(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】超低、低、及び中程度の弾性率を有する2層マルチストランドコード
(51)【国際特許分類】
D07B 1/06 20060101AFI20230707BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
D07B1/06 A
B60C9/00 M
(21)【出願番号】P 2020533804
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 FR2018053417
(87)【国際公開番号】W WO2019122721
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】クレマン エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】バルバ ロマン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァレー マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネッティ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ステファーヌ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/026271(WO,A1)
【文献】特開2006-291376(JP,A)
【文献】特表2015-520811(JP,A)
【文献】特開平11-061662(JP,A)
【文献】特開2006-022440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/00- 9/00
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層マルチストランドコード(60;61;62;63;64;65;66)であって、
-螺旋に巻かれたJ>1個の内部ストランド(TI)で構成されたコードの内部層(CI)であって、各内部ストランド(TI)が、2つの層(C1,C2)を有し、かつ
・直径D1のQ≧1個の内部スレッド(F1)で構成された内部層(C1)、及び
・前記内部層(C1)の周りに巻かれた直径D2のN>1個の外部スレッド(F2)で構成された外部層(C2)、
を含む、内部層(CI)と、
-を含む、コードの前記内部層(CI)の周りに巻かれたL>1個の外部ストランド(TE)で構成されたコードの外部層(CE)であって、各外部ストランド(TE)が、2つの層(C1’、C2’)を有し、かつ
・直径D1’のQ’≧1個の内部スレッド(F1’)で構成された内部層(C1’)、及び
・前記内部層(C1’)の周りに巻かれた直径D2’のN’>1個の外部スレッド(F2’)で構成された外部層(C2’)、
を含む、外部層(CE)と
を有し、
前記コードが、以下の関係:
100≦MC≦175
を満足し、ここで、
MC=(J×MI+L×ME)/(J+L)であり、
ここで、
MI=200×cos
4(α)×[Q×(D1/2)
2×cos
4(β)+N×(D2/2)
2×cos
4(γ)]/[Q×(D1/2)
2+N×(D2/2)
2]であり、
ここで、
-D1及びD2は、mmで表され、
-αは、コードの前記内部層(CI)での各内部ストランド(TI)の螺旋角度であり、
-βは、各内部ストランド(TI)内の前記内部層(C1)での各内部スレッド(F1)の前記螺旋角度であり、かつ
-γは、各内部ストランド(TI)内の前記外部層(C2)での各外部スレッド(F2)の前記螺旋角度であり、かつ
ME=200×cos
4(α
’)×[Q’×(D1’/2)
2×cos
4(β
’)+N’×(D2’/2)
2×cos4(γ
’)]/[Q’×(D1’/2)
2+N’×(D2’/2)
2]であり、
ここで、
-D1’及びD2’は、mmで表され、
-α’は、コードの前記外部層(CE)での各外部ストランド(TE)の前記螺旋角度であり、
-β’は、各外部ストランド(TE)内の前記内部層(C1’)での各内部スレッド(F1’)の前記螺旋角度であり、かつ
-γ’は、各外部ストランド(TE)内の前記外部層(C2’)での各外部スレッド(F2’)の前記螺旋角度である、
ことを特徴とするコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項2】
100≦MC≦170である、請求項1に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項3】
35≦MI≦195である、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項4】
75≦ME≦188である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項5】
コードの前記内部層(CI)での各内部ストランド(TI)の前記螺旋角度αは、3°から42°までの範囲にわたる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項6】
コードの前記外部層(CE)での各外部ストランド(TE)の前記螺旋角度α’は、7°から38°までの範囲にわたる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項7】
11°≦2α+β+γ≦110°である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項8】
23°≦2α’+β’+γ’≦97°である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項9】
コードの前記外部層(CE)は、不飽和化される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコード(60;61;62;63;64;65;66)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の前記コード、
を含むことを特徴とするタイヤ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ、特に大型産業車両のためのタイヤを補強するのにとりわけ、用いることができるマルチストランドコード、及びそのようなコードを用いたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
半径方向カーカス補強材を有するタイヤは、トレッドと、2つの非伸張性ビードと、ビードをトレッドに接続する2つの側壁と、カーカス補強材とトレッド間に周方向に配置されたベルト又はクラウン補強材とを含む。このクラウン補強材は、異なる機能を有するいくつかの補強材を含む。
【0003】
クラウン補強材は、一般的に、2つの作動プライ又は交差プライを含む作動補強材を含み、これは、各作動プライ内で互いに実質的に平行に配置されるが一方のプライから他方へと交差する、すなわち、一般的に15°と40°の間の範囲の角度だけ中央円周平面に対して対称又は非対称に傾いたフィラメント状金属作動補強要素を含む。この作動補強材は、含まれる機能の中でもとりわけ、走行中のタイヤにステアリング機能を与えるように、すなわち、タイヤにそれが装備された車両がコーナリングすることを可能にする能力を与えるように、地面によって印加された横荷重がタイヤに少なくとも部分的に伝達されることを可能にする。
【0004】
そのようなフィラメント状金属作動要素は、とりわけ、国際公開第2008/026271号に説明されている。国際公開第2008/026271号は、螺旋に巻かれたJ>1個の内部ストランドで構成されたコードの内部層と、コードの内部層の周りに巻かれたL>1個の外部ストランドで構成されたコードの外部層とを含む2層マルチストランドコードを説明している。各内部及び外部ストランドは、複数の層を有し、かつQ>1個の内部スレッドで構成された少なくとも内部層と、恐らくは内部層の周りに巻かれたP>1個の中間スレッドで構成された中間層と、内部又は中間層の周りに巻かれたN>1個の外部スレッドで構成された外部層とを含む。
【0005】
国際公開第2008/026271号では、その目的は、走行中のタイヤが遭遇する障害物によってクラウン補強材、とりわけ、作動補強材に対して引き起こされる損傷を回避するのに可能な限り高い剛性及び破断強度を有するフィラメント状作動補強要素を提供することである。
【0006】
国際公開第2008/026271号では、この目的は、破断強度がより低く、かつとりわけ、国際公開第2015/090920号に説明されているようなJ=1及びL=6である従来のマルチストランドコードに対して可能な限り内部ストランド及び外部ストランドの数を増加させることによって達成される。すなわち、国際公開第2008/026271号では、この目的は、遭遇する障害物によって課せられる変形と可能な限り剛性であり、かつ機械的に強いコードを用いてそれらに対抗することによって闘うことである。
【0007】
しかし、このソリューションは、比較的小さい又は中程度のサイズの障害物に対しては有効であるが、それは、より大きいサイズの障害物に関して効果がないことを証明している。具体的に、そのような場合に、コードに対して及ぼされる荷重は、鋼鉄の硬度よりも高く、障害物は、従ってコードを通してせん断し、これらのコードがより剛性である程、かつそれらが障害物によって課せられる変形に良好に対抗する程、それらは、より容易にせん断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2008/026271号
【文献】国際公開第2015/090920号
【文献】米国特許第5843583号明細書
【文献】国際公開第2005/014925号
【文献】国際公開第2007/090603号
【文献】仏国特許第2419181号明細書
【文献】仏国特許第2419182号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、タイヤのクラウン補強材、とりわけ、作動補強材に高い応力を加える障害物によって引き起こされる損傷を回避することを可能にするコードである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるコード
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の主題は、
-螺旋に巻かれ、各内部ストランドが、2つの層を有し、かつ
・直径D1のQ≧1個の内部スレッドで構成された内部層、及び
・前記内部層の周りに巻かれた直径D2のN>1個の外部スレッドで構成された外部層
を含むJ>1個の内部ストランドで構成されたコードの内部層と、
-コードの前記内部層の周りに巻かれ、各外部ストランドが、2つの層を有し、かつ
・直径D1’のQ’≧1個の内部スレッドで構成された内部層、
・前記内部層の周りに巻かれた直径D2’のN’>1個の外部スレッドで構成された外部層
を含むL>1個の外部ストランドで構成されたコードの外部層と
を含む2層マルチストランドコードであり、
コードは、以下の関係:
100≦MC≦175
を満たし、ここで、
MC=(J×MI+L×ME)/(J+L)
であり、ここで、
MI=200×cos4(α)×[Q×(D1/2)2×cos4(β)+N×(D2/2)2×cos4(γ)]/[Q×(D1/2)2+N×(D2/2)2]、
であり、ここで、
-D1及びD2は、mmで表され、
-αは、コードの内部層内の各内部ストランドの螺旋角度であり、
-βは、各内部ストランド内の内部層内の各内部スレッドの螺旋角度であり、
-γは、各内部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度であり、
ME=200×cos4(α)×[Q’×(D1’/2)2×cos4(β)+N’×(D2’/2)2×cos4(γ)]/[Q’×(D1’/2)2+N’×(D2’/2)2]であり、ここで、
-D1’及びD2’は、mmで表され、
-α’は、コードの外部層内の各外部ストランドの螺旋角度であり、
-β’は、各外部ストランド内の内部層内の各内部スレッドの螺旋角度であり、
-γ’は、各外部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度である、
【0012】
コードが160GPaよりもかなり高い弾性率値を有し、従って比較的剛性が高い従来技術におけるものとは異なり、本発明者は、より低い弾性率値を有する本発明によるコードが、タイヤのクラウン補強材に高い応力を加える障害物に対してより良好に機能することを見出した。
【0013】
特に、本発明者は、従来技術で教示されたように障害物によって加えられる変形に対抗するためにコードを可能な限り剛性化して補強することを試みるよりも、より低い弾性率を有するコードを用いることによって障害物を抱き込む方がより有効であることを見出した。障害物を抱き込むことにより、コードに加えられるせん断荷重、従ってこれらのコードの破断リスクが低減する。
【0014】
本発明によるコードのインジケータMCの値は、コードが50GPaから160GPaまでの範囲にわたる比較的低い弾性率値に対応する構造を有することを保証し、それにより、過度に剛性である従来技術のコードとは異なり、遭遇する障害物を抱き込むことを可能にする。
【0015】
更に、本発明によるコードのインジケータMCの値は、コードが作動補強材に用いられる場合に十分なステアリング機能をタイヤに与えるのに十分に高い弾性率を有することを保証する。
【0016】
螺旋角度は、以下の計算式によって定義される。
式中のRIは、内部ストランドの巻回半径であり、PIは、各内部ストランドが巻かれる際のピッチである。
式中のR1は、各内部ストランドのQ個の内部スレッドの巻回半径であり、p1は、各内部ストランド内にQ個の内部スレッドが組み立てられる際のピッチである。Q=1の場合にはR1=0であり、従ってβ=0である。
式中のR2は、各内部ストランドのN個の外部スレッドの巻回半径であり、p2は、各内部ストランド内にN個の外部スレッドが組み立てられる際のピッチである。
式中のREは、外部ストランドの巻回半径であり、PEは、各外部ストランドが巻かれる際のピッチである。
式中のR1’は、各外部ストランドのQ’個の内部スレッドの巻回半径であり、p1’は、各外部ストランド内にQ’個の内部スレッドが組み立てられる際のピッチである。Q’=1の場合にはR1’=0であり、従ってβ’=0である。
式中のR2’は、各外部ストランドのN’個の外部スレッドの巻回半径であり、p2’は、各外部ストランド内にN’個の外部スレッドが組み立てられる際のピッチである。
【0017】
巻回半径RI及びREは、コードの主軸線に対して垂直な横断面上で測定され、それぞれ各内部ストランド及び外部ストランドによって表される螺旋の中心とコードの中心との間の距離に対応する。
【0018】
同様に、巻回半径R1及びR2は、個別に考察する各内部ストランドの主軸線に対して垂直な横断面上で測定され、それぞれ各内部スレッド及び外部スレッドによって表される螺旋の中心と内部ストランドの中心との間の距離に対応する。
【0019】
同様に、巻回半径R1’及びR2’は、個別に考察する各外部ストランドの主軸線に対して垂直な横断面上で測定され、それぞれ各内部スレッド及び外部スレッドによって表される螺旋の中心と外部ストランドの中心との間の距離に対応する。
【0020】
本発明では、コードは、2つのストランド層を有し、すなわち、2つのそれよりも多くも少なくもないストランド層で構成されたアセンブリを含み、すなわち、このアセンブリは、2つの1つでも3つでもなく2つだけのストランド層を有する。コードの外部層は、コードの内部層の周りに螺旋に巻かれ、それと接触状態にある。
【0021】
各内部ストランド及び外部ストランドは、2つの層を有し、すなわち、2つのそれよりも多くも少なくもないスレッド層で構成されたアセンブリを含み、すなわち、このアセンブリは、2つの1つでも3つでもなく2つだけのスレッド層を有する。各ストランドの外部層は、当該ストランドの内部層の周りに巻かれて当該ストランドの内部層と接触状態にある。
【0022】
更に、J=1であり、かつコードに印加される反復圧縮荷重の効果の下で内部ストランドがコードから半径方向に抜け出ることが見られるリスクが存在すると考えられる場合とは異なり、螺旋に巻かれたコードの内部層内のいくつかのストランド(J>1)の存在は、このリスクを低減することを可能にし、圧縮荷重は、次に、コードの内部層の複数のストランドにわたって分散され、螺旋は、内部ストランドを互いに維持する。
【0023】
オプション及び好みとして、一実施形態では、コードは、いかなるポリマー性化合物も持たず、とりわけ、コードは、内部ストランドを覆ういずれかのポリマー性化合物のいかなるシースも持たない。別の実施形態では、コードは、いかなるエラストマー性化合物を持たず、とりわけ、コードは、コードの内部層を覆ういずれかのエラストマー性化合物のいかなるシースも持たない。
【0024】
ポリマー化合物又はポリマー性化合物は、化合物が少なくとも1つのポリマーを含有することを意味する。好ましくは、そのようなポリマーは、熱可塑性プラスチック、例えばポリエステル又はポリアミド、熱硬化ポリマー、エラストマー、例えば、天然ゴム、熱可塑性エラストマー、又はこれらのポリマーの組合せとすることができる。
【0025】
エラストマー化合物又はエラストマー性化合物は、化合物が少なくとも1つのエラストマー又は1つのゴム(これら2つの用語は同義語である)と少なくとも1つの他の成分とを含有することを意味する。好ましくは、エラストマー化合物は、加硫システム及びフィラーも含有する。より好ましくは、エラストマーは、ジエンエラストマーである。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲では、「aとbの間」という表現で表すあらゆる値範囲は、a超からb未満まで延びる(すなわち、端点a及びbを除外する)値範囲を表し、それに対して「aからbまで」という表現で表すあらゆる値範囲は、端点「a」から端点「b」に至るまで延びる、すなわち、厳密な端点「a」と「b」を含む値範囲を意味する。
【0027】
公知であるように、ストランドのピッチは、コードの軸線に対して平行に測定されたストランドの長さであり、この長さの後にこのピッチを有するストランドがこのコード軸線の周りに一回転し終わる長さを表すことを想起されるであろう。同様に、スレッドのピッチは、このスレッドを内部に収めるストランドの軸線に対して平行に測定されたこのスレッドの長さであり、この長さの後にこのピッチを有するスレッドがこのストランド軸線の周りに一回転し終わる長さを表す。
【0028】
ストランド又はスレッドの層の巻回方向は、ストランド又はスレッドがコード軸線又はストランド軸線に対してなす方向を意味する。一般的に巻回方向は、文字Z又はSで表される。
【0029】
スレッド及びストランドのピッチ、巻回方向、及び直径は、2014年のASTM D2969-04規格に従って決定される。巻回半径は、コード軸線に対して垂直にとったコードの断面を顕微鏡を用いて調べることによって測定される。
【0030】
類似のスレッド直径は、対で考えた場合のスレッドの直径同士の比が0.75から1.25までの範囲にわたることを意味する。同一のスレッド直径は、対で考えた場合のスレッドの直径同士の比が1に等しいことを意味する。
【0031】
有利には、コードは、金属で作製される。定義により、金属コードは、完全に(スレッドの100%)金属材料で作製されたスレッドで形成されたコードを意味する。好ましくは、そのような金属コードは、鋼鉄、より好ましくは下記で「炭素鋼」と呼ぶパーライト(又はフェライト系パーライト)炭素鋼で作製された又は他にステンレス鋼(定義により、少なくとも11%のクロムと少なくとも50%の鉄とを含む鋼鉄)で作製されたスレッドで実施される。しかし、当然ながら他の鋼鉄又は他の合金を用いることができる。
【0032】
有利に炭素鋼が用いられる場合には、その炭素含有量(鋼鉄の重量%)は、0.2%と1.2%の間、とりわけ、0.5%と1.1%の間からなり、これらの含有量は、タイヤに必要とされる機械的特性とスレッドの加工性の間の良好な妥協点を表す。
【0033】
特に炭素鋼又はステンレス鋼のいずれであるかに関わらず、用いられる金属又は鋼鉄は、それ自体を例えば金属コード及び/又はその組成要素の加工性特性、又は接着性、耐腐食性、又は耐老化性といった特性等のコード及び/又はタイヤ自体の使用特性を改善する金属層で被覆することができる。1つの好ましい実施形態によると、用いられる鋼鉄は、黄銅(Zn-Cu合金)又は亜鉛の層で覆われる。
【0034】
好ましくは、予め決められた(内部又は外部)ストランドの1つの同じ層のスレッドは、全てが実質的に同じ直径を有する。有利には、内部ストランドは、全てが実質的に同じ直径を有する。有利には、外部ストランドは、全てが実質的に同じ直径を有する。「実質的に同じ直径」は、スレッド又はストランドが、製造公差の範囲内で同一直径を有することを意味する。
【0035】
本出願では、コードの弾性率ECは、2014年のASTM D2969-04規格を試験されるコードに適用することによって取得される力-伸長曲線の弾性部分の勾配を測定し、続いてこの勾配をコードの金属断面、すなわち、コードを構成するスレッドの断面の和に割り当てることによって計算される。これに代えて、金属断面は、2014年のASTM D2969-04規格に従ってコードの線質量を測定し、この線質量を用いられる鋼鉄の密度で割算することによって決定することができる。
【0036】
曲線の弾性部分は、力-伸長曲線の構造部分と塑性部分とを補間する力-伸長曲線の実質的に線形の部分に対応する。弾性部分は、弾性伸長Aeに対応し、コードの構造の結果、とりわけ、様々な層の角度及びスレッドの直径の結果である。力-伸長曲線の弾性部分及び対応する伸長Aeは、とりわけ、米国特許第5843583号明細書、国際公開第2005/014925号、及び国際公開第2007/090603号に説明されており、かつ
-コードの通気から、すなわち、コードを構成する様々なスレッド又はストランドの間の空き空間から生じる構造伸長Asに対応する構造部分と、
-コードの1又は2以上のスレッドの可塑性(弾性限界を超える不可逆変形)から生じる塑性伸長APに対応する塑性部分と、
の間からなる力-伸長曲線の部分にかつその伸長に対応する。
【0037】
ある一定のコードに対して、コード内に通気はなく、すなわち、構造伸長Asはゼロである。全ての場合に(Asゼロ及びAs非ゼロ)、弾性部分は、最も急な勾配を有する力-伸長曲線の線形部分に対応する。
【0038】
コードの弾性率ECは、製造されたままのコード、すなわち、プライを形成するためにコードが中に埋め込まれることになるいかなるエラストマー性化合物も伴わないコードに関して測定される。同様に、コードの内部層の弾性率EIは、製造されたままのコードの内部層を得ること、又はコードの内部層を単体で得るために仕上がったコードから外部ストランドの外部層をほどくことのいずれかによって測定される。代替形態として、弾性率値EC及びEIは、タイヤからコードを取り出し、例えば、当業者に公知である化学的ゴム除去処理によってコードの周囲及び内部から全てのエラストマー性化合物を除去することによって測定することができる。
【0039】
好ましくは100≦MC≦170、より好ましくは110≦MC≦170である。この間隔内では、このコードの弾性率は、従来技術のコードの弾性率から一層かけ離れ、タイヤのクラウン補強材に高い応力を加える障害物によって引き起こされる損傷を低減することを可能にする。
【0040】
好ましい実施形態では、35≦MI≦195である。これらの好ましい実施形態では、コードの内部層の弾性率は、有利には、25GPa≦EI≦180GPaであるような弾性率EIを有する。
【0041】
J=1であり、とりわけ、コードの外部層が不飽和化される事例において最も厳しい横荷重が、外部ストランドによって内部ストランドに印加される横荷重であるコードとは異なり、本発明によるコードは、J>1であるアーキテクチャを有するので、とりわけ、コードの外部層が不飽和化される事例においてコードが引張された時にコードに印加される最も厳しい横荷重は、内部ストランド間に印加される横荷重である。
【0042】
すなわち、コードの内部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、35≦MI≦135である。この第1の変形では、コードの内部層の弾性率EIは、有利には、25GPa≦EI≦94GPaであるようなものである。この場合、内部層の弾性率が低い程、主荷重はより的確に対処されることになり、コードの破断強度はより良好になる。この場合、内部層に対して比較的低い弾性率を用いることによってコードの破断強度は最大限に高められる。
【0043】
コードの内部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、136≦MI≦195である。この第2の変形では、コードの内部層の弾性率EIは、有利には、95GPa≦EI≦180GPaであるようなものである。
【0044】
好ましい実施形態では、75≦ME≦188である。特定の変形では、85≦ME≦180である。
【0045】
コードの外部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、75≦ME≦120である。この第1の変形では、外部層の弾性率が比較的低いので、外部層は、陥凹特徴部の応力負荷に続く切断に耐えることができる。それによってコードの耐切断性が最大限に高められる。この特定の変形では、85≦ME≦120である。
【0046】
コードの外部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、121≦ME≦188である。コードの比較的低い弾性率に起因して、外部層の弾性率に対する比較的高い値は、内部層の弾性率に対する比較的低い値を生じ、従って優れた破断時の力を有するコードを生じる。この特定の変形では、121≦ME≦180である。
【0047】
コードの内部層と外部層とが比較的類似の弾性率値を有する実施形態では、0.70≦ME/MI≦1.30である。この実施形態では、本発明者は、コードが応力を受けた時、とりわけ、引張状態にある時にコアと層とが多少なりとも協働するという仮説を規定している。このようにして、コードの破断強度と耐切断性との間の妥協点が最大限に高められる。この実施形態では、コードの内部層とコードは、有利には、0.57≦EC/EI≦1.43であるような比較的類似のEC弾性率値とEI弾性率値とを有する。この特定の変形では、0.60≦EC/EI≦1.20である。
【0048】
コードの内部層と外部層とが比較的異なる弾性率値を有する別の実施形態では、ME/MI≦0.69又は1.31≦ME/MIである。
【0049】
変形では、コードの内部層は、コードの外部層の弾性率に対して比較的高い弾性率を有し、すなわち、ME/MI≦0.69、好ましくは0.39≦ME/MI≦0.69である。この変形では、有利にはEC/EI≦0.65、好ましくは0.36≦EC/EI≦0.65である。この変形は、コードの破断強度よりもコードの耐切断性を優先する。この特定の変形では、0.49≦ME/MI≦0.69及び0.40≦EC/EI≦0.59である。
【0050】
別の変形では、コードの内部層は、コードの外部層の弾性率に対して比較的低い弾性率を有し、すなわち、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦3.30である。この別の変形では、コードの内部層は、コードの弾性率に対して比較的低く、すなわち、有利には、1.21≦EC/EI、好ましくは1.21≦EC/EI≦3.00であるような弾性率を有する。この変形は、コードの耐切断性よりもコードの破断強度を優先する。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、コードは、以下の有利な構造特性を有する。
【0052】
一実施形態では、D1、D2、D1’、及びD2’は各々、0.15mmから0.60mmまで、好ましくは0.20mmから0.50mmまで、より好ましくは0.23mmから0.45mmまで、更に好ましくは0.25mmから0.40mmまでの範囲にわたる。
【0053】
有利には、コードの内部層はコード内部層方向に巻かれ、各内部ストランドの各内部層(Q>1である時)及び外部層は、コードの内部層の方向と同じ巻回方向に巻かれる。
【0054】
有利には、外部層はコード外部層方向に巻かれ、各外部ストランドの各内部層(Q’>1である時)及び外部層は、コードの外部層の方向と同じ巻回方向に巻かれる。
【0055】
一実施形態では、コードの内部層の方向とコードの外部層の方向とは反対の方向である。この実施形態では、内部ストランドと外部ストランドとの間の交差の結果として内部ストランド間に形成される溝での外部ストランドの潜在的な望ましくない滑動のリスクが低減する。
【0056】
別の実施形態では、コードの内部層の方向とコードの外部層の方向とは同じである。この実施形態では、直前の実施形態とは異なり、コードの内部層の巻回方向と外部層の巻回方向との間で区別をつける必要がないことから製造が比較的容易である。それにも関わらず、内部ストランドの外部層の外部スレッドと外部ストランドの外部層の外部スレッドとの間の接触が比較的長く、それにより、コードのピッチと直径とアーキテクチャとのある一定の組合せの場合に内部ストランド間に形成される溝での外部ストランドの望ましくない滑動によって発生するアセンブリ欠陥が生じる可能性がある。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、コードの内部層内の各内部ストランドの螺旋角度αは3°から42°までの範囲にわたる。主に螺旋角度αの値を制御することにより、コードの内部層に関連付けられる弾性率値がほぼ制御される。このことは、螺旋角度αが、弾性率への寄与がより小さい角度β及びγと比較して主な役割を果たすことに起因する。従って、各内部ストランドの螺旋角度αが大きい程、内部層に関連付けられる弾性率は低い。従って有利には、内部ストランドは、10mmから65mmまで、好ましくは10mmから45mmまでの範囲にわたるピッチPIで螺旋に巻かれる。この特定の変形では、螺旋角度αは5°から42°までの範囲にわたる。
【0058】
1つの好ましい実施形態では、コードの外部層内の各外部ストランドの螺旋角度α’は7°から38°までの範囲にわたる。螺旋角度αと同様の方法で、主に螺旋角度α’の値を制御することにより、コードの外部層に関連付けられる弾性率値がほぼ制御される。このことは、螺旋角度α’が、弾性率への寄与がより小さい角度β’及びγと比較して主な役割を果たすことに起因する。従って、各外部ストランドの螺旋角度α’が大きい程、外部層に関連付けられる弾性率は低い。有利には、L個の外部ストランドは、30mmから65mmまで、好ましくは30mmから60mmまでの範囲にわたるピッチPEで螺旋に巻かれる。この特定の変形では、螺旋角度α’は10°から32°までの範囲にわたる。
【0059】
有利には、11°≦2α+β+γ≦110°である。Q=1である実施形態では、有利には、11°≦2α+β+γ≦74°である。Q>1である実施形態では、有利には、16°≦2α+β+γ≦110°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、産業規模で製造するのが容易な本発明によるコードを得るためにコードの内部層及びこの層の内部ストランドを螺旋角度α、β、及びγのみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。この特定の変形では、20°≦2α+β+γ≦136°である。
【0060】
有利には、23°≦2α’+β’+γ’≦97°である。Q’=1である実施形態では、有利には、23°≦2α’+β’+γ’≦85°である。Q’>1である実施形態では、有利には、28°≦2α’+β’+γ’≦97°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、産業規模で製造するのが容易な本発明によるコードを得るためにコードの外部層及びこの層の外部ストランドを螺旋角度α’、β’、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。この特定の変形では、39°≦2α’+β’+γ’≦100°である。
【0061】
有利には、51°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。Q=1及びQ’=1である実施形態では、有利には、51°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦145°である。Q>1及びQ’=1である実施形態では、有利には、55°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦154°である。Q=1及びQ’>1である実施形態では、有利には、60°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦151°である。Q>1及びQ’>1である実施形態では、有利には、68°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、上記のようにして定義される角度は、工業規模で製造するのが容易な本発明によるコードを螺旋角度α、α’、β、β’、γ、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。この特定の変形では、73°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦195°である。
【0062】
Q>1である実施形態では、各内部ストランド内の内部層内の各内部スレッドの螺旋角度βは、4°から25°まで、好ましくは4°から17°までの範囲にわたる。有利には、各内部ストランドのQ個の内部スレッドは、各内部ストランド内で2mmから20mmまで、好ましくは5mmから20mmまでの範囲にわたるピッチp1で組み立てられる。
【0063】
この特定の変形では、βは4°から25°までの範囲にわたり、p1は2mmから20mmまでの範囲にわたる。
【0064】
Q=1である実施形態では、各内部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度γは、6°から31°まで、好ましい変形では、5°から26°までの範囲にわたる。有利には、各内部ストランドのN個の外部スレッドは、各内部ストランド内で4mmから40mmまで、好ましくは5mmから30mmまでの範囲にわたるピッチp2で組み立てられる。
【0065】
Q>1である実施形態では、各内部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度γは5°から31°までの範囲にわたる。有利には、各内部ストランドのN個の外部スレッドは、各内部ストランド内で4mmから40mmまでの範囲にわたるピッチp2で組み立てられる。
【0066】
この特定の変形では、γは6°から31°までの範囲にわたり、p2は4mmから40mmまでの範囲にわたる。
【0067】
Q’>1である実施形態では、各外部ストランド内の内部層内の各内部スレッドの螺旋角度β’は、4°から25°まで、好ましくは4°から17°までの範囲にわたる。有利には、各外部ストランドのQ’個の内部スレッドは、各外部ストランド内で2mmから20mmまで、好ましくは5mmから20mmまでの範囲にわたるピッチp1’で組み立てられる。
【0068】
この特定の変形では、β’は4°から25°までの範囲にわたり、p1は2mmから20mmまでの範囲にわたる。
【0069】
Q’=1である実施形態では、各外部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度γ’は、6°から31°まで、好ましい変形では、5°から26°までの範囲にわたる。有利には、各内部ストランドのN’個の外部スレッドは、各外部ストランド内で4mmから40mmまで、好ましくは5mmから30mmまでの範囲にわたるピッチp2’で組み立てられる。
【0070】
Q>1である実施形態では、各外部ストランド内の外部層内の各外部スレッドの螺旋角度γ’は5°から31°までの範囲にわたる。有利には、各内部ストランドのN’個の外部スレッドは、各外部ストランド内で4mmから40mmまでの範囲にわたるピッチp2’で組み立てられる。
【0071】
この特定の変形では、γ’は6°から31°までの範囲にわたり、p2は4mmから40mmまでの範囲にわたる。
【0072】
上記で説明した螺旋角度とピッチとの組合せは、本発明の有利な弾性率値を有するコードを生じる。それに加えて、これらの好ましい範囲内にあるピッチp1、p1’、p2、及びp2’は、タイヤ使用に適合する機械特性、比較的低いコスト、及び比較的軽い直線コード重量を示すコードを得ることを可能にする。
【0073】
本発明の実施形態Aによるコード
【0074】
一実施形態では、コードは比較的非常に低い弾性率を有し、100≦MC≦156であるようなものである。この実施形態では、遭遇する障害物を抱き込むコードの能力は、高いステアリング機能を有するタイヤを与えるコードの能力よりも優先される。実施形態Aによるそのようなコードは、50GPaから89GPaまでの範囲にわたる弾性率値を有利に有し、従って非常に低い弾性率のコードと呼ばれる。実施形態Aによるコードの特定の変形では、100≦MC≦135である。
【0075】
実施形態Aによるコードの好ましい変形では、62≦MI≦192である。これらの好ましい変形では、有利には、25GPa≦EI≦180GPaである。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、40≦MI≦185及び25GPa≦EI≦175GPaである。
【0076】
実施形態Aによるコードの内部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、62≦MI≦135である。この第1の変形では、有利には、27GPa≦EI≦94GPaである。上記で説明したように、この場合、この内部層に対して比較的低い弾性率を用いることによってコードの破断強度は最大限に高められる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、40≦MI≦135及び25GPa≦EI≦102GPaである。
【0077】
実施形態Aによるコードの内部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、136≦MI≦192である。この第2の変形では、有利には、95GPa≦EI≦180GPaである。コードの比較的非常に低い弾性率に起因して、内部層の弾性率に対する比較的高い値は、外部層の弾性率に対する比較的低い値を必然的に伴い、従って優れたコード耐切断性が生じる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、136≦MI≦185及び103GPa≦EI≦175GPaである。
【0078】
実施形態Aによるコードの好ましい変形では、75≦ME≦171である。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、90≦ME≦170である。
【0079】
実施形態Aによるコードの外部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、75≦ME≦120である。上記で説明したように、この場合、外部層に対して比較的低い弾性率を用いることによってコードの耐切断性が最大限に高められる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、90≦ME≦120である。
【0080】
実施形態Aによるコードの外部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、121≦ME≦171である。コードの比較的非常に低い弾性率に起因して、外部層の弾性率に対する比較的高い値は、内部層の弾性率に対する比較的低い値を必然的に伴い、従ってコードの優れた破断強度が生じる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、121≦ME≦170である。
【0081】
実施形態Aによるコードの内部層と外部層とが比較的類似の弾性率値を有する実施形態では、0.70≦ME/MI≦1.30である。この変形では、本発明者は、実施形態Aによるコードが応力を受けた時、とりわけ、引張状態にある時にコアと層とが多少なりとも協働するという仮説を規定している。この場合、この変形では、有利には、0.57≦EC/EI≦1.23である。このようにして、コードの破断強度とコードの耐切断性との間の妥協点が最大限に高められる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、0.70≦ME/MI≦1.30及び0.60≦EC/EI≦1.20である。
【0082】
実施形態Aによるコードの内部層と外部層とが比較的異なる弾性率値を有する実施形態では、ME/MI≦0.69又は1.31≦ME/MIである。
【0083】
変形では、実施形態Aによるコードの内部層は、実施形態Aによるコードの外部層の弾性率に対して比較的高い弾性率を有し、すなわち、ME/MI≦0.69、好ましくは0.39≦ME/MI≦0.69である。この場合、この変形では、有利にはEC/EI≦0.56、好ましくは0.36≦EC/EI≦0.56である。この変形は、コードの破断強度よりもコードの耐切断性を優先する。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、ME/MI≦0.69、好ましくは0.49≦ME/MI≦0.69、EC/EI≦0.59、好ましくは0.40≦EC/EI≦0.59である。
【0084】
別の変形では、実施形態Aによるコードの内部層は、実施形態Aによるコードの外部層の弾性率に対して比較的低い弾性率を有し、すなわち、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦2.52である。この場合、この変形では、有利には、1.24≦EC/EI、好ましくは1.24≦EC/EI≦3.00である。この変形は、コードの耐切断性よりもコードの破断強度を優先する。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦3.30、1.21≦EC/EI、好ましくは1.21≦EC/EI≦3.00である。
【0085】
実施形態Aによるコードの好ましい変形では、実施形態Aによる非常に低い弾性率を有するコードは、以下の有利な構造特性を有する。
【0086】
好ましくは、実施形態Aによるコードの内部層内の各内部ストランドの螺旋角度αは3°から42°までの範囲にわたる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、αは9°から42°までの範囲にわたる。
【0087】
1つの好ましい実施形態では、実施形態Aによるコードの外部層内の各外部ストランドの螺旋角度α’は13°から38°までの範囲にわたる。実施形態Aによるコードのこの特定の変形では、α’は13°から32°までの範囲にわたる。
【0088】
上記で指定したように、主に螺旋角度α及びα’の値を制御することにより、コードの内部層及び外部層に関連付けられる弾性率の値がほぼ制御される。従って比較的大きい螺旋角度α及びα’では、これらの層に関連付けられた比較的非常に低い弾性率値が得られ、実施形態Aによる非常に低い弾性率を有するコードを得ることが可能になる。
【0089】
有利には、16°≦2α+β+γ≦110°である。Q=1である実施形態では、有利には、16°≦2α+β+γ≦74°である。Q>1である実施形態では、有利には、23°≦2α+β+γ≦110°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Aによる非常に低い弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの内部層及びこの層の内部ストランドを螺旋角度α、β、及びγのみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。実施形態Aによる非常に低い弾性率を有するコードのこの特定の変形では、29°≦2α+β+γ≦136°である。
【0090】
有利には、43°≦2α’+β’+γ’≦97°である。Q’=1である実施形態では、有利には、47°≦2α’+β’+γ’≦85°である。Q’>1である実施形態では、有利には、43°≦2α’+β’+γ’≦97°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Aによる非常に低い弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの外部層及びこの層の外部ストランドを螺旋角度α’、β’、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。実施形態Aによる非常に低い弾性率を有するコードのこの特定の変形では、42°≦2α’+β’+γ’≦90°である。
【0091】
有利には、85°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。Q=1及びQ’=1である実施形態では、有利には、85°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦145°である。Q>1及びQ’=1である実施形態では、有利には、108°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦154°である。Q=1及びQ’>1である実施形態では、有利には、90°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦151°である。Q>1及びQ’>1である実施形態では、有利には、110°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Aによる非常に低い弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを螺旋角度α、α’、β、β’、γ、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。実施形態Aによる非常に低い弾性率を有するコードのこの特定の変形では、109°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦195°°である。
【0092】
非常に低い弾性率を有する実施形態Aによるコードを得ることを可能にする螺旋角度β、γ、β’、γ’に対する値、及びピッチp1、p2、p1’、p2’に対する値は、上記で既に説明したものと同一である。
【0093】
本発明の実施形態Bによるコード
【0094】
別の実施形態では、コードは、比較的低い弾性率を有し、130≦MC≦172であるようなものである。この実施形態では、遭遇する障害物を抱き込むコードの能力とタイヤに高いステアリング機能を与えるコードの能力との間の均衡のとれた妥協点が採用される。実施形態Bによるそのようなコードは、90GPaから130GPaまでの範囲にわたる弾性率値を有利に有し、従って低い弾性率のコードと呼ばれる。実施形態Bによるコードの特定の変形では、130≦MC≦160である。
【0095】
実施形態Bによるコードの好ましい変形では、75≦MI≦195である。この場合、有利には、25GPa≦EI≦180GPaである。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、75≦MI≦185及び35GPa≦EI≦175GPaである。
【0096】
実施形態Bによるコードの内部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、75≦MI≦135である。この場合、この第1の変形では、有利には、25GPa≦EI≦94GPaである。上記で説明したように、この場合、内部層に対して比較的低い弾性率を用いることによってコードの破断強度は最大限に高められる。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、75≦MI≦135である。更に35GPa≦EI≦102GPaである。
【0097】
実施形態Bによるコードの内部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、136≦MI≦195である。この場合、この第2の変形では、95GPa≦EI≦180GPaである。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、136≦MI≦185及び103GPa≦EI≦175GPaである。
【0098】
実施形態Bによるコードの好ましい変形では、115≦ME≦178である。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、130≦ME≦180である。
【0099】
実施形態Bによるコードの内部層と外部層とが比較的類似の弾性率値を有する実施形態では、0.70≦ME/MI≦1.30である。この場合、この変形では、有利には、0.58≦EC/EI≦1.29である。この変形では、本発明者は、実施形態Bによるコードが応力を受けた時、とりわけ、引張状態にある時にコアと層とが多少なりとも協働するという仮説を規定している。このようにして、コードの破断強度とコードの耐切断性との間の妥協点が最大限に高められる。実施形態Bによるコードの特定の変形では、0.70≦ME/MI≦1.30及び0.60≦EC/EI≦1.20である。
【0100】
実施形態Bによるコードの内部層と外部層とが比較的異なる弾性率値を有する実施形態では、ME/MI≦0.69又は1.31≦ME/MIである。
【0101】
変形では、実施形態Bによるコードの内部層は、実施形態Bによるコードの外部層の弾性率に対して比較的高い弾性率を有し、すなわち、ME/MI≦0.69、好ましくは0.63≦ME/MI≦0.69である。この場合、この変形では、有利にはEC/EI≦0.65、好ましくは0.51≦EC/EI≦0.65である。この変形は、コードの破断強度よりもコードの耐切断性を優先する。
【0102】
別の変形では、実施形態Bによるコードの内部層は、実施形態Bによるコードの外部層の弾性率に対して比較的低い弾性率を有し、すなわち、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦2.35である。この場合、この変形では、有利には1.21≦EC/EI、好ましくは1.21≦EC/EI≦2.82である。従ってこの変形は、コードの耐切断性よりもコードの破断強度を優先する。
【0103】
本発明の好ましい変形では、低い弾性率を有する実施形態Bによるコードは、以下の有利な構造特性を有する。
【0104】
好ましくは、実施形態Bによるコードの内部層内の各内部ストランドの螺旋角度αは3°から36°までの範囲にわたる。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、αは5°から36°までの範囲にわたる。
【0105】
1つの好ましい実施形態では、実施形態Bによるコードの外部層内の各外部ストランドの螺旋角度α’は9°から27°までの範囲にわたる。実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、αは10°から25°までの範囲にわたる。
【0106】
上記で指定したように、主に螺旋角度α及びα’の値を制御することにより、コードの内部層及び外部層に関連付けられる弾性率の値がほぼ制御される。従って比較的中程度の螺旋角度α及びα’では、これらの層に関連付けられた比較的低い弾性率値が得られ、実施形態Bによる低い弾性率を有するコードを得ることが可能になる。
【0107】
有利には、13°≦2α+β+γ≦110°である。Q=1である実施形態では、有利には、13°≦2α+β+γ≦74°である。Q>1である実施形態では、有利には、16°≦2α+β+γ≦110°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Bによる低い弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの内部層及びこの層の内部ストランドを螺旋角度α、β、及びγのみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。低い弾性率を有する実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、27°≦2α+β+γ≦108°である。
【0108】
有利には、31°≦2α’+β’+γ’≦71°である。Q’=1である実施形態では、有利には、31°≦2α’+β’+γ’≦66°である。Q’>1である実施形態では、有利には、39°≦2α’+β’+γ’≦71°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、低い弾性率を有する実施形態Bによる産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの外部層及びこの層の外部ストランドを螺旋角度α’、β’、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。低い弾性率を有する実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、39°≦2α’+β’+γ’≦65°である。
【0109】
有利には、65°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦153°である。Q=1及びQ’=1である実施形態では、有利には、65°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦117°である。Q>1及びQ’=1である実施形態では、有利には、72°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦133°である。Q=1及びQ’>1である実施形態では、有利には、81°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦130°である。Q>1及びQ’>1である実施形態では、有利には、79°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦153°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、実施形態Bによる低い弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを螺旋角度α、α’、β、β’、γ、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。低い弾性率を有する実施形態Bによるコードのこの特定の変形では、82°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦153°である。
【0110】
低い弾性率を有する実施形態Bによるコードを得ることを可能にする螺旋角度β、γ、β’、γ’に対する値、及びピッチp1、p2、p1’、p2’に対する値は、上記で既に説明したものと同一である。
【0111】
本発明の実施形態Cによるコード
【0112】
更に別の実施形態では、コードは、比較的中程度の弾性率を有し、150≦MC≦175であるようなものである。タイヤに高いステアリング機能を与えるコードの能力は、遭遇する障害物を抱き込むコードの能力よりも優先される。実施形態Cによるそのようなコードは、131GPaから159GPaまでの範囲にわたる弾性率値を有利に有し、従って中程度の弾性率のコードと呼ばれる。
【0113】
実施形態Cによるコードの好ましい変形では、120≦MI≦195である。この場合、有利には、78GPa≦EI≦180GPaである。実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、153≦MI≦193及び125GPa≦EI≦180GPaである。
【0114】
実施形態Cによるコードの内部層が比較的低い弾性率を有する第1の変形では、120≦MI≦135である。この場合、この第1の変形では、有利には、78GPa≦EI≦94GPaである。上記で説明したように、この場合、内部層に対して比較的低い弾性率を用いることによってコードの破断強度は最大限に高められる。
【0115】
実施形態Cによるコードの内部層がより高い弾性率を有する第2の変形では、136≦MI≦195である。この場合、この第2の変形では、95GPa≦EI≦180GPaである。
【0116】
実施形態Cによるコードの好ましい変形では、144≦ME≦188である。実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、149≦ME≦180である。
【0117】
実施形態Cによるコードの内部層と外部層とが比較的類似の弾性率値を有する実施形態では、0.70≦ME/MI≦1.30、好ましくは0.76≦ME/MI≦1.30である。この変形では、有利には、次に、0.72≦EC/EI≦1.43である。この変形実施形態では、本発明者は、実施形態Cによるコードが応力を受けた時、とりわけ、引張状態にある時にコアと層とが多少なりとも協働するという仮説を規定している。このようにして、コードの破断強度とコードの耐切断性との間の妥協点が最大限に高められる。実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、0.70≦ME/MI≦1.30、好ましくは0.80≦ME/MI≦1.15及び0.60≦EC/EI≦1.20、好ましくは0.80≦EC/EI≦1.15である。
【0118】
実施形態Cによるコードの内部層と外部層とが比較的異なる弾性率値を有する一実施形態では、1.31≦ME/MIである。
【0119】
変形では、実施形態Cによるコードの内部層は、実施形態Cによるコードの外部層の弾性率に対して比較的小さい弾性率を有し、すなわち、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦1.48である。この場合、この変形では、有利には、1.44≦EC/EI、好ましくは1.44≦EC/EI≦1.82である。この変形では、実施形態Cによるコードの内部層は、実施形態Cによるコードの外部層の弾性率に対して比較的小さく、すなわち、EC/EI≦0.7965、好ましくは0.362≦EC/EI≦0.6579であるような弾性率を有する。従ってこの変形は、コードの耐切断性よりもコードの破断強度を優先する。
【0120】
好ましい変形では、中程度の弾性率を有する実施形態Cによるコードは、以下の有利な構造特性を有する。
【0121】
好ましくは、実施形態Cによるコードの内部層内の各内部ストランドの螺旋角度αは3°から24°までの範囲にわたる。実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、αは5°から19°までの範囲にわたる。
【0122】
1つの好ましい実施形態では、実施形態Cによるコードの外部層内の各外部ストランドの螺旋角度α’は11°から20°までの範囲にわたる。実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、α’は7°から22°までの範囲にわたる。
【0123】
上記で指定したように、主に螺旋角度α及びα’の値を制御することにより、コードの内部層及び外部層に関連付けられる弾性率の値がほぼ制御される。従って比較的小さい螺旋角度α及びα’では、これらの層に関連付けられた比較的中程度の弾性率値が得られ、実施形態Cによる中程度の弾性率を有するコードを得ることが可能になる。
【0124】
有利には、11°≦2α+β+γ≦64°である。Q=1である実施形態では、有利には、11°≦2α+β+γ≦64°である。Q>1である実施形態では、有利には、16°≦2α+β+γ≦63°°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Cによる中程度の弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの内部層及びこの層の内部ストランドを螺旋角度α、β、及びγのみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。中程度の弾性率を有する実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、23°≦2α+β+γ≦55°である。
【0125】
有利には、23°≦2α’+β’+γ’≦58°である。Q’=1である実施形態では、有利には、23°≦2α’+β’+γ’≦52°°である。Q’>1である実施形態では、有利には、27°≦2α’+β’+γ’≦58°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、本発明の実施形態Cによる中程度の弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを得るためにコードの外部層及びこの層の外部ストランドを螺旋角度α’、β’、及びγ’のみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。中程度の弾性率を有する実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、39°≦2α’+β’+γ’≦57°である。
【0126】
有利には、45°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦108°である。Q=1及びQ’=1である実施形態では、有利には、45°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦95°である。Q>1及びQ’=1である実施形態では、有利には、55°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦95°である。Q=1及びQ’>1である実施形態では、有利には、56°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦102°である。Q>1及びQ’>1である実施形態では、有利には、60°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦108°である。同一又は類似の直径のスレッドを用いる場合には、このように定義されるこれらの角度は、実施形態Cによる中程度の弾性率を有する産業規模で製造するのが容易なコードを螺旋角度α、α’、β、β’、γ、及びγ’、δのみを変更することによって構造的に定義することを可能にする。中程度の弾性率を有する実施形態Cによるコードのこの特定の変形では、73°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦102°である。
【0127】
中程度の弾性率を有する実施形態Cによるコードを得ることを可能にする螺旋角度β、γ、β’、γ’に対する値、及びピッチp1、p2、p1’、p2’に対する値は、上記で既に説明したものと同一である。
【0128】
本発明によるコードのアーキテクチャ
【0129】
有利には、J=2、3、又は4、好ましくはJ=3又は4である。
【0130】
一実施形態では、Lは、7、8、9、又は10に等しく、好ましくはL=8、9、又は10、及びより好ましくはL=8又は9である。
【0131】
第1の変形では、J=2及びL=7又は8であり、好ましくはJ=2、L=7である。
【0132】
第2の変形では、J=3及びL=7、8、又は9、好ましくはJ=3、L=8又は9である。L=8である事例は、コードの外部層の不飽和化、従って外部ストランド間のコードの浸透性を優先する。L=9である事例は、外部ストランドの個数、従ってコードの破断強度を最大限に高める。
【0133】
第3の変形では、J=4及びL=7、8、9、又は10、好ましくはJ=4、L=9である。
【0134】
これらの実施形態、とりわけ、J=3又は4であるものでは、コードが不十分にしか浸透を受けない時に腐食性物質がコードに沿って拡散するのを大幅に助長する中心毛細管の境界を定めるJ=3本又は4個の内部ストランドの間でのこれらの腐食性物質の著しい拡散が観測されるリスクがある。この欠点は、これらの場合に腐食性物質が中心毛細管に到達するのを防止し、更に中心毛細管自体が浸透を受ける最適な場合に腐食性物質がコードに沿って拡散するのを防止するエラストマー化合物がコードに浸透することができるようにすることによって解消することができる。
【0135】
有利には、コードの外部層が不飽和化される。
【0136】
定義により、不飽和化ストランド層は、ストランド間にエラストマー化合物が通過することを可能にするのに十分な間隔が存在するようなものである。外部ストランド層が不飽和化されるということは、外部ストランド同士が接触せず、2つの隣接する外部ストランドの間にエラストマー化合物が内部ストランドに至るまで通過することを可能にするのに十分な間隔が存在することを意味する。それとは対照的に、飽和ストランド層は、例えば、その各一対の2つのストランドが互いに接触することに起因して、層のストランド間にエラストマー化合物が通過することを可能にするのに十分な間隔が存在しないようなものである。
【0137】
有利には、コードの主軸線に対して垂直なコードの断面上での2つの隣接する外部ストランドが内接する円形包絡線を平均的に分離する最短距離として定義される外部ストランドからなる外部層のストランド間距離は、不飽和化ストランド層では30μmよりも大きいか又はそれに等しい。好ましくは、2つの隣接する外部ストランドを分離する平均ストランド間距離Eは、70μmよりも大きく又はそれに等しく、より好ましくは100μmよりも大きく/に等しく、より好ましくは150μmよりも大きく/に等しく、非常に好ましくは200μmよりも大きい/に等しい。
【0138】
上記で既に説明したように、本発明によるコードは、J>1であるアーキテクチャを有するので、J=1であり、かつ最も厳しい横荷重が外部ストランドによって内部ストランドに印加される横荷重であるコードとは異なり、コードが引張された時にコードに印加される最も厳しい横荷重は、内部ストランド間に印加される横荷重である。J>1であるアーキテクチャを示し、かつ最大個数の外部ストランドを追加することによって破断強度を最大限に高めるためにコードの外部層が飽和されるような個数の外部ストランドを含むコードは、従来技術から公知である。本発明の場合には、コードの外部層が不飽和化されることに起因して、コードは、一方では、エラストマー化合物が通過することを可能にする間隔を外部ストランド間に有し、それによってコードを腐食による影響を受け難いものにすることを可能にする。他方では、外部ストランドの個数は低減するが、コードの外部層の不飽和化は、エラストマー化合物が、一方で外部ストランド間に浸透し、他方で内部ストランド間に浸透して内部ストランド間に印加される横荷重を少なくとも部分的に吸収するエラストマー化合物からなる緩衝材を形成することを可能にする。従って、コードの飽和外部層を有する同様のコードと比較すると、得られる破断強度は同等であり、耐腐食性が大幅に改善される。
【0139】
コードの浸透性を向上させる実施形態では、コードの外部層は完全な不飽和状態にある。
【0140】
定義により、完全不飽和ストランド層は、不完全不飽和層とは反対に、層のX個のストランドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X+1)番目のストランドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在し、従って複数のストランドが互いに接触状態にあること又はないことが可能であるようなものである。この特定の事例では、コードの外部層のL個の外部ストランドと同じ直径を有する少なくとも1個の(L+1)番目のストランドを組み入れるのに十分な間隔がコードの外部層内に存在する。
【0141】
従って有利には、コードの外部層のストランド間距離Eの和SIEは、SIE≧DEであるようなものである。和SIEは、この層の各一対の隣接するストランドを分離するストランド間距離Eの和である。層のストランド間距離は、コードの主軸線に対して垂直なコードの断面内で層の2つの隣接するストランドを平均的に分離する最短距離として定義される。従って、ストランド間距離Eは、和SIEを層のストランドを分離する間隔の個数で割り算することによって計算される。
【0142】
浸透性と破断強度との間の妥協点を向上させる別の実施形態では、コードの外部層は不完全な不飽和状態にある。
【0143】
ストランドが不完全な不飽和状態にある層は、層のX個のストランドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X+1)番目のストランドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在しないようなものである。この特定の事例では、コードの外部層のL個の外部ストランドと同じ直径を有する少なくとも1個の(L+1)番目の外部ストランドを組み入れるのに十分な間隔が外部層内に存在しない。
【0144】
定義により、内部層の直径DIは、内部で内部ストランドに外接する最小円の直径である。外部ストランドDEの直径は、内部で外部ストランドに外接する最小円の直径である。比較的高いDI/DE値では、外部ストランド間におけるエラストマー化合物の通過が一層促進され、比較的低いDI/DE値では、コードのアーキテクチャ安定性が保証され、破断強度が最大限に高められ、それと同時にエラストマー化合物が外部ストランド間を通過することが可能になり、コードの外径が制限され、プライの厚みが低減し、従って同様にタイヤの加熱、転がり抵抗、及び質量が低減する。
【0145】
本発明によるコードの内部ストランド
【0146】
好ましい実施形態では、Q=1、2、3、又は4である。
【0147】
一実施形態では、Q=1、N=5又は6、好ましくはQ=1、N=6である。
【0148】
好ましい実施形態では、Q=1、Q=2、3、又は4、好ましくはQ=3又は4である実施形態に関してコードの破断強度を高めることが可能になる。
【0149】
Q>1であるこれらの好ましい実施形態、とりわけ、Q=3又は4であるものでは、ストランドが不十分にしか浸透を受けない時に、腐食性物質が各ストランドに沿って拡散するのを大幅に助長する中心毛細管の境界を定めるQ=3本又は4個の内部スレッド間での腐食性物質の著しい拡散が観測されるリスクがある。この欠点は、これらの場合に腐食性物質が中心毛細管に到達するのを防止し、更に中心毛細管自体が浸透を受ける最適な場合に腐食性物質がストランドに沿って拡散するのを防止するエラストマー化合物がストランドに浸透することができるようにすることによって解消することができる。
【0150】
Q>1である好ましい実施形態では、N=7、8、9、又は10、好ましくはN=8、9、又は10であり、より好ましくはN=8又は9である。
【0151】
第1の変形では、Q=2及びN=7又は8、好ましくはQ=2、N=7である。
【0152】
第2の変形では、Q=3及びN=7、8、又は9、好ましくはQ=3、N=8である。
【0153】
第3の変形では、Q=4及びN=7、8、9、又は10、好ましくはQ=4、N=9である。
【0154】
有利には、各内部ストランドの外部層は不飽和化され、好ましくは完全な不飽和状態にある。
【0155】
定義により、不飽和化スレッド層は、エラストマー化合物が通過することを可能にするのに十分な間隔がスレッド間に存在するようなものである。従って、不飽和化された層は、そのスレッド同士が接触せず、エラストマー化合物がこの層を通り抜けるのに十分な間隔がこの層の2つの隣接するスレッドの間に存在することを意味する。それとは対照的に、飽和スレッド層は、例えば、その各一対の2つのスレッドが互いに接触することに起因して、エラストマー化合物が通過することを可能にするのに十分な間隔がスレッド間に存在しないようなものである。
【0156】
有利には、各内部ストランドの外部層のスレッド間距離は5μmよりも大きいか又はそれに等しい。好ましくは、各内部ストランドの外部層のスレッド間距離は、15μmよりも大きく又はそれに等しく、より好ましくは35μmよりも大きく又はそれに等しく、更に好ましくは50μmよりも大きく又はそれに等しく、非常に好ましくは60μmよりも大きいか又はそれに等しい。
【0157】
内部ストランドの外部層が不飽和化されることにより、エラストマー化合物が内部ストランドの中心に至るまで進むのが有利に容易になり、それによって内部ストランドが腐食による影響を受け難いものになる。
【0158】
定義により、完全に不飽和状態にあるスレッド層は、そのX個のスレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X+1)番目のスレッドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在し、従って複数のスレッドが互いに接触状態にあること又はないことが可能であるようなものである。この特定の事例では、各内部ストランドの外部層のN個の外部スレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(N+1)番目の外部スレッドを組み入れるのに十分な間隔が外部層内に存在する。
【0159】
各内部ストランドの外部層が完全な不飽和状態にあることにより、各内部ストランドの中へのエラストマー化合物の浸透が最大限に深まり、それによって各内部ストランドが腐食による影響を一層受け難いものになる。
【0160】
上記のことから、有利には、各内部ストランドの外部層のスレッド間距離の和SI2は、SI2≧D2であるようなものである。和SI2は、この層の各一対の隣接するスレッドを分離するスレッド間距離の和である。層のスレッド間距離は、コードの主軸線に対して垂直なコードの断面内で層の2つの隣接するスレッドを平均的に分離する最短距離として定義される。従ってスレッド間距離は、層のスレッド同士を分離する間隔の個数で和SI2を割り算することによって計算される。
【0161】
上記とは対照的に、不完全不飽和スレッド層は、この層のX’個のスレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X+1)番目のスレッドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在しないことになるようなものとなる。この特定の事例では、外部層のN個の外部スレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(N+1)番目の外部スレッドを組み入れるのに十分な間隔が外部層内に存在しないことになる。
【0162】
好ましい実施形態では、各内部ストランドの各内部スレッドは、各内部ストランドの各外部スレッドの直径D2よりも大きいか又はそれに等しい直径D1を有する。D1>D2であるような直径の使用は、中間層を通るエラストマー化合物の浸透性を向上させることを可能にする。D1=D2であるような直径の使用は、コードの製造において管理すべき異なるスレッドの個数を限定することを可能にする。
【0163】
有利には、各内部ストランドは、原位置でゴム引きされていないタイプのものである。原位置でゴム引きされていないということは、コードの内部層のアセンブリの前及びコードのアセンブリの前に各内部ストランドが様々な層のスレッドで構成され、いかなるポリマー化合物も、とりわけ、いかなるエラストマー化合物も持たないことを意味する。
【0164】
本発明によるコードの外部ストランド
【0165】
一実施形態では、Q’=1である。この実施形態では、N’=5又は6、好ましくはN’=6である。
【0166】
好ましい実施形態では、Q’=1、Q’=2、3、又は4、好ましくはQ’=3又は4である実施形態に関してコードの破断強度を高めることが可能になる。
【0167】
Q’>1であるこれらの好ましい実施形態、とりわけ、Q’=3又は4であるものでは、ストランドが不十分にしか浸透を受けない時に、腐食性物質が各ストランドに沿って拡散するのを大幅に助長する中心毛細管の境界を定めるQ’=3本又は4個の内部スレッド間での腐食性物質の著しい拡散が観測されるリスクがある。この欠点は、これらの場合に腐食性物質が中心毛細管に到達するのを防止し、更に中心毛細管自体が浸透を受ける最適な場合に腐食性物質がストランドに沿って拡散するのを防止するエラストマー化合物がストランドに浸透することができるようにすることによって解消することができる。
【0168】
Q’>1である実施形態の好ましい実施形態では、N’=7、8、9、又は10、好ましくはN’=8、9、又は10、より好ましくはN’=8又は9である。
【0169】
第1の変形では、Q’=2及びN’=7又は8、好ましくはQ’=2、N’=7である。
【0170】
第2の変形では、Q’=3及びN’=7、8、又は9、好ましくはQ’=3、N’=8である。
【0171】
第3の変形では、Q’=4及びN’=7、8、9、又は10、好ましくはQ’=4、N’=9である。
【0172】
有利には、各外部ストランドの外部層は不飽和化され、好ましくは完全な不飽和状態にある。
【0173】
既に指定したように、定義により、不飽和化スレッド層は、スレッド間にエラストマー化合物が通過するのに十分な間隔が存在するようなものである。従って、不飽和化された層は、そのスレッド同士が接触せず、エラストマー化合物がこの層を通過するのに十分な間隔がこの層の2つの隣接するスレッドの間に存在することを意味する。それとは対照的に、飽和スレッド層は、例えば、その各一対の2つのスレッドが互いに接触することに起因して、エラストマー化合物が通過することを可能にするのに十分な間隔がスレッド間に存在しないようなものである。
【0174】
有利には、各外部ストランドの外部層のスレッド間距離は5μmよりも大きいか又はそれに等しい。好ましくは、各外部ストランドの外部層のスレッド間距離は、15μmよりも大きく又はそれに等しく、より好ましくは35μmよりも大きく又はそれに等しく、更に好ましくは50μmよりも大きく又はそれに等しく、非常に好ましくは60μmよりも大きいか又はそれに等しい。
【0175】
各外部ストランドの外部層が不飽和化されることにより、エラストマー化合物が各外部ストランドの中心に至るまで進むのが有利に容易になり、それによって各外部ストランドが腐食による影響を受け難いものになる。
【0176】
定義により、完全不飽和スレッド層は、そのX’個のスレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X’+1)番目のスレッドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在し、従って複数のスレッドが互いに接触状態にあること又はないことが可能であるようなものである。この特定の事例では、各外部ストランドの外部層のN’個の外部スレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(N’+1)番目の外部スレッドを組み入れるのに十分な間隔が外部層内に存在する。
【0177】
各外部ストランドの外部層が完全な不飽和状態にあることにより、各外部ストランドの中へのエラストマー化合物の浸透が最大限に深まり、それによって各外部ストランドが腐食による影響を一層受け難いものになる。
【0178】
上記のことから、有利には、各内部ストランドの外部層のスレッド間距離の和SI2’は、SI2’≧D2’であるようなものである。和SI2’は、この層の各一対の隣接するスレッドを分離するスレッド間距離の和である。層のスレッド間距離は、コードの主軸線に対して垂直なコードの断面内で層の2つの隣接するスレッドを平均的に分離する最短距離として定義される。従ってスレッド間距離は、層のスレッド同士を分離する間隔の個数で和SI2’を割り算することによって計算される。
【0179】
それとは対照的に、不完全不飽和層は、この層のX’個のスレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(X’+1)番目のスレッドを組み入れるのに十分な間隔がこの層内に存在することにはならないようなものとなる。この特定の事例では、外部層のN’個の外部スレッドと同じ直径を有する少なくとも1個の(N’+1)番目の外部スレッドを組み入れるのに十分な間隔が外部層内に存在しないことになる。
【0180】
好ましい実施形態では、各外部ストランドの各内部スレッドは、各外部ストランドの各外部スレッドの直径D2’よりも大きいか又はそれに等しい直径D1’を有する。D1’>D2’であるような直径の使用は、外部層を通るエラストマー化合物の浸透性を向上させることを可能にする。D1’=D2’であるような直径の使用は、コードの製造において管理すべき異なるスレッドの個数を限定することを可能にする。
【0181】
有利には、各外部ストランドは、原位置でゴム引きされていないタイプのものである。原位置でゴム引きされていないということは、コードの外部層のアセンブリの前及びコードのアセンブリの前に各外部ストランドが様々な層のスレッドで構成され、いかなるポリマー化合物も、とりわけ、いかなるエラストマー化合物も持たないことを意味する。
【0182】
本発明によるタイヤ
【0183】
本発明の別の主題は、上記で定義したコードを含むタイヤである。
【0184】
コードは、「大型重貨物車両」、すなわち、地下鉄列車、バス、路上運搬車(貨物車、牽引車、トレーラー)、オフロード車両、農業車両、又は建設プラント車両、又は他の輸送車両又は荷役車両のような大型車両から選択された産業車両を特に意図している。
【0185】
好ましくは、タイヤは、建設プラントタイプの車両に向けたものである。タイヤは、当業者に公知であるように、Wが、
-Hがタイヤの断面高さであり、Bがタイヤの断面幅であるH/Bという形式にある時には、ETRTOによって定義される公称偏平率H/B、
-H及びBが上記で定義したものであるH=BであるH.00又はB.00という形式にある時にはH.00又はB.00、
を表し、Uが、タイヤを装着することを意図するリム座部の直径をインチを単位として表し、Rが、タイヤ、この場合にはラジアルのもののカーカス補強材のタイプを表すWRU形式のサイズを有する。そのような寸法の例は、例えば40.00R57、又は他に59/80R63である。
【0186】
好ましくは、U≧35、より好ましくはU≧49、更に好ましくはU≧57である。
【0187】
一実施形態では、非常に好ましくは、タイヤは、コードの内部層の1又は2以上の内部ストランドを個別に覆っている又はいくつかの内部ストランドを集合的に覆っている場合があるあらゆるポリマー組成物又はエラストマー組成物が事前に除去されている上記で説明したコードをポリマーマトリクス、好ましくはエラストマーマトリクスの中に埋め込む段階を含む方法によって得られる。
【0188】
有利には、タイヤは、2つのビード内に固定されたカーカス補強材を含み、カーカス補強材は半径方向にクラウン補強材を載せており、クラウン補強材自体はトレッドを載せており、クラウン補強材は、2つの側壁によってこれらのビードに接合され、上記で定義したコードを少なくとも1つ含む。
【0189】
有利には、カーカス補強材は少なくとも1つのカーカスプライを含み、カーカスプライは、その中で互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と80°と90°の間の角度をなすフィラメント状金属カーカス補強要素を含む。
【0190】
有利には、クラウン補強材は、上記で定義したコードを少なくとも1つ含む作動補強材を含む。
【0191】
有利には、作動補強材は少なくとも1つの作動プライを含み、作動プライは、互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と最大で60°に等しく、好ましくは15°から40°までの範囲にわたる角度をなし、上記で定義したコードによって形式されたフィラメント状金属作動補強要素を含む。
【0192】
1つの有利な実施形態では、作動補強材は少なくとも第1及び第2の作動プライを含み、各第1及び第2の作動プライはそれぞれ、その各々の中で互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と最大で60°に等しく、好ましくは15°から40°までの範囲にわたる角度をなし、上記で定義したコードによって形式された第1及び第2のフィラメント状金属作動補強要素を含む。
【0193】
有利には、クラウン補強材は、少なくとも1つの保護プライを含む保護補強材を含み、保護プライは、互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と少なくとも10°に等しく、好ましくは10°から35°まで、好ましくは15°から30°までの範囲にわたる角度をなすフィラメント状金属保護補強要素を含む。
【0194】
1つの有利な実施形態では、保護補強材は第1及び第2の保護プライを含み、各第1及び第2の保護プライはそれぞれ、その各々の中で互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と少なくとも10°に等しく、好ましくは10°から35°まで、好ましくは15°から30°までの範囲にわたる角度をなす第1及び第2のフィラメント状金属保護補強要素を含む。
【0195】
好ましい実施形態では、保護補強材は、半径方向にトレッドと作動補強材との間に挿入される。
【0196】
有利には、クラウン補強材は、少なくとも1つの追加プライを含む追加補強材を含み、追加プライは、その中で互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と最大で10°に等しく、好ましくは5°から10°までの範囲にわたる角度をなす追加フィラメント状金属補強要素を含む。
【0197】
1つの有利な実施形態では、追加補強材は第1及び第2の追加プライを含み、各第1及び第2の追加プライはそれぞれ、その各々の中で互いに対して実質的に平行に配置されて各々がタイヤの円周方向と最大で10°に等しく、好ましくは5°から10°までの範囲にわたる角度をなす第1及び第2の追加フィラメント状金属補強要素を含む。
【0198】
本発明は、単なる非限定例として提示する以下の説明を図面を参照しながら読解することによってより明快に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【
図1】本発明によるタイヤの円周方向に対して垂直な断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態によるコードのコード軸線(直線で静止していると仮定する)に対して垂直な略断面図である。
【
図4】第1の実施形態による
図3のコードの力-伸長曲線を例示するグラフである。
【
図5】第2の実施形態によるコードの
図4のものと同様のグラフである。
【
図6】本発明の第3の実施形態によるコードの
図3のものと同様の図である。
【
図7】第3の実施形態によるケーブルの
図4のものと同様のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0200】
本発明によるタイヤの例
【0201】
上記の図には、タイヤのそれぞれ軸線方向(X)、半径方向(Y)、円周方向(Z)の通常の向きに対応する座標系X、Y、Zを描いている。
【0202】
タイヤの「中央円周平面」Mは、タイヤの回転軸線に対して直角であり、各ビードの環状補強構造から等距離のところに位置し、クラウン補強材の中央を通り抜ける平面である。
【0203】
図1及び
図2は、全体的な参照番号10で表記した本発明によるタイヤを描いている。
【0204】
タイヤ10は、建設プラントタイプ、例えば「ダンプトラック」タイプの大型車両のためのものである。従ってタイヤ10は、タイプ53/80R63の寸法を有する。
【0205】
タイヤ10は、クラウン補強材14によって補強されたクラウン12と、2つの側壁16と、各々が環状構造体、この事例ではビードワイヤ20で補強された2つのビード18とを有する。クラウン補強材14は、半径方向にトレッド22を載せており、側壁16によってビード18に接続される。2つのビード18にはカーカス補強材24が固定され、この事例では2つのビードワイヤ20の周りに巻かれ、タイヤ20の外部に向かうように位置決めされた折り返し部26を含み、この図にはこの折り返し部26がホイールリム28上に適合するように示している。カーカス補強材24は、半径方向にクラウン補強材14を載せている。
【0206】
カーカス補強材24は、少なくとも1つのカーカスプライ30を含み、その中に互いに対して実質的に平行に配置され、タイヤ10の周方向Zと80°と90°の間の角度をなすように一方のビード18から他方のものまで延びるフィラメント状金属カーカス補強要素31を含む。
【0207】
タイヤ10は、エラストマーで構成されてタイヤ10の半径方向内面34を定め、かつタイヤ10内の空間から発する空気の拡散からカーカスプライ30を保護することが意図された密封プライ32(一般的に「内側ライナ」として公知である)を更に含む。
【0208】
クラウン補強材14は、半径方向にタイヤ10の外部から内部に向かって半径方向にトレッド22の内側に配置された保護補強材36と、半径方向に保護補強材36の内側に配置された作動補強材38と、半径方向に作動補強材38の内側に配置された追加補強材50とを含む。従って保護補強材36は、半径方向にトレッド22と作動補強材38の間に挿入される。作動補強材38は、半径方向に保護補強材36と追加補強材50の間に挿入される。
【0209】
保護補強材36は、第1及び第2の保護プライ42、44を含み、第1のプライ42は、半径方向に第2のプライ44の内側に配置される。各第1及び第2の保護プライ42、44はそれぞれ、その中に互いに対して実質的に平行に配置された第1及び第2のフィラメント状金属保護補強要素43、45を含む。各第1及び第2のフィラメント状金属保護補強要素43、45は、タイヤの円周方向Zと少なくとも10°に等しい、好ましくは10°から35°まで、好ましくは15°から30°までの範囲にわたる角度をなす。
【0210】
作動補強材38は、第1及び第2の作動プライ46、48を含み、第1のプライ46は、半径方向に第2のプライ48の内側に配置される。各プライ46、48は少なくとも1個のコード60を含む。各第1及び第2の作動プライ46、48はそれぞれ、その中に互いに対して実質的に平行に配置された第1及び第2のフィラメント状金属作動補強要素47、49を含む。この場合各第1及び第2のフィラメント状金属作動補強要素47、49は、以下で説明するコード60によって形成される。各第1及び第2のフィラメント状金属作動補強要素47、49は、タイヤ10の円周方向Zと最大で60°に等しい、好ましくは15°から40°までの範囲にわたる角度をなす。任意的に、第1及び第2のフィラメント状金属作動補強要素47、49は、一方の作動プライから他方のものへと交差する。
【0211】
制限ブロックとも呼び、膨張の機械的応力に部分的に対処するという機能を有する追加補強材50は、第1及び第2の追加プライ52、54を含み、各第1及び第2の追加プライ52、54はそれぞれ、その中に互いに対して実質的に平行に配置された第1及び第2の追加フィラメント状金属補強要素53、55を含む。各第1及び第2の追加フィラメント状金属補強要素53、55は、タイヤ10の円周方向Zと最大で10°に等しい、好ましくは5°から10°までの範囲にわたる角度をなす。追加フィラメント状金属補強要素は、例えば、仏国特許第2419181号明細書又は仏国特許第2419182号明細書に説明されているものと同様である。
【0212】
本発明の第1の実施形態によるコード
【0213】
図3は、本発明の第1の実施形態による非常に低い弾性率を有する実施形態Aによるコード60を描いている。
【0214】
コード60は、金属であり、かつ2つの円筒層を有するマルチストランドタイプのものである。従って、コード60を構成する2つのそれよりも多くも少なくもないストランド層が存在することは理解されるであろう。ストランド層は、隣接し、同心のものである。コード60には、タイヤの中に組み込まれていない時にはポリマー化合物及びエラストマー化合物が存在しない。
【0215】
コード60は、その内部層CIと外部層CEとを含む。内部層CIは、J>1個の内部ストランドTI、すなわち、螺旋に巻かれた数個の内部ストランドTIで構成される。外部層CEは、L>1個の外部ストランド、すなわち、内部層CIの周りに螺旋に巻かれた数個の外部ストランドTEで構成される。この事例ではJ=2、3、又は4、好ましくはJ=3又は4である。それに加えて、L=7、8、9、又は10、好ましくはL=8、9、又は10である。J=3である時にはL=7、8、又は9であり、この事例及びこの場合にはJ=3、L=8である。
【0216】
コード60は、1個のラッピングワイヤで構成されたラッパーFを更に含む。
【0217】
内部層CIは、コードの内部層の巻回方向、この場合には方向Sに螺旋に巻かれる。内部ストランドTIは、10mm≦PI≦65mm、好ましくは10mm≦PI≦45mmであるようなピッチPIで螺旋に巻かれる。この場合、PI=15mmである。実施形態Aによるコード60の内部層CI内の各内部ストランドTIの螺旋角度αは、3°から42°までの範囲にわたり、この事例ではα=19.8°である。
【0218】
外部層CEは、コードの内部層の巻回方向の反対であるコードの外部層の巻回方向、この場合には方向Zに内部層CIの周りに螺旋に巻かれる。外部ストランドTEは、30mm≦PE≦65mm、好ましくは30mm≦PE≦60mmであるようなピッチPEで内部ストランドTIの周りに螺旋に巻かれる。この場合、PE=40mmである。コード60の外部層CE内の各外部ストランドTEの螺旋角度α’は、7°から38°までの範囲にわたり、実施形態Aによるコード60の場合には13°から38°までの範囲にわたり、この事例ではα’=20.0°である。
【0219】
ラッパーFは、この場合には外部層CEの巻回方向と反対のラッパーの巻回方向、この事例ではS方向に外部層CEの周りに巻かれる。ラッピングワイヤは、2mm≦PF≦10mm、好ましくは3mm≦PF≦8mmであるようなピッチPFで外部ストランドTEの周りに螺旋に巻かれる。この場合にはPF=5.1mmである。
【0220】
内部層CIと外部層CEとで構成されたアセンブリ、すなわち、ラッパーFのないコード60は、4mmよりも大きく又はそれに等しく、好ましくは4.5mmよりも大きく又はそれに等しく、かつ7mmよりも小さく又はそれに等しく、好ましくは6.5mmよりも小さい又はそれに等しい直径Dを有する。この場合にはD=6.1mmである。
【0221】
内部ストランドTIからなる内部層CIは直径DIを有する。各外部ストランドTEは直径DEを有する。この事例ではDI=3.18mm、DE=1.46mmである。
【0222】
コード60の外部層CEは不飽和化され、完全な不飽和状態にある。従って2つの隣接する外部ストランドTEを分離する平均ストランド間距離Eは30μmよりも大きいか又はそれに等しい。好ましくは、2つの隣接する外部ストランドTEを分離する平均ストランド間距離Eは、70μmよりも大きく又はそれに等しく、より好ましくは100μmよりも大きく又はそれに等しく、更に好ましくは150μmよりも大きく又はそれに等しく、非常に好ましくは200μmよりも大きい/それに等しい。この場合にはE=241μmである。外部層CEのスレッド間距離Eの和SIEは、外部層CEの外部ストランドの直径DEよりも大きい。この場合、和SIE=8×0.241=1.93mmであり、この値は、DE=1.46mmよりも厳密に大きい。
【0223】
コード60の内部ストランドTI
【0224】
各内部ストランドTIは2つの層を有する。各内部ストランドTIは、2つのそれよりも多くも少なくもない層を含み、この場合にはそれで構成される。
【0225】
各内部ストランドTIは、Q≧1個の内部スレッドF1で構成された内部層C1と、その周りに螺旋に巻かれてそれと接触状態にあるN>1個の外部スレッドF2で構成された外部層C2とを含む。
【0226】
Q=2、3、又は4、好ましくはQ=3又は4である。N=7、8、9、又は10、好ましくはN=8、9、又は10である。Q=3である時にはN=7、8、又は9であり、この事例ではQ=3、N=8である。
【0227】
各内部ストランドTIの内部層C1は、コードの内部層CIの巻回方向に等しい内部ストランドTIの内部層C1の巻回方向、この場合にはS方向に螺旋に巻かれる。Q個の内部スレッドF1が、各内部ストランドTIの内部で2mm≦p1≦20mmであるようなピッチp1で組み立てられる。この場合、p1=3mmである。各内部ストランドTI内の内部層C1内の各内部スレッドF1の螺旋角度βは、4°から25°までの範囲にわたり、この場合にはβ=23.4°である。
【0228】
各内部ストランドTIの外部層C2は、コードの内部層CIの巻回方向に等しい内部ストランドTIの外部層C2の巻回方向、この場合にはS方向に内部層C1の周りに巻かれてそれと接触状態にある。N個の外部スレッドF2が、Q個の内部スレッドF1の周りに螺旋に巻かれ、各内部ストランドTIの内部で4mm≦p2≦40mmであるようなピッチp2で組み立てられる。この場合、p2=6mmである。各内部ストランドTI内の外部層C2内の各外部スレッドF2の螺旋角度γは、6°から31°までの範囲にわたり、この場合にはγ=30.2°である。
【0229】
11°≦2α+β+γ≦110°であり、Q>1であることに起因して16°≦2α+β+γ≦110°である。実施形態Aによるコード60の実施形態では、Q>1である時に23°≦2α+β+γ≦110°である。この事例では2α+β+γ=93.2°である。
【0230】
各内部ストランドTIの各内部スレッドF1及び外部スレッドF2は、それぞれ直径D1、D2を有する。各内部ストランドTIの内部スレッド及び外部スレッドの各直径D1、D2は、0.15mmから0.60mmまで、好ましくは0.20mmから0.50mmまで、より好ましくは0.23mmから0.45mmまで、更に好ましくは0.25mmから0.40mmまでの範囲にわたる。各内部ストランドTIの各内部スレッドF1は、各内部ストランドTIの各外部スレッドF2の直径D2よりも大きく又はそれに等しく、この事例ではそれに等しい直径D1を有する。この特定の事例ではD1=D2=0.35mmである。
【0231】
比較的短いピッチp2に起因して、各内部ストランドTIの外部層C2は不飽和化され、完全な不飽和状態にある。N個の外部スレッドを平均的に分離する外部層C2のスレッド間距離I2は、5μmよりも大きいか又はそれに等しい。スレッド間距離I2は、好ましくは15μmよりも大きく又はそれに等しく、この事例では29μmに等しい。外部層C2のスレッド間距離I2の和SI2は、外部層C2の外部スレッドF2の直径d2よりも大きい。この事例では和SI2=8×0.029=0.23mmであり、この値はD2=0.35mmよりも厳密に小さい値である。
【0232】
上記で説明した値から、インジケータMI=200×cos4(α)×[Q×(D1/2)2×cos4(β)+N×(D2/2)2×cos4(γ)]/[Q×(D1/2)2+N×(D2/2)2]を計算することができ、式中のD1及びD2はmmで表され、α、β、及びγは度を単位として上記で定義したものと同様に表される。
【0233】
35≦MI≦195であり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、62≦MI≦192である。この場合、内部層は比較的低い弾性率を有し、35≦MI≦135であり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、62≦MI≦135である。この特定の事例ではMI=94である。
【0234】
更に、25GPa≦EI≦180GPaであり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、25GPa≦EI≦180GPaである。この場合、内部層は比較的低い弾性率を有し、25GPa≦EI≦94GPaであり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、27GPa≦EI≦94GPaである。この特定の事例ではEI=53GPaである。
【0235】
コード60の外部ストランドTE
【0236】
各外部ストランドTEは2つの層を有する。従って各外部ストランドTEは、2つのそれよりも多くも少なくもない層を含み、この場合にはそれで構成される。
【0237】
各外部ストランドTEは、Q’≧1個の内部スレッドF1’で構成された内部層C1’と、その周りに螺旋に巻かれてそれと接触状態にあるN’>1個の外部スレッドF2’で構成された外部層C2’とを含む。
【0238】
Q’=2、3、又は4、好ましくはQ’=3又は4である。N’=7、8、9、又は10、好ましくはN’=8、9、又は10である。Q’=3である時にはN’=7、8、又は9であり、この事例ではQ’=3、N’=8である。
【0239】
各外部ストランドTEの内部層C1’は、コードの外部層CEの巻回方向に等しい外部ストランドTEの内部層C1’の巻回方向、この場合にはZ方向に螺旋に巻かれる。Q’個の内部スレッドF1’が、各外部ストランドTEの内部で2mm≦p1’≦20mm、好ましくは5mm≦p1’≦20mmであるようなピッチp1’で組み立てられる。この場合p1’=10mmである。各外部ストランドTE内の内部層C1’内の各内部スレッドF1’の螺旋角度β’は、4°から25°まで、好ましくは4°から17°までの範囲にわたり、この場合にはβ’=7.3°である。
【0240】
各外部ストランドTEの外部層C2’は、コードの外部層CEの巻回方向に等しい外部ストランドTEの外部層C2’の巻回方向、この場合にはZ方向に内部層C1’の周りに巻かれてそれと接触状態にある。N’個の外部スレッドF2’が、Q’個の内部スレッドF1’の周りに螺旋に巻かれ、各外部ストランドTEの内部で4mm≦p2’≦40mmであるようなピッチp2’で組み立てられる。この場合p2’=20mmである。各外部ストランドTE内の外部層C2’内の各外部スレッドF2’の螺旋角度γ’は、5°から31°までの範囲にわたり、この場合にはγ’=9.8°である。
【0241】
23°≦2α’+β’+γ’≦97°であり、Q’>1であることに起因して28°≦2α’+β’+γ’≦97°であり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、43°≦2α’+β’+γ’≦97°である。この特定の事例では2α’+β’+γ’=57.1°である。
【0242】
各外部ストランドTEの各内部スレッドF1’及び外部スレッドF2’は、それぞれ直径D1’、D2’を有する。各外部ストランドTEの内部スレッド及び外部スレッドの各直径D1’、D2’は、0.15mmから0.60mmまで、好ましくは0.20mmから0.50mmまで、より好ましくは0.23mmから0.45mmまで、更に好ましくは0.25mmから0.40mmまでの範囲にわたる。各外部ストランドTI’のQ’個の内部スレッドF1’の各々が、各外部ストランドTEの各外部スレッドF2’の直径D2’よりも大きく又はそれに等しく、この事例ではそれに等しい直径D1’を有する。この事例ではD1’=D2’=0.35mmである。
【0243】
各外部ストランドTEの外部層C2’は不飽和化され、不完全な不飽和状態にある。N’個の外部スレッドを平均的に分離する外部層C2’のスレッド間距離I2’は、5μmよりも大きいか又はそれに等しい。スレッド間距離I2’は、好ましくは15μmよりも大きく又はそれに等しく、より好ましくは35μmよりも大きく又はそれに等しく、更に好ましくは50μmよりも大きく又はそれに等しく、非常に好ましくは60μmよりも大きく又はそれに等しく、この事例では69μmに等しい。外部層C2’のスレッド間距離I2’の和SI2’は、外部層C2’の外部スレッドF2’の直径D2よりも大きい。この事例では和SI2’=8×0.069=0.55mmであり、この値は、D2’=0.35mmよりも厳密に大きい値である。
【0244】
上記で説明した値から、インジケータME=200×cos4(α’)×[Q’×(D1’/2)2×cos4(β’)+N’×(D2’/2)2×cos4(γ’)]/[Q’×(D1’/2)2+N’×(D2’/2)2]を計算することができ、式中のD1及びD2はmmで表され、α’、β’、及びγ’は度を単位として上記で定義したように表される。
【0245】
75≦ME≦188であり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、75≦ME≦171である。この場合、内部層は、比較的高い弾性率を有し、121≦ME≦188であり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、121≦ME≦171である。この特定の事例ではME=148である。
【0246】
各スレッドF1、F2、F1’、F2’は、Rmと表記する2500MPa≦Rm≦3100MPaであるような破断強度を有する。これらのスレッドに向けた鋼鉄は、SHT(「超高張力」)等級のものと呼ばれる。上級のスレッド、例えばUT(「超張力」)又はMT(「メガ張力」)等級のものを用いることができるのと全く同様に、他のスレッド、例えば低級のスレッド、例えばNT(「標準張力」)等級又はHT(「高張力」)等級のものを用いることができる。
【0247】
51°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°であり、Q>1及びQ’>1であることに起因して68°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。実施形態Aによるコード60の実施形態では、85°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°であり、Q>1及びQ’>1であることに起因して110°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦184°である。この特定の事例では2α+β+γ+2α’+β’+γ’=150.3°である。
【0248】
1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦3.30であり、実施形態Aによるコード60の場合には1.31≦ME/MI≦2.52であり、この事例ではME/MI=1.58、1.21≦EC/EI、好ましくは1.21≦EC/EI≦3.00であり、実施形態Aによるコード60の場合には1.24≦EC/EI≦3.00であり、この事例ではEC/EI=1.62である。
【0249】
本発明により、インジケータMC=(J×MI+L×ME)/(J+L)は、100≦MC≦175、好ましくは100≦MC≦170であるようなものである。実施形態Aによるコード60の実施形態では、100≦MC≦156である。この特定の事例ではMC=133である。
【0250】
同じく50GPa≦EC≦160GPaであり、実施形態Aによるコード60の実施形態では、50GPa≦EC≦89GPaである。この事例ではEC=86GPaであり、それによってコード60は非常に低い弾性率のコードになる。
【0251】
本発明によるコードを製造する方法
【0252】
本発明によるコードは、当業者に公知の段階を含む方法を用いて製造される。
【0253】
以下の段階を用いて内部ストランドを製造するための段階において、
-最初に、内部層C1のQ個の内部スレッドF1をピッチp1でS方向に捻転によって組み立てて第1の組立点において内部層C1を形成する第1の段階、
-それに続いてN個の外部スレッドF2をピッチp2でS方向に内部層C1のN個の内部スレッドF1の周りに捻転によって組み立てて第2の組立点において外部層C2及び各内部ストランドTIを形成する第2の段階、
-好ましくは、最終的な捻転-均衡段階、
が好ましくはインラインで連続して実施される。
【0254】
以下の段階を用いて外部ストランドを製造する方法において、
-最初に、内部層C1’のQ’個の内部スレッドF1’をピッチp1’でZ方向に捻転によって組み立てて第1の組立点において内部層C1’を形成する第1の段階、
-それに続いてN’個の外部スレッドF2’をピッチp2’でZ方向に内部層C1’のN’個の内部スレッドF1’の周りに捻転によって組み立てて第2の組立点において外部層C2’及び各外部ストランドTEを形成する第2の段階、
-好ましくは、最終的な捻転-均衡段階、
が好ましくはインラインで連続して実施される。
【0255】
この場合、「捻転-均衡」によって意味するものは、当業者に公知であるように、外部層における場合と同様に中間層においてもストランドの各スレッドに印加される残存捻転トルク(又は捻転の弾性回復)の相殺である。
【0256】
この最終捻転-均衡段階の後に、各ストランドの製造は完了する。各ストランドは、マルチストランドコードを得るために基本ストランドを組み立てるその後の作動の前に保管に向けて1又は2以上の受け入れリールの上に巻かれる。
【0257】
本発明のマルチストランドコードを製造する方法は、当業者に公知であるように、ストランドを組み立てることに向けて定格化されたクーブリング機械を用いて、先に得られたストランドを互いにクーブリングすることである。
【0258】
内部層CIを製造する段階では、Q個の内部ストランドTIが、ピッチPIでのS方向のクーブリングによって組み立てられて第1の組立点において内部層CIが形成される。ピッチPIが比較的短く、従ってαが比較的高い実施形態では、ストランドTIからなる内部層CIの不安定性のリスクを制限するために、Q個の内部ストランドTIが捻転によって組み立てられる。
【0259】
続いて後の製造段階において、L個の外部ストランドTEが、内部層CIの周りにピッチPEでZ方向にクーブリングすることによって組み立てられて層CIとCEとのアセンブリが形成される。ピッチPEが比較的短く、従ってα’が比較的高い実施形態では、ストランドTEの外部層CEの不安定性のリスクを制限するために、L個の外部ストランドTEが捻転によって組み立てられる。
【0260】
第2の製造段階では、先に得られたアセンブリの周りにラッパーFがピッチPFでS方向に巻かれる。
【0261】
タイヤ10は、コード60をポリマー組成物のポリマーマトリクス、この事例では例えば下記で説明するエラストマー組成物の中に埋め込む段階を含む方法によって得られる。コード60の内部層CIの1又は2以上の内部ストランドTIを個別に覆っている又はいくつかの内部ストランドを集合的に覆っているあらゆるポリマー組成物又はエラストマー組成物が埋め込み段階の前にコード60から除去される。
【0262】
続いてこのコードは、ラジアルタイヤのクラウン補強材を製造するために従来用いられている天然ゴムと補強充填材としてのカーボンブラックとに基づく公知の組成物から形成された複合織物の中にスキミングによって組み込まれる。基本的にこの化合物は、エラストマー及び補強充填材(カーボンブラック)に加えて、抗酸化剤、ステアリン酸、伸展油、接着促進剤としてのナフテン酸コバルト、及び最終的な加硫システム(硫黄、促進剤、及びZnO)を含有する。
【0263】
これらのコードによって補強された複合織物は、コードのどちらかの側に重畳されて1mm及び4mmそれぞれを含むこれらの値の間の厚みを有するエラストマー化合物の2つの薄層から形成されたエラストマー化合物マトリクスを有する。スキム-コーティングピッチ(コードがエラストマー化合物織物の中に敷かれたピッチ)は4mmから8mmまでの範囲にわたる。
【0264】
続いてこれらの複合織物は、当業者には他に公知の段階を有するタイヤ製造方法の最中にクラウン補強材内で作動プライとして用いられる。
【0265】
本発明の第2の実施形態によるコード
【0266】
本発明の第2の実施形態による実施形態Bによる低い弾性率のコード61を以下に説明する。第1の実施形態と類似の要素は、同一参照番号によって表記する。
【0267】
コード60と61の間の相違点の中でもとりわけ、実施形態Bによるコード61では、螺旋角度αが3°から36°までの範囲にわたり、この事例ではα=10°であり、更に螺旋角度α’が9°から27°までの範囲にわたり、この事例ではα’=16.1°である点にも注意されたい。
【0268】
同じく、実施形態Bによるコード61の場合には13°≦2α+β+γ≦110°であり、Q>1であることに起因して16°≦2α+β+γ≦110°であることにも注意されたい。この特定の事例では2α+β+γ=46.2°である。
【0269】
実施形態Bによるコード61の場合には75≦MI≦195であることに注意されたい。この場合、内部層は、136≦MI≦195という比較的高い弾性率を有する。この特定の事例ではMI=164である。同じく、コード61の実施形態では、内部層が比較的高い弾性率を有し、95GPa≦EI≦180GPaであることにも注意されたい。この特定の事例ではEI=148GPaである。
【0270】
更に、実施形態Bによるコード61の場合には31°≦2α’+β’+γ’≦71°であり、Q’>1であることに起因して39°≦2α’+β’+γ’≦71°であることにも注意されたい。この特定の事例では2α’+β’+γ’=54.3°である。
【0271】
実施形態Bによるコード61の場合には115≦ME≦178であり、比較的高い弾性率を有する実施形態Bによるコード61の実施形態では、121≦ME≦178であることに注意されたい。この特定の事例ではME=156である。
【0272】
更に、実施形態Bによるコード61の場合には65°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦153°であり、Q>1及びQ’>1であることに起因して79°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦153°であることにも注意されたい。この特定の事例では2α+β+γ+2α’+β’+γ’=100.5°である。
【0273】
0.70≦ME/MI≦1.30であり、この事例ではME/MI=0.95であることに注意されたい。0.57≦EC/EI≦1.43であり、実施形態Bによるコード61の場合には0.58≦EC/EI≦1.29であり、この事例ではEC/EI=0.86であることに注意されたい。
【0274】
本発明により、インジケータMC=(J×MI+L×ME)/(J+L)は、100≦MC≦175、好ましくは100≦MC≦170であるようなものである。同じく、実施形態Bによるコード61の実施形態では、130≦MC≦172であることにも注意されたい。この特定の事例ではMC=158である。実施形態Bによるコード61の実施形態では、90GPa≦EC≦130GPaであり、それによってコード61が低い弾性率のコードになることに注意されたい。この場合、EC=127GPa.である。
【0275】
本発明の第3の実施形態によるコード
【0276】
図4は、本発明の第3の実施形態による実施形態Cによる中程度の弾性率のコード62を描いている。既に説明済みのコードのものと類似の要素は、同一参照番号で表記する。
【0277】
コード60と62の間の相違点の中でもとりわけ、実施形態Cによるコード62の内部層CI内の各内部ストランドTIの螺旋角度αが3°から24°までの範囲にわたり、この特定の事例ではα=9.1°である点にも注意されたい。同じく、実施形態Cによるコード62の外部層CE内の各外部ストランドTEの螺旋角度α’が、7°から22°までの範囲にわたり、この特定の事例ではα’=16.2°であることにも注意されたい。
【0278】
更に、実施形態Cによるコード62の場合には11°≦2α+β+γ≦64°であり、Q>1であることに起因して16°≦2α+β+γ≦63°であり、この特定の事例では2α+β+γ=29.6°であることにも注意されたい。
【0279】
実施形態Cによるコード62の実施形態では、120≦MI≦195であることに注意されたい。この場合、内部層は比較的高い弾性率を有し、136≦MI≦195であり、この特定の事例ではMI=186である。同じく、実施形態Cによるコード62の実施形態では、78GPa≦EI≦180GPaであることにも注意されたい。この場合、内部層は比較的高い弾性率を有し、95GPa≦EI≦180GPaであり、この特定の事例ではEI=173GPaである。
【0280】
更に、実施形態Cによるコード62の実施形態では、23°≦2α’+β’+γ’≦58°であり、Q’>1であることに起因して27°≦2α’+β’+γ’≦58°であることにも注意されたい。この特定の事例では2α’+β’+γ’=49.5°である。
【0281】
実施形態Cによるコード62の実施形態では、144≦ME≦188であることに注意されたい。この特定の事例ではME=162である。
【0282】
更に、実施形態Cによるコード62の実施形態では、45°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦108°であり、Q>1及びQ’>1であることに起因して60°≦2α+β+γ+2α’+β’+γ’≦108°であることにも注意されたい。この特定の事例では2α+β+γ+2α’+β’+γ’=79.1°である。
【0283】
0.70≦ME/MI≦1.30であり、実施形態Cによるコード62の実施形態では、0.76≦ME/MI≦1.30であり、この事例ではME/MI=0.87であることに注意されたい。同じく、0.57≦EC/EI≦1.43であり、実施形態Cによるコード62の実施形態では、0.72≦EC/EI≦1.43であり、この事例ではEC/EI=0.86であることにも注意されたい。
【0284】
本発明により、インジケータMC=(J×MI+L×ME)/(J+L)は、100≦MC≦175、好ましくは100≦MC≦170であるようなものである。実施形態Cによるコード62の実施形態では、150≦MC≦175であることに注意されたい。この特定の事例ではMC=169である。
【0285】
実施形態Cによるコード62の実施形態では、131GPa≦EC≦160GPaであり、それによってコード62が中程度の弾性率のコードになることに注意されたい。この場合、EC=149GPaである。
【0286】
本発明の第4の実施形態によるコード
【0287】
次に本発明の第4の実施形態による実施形態Aによる非常に低い弾性率のコード63を以下に説明する。既に説明済みのコードのものと類似の要素は、同一参照番号で表記する。
【0288】
コード60と63の間の相違点の中でもとりわけ、内部層が比較的高い弾性率を有し、136≦MI≦195であり、実施形態Aによるコード63の実施形態では、136≦MI≦192である点にも注意されたい。この特定の事例ではMI=173である。内部層が比較的高い弾性率を有し、95GPa≦EI≦180GPaであることに注意されたい。この特定の事例ではEI=158GPaである。
【0289】
同じく、外部層が比較的低い弾性率を有し、75≦ME≦120であることにも注意されたい。この特定の事例ではME=105である。
【0290】
コード63の実施形態では、ME/MI≦0.69、好ましくは0.39≦ME/MI≦0.69であり、この事例ではME/MI=0.61であることに注意されたい。同じく、EC/EI≦0.65、好ましくは0.36≦EC/EI≦0.65であり、実施形態Aによるコード63の場合には0.36≦EC/EI≦0.56であり、この事例ではEC/EI=0.50であることにも注意されたい。
【0291】
本発明の第5の実施形態によるコード
【0292】
次に本発明の第5の実施形態による実施形態Aによる非常に低い弾性率のコード64を以下に説明する。既に説明済みのコードのものと類似の要素は、同一参照番号で表記する。
【0293】
コード60と64の間の相違点の中でもとりわけ、特に0.70≦ME/MI≦1.30であり、この場合にはME/MI=1.17であることに注意されたい。同じく、0.57≦EC/EI≦1.43であり、実施形態Aによるコード64の実施形態では、0.57≦EC/EI≦1.23であり、この場合にはEC/EI=1.08であることにも注意されたい。
【0294】
本発明の第6の実施形態によるコード
【0295】
次に本発明の第6の実施形態による実施形態Bによる低い弾性率のコード65を以下に説明する。既に説明済みのコードのものと類似の要素は、同一参照番号で表記する。
【0296】
コード61と65の間の相違点の中でもとりわけ、内部層が比較的低い弾性率を有し、75≦MI≦135であり、この事例ではMI=98である点にも注意されたい。同じく、内部層が比較的低い弾性率を有し、25GPa≦EI≦94GPaであり、この事例ではEI=59GPaであることにも注意されたい。
【0297】
更に、コード65の実施形態では、1.31≦ME/MI、好ましくは1.31≦ME/MI≦3.30であり、実施形態Bによるコード65の実施形態では、1.31≦ME/MI≦2.35であり、この事例ではME/MI=1.65であることにも注意されたい。更に、コード65の実施形態では、1.21≦EC/EI≦3.00であり、実施形態Bによるコード65の実施形態では、1.21≦EC/EI≦2.82であり、この事例ではEC/EI=1.63であることにも注意されたい。
【0298】
本発明の第7の実施形態によるコード
【0299】
次に本発明の第7の実施形態による実施形態Cによる中程度の弾性率のコード66を以下に説明する。既に説明済みのコードのものと類似の要素は、同一参照番号で表記する。
【0300】
コード62と66の間の相違点の中でもとりわけ、コード66では、J=4及びL=10であり、更に各スレッドF1、F1’、F2、F2’は、その直径D1、D1’、D2、D2’が0.25mmから0.40mmまでの範囲にわたり、この場合にはD1=D1’=D2=D2’=0.35mmであるようなものである点にも注意されたい。
【0301】
上記で説明した各コードは、金属であり、かつ2つの円筒層を有するマルチストランドタイプのものであることに注意されたい。従って、コードを構成する2つのそれよりも多くも少なくもないストランド層が存在することは理解されるであろう。ストランド層は、隣接し、同心のものである。同じく、コードには、タイヤの中に組み込まれていない時にはポリマー化合物及びエラストマー化合物が存在しないことにも注意されたい。
【0302】
下記の表1は、上記で説明したコード60からコード66の特徴と、国際公開第2008/026271号の例2-2での表1にT2-2という文字で識別されるものの特徴とを要約している。
【0303】
この表1は、コードの実測弾性率値ECを列挙している。2014年のASTM D2969-04規格に従って測定した本発明によるコード60、61、及び62の力-伸長曲線をそれぞれ
図4、
図5、及び
図7に例示している。これらの図の各々では、力-伸長曲線の弾性部品に対するタンジェントを連続線を用いて作図し、EC弾性率値を計算することを可能にした。同じく、構造伸長As、弾性伸長Ae、及び塑性伸長Apも示した。構造伸長Asは、原点と弾性部品に対するタンジェントと横座標軸線との交点との間で測定したものである。弾性伸長Aeは、弾性部品に対するタンジェントと横座標軸線との交点と、弾性部品に対するタンジェントと破断点での伸長に対応する縦座標値との交点との間で測定したものである。塑性伸長Apは、弾性部品に対するタンジェントと破断点での伸長に対応する縦座標値との交点と破断点での伸長との間で測定したものである。
【0304】
当然ながら、本発明は、上記で説明した例示的実施形態に限定されない。
【0305】
工業生産の実現可能性、コスト、及び全体的な性能の理由から直線スレッド、すなわち、真直ぐなスレッドを用いて本発明を実施するのが好ましい。言い換えれば、用いられるスレッドは、組み立てられる前に事前形成されたものではない。
【0306】
同じく、上記で説明又は想定した様々な実施形態の特徴をこれらの特徴が互いに適合するという条件で組み合わせることも可能である。
【0307】
【符号の説明】
【0308】
60 2層マルチストランドコード
CE コードの外部層
CI コードの内部層
F1 内部ストランドの内部スレッド
TI 内部ストランド