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特許7308425通信システム、情報処理装置および接続設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】通信システム、情報処理装置および接続設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230707BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230707BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021567486
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2020047953
(87)【国際公開番号】W WO2021132243
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2019239438
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】平松 勝彦
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の施設に設けられる通信装置および機器と、
前記施設のネットワークの開通前に前記機器に関する作業を行う作業者の装置であり、かつ、前記作業者が前記利用者の施設に持ち込んだ装置である作業者装置と、
を備え、
前記作業者装置は、
前記機器をネットワークに接続するために必要な情報であり、かつ、前記ネットワーク開通前の前記利用者の施設において前記機器から読み取られた情報である接続情報の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記機器の接続情報をサーバに保存する保存部と、を含み、
前記通信装置は、
前記サーバに保存された前記機器の接続情報を読み込む読込部と、
前記読込部により読み込まれた前記機器の接続情報をもとに、前記機器を前記施設のネットワークに接続するための処理を実行する設定部と、を含む、
通信システム。
【請求項2】
前記作業者装置の保存部は、作業者のIDを用いて前記サーバにアクセスし、前記サーバの作業者領域に前記機器の接続情報を保存し、
前記サーバにおいて、前記機器の接続情報は、前記作業者領域から利用者領域へ移動され、
前記通信装置の読込部は、利用者のIDを用いて前記サーバにアクセスし、前記サーバの利用者領域から前記機器の接続情報を読み込む、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記作業者装置の保存部は、作業者が前記機器に設定した内容に関する設定情報を前記サーバにさらに保存し、
前記通信装置の読込部は、前記サーバに保存された前記機器の設定情報をさらに読み込む、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通信装置は、前記読込部により読み込まれた前記機器の設定情報を、前記サーバにおける利用者領域に保存する保存部をさらに備える、
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
通信装置および機器が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に前記機器に関する作業を行う作業者の装置であり、かつ、前記作業者が前記利用者の施設に持ち込んだ装置であって、
前記機器をネットワークに接続するために必要な情報であり、かつ、前記ネットワーク開通前の前記利用者の施設において前記機器から読み取られた情報である接続情報の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記機器の接続情報をサーバに保存することにより、前記サーバに保存された前記機器の接続情報を読み込む処理と、その接続情報をもとに、前記機器を前記施設のネットワークに接続するための処理とを前記通信装置が実行することを可能にする保存部と、
を備える情報処理装置。
【請求項6】
通信装置および機器が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に前記機器に関する作業を行う作業者の装置であり、かつ、前記作業者が前記利用者の施設に持ち込んだ装置が、前記機器をネットワークに接続するために必要な情報であり、かつ、前記ネットワーク開通前の前記利用者の施設において前記機器から読み取られた情報である接続情報の入力を受け付けるステップと、
前記作業者の装置が、受け付けた前記機器の接続情報をサーバに保存するステップと、
前記通信装置が、前記サーバに保存された前記機器の接続情報を読み込むステップと、
前記通信装置が、読み込んだ前記機器の接続情報をもとに、前記機器を前記施設のネットワークに接続するための処理を実行するステップと、
を備える接続設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は通信技術に関し、特に通信システム、情報処理装置および接続設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)技術の普及に伴い、単一の入力装置を介して様々な家電や住宅設備を制御可能にした住宅(「スマートホーム」とも呼ばれる)が普及しつつある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-57245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が新たに入居する住宅では、通常、ネットワーク開通前(例えばインターネット回線の開通前)に、ネットワークに接続される利用者の機器(例えば家電や住宅設備)の基本的な設定を業者が行う。また、ネットワーク開通後には、利用者の機器のそれぞれをネットワークに接続する等の再設定が必要になる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、利用者の施設に設けられる機器をネットワークに接続するための設定の手間を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の通信システムは、利用者の施設に設けられる通信装置および機器と、施設のネットワークの開通前に機器に関する作業を行う作業者の装置である作業者装置と、を備える。作業者装置は、機器をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた機器の接続情報をサーバに保存する保存部と、を含む。通信装置は、サーバに保存された機器の接続情報を読み込む読込部と、読込部により読み込まれた機器の接続情報をもとに、機器を施設のネットワークに接続するための処理を実行する設定部と、を含む。
【0007】
本開示の別の態様は、情報処理装置である。この装置は、通信装置および機器が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に機器に関する作業を行う作業者の装置であって、機器をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた機器の接続情報をサーバに保存することにより、サーバに保存された機器の接続情報を読み込む処理と、その接続情報をもとに、機器を施設のネットワークに接続するための処理とを通信装置が実行することを可能にする保存部と、を備える。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、接続設定方法である。この方法は、通信装置および機器が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に機器に関する作業を行う作業者の装置が、機器をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付けるステップと、作業者の装置が、受け付けた機器の接続情報をサーバに保存するステップと、通信装置が、サーバに保存された機器の接続情報を読み込むステップと、通信装置が、読み込んだ機器の接続情報をもとに、機器を施設のネットワークに接続するための処理を実行するステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、利用者の施設に設けられる機器をネットワークに接続するための設定の手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施例の通信システムの構成を示す図である。
図2図1の作業者装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図3図1のGWの機能ブロックを示すブロック図である。
図4】第1実施例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図5】変形例の通信システムの構成を示す図である。
図6】変形例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図7】変形例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】第2実施例のGWの機能ブロックを示すブロック図である。
図9】第2実施例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図10】第2実施例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図11】変形例の通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。ここではICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)もしくはUSLI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0013】
実施例を詳細に説明する前に、実施例のコンセプトを説明する。利用者が新たに入居する住宅(以下「利用者宅」と呼ぶ。)では、インターネット回線の開通前に、作業者(例えば施工業者や住宅設備業者)は、利用者宅に設けられる利用者の機器に対して基本的な設定と動作確認を行う。そのため作業者は、モバイルルータ等を利用者宅に持ち込み、そのモバイルルータを介して利用者の機器をネットワークに接続する。インターネット回線の開通後には、利用者宅のネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標) アクセスポイント)に接続するように利用者の機器を再設定する必要があり、手間が発生していた。
【0014】
そこで実施例では、作業者は、モバイルルータに利用者のゲートウェイ(GW)と機器を接続し、その接続に関する情報をクラウド上のサーバに保存する。利用者の通信装置は、サーバからGWと機器の接続情報を読み込み、利用者のWi-FiアクセスポイントにGWと機器を自動で登録する。これにより、利用者が多くの機器をWi-Fiアクセスポイントに接続する手間を低減することができる。
【0015】
なお、実施例では、利用者のGWや機器をWi-Fiアクセスポイント(モバイルルータも同様)に接続するために、公知の「Wi-Fi Certified Easy Connect」を用いる。この技術は以下の手順を含む。(1)コンフィグレータが、アクセスポイントの二次元コードを読み取って、その二次元コードが示す情報をもとにアクセスポイントとの接続を確立する。(2)コンフィグレータが、Wi-Fiに接続するべきクライアントデバイスの二次元コードを読み取り、その二次元コードが示す情報をもとにアクセスポイントにクライアントデバイスを登録する。(3)以降、クライアントデバイスは、Wi-Fiネットワークに接続可能となる。実施例では、GW14または利用者端末18が上記コンフィグレータとして機能する。
【0016】
実施例を詳細に説明する。
<第1実施例>
図1は、第1実施例の通信システム10の構成を示す。通信システム10は、(1)利用者宅に設けられ、入居後に利用者が使用する利用者機器12、GW14、AP16と、(2)利用者宅での作業のために作業者が持ち込む作業者装置20、モバイルルータ22と、(3)利用者宅の外(例えばクラウド上)に設けられるサーバ24を備える。なお、図1の破線は、利用者宅のインターネット回線開通前の、作業者による基本設定時のネットワーク構成を示し、図1の実線は、利用者宅のインターネット回線開通後のネットワーク構成を示す。
【0017】
利用者機器12は、ネットワークに接続可能な複数の家電や住宅設備、情報機器を含む。例えば、利用者機器12は、エアコン、照明、電動窓シャッターおよび電気錠を含んでもよい。GW14は、複数の利用者機器12を制御する通信装置(ゲートウェイ装置)である。GW14は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラの機能の一部として実現されてもよい。AP16は、Wi-Fiアクセスポイント(言い換えればWi-Fiルータ)であり、インターネット26と接続される。
【0018】
作業者装置20は、利用者宅のネットワーク開通前(インターネット回線開通前)に利用者機器12に関する設定作業を行うための情報処理装置である。作業者装置20は、例えば、ノートPCやタブレット端末、スマートフォンであってもよい。モバイルルータ22は、Wi-Fiルータとして機能し、また、4Gまたは5G通信によりインターネット26と接続される。サーバ24は、利用者機器12をネットワークに接続するための必要な情報である接続情報を記憶する情報処理装置である。
【0019】
図2は、図1の作業者装置20の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
作業者装置20は、カメラ部30、受付部32、設定部34、保存部36を備える。図2に示す機能ブロックのうち少なくとも一部の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、記録媒体に格納され、その記録媒体を介して作業者装置20のストレージにインストールされてもよい。または、上記のコンピュータプログラムが、通信網を介して作業者装置20のストレージにインストールされてもよい。作業者装置20のCPUは、上記のコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。他のブロック図についても同様である。
【0021】
カメラ部30は、モバイルルータに登録すべき装置(「登録対象装置」とも呼ぶ。)の筐体に貼付された二次元コードを撮像する。この二次元コードは、登録対象装置をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報をコード化したものである。接続情報は、例えば、装置のMACアドレスやパスフレーズを含んでもよい。
【0022】
受付部32は、登録対象装置の接続情報の入力を受け付ける。具体的には、受付部32は、カメラ部30から出力された二次元コードの撮像データを受け付ける。受付部32は、その撮像データを解析することにより上記二次元コードをデコードし、上記二次元コードが示す接続情報を取得する。
【0023】
設定部34は、受付部32により受け付けられた登録対象装置の接続情報をもとに、登録対象装置をモバイルルータ22に登録する。これにより、登録対象装置とモバイルルータ22とのWi-Fi通信を可能にする。保存部36は、インターネット26を介してサーバ24にアクセスし、受付部32により受け付けられた登録対象装置の接続情報をサーバ24に保存する。
【0024】
図3は、図1のGW14の機能ブロックを示すブロック図である。GW14は、カメラ部40、受付部42、読込部44、設定部46を含む。カメラ部40は、AP16に登録すべき登録対象装置の筐体に貼付された二次元コードを撮像する。
【0025】
受付部42は、登録対象装置の接続情報の入力を受け付ける。具体的には、受付部42は、カメラ部40から出力された二次元コードの撮像データを受け付け、その二次元コードが示す接続情報を取得する。読込部44は、インターネット26を介してサーバ24にアクセスし、サーバ24に保存された登録対象装置の接続情報を読み込む。
【0026】
設定部46は、登録対象装置を利用者宅のネットワークに接続するための処理を実行する。具体的には、設定部46は、受付部42により受け付けられた登録対象装置の接続情報をもとに登録対象装置をAP16に登録する。また、設定部46は、読込部44により読み込まれた登録対象装置の接続情報をもとに登録対象装置をAP16に登録する。これにより、登録対象装置とAP16とのWi-Fi通信を可能にする。
【0027】
第1実施例の通信システム10の動作を説明する。図4は、第1実施例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。本図のS10~S22の処理は、利用者宅におけるネットワーク開通前、典型的には利用者の入居前の作業者による設定作業に関する処理である。
【0028】
作業者は、作業者装置20のカメラ部30を操作して、モバイルルータ22の二次元コードを撮像する(S10)。作業者装置20の受付部32は、モバイルルータ22の二次元コードの撮像画像をもとに、その二次元コードが示すモバイルルータ22の接続情報を取得する。作業者装置20の設定部34は、モバイルルータ22の接続情報をもとに、自装置をモバイルルータ22に登録する(S12)。
【0029】
作業者は、作業者装置20のカメラ部30を操作して、GW14の二次元コードを撮像する(S14)。作業者装置20の受付部32は、GW14の二次元コードの撮像画像をもとに、その二次元コードが示すGW14の接続情報を取得する。作業者装置20の設定部34は、GW14の接続情報をもとに、GW14をモバイルルータ22に登録する(S16)。
【0030】
作業者は、作業者装置20のカメラ部30を用いて、利用者機器12の二次元コードを撮像する(S18)。作業者装置20の受付部32は、利用者機器12の二次元コードの撮像画像をもとに、その二次元コードが示す利用者機器12の接続情報を取得する。作業者装置20の設定部34は、利用者機器12の接続情報をもとに、利用者機器12をモバイルルータ22に登録する(S20)。実際には、複数の利用者機器12の二次元コードを取得し、各機器の二次元コードが示す接続情報をもとに、複数の利用者機器12をモバイルルータ22に登録する。
【0031】
作業者は、利用者機器12やGW14に対する基本設定を行う。例えば、利用者機器12やGW14に、モバイルルータ22~インターネット26を介して、利用社宅外の装置(例えばサーバ24等)と通信させる。また、作業者は、作業者装置20から利用者機器12に対して所定の制御信号を送信させることにより、利用者機器12の動作テストを行う。例えば、利用者機器12が照明の場合に制御信号に応じて点灯することや、利用者機器12が電動窓シャッターの場合に制御信号に応じてシャッターが開閉することを確認する。
【0032】
作業者は、基本設定が終了すると、作業者のIDとパスワードを用いて、作業者装置20からサーバ24にログインする。作業者は、接続情報の保存を指示する操作を作業者装置20に入力する。作業者装置20の保存部36は、利用者機器12の接続情報(言い換えれば二次元コード情報)をサーバ24に送信し、その接続情報をサーバ24に記憶させる(S22)。実際には、保存部36は、複数の利用者機器12それぞれの接続情報をサーバ24に送信して記憶させる。
【0033】
図4のS24~S30の処理は、利用者宅におけるネットワーク開通後、典型的には利用者の入居後の利用者による設定作業に関する処理である。利用者は、GW14のカメラ部40を用いて、AP16の二次元コードを撮像する(S24)。GW14の受付部42は、AP16の二次元コードの撮像画像をもとに、その二次元コードが示すAP16の接続情報を取得する。GW14の設定部46は、AP16の接続情報をもとに、GW14をAP16に登録する(S26)。
【0034】
GW14の読込部44は、S22でサーバ24に保存された利用者機器12の接続情報(言い換えれば二次元コード情報)をサーバ24から読み込む(S28)。GW14の設定部46は、利用者機器12の接続情報をもとに、利用者機器12をAP16に登録する(S30)。以降、複数の利用者機器12をGW14から操作すること、また、複数の利用者機器12を利用者のスマートフォンから操作することが可能になる。
【0035】
第1実施例の通信システム10によると、利用者が多くの利用者機器12をWi-Fiアクセスポイントに接続する作業の手間を低減することができる。また、利用者は、利用者宅のネットワーク開通後に、利用者機器12をネットワークに接続する作業を再度作業者に依頼することが不要になり、コスト面のメリットも大きい。
【0036】
以上、本開示を第1実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0037】
第1実施例の変形例を説明する。本変形例に関して、第1実施例と相違する点を中心に以下説明し、共通する点の説明を省略する。本変形例の構成要素のうち第1実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0038】
図5は、変形例の通信システム10の構成を示す。変形例の通信システム10は、利用者端末18をさらに備える。利用者端末18は、Wi-Fi通信に加え、4Gまたは5G通信が可能な通信装置である。利用者端末18は、例えば、利用者のスマートフォンやタブレット端末でもよい。利用者端末18は、第1実施例ではGW14が備えたカメラ部40、受付部42、読込部44、設定部46を備える。本変形例では、これらの機能ブロックの機能が実装されたアプリケーション(以下「設定App」とも呼ぶ。)が利用者端末18にインストールされる。
【0039】
変形例の通信システム10の動作を説明する。図6は、変形例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、利用者宅におけるネットワーク開通前の作業者による設定作業に関する処理を示している。同図のS40~S50の処理は、図4のS10~S20の処理と同じであるため説明を省略する。
【0040】
作業者装置20は、作業者のIDとパスワードを用いてサーバ24にログインする。作業者装置20の保存部36は、GW14の接続情報および利用者機器12の接続情報をサーバ24に送信し、サーバ24における作業者用の記憶領域(以下「作業者領域」と呼ぶ。)にそれらの接続情報を記憶させる(S52)。
【0041】
作業者は、作業者のIDとパスワードを用いてサーバ24にログインし、サーバ24の作業者領域に記憶されたGW14の接続情報および利用者機器12の接続情報を、サーバ24における利用者用の記憶領域(以下「利用者領域」と呼ぶ。)に移動させる(S54)。サーバ24は、利用者のIDとパスワードを発行し、利用者機器12へ通知する(S56)。利用者機器12は、4G回線または5G回線を介して、この通知を受信してもよい。なお、利用者のIDとパスワードは、サーバ24の利用者領域にアクセス可能だが、作業者領域にはアクセスできない。
【0042】
図7も、変形例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、利用者宅におけるネットワーク開通後の利用者による設定作業に関する処理を示している。利用者は、S56で通知された利用者のIDとパスワードを用いて利用者端末18の設定Appにログインする。利用者は、利用者端末18のカメラ部40を用いて、AP16の二次元コードを撮像する(S58)。利用者端末18の受付部42は、AP16の二次元コードの撮像画像をもとに、その二次元コードが示すAP16の接続情報を取得する。利用者端末18の設定部46は、AP16の接続情報をもとに、利用者端末18をAP16に登録する(S60)。
【0043】
利用者端末18の読込部44は、利用者が入力した利用者のIDとパスワードを用いてサーバ24にログインし、サーバ24の利用者領域に記憶されたGW14の接続情報と利用者機器12の接続情報を読み込む(S62)。利用者端末18の設定部46は、サーバ24から読み込まれたGW14の接続情報をもとに、GW14をAP16に登録する(S64)。例えば、設定部46は、GW14の接続情報をAP16へ送信し、また、AP16の接続情報をGW14へ送信することにより、AP16とGW14とのWi-Fi通信を可能にしてもよい。
【0044】
また、利用者端末18設定部46は、サーバ24から読み込まれた利用者機器12の接続情報をもとに、利用者機器12をAP16に登録する(S66)。例えば、設定部46は、利用者機器12の接続情報をAP16へ送信し、また、AP16の接続情報を利用者機器12へ送信することにより、AP16と利用者機器12とのWi-Fi通信を可能にしてもよい。
【0045】
本変形例の通信システム10によると、第1実施例の通信システム10と同様の効果を奏する。また、本変形例の通信システム10によると、作業者に固有のIDとパスワードを用いてサーバ24に格納した接続情報を、利用者のIDとパスワードを用いて引き継ぐことができる。これにより、セキュリティリスクの増加を抑制しつつ、各機器の接続情報を利用者が引き継ぐことができる。
【0046】
<第2実施例>
第2実施例に関して、第1実施例と相違する点を中心に以下説明し、共通する点の説明を省略する。第2実施例の構成要素のうち第1実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0047】
第2実施例の通信システム10の構成は、図1に示した第1実施例の通信システム10の構成と同じである。第2実施例の作業者装置20は、第1実施例の作業者装置20と同様に、図2で示したカメラ部30、受付部32、設定部34、保存部36を備える。
【0048】
作業者装置20の保存部36は、利用者機器12の接続情報をサーバ24に保存するとともに、作業者が利用者機器12に設定した内容に関する設定情報をサーバ24にさらに保存する。設定情報は、例えば、利用者に関する情報や、利用者宅の状態に応じた動作態様を指定する情報、HEMSに関する設定の情報を含んでもよい。
【0049】
図8は、第2実施例のGW14の機能ブロックを示すブロック図である。第2実施例のGW14は、第1実施例で説明した機能ブロックに加えて、保存部48をさらに備える。GW14の読込部44は、サーバ24に予め保存された利用者機器12の接続情報を読み込み、さらに、サーバ24に予め保存された利用者機器12の設定情報を読み込む。GW14の保存部48は、読込部44により読み込まれた利用者機器12の設定情報を、サーバ24における利用者領域に保存する。
【0050】
第2実施例の通信システム10の動作を説明する。図9は、第2実施例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。本図に示す処理は、利用者宅におけるネットワーク開通前、典型的には利用者の入居前の作業者による設定作業に関する処理である。本図のS70~S80の処理は、図4のS10~S20の処理と同じであるため説明を省略する。
【0051】
作業者装置20の設定部34は、作業者の操作に応じて、GW14に設定すべきデータ(例えば収容対象となる利用者機器12の情報等)を、モバイルルータ22を介してGW14へ送信する(S82)。GW14は、設定結果を作業者装置20へ通知する(S84)。作業者装置20の設定部34は、作業者の操作に応じて、利用者機器12に設定すべきデータ(例えば自機を収容するGW14の情報等)を、モバイルルータ22を介して利用者機器12へ送信する(S86)。利用者機器12は、設定結果を作業者装置20へ通知する(S88)。
【0052】
作業者装置20の保存部36は、利用者機器12の接続情報(言い換えれば二次元コード情報)をサーバ24に送信し、その接続情報をサーバ24に記憶させる(S90)。さらに、保存部36は、GW14に対する設定内容を示す設定情報と、利用者機器12に対する設定内容を示す設定情報とをサーバ24に送信し、それらの設定情報をサーバ24に記憶させる(S92)。
【0053】
図10も、第2実施例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。本図は、利用者宅におけるネットワーク開通後、典型的には利用者の入居後の利用者による設定作業に関する処理である。なお、本図の処理が実行される前に、サーバ24は、利用者に関する接続情報および設定情報にアクセスするためのアドレス情報(URI等、以下「読み込み用アドレス」とも呼ぶ。)を事前に利用者に通知する。
【0054】
本図のS94、S96の処理は、図4のS24、S26の処理と同じであるため説明を省略する。GW14は、AP16経由でサーバ24へアクセスし、予め発行された利用者のIDとパスワードを用いてサーバ24にログインする。GW14の読込部44は、利用者に通知された読み込み用アドレスを用いて、作業者による登録情報、ここでは利用者機器12の接続情報をサーバ24から読み込む(S98)。GW14の設定部46は、利用者機器12の接続情報をもとに、利用者機器12をAP16に登録する(S100)。
【0055】
GW14の読込部44は、利用者に通知された読み込み用アドレスを用いて、作業者による登録情報、ここではGW14の設定情報と利用者機器12の設定情報とをサーバ24から読み込む(S102)。GW14の保存部48は、読込部44により読み込まれたGW14の設定情報と利用者機器12の設定情報とをサーバ24の利用者領域に保存する(S104)。なお、サーバ24の利用者領域は、利用者のIDに紐付けられ、利用者のIDとパスワードを用いたログイン後にアクセス可能となる記憶領域であってよい。
【0056】
第2実施例の通信システム10も第1実施例の通信システム10と同様の効果を奏する。また、第2実施例の通信システム10によると、GW14と利用者機器12に対する設定情報をサーバ24に保存しておき、利用者宅のネットワーク開通後にGW14が読み込むことにより、利用者が設定情報を引き継いで利活用することができる。また、GW14と利用者機器12に対する設定情報をサーバ24の利用者領域に書き込むことにより、セキュリティを維持しつつ、設定情報の利活用を一層容易にすることができる。
【0057】
以上、本開示を第2実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
第2実施例の変形例を説明する。本変形例に関して、第2実施例と相違する点を中心に以下説明し、共通する点の説明を省略する。本変形例の構成要素のうち第2実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0059】
本変形例の通信システム10は、図5に示した第1実施例の変形例の通信システム10の構成と同じである。本変形例の利用者端末18は、第2実施例のGW14が備えたカメラ部40、受付部42、読込部44、設定部46、保存部48を備える。
【0060】
変形例の通信システム10の動作を説明する。変形例の通信システム10の動作のうち利用者宅におけるネットワーク開通前、典型的には利用者の入居前の作業者による設定作業に関する処理は、図9に示した第2実施例の処理と同じであるため説明を省略する。
【0061】
図11は、変形例の通信システム10の動作を示すシーケンス図である。本図は、利用者宅におけるネットワーク開通後、典型的には利用者の入居後の利用者による設定作業に関する処理を示している。サーバ24は、利用者のID、パスワード、読み込み用アドレスを利用者端末18へ通知する(S110)。この通知は、利用者端末18が接続された携帯電話網等の、利用者宅のネットワークとは異なるネットワークを介してなされてもよい。
【0062】
図11のS112、S114の処理は、図7に示したS58、S60の処理と同じであるため説明を省略する。利用者端末18の読込部44は、利用者が入力した利用者のIDとパスワードを用いてサーバ24にログインし、読み込み用アドレスを用いてGW14の接続情報と利用者機器12の接続情報を読み込む(S116)。利用者端末18の設定部46は、サーバ24から読み込まれたGW14の接続情報をもとに、GW14をAP16に登録する(S118)。また、設定部46は、サーバ24から読み込まれた利用者機器12の接続情報をもとに、利用者機器12をAP16に登録する(S120)。
【0063】
利用者端末18の読込部44は、利用者に通知された読み込み用アドレスを用いて、GW14の設定情報と利用者機器12の設定情報とをサーバ24から読み込む(S122)。利用者端末18の保存部48は、読込部44により読み込まれたGW14の設定情報と利用者機器12の設定情報とをサーバ24の利用者領域に保存する(S124)。本変形例の通信システム10も、第2実施例の通信システム10と同様の効果を奏する。
【0064】
上記実施例および変形例に記載した技術は、住宅以外の様々な施設にも適用可能である。例えば、企業のオフィスや学校等に設けられる機器のネットワーク接続設定にも適用可能である。
【0065】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0066】
実施例および変形例に記載の技術は、以下の項目によって特定されてもよい。
[項目1]
利用者の施設に設けられる通信装置(14,18)および機器(12)と、
前記施設のネットワークの開通前に前記機器(12)に関する作業を行う作業者の装置である作業者装置(20)と、
を備え、
前記作業者装置(20)は、
前記機器(12)をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付ける受付部(32)と、
前記受付部により受け付けられた前記機器(12)の接続情報をサーバ(24)に保存する保存部(36)と、を含み、
前記通信装置(14,18)は、
前記サーバ(24)に保存された前記機器(12)の接続情報を読み込む読込部(44)と、
前記読込部(44)により読み込まれた前記機器(12)の接続情報をもとに、前記機器(12)を前記施設のネットワークに接続するための処理を実行する設定部(46)と、を含む、
通信システム(10)。
[項目2]
前記作業者装置(20)の保存部(36)は、作業者のIDを用いて前記サーバ(24)にアクセスし、前記サーバ(24)の作業者領域に前記機器(12)の接続情報を保存し、
前記サーバ(24)において、前記機器(12)の接続情報は、前記作業者領域から利用者領域へ移動され、
前記通信装置(14,18)の読込部(44)は、利用者のIDを用いて前記サーバ(24)にアクセスし、前記サーバ(24)の利用者領域から前記機器(12)の接続情報を読み込む、
項目1に記載の通信システム(10)。
[項目3]
前記作業者装置(20)の保存部(36)は、作業者が前記機器(12)に設定した内容に関する設定情報を前記サーバ(24)にさらに保存し、
前記通信装置(14,18)の読込部(44)は、前記サーバ(24)に保存された前記機器(12)の設定情報をさらに読み込む、
項目1または2に記載の通信システム(10)。
[項目4]
前記通信装置(14,18)は、前記読込部(44)により読み込まれた前記機器(12)の設定情報を、前記サーバ(24)における利用者領域に保存する保存部(48)をさらに備える、
項目3に記載の通信システム(10)。
[項目5]
通信装置(14,18)および機器(12)が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に前記機器(12)に関する作業を行う作業者の装置(20)であって、
前記機器(12)をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付ける受付部(32)と、
前記受付部(32)により受け付けられた前記機器(12)の接続情報をサーバ(24)に保存することにより、前記サーバ(24)に保存された前記機器(12)の接続情報を読み込む処理と、その接続情報をもとに、前記機器(12)を前記施設のネットワークに接続するための処理とを前記通信装置(14,18)が実行することを可能にする保存部(36)と、
を備える情報処理装置(20)。
[項目6]
通信装置(14,18)および機器(12)が設けられる利用者の施設のネットワークの開通前に前記機器(12)に関する作業を行う作業者の装置(20)が、前記機器(12)をネットワークに接続するために必要な情報である接続情報の入力を受け付けるステップと、
前記作業者の装置(20)が、受け付けた前記機器(12)の接続情報をサーバ(24)に保存するステップと、
前記通信装置(14,18)が、前記サーバ(24)に保存された前記機器(12)の接続情報を読み込むステップと、
前記通信装置(14,18)が、読み込んだ前記機器(12)の接続情報をもとに、前記機器(12)を前記施設のネットワークに接続するための処理を実行するステップと、
を備える接続設定方法。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示の技術は、通信に関連するシステムおよび装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 通信システム、 12 利用者機器、 14 GW、 18 利用者端末、 20 作業者装置、 24 サーバ、 32 受付部、 34 設定部、 36 保存部、 42 受付部、 44 読込部、 46 設定部、 48 保存部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11