(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】マッチングシステムおよびマッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230707BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019154320
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳広
(72)【発明者】
【氏名】宮田 克也
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 英美
(72)【発明者】
【氏名】大平 昭義
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 智士
(72)【発明者】
【氏名】日野水 聡子
(72)【発明者】
【氏名】安村 透
(72)【発明者】
【氏名】臼井 悟
(72)【発明者】
【氏名】袖山 健
(72)【発明者】
【氏名】大久保 亮
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-284535(JP,A)
【文献】特開2006-260561(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083338(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0000332(KR,A)
【文献】特開2019-061675(JP,A)
【文献】特開2017-223092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器の動作情報を取得するデータ収集部と、
前記動作情報を用いてユーザの行動を推定する行動推定部と、
前記推定した行動に基づいて、行動パターンを記憶する時間軸パターン記憶部と、
前記時間軸パターン記憶部に記憶した行動パターンと
前記行動推定部が推定した現在のユーザの行動とを比較する行動比較部と、
前記行動比較部の比較結果から課題を推定する課題推定部と、
前記課題推定部が推定した前記課題の解決案をユーザに通知する通知部
と、
前記課題に対応して、解決案と課題を解決するリソースを記憶した課題解決案記憶部
と、
前記課題を解決するリソースの空き情報を確認するスケジュール調整部を備える
、
マッチングシステム。
【請求項2】
前記通知部は、前記課題および前記リソースの空き状況をユーザに通知する、
請求項
1記載のマッチングシステム。
【請求項3】
前記スケジュール調整部は、前記通知に対応してユーザから送信される応諾を受信すると、該応諾に応じた前記リソースを確保する処理を行う、
請求項
2記載のマッチングシステム。
【請求項4】
前記行動推定部は、動作情報として家電機器の動作時間を用いる、
請求項1記載のマッチングシステム。
【請求項5】
前記データ収集部は、さらにセンサ情報を取得し、
前記行動推定部は、さらに前記センサ情報を用いて行動を推定する、
請求項1記載のマッチングシステム。
【請求項6】
入力装置、出力装置、処理装置および記憶装置を備える情報処理装置で実行され、
家電機器の動作情報を取得する第1のステップ、
前記動作情報を記憶する第2のステップ、
記憶した過去の
前記動作情報
から推定されたユーザの行動と現在の
前記動作情報
から推定されたユーザの行動との比較を行う第3のステップ、
前記比較の結果から課題を推定する第4のステップ、を実行
し、
課題に対応した解決案および解決のためのリソースを記憶してお
き、
前記推定した課題に対応した解決のためのリソースの空き情報を確認する第5のステップ、
ユーザに対して、前記推定した課題および前記リソースの空き時間を通知する第6のステップ、
前記通知に対応してユーザから送信される指示に基づいて、前記リソースの空き時間を確保する処理を行う第7のステップ、を実行する
、
マッチング方法。
【請求項7】
前記動作情報は、家電機器の動作時間および動作回数の少なくとも一つを含む、
請求項
6記載のマッチング方法。
【請求項8】
前記リソースが前記課題を解決するために使用する情報を送信する処理を行う、第8のステップを実行する、
請求項
6記載のマッチング方法。
【請求項9】
前記リソースが前記課題を解決するために使用する情報は、ワンタイムキーである、
請求項
8記載のマッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器の動作データを用いた行動推定にもとづく課題解決案マッチングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家電機器の動作データを用いてユーザの行動推定を行う事例が知られている。特許文献1には、家電機器、センサ、電力メータのデータをもとにユーザの行動を推定し、推定した行動をもとに行動嗜好を分類し、嗜好に適合する広告を提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、家電機器、センサ、電力メータのデータをもとにユーザの行動を推定し、推定した行動をもとに行動嗜好を分類し、嗜好に適合する広告を提示する方法が記載されている。しかし、通常時の行動パターンと通常時ではない行動パターンを区別していないので、通常時ではない場合の課題検出、解決提案ができない。
【0005】
そこで、ユーザの日常生活から課題を推定し、課題を提示する技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい一側面は、家電機器の動作情報を取得するデータ収集部と、動作情報を用いてユーザの行動を推定する行動推定部と、推定した行動に基づいて、行動パターンを記憶する時間軸パターン記憶部と、時間軸パターン記憶部に記憶した行動パターンと現在の推定した行動とを比較する行動比較部と、比較結果から課題を推定する課題推定部と、課題の解決案をユーザに通知する通知部と、を備えるマッチングシステムである。
【0007】
本発明の好ましい他の一側面は、入力装置、出力装置、処理装置および記憶装置を備える情報処理装置で実行され、家電機器の動作情報を取得する第1のステップ、動作情報を記憶する第2のステップ、記憶した過去の動作情報と現在の動作情報に基づいて比較を行う第3のステップ、比較の結果から課題を推定する第4のステップ、を実行する、マッチング方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの日常生活から課題を推定し、課題を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例におけるシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施例におけるマッチングシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施例におけるユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施例におけるリソース管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施例におけるマッチングシステムで行われる行動推定の仕組みの一例を示す表図である。
【
図6A】実施例におけるユーザの通常生活パターンの一例を示す概念図である。
【
図6B】実施例におけるマッチングシステムの時間軸パターン記憶部に記憶されるユーザの通常生活パターンの一例を示す表図である。
【
図7A】実施例におけるユーザの現在生活パターンの一例を示す概念図である。
【
図7B】実施例におけるマッチングシステムの行動比較部で比較される現在生活パターンの一例を示す表図である。
【
図8】実施例におけるマッチングシステムの課題解決案記憶部に記憶される課題解決案のリストの一例を示す表図である。
【
図9】実施例におけるマッチングシステムの課題推定部で行われる課題推定のフローチャートの一例を示す流れ図である。
【
図10A】実施例におけるリソース管理システムのリソース記憶部で記憶されるスケジュール情報の一例を示す表図である。
【
図10B】実施例におけるリソース管理システムのリソース記憶部で記憶されるスケジュール情報の一例を示す表図である。
【
図10C】実施例におけるリソース管理システムのリソース記憶部で記憶されるスケジュール情報確認結果の一例を示すイメージ図である。
【
図11】実施例における課題推定から解決案応諾までのシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【
図12】実施例におけるリソース予約後のシーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【
図13】実施例における課題解決案提示から依頼までのユーザ端末で表示される画面フローの一例を示す説明図である。
【
図14】実施例における課題解決後の画面フローの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0011】
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0012】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0013】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
本明細書で引用した刊行物、特許および特許出願は、そのまま本明細書の説明の一部を構成する。
【0015】
本明細書において単数形で表される構成要素は、特段文脈で明らかに示されない限り、複数形を含むものとする。
【実施例1】
【0016】
本実施例は、家電機器のデータおよびその他のデータを取得し、取得したデータにもとづきユーザの課題を解決する方法について説明する。
【0017】
図1は本実施例におけるシステム構成の例である。
図1において、1はマッチングシステム、2はユーザ端末、3は家電機器、4はセンサ、5はリソース管理システム、6は鍵管理システム、7はサービサ端末である。これらは、有線もしくは無線の回線により接続されている。
【0018】
ユーザ端末2、サービサ端末7は例えば、スマートフォン等のモバイル端末である。家電機器3は例えば、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、電気コンロ、エアコン、照明等の家電機器である。家電機器3は複数でもよい。センサ4は例えば、ドアロック、人感センサである。センサ4は複数でもよい。
【0019】
ユーザ端末2はモバイルネットワーク(図示せず)等を介し、マッチングシステム1と情報の送受信を行う。家電機器3は電源オン、オフや動作モードの情報をマッチングシステム1に送信する。センサ4はセンサ検出情報をマッチングシステム1に送信する。リソース管理システム5はリソース情報をマッチングシステム1と送受信する。鍵管理システム6はマッチングシステムからの指示にもとづき、サービサ端末7にワンタイムキーを払い出す。
【0020】
マッチングシステム1、ユーザ端末2、リソース管理システム5、鍵管理システム6、サービサ端末7は、基本的には入力装置、出力装置、処理装置(CPU)、記憶装置を備える情報処理装置である。本実施例では計算や制御等の機能は、記憶装置に格納されたプログラムが処理装置によって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。計算機などが実行するプログラム、その機能、あるいはその機能を実現する手段を、「機能」、「手段」、「部」、「ユニット」、「モジュール」等と呼ぶ場合がある。
【0021】
図2は本実施例におけるマッチングシステム1の構成例を示すブロック図である。データ収集部201が家電機器3やセンサ4から情報を受信し、データ記憶部202に記憶する。学習部203は記憶した情報をもとにユーザの行動を学習する。学習したユーザの行動推定モデルを推定モデル記憶部204に記憶する。行動推定部205はデータ記憶部202に記憶したデータと推定モデル記憶部204に記憶した行動推定モデルをもとにユーザの行動を推定し、時間軸パターン記憶部206に記憶する。
【0022】
行動比較部207は、行動推定部205で推定した行動と時間軸パターン記憶部206で記憶した過去の行動を比較し、比較結果を課題推定部209に入力する。課題推定部は課題解決案記憶部208を参照し、行動比較部207から入力された比較結果に課題があるか否か推定する。課題がある場合、課題解決案記憶部208に記憶した解決案を参照し、スケジュール調整部210で解決案のリソース空き状況を確認する。
【0023】
スケジュール調整部210は、通信部211を介し、リソース管理システム5にリソース空き情報を問合せ、問合せ結果を課題推定部209に通知する。課題推定部209は通知部212を介し、ユーザ端末2に課題解決案を通知する。受信部213はユーザ端末2からの応諾を受信し、スケジュール調整部210に入力する。スケジュール調整部210は、通信部211を介しリソース管理システム5のリソースを確保する。スケジュール調整部210は確保したリソースの指定日時になると通信部211を介し鍵管理システム6に鍵払出を指示し、鍵管理システム6は、サービサ端末7にワンタイムキーを払い出す。
【0024】
図3は本実施例におけるユーザ端末2の構成例を示すブロック図である。
図3において、受信部301はマッチングシステム1から課題解決案を受信する。管理部302は受信した課題解決案を表示部303に表示し、操作部304からユーザ操作による応諾を受け付ける。応諾結果を送信部305を介しマッチングシステム1に送信する。
【0025】
一例として、ユーザ端末2がスマートフォンで構成される場合、受信部301、送信部305は、モバイルネットワーク通信機能、管理部302はCPUで動作するソフトウェア、表示部303はディスプレイ、操作部304はタッチパネルで構成される。また、
図1におけるサービサ端末7はユーザ端末2と同じ構成である。
【0026】
図4は本実施例におけるリソース管理システム5の構成例を示すブロック図である。
図4において、通信部401はマッチングシステム1と通信を行う。検索部403はマッチングシステム1からのリソース問合せに対し、リソース記憶部402に記憶したリソースの空き情報、例えば利用可能な時間帯を検索し、通信部401を介し回答する。変更部404はマッチングシステム1からのリソース確保依頼に対し、リソース記憶部402に記憶したリソースを確保し、通信部401を介し回答する。
【0027】
図5にマッチングシステムで行われる行動推定の仕組みの一例を示す。
図5は、データ収集部201で収集したデータを、データ記憶部202に記憶したデータテーブルである。
【0028】
6:00-8:59の期間に、掃除機が5分間、洗濯機が90分間、冷蔵庫が3度開閉され、電子レンジが5分間、動作したことを示すデータが記憶されている。また、ドアロックが2回開閉され、リビングの人感センサが一定時間反応し、寝室の人感センサは反応が無いことが記憶されている。以上のことから、この時間帯にユーザの生活行動が掃除、洗濯、食事に関する行動が行われたことがわかる。また、人感センサの反応から掃除を行ったのは、リビングであることがわかる。
【0029】
9:00-17:59まではドアロックが閉状態で、人感センサの反応が無いことから、外出中であることがわかる。
【0030】
18:00-20:59の期間に、冷蔵庫が8度開閉され、電気コンロが90分間動作し、エアコン、照明が動作している。この時間帯に帰宅し、食事に関する行動がとられたことがわかる。
【0031】
このように、家電機器3、センサ4の種別と動作状態を参照することにより、ユーザがどのような家電機器を保有し、どのように用いているかを学習部20で学習することができる。ユーザが利用する家電機器やセンサの情報を蓄積することにより、行動の推定が可能となり、学習した行動モデルを推定モデル記憶部204に記憶する。
【0032】
行動推定部205では、推定モデル記憶部204に記憶された行動モデルを用いて、データ記憶部202に記憶された家電機器3、センサ4の種別と動作状態等からユーザの行動を推定する。また、行動推定部205では、もっと単純なアルゴリズムを用いてユーザの行動を推定してもよい。例えば、使用される家電機器の組み合わせによりユーザの行動を推定してもよい。
【0033】
図6Aは本実施例におけるユーザの通常生活パターンの一例を示す図である。生活パターン601は、ユーザが、なるべく節約のために、こまめに自炊をする生活を心掛けている様子を示す。生活パターン602は、ユーザが、定期的に部屋を掃除を行い、整理整頓を心掛けている様子を示す。生活パターン603は、ユーザが、定期的に洗濯を行い、洗濯物が溜まる前に洗濯を心掛けている様子を示す。
【0034】
図6Bは、本実施例におけるマッチングシステム1の時間軸パターン記憶部206に記憶される、ユーザの通常生活パターンの一例を示す図である。行動推定部205で推定したユーザ行動を1週間の時系列に配置した情報である。
【0035】
通常生活パターンにおいて、ユーザは、平日は勤務のために外出している。掃除を日曜、木曜に行い、洗濯を月曜、木曜、土曜に行う。月曜から水曜までは自炊を行っていることがわかる。外出である勤務に関しては、ユーザ端末の位置情報、あるいはユーザのスケジュール情報にもとづき推定する。時間軸パターン記憶部206では、記憶されたユーザの過去の生活パターンから、統計学的手法により典型的な生活パターンを通常生活パターンとして記憶する。
【0036】
図7Aは、本実施例におけるユーザの現在の生活パターンの一例を示す図である。ユーザは、多忙などの通常の生活パターンをとれない理由により、掃除や洗濯ができない状況にある。
【0037】
図7Bは本実施例におけるマッチングシステムの時間軸パターン記憶部206に記憶されるユーザの現在生活パターンの一例を示す図である。
【0038】
現在の生活パターンにおいて、ユーザは、火曜から木曜の出張のために、月曜も長時間の勤務となり、通常生活パターンと比較し炊事、洗濯、掃除の時間が少なくなる。外出である出張や買い物、友人宅パーティはユーザ端末2の位置情報、あるいはユーザのスケジュール情報にもとづき推定する。
【0039】
行動比較部207では、時間軸パターン記憶部206で記憶した通常生活パターンと、現在生活パターンを比較して、比較結果を課題推定部209に送る。たとえば、通常生活パターンと、現在生活パターンで、炊事、洗濯、掃除の時間を比較する。
【0040】
課題推定部209では、通常生活パターンと現在生活パターンの比較結果から課題を推定する。例えば、炊事の時間が少なければ食事に、洗濯の時間が少なければ洗濯に、掃除の時間が少なければ掃除に課題があると判定する(後の
図9参照)。
【0041】
図8は、本実施例におけるマッチングシステムの課題解決案記憶部208に記憶される、課題解決案のリストの一例を示す図である。
【0042】
課題が掃除である場合、行動推定部205において、掃除機の動作時間が少ない、動作回数が少ない、掃除機内のゴミの量が少ない等の情報から掃除の時間が少ないと推定し、通常生活パターンと比較し掃除ができていないという課題を課題推定部209が推定する。上記の情報は、データ収集部201が収集し、データ記憶部202に格納されたデータから得ることができる。掃除ができていないという課題に対し、メイドサービス、掃除サービスの解決案が記録されており、メイドサービスのリソースとしてはA社とB社が記録されており、掃除サービスにはC社、D社が登録されている。
【0043】
課題が洗濯である場合、通常生活パターンと比較し、洗濯機の動作時間が少ない、動作回数が少ない、洗濯槽内の洗濯物の量が少ない等の情報から洗濯できていないという課題を課題推定部209が推定する。洗濯ができていないという課題に対し、メイドサービス、洗濯サービスの解決案が記録されており、メイドサービスのリソースとしてはA社とB社が記録されており、掃除サービスにはE社、F社が登録されている。
【0044】
課題が食事である場合、通常生活パターンと比較し、電気コンロ、電子レンジの動作時間が少ない、動作回数が少ない、動作モードがレトルト食品のあたためが多い等の情報から正常な食事ができていないという課題を課題推定部209が推定する。正常な食事ができていないという課題に対し、メイドサービス、ケータリングサービスの解決案が記録されており、メイドサービスのリソースとしてはA社とB社が記録されており、ケータリングサービスにはG社、H社が登録されている。
【0045】
マッチングシステム1は、課題解決案記憶部208に記録されているリストをもとに、リソース管理システム5にリソースの空き情報を問合せしたり確保を依頼したりする。リソース管理システム5では、メイドサービス、ケータリングサービス、洗濯サービスなどのスケジュールを把握しており、それらの利用可能時間をリソース空き情報として記憶し、また利用の予約を受け付ける。
【0046】
図9は、本実施例における課題推定部209で行われる、課題推定のフローチャートの一例を示す図である。
S901:課題は掃除か判定する。
S902:課題が掃除の場合、メイドサービスを解決案として提案するか判定する。
S903:S902でNOの場合、掃除サービスを解決案の提案に設定する、メイドサービスを提案するか掃除サービスを提案するかは、ユーザの事前登録あるいは過去の履歴から判定する。なお、どちらかを優先提案に設定し、双方を提案してもよい。
S904:マッチングシステム1はリソース管理システム5に提案する解決案のリソーススケジュールを確認する。
S905:課題は洗濯か判定する。
S906:課題が洗濯の場合、メイドサービスを解決案として提案するか判定する。
S907:S906でNOの場合、洗濯サービスを解決案の提案に設定する、メイドサービスを提案するか洗濯サービスを提案するかは、ユーザの事前登録あるいは過去の履歴から判定する。なお、どちらかを優先提案に設定し、双方を提案してもよい。
S908:課題は食事か判定する。
S909:課題が食事の場合、メイドサービスを解決案として提案するか判定する。
S910:S909でNOの場合、ケータリングサービスを解決案の提案に設定する、メイドサービスを提案するかケータリングサービスを提案するかは、ユーザの事前登録あるいは過去の履歴から判定する。なお、どちらかを優先提案に設定し、双方を提案してもよい。
S911:マッチングシステム1はユーザ端末2へ解決案を送信し、提案応諾を受信する。
S912:マッチングシステム1はリソース管理システム5に応諾を受信した解決案のリソーススケジュールの確保を指示し、スケジュールを確定する。
S913:ユーザに不在時にサービスを行うか否か判定する。不在か否かはユーザからの依頼あるいは、ユーザの登録するスケジュール、学習したユーザの通常スケジュール等から在宅時にサービスを行うか不在時にサービスを行うか判定する。
S914:S913でYESの場合、マッチングシステム1は鍵管理システム6にサービサ端末7へのワンタイムキー払出を指示する。
S915:課題は無いか判定し、課題があればS901へ無ければ終了する。
【0047】
図10A、
図10Bは本実施例におけるリソース管理システム5のリソース記憶部402で記憶されるスケジュール情報の一例を示す図である。
図10A、
図10Bは各々、別のメイドのスケジュールである。スケジュールは3時間ごとの時間枠で管理されており、行先が記録されている。空き状態の時間枠にはサービス金額が記録されており、空き時間枠の前後時間枠でサービスを行う出張先に近い場合、安価な金額が設定されている場合がある。
【0048】
マッチングシステム1のスケジュール調整部210は、通信部211を介し、リソース管理システム5にリソース空き情報を問合せ、リソース管理システム5は、リソース記憶部402が記憶する情報に基づいて、リソース空き情報を回答する。
【0049】
図10Aのスケジュールにおいて、7月9日は9:00-12:00、18:00-21:00の時間帯において、Aマンションへのメイドサービスが登録されている。空き時間枠の13:00-16:00にはAマンションに近い出張先の場合200THB(タイバーツ)、それ以外の場合300THBの価格が設定されている。
【0050】
図10Bのスケジュールにおいて、7月9日は9:00-12:00、18:00-21:00の時間帯において、Bマンションへのメイドサービスが登録されている。時間枠の13:00-16:00には300THBの価格が設定されている。
【0051】
図10Cは本実施例におけるリソース管理システムのリソース記憶部で記憶され、ユーザへ提示されるスケジュール情報確認結果の一例を示す図である。
図10Cは、
図10A、
図10Bのスケジュールをもとにユーザへ提示される、解決案であるメイドサービススケジュール提案の画面である。
【0052】
7月7日から13日の期間において、
図10A、
図10Bで示したメイドスケジュールの空き情報をもとに予約可能な日時を表示する。この際、ユーザがAマンションに在住している場合、
図10Aで示したメイドは、ユーザが在住するAマンションへ出向くことが登録されており、移動費等が発生しないため、この時間帯を最安の時間枠として提案する。
【0053】
図11は本実施例における課題推定から解決案応諾までのシーケンスの一例を示す図である。なお、時間軸パターン記憶部206には、既に通常生活パターンが記憶されている。
S1101:マッチングシステム1は家電機器3、センサ4からデータを収集する。
S1102:マッチングシステム1は課題推定を行う。
S1103:マッチングシステム1はリソース管理システム5にリソース空き情報の検索を依頼する。
S1104:リソース管理システム5は空き情報を回答する。
S1105:マッチングシステム1はユーザ端末2へ課題と解決案を通知する。
S1106:ユーザ端末2は、マッチングシステム1へ課題と解決案の詳細を問い合わせる。
S1107:マッチングシステム1はユーザ端末2へ課題と解決案の詳細を応答する。
S1106、S1107は必要回数繰り返してもよい。
S1108:ユーザはユーザ端末2を用い解決案の応諾を送信する。
S1109:マッチングシステム1はリソース管理システム5にリソースの確保を依頼する。
S1110:リソース管理システム5はリソース確保の予約を行う。
S1111:リソース管理システム5はリソース確保を回答する。
S1112:マッチングシステム1はユーザ端末2へリソース予約を通知する。
【0054】
図12は本実施例におけるリソース予約後のシーケンスの一例を示す図である。
S1201:マッチングシステム1は鍵管理システム6にワンタイムキー払出を指示する。
S1202:鍵管理システム6はサービサ端末7にワンタイムキーを払い出す。
S1203:サービサであるメイドはサービサ端末に払い出されたワンタイムキーを用いてユーザ宅のドアを開錠する。
S1204:サービサはユーザ宅の掃除、洗濯、あるいは食事サービスを行う。サービスに用いた家電機器、センサの情報がマッチングシステム1に送信される。
S1205:マッチングシステム1はサービサの行動を推定する。
S1206:サービサはサービスが終了するとユーザ宅を施錠する。
S1207:サービサ端末は予約時間を過ぎるか施錠されたことをもってワンタイムキーを返却する。なお、返却ではなく破棄してもよい。
S1208:鍵管理システム6はワンタイムキーを無効化する。
S1209:鍵管理システム6はワンタイムキーの無効化が完了したことをマッチングシステム1に通知する。
S1210:マッチングシステム1は、サービスが完了したことをユーザ端末2に通知する。
S1211:ユーザはユーザ端末2を用い、サービス完了の詳細を問い合わせる。
S1212:マッチングシステム1は、サービス完了の詳細を応答する。
【0055】
図13は本実施例における課題解決案提示から依頼までのユーザ端末で表示される画面フローの一例を示す図である。なお、
図11で示したステップをあわせて記載する。
S1301:マッチングシステム1からは受信した課題、課題解決を表示する。この場合、リビングの掃除ができていないという課題に対し、掃除ができるメイドを紹介する課題解決案を提案する(S1105)。
S1302:解決案を選択すると、サービスを提供可能なリソースの空き情報を表示する(S1106、1107)。ここでは掃除代行が可能なメイドの空き時間枠が表示されている。
S1303:S1302の画面で課題の詳細を問い合わせると、各部屋の掃除ができていない状態を表示する。S1302の画面では、部屋ごとに赤、黄色など色別に汚れ度合いが示されている。この場合、リビング、エントランスの汚れ度合いが高い(S1106、1107)。
S1304:S1302でリソースの時間枠を選択すると、出張可能な人の紹介画面を表示する。この画面で出張可能な人の属性(キャンセル率、遅刻率等)を表示してもよい(S1106、1107)。
S1305:S1304で依頼を選択すると、金額を含めた確認画面を表示する(S1106、1107)。
S1306:S1305で確定を選択すると、予約が完了したことを表示する(1112)。
【0056】
図14は本実施例における課題解決後のユーザ端末で表示される画面フローの一例を示す図である。なお、
図12で示したステップをあわせて記載する。
S1401:マッチングシステム1から「部屋のお掃除が完了しました」などのメッセージにより、掃除が完了したことを通知される(S1210)
S1402:完了通知を選択すると、S1303と同様のGUI(Graphical User Interface)で各部屋の汚れ状況を表示する。(S1211、1212)なお、汚れ状況は
図12のS1205で行ったサービサの行動推定をもとづき表示する。
【0057】
以上説明した実施例によれば、家電機器の動作から,通常生活パターンとの乖離を検知して、乖離により発生する課題を推定し、ユーザへ課題の解決案を提示するとともに、解決に必要なリソースの調停を行い,ユーザ応諾をもって、解決案を手配することができる。これによれば、ユーザの日常生活から課題を推定し、ユーザの能動的な行動を必要とせず、課題の解決案を提示することにより、ユーザのQoL(Quality of Life)の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:マッチングシステム
2:ユーザ端末
3:家電機器
4:センサ
5:リソース管理システム
6:鍵管理システム
7:サービサ端末