(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】カップを有する衣類
(51)【国際特許分類】
A41C 3/12 20060101AFI20230707BHJP
A41C 3/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
A41C3/12 C
A41C3/12 A
A41C3/00 Z
A41C3/12 D
(21)【出願番号】P 2022514053
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(86)【国際出願番号】 JP2021014446
(87)【国際公開番号】W WO2021206037
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020070331
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519290943
【氏名又は名称】株式会社Jubilee
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】田家 麻生
(72)【発明者】
【氏名】渕上 雄一
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154326(JP,A)
【文献】特開2016-156105(JP,A)
【文献】特開平10-018105(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128853(JP,U)
【文献】特開2015-166500(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0098940(US,A1)
【文献】特開2017-190550(JP,A)
【文献】特開2014-062350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/12
A41C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バストを包み込む左右のカップと、
前記バストの脇側に近い箇所を包み込む左右の補助カップと、
背側で結合する結合部を有するアンダーベルト部と、
一端が前記カップに結合され、他端が前記アンダーベルト部に結合された第1ストラッ
プと、
一端が前記補助カップに結合され、他端が隣り合う前記補助カップに結合された第2ス
トラップとを備える
ことを特徴とするカップを有する衣類。
【請求項2】
前記第2ストラップの他端が前記補助カップの内側に結合されていることを特徴とする
請求項1に記載のカップを有する衣類。
【請求項3】
前記第2ストラップの他端が前記補助カップの外側に結合されていることを特徴とする
請求項1に記載のカップを有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばバストアップ効果をもたらすことは勿論のこと、バストの形を容易に整えたり、バストのシルエットをきれいに見せたりすることに適したブラジャー等のカップを有する衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、一般的なブラジャーは、バストを包み込む左右のカップと、カップの左右方向外側から水平方向に伸びた伸縮性を有する左右のバックベルトと、カップの上縁側とバックベルトの途中部とを繋ぐ伸縮性を有するストラップとで構成されている。
【0003】
この種のブラジャーは、バックベルトの水平方向の張力と、ストラップによる上方向への張力によってバストを支えることになる。ところが、左右のバストはカップによって包み込まれた状態で上方向へ引き上げられるものの、バストの形を整えながら引き上げることができず、バストの形を容易に整えたり、バストのシルエットをきれいに見せたりすることに適したものとなっていない。
【0004】
このような不具合を改良したものとして、左右のカップの下縁湾曲線に沿って半円状に湾曲したワイヤーが組み込まれたブラジャーが提案されている。
【0005】
ブラジャーに組み込まれているワイヤーは、バストの荷重を支える役目を果たしている。また、ワイヤーの湾曲形状には、様々な種類がある。そのため、ユーザーは、自分のバストの形状に合うものを選ぶことになるが、選んだブラジャーが自分のバストの形状に合わないこともある。このように、自分のバストの形状に合わないブラジャーを着用すると、たとえばワイヤーによる圧迫感に伴って痛み等を生じることがあり、快適な着用感を得られない。
【0006】
このような問題を解消するものとし、特許文献1では、カップの下カップ部を上部パーツと下部パーツとの組合せにし、かつその上部パーツの下縁の前部分と脇部分とを、型紙の状態で下部パーツの上縁に一部重合するような形状にし、その上部パーツの下縁と下部パーツの上縁とを突合わせ縫合したとき、下部パーツを内側に凹状に反り返った状態とすることができるブラジャーを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1のブラジャーでは、下部パーツの内側への反り返り効果によってバストの下部を押し上げることに伴い、組み込まれているワイヤーが広げられる。これにより、下部パーツの内側への反り返り効果が高められ、バストアップの作用を一層増大することができるとされている。
【0009】
ところで、このブラジャーは、上部パーツの下縁の前部分と脇部分とを、型紙に裁断した状態で下部パーツの上縁に一部重合するような形状にすることにより、下部パーツを内側に凹状に反り返った状態にする、所謂、立体成型を施したものである。
【0010】
そのため、着用時には、下部パーツが立体成型されることで快適な着用感を得ることができるものの、特に、左右のバストの脇側に近い箇所を、より効果的に内側に寄せつつ持ち上げることができない。
【0011】
このように、左右のバストの脇側に近い箇所を、より効果的に内側に寄せつつ持ち上げることができない場合、バストの形を容易に整えたり、バストのシルエットをきれいに見せたりすることができない、という問題がある。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解消することができるカップを有する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のカップを有する衣類は、バストを包み込む左右のカップと、前記バストの脇側
に近い箇所を包み込む左右の補助カップと、背側で結合する結合部を有するアンダーベル
ト部と、一端が前記カップに結合され、他端が前記アンダーベルト部に結合された第1ス
トラップと、一端が前記補助カップに結合され、他端が隣り合う前記補助カップに結合さ
れた第2ストラップとを備えることを特徴とする。
また、前記第2ストラップの他端が前記補助カップの内側に結合されていることを特徴
とする。
また、前記第2ストラップの他端が前記補助カップの外側に結合されていることを特徴
とする。
本発明のカップを有する衣類は、着用時において、第1ストラップに結合されたカップ
と、第2ストラップに結合された補助カップとで、バストを支えつつ持ち上げることがで
きる。この場合、補助カップが左右のバストの脇側に近い箇所を、より効果的に内側に寄
せつつ持ち上げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカップを有する衣類によれば、補助カップが左右のバストの脇側に近い箇所を、より効果的に内側に寄せつつ持ち上げることができるので、バストアップ効果をもたらすことは勿論のこと、バストの形を容易に整えたり、バストのシルエットをきれいに見せたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のカップを有する衣類をブラジャーに適用した場合の一実施形態を説明するものであって、
図1(a)は着用時でのブラジャーを正面側から見た状態を示す図であり、
図1(b)は
図1(a)のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【
図2】
図2は、非着用時でのブラジャーを説明するものであって、
図2(a)はブラジャーを正面側から見た状態を示す図であり、
図2(b)は
図2(a)のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【
図3】
図1のブラジャーにおける作用を説明するための図である。
【
図4】
図1のブラジャーにおける他の作用を説明するための図である。
【
図5】
図4のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【
図6】
図1のブラジャーの構成を変えた場合の他の例を説明するための図である。
【
図7】
図1のブラジャーの構成を変えた場合のさらに他の例を説明するための図であり、
図7(a)はブラジャーを正面側から見た状態を示す図であり、
図7(b)は
図7(a)のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【
図8】
図1のブラジャーの構成を変えた場合のさらに他の例を説明するための図である。
【
図9】
図1のブラジャーの構成を変えた場合のさらに他の例を説明するための図であり、
図9(a)はブラジャーを正面側から見た状態を示す図であり、
図9(b)は
図9(a)のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【
図10】
図1のブラジャーの構成を変えた場合のさらに他の例を説明するための図であり、
図10(a)はブラジャーを正面側から見た状態を示す図であり、
図10(b)は
図10(a)のブラジャーを背面側から見た状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のカップを有する衣類をブラジャーに適用した場合の一実施形態を、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0017】
まず、
図1及び
図2に示すように、ブラジャー100は、アンダーベルト部110Aを設けている。アンダーベルト部110Aは、ベースベルト110と、ベースベルト110の一側縁に縫合によって結合された第1バックベルト120と、ベースベルト110の他側縁に縫合によって結合された第2バックベルト130とを有している。ベースベルト110は、着用時において、バストを支えたりする役目を果たす。第1バックベルト120、及び第2バックベルト130は、水平方向の張力により、ブラジャー100のズレを防止する。
【0018】
第1バックベルト120、及び第2バックベルト130は、伸縮性の高い素材で構成されている。ベースベルト110は、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130より伸縮性の低い素材で構成されている。
【0019】
ここで、ベースベルト110を、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130より伸縮性の低い素材で構成することで、着用時に第1バックベルト120、及び第2バックベルト130の張力が加わっても、ベースベルト110の水平方向の延びが少なくなり、後述のカップ140、及び補助カップ150が水平方向に引っ張られることがないため、快適な着用感を損なうことなく、しかもバストが型崩れしないようにバストを支えることができる。
【0020】
第1バックベルト120は、他側縁にオスホック部121を有している。第2バックベルト130は、他側縁にメスホック部131を有している。着用時に、第1バックベルト120のオスホック部121を、第2バックベルト130のメスホック部131に結合することで、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130の張力により、ブラジャー100の着用位置からのズレを防止できる。
【0021】
ベースベルト110の上縁には、左右のカップ140、及び左右の補助カップ150のそれぞれの下縁が縫合によって結合されている。左右のカップ140は、左右のバストを包み込む程度の大きさとなっている。左右の補助カップ150は、左右のカップ140の内側に設けられている。また、左右の補助カップ150は、左右のバストの脇側に近い箇所を包み込むことができる位置に設けられている。また、左右の補助カップ150は、左右のカップ140の半分程度のサイズとなっていて、左右のバストの脇側に近い箇所を包み込むことができる形状となっている。
【0022】
なお、左右のカップ140の大きさは、バストをすっぽり包み込むことができるフルカップサイズであってもよいし、フルカップサイズの半分程度であってカップ上辺が水平にカットされた1/2カップサイズであってもよいし、カップ上辺の1/4をフロントに向かってカットされた3/4カップサイズであってもよいし、3/4カップサイズよりはバストを包み込む部分が大きく、フルカップサイズよりは少なく、その両方の特徴を併せ持った4/5カップサイズであってもよい。
【0023】
また、左右の補助カップ150の大きさにあっては、左右のカップ140のサイズに合わせて変更してもよい。また、左右の補助カップ150の側縁の形状は、左右のカップ140の側縁の形状に合わせることで、デザイン性を損なうことがなくなる。
【0024】
左右のカップ140の上縁の頂部には、伸縮性を有する第1ストラップ170の一端が縫合によって結合されている。第1ストラップ170の他端は、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130の上縁に縫合によって結合されている。また、第1ストラップ170には、第1ストラップ170の長さを調整できるアジャスター171が設けられている。アジャスター171によって第1ストラップ170の長さを調整することで、ユーザー毎の体形に合わせて着用できる。なお、第1ストラップ170の両端は、フック等の結合部材を介して着脱自在となっていてもよい。
【0025】
左右の補助カップ150の上縁の頂部には、伸縮性を有する第2ストラップ180の一端が縫合によって結合されている。第2ストラップ180の他端は、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130の上縁に縫合によって結合されている。
【0026】
また、第2ストラップ180には、第2ストラップ180の長さを調整できるアジャスター181が設けられている。アジャスター181によって第2ストラップ180の長さを調整することで、ユーザー毎の体形に合わせて着用できる。また、第2ストラップ180の長さを調整することで、左右のバストの脇側に近い箇所をバストの中心方向に向けて斜め上方に引き上げる張力を加減できる。なお、第2ストラップ180の両端は、フック等の結合部材を介して着脱自在となっていてもよい。
【0027】
また、
図2(a)、(b)に示すように、第1ストラップ170の他端、及び第2ストラップ180の他端は、オスホック部121、及びメスホック部131側に寄せた位置に結合されている。また、第1ストラップ170の他端は、第2ストラップ180の他端より内側に位置するように、第1バックベルト120、及び2バックベルト130に縫合によって結合されている。これにより、着用時においては、第1バックベルト120のオスホック部121を、第2バックベルト130のメスホック部131に結合すると、
図1(b)のように、第2ストラップ180の他端が第1ストラップ170の他端より内側に位置する。
【0028】
なお、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180にあっては、それぞれ異なる色によって形成されていてもよい。これにより、ブラジャー100の着用時において、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の識別が容易となる。
【0029】
左右のカップ140、及び左右の補助カップ150の内側には、アンダーボーン160が設けられている。アンダーボーン160は、着用時において、バストを支えたり、バストの型崩れ等を防止する。アンダーボーン160は、ワイヤー有りであってもよいし、ワイヤー無しであってもよい。アンダーボーン160の両端は、カップ140、及び補助カップ150の側縁に縫合によって結合されている。また、アンダーボーン160の左右の補助カップ150と重なり合う箇所は、縫合によって左右の補助カップ150に結合されている。
【0030】
これにより、左右の補助カップ150と左右のカップ140との間を、バストの形を整形できるパットの収容部として用いることができる。また、アンダーボーン160の中心部分161は、左右のカップ140のバストの中心で重なり合う箇所に縫合によって結合されている。これにより、左右のカップ140のバストの中心で重なり合う箇所の型崩れを防止できる。
【0031】
次に、
図3を参照し、上述した構成のブラジャー100の着用時での作用について説明する。なお、以下においては、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の長さがアジャスター171、181により、予めユーザーの体形に合わせて調整済みであるとする。
【0032】
まず、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180を腕に通しておく。次いで、アンダーベルト部110Aの第1バックベルト120のオスホック部121を、第2バックベルト130のメスホック部131に結合する。続いて、左右の第2ストラップ180を、肩まで引き上げる。このとき、左右の第2ストラップ180が左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げる。これにより、左右のバストの脇側に近い箇所がバストの中心方向に向け矢印b方向に沿って斜め上方に引き上げられる。言い換えれば、左右のバストの脇側に近い箇所がバストの中心方向に向けて寄せられつつ、上方に引き上げられることになる。
【0033】
このとき、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に結合されている第2ストラップ180の他端が、補助カップ150の上縁に結合されている一端の位置よりも内側(バストの中心寄り)にある。このため、第2ストラップ180による補助カップ150を引き上げる矢印b方向は、垂直方向に対しバストの中心側に向けて傾けられた状態で維持される。これにより、補助カップ150によって引き上げられたバストの脇側に近い箇所は、型崩れすることなく保持される。
【0034】
また、左右の第1ストラップ170を、肩まで引き上げる。このとき、左右の第1ストラップ170が左右のカップ140を矢印a方向に引き上げる。これにより、左右のカップ140に包まれているバストが矢印a方向に沿って斜め上方に引き上げられる。
【0035】
このとき、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に結合されている第1ストラップ170の他端が、カップ140の上縁に結合されている一端の位置よりも内側(バストの中心寄り)にある。このため、第1ストラップ170によるカップ140を引き上げる矢印a方向は、垂直方向に対しバストの中心側に向けて傾けられた状態で維持される。これにより、カップ140によって引き上げられたバストは、型崩れすることなく保持される。
【0036】
なお、左右の第1ストラップ170を先に肩まで引き上げてから、第2ストラップ180を肩まで引き上げてもよい。また、左右の第1ストラップ170と第2ストラップ180とを同時に肩まで引き上げてもよい。これらの場合、左右の第1ストラップ170と第2ストラップ180とを肩まで引き上げた状態であっても、補助カップ150の位置等の調整を容易に行える。
【0037】
また、ベースベルト110は、バストの下方を支える。ここで、ベースベルト110は、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130より伸縮性の低い素材で構成されている。このため、着用時に、ベースベルト110に第1バックベルト120、及び第2バックベルト130による水平方向の張力が加わっても、ベースベルト110の水平方向の延びが少なく、カップ140、及び補助カップ150が水平方向に引っ張られることがないため、快適な着用感を損なうことなく、しかもバストが型崩れしないようにバストを支えることができる。
【0038】
また、アンダーボーン160がベースベルト110と共に、バストの下方を支える。ここで、上述したように、アンダーボーン160の左右の補助カップ150と重なり合う箇所は、縫合によって左右の補助カップ150に結合されている。そのため、左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げることに伴い、アンダーボーン160の左右の補助カップ150と重なり合う箇所が矢印b方向に引き上げられるので、バストの型崩れ等を防止できることは勿論のこと、補助カップ150による左右のバストの脇側に近い箇所を寄せて上げるという効果が助長される。
【0039】
また、アンダーボーン160がバージスライン(下乳)に沿ってバストの下方を支えることから、バージスライン(下乳)をくっきりと形づけることができ、バストの形をより綺麗に整えることができる。ちなみに、たとえば一般に市販されているワイヤー有りのものにあっては、ワイヤーの湾曲形状がユーザーのバージスライン(下乳)に合わないと、バージスライン(下乳)をくっきりと形づけることができない。
【0040】
この点、本実施形態でのブラジャー100は、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180を矢印a、b方向に引き上げることで、アンダーボーン160がバージスライン(下乳)に沿いつつ、バージスライン(下乳)を持ち上げることができる。これにより、アンダーボーン160の変形がバージスライン(下乳)にフィットするため、様々な形のバストであっても、バージスライン(下乳)をくっきりと形づけることができ、バストの形をより綺麗に整えることができる。
【0041】
また、カップ140の内側の補助カップ150によって左右のバストの脇側に近い箇所を矢印b方向に沿って斜め上方に引き上げ、左右のバストの脇側に近い箇所を整えた後、カップ140によりバストを矢印a方向へ引き上げることにより、バスト全体の形が整えられるため、バストの形を容易に整えることができる。
【0042】
また、左右のバストの脇側に近い箇所が、補助カップ150、及びアンダーボーン160によって矢印b方向へ引き上げられる状態が維持されることで、バストの脇側に近い部分が徐々に背中や脇へ逃げてしまうことが抑えられるため、長時間に渡り、バストの型崩れを防止でき、バストのシルエットをきれいに見せることができる。
【0043】
また、左右のカップ140と左右の補助カップ150とで、バストの荷重を支えるので、それぞれのカップ140と補助カップ150とで、バストの荷重を分担して支えることができる。この場合、カップ140によるバストの荷重の支え力は、補助カップ150が無い場合に比べて小さくなるので、カップ140によるバストの型崩れ防止は勿論のこと、圧迫感が軽減されることから、快適な着用感が得られる。
【0044】
なお、アンダーボーン160をワイヤー有りとした場合、左右の補助カップ150が矢印b方向に引き上げられることに伴い、ワイヤーの両側部(補助カップ150と重なり合う箇所)が矢印b方向に引き上げられるので、ワイヤーによる圧迫感による痛み等を軽減しつつ、バストの型崩れ等をより効果的に防止できる。
【0045】
また、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180は、上述したように、伸縮性を有するものであるため、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180を肩にかけた状態であっても、バストを整えるための調整を容易に行うことができる。
【0046】
また、
図3の例では、左右の第2ストラップ180が首に寄った肩の位置に引き上げられた場合を示しているが、この例に限らず、第1ストラップ170が首に寄った肩の位置に引き上げられていてもよい。いずれにしても、ユーザーの好みに応じて第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の肩への引き上げ位置を決めればよい。
【0047】
次に、
図4及び
図5を参照し、上述した構成のブラジャー100の着用時での他の作用について説明する。なお、以下においては、上記同様に、第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の長さがアジャスター171、181により、予めユーザーの体形に合わせて調整済みであるとする。
【0048】
まず、
図4に示すように、たとえば第2ストラップ180のアジャスター181を操作し、第2ストラップ180を長めに調整しておく。次いで、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180を腕に通しておく。続いて、たとえば左右の第2ストラップ180を、肩まで引き上げ、さらに頭上越しに反対側の肩まで移動させる。
【0049】
つまり、左右の第2ストラップ180を首を挟んでクロスさせるようにして肩にかける。このとき、左右の第2ストラップ180が左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げる。これにより、左右のバストの脇側に近い箇所がバストの中心方向に向け矢印b方向に沿って斜め上方に引き上げられる。この場合、
図3で説明した第2ストラップ180の垂直方向に対する矢印b方向の傾きに比べ、第2ストラップ180を首を挟んでクロスさせたときの垂直方向に対する矢印b方向の傾きが大きくなる。このため、左右のバストの脇側に近い箇所をバストの中心方向に向けてより効果的に寄せることができる。また、第2ストラップ180は、首を挟んでクロスさせるように着用されるので、肩からズレ落ちることが無くなる。
【0050】
また、左右の第1ストラップ170を、肩まで引き上げる。このとき、左右の第1ストラップ170が左右のカップ140を矢印a方向に引き上げる。これにより、左右のカップ140に包まれているバストが矢印a方向に沿って斜め上方に引き上げられる。
【0051】
このとき、
図5に示すように、ブラジャー100の背面側では、左右の第2ストラップ180には矢印b1方向への張力が働き、左右の第1ストラップ170には矢印a1方向への張力が働く。これにより、左右の第2ストラップ180による左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げる張力と、左右の第1ストラップ170による左右のカップ140を矢印a方向に引き上げる張力とを安定させることができ、カップ140及び補助カップ150によるバストの引き上げ効果等を長時間に渡って維持できる。
【0052】
なお、
図4及び
図5の例では、左右の第2ストラップ180を、首を挟んでクロスさせて肩にかけるようにしているが、これに限らず、第1ストラップ170を、首を挟んでクロスさせて肩にかけるようにしてもよい。これにより、また、左右の第1ストラップ170は、首を挟んでクロスさせるように着用されるので、カップ140のバストの引き上げ効果が高められるとともに、左右のバストの脇側に近い箇所をバストの中心方向に向けて寄せる効果も得られ、しかも肩からズレ落ちることが無くなる。
【0053】
また、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180を、首を挟んでクロスさせて肩にかけるようにしてもよい。これにより、カップ140及び補助カップ150によるバストの引き上げ効果等が高められるとともに、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の肩からのズレ落ちが無くなる。
【0054】
このように、本実施形態でのブラジャー100は、バストを包み込む左右のカップ140と、バストの脇側に近い箇所を包み込む左右の補助カップ150と、背側で結合する結合部(オスホック部121、及びメスホック部131)を有するアンダーベルト部110Aと、一端がカップ140に結合され、他端がアンダーベルト部110Aに結合された第1ストラップ170と、一端が補助カップ150に結合され、他端がアンダーベルト部110Aに結合された第2ストラップ180とを備えている。
【0055】
これにより、ブラジャー100の着用時においては、第1ストラップ170に結合されたカップ140と、第2ストラップ180に結合された補助カップ150とで、バストを支えることにより、補助カップ150が左右のバストの脇側に近い箇所を、より効果的に内側に寄せつつ持ち上げることができる。これにより、バストアップ効果をもたらすことは勿論のこと、バストの形を容易に整えたり、バストのシルエットをきれいに見せたりすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、
図1(a)、(b)に示したように、補助カップ150をカップ140の内側に設けた場合としているが、この例に限定されるものではない。すなわち、たとえば
図6に示すように、補助カップ150をカップ140の表側に設けてもよい。
【0057】
このようにすると、カップ140に結合されている第1ストラップ170を肩にかけて左右のバストの形を整えてから、補助カップ150に結合されている第2ストラップ180を肩にかけることで、左右のバストの脇側に近い箇所の形を整えつつ、左右のバストを寄せて上げることができる。
【0058】
また、本実施形態では、
図2(a)、(b)に示したように、第1ストラップ170の他端の外側に第2ストラップ180の他端が位置するように、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の他端を、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に縫合によって結合した場合としてるが、この例に限るものではない。
【0059】
すなわち、たとえば
図7(a)に示すように、第1ストラップ170の他端の内側に第2ストラップ180の他端が位置するように、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の他端を、第1バックベルト120、第2バックベルト130に縫合によって結合してもよい。
【0060】
このようにすると、着用時においては、
図1(b)に示したように、第1バックベルト120のオスホック部121を第2バックベルト130のメスホック部131に結合したとき、第1ストラップ170の他端が第2ストラップ180の他端の内側に位置する。これにより、着用時においては、第1ストラップ170の他端が、第1ストラップ170のカップ140の上縁に結合されている一端よりさらに内側に位置するので、
図3で説明した第1ストラップ170の垂直方向に対する矢印a方向の傾きに比べ、第1ストラップ170の他端を第2ストラップ180の他端の内側に位置させたときの垂直方向に対する矢印a方向の傾きが大きくなり、カップ140によるバストの引き上げ効果が高められるとともに、左右のバストの脇側に近い箇所をバストの中心方向に向けて寄せる効果も助長される。
【0061】
また、たとえば
図7(b)に示すように、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の他端を、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に縫合によって結合するに際し、第1ストラップ170の他端と第2ストラップ180の他端とを同位置とするようにしてもよい。
【0062】
このようにすると、左右の第1ストラップ170、及び第2ストラップ180の他端の第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に対する縫合による結合位置を一箇所にまとめることができる。
【0063】
また、
図1(a)、(b)に示したように、第1ストラップ170の他端と、第2ストラップ180の他端とを、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に縫合によって結合した場合としてるが、この例に限るものではない。
【0064】
すなわち、たとえば
図8に示すように、第1ストラップ170の他端と、第2ストラップ180の他端とを、ブラジャー100の前から首の後ろに回して結んだホルターネックと呼ばれる結び方により、第1ストラップ170と、第2ストラップ180とを肩にかけるようにしてブラジャー100を着用してもよい。
【0065】
このようにすると、バックレスドレス(背中の大きく開いたドレス)やバックレストップ等の衣類との組み合わせにおいて、違和感なく着用できるばかりか、バストのシルエットをよりきれいに見せたりすることが可能となる。
【0066】
なお、
図8では、第1ストラップ170の他端と、第2ストラップ180の他端とを、首の後ろで結んだ場合を示しているが、この例に限らず、第1ストラップ170の他端、又は第2ストラップ180の他端の何れか一方を首の後ろで結び、他方の第1ストラップ170の他端、又は第2ストラップ180の他端を第1バックベルト120、及び第2バックベルト130に縫合によって結合してもよい。
【0067】
このようにすると、バックレスドレス(背中の大きく開いたドレス)やバックレストップ等の衣類以外の組み合わせにおいても、アクセント効果を併せて高めることができる。
【0068】
また、第2ストラップ180の他端の結合位置については、
図1(a)、(b)に示したように、第1バックベルト120、及び第2バックベルト130としているが、この例に限るものではない。
【0069】
すなわち、
図9(a)、(b)に示すように、第2ストラップ180の一端が結合されている補助カップ150と隣り合う補助カップ150の内側(装着時においてバストの内側に位置する箇所)に縫合によって結合してもよい。この場合、たとえば第2ストラップ180の他端を、アンダーボーン160と重なる箇所に結合すると、第2ストラップ180による張力がアンダーボーン160を介して補助カップ150全体に作用する。これにより、補助カップ150による左右のバストの寄せ上げ効果がさらに高められる。
【0070】
そして、着用時においては、たとえば
図5に示したように、左右の第2ストラップ180を首を挟んでクロスさせるようにして肩にかける。また、左右の第1ストラップ170を、肩まで引き上げる。この場合、たとえば
図4に示したように、左右のカップ140に包まれているバストが矢印a方向に沿って斜め上方に引き上げられる。また、左右の第2ストラップ180が左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げる。
【0071】
具体的には、
図9(a)、(b)のように、第2ストラップ180の他端が隣り合う補助カップ150の内側を矢印b2方向に引き上げる。また、左右の第2ストラップ180による左右の補助カップ150を矢印b2方向に引き上げる張力により、左右のバストが内側に寄せられつつ上方に持ち上げられる。
【0072】
これにより、左右のバストの脇側に近い箇所をバストの中心方向に向けてより効果的に寄せることができるばかりか、カップ140及び補助カップ150によるバストの引き上げ効果等を長時間に渡って維持できる。しかも、左右の第2ストラップ180が左右の補助カップ150を矢印b2方向に引き上げるので、カップ140によるバストの持ち上げ力である、左右の第1ストラップ170の張力を緩くしても、第2ストラップ180による補助カップ150の持ち上げ効果により、バストの引き上げ効果等を長時間に渡って維持できる。
【0073】
この場合、カップ140によるバストへの圧迫感が軽減されるため、違和感を感じることなく長時間に渡って着用できる。また、第1ストラップ170の張力を緩くし、バストへの圧迫感が軽減されることから、たとえば授乳時においては第1ストラップ170の張力をさらに緩めることなく、授乳できる位置までカップ140を容易にめくることができる。
【0074】
また、第2ストラップ180の他端の結合位置については、
図10(a)、(b)に示すようにしてもよい。
【0075】
すなわち、第2ストラップ180の一端が結合されている補助カップ150と隣り合う補助カップ150の外側(装着時においてバストの外側に位置する箇所)に縫合によって結合してもよい。この場合、たとえば第2ストラップ180の他端を、アンダーボーン160と重なる箇所に結合すると、上記同様に、第2ストラップ180による張力がアンダーボーン160を介して補助カップ150全体に作用するため、補助カップ150による左右のバストの寄せ上げ効果がさらに高められる。
【0076】
そして、着用時においては、上記同様に、左右の第2ストラップ180を首を挟んでクロスさせるようにして肩にかける。また、左右の第1ストラップ170を、肩まで引き上げる。この場合、たとえば
図4に示したように、左右のカップ140に包まれているバストが矢印a方向に沿って斜め上方に引き上げられる。また、左右の第2ストラップ180が左右の補助カップ150を矢印b方向に引き上げる。
【0077】
具体的には、
図10(a)、(b)のように、第2ストラップ180の他端が隣り合う補助カップ150の外側を矢印b3方向に引き上げる。また、左右の第2ストラップ180による左右の補助カップ150を矢印b3方向に引き上げる張力により、左右のバストが内側に寄せられつつ上方に持ち上げられる。
【0078】
このように、第2ストラップ180の他端が隣り合う補助カップ150の外側を矢印b3方向に引き上げることになるので、
図9(a)、(b)に示したように、第2ストラップ180の他端が隣り合う補助カップ150の内側を矢印b2方向に引き上げる場合に比べ、左右のバストの寄せ上げをさらに効率良く行うことができる。また、第2ストラップ180の他端が隣り合う補助カップ150の外側を矢印b3方向に引き上げることになるので、補助カップ150によるバストに対する寄せ上げ力が増大し、大きい胸を小さく見せたい女性にとってはサラシを巻いたりする必要がなくなる。
【0079】
なお、上述したブラジャー100にあっては、日中の使用を想定した説明としているが、この例に限らず、就寝中等で使用するナイトブラとしても使用可能である。すなわち、上述したように、アジャスター171、又は181の調整でカップ140、又は補助カップ150の第1ストラップ170、又は第2ストラップ180の張力を容易に緩めることができることにより、ほどよく胸を理想の形でホールドすることができることから、ナイトブラとしても使用可能となる。このように、ブラジャー100がナイトブラとしても使用可能となることで、日中又は就寝中等でのブラジャー100の付け替えによる煩わしさを解消することができるばかりか、ブラジャー100の使い分けも不要となる。
【0080】
なお、本実施形態では、本発明のカップを有する衣類を、ブラジャー100に適用した場合として説明したが、この例に限らず、水着、スポーツブラ等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
100 ブラジャー
110 ベースベルト
110A アンダーベルト部
120 第1バックベルト
121 オスホック部
130 第2バックベルト
131 メスホック部
140 カップ
150 補助カップ
160 アンダーボーン
161 中心部分
170 第1ストラップ
171、181 アジャスター
180 第2ストラップ