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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】自転車用前部チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/08 20200101AFI20230707BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B62J17/08
B62J1/00 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020094083
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2020200030
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2019107526
(32)【優先日】2019-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】萩藤 紘行
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144953(JP,A)
【文献】特開2016-037082(JP,A)
【文献】特開2016-130073(JP,A)
【文献】特開2016-196269(JP,A)
【文献】特開2012-011816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00, 1/16-1/26
17/08-17/086
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル及びハンドルポストに装着固定できるヘッドレスト付き前部チャイルドシートを被覆するためのチャイルドシートカバーであって、
前記チャイルドシートの少なくとも前方部と足乗せ部を含む両側方部を被覆できるカバー本体部と、前記チャイルドシートに腰かけた幼児の頭部を被覆するための底部が開口したボックス形状又は袋形状のカバー上部と、これらカバー本体部とカバー上部を取り付けるために前記チャイルドシートのヘッドレスト及び/又は背凭れの背面に装着できる装着補助プレートとからなり、
前記装着補助プレートの背面側又は両側面背面側には、前記カバー上部の背面側又は両側面背面側下方部に設けた係合部材と相互に係合する係合部材が設けられ、前記カバー上部を前記装着補助プレートに着脱自在に且つ上下移動可能に係合することができ、
前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部には、前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材と相互に係止する係止部材が設けられ、前記カバー本体部を前記装着補助プレートに着脱自在に係止することができ、
前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部にはこれらハンドルグリップを外部に露出させるための孔部又は切込み部が形成され、
前記カバー上部の前方下縁には前記カバー本体部の前方上方部と相互に連結分離可能な連結部材を設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項2】
前記カバー上部に係合部材を2個設け、これに対応するように前記装着補助プレート側にもその係合部材を2個設け、後者のそれぞれの係合部材は、前記装着補助プレートの背面側又は両側面背面側の上下方向に設けた帯状部材に沿って上下に移動できるようにして上下移動可能としたことを特徴とする請求項1に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記カバー上部に設けた係合部材と前記装着補助プレートに設けた係合部材が、雌雄のバックル部材からなり、前記装着補助プレートに設けた係合部材の下端部に環状部を形成し、この環状部に前記帯状部材を挿通して前記環状部が前記帯状部材に沿って上下に移動でき、
更に、前記帯状部材にストッパー部材を設け、このストッパー部材を上下の特定の位置に固定することにより前記係合部材の最下方位置が規定されることを特徴とする請求項2に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項4】
前記カバー上部の前方下縁と前記カバー本体部の前方上方部に設けた連結部材が雌雄のバックル部材からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項5】
前記装着補助プレートを前記チャイルドシートのヘッドレストの背面部に装着するための装着部材が一対のベルト部材からなり、これらのベルト部材は、前記装着補助プレートの上下方向に配設されて前記ヘッドレストに縦方向に巻き付けて装着固定できることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項6】
前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部に設けた係止部材及び前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材が相互に着脱自在に係止できる雌雄の留めホックからなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項7】
前記カバー本体部の両側面部の両後方縁部に相互に連結離脱できる連結ベルトを設け、このカバー本体部をチャイルドシートに装着して前記連結ベルトを相互に連結して装着することができることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項8】
前記カバー本体部の前方上方部の適宜位置に、覆い部材を有する外気導入口を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項9】
前記カバー上部が透明の素材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項10】
前記カバー本体部の前方上方部および側面部上方部に芯材を配設したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項11】
前記カバー本体部の前記チャイルドシートの足乗せ部に対応する周縁部に伸縮自在の伸縮部材を設けて、当該足乗せ部周縁部を前記チャイルドシートの足乗せ部に引っ掛けて装着できることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項12】
前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部に設けた切込み部の切込み端部にはそれぞれ着脱自在の雌雄の係止留めホックを設けたことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項13】
前記チャイルドシートに幼児を乗降させる際には、前記カバー上部の前方の連結部材又は背面側又は両側面背面側の係合部材を分離して前記カバー上部を背面側に又は前方側に反転させ、前記カバー本体部の何れかの側面部の係止部材を分離し、又は更に前記ハンドルグリップ対応部の切込み部の係止留めホックを分離して行うことができることを特徴とする請求項12に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項14】
前記装着補助プレートの略中央上下方向に収束ベルトを設け、前記カバー上部の前方の連結部材を分離してこのカバー上部を巻回し又は折り畳んで装着補助プレートの背面側に反転させて、前記収束ベルトで収束又は結束することができることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項15】
自転車のハンドル及びハンドルポストに装着固定できるヘッドレスト付き前部チャイルドシートを被覆するためのチャイルドシートカバーであって、
前記チャイルドシートの少なくとも前方部と足乗せ部を含む両側方部を被覆できるカバー本体部と、前記チャイルドシートに腰かけた幼児の頭部を被覆するための底部が開口したボックス形状又は袋形状のカバー上部と、これらカバー本体部とカバー上部を取り付けるために前記チャイルドシートのヘッドレストの背面に装着できる装着補助プレートとからなり、
前記装着補助プレートの背面側には上下移動可能でストッパー部材が連接された係合部材を設け、前記カバー上部の背面部の下方縁部を前記係合部材に係合させて、前記カバー上部の下方縁部を適宜高さ位置に維持することができ、
前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部には、前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材と相互に係止する係止部材が設けられ、前記カバー本体部を前記装着補助プレートに着脱自在に係止することができ、
前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部にはこれらハンドルグリップを外部に露出させるための孔部又は切込み部が形成され、
前記カバー上部の前方下縁には前記カバー本体部の前方上方部と相互に連結分離可能な連結部材を設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項16】
前記装着補助プレートに前記係合部材を2個設け、それぞれの係合部材は、前記装着補助プレートの背面側の上下方向に設けた帯状部材に沿って上下に移動できるようにして上下移動可能としたことを特徴とする請求項15に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項17】
前記装着補助プレートに設けた係合部材が、略U字形状のクリップ部材又はフック部材から成り、これらの係合部材に前記カバー上部の背面部の下縁部が嵌合し、固定されていないことを特徴とする請求項15又は16に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項18】
前記カバー上部の前方下縁と前記カバー本体部の前方上方部に設けた連結部材が留めホックからなり、前記カバー上部の前方下縁の裏側に裏側生地を設け、この裏側生地が前記カバー本体部の前面部上縁の裏面側に配設され連結部材で連結されることを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項19】
前記裏側生地をメッシュ生地から形成し、前記カバー上部の前面部の下縁部分の両側にスライドファスナーを設けて、前記カバー上部の前面部の下縁部分を上方に捲り上げて巻回して結束することにより、前記裏側生地が現出して外気導入口となることを特徴とする請求項18に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル及びハンドルポストに後から装着固定される前部チャイルドシートのほぼ全体を被覆することができる自転車用前部チャイルドシートカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、上記した通り、前部チャイルドシート(以下単に「シート」という。)のほぼ全体を被覆できる前部チャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)に関するものである。かかるチャイルドシートカバーは、雨除けや防寒、粉塵対策や日除け等を目的として使用されるものである。
【0003】
上記前部チャイルドシートとしては、現在良く知られているように、その座部の後方には背凭れが形成され、左右の側面には側面部が形成され、その前方には幼児が両手で把持できる取手部が形成され、前記背凭れには上下に摺動するヘッドレスト(「ヘッドサポート」とも言う。)が形成された形態を有するものである。
【0004】
そして、前記取手部の前面側には自転車のハンドルとハンドルポストに装着固定できる装着部が形成され、前記座部の前方の両側には下方に延長する足乗せ部が形成されたものである(添付の図11に図示しているが、後に再度説明する。)。
また、この種のシートとしては、上記ヘッドレストが上下に摺動しない固定式のタイプも存在する。
【0005】
上記シートには、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが市販されている。
下記特許文献1に記載の発明は、本願出願人が先に提案した自転車用前部チャイルドシートカバーに関するものであり、幼児を着席し易くし、幼児の頭部の収納空間を広く取れるカバーを提供することを課題とするものである。
【0006】
その構成はカバー本体部と開閉カバー部材とから成るものであり、この本体部は、チャイルドシートの前面、両側面及び背面を被覆できる形状を有し、上面及び底面に開口部を有する。開閉カバー部材は、前記カバー本体部の上面開口部の前方側に接続し、この開閉カバー部材を、その前面部、天面部、両側面部及び背面部から形成して内部空間を保持できる形状とし、少なくとも背面部に芯材を配設することにより当該背面部が自立できる構成とし、この開閉カバー部材の下端周縁部とカバー本体部の上端周縁部とが相互に係合できるスライドファスナー等の係合手段により開閉自在に形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-144953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
まず、上記従来の前部チャイルドシートカバーにあっては、被覆される前部チャイルドシートは自転車のハンドル部に予め設けられ、固定されたものであった。
即ち、自転車ハンドル部の略U字形状に湾曲した部分にそのチャイルドシートが予め固定されたものであって、そのチャイルドシートに被覆するものであった。
【0009】
本発明にあっては、後付けの前部チャイルドシートであり、ハンドル及びハンドルポストに後から装着固定するタイプのシートを被覆できるカバーに関するものである。
後付けシートの場合には、通常の自転車のハンドル部には略U字形状の湾曲部がないために、そのヘッドレストの上端部位置がかなり高位置となる。
【0010】
従って、それを被覆するカバーの天部高さ位置も当然に高くなってしまい、自転車に乗る運転者の目線を遮ってしまうこととなるのである。
そこで、本願発明においては、自転車運転者の視界をできる限り遮らないような形態とすることが第一の課題となる。
【0011】
上記課題を解決するためには、カバー上部の高さをできる限り低くする必要があるが、それにも拘わらず、カバー内部の幼児頭部が位置する内部空間をより広くすることもその課題となる。
更には、カバー内部のシートへの乗降を容易とすること、カバー内部への外気の導入をより良好に行うこと、またその取り付けに際しても容易に行うことができるようにすること等も本願発明の課題となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル及びハンドルポストに装着固定できるヘッドレスト付き前部チャイルドシートを被覆するためのチャイルドシートカバーであって、前記チャイルドシートの少なくとも前方部と足乗せ部を含む両側方部を被覆できるカバー本体部と、前記チャイルドシートに腰かけた幼児の頭部を被覆するための底部が開口したボックス形状又は袋形状のカバー上部と、これらカバー本体部とカバー上部を取り付けるために前記チャイルドシートのヘッドレスト及び/又は背凭れの背面に装着できる装着補助プレートとからなり、前記装着補助プレートの背面側又は両側面背面側には、前記カバー上部の背面側又は両側面背面側下方部に設けた係合部材と相互に係合する係合部材が設けられ、前記カバー上部を前記装着補助プレートに着脱自在に且つ上下移動可能に係合することができ、前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部には、前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材と相互に係止する係止部材が設けられ、前記カバー本体部を前記装着補助プレートに着脱自在に係止することができ、前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部にはこれらハンドルグリップを外部に露出させるための孔部又は切込み部が形成され、前記カバー上部の前方下縁には前記カバー本体部の前方上方部と相互に連結分離可能な連結部材を設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0013】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記カバー上部に係合部材を2個設け、これに対応するように前記装着補助プレート側にもその係合部材を2個設け、後者のそれぞれの係合部材は、前記装着補助プレートの背面側又は両側面背面側の上下方向に設けた帯状部材に沿って上下に移動できるようにして上下移動可能としたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0014】
本発明の第3のものは、上記第2の発明において、前記カバー上部に設けた係合部材と前記装着補助プレートに設けた係合部材が、雌雄のバックル部材からなり、前記装着補助プレートに設けた係合部材の下端部に環状部を形成し、この環状部に前記帯状部材を挿通して前記環状部が前記帯状部材に沿って上下に移動でき、更に、前記帯状部材にストッパー部材を設け、このストッパー部材を上下の特定の位置に固定することにより前記係合部材の最下方位置が規定されることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバー。である。
【0015】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、前記カバー上部の前方下縁と前記カバー本体部の前方上方部に設けた連結部材が雌雄のバックル部材からなることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0016】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第3のそれぞれの発明において、前記装着補助プレートを前記チャイルドシートのヘッドレストの背面部に装着するための装着部材が一対のベルト部材からなり、これらのベルト部材は、前記装着補助プレートの上下方向に配設されて前記ヘッドレストに縦方向に巻き付けて装着固定できることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0017】
本発明の第6のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部に設けた係止部材及び前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材が相互に着脱自在に係止できる雌雄の留めホックからなることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0018】
本発明の第7のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の両側面部の両後方縁部に相互に連結離脱できる連結ベルトを設け、このカバー本体部をチャイルドシートに装着して前記連結ベルトを相互に連結して装着することができることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0019】
本発明の第8のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の前方上方部の適宜位置に、覆い部材を有する外気導入口を設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0020】
本発明の第9のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー上部が透明の素材から形成されていることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0021】
本発明の第10のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の前方上方部および側面部上方部に芯材を配設したことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0022】
本発明の第11のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の前記チャイルドシートの足乗せ部に対応する周縁部に伸縮自在の伸縮部材を設けて、当該足乗せ部周縁部を前記チャイルドシートの足乗せ部に引っ掛けて装着できることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0023】
本発明の第12のものは、上記それぞれの発明において、前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部に設けた切込み部の切込み端部にはそれぞれ着脱自在の雌雄の係止留めホックを設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0024】
本発明の第13のものは、上記第12の発明において、前記チャイルドシートに幼児を乗降させる際には、前記カバー上部の前方の連結部材又は背面側又は両側面背面側の係合部材を分離して前記カバー上部を背面側に又は前方側に反転させ、前記カバー本体部の何れかの側面部の係止部材を分離し、又は更に前記ハンドルグリップ対応部の切込み部の係止留めホックを分離して行うことができることを特徴とする請求項12に記載の自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0025】
本発明の第14のものは、上記それぞれの発明において、前記装着補助プレートの略中央上下方向に収束ベルトを設け、前記カバー上部の前方の連結部材を分離してこのカバー上部を巻回し又は折り畳んで装着補助プレートの背面側に反転させて、前記収束ベルトで収束又は結束することができることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバーである。
尚、上記発明において、「前方」と記載したのは、カバーを装着する自転車の進行方向を意味する。
【0026】
本発明の第15のものは、自転車のハンドル及びハンドルポストに装着固定できるヘッドレスト付き前部チャイルドシートを被覆するためのチャイルドシートカバーであって、前記チャイルドシートの少なくとも前方部と足乗せ部を含む両側方部を被覆できるカバー本体部と、前記チャイルドシートに腰かけた幼児の頭部を被覆するための底部が開口したボックス形状又は袋形状のカバー上部と、これらカバー本体部とカバー上部を取り付けるために前記チャイルドシートのヘッドレストの背面に装着できる装着補助プレートとからなり、前記装着補助プレートの背面側には上下移動可能でストッパー部材が連接された係合部材を設け、前記カバー上部の背面部の下方縁部を前記係合部材に係合させて、前記カバー上部の下方縁部を適宜高さ位置に維持することができ、前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部には、前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材と相互に係止する係止部材が設けられ、前記カバー本体部を前記装着補助プレートに着脱自在に係止することができ、前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部にはこれらハンドルグリップを外部に露出させるための孔部又は切込み部が形成され、前記カバー上部の前方下縁には前記カバー本体部の前方上方部と相互に連結分離可能な連結部材を設けたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0027】
本発明の第16のものは、上記第15の発明において、前記装着補助プレートに前記係合部材を2個設け、それぞれの係合部材は、前記装着補助プレートの背面側の上下方向に設けた帯状部材に沿って上下に移動できるようにして上下移動可能としたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0028】
本発明の第17のものは、上記第15又は第16の発明において、前記装着補助プレートに設けた係合部材が、略U字形状のクリップ部材又はフック部材から成り、これらの係合部材に前記カバー上部の背面部の下縁部が嵌合し、固定されていないことを特徴とする請求項15又は16に記載の自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0029】
本発明の第18のものは、上記第15乃至第17の発明において、前記カバー上部の前方下縁と前記カバー本体部の前方上方部に設けた連結部材が留めホックからなり、前記カバー上部の前方下縁の裏側に裏側生地を設け、この裏側生地が前記カバー本体部の前面部上縁の裏面側に配設され連結部材で連結されることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0030】
本発明の第19のものは、上記第18の発明において、前記裏側生地をメッシュ生地から形成し、前記カバー上部の前面部の下縁部分の両側にスライドファスナーを設けて、前記カバー上部の前面部の下縁部分を上方に捲り上げて巻回して結束することにより、前記裏側生地が現出して外気導入口となることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の第1のものにおいては、カバーがカバー本体部とカバー上部と装着補助プレートの3つのパーツから構成されており、まず上記装着補助プレートをヘッドレスト等の背面に装着し、その後、カバー本体部をシートの前方及び両側方に被覆してその両側面部の後方縁部に設けられた係止部材を装着補助プレートの係止部材に相互に係止して取り付け、その後、カバー上部の背面側又は両側面背面側の係合部材を装着補助プレートの係合部材と相互に係合し、カバー上部の前方とカバー本体部の前方に設けた連結部材を相互に連結して容易にシートに装着することができる。
上記カバー上部の背面側又は両側面背面側に設けた係合部材とその前方に設けた連結部材は、その何れを先に係合し又は連結してもよい。
【0032】
ここで、カバー上部の背面側又は両側面背面側に設けた係合部材と装着補助プレートに設けた係合部材を予め係合し連結させておいてもよい。
即ち、装着補助プレートをヘッドレストの背面に装着する際に、既にカバー上部が装着補助プレートと連結又は接続された状態であってもよく、これにより、より容易に装着が可能となる。
【0033】
また、本発明においては、カバー上部の係合部材と装着補助プレートに設けた係合部材とが上下移動可能に係合されているために、カバー上部の背面側が上下に移動可能となる。
即ち、本発明に係るカバー上部の天部の背面側も上下に移動可能となり、その内部空間を上方に拡張させることが可能となるのである。
【0034】
本発明の第2のものにおいては、前記カバー上部に設けた係合部材が2個設けられ、これに対応するように前記装着補助プレート側にもその係合部材を2個設け、後者のそれぞれの係合部材は、前記装着補助プレートの背面側の上下方向に設けた帯状部材に沿って上下に移動できるようにしているために、相互に係合された係合部材は、上記帯状部材に沿って上下に移動できるため、カバー上部の天部背面側も上下に移動できることとなる。
即ち、カバー上部の内部空間が上方に広がることが可能となるのである。
これにより、仮に内部に着席した幼児の頭部が天部に接触しても、その天部は上方向に移動でき、内部空間が広がることとなるのである。
【0035】
本発明の第3のものにおいては、上記係合部材の構成をより具体的に限定したものであり、その効果は上記発明と同じである。
【0036】
本発明の第4のものにおいては、前記カバー上部の前方下縁と前記カバー本体部の前方上方部に設けた連結部材をより具体化したものであり、その連結部材が雌雄のバックル部材からなることを限定したものである。
【0037】
本発明の第5のものにおいては、前記装着補助プレートに設けた装着部材をより限定したものであり、即ち、その装着部材が一対のベルト部材からなり、これらのベルト部材は、前記装着補助プレートの上下方向に配設されて前記ヘッドレストに縦方向に巻き付けて装着固定できる構成を採用した。
【0038】
本発明の第6のものにおいては、前記カバー本体部の両側面部のそれぞれの後方縁部に設けた係止部材及び前記装着補助プレートの両側部に設けた係止部材が相互に着脱自在に係止できる雌雄の留めホックからなることを特定したものである。
【0039】
本発明の第7のものにおいては、前記カバー本体部の両側面部の両後方縁部に相互に連結離脱できる連結ベルトを設け、このカバー本体部をチャイルドシートに装着して前記連結ベルトを相互に連結して装着することができることを特徴としたものである。
これにより、カバー本体部の背面側に連結ベルトが配設されて、カバー本体部の両側面部の後方縁部同士がこの連結ベルトによって連結され、より適切に張設されて装着されることとなる。
【0040】
本発明の第8のものにおいては、前記カバー本体部の前方上方部の適宜位置に、覆い部材を有する外気導入口を設けたことを特徴とするものであり、これにより、この外気導入口から外気が導入され、導入された外気は、カバー本体部とカバー上部との境界部から外部に流出することとなるのである。
というのも、本発明に係るカバーは、シートの背面に装着された装着補助プレートにカバー上部及びカバー本体部とが連結又は接続されるのであるが、その連結手段は上記係合部材及び連結部材並びに係止部材となり、カバー本体部とカバー上部とはその境界部の全体が連続的に接続されているわけではないために、両者の境界部には隙間が存在することとなるからである。この隙間から外気が流出することが可能となるのである。
【0041】
本発明の第9のものにおいては、前記カバー上部が透明の素材から形成されていることを特定したものであり、自転車運転者の前方の視界をより良好とするための限定である。
【0042】
本発明の第10のものにおいては、前記カバー本体部の前方上方部および側面部上方部に芯材を配設したものであり、これにより、カバー本体部の保形性が向上し、取り付けが容易となるものである。
【0043】
本発明の第11のものにおいては、前記カバー本体部の前記チャイルドシートの足乗せ部に対応する周縁部に伸縮自在の伸縮部材を設けることによって、当該足乗せ部周縁部を前記チャイルドシートの足乗せ部に引っ掛けて容易に装着できるようにしたものである。
【0044】
本発明の第12のものにおいては、前記カバー本体部の左右ハンドルグリップ対応部に設けた切込み部の切込み端部にそれぞれ着脱自在の雌雄の係止留めホックを設けたことを限定したものであるが、当該切込み部の構成を限定し、より具体化したものであり、これによりハンドルグリップへの取り付けがより容易となる。
【0045】
本発明の第13のものにおいては、本発明に係るカバーを取り付けた後に、幼児をシートに乗降させる際の手順を明確にしたものである。
これにより、本発明の構成をより容易に理解できることとなる。
【0046】
本発明の第14のものにおいては、前記装着補助プレートの略中央上下方向に収束ベルトを設け、前記カバー上部の前方の連結部材を分離してこのカバー上部を巻回し又は折り畳み、装着補助プレートの背面側で前記収束ベルトによって収束又は結束することができるようにしたものである。
これにより、例えば、カバー上部を使用しない時(例えば雨が降っていない時等)には、このカバー上部を巻回し又は折り畳んで装着補助プレートの背面側で前記収束ベルトによって収束し又は結束した状態で、換言すれば、カバー上部を装着補助プレートの背面に収束又は結束した状態で、幼児がシートに着席して使用することができ、カバー上部の保管場所を考慮する必要が無くなることとなるのである。
【0047】
本発明の第15のものは、上記第1の発明と同じ効果を発揮するものであるが、その構成上の相違は、前記装着補助プレートの背面側に設けられた係合部材にストッパー部材が連接されており、これら係合部材とストッパー部材とが共に一緒に上下に移動可能な点である。
これにより、カバー上部の背面部の下方縁部が適宜高さ位置に維持されることになるのである。
【0048】
本発明の第16のものにおいては、上記第15の発明において、上記係合部材及びストッパー部材が2個ずつ設けられ、これらが帯状部材に沿って上下に移動可能に構成したものであり、これらの構成をより具体化したものであり、その効果も上記第15の発明と同じである。
【0049】
本発明の第17のものにおいては、上記係合部材の構成をより具体化したものであり、即ち、当該係合部材が、略U字形状のクリップ部材又はフック部材から成り、これらの係合部材に前記カバー上部の背面部の下縁部が嵌合し、固定されていないことを特定したものである。
このように、本発明に係る係合部材は、カバー上部の背面部の下縁部と連結固定されていなくともよく、単に上記クリップ部材やフック部材と嵌合したものであっても、その高さ位置を保持又は維持することができるものである。
【0050】
本発明の第18のものにおいては、カバー上部の前方下縁部分とカバー本体部の前方上方部分の構成をより限定したものであり、即ち、カバー上部の前方下縁とカバー本体部の前方上方部に設けた連結部材が留めホックからなり、カバー上部の前方下縁の裏側に裏側生地を設け、この裏側生地がカバー本体部の前面部上縁の裏面側に配設され連結部材で連結されていることを限定したものである。
【0051】
本発明の第19のものにおいては、上記第18の発明において、前記裏側生地をメッシュ生地から形成し、前記カバー上部の前面部の下縁部分の両側にスライドファスナーを設けて、前記カバー上部の前面部の下縁部分を上方に捲り上げて巻回して結束することにより、前記裏側生地が現出して外気導入口となるものであり、カバーの前面部の下方部分に外気導入口が設けられることを特徴付けたものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の第1実施形態に係る前部チャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図2】上記実施形態の側方から見た全体説明図である。
図3】上記実施形態の斜め後方上部から見た全体説明図である。
図4】上記実施形態において、カバー上部を開放した状態の正面説明図である。
図5図4の側面説明図である。
図6】上記実施形態において、カバー上部を折り畳んで収束ベルトで収束した状態を示す背面説明図である。
図7】上記実施形態に係る帯状部材と係合部材の部分の詳細を図示しており、当該係合部材が上下に移動可能な状態を図示する右後方から見た説明図である。
図8図7において、上記係合部材の下方への移動ができない状態を図示した左後方から見た説明図である。
図9】上記実施形態に係るカバー本体部を平面的に広げた状態を示す説明図であって、その(A)が表側、その(B)が裏側を示している。
図10】上記実施形態に係る装着補助プレートを背面側から見た説明図である。
図11】上記実施形態に係るカバーが装着される前部チャイルドシートの一例を示す説明図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る前部チャイルドシートカバーをシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図13】上記実施形態を斜め後方から見た全体説明図である。
図14】上記実施形態においてカバー上部を開放した状態の側面説明図である。
図15】上記実施形態に係るカバー上部を開放した状態のカバー本体部との連結部分を前方から見て拡大した状態の説明図である。
図16】上記実施形態に係る連結部分を後方側から見て拡大した状態の説明図である。
図17】上記実施形態に係る装着補助プレートの部分を斜め後方から見た説明図である。
図18】上記実施形態に係るカバーをシートに装着した状態を後方から見た説明図である。
図19】上記実施形態に係るカバー上部の前面部の下方部分を拡大して図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る前部チャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図2は、同じく上記実施形態の側方から見た全体説明図である。
図3は、同じく上記実施形態の斜め後方上部から見た全体説明図である。
【0054】
本発明に係る前部チャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)10は、自転車のハンドル及びハンドルポストに取り付けて固定することのできる後付けタイプのチャイルドシートに装着される。
これら3図からカバー10の3つの構成部材を見て取ることは難しいが、後の図面を用いてこれら構成部材のそれぞれについては順次説明をする。
【0055】
本発明に係るカバー10は、自転車のハンドル及びハンドルポストを含むチャイルドシート(以下単に「シート」という。)の前面、両側面及び背凭れの両側部、シートの両側の足乗せ部を被覆するカバー本体部11と、乗車する幼児の頭部を含み、それを保護するヘッドレストHを被覆するカバー上部12と、これら両者を取り付けるために、ヘッドレストHの背面に接合するように装着される装着補助プレート13とから構成される。
【0056】
カバー上部12は、底部が開口したボックス形状を有し、その全体が透明のPVCシートから形成されており、それぞれの図ではその内部が透けて見えている状態である。
装着補助プレート13は、内部に芯材が設けられた板状のものからなり、ヘッドレストSの背面側と両側面側に沿うように接合し、装着される。
【0057】
この実施形態では、ヘッドレストHの背面でそれに沿うように相応しく接合するように、詳細は後に説明するが、中央部材と両側の側方部材とを相互に縫製して形成している。それぞれの内部に板状の可撓性を有する芯材が配設されているため、ヘッドレストHの背面側に相応しく接合することができるようにしたためである。
この装着補助プレート13の一部は、図3に表示されており、その中央部材13cと一方の側方部材13sとを見て取ることができる。
【0058】
上記装着補助プレート13の中央部材の両側の縦方向には一対の装着手段が設けられており、これらの装着手段によって、この装着補助プレート13がシートのヘッドレストHに装着される。
より詳しくは、この装着手段は、上記ヘッドレストHに巻回することのできるベルト部材17からなり、その一端にはバックル17bが設けられており、前記ベルト部材17の先端部17tをヘッドレストHに縦方向に巻き付け、その後、上記中央部材13cに設けた挿通孔17hに挿通させて、前記バックル17bに挿通して締着することができる。
【0059】
図3では、その左側の一方の装着手段が表示されているが、図中向こう側にも同じ構成のベルト部材が設けられている。
尚、図面では、上記ベルト部材や後に説明する帯状部材等のベルト状の構成部材に関しては、図示簡略化のために、その厚みの図示を省略している。後の図でも同様である。
【0060】
更に、この装着補助プレート13の両側方部材13s、13sのそれぞれの上下方向には帯状部材18を設けており、この帯状部材18の上端部と下端部が前記側方部材13sに縫着されている。
この帯状部材18には係合部材20が上下移動可能に設けられるのである。
【0061】
即ち、この係合部材20は、プラスチック製のものからなり、その上部には係合部20kが設けられ、その下端部には貫通孔20hが設けられたものからなる。
この貫通孔20hに上記帯状部材18が挿通するために、この係合部材20は、帯状部材18に沿って上下に移動可能となる。
【0062】
上記係合部材20の係合部20kには、カバー上部12の側面の背面側下端部分に設けられた係合部材22が相互に係合できる。
より具体的には、カバー上部12の側面背面側の下端部分には、上端部がカバー上部12に縫着されたベルト部材21の下端に上記係合部材22が設けられており、この係合部材22の先端部(下端部)が係合部(図では嵌合状態を示しているために目視できない。)となり、上記係合部材20の上部の係合部20kと相互に係合できる構成である。
【0063】
上記係合部20kとカバー上部12側の係合部の構造は、ワンタッチ係合可能な雌雄の連結部材からなり、この実施形態では、係合部材20の係合部20kが雌型で、カバー上部12の側に設けた係合部材22の係合部が雄型であり、後者を前者に嵌合して係合させることができる。
【0064】
更に、上記帯状部材18には、ストッパー部材25が設けられており、このストッパー部材25は、上記帯状部材18に沿って上下移動可能なものである。
このストッパー部材25を適宜位置に固定することにより、上記係合部材20の上下位置が決定される。
【0065】
上記帯状部材18、係合部材20、及びカバー上部12に設けた係合部材22、及びストッパー部材25の構成は、装着補助プレート13の両側に一対設けられている。
これによりカバー上部12の背面側は帯状部材18に沿って上下に移動可能となるのである。
【0066】
また、本実施形態にあっては、ストッパー部材25の位置を下方位置に固定することにより、その固定位置と帯状部材18の上端部との間で、係合部材20は上下に自由に移動可動となり、カバー上部12の天部も上下に自由に可動状態を維持することができることとなる。
【0067】
これにより、シートに着席した幼児の頭部がカバー上部12の天部に当接しても、カバー上部12の背面側が上方に移動するので、幼児の頭部を圧迫することが無くなるのである。
勿論、ストッパー部材25を一番高い位置に固定することによって、カバー上部12の天部を一番高い位置にしておくことができるのであるが、自転車運転者の目線を考慮するならば、カバー上部12の高さは前方視野を確保するためにより低くした方が見易いために、上記ストッパー部材25を設けたのである。
【0068】
即ち、係合部材20の下端部に帯状部材18に固定できる固定部材を設ければ、ストッパー部材25は不要となるのであるが、そうすることにより係合部材20は帯状部材18に固定されてしまい、上下に移動出来なくなり、幼児の頭部を圧迫してしまう場合が出て来ることとなるからである。
【0069】
更に、上記装着補助プレート13の中央部材13cの略中央上下方向には収束ベルトを設けている。
上記カバー上部12の前面下方部分に設けた連結ベルトを分離し、その後、このカバー上部12を折り畳み又は巻回して小さく丸めて、上記収束ベルト30を巻回し、収束ベルト30の先端を、装着補助プレート13の上縁部に設けた環状部材31に挿通して折り返し、その先端に設けた面ファスナーを対応する収束ベルト30に設けた面ファスナーと相互に係着して、丸めたカバー上部12を装着補助プレートの背面で収束又は結束することができることとなる。これについては再度後に説明する。
【0070】
カバー本体部11は、後の図9で再度詳説するが、自転車のハンドル及びハンドルポスト、シートの前面取手部、両側方部、両足乗せ部、及び背凭れの両側の側縁部を被覆することができる1枚のシート状のものからなり、その両側面部11s、11sの上下中間部には斜め横方向に切込み11k、11kを設け、この切込み11kからハンドルグリップG及びブレーキレバー等を外部に露出させることができる。
【0071】
切込み11kの両端部にはそれぞれ相互に係止できる係止部材14として留めホック14を設けている。
切込み14kからハンドルグリップG等を外部に露出させた後に上記留めホック14を係止できる。
【0072】
カバー本体部11の上縁部には、その前面部と両側面部に半透明の半透明部15を設けている。
この半透明部15は、裏面側に透明のPVCシートを配設し、その表面側には合成繊維製のメッシュシートを接合したものからなる。
【0073】
図では、図3にのみメッシュシートを網状に表示しており、図1及び図2ではその図示は省略している。
このように表面側にメッシュシートを配設することにより、上記カバー上部12の下端部分との接触が滑らかなものとなり、このカバー上部12が容易に上下に移動できることとなる。実際には、カバー上部12の背面側が上下に移動する。
【0074】
上記半透明部15の前面中央部には上記カバー上部12と相互に着脱自在に連結できる連結部材16を設けている。
この連結部材16は、ベルト部材の端部に雌雄のバックルが設けられたものからなり、相互にワンタッチで着脱自在に連結・離脱することができるものである。この連結部材16を連結すると、カバー上部12の前面側は上下に移動しないことになり、その背面側のみが上下に移動する。
【0075】
上記カバー本体部11の下端部分の両側には、シートの足乗せ部を被覆できる足乗せ部被覆部11bが位置し、この足乗せ部被覆部11bの周縁部には伸縮自在のゴム紐等の伸縮部材を内部に縫着して、この足乗せ部11bを引き延ばしてシートの足乗せ部に引っ掛けるようにして簡単に装着することができる。
【0076】
本実施形態に係るカバーの取り付けに際しては、まず装着補助プレート13をヘッドレストHの背面に接合して装着する。
この際、カバー上部12の背面側に設けた一対の係合部材22は、装着補助プレート13に設けた一対の係合部材20と予め係合しておくと便利である。
【0077】
装着補助プレート13の装着手段は、この装着補助プレート13の背面側に設けられた一対のベルト部材17によって行う。
即ち、そのベルト部材17を前方に取り回してヘッドレストHに巻き付け、その先端部を装着補助プレート13に設けた挿通孔17hに挿通させて背面側に取り出し、その後ベルト17の先端部17tを前記挿通孔17hの上方に設けたバックル17bに挿通させて締着して固定する。
【0078】
次に、カバー本体部11の前面部をハンドルとハンドルポストを含み、シートの前面部に被覆し、カバー本体部11の両側の側面部11sをシートの両側面を被覆するようにして、カバー本体部11の後方縁部上方に設けた係止部材19を、その対応する装着補助プレート13の側方部下方に設けた係止部材19と相互に係止して取り付ける。これらの係止部材19、19は、それぞれ雌雄の留めホックでよい。
【0079】
この際に、シートの足乗せ部にカバー本体部11の足乗せ部被覆部11bを被覆して引っ掛けておくことにより、カバー本体部11が良好に張設された状態で係止される。
その後カバー本体部11の両側面部11sに設けた切込み11kの部分に自転車のハンドルグリップGやブレーキレバー等を位置させてカバーの外部に露出させる。
【0080】
その後、切込み部11kの開口端に設けた係止部材14、14を相互に係止する。
その後に、カバー本体部11の両後方縁部の適宜位置に設けた連結ベルト部材35、35を相互に連結してカバー本体部11のシートへの装着が完了する。
【0081】
最後に、カバー上部12の前面部を前方に配置させ、当該前面部の下端部分に設けた連結部材16によってカバー本体部11と連結してカバーのシートへの装着が完了する。
シートへの幼児の乗降は、カバー上部12の前面部の連結部材16を分離してカバー上部12を背面側に反転して開放し、一方の側の係止部材19を分離して行うこともできるし、これに加えてさらに切込み部11kに設けた係止部材14を分離して行うこともできる。
【0082】
図4は、上記実施形態において、カバー上部を開放した状態の正面説明図である。
図5は、図4の側面説明図である。
図6は、上記実施形態において、カバー上部を折り畳んで収束ベルトで収束した状態を示す背面説明図である。
【0083】
図4及び図5においては、カバー上部12の前面中央下方部に設けた連結部材16を分離して後方に反転させた状態を図示したものである。
カバー本体部11の上縁部には半透明部15が設けられており、この半透明部15とカバー本体部11の前面部11fとの境界部11gの中央部に上記連結部材16と相互に連結するカバー本体部11側の連結部材16が設けられている。
【0084】
また、この境界部11gの中央部の下方には被覆部11jが設けられ、この被覆部11jの下には外気導入口が設けられて、外気をカバー内に導入することができる。
この外気導入口には、多数の小孔を有するメッシュシートが配設されている。
被覆部11jの表面に現れている四角部分は、カバーの商標等が記されるラベルLを示している。
【0085】
カバー本体部11の前面上方部及び側面上方部には芯材が配設され、カバー本体部11の保形性を保持させている。
図5の側面説明図では、カバー上部12が開放された状態を見て取ることができる。
【0086】
カバー上部12の背面下端部分には、一方の係合部材22が位置し、装着補助プレート13の帯状部材18に上下移動可能に設けた係合部材20と相互に連結した状態である。
装着補助プレート13は、ヘッドレストHへの装着手段であるベルト部材17、17によってヘッドレストHに装着される。
【0087】
図6の背面説明図では、カバー上部12が巻回され、折り畳まれ、丸められた状態で収束ベルト30により収束され、結束された状態を見て取ることができる。
収束ベルト30は、下端部が二股となっており、収束した状態で逆Y字形状をなす。
【0088】
この収束ベルト30の先端部30tを上方に設けた環状部材31に挿通し、折り返して上記丸められたカバー上部12を収束し、結束することができる。
雨等が止んだ状態で、嵩を低くして、ヘッドレストH(装着補助プレート13)の背面に収束できるようにしたものである。
【0089】
図7は、上記実施形態に係る帯状部材と係合部材の部分の詳細を図示しており、当該係合部材が上下に移動可能な状態を図示する右後方から見た説明図である。
図8は、図7において、上記係合部材の下方への移動ができない状態を図示した左後方から見た説明図である。
【0090】
既に述べた通り、この実施形態では、装着補助プレート13は、ヘッドレストHの背面でそれに沿うように、中央部材13cと両側の側方部材13sとを相互に縫着して形成している。それぞれの内部に板状の可撓性を有する芯材を配設して、ヘッドレストHの背面側に相応しく接合できるようにしたためである。
この装着補助プレート13の右側部分が、図7に表示されており、その中央部材13cと一方の側方部材13sとが表示されている。
【0091】
上記装着補助プレート13の中央部材13cの両側の縦方向には一対の装着手段が設けられており、これらの装着手段によって、この装着補助プレート13がヘッドレストHに装着される。
即ち、この装着手段は、ヘッドレストHに巻回することのできるベルト部材17からなり、その下端にはバックル17bが設けられており、前記ベルト部材17の先端部17tをヘッドレストHに縦方向に巻き付け、その後、上記中央部材13cに設けた挿通孔17hに挿通させて、前記バックル17bに挿通して締着することができる。
図7では、その右側の一方の装着手段が表示されているが、図中向こう側にも同じ構成のベルト部材17が設けられている。
【0092】
更に、この装着補助プレート13の両側方部材13sのそれぞれの上下方向には帯状部材18を設けており、この帯状部材18の上端部と下端部が前記側方部材13sに縫着されている。
この帯状部材18に係合部材20が上下移動可能に設けられている。
【0093】
即ち、この係合部材20は、プラスチック製のものからなり、その上部には係合部20kが設けられ、その下端部には貫通孔20hが設けられたものである。
この貫通孔20hに上記帯状部材18が挿通するために、この係合部材20は、帯状部材18に沿って上下に移動可能となる。
【0094】
上記係合部材20の係合部20kには、カバー上部12の側面の背面側下端部分に設けられた係合部材22が相互に係合できる構成である。
より具体的には、カバー上部12の側面背面側の下端部分には、上端部がカバー上部12に縫着されたベルト部材21の下端に上記係合部材22が設けられており、この係合部材22の先端部(下端部)が係合部22kとなり、上記係合部材20の上部の係合部20kと相互に係合できる構成である。
【0095】
上記係合部20kとカバー上部12側の係合部22kの構造は、ワンタッチ係合可能な雌雄の連結部材からなり、この実施形態では、係合部材20の係合部20kが雌型で、カバー上部12の側に設けた係合部材22の係合部22kが雄型であり、後者を前者に嵌合して係合させることができる。雄型と雌型は逆に配設することもできる。
【0096】
更に、上記帯状部材18には、ストッパー部材25が設けられており、このストッパー部材25は、上記帯状部材18に沿って上下移動可能なものである。
このストッパー部材25を適宜位置に固定することにより、上記係合部材20の上下位置が決定される。
【0097】
上記帯状部材18、係合部材20、及びカバー上部12に設けた係合部材22、及びストッパー部材25の構成は、装着補助プレート13の両側に一対設けられている。
これによりカバー上部12の背面側は帯状部材18に沿って上下に移動可能となるのである。
ここで、カバー上部12の背面側というのは、カバー上部12の背面部及び両側面部の後方縁部(背面側)を含む意味で使用している。
【0098】
図8では、上記ストッパー部材25を帯状部材18の上方位置に移動して固定した状態を図示したものである。
この状態で、係合部材20、22は、下方に移動しないこととなる。
他方、前図の図7では、ストッパー部材25が帯状部材18の下方位置に位置するために、係合部材20、22は、矢印で示した通り上下に移動可能な状態である。
【0099】
即ち、本実施形態にあっては、ストッパー部材25の位置を下方位置に固定する(図7の状態)ことにより、その固定位置と帯状部材18の上端部との間で、係合部材20、22は上下に自由に移動可動となり、カバー上部12の天部(背面側)も上下に自由に可動状態を維持することができることとなる。
【0100】
これにより、シートに着席した幼児の頭部がカバー上部12の天部に当接しても、カバー上部12の背面側が上方に移動するので、幼児の頭部を圧迫することが無くなる。
勿論、ストッパー部材25を上方位置に固定する(図8の状態)ことによって、カバー上部12の天部をより高い位置にしておくこともできるのであるが、自転車運転者の目線及び視界を考慮するならば、カバー上部12の高さは前方視野を確保するためにより低くした方が安全であるために、上記ストッパー部材25を設けたのである。
【0101】
即ち、係合部材20の下端に帯状部材18に固定できる固定部材を設ければ、ストッパー部材25は不要となるのであるが、そうすることにより係合部材20は帯状部材18に固定されてしまい、上下に移動出来なくなり、幼児の頭部を圧迫してしまう場合が出てくることとなるからである。
【0102】
上記ストッパー部材25の構造は、帯状部材18を挿通でき、当該帯状部材18を固定するバックル部25fを回動自在に設けたものでよい。
バックル部25fの基部を軸着して、回動できる構成で、その先端部により圧接固定できるものであればよい。
このストッパー部材の構成は自由に採用することができる。
【0103】
図9は、上記実施形態に係るカバー本体部を平面的に広げた状態を示す説明図であって、その(A)が表側、その(B)が裏側を示している。
図中、網目上に示した部分が上記半透明部15であり、ハンドルの上方及び自転車の両側上部を被覆する部分である。
【0104】
カバー本体11の前面部11fの上方部分と、両側面部11sの上方部分には芯材が配設されて保形性を維持している。
カバー本体部11の両側面部11sには、斜め横方向に切込み11kが設けられ、ハンドルグリップ等を外部に露出させることができる。
【0105】
カバー本体部11の前面部11fの中央上方で半透明部15の下には被覆部11jが設けられ、上記した通り、この被覆部11jの下に外気導入口11wが形成されている。
この外気導入口11wにはメッシュ生地が配設されている。
カバー本体部11の両側面部11sの下方部にはそれぞれ足乗せ部被覆部11bが設けられ、この足乗せ部被覆部11bは袋状に形成され、その周縁部には伸縮自在のゴム紐が縫着されている。
【0106】
図10は、上記実施形態に係る装着補助プレートを背面側から見た説明図である。
この図からよく解る通り、この装着補助プレート13は、その中央に位置する中央部材13cとその両側に配設された側方部材13s、13sとからなる。
これら中央部材13cと側方部材13cの内部には芯材が配設され、両者の縦方向接続部で容易に折れ曲がることができ、芯材も湾曲可能なものからなり、従って、ヘッドレストの背面に良好に湾曲して接合することができる素材からなる。
【0107】
中央部材13cの両側には一対のベルト部材17が設けられ、このベルト部材17をヘッドレストに巻き付け、その先端部17tを中央部材13cに設けた挿通孔17hに挿通させ、更にバックル17bに挿通して締着することができる。図中、右側のベルト部材17が締着されている状態を示している。これら一対のベルト部材17、17が、この装着補助プレート13をヘッドレストに装着するための装着手段となる。
【0108】
上記装着補助プレート13の両側方部材13sの中央寄りには縦方向に一対の帯状部材18が設けられ、この帯状部材18に係合部材20が上下移動可能に設けられる。
この係合部材20の構成は、上記した通り、下端部の貫通孔20hを有し、その上部の係合部20kとからなり、後者の係合部20kが、カバー上部に設けた係合部材22の係合部と着脱自在に係合できる。
【0109】
上記装着補助プレート13の中央部材13cの略中央部の下端縁には、収束ベルト30が設けられており、既に述べた通り、折り畳んだカバー上部を収束又は結束することができる。
即ち、カバー上部を折り畳んで或いは丸めて装着補助プレート13の中央部材13cの背面に配置し、収束ベルト30の先端部30tをその上端縁に設けた環状部材31に挿通させ、その後折り返して締め付け、先端部30tの一方の面に設けた面ファスナーを係着させて上記カバー上部を収束又は結束することができる。
【0110】
図11は、上記実施形態に係るカバーが装着される前部チャイルドシートの一例を示す説明図である。
この図により、上記実施形態に係るチャイルドシートカバーが被覆する前部チャイルドシートを簡単に説明する。
【0111】
この種のチャイルドシートSは、座部Zの後方から起立する背凭れBと、座部Zの前方から上方に起立する取手部Tと、背凭れBに支持され上下に往復動するヘッドレストHと、座部Zの前方両側の下方に設けられた足乗せ部Fとからなり、上記取手部Tの前面には、このチャイルドシートSをハンドル等に取り付けるための取付部K、Kが設けられている。
【0112】
また、取付部としてはハンドルポストに固定するハンドルポスト取付部も設けられており、堅固に自転車のハンドル及びハンドルポスト部分に装着固定することができるものである。
この種のシートは、ハンドル部分に後から取り付けるものであり、予めハンドル部に固定された備え付けシートとその構成は多少異なり、何よりもそのヘッドレストの高さ位置が上記備え付けシートと比較すると高位置となるものである。
【0113】
図12は、本発明の第2実施形態に係る前部チャイルドシートカバーをシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図13は、上記実施形態を斜め後方から見た全体説明図である。
図14は、上記実施形態においてカバー上部を開放した状態の側面説明図である。
【0114】
この第2実施形態においても、カバー本体部11、カバー上部12及び装着補助プレート13の3つの構成要素から成る点は上記第1実施形態と同じである。
上記構成要素のそれぞれの細かい点で、上記第1実施形態と異なっている。
【0115】
まず、カバー上部12においては、その中央部分が前面部12fから天部そして背面部12hに渡り湾曲状に連続的に設け、この中央部分の両側に両側面部12s、12sを設け、流れるような形状に形成している。その前面部12fと天部及び背面部12hの上方部分、及び、両側面部12sの上方部分は透明の素材から形成している。
【0116】
カバー本体部11は、上記第1実施形態と同様に、チャイルドシートの前方部から両側面部を被覆する形態を有し、その両側の後方縁部の上部に係止部材19を設け、装着補助プレート13に設けられた係止部材19(図13)と相互に係止できる。
これらの係止部材19は、ベルト部材の先端にワンタッチ式バックルが設けられたものから成り、簡単に係止及び離脱が可能なものである。
【0117】
装着補助プレート13はその背面部の両側に設けたベルト部材17をヘッドレストに縦方向に巻き付けてバックル17bによって固定できる点は前記第1実施形態と同じである。
そして、この装着補助プレート13の両側に設けた係合部材23(図13及び図14)がこの第2実施形態では異なっている。
【0118】
この第2実施形態においては、この係合部材23が上下に移動可能なフック状又はクリップ状のフック部材又はクリップ部材から成り、カバー上部12の背面部12hの下縁部12kが前記フック状の係合部材23に単に係合して挟持されるだけで固定されないものから形成されている。
【0119】
この係合部材23については、後の図17及び図18において再度詳説するが、U字形状のいわばクリップ又はフックのような形態のもので、上記カバー上部12の背面部12hの下縁部12kが上記クリップ部材等に嵌合して、挟持されるような状態となって係合され、固定はされていないのである。
【0120】
従って、カバー上部12の背面部12hを上方に引き上げると、当該背面部12hの下縁部12kも上方に引き上げられ、上記クリップ形態の係合部材23から容易に離脱するように構成されているのである。
この係合部材23も上記第1実施形態と同様に帯状部材18に沿って上下に滑動し、上下往復移動することができる。
【0121】
更に、この係合部材23の下端部にはストッパー部材25が連接されている。
つまり、ストッパー部材25は、上記係合部材23と共に帯状部材18に沿って上下に移動又は摺動することができるのである。
この実施形態では、これら係合部材23とストッパー部材25は、輪状の帯部材によって連結され、上記帯状部材18に沿って、共に上下に摺動できるように構成している。
【0122】
上記帯状部材18、係合部材23及びストッパー部材25は、装着補助プレート13の両側に一対設けられている。この点も上記第1実施形態と同じである。
また、カバー本体部11の両側面部11sの後方縁部同士は、連結ベルト部材35によって着脱自在に連結されている点も上記第1実施形態と同じである。
【0123】
図14においては、カバー上部12が前方方向に開放された状態に図示されているが、このように第2実施形態では、カバー上部12は、カバー本体部11に対して、その前方部の連結部材16(向こう側は図には表れていないが、一対ある。)によって連結されているのであるが、更に、この第2実施形態では、この前方部分の連結が、上記連結部材16のみでなく、このカバー上部12の前面部の下方部の裏側に裏側生地26が設けられており、この裏側生地26がカバー本体部11の前面部の裏側に配設されて、この裏側生地26の下方縁部に設けた連結部材、例えば留めホック等の連結部材16r、16r(図12)によって連結されているのである。
【0124】
即ち、この第2実施形態では、カバー上部12の前面部の下縁部分は、表側生地と裏側生地26の2枚の生地でカバー本体部11の前面部の上縁部分を表と裏から挟み込むようにしてその表側と裏側の両側で連結部材16、16と連結部材16r、16rによって連結されているのである。これらの連結部材16、16rは全て留めホックを利用している。
これらの構成は次の図15及び図16によって更に説明する。
尚、上記裏側生地26は通気が可能なメッシュ生地を使用している。メッシュ生地を使用した理由は後に記載する。
【0125】
図15は、上記第2実施形態に係るカバー上部を開放した状態のカバー本体部との連結部分を前方から見て拡大した状態の説明図である。
図16は、同じく上記連結部分を後方側から見て拡大した状態の説明図である。
【0126】
これら両図からよく解る通り、カバー上部12の前面部12fの下方縁部の内側に設けられた裏側生地26は、カバー本体部11の前面部11fの裏側に回り込むように配設されて留めホックから成る連結部材16r、16rによって連結されるのである。
この裏側生地26が通気性のあるメッシュ生地から形成されている理由は後の図19によって明らかになる。
【0127】
図17は、上記装着補助プレートの部分を斜め後方から見た説明図である。
図18は、上記実施形態に係るカバーをシートに装着した状態を後方から見た説明図である。
【0128】
図17から上記装着補助プレート13の詳細を見て取ることができる。
この第2実施形態では、装着補助プレート13は、1枚の板状のものから成る。つまり、上記第1実施形態のような側方部材は設けていない。
というのも、この第2実施形態では、装着補助プレート13の背面部にベルト部材17と帯状部材18の両者を左右一対ずつ共に設けているからである。
【0129】
一対のベルト部材17は、当該装着補助プレート13をヘッドレストに装着するためのものであり、このベルト部材17をヘッドレストHに縦方向に巻き付け、バックル17bで固着することができる。
また、装着補助プレート13に設けた挿通孔17hにベルト部材17を挿通させて縦方向に巻回することもできる。
【0130】
一対の帯状部材18、18には、既に述べた通り、係合部材23とストッパー部材25が連接されて共に上下に摺動することができる。
そして、上記係合部材23は、上記した通り、U字形状のクリップ状又はフック状のクリップ部材又はフック部材から成り、カバー上部12の背面部12hの下縁部12kが嵌合できる。
【0131】
上記係合部材23は、そのすぐ下に連接したストッパー部材25の固定を解除して上下に帯状部材18に沿って摺動できる。
従って、カバー上部12の天部の高さを下げるためには、上記ストッパー部材25の固定を解除して下方に摺動させて係合部材23の位置を下方に移動させればよいのである。他方、天部の高さを高くするためには逆の動作を行えばよいのである。
【0132】
尚、この図17から係止部材19の構成を見て取ることができる。
この係止部材19は、カバー本体部11の後方部を装着補助プレート13と連結固定するためのものであり、ベルトの先端部にワンタッチ式雌雄のバックルを設けたものから成る。これらの係止部材19は、装着補助プレート13の両側に一対設けられている。
【0133】
即ち、カバー本体部11の側面部11sの後方縁部の上部に、先端に雄バックルを設けたベルトを設け、他方、装着補助プレート13の側縁部にも先端に雌バックルが設けられたベルトを設け、上記雌雄のバックルを結合することによって相互に係止ができ、カバー本体部11の側面の後方縁部の上部をその両側で装着補助プレート13に係止することができる。雌雄のバックルは相互に逆に設けてもよい。
【0134】
また、図18において、Pで示した部分は収納部を示しており、この収納部Pはカバー上部12の背面部12hに設けたポケット状のものであって、その内部に各種小物を収納するために設けたものである。
【0135】
更に、この第2実施形態では、図18に示した通り、カバー上部12の中央部分の天部の前後に渡り日除けシート12mを着脱自在に設けている。
この日除けシート12mもメッシュ生地から形成しており、透明の天部の前後に渡り内部に着席する幼児の日除けの効果を発揮するものとなっている。
【0136】
図19は上記実施形態に係るカバー上部の前面部の下方部分を拡大して図示した説明図である。
この図からカバー上部12の前面部12fの下縁部分の構成を見て取ることができる。
【0137】
カバー上部12の前面部12fの下端縁部の裏面には裏側生地26が設けられており、この裏側生地26は、カバー本体部11の前面部11fの上縁部の裏面に配設され、カバー本体部11fの上縁部の裏面で連結部材16rにより連結される。表側では、カバー上部12の両側面部12sの前方縁部に設けた連結部材16によって連結される。
これらの連結部材16、16rは全て留めホックを利用している。
【0138】
図に示した通り、カバー上部12の前面部12fの下端縁部分の両側縦方向にはスライドファスナー28、28が設けられており、これらのスライドファスナー28、28を開放することによって、前面部12fの下方縁部12nが分離し、図示した通り上方に巻き上げることができる。その後、巻き上げられた下方縁部分12nが収束部材27によって束ねられ固定されるのである。
【0139】
こうすることによって、裏側生地26が現れ、この裏側生地26がメッシュ生地で製作されている関係上、この部分が通気口となり、外気をカバー内部に取り込むことが可能となるのである。
【0140】
取り入れられた外気は、カバー本体部11とカバー上部12とが留めホック等の係止部材で固定されているために、つまり、点固定のために、両者の間には隙間が存在しているために、これらの隙間から取り入れられた外気は外部に排出され、極めて通気性に富んだカバーとなるのである。
【0141】
以上、第2実施形態について説明したが、上記第1実施形態においては、そのカバー上部12は、その前方部下縁又はその背面部下縁の何れの側においてもカバー本体部と連結及び離脱が可能であるのに対して、上記第2実施形態では、基本的にカバー上部12の背面部の下縁部はカバー本体部と連結固定されていないのである。
【0142】
即ち、第2実施形態では、カバー上部12は、その前面部12fの下縁部でのみカバー本体部11と連結され(勿論分離も可能)、カバー上部12を開放する際には、カバー上部12の背面部を上方に引き上げて前方側に解放することとなるのである。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々設計変更することができる。
まず、カバー上部としては、第1実施形態のように底部開口のボックス形状のものとしたが、その形状は全く自由であり、単なる袋状のものでもよく、幼児の頭部及びヘッドレストを被覆できる形状及び形態であればよい。
【0144】
上記第2実施形態のようにカバー上部の中央部を前面部から天部そして後面部に掛けて連続的に形成し、その両側に平面的な両側面部を設けて、当該両側面部の前方から天部、後方部の周縁部に掛けてスライドファスナーを設けて開閉自在とすることもできる。
その材質も透明のPVCを使用したが、透明の他の素材を使用することもできる。
【0145】
装着補助プレートについても、上記第1実施形態では、その中央部材の両側に両側方部材を縫製して形成したが、これを一体ものとして形成することもできる。その際には芯材としてより柔軟のものを使用することが望ましい。
芯材は、プラスチック製又は繊維製のものでよく、外被素材もポリエステル生地等の各種繊維生地を利用することができる。
上記第2実施形態では、その中央部材のみで構成した。
【0146】
カバー本体部の大きさや形状も適宜設計変更することができるが、要は後付け前部チャイルドシートの前面部及び両側面部並びに背凭れの両側縁部を被覆できる形状、形態であればよい。その材質も上記実施形態ではポリエステル生地を使用したが、素材も自由に選択することができる。また保形性を有する素材を利用することもできる。
【0147】
シートの形状により、背凭れの両側縁部が前方に延長して側面部を有するものであれば、このカバー本体部は、当該両側面部までの被覆で十分であり、背凭れの両側側縁部を被覆できる大きさでなくともよい。
【0148】
カバー本体部の適宜位置に設けた芯材は、これを設けずに実施することも可能であるが、その保形性を維持させるためには適宜部分に芯材を配設したほうが好ましい。
芯材は適当な弾力性のある素材を利用することが好ましい。
カバー本体部の両側面部に設けたハンドルグリップ等のための切込みは、孔部によって代えることができる。
切込みの接合面に面ファスナーを設けることも自由である。
【0149】
上記第1実施形態では、装着補助プレートに上下移動可能に設けた係合部材と、これに係合するカバー上部に設けた係合部材のそれぞれの係合部は、雌雄嵌合可能なバックル形態のものを使用したが、ワンタッチで着脱自在のプラスチック製バックルの各種のものを利用することができる。
同様に、カバー本体部とカバー上部をその前面で相互に着脱自在に連結できる連結部材も同様に各種のワンタッチ式のバックルを利用することができる。
これら係合部材及び連結部材を設ける数も自由に設定することができる。
【0150】
上記第2実施形態では、上記係合部材としては、相互に固定しない構成のものを採用したが、当該係合部材として略U字形状のクリップ状又はフック状のクリップ部材又はフック部材を使用したが、要はカバー上部の背面部下縁が嵌合でき形態であればよい。
【0151】
また、第2実施形態においても、カバー本体部とカバー上部をその前面で相互に着脱自在に連結できる連結部材も同様に各種のワンタッチ式のバックルを利用することもできる。
第2実施形態では、カバー上部の前面部下縁内側に設けた裏側生地に特徴があり、この裏側生地として通気性のあるものを使用することによって、当該裏側生地を通気口とすることができるのである。
【0152】
カバー本体部の両側後方縁部と装着補助プレートのそれぞれに設けた係止部材も、留めホックばかりでなく、ボタン形式のもの、或いは面ファスナー等の係着部材を利用することもできる。
【0153】
装着補助プレート側に設けた一対の帯状部材のそれぞれに設けたストッパー部材は、上記第1実施形態では、その帯状部材に沿って上下移動可能なバックル形態のものを利用したが、当該帯状部材の適宜位置でその位置決めができ、その位置で固定されるものであれば、どのような形態のものでもよい。
要は、係合部材がそのストッパー部材の位置よりも下方向に移動することができない最下端の位置を規定できるものであればよいのである。
【0154】
上記第2実施形態では、上記係合部材とストッパー部材を一体的に設けて共に帯状部材に沿って上下に摺動できる形態を採用し、カバー上部の背面部の下端部の係合を極めて容易に行い且つ離脱できる形態としたことが特徴となっている。
【0155】
以上、本発明においては、自転車用前部チャイルドシートカバーを下方のカバー本体部と上方のカバー上部と、これら両者を装着するための装着補助プレートの3つの構成部材から構成し、後付けタイプの前部チャイルドシートの全体を被覆でき、カバー上部の天部高さ位置を高低容易に調整でき、自転車運転者の前方視界をできる限り狭めることのない前部チャイルドシートカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0156】
10 チャイルドシートカバー
11 カバー本体部
11b 足乗せ部被覆部
11f 前面部
11g 境界部
11j 被覆部
11k 切込み
11s 側面部
11w 外気導入口
12 カバー上部
12f 前面部
12h 背面部
12s 側面部
13 装着補助プレート
13c 中央部材
13s 側方部材
14、19 係止部材
15 半透明部
16、16r 連結部材
17 ベルト部材
17b バックル
17h 挿通孔
17t 先端部
18 帯状部材
19 係止部材
20、22、23 係合部材
20k、22k 係合部
20h 貫通孔
21 ベルト部材
25 ストッパー部材
26 裏側生地
27、30 収束ベルト
31 環状部材
35 連結ベルト部材
B 背凭れ
F 足乗せ部
G ハンドルグリップ
H ヘッドレスト
K 取付部
S チャイルドシート
T 取手部
Z 座部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19