(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
B42F7/00 A
(21)【出願番号】P 2019079480
(22)【出願日】2019-04-18
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591121764
【氏名又は名称】株式会社シロクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】熊代 誠一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-001112(JP,A)
【文献】実開平03-031982(JP,U)
【文献】特開2011-098559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の表紙(1,1)が背表紙(2)を介して連なり、前記表紙(1)に拡張台紙(3)がヒンジ(3c)を軸として見開き可能に設けられたファイルにおいて、
前記拡張台紙(3)は、前記表紙(1)とは別体とされて、前記ヒンジ(3c)を介して隣接する台板部(3a)と継代部(3b)から成り、前記継代部(3b)が前記表紙(1)の内面に固着され、
前記ヒンジ(3c)は、前記表紙(1)の小口側の端縁から背側へ離れて位置し、前記表紙(1)の前記ヒンジ(3c)に対応する位置と小口側の端縁の間が展開支持部(8)とされ、
前記拡張台紙(3)の台板部(3a)は、前記表紙(1)から前記ヒンジ(3c)を軸として展開したとき、前記展開支持部(8)により背面側から支持され
、
前記拡張台紙(3)が前記継代部(3b)での固着により横方向に2枚順次連設され、
前記2枚の拡張台紙(3)が折り畳まれた状態で、前記表紙(1)に固着された一方の拡張台紙(3)の継代部(3b)と、この拡張台紙(3)に継代部(3b)が固着されて連なる他方の拡張台紙(3)の台板部(3a)とが重ならずに向き合い、
前記一方の拡張台紙(3)が展開された状態で、他方の拡張台紙(3)を展開したとき、前記他方の拡張台紙(3)は、前記一方の拡張台紙(3)の端縁に沿った展開支持部(8)により背面側から支持されることを特徴とするファイル。
【請求項2】
表裏の表紙(1,1)が背表紙(2)を介して連なり、前記表紙(1)に拡張台紙(3)がヒンジ(3c)を軸として見開き可能に設けられたファイルにおいて、
前記拡張台紙(3)は、前記表紙(1)とは別体とされて、前記ヒンジ(3c)を介して隣接する台板部(3a)と継代部(3b)から成り、前記継代部(3b)が前記表紙(1)の内面に固着され、
前記ヒンジ(3c)は、前記表紙(1)の小口側の端縁から背側へ離れて位置し、前記表紙(1)の前記ヒンジ(3c)に対応する位置と小口側の端縁の間が展開支持部(8)とされ、
前記拡張台紙(3)の台板部(3a)は、前記表紙(1)から前記ヒンジ(3c)を軸として展開したとき、前記展開支持部(8)により背面側から支持され
、
前記拡張台紙(3)は、格納位置と張出位置との間で横方向にスライド可能なスライド拡張部(3d)を備えており、
前記スライド拡張部(3d)が格納位置にあり、前記台板部(3a)が折り畳まれた状態で、前記継代部(3b)と前記スライド拡張部(3d)とが重ならずに向き合い、
前記台板部(3a)が展開された状態で、前記スライド拡張部(3d)が張出位置にあるとき、前記スライド拡張部(3d)は、前記台板部(3a)の端縁に沿った展開支持部(8)により背面側から支持されることを特徴とするファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楽譜や図面等の横方向に長い書類を収容し、表紙を開いた状態で書類を見やすく保持する機能を備えたファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
楽譜には、冊子状のものもあれば、1頁のシートが複数枚セットになったものや、2頁の紙面が折目を介して横方向に連なった2連シートのもの、3頁の紙面が折目を介して横方向に連なった3連シートのもの等が存在している。このうち、2連、3連シートのような複連シートの楽譜は、譜面台に載せると、譜面台の譜面支持枠から側方へはみ出した部分が垂れ下がって見にくくなるため、下記特許文献1(段落[0023]-[0024]、
図10)においては、3連シートの楽譜を一覧できるように開いた状態で保持することを意図したファイルが提案されている。
【0003】
このファイルは、
図15に示すように、表裏の表紙51,51が背表紙の連接部52を介して連なると共に、裏側の表紙51にヒンジとなる連接部53を介して拡張台紙54が見開き可能に連なり、表紙51の内面下部及び拡張台紙53の先端寄り側部にそれぞれ捲止片55,56が設けられたものとされている。
【0004】
このようなファイルでは、表裏の表紙51,51を開き、拡張台紙54を展開すると、3連シートの楽譜Mを、全頁が見えるように開いた状態で、捲止片55,56の内側に挟んで保持することができる。そして、その状態で譜面台に載せたとき、連接部52,53が譜面台の譜面支持枠の範囲内にあれば、同一平面を形成する表紙51,51及び拡張台紙54により、楽譜が見やすい状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のファイルでは、譜面台に載せた状態で、連接部53が譜面支持枠からはみ出していると、拡張台紙54が自重により表紙51の延長面よりもさらに開く方向へ回動してしまい、楽譜の一覧性を維持できなくなる恐れがあった。
【0007】
また、剛性を向上させるため、材料に厚いシートを使用すると、折畳状態での厚さが大きくなって、取扱い難くなるという問題もあった。
【0008】
そこで、この発明は、複連シートの楽譜等、横方向に相当長い書類を、設置状況に関わらず、一覧性を損なうことなく保持でき、折畳状態で薄く取扱いやすいファイルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、表裏の表紙が背表紙を介して連なり、前記表紙に拡張台紙がヒンジを軸として見開き可能に設けられたファイルにおいて、
前記拡張台紙は、前記表紙とは別体とされて、前記ヒンジを介して隣接する台板部と継代部から成り、前記継代部が前記表紙の内面に固着され、
前記ヒンジは、前記表紙の小口側の端縁から背側へ離れて位置し、前記表紙の前記ヒンジに対応する位置と小口側の端縁の間が展開支持部とされ、
前記拡張台紙の台板部は、前記表紙から前記ヒンジを軸として展開すると、前記展開支持部により背面側から支持されるものとしたのである。
【0010】
また、前記拡張台紙は、前記表紙に重なるように折り畳まれた状態で、前記ヒンジを軸として折れ曲がらず、前記台板部と前記継代部とが重ならないものとしたのである。
【0011】
また、前記拡張台紙が前記継代部での固着により横方向に2枚順次連設され、
前記2枚の拡張台紙が折り畳まれた状態で、前記表紙に固着された一方の拡張台紙の継代部と、この拡張台紙に継代部が固着されて連なる他方の拡張台紙の台板部とが重ならずに向き合い、
前記一方の拡張台紙が展開された状態で、他方の拡張台紙を展開したとき、前記他方の拡張台紙は、前記一方の拡張台紙の端縁に沿った展開支持部により背面側から支持されるものとしたのである。
【0012】
また、前記拡張台紙は、格納位置と張出位置との間で横方向にスライド可能なスライド拡張部を備えており、
前記スライド拡張部が格納位置にあり、前記台板部が折り畳まれた状態で、前記継代部と前記スライド拡張部とが重ならずに向き合い、
前記台板部が展開された状態で、前記スライド拡張部が張出位置にあるとき、前記スライド拡張部は、前記台板部の端縁に沿った展開支持部により背面側から支持されるものとしたのである。
【0013】
或いは、表裏の表紙が背表紙を介して連なるファイルにおいて、
前記表紙は、前記背表紙に隣接する台板部に対し格納位置と張出位置との間で横方向にスライド可能なスライド拡張部を備えており、
前記スライド拡張部は、張出位置にあるとき、前記台板部の端縁に沿った展開支持部により背面側から支持されるものとしたのである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るファイルでは、展開した拡張台紙の台板部又は張り出したスライド拡張部が、表紙の延長面より開く方向へ回動しないように、展開支持部により規制された状態で支持されるので、複連シートの楽譜等の横方向に相当長い書類を、一覧性を損なうことなく保持できる。このため、演奏者が楽曲の進行に伴ってファイルの設置状況を気に掛ける必要がなくなり、演奏に集中することができる。
【0015】
また、拡張台紙を折り畳み、スライド拡張部を格納したとき、これらの重なり合いが極力抑制され、偏平な薄い状態となっているので、書類の収まりがよく、持ち運びに際し、鞄の中等で嵩張ることもなく、容易に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の
第1参考形態に係るファイルの拡張台紙の折畳状態を示す斜視図
【
図2】同上の拡張台紙の台板部の展開状態を示す斜視図
【
図3】同上の2連シートの楽譜を開いた使用状態を示す斜視図
【
図4】同上のファイルにおいて、(a)は拡張台紙が折り畳まれた状態を示す部分拡大断面図、(b)は拡張台紙が展開された状態を示す部分拡大断面図
【
図5】この発明の
第1実施形態に係るファイルの拡張台紙の展開過程を示す斜視図
【
図6】同上のファイルにおいて、(a)は両方の拡張台紙が折り畳まれた状態を示す部分拡大断面図、(b)は一方の拡張台紙のみ展開された状態を示す部分拡大断面図、(c)は両方の拡張台紙が展開された状態を示す部分拡大断面図
【
図7】この発明の
第2実施形態に係るファイルの拡張台紙の折畳状態を示す斜視図
【
図8】同上の拡張台紙の台板部が展開された状態を示す斜視図
【
図9】同上の拡張台紙のスライド拡張部が張り出した状態を示す斜視図
【
図10】同上の3連シートの楽譜を開いた使用状態を示す斜視図
【
図11】同上のファイルにおいて、(a)は拡張台紙のスライド拡張部が格納され台板部が折り畳まれた状態を示す部分拡大断面図、(b)は台板部のみ展開された状態を示す部分拡大断面図、(c)はスライド拡張部が張り出した状態を示す部分拡大断面図
【
図12】同上のスライド拡張部のピン結合の近傍を示す(a)は断面図、(b)は平面図
【
図13】この発明の
第2参考形態に係るファイルの表紙のスライド拡張部の張出状態を示す斜視図
【
図14】この発明の
第3参考形態に係るファイルの表紙のスライド拡張部の張出状態及び拡張台紙の展開状態を示す斜視図
【
図15】特許文献1記載の楽譜用の3連シート用ファイルを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、
第1参考形態に係るファイルは、表裏の表紙1,1が背表紙2を介して連なり、裏側の表紙1に拡張台紙3が見開き可能に設けられ、背表紙2に綴じ具4を備えたものとされている。表紙1,1、背表紙2及び拡張台紙3は、塩化ビニルやポリプロピレン等の樹脂製とするほか、厚紙製としてもよい。また、綴じ具4は、例示したリング式のほか、表紙1の背側に設けたレバー式やバンド式のものとしてもよい。
【0019】
表紙1,1及び拡張台紙3の大きさは、収納対象の楽譜の大きさに応じて決められ、拡張台紙3は、表紙1,1の内側に折畳可能な大きさとされている。
【0020】
拡張台紙3は、表紙1とは別体であり、台板部3aと継代部3bとがヒンジ3cを介して隣接した構成とされている。
【0021】
継代部3bは、表紙1の内面にハトメやリベット、又は接着剤や熱溶着等により固着され、
図1及び
図4(a)に示すように、拡張台紙3が表紙1に重なるように折り畳まれた状態で、継代部3bがヒンジ3cを軸として折れ曲がることなく、台板部3aと継代部3bとが重ならないようになっている。
【0022】
ヒンジ3cは、
図2及び
図4(b)に示すように、台板部3aの開閉時の回動軸となるものであり、表紙1の小口側の端縁から背側へ離れて位置し、表紙1のヒンジ3cに対応する位置と小口側の端縁の間が展開支持部8とされている。
【0023】
ここで、ヒンジ3cは、拡張台紙3が樹脂製の場合、ヒートバーで形成した溝とするのが一般的であり、拡張台紙3が厚紙製の場合、ダイカッタの押罫で押圧した溝状の押罫線とするのが一般的であるが、刃物で断続的に切り込んだミシン線のほか、厚さ方向の途中まで切り込んだ半切線としてもよい。
【0024】
上記のようなファイルを使用して、例えば楽譜を収容する際には、綴じ具4により楽譜を表裏の表紙1,1の内側に綴じ込む。
【0025】
このとき、1頁のシートが複数枚セットになった楽譜を綴じる場合には、
図1に示すように、台板部3aが継代部3bからヒンジ3cを軸として全体的に表紙1に重なる折畳状態としておき、そのままの状態で表裏の表紙1,1を開いて楽譜を見る。
【0026】
また、2頁の紙面が折目を介して横方向に連なった2連シートの楽譜を綴じて一覧する場合には、拡張台紙3の台板部3aを、ヒンジ3cを軸として展開するように回動させ、
図2に示すように、裏側の表紙1と拡張台紙3とがほぼ同一面を形成する状態とする。
【0027】
このように拡張台紙3の台板部3aを展開すると、台板部3aが裏側の表紙1の展開支持部8により、表紙の延長面より開く方向へ回動しないように規制された状態で支持されるので、譜面台に載せて後傾させたとき、台板部3aが譜面台の譜面支持枠から側方へはみ出している場合でも、楽譜が見やすい状態で保持される。
【0028】
上記第1参考形態を基本として、
図5に示す
第1実施形態に係るファイルのように、拡張台紙3が2枚横方向に順次連設され、
図6(a)に示すように、2枚の拡張台紙3が折り畳まれた状態で、表紙1に固着された一方の拡張台紙3の継代部3bと、この拡張台紙3に継代部3bが固着されて連なる他方の拡張台紙3の台板部3aとが重ならずに向き合うようにしてもよい。
【0029】
このファイルでは、
図6(b)に示すように、一方の拡張台紙3を展開すると、2頁の紙面が折目を介して横方向に連なった2連シートの楽譜を一覧できる。
【0030】
そして、
図6(c)に示すように、一方の拡張台紙3が展開された状態で、他方の拡張台紙3を展開したとき、他方の拡張台紙3は、一方の拡張台紙3の端縁に沿った展開支持部8により背面側から支持され、3頁の紙面が折目を介して横方向に連なった3連シートのように、さらに横長の楽譜を一覧できる。
【0031】
或いは、
図7乃至
図10に示す
第2実施形態に係るファイルのように、拡張台紙3に、台板部3aに重なる格納位置と台板部3aから張り出した張出位置との間で横方向にスライド可能なスライド拡張部3dを備えたものとしてもよい。
【0032】
このファイルでは、スライド拡張部3dの上部と下部に、それぞれ横方向に延びるスロット状のガイド穴5が設けられ、プラスチックや金属等から成るピン6が台板部3a及びスライド拡張部3dのガイド穴5に挿通されて、台板部3aに対するスライド拡張部3dのスライドがガイドされる構成となっている。
【0033】
このファイルでは、
図7及び
図11(a)に示すように、スライド拡張部3dが格納位置にあり、台板部3aが折り畳まれた状態で、継代部3bとスライド拡張部3dとが重ならずに向き合い、表紙1に折り重なっても、偏平な薄い状態となっている。
【0034】
また、
図8及び
図11(b)に示すように、スライド拡張部3dが格納位置にある状態で、台板部3aを展開すると、2頁の紙面が折目を介して横方向に連なった2連シートの楽譜を一覧できる。
【0035】
また、
図9及び
図11(c)に示すように、台板部3aが展開された状態で、スライド拡張部3dを張り出させると、スライド拡張部3dが台板部3aの端縁に沿った展開支持部8により背面側から支持され、3頁の紙面が折目を介して横方向に連なった3連シートのように、さらに横長の楽譜を一覧できる。
【0036】
ここで、
図12(a)に示すように、台板部3aとスライド拡張部3dの結合部では、ピン6の軸部6aが台板部3aの貫穴7及びスライド拡張部3dのガイド穴5に挿通されて、ピン6が両端の頭部6bで貫穴7及びガイド穴5から抜け止めされ、スライド拡張部3dのスライドに伴い、ピン6の軸部6aがガイド穴5に対し相対移動する。
【0037】
また、
図12(b)に示すように、ガイド穴5の各端部寄りに係止突起5aを設けることにより、ガイド穴5の端部に位置するピン6の軸部6aは、係止突起5aを圧縮変形させて乗り越えない限り、ガイド穴5に対して相対移動しないようになっている。これにより、スライド拡張部3dは、
図8に示す格納位置又は
図9に示す張出位置から不意に移動しないように位置決めされる。
【0038】
上記のようなファイルを使用して、例えば楽譜を収容する際には、綴じ具4により楽譜を表裏の表紙1,1の内側に綴じ込む。
【0039】
このとき、1頁のシートが複数枚セットになった楽譜を綴じる場合には、
図7に示すように、拡張台紙3のスライド拡張部3dを格納位置とし、台板部3aを折畳状態としておき、表裏の表紙1,1を開いて楽譜を見る。
【0040】
また、2頁の紙面が折目を介して横方向に連なった2連シートの楽譜を綴じて一覧する場合には、
図8に示すように、拡張台紙3のスライド拡張部3dを格納位置としたまま、台板部3aを展開し、裏側の表紙1と拡張台紙3とがほぼ同一面を形成する状態とする。
【0041】
このように拡張台紙3の台板部3aを展開すると、台板部3aが裏側の表紙1の展開支持部8により、背面側から支持されるので、譜面台に載せて後傾させたとき、台板部3aが譜面台の譜面支持枠から側方へはみ出している場合でも、表紙1の延長面より開く方向へ回動しないように規制され、楽譜が見やすい状態で保持される。
【0042】
また、3頁の紙面が折目を介して横方向に連なった3連シートの楽譜を綴じて一覧する場合には、
図9に示すように、拡張台紙3の台板部3aを、ヒンジ3cを軸として展開した後、さらに、スライド拡張部3dを張出位置まで横方向にスライドさせる。
【0043】
このように拡張台紙3の台板部3aを展開し、スライド拡張部3dを張り出させると、台板部3aが表紙1の展開支持部8により背面側から支持され、スライド拡張部3dの一側部も台板部3aの端縁に沿った展開支持部8により背面側から支持される。
【0044】
このため、譜面台等に載せて後傾させたとき、台板部3aが譜面台の譜面支持枠から側方へはみ出している場合でも、
図10に示すように、3連シートの楽譜Mのような書類が見やすい状態で保持される。
【0045】
なお、上記
第2実施形態では、拡張台紙3にスライド拡張部3dを備えたファイルを例示したが、
図13に示す
第2参考形態のように、表紙1に、背表紙2に隣接する台板部1aに対して格納位置と張出位置との間で横方向にスライド可能なスライド拡張部1bを備え、スライド拡張部1bは、張出位置にあるとき、台板部1aの端縁に沿った展開支持部8により背面側から支持されるようにしてもよい。
【0046】
この場合、表紙1における台板部1aとスライド拡張部1bの結合構造は、
図12に示すように、上記
第2実施形態の拡張台紙3における台板部3aとスライド拡張部3dの連結構造と同様のものとすればよい。
【0047】
また、
図14に示す
第3参考形態のように、表紙1にスライド拡張部1bを設けると共に、スライド拡張部1bに、見開き可能な拡張台紙3を設けるようにしてもよい。この場合、表紙1のスライド拡張部1bに拡張台紙3の継代部3bを固着し、拡張台紙3は、展開された状態において、表紙1のスライド拡張部1bの端縁に沿っ
た展開支持部8により、背面側から支持されるようにすればよい。
【0048】
上記各実施形態及び参考形態に係るファイルによると、複連シートの楽譜等の横方向に相当長い書類を、一覧性を損なうことなく保持できるため、演奏者が楽曲の進行に伴ってファイルの設置状況を気に掛ける必要がなくなり、演奏に集中することができる。また、拡張台紙3を下敷きにして、楽譜にメモ書き等の書き込みを行うことが可能になる。
【0049】
また、楽譜だけでなく、横長の大きな図面や地図等の書類を収容した場合でも、見やすいように広げて保持することができ、手持ちの状態で見ることも可能となる。
【0050】
また、拡張台紙3を折り畳み、スライド拡張部1b、3dを格納したとき、これらの重なり合いが極力抑制され、偏平な薄い状態となっているので、書類の収まりがよく、持ち運びに際し、鞄の中等で嵩張ることもなく、容易に取り扱うことができる。
【0051】
ところで、上記各実施形態及び参考形態では、裏側の表紙1にのみ拡張台紙3又はスライド拡張部1bを設けたものを例示したが、これに加えて、又はこれに替えて、表側の表紙1に拡張台紙3又はスライド拡張部1bを設けるようにしてもよい。
【0052】
また、横方向に非常に長い書類を広げる場合には、拡張台紙3のスライド拡張部3dや表紙1のスライド拡張部1bを複数枚とし、これらのスライド拡張部3d又は1bを順次張り出させるようにしてもよく、或いは、拡張台紙3にさらに折畳式の拡張台紙3を設けて、これらの拡張台紙3を順次展開するようにしてもよい。
【0053】
また、上記各実施形態
及び参考形態のファイルには、
図15に示す従来のものと同様、表紙1及び拡張台紙3に、楽譜の捲れを防止するための捲止片を付設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1 表紙
1a 台板部
1b スライド拡張部
2 背表紙
3 拡張台紙
3a 台板部
3b 継代部
3c ヒンジ
3d スライド拡張部
4 綴じ具
5 ガイド穴
5a 係止突起
6 ピン
6a 軸部
6b 頭部
7 貫穴
8 展開支持部
M 楽譜