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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】電力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/06 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
G01R21/06 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019167168
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021043138
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】富尾 剛至
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191453(JP,A)
【文献】特開2018-084565(JP,A)
【文献】特開2017-017958(JP,A)
【文献】特開2010-166784(JP,A)
【文献】特開2017-085796(JP,A)
【文献】特開2006-268099(JP,A)
【文献】特開2016-090581(JP,A)
【文献】米国特許第04525669(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0301127(US,A1)
【文献】特開2020-159843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 21/00-21/14
G01R 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R相の電圧線及びT相の電圧線及びN相の中性線で構成される単相3線式の電力線に対して接続配線を介して接続される電源装置の入出力電力を測定する電力測定装置であって、
前記接続配線は、前記R相の電圧線に接続されるR相接続配線と、前記T相の電圧線に接続されるT相接続配線と、前記N相の中性線に接続されるN相接続配線との3線で構成され、
前記電源装置は、電源部と当該電源部を前記接続配線に接続する電力変換器を有し、当該電力変換器が、前記接続配線を構成する前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの一方の入出力用接続配線と前記N相接続配線との2線に接続される交流100V電源であり、
前記R相接続配線及び前記T相接続配線の両方を囲む環状の磁性体コアと、
前記磁性体コアの一部に複数回巻き付けられた二次側巻線と、
前記二次側巻線に接続される出力線と、
前記電源装置の前記電力変換器が接続されている前記R相接続配線又は前記T相接続配線に流れる一次電流に応じて前記出力線を流れる二次電流に基づいて、前記電源装置の前記電力変換器が接続されている前記入出力用接続配線を流れる電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部の測定結果に基づいて前記電源装置の入出力電力を導出する電力導出部とを備え
前記R相接続配線及び前記T相接続配線の一端はそれぞれ前記R相の電圧線及び前記T相の電圧線に接続され、前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの一方の他端は前記電力変換器に接続され、前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの他方の他端はどこにも接続されない電力測定装置。
【請求項2】
前記磁性体コアが囲む部分において、前記R相接続配線に前記一次電流が流れているとした場合の当該一次電流の向きと、前記T相接続配線に前記一次電流が流れているとした場合の当該一次電流の向きとが等しくなるように、前記磁性体コアに囲まれる前記R相接続配線及び前記T相接続配線の向きが設定されている請求項1に記載の電力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R相の電圧線及びT相の電圧線及びN相の中性線で構成される単相3線式の電力線に対して接続配線を介して接続される電源装置の入出力電力を測定する電力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-85796号公報)には、情報処理装置を使用して電力に関する情報の表示を行うことが記載されている。具体的には、情報処理装置は、電流センサ(電流センサ80)の検出結果に基づいて電源設備(発電設備40及び蓄電池50)の入出力電力を算出し、表示画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-85796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような情報処理装置には、電源装置の入出力電流の測定結果と所定の電圧(電源装置の入出力電圧)とに基づいて電源装置の入出力電力を計算するような電力計算用のプログラムが搭載されている。例えば、電源装置が、単相3線式の電力線を構成するR相の電圧線及びT相の電圧線及びN相の中性線の全てに接続されている場合(200V出力3線接続の場合)には、電源装置の入出力電圧は200Vになる。そして、測定された入出力電流と、入出力電圧(200V)とに基づいて、電源装置の入出力電力が導出される。
【0005】
尚、電源装置が、単相3線式の電力線を構成するR相の電圧線及びT相の電圧線のうちの一方の電圧線とN相の中性線とに接続されている交流100V電源の場合(100V出力2線接続の場合)には、電源装置7の入出力電力を正しく導出できない場合がある。
【0006】
例えば、図4は、電力測定装置としてのHEMSコントローラ11が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。図4に示すように、電力系統1に接続される単相3線式の電力線2が分電盤3に引き込まれている。電力線2は、R相の電圧線2rとT相の電圧線2tとN相の中性線2nとで構成される。分電盤3では、複数の分岐ブレーカ4(4a,4b,4c)を経由して複数の線路が電力線2から分岐し、そこに電力負荷装置5(5a,5b)や電源装置7が接続される。
【0007】
接続配線6は、R相の電圧線2r及びT相の電圧線2t及びN相の中性線2nの3線に接続される分岐ブレーカ4cに接続される。接続配線6は、R相の電圧線2rに接続されるR相接続配線6rと、T相の電圧線2tに接続されるT相接続配線6tと、N相の中性線2nに接続されるN相接続配線6nとの3線で構成され、それら3線の接続配線6(6r,6t,6n)が電源装置7の接続端8に接続される。
【0008】
電源装置7は、電源部7b及び電源部7bを接続配線6に接続する電力変換器7aを有する。接続配線6は3線で構成され、電源装置7の接続端8にはそれら3線が接続されているものの、電源装置7の電力変換器7aは、R相接続配線6r及びT相接続配線6tのうちの一方の入出力用接続配線とN相接続配線6nとの2線のみに接続される。図4に示す例では、電源装置7の電力変換器7aは、R相接続配線6r及びN相接続配線6nの2線に接続されているが、T相接続配線6tには接続されていない。従って、T相接続配線6tには電流は流れない。
【0009】
分電盤3に接続される電気機器の動作状態の管理や表示などを行いたい場合、HEMS(Home Energy Management System)10などの情報管理装置が分散型電源システムに設けられる。例えば、HEMS10が有するHEMSコントローラ11は、表示部14に対して、電源装置7の入出力電力などを表示させることなどを行う。そのために、分散型電源システムには、電源装置7の入出力電流を測定する機器や、電源装置7の入出力電圧を測定する機器が設けられ、それらの測定結果はHEMSコントローラ11に伝達される。図4に示すような分散型電源システムであれば、R相接続配線6rの電流を測定するための変流器CTや、その変流器CTが設けられている接続配線(図4ではR相接続配線6r)の電圧を測定する機器(図示せず)などが設けられる。
【0010】
HEMSコントローラ11の電流測定部12には変流器CTの出力が入力され、HEMSコントローラ11の電力導出部13は、変流器CTの出力結果と、別途測定されるR相接続配線6rの電圧とに基づいて電源装置7の入出力電力を導出する。具体的には、変流器CTは、R相接続配線6rを囲む環状の磁性体コア15と、磁性体コア15の一部に複数回巻き付けられた二次側巻線16と、二次側巻線16に接続される出力線17とを有する。二次側巻線16に接続される出力線17には、R相接続配線6rに流れる一次電流に応じた二次電流が流れる。出力線17はHEMSコントローラ11に接続され、HEMSコントローラ11の電流測定部12では、出力線17を流れる電流値を決定でき、その電流値に基づいて、電源装置7の電力変換器7aが接続されているR相接続配線6rでの電流値を導出できる。そして、HEMSコントローラ11の電力導出部13は、電流測定部12の測定結果に基づいて電源装置7の入出力電力を導出する。
【0011】
尚、電源装置7が交流100V電源の場合(100V出力2線接続の場合)、図4に示すように、電源装置7の電力変換器7aをR相接続配線6rとN相接続配線6nとの2線に接続しても良いし、図5に示すように、電源装置7の電力変換器7aをT相接続配線6tとN相接続配線6nとの2線に接続してもよい。但し、図5に示した分散型電源システムの場合、電源装置7の電力変換器7aが接続されていないR相接続配線6rには変流器CTが設けられているが、電源装置7の電力変換器7aが接続されるT相接続配線6tには変流器CTは設けられていない。その結果、図5に示した分散型電源システムの場合、HEMSコントローラ11は、電源装置7の入出力電力を正しく導出できないという問題がある。或いは、電源装置7の電力変換器7aが、R相接続配線6rに接続される状態とT相接続配線6tに接続される状態との間で切り替えられるような分散型電源システムの場合も、HEMSコントローラ11は、電源装置7の入出力電力を正しく導出できないという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電源装置の入出力電力を確実に測定できる電力測定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る電力測定装置の特徴構成は、R相の電圧線及びT相の電圧線及びN相の中性線で構成される単相3線式の電力線に対して接続配線を介して接続される電源装置の入出力電力を測定する電力測定装置であって、
前記接続配線は、前記R相の電圧線に接続されるR相接続配線と、前記T相の電圧線に接続されるT相接続配線と、前記N相の中性線に接続されるN相接続配線との3線で構成され、
前記電源装置は、電源部と当該電源部を前記接続配線に接続する電力変換器を有し、当該電力変換器が、前記接続配線を構成する前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの一方の入出力用接続配線と前記N相接続配線との2線に接続される交流100V電源であり、
前記R相接続配線及び前記T相接続配線の両方を囲む環状の磁性体コアと、
前記磁性体コアの一部に複数回巻き付けられた二次側巻線と、
前記二次側巻線に接続される出力線と、
前記電源装置の前記電力変換器が接続されている前記R相接続配線又は前記T相接続配線に流れる一次電流に応じて前記出力線を流れる二次電流に基づいて、前記電源装置の前記電力変換器が接続されている前記入出力用接続配線を流れる電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部の測定結果に基づいて前記電源装置の入出力電力を導出する電力導出部とを備え
前記R相接続配線及び前記T相接続配線の一端はそれぞれ前記R相の電圧線及び前記T相の電圧線に接続され、前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの一方の他端は前記電力変換器に接続され、前記R相接続配線及び前記T相接続配線のうちの他方の他端はどこにも接続されない点にある。

【0014】
上記特徴構成によれば、環状の磁性体コアによってR相接続配線及びT相接続配線の両方が囲まれているため、電力変換器がR相接続配線に接続されてそのR相接続配線に電流(一次電流)が流れている場合には、その一次電流に応じた二次電流が電流測定部に入力され、電力変換器がT相接続配線に接続されてそのT相接続配線に電流(一次電流)が流れている場合には、その一次電流に応じた二次電流が電流測定部に入力される。つまり、電流測定部は、電力変換器がR相接続配線に接続されている場合及びT相接続配線に接続されている場合の何れであっても、それらR相接続配線又はT相接続配線に流れている電流を測定でき、電力導出部は、電流測定部の測定結果に基づいて前記電源装置の入出力電力を導出できる。
従って、電源装置の入出力電力を確実に測定できる電力測定装置を提供できる。
【0015】
本発明に係る電力測定装置の別の特徴構成は、前記磁性体コアが囲む部分において、前記R相接続配線に前記一次電流が流れているとした場合の当該一次電流の向きと、前記T相接続配線に前記一次電流が流れているとした場合の当該一次電流の向きとが等しくなるように、前記磁性体コアに囲まれる前記R相接続配線及び前記T相接続配線の向きが設定されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、磁性体コアに囲まれるR相接続配線及びT相接続配線の向きが、R相接続配線に一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きと、T相接続配線に一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きとが等しくなるように設定されている。つまり、電力変換器がR相接続配線に接続されている場合及びT相接続配線に接続されている場合の何れであっても、電力導出部が導出する入出力電力の符号は同じになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図2】電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図3】別の電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図4】比較例の電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
図5】比較例の電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る電力測定装置について説明する。
図1及び図2は、電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。図示するように、電力系統1に接続される単相3線式の電力線2が分電盤3に引き込まれている。電力線2は、R相の電圧線2rとT相の電圧線2tとN相の中性線2nとで構成される。
【0019】
後述するように、本実施形態の電力測定装置は、磁性体コア15と、二次側巻線16と、出力線17と、電流測定部12と、電力導出部13とを備える。
【0020】
分電盤3では、複数の分岐ブレーカ4(4a,4b,4c)を経由して複数の線路が電力線2から分岐し、そこに電力負荷装置5(5a,5b)や電源装置7が接続される。図1に示す例では、電力負荷装置5aが、分岐ブレーカ4aを経由してR相の電圧線2r及びN相の中性線2nの2線に接続され、電力負荷装置5bが、分岐ブレーカ4bを経由してT相の電圧線2t及びN相の中性線2nの2線に接続される。
【0021】
接続配線6は、R相の電圧線2r及びT相の電圧線2t及びN相の中性線2nの3線に接続される分岐ブレーカ4cに接続される。接続配線6は、R相の電圧線2rに接続されるR相接続配線6rと、T相の電圧線2tに接続されるT相接続配線6tと、N相の中性線2nに接続されるN相接続配線6nとの3線で構成され、それら3線の接続配線6(6r,6t,6n)が電源装置7の接続端8に接続される。
【0022】
電源装置7は、電源部7b及び電源部7bを接続配線6に接続する電力変換器7aを有する。接続配線6は3線で構成され、電源装置7の接続端8にはそれら3線が接続されているものの、電源装置7の電力変換器7aは、R相接続配線6r及びT相接続配線6tのうちの一方の入出力用接続配線とN相接続配線6nとの2線のみに接続される。
【0023】
図1に示す分散型電源システムでは、電源装置7の電力変換器7aは、R相接続配線6r及びN相接続配線6nの2線に接続されているが、T相接続配線6tには接続されていない。従って、T相接続配線6tには電流は流れない。
図2に示す分散型電源システムでは、電源装置7の電力変換器7aは、T相接続配線6t及びN相接続配線6nの2線に接続されているが、R相接続配線6rには接続されていない。従って、R相接続配線6rには電流は流れない。
【0024】
電源部7bは、発電装置や充放電装置などを用いて構成される。例えば、発電装置としては、燃料電池を備える装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置や、太陽光発電装置などの様々な装置を用いることができる。充放電装置としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池などの蓄電池(化学電池)や、キャパシタ、フライホイールなどの様々な装置を用いることができる。
【0025】
分電盤3に接続される電気機器の動作状態の管理や表示などを行いたい場合、HEMS(Home Energy Management System)10などの情報管理装置が分散型電源システムに設けられる。例えば、HEMS10が有するHEMSコントローラ11は、表示部14に対して、電源装置7の入出力電力などを表示させることなどを行う。そのために、分散型電源システムには、電源装置7の入出力電流を測定する機器や、電源装置7の入出力電圧を測定する機器が設けられ、それらの測定結果はHEMSコントローラ11に伝達される。
【0026】
HEMSコントローラ11の電流測定部12には変流器CTの出力が入力され、HEMSコントローラ11の電力導出部13は、変流器CTの出力結果と、別途測定されるR相接続配線6rの電圧とに基づいて電源装置7の入出力電力を導出する。
【0027】
変流器CTは、R相接続配線6r及びT相接続配線6tの両方を囲む環状の磁性体コア15と、磁性体コア15の一部に複数回巻き付けられた二次側巻線16と、二次側巻線16に接続される出力線17とを有する。つまり、R相接続配線6r及びT相接続配線6tは共に、環状の磁性体コア15の中空部分を並行して貫くように設置されている。尚、磁性体コア15は、完全な円環状の材料で構成されていてもよいし、部分的にギャップを有する環状の材料で構成されていてもよい。例えば、後者の場合、変流器CTはいわゆるクランプ式の変流器を用いて実現できる。また、図示は省略するが、R相接続配線6r及びT相接続配線6tのうちの一方の電圧(本実施形態ではR相接続配線6rの電圧)を測定する機器(図示せず)も設けられ、その測定結果は電力導出部13に伝達される。
【0028】
このような変流器CTを用いることで、図1に示すように、電源装置7の電力変換器7aがR相接続配線6rに接続されることで、R相接続配線6rに電源装置7の入出力電流が流れている場合、二次側巻線16に接続される出力線17には、R相接続配線6rに流れる一次電流(電源装置7の入出力電流)に応じた二次電流が流れる。
或いは、図2に示すように、電源装置7の電力変換器7aがT相接続配線6tに接続されることで、T相接続配線6tに電源装置7の入出力電流が流れている場合、二次側巻線16に接続される出力線17には、T相接続配線6tに流れる一次電流(電源装置7の入出力電流)に応じた二次電流が流れる。
【0029】
そして、出力線17はHEMSコントローラ11に接続され、HEMSコントローラ11の電流測定部12では、出力線17を流れる電流値を決定でき、その電流値に基づいて、電源装置7の入出力電流の値を測定できる。そして、HEMSコントローラ11の電力導出部13は、電流測定部12の測定結果と、R相接続配線6rの電圧とに基づいて電源装置7の入出力電力を導出する。つまり、電力導出部13は、電力変換器7aがR相接続配線6rに接続されている場合及びT相接続配線6tに接続されている場合の何れであっても、一方の接続配線6の電圧(本実施形態ではR相接続配線6rの電圧)を用いて電源装置7の入出力電力を導出する。
【0030】
具体的に説明すると、本実施形態の変流器CTは、磁性体コア15が囲む部分において、R相接続配線6rに一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きと、T相接続配線6tに一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きとが等しくなるように、磁性体コア15に囲まれるR相接続配線6r及びT相接続配線6tの向きが設定されている。その結果、電力変換器7aがR相接続配線6rに接続されてそのR相接続配線6rに電流が流れている場合と、電力変換器7aがT相接続配線6tに接続されてそのT相接続配線6tに電流が流れている場合との何れであっても、R相接続配線6rの電圧を用いて導出した電源装置7の入出力電力の符号は同じになる。
【0031】
以上のように、本実施形態の電力測定装置は、環状の磁性体コア15によってR相接続配線6r及びT相接続配線6tの両方が囲まれているため、電力変換器7aがR相接続配線6rに接続されてそのR相接続配線6rに電流(一次電流)が流れている場合には、その一次電流に応じた二次電流が電流測定部12に入力され、電力変換器7aがT相接続配線6tに接続されてそのT相接続配線6tに電流(一次電流)が流れている場合には、その一次電流に応じた二次電流が電流測定部12に入力される。つまり、電流測定部12は、電力変換器7aがR相接続配線6rに接続されている場合及びT相接続配線6tに接続されている場合の何れであっても、それらR相接続配線6r又はT相接続配線6tに流れている電流を測定でき、電力導出部13は、電流測定部12の測定結果に基づいて前記電源装置の入出力電力を導出できる。
【0032】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の電力測定装置及びそれが設けられる分散型電源システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0033】
例えば、図3は、別実施形態の電力測定装置が設けられる分散型電源システムの構成を示す図である。図3に示す分散型電源システムでは、変流器CTの磁性体コア15が囲む部分において、R相接続配線6rに一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きと、T相接続配線6tに一次電流が流れているとした場合のその一次電流の向きとが逆になる状態に、磁性体コア15に囲まれるR相接続配線6r及びT相接続配線6tの向きが設定されている。
【0034】
尚、上記実施形態と同様にR相接続配線6rの電圧を用いて電源装置7の入出力電力を導出する場合、R相接続配線6rに電流が流れている場合と、T相接続配線6tに電流が流れている場合とで、電力導出部13が導出する入出力電力の符号が逆になるが、例えば導出した入出力電力の大きさのみを表示部14に表示させるような対処を行ってもよい。特に、電源部7bが発電装置である場合、電源装置7からは電力が出力される場合しか存在しないため、電力導出部13が導出した入出力電力の大きさ、即ち、発電電力の大きさのみを表示部14に表示させることでよい。
【0035】
<2>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電源装置の入出力電力を確実に測定できる電力測定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
2 電力線
2r R相の電圧線
2t T相の電圧線
2n N相の中性線
6 接続配線
6r R相接続配線
6t T相接続配線
6n N相接続配線
7 電源装置
7a 電力変換器
7b 電源部
12 電流測定部
13 電力導出部
15 磁性体コア
16 二次側巻線
17 出力線
図1
図2
図3
図4
図5