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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】身体加圧器
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
A61H7/00 320Z
A61H7/00 322H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019083958
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020178892
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519153464
【氏名又は名称】後藤 眞己
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 眞己
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-76334(JP,A)
【文献】特表平7-509385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体部位に巻き付けるための巻き付け部材に、複数の流体供給室が設けられ、
流体供給室に流体を供給して流体供給室を膨張させることにより、前記身体部位を加圧するようにした身体加圧器であって、
異なる流体供給室を連通して、当該異なる流体供給室の間で流体を移送する移送流路を有するとともに、
移送流路を挟んだ一側と他側に、互いに磁着して移送流路を閉塞状態とするための一対の磁石が設けられ、
移送流路の一端側に接続された流体供給室に流体が供給されて、当該流体供給室から当該移送流路に流体が流れ込んで、当該移送流路が加圧状態になると、当該移送流路に設けられた前記一対の磁石が離反して、当該移送流路が連通状態となるようにした
ことを特徴とする身体加圧器。
【請求項2】
流体供給室が3室以上設けられるとともに、
移送流路が2本以上設けられ、
前記一対の磁石がそれぞれの移送流路に設けられた
請求項記載の身体加圧器。
【請求項3】
流体供給室が、
巻き付け部材における1段目に配された第一の流体供給室と、
巻き付け部材における2段目に配された第二の流体供給室と、
巻き付け部材における3段目に配された第三の流体供給室と、
巻き付け部材における4段目に配された第四の流体供給室と
で構成され、
移送流路が、
第一の流体供給室と第二の流体供給室との間で流体を移送する第一の移送流路と、
第二の流体供給室と第三の流体供給室との間で流体を移送する第二の移送流路と、
第三の流体供給室と第四の流体供給室との間で流体を移送する第三の移送流路と
で構成された
請求項記載の身体加圧器。
【請求項4】
巻き付け部材が、
外面側に配される外面シートと、
内面側に配される内面シートと
で構成され、
外面シールと内面シールとを溶着した溶着部によって、流体供給室及び移送流路が区画された
請求項1~いずれか記載の身体加圧器。
【請求項5】
いずれかの流体供給室に設けられた流体供給口に流体を圧送するための手動式ポンプを備えた
請求項1~いずれか記載の身体加圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧によって身体部位を加圧してマッサージなどを行う身体加圧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛行機や車などの乗り物を利用して長距離を移動する際に、座ったまま同じ姿勢を続けていると、手足に疲れを感じやすく、むくみも生じやすい。特に、座ったまま下肢を動かさないでいると、太股部が圧迫されて血流が悪くなり、それにより生じた血栓が肺の静脈を詰まらせ、呼吸困難や胸痛等の症状を発症することがある。また、その血栓が脳や心臓に移動すると、脳卒中や心臓発作などの重篤な症状を発症することもある。このようなメカニズムで発症する各種の疾患は、「エコノミークラス症候群」と呼ばれている。エコノミークラス症候群は、乗り物内だけでなく、災害時の避難所や仮設住宅においても発症する事例が報告されている。
【0003】
エコノミークラス症候群は、適度な水分を補給しながら、手足を定期的に動かすことで、防止することができる。しかし、乗り物の座席では、運動するのに十分なスペースがないことが通常である。加えて、乗り物内で運動することは、周囲の乗客の迷惑ともなりかねないため、心理的なハードルも高い。このため、下肢をマッサージして血流を良好にすることで、エコノミークラス症候群を予防する対策が採られることも多い。このような用途で用いられるマッサージ用の器具も、これまでにいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図2には、中空なバルーン状に形成された帯状体3bと、足裏に配されるバルーン5と、帯状体3bとバルーン5とを連通させる管状体4bとを備えた器具(深部静脈血栓予防具1B)が記載されている。同文献の深部静脈血栓予防具1Bは、帯状体3bを下肢に巻き付けた状態で、足裏に配したバルーン5を踏み潰し、バルーン5内の空気Aを、管状体4bを通じて帯状体3b内に移動させ、帯状体3bを膨張させることで、身体を加圧するものとなっている(同文献の段落0028~0039を参照。)。
【0005】
また、特許文献2の図1には、下肢に巻回する複数の空気袋10,11,12,13,14,15と、空気袋10~15に接続された空気供給管4と、空気供給管4に空気を供給するコンプレッサ1と、空気供給管4を介して空気袋10~15ごとに空気の吸排気を切り替えるソレノイド二方弁7a,8a,7b,8b,7c,8cとを備えた器具(エアマッサージ器)が記載されている。このエアマッサージ器は、空気袋10~15を下肢に巻き付けた状態で、コンプレッサ1を駆動し、コンプレッサ1から空気供給管4を通じて空気袋10~15に空気を供給し、空気袋10~15を膨張させることで、身体を加圧するものとなっている(同文献の段落0014~0029を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-165365号公報
【文献】特開2007-289321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の深部静脈血栓予防具1Bでは、血流を良好するという点において、必ずしも十分な効果が奏されるとは限らなかった。というのも、血流を良好にするためには、身体部位の一側から他側にかけて段階的に加圧していく(下肢であれば、下側から上側にかけて段階的に加圧していく)ことが効果的であると考えられるところ、特許文献1の深部静脈血栓予防具1Bは、バルーン5を踏み潰した際に、下肢に巻き付けた帯状体3bの全体に略均一に空気Aが行きわたるものとなっており、身体における帯状体3bが巻き付けられた箇所全体が同時に同程度の力で加圧される構造となっているからである。
【0008】
これに対し、特許文献2のエアマッサージ器は、ソレノイド二方弁7a,8a,7b,8b,7c,8cを制御することによって、例えば、空気袋10から空気袋15まで順次膨張させていくことも可能なものとなっている(同文献の段落0016~0021を参照。)。しかし、同文献のエアマッサージ器は、ソレノイド二方弁7a,8a,7b,8b,7c,8cやコンプレッサ1を設けるものとなっており、大掛かりで高価なものとなっている。また、同文献のエアマッサージ器は、飛行機などの乗り物内に持ち込む携帯型の器具としては不適切なものとなっている。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、身体部位の一側から他側に掛けて段階的に加圧していくなど、身体部位における複数個所を段階的に加圧していくことができる身体加圧器を提供するものである。また、この身体加圧器を、シンプルな構造で実現し、携帯するのに適したものとすることも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、
身体部位に巻き付けるための巻き付け部材に、複数の流体供給室が設けられ、
流体供給室に流体を供給して流体供給室を膨張させることにより、前記身体部位を加圧するようにした身体加圧器であって、
異なる流体供給室を連通して、当該異なる流体供給室の間で流体を移送する移送流路を有するとともに、
移送流路を挟んだ一側と他側に、互いに接近して移送流路を閉塞状態とするための一対の閉塞部材が設けられ、
移送流路の一端側に接続された流体供給室に流体が供給されて、当該流体供給室から当該移送流路に流体が流れ込んで、当該移送流路が加圧状態になると、当該移送流路に設けられた一対の閉塞部材が離反して、当該移送流路が連通状態となるようにした
ことを特徴とする身体加圧器
を提供することによって解決される。
【0011】
本発明の身体加圧器では、移送流路の一端側に接続された流体供給室(以下、「一端側の流体供給室」と呼ぶことがある。)に流体が供給されて、一端側の流体供給室の圧力がある程度高まるまでは、移送流路が一対の閉塞部材によって閉塞された状態となっているため、移送流路の他端側に接続された流体供給室(以下、「他端側の流体供給室」と呼ぶことがある。)には流体が流れ込まないようになっている。その一方で、一端側の流体供給室に流体が供給されて、一端側の流体供給室から移送流路に流体が流れ込み、移送流路が加圧状態になると、移送流路に設けられた一対の閉塞部材が離反して、移送流路が連通状態となり、移送流路を通じて一端側の流体供給室から他端側の流体供給室へと流体が流れ込むようになっている。このため、一端側の流体供給室が膨張を開始する時期と、他端側の流体供給室が膨張を開始する時期とに、時間差を設けることができる。したがって、本発明の身体加圧器では、複数の流体供給室を段階的に膨張させていくことで、身体部位における複数個所を段階的に加圧していくこともできる。よって、本発明の身体加圧器を使用すると、血流を良好にすることが可能となっている。
【0012】
また、本発明の身体加圧器では、移送流路に設けた一対の閉塞部材が、当初は接近状態にありながらも、その移送流路に流れ込んだ流体の圧力によって自然に離反するという単純なメカニズムによって、移送流路を閉塞状態から連通状態へと切り替えるようになっている。このため、上記の特許文献2のマッサージ器で採用されていたソレノイド二方弁などの機器を用いなくても、複数の流体供給室を段階的に膨張させていくことができる。加えて、一対の閉塞部材を離反させるのには、電力が不要である。このため、身体加圧器を、嵩張らず、携帯に適したものとすることができる。また、乗り物内だけでなく、災害時の避難所や仮設住宅での使用に適したものとすることもできる。本発明の身体加圧器は、構造がシンプルであるため、安価で提供することや、故障を生じにくくすることも可能なものとなっている。加えて、身体加圧器の廃棄も簡単である。
【0013】
本発明の身体加圧器において、一対の閉塞部材は、移送流路に流体が流れ込んで移送流路の圧力がある程度高まるまでは互いに接近した状態を維持でき、移送流路の圧力がある程度高まると離反するものであれば、特に限定されない。例えば、一対の閉塞部材を互いに係合可能なものとすれば、当初は、一対の閉塞部材が係合して移送流路が閉塞状態にありながらも、移送流路の圧力が高まった際に、一対の閉塞部材に互いに離反させる向きの力が加わるようにしてその係合が解除され、一対の閉塞部材が離反するようにすることで、移送流路が連通状態となるようにすることができる。
【0014】
しかし、移送流路の閉塞状態から連通状態への切り替えを上記の係合構造により実現するためには、その係合力の微妙な調整が必要であるため、必ずしも容易ではない。また、移送流路を連通状態から閉塞状態へと切り替える際には、一対の閉塞部材を再び係合させる必要もある。加えて、使用を重ねるうちに、その係合構造が摩耗や破損などすることで、移送流路の閉塞状態から連通状態への切り替えを所望のタイミングで行うことができなくなるおそれもある。さらに、係合構造により移送流路を閉塞状態とできるようにするためには、一対の閉塞部材を移送流路の内部に設ける必要がある。
【0015】
このため、本発明の身体加圧器においては、一対の閉塞部材を、互いに磁着する一対の磁石とすることが好ましい。というのも、適切な磁力の磁石を選択すれば、移送流路の閉塞状態から連通状態への切り替えを容易に行うことができるからである。また、移送流路が加圧状態から非加圧状態になると、磁力によって一対の閉塞部材が引き合って互いに接近し、移送流路が自然(自動的)に閉塞状態へと復帰するからである。加えて、一対の閉塞部材を磁石で構成すると、上記の係合構造のような摩耗や破損などの心配がなく、使用を重ねても、当初と同じタイミングで移送流路の閉塞状態から連通状態への切り替えを行うことができるからである。さらに、異なる極の磁石は、その間に物が存在していても、互いに引き合うため、移送流路の外部に設けても、移送流路の閉塞を行うことができるからである。
【0016】
本発明の身体加圧器において、流体供給室は、2室以上であれば、その室数を特に限定されず、移送流路は、少なくとも2室ある流体供給室を連通できるように1本以上設けられていれば、その本数を特に限定されない。しかし、本発明の身体加圧器で、身体部位における複数個所をより多段階で加圧できるようにするためには、流体供給室は、3室以上設けることが好ましく、移送流路は、少なくとも3室ある流体供給室を連通できるように2本以上設けることが好ましい。このように、移送流路を2本以上設ける場合には、一対の閉塞部材は、通常、それぞれの移送流路に設けられる。これにより、身体部位を3段階以上で加圧することができる。
【0017】
例えば、
流体供給室を、
巻き付け部材における1段目に配された第一の流体供給室と、
巻き付け部材における2段目に配された第二の流体供給室と、
巻き付け部材における3段目に配された第三の流体供給室と、
巻き付け部材における4段目に配された第四の流体供給室と
で構成し、
移送流路を、
第一の流体供給室と第二の流体供給室との間で流体を移送する第一の移送流路と、
第二の流体供給室と第三の流体供給室との間で流体を移送する第二の移送流路と、
第三の流体供給室と第四の流体供給室との間で流体を移送する第三の移送流路と
で構成すると、身体部位を4段階で加圧することができるようになる。
【0018】
本発明の身体加圧器において、身体部位に巻き付けるための巻き付け部材に対して流体供給室や移送流路をどのように設けるかは特に限定されない。例えば、巻き付け部材とは別部材からなる流体供給室及び移送流路を、巻き付け部材に対して事後的に取り付けるようにしてもよい。しかし、この場合には、身体加圧器を構成する部品点数が増大し、身体加圧器の製造に手間を要するようになる。この手間は、流体供給室の室数や移送流路の本数が増加すればするほど増大する。このため、流体供給室や移送流路は、以下のように、巻き付け部材に対して一体化させて設けることが好ましい。
【0019】
すなわち、巻き付け部材を、外面側に配される外面シートと、内面側に配される内面シートとで構成し、外面シールと内面シールとを溶着した溶着部によって、流体供給室及び移送流路を区画することが好ましい。これにより、身体加圧器を構成する部品点数を少なくするだけでなく、流体供給室の室数や移送流路の本数が多い場合であっても、それらの流体供給室や移送流路を一度の溶着で同時に形成することもできるため、身体加圧器の製造に要する手間を大幅に削減することもできるようになる。したがって、身体加圧器の製造コストを抑えることも可能になる。
【0020】
本発明の身体加圧器は、いずれかの流体供給室に設けられた流体供給口に流体を圧送するための手動式ポンプを備えたものとすることが好ましい。これにより、身体加圧器を、電力などを要さない手動式のものとすることができる。したがって、身体加圧器を、飛行機などの乗り物の内部に持ち込んで使用しやすいものとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によって、身体部位の一側から他側に掛けて段階的に加圧していくなど、身体部位における複数個所を段階的に加圧していくことができる身体加圧器を提供することが可能になる。また、この身体加圧器を、シンプルな構造で実現し、携帯するのに適したものとすることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る身体加圧器を脹脛(身体部位)に巻き付けている途中の状態を示した図である。
図2】本発明に係る身体加圧器を脹脛(身体部位)に巻き付けている途中の状態を示した図である。
図3】本発明に係る身体加圧器を展開して外面側から見た状態を示した図である。
図4】本発明に係る身体加圧器を展開して内面側から見た状態を示した図である。
図5】本発明に係る身体加圧器の第一の移送流路周辺(図4におけるA部)をZ-Z面(図4)で切断した状態を示した断面図であって、(a)移送流路が閉塞状態にあるときと、(b)移送流路が連通状態にあるときとをそれぞれ示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の身体加圧器の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、身体加圧器10を脹脛(身体部位)に巻き付けている途中の状態を示した図である。図2は、身体加圧器10を脹脛(身体部位)に巻き付けている途中の状態を示した図である。
【0024】
本発明の身体加圧器10は、図1及び図2に示すように、身体部位に巻き付けて使用するものとなっている。図1及び図2では、身体加圧器10を脹脛(ふくらはぎ)に巻き付ける例を示している。しかし、本発明の身体加圧器10を巻き付ける身体部位は、脹脛に限定されない。本発明の身体加圧器10は、太腿や足(足首よりも足先の部分)などの下肢部位や、上腕や前腕などの上肢部位に巻き付けて使用することもできる。
【0025】
また、身体加圧器10の寸法を図1及び図2に示したものよりも大きくすれば、腰部や臀部などに巻き付けて使用することも可能になる。上述したエコノミークラス症候群を防止するという点では、身体加圧器10は、下肢に巻き付けた方が効果的であるが、身体加圧器10を下肢以外に巻き付けたとしても、その身体部位周辺の血流を良好にする効果が奏されるし、マッサージ効果も奏される。
【0026】
図3は、身体加圧器10を展開して外面側から見た状態を示した図である。図4は、身体加圧器10を展開して内面側から見た状態を示した図である。本実施態様の身体加圧器10は、図3及び図4に示すように、巻き付け部材11と手動式ポンプ12とを備えたものとなっている。
【0027】
巻き付け部材11は、図3及び図4に示すように、概略帯状を為しており、図1及び図2に示すように、身体部位に巻き付けるための部分となっている。巻き付け部材11の長手方向一端側の外面には、面ファスナー11cを設けており、巻き付け部材11の長手方向他端側の内面には、面ファスナー11cに固着可能な面ファスナー11dを設けている。この面ファスナー11c,11dによって、身体部位に巻き付けた巻き付け部材11を図2に示す状態で維持することが可能となっている。加えて、面ファスナー11cに対する面ファスナー11dの固着位置を変化させることで、巻き付け部材11による身体部位の締付力を調節することも可能となっている。
【0028】
巻き付け部材11の略全体は、中空なエアバッグ状に形成されており、図3及び図4に示すように、巻き付け部材11における長手方向両端部を除いた箇所(中央区間)には、流体(気体又は液体)を供給可能な流体供給室α,α,α,αが設けられている。この流体供給室流体供給室α,α,α,αに流体を供給して、流体供給室α,α,α,αを加圧状態とし、流体供給室α,α,α,αを膨張させることによって、巻き付け部材11が巻き付けられた身体部位を加圧することができるようになっている。
【0029】
流体供給室α,α,α,αに供給する流体は、気体又は液体であれば、その種類を特に限定されない。しかし、流体供給室α,α,α,αに供給する流体を液体とすると、液体の供給源(液体タンクなど)を用意する必要があり、身体加圧器10が重く嵩張るものとなる。また、飛行機では、安全上の理由から、機内への液体の持ち込みが制限されているところ、液体の供給源を機内へ持ち込めず、機内で身体加圧器10を使用できないことも想定される。
【0030】
このため、流体供給室α,α,α,αに供給する流体は、通常、気体とされ、特に好ましくは、空気とされる。空気は、あらゆる場所に存在し、その供給源(空気ボンベなど)を用意しなくても、容易に取得することができる。本実施態様の身体加圧器10においても、空気を流体供給室α,α,α,αに供給するようにしている。具体的には、図3に示すように、流体供給室αに設けた流体供給口15に対して、チューブ13を介して手動式ポンプ12(送気球)を接続している。この手動式ポンプ12を操作して、周囲の空気を手動式ポンプ12内に取り込み、その取り込んだ空気を流体供給室α,α,α,αに供給するようになっている。この手動式ポンプ12は、高齢者などでも容易に操作することが可能である。
【0031】
手動式ポンプ12は、電動式ポンプなど、別のポンプで代替することもできる。しかし、電動式ポンプを用いる場合には、商用電源などの電力を確保する必要が生じる。ところが、飛行機などの乗り物内や、災害時の避難場所などでは、商用電源は確保しにくい。この点、電動式ポンプを電池で駆動するようにすれば、上記の問題を解消することはできるものの、ポンプが嵩張り、重量も大きくなる。これに対し、本実施態様の身体加圧器10のように、手動式ポンプ12を採用すると、電力を確保する必要がないだけでなく、ポンプを嵩張らず軽量なものとすることも可能となる。
【0032】
巻き付け部材11に設ける流体供給室α,α,α,αは、既に述べたように、2室以上であれば、その室数を特に限定されないが、3室以上設けることが好ましい。ただし、流体供給室α,α,α,αの室数を多くしすぎると、流体供給室α,α,α,αの1室当たりの容量が小さくなって、それぞれの流体供給室α,α,α,αを大きく膨張させにくくなり、巻き付け部材11が巻き付けられた身体部位を加圧しにくくなるおそれがある。
【0033】
このため、流体供給室α,α,α,αの室数は、通常、30室以下とされる。流体供給室α,α,α,αの室数は、20室以下であることが好ましく、10室以下であることがより好ましい。本実施態様の身体加圧器10においては、流体供給室α,α,α,αを、第一の流体供給室αと、第二の流体供給室αと、第三の流体供給室αと、第四の流体供給室αとで構成しており、流体供給室α,α,α,αの室数は4室となっている。
【0034】
流体供給室α,α,α,αの配置は、身体加圧器10で加圧する身体部位などによっても異なり、特に限定されない。ただし、本発明の身体加圧器10は、その巻き付け部材11を脹脛などの棒状の身体部位に対して巻き付けて使用するものであるところ、それぞれの流体供給室α,α,α,αを長手状に形成するとともに、これらの流体供給室α,α,α,αが巻き付け部材11の巻き付け方向(周回方向)に対して略平行となるように配することが好ましい。
【0035】
これにより、巻き付け部材11を身体部位に巻き付けた際に、それぞれの流体供給室α,α,α,αがその身体部位の外周部の周回方向における略全体を囲繞するように配されるようになり、身体部位の外周部の周回方向における略全体を締め付けるように加圧することが可能になる。本実施態様の身体加圧器10においても、それぞれの流体供給室α,α,α,αを長手状に形成しており、流体供給室α,α,α,αが巻き付け部材11の巻き付け方向(周回方向)に対して略平行となるように配している。
【0036】
具体的には、図3の巻き付け部材11における同図紙面に向かって下側の縁部に沿った箇所に第一の流体供給室αを帯状に設け、この第一の流体供給室αの上側に第二の流体供給室αを帯状に設け、この第二の流体供給室αの上側に第三の流体供給室αを帯状に設け、この第三の流体供給室αの上側に第四の流体供給室αを帯状に設けている。第四の流体供給室αは、図3の巻き付け部材11における同図紙面に向かって上側の縁部に沿った状態に設けられている。
【0037】
既に述べたように、本実施態様の身体加圧器10は、脹脛に巻き付けて使用することを想定したものとなっているところ、脹脛は、下側が細く上側が太くなっている。このため、巻き付け部材11を、その下縁部よりも上縁部が長くなるように扇状に形成するとともに、流体供給室α,α,α,αも扇状(円弧状)に形成している。したがって、流体供給室α,α,α,αの全長(長手方向に沿った長さ)は、第一の流体供給室αから第四の流体供給室αまで徐々に長くなるようになっている。
【0038】
また、巻き付け部材11には、異なる流体供給室α,α,α,αを連通して流体供給室α,α,α,αの間で流体を移送するための移送流路β,β,βが設けられている。移送流路β,β,βの本数は、流体供給室α,α,α,αの室数に応じて適宜決定される。全ての流体供給室α,α,α,αを移送流路β,β,βで接続するためには、移送流路β,β,βの本数は、流体供給室α,α,α,αの室数よりも1つ少ない数以上とする必要がある。
【0039】
本実施態様の身体加圧器10においては、移送流路β,β,βとして、第一の流体供給室αと第二の流体供給室αとを連通する第一の移送流路βと、第二の流体供給室αと第三の流体供給室αとを連通する第二の移送流路βと、第三の流体供給室αと第四の流体供給室αとを連通する第三の移送流路βとの計3本を設けている。
【0040】
それぞれの移送流路β,β,βは、流体供給室α,α,α,αの長手方向端部を接続するように設けてもよいが、本実施態様の身体加圧器10においては、流体供給室α,α,α,αの長手方向中央部を接続するように設けている。これにより、ある移送流路β,β,βを通じて、ある流体供給室α,α,α,αから別の流体供給室α,α,α,αに流れ込んだ流体が、その別の流体供給室α,α,α,αの中央部から両端部に向かって速やかに行き渡りやすくすることができる。
【0041】
巻き付け部材11に対して流体供給室α,α,α,αや移送流路β,β,βを設ける方法は、特に限定されない。例えば、巻き付け部材11を形成する面状部材に対して、流体供給室α,α,α,αを形成する袋状部材や移送流路β,β,βを形成するチューブ状部材を取り付けるようにしてもよい。しかし、この場合には、身体加圧器10を構成する部品点数が増大する。このため、本実施態様の身体加圧器10において、流体供給室α,α,α,αや移送流路β,β,βは、巻き付け部材11に対して一体的に設けている。
【0042】
すなわち、後掲する図5に示すように、巻き付け部材11を、外面側に配される外面シート11aと、内面側に配される内面シート11bとで構成するとともに、外面シール11aと内面シール11bとを所定箇所(本実施態様の身体加圧器10においては、図3及び図4において斜線ハッチングで示した溶着部γ)で溶着することによって、流体供給室α,α,α,α及び移送流路β,β,βを区画している。
【0043】
換言すると、外面シート11a(図3)と内面シート11b(図4)との重合部分のうち、溶着部γで囲まれて区画された箇所(外面シート11aと内面シート11bとが溶着されていない箇所)が、流体供給室α,α,α,α及び移送流路β,β,βとなるようにしている。これにより、外面シート11aと内面シート11bとを溶着部γで溶着するという1つの工程で、複数の流体供給室α,α,α,α及び複数の移送流路β,β,βを同時に形成することが可能となっている。
【0044】
本実施態様の身体加圧器10において、溶着部γは、その大部分が細い線状を為す線状溶着部γとなっており、巻き付け部材11の中央区間(長手方向両端部を除いた箇所)における広い範囲が流体供給室α,α,α,αとなるようにしている。このため、巻き付け部材11の中央区間における広い範囲で身体部位を効果的に加圧することが可能となっている。
【0045】
ただし、溶着部γにおける移送流路β,β,βを挟んだ両側の部分は、図3における拡大抜き出し部で示すように、線状溶着部γよりも幅広の面状溶着部γとしている。この面状溶着部γは、溶着部γの溶着強度を高めるだけでなく、後述する一対の閉塞部材14(

一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b
)を接近させた際に、移送流路β,β,βを閉塞状態にしやすくするという機能をも発揮する部分となっている。
【0046】
外面シート11a及び内面シート11bは、通常、可撓性を有する合成樹脂シートとされる。外面シート11aと内面シート11bとを溶着部βで溶着する方法としては、熱溶着(ヒートシール)や、超音波溶着や、高周波溶着などが例示される。本実施態様の身体加圧器10においては、熱溶着によって、外面シート11aと内面シート11bとを溶着している。
【0047】
図5は、身体加圧器10の第一の移送流路β周辺(図4におけるA部)をZ-Z面(図4)で切断した状態を示した断面図であって、(a)移送流路βが閉塞状態にあるときと、(b)移送流路βが連通状態にあるときとをそれぞれ示した図である。図5において、移送流路βは、外面シート11aと内面シート11bとの隙間であって、同図における点Pと点Pとの間に位置する部分となっている。
【0048】
図5に示すように、第一の移送流路βを挟んだ一側(外面シート11a側)と他側(内面シート11b側)には、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を設けている。この閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)は、第一の流体供給室α及び第二の流体供給室αのいずれにも流体が供給されておらず、移送流路βに流体が流れ込んでいないとき(移送流路βが加圧されていないとき)には、図5(a)に示すように、互いに接近して移送流路βを閉塞状態(流体が通過できない状態)とするものとなっている。
【0049】
一方、第一の流体供給室αと第二の流体供給室αのうちいずれか一方に流体が供給され移送流路βに流体が流れ込んだとき(移送流路βが加圧されたとき)には、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)は、移送流路βに流れ込んだ流体の圧力によって、図5(b)に示すように、離反した状態となるようになっている。第一の移送流路βだけでなく、他の移送流路(第二の移送流路β及び第三の移送流路β)を挟んだ一側と他側にも、同様に一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を設けている。
【0050】
このため、いずれの流体供給室α,α,α,αにも流体が供給されておらず、全ての流体供給室α,α,α,αが非加圧状態となっているときには、全ての移送流路β,β,βが閉塞状態となっているものの、第一の流体供給室αに流体を供給して第一の流体供給室αから第一の移送流路βに流体が流れ込み、第一の移送流路βの圧力がある程度高くなると、第一の移送流路βに設けられた一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が自然と離反して第一の移送流路βが連通状態となり、この第一の移送流路βを通じて、第一の流体供給室αから第二の流体供給室αへと流体が移送されるようになっている。
【0051】
また、第一の移送流路βを通じて第一の流体供給室αから第二の流体供給室αに移送された流体が第二の移送流路βに流れ込み、第二の移送流路βの圧力がある程度高くなると、第二の移送流路βに設けられた一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が自然と離反して第二の移送流路βが連通状態となり、この第二の移送流路βを通じて、第二の流体供給室αから第三の流体供給室αへと流体が移送されるようになっている。
【0052】
さらに、第二の移送流路βを通じて第二の流体供給室αから第三の流体供給室αに移送された流体が第三の移送流路βに流れ込み、第三の移送流路βの圧力がある程度高くなると、第三の移送流路βに設けられた一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が自然と離反して第三の移送流路βが連通状態となり、この第三の移送流路βを通じて、第三の流体供給室αから第四の流体供給室αへと流体が移送されるようになっている。
【0053】
したがって、第一の流体供給室αが膨張した後に、第二の流体供給室αが膨張し、第二の流体供給室αが膨張した後に、第三の流体供給室αが膨張し、第三の流体供給室αが膨張した後に、第四の流体供給室αが膨張するといった具合に、流体供給室α,α,α,αが膨張するタイミングに時間差が生じるようになっている。このように、複数の流体供給室α,α,α,αを段階的に膨張させていくことで、身体部位における複数個所を段階的に加圧していくことができ、その身体部位の血流を良好にすることが可能となっている。また、身体部位のマッサージ効果を高めることも可能となっている。
【0054】
全ての流体供給室α,α,α,αが膨張し、身体部位を所定の時間にわたって加圧すると、手動式ポンプ12のツマミを操作するなどして、流体供給室α,α,α,αから流体を排出する。これにより、流体供給室α,α,α,α及び移送流路β,β,βが非加圧状態となり、移送流路β,β,βに設けられた一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が自然と接近した状態になり、移送流路β,β,βが再び閉塞状態へと復帰する。以降、上述した一連の工程を複数回繰り返すことで、より高い血流促進効果やマッサージ効果を得ることができる。
【0055】
流体を供給したときに、流体供給室α,α,α,αがどのような順番で膨張するようにするかは、身体加圧器10を装着する身体部位などによっても異なり、特に限定されない。既に述べたように、本実施態様の身体加圧器10は、脹脛に装着するものであるところ、身体加圧器10を脹脛に装着したときに一番下側となる第一の流体供給室αから、一番上側となる第四の流体供給室αまで順に膨張するようにすることが好ましい。これにより、身体部位における心臓に遠い箇所から心臓に近い箇所まで順に加圧されるようになり、エコノミークラス症候群をより効果的に防止することが可能になる。
【0056】
本実施態様の身体加圧器10においても、第一の流体供給室αに流体供給口15を設けており、第一の流体供給室α、第二の流体供給室α、第三の流体供給室α、第四の流体供給室αの順で膨張するようになっている。第一の流体供給室αにおけるどの箇所に流体供給口15を設けるかは、特に限定されないが、本実施態様の身体加圧器10においては、第一の流体供給室αにおける中心部に流体供給口15を設けており、流体供給口15から第一の流体供給室αに供給された流体が、第一の流体供給室αの全体に速やかに行き渡るようにしている。
【0057】
移送流路β,β,βのそれぞれに設ける一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)は、移送流路β,β,βの圧力がある程度高まるまでは互いに接近した状態を維持でき、移送流路β,β,βの圧力がある程度高まると離反するものであれば、特に限定されない。既に述べたように、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)としては、係合構造を利用したものとすることもできるが、この場合には、その係合力の微妙な調整(移送流路β,β,βの圧力が狙った値まで高まったときに、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が離反するようにすること)が難しいという問題点や、移送流路β,β,βが加圧状態から非加圧状態になっても一側閉塞部材14aと他側閉塞部材14bとが自然(自動的)には係合しない(人手で係合させる必要がある)という問題点や、摩耗や破損が生じやすいという問題点や、係合部分を移送流路β,β,βの内部に設ける必要が生ずるという問題点などが生ずる。
【0058】
この点、本実施態様の身体加圧器10においては、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を磁石(異なる極が対向するように配置された一対の磁石)とすることで、上記の問題点を解決している。すなわち、移送流路β,β,βの圧力が狙った値まで高まったときに、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)が離反するといったことを容易に実現できるようになるだけでなく、移送流路β,β,βが加圧状態から非加圧状態になると移送流路β,β,βが自然(自動的)に閉塞状態へと復帰するようにすることや、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を摩耗や破損の生じにくいものとすることや、図5に示すように一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を移送流路β,β,βの外部に設けても移送流路β,β,βを閉塞状態にすることが可能になる。
【0059】
一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)を磁石で構成する場合、その磁石の種類は、特に限定されない。一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)として採用し得る磁石としては、ネオジウム磁石や、フェライト磁石や、コバルト磁石などが例示される。本実施態様の身体加圧器10においては、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)をネオジウム磁石で構成している。ネオジウム磁石は、小さいものでも強力な磁場を作り出せるだけでなく、機械的強度に優れていて摩耗や破損が生じにくく、形状の自由度も高いという利点を有しており、一対の閉塞部材14(一側閉塞部材14a及び他側閉塞部材14b)として好適に採用することができる。
【0060】
以上で説明した本発明の身体加圧器10は、身体部位を加圧するのであれば、その用途を特に限定されない。身体部位を加圧する用途としては、上述したエコノミークラス症候群を防止するエコノミークラス症候群防止器具としての用途のほか、身体部位をマッサージするマッサージ器具としての用途や、身体部位を支持するサポーター器具としての用途などが挙げられる。
【符号の説明】
【0061】
10 身体加圧器
11 巻き付け部材
11a 外面シート
11b 内面シート
11c 面ファスナー
11d 面ファスナー
12 手動式ポンプ
13 チューブ
14 閉塞部材
14a 一側閉塞部材
14b 他側閉塞部材
15 流体供給口
α 第一の流体供給室
α 第二の流体供給室
α 第三の流体供給室
α 第四の流体供給室
β 第一の移送流路
β 第二の移送流路
β 第三の移送流路
γ 溶着部
γ 線状溶着部
γ 面状溶着部
図1
図2
図3
図4
図5