(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】スクラップ処理装置、スクラップ処理方法、及びスクラップ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230707BHJP
G05B 19/418 20060101ALN20230707BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019045039
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀人
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第3026562(JP,B1)
【文献】特開2002-007556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備えたスクラップ処理装置であって、
前記記憶部には、
材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、
材料の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、前記在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理手段
と、
前記在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成する仕訳作成手段と、
を備え、
前記仕訳作成手段は、前記在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0のものについて、前記スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成することを特徴とするスクラップ処理装置。
【請求項2】
前記仕訳作成手段は、スクラップ処理の対象となるものについては、棚卸減耗損(スクラップ)/商品-在庫商品とする仕訳を作成し、員数=0かつ資産数量≠0のものについては、棚卸減耗損(廃棄)/商品-在庫商品とする仕訳を作成することを特徴とする請求項
1に記載のスクラップ処理装置。
【請求項3】
オペレータの操作に応じて、前記スクラップ基準マスタのデータを設定するマスタメンテ手段を備えたことを特徴とする請求項1
又は2に記載のスクラップ処理装置。
【請求項4】
前記材料は、鋼材であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1つに記載のスクラップ処理装置。
【請求項5】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるためのスクラップ処理方法であって、
前記記憶部には、
材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、
素材の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理ステップと、
前記在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成する仕訳作成ステップと、
を含み、
前記仕訳作成ステップでは、前記在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0のものについて、前記スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成することを特徴とするスクラップ処理方法。
【請求項6】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるためのスクラップ処理プログラムであって、
前記記憶部には、
材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、
素材の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部において、
前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理ステップ
と、
前記在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成する仕訳作成ステップと、
を実行させるためのスクラップ処理プログラムであり、
前記仕訳作成ステップでは、前記在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0のものについて、前記スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成することを特徴とするスクラップ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラップ処理装置、スクラップ処理方法、及びスクラップ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、鉄鋼業におけるクラップの在庫を管理するシステムとして特許文献1がある。かかる特許文献1のシステムでは、スクラップを秤量してスクラップヤードに集積し、納入した業者とスクラップ置場と総重量と正味量と受入れた年月日と時刻及び銘柄毎の標準単価と荷姿や品質とをデータとしてコンピュータに入力してそれ以前に記憶された在庫情報を修正して蓄積し、さらにスクラップ消費に関する情報を入力して記憶し管理すると共に、入力した情報に基づいてスクラップ在庫に関する情報の更新・修正あるいは蓄積を行い、その情報をスクラップ品質管理情報と在庫情報と代金支払用のデータと原価評価のデータとスクラップを溶融して得られる成品の品質管理とに利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、スクラップ処理する基準に関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、スクラップ処理する基準をマスタに設定することで、スクラップの払出処理を自動化することが可能なスクラップ処理装置、スクラップ処理方法、及びスクラップ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部及び制御部を備えたスクラップ処理装置であって、前記記憶部には、材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、材料の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部は、前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成する仕訳作成手段を備えていてもよい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記仕訳作成手段は、前記在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0のものについて、前記スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記仕訳処理手段は、スクラップ処理の対象となるものについては、棚卸減耗損(スクラップ)/商品-在庫商品とする仕訳を作成し、員数=0かつ資産数量≠0のものについては、棚卸減耗損(廃棄)/商品-在庫商品とする仕訳を作成することにしてもよい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、オペレータの操作に応じて、前記スクラップ基準マスタのデータを設定するマスタメンテ手段を備えていてもよい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記材料は、鋼材であることにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるためのスクラップ処理方法であって、前記記憶部には、材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、素材の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理ステップを含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるためのスクラップ処理プログラムであって、前記記憶部には、材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタと、素材の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部において、前記在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、前記スクラップ基準マスタの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理ステップを実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スクラップ処理する基準をマスタに設定することで、スクラップの払出処理を自動化することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係るスクラップ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、スクラップ基準マスタの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、具体例1において、在庫データのイメージの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、具体例1において、仕訳作成までを説明するための図である。
【
図5】
図5は、具体例2において、員数=0、資産数量≠0が発生する理由を説明するための図である。
【
図6】
図6は、具体例2において、仕訳作成までを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
例えば、鉄鋼業界において、鋼材をスクラップ処理する基準は、同じ鉄鋼業界であっても各社各様であり、標準化することが難しかった。
【0018】
そこで、本実施の形態では、各社独自のスクラップ基準をマスタ化することで、例えば、四半期・半期毎に実施するスクラップの払出処理を自動化可能とした。さらに、鉄鋼業では必ず発生するスクラップ処理を自動発生させ、かつスクラップ処理にて発生する会計仕訳作成を可能としている。なお、本発明は、鋼材に限られるものではなく、長さによってスクラップにする基準を決定する他の材料にも適用可能である。
【0019】
[2.構成]
本実施形態に係るスクラップ処理装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るスクラップ処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
スクラップ処理装置100は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、スクラップ処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0021】
スクラップ処理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。スクラップ処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、スクラップ処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、スクラップ処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置114で出力すること等をいい、例えば、モニタ114への表示出力やプリンタ114での印刷出力することの他、外部にデータを送信することを含む。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、スクラップ基準マスタ106aと、データファイル106bとを備えている。
図2は、スクラップ基準マスタ106aの構成例を示す図である。
【0026】
スクラップ基準マスタ106aは、鋼材の品種及びサイズ毎にスクラップ処理の対象とする鋼材の長さの基準値を設定するためのマスタである。スクラップ基準マスタ106aは、
図2に示すように、品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象となるか否かを判断するための基準長さのデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。在庫データのうち、品種及びサーズをキーとして、基準長さ以下のものがスクラップ処理の対象となる。
【0027】
図2に示す例では、1行目が、品種「S45C」、サイズ「40」、及び基準長さ「299.9」、2行目が、品種「S45C」、サイズ「60」、及び基準長さ「249.9」、3行目が、品種「S45C」、サイズ「80」、及び基準長さ「249.9」となっている。例えば、1行目の品種「S45C」、サイズ「40」のものは、長さが299.9mm以下のものをスクラップ処理の対象とする。なお、ここでは、長さが基準長さ以下のものをスクラップ処理の対象としているが、基準長さ未満のものをスクラップ処理の対象としてもよい。
【0028】
データファイル106bは、在庫データや仕訳データ等の各種データを格納するためのファイルである。在庫データは、商品コード、品種、サイズ、長さ、員数(本)、重量(kg)、及び原価金額のデータを含んでいてもよい(例えば、
図3参照)。
【0029】
図1に戻り、制御部102は、スクラップ処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、在庫データ処理部102aと、スクラップ処理部102bと、仕訳作成部102cと、マスタメンテ部102dと、画面表示制御部102eを備えている。
【0030】
在庫データ処理部102aは、モニタ114に表示される不図示の入力画面上でのオペレータの操作等に応じて、在庫データの入力・更新を行ってデータファイル106bに格納する。
【0031】
スクラップ処理部102bは、在庫データのうち、鋼材の品種及びサイズをキーとして、スクラップ基準マスタ106aの基準長さを取得し、取得した基準長さ以下の鋼材をスクラップ処理の対象とする。
【0032】
仕訳作成部102cは、在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成して、作成した仕訳データをデータファイル106bに格納する。仕訳作成部102cは、在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0(例えば、重量≠0)のものについて、スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成してもよい。
【0033】
また、仕訳作成部102cは、スクラップ処理の対象となるものについては、棚卸減耗損(スクラップ)/商品-在庫商品とする仕訳を作成し、員数=0かつ資産数量≠0(例えば、重量≠0)のものについては、棚卸減耗損(廃棄)/商品-在庫商品とする仕訳を作成してもよい。
【0034】
マスタメンテ部102dは、モニタ114に表示されるマスタメンテ画面(不図示)上でのオペレータの操作に応じて、スクラップ基準マスタ106aのデータの入力・追加・変更等の編集を行う。これにより、オペレータは、スクラップ基準マスタ106aのデータを自由に設定でき、会社毎にスクラップ対象の基準を設定することが可能となる。
【0035】
画面表示制御部102eは、モニタ114に表示する入力画面(例えば、在庫入力画面等)、出力画面(仕訳出力画面等)、マスタメンテ画面等の各種画面の表示及び画面上での入力の受付を制御する。
【0036】
[3.具体例]
図1~
図6を参照して、本実施の形態におけるスクラップ処理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0037】
(具体例1)
図1~
図4を参照して、本実施の形態におけるスクラップ処理装置100の処理の具体例1を説明する。
図3及び
図4は、本実施の形態におけるスクラップ処理装置100の処理の具体例1を説明するための図である。
図3は、在庫データのイメージの一例を示す図である。
図4は、仕訳作成までを説明するための図であり、スクラップ処理対象データ及び仕訳データの一例を示す図である。以下の具体例の説明では、
図2に示すスクラップ基準マスタ106aのデータ例を使用した場合について説明する。
【0038】
図3に示す在庫データの一例では、1行目が、商品コード「S45C/0/40」、品種「S45C」、サイズ「40」、長さ「100.0」、員数(本)「1」、重量(kg)「200」、及び原価金額「600」、2行目が、商品コード「S45C/0/60」、品種「S45C」、サイズ「60」、長さ「350.0」、員数(本)「1」、重量(kg)「1,050」、及び原価金額「3,150」、3行目が、商品コード「S45C/0/80」、品種「S45C」、サイズ「80」、長さ「100.0」、員数(本)「1」、重量(kg)「400」、及び原価金額「1,200」となっている。
【0039】
スクラップ処理部102bは、在庫データの品種及びサイズをキーとして、スクラップ基準マスタ106aの基準長さを取得し、対応する在庫データの長さが取得した基準長さ以下の鋼材をスクラップ処理の対象、それ以外をスクラップ処理の対象外と判断する。
【0040】
図3に示す例では、1,3-5,7行がスクラップ処理の対象となる。2,6,10行目については、長さ≦基準長さとならないため対象外とする。8-9行目については、品種及びサイズがスクラップ基準マスタ106aに存在しないため対象外とする。より具体的には、スクラップ基準マスタ106aには、品種「45C」のサイズ「370」のデータが存在しないため対象外とする。
【0041】
スクラップ処理部102bは、スクラップ処理の対象となる在庫データを抽出して、例えば、
図4(A)に示すようなスクラップ処理対象データを作成する。スクラップ処理対象データは、在庫管理上発生させるデータ(中間データ)である。
【0042】
図4(A)に示すスクラップ処理対象データの例では、在庫データのうち、スクラップ処理の対象となる1,3,4,5,7行目のデータが抽出され、移動区分として、「調整出庫(スクラップ))」のデータが付加されたものとなっている。合計「¥20,532」がスクラップとして払出処理される。
【0043】
仕訳作成部102cは、スクラップ処理対象データ(スクラップ処理の対象となる在庫データ)に基づいて、仕訳データを作成する。
図4(B)は、作成される仕訳の一例を示す図である。
図4(B)に示す例では、借方は、勘定コード「2015-01」、勘定科目名「棚卸減耗損(スクラップ)」、金額「20,532」となり、貸方は、勘定コード「1043-10」、勘定科目名「商品-在庫商品」、金額「20,532」となっている。
【0044】
(具体例2)
図5及び
図6は、本実施の形態におけるスクラップ処理装置100の制御部102の処理の具体例2を説明するための図である。
図5は、員数=0、資産数量≠0(重量≠0)が発生する理由を説明するための図である。
図6は、仕訳作成までを説明するための図であり、員数=0、資産数量≠0(重量≠0)対象データ及び仕訳データの一例を示す図である。以下の具体例の説明では、
図2に示すスクラップ基準マスタ106aのデータ例を使用した場合について説明する。
【0045】
例えば、鉄鋼業界では在庫管理の単位が何本で何キロあるという管理を行う。原則は重量に対しての単価なので、仕入時は正確な重量で入庫する。しかしながら、1本あたり100kg(「規定重量」と称する)の製品が実際に重量を計ると若干多いというケースが多々発生する。
図5(A)は、製品の重量が規定重量より大きい場合の一例を示す図である。
【0046】
図5(A)において、例えば、商品コード「S45C/0/40」、品種「S45C」、サイズ「40」、長さ「800.0」、員数(本)「4」について、重量(kg)「400」のはずであるが、実際に計ったら重量「403kg」ということが起こりえる。
【0047】
しかしながら、売上げる際は1本ずつ売上げることがある。さらに売上げる際には毎回実際重量を計るわけにはいかない場合もある。すなわち、売上げる際は、1本100kgと見なして売上げると、
図5(B)に示すようなイメージとなる。
図5(B)において、4本は払出されているが、重量は400kgしか払出されてない。
【0048】
従って、
図5(C)に示すような、在庫データ上、員数=0、資産数量≠0(重量≠0)が発生する。在庫データ処理部102aは、商品の規定重量を越えるものがある場合は、在庫データに、
図5(C)に示すような、員数=0、資産数量≠0のデータを追加(更新)する。
【0049】
スクラップ処理部102bは、在庫データから、員数=0、資産数量≠0のデータを抽出して、
図6(A)に示すような、員数=0、資産数量≠0対象データを作成する。員数=0、資産数量≠0対象データは、在庫管理上発生させるデータ(中間データ)である。
【0050】
図6(A)に示す例では、抽出した在庫データに、移動区分として「調整出庫(廃棄)」のデータが付加されたものとなっている。スクラップ処理と混在しないように、スクラップ処理(調整出庫(スクラップ))とは移動区分「調整出庫(廃棄)」を異ならせている。
【0051】
仕訳作成部102cは、員数=0、資産数量≠0対象データ(員数=0、資産数量≠0の在庫データ)に基づいて、仕訳データを作成する。
図6(B)は、作成される仕訳の一例を示す図である。
図6(B)に示す例では、借方は、勘定コード「2015-02」、勘定名「棚卸減耗損(廃棄)」、金額「30」となり、貸方は、勘定コード「1043-10」、勘定名「商品-在庫商品」、金額「30」となっている。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、材料の品種、サイズ、及びスクラップ処理の対象とするか否かを判断するための基準長さを関連づけて登録したスクラップ基準マスタ106aと、材料の品種、サイズ、長さ、員数、重量、及び原価金額を含む在庫データと、在庫データの材料の品種及びサイズをキーとして、スクラップ基準マスタ106aの基準長さを取得し、在庫データの対応する長さが取得した基準長さ以下又は未満の場合にスクラップ処理の対象とするスクラップ処理部102bとを備えているので、スクラップ処理する基準をマスタに設定することで、スクラップの払出処理を自動化することが可能となる。
【0053】
また、在庫データのうち、スクラップ処理の対象となるものについて仕訳を作成する仕訳作成部102cを備えているので、スクラップ処理にて発生する会計仕訳を作成することが可能となる。
【0054】
また、仕訳作成部102cは、在庫データのうち、員数=0かつ資産数量≠0であるものについて、スクラップ処理の対象となるものとは異なる借方の勘定科目とした仕訳を作成することとしたので、員数=0かつ資産数量≠0の在庫について適切な仕訳を作成することが可能となる。
【0055】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0056】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0057】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0058】
また、スクラップ処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0059】
例えば、スクラップ処理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてスクラップ処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0060】
また、このコンピュータプログラムは、スクラップ処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0061】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0062】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0063】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0064】
また、スクラップ処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、スクラップ処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0065】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0066】
100 スクラップ処理装置
102 制御部
102a 在庫データ処理部
102b スクラップ処理部
102c 仕訳作成部
102d マスタメンテ部
102e 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a スクラップ基準マスタ
106b データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク