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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】免疫増強用マンガン組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/32 20060101AFI20230707BHJP
   A61K 33/42 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/125 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/145 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/155 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/205 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/21 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/245 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230707BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230707BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A61K33/32
A61K33/42
A61K39/12
A61K39/125
A61K39/145
A61K39/155
A61K39/205
A61K39/21
A61K39/215
A61K39/245
A61K39/39
A61K45/00
A61P17/06
A61P25/00
A61P29/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P33/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021561978
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2020085507
(87)【国際公開番号】W WO2020211857
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】201910319344.1
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】蒋 争凡
(72)【発明者】
【氏名】王 晨光
(72)【発明者】
【氏名】張 睿
(72)【発明者】
【氏名】呂 梦澤
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04720386(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107456575(CN,A)
【文献】国際公開第2004/060284(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107412260(CN,A)
【文献】特表2004-527615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイド状マンガンを含該コロイド状マンガンが、Mn OHPO である、免疫増強用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の免疫増強用組成物を含む、免疫アジュバント。
【請求項3】
A)ワクチン免疫原と、
B)請求項1に記載の免疫増強用組成物と、を含むワクチン組成物において、
任意選択で、成分A及びBが同一及び/又は別々の容器に収容されることができる、ワクチン組成物。
【請求項4】
前記ワクチン免疫原は、ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来する、請求項に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれる、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)から選ばれる、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
前記ワクチン免疫原は、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの組み合わせに由来する、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
)コロイド状マンガンを形成可能な供給源を与えることと、
2)任意選択で、コロイド状マンガンを形成可能な供給源をコロイド状マンガンに変換させることと、
を含該コロイド状マンガンが、Mn OHPO である、請求項1に記載の免疫増強用組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の免疫増強用組成物であって、
前記免疫増強は
A)自然免疫及び/又は適応免疫を改善すること、
B)I型インターフェロンの発現を増加すること、
C)活性型の炎症性サイトカインの産生を誘導すること、
D)抗体の産生を促進する、
E)T細胞の増殖を促進すること、及び/又は
F)樹状細胞の成熟を促進することである、免疫増強用組成物。
【請求項10】
前記免疫増強は、腫瘍を治療するために使用される、請求項1に記載の免疫増強用組成物。
【請求項11】
前記腫瘍は、卵巣がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、頭頸部がん、肉腫、胆管がん、膀胱がん、腎臓がん、結腸がん、胎盤内絨毛がん、子宮頸がん、精巣がん、子宮がん、及び白血病から選ばれる、請求項10に記載の免疫増強用組成物。
【請求項12】
さらに、別の予防/治療剤を含む、請求項10または11に記載の免疫増強用組成物。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本出願は、2019年04月19日に中国特許庁へ提出された、出願番号が201910319344.1である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、免疫増強用2価のマンガンコロイド又は新たに生成した2価のマンガンの沈殿物、及び、例えば、免疫アジュバント、抗ウイルス又は抗腫瘍用として使用できる免疫増強におけるその用途を提供する。
【背景技術】
【0003】
生体は、自然免疫系及び適応免疫系により外来病原体から生体を保護する。自然免疫は、適応免疫を促進する効果がある。生体が病原体に感染すると、最初に自然免疫応答を開始し、パターン認識受容体を介して病原体関連分子パターンを認識し、さまざまなシグナル伝達経路、例えば、TLR経路(1)、RLR経路(2)、cGAS-STING経路(3)、インフラマソームの活性化(4)などを活性化し、これらの経路の活性化は、I型インターフェロン、IL-1β、IL-18などを含む多くの下流サイトカインの産生に繋がる。
I型インターフェロンは、自己分泌及び傍分泌経路を介してJAK-STAT経路を活性化し、大量の抗ウイルス遺伝子の発現を誘導し、ウイルス感染に抵抗する効果を達成することができる(5、6)。同時に、I型インターフェロンは、抗原提示細胞の成熟を促進することができ(7)、抗原提示細胞は、T細胞に病原性微生物または腫瘍抗原を提示し、抗原特異的CD4T細胞及びCD8T細胞を活性化するとともに、B細胞の活性化を促進して抗原特異的抗体を産生し、メモリーB細胞及び免疫メモリーの産生を促進する。
炎症誘発性サイトカインIL-1βは、CD4T細胞に直接作用し、T細胞の増殖を促進することができ(8)、IL-18は、Th1免疫応答を効果的に増強することができ、T細胞及びNK細胞の増殖及び細胞傷害性を促進することもできる(9)。
【0004】
現在、ヒトへの使用がFDAによって承認されているアジュバントは、アルミニウムアジュバント、MF59、AS03、AS04の4つがある。アルミニウムアジュバントは、1920年以来広く使用されており、A型肝炎(HAV)ワクチン、B型肝炎(HBV)ワクチン、ジフテリア・百日咳・破傷風混合(DTP)ワクチン、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン、インフルエンザ菌(HiB)ワクチンなどに使用されている。アルミニウムアジュバントは、Th2応答(抗体産生に基づく体液性免疫)のみを活性化でき、Th1応答(主にCD8T細胞に基づく細胞性免疫)を活性化できない(10)。AS04は、MPL及びアルミニウム塩を含むアジュバントであり、HPVワクチン及びHBVワクチンに使用されている。該アジュバントは、NF-kBを活性化し、炎症誘発性サイトカインを産生させることができ、アルミニウムアジュバントが本来持っていないTh1応答を活性化する能力を持つ。MF59は、スクアレンを油相として制作された油中水型アジュバントであり、分解可能なスクアレン、Tween 80及びSpan 85を含み、インフルエンザワクチンに使用される。そのメカニズムは、まだ不明であり、それは、体内での半減期で42時間であり、Th1応答及びTh2応答を同時に活性化することができる。AS03は、α-トコフェロール、スクアレン、Tween 80を含む水中油型アジュバントであり、インフルエンザワクチンに適用されるが、AS03を含むH1N1インフルエンザウイルスワクチンPandemrixTMは、ナルコレプシーを引き起こす可能性がある(11)。AS03は、NF-kB経路を活性化することにより炎症誘発性因子の産生を誘導し、免疫細胞を動員し、抗体産生を誘導することができる。
現在、臨床的応用が承認されていないが、実験室で使用できる多くのアジュバントがあり、その多くは良好な効果を有するが、それらの副作用のため、フロイントにおける鉱油の代謝などの臨床応用を制限し、例えば、フロイントアジュバントにおける鉱物油成分の代謝能力が悪く、注射部位に小結節が形成される。サイトカインアジュバント、例えば、インターロイキン-2、インターフェロンもあるが、それらは高価であるという欠点がある。
現在、cGAS-STING経路を活性化するリガンドは、DMXAA(12)、c-di-GMP(13)、cGAMP(14)、chitosan(15)などのアジュバントとして使用できることを証明することが報告されている。
CN107412260Aには、2価のマンガンがcGAS-STING経路活性化因子であり、免疫を増強する効果を有し、例えば、免疫アジュバントとして使用できることを開示している。しかしながら、さらなる研究において、発明者は、2価のマンガン自体にまだいくつかの欠陥があることを予期せず発見し、欠陥の少なくとも1つを排除するために改善された解決策が必要である。
【発明の概要】
【0005】
発明者らは、2価のマンガンのさらなる免疫増強効果の研究において、2価のマンガン溶液が体内で免疫増強効果を生み出すことができるが、この免疫増強効果は十分に高くないことを見出した。研究過程では、免疫増強効果を向上させるために2価のマンガン溶液の濃度を上げると、マンガンの沈殿が生成しやすく、均一で安定した高濃度の2価のマンガン溶液を得ることができなく、実験の再現性を効果的に保証できないことも分かったのはさらに重要である。このようなマンガンの沈殿は、貯蔵時間が長くなるにつれて徐々に凝集し、成長する。
所望の高濃度の2価のマンガン溶液が達成できない場合には、発明者らは、免疫増強研究を継続するために2価のマンガン沈殿を使用しなければならない。実験的操作の怠慢のために、発明者らは、異なる時期で放置された2価のマンガン沈殿を不注意に使用した。発明者らは、異なる時期で放置された2価のマンガン沈殿が異なる免疫増強効果を有し、しかも、新たに生成した沈殿物の免疫増強効果がより長い時期で放置されたマンガン沈殿よりも著しく優れていることを予期せず発見した。発明者らは、さらに2価のマンガン溶液を異なる時期で放置された2価のマンガン沈殿と比較し、新たに生成したマンガン塩沈殿の免疫増強効果が2価のマンガン溶液よりも著しく優れていることも予想ずに発見した。
異なる2価のマンガン系を試す過程では、発明者らは、2価のマンガン化合物がコロイド溶液を形成できることを予期せず発見した。さらに驚くべきことは、このマンガンコロイドが新たに生成したマンガン沈殿と同等またはそれ以上の免疫増強効果を示すことである。
【0006】
発明者らは、これに基づいて本発明を完成させ、以下の技術的態様を提供する。
1つの側面では、本発明は、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を含む、免疫増強用組成物を提供する。
1つの実施形態では、前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物の形態から選ばれるものである。
好ましくは、前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間は1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である。
【0007】
他の側面では、本発明は、
A)ワクチン免疫原と、
B)新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源と、を含むワクチン組成物において、
任意選択で、成分A及びBは、同一及び/又は別々の容器に収容されることができるワクチン組成物を提供する。
好ましくは、前記ワクチン免疫原は、ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来し、
例えば、前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、より好ましくは、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV及びHBVから選ばれ;
例えば、前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及びアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)から選ばれ;
具体的には、例えば、前記ワクチン免疫原は、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの任意の組み合わせに由来する。
【0008】
他の側面では、本発明は、
1)新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を与えることと、
2)任意選択で、新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンに変換させることと、を含む免疫増強用組成物の製造方法を提供する。
好ましくは、前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる。
好ましくは、前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間は1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である。
他の側面では、本発明は、
1)ワクチン免疫原を与えることと、
2)新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を与えることと、を含むワクチン組成物の製造方法を提供する。
好ましくは、前記ワクチン免疫原は、ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来し、上記と同じであり、ここで、説明は繰り返されない。
【0009】
1つの側面では、本発明は、自然免疫及び/又は適応免疫を改善するための免疫増強用組成物又はワクチン組成物の調製における、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途を提供する。いくつかの実施形態において、前記新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源は、I型インターフェロンの発現を増加させることにより自然免疫及び/又は適応免疫を改善する。他の幾つかの実施形態において、前記新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源は、炎症性因子の切断を誘導して活性型を産生することにより自然免疫及び/又は適応免疫を改善する。更に他の幾つかの実施形態において、前記新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源は、抗体の産生を促進することにより自然免疫及び/又は適応免疫を改善する。
1つの側面では、本発明は、それを必要とする対象に前記免疫増強用組成物を投与することを含む免疫増強用方法を提供する。
具体的には、前記免疫増強は、例えば、A)自然免疫及び/又は適応免疫を改善すること、B)I型インターフェロンの発現を増加させること、C)活性型の炎症性サイトカインの産生を誘導すること、D)抗体の産生を促進すること、E)T細胞の増殖を促進すること、及び/又はF)樹状細胞の成熟を促進することである。
好ましくは、前記投与は、筋肉注射、皮内注射、皮下注射、静脈内注射、粘膜投与、及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
特に、前記免疫増強は、疾患、例えば、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、腫瘍、自己免疫疾患を予防及び/又は治療するために使用される。
【0010】
ここで、前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、具体的には、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
ここで、前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
ここで、前記寄生虫は、細胞内寄生虫であり、好ましくは、マラリア原虫、トキソプラズマ、トリパノソーマ、住血吸虫、フィラリア、及びリーシュマニアから選ばれる。
ここで、前記自身免疫性疾患は、I型糖尿病、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び多発性硬化症から選ばれる。
ここで、前記腫瘍は、卵巣がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、頭頸部がん、肉腫、胆管がん、膀胱がん、腎臓がん、結腸がん、胎盤内絨毛がん、子宮頸がん、精巣がん、子宮がん、及び白血病から選ばれる。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記免疫増強用組成物は、それを必要とする対象に、別の予防/治療剤と共に投与される。
他の側面では、本発明は、
本発明のワクチン組成物をそれを必要とする対象に投与する(ここで、成分A及び成分Bは、異なる容器に収容される場合には、同時又は異なる時点で投与されることができる。)こと、及び/又は
本発明の免疫増強用組成物及び任意に選択してもよいワクチン免疫原をそれを必要とする対象に投与すること、を含む免疫接種方法を提供する。
好ましくは、前記投与は、筋肉注射、皮内注射、皮下注射、静脈内注射、粘膜投与及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
特に、前記免疫接種は、疾患、例えば、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、腫瘍、及び自己免疫疾患を予防するために使用される。前記疾患は、上記と同じであり、ここで、説明は繰り返しない。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記免疫増強用組成物は、それを必要とする対象に別の予防/治療剤と共に投与される。
他の側面では、I型インターフェロンを増強するための医薬品の調製における、本発明は、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途を提供する。
他の側面では、本発明は、炎症性因子の切断を誘導して活性型を産生するための医薬品の調製における、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途を提供する。
他の側面では、本発明は、抗体の産生を刺激するための医薬品の調製における、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途を提供する。
他の側面では、本発明は、免疫アジュバントとしての、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途を提供する。いくつかの実施形態において、前記免疫アジュバントは、T細胞の活性化及び/又は抗体の生成を活性化する。好ましくは、前記免疫アジュバントは、細菌感染、ウイルス感染、寄生虫、自身免疫性疾患、及びがんから選ばれる疾患を治療するためのワクチン組成物に使用される。
【0013】
他の側面では、本発明は、1つ又は複数の抗原が収容されている第1の容器と、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源が収容されている第2の容器とを含む免疫接種に使用されるキットを提供する。好ましくは、前記第1の容器及び/又は第2の容器には、薬学的に許容される担体も含まれる。特に、前記キットは、本発明の1つ又は複数の目的に使用される。いくつかの実施形態において、抗原は、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源と、同一の容器に収容されている。
いくつかの実施形態において、本発明で使用される抗原は、ウイルス又は細菌又は寄生物抗原、例えば、A型、B型、C型、D型、E型肝炎ウイルス、HIV、ヘルペスウイルス1、2、6及び7型、サイトメガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、乳頭腫ウイルス、EBウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ブニアウイルス(ハンタウイルス)、コクサッキーウイルス、ピコルナウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ポックスウイルス、ライノウイルス、風疹ウイルス、パピローマウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、結核およびハンセン病を引き起こすマイコバクテリア、肺炎球菌、好気性グラム陰性桿菌、マイコプラズマ、スタフィロコッカス感染、ストレプトコッカス感染、サルモネラ菌、クラミジア、ヘリコバクター・ピロリ菌、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、トキソプラズマ症、住血吸虫病、及びフィラリア症から選ばれる。
いくつかの実施形態において、本発明において新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源及び/又は抗原は、有効量である。
【0014】
他の側面では、本発明は、対象におけるI型インターフェロン発現を増加させるための方法において、前記対象に新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供する。さらに、本発明は、また、インビトロで細胞におけるI型インターフェロンの活性を増強させるための方法において、前記細胞に、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供し、好ましくは、前記方法は、非治療目的のためのものである。
他の側面では、本発明は、対象に炎症性因子の切断を誘導して活性型を産生するための方法において、前記対象に、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供する。さらに、本発明は、また、インビトロで細胞における炎症性サイトカインの切断を誘導して活性型を産生するための方法において、前記細胞に新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供し、好ましくは、前記方法は、非治療目的のためのものである。
他の側面では、本発明は、対象における抗体の産生を刺激するための方法において、前記対象に新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供する。さらに、本発明は、また、インビトロで細胞における抗体の産生を刺激するための方法において、前記細胞に新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を投与することを含む、方法を提供し、好ましくは、前記方法は、非治療目的のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明に記載された態様及び他の態様について、本発明の詳しい説明及び図面により明確に説明する。本発明を例を挙げて説明するために、図面中の実施形態は、現在、好ましいものであるが、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されないことが理解される。
図1図1は、新たに生成した沈殿物マンガン及びコロイド状マンガン(MnOHPO)が良いアジュバント効果を持つことを示す。図1Aは、溶液中の2価のマンガンの異なる状態を示す。図1Bは、コロイド状マンガン(MnOHPO)の透過電子顕微鏡の画像を示す。図1Cは、免疫化後の抗OVA-IgG1抗体のレベルを示す。図1Dは、MnCl溶液とコロイド状マンガン(MnOHPO)との筋肉注射後の滞留時間の比較を示す。
図2図2は、MnCl溶液が生理食塩水中の他のアニオンと混合された後の異なる存在状態及び性質を示す。しかも、これらの沈殿物又はコロイドがI型インターフェロン又は炎症性サイトカインの産生を活性化する能力、アジュバント効果を測定する。図2Aは、MnCl溶液と異なる濃度の炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸一水素イオン、水酸化物イオンとが異なる状態を形成することを示す。図2Bは、異なる状態のマンガンイオンがI型インターフェロンを活性化し、炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導し、並びに、アジュバントとしてOVAタンパク質と混合して免疫化して抗体を産生する能力を示す。図2Cは、マンガンイオンと異なるアニオンによって形成された生成物にレーザーポインターを照射し、チンダル現象を観察する。
図3図3は、コロイド状マンガン(MnOHPO)及びアルミニウムアジュバントがそれぞれニワトリ卵白アルブミン(OVA)と混合し、筋肉注射によりマウスを免疫した後10日目(A)、17日目(B)、24日目(C)及び31日目(D)に産生された抗OVA抗体価を示す。
図4図4は、コロイド状マンガン(MnOHPO)及びコレラ毒素B(CTB)アジュバントがそれぞれOVAと混合し、マウスに点鼻投与して免疫化させた肺胞洗浄液(A)、口内洗浄液(B)、血清IgA(C)及び血清IgG1(D)抗OVAの抗体価を示す。
図5図5は、図1及び図2の方法によりコロイド状マンガン(MnOHPO)をアジュバントとしてOVAと混合しマウスに筋肉注射(A)又は点鼻投与(B)して免疫化させた後、マウスの血清、口内洗浄液、肺胞洗浄液中の抗OVA抗体価を1~6か月測定することを示す。
図6図6は、MnClによるI型インターフェロン経路及びインフラマソームの活性化の活性化を示す。図6A-Bは、マウス腹腔マクロファージをMnClで処理したI型インターフェロン、下流誘導因子ISG54及びviperinの発現レベルを示し、ここで、アルミニウムアジュバントを対照とする。図6C-Dは、MnClがインフラマソームの活性化を活性化できることを示し、ここで、アルミニウムアジュバントを対照とする。図6E-Fは、MnClによって活性化されるインフラマソームの活性化がNLRP3及びASCに依存していることを示す。
図7図7は、コロイド状マンガン(MnOHPO)がCD4T細胞の増殖を促進することを示し、ここで、アルミニウムアジュバントを対照とする。
図8図8は、コロイド状マンガン(MnOHPO)の筋肉注射及び粘膜免疫化時にマウスによって産生する抗体価がcGAS-STINGの経路及びインフラマソームの経路に依存することを示す。
図9図9は、コロイド状マンガン(MnOHPO)が樹状細胞の成熟、T細胞の活性化を促進する能力がcGAS-STING経路及びインフラマソーム経路に依存することを示す。図9Aは、コロイド状マンガン(MnOHPO)が抗原提示細胞BMDCの成熟を誘導することを示す。図9Bは、コロイド状マンガン(MnOHPO)が抗原OVAと混合してCD4T細胞の増殖を刺激する能力を示す。図9Cは、コロイド状マンガン(MnOHPO)をアジュバントとしてマウスに免疫化した後にCD8T細胞の活性化を刺激することを示す。
図10図10は、コロイド状マンガン(MnOHPO)をアジュバントとして不活化水疱性口内炎ウイルス(VSV)及び単純ヘルペスウイルス(HSV-1)を顕著に増強させることができる免疫保護効果を示す。図10Aは、実験手順を示す。図10Bは、不活化VSVを10-1、10-2、10-3、10-4、10-5、10-6の用量に希釈してマウスに免疫化し、14日後のマウスの生存率を観察することを示す。図10Cは、10-3の用量に希釈されたVSV不活化ウイルスをマウスに免疫化した後、14日間のマウスの生存曲線を観察することを示す。図10Dは、VSVウイルスに感染した4日目にマウスの脳におけるウイルス力価を示す。図10E-Gは、不活化HSV-1ウイルスにコロイド状マンガンを加えても同じ保護効果があることを示す。
図11図11は、コロイド状マンガン(MnOHPO)をアジュバントとして不活化インフルエンザウイルスPR8の免疫保護効果を顕著に増強できることを示す。図11A-Bは、不活化インフルエンザウイルスを1、10-1、10-2、10-3の用量に希釈してマウスに点鼻投与して1回免疫化し、7日後にマウスをインフルエンザウイルスに感染させた後の生存率及び体重変化を示す。図11C-Dは、マウスに点鼻投与して2回免疫した後、インフルエンザウイルスで感染させたマウスの生存率及び体重変化を示す。
図12図12は、コロイド状マンガン(MnOHPO)をアジュバントとしてインフルエンザサブユニットHAワクチンの免疫保護効果を顕著に増強できるこを示す。図12Aは、マウスの筋肉注射後14日、21日、28日でのマウス血清中の抗HA-IgG1抗体の含有量を示す。図12Bは、マウスに点鼻投与して免疫させた後14日、21日、28日でのマウス血清中の抗HAタンパク質IgA抗体の含有量を示す。図12Cは、インフルエンザウイルス感染後のマウスの体重変化を示す。図12Dは、感染5日目のマウスの肺組織の病変を示す。
図13図13は、コロイド状マンガンMnOHPOをアジュバントとして同種異型インフルエンザウイルス(WSN)及び異種インフルエンザウイルス(H3N2)に対する不活化インフルエンザウイルス及びサブユニットワクチンの保護効果を増強させることを示す。図13Aは、免疫化後のWSNウイルス感染マウスの体重変化を示す。図13Bは、免疫化後のH3N2ウイルス感染マウスの体重変化を示す。
図14図14は、コロイド状マンガン(MnOHPO)がin situ腫瘍及び転移腫瘍の成長を顕著に抑制できることを示す。図14Aは、異なる時間にイメージャーで撮影された皮下腫瘍サイズを示す。図14Bは、腫瘍接種後の腫瘍体積の変化を示す。図14Cは、腫瘍接種後のマウスの生存曲線を示す。図14Dは、腫瘍が転移した肺組織が、異なる免疫化方法の21日後に撮影されたことを示す。図14Eは、図14Dにおける腫瘍細胞数の統計量を示す。
図15図15は、コロイド状マンガン(MnOHPO)と化学療法薬であるシクロホスファミド(CTX)の併用による皮下腫瘍モデル-黒色腫B16-F10の治療効果を示す。図15Aは、異なる治療方法における14日後の腫瘍の画像を示す。図15Bは、マウス皮下腫瘍B16F10の増殖曲線を示す。図15Cは、図15Bのマウスの14日目の対応する群の腫瘍重量を示す。
図16図16は、コロイド状マンガン(MnOHPO)とPD1抗体薬の併用による皮下腫瘍モデル-黒色腫B16-F10の治療効果を示す。図16Aは、異なる治療方法における腫瘍画像を示す。図16Bは、腫瘍の増殖曲線を示す。図16Cは、図Bのマウス対応する群の腫瘍重量を示す。図16D-Eは、腫瘍に浸潤したCD8T細胞数をフローサイトメトリーで分析することを示す。
図17図17は、コロイド状マンガン(MnOHPO)とPD1抗体薬の併用による皮下腫瘍モデル-結腸がん腫瘍MC38の治療効果を示す。図17Aは、異なる治療方法を施した後の腫瘍画像を示す。図17Bは、腫瘍の増殖曲線を示す。図17Cは、図17Bの対応する群の腫瘍重量を示す。図17Dは、DAPI及びCD8T細胞の的免疫蛍光染色を施した、図Aの対応する群の腫瘍の組織切片を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される「自然免疫」という用語とは、生体が生殖細胞株列の発達及び進化の過程で形成される自然免疫防御機能、即ち、出生後にすでに保有する非特異的防御機能を指し、非特異的免疫(non-specific immunity)も呼ばれる。自然免疫には、複数種の細胞及び分子、例えば、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、補体、サイトカイン(IL、CSF、IFN、TNF、TGF-β)、ケモカイン(CCケモカイン、例えば、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12等、CXCケモカイン、例えば、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9など、Cケモカイン、CX3Cケモカインを含む。)、リゾチームなどが関与する。
本明細書で使用される「適応免疫」という用語とは、獲得免疫又は特異的免疫とも呼ばれ、抗原分子の刺激後に形成される該抗原に対する生体の特異的免疫を指し、細胞性免疫及び体液性免疫が関与する。
本明細書で使用される「アジュバント」という用語とは、特定的抗原を構成しないが、同時投与された抗原に対する免疫応答の強度および持続時間を増強する試薬を指す。
【0017】
本明細書で使用される「2価のマンガン」又は「2価のマンガン化合物」という用語とは、塩酸塩、炭酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、アスコルビン酸塩、水酸化物など、又はそれらの任意の組み合わせである。好ましくは、前記2価のマンガン化合物は、薬学的に許容されるものである。
本明細書で使用される「コロイド状マンガン」という用語とは、マンガンコロイドとも呼ばれ、2価のマンガンがアニオンと形成されたコロイド(colloid、コロイド溶液も呼ばれる。)の形態で存在する状態を指し、「コロイド」という用語は、当業者によって理解されるような意味を有する。例えば、コロイド粒子の粒子径は、一般的に、約1~100nmであり、特に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100nm、又は以上のいずれか2つの間の値であり、例えば、1~20、5~20nm、10nmである。典型的には、コロイド溶液は、光照射されるとチンダル効果を示す。コロイド粒子の粒度範囲がナノメートルのオーダーであることを考慮すると、本明細書に記載の「コロイド状マンガン」は、その粒度範囲に対応して「ナノマンガン」と呼ぶこともできる。
本明細書で使用される「新たに生成した沈殿物マンガン」という用語とは、2価のマンガン化合物が非沈殿形態(例えば、溶液形態)から沈殿形態に変換された後の短期間の存在状態を指す。前記短期間は、一般的に、1日以下であるか、典型的に、24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間を超えなく、例えば、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である。
本明細書で使用される用語は、例えば、「含む」、「含有」、「含有する」及び「含み」は、限定することを意図するものではない。さらに、特に断りのない限り、「又は」、「或いは」とは、「及び/又は」を意味する。
【0018】
本明細書に係る「ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来する」とは、不活化ウイルス、細菌及び/又は寄生虫、上記病原性物質から抽出されたタンパク質及び/又は核酸物質(切断、工学などの処理後の上記物質も含む。)、精製された組換えタンパク質物質、或いは化学的に合成されたペプチド物質である。
また、本明細書で使用されるように、単数形は、それが明確かつ明確に1つの指示対象に限定されない限り、複数形の指示対象を含むことを理解すべきである。そして、特定の値が言及されている場合、別に記載されない限り、少なくともその値が含まれる。
数値が近似値を表す場合、特定の数値が別の実施形態を形成することを理解すべきである。本明細書に使用されているような「約X」(ここで、Xは、数値である。)とは、挙げられた値±10%(両端を含む)である。存在する場合には、すべての範囲が包括的で組み合わせ可能である。
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、水、緩衝水溶液、等張塩溶液、例えば、PBS(リン酸塩緩衝液)、グルコース、マンニトール、デキストロース、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸マグネシウム、0.3%グリセリン、ヒアルロン酸、エタノール、又はポリプロピレングリコールのようなポリアルキレングリコール、トリグリセリドなどから選ぶことができる。使用される薬学的に許容される担体のタイプは、特に、本発明による組成物が経口、経鼻、皮内、皮下、筋肉内または静脈内投与用に処方されるかどうかに依存する。本発明による組成物は、添加剤として、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色物質、矯味物質及び/又は芳香物質などを含むことができる。
【0019】
本発明による医薬品組成物は、経口、経鼻、皮内、皮下、筋肉内または静脈内投与などの任意の適切な経路で投与することができる。
本明細書で使用される「投与」という用語とは、薬理学的に使用可能な方法で対象に物質を提供することを意味する。
本明細書で使用される「医薬有效量」、「有效量」とは、それが投与される対象にその利益を示すのに十分な用量を指す。実際に投与される量、投与の速率及び時間は、治療される対象自体の状態および重症度に依存する。治療の処方(例えば、用量への決定など)は、最終的には一般開業医や他の医師の責任であり、且つそれらに依存して決定し、通常、治療する病気、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、及び医者にに知られている他の要因を考慮する。
本明細書で使用される「対象」という用語とは、ヒトおよび霊長類などの温血哺乳類を含む動物;鳥類;猫、犬、ヒツジ、ヤギ、牛、馬、豚などの愛玩動物または家畜;マウス、ラット、モルモットなどの実験動物;魚;爬虫類;動物園の動物、野生動物などの動物を意味する。
【0020】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。
特に断りのない限り、本方法及び製品に関する実施形態で開示される任意の成分、元素、特性又は手順は、任意の他の方法および製品に適用することができる。
本開示に係る各特許、特許出願、引用された刊行物又は本明細書での説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明では、以下の実施例においてさらに定義される。これらの実施例は、例としてのみ説明されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。以上の討論及びこれらの例では、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その本質および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えて様々な使用方法及び条件に適用することができる。
【実施例
【0021】
材料及び方法
抗体及び試薬
抗体の供給源は次のとおりである。抗GAPDH抗体(sc-25778)がSanta Cruzから購入された。抗クサリヘビ毒素(Viperin)抗体、抗ISG54抗体、抗Casp1/p20抗体、抗IL1β/p17抗体、及び抗ASC抗体は、いずれも公開されている方法で調製および使用されている(16)。簡単に言うと、抗原断片のcDNAをpET-21bベクター(Novagen)に挿入し、大腸菌E. coli BL21(DE3)で発現させ、組換えタンパク質をNi-NTAアフィニティーカラムで精製した後、マウス又はウサギに注入し、対応する抗原を認識できる抗血清を取得した。
特に明記しない限り、化学品のすべては、Sigma-Aldrich(St. Louis、MO)から購入された。アルミニウムアジュバント(Imject Alum、 Thermo、 77161)、マウスIL-1beta ELISA Kit(MULTI SCIENCES、 EK201B2/2)、マウスIL-18 ELISA Kit(MΜLTI SCIENCES、 EK2181)、リポ多糖(Sigma、 L4130)、オボアルブミン(InvivoGen、 #vac-pova)は、いずれも市販製品である。
【0022】
細胞
L929-ISRE(蒋争凡の実験室から自作した細胞株、pGL3 ISRE-LuciferaseプラスミドをL929細胞に安定的にトランスフェクトしたもの、ATCC(R) CCL-1)、BHK21(ATCC(R) CCL-10)、B16-OVA(ATCC(R) CRL-6322)及びB16F10(ATCC(R) CRL-6475)細胞は、10% FBS(Gibco)、5μg/mlペニシリン及び10μg/mlストレプトマイシンを添加したDMEM(Gibco)培地で培養された。骨髄由来樹状細胞(boneMarrow derivedMacrophages、 BMDCs)は、10 ng/mL GM-CSF、10 ng/mL IL-4、10% FBS(Gibco)を含有するRPMI-1640(Gibco)培地で誘導され、3日目に培養液を半分交換し、7日目に実験を行った。腹膜マクロファージは、チオグリコレート(BD、 Sparks、MD)注射による誘導の5日後のマウスから取得され、5% FBSを添加したDMEM培地で培養された。
【0023】
マウス
Tmem173-/-マウスは、CRISPR-cas9法により、Cas9mRNA(100 ng/μl)及びgRNA(50 ng/μl)細胞質をC57BL/6J マウス受精卵に注入して建築された。mMESSAGEMMACHINE T7 Ultra(Ambion、 am1345)によりCas9MRNA及びシングルガイド(single guide)RNA(gRNA)をin vitroで転写した。Nlrp3-/-、 Nlrc4-/-、 Pycard-/-、及びAim2-/-遺伝子ノックアウトマウスは、Vishva Dixit(Genentech Inc、 USA)から寄贈された。Tmem173-/-Pycard-/-ダブルノックアウトマウスは、Tmem173-/-マウスとPycard-/-を交配することにより同定されて取得された。
マウスのすべては、NIH実験動物のの管理・使用ガイド(National Institute of Health Guide for Care and Use of Laboratory Animals)に従って、無菌条件下で北京大学の実験動物センターで飼育された。
【0024】
I型IFN(Type I-IFN)のバイオアッセイ
I型IFNの濃度は、公開されている方法(17)に従って測定された。簡単に言うと、IFN-刺激応答エレメント(IFN-stimulated response element、ISRE)をpGL3-Basicベクター(Promega)にクローニングすることにより、IFN感受性ルシフェラーゼベクターを構築し、その後、L929細胞に安定的にトランスフェクトした。L929-ISRE細胞を96ウェルプレートに接種し、それぞれ細胞培養上清とともにインキュベートした。組換えヒト及びマウスIFN-β(R&D Systems)を標準品として使用した。4時間後、L929-ISRE細胞を溶解し、Luciferase Reporter Assay System(Promega)で測定した。
【0025】
ウイルス感染
単純ヘルペスウイルス1(HSV-1、Hongbing Shu、 Wuhan Universityから取得、ATCC(R) VR-1544)及び水疱性口内炎ウイルス(VSV、 Indiana strain、ATCC(R) VR-1238)は、上記と同様の同僚から寄贈された。H1N1インフルエンザウイルスPR8株(Yonghui Zhang、 Tsinghua University、ATCC(R) VR-95)。H1N1インフルエンザウイルスWSN株から取得、A/WSN/33(H1N1)(Wenjun Liu、 Institute of Microbiologyから取得、 CAS)。H3N2インフルエンザウイルス株、H3N2 subtype A/Jiangxi/2005(Min Fang、Institute of Microbiologyから取得、CAS)。BHK21細胞を使用してHSV-1及びVSVウイルス力価を測定した。MDCK細胞を使用してインフルエンザウイルス力価を測定した。
ウイルスの増幅及び精製:HSV-1、VSVウイルスは、vero細胞で増幅された。PR8、WSN、H3N2インフルエンザウイルスは、ニワトリ胚で増幅された。増幅したウイルスをPEG8000で精製し、精製されたウイルスを0.2%のホルムアルデヒドにて37℃で24時間不活化し、プラーク法によりウイルスが完全に不活化したかどうかを測定し、次に、不活化ウイルスを用いてマウスに免疫した。
【0026】
マウス生存実験:HSV-1(1.4 x10 pfu/マウス)及びVSV(8 x 10 pfu/マウス)をマウスに8~12週間静脈内感染させるか、又はPR8(1 x 10 pfu/マウス)、WSN(1 x 10 pfu/マウス)、H3N2(1 x 10 pfu/マウス)をマウスに8~12週間経鼻感染させた。
プラークアッセイ:BHK21細胞を感染したマウス臓器からのホモジネート(無血清DMEMでの一連の希釈液)とともに2時間インキュベートした。次いで、0.5%メチルセルロースを含有する無血清DMEMを培地と交換した。60時間後、細胞を0.5%(vol/vol)グルタルアルデヒドで固定し、1%(wt/vol)クリスタルバイオレット(70%エタノールに溶解)で染色した。プラークを計数し、プラーク形成単位でウイルス力価を計算した。
タンパク質の発現及び精製
インフルエンザウイルスHA1タンパク質精製プラスミドは、清華大学の張永輝実験室から寄贈された(18)。プラスミドは、HAタンパク質(Gene ID: 956529)の11~324番目のアミノ酸を発現し、菌液をOD600が0.6になるまで振とうすると、0.5MM IPTGを添加して誘導し、37℃で5時間インキュベートした。細菌を集めた後、封入体をを超音波で集め、変性及び再生を経てHA1タンパク質を得た。さらに、HA1タンパク質をゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。
【0027】
マウスに免疫するためのオボアルブミン(Ovalbumin、 OVA)の免疫原としての使用
MnCl溶液の筋肉注射による免疫化方法は、100μL PBSに10μgMnCl及び10μg OVAタンパク質を加え、均一に混合して5分間放置した後、マウスに筋肉注射して免疫させた。MnCl溶液の点鼻投与による免疫化方法は、20μL PBSに5μgMnCl及び10μg OVAタンパク質を加え、均一に混合して5分間放置した後、マウスに点鼻投与して免疫化させた。コロイド状マンガン(MnOHPOを例として)の筋肉注射による免疫化方法は、100μL生理食塩水に10μg コロイド状マンガン及び10μg OVAタンパク質を加え、均一に混合した後、マウスに筋肉注射して免疫化させた。コロイド状マンガンの点鼻投与による免疫化方法は、20μL 生理食塩水に5μg コロイド状マンガン及び10μg OVAタンパク質を加え、均一に混合した後、マウスに点鼻投与して免疫化させた。アルミニウムアジュバントの筋肉注射による免疫化方法は、80μL生理食塩水に10μg/20μLのアルミニウムアジュバント及び10μg OVAタンパク質を加え、乳化機で乳化した後、マウスに筋肉注射して免疫化させた。コレラ毒素B(CTB)の点鼻投与による免疫化方法は、20μL 生理食塩水に5μg CTB及び10μg OVAタンパク質を加え、均一に混合した後、マウスに点鼻投与して免疫化させた。
ELISA法によるOVA特異的IgG1、IgG2c、総IgG、IgA抗体の測定:免疫化されたマウスからの希釈血清を100μg/ml OVAが塗布されたELISAプレートでインキュベートした。洗浄後、HRP標識抗体マウスIgG1(eBioscience、 #18-4015-82)、IgG2c(GeneTex、 GTX77297)、IgG total(Invitrogen、 G21040)、IgA(GeneTex、 GTX77223)を使用して、結合した対応する抗体を検出した。 次いで、プレートを基質TMB(eBioscience)とともにインキュベートし、1M HPOで反応を停止し、次に、吸収波長450 nmにおける吸光度を測定した。
統計分析
t検定を使用してデータを分析した。コックス・マンテル検定を使用して生存曲線を比較した。
【0028】
実施例1. 溶液中でのマンガン化合物の状態及びそのアジュバントとしての効果
実験(a)MnClは、PBSと反応して沈殿物を生成し、コロイド状マンガンMnOHPOは、次のように調製された。
図1Aに示すように、実験では、生理食塩水(0.9% NaCl)が自分で調製され、PBS(pH 7.4)がGibcoから購入された。合計で3つのグループの反応系があり、それぞれ、900μlの生理食塩水に100μlのMnCl (0.2M)を加えるグループ;900μlのPBSに100μlのMnCl (0.2M)を加えるグループ;850μlの生理食塩水に50μl NaPOを加え、さらに100μlのMnCl (0.2M)を加えてコロイド状マンガンMnOHPOを調製するグループである。該コロイド状マンガンの分子式は、X線光電子分光法X-ray photoelectron spectroscopy(XPS)により測定した。MnClは、生理食塩水中で沈殿物が生じなく、PBSで一晩反応させた後、白色の沈殿が生じ、第3の反応で生成されたコロイドが沈殿を生じなかった。第3の反応生成物に光を照射してチンダル現象が発生した。コロイド状マンガンの微細構造を透過型電子顕微鏡で撮影し、図1Bに示すように、直径約10nm程度の粒子であることを示した。
実験(b)でのPBS中のマンガン化合物沈殿とコロイド状マンガンのアジュバント効果の比較
マウスを体重に応じてランダムに6つの群に分け、それぞれ、1)PBS対照群、2)抗原OVA(10μg)、3)MnClを生理食塩水で2日反応させた群(10μg MnCl+OVA)、4)MnClをPBSで5分間反応させた群(10μg MnCl+OVA)、5)MnClをPBSで2日反応させた群(10μg MnCl+OVA)、6)MnClを反応させてコロイド状マンガンを30日生じた群(10μg MnOHPO+OVA)である。ここで、10μgは、いずれもマンガン元素の質量を指す。各群は、実験設計量に従って筋肉注射して免疫化させ、0日目、7日目、14日目に各々1回免疫化した。21日目に採血し、血清分離を行い、ELISA法でOVA―IgG1抗体の含有量を測定した。図1Cに示すように、MnClは、PBSで短時間反応した粒子がアジュバント効果を有するが、長時間反応した後、大きな粒子に凝集する効果が弱まり、コロイド状マンガン(図1にMnJと略記)MnOHPOは、1か月放置しても効果が良い。これは、コロイド状マンガンMnOHPOが優れた安定したアジュバントであることを示した。
実験(c):MnCl溶液とコロイド状マンガンMnOHPOの注射部位での滞留時間の比較
マウスは、体重に応じてランダムに2つの群に分けられ、それぞれ、MnCl溶液筋肉注射群(100μlの生理食塩水に20μgのMnClを溶解させたもの)、コロイド状マンガン筋肉注射群(100μlの生理食塩水に20μgのコロイド状マンガンを懸濁させたもの)であり、ここで、20μgは、いずれもマンガン元素の質量を指す。注射後の異なる時間に、注射部位での筋肉0.1 gを採取し、マイクロ波消化装置で消化した後、ICP-MS(Thermo X SERIES II)でマンガン元素の含有量を測定した。図1Dに示すように、コロイド状マンガンは、注射部位により長く滞留することができ、抗体を生成するためのに生体をより持続的に活性化できるが、溶液マンガンは迅速に代謝される。
【0029】
実施例2. マンガンイオン(II)と他のアニオンの反応による沈殿特性及び細胞応答
実験(a):一定濃度のマンガンイオン(II)と異なる濃度のアニオンとの反応
生理食塩水の反応系では、20mMのMnClと他の異なる濃度(2.5、5、10、20、30、40mM)のナトリウム塩に由来するアニオン(NaCO、NaHCO、NaPO、NaHPO、NaOH)を混合した。図2Aに示すように、2価の遊離マンガンはCO 2-と反応して黒色沈殿としてMnCOを生じ、HCO と反応して白色沈殿としてMn(HCOを生じ、PO 3-と反応して2つの態様の生成物を生じ、低濃度では、白色沈殿物を生じ、高濃度では、淡黄色のコロイド状物質を生じた。測定すると、低濃度で生成したのは、Mn(POであり、高濃度で生成したのは、MnOHPOであり、2価の遊離マンガンは、HPO 2-と反応して白色のMnHPOを生成し、OHと反応して淡黄色の沈殿としてMn(OH)を生成した。
実験(b):異なるマンガンイオン(II)生成物がI型インターフェロンを活性化し、炎症性サイトカインを切断してIL-1βを産生する能力及びアジュバント効果の比較
図2Bに示すように、左から右の順序で、Eppendorfチューブに100μLの0.2M MnClと900μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(MnCl)、100μLの0.5M NaHCO+800μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(Mn(HCO)、100μLの0.5M NaCO+800μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(MnCO)、20μLの0.5M NaCO+20μLの0.5M NaOH+860μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(MnOHCO)、100μLの0.5M NaHPO+800μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(Mn(HPO)、100μLの0.5M NaHPO+800μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(MnHPO)、26.6μLの0.5M NaPO+873.4μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(Mn(PO)、50μLの0.5M NaPO+850μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(Mn(OH)PO)、並びに、100μLの0.5M NaOH+800μLの生理食塩水を加えて一晩放置し(Mn(OH))、反応させて図2Bに示すコロイド又は固体沈殿物を生成した。沈殿物を生理食塩水で洗浄し、その後の実験に使用した(生理食塩水に沈殿物がないため、MnClは洗浄されないため、実験に溶液を使用された。)。等モル量(500μM Mn2+を含有)の複数種の生成物(Mn(HPO生成物がは水に溶けやすく、沈殿が少なく、500μM未満では、他のアニオンはいずれもMn2+を完全に沈殿させる可能性がある。)を使用して2×10 THP1細胞を18時間刺激し、上清中のI型インターフェロンのレベルを測定した。結果は、図2Bに示すように、MnOHPO及びMnHPOは、I型インターフェロンの生成を活性化することができ、図2Bに示すP-IRF3は、I型インターフェロンの発現を調節する主要な転写因子である。MnOHPO及びMnHPOは、さらに炎症性サイトカインIL-1βの産生を有意に誘導することもできる。非コロイド状のMn(OH)は、I型インターフェロンの産生を活性化することしかできず、炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導することができない。1回あたり10μgの複数種の生成物(10μgは、マンガン元素の質量を指す。)を10μgのOVAタンパク質とそれぞれ混合してマウスに3回筋肉免疫した後、マウス血清を採取してその抗OVA―IgG1抗体の含有量を測定した。MnOHPO及びMnHPOは、生体を刺激して抗体を生成する効果が沈殿したマンガン化合物よりもはるかに優れた。抗体試験では、最左端のMnClは、MnClとPBSを5分間反応させた沈殿のアジュバント効果である。他の一晩放置し固体沈殿は、部分的なアジュバント効果もある。最良の効果のコロイド状マンガンMnOHPOを選択して後の実験証明を行った。
実験(c):異なるマンガンイオン(II)生成物のチンダル現象の比較
図2Cに示すように、反応生成物を生理食塩水に再懸濁させ、次にレーザーポインターで光を照射した。MnOHPOのチンダル現象が最も著しいのに対し、MnHPOがその直径が100 nmよりわずかに大きいため、部分的なチンダル現象を示すことを確認できる。MnOHPOの直径は、約10nmであり、コロイドの定義を満たす。
【0030】
実施例3.コロイド状マンガンMnOHPOの筋肉注射及び粘膜免疫用アジュバントとしての使用
実験(a):コロイド状マンガンMnOHPOの筋肉注射用アジュバントとしての使用
マウスは、体重に応じてランダムに6つの群に分けられ、それぞれ、PBS対照群、抗原OVA(10μg)、コロイド状マンガンMnOHPO群(10μg MnOHPO+OVA)、低用量アルミニウムアジュバント群(440μgアルミニウムアジュバント+OVA)、中用量アルミニウムアジュバント群(800μgアルミニウムアジュバント+OVA)、及び高用量アルミニウムアジュバント群(1220μgアルミニウムアジュバント+OVA)である。各群は、実験設計量に従って筋肉注射して免疫させ、0日目及び10日目に各々1回免疫した。10日目、17日目、24日目及び31日目に採血し、血清分離を行い、抗OVA-IgG1抗体の含有量をELISA法により測定した。図3に示すように、10μg/マウスの用量のコロイド状マンガンMnOHPOは、高用量(1220μg/マウス)のアルミニウムアジュバントよりも効果が強いことが分かった。これは、コロイド状マンガンがアルミニウムアジュバントの100分の1未満の用量でより良い免疫増強効果を達成できることを示しており、現在広く使用されているアルミニウムアジュバントの副作用を極めて大きく低減させることができる。
実験(b):コロイド状マンガンMnOHPOの粘膜アジュバントとしての使用
図4に示すように、同量(5μg/マウス)のコロイド状マンガンMnOHPO及び経典的な粘膜免疫用アジュバントコレラ毒素B(CTB)を使用してそれぞれ抗原OVA(10μg)と混合し、マウスに点鼻投与して免疫させた。0日目、7日目及び14日に各々1回免疫し、21日目に採血し、血清分離を行い、口内洗浄液、肺胞洗浄液を集め、抗OVA-IgA抗体及びIgG1抗体の含有量をELISA法で測定した。図4に示すように、コロイド状マンガンMnOHPOは、粘膜アジュバントとしてマウスに免疫させる場合、肺胞洗浄液での抗体の含有量がコレラ毒素Bをアジュバントとする場合よりも高くなることが分かった。口内洗浄液及び血清では、MnOHPOは、同量のコレラ毒素Bの効果に相当した。これは、コロイド状マンガンMnOHPOも優れた粘膜免疫アジュバントであることを示した。
【0031】
実施例4.コロイド状マンガンMnOHPOの筋肉注射及び粘膜免疫用アジュバントとして使用による生体での持続的な特異的抗体の産生の可能性
実験(a):コロイド状マンガンMnOHPOの筋肉注射用アジュバントとしての持続効果
実施例3での方法を参照して、コロイド状マンガンMnOHPOをアジュバントとしてOVAと混合して、マウスに筋肉注射して免疫させ、免疫後1週間、1か月、3か月、6か月のマウス血清中での抗OVA抗体の含有量を測定した。図5Aに示すように、血清中の抗OVA抗体は、6か月目まで、依然として高いレベルで維持し、これは、コロイド状マンガンMnOHPOは、アジュバントとして持続的な保護効果を生じることができることを示した。マウスの寿命は一般的に2年間であり、コロイド状マンガンMnOHPOが生体のライフサイクル全体で保護性抗体を産生できると期待された。
実験(b):コロイド状マンガンMnOHPOの粘膜アジュバントとしての持続的な効果
実施例3での方法を参照し、マウス粘膜免疫後、異なる時点でマウスの血液、肺胞洗浄液、口内洗浄液を集め、抗体の含有量を測定した。図5Bに示すように、特異的抗体の濃度は、免疫化後6か月まで、依然として高いレベルで維持し、これは、コロイド状マンガンMnOHPOが粘膜免疫に使用される場合にも持続的な保護効果を生み出すことができることを示した。
【0032】
実施例5. マンガンイオン(II)による炎症性サイトカインの産生の賦活化
炎症性サイトカインIL-1βは、CD4T細胞に直接作用、T細胞の増殖を促進することができ(8)、IL-1α及びIL-1βは、好中球の浸潤を促進することができ(19)、炎症性サイトカインIL-18は、Th1の免疫応答を効果的に増強させることができ、T細胞及びNK細胞の増殖及び細胞毒性作用を促進することもできる(9)。アルミニウムアジュバントのアジュバント効果は、NLRP3インフラマソームを活性化し、炎症性サイトカインを放出することにより達成することが報告されているため(20-22)、MnCl/コロイド状マンガンMnOHPOとアルミニウムアジュバントの炎症性サイトカインを賦活化する能力を検出して比較した。
MnClは、コロイド状マンガンMnOHPOと同じ炎症性サイトカインを賦活化する能力(図2Bを参照)及びメカニズムを持つが、ここで、MnClのみを例として使用した。10、20、50、100μg/mLの塩化マンガン又はアルミニウムアジュバントを使用してin vitroで培養されたマウス腹腔マクロファージの初代培養物を処理し、インターフェロン誘導遺伝子ISG54及びViperinをウェスタンブロッティングで検出し、上清中のI型インターフェロンの総含有量(インターフェロンαとインターフェロンβの濃度の合計)をBioassayで検出した。結果は、図6A及び6Bに示すように、MnClのみがI型インターフェロンの発現を活性化できるが、アルミニウムアジュバントは活性化できない。同様の濃度の塩化マンガン及びアルミニウムアジュバントでLPSで前処理された腹腔マクロファージを処理し、上清中のcaspase1の切断及びIL-1βの切断(上のバンドは前駆体であり、下のバンドは、活性型のcaspase1及びIL-1βである。)をウェスタンブロッティングで検出し、上清中の炎症性サイトカインIL-1β及びIL-18の産生をELISAにより検出した。結果は、図6C及び6Dに示すように、MnClは、炎症性サイトカインを賦活化する能力がアルミニウムアジュバントよりも大幅に強くなることが分かった。MnCl、ATP(経典的なNLRP3インフラマソーム賦活剤)、VacV(経典的なAim2インフラマソーム賦活剤)でLPSで前処理された腹腔マクロファージを処理し、上清中のcaspase1の切断及びIL-1βの切断(上のバンドは、前駆体であり、下のバンドは、活性型のcaspase1及びIL-1βである。)をウェスタンブロッティングで検出し、上清中の炎症性サイトカインIL-1β及びIL-18の産生をELISAにより検出した。結果は、図6E及び6Fに示すように、NLRP3ノックアウト細胞では、MnClの炎症性サイトカインを活性化する能力が大幅に弱まっているため、MnClによって活性化されたのは、主にNLRP3インフラマソームである。
【0033】
実施例6. コロイド状マンガンMnOHPOによるT細胞の増殖の促進
CFSE色素で標識された1×10 OT-II細胞をマウスに尾静脈内注射し、1日間後にOVAタンパク質で免疫化し、それぞれ、PBS対照群、異なる用量のOVA対照群(1μg、2μg及び5μg)、10μgのコロイド状マンガンと1μg、2μg及び5μgのOVAタンパク質のそれぞれと混合した混合群、並びに1220μgのアルミニウムアジュバントと1μg、2μg及び5μgのOVAタンパク質のそれぞれと混合した混合群であり、ここでいう用量は、いずれも1匹のマウスあたり1回の免疫の用量を指す。マウスの免疫後3日後に、リンパ節を採取し、リンパ節におけるOT-II細胞の増殖をフローサイトメトリーで分析した。
図7に示すように、最右端のピークは、最初にマウスの体に注射されたOT-II細胞である。細胞が分裂した後、細胞内のCFSEは、2つの細胞に均等に分配されるため、細胞内のCFSEの輝度が低減し、左側のCFSEが低減した細胞はすべて分裂した細胞である。結果は、同量の抗原を使用した場合、コロイド状マンガンは、T細胞の増殖を促進する能力がアルミニウムアジュバントよりも強く、用量が類似する効果に達するためにアルミニウムアジュバントの1/100しか必要としないことを示した。
【0034】
実施例7. コロイド状マンガンMnOHPOによる抗体の産生の活性化は、STING経路及びインフラマソーム経路に依存する。
図8に示すように、図8Aは、10μg/匹のコロイド状マンガンと10μg/匹のOVAタンパク質でWT、Pycardノックアウト(ASC欠失)、Stingノックアウト(STING欠失)、Pycard及びStingダブルノックマウスに3回筋肉注射した後、マウスの血清を採取して血清中の抗OVA抗体のIgG1、IgG2c、総IgGの含有量をELISAで測定した。結果は、シングルノックアウトではコロイド状マンガンのアジュバント効果が部分的に失われるだけであるが、ダブルノックアウトではアジュバント効果が有意に低減することを示した。図8Bは、5μg/匹のコロイド状マンガンと10μg/匹のOVAタンパク質でマウスに3回粘膜免疫した後、血清、肺胞洗浄液、口内洗浄液を採取し、分泌型抗OVA-IgA抗体の含有量をELISAにより測定した。結果は、ダブルノックマウスでは、アジュバント効果が有意に低減することを示した。
【0035】
実施例8. コロイド状マンガンMnOHPOによる樹状細胞の成熟の促進
図9に示すように、図9Aは、100、200、400μMのコロイド状マンガンを使用して骨髄由来樹状細胞(BMDC)を20時間処理し、樹状細胞成熟のマーカーであるCD86タンパク質をフローサイトメトリーで検出した。結果は、野生型マウスでは、濃度が増加するほど、樹状細胞の成熟を促進できることを示した。但し、ダブルノック細胞では、細胞の成熟を促進できない。図9Bでは、4つのマウスについて、実施例6での方法を参照して、コロイド状マンガンがT細胞の増殖を促進する効率を測定した。結果は、ダブルノックマウスでは、コロイド状マンガンアジュバントがT細胞の増殖を促進する能力が有意に低減することを示し、これは樹状細胞の成熟とも一致している。図9Cでは、10μg/匹のコロイド状マンガンと10μg/匹のOVAタンパク質が筋肉注射された野生型マウス及びダブルノックマウスを使用し、CD8T細胞の表面におけるOVAテトラマーの含有量(アジュバントで活性化されたOVA特異的CD8T細胞を特徴付け)をフローサイトメトリーで分析した。結果は、コロイド状マンガンがCD8T細胞の免疫応答を活性化でき、且つSTING及びASCの2つの経路に依存することを示した。
【0036】
実施例9. コロイド状マンガンMnOHPOのアジュバントとして増強不活化水疱性口内炎ウイルス(VSV)及び単純ヘルペスウイルス(HSV-1)の免疫保護を強化する効果
実験(a):不活化VSVワクチン
実験手順は、図10Aに示すように、0日目にワクチンをマウスに筋肉注射し、10日目にウイルスをマウスに感染させ、14日目にマウス組織中のウイルス力価を測定し、マウスを観察し、14日目までの生存曲線を記録した。PEGで精製されたVSVを不活化してワクチンとし、10-1、10-2、10-3、10-4、10-5及び10-6の希釈率に希釈してマウスに筋肉注射して免疫させた。図10B及び10Cに示すように、ウイルスの濃度が十分に高い場合には、単独で使用するとマウスを保護するのに十分な免疫効果を生み出すことができ、ウイルスをいくつかの勾配で10倍希釈した後、マウスに免疫化させ、濃度が10-3である場合には、マウスの生存率は、僅かに8.3%であり、濃度が10-4、10-5、10-6である場合には、全てのマウスは死亡したが、濃度10-3の不活化ウイルスにMnOHPOコロイドをアジュバントとして加えてマウスに免疫化させると、マウスの生存率は、75%に増加した。図10Dに示すように、コロイド状マンガンはアジュバントとして低濃度の免疫原の免疫効果を増強でき、少量の免疫原を使用すれば保護作用を発揮でき、且つマウスの体内での活性ウイルス力価も低下することを示した。
実験(b):不活化HSV-1ワクチン
図10E及び10Fに示すように、PEGで精製されたHSV-1ウイルスを不活化してワクチンとしてマウスに筋肉注射して免疫化させ、ウイルスの希釈率が10-1、10-2である場合には、単独で使用するとマウスを保護するのに十分な免疫効果を生み出すことができるが、ウイルスの希釈率が10-4に下げる場合には、マウスの生存率は、わずか16.7%であり、それより低くなると全てのマウスが死亡したが、希釈率10-4のウイルスにMnOHPOコロイドを加えると、マウスの生存率は、100%に上昇した。さらに、図10Gに示すように、マウスの体内の活性ウイルス力価は低下した。これは、コロイド状マンガンがアジュバントとして不活化されたHSV-1ウイルスの用量を1/10に低減させるとともに同様の保護効果を達成できることを示した。
【0037】
実験(c):不活化PR8ウイルスワクチンによる1回の粘膜免疫
PEGで精製されたインフルエンザPR8ウイルスを不活化した後、1、10-1、10-2、10-3の希釈率に希釈し、マウスに1回点鼻投与して免疫させた。7日間後、インフルエンザウイルスをマウスに感染させ、マウスの生存率及び体重変化を記録した。図11A及び11Bに示すように、アジュバントを添加しない場合、全ての用量で保護効果がなく、マウスの体重が死亡まで低下したが、MnOHPOコロイドをアジュバントとして加えた後、10-1の用量に希釈されたウイルスでは、マウスの体重が4日目及び5日目まで低下した後に上昇し、10日目以降、体重がウイルス感染前のレベルに戻り、病状が良くなることができる。この結果は、コロイド状マンガンがアジュバントとするのは、元々非免疫原性または弱免疫原性である免疫原を対象に1回免疫化した後、保護効果を生み出すことができることを示した。
実験(d):不活化PR8ウイルスワクチンによる2回の粘膜免疫
図11C及び11Dに示すように、PEGで精製されたインフルエンザPR8ウイルスを不活化した後、1、10-1、10-2、10-3の希釈率に希釈し、マウスに2回点鼻投与して免疫化させた(0日目及び7日目に免疫化させた)。14日間後、インフルエンザウイルスをマウスに感染させ、マウスの生存率及び体重変化を記録した。アジュバントを添加しない場合、全ての用量で保護効果はなく、マウスの体重が死亡まで低下したが、MnOHPOコロイドをアジュバントとして加えた後、10-1の用量に希釈されたウイルスをマウスに2回免疫化させた後、マウスの体重は、ウイルス感染後に10%減少しただけであるが、すぐに回復した。希釈されないウイルスの免疫化後にマウスの体重は減少せず、感染の症状も見られない。この結果は、表明コロイド状マンガンがアジュバントとして元々免疫効果がないワクチンに加えられた後、2回免疫後有意な予防効果が達成できることを示した。
【0038】
実施例10. コロイド状マンガンMnOHPOはアジュバントとしてインフルエンザサブユニットワクチンの保護効果を増強させる。
マウスは、ランダムに体重に応じて4つの群に分けられ、それぞれ、空白対照群(ctrl)、HA抗原群(HA)、HA抗原/コロイド状マンガン群(HA+Mn)、及びHA抗原/アルミニウムアジュバント群(HA+Al)である。マウスに筋肉注射した後、14日目、21日目及び28日目にマウスの血清中の抗HA-IgG1抗体の含有量を測定した。図12Aに示すように、HAタンパク質(5μg/マウス)を単独で使用すると、検出可能な特異的抗体を生成していなく、MnOHPOコロイド(50μg/マウス)をアジュバントとして加えた後、筋肉注射免疫によって産生された抗HA-IgG1抗体量はアルミニウムアジュバント(800μg/匹)の効果よりも大幅に高かった。コロイド状マンガンとCTBとがアジュバントとしてマウスに点鼻投与して免疫化させた効果を比較すると、MnOHPOコロイド(20μg/マウス)をアジュバントとして加えた後、経鼻免疫によって産生された抗HA-IgA抗体が4週間免疫化した後にCTB(5μg/マウス)をアジュバントとする効果よりも大幅に高かった。図12C及び12Dに示すように、コロイド状マンガンをアジュバントとしてマウスに免疫化させた後、マウスは、体重が変化せず、肺に炎症を起こしないが、アルミニウムアジュバントとCTBとをアジュバントとしてマウスに免疫した後、マウスは、体重が僅かに減少した後回復し、肺に少量の炎症があることが分かった。この結果は、コロイド状マンガンがサブユニットワクチンアジュバントとして使用でき、従来のアジュバントよりも安全性がより高く、効果がより良いことを示した。
【0039】
実施例11. コロイド状マンガンMnOHPOはアジュバントとして同種異型インフルエンザウイルス(WSN)及び異種インフルエンザウイルス(H3N2)のいずれにも対する不活化インフルエンザウイルス及びサブユニットワクチンの保護効果を増強させる。
実験(a):コロイド状マンガンMnOHPOと不活化されたPR8ウイルス又はPR8-HA1タンパク質と混合して作製されたワクチンは、WSNウイルスの感染を予防することができる。
マウスは、ランダムに体重に応じて5つの群に分けられ、それぞれ、空白対照群(con)、不活化PR8ウイルス群、不活化PR8ウイルス+コロイド状マンガン群(PR8+MnJ)、PR8-HA1タンパク質群(HA1)、及びPR8-HA1タンパク質+コロイド状マンガン群(HA1+MnJ)である。0日目、7日目、14日目にそれぞれマウスに1回免疫化し、21日目にWSNウイルスをマウスに感染させ、マウスの体重を14日間連続して記録した。図13Aに示すように、コロイド状マンガンを加えた実験群では、マウスの体重はいずれも減少せず、これは、ウイルスへの保護効果が極めて良いことを示すが、アジュバントを加えない群及び空白対照群では、マウスの体重はいずれも急速に減少した。
実験(b):コロイド状マンガンMnOHPOと不活化PR8ウイルス又はPR8-HA1タンパク質とを混合して作製されたワクチンは、H3N2ウイルスの感染を予防することができる。
マウスは、ランダムに体重に応じて5つの群に分けられ、それぞれ、空白対照群(con)、不活化PR8ウイルス群、不活化PR8ウイルス+コロイド状マンガン群(PR8+MnJ)、PR8-HA1タンパク質群(HA1)及PR8-HA1タンパク質+コロイド状マンガン群(HA1+MnJ)である。0日目、7日目、14日目にそれぞれマウスに1回免疫し、21日目にH3N2ウイルスをマウスに感染させ、マウスの体重を14日間連続して記録した。図13Bに示すように、H3N2ウイルスの毒性は、マウスの死亡に繋がなく、空白対照群及び単独不活化ウイルス群では、マウスの体重は、いずれも80%に低下した後回復し、単独HA1群では、90%に減少した後回復するが、コロイド状マンガンを加えるHA1群では、体重は基本的に減少せず、コロイド状マンガンを加える不活化ウイルス群では、体重は5%減少しただけで、その後回復した。
【0040】
実施例12. コロイド状マンガンMnOHPOは免疫増強剤として生体への抗腫瘍効果を増強させる。
実験(a):コロイド状マンガンMnOHPOのワクチンによるin situ腫瘍の成長の抑制
マウスは、ランダムに体重に応じて4つの群に分けられ、それぞれ、空白対照群(con)、OVA対照群、OVA/コロイド状マンガン群(OVA+Mn)、及びOVA/アルミニウムアジュバント群(OVA+Al)である。実験計画に従ってマウスに3回免疫した後(7日おきに1回免疫)、黒色腫B16-OVAを皮下接種し、in situ腫瘍モデルを構築した。図14A~14Cに示すように、予にアルミニウムアジュバントを使用すると、腫瘍の成長を抑制し、マウスの生存率を向上させることができないが;予にコロイド状マンガンを使用すると、腫瘍の成長を顕著に抑制し、マウスの生存率を向上させることができる。図14Bに示すように、腫瘍接種の21日後、対照群のマウスの平均腫瘍サイズは、1906mmであり、OVA群のマウスの平均腫瘍サイズは、925.5mmであり、コロイド状マンガンで免疫されたマウスの平均腫瘍サイズは、222.9mmであり、アルミニウムアジュバント群のマウスの平均腫瘍サイズは、1946mmである。図14Cに示すように、対照マウスの生存期間は、26日間であり、コロイド状マンガンで免疫されたマウスの生存期間は、49日間であり、アルミニウムアジュバントで免疫されたマウスの27日間の生存期間よりも顕著に延長された。この結果は、コロイド状マンガンが免疫増強剤として生体の抗in situ腫瘍効果を増強できることを示した。
実験(b):コロイド状マンガンMnOHPOワクチンによる腫瘍移転の抑制
MnOHPOコロイド及びアルミニウムアジュバントをそれぞれ抗原OVAと混合した後、マウスに7日ごとに1回免疫化し、合計で3回免疫化し、生体内の免疫応答を賦活化し;B16-OVA腫瘍を尾静脈内注射し、腫瘍移転モデルを構築した。図14Dに示すように、腫瘍注射の21日後にマウスを犠牲にし、肺組織を取り出し、空白対照群のマウスの肺が黒色腫で覆われ、OVAのみで免疫したマウスの肺に一定数の黒色腫が現れるが、OVA+コロイド状マンガンで免疫したマウス肺に腫瘍がほとんどないことを確認した。腫瘍組織を研磨した後、フローサイトメーターで腫瘍細胞の数を統計し、図14Eに示すように、OVA+コロイド状マンガンを免疫したマウスの肺の腫瘍細胞数は、他の2つの群よりも有意に少ないことを示した。この結果は、コロイド状マンガンが免疫増強剤として生体の抗転移腫瘍効果を増強できることを示した。
【0041】
実験(c):コロイド状マンガンMnOHPOとシクロホスファミドの併用による抗腫瘍効果
マウスに黒色腫B16F10を皮下接種した後、ランダムに4つの群に分けられ、それぞれ、対照群(con)、MnOHPOコロイド群(5mg/kg)、Cyclophosphamide Monohydrate(CTX)群(140mg/kg)、及び併用投与群(CTX+Mn)である。シクロホスファミド(CTX)は、臨床的に広く使用されている抗腫瘍化学療法薬である。MnOHPOコロイドを筋肉注射し(腫瘍接種後に2日ごとに1回治療)、CTXを腹腔内投与し(腫瘍接種後の6、9、12日目に各々1回治療)、対照群で同体積の生理食塩水を投与した。図15に示すように、コロイド状マンガンとCTXの併用では、腫瘍の成長を有意に抑制できた。腫瘍接種の14日後、マウスを犠牲にし、解剖して腫瘍を取り出し、その体積を測定し、図15Bに示すように、対照群では、平均腫瘍サイズは、960.1mmであり、コロイド状マンガンを単独で使用して治療されたマウスの腫瘍サイズは、659.5mmであり、CTXを単独で使用して治療されたマウスの腫瘍サイズは、393.9mmであり、併用によるマウスの腫瘍サイズは、238mmである。同時に各腫瘍の重量を秤量した結果は、図15Cに示すように、コロイド状マンガンとCTXの併用により腫瘍の成長を抑制した。これは、コロイド状マンガンを免疫増強剤として従来の治療法、例えば、化学療法、併用投与の効果を増強させ、腫瘍の成長に有意な抑制効果を有することを示した。
実験(d)コロイド状マンガンMnOHPOとPD-1抗体の併用による抗黒色腫効果
マウスに黒色腫B16F10を皮下接種した後、ランダムに4つの群に分けられ、それぞれ、対照群(con)、MnOHPOコロイド群(5mg/kg)、anti-PD1抗体群(200μg/匹)、及び併用投与群(anti-PD1+Mn)である。PD1抗体は、近年、免疫療法で使用される新薬である。PD1抗体(Clone 29 F.1A12、BioXCell)は、腫瘍接種後の3、7、11日目にそれぞれ1回治療化され、200μgの抗体を200μlのPBSに溶解させたものを1回腹腔内投与した。図16A-Cに示すように、腫瘍接種の15日後、マウスを犠牲にし、解剖して腫瘍を取り出して測定し、対照群のマウスの平均腫瘍サイズは、1847mmであり、コロイド状マンガンの単独使用群のマウスの平均腫瘍サイズは、797.3mmであり、PD1抗体の単独使用群のマウスの平均腫瘍サイズは、687.3mmであるが、併用治療群のマウスの平均腫瘍サイズは、342mmであり、PD1抗体の単独使用よりも大幅に低かった。腫瘍に浸潤したCD8T細胞の割合をフローサイトメトリーで分析し、コロイド状マンガンは、PD1抗体薬の効果を27.7%から45.4%まで向上させた。これは、コロイド状マンガンがPD1抗体薬とともに治療黒色腫を相乗的に治療できることを示した。
【0042】
実験(e):コロイド状マンガンMnOHPOとPD-1抗体との併用による結腸がん腫瘍の効果
マウスに結腸がんMC38を皮下接種し、ランダムに4つの群に分けられ、それぞれ、対照抗体群(Isotype、200μg/マウス)、MnOHPOコロイド/対照抗体群(Isotype+Mn)、anti-PD1抗体群(200μg/マウス)、及び併用投与群(anti-PD1+Mn)であり、PD-1の使用は実験(d)と同様にした。腫瘍接種の20日後、マウスを犠牲にし、解剖し、腫瘍を取り出して測定し、図17Bに示すように、対照群のマウスの平均腫瘍サイズは、319.8mmであり、マンガンを単独して使用して治療されたマウスの平均腫瘍サイズは、126.9mmであり、PD1抗体薬を単独して使用して治療されたマウスの腫瘍サイズは、143.1mmであり、併用して治療されたマウスの平均腫瘍サイズは、66.74mmである。腫瘍組織切片を作成し、DAPI及びCD8T細胞の免疫蛍光染色を行うと、図17Dに示すように、PD1抗体とコロイド状マンガンの併用により治療されたマウスの腫瘍に浸潤したCD8T細胞の割合が有意に増加することを確認した。これは、コロイド状マンガンがPD1抗体薬とともに結腸がんを相乗的に治療できることを示した。
本発明には、次の態様が含まれる。
1. 新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン、及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を含む免疫増強用組成物。
2. 免疫アジュバントとして使用される項1に記載の免疫増強用組成物。
3. 前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる項1又は2に記載の免疫増強用組成物。
4. 前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間は、1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である、項1~3のいずれか1項に記載の免疫増強用組成物。
5. A)ワクチン免疫原と、
B)新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源と、を含むワクチン組成物において、
任意選択で、成分A及びBが同一及び/又は別々の容器に収容されることができる、ワクチン組成物。
6. 前記ワクチン免疫原は、ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来し、
例えば、前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、より好ましくは、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV及びHBVから選ばれ;
例えば、前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)から選ばれ;
具体的には、例えば、前記ワクチン免疫原は、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの任意の組み合わせに由来する、項5に記載のワクチン組成物。
7. 前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる、項5又は6に記載のワクチン組成物。
8. 前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間は、1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である、項5~7のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
9. 1)新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を与えることと、
2)任意選択で、新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンに変換させることと、を含む免疫増強用組成物の製造方法。
10. 前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる、項9に記載の方法。
11. 前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である、項9又は10に記載の方法。
12. 1)ワクチン免疫原を与えることと、
2)新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源を与えることと、を含むワクチン組成物の製造方法。
13. 前記ワクチン免疫原は、ウイルス、細菌及び/又は寄生虫に由来し、
例えば、前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、より好ましくは、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV及びHBVから選ばれ;
例えば、前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及びアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)から選ばれ;
具体的には、例えば、前記ワクチン免疫原は、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項12に記載の方法。
14. 前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる、項12又は13に記載の方法。
15. 前記の新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間は、1日以下であるか、又は24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である、項12~14のいずれか1項に記載の方法。
16. 免疫増強用組成物又はワクチン組成物の調製における、新たに生成した沈殿物マンガン、コロイド状マンガン及び/又は新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンを形成可能な供給源の用途。
17. 前記免疫増強用組成物は、免疫アジュバントである、項16に記載の用途。
18. 前記の新たに生成した沈殿物マンガン及び/又はコロイド状マンガンは、リン酸マンガン、炭酸マンガン、水酸化マンガン、及びそれらの任意の混合物から選ばれる、項16又は17に記載の用途。
19. 前記新たに生成した沈殿物マンガンが非沈殿形態から沈殿形態に変化するまでの時間1日以下であるか、24、22、20、18、16、15、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1時間以下であるか、又は60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1分間以下である、項16~18のいずれか1項に記載の用途。
20. 前記免疫増強は、自然免疫及び/又は適応免疫を改善することである、項16~19のいずれか1項に記載の用途。
21. 前記免疫増強は、I型インターフェロンの発現を増加させることである、項16~20のいずれか1項に記載の用途。
22. 前記免疫増強は、炎症性因子の切断を誘導して活性型を産生することである、項16~20のいずれか1項に記載の用途。
23. 前記免疫増強は、抗体の産生を促進することである、項16~20のいずれか1項に記載の用途。
24. それを必要とする対象に項1~4のいずれか1項に記載の免疫増強用組成物又は項9~11のいずれか1項に記載の方法で得られる免疫増強用組成物を投与することを含む免疫増強用方法において、
具体的には、前記免疫増強は、例えば、
A)自然免疫及び/又は適応免疫を改善すること、
B)I型インターフェロンの発現を増加すること、
C)活性型の炎症性サイトカインの産生を誘導すること、
D)抗体の産生を促進する、
E)T細胞の増殖を促進すること、及び/又は
F)樹状細胞の成熟を促進することである方法。
25. 前記投与は、筋肉注射、皮内注射、皮下注射、静脈内注射、粘膜投与及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項24に記載の方法。
26. 前記免疫増強は、疾患、例えば、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、腫瘍、自己免疫疾患を予防及び/又は治療するために使用される、項24又は25に記載の方法。
27. 前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、具体的には、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
28. 前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
29. 前記自身免疫性疾患は、I型糖尿病、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び多発性硬化症から選ばれる、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
30. 前記腫瘍は、卵巣がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、頭頸部がん、肉腫、胆管がん、膀胱がん、腎臓がん、結腸がん、胎盤内絨毛がん、子宮頸がん、精巣がん、子宮がん、及び白血病から選ばれる、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
31. 前記寄生虫は、細胞内寄生虫であり、好ましくは、マラリア原虫、トキソプラズマ、トリパノソーマ、住血吸虫、フィラリア、及びリーシュマニアから選ばれる、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
32. さらに、前記対象に別の予防/治療剤を投与することを含む、項24~26のいずれか1項に記載の方法。
33. それを必要とする対象に項5~8のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与し、ここで、成分A及び成分Bが異なる容器にある場合には同時又は異なる時点で投与すること、及び/又は、
それを必要とする対象に項1~4のいずれか1項に記載の免疫増強用組成物、及び任意に選択してもよいワクチン免疫原を投与することを含む、免疫接種方法。
34. 前記投与は、筋肉注射、皮内注射、皮下注射、静脈内注射、粘膜投与及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項33に記載の方法。
35. 前記免疫接種は、疾患、例えば、細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫感染、腫瘍、及び自己免疫疾患を予防するために使用される、項33又は34に記載の方法。
36. 前記ウイルスは、DNAウイルス及びRNAウイルスから選ばれ、好ましくは、前記ウイルスは、ヘルペスウイルス科、ラブドウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科、及びレトロウイルス科から選ばれ、具体的には、前記ウイルスは、単純ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、牛痘ウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス)、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、HPVウイルス、脳炎ウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス)、ムンプスウイルス、風疹ウイルス及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
37. 前記細菌は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌から選ばれ、好ましくは、前記細菌は、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、サルモネラ(Salmonella)、髄膜炎菌(Meningococcus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、サイトロバクター・フレウンディイ(Citrobacter freundii)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanni)、破傷風菌、百日咳菌、ジフテリア菌、ハンセン病菌、結核菌、髄膜炎菌、肺炎球菌及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
38. 前記自身免疫性疾患は、I型糖尿病、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及び多発性硬化症から選ばれる、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
39. 前記腫瘍は、卵巣がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、悪性黒色腫、頭頸部がん、肉腫、胆管がん、膀胱がん、腎臓がん、結腸がん、胎盤内絨毛がん、子宮頸がん、精巣がん、子宮がん、及び白血病から選ばれる、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
40. 前記寄生虫は、細胞内寄生虫であり、好ましくは、マラリア原虫、トキソプラズマ、トリパノソーマ、住血吸虫、フィラリア、及びリーシュマニアから選ばれる、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
41. さらに、前記対象に別の予防剤を投与することを含む、項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【0043】
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図2-1】
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