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特許7308392炉の制御システム、炉の制御方法およびその制御システムを備える炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】炉の制御システム、炉の制御方法およびその制御システムを備える炉
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20230707BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20230707BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20230707BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
F23G5/50 A
F27D19/00 Z ZAB
F27D21/00 A
F27D21/00 G
F27D17/00 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019142955
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021025687
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤島 祥一
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-241635(JP,A)
【文献】特開2016-008761(JP,A)
【文献】特開2019-074240(JP,A)
【文献】特開平10-160142(JP,A)
【文献】特開平10-001707(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03499161(EP,A1)
【文献】特開平11-230682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
F27D 19/00
F27D 21/00
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを備え、金属材料を溶解するための炉の制御システムであって、
過去の炉に関するデータ、金属材料に関するデータおよび排ガスに関するデータを学習データとして用いて知的情報処理技術によって生成される揮発性有機化合物に由来する可燃性ガスの状態量推定モデルを用いて、予測因子データに対応する可燃性ガス状態量を算出する、可燃性ガス状態量算出部と、
前記可燃性ガス状態量算出部で算出された、可燃性ガス状態量に基づいて、炉の燃焼を制御する燃焼制御部と、を有し、
前記燃焼制御部は、算出された可燃性ガス状態量に対応して、
(1)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少または増加する、
(2)バーナに供給される酸化剤を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して増加または減少する、または、
(3)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少し、および/またはバーナに供給される酸化剤を増加する、
炉の制御システム。
【請求項2】
前記燃焼制御部は、算出された可燃性ガス状態量に対応して
(4)バーナとは別体の酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する、または、
(5)バーナに供給される燃料および酸化剤を減少し、かつ、酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する、
請求項1に記載の炉の制御システム。
【請求項3】
前記算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置に表示する表示制御部を有する。請求項1または2に記載の炉の制御システム。
【請求項4】
学習データを生成する学習データ生成部と、
教師データを生成する教師データ生成部と、
学習データと教師データとを用いて可燃性ガス状態量推定モデルを生成する推定モデル生成部とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の炉の制御システム。
【請求項5】
炉本体と、
前記炉本体に設けられるバーナと、
前記炉本体から排出される排ガスの排出口と、
前記排出口から一定の隙間を有して設けられる排気ダクトと、
前記排気ダクト内において、排ガスに含まれる未燃ガス、と前記隙間から流入された空気とが燃焼反応を起こす燃焼領域と、
前記燃焼領域の温度および/または圧力を測定する温度測定部および/または圧力測定部と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の炉の制御システムと、
を備える、バーナを備え、金属材料を溶解するための炉。
【請求項6】
バーナを備え、金属材料を溶解するための炉の燃焼制御方法であって、
過去の炉に関するデータ、金属材料に関するデータおよび排ガスに関するデータを学習データとして用いて知的情報処理技術によって生成される揮発性有機化合物に由来する可燃性ガスの状態量推定モデルを用いて、予測因子データに対応する可燃性ガス状態量を算出する、可燃性ガス状態量算出ステップと、
前記可燃性ガス状態量算出ステップで算出された、可燃性ガス状態量に基づいて、炉の燃焼を制御する燃焼制御ステップと、を含み、
前記燃焼制御ステップは、算出された可燃性ガス状態量に対応して、
(1)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少または増加する、
(2)バーナに供給される酸化剤を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して増加または減少する、または、
(3)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少し、および/またはバーナに供給される酸化剤を増加する、
炉の燃焼制御方法。
【請求項7】
前記燃焼制御ステップは、算出された可燃性ガス状態量に対応して、
(4)バーナとは別体の酸化剤供給手段酸化剤を供給する、または、
(5)バーナに供給される燃料および酸化剤を減少し、かつ、酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する、
請求項に記載の炉の燃焼制御方法。
【請求項8】
前記算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置に表示する表示ステップを、含む。請求項またはに記載の炉の燃焼制御方法。
【請求項9】
学習データを生成する学習データ生成ステップと、
教師データを生成する教師データ生成ステップと、
学習データと教師データとを用いて可燃性ガス状態量推定モデルを生成する推定モデル生成ステップとを含む、請求項からのいずれか1項に記載の炉の燃焼制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉の制御システムおよび炉の制御方法に関し、例えば、金属などを溶解させるための溶解炉、廃棄物などを焼却するための焼却炉、工業原料や廃棄物などを溶融するための溶融炉などを制御する制御システム、または制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶解炉(例えば、回転炉、反射炉、電気炉)、焼却炉、溶融炉などの炉(以下炉と表記する)においてバッチプロセスが行われている。例えば、スクラップ(リサイクル資源)を溶解するバッチプロセスにおいて、プラスチックやカーボンの投入量が増えたり、有機物が付着した溶融物や焼却物が投入されたりすると、これらが炉内で高温となった時に揮発し発生する揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)に由来する可燃性ガス(以下、単に「可燃性ガス」と称する。)を加熱エネルギーとして有効活用し、通常状態でスクラップ材料を溶解させたり、廃棄物を焼却する為に利用する燃料と酸化剤を混合させて燃焼させるバーナに対し、供給する燃料を削減する、または酸化剤(例えば酸素または空気)を添加する事で効率改善を図ることが行われている。
【0003】
特許文献1は、排気ガス温度を測定することにより炉内の一酸化炭素発生量増加を検知し、炉内に導入される燃料や酸化剤の量を最適化する方法を提案する。
最適化の為の状態量算出のデータ集積の為に、発生した可燃性ガスが周囲の空気中の酸素などの酸化剤と混ざり発火する燃焼反応を起こすことで、炉から出る排ガスの排気ダクト中の温度が急上昇(または急降下)するタイミングを温度センサ(例えば熱電対)によって測定し、高濃度の一酸化炭素(CO)等の可燃性ガスが発生する、または発生を終了するタイミングを検知する方法が提案されている。
また、特許文献2は、排ガス中の一酸化炭素および/または二酸化炭素量を測定する方法として、レーザ光学式分析計を用いる分析方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2012-500959号
【文献】米国特許出願公開第2006/0202123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可燃性ガスが多く発生する時間帯は、新しい材料を炉に投入した後の数分間の一定期間であると推測される。例えば、バッチ毎で、常温の材料に含まれる揮発性有機化合物(VOC)が加熱され、揮発する温度域に到達した後に高濃度の可燃性ガスが発生し、発生を終えるまでの時間帯は、発生後数分間程度である。一方、発生した可燃性ガスを検知できるまでには、タイムラグがある。つまり炉からの排ガスが、排出経路となる排気ダクトの測定手段に移動するまでの移動時間、さらに、測定手段による測定速度と、測定結果に基づいてバーナを燃焼制御するまでの応答速度の遅れは避けられない。特許文献1では、そのライムラグがある。
【0006】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、従来のタイムラグの問題を低減させるべく、溶解、焼却または溶融のバッチプロセスの各種条件下において、炉内で発生する可燃性ガスの発生状況(濃度、時間帯)の結果を反復学習し、次回以降のバッチプロセスにおいてその発生状況を予測し、その予測結果に基づいて炉の燃焼制御を効果的に行える炉の制御システムおよび炉の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の炉の制御システムは、
過去の炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータおよび排ガスに関するデータを学習データとして用いて知的情報処理技術によって生成される揮発性有機化合物に由来する可燃性ガス(以下、単に「可燃性ガス」と称する。)の状態量推定モデルを用いて、予測因子データ(例えば、炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータなどの入力値)に対応する可燃性ガス状態量を算出する、可燃性ガス状態量算出部と、
前記可燃性ガス状態量算出部で算出された可燃性ガス状態量に基づいて、炉の燃焼を制御する燃焼制御部と、を有する。
【0008】
前記燃焼制御部は、算出された可燃性ガス状態量に対応して、以下の制御を行ってもよい。
(1)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少または増加する
(2)バーナに供給される酸化剤を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して増加または減少する
(3)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少し、および/またはバーナに供給される酸化剤を増加する
(4)バーナとは別体の酸化剤供給手段(例えば、酸化剤供給ノズル、酸化剤供給パネルなど)へ酸化剤を供給する
(5)バーナに供給される燃料および酸化剤を減少し、かつ、酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する
(6)直流電極または交流電極に印加される電圧を、予め設定されている基準電圧に対して増加または減少する
前記燃焼制御部は、(1)バーナへ燃料を供給する配管に設けられた流量制御部、(2)バーナへ酸化剤を供給する配管に設けられた流量制御部、(3)酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する配管に設けられた流量制御部、(4)電極に印加する電圧を制御する印加電圧制御部などに、目的に対応した所定の制御指令を送り、その制御指令に応じて、対応する制御対象が制御されてもよい。
また、前記燃焼制御部は、(4)酸化剤供給手段を駆動するための駆動部へ、制御指令を送り、その制御指令に応じて、酸化剤供給手段が駆動されてもよい。
燃料は、例えば、炭化水素などの有機化合物、天然ガス、メタンガス、プロパンガスなどが挙げられる。
酸化剤は、例えば、空気、酸素、酸素富化空気などが挙げられる。
流量制御部は、例えば、マスフローコントローラ、制御バルブなどが挙げられる。流量制御部に替わりまたは共に、圧力制御部が設けられいてもよい。圧力制御部は、例えば、圧力計と圧力調整弁、バックプレッシャー弁などが挙げられる。各配管に、コンプレッサー、昇圧装置などが設けられていてもよい。
【0009】
炉は、例えば、回転炉、電気炉、反射炉、焼却炉などが挙げられる。
炉は、
炉本体と、
炉本体に設けられるバーナと、
炉本体から排出される排ガスの排出口(開口でもよく、管構造でもよい)と、
排出口から一定の隙間を有して設けられる排気ダクトと、
排気ダクト内において、排ガスに含まれる未燃ガス(可燃性ガス)と前記隙間から流入された空気とが燃焼反応を起こす燃焼領域と、
前記燃焼領域の温度および/または圧力を測定する温度測定部(例えば、熱電対、非接触式温度計、赤外線センサー)および/または圧力測定部(例えば、耐熱式圧力センサー)と、を備える。
バーナは、空気バーナ機能、酸素バーナ機能、酸素ランス機能、カーボンインジェクション機能、冷却(水)機能などの各種機能を有していてもよい。
また、バーナは、燃焼を導入するための燃料導入部、酸化剤(空気または酸素)を導入するための酸化剤導入部と、燃料と酸化剤とを燃焼反応させた火炎を放出する放出部とを有していてもよい。
前記温度測定部および/または圧力測定部は、前記燃焼領域の近傍、あるいはその下流側に設けられてもよい。
炉本体の前記排出口の近傍または前記燃焼領域より上流側に設けられる、排ガス中の排ガス成分濃度(例えば、O、CO、COなど)を測定する濃度分析装置(例えば、ダイオードレーザ式分析装置、赤外線式分析計)を備えていてもよい。
炉は、バーナと別体の酸化剤供給手段(例えば、酸化剤供給ノズル、酸化剤供給パネル)を備えていてもよい。
炉は、バーナ以外の加熱エネルギー源として、電気コイル、アーク・プラズマ電極部を有していてもよい。
炉は、回転炉の場合に、所定軸(例えば、水平軸)周りに炉本体を回転させる回転機構を有していてもよい。
炉は、炉本体の重量(材料投入前後の重量)、または炉の内容物のみの重量を計測できる重量計を有していてもよい。
【0010】
「知的情報処理技術」は、例えば、機械学習、深層学習、強化学習、深層強化学習などが挙げられる。
機械学習、深層学習、強化学習、深層強化学習のアルゴリズムは、特に制限されず、従来のアルゴリズムを用いてもよい。
可燃性ガス状態量推定モデルは、新しい学習データによって、定期的に更新されてもよい。
【0011】
前記学習データは、炉に関する仕様、プロセスデータ(プロセス毎の電気、及び燃料の必要エネルギー量)、運転制御データ(電気、燃料、酸化剤の供給量)、バッチデータ(1回目のバッチか、追加バッチかの情報、何バッチ/日、電気料金に合わせた昼間、夜間運転の有無)、バッチ終了時の残湯データ(溶解を促進する為、前バッチの溶解した材料を何%残したかのデータであり、重量を計測して算出できる)、バッチ当たり投入される材料の量(重さを計測)、材料の種類および材料の品質を含む入力データ(これらを、「予測因子データ」と称する。)の中から少なくとも1種、2種、3種、4種、または5種以上のデータを含んでいてもよい。
前記学習データは、前記入力データ(予測因子データ)から所定の特徴量抽出条件に基づいて抽出された特徴量のデータをさらに含んでいてもよい。特徴量は、例えば、主成分分析、因子分析などの手法を用いて算出してもよい。
前記学習データは、可燃性ガスを検知するための応答速度の遅れ時間を考慮して、教師データと対応づけることが好ましい。
前記教師データは、炉から排出される排ガスの特徴量の時系列データ(例えば、排気ダクト内での温度、圧力、可燃性ガスの濃度の時系列データ)を少なくとも含んでいてもよい。
【0012】
前記制御システムは、学習データを生成する学習データ生成部と、教師データを生成する教師データ生成部と、学習データと教師データとを用いて可燃性ガス状態量推定モデルを生成する推定モデル生成部を有していてもよい。
別装置の情報処理装置が、学習データ生成部、教師データ生成部、可燃性ガス状態量推定モデルを有していてもよい。この場合に、前記制御システムは、別装置の情報処理装置から可燃性ガス状態量推定モデルを取得する取得部(例えば、通信部、記憶部、記憶媒体の読取装置など)を有していてもよい。
学習データ生成部は、入力データ(予測因子データ)から所定の特徴量抽出条件に基づいて特徴量を算出する特徴量算出部を有していてもよい。特徴量の抽出条件としては、例えば、主成分分析、因子分析などの手法であってもよい。
【0013】
前記制御システムは、
前記算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置に表示する表示制御部を有していてもよい。
前記表示制御部は、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも予測因子データとを共に表示してもよい。
前記表示制御部は、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも燃焼制御に関する指令量(例えば、燃料、酸化剤の供給量など)、とを共に表示してもよい。
前記表示制御部は、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも排ガスの特徴量(温度、圧力、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、酸素濃度)の時系列データとを共に表示してもよい。
表示装置は、特に制限されず、液晶モニター、有機ELモニター、CRTモニター、スマートフォン、タブレット、汎用パソコンのモニターなどが例示される。
【0014】
本発明において、溶解炉に投入される金属材料は、以下の金属元素のうち1種類以上を有する材料が例示される。鉄、アルミニウム、マンガン、スズ、亜鉛、鉛、銅などが例示される。
また、ごみなどの廃棄物としては、プラスチック、ポリ塩化ビニルを含むシート、樹脂、繊維等が例示される。
【0015】
制御システムの各構成要素は、メモリ、プロセッサー、ソフトウエアプログラムを有する情報処理装置(例えば、コンピュータ、サーバ)や、専用回路、ファームウエアなどで構成してもよい。情報処理装置は、オンプレミスまたはクラウドのいずれか一方、あるいは両方の組み合わせであってもよい。
【0016】
他の本発明の炉の制御方法は、
過去の炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータおよび排ガスに関するデータを学習データとして用いて知的情報処理技術によって生成される揮発性有機化合物に由来する可燃性ガスの状態量推定モデルを用いて、予測因子データ(例えば、炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータ)に対応する可燃性ガス状態量を算出する、可燃性ガス状態量算出ステップと、
前記可燃性ガス状態量算出ステップで算出された、可燃性ガス状態量に基づいて、炉の燃焼を制御する燃焼制御ステップと、を含む。
【0017】
前記燃焼制御ステップは、算出された可燃性ガス状態量に対応して、以下の制御を行ってもよい。
(1)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少または増加する
(2)バーナに供給される酸化剤を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して増加または減少する
(3)バーナに供給される燃料を予め設定されている基準のバーナ燃焼状態に対して減少し、および/またはバーナに供給される酸化剤を増加する
(4)バーナとは別体の酸化剤供給手段(例えば、酸化剤供給ノズル、酸化剤供給パネルなど)へ酸化剤を供給する
(5)バーナに供給される燃料および酸化剤を減少し、かつ、酸化剤供給手段へ酸化剤を供給する
【0018】
前記制御方法は、
前記算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置に表示する表示ステップを含んでいてもよい。
前記表示ステップは、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも予測因子データとを共に表示してもよい。
前記表示ステップは、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも燃焼制御に関する指令量とを共に表示してもよい。
前記表示ステップは、前記算出された可燃性ガス状態量と、少なくとも排ガスの特徴量の時系列データとを共に表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1の回転炉の制御システムの一例を示す図である。
図2】構成要素の機能ブロック図の一例である。
図3】学習データおよび教師データの一例を示す図である。
図4】算出された可燃性ガス状態量(予測値)に対する燃焼制御の一例を示す図である。
図5】実施形態2の電気炉の制御システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は、制御システムを備える回転炉の一例を示す。
回転炉は、所定軸(例えば、水平軸)周りに回転させる回転機構(不図示)によって回転可能な炉本体30と、炉本体30に設けられるバーナ20と、炉本体30から排出される排ガスの排出口34を備える。
濃度分析装置52は、排出口34の近傍に設けられる。濃度分析装置52は、排ガス中の揮発ガス成分(例えば、O、CO、COなど)の濃度をリアルタイムで測定し、測定値を制御システム10へ送る。
排出口34から一定の隙間35を有して、排気ダクト40が設けられる。排気ダクト40は、L字状であるがこれに制限されない。排気ダクトには、大気排出可能なレベルまで排ガスを除害処理するための除害装置60と、その上流または下流側に排気用ファン(不図示)が設けられる。
排気ダクト内の燃焼領域45において、排ガスに含まれる可燃性ガスと、隙間35から流入された空気とが燃焼反応を起こす。温度測定部54(例えば、熱電対)は、この燃焼領域45で燃焼が確認できたか否かの判定のために、燃焼領域45の近傍、かつそれより下流領域にある排ガスの温度をリアルタイムで測定し、測定値を制御システム10へ送る。所定の温度上昇があれば、可燃性ガスが生じていると判断される。
【0021】
バーナ20は、空気バーナ、酸素バーナの機能を有し、燃焼を導入するための燃料導入部21、空気を導入するための空気導入部22と、酸素を導入するための酸素導入部23と、燃料と酸化剤(空気、酸素)とを燃焼反応させた火炎25を放出する放出部24を有する。各導入部は、配管、仕切弁、圧力調整弁、流量調節弁などを有して構成され、各供給源(燃料タンク、空気タンク、酸素タンクなど)と接続される。
燃料導入部21には、バーナ20へ燃料を供給する供給量を制御する燃料流量制御部211が設けられている。空気導入部22には、バーナ20へ空気を供給する供給量を制御する空気流量制御部221が設けられている。酸素導入部23には、バーナ20へ酸素を供給する供給量を制御する酸素流量制御部231が設けられている。
【0022】
制御システム10は、溶解処理のバッチプロセスを全般的に制御し、例えば、バーナの駆動制御、回転機構(不図示)の駆動制御(開始および終了)、溶解した材料を他へ移送する制御、材料を投入する制御などを行う。
制御システム10には、各種設定値が入力されまたはメモリ16に記憶されている。
各種設定値(後述入力データにも利用される)は、例えば、回転炉に関する仕様(種類、容積、能力)、材料に関するデータ(材料の種類、材料の品質)、プロセスデータ、必要エネルギー量、溶解温度設定値、バッチデータ、残湯の設定値、バッチごとに投入材料の重量設定値、バーナとアークのエネルギー比率(アーク電極部を有する場合)、タイムラグ設定値(エネルギー投入後から可燃性ガスが発生するまでの時間、応答速度の遅れ時間)などが挙げられ、メモリ16に記憶される。
制御システム10は、濃度分析装置52で測定された揮発ガス成分濃度と、温度測定部54で測定された温度とを、測定時刻(あるいはメモリにそれを記憶した時刻)と紐づけて、メモリ16に記憶する。
制御システム10は、バッチごとの運転制御データ(バーナの出力(燃料、酸素、空気の供給量など)を、時刻(あるいはメモリにそれを記憶した時刻)と紐づけて、メモリ16に記憶する。
【0023】
可燃性ガス状態量算出部12は、可燃性ガス状態量推定モデルを用いて、予測因子データ(例えば、炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータなど)に応じて、可燃性ガス状態量を算出する。これにより、炉内で発生する可燃性ガスを予測できる。予測因子データは、後述する学習データを構成する入力データをすべてまたはそれらの内から選択した複数を含んでいてもよく、さらに教師データを構成する排ガスの特徴量の時系列データを含んでいてもよい。
可燃性ガス状態量推定モデルは、ソフトウエアプログラムであり、モデル記憶部13に保存されている。可燃性ガス状態量推定モデルの生成方法は後述する。
【0024】
燃焼制御部11は、算出された可燃性ガス状態量に基づいて、炉内の燃焼を制御する。燃焼制御部11は、燃料流量制御部211と、空気流量制御部221と、酸素流量制御部231へ制御指令を送り、その制御指令に応じて、各供給量を制御する。
本実施形態において、燃焼制御部11は、算出された可燃性ガス状態量に対応して、以下の制御を行う。
(1)可燃性ガスが閾値以上発生すると予測されるタイミングで、バーナ20に供給される燃料の供給量を、所定期間だけ基準供給量の所定%分減少して供給する。
(2)可燃性ガスが閾値以上発生すると予測されるタイミングで、バーナ20に供給される酸素および/または空気の供給量を、所定期間だけ基準供給量の所定%分増加して供給する。
ここで、それぞれの供給量を増加減しているが、必要エネルギー量を満足させるように、可燃性ガス発生量に応じてそれぞれの所定%が設定される。
所定期間は、可燃性ガスが閾値以上発生していると予測される期間であってもよい。
また、所定期間だけ各供給量を増加減させているが、これに制限されず、可燃性ガスが閾値以下になると予測されるタイミングで基準供給量に戻すようにしてもよい。
【0025】
表示制御部14は、算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置19に表示する。図4は、表示例を示す。図4の上から順に、排気ダクト40内の温度測定値、炉内で発生する可燃性ガス状態量の予測値、燃料供給量、酸化剤供給量などであり、初期バッチと第二バッチが区別できるように示した。
排気ダクト40内の温度測定値において、可燃性ガス発生予測に基づいて燃料と酸化剤の供給量を制御することで、炉内で可燃性ガスを燃焼できるため、排気ダクト40内の温度測定値は略一定であり、ピークがない。一方、可燃性ガス発生予測に基づいて燃料と酸化剤の供給量を制御しない場合には、破線で示すようなピークが観測される。この破線ピークが可燃性ガス発生時と所定期間のタイムラグがあることは上述したとおりである。
通信部15は、後述するモデル生成装置100や他のデバイス(タブレット、スマートフォンなど)とデータのやり取りをする通信機能である。
【0026】
(可燃性ガス状態量推定モデルの生成方法)
モデル生成装置100は、制御システム10と、各種データのやり取りが可能に通信機能を有する。
モデル生成装置100は、学習データを生成する学習データ生成部101と、教師データを生成する教師データ生成部102、学習データと教師データとを用いて可燃性ガス状態量推定モデルを生成する推定モデル生成部103を有する。
モデル生成装置100は、機械学習、深層学習のアルゴリズムなどで構築されたソフトウエアプログラムを実行できるハードウエア(通信機能、バス、メモリ、プロセッサー(MPU、GPU)、I/Oインターフェースなど)を備える。
【0027】
学習データ生成部101は、炉に関する仕様、プロセスデータ(プロセス毎の必要エネルギー量)、運転制御データ(電力量、燃料、酸化剤の供給量)、バッチデータ(1回目のバッチか、追加バッチかの情報、何バッジ/日、電気料金に合わせた昼間、夜間運転の有無)、バッチ終了時の残湯データ(溶解を促進する為、前バッチの溶解した材料を何%残したかのデータであり、重量を計測して算出できる)、バッチ当たり投入される材料の量(重さを計測)、材料の種類および材料の品質などの入力データの中から少なくとも5種以上のデータを含むように、学習データを生成する。図3に学習データのリスト例を示す。各種学習データは、過去の入力データを使用することができる。
【0028】
教師データ生成部102は、排ガスの特徴量の時系列データ(例えば、排気ダクト内での温度、圧力、揮発ガス成分の濃度の時系列データ)を教師データに設定する。図3に教師データのリスト例を示す。
本実施形態では、排気ダクト内での温度を教師データに選択する。過去の入力データに対応したときの排ガスの特徴量の時系列データであり、制御システム10のメモリ16に蓄積されたデータを使用できる。
推定モデル生成部103は、学習データ生成部101で生成された学習データと、教師データ生成部102で生成された教師データとを用いて、機械学習または深層学習のアルゴリズムを使用して、可燃性ガス状態量推定モデルを生成する。
【0029】
推定モデル生成部103は、可燃性ガスの応答速度の遅れ時間を考慮して、学習データと教師データと対応づけを行ったうえで、可燃性ガス状態量推定モデルを生成する。
「応答速度の遅れ時間」には、例えば、移動遅延時間(炉から排気ダクトの測定手段までに移動するまでの移動時間)、測定手段による測定遅延時間と、測定結果に基づいてバーナなどの燃焼制御を開始するまでのフィードバック遅れ時間などを含んでいてもよい。
「応答速度の遅れ時間」は、予め設定されていてもよく、例えば、経験則、実験により設定してもよく、学習データから設定してもよく、バーナ、測定手段の種類、バーナなどの制御装置の仕様に応じて設定されてもよい。
すなわち、実際に、炉で発生した可燃性ガスの時刻と、可燃性ガスを測定(教師データに相当する測定値)する測定地点までそれが移動した時刻は異なっており、両者の時刻差には、少なくとも移動遅延時間および測定遅延時間を考慮する必要がある。それらと共に、フィードバック遅れ時間も考慮してもよいが、制御遅延として予め見込んで、燃焼制御部が制御指令を発するタイミングを早めることで対応することもできる。
可燃性ガス状態量推定モデルは、例えば、ソフトウエアプログラム、専用電子回路や組み込みファームウエアとして構成されていてもよい。ソフトウエアプログラムは、メモリに記憶され、プログラム手順がプロセッサーによって実行されてもよい。本実施形態では、可燃性ガス状態量推定モデルは、ソフトウエアプログラムとして制御システム10のモデル記憶部13に保存される。
【0030】
(実施形態2)
図5は、制御システムを備える電気炉の一例を示す。
電気炉は、炉本体530と、炉本体530を左右のいずれか一方へ傾斜する、伸縮ロッドを有する傾斜装置532と、炉本体530の側面に取り付けされる多機能バーナ511および酸素バーナ512と、炉本体530から排出される排ガスの排出口534を備える。排出口34は炉本体530の天面でもよく、側面上方に設けられていてもよい。少なくとも1つの直流電極(陰極)501が天面から下方へのび、1つまたは複数の直流電極(陽極)502が底部に設けられている。実施形態2は、直流電極に限らず交流電極であってもよい。
濃度分析装置552は、排出口534の近傍に設けられる。濃度分析装置552は、排ガス中の揮発ガス成分(例えば、O、CO、COなど)の濃度をリアルタイムで測定し、測定値を制御システム(不図示)へ送る。
排出口534から一定の隙間535を有して、排気ダクト540が設けられる。排気ダクト540は、直線状であるがこれに制限されない。排気ダクトには、大気排出可能なレベルまで排ガスを除害処理するための除害装置560と、その上流または下流側に排気用ファン(不図示)が設けられる。
排気ダクト内の燃焼領域545において、排ガスに含まれる可燃性ガスと、隙間535から流入された空気とが燃焼反応を起こす。温度測定部554(例えば、熱電対)は、この燃焼領域545で燃焼が確認できたか否かの判定のために、燃焼領域545の近傍、かつそれより下流領域にある排ガスの温度をリアルタイムで測定し、測定値を制御システム(不図示)へ送る。所定の温度上昇があれば、可燃性ガスが生じていると判断される。
【0031】
多機能バーナ511は、空気バーナ、酸素バーナの機能を有し、燃焼を導入するための燃料導入部(不図示)、空気を導入するための空気導入部(不図示)と、酸素を導入するための酸素導入部(不図示)と、燃料と酸化剤(空気、酸素)とを燃焼反応させた火炎を放出する放出部(不図示)を有する。各導入部は、配管、仕切弁、圧力調整弁、流量調節弁などを有して構成され、各供給源(燃料タンク、空気タンク、酸素タンクなど)と接続される。
燃料導入部には、多機能バーナ511へ燃料を供給する供給量を制御する燃料流量制御部(不図示)が設けられている。空気導入部には、多機能バーナ511へ空気を供給する供給量を制御する空気流量制御部(不図示)が設けられている。酸素導入部には、多機能バーナ511へ酸素を供給する供給量を制御する酸素流量制御部(不図示)が設けられている。
酸素バーナ512は、酸素を導入するための酸素導入部(不図示)と酸素を放出する放出部(不図示)を有する。酸素導入部は、配管、仕切弁、圧力調整弁、流量調節弁などを有して構成され、酸素供給源(タンクなど)と接続される。酸素導入部には、酸素バーナ512へ酸素を供給する供給量を制御する酸素流量制御部(不図示)が設けられている。
【0032】
制御システム(不図示)は、溶解処理のバッチプロセスを全般的に制御し、例えば、直流電極(陰極)501と直流電極(陽極)502に印加する電圧制御、多機能バーナ511の駆動制御、酸素バーナ512の駆動制御、傾斜装置532の駆動制御(開始および終了)、溶解した材料を他へ移送する制御、材料を投入する制御などを行う。
制御システム(不図示)には、各種設定値が入力されまたはメモリ(不図示)に記憶されている。
各種設定値(後述入力データにも利用される)は、例えば、電気炉に関する仕様(種類、容積、能力)、材料に関するデータ(材料の種類、材料の品質)、プロセスデータ、必要エネルギー量、溶解温度設定値、バッチデータ、残湯の設定値、バッチごとに投入材料の重量設定値、バーナとアークのエネルギー比率、タイムラグ設定値(エネルギー投入後から可燃性ガスが発生するまでの時間、応答速度の遅れ時間)などが挙げられ、メモリ(不図示)に記憶される。
制御システム(不図示)は、濃度分析装置552で測定された揮発ガス成分濃度と、温度測定部554で測定された温度とを、測定時刻(あるいはメモリにそれを記憶した時刻)と紐づけて、メモリ(不図示)に記憶する。
制御システム(不図示)は、バッチごとの運転制御データ(バーナの出力(燃料、酸素、空気の供給量など)を、時刻(あるいはメモリにそれを記憶した時刻)と紐づけて、メモリ(不図示)に記憶する。
【0033】
可燃性ガス状態量算出部(不図示)は、可燃性ガス状態量推定モデルを用いて、予測因子データ(例えば、炉に関するデータ、材料に関するデータ、プロセスに関するデータなど)に応じて、可燃性ガス状態量を算出する。これにより、炉内で発生する可燃性ガスを予測できる。予測因子データは、後述する学習データを構成する入力データをすべてまたはそれらの内から選択した複数を含んでいてもよく、さらに教師データを構成する排ガスの特徴量の時系列データを含んでいてもよい。
可燃性ガス状態量推定モデルは、ソフトウエアプログラムであり、モデル記憶部(不図示)に保存されている。可燃性ガス状態量推定モデルの生成方法は後述する。
【0034】
燃焼制御部(不図示)は、算出された可燃性ガス状態量に基づいて、炉内の燃焼を制御する。燃焼制御部(不図示)は、印加電圧制御部(不図示)と、燃料流量制御部と、空気流量制御部と、酸素流量制御部へ制御指令を送り、その制御指令に応じて、印加電圧、各供給量を制御する。印加電圧制御部は、直流電極(陰極)501と直流電極(陽極)502に印加する電圧を制御する。
本実施形態において、燃焼制御部は、算出された可燃性ガス状態量に対応して、以下の制御を行う。
(1)可燃性ガスが閾値以上発生すると予測されるタイミングで、多機能バーナ511に供給される燃料の供給量を、所定期間だけ基準供給量の所定%分減少して供給する。
(2)可燃性ガスが閾値以上発生すると予測されるタイミングで、多機能バーナ511に供給される酸素および/または空気の供給量を、所定期間だけ基準供給量の所定%分増加して供給する。
(3)可燃性ガスが閾値以上発生すると予測されるタイミングで、酸素バーナ512に供給される酸素の供給量を、所定期間だけ基準供給量の所定%分増加して供給する。
(4)直流電極または交流電極に印加される電圧を、予め設定されている基準電圧に対して増加または減少する
ここで、それぞれの供給量、印加電圧を増加減しているが、必要エネルギー量を満足させるように、可燃性ガス発生量に応じてそれぞれの所定%が設定される。
所定期間は、可燃性ガスが閾値以上発生していると予測される期間であってもよい。
また、所定期間だけ各供給量を増加減させているが、これに制限されず、可燃性ガスが閾値以下になると予測されるタイミングで基準供給量に戻すようにしてもよい。
【0035】
表示制御部(不図示)は、算出された可燃性ガス状態量を時系列グラフとして表示装置(不図示)に表示する。
通信部(不図示)は、上述したモデル生成装置100や他のデバイス(タブレット、スマートフォンなど)とデータのやり取りをする通信機能である。
【0036】
実施形態2において、多機能バーナ511と、酸素バーナ512とを設けた構成を例示したが、これに制限されず、ずれか一方が備わっていてもよい。
【0037】
(別実施形態)
炉は、回転炉または電気炉に制限されず、反射炉、焼却炉であってもよい。
濃度分析装置と、温度測定部とは、少なくともいずれか一方が設置されていればよい。
濃度分析装置は、ダイオードレーザ分析装置でもよく、他の装置でもよく、濃度を測定できればよい。
炉は、バーナと別体の酸化剤供給ノズルまたは酸化剤供給パネルを備え、燃焼制御部が、その酸化剤の供給制御をしてもよい。例えば、燃焼制御は、燃料と酸化剤の供給量を増加減するものに制限されず、バーナに供給される燃料および酸化剤を減少し、かつ酸化剤供給ノズルへ酸化剤を供給してもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 制御システム
11 燃焼制御部
12 可燃性ガス状態量算出部
13 モデル記憶部
14 表示制御部
20 バーナ
30 炉本体
35 隙間
40 排気ダクト
45 燃焼領域
52 濃度分析装置
54 温度測定部
図1
図2
図3
図4
図5