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特許7308619バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/00 20210101AFI20230707BHJP
   B22F 10/64 20210101ALI20230707BHJP
   B22F 10/66 20210101ALI20230707BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230707BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230707BHJP
   F01L 3/02 20060101ALI20230707BHJP
   F01L 3/20 20060101ALI20230707BHJP
   F16K 99/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B22F10/00
B22F10/64
B22F10/66
B33Y10/00
B33Y80/00
F01L3/02 J
F01L3/20 A
F01L3/20 D
F16K99/00
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019022323
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2019189940
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】1802405.9
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591005785
【氏名又は名称】ロールス・ロイス・ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS-ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・エム・ジェイ・プール
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015224756(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0102089(US,A1)
【文献】特開2017-150020(JP,A)
【文献】国際公開第2017/058237(WO,A1)
【文献】特表2011-514483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0186620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00
B22F 10/64
B22F 10/66
B33Y 10/00
B33Y 80/00
F01L 3/02
F01L 3/20
F16K 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素の製造方法であって、
積層造形を使用して第1の部品の第1の部分を形成する工程と、
前記第1の部品の前記第1の部分に第2の部品を付加する工程と、
積層造形を使用して前記第1の部品の第2の部分を形成する工程と
を備え、
前記第2の部品は、第1の材料を含有する第1の部分と、第2の材料を含有する第2の部分と、を備え、
前記第2の部品の前記第2の部分は、格子構造を有し、
前記第2の部品を付加する前記工程では、前記第2の部品の前記第1の部分の頂部上に前記第2の部品の前記第2の部分が位置するように、前記第1の部品の前記第1の部分に前記第2の部品が付加される
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2の部品の前記第1の部分の前記第1の材料は、前記第2の部品の前記第2の部分の前記第2の材料よりも大きい硬度を有する
方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第2の部分を形成する前記工程では、前記第2の部品の前記第2の部分が積層造形装置のエネルギー源と前記第2の部品の前記第1の部分との間に位置決めされる、
方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部分に前記第2の部品を付加する前記工程は、前記第2の部品の前記第1の部分を前記第1の部品の前記第1の部分に接触して配置する工程を備える
方法。
【請求項5】
バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素の製造方法であって、
積層造形を使用して第1の部品の第1の部分を形成する工程と、
前記第1の部品の前記第1の部分に第2の部品を付加する工程と、
積層造形を使用して前記第1の部品の第2の部分を形成する工程と
を備え
前記第1の部品の前記第2の部分を形成する前記工程は、前記第2の部品の頂部上に第3の部品を形成する工程を備え、
前記第3の部品は、格子構造を有する
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第2の部分を形成する前記工程では、前記第3の部品が積層造形装置のエネルギー源と前記第2の部品との間に位置決めされる、
方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の部品は、前記第1の部品の前記第2の部分を形成するプロセスによって、前記第1の部品に固定される
方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の部品は、前記第1の部品の前記第2の部分の形成後に、前記第1の部品内に封入される
方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品および前記第2の部品は、異なる材料から形成される
方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第1の部分および前記第2の部分は、同じ方式の積層造形プロセスを使用して形成される
方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第1の部分は、凹部を備え、
前記第1の部品の前記第1の部分に前記第2の部品を付加する工程は、前記第2の部品の少なくとも一部分を前記凹部内に挿入する工程を備える
方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法であって、
さらに、前記バルブを熱処理する工程を備える
方法。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の部品は、前記第1の部品よりも硬い
方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方は、レーザ/電子ビーム溶融/焼結プロセス、粉末床溶融結合プロセス、3D印刷プロセス、選択的レーザ焼結/溶融プロセス、ブラウンパウダープロセス、直接レーザ蒸着プロセス、フリーフォーム製造プロセス、付加層製造プロセス、ワイヤフィードプロセス、および、指向性エネルギー堆積プロセスのうちの少なくとも1つから形成される
方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の部品は、鋳造プロセス、鍛造プロセス、圧延プロセス、引き抜き加工、機械加工、熱間静水圧加圧(HIP)プロセス、および、積層造形プロセスのうちの少なくとも1つによって形成される
方法。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第1の部分は、基板上に形成され、
前記方法は、さらに、前記第1の部品の前記第1の部分を前記基板から取り外す工程を備える
方法。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載の方法であって、
さらに、前記第1の部品および前記第2の部品のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの面を機械加工する工程を備える
方法。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれか一項に記載の方法であって、
複数の第2の部品が前記第1の部品の前記第1の部分に付加される
方法。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の部品の前記第2の部分にさらなる第2の部品を付加する工程と、
積層造形を使用して前記第1の部品の第3の部分を形成する工程と
をさらに備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形を使用して、バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の選択的付加によって部品が形成され得る積層造形プロセスは、従来の造形方法または減法とは対照的に、様々な理由で望ましくなり得る。しかしながら、積層造形によって形成される部品は、幾つかの用途には、十分に硬くないことがあり、あるいは、硬質材料から形成されるべき部品の一部分のみにとって望ましいものになることがある。積層造形を使用して部品を形成し、次いで、当該部品上に1つ以上の耐摩耗性の面を形成することが従来から公知である。例えば、耐摩耗性の面は、溶接プロセス(例えば、プラズマ移行アーク(PTA)プロセス)を使用して皮膜形成され得る。これは、特に耐摩耗性の面が形成されるべき面へのアクセスが限定される場合に困難になる場合があり、また、高価な特注の自動工程および設備が必要になる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様によれば、バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素の製造方法が提供される。この方法は、積層造形を使用して第1の部品の第1の部分を形成する工程と、第1の部品の第1の部分に第2の部品を付加する工程と、積層造形を使用して第1の部品の第2の部分を形成する工程と、を備えている。
【0004】
第2の部品は、第1の材料を含有する第1の部分と、第2の材料を含有する第2の部分と、を備えていてもよい。第1の部分の第1の材料は、第2の部分の第2の材料よりも大きな硬度を有していてもよい。第1の部分は、表面硬化合金を含有していてもよい。
【0005】
第2の部品の第2の部分は、格子構造または半溶融材料を有していてもよい。
【0006】
第1の部分に第2の部品を付加する工程は、第2の部品の第1の部分を第1の部品の第1の部分に接触して配置する工程を備えていてもよい。
【0007】
第1の部品の第2の部分を形成する工程は、第2の部品の第1の部分の頂部に第3の部品を形成する工程を備えていてもよい。第3の部品は、格子構造または半溶融材料を有していてもよい。
【0008】
第2の部品は、第1の部品の第2の部分を形成するプロセスによって、第1の部品に固定されてもよい。
【0009】
第2の部品は、第1の部品の第2の部分を形成した後に、第1の部品内に封入されてもよい。
【0010】
第1および第2の部品は、異なる材料から形成されてもよい。
【0011】
第1の部品の第1および第2の部分は、同じ方式の積層造形プロセスを使用して形成されてよい。
【0012】
第1の部品の第1の部分は、凹部を備えていてもよく、第1の部品の第1の部分に第2の部品を付加する工程は、第2の部品の少なくとも一部分を凹部内に挿入する工程を備えている。
【0013】
この方法は、さらに、バルブを熱処理する工程をさらに備えていてもよい。
【0014】
第2の部品は、第1の部品よりも硬くてもよい。
【0015】
第1の部品の第1および/または第2の部分は、レーザ/電子ビーム溶融/焼結プロセス、粉末床溶融結合プロセス、3D印刷プロセス、選択的レーザ焼結/溶融プロセス、ブラウンパウダー(brown powder)プロセス、直接レーザ蒸着プロセス、フリーフォーム製造プロセス、付加層製造(additive layer manufacturing)プロセス、ワイヤフィードプロセス、および、指向性エネルギー堆積プロセスプロセスのうちの少なくとも1つから形成されてもよい。
【0016】
第2の部品は、鋳造プロセス、鍛造プロセス、圧延プロセス、引き抜き加工、機械加工、熱間静水圧加圧(HIP)プロセス、および、積層造形プロセスのうちの少なくとも1つによって形成されてもよい。
【0017】
第1の部品の第1の部分は、基板上に形成されてもよく、この方法は、さらに、第1の部品の第1の部分を基板から取り外す工程を備えている。
【0018】
この方法は、さらに、第1および第2の部品のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの面を機械加工する工程を備えていてもよい。
【0019】
複数の第2の部品が、第1の部品の第1の部分に付加されてもよい。
【0020】
この方法は、さらに、第1の部品の第2の部分にさらなる第2の部品を付加する工程と、積層造形を使用して第1の部品の第3の部分を形成する工程と、を備えていてもよい。
【0021】
第2の態様によれば、上述の段落のいずれかに記載された方法によって製造されるバルブ、または、バルブを形成するために使用される要素が提供される。
【0022】
第3の態様によれば、積層造形を使用して第1の部品の第1の部分を形成する工程を備える、物体の製造方法が提供される。第2の部品が、第1の部品の第1の部分に付加されてもよい。第1の部品の第2の部分が、積層造形を使用して形成されてもよい。
【0023】
第2の部品は、第1の材料を含有する第1の部分と、第2の材料を含有する第2の部分と、を備えていてもよい。第1の部分の第1の材料は、第2の部分の第2の材料よりも大きな硬度を有していてもよい。第1の部分は、表面硬化合金を含有していてもよい。
【0024】
第2の部品の第2の部分は、格子構造または半溶融材料を有していてもよい。
【0025】
第1の部分に第2の部品を付加する工程は、第2の部品の第1の部分を第1の部品の第1の部分に接触して配置する工程を備えていてもよい。
【0026】
第1の部品の第2の部分を形成する工程は、第2の部品の第1の部分の頂部に第3の部品を形成する工程を備えていてもよい。第3の部品は、格子構造または半溶融材料を有していてもよい。
【0027】
1つの構成では、第2の部品は、第1の部品の第2の部分を形成するプロセスによって、第1の部品に固定されてもよい。第2の部品は、第1の部品の第2の部分を形成した後に、第1の部品内に封入されてもよい。
【0028】
1つの構成では、第1および第2の部品は、異なる材料から形成されてもよい。あるいは、第1および第2の部品は、同一の材料から形成されてもよい。
【0029】
1つの構成では、第1の部品の第1および第2の部分は、同じ方式の積層造形プロセスを使用して形成されてよい。そのような構成では、積層造形プロセスは、第1の部品の第1の部分に付加されるべき第2の部品のために、第1の部品の第1および第2の部分の形成の間に中断されてもよい。
【0030】
第1の部品の第1の部分は、凹部を備えるように形成されてもよい。第1の部品の第1の部分に第2の部品を付加する工程は、第2の部品の少なくとも一部分を凹部内に挿入する工程を備えていてもよい。
【0031】
1つの構成では、物体の製造方法は、さらに、物体を熱処理する工程を備えていてもよい。
【0032】
1つの構成では、第2の部品は、第1の部品よりも硬くてもよい。
【0033】
1つの構成では、第1の部品の第1および第2の部分のうちの少なくとも一方は、レーザ/電子ビーム溶融/焼結プロセス、粉末床溶融結合プロセス、3D印刷プロセス、選択的レーザ焼結/溶融プロセス、ブラウンパウダープロセス、直接レーザ蒸着プロセス、フリーフォーム製造プロセス、付加層製造プロセス、ワイヤフィードプロセス、および、指向性エネルギー堆積プロセスプロセスのうちの少なくとも1つから形成される。
【0034】
1つの構成では、第2の部品は、鋳造プロセス、鍛造プロセス、圧延プロセス、引き抜き加工、機械加工、熱間静水圧加圧(HIP)プロセス、および、積層造形プロセスのうちの少なくとも1つによって形成される。
【0035】
1つの構成では、第1の部品の第1の部分は、基板上に形成されてもよい。物体を製造する方法は、さらに、第1の部品の第1の部分を基板から取り外す工程を備えていてもよい。
【0036】
1つの構成では、物体を製造する方法は、さらに、第1および第2の部品のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの面を機械加工する工程を備えていてもよい。
【0037】
第4の態様によれば、上述の構成のいずれかにしたがって製造された物体が提供される。1つの構成では、物体は、バルブ、または、バルブを形成ための使用される要素であってもよい。
【0038】
添付図面を参照して、非限定的な例によって本開示を以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するのに使用される可能な工程のフロー図を示している。
図2】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図3】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図4】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図5】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図6】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図7】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
図8】バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を製造するプロセス中のそれぞれの段階におけるバルブまたは要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、バルブ、または、バルブを形成するために使用される要素の製造において行われる工程を概略的に示している。多くの場合では、各工程の順序が、プロセスに大きな影響を与えることなく、変更されてもよいことが理解されよう。図2~8は、プロセス中の一連の段階におけるそのようなプロセスの例によって形成されているバルブ、または、バルブを形成するために使用される要素を概略的に示している。
【0041】
第1の工程11では、第1の部品31の第1の部分23が、積層造形を使用して形成されてもよい。積層造形では、部分23は、材料の選択的な追加によって形成される。
【0042】
様々な積層造形プロセスのうちのいずれかは、レーザ/電子ビーム溶融/焼結プロセス、粉末床溶融結合プロセス、3D印刷プロセス、選択的レーザ焼結/溶融プロセス、ブラウンパウダープロセス、直接レーザ蒸着プロセス、フリーフォーム製造プロセス、付加層製造プロセス、ワイヤフィードプロセス、および、指向性エネルギー堆積プロセスプロセスのうちの1つ以上を含んで使用されてもよい。
【0043】
第1の部品31の第1の部分23は、バルブ、または、バルブの要素のための任意の適切な材料を含有していてもよい。例えば、第1の部分23は、ステンレス鋼(例えば、316,316L,316LN,304,304L,304LE,Duplex)、低合金綱、または、ニッケル系合金(例えば、Monel,Inconel 625,Inconel 600,Inconel 690,Inconel 718,C263)を含有していてもよい。
【0044】
上記のリストは、相互に排他的なプロセスのリストではないことが理解されよう。その代わりに、リスト内の1つ以上の項目は、他のサブセットであってもよいし、あるいは、他の一般的なプロセスの説明と重複してもよい。
【0045】
図2~8に示される例では、積層造形プロセスは、基板22上に非溶融材料21を用意する工程と、部品を形成するために複数の層における材料を選択的に溶融する工程と、を伴う。
【0046】
積層造形のプロセスは、複雑な形状の形成を可能にすることができ、そのような形状には、代替製造プロセス(例えば、鍛造、圧延もしくは引き抜き)または減法(例えば、所望の最終形状を提供するための材料の一部の機械加工面に基づく製造方法)を使用して製造することが不可能であるか困難である形状が含まれる。
【0047】
図3および図4に示されるように、第1の部品31の第1の部分23に材料が付加される領域を選択することによって、所望の形状が提供され得る。図4に示される例では、第1の部品31の第1の部分23の形状は、凹部25を備えていてもよい。残りの非溶融材料24が凹部25から取り除かれてもよい。
【0048】
工程12では、第2の部品32が、第1の部品31に付加されてもよい。例えば、図5Aに示される第2の部品32が、第1の部品31に付加されてもよく、図5Bに示される第2の部品32が、第1の部品31に付加されてもよく、あるいは、図5Cに示される第2の部品32が、第1の部品31に付加されてもよい。図6に示されるように、1つの構成では、第1の部品31の第1の部分23に形成された凹部25は、第2の部品32の少なくとも一部分が凹部25内に挿入され得るように構成されてもよい。第1の部品31の第1の部分23内の凹部25内へ第2の部品32の少なくとも一部分を嵌め込むことによって、製造プロセス中において、第1の部品31の第1の部分23に対する第2の部品32の位置を少なくとも一時的に固定し得る。
【0049】
1つの構成では、第2の部品32は、第1の部分23および第1の部品31に形成された凹部25の形状に対応する形状を有する突出部を備えていてもよい。
【0050】
ただし、第2の部品32の少なくとも一部分を受け入れるための凹部25の形成は必須ではないことが理解されるべきである。代替構成では、第2の部品32は、接着剤および/または他の接合プロセス(例えば、溶接)によって、第1の部品31の第1の部分23に少なくとも一時的に固定されてもよい。第2の部品32は、後続の処理工程のために、第2の部品31の第1の部分23に固定される必要がなくてもよいことも理解されよう。したがって、第2の部品32は、第1の部品31の第1の部分23の頂部上に単純に配置されてもよい。
【0051】
第2の部品32は、様々な任意の形態をとることができる。それは、第1の部品と同じ材料から形成されてもよいし、および/または、同じプロセスによって形成されてもよい。あるいは、それは、第1の部品とは異なる材料から形成されてもよく、それは、異なるプロセスによってそれを形成することによって可能になってもよい。特に、第2の部品32は、積層造形を使用して形成される必要はないが、代替的なプロセス(例えば、鋳造プロセス、鍛造プロセス、圧延プロセス、引き抜き加工、機械加工、および/または、熱間静水圧加圧(HIP)プロセス)によって形成されてもよい。
【0052】
第2の部品32を形成するために積層造形以外の製造プロセスを使用する能力は、積層造形プロセスによって利用可能となる特性とは異なる特性を部品が有することを可能にできる。これに代えて、または、加えて、第2の部品32は、第1の部品31の第1の部分23付加される前に熱処理されてもよい。それによって、第2の部品32が第1の部品31とは異なる特性を確実に有する機会が再び提供される。1つの構成では、第2の部品32は、第1の部品31よりも硬くてもよい。
【0053】
図5Aに示される第2の部品32は、第1の部分33と第2の部分34とを備えている。第1の部分33は、第2の部分34よりも大きな硬度を有している。第1の部分33は、表面硬化合金(例えば、Tristelle,Stellite,TaloniteまたはNOREM)を含有していてもよい。第2の部分34は、第1の部分33のための基板を提供してもよく、また、第1の部品31の第1の部分23と同一または類似の材料を含有していてもよい。例えば、第2の部分34は、ステンレス鋼(例えば、316,316L,316LN,304,304L,304LE,Duplex)、低合金綱、または、ニッケル系合金(例えば、Monel,Inconel 625,Inconel 600,Inconel 690,Inconel 718,C263)を含有していてもよい。
【0054】
図5Bに示される第2の部品32は、第1の部分33と第2の部分35とを備えている。第2の部品32と同様に、第1の部分33は、第2の部分35よりも大きな硬度を有している。第1の部分33は、表面硬化合金(例えば、Tristelle,Stellite,TaloniteまたはNOREM)を含有していてもよい。第2の部品32は、第2の部分35が格子構造を有するか、または、半溶融材料を含有している点において、第1の部品32と異なっている。第2の部分35は、第1の部品31の第1の部分23と同一または類似の材料を含有していてもよい。例えば、第2の部分35は、ステンレス鋼(例えば、316,316L,316LN,304,304L,304LE,Duplex)、低合金綱、または、ニッケル系合金(例えば、Monel,Inconel 625,Inconel 600,Inconel 690,Inconel 718,C263)を含有していてもよい。
【0055】
図5Cに示される第2の部品32は、表面硬化合金(例えば、Tristelle,Stellite,TaloniteまたはNOREM)を含有する第1の部分33のみを備えている。
【0056】
第2の部品32または32が第1の部品31に付加される場合、工程12は、第2の部品32または32の第1の部分33を第1の部品31の第1の部分23に接触して配置する工程を備えている。換言すると、第2の部品32,32は、第1の部分33が第1の部品31の第1の部分23に(図6の下方へ)向くように、また、第2の部分34,35が第1の部品31の第1の部分23から離れる方向へ(図6の上方へ)、積層造形装置のエネルギー源の方へ向くように位置決めされる。
【0057】
したがって、バルブまたはバルブ要素を形成するための本願で開示されるプロセスは、バルブまたはバルブ要素の全体形成のための積層造形の利益のうちの1つ以上を提供し得るが、積層造形以外の製造プロセスを使用する場合に可能な少なくとも1つの部品に利用可能な材料特性の利益を有することが理解されるべきである。
【0058】
さらなる工程13では、図7に示されるように、第1の部品31の第2の部分27が積層造形を使用して形成されてもよい。第1の部品31の第2の部分27は、第1の部品31の第1の部分23と同じ積層造形プロセスによって形成されてもよい。
【0059】
ただし、これは必須ではなく、第2の部分27を形成するために代替的な積層造形プロセスが使用されてもよい。
【0060】
第1の部品31の第2の部分27を形成することによって、第1の部品31に対する第2の部品32の位置が固定されてもよい。1つの構成では、これは、第2の部品32を少なくとも部分的に取り囲む第1の部品31の第2の部分27によって達成されてもよい。第1の部品31の第2の部分27は、第2の部品32の少なくとも1つの面に接着してもよい。これに代えて、または、加えて、第2の部品32のまわりに形成される第1の部品31の第2の部分27の形状は、第1の部品31に対する第2の部品32の動きを物理的に抑制してもよい。
【0061】
1つの構成では、図7に概略的に示されるように、第2の部品32は、第1の部品31の2つの部分23,27内に封入されてもよい。
【0062】
第2の部品32が第1の部品31の第1の部分23に付加される場合、工程13は、(例えば)積層造形プロセスを使用して、第2の部品32の頂部上に第3の部品を用意する工程を備えていてもよい。第3の部品は、第1の部品31の第2の部分27と同じ材料を含有していてもよいし、格子構造を有していてもよいし、半溶融であってもよい。したがって、第2の部品32の第1の部分33は、第3の部品よりも大きな硬度を有している。
【0063】
第2の部品32,32の使用は、工程13中に第2の部分34,35が、(図6に示されるように)積層造形装置のエネルギー源と第2の部品32,32の第1の部分33との間に位置決めされることができ、積層造形装置のエネルギー源から放出されたエネルギーの少なくとも一部を吸収できるという点で有利になり得る。したがって、第2の部分34,35は、工程13中に第1の部分33によって受け取られるエネルギーを低減することができ、また、第1の部分33の亀裂/破壊/欠陥の可能性を低減することができる。
【0064】
同様に、第2の部品32が第1の部品31に付加される場合には、第2の部品32の第1の部分33の上方にある工程13において形成された第3の部品は、有利なことに、第1の部品31の第2の部分27が作られている間に、第2の部品32の第1の部分33によって受け取られるエネルギーを低減することができる。
【0065】
図8に示されるように、積層造形プロセスが完了した後、残りの非溶融材料21が取り除かれてもよい。これに代えて、または、加えて、図2~7に示されるように、積層造形プロセスが、工程14において、基板22上での第1の部品31の形成を伴っている場合には、基板22は、バルブまたはバルブ要素から分離されてもよい(すなわち、第1の部品31から取り外されてもよい)。
【0066】
1つの構成では、バルブの製造方法は、熱処理工程15を備えていてもよい。使用される熱処理プロセスは、バルブを形成するために使用される材料および望まれる特性に依存することが理解されるべきである。プロセスにおける熱処理工程が適用される段階も変わり得ることが理解されるべきである。
【0067】
例えば、上述したように、第2の部品32は、第1の部品31に付加される前に熱処理を受けてもよい。これに代えて、または、加えて、第1の部品31の第1の部分23は、第2の部品32の付加の前に熱処理されてもよい。これに代えて、または、加えて、第1の部品31の第1の部分23と第2の部品32とから形成されるアセンブリが熱処理されてもよい。これに代えて、または、加えて、バルブまたはバルブ要素は、第2の部品32が第1の部品31に固定された状態で第1の部品31の形成が完了した後に熱処理されてもよい。
【0068】
第2の部品32,32が付加される場合には、この方法は、第1の部品31および第2の部品32,32のアセンブリを熱間静水圧加圧して、格子構造によって導入された間隙を取り除く工程を備えていてもよい。
【0069】
1つの構成では、バルブの製造方法は、第1の部品31および第2の部品32のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの面を機械加工する工程16を備えていてもよい。例えば、図1に示されるように、そのような工程は、第2の部品32を有する第1の部品31の形成後に生じてもよい。ただし、機械加工工程は、これに代えて、または、加えて、プロセスにおけるより早期の段階に含まれてもよいことが理解されるべきである。
【0070】
上述のプロセスは第1の部品31内に単一の第2の部品を含めることのみに関しているものの、積層造形によって第1の部品31の第1の部分23および第2の部分27の形成の間に第2の部品32を付加することによって、バルブが、同様の態様で複数の第2の部品32を有して製造されてもよいことが理解されるべきである。複数の第2の部品(これらは、互いに異なっていてもよい)が、部分形成された第1の部品31に同時に付加されてもよい。これに代えて、または、加えて、積層造形による第1の部分31の形成は、第2の部品32を異なるタイミングで付加するために、1回よりも多く中断されてもよい。
【0071】
この方法は、バルブの任意の残りの部品を第1の部品31および第2の部品32のアセンブリに付加する工程を備えていてもよい。
【0072】
様々な物体を製造するために、バルブまたはバルブ要素の上述の製造方法が使用され得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8