部分に対応する電圧よりも小さく、模擬電圧制限部分の第1の端点に対応する電圧と固定電圧制限部分に対応する電圧との間の差は、模擬電圧制限部分が短すぎることにより、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下する場合を回避するためにプリセット電圧よりも大きい。
【0026】
第2の態様によれば、可能な実施では、前記コンバータが唯一のブーストコンバータである場合、前記定電力部分の1つの端点は前記太陽電池モジュールの最大電力点に対応する。
【0027】
第2の態様によれば、可能な実施形態では、前記コンバータの出力PV曲線は、前記定電力部分に接続されるストレートスルー部分をさらに含み、該ストレートスルー部分は、前記太陽電池モジュールの出力PV曲線の最大電力点と短絡電流点との間の曲線と一致するため、コンバータに接続された太陽電池モジュールを太陽電池モジュールの出力と完全に等価にすることができる。
【0028】
第2の態様によれば、可能な実施形態では、前記出力PV曲線は、前記定電力部分に接続される電流制限部分をさらに含み、該電流制限部分は、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電流間の差が第2のプリセット閾値より小さく、前記コンバータの出力電力は出力電圧が低下するにつれて直線的に低下することを意味する。
【0029】
第2の態様によれば、可能な実施形態では、前記比例係数は、前記インバータの最大許容入力電圧及び各太陽電池ストリングの開路電圧に基づいて決定され、各太陽電池ストリングの開路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数と各太陽電池モジュールの開路電圧との積である。
【0030】
第3の態様によれば、本願の実施形態は、少なくとも1つの太陽電池ストリング及びインバータを含む太陽光発電システムを開示する。該インバータの入力端は該少なくとも1つの太陽電池ストリングに接続される。各太陽電池ストリングは、互いに直列に組み合わされた複数の太陽電池ユニットを含む。各太陽電池ユニットは、少なくとも1つの太陽電池モジュールと、請求項11乃至20のいずれか一項に記載のコンバータとを含む。前記コンバータの入力端は、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールに接続されて、前記少なくとも1つの太陽電池モジュールによって生成されたエネルギーを変換し、変換したエネルギーを前記インバータに出力する。
【0031】
第4の態様によれば、本願の実施形態は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体を開示する。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶し、コンピュータプログラムはコードの少なくとも1つのセグメントを含み、該コードの少なくとも1つのセグメントは、コンピュータを制御して、第1の態様のいずれか1つ又は第1の態様の可能な実施における方法を行うためにコンピュータによって実行されうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本願の一実施形態に係る太陽光発電システムの構成の概略図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施形態に係る太陽電池モジュールの出力PV曲線の図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施形態に係るコンバータ制御方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、本願の第1の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図5】
図5は、本願の第1の実施形態に係る太陽電池ストリングの出力PV曲線の概略図である。
【
図6】
図6は、本願の第2の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図7】
図7は、本願の第2の実施形態に係る太陽電池ストリングの出力PV曲線の概略図である。
【
図8】
図8は、本願の第3の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図9】
図9は、本願の第4の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図10】
図10は、本願の第5の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図11】
図11は、本願の第6の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。
【
図12】
図12は、本願の一実施形態に係るオプティマイザの主たるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本願は、太陽光発電システム、太陽光発電システムに適用されるコンバータ及びコンバータ制御方法を提供する。制御方法において、コンバータの出力電力電圧(Power Voltage、PV)曲線が少なくとも部分的に太陽電池モジュールの出力PV曲線と同様になるように、太陽電池モジュールの出力特性がシミュレートされる。したがって、電圧制限出力が実施される場合に、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下する場合を回避することで、太陽光発電システムの安定性を確保し、システムのエネルギー収量を高めるために、インバータの既存MPPT制御ポリシーを適用することができる。
【0034】
添付の図面を参照しながら本願の実施形態を以下で説明する。
【0035】
図1は、本願の一実施形態に係る太陽光発電システム1000の構造の概略図である。
図1に示すように、太陽光発電システム1000は、少なくとも1つの太陽電池ストリング100、インバータ300及び送電網500を含む。
【0036】
本願のこの実施形態では、各太陽電池ストリング100は、共に直列に組み合わされた複数の太陽電池ユニット101を含む。別の実施形態では、太陽電池ストリング100は1つの太陽電池ユニット101のみを含み得る。各太陽電池ユニット101は、少なくとも1つの太陽電池モジュール10及びコンバータ20を含む。各太陽電池ユニット101が複数の太陽電池モジュール10を含む場合、複数の太陽電池モジュール10は直列又は並列に接続され、その後にコンバータ20に接続されている。
【0037】
太陽電池パネルとも呼ばれる太陽電池モジュール10は太陽光発電システムの中核部分であり、出力用の直流電流を提供するために太陽エネルギーを電気エネルギーに変換し、蓄電のために蓄電池に又は負荷を駆動させるために直流電流を送る。
【0038】
なお、個々の太陽電池は電源として直接用いることができないため、いくつかの個々の電池は直列に及び/又は並列に接続して密にパッケージ化してコンポーネントにする必要があり、コンポーネントは最小の分割不可能な太陽電池アセンブリである。加えて、本願において「A及び/又はB」とは、A及びB並びにA又はBを意味する。
【0039】
オプティマイザとも呼ばれるコンバータ20は太陽電池モジュール10とインバータ300との間に設けられる電力変換装置であり、太陽電池モジュール10の直列不整合及び並列不整合を取り除き、太陽電池モジュール10がバイパスされる確率を低減するために用いられ得るものであり、単一の太陽電池モジュール10のMPPT(最大電力点追従、Maximum Power Point Tracking)機能を有する。本願のこの実施形態では、コンバータ20は、コンバータ20に接続された太陽電池モジュール10の出力電力を最適化して、太陽光発電システム1000の最大出力電力を保証するように構成されている。
【0040】
別の実施形態では、コンバータ20は、コンバータ20に接続された太陽電池モジュール10に欠陥があるか又は故障しているかを検出するために、コンバータ20に接続された太陽電池モジュール10に対してIV曲線走査を行うようにさらに構成され得る。Iは電流を表し、Vは電圧を表す。加えて、IV曲線は、太陽電池モジュール10の現在の発電能力及び動作状態等の情報をさらに示し得る。
【0041】
インバータ300の入力端は少なくとも1つの太陽電池ストリング100に接続され、少なくとも1つの太陽電池ストリング100によって出力された直流を交流に変換し、次に、交流を送電網500に出力するように構成されている。
【0042】
送電網500は配電網とも呼ばれ、様々な電圧のための変電所及び電力系統内の送電線及び配電線を含む。すなわち、電圧変換ユニット、送電ユニット及び配電ユニットを含み、電気エネルギーを送配電し、電圧を変更するように構成されている。
【0043】
太陽光発電システム1000は複数のインバータ300を含んでもよく、インバータ300の交流側は昇圧変圧器(図示せず)に接続され、そして送電網500に接続され得ることが分かる。具体的には、太陽光発電システム1000に含まれるインバータ300の数及びインバータ300の交流側が昇圧変圧器に接続されるかは、特定の用途環境に基づいて決定され得る。これは、本明細書では具体的に限定されない。
【0044】
なお、一実施形態において、太陽光発電システム1000が複数のインバータ300を含む場合、複数のインバータ300は通信バスを介して互いに通信し得る。通信バスは、業界標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture、ISA)バス、周辺機器相互接続(Peripheral Component、PCI)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended
Industry Standard Architecture、EISA)バス等であり得る。バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等、例えばバス485に分類され得る。
【0045】
加えて、特定の実施では、太陽光発電システム1000は、コンバータ20及びインバータ300と通信するように構成されたホストコンピュータ(図示せず)をさらに含み得る。ホストコンピュータは独立した通信ホストであり得るか又はモバイル端末装置であり得る。ホストコンピュータは無線通信(例えば、Wi-Fi、Lora又はZigbee)又はPLC通信を介してインバータ300及びコンバータ20と通信し得る。加えて、ホストコンピュータは、代替的に太陽光発電システム1000の別の装置と統合されてもよく、例えば、インバータ300、結合器ボックス、パラレルボックス又は1つのコンバータ20と統合され得る。
【0046】
図2は、本願の一実施形態に係る太陽電池モジュールの出力PV曲線の図である。光における太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電力の特性はPV曲線と呼ばれる。
図2から、太陽電池モジュールの出力電力は先ず増加し、次に、出力電圧が増加するにつれて低下する変化傾向があることが分かる。したがって、最大電力を得ることができる最適な動作点がある。点Aに対応する電圧は、太陽電池モジュールの開路電圧Vocであり、太陽電池モジュールに負荷をかけない出力に対応する成分電圧として定義される。点Bに対応する電圧は、太陽電池モジュールの最大電力点における電圧Vmppであり、太陽電池モジュールの最大出力電力に対応する成分電圧として定義される。
【0047】
加えて、太陽電池モジュールの出力は、日射強度及び太陽電池モジュールの温度と共に変化する。日射強度及び温度は変化し続けるため、最適動作点も明らかに変化し続ける。これらの変化と比較して、太陽電池モジュールの動作点は常に最大電力点にあり、太陽光発電システムは常に太陽電池モジュールから最大電力出力を得る。このような制御は最大電力追従制御である。太陽光発電システムで用いられるコンバータの最も顕著な特徴は、コンバータが最大電力点追従(Maximum Power Point Tracking、MPPT)機能を含むことである。
【0048】
現在、太陽電池モジュールが直列に接続される場合、太陽電池ストリングにおいて直列に接続される太陽電池モジュールの数の上限は、低温シナリオにおいて太陽電池ストリングの電圧が高くなりすぎることで、インバータが過電圧保護を行うか又はさらに故障が起こるのを避けるために、局所的な最低空気温度及び選択された太陽電池モジュールのパラメータに基づいて決定する必要がある。太陽光発電システムにおいてコンバータが構成された後、コンバータは電圧制限出力を行い得るため、太陽光発電モジュールを構成する際の柔軟性が高まる。太陽光発電システムの容量比を高めることができるように、単一の太陽光発電ストリングにおいて直列に接続される太陽電池モジュールの数の上限が高められ得る。したがって、インバータの既存の制御ポリシーに影響を及ぼすことなく、電圧制限出力を実施するためには、適切なコンバータ制御方法を検討することが非常に重要である。
【0049】
図3は、本願の一実施形態に係るコンバータ制御方法のフローチャートである。コンバータ制御方法は具体的に以下のステップを含む。
【0050】
ステップS11:太陽電池モジュールの出力電力電圧(PV)曲線に基づいて、コンバータの出力PV曲線を決定する。コンバータの出力PV曲線は、互いに接続された模擬電圧制限部分と、定電力部分とを少なくとも含む。
【0051】
模擬電圧制限部分は、コンバータの、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は太陽電池モジュールの出力電圧に比例し、同じ比例係数が存在することを意味する。定電力部分は、該部分内の任意の2つの点は異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電圧の差は第1のプリセット閾値よりも小さいことを意味する。つまり、定電力部分内では、コンバータの出力電圧は変化するが、出力電力は略一定である。
【0052】
なお、太陽電池モジュールの出力PV曲線は、コンバータを用いることにより、太陽電池モジュールの出力電圧及び出力電流を制御及びサンプリングすることにより得られ得る。
【0053】
ステップS12:コンバータの出力PV曲線に基づいてコンバータの電圧出力を制御する。
【0054】
本願のこの実施形態で開示するコンバータ制御方法によれば、コンバータの出力PV曲線は模擬電圧制限部分を含むため、コンバータの出力PV曲線は、太陽電池モジュールの出力PV曲線と部分的に類似している。つまり、コンバータに接続された太陽電池モジュールが太陽電池モジュールと等価になり得るよう電圧を制限するために、太陽電池モジュールの出力特性がシミュレートされる。つまり、下流のインバータの観点から、コンバータで構成された太陽電池モジュールは新たな太陽電池モジュールとみなされ得る。したがって、電圧制限出力が実施される場合に、インバータの既存のMPPT制御ポリシーを採用できるため、太陽光発電システムの安定性を確保でき、システムのエネルギー収率を改善できる。
【0055】
一部の実施では、比例係数は、インバータの最大許容入力電圧及び各太陽電池ストリングの開回路電圧に基づいて決定され、各太陽電池ストリングの開回路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの数と各太陽電池モジュールの開回路電圧との積である。
【0056】
各ストリング内の太陽電池モジュールが異なるパラメータを有する場合、各太陽電池ストリングの開路電圧は、該ストリングにおいて直列に接続された太陽電池モジュールの開路電圧の和であることが理解されよう。
【0057】
本願のこの実施形態では、単相の太陽光発電システムを説明のための一例として用い、インバータの最大許容入力電圧は600Vである。太陽電池モジュールは同じパラメータを有し、パラメータは次の通りである:太陽電池モジュールの(点Aにおける)開路電圧はVoc=38.25Vであり、太陽電池モジュールの(点Fにおける)短絡電流はIsc=9.95Aであり、太陽電池モジュールの(点Bにおける)最大電力点はVmpp=30.69Vであり、Impp=8.48Aであり、Pmpp=260.12Wである点である。別の実施形態では、太陽電池モジュールのパラメータは、代替的に、別のパラメータであり得ることが理解されよう。これは、本明細書では限定されない。
【0058】
加えて、本願の各実施形態におけるコンバータの変換効率は100%で計算される。エンジニアリング用途では、コンバータの変換効率は100%未満であることが分かる。特定の実施形態を参照して、比例係数がどのように決定されるかと、模擬電圧制限部分及び定電力部分がどのように決定されるかとを以下で説明する。
【0059】
図4は、本願の第1の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。曲線L1は太陽電池モジュールの出力PV曲線であり、曲線L21はコンバータの出力PV曲線である。具体的には、コンバータの出力PV曲線L21は、模擬電圧制限部分CD及び定電力部分DEを含む。この実施では、20個の太陽電池モジュールが単一の太陽電池ストリングにおいて直列に接続されている。したがって、比例係数K=インバータの最大許容入力電圧/太陽電池モジュールの開路電圧の和=600V/38.25V×20=0.7843となる。本願のこの実施では、コンバータはバックコンバータである。
【0060】
模擬電圧制限部分CDの開始点Cにおける電圧=38.25V(点Aにおける電圧)×0.7843=30Vである。つまり、コンバータの出力電圧の上限、すなわち、点Cにおける電圧=600V/20=30Vである。模擬電圧制限部分CDの端点Dにおける電圧=30.69V(点Bにおける電圧)×0.7843=24.07Vである。模擬電圧制限部分CDでは、コンバータは太陽電池モジュールの出力特性をシミュレートし、バックモードで動作する。コンバータの出力PV曲線と太陽電池モジュールのPV曲線とは同様の形状を有し、該部分内の任意の点において、コンバータの出力電圧はコンバータの入力電圧(すなわち、太陽電池モジュールの出力電圧)と比例し、同じ比例係数Kが存在する。
【0061】
したがって、この実施では、模擬電圧制限部分CDの第1の端点Dに対応する電力は太陽電池モジュールの最大電力であり、模擬電圧制限部分の第1の端点Dに対応する電圧は、太陽電池モジュールの最大電力点に対応する電圧及び比例係数Kに基づいて決定される。模擬電圧制限部分CDの第2の端点Cに対応する電圧はコンバータの最大出力電圧である。最大出力電圧は、太陽電池モジュールの開回路電圧及び比例係数Kに基づいて決定されるか又は最大出力電圧は、インバータの最大入力電圧及び太陽電池ストリングの数に基づいて決定される。太陽電池ストリングにおける太陽電池モジュールが異なるパラメータを有する場合、各コンバータの最大出力電圧は、各太陽電池モジュールの開路電圧及び比例係数Kに基づいて決定される。
【0062】
定電力部分DEは、模擬電圧制限部分CDの第1の端点Dに近く、定電力部分DEと模擬電圧制限部分CDとは同じ端点Dを有する。定電力部分DEでは、コンバータは、定電力出力を有し、バックモードで動作する。コンバータの入力電圧は常に点Bにおける電圧であり、出力電圧を点Dにおける電圧と点Eにおける電圧との間で変化させることができる。つまり、定電力部分DEの第2の端点Eに対応する電圧は、定電力部分DEの第1の端点Dに対応する電圧よりも小さい。
【0063】
エンジニアリング用途においては、点Dにおけるコンバータの出力電圧が点Eにおける電圧より高く、点Dにおけるコンバータの変換効率は点Eにおける変換効率よりもやや高いことが分かる。したがって、点Dにおける電力は点Eにおける電力よりもやや高い。しかしながら、点Dにおける電力は点Eにおける電力と略等しいため、部分DEは定電力部分と見なされ得る。したがって、定電力部分DEは、該部分内の任意の2つの点は異なる出力電圧に対応し、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電力間の差は、第1のプリセット閾値より小さいことを意味する。第1のプリセット閾値は、定電力部分DEの電力はプリセット範囲内で変動するとき、コンバータのハードウェアパラメータ及び実際の適用状況に基づいて設定され得る。
【0064】
特定の実施では、コンバータの出力曲線L21は、定電力部分DEに接続された電流制限部分EHをさらに含む。電流制限部分EHは、該部分内の任意の2つの点に対応する出力電流間の差は第2のプリセット閾値値未満であることを意味する。つまり、電流制限部分EHでは、コンバータは電流制限出力を行い、該部分内の任意の点で、コンバータの出力電流は略一定であり、コンバータの出力電力は、出力電圧が低下するにつれて直線的に低下する。第2のプリセット閾値は、電流制限部分EHの電流がプリセット範囲内で変動するとき、コンバータのハードウェアパラメータ及び実際の適用状況に基づいて設定され得ることが理解されよう。したがって、コンバータ及びインバータへの出力電流が大きいことによってもたらされるダメージを回避できる。
【0065】
定電力部分DEの第2の端点及び電流制限部分EHの第1の端点は同じであり、両方とも点Eである。点Eに対応する電力は、太陽電池モジュールの最大電力に対応し、点Eに対応する電圧は、コンバータの電流制限部分の最大電圧に対応する。電流制限部分の第2の端点Hは、太陽電池モジュールのPV曲線における短絡電流点Fに対応するが、電流制限部分の第2の端点Hはコンバータの出力短絡点を表す。点Hにおけるコンバータの入力電圧は点Aに対応する電圧である。つまり、この場合、太陽電池モジュールは点Aで動作する。点Eに対応する電圧はコンバータのハードウェア特性に基づいて決定されることが理解できる。したがって、点Eにおける電圧はコンバータの特性に基づいてプリセットされ得る。
【0066】
図4に示す曲線L21は、太陽電池モジュールのコンバータの出力PV曲線である。しかしながら、太陽電池ストリングは20個の太陽電池モジュールを含むため、太陽電池ストリングの出力PV曲線は20個のコンバータの出力PV曲線の重ね合わせである。具体的には、
図5に示すように、
図5の曲線L3は、20個の太陽電池モジュールを含む太陽電池ストリングの出力PV曲線である。
図5から、太陽電池ストリングの出力PV曲線L3は、太陽電池モジュールの出力PV曲線と同様であり、各点に対応する電圧及び電力は20倍にしか増加しないことが分かる。したがって、インバータについては、模擬電圧制限部分CDは、太陽電池モジュールの出力特性がシミュレートされる部分であるため、コンバータが構成されていても、太陽電池ストリングの全体が新たな太陽電池モジュールであると依然見なされ得る。したがって、インバータの既存のMPPTは正常に動作し得るため、変更する必要はない。定常状態では、インバータのMPPTにより、インバータの入力電圧は点Dで安定し(481.4V=24.07V×20)、点Dの周囲で変動する。
【0067】
太陽電池ストリングにおいて6つの太陽電池モジュールが深刻に遮断された場合(電力がゼロ)、太陽電池ストリングの出力PV曲線は曲線L4に変化する。定常状態では、インバータのMPPTにより、インバータの入力電圧は点D’で安定し(336.98V=24.07V×14)、点D’の周囲で変動する。したがって、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下するリスクがない。
【0068】
図6は、本願の第2の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。第1の実施形態とは異なり、本願のこの実施形態では、コンバータの出力PV曲線L22は、模擬電圧制限部C1D1に接続された固定電圧制限部分G1C1をさらに含む。固定電圧制限部分G1C1は、該部分内の任意の点に対応する出力電圧は固定され、変化しないことを意味する。この実施では、固定電圧制限部分G1C1に対応する電圧は、コンバータの最大出力電圧である。点G1におけるコンバータの最大出力電圧=点C1における電圧=600V/20=30Vである。
【0069】
加えて、固定電圧制限部分G1C1及び模擬電圧制限部分C1D1は、同じ端点C1を有し、模擬電圧制限部分C1D1の他方の端点D1に対応する電力は、太陽電池モジュールの最大電力に対応する。この実施では、固定電圧制限部分G1C1が設定され、点D1でより高い電圧を設定することができるため、コンバータの変換効率が高く、コンバータの変換効率は第1実施形態におけるものよりも高い。
【0070】
模擬電圧制限部分C1D1と固定電圧制限部分G1C1との間に交点C1ができるように、模擬電圧制限部分C1D1を右に動かすためには、比例係数Kを増やす必要がある。本願のこの実施形態では、増やされた比例係数を膨張係数と呼ぶ。比例係数から膨張係数へのより大きな増加は、模擬電圧制限部分C1D1の右へのより大きな振幅の移動を示すことが分かるであろう。膨張係数が大きすぎると、模擬電圧制限部分C1D1は固定電圧制限部分G1C1に非常に近くなるため、模擬電圧制限部分C1D1が小さくなりすぎて、インバータのMPPTに影響を及ぼす。したがって、一部の実施では、模擬電圧制限部分G1C1の端点D1に対応する電圧は、固定電圧制限部分G1C1に対応する電圧よりも小さい必要があり、模擬電圧制限部分G1C1の端点D1に対応する電圧と固定電圧制限部分G1C1に対応する電圧との差はプリセット電圧よりも大きい。例えば、プリセット電圧は2Vであり得る。
【0071】
具体的には、膨張係数は0.9であり得る。したがって、点G1におけるコンバータの出力電圧の上限は、点C1における電圧=600V/20=30Vであり、点D1におけるコンバータの出力電圧=30.69V×0.9=27.62Vである。本願のこの実施形態では、コンバータは、PV曲線L22全体においてバックモードで動作する。
【0072】
図6に示す出力PV曲線L22は、太陽電池モジュールのコンバータの出力PV曲線である。しかしながら、太陽電池ストリングは20個の太陽電池モジュールを含むため、太陽電池ストリングの出力PV曲線は20個のコンバータの出力PV曲線の重ね合わせである。具体的には、
図7に示すように、
図7の出力PV曲線L5は20個の太陽電池モジュールを含む太陽電池ストリングの出力PV曲線であり、太陽電池ストリングのPV曲線L5は、20個のコンバータの出力PV曲線の重ね合わせである。模擬電圧制限部分C1D1は、太陽電池モジュールの特性がシミュレートされる部分である。下流のインバータの観点から、コンバータで構成された太陽電池モジュールは新たな太陽電池モジュールとみなされ得る。したがって、インバータの既存のMPPTは正常に動作し、変更する必要はない。定常状態では、インバータのMPPTにより、インバータの入力電圧は点D1で安定し(552.4V=27.62V×20)、点D1の周囲で変動する。
【0073】
太陽電池ストリング内の6つの太陽電池モジュールが深刻に遮断されると(電力がゼロ)、光電池ストリングのPV曲線L5は太陽電池ストリングのPV曲線L6に変化する。定常状態では、インバータのMPPTにより、インバータの入力電圧は点D1’で安定し(386.68V=27.62V×14)、点D1’の周囲で変動する。したがって、太陽電池ストリングの電力がゼロに低下するリスクがない。
【0074】
図8は、本願の第3の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。本願のこの実施形態では、単一の太陽電池ストリングにおいて14個の太陽電池モジュールが直列に接続されている。したがって、比例係数K=インバータの最大許容入力電圧/太陽電池モジュールの開路電圧の和=600V/38.25V×14=1.1204であり、点C2におけるコンバータの最大出力電圧=600V/14=42.86Vである。模擬電圧制限部分C2D2の端点D2における電圧=30.69V×1.1204=34.39Vである。
【0075】
なお、第1の実施形態とは異なり、コンバータは、模擬電圧制限部分C2D2においてブーストモードで動作する。コンバータは、定電力部分D2Bにおいてブーストモードで動作し、コンバータの入力電圧は常に点Bにおける電圧であり、出力電圧を点D2における電圧と点Bにおける電圧との間で変化させることができる。コンバータは、定電力部分BE2においてバックモードで動作し、コンバータの入力電圧は常に点Bにおける電圧であり、出力電圧は点Bにおける電圧と点E2における電圧との間で変化させることができる。
【0076】
図9は、本願の第4の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。第3の実施形態とは異なり、出力PV曲線は固定電圧制限部分G3C3をさらに含む。この実施では、点G3におけるコンバータの出力電圧の上限=点C3における電圧=600V/14=42.86Vであり、膨張係数は1.3である。したがって、模擬電圧制限部分C3D3の端点D3に対応する電圧=30.69V×1.3=39.90Vである。
【0077】
図10は、本願の第5の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。第3の実施形態とは異なり、定電力部分D4E4の端点E4は、太陽電池モジュールの最大電力点Bであり、コンバータの出力PV曲線は、定電力部分に接続されたストレートスルー部分E4Hをさらに含む。ストレートスルー部分E4Hは、太陽電池モジュールの出力PV曲線の最大電力点Bと短絡電流点Fとの間の曲線と一致する。つまり、直通状部分E4Hのコンバータの出力電圧は入力電圧と等しく、コンバータに接続された太陽電池モジュールは太陽電池モジュールと等価である。
【0078】
この実施では、コンバータはブーストコンバータである。具体的には、コンバータは、模擬電圧制限部分C4D4においてブーストモードで動作する。コンバータは、定電力部分D4E4においてブーストモードで動作し、コンバータの入力電圧は常に点Bにおける電圧であり、出力電圧を点D4の電圧と点E4の電圧との間で変化させることができる。
【0079】
図11は、本願の第6の実施形態に係るコンバータの出力PV曲線の概略図である。第5の実施形態とは異なり、出力PV曲線は、固定電圧制限部分G5C5をさらに含む。この実施では、点G5におけるコンバータの出力電圧の上限=点C5における電圧=600V/14=42.86Vであり、膨張係数は1.3である。したがって、模擬電圧制限部分C5D5の端点D5に対応する電圧=30.69V×1.3=39.90Vである。
【0080】
この実施では、コンバータはブーストコンバータである。具体的には、コンバータは模擬電圧制限部分C5D5においてブーストモードで動作し、コンバータは定電力部分D5E5においてブーストモードで動作し、コンバータの入力電圧は常に点Bにおける電圧であり、出力電圧を点D5における電圧と点E5における電圧との間で変化させることができる。
【0081】
図12は、本願の一実施形態に係るコンバータの機能ブロック図である。つまり、
図1のコンバータ20は
図12の構造を用いることによって実施され得る。
図12に示すように、コンバータ20は、DC/DC回路21、サンプリング回路22、コントローラ23及びメモリ24を含む。DC/DC回路21、サンプリング回路22、コントローラ23及びメモリ24の機能は集積回路を用いることによって実施されてもよく、直流/直流(DC/DC)回路21、サンプリング回路22、コントローラ23及びメモリ24はPCB(プリント回路基板、Printed Circuit Board)に統合されている。プリント回路基板はプリント配線基板とも呼ばれ、重要な電子部品であり、電子部品の支持体であり、電子部品に電気的に接続されるキャリアである。
【0082】
本願のこの実施形態では、DC/DC回路21は少なくとも1つの太陽電池モジュールに対応して接続され、コンバータ20の入力端として用いられ、太陽電池モジュール10の出力電圧を調整する。別の実施形態では、コンバータ20は複数のDC/DC回路21を含んでもよく、各DC/DC回路21は少なくとも1つの太陽電池モジュール10に接続されている。
【0083】
具体的な実施形態では、DC/DC回路21は電力変換モードで動作して、入力端で太陽電池モジュール10の直流電気エネルギーに電力変換を行い、次に、変換された直流電気エネルギーを出力端に出力するか又はストレートスルーモードで動作して、入力端と出力端とを直接接続し得る。特定の実際の用途では、回路設定は、特定の用途環境に基づいてDC/DC回路21に対して行われてもよく、例えば、バック回路、ブースト回路、バックブースト回路等が設定され得る。
【0084】
サンプリング回路22は、太陽電池モジュール10の出力電圧及び出力電圧に対応する電流を検出するために、DC/DC回路21に電気的に接続される。特定の実際の用途では、サンプリング回路22はセンサ、例えば電流センサを含み得る。
【0085】
コントローラ23は、DC/DC回路21、サンプリング回路22及びメモリ24に別々に電気的に接続されている。コントローラ23は、命令の機能要件に基づいて全ての部品の作業を調整することができる部品であり、システムの神経センター及びコマンドセンターであり、命令レジスタ(Instruction Register、IR)、プログラムカウンタ(Program
Counter、PC)、オペレーションコントローラ(Operation Controller、OC)の3つの部品から通常構成され、システム全体の秩序ある作業を調整する上で重要な役割を果たす。本明細書におけるコントローラ23は、データ(例えば、コンピュータプログラム命令)を処理するように構成された1つ以上の装置、回路及び/又は処理コアであり得る。
別の実施形態では、コントローラ23はプロセッサであり得るか又は複数の処理要素の総称であり得る。例えば、プロセッサは汎用中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)であり得るか又は特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)又は本発明の解決策のプログラムの実行を制御するように構成された1つ以上の集積回路、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)であり得る。特定の実施の間、一実施形態では、プロセッサは1つ以上のCPUを含み得る。
【0086】
この実施では、コントローラ23は、コンバータ100の出力を制御するために、前述の制御方法を行うように構成されている。
【0087】
メモリ24は、静的情報及び静的命令を記憶可能な読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)又は他のタイプの静的記憶装置であり得るか又は情報及び命令を記憶可能なランダムアクセスメモリ(ランダムアクセスメモリ、RAM)又は他のタイプの動的記憶装置であり得るか又は電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(Compact Disk Read-Only Memory、CD-ROM)又は他のコンパクトディスク記憶装置、光ディスク記憶装置(コンパクトディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイディスク等を含む)、磁気ディスク記憶媒体又は他の磁気記憶装置又は命令又はデータ構造の形態の予期されるプログラムコードを搬送又は記憶するように構成され、コンピュータによってアクセス可能な他の任意の媒体であり得る。これは、これらに限定されない。メモリ24は独立して存在してもよい。あるいは、メモリ24はコントローラ23と統合され得る。メモリ24は、太陽電池モジュール10の電流、電圧及び電力等のデータを記憶するように構成され得る。
【0088】
本願のこの実施形態では、メモリ24は、本願の解決策を実行するためのアプリケーションコードを記憶するようにさらに構成され、コントローラ23は実行を制御する。具体的には、コントローラ23は、メモリ24に記憶されたアプリケーションコードを実行するように構成されている。
【0089】
本願のこの実施形態に示す構造は、コンバータ20に対する特定の限定を成すものではないことが理解されよう。本願の一部の他の実施形態では、コンバータ20は、図示のものよりも多くの又は少ないコンポーネントを含み得るか又は一部のコンポーネントを組み合わされ得るか又はいくつかのコンポーネントが分割されるか又は異なるコンポーネントの配置を有し得る。図に示すコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせを用いることにより実施され得る。
【0090】
当業者であれば、便利で簡単な説明のために、前述の装置及びユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法の実施形態における対応するプロセスを参照すべきことが明らかであり、詳細については、ここでは再度説明しない。
【0091】
本明細書における実施形態は、全て漸進的に記載されており、実施形態における同じ又は同様の部分についてはこれらの実施形態を参照し、各実施形態は他の実施形態との差異に焦点を当てている。実施形態で開示された方法は実施形態で開示された装置に対応するために簡潔に説明されている。関連部分については、装置の説明を参照されたい。
【0092】
なお、簡単な説明のために、前述の方法の実施形態は一連の動作としている。しかしながら、当業者であれば、本願によれば、一部のステップは他の順序で又は同時に行われ得るため、本願は説明した動作の順序に限定されないことが分かる。
【0093】
本願の実施形態における方法の一連のステップは、実際の要件に基づいて調整、組み合わせ又は取り除かれ得る。
【0094】
本願の実施は、異なる技術的効果を得るためにランダムに組み合わせられ得る。
【0095】
前述の実施形態の全て又は一部はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせを用いることによって実施され得る。本実施形態を実施するためにソフトウェアが用いられる場合、実施形態の全て又は一部は、コンピュータプログラム製品の形態で実施され得る。コンピュータプログラム製品は1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がロードされ、コンピュータ上で実行された場合、本願に係る手順又は機能の全て又は一部が生成される。コンピュータは汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク又は他のプログラム可能な装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶され得るか又はコンピュータ読み取り可能記憶媒体から別のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に送信され得る。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンタから他のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンタに有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ又はデジタル加入者線)又は無線(例えば、赤外線、無線又はマイクロ波)で送信され得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はコンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体であり得るか又は1つ以上の使用可能な媒体を統合するデータ記憶装置、例えばサーバ又はデータセンタであり得る。使用可能な媒体は磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、固体ディスク(Solid-State Disk))等である。
【0096】
要約すると、前述の説明は本発明の技術的解決策の実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図していない。本発明の開示に従ってなされる変更、同等の置き換え又は改良は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。