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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】照明器具ペアリング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/10 20200101AFI20230707BHJP
【FI】
H05B47/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019184560
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021061165
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 宏司
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 朝
(72)【発明者】
【氏名】中村 重雄
(72)【発明者】
【氏名】岸本 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】八木 佐奈
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129260(JP,A)
【文献】特開2008-301081(JP,A)
【文献】国際公開第2018/127993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具が出力した識別情報を含む識別信号を受信可能な第1受信センサと、
前記識別信号を受信可能であると共に、前記第1受信センサに間隔をおいて位置する第2受信センサと、
前記第1受信センサと前記第2受信センサとを連結する連結部と、
前記識別情報を表示する表示部と、
前記第1受信センサの高さ位置が前記第2受信センサの高さ位置と異なっている状態で、前記第1受信センサが受信した前記識別信号の強度と前記第2受信センサが受信した前記識別信号の強度とに基づいて前記識別情報を前記表示部に表示するか否かを判断する制御装置と、
を備える照明器具ペアリング装置。
【請求項2】
前記第1受信センサの高さが前記第2受信センサの高さよりも高い状態において、前記第2受信センサが受信した前記識別信号の強度が、前記第1受信センサが受信した強度よりも大きい場合に前記識別情報を前記表示部に表示しない、請求項1に記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項3】
前記第1受信センサの高さが前記第2受信センサの高さよりも高い状態で、前記第1受信センサ及び前記第2受信センサの夫々が、第1識別情報を含む第1識別信号と、第2識別情報を含む第2識別信号とを受信し、
前記第1受信センサが受信した前記第1識別信号の強度が、前記第2受信センサが受信した前記第1識別信号の強度よりも大きいと共に、前記第1受信センサが受信した前記第2識別信号の強度が、前記第2受信センサが受信した前記第2識別信号の強度よりも大きく、更に、前記第2受信センサが受信した前記第1識別信号の強度が、前記第1受信センサが受信した前記第2識別信号の強度よりも大きい場合に、前記第2識別情報を前記表示部に表示しない、請求項1又は2に記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記第1受信センサが受信した前記識別信号の強度と前記第2受信センサが受信した前記識別信号の強度との差に基づいて前記識別情報を前記表示部に表示するか否かを判断する、請求項1又は2に記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項5】
前記表示部が、同じ室に配置されている複数の前記照明器具の配置情報を表示する第1表示部と、互いに異なる複数の前記識別情報を表示する第2表示部とを含み、
選択した前記識別情報に対応する前記照明器具を点灯させる操作部を更に備える、請求項1から4のいずれか1つに記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項6】
前記識別信号を送信させる情報を含む識別情報要求信号を前記照明器具に送信する送信部を備える、請求項1から5のいずれか1つに記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項7】
前記第1受信センサと前記第2受信センサが、指向性アンテナである、請求項1から6のいずれか1つに記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項8】
前記連結部が、伸縮可能な棒状構造を含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の照明器具ペアリング装置。
【請求項9】
1受信センサの高さ位置が第2受信センサの高さ位置と異なっている状態で照明器具が出力した識別情報を含む識別信号を前記第1受信センサ及び前記第2受信センサに受信させ、
前記第1受信センサが受信した前記識別信号の強度と前記第2受信センサが受信した前記識別信号の強度とに基づいて前記識別情報を表示する表示部に前記識別情報を表示させるか否かを判断する、照明器具ペアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室等に実際に配置されている複数の照明器具における各照明器具の識別情報を、複数の照明器具に対応する配置で表示部に表示されている複数の照明器具表示のうち対応する照明器具表示にペアリングするのに用いられる照明器具ペアリング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具ペアリング装置としては、特許文献1に記載されているものがある。この照明器具ペアリング装置は、同じ一室に配置される複数の照明器具に関し、各照明器具から出力される信号に含まれるアドレス情報を、それら複数の照明器具の調光制御を行うリモートコントローラの対応する操作部に紐づけするのに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-32943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ペアリングを行う際にアドレス要求信号が照明器具に送信されたとき、ペアリングを意図した複数の照明器具の上下階の照明器具がアドレス情報を含む信号を出力することがある。そのような場合、ペアリングを行う必要がないアドレス情報がペアリングを行う必要があるアドレス情報に混入する(紛れる)ことになるので、ペアリングを円滑に実行しにくい。
【0005】
そこで、本開示の目的は、ペアリングを行うことを意図した複数の照明器具の上下階に設置された照明器具からの識別情報を排除でき、円滑なペアリングを実行し易い照明器具ペアリング装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る照明器具ペアリング装置は、照明器具が出力した識別情報を含む識別信号を受信可能な第1受信センサと、識別信号を受信可能であると共に、第1受信センサに間隔をおいて位置する第2受信センサと、第1受信センサと第2受信センサとを連結する連結部と、識別情報を表示する表示部と、第1受信センサの高さ位置が第2受信センサの高さ位置と異なっている状態で、第1受信センサが受信した識別信号の強度と第2受信センサが受信した識別信号の強度とに基づいて識別情報を表示部に表示するか否かを判断する制御装置と、を備える。
【0007】
また、本開示に係る照明器具ペアリング方法は、第1受信センサの高さ位置が第2受信センサの高さ位置と異なっている状態で照明器具が出力した識別情報を含む識別信号を第1受信センサ及び第2受信センサに受信させ、第1受信センサが受信した識別信号の強度と第2受信センサが受信した識別信号の強度とに基づいて識別情報を表示する表示部に識別情報を表示させるか否かを判断する。なお、これら装置及び方法に関し、識別情報とは、各照明器具を他の照明器具と識別可能な情報である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るに照明器具ペアリング装置及び方法によれば、ペアリングを行うことを意図した複数の照明器具の上下階に設置された照明器具からの識別情報を排除でき、円滑なペアリングを実行し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る照明器具ペアリング装置を説明する模式図である。
図2】上記照明器具ペアリング装置の情報端末の主要構成を説明するブロック図である。
図3】室の天井付近に設置された複数の照明器具と、その一室に設置された親機及び子機を上方から見たときのレイアウトを示す模式図である。
図4】上記照明器具ペアリング装置の受信動作について説明する模式図である。
図5】上記照明器具ペアリング装置の第1及び第2ロッドアンテナで受信した各階の照明器具から送信された識別信号(電磁波)の強度を示すグラフである。
図6】上記情報端末の表示部に表示される情報について説明する図である。
図7】各信号強度レベルにおいて識別情報要求信号が出力されたときの制御装置による識別情報表示制御について説明するフローチャートである。
図8】変形例の照明器具ペアリング装置における図1に対応する模式図である。
図9】(a)は、水平方向から見たときのロッドアンテナの受信領域を示す図であり、(b)は、鉛直方向から見たときのロッドアンテナの受信領域を示す図である。
図10】(a)は、水平方向から見たときの指向性アンテナの受信領域を示す図であり、(b)は、鉛直方向から見たときの指向性アンテナの受信領域を示す図である。
図11】他の変形例の照明器具における指向性アンテナの姿勢について説明する模式図である。
図12】伸縮可能な棒状構造の一例について説明する図であり、(a)は、棒状構造の一部を上側から見たときの平面視であり、(b)は、棒状構造において中心部を通過する断面図である。
図13】ペアリング方法の一例を説明するシーケンス図である。
図14図13にシーケンスを示すペアリング方法を採用した場合における作用効果について説明する図である。
図15】一試験例での親機設置階とその上の階の照明器具における第1及び第2ロッドアンテナで受信した識別信号の強度の相対関係を表す図である。
図16】親機設置階の室と、その上の階の室とを区切る天井壁による信号強度損失が大きい場合において第1ロッドアンテナが受信したそれに最も近い照明器具の識別信号の強度を0dBとしたときの他の受信信号の強度を示す一試験例のグラフである。
図17】上記天井壁による信号強度損失が小さい場合において第1ロッドアンテナが受信したそれに最も近い照明器具の識別信号の強度を0dBとしたときの他の受信信号の強度を示す一試験例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る照明器具ペアリング装置1を説明する模式図である。照明器具ペアリング装置(以下、単にペアリング装置という)1は、同じリモートコントローラ(以下、単にリモコンという:親機、子機)で調光制御されると共に同じ室(部屋)に実際に配置されている複数の照明器具における各照明器具の識別情報を、対応する配置で表示部に表示されている複数の照明器具表示うちの対応する照明器具表示にペアリングするのに用いられる。図1に示すように、ペアリング装置1は、第1受信センサの一例としての第1ロッドアンテナ10、第2受信センサの一例としての第2ロッドアンテナ11、連結部13、及び情報端末15を備える。
【0012】
連結部13は、第1ロッドアンテナ10と第2ロッドアンテナ11を連結する。連結部13は、直線状に延在する棒状部17、第1無線モジュール18、及び第2無線モジュール19を含む。第1無線モジュール18は、棒状部17の一端部と第1ロッドアンテナ10との間に配置され、棒状部17と第1ロッドアンテナ10は、第1無線モジュール18を介して一体化される。また、同様に、第2無線モジュール19は、棒状部17の他端部と第2ロッドアンテナ11との間に配置され、棒状部17と第2ロッドアンテナ11は、第2無線モジュール19を介して一体化される。
【0013】
第1無線モジュール18は、例えば、アンプ、フィルタ、及びA/D変換部等を有する。アンプは、第1ロッドアンテナ10からの受信信号を増幅し、フィルタは、ノイズであるスプリアスを排除する役割を果たす。また、A/D変換部は、アンプで増幅されてフィルタでノイズが排除された識別情報を含む識別信号をA/D変換する。また、同様に、第2無線モジュール19も、例えば、アンプ、フィルタ、及びA/D変換部等を有する。アンプは、第2ロッドアンテナ11からの受信信号を増幅し、フィルタは、ノイズであるスプリアスを排除する役割を果たす。また、A/D変換部は、アンプで増幅されてフィルタでノイズが排除された識別情報を含む識別信号をA/D変換する。第1及び第2無線モジュール18,19で生成されたデジタル信号は、例えば、ケーブル(例えば、USBケーブル等で構成できる)14a,14bを介して情報端末15に送信される。ここで、識別情報は、各照明器具を他の照明器具に対して識別できる情報であれば、如何なる情報でもよく、例えば、MACアドレス(Media Access Control address)、バーコード情報、RF(radio frequency)タグ、又は品番の情報、IPアドレス、製造ナンバー等で構成される。
【0014】
情報端末15は、例えば、タブレットで構成される。図2は、情報端末15の主要構成を説明するブロック図である。図2に示すように、情報端末15は、制御装置20、電源部21、表示部22、操作部23、受信部24、及び送信部25を有する。制御装置20は、コンピュータ、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成され、制御部26と、記憶部29を含む。制御部26、すなわち、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部29は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。CPUは、記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。
【0015】
電源部21は、例えば、二次電池を含み、商用電源からの交流電力を直流電源に変換して二次電池に充電する。電源部21からの直流電力は、図示しない電源線を介して第1及び第2無線モジュール18,19に供給される。表示部22は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等で構成されてもよく、操作部23は、表示部22の少なくとも一部を構成するタッチパネルで構成されてもよい。タッチパネルは、液晶パネルや有機ELパネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置である。
【0016】
受信部24は、第1及び第2無線モジュール18,19からの信号を、ケーブル14a,14bを介して受信する。また、送信部25は、例えば、送信アンテナを含む。また、記憶部29は、後述するペアリング情報を一時的に格納する。送信部25は、制御部26による制御で、上記ペアリング情報を含む信号を、親機に向けて無線送信する。
【0017】
次に、ペアリング動作について説明する。図3は、室(例えば、オフィスビルの一オフィス)30の天井付近に設置された複数の照明器具31と、その一室に設置された複数の親機32,33を上方から見たときのレイアウトを示す模式図である。図3に示すように、室30は、平面視で略矩形の形状を有し、複数の照明器具31が、室30の長手方向及び幅方向に略平行にマトリクス状に配置されている。複数の照明器具31は、全て同一の灯具で構成されてもよく、2以上の異なる灯具を含んでもよい。複数の照明器具31は、例えば、複数の同一のシーリングライトや複数の同一のペンダントライト等で構成される。親機32は、平面視において、室30を、その長手方向を二等分する仮想二等分線Pで2つの第1及び第2領域R1,R2に分割したときの一方の第1領域R1の略中心に設置されている。また、親機33は、他方の第2領域R2の略中央に設置されている。
【0018】
以上の構成において、先ず、親機32が、識別情報要求信号、すなわち、照明器具31がその識別情報を含む識別信号を外部に無線で送信することを要求する信号を照明器具31に送信する。この識別情報要求信号を出力させる操作については、後で詳細に説明する。ここで、親機32からの識別情報要求信号の強度を、室30内で親機32の周辺に位置する10個程度の照明器具31のみが親機32からの信号を受信できる程度に調整する。例えば、図3に示す例のように、親機32が出力する識別情報要求信号は、平面視において親機32を中心とする点線S1で囲まれた円領域R3内に位置する8つの照明器具31aのみが受信できる程度の強度を有する。
【0019】
識別情報要求信号は、ペアリング装置1を円領域R3に配置し、更に、図4に示すように、直線状に延在する棒状部17を鉛直方向に略平行に配置すると共に、第1ロッドアンテナ10が上側に位置し、第2ロッドアンテナ11が下側に位置している状態で送信される。そして、円領域R3内に位置する8つの照明器具31aが出力した8つの識別信号を第1及び第2ロッドアンテナ10,11の両方で受信する。
【0020】
同じ識別信号を第1及び第2ロッドアンテナ10,11で受信するのは、次の理由に起因する。すなわち、識別情報要求信号が送信されたとき、その識別情報要求信号は、親機32の周辺領域に高さ方向に重なる上下階の照明器具35,36でも受信されることがあり、上下階の照明器具35,36が識別信号を送信することもある。
【0021】
このような場合、ペアリング装置が、リモコン、すなわち、親機32や親機33の調光制御の範疇外にある照明器具35,36からの識別情報を受信することになる。しかし、従来のペアリング装置では、リモコンの制御範疇外の照明器具35,36の識別情報を排除できず、人によるペアリング作業がそれらの識別情報によって煩雑になる。
【0022】
これに対し、本開示のペアリング装置1は、高さ方向の位置が異なるように配置できる第1及び第2ロッドアンテナ10,11を含むので、上下階の照明器具35,36から送信された識別信号を容易に判断できる。
【0023】
詳しくは、識別信号が、親機設置階の照明器具31から出力されている場合、照明器具31がその階の天井付近に設置され、第1ロッドアンテナ10がその階の上方に位置し、第2ロッドアンテナ11がその階の下方に位置することになる。したがって、図5、すなわち、第1及び第2ロッドアンテナ10,11で受信した各階の照明器具から送信された識別信号(電磁波)の強度を示すグラフに示すように、第1ロッドアンテナ10が受信する識別信号の強度が、第2ロッドアンテナ11が受信する識別信号の強度よりも大きくなる。
【0024】
また、識別信号が、親機設置階よりも下の階の照明器具36から出力されている場合、第2ロッドアンテナ11と照明器具36との距離が、第1ロッドアンテナ10と照明器具36との距離よりも短くなる。よって、図5に示すように、第2ロッドアンテナ11が受信する識別信号の強度が、第1ロッドアンテナ10が受信する識別信号の強度よりも大きくなる。
【0025】
また、識別信号が、親機設置階よりも上の階の照明器具35から出力されている場合、第1ロッドアンテナ10が受信する識別信号の強度が、第2ロッドアンテナ11が受信する識別信号の強度よりも大きくなる。更には、識別信号が、親機32の設置階とその上の階を区切る天井壁39を通過することになり、識別信号の強度が弱くなる。したがって、図5に示すように、第1ロッドアンテナ10が受信する識別信号の強度が、第2ロッドアンテナ11が受信する識別信号の強度よりも大きくなり、更に、第1ロッドアンテナ10が受信する識別信号の強度が、親機設置階の照明器具31から出力されて第2ロッドアンテナ11で受信された識別信号の強度よりも小さくなり易い。
【0026】
したがって、第1ロッドアンテナ10が上側に位置し、第2ロッドアンテナ11が下側に位置している状態で、それらのアンテナ10,11で識別信号を受信するだけで、その識別信号が、親機設置階の照明器具31の識別信号であるか、親機設置階よりも下の階の照明器具36の識別信号であるか、又は、親機設置階よりも上の階の照明器具35の識別信号であるかを精度高く判断できる。
【0027】
ペアリングの動作の説明に戻って、図6は、情報端末15の表示部22に表示される情報について説明する図である。図6に示すように、表示部22は、親機設置階に配置されている複数の照明器具31の配置情報を表示する第1表示部22aと、互いに異なる複数の識別情報を表示する第2表示部22bとを有する。また、表示部22は、コマンドアイコンを表示する第3表示部22cを有する。以下では、表示部22の全てがタッチパネルで構成され、表示部22が操作部23も兼用する場合の例について説明するが、表示部の一部のみが、タッチパネルで構成されてもよく、表示部が、タッチパネルを含まなくてもよい。
【0028】
第1表示部22aには、配灯図、すなわち、室30に実際に配置されている複数の照明器具31のレイアウトに対応するレイアウトの複数の照明器具表示41が表示されている。また、第2表示部22bには、親機設置階に設置されている複数の照明器具31のうちでペアリング装置1が識別信号を受信した2以上の照明器具31の各識別情報が一覧になって表示される。例えば、図6に示す例では、第2表示部22bが、略矩形の表示部22の横方向一方側(長手方向一方側)に設けられて縦方向(幅方向)に延びる帯状領域であり、複数の識別情報42としての互いに異なる複数のMACアドレスが、第2表示部22bに縦方向に一列に配置されている。
【0029】
ここで、第2表示部22bに表示される2以上の識別情報には、親機設置階の下階の照明器具36の識別情報が表示されず、親機設置階の上階の照明器具35の識別情報も表示されない蓋然性が高い。というのは、上述の説明のように、制御装置20(図2参照)が第1及び第2ロッドアンテナ10,11で受信した識別信号の信号強度に基づいて親機設置階の下階の照明器具36の識別信号を容易に特定でき、親機設置階の上階の照明器具35の識別信号も精度高く判定できるので、制御装置20(図2参照)がその識別信号の識別情報を第2表示部22bに表示しないように制御できる。よって、親機設置階の下階の照明器具36の識別信号が第2表示部22bに表示されることはなく、親機設置階の上階の照明器具35の識別信号が第2表示部22bに表示されない蓋然性も高い。なお、親機設置階の下階の照明器具36の識別情報と判定された識別情報は、記憶部29に表示しない識別情報として記憶してもよく、以後のペアリング動作において、上述の判断を行わずに第2表示部22bに表示しないようにしてもよい。
【0030】
第3表示部22cには、コマンドを行うための複数のコマンドアイコン43が表示されている。このコマンドアイコン43は、ペアリング動作及び親機32への情報の送信のために用いられる。詳しくは、コマンドアイコン43は、例えば、次のように用いられる。先ず、人は、第2表示部22bに表示されている2以上の識別情報のうちのいずれかの識別情報にタッチすることで一の識別情報を選択する。続いて、人が、その後、複数のコマンドアイコン43のうちで送信を示すコマンドアイコン43aにタッチすると、その選択した識別情報の照明器具31を点灯させることを表す信号が、親機32に送信され、親機32が、当該識別情報の照明器具31を点灯させる調光信号を送信する。
【0031】
次に、人は、点灯した照明器具31を目視で確認し、点灯した照明器具31に対応する照明器具表示41をタッチし、確定を意味するコマンドアイコン43bにタッチする。その際、実施例のように複数の親機(例えば32と33)がある場合には、どの親機にペアリング(紐づけ)するかを確認する画面が表示され、いずれか1つを選択する。すると、点灯した照明器具31と、対応する照明器具表示41がペアリング(紐づけ)される。ここで、上述のように、ペアリング装置1では、第2表示部22bに親機設置階の下階の照明器具36の識別情報が表示されず、第2表示部22bに親機設置階の上階の照明器具35の識別情報が表示されない蓋然性も高い。したがって、いずれかの識別情報を選択した際、必ず照明器具31を点灯させることができる可能性が非常に高く、人がペアリング動作を困惑することなしに円滑に実行できる。なお、複数のコマンドアイコン43には、取り消しを表すコマンドアイコン43cが含まれてもよく、誤ってペアリング(紐づけ)した際に、そのコマンドアイコン43cにタッチすることで、確定を取り消すことができるようになっていてもよい。
【0032】
このペアリング作業は、第2表示部22bに表示されている全ての識別情報42について実行される。その結果、図3の円領域R3で囲まれている複数の照明器具31に関するペアリング作業が完了する。その後、識別情報要求信号の強度を強くして、識別情報要求信号が到達する範囲を図3に点線S2で囲まれた円領域R4まで広げるように調整した上で、親機32に識別情報要求信号を出力させ、今まで説明したペアリング作業を繰り返す。
【0033】
ここで、親機32に識別情報要求信号を出力させる操作は、例えば、次のように実行される。詳しくは、複数のコマンドアイコン43には、識別情報要求信号の強度レベルを上げるコマンドアイコンと識別情報要求信号の強度レベルを下げるコマンドアイコンが含まれてもよい。そして、表示部22は、強度レベルを表示する表示部(図示しない)を有してもよい。そして、識別情報要求信号の強度レベルを上げ下げするコマンドアイコンで識別情報要求信号の強度レベルを調整した上で、人が送信を表すコマンドアイコン43aにタッチすることで、人が意図した強度レベルの識別情報要求信号を親機32に送信させることを表す信号を情報端末15から親機32に送信できるようにしてもよい。
【0034】
なお、識別情報要求信号の強度レベルを上げた上で実行された第2表示部22bによる識別情報の表示に関し、それよりも別情報要求信号の強度レベルが小さい状態でもう既にペアリングが完了している識別情報は、表示されることはない。図3の円領域R4で囲まれている複数の照明器具31に関するペアリング作業が完了すると、識別情報要求信号の強度を更に強くして、識別情報要求信号が到達する範囲を図3に点線S3で囲まれた円領域R5まで広げるように調整した上で、親機32に識別情報要求信号を出力させ、今まで説明したペアリング作業を繰り返す。
【0035】
このようにして、識別情報要求信号の強度レベルを順次上げた状態で、第2表示部22bに表示された識別情報のペアリングを順次実行し、室30において第1領域R1に設置されている全ての照明器具31に対する識別情報のペアリングを実行する。その後、例えば、複数のコマンドアイコン43に含まれている設定完了を示すコマンドアイコン43dをタッチして、送信を示すコマンドアイコン43aにタッチすると、識別情報がペアリングされている配灯図の情報が情報端末15から親機32に送信され、親機32の記憶部に記憶される。これにより、親機32における第1領域R1に位置する複数の照明器具31の調光制御が可能になり、例えば、第1領域R1に位置する複数の照明器具31のグループ制御等が可能になる。その後、第2領域R2においてもペアリング装置1と親機33を用いて第1領域R1と同様なペアリング作業を実行することで、室30に設置された全ての照明器具31のペアリングを実行できる。なお、室30に設置された複数の照明器具31の調光制御を行う複数のリモコンは子機を含んでもよい。この場合、親機と子機のペアリング情報の共有は、親機と子機の間の無線通信で実行される。このような無線通信は、公知であるため、説明は省略する。
【0036】
図7は、各信号強度レベルにおいて識別情報要求信号が出力されたときの制御装置20による識別情報表示制御について説明するフローチャートである。図7を参照して、上述のように、第1ロッドアンテナ10の高さが第2ロッドアンテナ11の高さよりも高い状態において、情報端末15を用いて親機32に識別情報要求信号を出力させると、制御がスタートする。制御がスタートすると、ステップS1で、第1及び第2ロッドアンテナ10,11が複数の識別信号を受信する。続く、ステップS2では、制御部26の信号強度算出部26aが、各識別信号において、第1及び第2ロッドアンテナ10,11で受信された識別信号の信号強度を算出し、ステップS3に移行する。
【0037】
ステップS3では、制御部26の識別情報表示判断部28(図2参照)における下方階信号排除部28aが、全ての識別信号において、第2ロッドアンテナ11で検出した信号強度が、第1ロッドアンテナ10で検出した信号強度よりも強いか否かを判定する。ステップS3で肯定判定された1以上の識別信号が存在した場合、その1以上の識別信号に関しては、ステップS4に移行して、下方階信号排除部28aが、その識別情報が下方階の照明器具36の識別情報であると判断する。そして、下方階信号排除部28aが、その識別信号の識別情報を表示部22に表示させないことを判断し、更に、その識別情報を、以後表示しない識別情報として記憶部29に記憶し、その後、制御がエンドになる。
【0038】
他方、ステップS3で否定判定された1以上の識別信号に関しては、ステップS5に移行して、制御部26の上方階信号排除部28bが、各識別信号に関して、それとは他の識別信号の第2ロッドアンテナ11で検出した1以上の信号強度であって、当該識別信号の第1ロッドアンテナ10で検出した信号強度よりも強くなっている信号強度があるか否かを判定する。
【0039】
ステップS5で肯定判定された1以上の識別信号が存在した場合、その1以上の識別信号に関しては、ステップS6に移行して、上方階信号排除部28bが、その識別情報が上方階の照明器具35の識別情報であると判断する。そして、上方階信号排除部28bが、その識別信号の識別情報を表示に表示させないことを判断し、制御がエンドになる。
【0040】
他方、ステップS5で否定判定された1以上の識別信号に関しては、ステップS7に移行して、制御部26の識別情報表示部28cが、各識別信号の識別情報を第2表示部22bに表示させ、その後、制御がエンドになる。
【0041】
以上、ペアリング装置1は、照明器具31,35,36が出力した識別情報を含む識別信号を受信可能な第1ロッドアンテナ(第1受信センサ)10を備える。また、ペアリング装置1は、上記識別信号を受信可能であると共に、第1ロッドアンテナ10に間隔をおいて位置する第2ロッドアンテナ(第2受信センサ)11と、第1ロッドアンテナ10と第2ロッドアンテナ11とを連結する連結部13とを備える。また、ペアリング装置1は、識別情報を表示する表示部22と、制御装置20とを備える。そして、制御装置20は、第1ロッドアンテナ10の高さ位置が第2ロッドアンテナ11の高さ位置と異なっている状態で、第1ロッドアンテナ10が受信した識別信号の強度と第2ロッドアンテナ11が受信した識別信号の強度とに基づいて識別情報を表示部22に表示するか否かを判断する。
【0042】
本開示によれば、第1及び第2ロッドアンテナ10が受信した識別信号の強度や、第1ロッドアンテナ10が受信した識別信号の強度と第2ロッドアンテナ11が受信した識別信号の強度の大小関係の情報等に基づいて、親機設置階以外の階の照明器具35,36からの識別信号を特定することができる。したがって、親機設置階以外の階の照明器具35,36からの識別信号の識別情報が表示部22に表示されることを高精度で防止でき、ペアリング動作を円滑に実行できる。
【0043】
また、第1ロッドアンテナ10の高さが第2ロッドアンテナ11の高さよりも高い状態において、第2ロッドアンテナ11が受信した識別信号の強度が、第1ロッドアンテナ10が受信した強度よりも大きい場合に識別情報を表示部22に表示しなくてもよい。
【0044】
上記構成によれば、親機設置階よりも下の階の照明器具36からの識別信号の識別情報を容易に排除できる。
【0045】
また、第1ロッドアンテナ10の高さが第2ロッドアンテナ11の高さよりも高い状態で、第1及び第2ロッドアンテナ10,11の高さの夫々が、第1識別情報を含む第1識別信号と、第2識別情報を含む第2識別信号とを受信してもよい。そして、第1ロッドアンテナ10が受信した第1識別信号の強度が、第2ロッドアンテナ11が受信した第1識別信号の強度よりも大きいと共に、第1ロッドアンテナ10が受信した第2識別信号の強度が、第2ロッドアンテナ11が受信した第2識別信号の強度よりも大きく、更に、第2ロッドアンテナ11が受信した第1識別信号の強度が、第1ロッドアンテナ10が受信した第2識別信号の強度よりも大きい場合に、第2識別情報を表示部22に表示しなくてもよい。
【0046】
本構成によれば、第2識別信号が親機設置階よりも上の階の照明器具35から送信されたことを高精度で判断でき、上の階の照明器具35の識別情報を高精度で円滑に排除できる。
【0047】
また、表示部22が、同じ室に配置されている複数の照明器具31の配置情報を表示する第1表示部22aと、互いに異なる複数の識別情報を表示する第2表示部22bとを含んでもよい。また、ペアリング装置1は、選択した識別情報に対応する照明器具31を点灯させる操作部(第2表示部22b及びコマンドアイコン43a)を更に備えてもよい。
【0048】
本構成によれば、人が、表示部22及び操作部を用いてペアリング作業を円滑に実行できる。
【0049】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、第1及び第2受信センサが、ロッドアンテナ10,11である場合について説明した。しかし、第1及び第2受信センサは、図8、すなわち、変形例のペアリング装置101における図1に対応する模式図に示すように、水平方向に延在する指向性アンテナ110,111でもよい。
【0051】
図9(a)は、水平方向から見たときのロッドアンテナ10の受信領域を示す図であり、図9(b)は、鉛直方向から見たときのロッドアンテナ10の受信領域を示す図である。また、図10(a)は、水平方向から見たときの指向性アンテナ110の受信領域を示す図であり、図10(b)は、鉛直方向から見たときの指向性アンテナ110の受信領域を示す図である。図8図9、及び図10に示すように、指向性アンテナ110の水平方向の受信領域は、ロッドアンテナ10の受信領域の水平方向の受信領域よりも大きくなっている。したがって、指向性アンテナ110を用いれば、親機設置階の照明器具31からの識別信号の受信感度を高くすることができる。
【0052】
また、ペアリング装置101が水平方向に延在する指向性アンテナ110,111を有する場合、棒状部17を図8に矢印Aで示す方向に一回転させることで、親機設置階の照明器具31からの識別信号を周方向の全域(全方位)において感度良く受信できる。更には、この構成の場合、室の角部周辺等による受信で、受信したい方向が存在する場合には、受信したい方向のみに指向性アンテナ110,111を向けることができ、その方位で識別信号を感度良く受信できる。
【0053】
なお、図10に示す指向性アンテナ110の例では、励振アンテナ(主素子)110aが、略水平方向に延在する一方、励振アンテナ110aに固定された非励振アンテナ(導波器)110bが略鉛直方向に延在している。しかし、指向性アンテナは、励振アンテナ(主素子)が、略水平方向に延在し、励振アンテナも励振アンテナに略直交するように略水平方向に延在してもよい。
【0054】
又は、図11に示すように、指向性アンテナ210は、励振アンテナ(主素子)が、略鉛直方向に延在する一方、励振アンテナが略水平方向に延在してもよい。この場合、第1指向性アンテナで受信する識別信号の強度と、第2指向性アンテナで受信する識別信号の強度との差を大きくできるので、第1指向性アンテナで受信する識別信号の強度と、第2指向性アンテナで受信する識別信号の強度の大小関係を更に容易に判断できる。なお、受信センサが、ロッドアンテナや指向性アンテナである場合について説明した。しかし、受信センサは、電磁波(電波)を受信できるセンサであれば如何なる構造のセンサでもよい。
【0055】
また、連結部が、伸縮不可能である場合について説明した。しかし、ペアリング装置の連結部は、伸縮可能な棒状構造を含んでもよく、図8に矢印Bに示す方向に伸縮可能でもよい。図12は、そのような伸縮可能な棒状構造317の一例について説明する図であり、図12(a)は、棒状構造317の一部を上側から見たときの平面視であり、図12(b)は、棒状構造317において中心部を通過する断面図である。
【0056】
図12(b)に示すように、棒状構造317は、外筒328と、軸部材329を有し、軸部材329の少なくとも一部が、外筒328の円筒孔に収容されるようになっている。また、図12(a),(b)に示すように、外筒328は、径方向に延在するねじ孔328aを有している。図12(b)に示すように、棒状構造317の直線状の延在方向に関して、軸部材329が、外筒328に対して所望の相対位置になっている状態で、蝶ねじ331をねじ孔328aに締め込んで、蝶ねじ331の端面331aで軸部材329の外周面を押圧する。このようにして、軸部材329を外筒328に固定する。
【0057】
本変形例によれば、蝶ねじ331における軸部材329の外周面の押圧位置を変えることで、棒状構造317の長さを所望の長さに自在に伸縮させることができ、ペアリング装置301の高さを自在に調整できる。よって、天井高さに基づいて、ペアリング装置301の高さを適切に調整できるので、第1及び第2受信センサが、天井高さが異なる複数の部屋に関して、全ての部屋で識別信号の受信感度が高い状態で識別信号の受信を実現できるという顕著な作用効果を奏し、ペアリング装置301の汎用性を格段に高くできる。なお、棒状構造の伸縮構造としては、公知の如何なる伸縮構造が採用されてもよく、例えば、突っ張り棒の伸縮構造と同一の構造、長孔とねじを用いた伸縮構造、又は釣り竿における伸縮構造と同一の構造等が採用されてもよい。
【0058】
また、親機32が識別情報要求信号を照明器具31,35,36に送信する場合について説明したが、ペアリング装置が識別情報要求信号を照明器具に送信してもよい。図13は、その場合に採用できるペアリング方法の一例を説明するシーケンス図である。なお、図13においては、識別情報が、MACアドレスの場合について説明するが、識別情報は、MACアドレスでなくてもよい。図13に示すように、このペアリング方法では、先ず、ペアリング装置の情報端末(例えば、タブレット)が、照明器具1,2,3にMACアドレス返信信号(識別情報要求信号)をブロードキャストし、高さ位置が異なる第1及び第2受信センサが、MACアドレスを含んだ識別信号を照明器具1,2,3から受信する。
【0059】
次に、情報端末は、上述の方法で別の階に設置した照明器具(図13に示す例では、照明器具3)のMACドレスを省き、その後、情報端末が、親機設置階に設置されていると認識した全ての照明器具の全てのMACアドレスを含んだ信号を親機に送信する。
【0060】
続いて、情報端末において、親機設置階に設置されていると認識している複数のMACアドレスのうちの1つのMACアドレスを選択し、情報端末から親機にそのMACアドレスの照明器具を点灯させることを表す信号を送信し、親機が、そのMACアドレスの照明器具を点灯制御する。
【0061】
そして、情報端末を操作している人が、点灯している照明器具を目視で確認し、そのMACアドレスと、情報端末の表示部で表示されていると共に点灯している照明器具に対応する照明器具表示とをペアリングする。この作業を、情報端末が、親機設置階に設置されていると認識した全てのMACアドレスに関して実行する。その後、複数組のペアリングされているMACアドレスと照明器具表示との情報を、情報端末から親機に送信し、親機の記憶部に格納する。その後、ペアリング装置、すなわち、情報端末の位置を移動させて、同一の動作を行う。この動作を、親機設置階の全ての照明器具のMACアドレスのペアリングが完了するまで実行する。
【0062】
図14は、図13にシーケンスを示すペアリング方法を採用した場合における作用効果について説明する図である。親機32は、基本的に所定位置に設置され、設置位置を変えることができない。したがって、上述の親機32から照明器具31,35,36に識別情報要求信号を送信する方法では、識別情報要求信号の強度が順次強くなるようにして識別情報要求信号を送信しなければペアリング作業を行うことができない。しかし、このような識別情報要求信号の送信は、ペアリング作業を複雑なものにする。
【0063】
これに対し、図13にシーケンスを示すペアリング方法では、図14に示すように、ペアリング装置301から送信した識別情報要求信号が到達する範囲R6の照明器具のペアリング作業が終了したら、識別情報要求信号の強度を変えずに、ペアリング装置301を単に移動させて(例えば図14に矢印Cで示す方向に移動させて)、ペアリング動作を繰り返すだけでよい。したがって、ペアリング作業を単純なものにできる。
【0064】
また、上記実施形態および変形例では、所定の領域に関して、複数の識別情報と、それに対応する複数の照明器具表示とのペアリングが完了した後に、ペアリングされた複数組の識別情報と照明器具表示の情報を、リモコン(親機)に送信する場合について説明した。しかし、識別情報と照明器具表示のペアリングが完了する度に、ペアリングされた一組の識別情報と照明器具表示の情報を情報端末からリモコン(親機)に送信してもよい。
【0065】
また、識別情報のペアリング作業を情報端末で行う場合について説明した。しかし、識別情報のペアリング作業は、複数の照明器具を調光制御するリモコン(例えば、親機)の表示部を用いて行ってもよく、ペアリング装置が、リモコンを含んでもいてもよい。
【0066】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、第1ロッドアンテナ10で受信した識別信号の強度と、第2ロッドアンテナ11で受信した識別信号の強度との差を用いずに、親機設置階の上階の照明器具の識別信号か否かを判定した。しかし、第1ロッドアンテナ10で受信した識別信号の強度と、第2ロッドアンテナ11で受信した識別信号の強度との差を用いても、親機設置階の上階の照明器具の識別信号か否かを高精度に判定できる。第2実施形態では、そのような判定について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成に第1実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略する。また、第2実施形態を含む以下の実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果及び変形例についての説明を省略する。
【0067】
図15は、一試験例での親機設置階とその上の階の照明器具における第1及び第2ロッドアンテナ10,11で受信した識別信号の強度の相対関係を表す図である。また、図16は、親機設置階の室30と、その上の階の室37とを区切る天井壁39による信号強度損失が大きい場合(-3dB)において第1ロッドアンテナ10が受信したそれに最も近い照明器具aの識別信号の強度を0dBとしたときの他の受信信号の強度を示す一試験例のグラフである。また、図17は、天井壁39による信号強度損失が小さい場合(-1dB)において第1ロッドアンテナ10が受信したそれに最も近い照明器具aの識別信号の強度を0dBとしたときの他の受信信号の強度を示す一試験例のグラフである。
【0068】
第2実施形態における親機設置階の上階の照明器具の判定は、次の手順で実行する。先ず、上述のように、親機設置階の照明器具a,b,cと、親機設置階の上の階の照明器具d,e,fにおいては、第1ロッドアンテナ10で受信した識別信号の強度が第2ロッドアンテナ11で受信した識別信号の強度よりも大きくなる。
【0069】
係る背景において、第2実施形態の判定法においては、先ず、全ての識別信号において、第1ロッドアンテナ10で受信した識別信号の強度と、第2ロッドアンテナ11で受信した識別信号の強度との差を算出する。そして、その差が大きい順に上から2つの照明器具を、第1ロッドアンテナ10に最も近い親機設置階の照明器具a及び照明器具aの直上の照明器具d(親機設置階の上階の照明器具であって、高さ方向から見た平面視において照明器具aに最も近い照明器具)と判定する。したがって、試験例では、図16及び図17に示すいずれの場合でも、照明器具a,dがそれら2つの照明器具に該当する。
【0070】
次に、それらの2つの照明器具a,dのうちで第1ロッドアンテナ10が受けた識別信号同士の強度の大小を判定するか、又は第2ロッドアンテナ11が受けた識別信号同士の強度の大小を判定する。そして、大きい方を、親機設置階の照明器具aと判定し、小さい方を、親機設置階の上の階の照明器具dと判定する。
【0071】
最後に、第2ロッドアンテナ11で受けた識別信号の強度が、照明器具aの直上の照明器具dが第2ロッドアンテナ11で受けた識別信号の強度よりも小さいものを親機設置階の上の階の照明器具と判定する。この判定法では、図16に示す天井壁39の損失が大きい場合、照明器具d,e,fを、親機設置階の上の階の照明器具と判定でき、正確な判定が行われていることがわかる。また、この判定法では、図17に示す天井壁39の損失が小さい場合、照明器具c,d,e,fを、親機設置階の上の階の照明器具と判定し、親機設置階の上の階の照明器具と判定された照明器具c,d,e,fが親機設置階の照明器具cを含む。
【0072】
よって、天井壁39の損失の大小により、親機設置階の上の階の照明器具と判定した照明器具に、親機設置階でペアリング装置1からの距離が遠い照明器具が含まれる可能性があるが、親機設置階の上の階の照明器具d,e,fは正しく判定することができる。
【0073】
このように、第2実施形態の判定方法では、制御装置が、第1ロッドアンテナ(第1受信センサ)10が受信した識別信号の強度と第2ロッドアンテナ(第2受信センサ)11が受信した識別信号の強度の差に基づいて、第1ロッドアンテナが存在している階の上の階の照明器具の識別信号であるか否かを暫定的に判定する。なお、除外された親機設置階の照明器具は、識別情報要求信号の出力レベルを高くした場合のペアリング動作で拾うことができ、又は、ペアリング装置1を移動させるペアリング方法では、ペアリング装置1を移動させたぺアリング動作で拾うことができる。なお、この方法で親機設置階の上の階の照明器具と判定した照明器具は、表示部22に表示しない。しかし、親機設置階の照明器具の可能性があるので、親機設置階の上の階の照明器具と確定することはない。また、図16及び図17に示す一実験例に、第1実施形態で説明した判定方法を採用した場合、図16及び図17に示すいずれの場合でも、照明器具c,d,e,fを、親機設置階の上の階の照明器具と判定する。したがって、この場合でも、親機設置階の上の階の照明器具d,e,fは正しく判定することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,101,301 ペアリング装置、 10 第1ロッドアンテナ、 11 第2ロッドアンテナ、 13 連結部、 15 情報端末、 17 棒状部、 20 制御装置、 22 表示部、 23 操作部、 24 受信部、 25 送信部、 26 制御部、 29 記憶部、 30 室、 31,31a,a,b,c 親機設置階の照明器具、 35,d,e,f 上階の照明器具、 36 下階の照明器具、 32,33 親機、 42 識別情報、 43,43a,43b,43c,43d コマンドアイコン、 110,111,210 指向性アンテナ、 317 棒状構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17