(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
E06B9/42 A
E06B9/42 Z
(21)【出願番号】P 2019052328
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
(72)【発明者】
【氏名】秋山 拓哉
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-011578(JP,A)
【文献】特開2018-150693(JP,A)
【文献】特開2016-199986(JP,A)
【文献】特開平07-331972(JP,A)
【文献】実開昭60-075594(JP,U)
【文献】特開2008-045346(JP,A)
【文献】実開平07-032189(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、
前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、
前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、
前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて
前記操作ユニットの押圧により回動可能に構成されていることを特徴とするロールスクリーン。
【請求項2】
取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、
前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、
前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、
前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて回動可能に構成され、
前記正面カバーは、その下端が前記巻取パイプの軸中心よりも下方に位置する上下方向長さを有し、前記巻取パイプに対する前記スクリーンの巻太りが所定量未満であるときに前記スクリーンとは非接触となるように構成され、少なくとも前記巻取パイプの軸中心の鉛直方向位置まで前記支持部材の縁部に沿う側面形状を有し、前記巻取パイプの軸中心よりも下方に位置する前記正面カバーの下端は、前記巻取パイプの断面径より大きい径で前記巻取パイプの外形に倣う方向に湾曲する形状を有し、前記支持部材を覆うサイドカバーの縁部、又は前記支持部材の縁部に当接することで当該正面カバーの下方への回動が規制されるように構成されていることを特徴とす
るロールスクリーン。
【請求項3】
取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、
前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、
前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、
前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて回動可能に構成され、
前記スクリーンの下端に設けられるウェイトバーは、前記スクリーンの下端を当該ウェイトバーの上部から取着するように構成され、且つ前記巻取パイプの断面径PWに対して、上下方向長さとなる高さBHと前後方向長さとなる幅BWとがPW>BW>BHを満たす、前後両側部から底部に亘って非円形且つ非方形である略楕円形の全曲面外壁を持つ形状で構成されていることを特徴とす
るロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材(生地やスダレ等)をスクリーンとして有するロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材(生地やスダレ等)をスクリーンとして有するロールスクリーンが知られている。また、ロールスクリーンは、巻取パイプによりスクリーンを巻き取り、或いは巻き戻すことにより、スクリーンを昇降させることができる。
【0003】
ところで、ロールスクリーンの一種として、ロールスクリーンにおける巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができ回動可能とする正面カバーを設けたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。また、スクリーンを巻き取る巻取パイプと、この巻取パイプの上方に位置する取付フレームの下面との間の隙間からの光漏れを防止するために、取付フレームの前後方向端部や下面で回動可能に支持される遮光フィンを設けたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
また、ロールスクリーンの一種として、例えば二重に重ね合わせたスクリーンを上下方向に相対移動させて室内への採光量を調節可能としたロールスクリーンも知られている。
【0005】
このようなロールスクリーンにおけるスクリーンは、光を一部透過させる透過部と、光を遮る遮光部とが縞状に交互に形成され、このスクリーンが二重に重ね合わされた状態で吊下支持されている。そして、操作手段の操作により、前後のスクリーンを上下方向に相対移動させて、透過部と遮光部との重なり具合を調整することにより、採光量を調節可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-136900号公報
【文献】特開2000-120242号公報
【文献】特開2016-199986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1,2には、ロールスクリーンにおける巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができ回動可能とする正面カバーが開示されている。
【0008】
しかし、特許文献1に開示される正面カバー(カバー材)は取付フレームとは別の当該取付フレームの下方から前方に延びるカバー支持部材に対し当該正面カバーの頂部より下方位置で支持されているため、その回動範囲が揺動程度に制限される。このため、巻取パイプの回転を操作する操作コードを設けたロールスクリーンに対してはその正面カバー(カバー材)の存在が邪魔になることから、スクリーン下端部の操作で昇降させるロールスクリーンに対してしか当該正面カバーを適用できないという問題がある。また、特許文献1に開示される当該正面カバーは、常にスクリーンに当接するようにその軸部と重心が鉛直方向上に位置するよう自由回動(即ち、揺動)で支持するものとなっており、長期にわたり使用したときにスクリーンが損傷するおそれがあるという問題がある。更に、特許文献1に開示される当該正面カバーは、その軸部と重心が鉛直方向上に位置するよう自由回動(即ち、揺動)することからバタツキやすいという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に開示される正面カバー(フロントカバー)は、取付フレームとは別の当該取付フレームの左右方向端部に設けられる支持部材に対し当該正面カバーの軸部の回動範囲を制限するよう支持する構成となっているため、取付フレーム自体に軸支されるものではないことから当該正面カバーの軸部の回動が安定せずガタツキが生じやすく、バタツキも生じやすいという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に開示される遮光フィンは、取付フレームに対し回動可能に直接支持されて回動範囲を比較的大きく取れる構成となっており、このため巻取パイプの回転を操作する操作コードを設けたロールスクリーンに対しても、更にスクリーン端部のウェイトバーの操作で昇降させるロールスクリーンに対しても適用できる構成となっている。ただし、特許文献3に開示される遮光フィンは、巻取パイプと取付フレームの下面との間の隙間からの光漏れを防止しつつ例えばスクリーンの下端に設けられるウェイトバーとの衝突緩和を目的としているため、波状の曲面形状である干渉緩和部を形成したり、屈曲可能な連結式の多部材構成としたりする構成となっている。しかし、この遮光フィンを、巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができる正面カバーとして用いるにはロールスクリーンの前方及び側方からの意匠性の観点から改善の余地があり、更に当該正面カバーのガタツキは抑制されるものの、よりバタツキを抑える工夫が求められる。
【0011】
更に、特許文献1乃至3に開示されるウェイトバーは、比較的小径の巻取パイプを用いるロールスクリーンにおいては相対的に大型化して見栄えが悪く、見た目の観点で改善の余地がある。このため、巻取パイプが比較的大径であるか小径であるかの区別なく、任意径の巻取パイプに対して共通に用いられ、且つ物理的に小型化するというだけでなく、視覚的に小型に見えるようにして見栄えを改善し、意匠性を高める技法が求められる。
【0012】
また、従来技術においては、正面カバーに対し意匠を表現するよう形成するには、何らかのデザインが施された生地を貼付又は掴時させるか、又は直接的に描画することが行われるが、これらの技法では正面カバーのコストが増大するという問題がある。
【0013】
そこで、本発明の第1の目的は、上述の問題に鑑みて、操作性に影響を与えることなく巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができるようにするとともに、ガタツキ及びバタツキの双方を抑えつつ安定支持され、且つ前方及び側方からの意匠性をも高めた正面カバーを有するロールスクリーンを提供することにある。
【0014】
また、本発明の第2の目的は、上述の問題に鑑みて、低コストで、意匠を表現するよう形成した正面カバーを有するロールスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による一態様のロールスクリーンは、取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて前記操作ユニットの押圧により回動可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による一態様のロールスクリーンは、取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて回動可能に構成され、前記正面カバーは、その下端が前記巻取パイプの軸中心よりも下方に位置する上下方向長さを有し、前記巻取パイプに対する前記スクリーンの巻太りが所定量未満であるときに前記スクリーンとは非接触となるように構成され、少なくとも前記巻取パイプの軸中心の鉛直方向位置まで前記支持部材の縁部に沿う側面形状を有し、前記巻取パイプの軸中心よりも下方に位置する前記正面カバーの下端は、前記巻取パイプの断面径より大きい径で前記巻取パイプの外形に倣う方向に湾曲する形状を有し、前記支持部材を覆うサイドカバーの縁部、又は前記支持部材の縁部に当接することで当該正面カバーの下方への回動が規制されるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明による一態様のロールスクリーンは、取付フレームの両端に設けられる支持部材に対し回転可能に支持され、操作コードにより回転操作される巻取パイプによりスクリーンを昇降させるロールスクリーンであって、前記巻取パイプの端部に設けられ前記操作コードの操作時に振り子動作する操作ユニットと、前記巻取パイプの全部又は一部を正面から覆い隠す正面カバーと、を備え、前記正面カバーは、前記正面カバーの軸部が前記取付フレームに対し直接的に支持されて回動可能とし、その回動範囲内で常に前記正面カバーの重心が前記軸部の回転中心より前方に設定されており、前記操作ユニットの前方所定領域を覆い、前記操作ユニットの振り子動作に応じて回動可能に構成され、前記スクリーンの下端に設けられるウェイトバーは、前記スクリーンの下端を当該ウェイトバーの上部から取着するように構成され、且つ前記巻取パイプの断面径PWに対して、上下方向長さとなる高さBHと前後方向長さとなる幅BWとがPW>BW>BHを満たす、前後両側部から底部に亘って非円形且つ非方形である略楕円形の全曲面外壁を持つ形状で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、操作性に影響を与えることなく巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができるようにするとともに、ガタツキ及びバタツキの双方を抑えつつ安定支持され、且つ前方及び側方からの意匠性をも高めた正面カバーを有するロールスクリーンを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図と、一部透視図示する側面図である。
【
図2】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける操作ユニットの動作とこれに係る正面カバーの動作を示す部分的な断面側面図である。
【
図3】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける正面カバーの取り付けと、サイドカバーの関係を示す部分的な斜視図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける比較的大径の巻取パイプを有する際の正面カバーに係る動作を概略的に示す部分的な透視側面図である。
【
図5】(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける比較的小径の巻取パイプを有する際の正面カバーに係る動作を概略的に示す部分的な透視側面図である。
【
図6】(a),(b)は、それぞれ小径の巻取パイプを有するロールスクリーンにおいて、従来技術におけるウェイトバーと、本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおけるウェイトバーを概略的に断面図示する部分的な透視側面図である。
【
図7】本発明による第1実施形態のロールスクリーンにおける正面カバーの構成に係る部分的な断面側面図である。
【
図8】(a),(b)は、それぞれ本発明による変形例のロールスクリーンの構成を概略的に示す部分的な透視側面図である。
【
図9】(a)乃至(c)は、それぞれ成形用樹脂材料と模様付け用樹脂材料を用いた押出成形により意匠を表現するよう形成した本発明に係る正面カバーを例示する部分的な正面図である。
【
図10】(a),(b)は、それぞれ本発明による第2実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図と、一部透視図示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態のロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、
図1(a)に示すロールスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をロールスクリーンの左側、及び、図示右方向をロールスクリーンの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1(a)に示すロールスクリーンの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0027】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
まず、
図1を参照して、本発明による第1実施形態のロールスクリーンの構成を説明する。
図1(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図と、一部透視図示する側面図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のロールスクリーンは、ブラケット8を介して取付フレーム1の上端を天井面等の取付面に固定して設置される。そして、取付フレーム1の左右両端に支持部材2が固定され、その支持部材2から延びる固定軸(図示せず)によって、左右の支持部材2間に円筒状の巻取パイプ3が回転可能に支持される。
【0029】
尚、支持部材2は、後述する
図3に示すように、取付ネジを用いて取付フレーム1に固定され、更に巻取パイプ3を回転可能に支持するための当該固定軸を取付ネジを用いて固定するようになっていることから、その意匠性を向上させるべくサイドカバー9が支持部材2取着されている。
【0030】
巻取パイプ3の右端部には、巻取パイプ3及び支持部材2に対して相対回動可能な操作ユニット6が設けられている。また、操作ユニット6内には、操作プーリー60(
図2参照)が収容され、この操作プーリー60に掛回される無端状の操作コード7が垂下されている。そして、操作コード7の操作により巻取パイプ3を回転操作可能とするよう構成されている。本例の操作コード7は、所定ピッチで連続するボール部及びチェーン部からなる無端状のボールチェーンで構成され、操作プーリー60の表面は、そのボール部に適合する形状の凹凸を有するように構成される。
【0031】
巻取パイプ3は、スクリーン4の一辺を取着して巻き取り可能に吊下支持しており、巻取パイプ3から垂下し、錘部材として機能するウェイトバー5を介して折り返されたスクリーン4の他辺は、巻取パイプ3よりも上部に位置する取付フレーム1の室外側端面に設けられた固定部1a(
図2参照)に取着されている。固定部1aは、
図2に示すように、スクリーン4の長さを調整可能にして、スクリーン4の端部を着脱可能に係止することができる。そして、ウェイトバー5には、その左右両端部でカバー材51により回転可能に支持されるローラー52が設けられ、巻取パイプ3と固定部1aとの間で垂下されるスクリーン4の下端部にはこのローラー52が挿通される。ウェイトバー5の外壁上端には折り返されたスクリーン4を案内するように開口した開口部5aが設けられ、これにより、スクリーン4はウェイトバー5の重量(主としてローラー52の重量)に基づいて張設される。尚、ウェイトバー5の外壁は、ローラー52に巻かれるスクリーン4の膨らみ防止機能と意匠性を向上させる機能を有する。
【0032】
ところで、このような二重のスクリーン4を垂下するロールスクリーンの場合、そのウェイトバー5に設けられるローラー52によって二重のスクリーンの下端部を折り返し円滑に移動させるよう構成することができるが、後述する
図5に示すように、そのウェイトバー5の開口部5a近傍に当該スクリーン4と当接しその開口幅を調節可能とする案内部材53を設けるのが好適である。この案内部材53は、ウェイトバー5の外壁上縁部に対するスクリーン4の保護及び擦れ音を低減させるよう、その表面を丸めた形状とするのが好適である。また、
図5に示すように、ウェイトバー5の室外側外表面上に、窓等との衝突を緩和するために軟質樹脂で成形されたダンパー材54を設けるのが好適である。
【0033】
従って、操作コード7を操作して巻取パイプ3をスクリーン巻取り方向へ回転させるとウェイトバー5が上昇し、巻取パイプ3をスクリーン巻戻し方向へ回転させるとウェイトバー5が下降する。
【0034】
また、巻取パイプ3内において、その左端側にはスクリーン4の巻上時の操作力を軽減するスプリングモーター、右端側にはスクリーン4の自重降下を防止するストッパー装置等が収容されている(図示せず)。
【0035】
本例では
図1に示すように、スクリーン4は、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成され、このスクリーン4が二重に重ね合わされた状態で吊下支持されているため、操作コード7の操作により、前後のスクリーン4を上下方向に相対移動させて、透過部4bと遮光部4aとの重なり具合を調整することにより、採光量が調節可能となっている。尚、光を一部透過させる透過部4bと、光を遮る遮光部4aとが縞状に交互に形成するピッチは、任意に定めることができる。
【0036】
図2(a)乃至(c)は、それぞれ本実施形態のロールスクリーンにおける操作ユニット6の動作とこれに係る正面カバー10の動作を示す部分的な断面側面図である。本実施形態に係るロールスクリーンでは、
図2に示すように、操作ユニット6は、巻取パイプ3及び支持部材2に対して相対回動可能に設けられ、操作コード7による操作時に、振り子動作するようになっている。取付フレーム1の底部には、以下に説明する可動フィン20の基軸を支持する支持部1cが設けられている。好適には可動フィン20の上下方向の長さは、取付フレーム1と巻取パイプ3との間の隙間を塞ぐのに十分な長さを有する。このように、可動フィン20は、取付フレーム1の室外側で取付フレーム1の長手方向(左右方向)のほぼ全長に亘って設けられ、取付フレーム1に対して前後方向に相対回動可能に支持される。
【0037】
そして、操作ユニット6の振り子動作に応じて操作ユニット6の上部に形成される突出片6aが可動フィン20の左右方向の端部に設けられたフィンカバー22の補助部材21を押圧することで、当該二重のスクリーン4の間隔が離れるよう作動する。このように、可動フィン20は、フィンカバー22及びその補助部材21とともに、操作ユニット6の振り子動作に応じて当該二重のスクリーン4の間隔が離れるよう作動する遮蔽材間隔調整機構として構成される。
【0038】
つまり、
図2(a)を参照するに、操作ユニット6は、操作プーリー60(及び巻取パイプ3)に対して相対回動可能に支持され、ウェイトバー5の下限位置、中間位置及び上限位置のそれぞれの静止時では、操作ユニット6には自重(スクリーン4やウェイトバー5等の重量)で前後のスクリーン4が密着する方向にトルクが働く。これにより、操作コード7は操作ユニット6に設けられた操作コード7の垂下を案内するためのコード案内部材6b,6c,6dを基準に垂下される。
【0039】
この静止時では、ウェイトバー5が下限位置にあるとき、或いはウェイトバー5の中間位置及び上限位置で巻取パイプ3に所定の巻取径でスクリーン4が巻き取られている状態にあるとき、二重のスクリーン4の間隔を近接又は密着させる位置(二重のスクリーン4の間隔d1)で安定化するようになっている。従って、二重のスクリーン4の透過部4bと遮光部4aとをずらして半透過状態とすることや、スクリーン4の透過部4bと遮光部4aとを一致させて遮光状態とすることができ、特に、遮光状態としたときの遮光性を向上させることができる。
【0040】
次に、
図2(b)を参照するに、例えばウェイトバー5が下限位置や中間位置にある状態からウェイトバー5を上昇させるよう操作コード7を操作すると、巻取パイプ3にスクリーン4が巻き取られる。このとき、操作コード7が室内側のコード案内部材6dに当接して操作ユニット6に時計回りのトルクが加わることにより操作ユニット6が振り子動作し、操作ユニット6の突出片6aの側端部が可動フィン20を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧する。このため、二重のスクリーン4の操作時の間隔d2が、静止時の間隔d1より大きくなるよう構成されている。従って、上昇操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を損傷するおそれが無くなる。
【0041】
同様に、
図2(c)を参照するに、例えばウェイトバー5が中間位置や上限位置にある状態からウェイトバー5を下降させるよう操作コード7を操作すると、巻取パイプ3に巻き取られていたスクリーン4が下降する。このとき、操作コード7が室外側のコード案内部6cに当接して操作ユニット6に時計回りのトルクが加わることにより操作ユニット6が振り子動作し、操作ユニット6の突出片6aの側端部が可動フィン20を回動させ、室外側のスクリーン4を押圧する。このため、二重のスクリーン4の操作時の間隔d3が、静止時の間隔d1より大きくなるよう構成されている。従って、下降操作時に二重のスクリーン4が摩擦することなく、或いは摩擦はしても昇降中の一部分的か、又は摩擦力が低減されて相対移動するため、スクリーン4を損傷するおそれが無くなる。
【0042】
ところで、
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るロールスクリーンでは、取付フレーム1の室内側でその長手方向(左右方向)のほぼ全長に亘って、常に巻取パイプ3を正面から覆い隠すのに十分な上下方向長さを有する正面カバー10が設けられている。そして、正面カバー10の頂部が取付フレーム1の前方端部で直接軸支され、前方に回動する範囲が大きく取れるようになっている。また、
図1及び
図2に示すように、意匠性を高めるために操作ユニット6の大部分をも覆うように正面カバー10が設けられている。このように操作ユニット6の大部分をも覆うように正面カバー10が設けていても、操作ユニット6の振り子動作に応じて正面カバー10が大きく回動できるようになっているため(
図2(b),(c)に示す正面カバー10に係る矢印方向参照)、操作ユニット6の操作の邪魔とはならず、操作性及び意匠性の向上を両立させている。また、この正面カバー10は、巻取パイプ3の回転を操作する操作コード7を設けたロールスクリーンに対してだけでなく、スクリーン4下端部の操作で昇降させるロールスクリーンに対しても適用できることは云うまでもない。
【0043】
(正面カバー)
図3は、本実施形態のロールスクリーンにおける正面カバー10の取り付けと、サイドカバー9の関係を示す部分的な斜視図である。正面カバー10は、全体の概略形状として、取付フレーム1の室内側でその長手方向(左右方向)のほぼ全長に亘って、常に巻取パイプ3を正面から覆い隠すのに十分な上下方向長さを有している。そして、正面カバー10の頂部が取付フレーム1の前方端部で直接軸支されることで、前方に回動する範囲が大きい態様で、且つガタツキ及びバタツキの双方を抑えつつ安定した回動が可能となっている。
【0044】
より具体的には、取付フレーム1の前方端部下方には、その長手方向に延在する略C字断面形状の軸受部1bが形成されている。この軸受部1bに正面カバー10の軸部10aが係合しており、これにより正面カバー10は、取付フレーム1の室内側で前方に回動する範囲が大きい態様で回動可能に支持される。取付フレーム1の長手方向の両端部には支持部材2が取着されている。
【0045】
尚、支持部材2には、取付フレーム1の軸受部1bの略C字断面形状とほぼ合致する大きさの切欠き2aが設けられている。この切欠き2aは、取付フレーム1を支持部材2によって固定した後で、正面カバー10の軸部10aを左右方向からスライドさせて軸受部1bに挿入して支持可能にするために設けられている。尚、正面カバー10の軸部10aは、取付フレーム1に対し正面から装着することはできないようになっており、即ち、一旦装着すると、正面カバー10がどのように回動しても取付フレーム1から外れることはない。即ち、取付フレーム1の軸受部1bに対し側方から正面カバー10をスライドさせて着脱可能とし、このスライド以外は着脱不可として安定保持させるようになっている。
【0046】
そして、正面カバー10を取付フレーム1に取り付けてから、支持部材2に対しサイドカバー9を取着することで、支持部材2における各種の取付ネジ及び切欠き2aを正面から覆い隠すことができる。本実施形態の例では、サイドカバー9の縁部に、正面カバー10の左右方向の両端位置を規制するよう凸部9aが形成されている。
【0047】
図3にて拡大視で断面図示するように、取付フレーム1の軸受部1bは、取付フレーム1の底部から上方に延びる回動規制片1dの先端に図示するような半円状の折曲軸1eを形成し、正面カバー10の軸部10aを支持可能にしている。回動規制片1dは、正面カバー10の下方への回動を規制する機能を有する。一方、正面カバー10の軸部10a近傍に正面カバー10の下方への回動を規制するよう突出する略板状の突起部10cが形成されている。従って、正面カバー10の突起部10cが取付フレーム1の回動規制片1dに当接することで、正面カバー10の下方への回動が規制される。
【0048】
また、取付フレーム1の軸受部1bの上方には、正面カバー10の上方への回動を規制するための前方に突出する略板状の回動規制片1fが形成されている。そして、正面カバー10の軸部10aの先端は、図示するように略L字断面形状で形成され、軸受部1bに対して空間的余裕を持たせた状態で係合させることで、正面カバー10の軸部10aが軸受部1bから外れにくくするとともに、正面カバー10の回動自由度を高めている。
【0049】
一方、このように回動自由度を高めた態様で正面カバー10の軸部10aを軸受部1bに軸支させると、正面カバー10と回動規制片1fの回動干渉により不快な干渉音(接触音)を生じさせることから、軸部10aには、
図3で示すように軸部10aの厚みを変化させ、回動範囲で肉厚を持たせた曲部10bが形成されている。このように、正面カバー10の軸部10aは、正面カバー10の頂部に設けられ、且つ取付フレーム1に直接支持されるととともに、回動負荷を軽減するのに十分な空間を保持しつつ回動範囲を大きくとれるものとし、回動時のガタツキを抑制することにより当該干渉音を軽減するようになっている。尚、正面カバー10のバタツキを抑制する工夫については後述する。
【0050】
まず、正面カバー10は、
図4及び
図5に例示するように、巻取パイプ3が比較的大径であるか小径であるかの区別なく、任意径の巻取パイプ3に対して共通に用いることができる。そして、正面カバー10は、ウェイトバー5が下限位置にあるときなど任意径の巻取パイプ3に対しスクリーン4の巻太りが所定量未満となるときでは側面視でサイドカバー9の縁部に沿うようになる。
【0051】
図4(a),(b)は、それぞれ本実施形態のロールスクリーンにおける比較的大径(径pw1)の巻取パイプ3を有する際の正面カバー10に係る動作を概略的に示す部分的な透視側面図である。また、
図5(a),(b)は、それぞれ本実施形態のロールスクリーンにおける比較的小径(径pw2(<pw1))の巻取パイプ3を有する際の正面カバー10に係る動作を概略的に示す部分的な透視側面図である。尚、
図4及び
図5において、同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0052】
図4(a)及び
図5(a)にそれぞれ例示するように、正面カバー10は、任意径の巻取パイプ3にて所定量未満に巻細るスクリーン4に対し非接触となるように、正面カバー10の突起部10cが取付フレーム1の回動規制片1dに当接することで、正面カバー10の下方への回動が規制されるものとなっている。そして、ウェイトバー5が下限位置にあるときなど任意径の巻取パイプ3に対しスクリーン4の巻太りが所定量未満となるこの状態では、図示するように、正面カバー10は側面視でサイドカバー9の縁部に沿うようになり、正面カバー10の下端は、巻取パイプ3の大部分を正面から覆い隠すことができるように、巻取パイプ3の軸中心よりも下方に位置する上下方向長さを有し、少なくとも巻取パイプ3の軸中心の鉛直方向位置まで支持部材2の縁部に沿う側面形状を有するものとなっている。
【0053】
一方、
図4(b)及び
図5(b)にそれぞれ例示するように、正面カバー10が任意径の巻取パイプ3にて所定量以上に巻太るスクリーン4に対し接触し、その巻太り時でも十分に回動するよう、取付フレーム1の回動規制片1fが設定される。
【0054】
そして、
図4及び
図5に示すように、正面カバー10は、任意径の巻取パイプ3に対し、スクリーン4が巻き取られる範囲内では常に正面カバー10の下端が巻取パイプ3の軸中心より下方に位置するとともにスクリーン4に対し非接触とする、上下方向長さを有するように構成される。これは、正面カバー10の下端がスクリーン4に接触した状態でスクリーン4を昇降させるとスクリーン4の損傷が大きくするおそれがあることから、これを確実に防止するためである。
【0055】
従って、正面カバー10は、任意径の巻取パイプ3にて所定量以上に巻太るスクリーン4に対し接触するときは回動し、任意径の巻取パイプ3にて所定量未満に巻細るスクリーン4に対しては非接触となるように構成されているため、長期にわたり使用したときにスクリーン4が損傷するおそれを抑制することができる。
【0056】
尚、
図4(b)及び
図5(b)にそれぞれ例示するように、ウェイトバー4についても任意径の巻取パイプ3に対して共通に用いられ、特に、
図5(b)に示すように、比較的小径の巻取パイプ3である場合でも、物理的に小型化するというだけでなく視覚的にも小型に見えるように工夫されている。即ち、ウェイトバー4は、任意径の巻取パイプ3の断面径PW(
図4ではpw1、
図5ではpw2)に対して、上下方向長さとなる高さBHと前後方向長さとなる幅BWとが(案内部材53及びダンパー材54を除く)、PW>BW>BHを満たす、前後両側部から底部に亘って非円形且つ非方形である略楕円形の全曲面外壁を持つ形状で構成されている。
【0057】
より分かりやすく、説明の便宜上、同様の構成要素には同一の参照番号を付して、従来技術と対比するに、
図6(a)には小径(径pw2)の巻取パイプ3を有するロールスクリーンにおける従来技術に係るウェイトバー5’を示しており、
図6(b)には小径(径pw2)の巻取パイプ3を有するロールスクリーンにおける本発明に係るウェイトバー5を示している。
図6(a)に示す従来技術に係るウェイトバー5’は前後両側部から底部に亘って非円形ではあるが底部が直線的で全曲面外壁を持つ形状ではなく、特に、巻取パイプ3の断面径PW(
図6ではpw2)に対して、高さBH’と幅BW’とが(案内部材53及びダンパー材54を除く)、BH’>PW(=pw2)>BW’を満たすものとなっている。一方、
図6(b)に示す本発明に係るウェイトバー5は、上述したように、巻取パイプ3の断面径PW(
図6ではpw2)に対して、高さBHと幅BWとが(案内部材53及びダンパー材54を除く)、PW>BW>BHを満たすものとなっている。そして、非方形とすることは元より非円形とすることで、より小さく見えるようになる。
【0058】
つまり、本実施形態に係るウェイトバー4は、物理的に小型化するというだけでなく、幅に対し高さを抑制し、尚且つ前後両側部から底部に亘って非円形且つ非方形である略楕円形の全曲面外壁とすることで視覚的に小型に見えるようにしており、これにより任意径の巻取パイプ3に対して見栄えを改善し、意匠性を高めている。
【0059】
次に、
図7を参照して、正面カバー10のバタツキの抑制について説明する。
【0060】
図7は、本実施形態のロールスクリーンにおける正面カバー10の構成に係る部分的な断面側面図である。上述したように、正面カバー10は、ウェイトバー5が下限位置にあるときなど任意径の巻取パイプ3に対しスクリーン4の巻太りが所定量未満となるときではサイドカバー9の縁部に沿うようになり、尚且つ正面カバー10の軸部10aは、正面カバー10の頂部に設けられ、且つ取付フレーム1に直接支持されるととともに、回動負荷を軽減するのに十分な空間を保持しつつ回動範囲を大きくとれるものとし、回動時のガタツキを抑制することにより当該干渉音を軽減するようになっている。
【0061】
このように構成される条件下で、正面カバー10は、上述した回動範囲内で常に正面カバー10の重心Cgが軸部10aの回転中心Coより前方(距離D1≠0)に設定されている。このため、正面カバー10の軸部と重心が鉛直方向上に位置せず自由回動(即ち、揺動)するものではなくなり、そのバタツキが抑制されるようになる。
【0062】
また、上述したように、正面カバー10は、ウェイトバー5が下限位置にあるときなど任意径の巻取パイプ3に対しスクリーン4の巻太りが所定量未満となる状態では、正面カバー10の下端が巻取パイプ3の軸中心Poよりも下方に位置(距離D2≠0)する上下方向長さを有してサイドカバー9の縁部に沿う側面形状となっているため、巻取パイプ3の大部分を正面から覆い隠すことができる。そして、正面カバー10は、その下端が巻取パイプ3の軸中心Poよりも下方に位置する上下方向長さを有し、少なくとも巻取パイプ3の軸中心Poの鉛直方向位置まで支持部材2の縁部に沿う側面形状を有するものとなり、前方からの意匠性だけでなく、側方からの意匠性をも向上させたものとなる。更に、巻取パイプ3の軸中心Poよりも下方に位置する正面カバー10の下端は、巻取パイプ3の断面径より大きい径で巻取パイプ3の外形に倣う方向に湾曲する形状を有していることからも、前方からの意匠性だけでなく、側方からの意匠性をも向上させたものとなる。
【0063】
そして、上述したバタツキの抑制と側方からの意匠性の向上だけでなく、更に操作ユニット6を介する操作負荷の軽減のために、回動可能とした正面カバー10は、その回動範囲内で常に重心Cgが巻取パイプ3の軸中心Poより上方になるように設定される形状とするのが好適である。
【0064】
尚、上述した実施形態の例では、正面カバー10、並びにウェイトバー5に関して、二重のスクリーン4を垂下するロールスクリーンに対して適用する例を説明したが、
図8に例示するように、単一枚でスクリーン4を垂下するロールスクリーンに対しても適用することができる。尚、
図8において、上述した構成と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0065】
即ち、
図8(a)には、単一枚の生地で構成したスクリーン4を垂下するロールスクリーンに対して、上述した正面カバー10を適用し、且つ任意の巻取パイプ3の断面径PW(
図8(a)ではpw1)に対して、高さBHと幅BWとが(案内部材53及びダンパー材54を除く)、PW>BW>BHを満たすウェイトバー5を適用した例である。
【0066】
また、
図8(b)には、単一枚のスダレで構成したスクリーン4を垂下するロールスクリーンに対して、上述した正面カバー10を適用し、且つ任意の巻取パイプ3の断面径PW(
図8(b)ではpw1)に対して、高さBHと幅BWとが(案内部材53及びダンパー材54を除く)、PW>BW>BHを満たすウェイトバー5を適用した例である。
【0067】
このように、単一枚でスクリーン4を垂下するロールスクリーンに対して、上述したような正面カバー10及びウェイトバー5を構成することで、
図2乃至
図3で説明した全ての作用・効果を生じさせることができる。
【0068】
ところで、従来技術においては、正面カバーに対し意匠を表現するよう形成するには、何らかのデザインが施された生地を貼付又は掴時させるか、又は直接的に描画することが行われる。しかし、これらの技法では正面カバーのコストが増大するという問題がある。
【0069】
そこで、上述した本実施形態の正面カバー10に限定する必要は無いが、任意の正面カバー(ここでは代表して本実施形態の正面カバー10)について、成形用樹脂材料と一種以上の模様付け用樹脂材料を用いた押出成形により意匠を表現するよう形成されたものとするのができる。
図9(a)乃至(c)は、それぞれ成形用樹脂材料と一種以上の模様付け用樹脂材料を用いた押出成形により意匠を表現するよう形成した正面カバー10を例示する部分的な正面図であり、
図9(a)では木目調模様とした例、
図9(b)ではグラデーション模様とした例、
図9(c)では斑模様とした例をそれぞれ示している。
【0070】
ここで、本発明に係る成形用樹脂材料と模様付け用樹脂材料を用いた押出成形には二通りがあり、第1の押出成形方法として成形用樹脂材料と一種以上の模様付け用樹脂材料とを予め適度な混ざり具合で用意した混成樹脂材料を用いて押出成形に用いる方法と、第2の押出成形方法として成形用樹脂材料を用いた押出成形時にタイミングを図って一種以上の模様付け用樹脂材料を混入させる方法と、がある。
【0071】
ただし、第1の押出成形方法で、
図9(a)に示す木目調模様を持つ正面カバー10を形成できるが、その模様付けができる混成樹脂材料を形成するのに熟練性を要するという問題がある。一方、第2の押出成形方法であれば、
図9(a),(b),(c)に示すいずれの模様でも、熟練性を要することなく実現できる。
【0072】
このように、任意の正面カバー(ここでは代表して本実施形態の正面カバー10)について、成形用樹脂材料と一種以上の模様付け用樹脂材料を用いた押出成形により意匠を表現するよう形成されたものとすることで、従来技法のやり方よりもコストを抑えた態様で、意匠を表現することができ、単色や多色の色調で形成することができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
(全体構成)
次に、
図10を参照して、本発明による第2実施形態のロールスクリーンの構成を説明する。
図10(a),(b)は、それぞれ本発明による第2実施形態のロールスクリーンの概略構成を示す正面図と、一部透視図示する側面図である。尚、
図10において、
図1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0074】
図10に示す第2実施形態のロールスクリーンは、
図1に示すものと比較して、正面カバー10の正面視の形状が異なる点と、これに係るサイドカバー9の縁部の形状が異なる点を除き、同様に構成される。
【0075】
上述した
図1に示す第1実施形態のロールスクリーンに係る正面カバー10は、
図7に示す構成とするべく、正面カバー10の突起部10cが取付フレーム1の回動規制片1dに当接することで正面カバー10の下方への回動が規制される例を説明したが、
図10に示す第2実施形態のロールスクリーンでは、
図7に示す構成とするべく、正面カバー10に必ずしも突起部10cを形成する必要が無いように、正面カバー10がサイドカバー9の縁部に当接することで正面カバー10の下方への回動が規制される。
【0076】
尚、
図10に示す例では、正面カバー10の当接を受けるべくサイドカバー9の縁部に上記の凸部9aを設けずに前後方向で切り欠いた切欠き9bを設けているが、このような切欠き9bは必ずしも設けずにサイドカバー9を形成することも可能である。また、第2実施形態の場合でも正面カバー10に突起部10cを形成しておき、取付フレーム1の回動規制片1dとサイドカバー9の縁部のうちいずれか一方又は双方と当接させて、
図7に示す構成とすることもできる。
【0077】
また、サイドカバー9を用いないロールスクリーンの場合も同様、
図7に示す構成とするべく、正面カバー10に必ずしも突起部10cを形成する必要が無いように、正面カバー10が支持部材2の縁部に当接することで正面カバー10の下方への回動が規制されるものとしてもよい。更に、正面カバー10に突起部10cを形成しておき、取付フレーム1の回動規制片1dと支持部材2の縁部のうちいずれか一方又は双方と当接させて、
図7に示す構成とすることもできる。
【0078】
また、上述の実施形態では、正面カバー10により巻取パイプ3の大部分を正面から覆い隠すとして説明したが、正面カバー10は、巻取パイプ3の全部又は一部を正面から覆い隠すものであればよい。
【0079】
従って、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、操作性に影響を与えることなく巻取パイプの大部分を正面から覆い隠すことができるようにするとともに、ガタツキ及びバタツキの双方を抑えつつ安定支持され、且つ前方及び側方からの意匠性をも高めた正面カバー及びウェイトバーを構成することができるので、ロールスクリーンの用途に有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 取付フレーム
1b 軸受部
1d 回動規制片
1e 折曲軸
1f 回動規制片
2 支持部材
2a 切欠き
3 巻取パイプ
4 スクリーン
5 ウェイトバー
6 操作ユニット
7 操作コード
8 ブラケット
9 サイドカバー
10 正面カバー
10a 軸部
10b 曲部
10c 突起部