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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】箱詰検査システム及び箱詰検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20230707BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20230707BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20230707BHJP
   G01G 19/62 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G01G11/00 H
B65B57/00 A
B65B57/10 A
G01G19/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020008567
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021117019
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132513(JP,A)
【文献】特開2004-148248(JP,A)
【文献】特開2000-093902(JP,A)
【文献】特開平09-267078(JP,A)
【文献】特開平10-202571(JP,A)
【文献】特開2019-058967(JP,A)
【文献】米国特許第05431273(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109454003(CN,A)
【文献】特開昭61-176821(JP,A)
【文献】特開2013-195198(JP,A)
【文献】特開2017-006878(JP,A)
【文献】特開2019-132826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 11/00-11/20,15/00-15/04,19/62,
B07C 1/00-99/00,
B65B 57/00,57/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(P)を順次搬送する製品ライン(2)に設けられ、搬送されてくる製品を計量して第1計量値を出力する第1計量手段(10)と、
前記第1計量手段により計量された製品のうち前記第1計量値が許容範囲に入っている製品として選別された正規製品を詰込むための箱(B)を搬送する箱詰ライン(3)と、
前記第1計量手段で計量されて選別された複数個の前記正規製品を、前記製品ラインにおける前記第1計量手段より下流の取り出し位置(A0)で把持して取り出し、前記箱詰ラインの箱詰位置で箱に詰めて箱詰品とする箱詰手段(4)と、
箱詰品を計量して第2計量値を出力する第2計量手段(12)と、
前記第1計量値に基づいて箱詰品の基準総重量値を算出する算出手段(23)と、
前記基準総重量値と前記第2計量値を比較して箱詰品に詰められた前記正規製品の個数を検査する検査手段(24)と、
を備えた箱詰検査システム(1,1’,1”)であって、
前記第1計量値を記憶する記憶手段(21)と、
前記箱詰手段が前記取り出し位置で把持した前記正規製品について、前記記憶手段に記憶された前記第1計量値を特定する箱詰特定手段(22)と、
をさらに備え、
前記算出手段(23)は、前記箱詰特定手段が特定した前記記憶手段の前記第1計量値を合算して前記基準総重量値を算出することを特徴とする箱詰検査システム(1,1’,1”)。
【請求項2】
前記記憶手段(21)は、製品(P)の計量順序に対応させて前記第1計量値を記憶し、前記箱詰特定手段(22)は、前記箱詰手段(4)により前記取り出し位置(A0)から把持されて箱詰された前記正規製品の計量順序を特定することを特徴とする請求項1に記載の箱詰検査システム(1,1’)。
【請求項3】
前記製品ライン(2)は、前記第1計量手段(10)で計量された製品(P)のうち前記正規製品を下流に搬送し、
前記箱詰特定手段(22)は、前記取り出し位置(A0)よりも下流の所定位置において、前記箱詰手段(4)により把持されなかった前記正規製品の通過を検知する製品検知センサ(13)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱詰検査システム(1)。
【請求項4】
前記箱詰特定手段(22)は、前記第1計量手段(10)から搬出された製品(P)のうち前記正規製品の前記取り出し位置(A0)を含む前記製品ライン(2)の所定領域を撮像する製品検知カメラ(30)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱詰検査システム(1’)。
【請求項5】
前記第1計量手段(10)で計量された製品(P)のうち前記正規製品を下流に搬送し、
前記箱詰特定手段(22)は、前記取り出し位置(A0)よりも下流の前記製品ライン(2)の所定領域で前記箱詰手段(4)により把持されなかった前記正規製品を撮像する製品検知カメラ(30)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱詰検査システム(1’)。
【請求項6】
前記箱詰特定手段(22)は、前記第1計量手段(10)によって製品(P)が計量される前の位置である第1読み取り位置(A1)と、前記取り出し位置(A0)と前記箱詰位置の間の位置である第2読み取り位置(A2)にそれぞれ配置されて前記正規製品に設けられた識別情報を読み取る識別情報読み取り手段(41,42)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の箱詰検査システム(1”)。
【請求項7】
複数の製品(P)を製品ライン(2)で順次計量して取得した複数の第1計量値に基づいて箱詰品の基準総重量値を算出し、
前記第1計量値が計量された複数個の製品のうち前記第1計量値が許容範囲内に入っている製品として選別された正規製品を前記製品ラインの取り出し位置(A0)で把持して取り出し前記正規製品を詰込むための箱(B)を搬送する箱詰めライン(3)の箱詰位置で箱に詰めた箱詰品を計量して第2計量値を取得し、
前記基準総重量値と前記第2計量値を比較して箱詰品に詰められた前記正規製品の個数を検査する箱詰検査方法であって、
複数の前記第1計量値の中から前記取り出し位置で把持され、箱詰めされた前記正規製品の前記第1計量値を特定し、特定された前記第1計量値を合算して前記基準総重量値を算出することを特徴とする箱詰検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順次供給される製品を計量した後、これらを箱に詰めて箱詰品とし、箱詰品に含まれる各製品の計量値の合計と、箱詰品の計量値とを比較して箱詰品に詰められた製品の個数を検査する箱詰検査システム及び箱詰検査方法に係り、特に、重量の誤差範囲が大きい製品の箱詰検査において、箱詰時の製品の取り扱い不良等により計量順と箱詰順が一致しないような場合が生じても、箱詰品に含まれる製品の欠品を製品の計量値に基づいて確実に判定できるようにした発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パック詰製品を対象とする重量選別機の発明が開示されている。この重量選別機は、計量手段と、パック詰製品の基準総重量値と上限及び下限許容値とを設定する設定手段と、計量されたパック詰製品の重量値が許容重量範囲内にあるときにはパック詰製品中の物品の個数が正規の個数であると判定する判定手段と、良品と判定されたパック詰製品を選別する選別手段を備えており、そして、許容範囲内にあると判定されたパック詰製品が所定個数計量される度に、その平均重量値を算出し、この値が基準総重量値と異なる場合には、基準総重量値を平均重量値に修正することができる。この重量選別機によれば、温度等の条件変化によって1個の物品の重量値が変化したような場合であっても、予め定めた個数の物品が正確にパック詰されているか否かをチェックすることができるものとされている。
【0003】
下記特許文献2には、予め定めた個数の物品が正確に箱詰されているか否かをチェックできる箱詰装置の発明が開示されている。この箱詰装置によれば、正規個数の物品が正確に箱詰されているか否かのチェックは次のような手順で行なわれる。まず空の外装箱2の重量を計量部120が計量する。次に、物品が外装箱2に詰められる前に物品の重量を第2の計量部121が計量する。さらに、計量済み物品が詰められている外装箱2の重量を計量部122が計量する。そして、空の外装箱2と、この外装箱2に詰められることを予定して計量された予め定めた数の計量済み物品の合計重量とが、計量済み物品が詰められている外装箱2の重量に等しいか否かをコントローラ27が判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭62-010085号公報
【文献】特開2008-150116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されたパック詰製品を対象とする重量選別機や、前記特許文献2に開示された箱詰装置によれば、パック詰製品や箱詰製品に入れる製品を順次計量した後、計量後の製品をパックや箱に詰める操作が必要になり、このような操作を行なうための手段としてロボットが用いられることがある。ところが、ロボットによる製品の把持は常に正常に行なわれるとは限らず、把持不良が発生することがあった。例えば、前段の計量部から搬送されてきた製品が、パックや箱に詰めるためにロボットが製品を把持する取り出し位置からずれた位置に置かれたり、取り出し位置には置かれたが正規の姿勢となっていない等の場合には、ロボットによる把持が失敗又は不可能と判断されて把持動作を製品1個分スキップする制御が行なわれることがある。このようなパック詰又は箱詰時の製品の取り扱い不良等が発生すれば、製品を一つずつ計量する重量選別機における計量順と、ロボットによる箱詰順が必ずしも一致しない場合が生じる。このため、計量順で見込み重量を算出した場合には、見込み重量と箱詰された製品の重量との間に誤差が生じ、特に重量の誤差範囲が大きい製品の場合には、欠品検査の誤判定を引き起こすことがあった。
【0006】
本発明は、以上説明した従来の発明の課題に鑑みてなされたものであり、特に重量値の誤差範囲が大きい製品の箱詰検査において、箱詰時の製品の取り扱い不良等により計量順と箱詰順が一致しないような場合が生じても、箱詰品に含まれる製品の欠品を製品の計量値に基づいて確実に判定できる箱詰検査システム及び箱詰検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された箱詰検査システム1,1’,1”は、
製品Pを順次搬送する製品ライン2に設けられ、搬送されてくる製品Pを計量して第1計量値を出力する第1計量手段10と、
前記第1計量手段10により計量された製品Pのうち前記第1計量値が許容範囲に入っている製品Pとして選別された正規製品を詰込むための箱Bを搬送する箱詰ライン3と、
前記第1計量手段10で計量されて選別された複数個の前記正規品を、前記製品ライン2における前記第1計量手段10より下流の取り出し位置A0で把持して取り出し、前記箱詰ライン2の箱詰位置で箱に詰めて箱詰品とする箱詰手段4と、
箱詰品を計量して第2計量値を出力する第2計量手段12と、
前記第1計量値に基づいて箱詰品の基準総重量値を算出する算出手段23と、
前記基準総重量値と前記第2計量値を比較して箱詰品に詰められた前記正規品の個数を検査する検査手段24と、
を備えた箱詰検査システム1,1’,1”であって、
前記第1計量値を記憶する記憶手段21と、
前記箱詰手段4が前記取り出し位置A0で把持した前記正規品について、前記記憶手段21に記憶された前記第1計量値を特定する箱詰特定手段22と、
をさらに備え、
前記算出手段23は、前記箱詰特定手段22が特定した前記記憶手段21の前記第1計量値を合算して前記基準総重量値を算出することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された箱詰検査システム1,1’は、請求項1に記載の箱詰検査システムにおいて、
前記記憶手段21は、製品Pの計量順序に対応させて前記第1計量値を記憶し、前記箱詰特定手段22が、前記箱詰手段4により前記取り出し位置A0から把持されて箱詰された前記正規品の計量順序を特定することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された箱詰検査システム1は、請求項1又は2に記載の箱詰検査システムにおいて、
前記製品ライン2は、前記第1計量手段10で計量された製品Pのうち前記正規製品を下流に搬送し、
前記箱詰特定手段22が、前記取り出し位置A0よりも下流の所定位置において、前記箱詰手段4により把持されなかった前記正規品の通過を検知する製品検知センサ13を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された箱詰検査システム1’は、請求項1又は2に記載の箱詰検査システムにおいて、
前記箱詰特定手段22が、前記第1計量手段10から搬出された製品Pのうち前記正規製品の取り出し位置A0を含む前記製品ライン2の所定領域を撮像する製品検知カメラ30を含むことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された箱詰検査システム1’は、請求項1又は2に記載の箱詰検査システムにおいて、
前記第1計量手段10で計量された製品Pのうち前記正規製品を下流に搬送し、
前記箱詰特定手段22が、前記取り出し位置A0よりも下流の前記製品ライン2の所定領域で前記箱詰手段4により把持されなかった前記正規品を撮像する製品検知カメラ30を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載された箱詰検査システム1”は、請求項1又は2に記載の箱詰検査システムにおいて、
前記箱詰特定手段22が、前記第1計量手段10によって製品Pが計量される前の位置である第1読み取り位置A1と、前記取り出し位置A0と前記箱詰位置の間の位置である第2読み取り位置A2にそれぞれ配置されて前記正規品に設けられた識別情報を読み取る識別情報読み取り手段41,42を含むことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載された箱詰検査方法は、
複数の製品Pを製品ライン2で順次計量して取得した複数の第1計量値に基づいて箱詰品の基準総重量値を算出し、
前記第1計量値が計量された複数個の製品Pのうち前記第1計量値が許容範囲内に入っている製品Pとして選別された正規製品を前記製品ラインの取り出し位置A0で把持して取り出し前記正規品を詰込むための箱Bを搬送する箱詰めライン3の箱詰位置で箱Bに詰めた箱詰品を計量して第2計量値を取得し、
前記基準総重量値と前記第2計量値を比較して箱詰品に詰められた前記正規品の個数を検査する箱詰検査方法であって、
複数の前記第1計量値の中から前記取り出し位置A0で把持され、箱詰めされた前記正規品の前記第1計量値を特定し、特定された前記第1計量値を合算して前記基準総重量値を算出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された箱詰検査システム及び請求項7に記載された箱詰検査方法によれば、
複数の製品を計量して取得した複数の第1計量値に基づいて箱詰品の基準総重量値を算出し、さらに第1計量値が計量された複数個の製品を箱に詰めた箱詰品を計量して第2計量値を取得し、その後、基準総重量値と第2計量値を比較することにより箱詰品に詰められた製品の個数を検査することができるが、その検査の際に、第1計量値を記憶する記憶手段において、実際に箱詰めされた製品の第1計量値を特定して合算することにより、基準総重量値を算出することができる。このため、箱詰時の製品の取り扱い不良等により計量順と箱詰順が一致しない状態になったとしても、箱詰品に含まれる製品の欠品を製品の計量値に基づいて確実に判定できる。特に、箱詰品に含まれる製品の重量値の誤差範囲が大きくても、当該製品の箱詰検査において製品の欠品を確実に検出できる。
【0015】
請求項2に記載された箱詰検査システムによれば、
製品の計量順序に対応させて第1計量値が記憶手段に記憶されているので、箱詰めされた製品の計量順序を箱詰特定手段が特定することにより、実際に箱に詰められた製品の第1計量値を記憶手段から間違いなく取得することができる。これによって、箱詰時の製品の取り扱い不良等により計量順と箱詰順が一致しない場合が生じたとしても、箱詰品における製品の欠品を、製品の計量値に基づいて判定できる効果が確実に得られる。
【0016】
請求項3に記載された箱詰検査システムによれば、
製品は、第1計量手段で計量された後、搬送手段によって搬送され、製品の取り出し位置において箱詰手段により搬送手段から移送されて箱に詰められる。箱詰手段が製品の取り扱いに失敗した場合、箱詰めされなかった製品はそのまま下流に搬送されるので、箱詰手段による製品の取り扱いタイミングの直後に、所定位置で製品検知センサに検知される。このため、箱詰特定手段は、箱詰めされなかった製品を特定することができ、従って記憶手段に記憶された第1計量値のうち、当該製品以外の実際に箱詰めされた製品の第1計量値を特定することができる。算出手段は、これらの第1計量値を合算して実際の箱詰品に対応した基準総重量値を算出することができる。
【0017】
請求項4に記載された箱詰検査システムによれば、
製品は、第1計量手段で計量された後、搬送手段によって搬送され、製品の取り出し位置において箱詰手段により搬送手段から移送されて箱に詰められる。箱詰手段が製品の取り扱いに失敗した場合、箱詰めされなかった製品は、箱詰手段による製品の取り扱いタイミングの直後に、製品の取り出し位置を含む所定領域を撮像する製品検知カメラに撮像される。このため、箱詰特定手段は、箱詰めされなかった製品を特定することができ、従って記憶手段に記憶された第1計量値のうち、当該製品以外の実際に箱詰めされた製品の第1計量値を特定することができる。算出手段は、これらの第1計量値を合算して実際の箱詰品に対応した基準総重量値を算出することができる。
【0018】
請求項5に記載された箱詰検査システムによれば、
製品は、第1計量手段で計量された後、搬送手段によって搬送され、製品の取り出し位置において箱詰手段により搬送手段から移送されて箱に詰められる。箱詰手段が製品の取り扱いに失敗した場合、箱詰めされなかった製品はそのまま下流に搬送されるので、箱詰手段による製品の取り扱いタイミングの直後に、所定範囲内において製品検知カメラに撮像される。このため、箱詰特定手段は、箱詰めされなかった製品を特定することができ、従って記憶手段に記憶された第1計量値のうち、当該製品以外の実際に箱詰めされた製品の第1計量値を特定することができる。算出手段は、これらの第1計量値を合算して実際の箱詰品に対応した基準総重量値を算出することができる。
【0019】
請求項6に記載された箱詰検査システムによれば、
箱詰特定手段は、第1計量手段が製品を計量する前の段階で識別情報読み取り手段によって製品の識別番号を読み取り、第1計量手段が製品を計量した後、箱詰手段が製品を取り出してから箱詰めされる前の段階で識別情報読み取り手段によって製品の識別番号を読み取る。これによって、記憶手段には、製品の第1計量値と当該製品が詰込まれた箱の番号が、識別番号によって関連付けられた状態で記憶される。算出手段は、記憶手段に記憶された情報を基に、箱詰め後に第2計量手段に送られた箱の番号の計量値を記憶手段から読み出して合算することにより、実際の箱詰品に対応した基準総重量値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の箱詰検査システムの構成図である。
図2】第1実施形態の箱詰検査システムにおいて、制御部に記憶されたデータの構成を模式的に示すとともに、このデータを用いて行なわれる欠品判定の手順を示す図である。
図3】第2実施形態の箱詰検査システムの構成図である。
図4】第3実施形態の箱詰検査システムの構成図である。
図5】第3実施形態の箱詰検査システムにおいて、制御部に記憶されたデータの構成を模式的に示すとともに、このデータを用いて行なわれる欠品判定の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態に係る箱詰検査システムを、図1及び図2を参照して説明する。まず、図1を参照して箱詰検査システムの構成を説明する。図1は、機構部分を平面図で表しており、制御装置を機能ブロック図で表している。
【0022】
図1に示すように、箱詰検査システム1は、製品Pを搬送する搬送手段としての製品ライン2と、製品Pが詰込まれる受箱Bを搬送する搬送手段としての箱詰ライン3と、製品ライン2が搬送してくる製品Pを箱詰ライン3の受箱Bに詰込むロボットアーム等の箱詰手段4を有している。箱詰検査システム1は、規定入数の製品Pを箱に詰めて箱詰品とする生産装置であるとともに、以下に説明するように、生産された箱詰品に規定入数の製品Pが入っているか否かを計量により判定する検査装置でもある。
【0023】
図1に示すように、製品ライン2の中途には、順次送られてくる製品Pの重量値を計量して第1計量値を出力する第1計量手段(図1中「製品用CW」と表示)10が設けられている。第1計量手段10が出力する個々の製品Pの計量値を第1計量値と称する。また、第1計量手段10の下流側の製品ライン2には、計量値が許容範囲から外れた製品P(NG品)を、ライン外に排除するための選別機11が設けられている。なお、許容範囲を下回るNG品は図中上側の-NG側に排除され、許容範囲を上回るNG品は図中下側の+NG側に排除される。選別機11の下流側の製品ライン2の一部は、箱詰手段4が製品Pを把持する取り出し位置A0に指定されている。
【0024】
図1に示すように、箱詰ライン3の中途には、箱詰品を計量して第2計量値を出力する第2計量手段(図1中「箱詰用CW」と表示)12が設けられている。第2計量手段12が出力する箱詰品の計量値を第2計量値と称する。図示を一部省略するが、箱詰ライン3は、第2計量手段12の上流側にあるだけでなく、下流側にも伸びており、第2計量手段12での計量後に欠品と判定された箱詰品を下流に搬送して適当な処置をとり、また欠品がなく正規品と判定された箱詰品を出荷位置等に搬送できるようになっている。
【0025】
図1に示すように、製品ライン2の取り出し位置A0よりも下流の所定位置には、製品検知センサ13が設けられている。製品検知センサ13は、後述する制御部20の箱詰特定手段22の一部であり、箱詰特定手段22に接続されている。第1計量手段10に計量され、選別機11に排除されることなく取り出し位置A0まで搬送されてきたが、箱詰手段4に把持されることなく取り出し位置A0を通過して下流に搬送された製品Pは、この製品検知センサ13によって検知される。すなわち、製品検知センサ13が検知した製品Pは、第1計量値が許容範囲内に入っている正規品であるが、箱詰手段4が把持に失敗して箱詰できなかった製品Pである。
【0026】
図1に示すように、箱詰検査システム1は、以上説明したシステム各部を制御する制御装置20を備えている。制御装置20は、記憶手段21と、箱詰特定手段22と、算出手段23と、検査手段としての欠品判定手段24を有している。記憶手段21は、製品Pの計量順序に対応させて第1計量値を記憶することができる。箱詰特定手段22は、製品検知センサ13からの検知信号により、箱詰めされなかった製品Pを特定することができ、従って記憶手段21に記憶された第1計量値のうち、当該製品P以外の実際に箱詰めされた製品Pの第1計量値を特定することができる。算出手段23は、記憶手段21に記憶された第1計量値のうち、箱詰特定手段22が特定した実際に箱詰めされた製品Pに対応する第1計量値に基づいて基準総重量値を算出する。欠品判定手段24は、基準総重量値と第2計量値を比較して箱詰品に詰められた製品Pの個数を検査し、当該箱詰品に欠品があるか否かを判定する。
【0027】
次に、図1及び図2を参照して箱詰検査システムにおける箱詰品の欠品検査について説明する。
図1において、製品ライン2は複数の製品Pを搬送して次々と第1計量手段10に送り込む。第1計量手段10は、次々と製品Pを計量して複数の第1計量値を取得し、制御装置20の記憶手段21に送る。
【0028】
制御装置20の記憶手段21では、図2に示すように、第1計量値が入力される度に、順次増加するID(通番)を付して、これを記憶していく。また当該第1計量値が所定の許容範囲内にあるか否かの判定が制御装置20で行なわれ、その判定結果(図2中「判定」の欄参照)も記憶手段21に記憶される。「判定」結果が「OK」の製品P(図2ではIDが105以外の製品P)は、製品ライン2によって取り出し位置A0まで搬送され、箱詰手段4によって箱詰ライン3の箱Bに箱詰めされる。「判定」結果が「NG」の製品P(図2ではIDが105の製品P)は、選別機11によって製品ライン2から排除されるので箱詰手段4の取り出し位置A0には送られてこない。すなわち、箱詰の対象にならない製品Pである。
【0029】
図2において「OK」判定の製品Pは、図1に示すように製品ライン2によって取り出し位置A0まで搬送される。箱詰手段4は、製品ライン2の取り出し位置A0から規定入数(本実施形態では4)の製品Pを順次取り出して箱詰ライン3の箱Bに詰めて箱詰品を生産する。箱詰品は箱詰ライン3で搬送され、第2計量手段12で計量される。第2計量手段12で取得される第2計量値は、制御装置20に送られる。
【0030】
この箱詰作業の際に、箱詰手段4が製品Pを把持し損ねる場合がある。このような場合、製品Pは製品ライン2の取り出し位置A0を通過して下流で製品検知センサ13に検知され、製品検知センサ13の検知信号が制御装置20に送られる。このように、箱詰手段4による製品Pの取り扱いタイミングの直後に、製品Pが製品検知センサ13に検知されることにより、制御装置20の箱詰特定手段22は、箱詰の対象であったが箱詰めされなかった製品Pを特定することができる。箱詰特定手段22は、記憶手段21に記憶された第1計量値のうち、箱詰めされなかった製品Pに相当する第1計量値(図2ではIDが109の第1計量値)に特定情報(図2では「非」の文字で表示)を付して、実際に箱に詰められた他の製品Pの第1計量値と区別できるようにする。このように箱詰特定手段22は、実際に箱詰めされた製品Pを特定することができる。
【0031】
制御装置20における欠品判定の手順について、図2を参照して説明する。
この例では、許容範囲を含めた製品Pの重量値は100±10gであり、箱詰品の正規入数は4とする。また、箱Bの重量は20gとする。算出手段23は、記憶手段21の第1計量値の中から、実際に箱詰めされた製品Pの第1計量値であると箱詰特定手段22が特定した値を合算し、さらに箱Bの重量値を加えて基準総重量値を算出する。また欠品判定手段24は、第2計量値の測定誤差を考慮して余裕を持たせた所定の許容量で基準総重量値を修正した値と、第2計量値とを比較して箱詰品における製品Pの欠品を判定する。
【0032】
具体的には、基準総重量値から所定の許容量を差し引いた重量値よりも第2計量値が小さければ欠品があると判定する。例えば許容量10gとすると、次の式が成立する場合には欠品があると判定し、成立しない場合には欠品はないと判定する。
(基準総重量値-10g)>(第2計量値)…判定式
この判定式は、合算により得られた基準総重量値よりも若干小さい値が、箱詰品の実際の重量値(第2計量値)よりも大きければ、第2計量手段12の測定誤差を考慮しても欠品はないと判断できるとの考えに基づく。
【0033】
合算(1-1)では、IDが101から104までの4つの製品Pの第1計量値は、判定が何れもOKであり、特定情報に「非」がないので、そのまま合算する。第1計量値の合算値400gに箱の重量値20gを加えた420gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた410gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが101から104までの4つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり420gであるから判定式は成立せず、欠品なしの判定となる。
【0034】
IDが105の製品Pの第1計量値は120gであり許容範囲から外れているので判定はNGであり、選別機11で排除されているため、箱詰めの対象にならず、欠品の判定には関係しない。
【0035】
合算(1-2)では、IDが106から110の5つの製品Pの第1計量値のうち、IDが109の製品Pは、箱詰めされなかった製品Pが検知されたとの特定情報(「非」)が付されているため、その第1計量値は使用されない。算出手段23は、IDが106から108の3つと、110の合計4つの製品Pの第1計量値を合算する。これらの第1計量値の合算値395gに箱Bの重量値20gを加えた415gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた405gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが106から108と110の4つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり415gであるから判定式は成立せず、欠品なしの判定となる。
【0036】
仮に、合算(1-2)において、非箱詰が検知されず、IDが109である製品Pの第1計量値に特定情報(「非」)が付されないと、算出手段23はIDが106から109の4つの第1計量値を合算するため、判定は次のようになる。これらの第1計量値の合算値415gに箱の重量値20gを加えた435gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた425gと第2計量値を比較する。第2計量値は前述した415gであるから判定式は成立し、欠品との誤った判定となる。
【0037】
合算(1-3)では、IDが111から114までの4つの製品Pの第1計量値は、判定が何れもOKであり、また箱詰手段4は4つの製品Pを何れも正規な状態で把持して製品ライン2の取り出し位置A0から取り出しているので、製品検知センサ13は製品Pを検知しておらず、従って特定情報に「非」もない。ところが、IDが114の製品Pは、取り出し位置A0と箱Bの間で箱詰手段4から離れて落ち、箱Bに入っていなかった。このような例では、第1計量値の合算値400gに箱Bの重量値20gを加えた420gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた410gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが111から113の3つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり325gであるから判定式は成立し、実態通り欠品と判定される。
【0038】
なお、以上説明した第1実施形態では、箱詰手段4としてロボットアームを図示したが、製品Pを箱に移動させるための操作機能を特定のものに限定する意図ではなく、前記操作機能としては、例えば、把持、吸着、押し出し等、いかなるものでもよく、従って箱詰手段の構造、形態はロボットアームに限らない。
【0039】
本発明の第2実施形態に係る箱詰検査システム1’を、図3を参照して説明する。なお、図3は、図1とは異なり機構部分を正面図で表している。制御装置20は図1と同様、機能ブロック図で表している。第2実施形態における第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態の説明を援用して再度の説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図3に示すように、箱詰検査システム1’では、制御装置20の箱詰特定手段22は、製品ライン2における製品Pの取り出し位置A0より下流の所定領域を撮像する製品検知カメラ30を有している。製品検知カメラ30から送られるカメラ画像は、制御装置20の箱詰特定手段22に送られる。従って、取り出し位置A0において箱詰手段4が製品Pの把持に失敗した場合、箱詰めされなかった製品Pは下流に搬送され、箱詰手段4による製品Pの把持タイミングの直後に製品検知カメラ30で撮像される。そして箱詰特定手段22は、カメラ画像によって箱詰めされなかった製品Pを特定することができ、従って記憶手段21に記憶された第1計量値のうち、当該製品P以外の実際に箱詰めされた製品Pの第1計量値を特定することができる。
【0041】
本発明の第2実施形態に係る箱詰検査システム1’の変形例を説明する。
第2実施形態の変形例では、選別機11の下流には製品ライン2のような搬送手段は設けられておらず、選別機11から排出された製品Pは、選別機11の排出方向の隣部に設けられた平板状の排出台の上に排出されるようになっており、ここが箱詰手段4による製品Pの取り出し位置A0になっている。この排出台は、固定されたテーブルでもよいし、回転して製品Pを移動させる回転式のテーブルでもよい。そして、取り出し位置A0で箱詰手段4によって把持されなかった製品Pは、この取り出し位置A0を含む所定領域を撮像する製品検知カメラ30によって撮像される。其の他の構成及び制御手順は第2実施形態と同一である。
【0042】
本発明の第3実施形態に係る箱詰検査システム1”を、図4及び図5を参照して説明する。まず、図4を参照して箱詰検査システム1”の構成を説明するが、この図4図1と同様に機構部分を平面図で、制御装置20を機能ブロック図で表している。第3実施形態における第1実施形態と同一の部分については、第1実施形態の説明を援用して再度の説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
第3実施形態の箱詰検査システム1”では、各製品Pに固有の識別情報である識別記号が、印刷やシール等の任意の態様で各製品Pに付されている。そして図4に示すように、第3実施形態の箱詰検査システム1”は、箱Bに詰められた製品Pを特定するために、製品Pの識別記号を読み取る2個の識別情報読み取り手段41,42を有している。第1の識別情報読み取り手段41は、第1計量手段10によって製品Pが計量される前の位置である第1読み取り位置A1に配置されており、第1計量手段10での計量前に製品Pの識別記号を読み取る。第2の識別情報読み取り手段42は、箱詰手段4による製品Pの取り出し位置A0と箱詰位置(箱Bが配置されている位置)の間である第2読み取り位置A2に配置されており、箱詰手段4が取り出し位置A0で製品Pを持ち上げたタイミングで製品Pの識別記号を読み取る。これらの識別情報読み取り手段41,42は、制御部20の箱詰特定手段22の一部であり、箱詰特定手段22に接続されている。
【0044】
次に、図4及び図5を参照して箱詰検査システム1”における箱詰品の欠品検査について説明する。
図4において、製品ライン2は複数の製品Pを第1計量手段10に向けて搬送する。製品Pが第1計量手段10の上流側である第1読み取り位置A1に来た時に、第1の識別情報読み取り手段41が製品Pの識別記号を読み取る。識別記号を読み取られた製品Pは、次々と第1計量手段10に入って計量され、取得された第1計量値は制御装置20の記憶手段21に送られる。
【0045】
図5に示すように、制御装置20の記憶手段21では、第1計量値と識別記号であるIDが関連付けられて記憶され、また当該第1計量値が所定の許容範囲内にあるか否かの判定が制御装置20で行なわれ、その判定結果(図2中「判定」の欄参照)も記憶手段21に記憶される。「判定」結果が「OK」の製品(図5ではIDが105以外の製品P)は、製品ライン2によって取り出し位置A0まで搬送され、箱詰手段4によって箱詰ライン3の箱Bに箱詰めされる。「判定」結果が「NG」の製品(図2ではIDが105の製品P)は、選別機11によって製品ライン2から排除されるので箱詰手段4の取り出し位置A0には送られてこない。すなわち、箱詰の対象にならない製品Pである。
【0046】
図5において「OK」判定の製品Pは、図4に示すように製品ライン2によって取り出し位置A0まで搬送される。箱詰手段4は、製品ライン2の取り出し位置A0から規定入数(本実施形態では4)の製品Pを順次取り出して箱詰ライン3の箱Bに詰めて箱詰品を生産する。この箱詰作業において、箱詰手段4が製品Pを把持して取り上げることにより、製品Pが第2読み取り位置A2(取り出し位置A0と箱Bの間の位置)に来た時に、第2の識別情報読み取り手段42が製品Pの識別記号を読み取る。第2の識別情報読み取り手段42が読み取った識別記号の情報は制御装置20に送られる。
【0047】
制御装置20の箱詰特定手段22は、製品Pの箱詰めのタイミングで第2の識別情報読み取り手段42が読み取った識別記号を図5に示すように箱番号に関連づけ、記憶手段21に記憶させる。記憶手段21には、第1計量値とID(識別記号)が関連付けて記憶されているので、記憶手段21のデータは、ID(識別記号)を介して第1計量値と箱番号が関連づけられた構造となる。なお、箱番号は、箱詰特定手段22において例えば1から昇順で生成される箱詰め管理用の特定情報であって、新規の箱番号が設定される度に、第2の識別情報読み取り手段42から入力される識別番号の入力回数のカウントを開始し、入力回数が規定入数の4に達して箱詰め完了となったところで、つぎの箱番号にカウントアップさせる。
【0048】
箱詰品は箱詰ライン3で搬送され、第2計量手段12で計量される。第2計量手段12で取得される第2計量値は、制御装置20に送られる。
【0049】
制御部20の算出手段23は、上述した記憶手段21の情報を基に、箱詰め完了後に第2計量手段12に送られた箱Bの箱番号に対応する4個の製品Pの第1計量値を合算する等、第1実施形態と同様の演算を行なって基準総重量値を算出する。欠品判定手段24は、第1実施形態と同様の判定式に従い、以下のように行なう。
【0050】
第3実施形態の箱詰検査システム1”において制御装置20が行なう欠品判定の手順について、図5を参照して説明する。
合算(3-1)では、IDが101から104までの4つの製品Pの第1計量値は、箱番号26が共通であるので合算する。第1計量値の合算値400gに箱の重量値20gを加えた420gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた410gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが101から104までの4つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり420gであるから判定式は成立せず、欠品なしの判定となる。
【0051】
IDが105である製品Pの第1計量値は120gであり許容範囲から外れているので判定はNGであり、この製品Pは選別機11で排除されているため、箱詰めの対象にならず、箱番号は付されず、欠品の判定には関係しない。
【0052】
合算(3-2)では、箱番号27が共通であるID106、107、109、111の4つの製品の第1計量値を合算する。これらの第1計量値の合算値395gに箱の重量値20gを加えた415gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた405gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが106、107、109、111の4つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり415gであるから判定式は成立せず、欠品なしの判定となる。
【0053】
合算(3-2)における4個の製品Pは、計量順序は連続していないが、箱番号27の同一の箱Bに入っている。このように計量順と箱詰め順が一致しないのは、例えば、第1計量手段10を通過した後、製品Pの状態を確認する等の理由でラインの側にいる作業者がライン上の製品Pを抜き取る場合があり、これをラインに戻す際に製品Pの前後が入れ代わることがあるからである。しかしながら、本実施形態によれば、このような場合でも欠品を確実に判定することができる。また、IDが108の製品Pは判定もOKであり、本来は箱詰め対象となるはずであるが、第1計量手段10を通過した後、何らかの理由で箱詰対象とならなかったものである。このように第1計量手段10で計量を受けた製品Pであっても、箱Bに入らなかったものはIDを用いた照合により合算の対象とならないので、欠品の判定を正規の状態で行なうことができる。
【0054】
合算(3-3)では、箱番号27が共通であるID110、112、113、114の4つの製品Pの第1計量値を合算する。これらの第1計量値の合算値400gに箱の重量値20gを加えた420gが基準総重量値であり、ここから10gを減じた410gと第2計量値を比較する。第2計量値はIDが110、112、113、114の4つの製品Pが箱詰めされた箱詰品の重量値となり420gであるから判定式は成立せず、欠品なしの判定となる。
【0055】
合算(3-3)における4個の製品も、合算(3-2)の場合と同様、計量順序は連続しておらず、計量順と箱詰め順が一致していないが、やはり欠品を確実に判定することができている。
【0056】
以上説明した第3実施形態に係る箱詰検査システム1”では、同一の箱Bに箱詰めされた製品Pを特定するために箱番号を用いていたが、箱番号を用いない運用例も可能である。例えば、識別情報読み取り手段42を箱Bの近傍に設置し、箱詰手段4に把持された状態で識別情報読み取り手段42で識別記号を読み取られた製品Pは、必ず箱Bに入るものと考える。また、識別情報読み取り手段42から送られた識別記号を記憶する第2の記憶手段を設けておく。第2の記憶手段に4つの識別記号が記憶される度に、これら4つの識別記号と同一の識別記号(ID)の第1計量値を記憶手段21から読み出して合算する。この手法によれば、実際に箱詰めされた製品Pの識別記号に基づいて、多くの第1計量値の中から実際に箱詰めされた製品Pの第1計量値を選んで合算するので、搬送途中で製品が紛失したり、製品の並び順が変わっていても、箱詰品に含まれる製品の欠品を製品の計量値に基づいて確実に判定することができる。
【0057】
また、第1及び第2実施形態では、製品検知センサ13や製品検知カメラ30によって箱詰手段4が取り損ねた製品P(図2においてID109の「特定情報」が「非」の」製品P)を検知することで、これ以外の実際に箱詰めされた製品Pの第1計量値を合算していたが、この図2の「特定情報」には箱番号を記憶させるものとしてもよい。すなわち、記憶手段において、製品検知センサ13や製品検知カメラ30によって検知された製品PやNG品以外の製品Pについて、所定入数(実施形態では4)ずつ同一の箱番号を付しておき、欠品の判定においては、箱番号が同一のものを合算して基準重量値を求めてもよい。
【0058】
以上説明したように、各実施形態の箱詰検査システムによれば、箱詰時の製品Pの取り扱い不良等により計量順と箱詰順が一致しなかったり、製品Pが紛失したような場合が生じても、箱詰品における製品Pの欠品を製品Pの計量値に基づいて確実に判定することができ、特に重量値の誤差範囲が大きい製品Pの箱詰検査に有効であるという効果がある。
【符号の説明】
【0059】
1,1’,1”…箱詰検査システム
2…搬送手段としての箱詰ライン
3…搬送手段としての製品ライン
4…箱詰手段
10…第1計量手段
12…第2計量手段
13…製品検知センサ
20…制御装置
21…記憶手段
22…箱詰特定手段
23…算出手段
24…検査手段としての欠品判定手段
30…製品検知カメラ
41,42…識別情報読み取り手段
P…製品
B…箱
A0…製品の取り出し位置
A1…第1読み取り位置
A2…第2読み取り位置
図1
図2
図3
図4
図5