(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】足形状計測システム及び足形状計測方法
(51)【国際特許分類】
A43D 1/02 20060101AFI20230707BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A43D1/02
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2021090163
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2023-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506343771
【氏名又は名称】株式会社ドリーム・ジーピー
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】荒山 元秀
(72)【発明者】
【氏名】清家 望
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-90272(JP,A)
【文献】国際公開第2002/040941(WO,A1)
【文献】特開2002-177015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43D 1/02
G01B 11/24
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の三次元形状を表す3Dデータの入力を受け付ける入力受付部と、
前記3Dデータに基づいて、前記足の特徴パラメータを算出する特徴パラメータ算出部と、
を備える足形状計測システムであって、
前記特徴パラメータ算出部は、
横方向から見た前記足の後部について、踵範囲内において最も突出している突出点とアキレス腱範囲内において最も後退している後退点との間の足長方向の距離を算出する距離算出部を含む、足形状計測システム。
【請求項2】
前記特徴パラメータ算出部は、
前記足の足長を算出する足長算出部と、
前記足長に対する前記距離の比率である踵指数を算出する踵指数算出部と、
をさらに含む、請求項1に記載の足形状計測システム。
【請求項3】
前記特徴パラメータ算出部は、前記踵指数が属する区分を判定する区分判定部をさらに含む、請求項2に記載の足形状計測システム。
【請求項4】
前記距離算出部は、前記足長に基づいて、前記踵範囲と前記アキレス腱範囲とを算出し、算出した前記踵範囲内において最も突出している前記突出点と、算出した前記アキレス腱範囲内において最も後退している前記後退点との前記距離を算出する、請求項2又は3に記載の足形状計測システム。
【請求項5】
前記足の三次元形状を計測する計測ユニットと、
前記計測ユニットが計測したデータに基づいて、前記足の三次元形状を表す前記3Dデータを生成する3Dデータ生成部と、
をさらに備え、
前記入力受付部は、前記3Dデータ生成部が生成した前記3Dデータの入力を受け付ける、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の足形状計測システム。
【請求項6】
足の形状特徴を取得するための計測方法であって、
横方向から見た前記足の後部について、踵範囲内において最も突出している突出点を特定する突出点特定ステップと、
前記横方向から見た前記足の後部について、アキレス腱範囲内において最も後退している後退点を特定する後退点特定ステップと、
前記突出点と前記後退点との間の足長方向の距離を計測する距離計測ステップと、
を含む、足形状計測方法。
【請求項7】
前記足の足長を算出する足長算出ステップと、
前記足長に対する前記距離の比率である踵指数を算出する踵指数算出ステップと、
をさらに含む、請求項6に記載の足形状計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足形状計測システム及び足形状計測方法に関し、詳しくは、既製靴を選択するための指標を算出することができる足形状計測システム及び足形状計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
足の三次元形状を計測して得られた3Dデータを利用して、足の三次元形状に適合する既製靴を選択する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7は、足6の略図である。
図8は、靴8の略図である。
図7に示す足6の後部の最も突出している箇所6aよりも上の踵上部7の形状と、
図8に示す靴8の踵部9の形状とが上手く対応していると、靴8を履いて歩いたときに足6の踵上部7が靴8の踵部9に引っ掛かり、靴8が脱げない。足6の踵上部7の形状と靴8の踵部9の形状との対応が良くないと、歩いたときに足6の後部が浮き、靴8が脱げやすくなる。
【0005】
足6の踵上部7の形状の違いに対応して靴8の踵部9の形状が異なる既製靴を製造すれば、足6の踵上部7の形状に適合する既製靴を選択することが可能になる。
【0006】
しかしながら、既製靴のサイズについて、JIS規格等に足長、足囲、足幅などが規定されているが、足6の後部形状に関しては規定されていない。そのため、足6の後部形状に適合する既製靴を選択するのが困難である。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み、足の後部形状に適合する既製靴の選択が容易になる足形状計測システム及び足形状計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した足形状計測システムを提供する。
【0009】
足形状計測システムは、(a)足の三次元形状を表す3Dデータの入力を受け付ける入力受付部と、(b)前記3Dデータに基づいて、前記足の特徴パラメータを算出する特徴パラメータ算出部と、を備える。前記特徴パラメータ算出部は、(i)横方向から見た前記足の後部について、踵範囲内において最も突出している突出点とアキレス腱範囲内において最も後退している後退点との間の足長方向の距離を算出する距離算出部を含む。
【0010】
上記構成によれば、距離算出部が算出する距離を、既製靴を選択するための指標として用いることができる。距離に応じて既製靴を取り揃えておくことにより、足の後部形状に適合する既製靴を選択することが容易になる。
【0011】
好ましくは、前記特徴パラメータ算出部は、(ii)前記足の足長を算出する足長算出部と、(iii)前記足長に対する前記距離の比率である踵指数を算出する踵指数算出部と、をさらに含む。
【0012】
この場合、踵指数算出部が算出する踵指数を、既製靴を選択するための指標として用いることができる。踵指数に応じて既製靴を取り揃えておくことにより、足の後部形状に適合する既製靴を選択することが容易になる。同じ踵指数であれば、足長が異なっても靴の踵部の形状が同じになるように既製靴を設計すると、既製靴の製造や選択が容易になる。
【0013】
好ましくは、前記特徴パラメータ算出部は、(iv)前記踵指数が属する区分を判定する区分判定部を、さらに含む。
【0014】
この場合、踵指数が属する区分を、既製靴を選択するための指標として用いることができる。踵指数が属する区分ごとに踵部の形状が異なる既製靴を取り揃えることにより、既製靴の製造や選択が容易になる。
【0015】
好ましくは、前記距離算出部は、前記足長に基づいて、前記踵範囲と前記アキレス腱範囲とを算出し、算出した前記踵範囲内において最も突出している前記突出点と、算出した前記アキレス腱範囲内において最も後退している前記後退点との前記距離を算出する。
【0016】
この場合、足長に応じて踵範囲やアキレス腱範囲が適切に設定されるようにすることができる。
【0017】
足形状計測システムは、(c)前記足の三次元形状を計測する計測ユニットと、(d)前記計測ユニットが計測したデータに基づいて、前記足の三次元形状を表す前記3Dデータを生成する3Dデータ生成部と、をさらに備える。前記入力受付部は、前記3Dデータ生成部が生成した前記3Dデータの入力を受け付ける。
【0018】
この場合、足の三次元形状を計測して足長、足囲等の代表的な指標を算出する足計測システムに、足の後部形状に関する指標を算出する機能を込むことができる。
【0019】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した足形状計測方法を提供する。
【0020】
足形状計測方法は、足の形状特徴を取得するための計測方法であって、(i)横方向から見た前記足の後部について、踵範囲内において最も突出している突出点を特定する突出点特定ステップと、(ii)前記横方向から見た前記足の後部について、アキレス腱範囲内において最も後退している後退点を特定する後退点特定ステップと、(iii)前記突出点と前記後退点との間の足長方向の距離を計測する距離計測ステップと、を含む。
【0021】
上記方法によれば、距離計測ステップで計測した距離に応じて既製靴を取り揃えておくことにより、足の後部形状に適合する既製靴を選択することが容易になる。
【0022】
好ましくは、足形状計測方法は、(iv)前記足の足長を算出する足長算出ステップと、(v)前記足長に対する前記距離の比率である踵指数を算出する踵指数算出ステップと、をさらに含む。
【0023】
この場合、踵指数が属する区分を、既製靴を選択するための指標として用いることができる。踵指数が属する区分ごとに踵部の形状が異なる既製靴を取り揃えることにより、既製靴の製造や選択が容易になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、足の後部形状に関する特徴パラメータを算出することができる。足の後部形状に関する特徴パラメータを指標として既製靴を取り揃えておくことにより、足の後部形状に適合する既製靴の選択が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は足形状計測システムのブロック図である。(実施例1)
【
図2】
図2は特徴パラメータ算出部のブロック図である。(実施例1)
【
図4】
図4はプリンタから出力される画像である。(実施例1)
【
図5】
図5は足形状計測システムのブロック図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の足形状計測システム及び足形状計測方法について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
<実施例1> 実施例1の足形状計測システム10について、
図1~
図4を参照しながら説明する。足形状計測システム10は、足の形状特徴を取得するための計測方法である足形状計測方法を実行する。
【0028】
図1は、足形状計測システム10の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、足形状計測システム10は、計測ユニット12と、端末16と、データ処理ユニット20とを備える。計測ユニット12と端末16とは、直接又はインターネット等の通信網を介して、データ処理ユニット20に接続されている。例えば、データ処理ユニット20は、1台又は複数台のサーバを用いて構成される。端末16は、スマートフォン、タブレット端末、パソコン等である。データ処理ユニット20と端末16とが、共通する1台のパソコンを用いて構成されてもよい。
【0029】
計測ユニット12は、足6の三次元形状を計測する。例えば、計測ユニット12は、透明板14の上に置かれた足6の形状を光切断法によって計測するように構成されている。計測ユニット12で計測したデータ13は、データ処理ユニット20に送信される。
【0030】
データ処理ユニット20は、3Dデータ生成部22と、入力受付部22と、特徴パラメータ算出部26と、通信部28と、データ記憶部21とを含む。
【0031】
3Dデータ生成部22は、計測ユニット12からデータ処理ユニット20に送信されたデータ13に基づいて、足6の三次元形状を表す3Dデータ23を生成する。
【0032】
入力受付部24は、3Dデータ生成部22が生成した3Dデータ23の入力を受け付け、入力を受け付けた3Dデータ25を、特徴パラメータ算出部26と通信部28とに送出する。
【0033】
特徴パラメータ算出部26は、入力受付部24から送出された3Dデータ25に基づいて、足6の種々の特徴パラメータ27を算出し、特徴パラメータを通信部28に送出する。
【0034】
通信部28は、端末16からデータ17を受信し、端末16にデータ29を送信する。例えば、通信部28は、端末16での操作に応じて送信されるデータ17に基づいて、入力受付部24から送出された3Dデータ25の三次元画像や特徴パラメータ算出部26から送出された特徴パラメータ27等を、端末16の画面に表示したり端末16に接続された不図示のプリンタに出力したりするためのデータ29を生成し、生成したデータ29を端末16に送信する。
【0035】
データ記憶部21は、3Dデータ生成部22が生成した3Dデータ23や、特徴パラメータ算出部26が算出した特徴パラメータ27等を、必要に応じて適宜、記憶する。
【0036】
図2は、特徴パラメータ算出部26のブロック図である。
図2に示すように、特徴パラメータ算出部26は、足長を算出する足長算出部26aと、足囲を算出する足囲算出部26bと、足幅を算出する足幅算出部等26cと、踵幅を算出する踵幅算出部26dに加え、足6の後部形状に関する特徴パラメータを算出する距離算出部30、踵指数算出部32、及び区分判定部34を含む。なお、特徴パラメータ算出部26から、踵指数算出部32及び/又は区分判定部34が省略されてもよい。
【0037】
足6の後部形状に関する特徴パラメータについて、
図3を参照しながら説明する。
図3(a)は、平面4に足裏6cが接している足6を横方向(足6の左右方向)から見た略図である。
図3(b)は、平面4の上方から足6を見た略図である。
【0038】
図3に示すように、足6の第2指先端6aを通る足の中心線6xの方向を第1の方向1(前後方向1)と定義し、足6の踵後端から最も長い足指(例えば6b)までの第1の方向1の距離を足長L1と定義する。平面4と平行、かつ、第1の方向1と交差(典型的には直交)する方向を第2の方向2(左右方向2)と定義し、平面4に交差(典型的には直交)する方向を第3の方向3(高さ方向3)と定義する。
【0039】
なお、第1の方向1と足長L1は、上記と異なる定義でも構わない。例えば、左右の足が互いに接するように並んでいるときの左右の足の間の境界線の方向を第1の方向1と定義し、この第1の方向1の左右の足それぞれの最大長さを足長L1と定義しても構わない。
【0040】
足長算出部26a(
図2参照)は、足形状計測方法のステップ、すなわち、足6の足長L1を算出する足長算出ステップを、実行する。
【0041】
図3(a)に示すように、第2の方向2から足6の後部を見たときに、踵範囲H1内において最も突出している点を突出点P1と定義し、アキレス腱範囲H2内において最も後退している点を後退点P2と定義し、突出点P1と後退点P2との間の足長方向(第1の方向1)の距離をL2と定義する。なお、踵範囲H1の上限とアキレス腱範囲H2の下限とが一致しても構わないし、踵範囲H1とアキレス腱範囲H2とが互いに重複しても構わない。
【0042】
足長L1に対する距離L2の比率(%)を、踵指数と定義する。踵指数をHとすると、
H=(L2/L1)×100 (式1)
である。
【0043】
距離算出部30は、入力受付部24が入力を受け付けた3Dデータ25に基づいて、横方向(第2の方向2)から見た足6の後部について、突出点P1と後退点P2との距離L2を算出する。例えば、距離算出部30は、平面4と平行な足6の断面について、第3の方向3(高さ方向3)に断面位置を変えながら、順次、各断面における足6の輪郭線の後端(第1の方向1の足指とは反対側の端)の第1の方向1の座標値を算出する。各断面における後端の第1の方向1の座標値について、踵範囲H1内において最も後側(足指とは反対側)の座標値と、アキレス腱範囲H2内において最も前側(足指側)の座標値とを抽出し、抽出した座標値の差の絶対値を、距離L2として算出する。
【0044】
距離算出部30は、足形状計測方法のステップ、すなわち、(i)横方向(第2の方向2)から見た足6の後部について、踵範囲H1内において最も突出している突出点P1を特定する突出点特定ステップと、(ii)横方向から見た足6の後部について、アキレス腱範囲H2内において最も後退している後退点P2を特定する後退点特定ステップと、(iii)突出点P1と後退点P2との間の足長方向(第1の方向1)の距離L2を計測する距離計測ステップと、を実行する。
【0045】
踵範囲H1とアキレス腱範囲H2は、予め定めた固定範囲でもよいし、足長算出部26aが算出する足長L1に基づいて個別に定めてもよい。例えば、足長算出部26aが算出した足長L1に所定の係数を乗算して踵範囲H1とアキレス腱範囲H2、すなわち、断面高さ(第3の方向3の座標値)の範囲を決めてもよい。
【0046】
アキレス腱範囲H2は、突出点P1の高さに所定範囲の係数を乗算して定めてもよいし、突出点P1の高さに所定範囲の寸法を加算して定めてもよい。
【0047】
また、アキレス腱範囲H2は、その上限値と下限値とが同じでもよい。例えば、アキレス腱範囲H2の高さが、突出点P1の高さに一定係数を乗算した一つの高さであってもよいし、突出点P1の高さに一定寸法を加算した一つ高さであってもよい。
【0048】
踵指数算出部32は、足長算出部26aが算出した足長L1と、距離算出部30が算出した距離L2とから、足長L1に対する距離L2の比率を示す踵指数Hを、(式1)を用いて算出する。
【0049】
踵指数算出部32は、足形状計測方法のステップ、すなわち、足長L1に対する距離L2の比率である踵指数Hを算出する踵指数算出ステップを、実行する。
【0050】
区分判定部34は、踵指数算出部32が算出した踵指数Hが属する区分を判定し、区分に対応する区分データを算出する。例えば、踵指数Hが3%未満のとき、区分がAであると判定する。踵指数Hが3%以上かつ5%未満のとき、区分がBであると判定する。踵指数Hが5%以上のときは、区分がCであると判定する。
【0051】
距離、踵指数、踵指数が属する区分のうち少なくとも1つが、足長等とともに、端末16の画面に表示されたり、計測ユニット12に隣接して配置され計測方法等を表示する表示装置(図示せず)の画面に表示されたり、計測ユニット12に隣接して配置されたプリンタ(図示せず)や端末16に接続されたプリンタ(図示せず)から出力されたりする。
【0052】
なお、特徴パラメータ算出部26が、足6の突出点P1の高さ(第3の方向3の座標値)を算出する突出点高さ算出部36を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0053】
次に、足形状計測システム10で実行されるデータ処理の概要について説明する。
【0054】
計測ユニット12で計測されたデータ13は、データ処理ユニット20に送信される。データ処理ユニット20において、3Dデータ生成部22が、計測ユニット12からのデータ13に基づいて3Dデータ23を生成し、入力受付部24が、生成された3Dデータ23の入力を受け付ける。入力受付部24が入力を受け付けた3Dデータ25は、特徴パラメータ算出部26と通信部28とに送出される。特徴パラメータ算出部26は、入力受付部24が入力を受け付けた3Dデータ25に基づいて、足長L1、距離L2、踵指数H等を算出し、踵指数Hが属する区分を判定し、踵指数が属する区分に割り当てられる区分データを算出する。特徴パラメータ算出部26が算出したこれらの特徴パラメータ27は、通信部28に送出される。通信部28は、特徴パラメータ27を適宜形式で表示したり印刷したりするためのデータ29を、端末16等に送信する。
【0055】
図4は、通信部28から送信されたデータ29に基づいて不図示のプリンタから出力される画像の一例である。
図4に示すように、左右の足それぞれの足長の下に、踵指数と、踵指数が属する区分とが印刷される。
【0056】
足形状計測システム10によって得られる距離L2、踵指数H、踵指数Hが属する区分は、既製靴を選択するための指標として用いることができる。
【0057】
同じ踵指数Hであれば、足長L1が異なっても靴の踵部の形状が同じになるように既製靴を設計すると、既製靴の製造や選択が容易になる。
【0058】
踵指数Hが属する区分ごとに踵部の形状が異なる既製靴を製造することにより、既製靴の製造や選択が容易になる。
【0059】
足形状計測システム10は、足の三次元形状を計測して足長等の代表的な指標を算出する足計測システムに、足の後部形状に関する指標を算出する機能を込むことができる。
【0060】
足形状計測システム10が実行する足形状計測方法は、(i)横方向から見た前記足の後部について、踵範囲内において最も突出している突出点を特定する突出点特定ステップと、(ii)前記横方向から見た前記足の後部について、アキレス腱範囲内において最も後退している後退点を特定する後退点特定ステップと、(iii)前記突出点と前記後退点との間の足長方向の距離を計測する距離計測ステップと、を含み、さらに、(iv)前記足の足長を算出する足長算出ステップと、(v)前記足長に対する前記距離の比率である踵指数を算出する踵指数算出ステップと、を含む。
【0061】
<実施例2> 実施例2の足形状計測システム11について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。実施例2の足形状計測システム11は、実施例1の足形状計測システム10の一部と同じ構成を備え、既に計測され生成された足の3Dデータを用いて特徴パラメータを算出する。足形状計測システム11は、実施例1の足形状計測システム10と同様に足形状計測方法を実行する。以下では、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0062】
図5は、実施例2の足計測システム11のブロック図である。
図5に示すように、足計測システム11は、液晶パネル等に画像を表示する表示装置40と、タッチパッドやマウス等の操作装置42と、情報処理装置44とを備える。足計測システム11は、サーバやパソコン等を用いて構成される。表示装置40と操作装置42と情報処理装置44とは、ノートパソコンを用いて一体に構成することも可能である。
【0063】
情報処理装置44は、入力受付部46と、特徴パラメータ算出部48と、出力部50とを含む。情報処理装置44は、複数のサーバ等に分散して構成されてもよい。
【0064】
入力受付部46は、足の三次元形状を表す3Dデータの入力を受け付ける。例えば、足の三次元形状を計測して生成され不図示のデータベースやUSBメモリ等に記憶されている3Dデータが、入力受付部46に入力される。
【0065】
特徴パラメータ算出部48は、実施例1と同様に、入力受付部46が入力を受け付けた3Dデータ47に基づいて、足の特徴パラメータを算出する。特徴パラメータ算出部48は、実施例1(
図2参照)と同様に構成され、足長算出部等とともに、距離算出部と、踵指数算出部と、区分判定部とを含み、足長、距離、踵指数や、踵指数が属する区分に割り当てられる区分データ等の特徴パラメータ49を算出する。
【0066】
出力部50は、操作装置42の操作に応じて、特徴パラメータ算出部48が算出した種々の特徴パラメータ49に基づいて、表示装置40の画面に表示するためのデータや、不図示のプリンタに印刷するためのデータを生成し、生成したデータを表示装置40等に出力する。
【0067】
図6は、表示装置40の画面に表示される画像の一例である。
図6に示すように、表示装置40の画面には、3Dデータ(例えば、STLデータ)の入力を受け付ける入力受付部60と、踵範囲とアキレス腱範囲の上限値及び下限値を設定するための範囲設定部62と、踵範囲とアキレス腱範囲の上限値及び下限値を規定値に設定するための規定値設定ボタン64と、ファイル名が表示されるデータ出力部66と、出力ボタン68とが表示される。
【0068】
表示装置40の画面を見ながら操作装置42を操作することにより、足計測システム11がデータ処理を実行する。例えば、範囲設定部62に表示される踵範囲とアキレス腱範囲の上限値及び下限値を所望の値に設定し、入力受付部62に3Dデータをドロップ又はペーストすると、足計測システム11は、足長等の代表的な指標とともに足の後部形状に関する特徴パラメータ(距離、踵指数、踵が属する区分)を自動的に算出し、算出したデータをCSV形式で含む出力データのファイル名を、データ出力部66に表示する。出力ボタン68をクリックすると、足計測システム11は、出力データを所定のファイルや記憶媒体等にダウンロードする。
【0069】
実施例2の足形状計測システム11は、既に計測され生成された足の3Dデータから、足の後部形状に適合する既製靴を選択するための指標として利用できる特徴パラメータを算出する。
【0070】
<まとめ> 以上に説明したように、足形状計測システムは、既製靴を選択するための指標として利用できる特徴パラメータを算出する。指標に応じて既製靴を取り揃えておくことにより、足の後部形状に適合する既製靴を選択することが容易になる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0072】
例えば、足形状計測システムが算出した足の後部形状に関する特徴パラメータは、オーダーシューズの設計等に利用してもよい。また、上記実施例では計測ユニット12により三次元形状を計測したが、計測ユニット12で計測したデータ13に代えて、画像撮影を行い画像解析により得られたデータより3Dデータを生成してもよい。更に、足形状計測方法においては、足の三次元形状を計測して生成される3Dデータを用いず、計測器具を用いて、足長L1、突出点P1と後退点P2との距離L2を同時もしくは個別に計測し、踵指数を算出し、踵指数が属する区分を対照表により判定してもよい。
【符号の説明】
【0073】
6 足
10,11 足形状計測システム
12 計測ユニット
13 計測したデータ
22 3Dデータ生成部
23 3Dデータ
24 入力受付部
25 3Dデータ
26 特徴パラメータ算出部
26a 足長算出部
27 特徴パラメータ
30 距離算出部
32 踵指数算出部
34 区分判定部
46 入力受付部
47 3Dデータ
48 特徴パラメータ算出部
49 特徴パラメータ
H 踵指数
H1 踵範囲
H2 アキレス腱範囲
L1 足長
L2 距離
P1 突出点
P2 後退点