IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォト・ダイアグノスティック・システムズ,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7308827高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム
<>
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図1
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図2
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図3
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図4
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図5
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図6
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図7
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図8
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図9
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図10
  • 特許-高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/10 20180101AFI20230707BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20230707BHJP
【FI】
G01N23/10
G01N23/046
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020527053
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 US2018061767
(87)【国際公開番号】W WO2019099980
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】62/587,798
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518027438
【氏名又は名称】フォト・ダイアグノスティック・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,バーナード・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,オロフ
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-505178(JP,A)
【文献】米国特許第3980889(US,A)
【文献】欧州特許第1141683(EP,B1)
【文献】特開2012-207987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0076924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0172324(US,A1)
【文献】中国実用新案第201372110(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372223(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00- G01N 23/2276
G01T 1/00- G01T 1/16
G01T 1/167-G01T 7/12
B65G 15/00- B65G 15/28
B65G 15/60- B65G 15/64
B65G 43/00- B65G 43/10
B65G 47/00- B65G 47/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線セキュリティ検査システムにおいて物体を走査するための方法であって、前記X線セキュリティ検査システムは、放射線遮蔽カーテンを装備した入来トンネルと、X線区域と、放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルとを備え、前記方法は、
前記物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、前記入来トンネルを通して通過させるステップと、
前記物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、前記X線区域を通して通過させるステップと、
前記物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、前記外出トンネルを通して通過させるステップとを含み、
前記第2の速度は、前記第1の速度および前記第3の速度未満であり、連続する物体の間の前記第2の分離の大きさは、連続する物体の間の前記第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の前記第3の分離の大きさ未満であり、
前記第1および第3の速度は、1又は複数の放射線遮蔽カーテンが、連続する物体の間で完全に下がった姿勢に戻るように垂れることを可能にする最大速度である、方法。
【請求項2】
前記X線セキュリティ検査システムは、CTセキュリティ検査システムを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の速度は、要求される画像品質を可能にする最大速度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の速度は、1秒あたり15cm以下である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第3の速度は、1秒あたり22~27cm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第3の速度は、同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第3の速度は、互いに異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記放射線遮蔽カーテンは、鉛含有カーテンを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
物体を走査するための装置であって、
放射線遮蔽カーテンを装備した入来トンネル、X線区域、および放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルを備えるX線セキュリティ検査システムと、
前記物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、前記入来トンネルを通して通過させるための装置と、
前記物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、前記X線区域を通して通過させるための装置と、
前記物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、前記外出トンネルを通して通過させるための装置とを備え、
前記第2の速度は、前記第1の速度および前記第3の速度未満であり、連続する物体の間の前記第2の分離の大きさは、連続する物体の間の前記第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の前記第3の分離の大きさ未満であり、
前記第1および第3の速度は、1又は複数の放射線遮蔽カーテンが、連続する物体の間で完全に下がった姿勢に戻るように垂れることを可能にする最大速度である、
装置。
【請求項10】
前記X線セキュリティ検査システムは、CTセキュリティ検査システムを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の速度は、要求される画像品質を可能にする最大速度である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の速度は、1秒あたり15cm以下である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1および第3の速度は、1秒あたり22~27cm以上である、請求項9に記載の装置
【請求項14】
前記第1および第3の速度は、同じである、請求項9に記載の装置
【請求項15】
前記第1および第3の速度は、互いに異なる、請求項9に記載の装置
【請求項16】
前記物体を、前記入来トンネルを通して通過させるための前記装置は、第1のコンベアベルトを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記物体を、前記X線区域を通して通過させるための前記装置は、第2のコンベアベルトを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記物体を、前記外出トンネルを通して通過させるための前記装置は、第3のコンベアベルトを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項19】
前記物体を、前記入来トンネルを通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項20】
前記物体を、前記X線区域を通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項21】
前記物体を、前記外出トンネルを通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項22】
前記放射線遮蔽カーテンは、鉛含有カーテンを備える、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
係属中の先行特許出願の参照
本特許出願は、COMPUTED TOMOGRAPHY (CT) SECURITY INSPECTION SYSTEM WITH ENHANCED X-RAY SHIELDINGに対する、Photo Diagnostic Systems,Inc.およびBernard M.Gordonらにより2017年11月17日に出願された係属中の先行米国仮特許出願第62/587,798号(代理人整理番号PDSI-5 PROV)の利益を主張するものであり、その特許出願は、ここに、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的にはX線セキュリティ検査システムに関し、より詳細には、高められたX線遮蔽を伴うコンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
X線セキュリティ検査システムは、爆発物および他の密輸品を追い求めて、手荷物および他の容器を走査するために、空港および他のセキュリティに敏感な場所において広く使用される。これらのX線セキュリティ検査システムは、典型的には、約160,000ボルト(すなわち、160kV)で低い電力(例えば、2mA)で作動する、1つ(または数個)の固定された(すなわち、定置の)X線源を有する。かばんまたは容器(典型的には、トレー内に積まれる)が、コンベアベルト上で、固定されたX線源のそばを通り過ぎるように移動させられる。
【0004】
X線が、コンベアベルト上でX線源のそばを通過するかばんまたは他の容器に当たるとき、適度な量の散乱X線が、精査中のかばんまたは他の容器から放出される。これらの散乱X線のうちの一部は、固定されたX線源のそばを通り過ぎるようにかばんまたは容器を移動させているコンベアベルトの、入来または外出区分の方向で反射させられる。X線セキュリティ検査システムへの入口(すなわち、コンベアベルトの入来区分を内に含む「入来トンネル」)の付近に、または、X線セキュリティ検査システムの出口(すなわち、コンベアベルトの外出区分を内に含む「外出トンネル」)の付近にいることがある人間へのX線露光を回避するために、いくつかの鉛含有カーテン(例えば、3つから6つのカーテン)が、今までは、トンネルの各々内に(すなわち、入来および外出トンネルの各々内に)配置されていた。
【0005】
これらのより古いX線セキュリティ検査システムにおいて、かばんまたは他の容器を含むトレー(時にはビンとも呼ばれる)に対する典型的なスループット率は、一般的には、1時間あたり200(または、多くて300)トレーの範囲内であった。それゆえに、鉛含有カーテンが布置された入来および外出トンネルを通るトレーの通過のこれらの低い率で、トレーは、トレーの間の適切な間隔によって、およびゆえに、かばんまたは他の容器を含むトレーが走査される間の、カーテンが押し上げられ、次いで戻るように下がって垂れるための適切な時間によって、その相対的に低い数のカーテンを通って移動することができた。
【0006】
そのため、要約すると、低いX線電力および低いトレースループットの組合せを必然として含んだ、より古いX線セキュリティ検査システムによって、程々の数の鉛含有カーテンが、トレーにより搬送されるかばんまたは他の容器から、入来および外出トンネル内へと放出されていた、適度な量の散乱X線を適切に減衰させることができた。
【0007】
しかしながら、ここ数年にわたって、これらのより古いX線セキュリティ検査システムの有効性が甚だ不適切であるということが、空港セキュリティに責任を負う人々には明白になった。それに応じて、いくつかの会社が、コンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムの設計を始めた。そのようなCTセキュリティ検査システムは、1時間あたり約600トレー(すなわち、1時間あたり600のかばんまたは他の容器)のスループット率を有することを意図される。多くのX線投影(例えば、CT機械の1回転あたり1,000以上の投影)を行う、これらのCTセキュリティ検査システムは、必然的に、より高い電力X線、典型的には160kVで5~8mAを使用し、さらにまた、約24列の投影を同時に使用する。結果として、CTセキュリティ検査システムからの散乱X線の電力は、より古いX線セキュリティ検査システムからの散乱X線の電力よりほとんど100倍大であり、実際的な解決策が、CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルから発出する散乱X線を低減するために、見出されることを必要とするということが明確になっている。
【0008】
初期には、この問題は、より多くの鉛含有カーテンを、CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルにおいて単純に追加することにより解決され得るように思われた。しかしながら、これは事実ではない。問題の重大さを理解するために、CTセキュリティ検査システムは、より古いX線セキュリティ検査システムよりおおよそ100倍多い散乱X線を生み出すので、約300:1の以前の要件ではなく、30,000:1の因子により、入来および外出トンネルから発出する散乱X線のレベルを低減することが必要であるということを考えてみる。0.5mm鉛厚さの鉛当量を伴うカーテンは、約5.5:1の因子により、散乱X線を減衰させるということに留意されたい。4つのカーテンに対して、この因子は4乗され、そのことは、より古いX線セキュリティ検査システムに対する十分な減衰より多い、約915:1の減衰を結果的に生じさせる。すなわち、より古いX線セキュリティ検査システムの入来および外出トンネルを適切に遮蔽するために、0.5mm鉛当量の4つのカーテンのみが入用であったが、CTセキュリティ検査システムにより要される30,000:1の減衰を生み出すために、「完全に下がった」少なくとも6つのそのようなカーテンが入用である。さらにまた、トレーがほとんど常にカーテンのうちの一部の下に配される(および、それらの一部を押し退けている)、CTセキュリティ検査システムの高いスループット速度で、任意の所与の時間において少なくとも6つの「完全に下がった」カーテンをもたらすために、6つより多い設置されるカーテンが入用である。しかしながら、このより大きい数の鉛含有カーテンが、CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルにおいて設置されるならば、鉛含有カーテンは、互いに、より接近していなければならず(なぜならば、入来および外出トンネルの長さは、一般的には、CTセキュリティ検査システムに対して利用可能な空間により、厳しく制約されるからである)、このことは、(i)トレーは、より多くのカーテンを持ち上げるために、より強く押されなければならないということ、および、(ii)カーテンは、少なくとも追加的な30cmほどより幾分大である距離(この距離は、トレー、および、トレー内に積まれるかばんまたは容器の高さ、その他の関数である)だけ、トレー全体がカーテンのそばを通過した後まで、カーテンが「完全に下がった」様態に至らないということの、二重の問題を引き起こす。そのため、より多くのカーテンを単純に追加することは、CTセキュリティ検査システムのより高いスループット率に対して全くうまくいかない。
【0009】
どのように鉛含有カーテンが、CTセキュリティ検査システムのより高いスループット率で「完全に下がった」様態に至らないかを例解する、図1~5を確認されたい。
【0010】
より詳しくは、図1~5は、例示的な従来技術CTセキュリティ検査システム5を示す。CTセキュリティ検査システム5は、一般的には、多列X線20を生み出す回転焦点スポット15を有するCT機械10を備える。入来および外出トンネル25、30は、トレー40(かばんまたは容器を内に含む)を、CT機械10の回転焦点スポット15のそばを通り過ぎるように移動させるためのコンベアベルト35に対する入口および出口を提供する。鉛含有カーテン45が、入来および外出トンネル25、30内に配される。
【0011】
1時間あたり600トレー(すなわち、6秒ごとに1つのトレー)のスループット率によって、および、コンベアベルト35が1秒あたり15cm(CT機械10からの要される画像品質を可能にするための典型的な速度)で移動することによって、1つのトレーが、6秒ごとにコンベアベルトに沿って通過する。各々のトレーが60cmの長さを有する場合、このことは、X線コンベアベルト上のトレーの間に30cm間隔が存するということを意味する(すなわち、1秒あたり15cmのベルト速度、および、6秒ごとに1つのトレーは、トレーの間の90cmに等しく、各々のトレーは60cmの長さを有し、このことは、トレーの間の30cm間隔を生む)。しかしながら、1秒あたり15cmで移動するベルト上で流れるトレーの間の30cmのみの間隔によって、押し退けられた鉛含有カーテンが、トレーの間でそのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように下がって至るのには不充分な時間が存する。かくして、1時間あたり600トレーのスループット率によって、および、1秒あたり15cmのコンベアベルト速度によって、CTセキュリティ検査システムの鉛含有カーテンは、CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルを通過する散乱X線を適切に遮蔽することができない。この問題点は、下記でより詳細に論考される。
【0012】
CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルを抜け出るX線を減衰させるために提案された別の手法は、鉛含有カーテンがはるかに遠く離れて隔置され得るように、入来および外出トンネルをはるかに長くすることであった。理論的には、この手法は、カーテンに、連続するトレーの間で「完全に下がった」様態に至るための時間を与えることがあるが、実際には、その手法は、入来および外出トンネルに、空港および他のセキュリティに敏感な場所において存在する空間制約により、一般的に可能とされるより、過度に長いことを要求する。
【0013】
CTセキュリティ検査システムの入来および外出トンネルを抜け出るX線を減衰させるための別の手法は、米国特許出願公報第US2016/0372223 A1号において説明されている。米国特許出願公報第US2016/0372223 A1号の手法は、連続するトレーの間で回転カーテンを使用する。しかしながら、実際には、この手法はうまくいかず、なぜならば、回転カーテンは、到着トレーの間で迅速に下がった様態に至るために、トレー移動と精密に同期されることを必要とするからである。さらにまた、この手法は、より新しいCTセキュリティ検査システムの、より高い所望されるスループット率ではうまくいかず、なぜならば、X線減衰の要されるレベルをもたらすのに十分なカーテンを、トレーの間で完全に下がった様態にすることは困難であるからである。
【0014】
なおも別の提案された手法は、連続するトレーの間で急速に上がり下がりする巻き枠上の複数個のカーテンを設けることであった。カーテンを十分に高速に上がり下がりさせるために必要とされる、工学的技術の複雑さおよび電力要件の他に、そのような手法は、過度にコスト高であり、各々の入来および外出トンネルにおいて相当の費用を追加する。
【0015】
さらに別の提案された手法は、入来トンネルを短い時間の間開放し、トレーを走査のために急速に押し入れ、外出トンネルにおいて工程を逆にし、次いで、工程を次のトレーに対して繰り返すことになる、込み入った仕組みを作り上げることであった。理論的には可能であるが、そのような込み入ったシステムにより要される困難さ、信頼性、および電力は、非実際的であることが見出されている。
【0016】
さらに別の手法は、所与の所望されるスループット率に対して、システムを通るコンベアベルト速度を相当に昇速させることであり得る。この手法は、トレーが、連続するトレーの間に、より多くの空間を伴って、システムをより高速に通って進むことを可能とすることになり、そのことによって、入来および外出トンネル内の鉛含有カーテンは、連続するトレーの間で下がった様態に至るための時間を有することになる。しかしながら、このより高いスループット速度で同じ画像品質を得ることは、比例してより高い電力X線源、または代替的に、相当により大きい数の検出器列、または両方を要し、そのことは、CTスキャナのX線源を支持する架台の回転率(回転速度)を昇速させることを要する。かくして、この手法は、コストを相当に増し、システムに対する電力要件を増大する(そのことは、CTセキュリティ検査システムが設置されなければならない、空港および他のセキュリティに敏感な場所において、一般的には利用可能ではない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
かくして、高められたX線遮蔽を伴う、新しい、および改善された、コンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムに対する必要性が存する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、高められたX線遮蔽を伴う、新しい、および改善された、コンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムの、提供および使用を含む。
【0019】
本発明の1つの好まれる形式において、X線セキュリティ検査システムにおいて物体を走査するための方法であって、X線セキュリティ検査システムは、放射線遮蔽カーテンを装備した入来トンネルと、X線区域と、放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルとを備え、
物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、入来トンネルを通して通過させるステップと、
物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、X線区域を通して通過させるステップと、
物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、外出トンネルを通して通過させるステップとを含み、
第2の速度は、第1の速度および第3の速度未満であり、連続する物体の間の第2の分離の大きさは、連続する物体の間の第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさ未満である、方法が提供される。
【0020】
本発明の別の好まれる形式において、物体を走査するための装置であって、
放射線遮蔽を装備した入来トンネル、X線区域、および放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルを備えるX線セキュリティ検査システムと、
物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、入来トンネルを通して通過させるための装置と、
物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、X線区域を通して通過させるための装置と、
物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、外出トンネルを通して通過させるための装置とを備え、
第2の速度は、第1の速度および第3の速度未満であり、連続する物体の間の第2の分離の大きさは、連続する物体の間の第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさ未満である、装置が提供される。
【0021】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、同様の番号が同様の部分を指す、添付図面と一体で考察されることになる、本発明の好まれる実施形態の、後に続く詳細な説明により、より完全に開示される、または明白にされることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】どのように従来技術CTセキュリティ検査システムが、適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能としないかを示す概略図である。
図2】どのように従来技術CTセキュリティ検査システムが、適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能としないかを示す概略図である。
図3】どのように従来技術CTセキュリティ検査システムが、適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能としないかを示す概略図である。
図4】どのように従来技術CTセキュリティ検査システムが、適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能としないかを示す概略図である。
図5】どのように従来技術CTセキュリティ検査システムが、適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能としないかを示す概略図である。
図6】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
図7】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
図8】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
図9】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
図10】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
図11】どのように本発明が、CTセキュリティ検査システムに対する適切なX線遮蔽をもたらすのに充分な数の鉛含有カーテンが、入来および外出トンネル内で、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至ることを可能にするかを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、高められたX線遮蔽を伴う、新しい、および改善された、コンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムの、提供および使用を含む。
【0024】
より詳しくは、従来技術コンピュータ断層撮影(CT)セキュリティ検査システムと関連付けられるX線遮蔽問題をさらに理解するために、および、本発明により提供されるこの問題に対する新規の解決策を完全に把握するために、米国においての標準トレー長さは、約60cm(約2フィート)であり、欧州において、標準トレー長さは、約70cmであるということが、最初に認識されるべきである。現実の例として、CTセキュリティ検査システムを1時間あたり600トレーで動作させることが、一般的には所望される。これは、6秒ごとに1つのトレーである。次いで、1時間あたり600トレーで、連続するトレーの間の距離は、様々なコンベア速度に対して、後に続くようになる。
【0025】
【表1】
【0026】
コンベア速度は、実際的な意味で、要因、すなわち、X線電力、CT回転速度、コンベア動きの方向での検出器対象範囲、およびシステムピッチ(コンベア動きの方向での検出器の有効長さにより除算される、X線源を内に含む架台の1回転あたりの、吟味中のトレーの前進の比と定義される)の組合せにより制限されるということが、さらに認識されるべきである。実際には、X線電力は、一般的には、空港内のセキュリティ場所において利用可能な電力により制限され、回転速度は、一般的には、機器の許容可能なg力、および、架台を回転させるために利用可能な電力により制限され、検出器長さは、コストにより制限され、ピッチは、結果としての画像品質により制限される。
【0027】
前述の制限を考慮に入れると、実際には、CT機械を通るコンベア速度は、容認可能な画像品質を達成するために、1秒あたり約15cmに制限される。1秒あたり15cmのコンベア速度(1時間あたり600トレーのシステムスループットを伴う)は、連続するトレーの開始の間の90cmのトレー間隔を生む(すなわち、1秒あたり15cm移動するコンベアベルト上での、6秒ごとに1つのトレーは、連続するトレーの開始の間の90cmのトレー間隔を生む)。このことは、30cm(90cm-60cm=30cm)の米国においてのトレーの間の間隔、および、20cm(90cm-70cm=20cm)の欧州においてのトレーの間の間隔を含意する。初期には、適切なX線遮蔽をもたらすのに十分なカーテンを、トレーの間の空間において下がった様態に至らせることにより、入来および外出トンネルにおいての適切なX線遮蔽をもたらすことが可能であり得るということが期待されたが、このことは、事実であるとは判明しておらず、なぜならば、トレー(その内容物を伴う)がカーテンを押し上げるとき、そのカーテンは、トレーが、カーテンが垂れ下がる地点を30cmより多く越えて移動してしまうまで、そのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至らないからである。図1~5、および、「背景技術」と題を付けられた節においての上記の論考を確認されたい。
【0028】
かくして、トレーの長さに、カーテンがそのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至るために要される追加的な距離を加算した長さに等しい値(等価トレー長さ(Equivalent Tray Length)、すなわちETL)が定義され得る。実際には、1時間あたり600トレーのスループット率で、ETLは、トレー長さ(例えば60cm)、プラス、30cmより多い距離の総和、すなわち、90cmより大である距離である。
【0029】
別の言い方をすれば、6秒ごとに1つのトレーの率での(すなわち、1時間あたり600トレーのスループットに対する)投入コンベアベルト上にトレーが配置されているときに、鉛含有カーテンが、連続するトレーの間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に至るのに充分な間隙が、連続するトレーの間に存するために、投入コンベアベルトは、1秒あたり15cmより相当に高速に移動しなければならない。
【0030】
このことは、何が従来技術CTセキュリティ検査システムに関する問題であったかの理解をもたらすものであり、1時間に600トレーで、1秒あたり15cmのベルト速度で作動すると、鉛含有カーテンは、トレーの間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至るのに十分な時間を決して有さない。それどころか、単一のカーテンでさえ、15cmで移動するトレーにより、上に持ち上げられる後に、そのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至ることは決してできず、なぜならば、後に続くトレーが、ちょうどカーテンがそのカーテンの「完全に下がった」姿勢に達しようとしている際に、カーテンと係わり合うからである。それゆえに、1秒あたり15cmのコンベアベルト速度によって、1時間に600トレーで作動する、従来技術CTセキュリティ検査システムに関して、必要なX線減衰をもたらすことは可能でない。
【0031】
本発明は、先に列挙され、上で論考された理由のために、各々のシステムに対して、トレーがシステムのX線局所を通って進むことができるという率の上限が存するということを認識し、本発明は、連続するトレーの間の間隔が等価トレー長さ(ETL)未満であるような速度で、トレーが入来および外出トンネルを通って進むことはできないということを認識する。換言すれば、本発明は、トレーが、1秒あたり15cmより高速でシステムのX線局所を通って進むことはできないということを認識し、本発明は、90cmより大である距離である等価トレー長さ(ETL)未満である、連続するトレーの間の間隔をもたらす速度で、トレーが入来および外出トンネルを通って進むことはできないということを認識する。
【0032】
本発明は、高速度CTセキュリティ検査システムを提供することにより、新規の手立てでこれらの問題点に対処するものであり、そのシステムは、トレーを、それらのトレーがシステムのX線部分を通して移動させられるより相当に高速な速度で、入来および外出トンネルを通して移動させて、そのことにより、適切な走査画像品質をもたらし、一方でさらには、高められたX線遮蔽を可能にする。本発明の好まれる形式において、このことは、3つの別個のコンベアベルト(すなわち、入来トンネルを通る1つ、外出トンネルを通る1つ、および、システムのX線部分を通る1つ)を設けること、ならびに、入来および外出コンベアベルトを、システムのX線部分を通るコンベアベルトの速度(rate of speed)より高い速度(rate of speed)で動作させることにより達成される。
【0033】
より詳しくは、本発明の好まれる形式において、入来および外出コンベアベルトの速度は、鉛含有カーテンに、連続するトレーの間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至るための時間を配分するために、連続するトレーの間の適切な間隔をもたらすのに十分に高くセットされ、システムのX線部分を通るコンベアベルトの速度は、要される画像品質が達成されることを可能にするのに十分に低くセットされる。さらにまた、入来および外出コンベアベルトの速度は、所望されるスループット率でのトレーの継続的な流れをもたらすように、システムのX線部分を通るコンベアベルトの速度と調和させられる。
【0034】
例として、ただし制限としてではなく、システムのスループット率が1時間あたり600トレー(すなわち、6秒ごとに1つのトレー)である場合、1秒あたり15cmのX線コンベアベルト速度(要される画像品質を可能にするための典型的な速度)によって、1つのトレーが、6秒ごとにX線コンベアベルトに沿って通過し、そのことは、X線コンベアベルト上のトレーの間に30cm間隔が存するということを意味する(すなわち、1秒あたり15cmのベルト速度、および、6秒ごとに1つのトレーは、トレーの間の90cmに等しく、各々のトレーは60cmの長さを有し、このことは、トレーの間の30cm間隔を生む)。
【0035】
鉛含有カーテンの間の間隔を決定する、入来および外出トンネルに対して可能とされる長さ(公称的には、各々91.44~152.4cm(3~5フィート))に依存して、入来トンネル内のコンベアベルト速度、および、外出トンネル内のコンベアベルト速度は、1秒あたり22cmの近傍にあり得るものであり、そのことは、入来および外出コンベアベルト上のトレーの間に72cm間隙が存するということを意味する(すなわち、1秒あたり22cmのベルト速度、および、6秒ごとに1つのトレーは、トレーの間の132cmに等しく、各々のトレーは60cmの長さを有し、このことは、トレーの間の72cm間隔を生む)。この間隔は、到着および外出トンネル内の鉛含有カーテンが、トレーの間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように至ることを可能とする。
【0036】
かくして、本発明によって、入来および外出コンベアベルトは、システムのX線部分を通るコンベアベルトの速度より高い速度で作動し、入来および外出トンネル内のトレーの間の間隔は、システムの走査部分内のトレーの間の間隔より大である。
【0037】
鉛含有カーテンの間の分布は、鉛当量が、平均して、それらのカーテンの「完全に下がった」姿勢において、6つの0.5mm鉛当量カーテンのものである限りにおいて、入来および外出トンネルの現実の長さに依存して、最適に隔置され得る。1つの例として、入来および外出トンネルに対する総合的な利用可能なトンネル長さが約121.9または152.4cm(約4または5フィート)であるならば、各々のトンネル内に、適正に隔置された、5つまたは6つの0.5mm鉛当量カーテンが存し得る。
【0038】
そのため、問題に対する創造的解決策は、トレーを、第1の速度(例えば、1秒あたり22~27cm)で入来トンネルを通して移動させ、次いで、それらのトレーがX線走査部分を通って移動する際に、第2の、より遅い速度(例えば、1秒あたり15cm)に減速させ、次いで、第2の速度より高い第3の速度(例えば、1秒あたり22~27cm)で外出トンネルを通して移動させることである。
【0039】
入来コンベアベルトの速度(および、入来コンベアベルト上の連続するトレーの間の間隔)は、外出コンベアベルトの速度(および、外出コンベアベルト上の連続するトレーの間の間隔)と同じであることがあるが、必ずしも同じではないということに留意されたい。実際には、それらは、異なる速度(および、連続するトレーの間の異なる間隔)を有することがある。要されることは、(i)外出コンベアベルトのスループットは、入来コンベアベルトのスループットに等しくなければならない(ならびに、入来および外出コンベアベルトのスループットは、走査コンベアベルトのスループットに等しくなければならない)、(ii)入来および外出コンベアベルトの速度は、適切な数の鉛含有カーテンが、連続するトレーの間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように垂れることを可能にするのに十分に高くなければならない、ならびに、(iii)走査部分を通るコンベアベルトの速度は、適切な画像品質を可能にするのに十分に低くなければならない、ということである。
【0040】
本発明の1つの好まれる形式において、および、今から図6~11を熟視すると、本発明によって形成される新規のCTセキュリティ検査システム105が提供される。CTセキュリティ検査システム105は、一般的には、多列X線120を生み出す回転焦点スポット115を有するCT機械110を備える。入来および外出トンネル125、130は、CT機械110の走査領域へのアクセスを提供する。入来コンベアベルト135A、走査コンベアベルト135B、および外出コンベアベルト135Cは、トレー140(かばんまたは容器を内に含む)を、入来トンネル125を通して、CT機械110の回転焦点スポット115のそばを通り過ぎるように、および、外出トンネル130から外に、移動させるように働く。鉛含有カーテン145が、入来および外出トンネル125、130内に配される。
【0041】
本発明によれば、入来コンベアベルト135Aは、トレー140を、第1の速度(例えば、1秒あたり22~27cm)で、入来トンネル125を通して移動させ、走査コンベアベルト135Bは、トレー140を、第2の、より遅い速度(例えば、1秒あたり15cm)で、CT機械110のX線走査部分を通して移動させ、外出コンベアベルト135Cは、トレー140を、第2の速度より高い第3の速度(例えば、1秒あたり22~27cm)で、外出トンネル130を通して移動させる。入来コンベアベルト135Aおよび外出コンベアベルト135Cそれぞれの、第1および第3の速度は、近接するトレー140の間の適切な間隔をもたらし、そのことにより、適切な数の鉛含有カーテン145が、連続するトレー140の間でそれらのカーテンの「完全に下がった」姿勢に復帰することを可能にするのに十分に高い。走査コンベアベルト135Bの第2の速度は、適切な画像品質を可能にするのに十分に低い。
【0042】
所望されるならば、新規のCTセキュリティ検査システムの鉛含有カーテンは、他のX線障壁材料、例えばタングステン、バリウム、その他を利用する放射線遮蔽カーテンにより置き換えられてもよい。
【0043】
ならびに、所望されるならば、入来コンベアベルト135A、走査コンベアベルト135B、および/または外出コンベアベルト135Cは、物体(例えば、かばんまたは容器を内に含むトレー)を、新規のCTセキュリティ検査システムを通して移動させるための他の装置により置き換えられてもよい。例として、ただし制限としてではなく、入来コンベアベルト135A、走査コンベアベルト135B、および/または外出コンベアベルト135Cは、一連の動力付きローラ(powered roller)、その他を備える細道により置き換えられてもよい。
【0044】
前述に加えて、本発明は、好ましくは、トレー(または、試験中の、他のそのような実体)が、鉛含有カーテンをより容易に上に持ち上げることをより容易にする特徴を組み込む。これらの特徴は、後に続くことのうちの1つまたは複数を含み得る:(i)1つまたは複数の可撓性ヒンジを、各々の鉛含有カーテンの上部に、または、垂直にそのカーテンの中に置くこと、(ii)鉛含有カーテン(または、鉛含有カーテンの垂直下位構成要素)を適正に互い違いにすること、ならびに、(iii)鉛含有カーテンの、それらのカーテンの間隔または層状分布重み付けなどの、組合せおよびパターンを最適に変動させること。
【0045】
好まれる実施形態の修正
本発明の本質を解説するために本明細書において説明および例解された、詳細、材料、ステップ、および、部品の配置構成においての多くの追加的な変更が、それでもなお本発明の原理および範囲の中にとどまりながら、当業者により行われ得るということが理解されるべきである。
<付記>
[形態1]
X線セキュリティ検査システムにおいて物体を走査するための方法であって、前記X線セキュリティ検査システムは、放射線遮蔽カーテンを装備した入来トンネルと、X線区域と、放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルとを備え、前記方法は、
前記物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、前記入来トンネルを通して通過させるステップと、
前記物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、前記X線区域を通して通過させるステップと、
前記物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、前記外出トンネルを通して通過させるステップとを含み、
前記第2の速度は、前記第1の速度および前記第3の速度未満であり、連続する物体の間の前記第2の分離の大きさは、連続する物体の間の前記第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の前記第3の分離の大きさ未満である、方法。
[形態2]
前記X線セキュリティ検査システムは、CTセキュリティ検査システムを備える、形態1に記載の方法。
[形態3]
前記第2の速度は、容認可能な走査結果を可能にする最大速度である、形態1に記載の方法。
[形態4]
前記第2の速度は、1秒あたり15cm以下である、形態3に記載の方法。
[形態5]
前記第1および第3の速度は、適正な数の放射線遮蔽カーテンが、連続する物体の間で前記放射線遮蔽カーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように垂れることを可能にする最大速度である、形態1に記載の方法。
[形態6]
前記第1および第3の速度は、1秒あたり22~27cm以上である、形態1に記載の方法。
[形態7]
前記第1および第3の速度は、同じである、形態1に記載の方法。
[形態8]
前記第1および第3の速度は、互いに異なる、形態1に記載の方法。
[形態9]
前記放射線遮蔽カーテンは、鉛含有カーテンを備える、形態1に記載の方法。
[形態10]
物体を走査するための装置であって、
放射線遮蔽カーテンを装備した入来トンネル、X線区域、および放射線遮蔽カーテンを装備した外出トンネルを備えるX線セキュリティ検査システムと、
前記物体を、第1の速度で、および、連続する物体の間の第1の分離の大きさによって、前記入来トンネルを通して通過させるための装置と、
前記物体を、第2の速度で、および、連続する物体の間の第2の分離の大きさによって、前記X線区域を通して通過させるための装置と、
前記物体を、第3の速度で、および、連続する物体の間の第3の分離の大きさによって、前記外出トンネルを通して通過させるための装置とを備え、
前記第2の速度は、前記第1の速度および前記第3の速度未満であり、連続する物体の間の前記第2の分離の大きさは、連続する物体の間の前記第1の分離の大きさ、および、連続する物体の間の前記第3の分離の大きさ未満である、装置。
[形態11]
前記X線セキュリティ検査システムは、CTセキュリティ検査システムを備える、形態10に記載の装置。
[形態12]
前記第2の速度は、容認可能な走査結果を可能にする最大速度である、形態10に記載の装置。
[形態13]
前記第2の速度は、1秒あたり15cm以下である、形態12に記載の装置。
[形態14]
前記第1および第3の速度は、適正な数の放射線遮蔽カーテンが、連続する物体の間で前記放射線遮蔽カーテンの「完全に下がった」姿勢に戻るように垂れることを可能にする最大速度である、形態10に記載の装置。
[形態15]
前記第1および第3の速度は、1秒あたり22~27cm以上である、形態10に記載の方法。
[形態16]
前記第1および第3の速度は、同じである、形態10に記載の方法。
[形態17]
前記第1および第3の速度は、互いに異なる、形態10に記載の方法。
[形態18]
前記物体を、前記入来トンネルを通して通過させるための前記装置は、第1のコンベアベルトを備える、形態10に記載の装置。
[形態19]
前記物体を、前記X線区域を通して通過させるための前記装置は、第2のコンベアベルトを備える、形態10に記載の装置。
[形態20]
前記物体を、前記外出トンネルを通して通過させるための前記装置は、第3のコンベアベルトを備える、形態10に記載の装置。
[形態21]
前記物体を、前記入来トンネルを通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、形態10に記載の装置。
[形態22]
前記物体を、前記X線区域を通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、形態10に記載の装置。
[形態23]
前記物体を、前記外出トンネルを通して通過させるための前記装置は、一連の動力付きローラを備える、形態10に記載の装置。
[形態24]
前記放射線遮蔽カーテンは、鉛含有カーテンを備える、形態10に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11