IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図1
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図2
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図3
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図4
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図5
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図6
  • 特許-水没検知装置、車両および水没検知方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】水没検知装置、車両および水没検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/87 20060101AFI20230707BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20230707BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20230707BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G01S15/87
G01S15/931
G01S7/526 M
G08G1/16 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019186795
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021063665
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 晃寿
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0293746(US,A1)
【文献】特表2014-515819(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012015764(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知装置であって、
第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得する取得部と、
前記時間の情報に基づいて、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行う制御部と、
を備え
前記制御部は、前記第1の音波センサまたは前記第2の音波センサで検出されるノイズレベルが所定のレベルを超えたか否かを判定し、前記ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合に、前記音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、前記音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮する、
水没検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記時間が所定の閾値未満である場合に、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定し、前記所定の閾値は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサとの間の距離を空気中の音速で除した値よりも小さく、かつ、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサとの間の距離を水中の音速で除した値よりも大きい値に設定されている請求項1に記載の水没検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した場合に、前記少なくとも2つの音波センサを制御して前記音波の放射期間を短縮する請求項1または2に記載の水没検知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した場合に、水中の音速に基づいて、前記車両の外部にある障害物と前記車両との間の距離の算出を行う請求項1~3のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した場合に、前記少なくとも2つの音波センサを制御して音波の放射パワーを調整する請求項1~4のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した場合に、前記車両の外部にある障害物を判定するための受信音波の強度の閾値を変更する請求項1~4のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した場合に、前記車両の乗員に前記車両の水没の危険を報知する制御を行う請求項1~6のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記判定を複数回行い、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したと判定した回数が所定の回数に達している場合と該所定の回数に達していない場合とで前記報知の態様を変更する請求項7に記載の水没検知装置。
【請求項9】
車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知装置であって、
第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得する取得部と、
前記時間の情報に基づいて、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記音波の残響特性が所定の周波数より低いか否かを判定し、前記音波の残響特性が前記所定の周波数よりも低い場合に、前記音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、前記音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮する
水没検知装置。
【請求項10】
前記音波の残響特性は、前記音波の残響の周波数である請求項9に記載の水没検知装置。
【請求項11】
前記音波の残響特性は、前記音波の残響の継続時間である請求項9に記載の水没検知装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記少なくとも2つの音波センサが水没したと判定した場合に、前記車両の速度を低下させる請求項1~11のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記少なくとも2つの音波センサが水没したと判定した場合に、前記車両の障害物検知に基づく走行制限を無効とする請求項1~12のいずれか1項に記載の水没検知装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記車両の障害物検知に基づく走行制限が無効にされたことを前記車両の乗員に報知する制御を行う請求項13に記載の水没検知装置。
【請求項15】
少なくとも2つの音波センサを備える車両であって、
請求項1~14のいずれか1項に記載の水没検知装置と、
前記車両の乗員に前記車両の水没の危険を報知する出力装置と、
を備える車両。
【請求項16】
車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知方法であって、
第1の音波センサまたは第2の音波センサで検出されるノイズレベルが所定のレベルを超えたか否かを判定するステップと、
前記ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合に、音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、前記音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮するステップと、
前記第1の音波センサから放射された音波を前記第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得するステップと、
前記時間の情報に基づいて、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行うステップと、
を含む水没検知方法。
【請求項17】
車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知方法であって、
第1の音波センサまたは第2の音波センサで受信される音波の残響特性が所定の周波数より低いか否かを判定するステップと、
前記音波の残響特性が前記所定の周波数よりも低い場合に、前記音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、前記音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮するステップと、
前記第1の音波センサから放射された音波を前記第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得するステップと、
前記時間の情報に基づいて、前記第1の音波センサと前記第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行うステップと、
を含む、水没検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水没検知装置、車両および水没検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の音波センサが車両に搭載され、音波センサから送受信される音波に基づいて車両周辺の障害物を検知する障害物検知装置が普及し始めている。この障害物検知装置は、音波センサの表面に水分が付着すると、障害物の検出精度が低下して運転を適切に支援できないおそれがあった。
【0003】
そこで、特許文献1には、音波センサの残響の振動特性に変化が生じているか否かを判定して、その判定結果に基づいて運転を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-15493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、道路の冠水などにより音波センサが水に浸かり(以下、「水没」と称する。)、車両の乗員がそれに気付かない場合がある。しかしながら、特許文献1の技術では、音波センサへの単なる水分の付着は検知するものの、音波センサの水没を検知するものではなかった。
【0006】
本開示は、音波センサの水没を高精度に検知する水没検知装置、車両および水没検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る水没検知装置は、車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知装置であって、第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得する取得部と、時間の情報に基づいて、第1の音波センサと第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行う制御部と、を備え、制御部は、第1の音波センサまたは第2の音波センサで検出されるノイズレベルが所定のレベルを超えたか否かを判定し、ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合に、音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮する、ものである。
本開示に係る水没検知装置は、車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知装置であって、第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得する取得部と、時間の情報に基づいて、第1の音波センサと第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行う制御部と、を備え、制御部は、音波の残響特性が所定の周波数より低いか否かを判定し、音波の残響特性が所定の周波数よりも低い場合に、音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮する、ものである。
【0008】
本開示に係る車両は、少なくとも2つの音波センサを備える車両であって、上記の水没検知装置と、車両の乗員に車両の水没の危険を報知する出力装置と、を備えるものである。
【0009】
本開示に係る水没検知方法は、車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知方法であって、第1の音波センサまたは第2の音波センサで検出されるノイズレベルが所定のレベルを超えたか否かを判定するステップと、ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合に、音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮するステップと、第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得するステップと、時間の情報に基づいて、第1の音波センサと第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行うステップと、を含むものである。
本開示に係る水没検知方法は、車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する水没検知方法であって、第1の音波センサまたは第2の音波センサで受信される音波の残響特性が所定の周波数より低いか否かを判定するステップと、音波の残響特性が所定の周波数よりも低い場合に、音波の放射期間における受信のマスクを解除し、または、音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮するステップと、第1の音波センサから放射された音波を第2の音波センサで検知するまでの時間の情報を取得するステップと、時間の情報に基づいて、第1の音波センサと第2の音波センサの両方が水没したか否かの判定を行うステップと、を含む、ものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、音波センサの水没を高精度に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示にかかる実施の形態1に係る水没検知装置を備えた車両の構成を示す図である。
図2】音波センサの構成を示すブロック図である。
図3】ソナーECUの構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
図5】マスク期間を短縮したときの出力信号および受信信号を示す図である。
図6】実施の形態2の動作を示すフローチャートである。
図7】実施の形態3のノイズ監視期間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示にかかる実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1に、本開示にかかる実施の形態1に係る水没検知装置を備えた車両1の構成を示す。車両1は、8つの音波センサ2a~2hと、ソナーECU(Electronic Control Unit)3と、駆動系ECU4と、制動系ECU5と、出力装置6とを有する。
【0013】
音波センサ2a~2hとソナーECU3は、伝送路7で互いに接続されている。また、ソナーECU3、駆動系ECU4、制動系ECU5および出力装置6は、車内LAN8で互いに接続されている。なお、本実施の形態において、伝送路7は、車内LAN8と分離した専用線で構成されているが、車内LAN8と一体に構成することもできる。
【0014】
音波センサ2a~2hは、超音波などの音波を送受信して車両1周辺の障害物を検知するために車両1に搭載されたものである。音波センサ2a~2dは、車両1のフロントバンパにおいて車幅方向に間隔を空けて並んで配置されている。また、音波センサ2e~2hは、車両1のリアバンパにおいて車幅方向に互いに間隔を空けて並んで配置されている。
【0015】
すなわち、音波センサ2a~2dは車両1の前方に向かって音波を放射し、音波センサ2e~2hは車両1の後方に向かって音波を放射するものである。
【0016】
ソナーECU3は、音波センサ2a~2hを統合的に制御するためのもので、音波センサ2a~2hから得られた情報に基づいて駆動系ECU4、制動系ECU5および出力装置6を制御する。
【0017】
駆動系ECU4は、運転者の駆動部に対する操作を示す信号などに基づいて駆動部を制御するものである。駆動部としては、例えば、エンジンなどが挙げられる。
【0018】
制動系ECU5は、運転者の制動部に対する操作を示す信号などに基づいて制動部を制御するものである。制動部としては、例えば、ブレーキなどが挙げられる。
【0019】
出力装置6は、乗員との間で情報をやり取りする、いわゆるHMI(Human Machine Interface)であり、車両1の乗員に報知する報知部などが含まれる。報知部としては、例えば、ディスプレイおよびスピーカーなどが挙げられる。
【0020】
次に、音波センサ2a~2hの構成について詳細に説明する。
【0021】
図2に、音波センサ2aの構成を示す。音波センサ2aは、圧電素子9を有し、この圧電素子9に駆動回路10および受信回路11がそれぞれ接続されると共に、駆動回路10および受信回路11がセンサ制御部12に接続されている。
【0022】
センサ制御部12は、タイマー13、波形メモリ14、判定回路15、通信回路16および閾値メモリ17を有する。タイマー13が駆動回路10に接続されると共に受信回路11に波形メモリ14が接続され、このタイマー13と波形メモリ14が判定回路15を介して通信回路16に接続されている。また、通信回路16は、閾値メモリ17を介して判定回路15に接続されると共に伝送路7にも接続されている。
【0023】
圧電素子9は、電圧が印加されることにより発振して、パルス状の音波を放射する。また、障害物などに反射された音波が圧電素子9に入射すると、その音波の音圧の変化に応じて圧電素子9が伸縮し、これにより生じた受信信号が出力される。
【0024】
駆動回路10は、圧電素子9から音波を放射するために圧電素子9に所定の電圧を印加するもので、例えば50kHzの電圧を印加する。これにより、圧電素子9から所定の周波数の音波が放射されることになる。
【0025】
受信回路11は、圧電素子9から出力された受信信号を整流して音波の強度に変換することにより音波の強度波形を生成する。また、受信回路11は、圧電素子9から入力される信号をマスクするマスク処理部を有する。
【0026】
マスク処理部は、例えば、圧電素子9から音波が放射される放射期間において圧電素子9から出力される信号をマスクすることにより、受信回路11の処理容量が飽和することを抑制する。
【0027】
タイマー13は、駆動回路10が圧電素子9に電圧を印加するタイミング信号を駆動回路10に供給するものである。
【0028】
波形メモリ14は、受信回路11で生成された音波の強度波形の強度値を順次保存する。
【0029】
閾値メモリ17は、判定回路15が障害物を判定するための音波強度の閾値を予め保存する。
【0030】
判定回路15は、波形メモリ14に保存された音波の強度波形の強度値と、閾値メモリ17に保存された閾値と比較し、強度波形において強度値が閾値を超える部分を検出する。
【0031】
そして、判定回路15は、強度値が閾値を超える部分の時刻の情報を算出する。この時刻は、音波センサ2aが障害物により反射された音波を受信した時刻であり、以下音波受信時刻と呼ぶ。
【0032】
また、判定回路15は、圧電素子9から音波が放射された時刻の情報をタイマー13から取得する。以下、この時刻を音波送信時刻と呼ぶ。
【0033】
さらに、判定回路15は、音波センサ2aから音波を放射する放射期間の直後に受信回路11に入力される信号に基づいて、音波センサ2aの残響特性を算出する。ここで、残響特性としては、残響の周波数および残響の継続時間などが挙げられる。
【0034】
そして、判定回路15は、音波受信時刻、音波送信時刻および残響特性などの情報を通信回路16に出力する。
【0035】
通信回路16は、判定回路15から出力された情報をソナーECU3に出力すると共にソナーECU3から入力される制御信号を音波センサ2aの各部に出力する。なお、音波センサ2b~2hは、音波センサ2aと同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0036】
次に、ソナーECU3の構成について詳細に説明する。
【0037】
図3に示すように、ソナーECU3は、障害物検知装置18および水没検知装置19を有する。障害物検知装置18および水没検知装置19は、それぞれ、音波センサ2a~2h、駆動系ECU4、制動系ECU5および出力装置6に接続されている。
【0038】
障害物検知装置18は、音波センサ2a~2hの各判定回路15で検出された音波受信時刻、音波送信時刻および音波速度などの情報に基づいて、音波センサ2a~2hから障害物までの距離および方向などの位置情報を算出する。
【0039】
ここで、音波センサ2a~2hから障害物までの距離は、車両1と障害物までの距離とされる。この算出方法は従来技術であるため、詳しい説明は省略する。障害物検知装置18は、算出された障害物の位置情報に基づいて、駆動系ECU4、制動系ECU5および出力装置6を制御する。
【0040】
水没検知装置19は、取得部20および制御部21を有する。取得部20は、制御部21に接続されている。
【0041】
取得部20は、音波センサ2a~2hの判定回路15から、前述した音波送信時刻の情報と音波受信時刻の情報とを、音波センサ2a~2hから放射された音波を音波センサ2a~2hで検知するまでの音波の伝搬時間の情報として取得し、さらに音波センサ2a~2hの残響特性を取得する。
【0042】
なお、音波センサ2a~2hが音波送信時刻の情報を保持しており、音波センサ2a~2hの判定回路15が、音波送信時刻の情報と音波受信時刻の情報とから、音波センサ2a~2hから放射された音波を音波センサ2a~2hで検知するまでの音波の伝搬時間を算出し、取得部20がその伝搬時間の情報を判定回路15から取得することとしてもよい。
【0043】
制御部21は、取得部20で取得された伝搬時間の情報に基づいて、少なくとも2つの音波センサ2a~2hが水没したか否かの判定を行う。
【0044】
具体的には、制御部21は、伝搬時間が所定の閾値未満である場合に、音波を放射した音波センサ2a~2hとその音波を受信した別の音波センサ2a~2hの両方が水没したと判定する。そして、制御部21は、判定結果に基づいて、駆動系ECU4、制動系ECU5および出力装置6を制御する。
【0045】
また、制御部21は、取得部20で取得された残響特性に基づいて、音波センサ2a~2hの受信回路11を制御し、音波の放射期間における受信回路11の受信をマスクする時間を短縮する。
【0046】
次に、実施の形態1に係る水没検知方法について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、ステップS1で、図1に示す車両1に搭載された音波センサ2a~2hの圧電素子9が、ソナーECU3の制御で発振されて、音波センサ2a~2dから音波が順次放射されると共に音波センサ2e~2hから音波が順次放射される。なお、音波センサ2a~2dと音波センサ2e~2hは、ソナーECU3により同様の制御が行われるため、以下では音波センサ2a~2dについて説明する。
【0048】
図2で説明したように、音波センサ2a~2dには、それぞれタイマー13が配置されている。音波センサ2a~2dのタイマー13は、互いに同期されており、例えば音波センサ2aから音波が放射されるときは、音波センサ2b~2dの駆動回路10は駆動されずに待ち状態となる。
【0049】
また、音波センサ2a~2dの受信回路11は、音波センサ2aの圧電素子9から音波が放射される放射期間の間、圧電素子9から入力される受信信号をマスクする。これにより、音波センサ2aの圧電素子9から入力される信号の強度が、障害物を判定するための閾値を超えると、その信号を障害物であると誤認識するため、この誤認識を排除することができる。なお、この受信信号のマスク処理は、受信回路11で行う代わりに、判定回路15が、当該放射期間の間、ソフトウェア処理で受信波として扱わないようにすることで、マスク処理を行うようにしてもよい。
【0050】
音波センサ2a~2dの受信回路11は、音波センサ2aの放射期間及びその放射による空気中での残響が収まるまでの時間が終了すると受信のマスクを解除し、所定の受信期間にわたって圧電素子9からの信号を入力する。これにより、音波センサ2a~2dの受信回路11には、圧電素子9に入射した音波の受信信号が入力される。また、音波センサ2aの受信回路11には、音波を放射した後に圧電素子9の振動が持続する残響の信号も入力される。
【0051】
音波センサ2a~2dの受信回路11は、それぞれ、音波の受信信号に基づいて強度波形を生成し、音波の強度波形の強度値を波形メモリ14に保存する。また、音波を放射した音波センサ2aの受信回路11は、音波の強度波形の強度値と共に残響の強度値も波形メモリ14に保存する。
【0052】
そして、波形メモリ14に保存された音波の強度波形の強度値と閾値メモリ17に保存された閾値とに基づいて、音波センサ2a~2dの判定回路15が、それぞれ、障害物により反射された音波を受信した時刻である音波受信時刻を検出し、音波受信時刻の情報をソナーECU3に出力する。また、音波を放射した音波センサ2a~2dの判定回路15は、音波を放射した時刻である音波送信時刻の情報をソナーECU3に出力する。
【0053】
さらに、ステップS2で、音波を放射した音波センサ2aの判定回路15は、波形メモリ14に保存された残響の信号から残響周波数を検出し、残響周波数の情報をソナーECU3に出力する。
【0054】
ソナーECU3における水没検知装置19の取得部20は、音波センサ2a~2dの判定回路15から、音波送信時刻の情報と音波受信時刻の情報とを音波の伝搬時間の情報として取得し、さらに音波センサ2a~2dの残響周波数の情報を取得する。
【0055】
ステップS3で、制御部21は、残響周波数の情報を取得部20から取得し、残響周波数が所定の閾値Th未満か否かを判定する。
ここで、音波センサ2a~2dの圧電素子9は、空気中において所定の周波数で固有振動するように設計されている。このため、圧電素子9は、交流電圧が印加されている間は印加電圧の周波数で発振するが、電圧がなくなると所定の周波数で固有振動し、この振動が残響として検出される。
【0056】
この残響の周波数は、水溜りから跳ね上げられた水分などが圧電素子9に付着すると、圧電素子9が空気中に存在する場合と比較して、低下する傾向を有する。
【0057】
そこで、水分が付着した圧電素子9の残響周波数に基づいて閾値Thを設定することにより、音波を放射した音波センサ2aの圧電素子9に水分が付着しているか否か、すなわち音波センサ2aが水分の多い環境下にあるか否かを判定することができる。
【0058】
制御部21は、取得部20から入力された残響周波数が所定の閾値Th以上であると判定した場合には、音波センサ2aが水分の少ない環境下にあるとして、ステップS4に進み、音波センサ2a~2dの受信回路11などの設定を変更することなく通常処理を行ってステップS1に戻る。
【0059】
これにより、残響周波数が所定の閾値Th未満であると判定されるまで、音波を放射する音波センサ2a~2dを順次変更しつつステップS1~ステップS3の処理が繰り返される。
【0060】
一方、制御部21は、ステップS3で、取得部20から入力された残響周波数が所定の閾値Th未満であると判定した場合には、ステップS5に進んで、音波を放射した音波センサ2a以外の音波センサ2b~2dの受信回路11を制御して、音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮する。
【0061】
例えば、図5に示すように、制御部21は、音波センサ2aから音波が放射される放射期間において、音波センサ2bの受信回路11に入力される受信信号をマスクする時間を短縮する。すなわち、音波センサ2bの受信回路11は、音波センサ2aの放射期間中も受信信号を受信するようにマスクの時間が短縮される。
【0062】
一般的に、音波センサ2aから放射される音波は、前方に向かって伝搬する指向性を有するため、車幅方向に伝搬して他の音波センサ2b~2dで直接的に受信されることはほとんどない。
【0063】
しかしながら、例えば、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没すると、水中の音速は空気中の音速の約4.5倍であるため、音波センサ2aから放射される音波の指向性は著しく低下する。これにより、図1に示すように、音波センサ2aから放射された音波Sが、車幅方向に向かって伝搬して、音波センサ2bで直接的に受信されるようになる。
【0064】
例えば、音波センサ2aと音波センサ2bが75cmの距離を空けて配置されている場合に、水中の音速を1500m/secとすると、音波センサ2aから音波センサ2bまでの音波Sの伝搬時間は0.5msecとなる。
【0065】
そこで、制御部21は、図5に示すように、音波センサ2bの受信回路11における受信をマスクする時間を0.5msecに短縮する。これにより、音波Sが音波センサ2bで受信された場合には、マスクを解除した直後から音波Sの受信信号が音波センサ2bの受信回路11で受信されることになる。
【0066】
このように、音波の放射から短時間で大きな強度の受信信号が受信されることは、音波センサ2aと音波センサ2bのそれぞれに水分が単に付着しただけでは生じることはなく、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したときに特有の現象である。
【0067】
そして、ステップS6で、制御部21は、受信のマスクを解除すると、音波センサ2aから放射された音波Sを音波センサ2bで検知するまでの伝搬時間を算出し、伝搬時間の情報に基づいて、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したか否かを判定する。
【0068】
例えば、制御部21は、伝搬時間が所定の閾値未満である場合に、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したと判定する。所定の閾値は、例えば、音波センサ2aと音波センサ2bとの間の距離を空気中の音速で除した値よりも小さく、かつ、音波センサ2aと音波センサ2bとの間の距離を水中の音速で除した値よりも大きい値に設定される。
【0069】
このように、制御部21は、音波センサ2aから音波センサ2bまで音波Sが水中を伝搬した伝搬時間の情報に基づいて水没を判定するため、音波センサ2aと音波センサ2bの水没を高精度に判定することができる。
【0070】
また、制御部21は、残響周波数に基づいて音波センサ2bの受信をマスクする時間を短縮するため、音波センサ2aから音波センサ2bに短時間で到達する音波Sを確実に受信することができ、水没の判定をより高精度に行うことができる。
【0071】
なお、制御部21は、音波センサ2aの放射期間の全てにわたって音波センサ2bの受信のマスクを解除することもできる。すなわち、制御部21は、音波センサ2aの放射期間の開始から音波センサ2bによる音波の受信を開始するように制御することができる。
【0072】
また、制御部21は、残響周波数以外の残響特性に基づいてマスクの時間を短縮してもよい。例えば、残響の継続時間は圧電素子9への水分の付着により大きく変化するため、制御部21は、残響の継続時間に基づいて、音波センサ2bの受信信号をマスクする時間を短縮することもできる。
【0073】
ステップS6で、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没していないと判定された場合には、ステップS1の処理が再度実行され、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したと判定されるまで、音波を放射する音波センサ2a~2dを順次変更しつつステップS1~ステップS6の処理が繰り返される。
【0074】
一方、ステップS6で、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したと判定した場合には、ステップS7に進んで、制御部21は、出力装置6を制御して車両1の乗員に車両1の水没の危険性を報知する。
【0075】
一般的に、障害物検知用の音波センサ2a~2dは、エンジンなどの駆動部より下側に配置されているため、道路の冠水などにより駆動部が浸水して停止する前に水没の危険性を乗員に報知することができ、乗員が水没を回避するなどの適切な対応をとることができる。
【0076】
また、雨中では運転者の視界が悪いため、運転者が車両1のどの部分まで水没しているか判断することが困難となる。そこで、制御部21が、車両1の水没の危険性を報知することにより、運転者が車両1を転進させるなどして、水没の危険を回避することができる。
【0077】
また、制御部21は、ステップS1~ステップS7の処理を複数回繰り返し、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したと判定した回数が所定の回数に達している場合と所定の回数に達していない場合とで、出力装置6による報知の態様を変更してもよい。
【0078】
例えば、制御部21は、水没の判定の回数が所定の回数に達している場合には、ディスプレイとスピーカーの両方で乗員に報知するなどして危険性の報知を強め、水没の判定の回数が所定の回数に達していない場合には、ディスプレイのみで乗員に報知するなどして危険性の報知を弱めることができる。
【0079】
このように、制御部21は、水没の判定の回数によって報知の態様を変更することにより、乗員に対して水没の危険度に応じた報知を行うことができる。
【0080】
また、制御部21は、ステップS6で、少なくとも音波センサ2aと音波センサ2bが水没したと判定した場合に、駆動系ECU4および制動系ECU5を介して車両1の駆動部および制動部を制御することができる。
【0081】
例えば、制御部21は、少なくとも音波センサ2aと音波センサ2bが水没したと判定した場合に、車両1の速度を低下させるように駆動系ECU4および制動系ECU5を制御することができる。
【0082】
また、制御部21は、少なくとも音波センサ2aと音波センサ2bが水没したと判定した場合に、車両1の障害物検知に基づく走行制限を無効とするように駆動系ECU4および制動系ECU5を制御することもできる。
【0083】
例えば、障害物検知に基づいて駆動系ECU4による加速制限および制動系ECU5による強制制動などの制御がなされる場合に、制御部21がこの制御を無効として加速制限および強制制動を行わないように制御する。
【0084】
このとき、制御部21は、出力装置6を制御して、車両1の障害物検知に基づく走行制限が無効にされたことを乗員に報知することが好ましい。
【0085】
本実施の形態によれば、制御部21が、音波センサ2aから放射された音波Sを音波センサ2bで検知するまでの音波Sの伝搬時間の情報に基づいて音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したか否かの判定を行うため、水没の判定を高精度に行うことができる。
【0086】
なお、本実施の形態において、残響特性に基づいて受信をマスクする時間を短縮するステップS2、ステップS3、ステップS5の処理は除いてもよい。
【0087】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1において、制御部21は、少なくとも2つの音波センサが水没したと判定した場合には、水中に適した方法で障害物を検知するように障害物検知装置18を制御することとしてもよい。
【0088】
例えば、制御部21は、図6に示すように、障害物検知装置18の設定を水没モードと通常モードの間で切り換えることができる。
【0089】
まず、実施の形態1と同様に、ステップS1およびS2が実行され、ステップS3において、制御部21が、残響周波数が所定の閾値Th未満か否かを判定する。制御部21は、残響周波数が所定の閾値Th以上であると判定した場合には、ステップS21に進んで、音波センサ2a~2dのマスク期間を通常に設定する。すなわち、制御部21は、音波を放射する音波センサ2aの放射期間の全てにわたって音波センサ2a~2dの受信信号がマスクされるように制御する。
【0090】
続いて、制御部21は、ステップS22で、障害物検知装置18を通常モードに設定する。ここで、通常モードとは、空気中において障害物を検知するのに適した設定とするもので、例えば、音波の放射期間、音波の放射パワー、障害物を判定するための受信音波の強度の閾値、障害物と車両1との間の距離を算出するための空気中の音速などを設定することができる。これにより、障害物検知装置18は、空気中に適した設定で障害物を検知することができ、障害物を確実に検知することができる。
【0091】
一方、制御部21は、ステップS3で、残響周波数が所定の閾値Th未満であると判定した場合には、実施の形態1と同様に、ステップS5およびS6を実行する。このとき、制御部21は、ステップS6で、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没していないと判定した場合には、ステップS22に進んで、障害物検知装置18を通常モードに設定する。
【0092】
また、制御部21は、ステップS6で、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したと判定した場合には、実施の形態1と同様に、ステップS7に進んで、出力装置6を制御して車両1の乗員に車両1の水没の危険性を報知する。
【0093】
続いて、制御部21は、ステップS23で、障害物検知装置18を水没モードに設定する。ここで、水没モードは、水中において障害物を検知するのに適した設定とするものである。
【0094】
例えば、制御部21は、少なくとも2つの音波センサ2aおよび2bから放射される音波の放射期間を通常モードより短縮するように障害物検知装置18の設定を変更することができる。一般的に、水中の音速は空気中より速いため、空気中より遠くの障害物が短い時間で検知される。そこで、制御部21は、音波の放射期間を空気中で放射する場合より短縮し、また、より早く受信を開始するように障害物検知装置18の設定を変更する。これにより、比較的近い距離の障害物も検知できるようになる。
【0095】
また、制御部21は、少なくとも2つの音波センサ2aおよび2bから放射される音波の放射パワーを調整するように障害物検知装置18の設定を変更することができる。一般的に、水中の音波の伝達効率は空気中の音波の伝達効率より高く、さらに音波の減衰率は空気中より水中において低いため、音波は、空気中より水中においてより遠くまで伝搬する。そこで、制御部21は、少なくとも2つの音波センサ2aおよび2bの放射パワーが低下するように障害物検知装置18の設定を変更することができる。
【0096】
また、制御部21は、車両1の外部にある障害物と音波センサ2a~2hとの間の距離を水中の音速に基づいて算出するように障害物検知装置18の設定を変更することができる。これにより、水中における障害物の検知をより高精度に行うことができる。
【0097】
さらに、制御部21は、車両1の外部にある障害物を判定回路15が判定するための受信音波の強度波形における強度値の閾値が変わるように障害物検知装置18の設定を変更することができる。例えば、制御部21は、水中での音波の減衰率が空気中より低いため、音波の伝搬時間(伝搬距離)が長くなるに従って強度値が小さくなる通常モードの閾値に比べて、より緩やかに強度値が小さくなるような閾値に変更することができる。
【0098】
本実施の形態によれば、制御部21が、少なくとも2つの音波センサ2aおよび2bが水没したと判定した場合に、障害物検知装置18の設定を水中での障害物の検知に応じた水没モードに変更するので、水中において障害物を確実に検知することができる。
【0099】
(実施の形態3)
上記の実施の形態1および2において、制御部21は、音波センサ2a~2dで検出されるノイズレベルを判定し、そのノイズレベルに基づいて、音波センサ2aから放射された音波を受信する音波センサ2b~2dにおける受信のマスクを解除することとしてもよいし、受信をマスクする時間を短縮することとしてもよい。
【0100】
例えば、制御部21は、図7に示すように、音波センサ2aが音波を放射する前にノイズ監視期間を設け、そのノイズ監視期間においてノイズレベルを判定する。
【0101】
まず、音波センサ2a~2dの受信回路11は、音波センサ2aから音波が放射される放射期間の前に設定されたノイズ監視期間において、音波信号を受信し、その受信信号を判定回路15に出力する。
【0102】
判定回路15は、受信回路11から受信信号が入力されると、受信信号に含まれるノイズレベルを検出する。例えば、冠水した道路を車両1が走行すると、水撥ねなどによる音波が受信されるため、この音波の強度をノイズレベルとして検出することができる。判定回路15は、検出したノイズレベルをソナーECU3に出力する。
【0103】
ソナーECU3は、判定回路15で検出されたノイズレベルを水没検知装置19の取得部20を介して制御部21に入力する。制御部21は、判定回路15で検出されたノイズレベルが取得部20から入力されると、そのノイズレベルが所定のレベルを超えたか否かを判定する。
【0104】
制御部21は、ノイズレベルが所定のレベルを超えていない場合には、音波センサ2b~2dのマスクの設定などを変更することなく、音波センサ2aを駆動して音波を放射させる。
【0105】
一方、制御部21は、ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合には、図7に示すように、音波センサ2b~2dの受信回路11を制御して音波の放射期間における受信のマスクを解除した後、音波センサ2aを駆動して音波を放射させる。
【0106】
なお、制御部21は、ノイズレベルが所定のレベルを超えた場合に、音波センサ2b~2dの受信回路11を制御して音波の放射期間における受信をマスクする時間を短縮してもよい。
【0107】
そして、制御部21は、実施の形態1と同様に、音波センサ2aから放射された音波Sを音波センサ2bで検知するまでの伝搬時間の情報に基づいて、音波センサ2aと音波センサ2bの両方が水没したか否かを判定する。
【0108】
このように、制御部21が、ノイズレベルに基づいて音波センサ2b~2dの受信のマスクを解除するため、例えば音波センサ2aから音波センサ2bに直接受信される音波Sを確実に受信することができ、水没の判定をより高精度に行うことができる。
【0109】
なお、制御部21は、ノイズレベルのみに基づいて受信のマスクを解除するか否かを判定してもよく、ノイズレベルと実施の形態1の残響特性の両者に基づいて受信のマスクを解除するか否かを判定してもよい。
【0110】
本実施の形態によれば、制御部21は、ノイズレベルに基づいて音波センサ2b~2dの受信のマスクを解除するため、音波センサ2aから音波センサ2bに直接受信される音波Sを確実に受信することができ、水没の判定をより高精度に行うことができる。
【0111】
なお、上記の実施の形態1~3において、音波センサ2a~2hは、水没検知装置19と障害物検知装置18の両者で用いられたが、水没検知装置19の専用として障害物検知装置18の音波センサとは別のものを用いてもよい。
【0112】
また、上記の実施の形態1~3において、すべての音波センサ2a~2hが必ずしも同じ高さに配置される必要はなく、異なる高さに配置することもできる。
【0113】
以上、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した各装置の機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
【0114】
上述した各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータの読取装置が、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置に記憶させる。あるいは、ネットワークカードが、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置に記憶させる。
【0115】
そして、CPUが、記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示にかかる水没検知装置は、車両に搭載された少なくとも2つの音波センサの水没を検知する装置に利用できる。
【符号の説明】
【0117】
1 車両
2a~2h 音波センサ
3 ソナーECU
4 駆動系ECU
5 制動系ECU
6 出力装置
7 伝送路
8 車内LAN
9 圧電素子
10 駆動回路
11 受信回路
12 センサ制御部
13 タイマー
14 波形メモリ
15 判定回路
16 通信回路
17 閾値メモリ
18 障害物検知装置
19 水没検知装置
20 取得部
21 制御部
S 音波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7