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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】高透過率の光制御フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20230707BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230707BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230707BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G02B5/00 A
G02B5/22
G02F1/1335
G02F1/13357
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020532791
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018065381
(87)【国際公開番号】W WO2019118685
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】62/598,248
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,カレブ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴトリック,ケビン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ケニー,レイモンド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィートリー,ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】エプスタイン,ケネス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ゲイリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】バルツ,コリー ディー.
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337837(JP,A)
【文献】特開2004-062084(JP,A)
【文献】特開2017-138560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276988(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0159901(US,A1)
【文献】特表2016-506544(JP,A)
【文献】特表2016-522106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
G02B 5/22
G02F 1/1335
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有し、前記交互の透過領域及び吸収領域が、0度の視野角において少なくとも75%の相対透過率を有する、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備え、前記吸収領域が高分子電解質を含み、アスペクト比は、吸収領域の高さを吸収領域の最大幅で割った値であり、相対透過率は、光制御フィルムを使用した輝度と、光制御フィルムを使用しない輝度との間の百分率である、光制御フィルム。
【請求項2】
前記交互の透過領域及び前記吸収領域が、+30度又は-30度の視野角において、50%未満の相対透過率を有する、請求項1に記載の光制御フィルム。
【請求項3】
前記吸収領域が有機光吸収材料を含む、請求項1~2に記載の光制御フィルム。
【請求項4】
前記吸収領域が、500ナノメートル未満の粒径中央値を有する光吸収粒子を含む、請求項1~3に記載の光制御フィルム。
【請求項5】
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有し、有機光吸収材料を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備え、前記吸収領域が高分子電解質を含み、アスペクト比は、吸収領域の高さを吸収領域の最大幅で割った値である、光制御フィルム。
【請求項6】
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が、100ナノメートル未満の粒径中央値を有する複数の粒子を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備え、前記吸収領域が高分子電解質を含む、光制御フィルム。
【請求項7】
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が高分子電解質を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備える、光制御フィルム。
【請求項8】
前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有し、アスペクト比は、吸収領域の高さを吸収領域の最大幅で割った値である、請求項6~7に記載の光制御フィルム。
【請求項9】
光制御フィルムを製造する方法であって、
チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた微細構造フィルムを提供することであって、前記微細構造フィルムが、前記光透過領域の上面及び側壁、並びに前記チャネルの底面によって画定される表面を有する、微細構造フィルムを提供することと、
カーボンブラック顔料を含む光吸収コーティングを前記表面に適用することと、
前記光透過領域の前記上面及び前記チャネルの底面から前記光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記光吸収コーティングを適用するステップがレイヤー・バイ・レイヤー自己集合を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記光吸収コーティングの前記少なくとも一部分を除去するステップが反応性イオンエッチングを含む、請求項9~10に記載の方法。
【請求項12】
前記チャネルを有機ポリマー材料で充填することを更に含む、請求項9~11に記載の方法。
【請求項13】
光制御フィルムを製造する方法であって、
チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた光制御フィルムを提供することであって、前記光透過領域の上面及び側壁、並びに前記チャネルの底面によって画定される表面を有する、光制御フィルムを提供することと、
レイヤー・バイ・レイヤー自己集合によって前記表面に光吸収コーティングを適用することと、
前記光透過領域の前記上面及び前記チャネルの底面から前記光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【図面の簡単な説明】
【0001】
図1a】具体化された光制御フィルムの断面図である。
図1b図1aの光制御フィルムの極性遮断視野角を示す図である。
図2】微細構造フィルムの斜視図である。
図3】光制御フィルムを製造する具体化された方法の略断面図である。
図4】接着層と結合されたカバーフィルムを更に備えた光制御フィルムの斜視図である。
図5】具体化された光制御フィルムを備えたバックライト付きディスプレイの略斜視図である。
図6】様々な光制御フィルムに関する輝度対視野角のプロットである。
【発明の概要】
【0002】
様々な光制御フィルムが説明されたが、業界は、改善された軸上透過などの改善された特性を有するプライバシーフィルムとして使用するのに適した光制御フィルムにおける利点を見出すであろう。
【0003】
一実施形態では、光入力面と、光入力面とは反対側の光出力面と、光入力面と光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域とを備えた光制御フィルムが説明される。
【0004】
一実施形態では、吸収領域は少なくとも30のアスペクト比を有し、交互の透過領域及び吸収領域は、0度の視野角において少なくとも75%の相対透過率を有する。
【0005】
別の実施形態では、吸収領域は少なくとも30のアスペクト比を有し、有機光吸収材料を含む。
【0006】
別の実施形態では、吸収領域は、100ナノメートル未満の粒径中央値を有する複数の粒子を含む。
【0007】
別の実施形態では、吸収領域は高分子電解質を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、光制御フィルムは、トップコート又は接着剤及びカバーフィルムなどの追加層を更に含み、総光制御フィルムは、本明細書において説明されるように規定された透過特性を有する。
【0009】
別の実施形態では、光制御フィルムは、第2の光制御フィルムの上に配置されるように単に説明されている第1の光制御フィルムを備えている。また、第2の光制御フィルムは、少なくとも30のアスペクト比を有する吸収領域を同じく有することができる。
【0010】
更に別の実施形態では、チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた微細構造フィルムを提供することであって、微細構造フィルムが、光透過領域の上面及び側壁、並びにチャネルの底面によって画定される表面を有する、微細構造フィルムを提供することと、有機光吸収材料を表面に適用することと、
光透過領域の上面及びチャネルの底面から光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することとを含む、
光制御フィルムを製造する方法が説明される。
【0011】
更に別の実施形態では、チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた微細構造フィルムを提供することであって、微細構造フィルムが、光透過領域の上面及び側壁、並びにチャネルの底面によって画定される表面を有する、微細構造フィルムを提供することと、レイヤー・バイ・レイヤー自己集合(layer-by-layer self-assembly)によって表面に光吸収材料を適用することと、光透過領域の上面及びチャネルの底面から光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することとを含む、微細構造フィルムを製造する方法が説明される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態では、光制御フィルム(「light control film、LCF」)が説明される。具体化されたLCF100の断面図である図1aを参照すると、LCFは、光出力面120と、反対側の光入力面110とを備えている。光出力面120は、典型的には光入力面110に対して平行である。LCF100は、光出力面120と光入力面110との間に配置された交互の透過領域130及び吸収領域140を含む。
【0013】
一実施形態では、図1aに示されているように、透過領域130は、典型的にはランド領域「L」と一体であり、これは、ランド領域と、透過領域130のベース部131との間に界面が存在しないことを意味している。別法としては、LCFは、このようなランド領域Lを欠いていてもよく、あるいはランド領域Lと透過領域130との間に界面が存在していてもよい。この実施形態では、ランド領域は、交互の透過領域130及び吸収領域140と光入力面110との間に配置されている。
【0014】
別法としては、別の実施形態では、表面120は光入力面であってもよく、表面110は光出力面であってもよい。この実施形態では、ランド領域は、交互の透過領域130及び吸収領域140と光出力面との間に配置されている。
【0015】
透過領域130は幅「W」によって画定され得る。ランド領域「L」を除くと、透過領域130は、典型的には吸収領域140と名目上同じ高さを有している。典型的な実施形態では、吸収領域の高さHは、少なくとも30、40、50、60、70、80、90又は100ミクロンである。いくつかの実施形態では、高さは、200、190、180、170、160又は150ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、高さは、140、130、120、110、又は100ミクロン以下である。LCFは、典型的には、名目上同じ高さ及び幅を有する複数の透過領域を備えている。いくつかの実施形態では、透過領域は、高さ「H」を有し、その最も広い部分における最大幅「W」、及びアスペクト比H/Wは少なくとも1.75である。いくつかの実施形態では、H/Wは、少なくとも2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、又は5.0である。他の実施形態では、透過領域のアスペクト比は、少なくとも6、7、8、9、10である。他の実施形態では、透過領域のアスペクト比は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、又は50である。
【0016】
吸収領域140は、底面155と上面145との間の距離によって画定される高さ「H」を有し、このような上面及び底面は、典型的には光出力面120及び光入力面110に対して平行である。吸収領域140は最大幅Wを有し、表面光出力面120に沿ってピッチ「P」だけ間隔を隔てている。
【0017】
ベース(すなわち底面155に隣接している)における吸収領域の幅「W」は、典型的には上面145に隣接する吸収領域の幅と名目上同じである。しかしながらベースにおける吸収領域の幅が上面に隣接する幅と異なる場合、幅は最大幅によって画定される。複数の吸収領域の最大幅は、透過率(例えば輝度)が測定される面積などの重要な面積に対して平均化することができる。LCFは、典型的には、名目上同じ高さ及び幅を有する複数の吸収領域を備えている。典型的な実施形態では、吸収領域は、通常、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1ミクロン以下の幅を有している。いくつかの実施形態では、吸収領域は、通常、900、800、700、600、又は500ナノメートル以下の幅を有している。いくつかの実施形態では、吸収領域は、少なくとも50、60、70、80、90、又は100ナノメートルの幅を有している。
【0018】
吸収領域は、吸収領域の高さを吸収領域の最大幅で割った(H/W)アスペクト比によって画定することができる。いくつかの実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。好ましい実施形態では、吸収領域の高さ及び幅は、吸収領域が更に高いアスペクト比を有するように選択される。いくつかの実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100である。他の実施形態では、吸収領域のアスペクト比は、少なくとも200、300、400、又は500である。アスペクト比は、最大10,000以上の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、アスペクト比は、9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3000、2,000、又は1,000以下である。
【0019】
図1bに示されているように、LCF100は、交互の透過領域130及び吸収領域140、並びに透過領域130と吸収領域140との間の界面150を含む。界面150は、光出力面120に対して直角の線160と壁角度θを形成している。
【0020】
壁角度θが大きいほど、垂直入射、言い換えると0度の視野角における透過率が小さくなる。垂直入射における光の透過率を可能な限り大きくすることができるよう、より小さい壁角度が好ましい。いくつかの実施形態では、壁角度θは、10、9、8、7、6、又は5度未満である。いくつかの実施形態では、壁角度は、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、又は0.1度以下である。いくつかの実施形態では、壁角度はゼロであるか、又はゼロに近づく。壁角度がゼロである場合、吸収領域と光出力面120との間の角度は90度である。透過領域は、壁角度に応じて、長方形又は台形の断面を有することができる。
【0021】
入射光が吸収領域と透過領域との間の界面で内部全反射(total internal reflection、TIR)すると、透過率(例えば可視光の輝度)を高くすることができる。光線がTIRすることになるか否かは、界面との入射角、並びに透過領域及び吸収領域の材料の屈折率の差から決定することができる。
【0022】
図1bに示されているように、吸収領域140同士間の透過領域130は、交互の透過領域130及び吸収領域の幾何学構造によって画定される界面角度θを有している。図1a及び図1bに示されているように、界面角度θは、2本の線の交点によって画定することができる。第1の線は、第1の吸収領域の底面及び側壁表面によって画定される第1の点、及び最も近い第2の吸収領域の上面及び側壁表面によって画定される第2の点から延びている。第2の線は、第1の吸収領域の上面及び側壁表面によって画定される第1の点、及び第2の吸収領域の底面及び側壁表面によって画定される第2の点から延びている。
【0023】
極性遮断視野角θPは、極性遮断視野半角θ1と極性遮断視野半角θ2の合計に等しく、これらの各々は、法線から光入力面110まで測定される。典型的な実施形態では、極性遮断視野角θPは対称であり、極性遮断視野半角θ1は極性視野半角θ2に等しい。別法としては、極性遮断視野角θPは非対称であってもよく、極性遮断視野半角θ1は極性遮断視野半角θ2に等しくない。
【0024】
輝度は、実施例で説明されている試験方法に従って測定することができる。輝度は、図1aに示されているような交互の透過領域及び吸収領域上で、又は図4に示されているように、カバーフィルムを更に含むことができる全光制御フィルム上で測定することができる。相対透過率(例えば可視光の輝度)は、規定された視野角又は視野角の範囲における、交互の透過領域及び吸収領域、並びに任意選択で他の層を含む光制御フィルムを使用した読値と、光制御フィルム(すなわちベースライン)を使用しない読値との間の輝度の百分率として定義される。図6を参照すると、視野角は、-90度~+90度に及び得る。0度の視野角は光入力面110に対して直交し、一方、-90度及び+90度の視野角は光入力面110に対して平行である。
【0025】
例えば図6を参照すると、軸上ベースライン輝度は2100Cd/mである。EX6は、1910Cd/mの軸上輝度を有している。したがって相対透過率(例えば輝度)は、1910Cd/m/2100Cd/mに100を掛けたものであり、91.0%に等しい。特に明記されていない限り、相対透過率は、実施例で更に詳細に説明される試験方法によって測定される、400~700nmの波長範囲を有する可視光の相対透過率を意味している。
【0026】
交互の透過領域及び吸収領域、又は総LCFは、0度の視野角において大きい相対透過率(例えば輝度)を示すことができる。いくつかの実施形態では、相対透過率(例えば輝度)は、少なくとも75、80、85、又は90%である。相対透過率(例えば輝度)は、典型的には100%未満である。典型的な実施形態では、LCFは、他の視野角において著しく低い透過率を有している。例えばいくつかの実施形態では、-30度、+30度の視野角、又は-30度及び+30度の平均の視野角における相対透過率(例えば輝度)は、50、45、40、35、30、又は25%未満である。他の実施形態では、30度、+30度の視野角、又は-30度及び+30度の平均の視野角における相対透過率(例えば輝度)は、25、20、15、10、又は5%未満である。いくつかの実施形態では、+/-35、+/-40、+/-45、+/-50、+/-55、+/-60、+/-65、+/-70、+/-75、又は+/-80度の視野角における相対透過率(例えば輝度)は、25、20、15、10又は5%未満、あるいは5%未満である。いくつかの実施形態では、+35~+80度、-35~-80度に及ぶ視野角、又はこれらの範囲の平均の視野角に対する平均相対透過率(例えば輝度)は、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2%未満である。
【0027】
「軸外」視野角において著しく低い透過率を有するLCFは、プライバシーフィルムとして使用するために適している。このようなフィルムによれば、観察者は、ディスプレイの直ぐ前で画像を見ることができる(0度の視野角)が、観察者は、依然としてこのような画像を「軸外」角度で見ることはできない。
【0028】
吸収領域は、微細構造フィルムの表面をコーティングすることによって形成することができる。図2は、LCFを製造するためにコーティングすることができる、具体化された微細構造フィルム物品200を示したものである。示されている微細構造フィルムは、ベース層260の上に複数のチャネル201a~201dを備えた微細構造表面210を含む。図2に示されているように、連続するランド層「L」は、チャネル205の底とベース層260の上面210との間に、ベース層260まで存在し得る。別法としては、チャネル201は、微細構造フィルム物品200を完全に通過して延びることができる。この実施形態(図示せず)では、溝の底面205は、ベース層260の上面210と一致し得る。典型的な実施形態では、ベース層260は、引き続いて説明されるように、透過領域230とは異なる有機ポリマー材料を含む事前形成済みフィルムである。
【0029】
突出部(例えば透過領域)230の高さ及び幅は、隣接するチャネル(例えば201a及び201b)によって画定される。突出部(例えば透過領域)230は、上面220、底面231、及び上面を底面に結合する側壁232、233によって画定することができる。側壁は互いに平行であってもよい。より典型的には、側壁は、既に説明した壁角度を有している。
【0030】
いくつかの実施形態では、突出部(例えば透過領域)230は、少なくとも10ミクロンのピッチ「P」を有している。ピッチは、図2に示されているように、第1の突出部(例えば透過領域)の開始と、第2の突出部(例えば透過領域)の開始との間の距離である。ピッチは、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、又は50ミクロンであってもよい。ピッチは、通常、1mm以下である。ピッチは、典型的には900、800、700、600、又は500ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、ピッチは、典型的には550、500、450、400、350、300、250、又は200ミクロン以下である。いくつかの実施形態では、ピッチは、175、150、100ミクロン以下である。典型的な実施形態では、突出部は、単一のピッチで一様に間隔を隔てている。別法としては、突出部は、隣接する突出部同士の間のピッチが同じピッチにならないように間隔を隔てることができる。この後者の実施形態では、少なくとも一部、典型的には大部分(全突出部の少なくとも50、60、70、80、90%又はそれ以上)は、たった今説明したピッチを有している。
【0031】
吸収領域のピッチPは、光透過領域に対してたった今説明した同じ範囲内である。
【0032】
突出部(例えば透過領域)のピッチ及び高さは、光吸収コーティングによる突出部(例えば透過領域)のコーティングを容易にするために重要であり得る。突出部が互いに過度に近接した間隔を取る場合、側壁を一様にコーティングすることが困難であり得る。突出部が過度に離れて間隔を隔てている場合、光吸収コーティングは、軸外視野角におけるプライバシーなどの意図された機能を提供するのに有効ではないことがある。
【0033】
吸収領域は、微細構造フィルムの突出部(例えば透過領域)の側壁に光吸収コーティングを提供することによって形成される。光吸収コーティングの厚さは、既に説明したように吸収領域の幅Wと等価である。吸収領域は、側壁(例えば232、233)に十分に薄い共形の光吸収コーティングを提供する任意の方法によって形成することができる。
【0034】
一実施形態では、吸収領域は、加法的方法と減法的方法の組合せによって形成される。
【0035】
図3を参照すると、光制御フィルムは、上面(例えば320)及び側壁(332、333)によって画定される複数の突出部(例えば透過領域)を備えた微細構造フィルム300(図2の微細構造フィルムなど)を提供することによって準備することができる。複数の突出部(例えば透過領域)330は、チャネル301a及び301bによって互いに分離されている。突出部(例えば透過領域)の側壁はチャネルの側壁と一致している。チャネルは、ベース層360の上面に対して平行であるか、又はそれと一致する底面305を更に備えている。この方法は、微細構造フィルムの(例えば全)表面、すなわち突出部(例えば透過領域)の上面320及び側壁332、333、及び突出部(例えば透過領域)を分離しているチャネルの底面305に光吸収コーティング341を適用することを更に含む。方法は、突出部(例えば透過領域)の上面320及びチャネルの底面305からコーティングを除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、突出部(例えば透過領域)と(例えば同じ)重合性樹脂などの有機ポリマー材料345をチャネルに充填することと、重合性樹脂を硬化させることとを更に含む。硬化した重合性樹脂でチャネルが充填されない場合、チャネルには、典型的には空気が充填される。
【0036】
微細構造を有する物品(例えば図2に示されている微細構造フィルム物品200)は、任意の好適な方法によって準備することができる。一実施形態では、微細構造を有する物品(例えば図2に示されている微細構造フィルム物品200)は、(a)重合性合成物を準備するステップと、(b)マスターの空洞をかろうじて充填するのに十分な量で、重合性合成物をマスターネガ微細構造成形表面(例えばツール)に堆積させるステップと、(c)重合性合成物のビードを、少なくとも一方が可撓性である(例えば事前形成済みフィルム)ベース層とマスターとの間で移動させることによって空洞を充填するステップと、(d)合成物を硬化させるステップと、を含む方法によって準備することができる。堆積温度は、周囲温度から約180°F(82℃)までの範囲に及び得る。マスターは、ニッケル、クロムめっき又はニッケルめっきが施された銅又は黄銅などの金属製であってもよく、あるいは重合条件下で安定であり、かつ、マスターからの重合材料のきれいな除去を可能にする表面エネルギーを有する熱可塑性材料であってもよい。ベース層が事前形成済みフィルムである場合、フィルムの表面のうちの1つ以上は、光透過領域の有機材料との粘着を促進するために、任意選択で下塗り処理を施すことができ、さもなければ別の方法で処理されてもよい。
【0037】
重合性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマー及びそれらの混合物から選択される、第1の重合性成分及び第2の重合性成分の組合せを含むことができる。本明細書において使用される場合、「モノマー」又は「オリゴマー」は、ポリマーに変換することができる任意の物質である。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート化合物及びメタクリレート化合物の両方を意味している。いくつかの事例では、重合性合成物は、(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化エポキシオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリル化フェノールオリゴマー、(メタ)アクリル化アクリルオリゴマー及びそれらの混合物を含むことができる。
【0038】
重合性樹脂は、UV硬化性樹脂などの放射線硬化性ポリマー樹脂であってもよい。いくつかの事例では、本発明のLCFのために有用な重合性樹脂合成物は、これらの合成物が本明細書において説明されている屈折率特性及び吸収特性を満足する範囲まで、米国特許第8,012,567号(Gaidesら)に記載されているような重合性樹脂合成物を含むことができる。
【0039】
ベース層の化学的組成及び厚さは、LCFの最終用途に依存し得る。典型的な実施形態では、ベース層の厚さは少なくとも約0.025ミリメートル(mm)にすることができ、約0.05mm~約0.25mmであってもよい。
【0040】
有用なベース層材料としては、例えばスチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸に基づくコポリマー又はブレンド、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリシクロ-オレフィン、ポリイミド、及びガラスのキャストフィルム又は配向フィルムなどのポリオレフィン系材料が挙げられる。任意選択で、ベース層は、これらの材料の混合物又は組合せを含有することができる。いくつかの実施形態では、ベース層は多層であってもよく、あるいは連続相中に懸濁又は分散された分散成分を含有することができる。
【0041】
ベース層材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート(PC)が挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、Delaware州Wilmington在所のDuPont Filmsから、商品名「Melinex 618」で入手可能な光等級ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。光学等級のポリカーボネートフィルムの例としては、Washington州Seattle在所のGE Polymershapesから入手可能なLEXAN.RTMポリカーボネートフィルム8010、及びGeorgia州Alpharetta在所のTeijin Kaseiから入手可能なPanlite 1151が挙げられる。
【0042】
いくつかのベース層は光学的に活性であってもよく、偏光材料として作用し得る。フィルムを介した光の偏光は、例えば通過する光を選択的に吸収するフィルム材料中に二色偏光子を含むことによって達成することができる。また、偏光は、整列したマイカチップなどの無機材料を含むことによって達成することができ、あるいは連続するフィルム内に分散した光変調液晶の小滴などの、連続するフィルム内に分散した不連続相によって達成することができる。別法として、フィルムは、異なる材料の極微小層から準備することができる。フィルム内の偏光材料は、例えばフィルムの延伸、電界又は磁界の印加、及びコーティング技法などの方法を使用することによって偏光配向に整列させることができる。
【0043】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)、米国特許第5,783,120号(Ouderkirkら)、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、米国特許第5,612,820号(Shrenkら)及び同第5,486,949号(Shrenkら)に記載されているものが挙げられる。プリズム輝度向上フィルムと組み合わせたこれらの偏光子フィルムの使用は、例えば米国特許第6,111,696号(Allenら)及び米国特許第5,828,488号(Ouderkirkら)に記載されている。商用的に入手することができるフィルムは、3M Companyから入手可能な3M(商標)Dual Brightness Enhancement Film「DBEF」などの多層反射型偏光子フィルムである。
【0044】
いくつかの実施形態では、ベース層は、米国特許第8,503,122号に記載されているようなカラーシフト効果を付与する多層フィルムである。適切なカラーシフトフィルムは、参照により本明細書に組み込まれている、Weberらに対する米国特許第6,531,230号に記載されている。
【0045】
他の適切なカラーシフトフィルムとしては、スピンコーティング、ブレードコーティング、ディップコーティング、蒸発、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、等々によって生成される多層フィルムが挙げられる。例示的フィルムは有機材料及び無機材料の両方を含む。このようなフィルムは、例えば米国特許第7,140,741号、同第7,486,019号、及び同第7,018,713号に記載されている。別法として、微細構造を有する物品(例えば図2に示されている微細構造フィルム物品200)は、溶融押出しによって準備することができ、すなわちマスターネガ微細構造成形表面(例えばツール)上に流体樹脂合成物を鋳造し、合成物を硬化させることによって準備することができる。この実施形態では、突出部(例えば光透過領域)は、連続層中でベース層260に相互接続されている。個々の突出部(例えば光透過領域)及びそれらの間の接続は、通常、同じ熱可塑性材料を含む。ランド層の厚さ(すなわち複製された微細構造から生じる部分を除く厚さ)は、典型的には0.001~0.100インチ、好ましくは0.003~0.010インチである。
【0046】
溶融押出しのための適切な樹脂合成物は、寸法的に安定であり、耐久性があり、耐候性があり、かつ、所望の構成に容易に成形可能である透明材料である。好適な材料の例としては、Rohm and Haas Companyによって製造されたPlexiglasブランドの樹脂などの約1.5の屈折率を有するアクリル、約1.59の屈折率を有するポリカーボネート、熱硬化性アクリレート及びエポキシアクリレートなどの反応性材料、E.I.Dupont de Nemours and Co.,Inc.により商標名SURLYNで市販されているものなどのポリエチレン系イオノマー、(ポリ)エチレン-コ-アクリル酸、ポリエステル、ポリウレタン、及びセルロースアセテートブチレートが挙げられる。ポリカーボネートは、それらの強靭性及び比較的より大きい屈折率のため、とりわけ適している。
【0047】
更に別の実施形態では、マスターネガ微細構造成形表面(例えばツール)は、米国特許第4,601,861号(Pricone)に記載されているような型押付けツールとして使用することができる。
【0048】
吸収領域は、通常、微細構造フィルムの表面をコーティングすることによって形成される。例えばレイヤー・バイ・レイヤー(layer-by-layer、LbL)コーティング、蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング及び原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)を含む様々なコーティング方法を使用することができる。
【0049】
光吸収領域を形成するために有用な光吸収材料は、可視スペクトルの少なくとも一部分において光を吸収又はブロックするように機能する任意の適切な材料であってもよい。光吸収材料は、光透過領域の側壁にコーティングされるか、さもなければ別の方法で提供され、それによりLCF内に光吸収領域を形成することができることが好ましい。例示的光吸収材料としては、黒色又は他の光吸収着色料(カーボンブラック若しくは別の顔料又は染料、あるいはそれらの組み合わせなど)が挙げられる。他の光収材料は、光が光吸収領域を透過するのを阻止するように機能することができる粒子又は他の散乱要素を含むことができる。
【0050】
光吸収材料(例えばコーティング)が粒子を含んでいる場合、粒子は、光吸収材料(例えばコーティング)の厚さ以下、言い換えると、実質的に吸収領域の幅W未満の粒径中央値D50を有している。
【0051】
粒径中央値は、通常、1ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、粒径中央値は、900、800、700、600、又は500nm以下である。いくつかの実施形態では、粒径中央値は、450、400、350、300、250、200、又は100nm以下である。いくつかの実施形態では、粒径中央値は、90、85、80、75、70、65、60、55、又は50nm以下である。いくつかの実施形態では、粒径中央値は、30、25、20、又は15nm以下である。粒径中央値は、典型的には少なくとも1、2、3、4、又は5ナノメートルである。吸収領域のナノ粒子の粒径は、例えば透過電子顕微鏡法又は走査電子顕微鏡法を使用して測定することができる。
【0052】
「一次粒径」は、単一の(非凝集化、非塊状化)粒子の直径中央値を意味している。「塊状化」は、電荷又は極性によって一体で保持され、かつ、より小さい実体へと破壊され得る一次粒子同士間の弱い連携を意味している。本明細書において使用される場合、粒子に関する「凝集体」は、結果として得られる外部表面積が個々の構成要素の計算された表面積の合計より著しく小さい場合があり得る、強く結合した粒子又は強く融解した粒子を意味している。凝集体を一体に保持する力は強い力であり、例えば共有結合、又は焼結あるいは複雑な物理的もつれに起因する力である。塊状化したナノ粒子は、表面処理を施すことなどによって、離散一次粒子などのより小さい実体へと破壊することができるが、表面処理を施して凝集させても、表面処理された凝集体が得られるだけである。いくつかの実施形態では、ほとんどの(すなわち少なくとも50%の)ナノ粒子は、離散非塊状化ナノ粒子として存在する。例えば(コーティング溶液の)少なくとも70%、80%、又は90%のナノ粒子は、離散非塊状化ナノ粒子として存在する。
【0053】
光吸収ナノ粒子の濃度は、典型的には総光吸収領域の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%である。いくつかの実施形態では、光吸収ナノ粒子の濃度は、総光吸収領域の少なくとも55、60、65、70、又は75重量%である。光吸収ナノ粒子の濃度は、熱重量分析などの当技術分野で知られている方法によって決定することができる。
【0054】
一実施形態では、方法は、レイヤー・バイ・レイヤー光吸収コーティングを微細構造フィルムの表面、すなわち突出部の上面及び側壁、並びにチャネルの底面に施すことを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、微細構造フィルムの表面に配置された複数の層は、一般に「レイヤー・バイ・レイヤー自己集合プロセス」と呼ばれているプロセスによって堆積された少なくとも2つの層を備えている。このプロセスは、逆極性で帯電した高分子電解質のフィルム又はコーティングを静電的に集合させるために広く使用されているが、水素結合ドナー/アクセプタ、金属イオン/リガンド、及び共有結合部分などの他の官能基を、フィルムを集合させるための駆動力とすることができる。「高分子電解質」は、静電相互作用が可能な複数のイオン基を有するポリマー又は化合物を意味している。「強い高分子電解質」は、広範囲のpH(例えば第四級アンモニウム基又はスルホン酸基を含有したポリマー)にわたって永久電荷を保有している。「弱い高分子電解質」は、pH依存レベルの電荷(例えば一級、二級又は三級アミン、あるいはカルボン酸を含有するポリマー)を保有している。典型的には、この堆積プロセスは、一連の溶液又は槽への、表面電荷を有する基板の露出を含む。これは、液体槽中への基板の没入(ディップコーティングとも呼ばれる)、噴霧、スピンコーティング、ロールコーティング、インクジェット印刷、等々によって実現することができる。基板の電荷とは逆の電荷を有する第1のポリイオン(例えば高分子電解質槽)溶液への露出は、基板表面の近傍の荷電種を速やかに吸収し、濃度勾配を確立し、かつ、バルク溶液から表面までより多くの高分子電解質を引き出すことになる。十分な層が展開して下層の電荷を遮蔽し、かつ、基板表面の正味の電荷を反転させるまで、更なる吸収が生じる。質量輸送及び吸収を生じさせるために、この露出時間は、典型的には数分程度である。次に、第1のポリイオン(例えば槽)溶液から基板が取り出され、引き続いて一連の水洗槽に露出されて、物理的に絡まっている、又は緩く結合しているあらゆる高分子電解質が除去される。このような濯ぎ(例えば槽)溶液に続いて、次に、第1のポリイオン(例えば槽)溶液の電荷とは逆の電荷を有する第2のポリイオン(例えば高分子電解質槽又は無機酸化物ナノ粒子槽)溶液に基板が露出される。基板の表面電荷が第2の(例えば槽)溶液の電荷とは逆であるため、もう一度吸収が生じる。第2のポリイオン(例えば槽)溶液への露出を継続することにより、基板の表面電荷の反転が生じる。後続する濯ぎを実施してサイクルを完了することができる。この一連のステップにより、本明細書においては堆積の「二分子層」とも呼ばれる一対の層が構築される、と言われており、必要に応じてこの一連のステップを繰り返して、更なる層の対を基板に追加することができる。
【0056】
適切なプロセスのいくつかの例としては、Krogmanらの米国特許第8,234,998号、Hammond-Cunninghamらの米国特許出願第2011/0064936号、及びNogueiraらの米国特許第8,313,798号に記載されているものが挙げられる。レイヤー・バイ・レイヤーディップコーティングは、StratoSequence VI(Florida州Tallahassee在所のnanoStrata Inc.)ディップコーティングロボットを使用して実施することができる。
【0057】
一実施形態では、レイヤー・バイ・レイヤー自己集合によって堆積された複数の二分子層は、有機ポリマーポリイオン(例えばカチオン)と、光吸収材料(例えば顔料)を含む対イオン(例えばアニオン)とを含む高分子電解質スタックである。陽イオン層、陰イオン層又はそれらの組合せの少なくとも一部は、高分子電解質にイオン結合された光吸収材料(例えば顔料)を含む。
【0058】
二分子層の厚さ及び二分子層の数は、所望の光吸収を達成するように選択される。いくつかの実施形態では、二分子層の厚さ、二分子層の数は、自己集合層の最小の合計厚さ、及び/又は最小数のレイヤー・バイ・レイヤー堆積ステップを使用して所望の(例えば吸収)光学特性を達成するように選択される。個々の二分子層の厚さは、典型的には約5nm~350nmの範囲である。二分子層の数は、典型的には少なくとも5、6、7、8、9、又は10である。いくつかの実施形態では、スタック当たりの二分子層の数は、150以下又は100以下である。スタックの厚さは、既に説明したように吸収領域の幅Wと等価である。
【0059】
光吸収化合物は、高分子電解質層の少なくとも一部の中に分散される。シリカ又はケイ酸塩、並びに様々なホスホノカルボン酸及びその塩(その一部は、国際公開第2015/095317号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれている)などの無機化合物を含む、様々な高分子電解質を利用することができる。
【0060】
高分子電解質有機ポリマーは、このような材料は、反応性イオンエッチングによって無機材料よりもより容易に除去することができるため、好ましい場合がある。
【0061】
適切なポリカチオン性有機ポリマーとしては、直鎖及び分枝ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリビニルアミン、キトサン、ポリアニリン、ポリアミドアミン、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアミン)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDAC)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(メタクリロイルアミノ)プロピル-トリメチルアンモニウムクロライド、及びそれらのコポリマーを含むそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
適切なポリアニオン性ポリマーとしては、ポリ(硫酸ビニル)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヒアルロン酸、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、NAFION(登録商標)などのスルホン化されたテトラフルオロエチレン系フルオロポリマー、ポリ(ビニルリン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、及びそれらのコポリマーを含むそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
高分子電解質ポリマーの分子量は、約1,000g/モル~約1,000,000g/モルの範囲で変化し得る。いくつかの実施形態では、(例えばポリ(アクリル酸))負帯電アニオン性層の分子量(Mw)は、50,000g/モル~150,000g/モルの範囲である。いくつかの実施形態では、(例えばポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)正帯電カチオン性層の分子量(Mw)は、50,000g/モル~300,000g/モルの範囲である。いくつかの実施形態では、(例えばポリ(エチレンイミン)正帯電カチオン性層の分子量(Mw)は、10,000g/モル~50,000g/モルの範囲である。
【0064】
ポリイオン(例えばポリアニオン又はポリカチオン)のうちの少なくとも一方は光吸収材料を含む。
【0065】
コロイド分散として水中で安定であるようにし、かつ、ポリイオン基を付与するために、光吸収(例えば顔料)粒子は、典型的にはイオン性表面処理を更に含む。いくつかの実施形態では、表面処理化合物は、スルホン酸塩又はカルボキシレートなどの事例ではアニオン性である。また、光吸収(例えば顔料)粒子は、交互の高分子電解質層のためのイオン結合基として同じく機能する。
【0066】
適切な顔料は、Cabot、Clariant、DuPont、Dainippon及びDeGussaなどの製造業者から、コロイド状安定水分散体として商用的に入手することができる。とりわけ適切な顔料としては、Cabot CorporationからCAB-O-JET(登録商標)の名で入手可能な顔料、例えば250C(青緑色)、260M(赤紫色)、270Y(黄色)又は352K(黒色)が挙げられる。光吸収(例えば顔料)粒子は、典型的にはイオン化可能官能基を付与するために表面処理される。光吸収(例えば顔料)粒子のために適したイオン化可能官能基の例としては、スルホネート官能基、カルボキシレート官能基、並びにリン酸又はビスホスホネート官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、イオン化可能官能基を有する表面処理済み光吸収(例えば顔料)粒子は商用的に入手可能である。例えばCABOT Corporationから商用的に入手可能な、商品名250C(青緑色)、260M(赤紫色)、270Y(黄色)及び200(黒色)で販売されているCAB-O-JET(登録商標)顔料は、スルホネート官能基を含んでいる。更に別の例として、CABOT Corporationから、商品名352K(黒色)及び300(黒色)で商用的に入手可能なCAB-O-JET(登録商標)顔料は、カルボキシレート官能基を含んでいる。
【0067】
光吸収(例えば顔料)粒子が前処理されていない場合、光吸収(例えば顔料)粒子は、当技術分野において知られているように、イオン化可能官能基を付与するために表面処理され得る。
【0068】
最終製品における特定の色相又は色合いあるいは色を達成するために、複数の光吸収材料(例えば顔料)を利用することができる。複数の光吸収材料(例えば顔料)が使用される場合、材料は、それら同士の、及び光学製品構成要素との両方の両立性及び性能を保証するように選択される。
【0069】
好ましい実施形態では、高分子電解質が準備され、水溶液として微細構造表面に適用される。「水性」という用語は、コーティングの液体が少なくとも85重量パーセントの水を含有していることを意味している。コーティングの液体は、例えば少なくとも90、95、更には少なくとも99重量パーセント以上などの、より多くの量の水を含有することができる。水性液体媒体は、水性液体媒体が単一の相を形成するような量で、水と、1種類以上の水溶性有機共溶媒との混合物を含むことができる。水溶性有機共溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-メトキシエタノール、3-メトキシプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、テトラヒドロフラン、及びケトン又はエステル溶媒が挙げられる。有機共溶媒の量は、コーティング合成物の全液体の15重量%を超えない。レイヤー・バイ・レイヤー自己集合に使用するための水性高分子電解質合成物は、典型的には少なくとも0.01重量%、0.05重量%、又は0.1重量%の高分子電解質を含み、典型的には5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、又は1重量%以下である。
【0070】
いくつかの実施形態では、水溶液は、イオン強度を強くし、かつ、粒子間静電反発を小さくすることにより、均一で、かつ、再現可能な堆積を促進する添加剤である「スクリーニング剤」を更に含む。適切なスクリーニング剤としては、ハロゲン塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、フルオロリン酸塩、等々などの任意の低分子量塩が挙げられる。ハロゲン塩の例としては、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、NHCl、等々などの塩化物塩、LiBr、NaBr、KBr、CaBr、MgBr、等々などの臭化物塩、LiI、NaI、KI、CaI、MgI、等々などのヨウ化物塩、NaF、KF、等々などのフッ化物塩等が挙げられる。硫酸塩の例としては、LiSO、NaSO、KSO、(NHSO、MgSO、CoSO、CuSO、ZnSO、SrSO、Al(SO、及びFe(SOが挙げられる。また、(CHCCl、(CCCl、等々などの有機塩も同じく適切なスクリーニング剤である。
【0071】
適切なスクリーニング剤濃度は、塩のイオン強度によって変化し得る。いくつかの実施形態では、水溶液は、0.01M~0.1Mの範囲の濃度の(例えばNaCl)スクリーニング剤を含む。吸収領域は、微量のスクリーニング剤を含有することができる。
【0072】
光吸収コーティングを微細構造フィルムの(例えば全体)表面に施し、かつ、乾燥させた後に、透過(例えば突出部)領域の頂部部分から光吸収コーティングが除去され、また、透過(例えば突出部)領域同士の間のランド領域から光吸収コーティングが同じく除去される。LCFは、光吸収コーティングの一部が保持されている場合であっても、改善された軸上透過率(例えば輝度)を有することができることは認識されよう。
【0073】
任意の適切な方法を使用して、突出部(例えば光吸収領域)の上面及びチャネルの底面から光吸収材料を選択的に除去することができる。
【0074】
一実施形態では、光吸収材料は、反応性イオンエッチングによって除去される。反応性イオンエッチング(Reactive ion etching、RIE)は、イオン衝撃を利用して材料を除去する指向性エッチングプロセスである。RIEシステムを使用して、イオン衝撃の方向に対して直交する表面をエッチングすることによって有機材料又は無機材料が除去される。反応性イオンエッチングと等方性プラズマエッチングの間の最も顕著な相異はエッチング方向である。反応性イオンエッチングは、1より大きい、横方向エッチング率に対する垂直方向エッチング率の比率によって特徴付けられる。反応性イオンエッチングのためのシステムは、耐久性のある真空チャンバの周囲に構築される。エッチングプロセスを開始する前に、1トル未満、100ミリトル未満、20ミリトル未満、10ミリトル未満又は1ミリトル未満のベース圧力までチャンバが排気される。電極は、処理される材料を保持し、真空チャンバから電気的に隔離されている。電極は、円筒形状の回転可能電極であってもよい。また、対電極がチャンバ内に同じく提供され、この対電極は、真空反応器壁からなっていてもよい。エッチング用試薬を含むガスは、制御弁を通ってチャンバに入る。プロセス圧力は、真空ポンプを介してチャンバガスを連続的に排気することによって維持される。使用されるガスのタイプは、エッチングプロセスに応じて変化する。通常、エッチングには、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、オクタフルオロプロパン(C)、フルオロフォーム(CHF)、三塩化ホウ素(BCl)、臭化水素(HBr)、塩素、アルゴン及び酸素が使用される。RF電力が電極に印加され、プラズマが生成される。試料は、特定のエッチング深さを達成するために、制御された期間にわたって、プラズマを介して電極上に輸送することができる。反応性イオンエッチングについては当技術分野において知られており、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第8,460,568号に更に記載されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、反応性イオンエッチングのステップにより、吸収領域がチャネルの底面311の近傍でより狭くなる(平均幅未満になる)。光吸収材料を除去することにより、チャネルの深さを(例えばわずかに)深くすることができる。
【0076】
光吸収コーティングをチャネルの底面から除去した後に、チャネルに有機ポリマー材料を充填することができる。いくつかの実施形態では、有機ポリマー材料は、重合性樹脂合成物であり、この方法は、重合性樹脂を(例えば放射線)硬化させることを更に含む。典型的には、微細構造フィルムの製造に使用される同じ重合性樹脂を利用してチャネルが充填される。別法としては、異なる有機ポリマー材料(例えば重合性樹脂合成物)が使用される。異なる有機ポリマー材料(例えば重合性樹脂合成物)が使用される場合、合成物は、典型的には、光透過領域に対して屈折率が一致するように選択される。「屈折率が一致する」とは、充填材料と透過領域との間の屈折率の差が、典型的には0.1又は0.005未満であることを意味している。別法としては、屈折率の差が0.1より大きい異なる有機ポリマー材料(例えば重合性樹脂合成物)でチャネルを充填することも可能である。更に別の実施形態では、チャネルには有機ポリマー材料(例えば重合樹脂)が充填されない。この実施形態では、チャネルは、典型的には1.0の屈折率を有する空気を含む。
【0077】
チャネルが硬化した重合性樹脂で充填される場合、光制御フィルムは、任意選択で、接着剤410を使用して微細構造フィルムに結合されたカバーフィルム470を含むことができる。チャネルが空気で充填される場合、典型的には接着フィルム及びカバーフィルムが含まれる。
【0078】
更に別の実施形態では、層410は、接着剤ではなく、トップコートであってもよい。この実施形態では、カバーフィルム470は存在しなくてもよい。
【0079】
図4は、ベース層260と同じであっても、あるいは異なっていてもよい任意選択のカバーフィルム470を更に含んだLCF400を示したものである。任意選択のカバーフィルム470は、接着剤410を使用して微細構造表面に結合することができる。接着剤410は、UV硬化性アクリル酸接着剤、転写接着剤、等々などの、光学的に透明な任意の接着剤であってもよい。
【0080】
LCFは、露出表面上に典型的に提供される他のコーティングを更に含むことができる。様々なハードコート、対反射コーティング、反射防止コーティング、静電防止コーティング及び汚染防止コーティングについては当技術分野で知られている。例えば米国特許第7,267,850号、米国特許第7,173,778号、PCT公告第WO2006/102383号、同第2006/025992号、同第2006/025956号及び米国特許第7,575,847号を参照されたい。
【0081】
図5は、一実施形態によるバックライト付きディスプレイ500の略斜視図を示したものである。バックライト付きディスプレイ500は、既に説明したように透過領域540及び吸収領域550を備えたLCF530を含む。このようなLCFは、既に説明したように、LCF530の出力面590から射出する光の極性遮断視野角θPを有している。バックライト付きディスプレイ500は、LCDパネルなどの画像面520を介して、LCF530を通して、観察者595まで光を透過させるように構成された光源510を含む。輝度が最大である視野角は、既に説明したように極性遮断視野角に依存し得る。
【0082】
また、バックライト付きディスプレイ500は、ディスプレイの輝度及び一様性を更に改善するために、任意選択の輝度向上フィルム560及び反射偏光子フィルム570を同じく含むことができる。輝度向上フィルムは、3M(商標)などのプリズムフィルムであってもよい。Brightness Enhancement Film「BEF」又はThin Brightness Enhancement Film「TBEF」は、3M Companyから入手することができる。反射型偏光子フィルム570は、3M(商標)などの多層光学フィルムであってもよい。Dual Brightness Enhancement Film「DBEF」は、Minnesota州St.Paul在所の3M Companyから入手することができる。含まれている場合、輝度向上フィルム560及び反射偏光子フィルム570は、図5に示されているように配置することができる。
【0083】
他の実施形態では、既に説明したような透過領域及び吸収領域を備えた光制御フィルムは、発光型(例えば有機発光ダイオード又はOLED)ディスプレイに結合することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明されているLCF(すなわち第1のLCF)は、第2のLCFと組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、第2のLCFは、米国特許第6,398,370号、同第8,013,567号、同第8,213,082号及び同第9,335,449号に記載されているようなLCF(例えばプライバシーフィルム)であってもよい。他の実施形態では、第2のLCFは、本明細書において説明されているLCFである(例えば光吸収領域は、少なくとも30のアスペクト比を有している)。第1のLCF及び第2のLCFは、様々な配向で積み重ねることができる。
【0085】
一実施形態では、第1の光制御フィルム及び第2の光制御フィルムは、第1のLCFの吸収領域が平行であり、かつ、典型的には第2のLCFの吸収領域と一致するように配置される。別の実施形態では、第1の光制御フィルム及び第2の光制御フィルムは、第1のLCFの吸収領域が第2のLCFの吸収領域と直交するように配置される。また、第1の光制御フィルム及び第2の光制御フィルムは、0度の視野角において吸収領域が互いに平行であることから直交することまでの範囲にあるように配置することもできる。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1のLCFと第2のLCFの組合せは、0度の視野角において少なくとも60、65、70、75、80、85、又は90%の相対透過率(例えば輝度)を有している。いくつかの実施形態では、+30度、-30度、又は+30度と-30度の平均の視野角における相対透過率(例えば輝度)は、25、20、15、10、又は5%未満である。いくつかの実施形態では、+35~+80度、-35度~-85度に及ぶ視野角、又はこれらの範囲の平均の視野角に対する平均相対透過率(例えば輝度)は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%未満である。
【0087】
いくつかの実施形態では、LCFのこの組合せは、0度の視野角において少なくとも60、65、70、75、80、85、又は90%の相対透過率(例えば輝度)を有している。いくつかの実施形態では、+30度、-30度、又は+30度と-30度の平均の視野角における相対透過率(例えば輝度)は、25、20、15、10、又は5%未満である。
【0088】
チャネルが空気で充填されると、より大きい視野角における相対透過率(例えば輝度)をより低くすることができ、したがってフィルムは、改善されたプライバシーを示すことができる。
【0089】
本明細書において説明されている光制御フィルムは、いわゆるハイブリッドプライバシーフィルタとして、ディスプレイデバイスの構成要素としてとりわけ有用である。ハイブリッドプライバシーフィルタは、ディスプレイ表面と共に使用することができ、光は、光制御フィルムの入力側のハイブリッドプライバシーフィルタに入り、カラーシフトフィルムにおけるハイブリッドプライバシーフィルタ又はフィルムスタックから出る。本発明は、ラップトップモニタ、外部コンピュータモニタ、携帯電話ディスプレイ、テレビ、スマートフォン、自動車中央情報ディスプレイ、自動車ドライバ情報ディスプレイ、自動車サイドミラーディスプレイ(電子ミラーとも呼ばれる)、コンソール、又は任意の他の同様のLCD、OLED、マイクロLED又はミニLEDベースのディスプレイを始めとするディスプレイを備えた極めて多数の電子デバイスと共に使用することができる。ディスプレイにハイブリッドプライバシーフィルタを適用する更なる利点は、コントラストが向上することである。
【0090】
サングラス、文書カバーシート、自動車及び航空アプリケーションにおけるコンソールスイッチ、飛行機操縦室制御、ヘリコプタ操縦室制御、窓及び任意の数の他の対象などの非電子ディスプレイを含む、他のタイプのバックライト付きディスプレイ撮像デバイスも同じく企図されている。
【0091】
更に他の実施形態では、本明細書において説明されている光制御フィルムは、ガラスのためのおおいとして有用であり得る。例えば光制御フィルムは、窓割りの上又は内部にラミネートする(laminated)ことも可能である。窓割りは、ガラスパネル、窓、ドア、壁及び天窓ユニットから選択することができる。これらの窓割りは、建物の外側又は内部に配置することができる。また、それらは、車窓、列車窓、飛行機乗客窓、等々であってもよい。これらのフィルムスタックを窓割りに組み込む利点としては、IR透過率の低減(エネルギー節約の増加につながり得る)、周囲光のブロック、プライバシー及び装飾効果が挙げられる。
【0092】
以上の説明は、本明細書において説明されている特定の例に限定されるものと見なしてはならず、むしろ添付の特許請求の範囲に明確に示されている説明の全ての態様を包含するものと理解すべきである。本明細書を精査すれば、以上の説明が対象としている当業者には、以上の説明を適用することができる様々な修正、等価なプロセス並びに多くの構造が容易に明らかであろう。以上の説明は、以下の試験結果及び実施例によって示される実施形態を考察することによって、より良好に理解することができる。
【実施例
【0093】
特に言及されていない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全てのパート、百分率及び比率、等々は重量によるものである。特に言及されていない限り、すべての化学製品は、Missouri州St.Louis在所のSigma-Aldrich Co.などの化学製品供給業者から入手されたものであるか、あるいは入手可能である。
【0094】
以下は、実施例全体にわたって使用されている材料のリスト、並びにそれらの簡単な説明及び由来である。
【0095】
鋳造及び硬化高精細プロセス(microreplication process)(準備実施例1)に使用された樹脂A、並びに実施例2及び実施例4~8における屈折率整合裏込め材料の成分は、以下の表1に列挙されている。レイヤー・バイ・レイヤーコーティングのための原料は、以下の表2に列挙されている。反応性イオンエッチングのための原料は、以下の表3に列挙されている。
【表1】
【表2】
【表3】
【0096】
準備実施例1(PE1):「方形波」微細構造フィルムの準備
ダイヤモンド(先端幅29.0μm、夾角3°、深さ87μm)を使用して、複数の平行直線溝を有するツールが切断された。°溝は、62.6ミクロンのピッチで間隔が隔てられた。
【0097】
樹脂Aは、以下の表4の材料を混合することによって準備された。
【表4】
【0098】
上で説明した樹脂A及びツールを使用して「鋳造及び硬化」高精細プロセスが実施された。ライン条件は、樹脂温度150°F、ダイ温度150°F、コーターIR 120°F縁/130°F中心、ツール温度100°F、及びライン速度70fpmであり、ピーク波長が385nmのFusion Dランプを使用して、100%電力で動作させて硬化された。得られた微細構造フィルムは、図2に示されているように、チャネルによって分離された複数の突出部(例えば光透過領域)を備えていた。微細構造フィルムの突出部は、ツールの溝のネガ複製である。突出部は1.5度の壁角度を有し、したがって突出部はわずかに先細りになっている(光入力面がより広く、光出力面がより狭い)。微細構造フィルムのチャネルは、溝同士の間のツールの非切断部分のネガ複製である。
【0099】
微細構造フィルムの上にレイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを製造するための方法
レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングは、Svaya Nanotechnologies,Inc.(California州Sunnyvale)から購入した装置を使用して製造され、米国特許第8,234,998号(Krogmanら)、並びにKrogman et al.Automated Process for Improved Uniformity and Versatility of Layer-by-Layer Deposition,Langmuir2007,23,3137-3141に記載されているシステムにならってモデル化された。
【0100】
この装置は、コーティング溶液を収納した圧力容器を備えている。平らな噴霧パターンを有する噴霧ノズル(Illinois州Wheaton在所のSpraying Systems,Inc.からの)が取り付けられ、ソレノイドバルブによって制御される特定の時間にコーティング溶液及び濯ぎ水が噴霧された。コーティング溶液を含有した圧力容器(Wisconsin州Waukesha在所のAlloy Products Corp.)が、窒素によって30psiまで加圧され、一方、脱イオン(DI)水を含有した圧力容器は、空気によって30psiまで加圧された。コーティング溶液ノズルからの流量は、それぞれ1時間当たり10ガロンであり、一方、DI水濯ぎノズルからの流量は、1時間当たり40ガロンであった。コーティングされる基板は、エポキシ(Minnesota州St.Paul在所の3M CompanyのScotch-Weldエポキシ接着剤、DP100 Clear)を使用して、ガラスプレート(12インチ×12インチ×厚さ1/8インチ)(Minnesota州Minneapolis在所のBrin Northwestern Glass Co.)に接着され、ガラスプレートは、垂直方向の移行ステージ上に取り付けられ、真空チャックを使用して所定の位置に保持された。典型的なコーティングシーケンスで、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリカチオン(例えばPDAC)溶液が基板の上に噴霧された。次に、12秒間の休止時間の後に、ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水溶液が基板の上に噴霧された。次に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。次に、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリアニオン(例えば顔料ナノ粒子)溶液が基板の上に噴霧された。もう12秒間の休止期間を経過させた。ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水溶液が基板の上に噴霧された。最後に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。上記のシーケンスを繰り返して、(ポリカチオン/ポリアニオン)として表される多数の「二分子層」が堆積され、nは二分子層の数である。
【0101】
微細構造フィルムを反応性イオンエッチングするための方法
反応性イオンエッチング(RIE)が、並列プレート容量結合プラズマ反応器内で実施された。チャンバは、18.3ftの表面積を有する中央円筒状被電力供給電極を有している。微細構造フィルムを被電力供給電極の上に置いた後、反応器チャンバが1.3Pa(2ミリトル)未満のベース圧力までポンプダウンされた。Ar(アルゴン)ガス及びO(酸素)ガスの混合物が、それぞれ100SCCMの速度でチャンバ内に流された。RF電力を13.56MHzの周波数及び6000ワットの印加電力で反応器中に結合することにより、プラズマ増速CVD法を使用して処理が実施された。反応ゾーンを通して微細構造フィルムを移動させることによって処理時間が制御された。この処理に引き続いて、RF電力及びガスの供給が停止され、チャンバが大気圧に戻された。材料、円筒状RIEを適用するためのプロセス、及び使用される反応器の周囲の更なる詳細に関する追加情報は、米国特許第8460568(B2)号に見出すことができる。
【0102】
微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法
微細構造フィルム表面と、頂部に置かれた厚さ2ミルの一片の非下塗り処理PETフィルムとの間に樹脂をピペットで移し、ハンドローラを使用して頂部PETフィルムに圧力を印加し、次に、500ワット電力の「H」バルブを有するHERAEUS(ドイツのHanau在所)ベルトコンベアUVプロセッサ(モデル番号DRS(6))を使用してUV硬化させることにより、PE1で使用された樹脂Aがチャネルに裏込めされた。詳細には、試料は、50ft/分の搬送速度で、3回にわたってUV硬化ステーションを通して送られた。次に、頂部PETフィルムが手で微細構造フィルムから剥がされた。
【0103】
拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法
フィルムの試料がランバート光源の上に置かれた。光透過領域が先細りになされている場合、フィルムは、先細り領域の最も広い部分が光源に近くなるように配置される。Eldim L80コノスコープ(Eldim S.A.、フランスのHEROUVILLE SAINT CLAIR在所)を使用して、すべての極性及び方位角で、半球型に同時に光出力が検出された。検出後、特に指示されていない限り、透過率(例えば輝度)読値の断面は、ルーバーの方向(0°配向角度として示されている)に対して直交する方向に取られた。°相対透過率(すなわち可視光の輝度)は、フィルムがある場合の読値とフィルムがない場合の読値との間の、特定の視野角における軸上輝度の百分率として表される。
【0104】
ランバート光源は、図6に示されているベースライン輝度プロファイルを有するライトボックスからの拡散透過からなっていた。ライトボックスは、厚さ~6mmの拡散ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)プレートから製造された約12.5cm×12.5cm×11.5cm(L×W×H)の6面中空立方体であった。このボックスの1つの面が試料表面として選択された。この中空ライトボックスは、その試料表面で測定された~0.83の屈折率(例えば400~700nmの波長範囲にわたって平均された~83%)を有していた。試験の間、このボックスは、ボックスの底(試料表面の反対側であり、光は内側から試料表面に向かって導かれる)の~1cmの円形孔を介して内側から照明された。照明は、光を導くために使用される光ファイバ束に取り付けられた安定化広帯域白熱光源を使用して提供された(Massachusetts州Marlborough及びNew York州Auburn在所のSchott-Fostec LLCからの直径1cmのファイバ束延長部分を有するFostec DCR-II)。
【0105】
断面走査型電子顕微鏡(Cross-Sectional Scanning Electron Microscopy、SEM)のための方法
断面は、液体窒素を使用した凍結破砕を介して準備された。Hitachi SU-8230(日本の東京の日立(株))機器を使用してSEM画像が取得された。
【0106】
比較例1~3(CE1~CE-3)は、商用的に入手可能な光制御フィルムである。
【0107】
比較例4(CE4)
CE1からのフィルムの2つのセクション(それぞれ3インチ×3インチ)が光学的に透明な接着剤(Minnesota州St.Paul在所の3M Companyの8171)と共に重ね合わされ、ラミネートされた(laminated)。1枚のシートが他方に対して直角に配向された。すなわちチャネルの元の方向が、頂部シートと底部シートとの間で90°オフセットされた。
【0108】
準備例2(PE2):コーティング溶液の準備
PDACが20重量%から0.32重量%の濃度まで脱イオン(DI)水で希釈された。PAAが25重量%から0.1重量%の濃度まで希釈され、1M NaOHでpHが4.0に調整された。CAB-O-JET(登録商標)200(COJ200)、CAB-O-JET(登録商標)250C(COJ250C)、CAB-O-JET(登録商標)260M(COJ260M)及びCAB-O-JET(登録商標)352K(COJ352K)がDI水で0.10重量%の濃度にそれぞれ希釈された。NaClがPDAC溶液及び顔料懸濁液の両方に0.05Mの濃度まで追加された。1M NaOHがpH9までCOJ352K懸濁液に追加された。pH値は、標準緩衝溶液で較正されたVWR(Pennsylvania州West Chester)pH電極(カタログ番号89231-582)を使用して測定された。
【0109】
準備例3(PE3):カチオン性顔料の調製
PEI-COJ352Kと略称されるポリエチレンイミン(PEI)修正CAB-O-JET(登録商標)352K(COJ352K)カーボンブラックナノ顔料が以下のように準備された。PEI(MW25K)が希釈され、10重量%溶液の溶液が作られた。質量3.2グラムの10重量%PEI溶液が794.7グラムの質量までDI水で希釈された。次に、15.03%固体で受け取られた状態の5.3グラムのCOJ352Kが、活発な磁気攪拌で794.7グラムPEI溶液に滴下方式で加えられ、それにより0.1重量%COJ352K及び0.04重量%PEIの最終濃度が得られた。ポリエチレンイミン(PEI)修正CAB-O-JET(登録商標)352K(COJ352K)のサイズ及びゼータ電位が、1mM KClで100倍に希釈された上記PEI-COJ352K試料の一定部分を使用して、Brookhaven Instruments Corp.(New York州Holtsville)のZetaPALS機器を使用して測定された。粒径は、d10=77.5nm、d50=148.4nm、及びd90=284.0nmで記述された。測定されたゼータ電位は+37.9±0.9mVであった。
【0110】
実施例1(EX1):カーボンブラックナノ顔料、直径130nm、裏込めなし
PE1で製造された微細構造フィルムのシートが9インチ×10インチのサイズに切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)200コーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムが、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ200)10でコーティングされた。210秒の継続期間の間、このコーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーター(Arizona州Tucson在所のBruker Nano,Inc.)で測定して166nmであった。ガラスの上に堆積した等価コーティングの厚さに基づいて、ルーバーのアスペクト比は約525:1であった。
【0111】
実施例2(EX2):カーボンブラックナノ顔料、直径130nm、裏込めあり
PE1で製造された微細構造フィルムのシートが9インチ×10インチのサイズに切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)200コーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムが、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ200)20でコーティングされた。210秒の継続期間の間、このコーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。次に、チャネルが、上で説明した「微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法」を使用して裏込めされた。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーターで測定して326nmであった。
【0112】
実施例3(EX3):カーボンブラックナノ顔料、直径70~80nm、裏込めなし
PE1で製造された微細構造フィルムのシートが9インチ×10インチのサイズに切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)352Kコーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムが、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ352K)20でコーティングされた。次に、200秒の継続期間の間、コーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーターで測定して273nmであった。
【0113】
実施例4~6(EX4~6):カーボンブラックナノ顔料、直径70~80nm、裏込めあり
PE1で製造された微細構造フィルムの3枚のシートが9インチ×10インチのサイズにそれぞれ切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)352Kコーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムの個別の9インチ×10インチ片が、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ352K)20(EX4)、(PDAC/COJ352K)40(EX5)及び(PDAC/COJ352K)60(EX6)でコーティングされた。200秒(EX4)及び500秒(EX5及びEX6)の継続期間の間、コーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。RIEの前後で、かつ、裏込めの前に、EX4の断面SEM画像が取られた。SEM画像から、フィルムの上に堆積したコーティングは、一様な厚さのコーティングであり、その厚さは、以下で説明されるように、ガラスの上に堆積した等価コーティングと対応していることは明らかであった。次に、チャネルが、上で説明した「微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法」を使用して裏込めされた。拡散光源からの輝度プロファイルが、上記「拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法」を使用して測定された(データは、図6及び表5に示されている)。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーターで測定して273nm(EX4)、536nm(EX5)及び796nm(EX6)であった。ガラスの上に堆積した等価コーティングの厚さに基づいて、ルーバーのアスペクト比は、約109:1(EX6の場合)~319:1(EX4の場合)の範囲であった。
【表5】
【表6】
【0114】
実施例7(EX7):重畳した交差フィルム
EX4に従って準備された光制御フィルムの2つのセクション(それぞれ3インチ×3インチ)が、構造化された面が互いに対向し、かつ、一方のシートが他方に対して直角に配向されるようにして重ねられた。すなわちチャネルの元の方向が、頂部シートと底部シートとの間で90°オフセットされた。°2枚のシートの間に樹脂Aが分配され、2枚のシートはハンドローラで一体にラミネートされた(laminated)。試料は、「微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法」で説明されているように硬化され、「拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法」を使用して測定された。データは、表6A及び表6Bに示されている。
【0115】
実施例8(EX8):重畳した整列フィルム
EX4に従って準備された光制御フィルムの2つのセクション(それぞれ3インチ×3インチ)が、構造化された面が互いに対向し、かつ、一方のシートが他方に対して平行に配向されるようにして重ねられた。すなわちチャネルの元の方向が、頂部シートと底部シートとの間で整列された。2枚のシートの間に樹脂Aが分配され、2枚のシートはハンドローラで一体にラミネートされた(laminated)。試料は、「微細構造フィルムのチャネルを裏込めするための方法」で説明されているように硬化され、「拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法」を使用して測定された。データは、表6A~6Cに示されている。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0116】
実施例9(EX9):シアンナノ顔料
PE1で製造されたフィルムの微細構造シートが9インチ×10インチのサイズに切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)250Cコーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムが、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ250C)20でコーティングされた。150秒の継続期間の間、このコーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。「拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法」を使用して相対輝度が測定された(データは表7に示されている)。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーター(Arizona州Tucson在所のBruker Nano,Inc.)で測定して340nmであった。
【0117】
実施例10(EX10):マゼンタナノ顔料
PE1で製造されたフィルムの微細構造シートが9インチ×10インチのサイズに切断され、水性コーティング溶液のビーディングアップ及びディウェッティングを防止するためにBD-20AC Laboratory Corona Treater(Illinois州Chicago在所のElectro-Technic Products)を使用して手でコロナ処理された。PDAC及びCAB-O-JET(登録商標)260Mコーティング溶液がPE2で説明したようにして作られた。コロナ処理されたフィルムが、「微細構造フィルムの上に噴霧レイヤー・バイ・レイヤー自己集合コーティングを構築するための方法」を使用して、(PDAC/COJ260M)20でコーティングされた。150秒の継続期間の間、このコーティングされたフィルムに6000Wの電力の反応性イオンエッチング(RIE)が施された。「拡散光源からの輝度プロファイルを測定するための方法」を使用して相対輝度が測定された(データは表7に示されている)。ガラスプレートの上に堆積した等価コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーター(Arizona州Tucson在所のBruker Nano,Inc.)で測定して313nmであった。
【表11】
【表12】
【0118】
実施例11(EX11):カチオン性顔料、アニオン性高分子電解質
サイズが1インチ×3インチのガラス顕微鏡スライド(Massachusetts州Waltham在所のFisher Scientific)がDI水及びイソプロパノールで濯がれた。スライドがStratoSequence VI(Florida州Tallahassee在所のnanoStrata,Inc.)自動レイヤー・バイ・レイヤーディップコーター上に取り付けられた。1分間の間、PE3で説明したPEI-COJ352K溶液にスライドが浸された。次に、3つの連続するDI水濯ぎ槽に、それぞれ30秒間の間、スライドが浸された。次に、1分間の間、PAA溶液(0.1重量%、HClでpH4に調整された)にスライドが浸された。次に、3つの連続するDI水濯ぎ槽に、それぞれ30秒間の間、スライドが浸された。スライドは、個々の槽中で150rpmで回転された。(PEI-COJ352K/PAA)10を堆積させるために、このサイクルが合計10回にわたって繰り返された。コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーター(Arizona州Tucson在所のBruker Nano,Inc.)で測定して4μmであった。PE1の微細構造フィルムは、この合成物でレイヤー・バイ・レイヤーでコーティングし、かつ、既に説明したようにRIEを施すことができる。
【0119】
実施例12(EX12):カチオン性顔料、アニオン性顔料
サイズが1インチ×3インチのガラス顕微鏡スライド(Massachusetts州Waltham在所のFisher Scientific)がDI水及びイソプロパノールで濯がれた。スライドがStratoSequence VI(Florida州Tallahassee在所のnanoStrata,Inc.)自動レイヤー・バイ・レイヤーディップコーター上に取り付けられた。1分間の間、PEI-COJ352K溶液(PE3で説明した)にスライドが浸された。次に、3つの連続するDI水濯ぎ槽に、それぞれ30秒間の間、スライドが浸された。次に、1分間の間、COJ352K溶液(PE2で説明した)にスライドが浸された。次に、3つの連続するDI水濯ぎ槽に、それぞれ30秒間の間、スライドが浸された。スライドは、個々の槽中で150rpmで回転された。(PEI-COJ352K/COJ352K)10を堆積させるために、このサイクルが合計10回にわたって繰り返された。コーティングの厚さは、かみそり刃でコーティングに刻み目を付けた後にDektak XTスタイラスプロフィルメーター(Arizona州Tucson在所のBruker Nano,Inc.)で測定して240nmであった。PE1の微細構造フィルムは、この合成物でレイヤー・バイ・レイヤーでコーティングし、かつ、既に説明したようにRIEを施すことができる。以下、例示的実施形態を示す。
[1]
光制御フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有し、前記交互の透過領域及び吸収領域が、0度の視野角において少なくとも75%の相対透過率を有する、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備える光制御フィルム。
[2]
前記吸収領域が、前記光入力面に対して平行の幅と、前記光入力面に対して直交する高さと、を有する、[1]に記載の光制御フィルム。
[3]
前記交互の透過領域及び前記吸収領域が、+30度又は-30度の視野角において、50、45、40、35、30、25、20、10%、又は5%未満の相対透過率を有する、[1]~[2]に記載の光制御フィルム。
[4]
前記交互の透過領域及び前記吸収領域が、+35~+80度の範囲の視野角、又は-35~-80度の範囲の視野角に対して、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2%未満の平均相対透過率を有する、[1]~[3]に記載の光制御フィルム。
[5]
前記透過領域が、5、4、3、2、1、又は0.1度未満の壁角度を有する、[1]~[4]に記載の光制御フィルム。
[6]
前記透過領域及び前記吸収領域が、50~200ミクロンの範囲の高さを有する、[1]~[5]に記載の光制御フィルム。
[7]
前記吸収領域が、5、4、3、2、1、0.5、0.25、又は0.10ミクロン以下の平均幅を有する、[1]~[6]に記載の光制御フィルム。
[8]
前記吸収領域が、少なくとも50、100、200、300、400、500、600、700、800、又は1000のアスペクト比を有する、[1]~[7]に記載の光制御フィルム。
[9]
前記吸収領域が、10~200ミクロンの平均ピッチを有する、[1]~[8]に記載の光制御フィルム。
[10]
前記透過領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアスペクト比を有する、[1]~[9]に記載の光制御フィルム。
[11]
前記吸収領域が有機光吸収材料を含む、[1]~[10]に記載の光制御フィルム。
[12]
前記吸収領域が、500ナノメートル未満の粒径中央値を有する光吸収粒子を含む、[1]~[11]に記載の光制御フィルム。
[13]
前記吸収領域が、少なくとも25重量%の光吸収粒子を含む、[1]~[12]に記載の光制御フィルム。
[14]
前記吸収領域が高分子電解質を含む、[1]~[13]に記載の光制御フィルム。
[15]
前記透過領域が、放射線硬化(メタ)アクリレートポリマーを含む、[1]~[14]に記載の光制御フィルム。
[16]
前記交互の透過領域及び前記吸収領域がベース層の上に配置される、[1]~[15]に記載の光制御フィルム。
[17]
前記光制御フィルムがカバーフィルムを更に含む、[1]~[16]に記載の光制御フィルム。
[18]
前記光制御フィルムが、0度の視野角において少なくとも75%の相対透過率を有する、[1]~[16]に記載の光制御フィルム。
[19]
第2の光制御フィルムの上に配置された、[1]に記載の第1の光制御フィルムを備える光制御フィルム。
[20]
前記第2の光制御フィルムが[1]によるものであり、前記第1の光制御フィルム及び前記第2の光制御フィルムが、0度の視野角において前記吸収領域が互いに平行であることから直交することまでの範囲にあるように配置される、[19]の光制御フィルム。
[21]
前記第2の光制御フィルムが[1によるものであり、前記第1の光制御フィルム及び前記第2の光制御フィルムが、0度の視野角において前記吸収領域が互いに一致するように配置される、[20]の光制御フィルム。
[22]
前記透過率が400~700nmの波長範囲に対するものである、[1]~[21]に記載の光制御フィルム。
[23]
微細構造フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有し、有機光吸収材料を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備える、微細構造フィルム。
[24]
前記微細構造フィルムが、[2]~[22]のうちのいずれか一項、又はそれらの組合せによって更に特徴付けられる、[23]に記載の微細構造フィルム。
[25]
微細構造フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が、100ナノメートル未満の粒径中央値を有する複数の粒子を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備える、微細構造フィルム。
[26]
微細構造フィルムであって、
光入力面、及び前記光入力面の反対側の光出力面と、
前記光入力面と前記光出力面との間に配置された交互の透過領域及び吸収領域であって、前記吸収領域が高分子電解質を含む、交互の透過領域及び吸収領域と、
を備える、微細構造フィルム。
[27]
前記吸収領域が少なくとも30のアスペクト比を有する、[25]~[26]に記載の微細構造フィルム。
[28]
前記微細構造フィルムが、[2]~[22]のうちのいずれか一項、又はそれらの組合せによって更に特徴付けられる、[25]~[27]に記載の微細構造フィルム。
[29]
光制御フィルムを製造する方法であって、
チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた微細構造フィルムを提供することであって、前記微細構造フィルムが、前記光透過領域の上面及び側壁、並びに前記チャネルの底面によって画定される表面を有する、微細構造フィルムを提供することと、
有機光吸収材料を前記表面に適用することと、
前記光透過領域の前記上面及び前記チャネルの底面から前記光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することと、
を含む、方法。
[30]
前記有機光吸収材料が高分子電解質を含む、[29]の方法。
[31]
前記有機光吸収材料が複数の光吸収粒子を含む、[29]~[30]に記載の方法。
[32]
前記光吸収粒子が500nm未満の平均粒径を有する、[29]~[31]に記載の方法。
[33]
前記光吸収材料を適用するステップがレイヤー・バイ・レイヤー自己集合を含む、[29]~[32]に記載の方法。
[34]
前記光吸収コーティングの前記少なくとも一部分を除去するステップが反応性イオンエッチングを含む、[29]~[33]に記載の方法。
[35]
前記チャネルを有機ポリマー材料で充填することを更に含む、[29]~[34]に記載の方法。
[36]
前記有機ポリマー材料が重合性樹脂を含み、前記方法が、前記重合性樹脂を硬化させることを更に含む、[35]の方法。
[37]
微細構造フィルムを製造する方法であって、
チャネルと交互に配置された複数の光透過領域を備えた微細構造フィルムを提供することであって、前記光透過領域の上面及び側壁、並びに前記チャネルの底面によって画定される表面を有する、微細構造フィルムを提供することと、
レイヤー・バイ・レイヤー自己集合によって前記表面に光吸収材料を適用することと、
前記光透過領域の前記上面及び前記チャネルの底面から前記光吸収コーティングの少なくとも一部を除去することと、
を含む、方法。
[38]
前記材料が光吸収材料である、[37]の方法。
[39]
方法が、突出部の上面及び前記チャネルの底面から前記材料のうちの少なくとも一部を除去することを更に含む、[37]~[38]に記載の方法。
[40]
前記方法が、[30]~[36]のうちのいずれか一項、又はそれらの組合せによって更に特徴付けられる、[37]~[39]に記載の方法。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6