(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】開封痕跡残置機能付き包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/43 20060101AFI20230707BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/54 D
(21)【出願番号】P 2019061893
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390008707
【氏名又は名称】丸金印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石田 ゆう
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231651(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217732(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/43-5/54
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙から形成され、箱の正面、背面及び左右両側面をなす4側面板と、箱の一端開口を封じる蓋と、箱の他端開口を封じる蓋とからなり、前記4側面板のうちの1側面板の一端又は両端に蓋の開封用に溝形の破断線を有し、当該破断線で囲まれた破断部を押し破り、前記1側面板から切り離すことにより、蓋を開封する形式の包装用箱において、
前記破断線は、前記1側面板に2重に形成されて、切り込み部と繋ぎ部とからなる内側の破断線と、切り込み部と繋ぎ部とからなる外側の破断線とを備え、
前記内側の破断線又は前記外側の破断線のいずれか一方の破断線は、当該一方の破断線の中央が繋ぎ部で、この中央の繋ぎ部の両側から当該一方の破断線の両端部方向に切り込み部と繋ぎ部が交互に形成され、他方の破断線は、当該他方の破断線の中央が切り込み部で、この中央の切り込み部の両側から当該他方の破断線の両端部方向に繋ぎ部と切り込み部が交互に形成されて、
前記内側の破断線の繋ぎ部、前記外側の破断線の繋ぎ部はそれぞれ、前記外側の破断線の切り込み部、前記内側の破断線の切り込み部に対向して形成され、
蓋を開封する際に、前記1側面板の前記破断部を押し破ることにより、前記破断部を前記1側面板から切り離し、この破断部の切り離しの作用により前記内側の破断線の繋ぎ部で前記1側面板の前記内側の破断線と前記外側の破断線との間の中間部分を引張り歪み変形させるとともに、前記中間部分を前記外側の破断線の繋ぎ部で止めて前記外側の破断線に沿って残す、
ことを特徴とする開封痕跡残置機能付き包装用箱。
【請求項2】
内側、外側の各破断線は略U字形若しくは略半円形に形成される
請求項1に記載の開封痕跡残置機能付き包装用箱。
【請求項3】
内側、外側の各破断線は略台形若しくは略コ字形に形成され、外側の破断線の各角部に繋ぎ部が設けられる
請求項
1に記載の開封痕跡残置機能付き包装用箱。
【請求項4】
内側、外側の各破断線の両端部は共に1側面板の一端又は両端の端縁部に近接される
請求項1
乃至3のいずれかに記載の開封痕跡残置機能付き包装用箱。
【請求項5】
内側の破断線の両端部は1側面板の一端又は両端の端縁部に近接され、外側の破断線の両端部は前記1側面板の一端又は両端の端縁部から離間される
請求項1乃至
3のいずれかに記載の開封痕跡残置機能付き包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品その他各種の物品を包装するのに使用する包装用箱に関し、特に、開封後の箱に開封の痕跡を残すようにして、箱内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱の管理や、また、箱内のものの抜き取り、改竄などを含む箱の不正開封の防止に有用な開封痕跡残置機能付き包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品の包装に使用される包装用箱が例えば特許文献1により提案されている。この種の包装用箱は、特許文献1に開示されているように、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成される一枚の紙基材(板紙)から形成され、箱の正面、背面及び左右両側面をなす4側面板と、箱の一端開口を封じるための一方の蓋、この場合、上の開口を封じる上蓋と、箱の他端開口を封じるための他方の蓋、この場合、下の開口を封じる下蓋とにより構成され、上蓋、下蓋はそれぞれ、箱の3側面板の端縁部から延びる一対のフラップ、及び先端に差し込み片を有する蓋(所謂3枚フラップ)、又は箱の4側面板の端縁部から延びる一対のフラップ、及び内蓋、外蓋(所謂4枚フラップ)からなる。この種の包装用箱ではまた、特許文献1に開示されているように、箱の正面をなす側面板(以下の背景技術、課題に関する説明において、正面板という。)と上蓋との間及び正面板と下蓋との間、又はそのいずれか一方(通常、正面板と上蓋との間)に開封用の破断線が併せて設けられる。この場合、上蓋が3枚フラップからなる箱では、破断線は、ミシン目加工により、箱の正面板の上端中央に正面板の上端縁部から下方に向けて略溝形形状(略コ字形)に形成される。上蓋が4枚フラップからなる箱では、破断線は、ミシン目加工により、箱の正面板の上端中央に外蓋と正面板との間の罫線から下方に向けて略溝形形状(略コ字形)に形成され、さらにその両端から罫線上にその左右両端まで直線状に形成される。このようにして箱の上の開口を上蓋で封止する際に、上蓋が3枚フラップの場合、上の開口に一対のフラップ、蓋が順次閉じられ、蓋先端の差し込み片が正面板の内側に差し込まれて、この差し込み片と正面板が溝形の破断線で囲まれた部分に塗布された糊(ホットメルト)を介して接着され、上蓋が4枚フラップからなる箱の場合、一対のフラップ、内蓋、外蓋が順次閉じられ、内蓋と外蓋との間に塗布された糊(ホットメルト)を介して接着される。なお、上蓋は封緘テープを用いて接合されることもある。
【0003】
医薬品はこのような箱に包装され、この箱を開封するときは、箱の略溝形の破断線で囲まれた部分を手の指(通常、親指)で押し破ることにより、蓋(3枚フラップの場合)又は外蓋(4枚フラップの場合)を正面板から切り離すようになっている。このような開封形式を取ることで、開封後の箱に開封の痕跡が残り、箱内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱の管理や、箱内のものの抜き取り、改竄などを含む箱の不正開封の防止に有用なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の包装用箱のような開封形式では、
図13(1)、(2)に示すように、箱Bを開封するときに、破断線Cを押し破り、破断線Cで囲まれた部分(破断部F1)を正面板Fから切り離すので、正面板Fの上端に開封した痕跡が残されるものの、この場合、正面板Fの上端の一部が破断部F1として正面板Fから破断線Cに沿ってきれいに切り離されて蓋Uに移り、正面板Fの上端には溝F0がきれいに残るので、箱Bの蓋Uを開けて箱Bから医薬品などを取り出した後、箱Bを蓋Uで再封したときに、
図13(3)に示すように、蓋Uに移された正面板Fの一部、つまり、蓋Uの破断部F1が正面板Fの溝F0に合致して恰も未開封のように見えて、箱Bの管理に支障が出ることがあり、また、箱Bの不正開封が行われたときでも、蓋Uに移った正面板Fの一部(破断部F1)を正面板Fの溝F0に恰も未開封のように巧妙に戻されてしまうおそれがある、という問題がある。特に、多くの医薬品用の箱を取り扱う医療機関や調剤薬局、またドラッグストアなどでは、
図14に示すように、多数の箱が棚などに整然と並べて置かれるので、多くの未開封の箱の中から開封済みの箱を一目して視認することは難しい。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、この種の包装用箱において、一度開封した箱にその痕跡を顕著に残すようにして、箱内のものが使用中あるいは使用済みであることなど箱の管理をより確実に行えるようにすること、また、箱内のものの抜き取り、改竄などを含む箱の不正開封をより確実に防止できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
板紙から形成され、箱の正面、背面及び左右両側面をなす4側面板と、箱の一端開口を封じる蓋と、箱の他端開口を封じる蓋とからなり、前記4側面板のうちの1側面板の一端又は両端に蓋の開封用に溝形の破断線を有し、当該破断線で囲まれた破断部を押し破り、前記1側面板から切り離すことにより、蓋を開封する形式の包装用箱において、
前記破断線は、前記1側面板に2重に形成されて、切り込み部と繋ぎ部とからなる内側の破断線と、切り込み部と繋ぎ部とからなる外側の破断線とを備え、
前記内側の破断線又は前記外側の破断線のいずれか一方の破断線は、当該一方の破断線の中央が繋ぎ部で、この中央の繋ぎ部の両側から当該一方の破断線の両端部方向に切り込み部と繋ぎ部が交互に形成され、他方の破断線は、当該他方の破断線の中央が切り込み部で、この中央の切り込み部の両側から当該他方の破断線の両端部方向に繋ぎ部と切り込み部が交互に形成されて、前記内側の破断線の繋ぎ部、前記外側の破断線の繋ぎ部はそれぞれ、前記外側の破断線の切り込み部、前記内側の破断線の切り込み部に対向して形成され、
蓋を開封する際に、前記1側面板の前記破断部を押し破ることにより、前記破断部を前記1側面板から切り離し、この破断部の切り離しの作用により前記内側の破断線の繋ぎ部で前記1側面板の前記内側の破断線と前記外側の破断線との間の中間部分を引張り歪み変形させるとともに、前記中間部分を前記外側の破断線の繋ぎ部で止めて前記外側の破断線に沿って残す、
ことを要旨とする。
【0008】
また、この包装用箱は、各部が次のような構成を備えることが好ましい。
(1)内側、外側の各破断線は略U字形若しくは略半円形に形成される。
(2)内側、外側の各破断線は略台形若しくは略コ字形に形成され、外側の破断線の各角部に繋ぎ部が設けられる。
(3)内側、外側の各破断線の両端部は共に1側面板の一端又は両端の端縁部に近接される。
(4)内側の破断線の両端部は1側面板の一端又は両端の端縁部に近接され、外側の破断線の両端部は前記1側面板の一端又は両端の端縁部から離間される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の開封痕跡残置機能付き包装用箱によれば、破断線が、1側面板に2重に形成されて、切り込み部と繋ぎ部とからなる内側の破断線と、切り込み部と繋ぎ部とからなる外側の破断線とを備え、内側の破断線の繋ぎ部、外側の破断線の繋ぎ部がそれぞれ、外側の破断線の切り込み部、内側の破断線の切り込み部に対向して形成され、蓋を開封する際に、1側面板の破断部を押し破ることにより、破断部を1側面板から切り離し、この破断部の切り離しの作用により内側の破断線の繋ぎ部で1側面板の内側の破断線と外側の破断線との間の中間部分を引張り歪み変形させるとともに、この中間部分を外側の破断線の繋ぎ部で止めて外側の破断線に沿って残すようにしたので、一度開封した箱にその痕跡を顕著に残して、箱内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱の管理をより確実に行うことができ、また、箱内のものの抜き取り、改竄などを含む箱の不正開封をより確実に防止することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
特に、この包装用箱では、内側の破断線又は外側の破断線のいずれか一方の破断線は、当該一方の破断線の中央が繋ぎ部で、この中央の繋ぎ部の両側から当該一方の破断線の両端部方向に切り込み部と繋ぎ部が交互に形成され、他方の破断線は、当該他方の破断線の中央が切り込み部で、この中央の切り込み部の両側から当該他方の破断線の両端部方向に繋ぎ部と切り込み部が交互に形成されて、内側の破断線の繋ぎ部、外側の破断線の繋ぎ部はそれぞれ、外側の破断線の切り込み部、内側の破断線の切り込み部に対向して形成されていることで、この破断部の切り離しの作用(すなわち、破断部を指先で押したときに破断部の内側の破断線に沿う外周部に生じる破断部の被押圧部に向けて引張られる力)により内側の破断線の繋ぎ部で1側面板の内側の破断線と外側の破断線との間の中間部分が破断部の切り離し方向に引張られて歪み変形し、波形又ははっきりしたギザギザに変形し、この波形又はギザギザに変形した中間部分が外側の破断線の繋ぎ部で止められて(とどめられて)外側の破断線に沿って残される。
このため、箱から医薬品を取り出した後、箱を上の蓋で再封したときに、蓋側に移された1側面板の一部、つまり、蓋側の破断部が1側面板の破断部の切り離し後の溝にぴったりと嵌まり込んだとしても、1側面板に形成された溝の縁部(外側の破断線)全体に既述の波形又はギザギザの中間部分が残されるので、これが極めて目立ち、箱を開封された痕跡が顕著に残される。これにより、箱が開封済になっていることが瞬時に(パッと見で)分かり、箱内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱の管理を確実に実施することができる。
また、ドラッグストアなどでは、この包装用箱に収容された医薬品が陳列棚などに載せられることとなるが、この場合に、箱の不正開封を行おうとすると、既述のとおり、正面板に形成された溝の縁部(外側の破断線)全体に既述の波形又はギザギサの中間部分がハッキリと残されるので、上の蓋側に移った1側面板の一部(破断部)を1側面板の溝に未開封のように戻すことは困難で、箱の不正開封をより強固に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における開封痕跡残置機能付き包装用箱の全体構成を示す斜視図
【
図2】同包装用箱の正面板の上端に形成された開封用の破断線を示す要部拡大図((a)は開封前の破断線の状態を示す図(b)は開封後の破断線の状態を示す図)
【
図3】同包装用箱の組み立て前の紙基材(板紙)を示す平面図(箱の展開図)
【
図4】同包装用箱の開封前、開封後、再封後の状態を示す斜視図((a)は開封前の状態を示す図(b)は開封後の状態を示す図(c)は再封後の状態を示す図)
【
図5】同包装用箱が多数ある中で、そのうちの一つが開封された場合の開封後の箱に残される開封の痕跡の状態を示す図
【
図6】本発明の第2の実施の形態における開封痕跡残置機能付き包装用箱の全体構成を示す斜視図
【
図7】同包装用箱の正面板の上端に形成された開封用の破断線を示す要部拡大図((a)は開封前の破断線の状態を示す図(b)は開封後の破断線の状態を示す図)
【
図8】同包装用箱の組み立て前の紙基材(板紙)を示す平面図(箱の展開図)
【
図9】本発明の第1、第2の各実施の形態における包装用箱の開封用の破断線の変更例を示す図((a)は開封前の破断線の状態を示す図(b)は開封後の破断線の状態を示す図)
【
図10】(
図9に示す)同包装用箱の変更例において、開封用の破断線の要部を示す図
【
図11】本発明の第1、第2の各実施の形態における包装用箱の開封用の破断線の変更例を示す図((a)は開封前の破断線の状態を示す図(b)は開封後の破断線の状態を示す図)
【
図12】本発明の第1、第2の各実施の形態における包装用箱の開封用の破断線の変更例を示す図((a)は開封前の破断線の状態を示す図(b)は開封後の破断線の状態を示す図)
【
図13】従来の開封用の破断線を有する包装用箱の開封前、開封後、再封後の状態を示す斜視図((a)は開封前の状態を示す図(b)は開封後の状態を示す図(c)は再封後の状態を示す図)
【
図14】同包装用箱が多数ある中で、そのうちの一つが開封された場合の開封後の箱に残される開封の痕跡の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0012】
図1、
図6に開封痕跡残置機能付き包装用箱を示している。
図1、
図6に示すように、開封痕跡残置機能付き包装用箱B1、B2(以下、単に包装用箱B1、B2、箱B1、B2と称する場合がある。)は、医薬品の包装に用いる箱で、板紙から形成され、箱B1、B2の正面、背面及び左右両側面をなす4側面板11-14、と、箱B1、B2の一端開口を封じる蓋A1、と、箱B1、B2の他端開口を封じる蓋A2とからなり、4側面板11-14、のうちの1側面板12の一端又は両端に蓋A1、A2の開封用に溝形の破断線C1、C2を有し、この破断線C1、C2で囲まれた破断部F1を押し破り、1側面板12から切り離すことにより、蓋A1、A2を開封する形式になっている。
【0013】
そして、これらの包装用箱B1、B2では、特に、破断線C1、C2が、1側面板12に2重に形成されて、切り込み部と繋ぎ部とからなる内側の破断線C11、C21と、切り込み部と繋ぎ部とからなる外側の破断線C12、C22とを備え、内側の破断線C11、C21の繋ぎ部、外側の破断線C12、C22の繋ぎ部がそれぞれ、外側の破断線C12、C22の切り込み部、内側の破断線C11、C21の切り込み部に対向して形成され、蓋A1を開封する際に、1側面板の破断部F1を押し破ることにより、破断部F1を1側面板12から切り離し、この破断部F1の切り離しの作用により内側の破断線C11、C21の繋ぎ部で1側面板12の内側の破断線C11、C21と外側の破断線C12、C22との間の中間部分C13、C23を引張り歪み変形させるとともに、この中間部分C13、C23を外側の破断線C12、C22の繋ぎ部で止めて外側の破断線C12、C22に沿って残すようにしてある。
【0014】
図1は第1の実施の形態を示している。
図1に示すように、この包装用箱B1は、所謂板紙と呼ばれる比較的厚さがあり直立性のある紙材により形成され、4側面11-14(右側面板11、1側面板12に当たる正面板12、左側面板13、背面板14)と、これら4側面11-14の一端開口、この場合、上の開口を封じるための上蓋A1として、左右の各側面板11、13の上端縁部から延びる2つの上のフラップ16、18(
図3参照)、及び背面板14の上端縁部から延びる先端に差し込み片201(
図3参照)を有する上の蓋20と、他端の開口、この場合、下の開口を封じるための下蓋A2として、左右の各側面板11、13の下端縁部から延びる2つの下のフラップ17、19(
図3参照)、及び背面板14の下端縁部から延びる先端に差し込み片211を有する下の蓋21(
図3参照)とを備える。
【0015】
この場合、4側面11-14はそれぞれ縦(上下方向)に長い長方形に形成される。4側面11-14の2つの上のフラップ16、18はそれぞれ略台形に形成され、上の蓋20は略四角形に、その差し込み片201は横長、角丸の帯状に、それぞれ、形成される。4側面11-14の2つの下のフラップ17、19はそれぞれ略台形に形成され、下の蓋21は略四角形に、その差し込み片211は横長、角丸の帯状に、それぞれ、形成される。
【0016】
かくして箱B1は、上下の各開口がそれぞれ、2つの上のフラップ16,17、及び上の蓋20、2つの下のフラップ18,19、及び下の蓋21により閉じられ、上下の各蓋20、21の各差し込み片201、211が正面板12の内側に差し込まれ,各差し込み片201、211と正面板12が糊付けにより接着されて、全体として縦に長い直方体状に構成される。
【0017】
そして、この包装用箱B1では、箱B1の上部から開封可能に、箱B1の正面板12の上端中央に、破断線C1が、ミシン目加工により、正面板12の上端縁部から反対側の下端縁部に向けて略溝形形状、この場合、略U字形に形成され、上の蓋20の差し込み片201が正面板12の内面で溝形の破断線C1で囲まれた破断部F1に糊(ホットメルト)を介して接着される。なお、上の蓋20の差し込み片201が正面板12に糊付けされるのに代えて、上の蓋20が正面板12に封緘テープにより接合されてもよい。この場合、封緘テープは正面板12の溝形の破断部F1から上の蓋20に跨って貼付される。また、この場合、下の蓋21も、下の蓋21の差し込み片211が正面板12の内面に糊(ホットメルト)を介して接着される。この下の蓋21もまた正面板12に同様に封緘テープにより接合されてもよい。
【0018】
このようにして正面板12の上端の溝形の破断線C1で囲まれた破断部F1を指先で押し破り、この破断部F1を正面板12から切り離すことにより、箱B1が開封され、上の蓋20を引き上げて、箱B1に包装された医薬品を取り出せるようになっている。
【0019】
この箱B1において、破断線C1は正面板12に2重の破断線C11、C12からなり、この2重の破断線C11、C12により新たな開封痕跡残置機能が付加される。
【0020】
図2(a)に示すように、この破断線C1は、1側面板に2重に形成されて、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる内側の破断線C11と、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる外側の破断線C12とを備える。この場合、内側の破断線C11は、略U字形に形成され、その中央が繋ぎ部23で、この中央の繋ぎ部23の両側から内側の破断線C11の両端部方向に切り込み部22と繋ぎ部23が交互に形成される。この破断線C11の両端部は正面板12の上端縁部に近接される。このようにして内側の破断線C11の特に中央部分にあっては、中央に繋ぎ部23、その両側に切り込み部22、繋ぎ部23が順次形成される。外側の破断線C12は、内側の破断線C11の外側に、内側の破断線C11との間に所定の間隔をあけて、内側の破断線C11に沿って、略U字形に形成され、その中央が切り込み部22で、この中央の切り込み部22の両側から外側の破断線C12の両端部方向に繋ぎ部23と切り込み部22が交互に形成される。この破断線C12の両端部は正面板12の上端縁部から少し離間される。このようにして外側の破断線C12の特に中央部分にあっては、中央に切り込み部22、その両側に繋ぎ部23、切り込み部22が順次形成される。かくして内側の破断線C11の繋ぎ部23、外側の破断線C12の繋ぎ部23がそれぞれ、外側の破断線C12の切り込み部22、内側の破断線C11の切り込み部22に対向して形成される。なお、ここで各破断線C11、C12の「切り込み部22」は正面板12の表面から裏面まで達する切り込みである。切り込み部22は長く、繋ぎ部23は短く形成され、切り込み部22は繋ぎ部23の長さの3倍若しくは4倍程の長さを有している。また、この場合、内側の破断線C11と外側の破断線C12との間の間隔が切り込み部22の幅よりも少し大きくなっており、外側の破断線C12が内側の破断線C11に対して比較的離間して設けられる。つまり、内側の破断線C11と外側の破断線C12との間の中間部分C13は比較的幅広になっている。
【0021】
この包装用箱B1は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成された一枚の紙基材(P1)からなり、この紙基材(P1)は各部が所定の順序で折り曲げられ、所定の各接着位置が接着固定されて組み立てられる。
【0022】
図3にこの紙基材P1を示している。なお、この
図3には紙基材P1の表面(組み立て後に表側となる面)が現れている。
図3に示すように、この紙基材P1は、全体が上下方向に長い直方体形状に組み立て可能に、直方体形状に組み立て後の状態で、右側面板11、正面板12、左側面板13、背面板14、及び右側面板11に重合されて背面板14と右側面板11との連結板15をなす相互に折れ線L1-L4を介して連接して形成される4側面板形状部P11-P15(右側面板形状部P11、正面板形状部P12、左側面板形状部P13、背面板形状部P14、及び連結板形状部P15)と、右側面板形状部P11及び左側面板形状部P13の上下両端にそれぞれ折れ線L5,L6及びL7,L8を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で上の右のフラップ16、下の右のフラップ17及び上の左のフラップ18、下の左のフラップ19をなす上のフラップ形状部P16、下のフラップ形状部P17及び上のフラップ形状部P18、下のフラップ形状部P19と、背面板形状部P14の上下方向の両端にそれぞれ折れ線L9、L10を介して形成され、直方体形状に組み立て後の状態で上の蓋20をなす蓋形状部P20及びこの蓋形状部P20の先端延長上に折れ線L11を介して連続して形成され、上の蓋20の差し込み片201をなす差し込み片形状部P201、下の蓋21をなす蓋形状部P21及びこの蓋形状部P21の先端延長上に折れ線L12を介して連続して形成され、下の蓋21の差し込み片211をなす差し込み片形状部P211と、を有する。
【0023】
この場合、4側面板形状部P11-P15はそれぞれ上下に長い長方形に形成され、正面板形状部P12、背面板形状部P14がそれぞれ右側面板形状部P11、左側面板形状部P13よりも少し幅広に形成される。なお、連結板形状部P15は背面板形状部P14の左側縁部に沿って略台形に右側面形状部P11よりも幅狭に形成される。上、下のフラップ形状部P16、P17、P18、P19はそれぞれ略台形状に、上下の蓋形状部P20、P21の長さ(高さ)のおよそ半分程の長さ(高さ)に形成される。上下の各蓋形状部P20(差し込み片形状部P201を除く)、P21(差し込み片形状部P211を除く)はそれぞれ、箱B1の上下の開口と略同じ大きさの略四角形状に形成され、上下の各蓋形状部P20、P21の各差し込み片形状部P201、P211はそれぞれ、適宜大きさの横長の帯状(この場合、半レーストラック形状)に形成される。
【0024】
そして、正面板形状部P12の上端中央に、開封用の破断線C1が、ミシン目加工により、正面板形状部P12の上端縁部から下方に向けて2重の略溝形形状、この場合、2重の略U字形に形成されて、内側の破断線C11と外側の破断線C12とからなる。内側、外側の各破断線C11、C12は既述のとおりである(段落0020、
図2参照)。
【0025】
かくして紙基材P1は各形状部P11-P21、P201,P211が各折れ線L1-L10、L11,L12を介して折り曲げられ、縦(上下方向)に長い直方体形状の箱形に組み立てられる。すなわち、正面板12をなす正面板形状部P12に対して右側面板形状部P11が折れ線L1を介して直角に折り曲げられて右側面板11をなし、同様に、正面板形状部P12に対して左側面板形状部P13が折れ線L2を介して直角に折り曲げられて左側面板13をなし、この左側面板13に対して背面板形状部P14が折れ線L3を介して直角に折り曲げられて背面板14をなす。そして、この背面板14に対して連結板形状部P15が折れ線L4を介して直角に折り曲げられ、右側面板11の内側に重合されて連結板15をなす。この右側面板11の内側で右側面板11と連結板15が糊(エマルション型)を介して連結され、これにより4側面11-14、15が組み立てられる。この状態から、右、左の各側面板11、13の下の右、左の各フラップ形状部P17、P19が折れ線L6、L8を介して直角に折り曲げられて下の右、左の各フラップ17、19をなし、背面板14の下の蓋形状部P21が折れ線L10を介して直角に折り曲げられて下の蓋21をなし、下の蓋21先端の差し込み片形状部P211が折れ線L12を介して直角に折り曲げられて差し込み片211をなす。この差し込み片211と正面板12が糊(ホットメルト)を介して接着され、底面が封止される。そして、右、左の各側面板11、13の上の右、左の各フラップ形状部P16、P18が折れ線L5、L7を介して直角に折り曲げられて右、左の各フラップ16、18をなし、背面板14の上の蓋形状部P20が折れ線L9を介して直角に折り曲げられて上の蓋20をなし、差し込み片形状部P201が折れ線L11を介して内側に略直角に折り曲げられて差し込み片201をなす。この差し込み片201と正面板12が溝形の破断線C1で囲まれた部分に塗布された糊(ホットメルト)を介して接着され、天面が封止される。
【0026】
このようにして紙基材P1から包装用箱B1が直方体形状の箱形に組み立てられ、正面板12の上端中央に、開封痕跡残置機能を有する開封用の2重の破断線C11、C12が備えられる。
【0027】
包装用箱B1はこのようにして構成され、例えば錠剤やカプセルなどの医薬品が複数個ずつこの箱B1に包装されて、例えば医療機関や調剤薬局、またドラッグストアなどへ供給される。そして、例えば医療機関や調剤薬局では、この包装用箱B1を開封して箱B1から医薬品を取り出すときは、
図4(1)、(2)に示すように、正面板12の上端の溝形の破断線C1で囲まれた部分、すなわち、破断部F1を押し破って、この破断部F1を正面板12から切り離す。これにより、箱B1が開封され、上の蓋20を引き上げれば、箱B1から医薬品を取り出すことができる。
【0028】
この場合、
図4(1)、(2)に示すように、正面板12の破断部F1が押し破られると、この破断部F1が正面板12の内側の破断線C11の下部中央からその両側へ順次切り離されて略U字形に破断されるとともに、内側の破断線C11と外側の破断線C12との間の中間部分C13が破断部F1との間の各繋ぎ部23により部分的に引張られて歪み変形し外側の破断線C12に沿って残される。この場合、破断線C1が、
図2(a)に示すように、正面板12の上端に2重に略U字形に形成されて、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる略U字形の内側の破断線C11と、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる略U字形の外側の破断線C12とを備え、内側の破断線C11の繋ぎ部23、外側の破断線C12の繋ぎ部23がそれぞれ、外側の破断線C12の切り込み部22、内側の破断線C11の切り込み部22に対向して形成されるので、上蓋A1を開封する際に、正面板12の破断部F1を押し破ると、
図2(b)に示すように、破断部F1が正面板12から略U字形の内側の破断線C11に沿って切り離され、この破断部F1の切り離しの作用(すなわち、破断部F1を指先で押したときに破断部F1の内側の破断線C11に沿う外周部に生じる破断部F1の被押圧部に向けて引張られる力)により内側の破断線C11の繋ぎ部23で正面板12の内側の破断線C11と外側の破断線C12との間の中間部分C13が破断部F1の切り離し方向に引張られて歪み変形し、この場合、この中間部分C13の幅が比較的広いことから、きれいな波形又ははっきりしたギザギザに変形し、この波形又はギザギザに変形した中間部分C13が外側の破断線C12の繋ぎ部23で止められて(とどめられて)外側の破断線C12に沿って残される。
このため、箱B1から医薬品を取り出した後、
図4(3)に示すように、箱B1を上の蓋20で再封したときに、蓋20側に移された正面板12の一部、つまり、蓋20側の破断部F1が正面板12の破断部F1の切り離し後の溝F0にぴったりと嵌まり込んだとしても、正面板12に形成された溝F0の縁部(外側の破断線C12)全体に既述の波形又はギザギザの中間部分C13が残されるので、これが極めて目立ち、箱B1を開封された痕跡が顕著に残される。これにより、
図5に示すように、箱B1が開封済になっていることが瞬時に(パッと見で)分かり、箱B1内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱B1の管理を確実に実施することができる。
また、ドラッグストアなどでは、この包装用箱B1に収容された医薬品が陳列棚などに載せられることとなるが、この場合に、箱B1の不正開封を行おうとすると、既述のとおり、正面板12に形成された溝F0の縁部(外側の破断線C12)全体に既述の波形又はギザギサの中間部分C13がハッキリと残されるので、上の蓋20側に移った正面板12の一部(破断部F1)を正面板12の溝F0に未開封のように戻すことは困難で、箱B1の不正開封をより強固に防止することができる。
【0029】
以上説明したように、この開封痕跡残置機能付き包装用箱B1によれば、破断線C1が、正面板12に2重に略U字形に形成されて、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる略U字形の内側の破断線C11と、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる略U字形の外側の破断線C12とを備え、内側の破断線C11の繋ぎ部23、外側の破断線C12の繋ぎ部23がそれぞれ、外側の破断線C12の切り込み部22、内側の破断線C11の切り込み部22に対向して形成され、上蓋A1を開封する際に、正面板12の破断部F1を押し破ることにより、破断部F1を正面板12から切り離し、この破断部F1の切り離しの作用により内側の破断線C11の繋ぎ部23で正面板12の内側の破断線C11と外側の破断線C12との間の中間部分C13を引張り歪み変形させるとともに、この中間部分C13を外側の破断線C12の繋ぎ部23で止めて外側の破断線C12に沿って残すようにしたので、一度開封した箱B1にその痕跡を顕著に残して、箱B1内のものが使用中あるいは使用済みであることなどの箱B1の管理をより確実に行うことができ、また、箱B1内のものの抜き取り、改竄などを含む箱B1の不正開封をより確実に防止することができる。
【0030】
図6に第2の実施の形態を示している。第1の実施の形態では、包装用箱B1を、上蓋A1、下蓋A2がそれぞれ、箱の3側面板11、13、14の端縁部から延びる一対のフラップ16,17、18,19及び先端に差し込み片201,211を有する蓋20,21からなる所謂3枚フラップの箱として例示したが、第2の実施の形態では、所謂4枚フラップの包装用箱B2を例示している。
【0031】
図6に示すように、包装用箱B2は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成される一枚の紙基材(板紙)から形成され、箱B2の正面、背面及び左右両側面をなす4側面板11-14と、箱B2の上の開口を封じる上蓋A1と、箱B2の下の開口を封じる下蓋A2とにより構成され、上蓋A1、下蓋A2はそれぞれ、箱の4側面板11-14の端縁部から延びる一対のフラップ16,17、18,19、及び内蓋32,34、外蓋31,33からなる(
図8参照)。この包装用箱B2では、箱B2の正面をなす側面板12(以下、正面板12という。)と上蓋A1(特に外蓋31)との間に開封用の破断線C2が併せて設けられる。この場合、破断線C2は、ミシン目加工により、箱B2の正面板12の上端中央に上の外蓋32と正面板12との間の罫線から下方に向けて略溝形形状に形成され、さらにその両端から正面板12の上端縁部の罫線上にその左右両端まで直線状に形成される。
【0032】
この箱B2においても、破断線C2は正面板12に2重に破断線C21、C22が形成され、この2重の破断線C21、C22により新たな開封痕跡残置機能が付加される。
【0033】
図7に示すように、この破断線C2は、正面板12に2重に形成されて、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる内側の破断線C21と、切り込み部22と繋ぎ部23とからなる外側の破断線C22とを備える。この場合、内側の破断線C21は、略半円形に形成され、その中央が繋ぎ部23で、この中央の繋ぎ部23の両側から内側の破断線C21の両端部方向に切り込み部22と繋ぎ部23が交互に形成される。この破断線C21の両端部は正面板12の上端縁部に近接される。外側の破断線C22は、内側の破断線C21の外側に、内側の破断線C21との間に所定の間隔をあけて、内側の破断線C21に沿って、略半円形に形成され、その中央が切り込み部22で、この中央の切り込み部22の両側から外側の破断線C22の両端部方向に繋ぎ部23と切り込み部22が交互に形成される。この破断線C22の両端部は正面板12の上端縁部から少し離間される。かくして内側の破断線C21の繋ぎ部23、外側の破断線C22の繋ぎ部23がそれぞれ、外側の破断線C22の切り込み部22、内側の破断線C21の切り込み部22に対向して形成される。なお、ここで破断線C2の「切り込み部22」は正面板12の表面から裏面まで達する切り込みである。切り込み部22は長く、繋ぎ部23は短く形成され、切り込み部22は繋ぎ部23の長さの3倍若しくは4倍程の長さを有している。また、この場合、内側の破断線C21と外側の破断線C22との間の間隔が切り込み部22の幅よりも少し大きくなっており、外側の破断線C22が内側の破断線C21に対して比較的離間して設けられる。
【0034】
この包装用箱B2もまた、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれて形成された一枚の紙基材(P2)からなり、この紙基材(P2)は各部が所定の順序で折り曲げられ、所定の各接着位置が接着固定されて組み立てられる。
【0035】
図8にこの紙基材P2を示している。なお、この
図8には紙基材P2の表面(組み立て後に表側となる面)が現れている。
図8に示すように、この紙基材P2は、4側面板形状部P11-P15(右側面板形状部P11、正面板形状部P12、左側面板形状部P13、背面板形状部P14、及び連結板形状部P15)が第1の実施の形態で例示する紙基材P1の4側面板と概ね同様の構成を備え、右側面板形状部P11及び左側面板形状部P13の上下両端にそれぞれ、組み立て後の状態で上の右のフラップ16、下の右のフラップ17及び上の左のフラップ18、下の左のフラップ19をなす上のフラップ形状部P16、下のフラップ形状部P17及び上のフラップ形状部P18、下のフラップ形状部P19が折れ線L5,L6及びL7,L8を介して第1の実施の形態と若干異なる台形状に形成され、背面板形状部P14の上下方向の両端にそれぞれ、組み立て後の状態で上、下の内蓋32、34をなす内蓋形状部P32、P34が折れ線L9、L10を介して略四角形状に形成されるとともに、上の内蓋形状部P32には内蓋形状部P32の先端延長上に内蓋32の差し込み片321をなす差し込み片形状部P321が折れ線L11を介して連続して適宜大きさの横長の帯状(この場合、半レーストラック形状)に形成され、そして、第1の実施の形態と異なり、正面板形状部P12の上下方向の両端にそれぞれ、組み立て後の状態で上、下の外蓋31、33をなす外蓋形状部P31、P33が折れ線L11、L12を介して略台形状に形成される。
【0036】
そして、正面板形状部P12の上端中央に、開封用の破断線C2が、ミシン目加工により、正面板形状部12の上端縁部から下方に向けて2重の略溝形形状、この場合、2重の略半円形に形成されて、内側の破断線C21と外側の破断線C22とからなる。内側、外側の各破断線C21、C22は既述のとおりである(段落0033、
図7参照)。
【0037】
かくして紙基材P2は4側面板形状部11-14(15)が第1の実施の形態と同様に折り曲げられ連結されて組み立てられる。この状態から、右、左の各側面板11、13の下の右、左の各フラップ形状部P17、P19が折れ線L6、L8を介して直角に折り曲げられて下の右、左の各フラップ17、19をなし、背面板14の下の内蓋形状部P34が折れ線L10を介して直角に折り曲げられて下の内蓋34をなし、正面板12の下の外蓋形状部P33が折れ線L12を介して直角に折り曲げられて下の外蓋33をなし、内蓋34の上に外蓋33が重ねられて、内蓋34と外蓋33との間に糊(ホットメルト)を介して接着され、底面が封止される。そして、右、左の各側面板11、13の上の右、左の各フラップ形状部P16、P18が折れ線L5、L7を介して直角に折り曲げられて右、左の各フラップ16、18をなし、背面板14の上の内蓋形状部P32が折れ線L9を介して直角に折り曲げられて上の内蓋32をなし、差し込み片形状部P321が折れ線L11を介して内側に略直角に折り曲げられて差し込み片321をなし、背面板14の上の外蓋形状部P31が折れ線L11を介して直角に折り曲げられて上の外蓋31をなし、内蓋32の上に外蓋31が重ねられて、内蓋32と外蓋31との間に糊(ホットメルト)を介して接着され、天面が封止される。なお、上の外蓋31は封緘テープを用いて接合されることもある。
【0038】
このようにして紙基材P2から包装用箱B2が直方体形状の箱形に組み立てられ、正面板12の上端中央にそれぞれ、開封痕跡残置機能を有する開封用の2重の破断線C2が備えられる。
【0039】
このようにしても、
図7(b)に示すように、破断部F2が押し破られると、破断部F2が略半円形に切り離され、内側、外側の破断線C21、C22との間の中間部分C23が略半円形で波形又はギザギザに変形されて外側の破断線C22に沿って残される点、つまり、破断部F2及び中間部分C23の形状(外形)が第1の実施の形態と異なるだけで、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0040】
第1、第2の各実施の形態において破断線は次のように変更可能である。
(1)第1、第2の各実施の形態では、2重の破断線C11,C12、C21,C22が略U字形、略半円形を呈するものとしたが、
図9(a)に示すように、内側、外側の各破断線C31、C32の形状は、略台形若しくは略コ字形に変更可能であり、さらに、略V字形又は略円弧形状に形成されてもよい。このようにしても、
図9(b)に示すように、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
(2)上記(1)に関連して、内側、外側の各破断線C31、C32が略台形若しくは略コ字形に形成される場合、
図10(b-1)に示すように、外側の破断線C32の各角部に繋ぎ部23が設けられることが好ましい。
図10(a-1)に示すように、外側の破断線C32の各角部に繋ぎ部23がない場合、
図10(a-2)に示すように、破断部F3を押し破る際の力の入り方によって、内側、外側の破断線C31、C32間の中間部分C33が変形されないことがあり、
図10(b-1)に示すように、外側の破断線C33の各角部に繋ぎ部32を設けることで、この問題が改善され、
図10(b-2)に示すように、破断部F3の破断とともに、内側、外側の破断線C31、C32間の中間部分C33が確実に変形される。この場合、正面板12の破断部F3が押し破られると、この破断部F3が正面板12の内側の破断線C31に沿って、この場合、内側の破断線C31の下部の直線状の中央部分、その両側の直線状の部分が順次切り離されるとともに、内側の破断線C31と外側の破断線C32との間の中間部分C33が破断部F3との間の各繋ぎ部23により部分的に引張られて歪み変形し外側の破断線C32に沿って残される。
(3)第1、第2の各実施の形態では、2重の破断線C11,C12間、C21,C22間の中間部分C13、C23が各破断線C11,C12、C21,C22の切り込み部22の幅よりも少し大きくして比較的幅広に形成されるものとしたが、
図11(a)、
図12(a)に示すように、この中間部分C13、C33が各破断線C11,C12、C31,C32の切り込み部22の幅と略同じか少し幅狭に形成されてもよい。このようにすると、
図11(b)、
図12(b)に示すように、中間部分C13、C33の幅が小さい分だけ破断部F1、F3の破断後の変形(つまり、波形又はギザギザの変形)が小さくなり、この中間部分C13、C33が上記各実施の形態に比べて目立ち方の点で若干劣後するが、このようにしても上記各実施の形態と概ね同様の作用効果を奏することができる。この2重の破断線C11,C12間、C31,C32間の各中間部分C13、C33を比較的幅広にするか幅狭にするかは、この箱を使用するユーザーの好みによるところである。
(4)第1、第2の各実施の形態では、内側の破断線C11、C21の両端部は1側面板の端縁部に近接され、外側の破断線C12、C22の両端部は1側面板の端縁部から離間されるものとしたが、内側、外側の各破断線C11,C12、C21,C22の両端部が共に1側面板の端縁部に近接されるものとしてもよい。このようにしても上記各実施の形態と概ね同様の作用効果を奏することができる。
(5)第1、第2の各実施の形態では、箱B1、B2の正面板12の上端にのみ2重の破断線C11,C12、C21,C22が設けられるものとしたが、正面板12の上端下端の両方に設けられてもよい。この場合、正面板12の上下に2重の破断線C1、C2が形成されるので、箱B1、B2を上下どちらからでも簡単に開封することができ、箱B1、B2の上下どちらにも開封の痕跡を顕著に残すことができる。また、箱B1、B2の開封に使用しなかったどちらかの破断線は箱B1、B2を廃棄するときの箱B1、B2の解体用に用いることもできる。
(6)第1、第2の各実施の形態では、箱B1、B2が縦長で、上下両端が蓋A1、A2になっているものとしたが、箱が横長で、左右両端が蓋になっている場合も同様で、箱の1側面板の左右両端のどちらか一方又は左右両端に2重の破断線が設けられることで、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0041】
B1、B2 開封痕跡残置機能付き包装用箱
11 右側面板
12 正面板
13 左側面板
14 背面板
15 連結板
A1 上蓋
A2 下蓋
16 フラップ
17 フラップ
18 フラップ
19 フラップ
20 蓋
201 差し込み片
21 蓋
211 差し込み片
31、33 外蓋
32、34 内蓋
321 差し込み片
C1 破断線
C11 内側の破断線
C12 外側の破断線
F1 破断部
F0 溝
22 切り込み部
23 繋ぎ部
C13 中間部分
C2 破断線
C21 内側の破断線
C22 外側の破断線
F2 破断部
F0 溝
C23 中間部分
C3 破断線
C31 内側の破断線
C32 外側の破断線
F3 破断部
F0 溝
C33 中間部分
P1、P2 紙基材
P11 右側面板形状部
P12 正面板形状部
P13 左側面板形状部
P14 背面板形状部
P15 連結板形状部
P16 フラップ形状部
P17 フラップ形状部
P18 フラップ形状部
P19 フラップ形状部
P20 蓋形状部
P201 差し込み片形状部
P21 蓋形状部
P211 差し込み片形状部
L1-L12 折れ線
P31、P33 外蓋形状部
P32、P34 内蓋形状部
P321 差し込み片形状部