(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】養生マット
(51)【国際特許分類】
E04G 21/24 20060101AFI20230707BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20230707BHJP
E01F 9/512 20160101ALI20230707BHJP
【FI】
E04G21/24 A
E04G21/32 Z
E01F9/512
(21)【出願番号】P 2019177371
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲則
(72)【発明者】
【氏名】長橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】小松 章良
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸雄
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285768(JP,A)
【文献】実開昭52-046037(JP,U)
【文献】登録実用新案第3009462(JP,U)
【文献】特開2009-150163(JP,A)
【文献】実開昭52-046035(JP,U)
【文献】特開2019-15052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24
E04G 21/32
E01F 9/512
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設して養生するゴム製の養生マットであって、
本体部分と、該本体部分の端部から所定の距離を隔てて配置された視覚障害者誘導ブロック部分とが一体構成され、
該視覚障害者誘導ブロック部分は、該本体部分と色の異なる異色ゴムで構成され、
前記本体部分と前記視覚障害者誘導ブロック部分との境界部分である、該本体部分の端部から所定の距離を隔てた位置に、マット表面から所定の深さの境界溝が設けられた
養生マット。
【請求項2】
前記境界溝は、マットの厚みに対して1/10以上1/2以下の深さで形成された
請求項1に記載の養生マット。
【請求項3】
前記境界溝は、
前記本体部分の端部と平行に設けられた
請求項1又は2に記載の養生マット。
【請求項4】
前記本体部分の端部に、端部を明示する端部明示が設けられた
請求項1乃至3のうちいずれかに記載の養生マット。
【請求項5】
前記視覚障害者誘導ブロック部分には、点字ブロックとして規定された凸部が設けられた
請求項1乃至4のうちいずれかに記載の養生マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、供用中の施設における施工箇所を仮復旧する際等の敷設箇所に敷設するゴム製の養生マットに関する。
【背景技術】
【0002】
駅などの供用中の施設の改良などは、線路が閉鎖される夜中に施工されることが多い。このような夜中の施工が一旦修了すると、施工箇所を仮復旧して開放する必要があるが、施工箇所には、ゴム製の養生マットを敷設して開放する。
【0003】
そして、駅のプラットフォームが施工箇所である場合、開放時には点字ブロックなどの視覚障害者誘導ブロックも一緒に仮復旧する必要がある。そこで、例えば、特許文献1に提案の視覚障害者誘導ブロックなどを養生マットに貼り付けて仮復旧することとなる。なお、視覚障害者誘導ブロックは、プラットフォームの線路側端部から所定の位置に正確に配置する必要があった。そのため、仮復旧のたびに、敷設した養生マット上において、上記所定の位置を計測して、視覚障害者誘導ブロックを貼り付けており、非常に手間のかかる作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、敷設箇所を養生するとともに、視覚障害者誘導ブロック部分を所定の位置に容易に配置できる養生マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、敷設して養生するゴム製の養生マットであって、本体部分と、該本体部分の端部から所定の距離を隔てて配置された視覚障害者誘導ブロック部分とが一体構成され、該視覚障害者誘導ブロック部分は、該本体部分と色の異なる異色ゴムで構成され、前記本体部分と前記視覚障害者誘導ブロック部分との境界部分である、該本体部分の端部から所定の距離を隔てた位置に、マット表面から所定の深さの境界溝が設けられたことを特徴とする。
【0007】
この発明により、施工後の仮復旧時における施工箇所等の敷設箇所を養生するとともに、視覚障害者誘導ブロック部分を所定の位置に容易に配置することができる。
詳述すると、養生マットが本体部分と、該本体部分の端部から所定の距離を隔てて配置された視覚障害者誘導ブロック部分とが一体構成されているため、養生マットを敷設するだけで、視覚障害者誘導ブロック部分も敷設することができる。
【0008】
また、前記視覚障害者誘導ブロック部分は前記本体部分と色の異なる異色ゴムで構成されているため、視覚的に、視覚障害者誘導ブロック部分が敷設されていることを明示できる。
なお、別体構成した異色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とを貼り付けて一体構成すると、段差ができたり、段差が生じないように突き合わせて貼付すると、境界部分での強度が著しく低下し、繰り返しの使用ができなかったり、使用時に貼付箇所が外れたりするおそれがあった。
【0009】
そのため、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とを一体形成することとなるが、異色ゴムで構成された視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界が波打ったり、食い込んだりすることとなる。視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界が波打ったり、食い込んだりすることで、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との一体性は向上するものの、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境目が不明瞭となる。
【0010】
これに対し、前記本体部分と、異色ゴムで構成された前記視覚障害者誘導ブロック部分との境界部分である、該本体部分の端部から所定の距離を隔てた位置に、マット表面から所定の深さの境界溝が設けられたことにより、表面上は視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とが明確に切り分けられ、境界溝の下方において異色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とが入り混ざった状態で一体化することができる。したがって、表面上、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界を明確にできるとともに、一体性の高い養生マットを構成することができる。
【0011】
なお、このように養生マットは、該本体部分の端部から所定の距離を隔てた位置に、マット表面から所定の深さの境界溝が設けられているため、例えば、養生マットを、前記本体部分の端部が駅のプラットフォームの線路側端部に合わすように敷設するだけで、境界溝は視覚障害者誘導ブロック部分が配置されるべき所定位置に配置され、視覚障害者誘導ブロック部分を所定の位置に容易且つ正確に配置することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記境界溝は、マットの厚みに対して1/10以上1/2以下の深さで形成されてもよい。
この発明により、表面上、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界を明確にできるとともに、一体性の高い養生マットを構成することができる。
【0013】
詳述すると、前記境界溝の深さが、マットの厚みに対して1/10より小さい場合、表面上から、境界溝下方の異色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とが入り混ざった状態で一体化する部分がみえるため、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界の明確性が低減することとなる。
【0014】
逆に、前記境界溝の深さが、マットの厚みに対して1/2より大きい場合、境界溝下方の異色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分とが入り混ざった状態で一体化する部分の強度が低下し、養生マットの耐久性が低下する。
【0015】
これに対し、前記境界溝が、マットの厚みに対して1/10以上1/2以下の深さで形成されることで、表面上、視覚障害者誘導ブロック部分と本体部分との境界を明確にできるとともに、一体性の高く、繰り返して使用できる養生マットを構成することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記境界溝は、前記本体部分の端部と平行に設けられてもよい。
この発明により、例えば、養生マットを、前記本体部分の端部が駅のプラットフォームの線路側端部に合わすように敷設するだけで、境界溝は視覚障害者誘導ブロック部分が配置されるべき所定位置に対して、延長方向に配置された視覚障害者誘導ブロック部分を所定の位置に容易且つ正確に配置することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記本体部分の端部に、端部を明示する端部明示が設けられてもよい。
この発明により、養生マットを敷設するだけで、プラットフォームの線路側端部などの端部を明示することができる。したがって、地下鉄のプラットフォームや日陰になるプラットフォームであっても利用者の安全を確保することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記視覚障害者誘導ブロック部分には、点字ブロックとして規定された凸部が設けられてもよい。
この発明により、視覚障害者を安全に誘導することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、本発明は、敷設箇所を養生するとともに、視覚障害者誘導ブロック部分を所定の位置に容易に配置できる養生マットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図15】さらに別の実施形態の養生マットの平面図。
【
図16】さらに別の実施形態の養生マットの底面図。
【
図17】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図18】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図19】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図20】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図21】さらに別の実施形態の養生マットの平面図。
【
図22】さらに別の実施形態の養生マットの底面図。
【
図23】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図24】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図25】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【
図26】さらに別の実施形態の養生マットの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の一実施形態を、
図1乃至
図7とともに説明する。
図1は養生マット1の平面図を示し、
図2は養生マット1の底面図を示し、
図3乃至
図6は養生マット1の説明図を示し、
図7は養生マット1の施工状態を説明する斜視図を示している。
【0022】
詳述すると、
図3(a)は養生マット1の左側面図を示し、
図3(b)は
図1におけるA-A矢視図を示し、
図3(c)は
図1におけるB-B矢視図を示し、
図3(d)は
図1におけるC-C矢視図を示している。
図3(e)は
図1におけるD-D矢視図を示し、
図3(f)は養生マット1の右側面図を示している。
【0023】
図4(a)は
図1におけるE-E矢視図を示し、
図4(b)は
図1におけるF-F矢視図を示し、
図4(c)は
図1におけるG-G矢視図を示し、
図4(d)は養生マット1の正面図を示している。なお、養生マット1の背面図は
図4(d)に示す養生マット1の正面図と対称に現れるため省略する。
【0024】
図5(a)は
図3(a)におけるH-H,I-I部分の拡大図を示し、
図5(b)は
図3(b)におけるJ-J,K-K部分の拡大図を示し、
図5(c)は
図3(c)におけるL-L,M-M部分の拡大図を示し、
図5(d)は
図3(d)におけるN-N,O-O部分の拡大図を示している。
図5(e)は
図3(e)におけるP-P,Q-Q部分の拡大図を示し、
図5(f)は
図3(f)におけるR-R,S-S部分の拡大図を示している。
【0025】
また、
図6(a)は
図4(a)におけるT-T,U-U部分の拡大図を示し、
図6(b)は
図4(b)におけるV-V,W-W部分の拡大図を示し、
図6(c)は
図4(c)におけるX-X,Y-Y部分の拡大図を示し、
図6(d)は
図4(d)におけるZ-Z,AA-AA部分の拡大図を示している。
【0026】
なお、
図1における上下方向を幅方向DWとし、
図1における左右方向を奥行き方向DLとしている。また、奥行き方向DLのうち
図1における左側を先端側DFとし、右側を奥側DBとしている。
【0027】
養生マット1は、駅舎におけるプラットフォームの拡幅工事などにおいて、供用中のプラットフォームにおける施工箇所を、夜間の施工終了後に、仮復旧して開放する際に、施工箇所に敷設する養生材である。養生マット1は、衝撃吸収効果、疲労軽減効果、スリップ抑制効果などが優れている。
【0028】
養生マット1は、ゴム製であり、適宜の厚みを有するシート状に構成されている。
なお、本実施形態では、養生マット1は、硬度が70°乃至75°のゴム製であり、5mmの厚みで形成されている。
【0029】
養生マット1は、本体部分10と、視覚障害者誘導ブロック部分20とで一体構成され、平面視長方形状に形成されている。なお、本体部分10と視覚障害者誘導ブロック部分20の境界部分における養生マット1の表面側には適宜の深さの第1境界溝30が幅方向DWに沿って形成されている。
【0030】
本体部分10は平面視略長方形状に形成され、本体部分10の表面からの上方に突出する滑り止め凸部11が幅方向DWと奥行き方向DLとに所定間隔を隔てて行列配置、つまり格子状に配置されている。なお、滑り止め凸部11は、適宜の高さの円盤状に形成され、本体部分10と一体構成されている。
【0031】
このように構成された本体部分10は、黒色ゴムで黒色に形成されている。
なお、本実施形態では、本体部分10は、幅方向DWが900mm且つ奥行き方向DLが800mmの平面視長方形状に形成されている。
【0032】
視覚障害者誘導ブロック部分20は、幅方向DWに対して奥行き方向DLが長い平面視長方形状のブロック部21が3つ幅方向DWに並列配置されている。なお、3つのブロック部21は、視覚障害者誘導ブロック部分20の表面側に適宜の深さで形成され、奥行き方向DLに延びる凹状の第2境界溝22によって、平面視において区切られているものの、
図2に示すように、3つのブロック部21は一体化されており、視覚障害者誘導ブロック部分20を構成している。
【0033】
なお、本実施形態では、ブロック部21は、幅方向DWが300mm且つ奥行き方向DLが400mmの平面視長方形状に形成されている。そのため、視覚障害者誘導ブロック部分20は、幅方向DWが900mm且つ奥行き方向DLが400mmの平面視長方形状となる。
【0034】
各ブロック部21の表面には、複数のハーフドーム型凸部211とハーフドーム型直長凸部212とが備えられている。
ハーフドーム型凸部211は、滑り止め凸部11より径の大きな円錐台状であり、ブロック部21と一体構成されている。また、ハーフドーム型凸部211はブロック部21における先端側DFにおいて、幅方向DWと奥行き方向DLとに所定間隔を隔てて行列配置、つまり格子状に配置されている。なお、本実施形態では、25個のハーフドーム型凸部211が5行5列で行列配置されている。
【0035】
ハーフドーム型直長凸部212は、上述したように行列配置されたハーフドーム型凸部211の奥側DBにおいて幅方向DWの延びる、平面視扁平小判状の錐台形状であり、ブロック部21と一体成形されている。
このようにハーフドーム型凸部211及びハーフドーム型直長凸部212が一体成形されたブロック部21及び複数のブロック部21が並列配置された視覚障害者誘導ブロック部分20は黄色ゴムにより黄色に形成されている。また、養生マット1が5mmの厚みで形成された本実施形態において、ハーフドーム型凸部211及びハーフドーム型直長凸部212は2mmの高さで形成されている。
【0036】
このように構成された視覚障害者誘導ブロック部分20は、上述したように本体部分10と一体成形されて養生マット1を構成しているが、本体部分10と視覚障害者誘導ブロック部分20とは、同素材であるものの、上述したように異なる色で形成されている。そして、上述するように、本体部分10と視覚障害者誘導ブロック部分20との境界における養生マット1の表面側には、幅方向DWに延びる所定深さの第1境界溝30が形成されている。
【0037】
第1境界溝30は、養生マット1の厚みに対して、1/10以上1/2以下の深さで形成されている。なお、本実施形態では、上述したように、養生マット1が5mm厚で形成されているのに対して、第1境界溝30は1mmの深さで形成されている。
【0038】
また、第1境界溝30は、奥行き方向DL方向において、養生マット1の先端側DFの端部から所定の位置に形成されている。なお、本体部分10の奥行き方向DLの長さが800mmに形成されている本実施形態では、養生マット1の先端側DFの端部から800mmの位置に第1境界溝30が形成されている。
【0039】
また、視覚障害者誘導ブロック部分20を構成するブロック部21同士の間に奥行き方向DL方向に沿って形成された第2境界溝22も第1境界溝30と同様に、養生マット1の厚みに対して、1/10以上1/2以下の深さで形成されている。なお、本実施形態では、上述したように、養生マット1が5mm厚で形成されているのに対して、第1境界溝30と同様に、第2境界溝22も1mmの深さで形成されている。
【0040】
このように構成された養生マット1は、加熱された黒色ゴムと黄色ゴムとを押出成型によって、上述のような形状の黒色の本体部分10及び黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20を形成している。
詳しくは、上述の養生マット1の形状に対応する成形型に、加熱された黒色ゴムと黄色ゴムとを注入し、養生マット1を構成する。このとき、第1境界溝30及び第2境界溝22に対応するスリット形成部(図示省略)を設ける。なお、第1境界溝30に対応するスリット形成部(図示省略)は幅方向DWに沿うように配置され、第2境界溝22に対応するスリット形成部(図示省略)は奥行き方向DLに沿うように配置される。また、成形型における注入空間の高さに対して、スリット形成部(図示省略)は、1/10以上1/2以下の高さで形成されている。
【0041】
このように構成された成形型における第1境界溝30に対応するスリット形成部(図示省略)の先端側DFに加熱された黒色ゴムを注入し、奥側DBに黄色ゴムを注入する。これにより、成形型における第1境界溝30に対応するスリット形成部(図示省略)の先端側DFに黒色の本体部分10が形成され、奥側DBに黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20が形成されるとともに、その境界の所定深さの第1境界溝30が幅方向DWに沿って形成される。
【0042】
しかしながら、成形型における第1境界溝30に対応するスリット形成部(図示省略)の下方は、先端側DFと奥側DBとが連通しているため、加熱された黒色ゴムと黄色ゴムとは、一方が他方に入り込んだりしてその境界は混ざり合って成型される。これに対し、スリット形成部(図示省略)に対応する部分は、黒色ゴムと黄色ゴムとは切り分けられる。
【0043】
このように成型された養生マット1は、
図7に示すように、夜間の施工終了後の仮復旧のため、プラットフォームにおける床面に複数枚並べて敷設する。
このとき、養生マット1における先端側DFの端部をプラットフォームにおける線路側の端部に合わせて、幅方向DWに並べて敷設する。
【0044】
このように敷設することで、養生マット1における視覚障害者誘導ブロック部分20の先端側DFの位置を、プラットフォームにおける線路側の端部から所定の位置に配置することができる。養生マット1における先端側DFの端部から800mmの位置に第1境界溝30を形成した本実施形態の養生マット1では、養生マット1における視覚障害者誘導ブロック部分20の先端側DFの位置を、プラットフォームにおける線路側の端部から800mmの位置に配置することができる。
【0045】
このように、供用中のプラットフォームにおける施工箇所を仮復旧する際に敷設するゴム製の養生マット1は、本体部分10と、本体部分10の先端側DFの端部から所定の距離を隔てて配置された視覚障害者誘導ブロック部分20とが一体構成され、視覚障害者誘導ブロック部分20は、本体部分10と色の異なる黄色ゴムで構成され、本体部分10と視覚障害者誘導ブロック部分20との境界部分である、本体部分10の先端側DFの端部から所定の距離を隔てた位置に、養生マット1の表面から所定の深さの第1境界溝30が設けられたことにより、施工箇所を養生するとともに、視覚障害者誘導ブロック部分20を所定の位置に容易に配置することができる。
【0046】
詳述すると、養生マット1が本体部分10と、本体部分10の先端側DFの端部から所定の距離を隔てて配置された視覚障害者誘導ブロック部分20とが一体構成されているため、養生マット1を敷設するだけで、視覚障害者誘導ブロック部分20も敷設することができる。
【0047】
また、視覚障害者誘導ブロック部分20は、黒色ゴムの本体部分10と色の異なる黄色ゴムで構成された黄色であるため、視覚的に、視覚障害者誘導ブロック部分20が敷設されていることを明示できる。
なお、別体構成した黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20と黒色の本体部分10とを貼り付けて一体構成すると、段差ができたり、段差が生じないように突き合わせて貼付すると、境界部分での強度が著しく低下し、繰り返しの使用ができなかったり、使用時に貼付箇所が外れたりするおそれがあった。
【0048】
そのため、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10とを一体形成することとなるが、黄色ゴムで構成された視覚障害者誘導ブロック部分20と黒色で構成された本体部分10との境界が波打ったり、食い込んだりすることとなる。視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との境界が波打ったり、食い込んだりすることで、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との一体性は向上するものの、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との境目が不明瞭となる。
【0049】
これに対し、黒色ゴムで構成された本体部分10と、黄色ゴムで構成された視覚障害者誘導ブロック部分20との境界部分である、本体部分10の先端側DFの端部から所定の距離を隔てた位置に、養生マット1の表面から所定の深さの第1境界溝30が設けられたことにより、表面上は黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20と黒色の本体部分10とが明確に切り分けられ、第1境界溝30の下方において黄色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10とが入り混ざった状態で一体化することができる。したがって、表面上、黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20と黒色の本体部分10との境界を明確にできるとともに、一体性の高い養生マット1を構成することができる。
【0050】
なお、このように養生マット1は、本体部分10の先端側DFの端部から所定の距離を隔てた位置に、養生マット1の表面から所定の深さの第1境界溝30が設けられているため、例えば、養生マット1を、本体部分10の先端側DFの端部が駅のプラットフォームの線路側端部に合わすように敷設するだけで、視覚障害者誘導ブロック部分20の先端側DFの端部が配置されるべき所定位置に配置され、視覚障害者誘導ブロック部分20を所定の位置に容易且つ正確に配置することができる。
【0051】
また、第1境界溝30、マットの厚みに対して1/10以上1/2以下の深さで形成されているため、表面上、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との境界を明確にできるとともに、一体性の高い養生マット1を構成することができる。
【0052】
詳述すると、第1境界溝30の深さが、マットの厚みに対して1/10より小さい場合、表面上から、第1境界溝30下方の黄色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10とが入り混ざった状態で一体化する部分がみえるため、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との境界の明確性が低減することとなる。
【0053】
逆に、第1境界溝30の深さが、マットの厚みに対して1/2より大きい場合、第1境界溝30下方の黄色ゴムの視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10とが入り混ざった状態で一体化する部分の強度が低下し、養生マット1の耐久性が低下する。
【0054】
これに対し、第1境界溝30が、マットの厚みに対して1/10以上1/2以下の深さで形成されることで、表面上、視覚障害者誘導ブロック部分20と本体部分10との境界を明確にできるとともに、一体性の高く、繰り返して使用できる養生マット1を構成することができる。
【0055】
また、第1境界溝30は、本体部分10の先端側DFの端部と平行な幅方向DWに沿って形成されているため、例えば、養生マット1を、本体部分10の先端側DFの端部が駅のプラットフォームのレール側端部に合わすように敷設するだけで、視覚障害者誘導ブロック部分20の先端側DFの端部が配置されるべき所定位置に対して、視覚障害者誘導ブロック部分20を正確に配置することができる。
また、視覚障害者誘導ブロック部分20には、点字ブロックとして規定されたハーフドーム型凸部211及びハーフドーム型直長凸部212が設けられているため、視覚障害者を安全に誘導することができる。
【0056】
続いて、上述の養生マット1と異なる構成の養生マット1aについて
図8乃至
図14とともに説明する。
図8は養生マット1aの平面図を示し、
図9は養生マット1aの底面図を示し、
図10乃至
図14は養生マット1aの説明図を示している。
【0057】
詳述すると、
図10(a)は養生マット1aの左側面図を示し、
図10(b)は
図8におけるA-A矢視図を示し、
図10(c)は
図8におけるB-B矢視図を示し、
図10(d)は
図8におけるC-C矢視図を示している。
図10(e)は
図8におけるD-D矢視図を示し、
図10(f)は養生マット1aの右側面図を示し、
図10(g)は
図8におけるH-H矢視図を示している。
【0058】
図11(a)は
図8におけるE-E矢視図を示し、
図11(b)は
図8におけるF-F矢視図を示し、
図11(c)は
図8におけるG-G矢視図を示し、
図11(d)は養生マット1aの正面図を示している。なお、養生マット1aの背面図は
図11(d)に示す養生マット1aの正面図と対称に現れるため省略する。
【0059】
図12(a)は
図10(a)におけるI-I,J-J部分の拡大図を示し、
図12(b)は
図10(b)におけるK-K,L-L部分の拡大図を示し、
図12(c)は
図10(c)におけるM-M,N-N部分の拡大図を示し、
図12(d)は
図10(d)におけるO-O,P-P部分の拡大図を示している。
図12(e)は
図10(e)におけるQ-Q,R-R部分の拡大図を示し、
図12(f)は
図10(f)におけるS-S,T-T部分の拡大図を示し、
図12(g)は
図10(g)におけるU-U,V-V部分の拡大図を示している。
【0060】
また、
図13(a)は
図11(a)におけるW-W,X-X部分の拡大図を示し、
図13(b)は
図11(b)におけるY-Y,Z-Z部分の拡大図を示し、
図13(c)は
図11(c)におけるAA-AA,AB-AB部分の拡大図を示し、
図13(a)は
図11(a)におけるAC-AC,AD-AD部分の拡大図を示している。
【0061】
また、
図14(a)は
図11(a)におけるAE-AE,AF-AF部分の拡大図を示し、
図14(b)は
図11(b)におけるAG-AG,AH-AH部分の拡大図を示し、
図14(c)は
図11(c)におけるAI-AI,AJ-AJ部分の拡大図を示し、
図14(a)は
図11(a)におけるAK-AK,AL-AL部分の拡大図を示している。
【0062】
養生マット1aは、本体部分10aと視覚障害者誘導ブロック部分20とで構成した上述の養生マット1に対し、先端側DFから奥側DBに向かって、端部明示40、本体部分10a及び第3境界溝50がこの順で配置して構成している。
なお、養生マット1aにおける視覚障害者誘導ブロック部分20は、養生マット1における視覚障害者誘導ブロック部分20と同じ構成であるため説明を省略する。
【0063】
端部明示40は、黒色ゴムで構成した本体部分10aに対して白色ゴムで構成し、本体部分10a及び視覚障害者誘導ブロック部分20と一体構成している。
なお、本実施形態では、端部明示40は幅方向DWが900mm且つ奥行き方向DLが100mmの平面視長方形状に形成されている。
【0064】
また、端部明示40と本体部分10aとの境界には、幅方向DWの第3境界溝50を形成している。
第3境界溝50は、養生マット1における第1境界溝30と同様に、養生マット1aの厚みに対して、1/10以上1/2以下の深さで形成されている。なお、本実施形態では、上述したように、養生マット1aが5mm厚で形成されているのに対して、第3境界溝50は第1境界溝30と同様に1mmの深さで形成されている。
【0065】
また、第3境界溝50は、奥行き方向DL方向において、養生マット1aの先端側DFの端部から所定の位置に形成されている。なお、端部明示40の奥行き方向DLの長さが100mmとなるように形成されている本実施形態では、養生マット1aの先端側DFの端部から100mmの位置に第3境界溝50が形成されている。
【0066】
そして、本体部分10aは、幅方向DWが900mm且つ奥行き方向DLが700mmの平面視長方形状に形成されている。
そのため、第1境界溝30は、奥行き方向DL方向において、養生マット1aの先端側DFの端部から、所定の位置に形成されている。なお、端部明示40の奥行き方向DLの長さが100mmに形成され、本体部分10aの奥行き方向DLの長さが700mmに形成されている本実施形態では、養生マット1aの先端側DFの端部から800mmの位置に第1境界溝30が形成されている。
【0067】
上述のように、養生マット1aでは、本体部分10aの先端側DFに、端部を明示する端部明示40が設けられているため、上述の養生マット1における効果に加え、養生マット1aを敷設するだけで、プラットフォームのレール側端部などの端部を明示することができる。したがって、地下鉄のプラットフォームや日陰になるプラットフォームであっても利用者の安全を確保することができる。
【0068】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の養生マットは養生マット1,1aに対応し、
以下同様に、
本体部分は本体部分10,10aに対応し、
視覚障害者誘導ブロック部分は視覚障害者誘導ブロック部分20に対応し、
異色ゴムは黄色ゴムに対応し、
境界溝は第1境界溝30に対応し、
端部明示は端部明示40に対応し、
凸部はハーフドーム型凸部211及びハーフドーム型直長凸部212に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0069】
例えば、上述の説明では、本体部分10,10aを黒色ゴムで構成し、視覚障害者誘導ブロック部分20を黄色ゴムで構成し、黒色の本体部分10,10aと黄色の視覚障害者誘導ブロック部分20と養生マット1,1aを構成したが、例えば、本体部分10,10aを緑色ゴムで構成するなど、本体部分10,10a、視覚障害者誘導ブロック部分20あるいは端部明示40を適宜の色のゴムで構成してもよい。
【0070】
また、養生マット1,1aの厚さや、第1境界溝30、第2境界溝22及び第3境界溝50の深さを適宜の長さで形成してもよい。
また、ブロック部21におけるハーフドーム型凸部211やハーフドーム型直長凸部212の配置や数は上述のパターンでなく、適宜の数や配置であってもよい。
【0071】
例えば、
図15乃至
図20に示すよう養生マット1bにおける視覚障害者誘導ブロック部分20bを構成するブロック部21bにハーフドーム型凸部211のみを配置してもよい。
図15は養生マット1bの平面図を示し、
図16は養生マット1bの底面図を示し、
図17乃至
図20は養生マット1bの説明図を示している。
【0072】
詳述すると、
図17(a)は養生マット1bの左側面図を示し、
図17(b)は
図15におけるA-A矢視図を示し、
図17(c)は
図15におけるB-B矢視図を示し、
図17(d)は
図15におけるC-C矢視図を示している。
図17(e)は養生マット1bの右側面図を示している。
【0073】
図18(a)は
図15におけるD-D矢視図を示し、
図18(b)は
図15におけるE-E矢視図を示し、
図18(c)は
図15におけるF-F矢視図を示し、
図18(d)は養生マット1bの正面図を示している。なお、養生マット1bの背面図は
図18(d)に示す養生マット1bの正面図と対称に現れるため省略する。
【0074】
図19(a)は
図17(a)におけるG-G,H-H部分の拡大図を示し、
図19(b)は
図17(b)におけるI-I,J-J部分の拡大図を示し、
図19(c)は
図17(c)におけるK-K,L-L部分の拡大図を示し、
図19(d)は
図17(d)におけるM-M,N-N部分の拡大図を示している。
図19(e)は
図17(e)におけるO-O,P-P部分の拡大図を示している。
【0075】
また、
図20(a)は
図18(a)におけるQ-Q,R-R部分の拡大図を示し、
図20(b)は
図18(b)におけるS-S,T-T部分の拡大図を示し、
図20(c)は
図18(c)におけるU-U,V-V部分の拡大図を示し、
図20(d)は
図18(d)におけるW-W,X-X部分の拡大図を示している。
【0076】
このように構成された養生マット1bも、上述した養生マット1と同様の効果を奏することができる。また、養生マット1bに、端部明示40及び第3境界溝50を備えてもよく、その場合は養生マット1の効果に加え、養生マット1aと同様の効果を奏することができる。
なお、ハーフドーム型凸部211を千鳥配置してもよい。
【0077】
また、例えば、
図21乃至
図26に示すよう養生マット1cにおける視覚障害者誘導ブロック部分20cを構成するブロック部21cに示すように、ハーフドーム型直長凸部212のみを配置してもよい。
図21は養生マット1cの平面図を示し、
図22は養生マット1cの底面図を示し、
図23乃至
図26は養生マット1cの説明図を示し、
図27は養生マット1cの施工状態を説明する斜視図を示している。
【0078】
詳述すると、
図23(a)は養生マット1cの左側面図を示し、
図23(b)は
図21におけるA-A矢視図を示し、
図23(c)は
図21におけるB-B矢視図を示し、
図23(d)は
図21におけるC-C矢視図を示している。
図23(e)は養生マット1cの右側面図を示している。
【0079】
図24(a)は
図21におけるD-D矢視図を示し、
図24(b)は
図21におけるE-E矢視図を示し、
図24(c)は
図21におけるF-F矢視図を示し、
図24(d)は養生マット1cの正面図を示している。なお、養生マット1cの背面図は
図24(d)に示す養生マット1cの正面図と対称に現れるため省略する。
【0080】
図25(a)は
図23(a)におけるG-G,H-H部分の拡大図を示し、
図25(b)は
図23(b)におけるI-I,J-J部分の拡大図を示し、
図25(c)は
図23(c)におけるK-K,L-L部分の拡大図を示し、
図25(d)は
図23(d)におけるM-M,N-N部分の拡大図を示している。
図25(e)は
図23(e)におけるO-O,P-P部分の拡大図を示している。
【0081】
また、
図26(a)は
図24(a)におけるQ-Q,R-R部分の拡大図を示し、
図26(b)は
図24(b)におけるS-S,T-T部分の拡大図を示し、
図26(c)は
図24(c)におけるU-U,V-V部分の拡大図を示し、
図26(d)は
図24(d)におけるW-W,X-X部分の拡大図を示している。
【0082】
このように構成された養生マット1cも、上述した養生マット1と同様の効果を奏することができる。また、養生マット1cに、端部明示40及び第3境界溝50を備えてもよく、その場合は養生マット1の効果に加え、養生マット1aと同様の効果を奏することができる。
なお、ハーフドーム型直長凸部212を幅方向DWの長さを短く形成するとともに、千鳥配置してもよい。
【0083】
また、養生マット1,1a,1b,1cは、プラットフォームだけでなく、横断歩道付近など適宜の箇所に敷設してもよい。また、この場合、養生マット1,1a,1b,1cにおける端部から第1境界溝30までの位置を適宜調整すればよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1a,1b,1c…養生マット
10,10a…本体部分
20,20b,20c…視覚障害者誘導ブロック部分
30…第1境界溝
40…端部明示
211…ハーフドーム型凸部
212…ハーフドーム型直長凸部