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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】収納装置及び収納システム
(51)【国際特許分類】
   G07F 17/12 20060101AFI20230707BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230707BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G07F17/12
E05B49/00 B
E05B65/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019001309
(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公開番号】P2020112874
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】300076563
【氏名又は名称】原 周平
(74)【代理人】
【識別番号】100081455
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100170966
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】原 周平
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175219(JP,A)
【文献】特開2016-061114(JP,A)
【文献】特開2006-058975(JP,A)
【文献】特開2006-117345(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012004489(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 17/00 - 17/42
E05B 1/00 - 85/28
G06Q 10/00 - 10/30,
30/00 - 30/08,
50/00 - 50/20,
50/26 - 99/00
G16Z 99/00
A47G 29/00 - 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の鍵を収納可能な収納部と、前記収納部の施錠及び解錠の入力操作可能な操作部と、前記鍵の貸出者のIDに対して1又は複数のパスワードを含む認証情報を設定可能な情報格納部と、前記入力操作及び前記認証情報により前記収納部を施錠及び解錠する制御部と、を備え、
前記制御部には、前記収納部に対する前記鍵の入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作が選択可能に予め設定され、前記鍵の入庫操作時に前記認証情報である1又は複数のパスワードが設定されることで、前記鍵の貸出者と借受者とが共通の前記パスワードを用い、前記出庫操作及び前記返却操作は前記パスワードにより認証され、前記回収操作は、貸出者のID及びパスワードによって認証されることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入庫操作で設定された前記パスワードを前記貸出者の貸出者端末に通知することを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記情報格納部には回収予定が設定可能であり、前記回収予定で前記回収操作が実行されないときに、前記制御部から前記貸出者端末に回収催促を通知することを特徴とする請求項2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記収納部及び前記操作部は、集合住宅における共同玄関の外部から前記出庫操作及び前記返却操作が可能に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の収納装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の収納装置と、前記情報格納部における管理情報をネットワークを介して管理する管理サーバと、を備えたことを特徴とする収納システム。
【請求項6】
前記貸出者の貸出者端末が前記管理情報を送受信可能に前記収納装置及び前記管理サーバと前記ネットワークを介して接続されている請求項5に記載の収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置及び収納システムに関し、特に部屋の鍵を収納して貸出者と借受者との間で受渡すための収納装置及び収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅の共用部等に設置されて宅配便等のサービスに利用される収納装置が知られている(下記特許文献1参照)。このような収納装置では、荷物が収納される各収納ボックスが施錠可能に構成されており、宅配業者が荷物を収納ボックスに収納する際、パスワードを入力して施錠し、そのパスワードを居住者に通知して使用されている。
【0003】
一方、荷物を受取る居住者は、そのパスワードを入力することで各収納ボックスを解錠して、収納された荷物を取出していた。使用された収納ボックスは荷物を取り出すことでリセットされ、次の利用に供されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-48014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、集合住宅の居住者が、ハウスキーパーを依頼したり、民泊等に利用したり、賃貸や売出しのために他人に内見させるようなことが頻発してきている。そのような場合、居住者が自宅の鍵を、一旦、他人に貸出し、使用後、借受けた他人が再び居住者に返却するような鍵の受け渡しが必要になる。
【0006】
その際、貸出者の居住者と借受者の他人とが直接会って鍵を受渡すことがあるが、鍵の受渡しに著しく手間を要する。また数字を合わせて開閉する簡易な収容体に鍵を収容して受け渡すことがあるが、不法に鍵や部屋を使用され易く確実性が著しく低い。
そのため宅配ボックス等の収納ボックスを利用して鍵を受け渡すことが要望されている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、貸出者と借受者とが直接会って鍵を受渡す必要がなく、収納部を介して鍵の受渡しを容易且つ安全に行うことができる収納装置及び収納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明の収納装置は、部屋の鍵を収納可能な収納部と、前記収納部の施錠及び解錠の入力操作可能な操作部と、前記鍵の貸出者のIDに対して1又は複数のパスワードを含む認証情報を設定可能な情報格納部と、前記入力操作及び前記認証情報により前記収納部を施錠及び解錠する制御部と、を備え、前記制御部には、前記収納部に対する前記鍵の入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作が選択可能に予め設定され、前記鍵の入庫操作時に前記認証情報である1又は複数のパスワードが設定されることで、前記鍵の貸出者と借受者とが共通の前記パスワードを用い、前記出庫操作及び前記返却操作は前記パスワードにより認証され、前記回収操作は、貸出者のID及びパスワードによって認証されることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の収納装置では、前記制御部は、前記入庫操作で設定された前記パスワードを前記貸出者の貸出者端末に通知するものであってもよい。
【0013】
また、本発明の収納装置では、前記情報格納部には前記回収予定が設定可能であり、前記回収予定で前記回収操作が実行されないときに、前記制御部から前記貸出者端末に回収催促を通知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の収納装置。
【0014】
また、本発明の収納装置では、前記収納部及び前記操作部は、集合住宅における共同玄関の外部から前記出庫操作及び前記返却操作が可能に配設されていてもよい。
【0015】
上記目的を達成する本発明の収納システムは、上述の何れか1つの収納装置と、前記情報格納部における管理情報をネットワークを介して管理する管理サーバと、を備えたことを特徴としている。
【0016】
本発明の収納システムでは、前記貸出者の貸出者端末が前記管理情報を送受信可能に前記収納装置及び前記管理サーバと前記ネットワークを介して接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の収納装置及び収納システムによれば、貸出者と借受者とが共通の認証情報を用いて収納部を開閉し、鍵の入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作を行えるので、貸出者と借受者とが直接会って部屋の鍵を受渡す必要がなく、収納部を介して鍵の受渡しを容易且つ安全に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態における収納システムの構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態における収納装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態における収納装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態における管理サーバの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態における情報格納部を説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態における情報格納部が格納する貸出者データベースを示す表である。
図7】本発明の第1実施形態における情報格納部が格納する収納部データベースを示す表である。
図8】本発明の第1実施形態における情報格納部が格納する履歴データベースを示す表である。
図9】本発明の第1実施形態における収納システムの動作を説明する図であり、操作を選択する流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の第1実施形態における収納システムの動作を説明する図であり、入庫操作の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の第1実施形態における収納システムの動作を説明する図であり、出庫操作の流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の第1実施形態における収納システムの動作を説明する図であり、返却操作の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の第1実施形態における収納システムの動作を説明する図であり、回収操作の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の第2実施形態における収納装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
<第1実施形態>
(収納システムの全体構成)
図1は、本実施形態における鍵受け渡し用の収納システムの構成を示す図である。
この収納システムは、集合住宅の居住者である貸出者と、民泊者、ハウスキーパー、これらの仲介業者等の特定の部外者と、の間で、部屋の鍵を受け渡しするために使用されるシステムの例である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の収納システムは、集合住宅の共同玄関に配設される宅配ボックスXの一部に組み込まれた収納装置10と、居住者である貸出者及び収納装置10の各種管理情報を管理する管理サーバ20と、を備え、これらがネットワーク30を介して接続されている。
また、貸出者の貸出者端末40がネットワーク30を介して収納装置10及び管理サーバ20と各種の管理情報を送受信可能に接続されて構成されている。
【0021】
収納装置10は、図2図4に示すように、部屋の鍵を収納可能な複数の首脳部11と、各種の情報や案内を表示する表示部12と、各収納部11の施錠及び解錠並びに開閉の入力操作が可能な操作部13と、収納部11の施錠及び解錠並びに開閉の動作を制御する制御部14と、ネットワーク30を介して各種の情報を送受信する通信部15と、管理サーバ20に設けられ、認証情報等の収納装置10の各種管理情報を設定して登録可能な情報格納部21と、を備えている。
【0022】
各収納部11は、部屋の鍵を収納可能な収納室16と、収納室16を開閉する開閉扉17と、開閉扉17を開閉駆動する開閉機構(図示せず)と、開閉扉17を施錠及び解錠可能なロック機構(図示せず)と、各部の動作を制御する制御部14と、を備えている。
操作部13は、タッチパネル等からなり表示部12と一体に設けられた表示入力部18と、IDカードなどの読取部19と、を備えている。本実施形態では、この操作部13は、鍵の収納部11以外の宅配ボックスXの開閉操作も共通に使用可能に構成されている。
【0023】
これらの収納部11及び操作部13は、集合住宅におけるオートロック機構が設けられた共同玄関の外部から鍵を借り受ける借受者が操作可能に配設されている。本実施形態では、さらに、貸出者が収納部11及び操作部13を共同玄関の内部から操作可能に構成されていてもよい。
【0024】
制御部14は、操作部13の入力操作の情報、情報格納部21の認証情報等の管理情報などに基づいて、各収納部11に設けられた開閉機構及びロック機構の動作を制御するとともに、表示部12及び通信部15を制御して各種情報を表示したり送受信したりすることが可能に構成されている。
【0025】
この制御部14には、貸出者がカギを入庫して収納部11を施錠する入庫操作と、借受者が収納部11を解錠して鍵を出庫する出庫操作と、借受者が出庫した鍵を返却して収納部11を施錠する返却操作と、貸出者が収納部11を解錠して鍵を回収する回収操作と、が、予め設定されており、操作部13により選択可能となっている。
【0026】
管理サーバ20は、図4及び図5に示すように、収納装置10を管理するための認証情報等の各種管理情報を設定して登録可能な情報格納部21と、ネットワーク30を介して指令や情報等を送受信する通信部22と、ネットワーク30を介して伝達された指令に基づいて情報格納部21の動作制御を行うサーバ制御部23と、を備えている。
【0027】
情報格納部21には、図5に示すように、複数の貸出者に関する情報が予め設定及び登録された貸出者データベース21aと、複数の収納部11に関する情報が適宜設定、登録、リセット可能に格納された収納部データベース21bと、複数の収納部11の動作履歴が順次格納される履歴データベース21cと、を備えている。
【0028】
貸出者データベース21aは、図6に示すように、共同住宅の複数の居住者名、部屋番号、認証情報であるID番号、通知連絡先などの情報が予め格納されている。貸出者データベース21aの各情報は、通常は居住者に普遍に設定されているため、収納システムを使用する際に貸出者が入力する作業は不用である。
【0029】
収納部データベース21bは、図7に示すように、収納部11の番号、現在の使用状況、現在使用中の貸出者のID、認証情報である現在のパスワード、貸出者の回収予定日などの情報が格納されている。
収納部データベース21bの情報は、貸出者と借受者との間の一連の受け渡しごとに、収納装置10の操作部13や貸出者端末40から入力され、管理サーバ20の情報格納部21に登録されるように構成されている。
【0030】
収納部データベース21bは、図7(a)に示すように、収納部11の番号、現在の使用状況、現在使用中の貸出者のID、認証情報である現在のパスワード、貸出者の回収予定日などの情報が格納されている。
また、図7(b)に示すように、1つの収納部11を数日間占有し、かつ、複数の借受人に対して鍵を貸し出す場合には、1つの収納部11に対して開閉するための複数のパスワードを設定することも可能であり、または、貸出者が自身の貸出者IDに対して複数のパスワードを設定することも可能である。
【0031】
また、設定したパスワードごとに、収納部11の利用可能日又は利用可能時間を設定することも可能である。図示するように、貸出者は、自身の貸出者IDに対して、パスワード「9876」は平成30年9月15日(8:00~17:00)、パスワード「8765」は平成30年9月16日(14:00~17:00)、パスワード「7654」は平成30年9月17日(8:00~19:00)、パスワード「6543」は、平成30年9月18日(10:00~12:00)といったような設定を行うことが可能である。
【0032】
また、収納部データベース21bの各情報は、貸出者が借受者との間で鍵を貸出して使用後に回収されるごとに、即ち、回収操作が行われるごとに解除されて情報格納部21の収納部データベース21bがリセットされるように構成されている。
【0033】
履歴データベース21cは、図8に示すように、貸出者と借受者との間の受渡しにおける各操作の日時の履歴、入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作のそれぞれが行われた日時が、収納部11ごとに記録されている。
【0034】
このような情報格納部21の各データベース21a~21cに登録された情報は、必要に応じてネットワーク30を介して、収納装置10の制御部14により取得して活用可能に構成されている。
特に、貸出者データベース21aに登録された貸出者のID及び収納部データベース21bのパスワードは、収納部11の開閉の際に取得し、制御部14において貸出者や借受者の認証成否に使用される。
【0035】
制御部14では、貸出者と借受者とが共通に認証情報を用いることで、入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作の少なくとも一部、好ましくは全部において認証可能に構成されている。本実施形態では、操作容易のために、入庫操作及び出庫操作ではパスワードによって認証可能とし、回収操作では貸出者のIDにより認証可能とする。
【0036】
また、情報格納部21に登録されているパスワードは、制御部14により、貸出者の貸出者端末40に通知するように構成されている。
さらに、情報格納部21には、貸出者により回収予定が設定可能であり、回収予定内に回収操作が実行されないときに、制御部14から貸出者端末40に回収操作を催促する通知が送信されるように構成されている。
【0037】
ここでは貸出者端末40は、集合住宅の各住戸の居住者が操作する情報処理端末であって貸出者に通知可能なものであれば特に制限はなく、例えばデスクトップ型又はノートブック型PC、あるいは、スマートフォン、携帯電話機、PHS又はPDA等の携帯端末であってもよい。
【0038】
(収納システムの動作)
次に、以上のような収納システムの動作について説明する。
図9は、操作を選択する流れを説明するフローチャートである。
ここでは、操作を開始する前に、管理サーバ20には貸出者データベース21aが予め登録された状態となっている。
収納システムを使用するには、まず、居住者である貸出者は、操作部13の表示入力部18において利用者選択を行う(ステップS101)。ここで、貸出者は、表示入力部18に表示されている居住者を選択する(ステップS102/YES)。
【0039】
制御部14において居住者が選択されると、次に、表示入力部18に入庫操作又は回収操作を選択する選択画面が表示される(ステップS103)。
貸出者が入庫操作を選択することで(ステップS104/YES)、制御部14において入庫操作の動作が開始される。
【0040】
図10は入庫操作の流れを示すフローチャートである。制御部14において入庫操作の動作が開始されると、操作部13によりIDの認証処理が行われ、読取部19で貸出者のIDカードを読込み(ステップS201)、管理サーバ20の貸出者データベース21aから登録IDを取得し(ステップS202)、貸出者の認証を行う(ステップS203)。認証が成功すると(ステップS203/YES)、制御部14により収納部11の開閉機構が制御されて開閉扉17が開く(ステップS204)。
これにより貸出者は部屋の鍵を収納室16に収納することで入庫し(ステップS205)、確認して開閉機構により開閉扉17を閉じる(ステップS206)。
【0041】
制御部14の表示入力部18では、パスワードが要求され、貸出者は表示入力部18によりパスワードを入力して設定する(ステップS207)。
このパスワードは管理サーバ20の情報格納部21における収納部データベース21bに登録される(ステップS208)。本実施形態では、さらに収納部データベース21bには使用状況として使用中であることが記録される。この使用状況は、後述する貸出者の回収操作が終了するまで継続して使用中とされ、入庫操作から回収操作までが同一の収納部11を使用して行われる。
【0042】
また制御部14では設定したパスワードを貸出者端末40に通知し(ステップS209)、その通知が貸出者端末40に受領される(ステップS210)。
制御部14では、パスワードが設定されることで収納部11のロック機構により開閉扉17を施錠する(ステップS211)。
【0043】
この一連の動作で鍵が収納部11に入庫され、情報格納部21の履歴データベース21cに入庫の日時等の入庫履歴が記録される(ステップS212)。
また制御部14の表示入力部18では、さらに回収予定の入力が要求され、鍵を借受者が使用した後で貸出者が回収する回収予定の日付を貸出者が入力して設定する(ステップS213)。この回収予定は情報格納部21の収納部データベース21bに登録され(ステップS214)、さらに制御部14から貸出者端末40に回収予定が通知され(ステップS215)、貸出者端末40に受領される(ステップS216)。
これにより入庫操作は完了する。
【0044】
入庫された鍵を借受者が借り受けて使用するには、借受者が出庫操作を行う。
借受者は、まず図9のフローチャートに示すように、操作部13の表示入力部18において利用者選択を行う(ステップS101)。このとき、借受人は、表示入力部18において居住者以外を選択する(ステップS102/NO)。そして、制御部14において居住者ではないことが選択され、表示入力部18には出庫操作又は返却操作を選択する選択画面が表示される(ステップS106)。借受者が出庫操作を選択することで(ステップS107/YES)、制御部14において入庫操作の動作が開始される。
【0045】
図11は出庫操作の流れを示すフローチャートである。制御部14において出庫操作の動作が開始されると、操作部13の入力表示部12により収納部11の番号及びパスワードが要求され、借受者は入力表示部12に操作しようとする収納部11の番号とパスワードとを入力する(ステップS301)。
収納部11の番号及びパスワードは、貸出者が入庫操作の際に使用したものであり、収納システムとは別に貸出者から借受者に予め通知されている。
【0046】
制御部14では、管理サーバ20から収納部11の番号及び対応するパスワードを読み込んで取得し(ステップ302)、入力された番号及びパスワードの認証を行う(ステップS303)。認証が成功すると、制御部14により収納部11のロック機構が解錠され(ステップS304)、開閉機構により開閉扉17が開く(ステップS305)。
【0047】
この状態で、借受者は収納室16から鍵を取り出して出庫し(ステップS306)、開閉機構により開閉扉17を閉じる(ステップS307)。
また情報格納部21の履歴データベース21cには、出庫の日時等の出庫履歴が記録され(ステップS308)、さらに制御部14から出庫通知が発信され(ステップS309)、貸出者端末40で受領される(ステップS310)。
これにより借受者による出庫操作が完了する。
その後、借受者は出庫された鍵を使用して、貸出者の部屋へ入室して所期の目的に使用することができる。
【0048】
鍵の使用が終了した後には、借受者は鍵を返却するための返却操作を行う。
借受者は、図9のフローチャートに示すように、操作部13の表示入力部18において利用者選択を行う(ステップS101)。そして、居住者以外を選択する(ステップS102/NO)。次に、表示入力部18には出庫操作又は返却操作を選択する選択画面が表示され(ステップS106)、借受者が返却操作を選択することで(ステップS107/NO)、制御部14において返却操作が選択されて(ステップS108)、返却操作の動作が開始される。
【0049】
図12は返却操作の流れを示すフローチャートである。制御部14において返却操作の動作が開始されると、操作部13の入力表示部12により収納部11の番号及びパスワードが要求され、借受者は入力表示部12に操作しようとする収納部11の番号とパスワードとを入力する(ステップS401)。
このとき収納部11は出庫操作を行った収納部11で、返却操作で収納部11の番号は出庫時と同一であり、さらにパスワードも出庫操作の際に使用したものと同一である。
【0050】
制御部14では、管理サーバ20から収納部11の番号のパスワードを読み込んで取得し(ステップS402)、認証を行う(ステップS403)。認証が成功すると(ステップS403/YES)、収納部11の開閉扉17が開閉機構により開く(ステップS404)。
【0051】
この状態で、借受者は収納室16に鍵を収納して返却し(ステップS405)、開閉機構により開閉扉17を閉じる(ステップS406)。さらに制御部14により収納部11のロック機構が施錠される(ステップS407)。
また情報格納部21の履歴データベース21cには、返却の日時等の返却履歴が記録され(ステップS408)、さらに制御部14から貸出者端末40に返却通知が発信され(ステップS409)、貸出者端末40で受領される(ステップS410)。
これにより借受者による返却操作が完了する。
【0052】
本実施形態の収納システムでは、出庫操作と返却操作とを複数回行うことが可能であり、図12に示す返却操作と、図11に示す出庫操作とを交互に繰り返すことが可能である。
そして単数又は複数の返却処理が完了した後には、貸出者による回収操作を行うことができる。
【0053】
回収操作では、図9のフローチャートに示すように、操作部13の表示入力部18において利用者選択を行う(ステップS101)。そして、貸出者は居住者を選択し(ステップS102/YES)、次に、表示入力部18には入庫操作又は回収操作を選択する選択画面が表示され(ステップS103)、貸出者が回収操作を選択することで(ステップS104/NO)、制御部14において回収操作が選択されて、回収操作の動作が開始される。
【0054】
図13は回収操作の流れを示すフローチャートである。制御部14において回収操作の動作が開始されると、操作部13の入力表示部12により収納部11の番号と、ID入力又はパスワードが要求される。貸出者は入力表示部12に操作しようとうる収納部11の番号を入力し、読取部19によりIDカードを読込むか、入力表示部12によりパスワードを入力する(ステップS501)。
このとき収納部11は出庫操作を行った収納部11で、返却操作で収納部11の番号は出庫時と同一であり、さらにパスワードも出庫操作の際に使用したものと同一である。
【0055】
制御部14では、管理サーバ20から貸出者のIDまたは収納部11のパスワードを読み込んで取得し(ステップS502)、認証を行う(ステップS503)。認証が成功すると、制御部14により収納部11のロック機構が解錠され(ステップS504)、収納部11の開閉扉17が開閉機構により開く(ステップS505)。
【0056】
この状態で、貸出者は収納室16から鍵を取り出して回収する(S506)。
その後、開閉機構により開閉扉17を閉じ(ステップS507)、さらに情報格納部21の履歴データベース21cに、回収の日時等の回収履歴が記録される(ステップS508)。
そして、収納部11と管理サーバ20の情報格納部21における収納部データベース21bがリセットされ、使用状況として空きであることが記録される。
これにより貸出者による回収操作が完了し、収納部11が他の貸出者が使用可能な状態にリセットされる。
【0057】
次に、このような鍵受渡用の収納システムの使用例について説明する。
まず鍵の貸出者が集合住宅の居住者であって、鍵の借受者がハウスキーパーの場合、居住者が外出するときに、鍵を収納システムの収納部11に入庫して施錠し、収納部11の番号とパスワードとをハウスキーパーに通知しておく。
すると不在時にハウスキーパーは、収納システムの収納部11を解錠して鍵を出庫し、当該居住者の部屋に入室して必要なハウスキーパーの仕事を行うことができる。終了後には再び元の収納部11に鍵を返却して施錠しておく。
その後、居住者が帰宅したときに、収納部11を解錠して鍵を回収して自室に入出することができる。
【0058】
また鍵の貸出者が民泊を営む集合住宅のオーナーであって、鍵の借受者が民泊者の場合、オーナーは民泊者の予約を受けて、鍵を収納システムの収納部11に入庫して施錠し、部屋の番号、収納部11の番号及びパスワードを、民泊者に通知しておく。
すると民泊者は宿泊日に、収納システムの収納部11を解錠して鍵を出庫し、所定の部屋に入室して宿泊できる。宿泊期間が終了して退室するときには、民泊者は再び元の収納部11に鍵を返却して施錠しておく。
その後、オーナーは収納部11を解錠して鍵を回収して、次の民泊者のための清掃や準備を行うことができる。
【0059】
また、鍵の貸出者が集合住宅のオーナーであって、鍵の借受者が不動産業者の内見者の場合、オーナーが不動産業者に仲介を依頼後に、鍵を収納システムの収納部11に入庫して施錠し、収納部11の番号及びパスワードを、不動産業者に通知しておく。
すると不動産業者は、内見の希望者がくるたびに、収納システムの収納部11を解錠して鍵を出庫して内見希望者に室内を内見させ、終了後に元の収納部11に鍵を返却して施錠することを繰り返し行うことができる。
その後、仲介が成立した段階で、オーナーが鍵を回収して収納部11をリセットし、次の居住者に鍵を渡すことができる。
【0060】
さらに、上記のように鍵の貸出者が集合住宅のオーナーであって、数日にわたって、かつ借受者が日ごとに異なる場合に、その都度、収納部11を開閉させるためのパスワードを変更することも可能である。
例えば、4日間で日ごとに異なる借受人に対して鍵の貸し出しを行う場合、日ごとに収納部11を開閉させるためのパスワードを設定する。貸出者は、1日目は「9876」、2日目は「8765」、3日目は「7654」、4日目は「6543」といったようなパスワードを設定する。制御部14は、これら設定されたパスワードをそれぞれの借受人に対して通知することで、それぞれの借受人は、受け取ったパスワードを使用して収納部11を開閉し、鍵の出庫及び入庫を行う。
なお、パスワードの設定時に、各パスワードにおける収納部11の利用可能時間を設定することも可能である。
【0061】
このように、予め数日間にわたって鍵を貸し出す場合に、日ごとに鍵を入庫する収納部11を変える必要がなく、1つの収納部11を数日間にわたって占有することが可能となる。
【0062】
次に、このような収納システム及び収納装置の作用効果について説明する。
以上のような収納装置10によれば、鍵の貸出者と借受者とが情報格納部21に格納された共通の認証情報を用いて収納部11を開閉することで、収納部11への鍵の入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作ができるように構成されている。そのため貸出者と借受者とが直接会って部屋の鍵を受渡す必要がなく、収納部11を介して無人で鍵の受渡しを容易且つ安全に行うことができる。例えば集合住宅の各居住者が、民泊者、ハウスキーパー、内見者、これらの仲介業者等の特定の部外者との間で、自己の部屋の鍵の受渡しを容易且つ安全に行うことが可能となる。
【0063】
この収納装置10では、入庫操作、出庫操作、返却操作、及び回収操作が予め設定され、入庫操作で認証情報が設定されるとともに回収操作で認証情報が解除されるように構成されている。そのため貸出者が部屋の鍵を入庫し、借受者が鍵を出庫して使用した後で返却し、最後に貸出者が鍵を回収する一連の鍵の受渡しを、同じ収納部11及び同じ認証情報で使用して行うことができ、使い勝手がよい。
【0064】
ここで認証情報が貸出者のID及びパスワードを含み、出庫操作ではパスワードにより認証され、回収操作では貸出者のIDが認証されるので、貸出者は借受者毎に毎回異なるパスワードを設定していても、回収操作では毎回同じ貸出者のIDで鍵を回収することができ、使い勝手を向上できる。
【0065】
また、この実施形態の収納装置10では、入庫操作で設定されたパスワードが貸出者端末40に通知されるように構成されているので、貸出者が自身で設定したパスワードを忘れることを防止でき、円滑な使用が可能である。
【0066】
さらに、この実施形態の収納装置10では、回収予定に回収操作が実行されないときに、貸出者端末40に回収催促を通知するので、収納部11を特定の貸出者が過剰な期間占有するようなことを防止することができる。
【0067】
また、この実施形態の収納装置10では、集合住宅における共同玄関の外部から出庫操作及び返却操作可能に収納部11及び操作部13が配設されているので、集合住宅に居住する貸出者と外部の借受者との間で部屋の鍵を確実に受渡すことができ、使い勝手がよい。
【0068】
そしてこのような収納装置10を用いた収納システムによれば、情報格納部21における管理情報をネットワーク30を介して管理する管理サーバ20を備えているので、収納装置10自体に設ける制御部14の構成を簡素化できるとともに情報格納部21の管理情報を安全に格納できる。
【0069】
さらにこの収納システムでは、貸出者の貸出者端末40が管理情報を送受信可能に収納装置10及び管理サーバ20とネットワーク30を介して接続されているので、貸出者の貸出者端末40により適宜管理情報を確認したり入出力したりすることができ、使い勝手を向上できる。
【0070】
<第2実施形態>
図14は第2実施形態における収納装置の構成を示すブロック図である。
第2実施形態の収納装置50は、情報格納部21が収納装置50の制御部14内に組み込まれている。そのため第1実施形態のようにネットワーク30を介して接続された管理サーバ20などは備えられていない。なお貸出者端末40とはネットワーク30を介して接続されいてもよい。
この収納装置50に組込まれた情報格納部21であっても、図5に示す第1実施形態の情報格納部21と同様の各データベース21a~21cを備えている。
その他の構成は第1実施形態の収納装置10と同様である。
【0071】
このような構成の収納装置50であっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも第2実施形態の収納装置50では、管理サーバ20等を設ける必要がないため、構成をより簡素化することができる。
【0072】
なお上記各実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば上記各実施形態では、貸出者の貸出者端末40が収納装置10,50及び管理サーバ20とネットワーク30を介して接続されている例について説明したが、貸出者の貸出者端末40との通信機能なしで収納装置10を構成してもよい。
また上記実施形態では、収納システムや収納ボックス10,50を宅配ボックスXの一部に設けたが、宅配ボックスXではなくて収納ボックス10,50を独立に設けることも当然に可能である。
また上記では、収納装置10,50をマンション等の集合住宅に設置したが、特に限定されるものではなく、オフィス、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の店舗や商業施設、又は駅や病院等の公共施設、機関等、多の場所に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
X 宅配ボックス
10,50 収納装置
11 収納部
12 表示部
13 操作部
14 制御部
15 通信部
16 収納室
17 開閉扉
18 表示入力部
19 読取部
20 管理サーバ
21 情報格納部
21a 貸出者データベース
21b 収納部データベース
21c 履歴データベース
22 通信部
23 サーバ制御部
30 ネットワーク
40 貸出者端末

図1
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