(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】流体シール装置を備えるターボマシン
(51)【国際特許分類】
F16J 15/16 20060101AFI20230707BHJP
F16J 3/06 20060101ALI20230707BHJP
F01D 11/00 20060101ALI20230707BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20230707BHJP
F04D 29/08 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
F16J15/16 B
F16J3/06
F16J15/16 E
F01D11/00
F01K25/10 W
F04D29/08 C
(21)【出願番号】P 2020537594
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 IB2019050226
(87)【国際公開番号】W WO2019145809
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102018000002027
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520242090
【氏名又は名称】ターボデン・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】TURBODEN S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ガイア
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ビーニ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・モンテリージ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126046(JP,A)
【文献】実開昭53-113952(JP,U)
【文献】実開平04-010159(JP,U)
【文献】特開2012-132511(JP,A)
【文献】特開2000-310342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16-15/32
F16J 3/00-3/06
F01D 11/00
F01K 25/10
F04D 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子部分(17)と作動流体の存在下で前記固定子部分(17)に対して回転する回転子部分を備えるターボマシンであって、
前記回転子部分は、ベアリング(20)によって支持され、前記作動流体を閉じ込めるための少なくとも1つの回転シール(15b)を備える、回転シャフト(15)によって支えられる少なくとも1つの回転子ディスク(13)を備え、
前記ターボマシンは、前記回転シャフト(15)と同心の環状要素(30x)を備え、少なくとも1つの環状シール面(37)を備える、流体シール装置(10)と、前記固定子部分の前記環状要素(30x)の台座(31)と、を備え、
前記環状要素(30x)は、外部環境(E)から、前記作動流体がある回転マシンの内部環境(D)を分離して動作することができ、
前記環状要素は、前記環状シール面(37)が前記回転子部分と相互作用しない、後方非アクティブ位置から、前記環状シール面(37)が前記回転子ディスク(13)または前記回転シャフト(15)のヘッド(15c)に当接し、その結果分離を確実にする、前方アクティブ位置へ前記環状シール面(37)を動かすために拡張
または膨張できるベローズピストン(30x)であり、
冷却液が、前記ターボマシンの通常動作の間、前記ベローズピストン(30x)の内部に供給される、ターボマシン。
【請求項2】
前記ベローズピストンの前記台座(31)は、前記回転シャフト(15)と同心の環状台座であり、前記ターボマシンの前記固定子部分から前記回転子ディスク(13)または前記回転シャフト(15)の前記ヘッド(15c)に面する点まで、軸方向に沿って、すなわち前記回転シャフト(15)の回転軸と平行に、延在し、
前記ベローズピストン(30x)が
拡張または膨張することによって前記台座(31)の軸方向に滑る請求項1に記載のターボマシン。
【請求項3】
前記ベローズピストン(30x)は、異なる直径を有し、同心円状に配置され、第1の端部において第1のリング(30’)と接合され、反対の端部において第2のリング(30’’)と接合される2つの円筒要素(21,22)を備え、
内部の加圧可能な容積(V
i)は、前記2つの円筒要素(21,22)及び2つのリング(30’,30’’)の間で画定される、請求項1または2に記載のターボマシン。
【請求項4】
加圧流体の供給ダクト(11)は、前記流体シール装置(10)が動作できるように、前記第1のリング(30’)を通って延在する、請求項3に記載のターボマシン。
【請求項5】
前記第1のリング(30’)は、前記ベローズピストン(30x)の前記台座(31)に挿入され、前記ターボマシンの前記固定子部分に面し、そこに一体化され、
軸方向に動くことができる、前記第2のリング(30’’)は、前記環状シール面(37)を支え、前記回転子ディスク(13)または前記回転シャフト(15)の前記ヘッド(15c)に面する、請求項3または4に記載のターボマシン。
【請求項6】
前記ベローズピストン(30x)は、前記容積(V
i)を前記ターボマシンの内部環境(D)の圧力より高い圧力に加圧することによって動作されることができ、前記回転子部分と接触する前記環状シール面(37)を動かすために必要な最小圧力より低い圧力を、前記容積(V
i)で、復元することによって動作を停止させることができる、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のターボマシン。
【請求項7】
前記2つの円筒要素(21,22)、前記第1のリング(30’)及び前記第2のリング(30’’)は、金属で作られ、溶接によって接合される、請求項3乃至6のいずれか1項に記載のターボマシン。
【請求項8】
前記環状シール面(37)は、金属で作られ、前記環状シール面(37)と相補的な形状を有する平面または台座(40)と当接するように意図され、前記回転子ディスク(13)または前記回転シャフト(15)の前記ヘッド(15c)で得られ、または弾性材料で作られた環状ガスケットである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のターボマシン。
【請求項9】
2つの円筒要素(21,22)の少なくとも1つは、第1のリング(30’)と第2のリング(30’’)の間に連続して配置される2またはそれ以上の連絡室(V
11-V
13)に容積(V
i)を分ける1またはそれ以上の放射状セプタム(21A,21B)を備え、その結果冷却液のための優先経路を作る、請求項3乃至8のいずれか1項に記載のターボマシン。
【請求項10】
前記ベローズピストンは、第1のリング(30’)で得られる冷却液のための注入口(IN)と、前記注入口(IN)から第2のリング(30’’)近くの室(V
11)へ延在するカニューレ(50)を有し、
前記カニューレ(50)は、前記注入口(IN)に対して直径方向に反対の位置に、第1のリング(30’)で得られる冷却液のための排出口(OUT)を備え、
前記冷却液は、第2のリング(30’’)に近い室(V
11)から他の室へ流れ、端部において、それらが遮断される前記放射状セプタム(21A,21B)を超えることによって前記排出口(OUT)に流れる、請求項9に記載のターボマシン。
【請求項11】
有機ランキンサイクルで動作するタービンである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のターボマシン。
【請求項12】
固定子部分と、作動流体によって与えられる動作によって固定子部分に対して回転可能な回転子部分と、を備えるターボマシンの前記作動流体を閉じ込める方法であって、
前記回転子部分は、ベアリング(20)によって支持され、前記作動流体が出てくること防ぐための少なくとも1つのシール(15b)を備える、回転シャフト(15)によって支持される少なくとも1つの回転子ディスク(13)を備え、
前記方法は、
a)前記ターボマシンの外側の環境(E)から、作動流体がある、ターボマシンの内側の環境(D)を分離するように動作できる、ベローズピストン(30x)を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の流体シール装置(10)を、前記回転シャフト(15)の周り及び前記シール(15b)の周りに同心円状に配置するステップと、
b)後方非アクティブ位置から前方アクティブ位置にそれぞれの環状シール面(37)を動かすために、ターボマシンを停止し、ベローズピストン(30x)を拡張し/膨張し、必要な経過時間、内部環境(D)から外部環境(E)を分離するような位置にそれを維持するステップと、
c)前記ターボマシンが再始動する前に、前記それぞれの環状シール面(37)を前記前方アクティブ位置から前記後方非アクティブ位置に戻すために、前記ベローズピストン(30x)の動作を停止するステップと、を備え、
冷却液は、前記ターボマシンの通常動作の間、前記ベローズピストン(30x)の内部に供給される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体シール装置、すなわち動作流体の存在下で固定子部分に対する回転部分を有するマシンのためのシール装置に関し、特に損傷またはメンテナンスのために止まったとき、マシンの動作流体を閉じ込める意図があるシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
閉じたサイクルの動力生産システムの分野において、特に有機ランキンサイクル(ORC)の分野において、機械シールの役割は、設計及び計画に関する両方において、及びメンテナンス動作の管理において、重大な態様である。機械シール、生理学の自然のそれら及び破損に関するそれらの両方に由来する漏出は、主に次の要因によって、他よりこれらのタイプのシステムに強い影響を有する。
【0003】
-機械シールが作用する作動流体の高経済価値
【0004】
-ヨーロッパのATEX標準または同等のものに準拠する操作者の存在及び装備の使用を制限することが難しい領域での漏れ/漏出と関連する可能性のある毒性または爆発性環境
【0005】
過去には、ターボマシンの動作の間、動作流体の効果的な閉じ込めができるように研究された、回転シール装置が示唆された。しかしながら、特に高温の存在下において、回転シールは、その有効性を失い、マシンを止めるまたは回転シールを置換することによって解決されなければならない、マシンの著しい作動流体の漏出または空気及び潤滑流体の流入を引き起こす。回転シールが損傷したとき、及び特にその交換中、作動流体を閉じ込めるその能力を失い、そのためマシンの内部環境は、特定の予防措置が与えられなければ、外部環境と連通する。
【0006】
既知の技術のいくつかの解決法は、ターボマシンが止まったとき作動流体の漏出または汚染問題を少なくとも一部解くことができた。
【0007】
例えば、ターボマシンに与えられるシール及びブレーキ装置は、英国特許第964946号に記載される。装置は、ターボマシンが止まったとき、作動流体の通過を防ぐために用いられる。特に、装置は、固定子部分とマシンの円筒部を滑るピストンを接続する金属ベローズを備える。ターボマシンが止まったとき、ピストンは、補助流体によって動作し、そのため回転子ディスクとピストンを接触させる。
【0008】
電磁石によってポンプのシャフトに沿って軸方向に並進されることができるスリーブを備える、遠心力ポンプのシール装置が仏国特許第2563583号に記載される。スリーブの端部側は、固定子または回転子部品と当接するシールガスケットを有する。
【0009】
独国特許第3440635号は、ケースに対して油圧タービンの回転子をシールする構造を記載し、マシンの回転子部分と固定子部分の間に配置されたパッキン及びシールリングを提供する。
【0010】
欧州特許第2591211号は、回転子部分がベアリングによって支持され、第1の圧力において第1の環境Aを画定する少なくとも1つのシールシステムを備える、回転シャフトによって支えられる少なくとも1つのディスクを備える、回転マシンのための流体シール装置を記載する。固定子部分は、回転子部分のディスクの前に壁を有し、そのため回転子部分と固定子部分は、環境Aの第1の圧力より高いまたは低い第2の圧力において流体を含む第2の環境Bを、お互いの間で画定する。第1の環境Aと第2の環境Bは、回転シャフトのシールシステムによって分離する。回転シャフトと同心の動作可能なリング30は、固定子部分の壁と回転子部分のディスクの間に配置され、回転子部分のディスクの一部に面する少なくとも1つの環状シールガスケットを備える。マシンが止まったとき及びシールガスケットが回転子部分のディスクから離れる、後方非アクティブ位置と、シールガスケットが回転子部分のディスクにもたれる、前方アクティブ位置の間で、メンテナンス動作を実行する前に、リングは、命令で軸方向に動くことができる。実際に、動作可能なリングは、環境A,Bの1つから他の環境に流体が通過することを防ぐために、回転マシンが止まったとき、アクティブ位置に動く。動作可能なリングは、回転子部分のディスクの前で、固定子部分の壁に得られる環状凹部に収納され、案内される。後方非アクティブ位置から前方アクティブ位置への動作可能なリングの動作は、加圧流体によって引き起こされる。後方非アクティブ位置への反対方向への動作は、動作可能なリングと固定子部分の前記壁に拘束される反対リングの間に配置されるスラストスプリングによって得られる。
【0011】
欧州特許第2591211号に記載される解決法は、特に有機ランキンサイクルで動作するタービン及び有機流体遠心圧縮機を備えるチラーで、ターボマシンが止まったとき作動流体を効率的に閉じ込めることを証明した。一般に、欧州特許第2591211号に記載される解決法は、ORCサイクル及び他のサイクルで動作するタービンで用いられることができる。
【0012】
しかしながら、出願人は、欧州特許第2591211号に記載されたガスケット(特にリング30が固定子部分に対してシールを作ることによって軸方向に動くことができるそれら)は、特にターボマシンを横断する作動流体が、有機ランキンサイクルORCシステムの通常の温度(通常300℃以下)に対して著しく高温(すなわち350-400℃)に加熱される用途で、早く摩耗する傾向があることを発見した。その理由は、動作可能なリング及びガスケットが、また作動流体の温度近くの高温に届くまで、加熱される事実で確認された。特に、ガスケットの摩耗は、弾性特性を失うこと、シールシステムの有効性を落とす事実によって起こる。
【0013】
ガスケットの選択は、ORCサイクルにおいて、方法における温度によってだけでなく、ガスケット材料と有機流体の間の化学的適合性によって条件付けられる。
【0014】
英国特許公開第2054067号は、請求項1のプレアンブルに従う解決法を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】英国特許第964946号
【文献】仏国特許第2563583号
【文献】独国特許第3440635号
【文献】欧州特許第2591211号
【文献】英国特許公開第2054067号
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明の目的は、作動流体が300℃以上に達する環境においても、停止したターボマシンの作動流体の閉じ込めに関して、既知の解決法と比較して大きな性能を備えるターボマシンシール装置を提供することである。
【0017】
特に、本発明の目的は、より大きな信頼性(動作寿命)と有効性によって特徴付けられるシール装置を備える、ターボマシンを提供することである。
【0018】
したがって、本発明は、請求項1に記載される流体シール装置を備えるターボマシンに関する。
【0019】
特に、考慮される回転マシンは、作動流体の存在下で固定子部分に対して回転する回転子部分を有する。
【0020】
回転子部分は、ベアリングによって支持される回転シャフトによって支えられる少なくとも1つの回転子ディスクを備える。シャフトは、外部環境から作動流体を分離するために、例えば機械的な、少なくとも1つのシールを備えることが好ましい。
【0021】
第1の環境、または外部環境は、本発明のシール装置オブジェクトと作動流体が分離されなければならない外部環境の間に存在する任意の室、隙間、空間または環境を備える。第2の環境、または内部環境は、作動流体が設計されたサイクルの特異性に依存して、第1の環境に存在する圧力より高いまたは低い圧力において存在する、マシンの内部空間として画定される。
【0022】
マシンが停止したとき動作できるシール装置は、以下を備える。
【0023】
-少なくとも1つの環状シール面を備える、回転シャフトと同心の環状要素。
【0024】
固定子部分に得られ、または固定子部分に一体に固定された環状要素の台座。
【0025】
環状要素は、環状シール面がマシンの回転子部分と相互作用しない、後方非アクティブ位置から、環状シール面が、例えば回転子ディスクまたはシャフト自身など、マシンの回転子部分と当接する、前方アクティブ位置へ環状シール面を動かすために拡張可能または膨張可能なベローズピストンであり、マシンが停止したとき、内部環境から外部環境へ作動流体が通過することと、または逆に内部環境に空気が流入することを防ぐ。ベローズピストンは、マシンが動作するとき、すなわち回転子部分が回転するとき、環状シール面を後方位置に戻すために引っ込められる。
【0026】
有利に、冷却液は、マシンの通常動作の間、すなわち回転子部分が、作動流体によって、または作動流体に働かされる動作に応答して、固定子部分に対して回転するとき、ベローズピストンの内部に供給される。冷却液は、ターボマシンの作動流体、または異なる流体であることができる。
【0027】
好ましくは、ベローズピストンは、少なくとも1つの冷却液供給ダクト及び少なくとも1つのそれぞれの排出ダクトを備え、両方ともベローズピストンの内部容積で冷却液の循環を得るように構成される。
【0028】
本解決法は、現在利用可能な解決法に対して、さらに重大なOリング及びターボマシンの機械シールの欠如によって、以下に本明細書に記載されるであろう冷却動作によって、他の条件が等しければ、シールユニット自身の長い使用寿命を得ることができる。同時に、本解決法は、メンテナンス動作の期間を最小化し、これらの介入を単純化することができる。実際に、装置の活性化は、マシンの部分を解体する必要がなく、単純にベローズピストンの加圧を必要とする。
【0029】
一般に、従来の解決法に対して、他の条件が等しければ、本発明に従うシール装置は、機械シールの破損によって引き起こされるマシンストップの数を最小化することができ、さらに急速に介入することができる。
【0030】
実際に、本解決法の大きな利点は、さらに効率的にベローズピストンを冷却し、それにより機械シールの使用寿命を延ばす、以下に記載される、可能性によって構成される。
【0031】
好ましくは、ベローズピストンの台座は、例えば、シャフト上でアクティブな機械シールの外側の回転シャフトと同心の環状台座である。台座は、マシンの固定子部分から回転子ディスクに面する点まで、軸方向に、すなわち回転シャフトの回転軸と平行に延在する。動作したとき、ベローズピストンは、供給される加圧流体によって引き起こされる拡張/膨張によって台座の軸方向に滑る。この技術的特性において、出願人は、ベローズピストンが冷却液を供給される事実からはなれて、すなわち請求項1の特徴部とは独立に、分割特許出願を出願する権利を有する。
【0032】
好ましい実施形態において、ベローズピストンは、異なる直径を有し、第1の端部において第1のリングと接合され、反対の端部において第2のリングと接合されて同心円状に配置される、2つの円筒ベローズ要素を備える。好ましくは、まさに記載される要素は、金属で作られ、溶接によって接合される。内部加圧可能容積は、2つの円筒ベローズ要素と2つのリングとの間で画定される。ベローズピストンの活性化は、内部容積を加圧する、すなわち例えば圧縮空気または油など、加圧流体をこの内部容積に供給することによって得られる。この目的のために、加圧流体の供給ダクトは、第1のリングを通って延在する。この技術的特性において、出願人は、ベローズピストンが冷却液を供給される事実からはなれて、分割特許出願を出願する権利を有する。
【0033】
第1のリングは、ベローズピストンの台座に挿入され、マシンの固定子部分に面する。第2のリングは、シール面を支え、例えば回転子ディスクまたはシャフトのヘッドなど、マシンの回転子部分の部品に面する。ベローズピストンが動作するとき、ベローズピストンのシール面とマシンの回転子部分の間に主に存在する間隙は、取り消される。
【0034】
シールユニットの動作は単純である。ベローズピストンは、第2の環境に存在する圧力より高く、ベローズの軸方向に弾性変形を引き起こすのに十分な圧力へ内部容積を加圧することによって動作し、内部容積において回転子部分と接触するようにベローズのシール面を動かす必要がある最小の圧力より小さい圧力に戻すことによって動作を停止することができる。
【0035】
シールユニットの代わりの実施形態において、2つの円筒ベローズ要素の少なくとも1つは、ベローズピストンの内部容積を2またはそれ以上の連通室に分ける1またはそれ以上の放射状セプタムを備える。連通室は、第1のリングと第2のリングの間に連続して配置される。第2のリングに近い室は、これらが遮断される、放射状セプタムを追い越すことによって他の室に届く冷却液が供給される。冷却液は、ベローズピストンからの熱を取り除き、本発明のシステムオブジェクトのシール面と、制御温度においてベローズピストンとシャフトの間に配置される機械シールの両方を維持する。
【0036】
好ましくは、ベローズピストンは、第1のリングに得られる冷却液のための注入口と注入口から第2のリングの近くの室に延在するカニューレを有し、注入口に対して直径方向の反対の位置に第1のリングに得られる冷却液のための排出口を備える。この形態は、冷却液のための必須の経路を画定し、それがよどむことを防ぎ、それがベローズピストンの内側表面の全てに届くことを確実にする。
【0037】
本発明の第2の態様は、停止したターボマシンの作動流体を閉じ込める方法に関する。
【0038】
出願人は、上記で予測されたように、請求項2及び3、及び請求項8において分割特許出願を出願する権利を有する。
【0039】
本発明のさらなる特性と利点は、添付された図面の助けによって、説明の目的のみで、限定することなく描かれた好ましいが、排他的でない実施形態の次の詳細な記載の説明によってより強調されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】欧州特許第2591211号に関して前にコメントされた、最新技術を示す、タービンエキスパンダの一部の軸対称の、概略断面図である。
【
図2】第1の形態のシール装置を備える、本発明によるタービンエキスパンダの一部の軸対称の、概略断面図である。
【
図4】本発明によるターボマシンのシール装置の部品の軸対称の、概略断面図である。
【
図5】シール装置が第2の形態である、
図2で示されるタービンエキスパンダの軸対称の、概略断面図である。
【
図6】
図2で示されるタービンエキスパンダ及びそこに関連する加圧システムの軸対称の、概略断面図である。
【
図7】
図4で示されるシール装置の部品の代わりのバージョンの軸対称の、概略断面図である。
【
図8】
図7に示されるシール装置の部品の一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、既知技術に従う、特に有機ランキンサイクルORCシステムで動作するタービンのターボマシンの一部の概略図である。タービンは、ディスク13を支えるシャフト15を備える。シャフト15は、介在ベアリング20とベアリング20の左に設置され、図示されない他の介在ベアリングによって、チャックとも名付けられる支持スリーブ19で支持される。この場合において、ディスク13は、それがベアリング20の右に取り付けられるので、シャフトベアリングシステムに対してカンチレバのように作られる。シャフト15の周りで、それと支持スリーブ19の間に、少なくとも1つのシールシステム15bを支持し、シャフト15の回転を許容する、ハウジング15aが提供され、シールシステム15bの左に配置される、環境Aと、また左に対するディスク13の側面が面する環境Bの間の流体の通過を防ぎ、いずれにせよ制限するように、いずれにせよ効果的なシールを得る。シールシステムは、例として、1またはそれ以上の機械シール、1またはそれ以上の弾性リングシール、1またはそれ以上のスタッフィングシール、またはこれらの要素の組み合わせ、またはその他で構成される。回転シャフト15の支持スリーブ19が、例えばボルト、静的構造17など、すなわち回転しない取り外し可能な要素と(図でのように)一体化し、または固定されることができる。この静的構造17は、ディスク13の前の一部を有し、構造自身の外側の環境Cから環境Bを分離する。
【0042】
環境Aは、ベアリング20が存在する第1の圧力における環境に対応する。環境Bは、作動流体が第2の動作圧力において存在する、回転マシンの内部環境の一部に対応する。環境Cは、マシン設置位置に依存する静的構造またはケース17の外側の環境圧力である。シールシステム15bは、その結果環境Aと環境Bの間の圧力差を受け、そのため高圧における環境Bに存在する流体は、低圧における、環境Aに向かって流れる傾向を有し、上記されたように、その傾向は、一般にマシン動作の間、シールシステム15bによって邪魔される。逆にもし環境Bが環境Aより低圧ならば、機械シール15bは、空気または潤滑液体がプロセスの間、ベアリング及び/または機械シールに入ることを防ぐ。
【0043】
さらなるシール装置は、回転シャフト15によって支持されるディスク13の前の静的構造17(シールドまたはケース)の壁に得られる対応する環状凹部31で収納され、軸方向に案内される少なくとも1つの動作可能なリング30を備える。概して、環状凹部31と動作可能なリング30は、シャフト15と同心であり、凹部31が円筒として機能する一方で、動作可能なリング30は、当該ディスク13の面する面13aに向かって、及びそれから離れて当該凹部において、ピストンのように、命令で動作可能である。シールガスケット(34及び35)は、凹部31に対して動作可能なリングに取り付けられる。
【0044】
動作可能なリング30は、ディスク13に面するヘッド部を有し、当該部分の前に動作可能なリング30は、例えば弾性体で作られるOリングによって構成される環状前シールガスケット37が、収納され及び保持される環状喉部を備える。動作可能なリング30は、-
図1で示されるように-前シールガスケット37が、ディスク13の面する面13aから離れる、後方非アクティブ位置と、-右方向の図示されない-前シールガスケット37が当該ディスク13の面する面13aにもたれる、前方アクティブ位置の間を動かされることができる。当該前位置は、(例えばメンテナンス動作の間または回転シール15bを交換るとき)回転子が止まったとき、環境AまたはCから環境Bを分離するために、動作する。
【0045】
動作可能なリング30の変位は、ダクト44を通って提供される加圧流体によって引き起こされる。最初の位置への戻りは、ばね38によって引き起こされる。
【0046】
ガスケット34,35及び37は、もし長期間にわたって高温にさらされるならば摩耗を受ける。さらに、ガスケット34及び35が作られる弾性材料と適合する温度において作動するが、それらはそれらが受けなければならない動的挙動についてあまり示されていない。これらの問題は、これらのガスケット34及び35が排除されるので、本発明で請求された解決法によって解かれる。好ましい実施形態は、さらに詳細にここから記載される。
【0047】
図2-7は、本発明によるタービンの一部を示すが、本発明は、一般にさらなるタイプの回転マシンに適用できる。
【0048】
本質的に、
図2-7に示されるタービン部分は、簡単にするために同じ符号で示される、
図1に関して表され、上記されたそれらと等価ないくつかの部品及び部分を含む。
【0049】
さらに、本発明に関する記載及び図において、2つの環境:ベローズピストン30x及び外部環境の間の任意の環境を備える第1の環境E及び作動流体が存在するマシンの内側の空間として定義される第2の環境Dのみが簡単のために定義される。したがって、例えば
図1の環境A及びCは、
図2-7の環境Eに含まれる。
【0050】
回転シャフト15は、チャックとしても名付けられる静止支持スリーブ19に対するベアリング20によって支持される。符号15bによって、
図1に示されるシールシステム15a-15bと等価な、機械シール及びそれぞれの筐体は、概略で示される。
【0051】
示される実施例において、回転シャフト15のヘッド15cは、ヘッド15cにおいて、
図2-7で示されるように、シャフト15の残りより大きな直径を有する部分を有する。
【0052】
表現「軸の」は、本明細書でシャフト15の回転軸と平行な軸または方向を示すために用いられる。
【0053】
支持スリーブ19は、要素12’を備える接続リング12を間にいれることによって、例えばケースなど、タービンの静的構造17に拘束される(
図2及び3)。開口6は、タービンの作動流体の流入のためにケース17に画定され、拡張の始まりのために固定子ブレード7のアレイに向けられる。固定子ブレード7のアレイと流体連結される回転子ブレード8のアレイは、すぐその下流に配置され、回転子ディスク13によって支持され、次にそのヘッド15cにおいてシャフト15と連結され、その結果それと一体に回転する。
図3は、
図2の拡大図であり、詳細にシール装置10を示す。
【0054】
支持スリーブ19とタービンのケース17の間のフランジとして機能する接続リング12において、次が提供される。
【0055】
-シール装置10自身の活性化のための加圧流体の供給ダクト11
【0056】
-ダクト11によって到達するベローズピストン30xが軸方向に動作可能である、接続リング12及びそれに関連する要素12’によって特に画定される台座31。
【0057】
(例えばグラファイトの)前シール60は、接続リング12とベローズピストン30xのリング30’の間に提供され、リング30’と要素12’の間のように、黒い長方形として図に概略的に示される。
【0058】
場合によっては、台座31は、ケース17に直接実施されることができる。しかしながら、ケースに拘束されるが、とにかくそこから分離できる部品12及び12’の存在は、それが、チャックが存在する側面のケースから全て引き抜かれるので、ベローズシールシステム10の組み立て(マシンの実施の間)または分解(シールシステム10が機能不全に苦しむときはいつでもまたは全マシンを改造することを決めたならば)を容易にできる。
【0059】
図4は、タービンの他の部品から分離されたベローズピストン30xを示す。ベローズピストン30xは、第1のリング30’に対する側面(図の左)及び第2のリング30’’に対する他の側面(図の右)に溶接された、例えば鋼で作られた2つの同心円筒ベローズ要素21及び22によって形成される環状要素である。右のリング30’’において支持スリーブ19に面する、回転シャフトのヘッド15cの表面に得られる対応する環状台座40と係合するように意図されたシール面37がある。同様な形態において、環状台座40は、回転子ディスク13または回転シャフトと一体のその他の部分に直接得られる。シール面37及び40は、2つの相補的な表面(凹面-凸面)または平面(1または両方)であることができる。2つの円筒ベローズ要素21及び22は、回転シャフト15に対して外側に、接続リング12の周りに延在する。
【0060】
2つの円筒ベローズ要素21及び22の直径は、異なり、そのため内部容積Viは、内側円筒ベローズ要素21と外側円筒ベローズ要素22の間に画定される。加圧流体の供給ダクト11の一部は、リング30’を通って延在する。ベローズピストン30xが接続リング12で得られるそれぞれの台座31に挿入されるとき、ダクト11により、内部容積Viの加圧流体の供給が、ベローズピストン30xの拡張/膨張を引き起こすことができる。
【0061】
図3及び4で示されるように、左リング30’は、接続リング12に、そのためケース17に直接拘束され、そのため静止したままである。連結は、ねじまたはボルトで得られる。代わりに、左リング30’’は軸方向に固定されるが、回転子13への台座31での動きは自由である。そのため、内部容積V
iの加圧は、2つの円筒ベローズ要素21及び22の膨張を引き起こし、シール面37を環状台座40に当接させるまで、回転子ディスク13またはシャフトのヘッド15cへリング30’’を押す。
【0062】
ベローズピストン30xは、接続リング12と要素12’の間で、台座31に半径方向に拘束される。特に、リング30’’は、(ベローズピストンの半径方向にさらに内側に配置された)リング12によってまたは(ベローズの外側の)要素12’によって区切られた円筒表面に沿って動くことが自由である。そのため、2つの円筒ベローズ要素21及び22のアコーディオン状拡張は、2つの円筒表面の間に案内された軸方向にのみ起きることができる。
【0063】
実際には、内部容積V
iの加圧は、
図5に示される前方アクティブ位置に向かうベローズピストン30xのリング30’’の動作を引き起こす。
【0064】
実際に、
図5で示されるように、シャフトのヘッド15cに押すことによって、リング30’’は、ベアリング20と機械シール15bが取り付けられる領域からタービンの内部環境Dを分離するシールシステムを得、そのためそれらを安全に分解すること可能にし、作動流体のこぼれまたは汚染を回避する。実際に、タービンは、一部が
図5で分解して示され、シール装置10とケース17から空間を空けられた支持スリーブ19を備える。その後、環境DとEにいかなる連通がなくても、回転シール15bを取り除くこともできる。
【0065】
シール面37は、弾性材料で作られたOリングを用いることによって得られるが、既知の技術に関して記載されるように、高温は、Oリングガスケットに負の影響を有する。したがって、シール面37は、金属ガスケットであることが好ましくまたは、リング30’’の突起に適切に働くことによって得られ、そのため台座40と単なる金属-金属接触する。この場合において、流体のシールに関して最大性能を得るために表面37及び台座40を修正することが望ましい。とにかく、表面37と40の間の小さい漏出がメンテナンスを実行するのに必要とされる数時間の間存在するのみなので、許容されることに注意すべきである一方で、静的ガスケット34及び35を通る漏出は、マシンの「通常」動作を通して作用するので、
図1の静的ガスケット34及び35を排除することははるかに重要である。
【0066】
有利に、
図5に見られるように、シール装置10は、固定部分と動作可能部分(
図1の34と35)の間のOリングを使うことなく、タービンを分解できる。ベアリングを取り除く前に、タービンが停止されたとき、回転子及びシャフトは、外側から操作され、回転子の対応するねじ穴につかまることができる(
図1のラッチ51参照)、ケースを通る少なくとも1つのねじで固定され、支持される。シール装置10を作動させた後、タービンの内側に配置されるベアリング20と機械シール15bを交換することが可能である。ベアリング20または機械シール15bは、タービンの形態がカンチレバのように作られるのでもしそれらが支持スリーブ19の内部直径より小さいならば、シャフト15の左端部から滑り落ちることがある。そうでなければ、支持スリーブ19は、他の固定部分から拘束されなくなり、外部環境Eから分離するタービンの内部環境Dを維持しながら、ベアリング20と機械シール15bを引き抜くことができる。
【0067】
ベローズピストン30xの加圧は、空気、潤滑油、ORCサイクルの作動流体とともに作動することができる。
【0068】
メンテナンス動作の終了において、ダクト11の加圧流体の供給は、中断され、ベローズピストン30xの内側の容積V
iの圧力は、急速に最初の値に戻り、2つの円筒ベローズ要素21及び22の収縮を引き起こし(スプリングバック)、結果として台座31のリング30’’を後退させる、すなわち、
図2で示される後方非アクティブ位置にベローズピストン30xを戻すことを引き起こす。
【0069】
内部容積Viと外側の低い圧力差によって、ベローズピストン30xが前方アクティブ位置に拡張/膨張することを防ぐように2つの円筒ベローズ要素21及び22のループの大きさを決めることが望ましい。この予防措置は、ベローズピストン30xがターボマシンの通常動作の間、回転子部分と接触する予防に役立つ。例えば、大気圧より低い圧力で動作し、ベローズの内部容積Viがマシンの通常動作の間大気圧に維持されるシステムにおいて、ベローズピストン30xは、常に回転子ディスク13へそれを動かすかもしれない、圧力差に悩まされる。この動作は、適切に剛性のあるベローズ要素を選択することによって、すなわち、例えば長さ単位のループの数、ループの形状及び厚さを選択することによって、起こり得る。
【0070】
ベローズピストン30xの内部容積Viと内部環境Dの間の圧力差に依存するシール装置10の起こり得る動作方法は、次の表1に描かれる。
表1
【0071】
【0072】
2bar未満の圧力差において、シャフトのヘッド15cへの2つの円筒ベローズ要素21及び22の軸変形は、無視できる、すなわち1mm未満である。4barの圧力差において、2つの円筒ベローズ要素21及び22の軸変形は、ヘッド15cに向かって5mmでリング30’’を動かすために、シャフト15cのヘッドとわずかにリング30’’を接触させる環境であるが、シールを作り出す十分な推力はない。圧力差が増加すると、リング30’’とヘッド15cの間、特にシール面37と台座40の間の接触力が、増加し、シールを得る。
【0073】
図で示されない代替の形態において、ベローズピストン30xは、ばねによって後方非アクティブ位置に維持される。しかしながら、この決定は、タービンが停止している間、ベローズピストン30xを動作したいとき、タービンのばねの位置決めのための追加の空間及び容積Viの高加圧を必要とする。
【0074】
ベローズピストン30xは、冷却され、環境Dにある作動流体の温度より低くシールシステムの温度を維持するラジエータ要素の機能を果たす。冷却は、ベローズピストン30xの内部容積Viに冷却液を供給することによって、得られ、内部容積Viの冷却液の圧力がベローズピストン30xを動作するために必要な、すなわち2つの円筒ベローズ要素21及び22の拡張/膨張と、回転子部分へのシール面37の動作を引き起こすために必要である、最小圧力に届かない、またはそれを超えないことを確実にする。
【0075】
目的のために適切な冷却液は、例えば油及びターボマシンが挿入される熱力学サイクルで用いられる同じ作動流体である。冷却液の流れは、専用回路で循環するまたは潤滑システムの別の冷却回路から生じることができる。
【0076】
また放射面としてベローズピストン30xを用いる可能性は、-既知の技術に関連して述べられたように-動作寿命は、動作温度の増加と共に減少する傾向がある、機械シール15bの動作条件を改善することができる。
【0077】
ベローズ形態の利点によって、2つの円筒ベローズ要素21及び22が、より大きな熱交換面を有すると仮定すると、ベローズピストン30xの軸の拡張に関して、冷却は、特に効率がよい。
【0078】
図5は、概略的にシールシステム10がまた冷却のために用いられない場合のベローズピストン30xを動作するための可能性のあるシステムを示す。この場合において、単一の加圧流体供給ライン202は、例えば、バルブ201に接続される圧縮空気のラインまたは窒素ボトルなどで、十分である。加圧に続いて、バルブ201は閉じられる。さらに、回路の全ての漏出を補償し、メンテナンス動作を安全に実行することができるために、蓄積タンク200を用いることも望ましい。
【0079】
図6は、概略的にシールシステム10が冷却を受ける場合のベローズピストン30xを動作するための可能性のあるシステムを示す。2つの円筒ベローズ要素21及び22の内部の容積V
iは、2つのダクト:注入口ダクト11A及び排出口ダクト11Bに組み合わされ、そのため冷却回路300を得る。
図6に示される実施例において、回路300は、タンク105から冷却液を引き抜き、注入口チャネル11Aを通ってベローズピストン30xにそれを押し込むポンプ100を備える。ベローズピストン30xのその冷却動作を完成した後、冷却液は、チャネル11Bを通って外に出て、タンク105に戻り、適切な手段及び回路(図示せず)で冷却される。
【0080】
マシンが停止して、シール装置10が動作しなければならないとき、電気モータポンプ100が止まり、排出口チャネル11Bに配置されたバルブ103は閉じられる。したがって、例えば容積変位及び手動ピストン式のポンプ101は、回路300及びベローズピストン30xを加圧するように作動する。主ポンプ100の安全弁102は、ベローズピストン30xの加圧超過を回避するために用いられる。バルブ103を閉じることによって、及び超過した流れが安全弁102から排出されることができることによって、ポンプ100でのみベローズピストンを加圧することができる。
【0081】
ベローズシールシステムの不注意な切断を引き起こすことができる、いかなる損傷またはネットワークの中断とは無関係であるので、手動閉回路システムでシステムを作動し、すなわち加圧することが好ましい。
【0082】
図7及び8は、ベローズピトン30yの好ましい実施形態の概略図である。熱障壁としての有効性を改善するために、ベローズピストン30yの内部容積V
iは、2つの放射状セプタム21A及び21Bによって、3つの室V
11、V
12及びV
13にさらに分けられる。この予防措置は、よどみ領域を回避し、冷却液のための優先的な経路を作り出すことができる。それぞれのセプタム21A及び21Bは、ベローズ要素21のループに溶接されたリング20A及び20Bのそれぞれの部分であり、ベローズピストン30yの軸範囲の約3分の1及び3分の2において配置される。
【0083】
内部容積V
iの冷却液供給は、注入口INから最も遠い室V
11まで、カニューレ50を通って生じる。冷却液は、
図8の点線矢印によって示されるように、接線方向に分配される。室V
11において、セプタム21Bによって左に、リング30’’によって右に区切られる、冷却液は、注入口チャネルINに対して、すなわちセプタム21Bがある角度範囲において遮断する約180°においてセプタム21Bを追い越すまで、2つの円筒ベローズ要素21及び22の間のループに沿って接線方向に流れる。したがって、流体は、中間室V12に通り、セプタム21Aによって左に、セプタム21Bによって右に区切られる、正接方向にその経路を続ける。注入口カニューレ50において、セプタム21Aは、遮断され、そのため流体は、室V
13にアクセスし、ベローズの間の空間を再び横断し、最後に排出口OUTに向かって行く。
【0084】
放射状セプタム21A及び21Bによって画定される室V
11-V
13の間の冷却液の通路は、セプタム21A及び21Bが半径方向に2つの円筒ベローズ要素21及び22の間に存在する全隙間を妨害しない場所で生じる。
図7及び8において、セプタム21Bは、上部で遮断する一方で、セプタム21Aは、また注入口カニューレ50がある下部で遮断する。例えば、両方の場合において、セプタムの遮断は約20°において延在する。
【0085】
2つの円筒ベローズ要素21及び22の平均直径は、かなり異なり、または他の構造的な要求のために(例えば、異なる剛性を補償するために)、ベローズ要素は、数、大きさ及び形状に関して異なるループを有することができる。それぞれの円筒ベローズ要素21,22は、単一の壁または多層技術で作られることができる。