(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】三次元画像を表示するための装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/608 20140101AFI20230707BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20230707BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G03B21/608
G02B5/22
G03B21/00 D
(21)【出願番号】P 2020547076
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2019055305
(87)【国際公開番号】W WO2019170598
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-02
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514156563
【氏名又は名称】アイメック・ヴェーゼットウェー
【氏名又は名称原語表記】IMEC VZW
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・ロッテンベルク
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ローデウェイクス
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-092582(JP,A)
【文献】特表2005-531812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0227694(US,A1)
【文献】特開2008-268694(JP,A)
【文献】特開2011-039235(JP,A)
【文献】特開2003-287711(JP,A)
【文献】特開2009-186654(JP,A)
【文献】特開2006-249254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
G02B 5/00-5/32
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元画像を表示するための装置であって、前記装置(100)は、
入射光線(112)を受け取り、三次元ライトフィールドを生成するように構成されたライトフィールド生成ユニット(110)と、
前記ライトフィールド生成ユニット(110)によって生成された三次元ライトフィールド
によって照明され、三次元画像を形成または表示するように配置された画像表示媒体(120)と、を備え、
前記画像表示媒体(120)は、流体中に浮遊する気泡または粒子を有する流体を含み、前記気泡または粒子は、40~
200nmの範囲のサイズを有する、装置。
【請求項2】
前記気泡または粒子は、50~150nmの範囲のサイズを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体は、水性液体である、請求項1
または2に記載の装置。
【請求項4】
前記気泡は、空気、または酸素、窒素、または二酸化炭素を含む他の気体で満たされる、請求項1ないし
3のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記気泡または粒子のサイズおよび流体中の気泡または粒子の濃度は、光線の光の波長に対して10~200dB/mの範囲の光減衰定数を提供するために選択される、請求項1ないし
4のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記気泡または粒子のサイズおよび流体中の気泡または粒子の濃度は、200μm未満の流体中の2つの隣接する気泡または粒子間の平均距離を提供するために選択される、請求項1ないし
5のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記流体中の気泡の濃度は、2×10
14気泡/m
3より大きい、請求項1ないし
6のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記画像表示媒体(120)が配置される容器(130)をさらに備え、前記容器(130)の壁(132)の少なくとも一部は、前記流体中の気泡または粒子によって散乱される光の出力に対して透明である、請求項1ないし
7のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記画像表示媒体(120)を前記容器(130)に出し入れするために、前記容器(130)に接続された少なくとも1つのチャネル(104;106)をさらに備える、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記画像表示媒体(120)は、前記容器(130)内に配置され、前記容器(130)内に生成されたライトフィールドの光の伝播方向に気泡または粒子の濃度が増加する、請求項
8ないし
9のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記画像表示媒体(120)を伝播する光線の減衰の尺度として受信光の強度を検出するために、前記画像表示媒体(120)を透過する光を受信するように構成された少なくとも1つの較正センサ(160)をさらに備える、請求項1ないし
10のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記ライトフィールド生成ユニット(110)によって生成されたライトフィールドを前記画像表示媒体(120)に移送するための光学システム(118)をさらに備える、請求項1ないし
11のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記ライトフィールド生成ユニット(110)によって出力された三次元ライトフィールドにおける光の分布を制御するために前記ライトフィールド生成ユニット(110)を制御するコントローラユニット(150)をさらに備える、請求項1ないし
12のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、前記ライトフィールド生成ユニット(110)に入射する光線(112)を生成するように構成された少なくとも1つの光源(140)をさらに備える、請求項1ないし
13のうちいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概念は、三次元画像を表示するための装置に関する。特に、本発明の概念は、投影された三次元ライトフィールドに基づいて画像を形成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元ディスプレイは、多くの異なる方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、三次元ディスプレイは、光源の分布を含み得る。これは、三次元ディスプレイを形成するためのソースを制御するために、複雑なハードウェアが必要になることを意味する。
【0003】
しかしながら、他の実施態様では、ホログラフィック画像は、ライトフィールドの三次元制御によって形成されてもよい。したがって、ライトフィールドの投影は、三次元空間に形成され得る。次に、観察者が見ることができる画像を作成するために、三次元ライトフィールドは、光が散乱される媒体を介して伝播する必要がある場合がある。散乱点は、光の起点を形成し、その結果、散乱点は、三次元ライトフィールドに基づいて見ることができる画像を形成することができる。
【0004】
米国特許出願公開第2010/0321478号明細書では、裸眼の観察者が自然の奥行き手がかりと優れた画質で複数の視点から静的または移動物体を観察できるようにする体積測定の三次元グラフィックまたはコンピュータディスプレイが開示されている。ディスプレイは、微粒子アレイから形成された移動スクリーンを利用する。複数の画像は、画像体積を通過するときに各フライングスクリーンに光学的に投影される。それにより、各体積フレームのいくつかまたは多くの必要なスライスを表示するために必要なのは、画像体積ごとに1つの画面だけなので、粒子の質量流量を最小限におさえる。
【0005】
しかしながら、三次元画像を生成するために使用される媒体を制御することは比較的複雑であり、実際に機能する三次元ディスプレイを可能にするように媒体の制御を容易にすることが望まれるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の概念の目的は、実際に動作可能であり得、三次元画像を生成するために使用される媒体の一定かつ細心の制御を必要としない三次元ディスプレイを提供することである。
【0007】
本発明のこの目的および他の目的は、独立請求項で定義される本発明によって少なくとも部分的に満たされる。好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
第1の態様によれば、三次元画像を表示するための装置が提供される。この装置は、入射光線を受け取り、三次元ライトフィールドを生成するように構成されたライトフィールド生成ユニットと、三次元ライトフィールド生成ユニットによって生成された三次元ライトフィールドを受け取るように構成された画像表示媒体と、を備え、画像表示媒体は、泡または粒子が流体中に浮遊する流体を含み、泡または粒子は、40~500nmの範囲のサイズを有する。
【0009】
三次元フィールドを受け取る画像表示媒体は、入射光を散乱させるように構成される。したがって、各散乱点は、観察者が三次元ライトフィールドの光の散乱によって形成された三次元画像を見ることができるように、光の起点を形成することができる。三次元ライトフィールドは、形成される三次元画像を制御するために画像表示媒体の各部分から散乱される光の強度を制御することができ、一方、画像表示媒体は、観察可能な三次元画像が形成されることを保証することができる。
【0010】
気泡または粒子の所望の分布を画像表示媒体中に有することにより、画像表示媒体が、受け取られた三次元ライトフィールドに基づいて観察可能な三次元画像を適切に形成することが確実になる。
【0011】
本発明の概念に係る気泡または粒子のサイズの選択のおかげで、気泡または粒子は、中立の浮力を示し得る。これは、画像表示媒体内の気泡または粒子の動きの正味の影響が、実質的でないか、またはゼロに近いことを意味する。したがって、画像表示媒体内の気泡または粒子の分布は、長期間に亘って一定またはかなり一定のままであり得る。
【0012】
泡または粒子に負の表面電荷が与えられ、均一な泡または粒子の分布(十分な高濃度の場合)を得るのに役立ち、同じ電荷を有する泡または粒子間のクーロン力を反発させることにより、媒体内で長期間安定していることが分かる。この効果により、流体中の気泡または粒子のかなり一定した分布が生じ、気泡または粒子間の平均距離が非常に均一になり、画像表示媒体内の散乱効果の均一性が促進される。
【0013】
したがって、本発明の洞察は、気泡または粒子のサイズを40~500nmの範囲内に選択することにより、画像表示媒体内での気泡または粒子の安定した分布が、画像表示媒体の長期安定性を可能にし得る。したがって、画像表示媒体は、三次元画像または三次元ビデオなどの一連の三次元画像を形成するために長期間に亘って使用することができる。
【0014】
さらに、気泡を含む画像表示媒体の場合、流体に浮遊している場合、40~500nmの範囲のサイズの気泡により、気泡の長期的な安定性が確保される。ミリメートル範囲の大きなサイズの気泡は、媒体の表面に急速に上昇し、その後、表面に到達すると破裂する可能性があり、マイクロメートル範囲の大きなサイズの気泡は、サイズが小さくなり、流体中に消える傾向があることがわかる。したがって、気泡のサイズを40~500nmの範囲内にあるように選択することにより、気泡が流体中に浮遊する気泡として維持されるように、気泡のサイズが減少または増加しない長期的な安定性を有することが保証され得る。
【0015】
流体中に浮遊する気泡または粒子は、ティンダル散乱および/またはレイリー散乱に基づく光の散乱を引き起こす可能性があり、どちらも光の波長と気泡/粒子のサイズとの関係に基づく光散乱メカニズムを提供する。気泡/粒子のサイズが光の波長よりはるかに小さい場合、レイリー散乱が発生する可能性がある。一方、気泡/粒子のサイズが小さく、光の波長のサイズ付近の場合、ティンダル散乱が発生する可能性がある。
【0016】
レイリー散乱および/またはティンダル散乱を利用すると、適切な濃度で流体中に配置された気泡または粒子で画像表示媒体を形成できるため、形成された三次元画像をはっきりと見えるようにするために、十分に強い散乱光の強度を提供することができる一方、画像表示媒体を通って伝播される光の減衰は、画像表示媒体の大きい体積から画像を形成するために、光が画像表示媒体の全ての部分に到達することを可能にするほど高すぎない。
【0017】
画像表示媒体中の気泡または粒子の濃度の選択は、三次元画像の最小の識別可能な詳細を形成する画像表示媒体の各部分であるボクセルが、複数の気泡または粒子を含むことに基づく均一な散乱効果を有することを保証することに基づいてもよい。さらに、気泡または粒子の濃度の選択は、画像表示媒体を通って伝播する光の減衰が高すぎないことを保証することに基づくことができる。本発明の概念に係る気泡または粒子のサイズの選択のおかげで、画像表示媒体内の気泡または粒子の適切な濃度が使用され得ることも保証され得る。
【0018】
少なくとも40nmのサイズの気泡または粒子の使用は、気泡または粒子の均一なサイズを有しながら、より小さいサイズの気泡または粒子を生成することが実際には非常に困難であり得るという点で有利であり得る。したがって、気泡または粒子のサイズは、気泡または粒子のサイズの信頼できる生成が提供され得ることを容易にし得る。
【0019】
500nm以下のサイズの気泡または粒子の使用は、2つの散乱点間の分離が大きすぎない可能性があり、高解像度の均一な散乱効果を提供して高品質三次元画像を形成できるという点で有利である可能性がある。
【0020】
気泡または粒子は、一般に球形であり得る。特に、40~500nmのサイズ範囲の気泡の場合、気泡は、一般に、気泡が球形であり得ることを意味する最大化された表面積を有する形状を形成し得る。球形の気泡または粒子のサイズは、球の直径に対応すると理解されるべきである。したがって、一実施形態によれば、気泡または粒子は、40~500nmの範囲の直径を有する。
【0021】
しかしながら、気泡または粒子は必ずしも正確に球形である必要はないことを理解されたい。次に、気泡または粒子のサイズは、気泡または粒子の最大断面寸法として理解され得る。
【0022】
不規則な形状の気泡または粒子は、不規則な形状の気泡または粒子と同等の体積を有する球の直径である同等の球径を有し得る。気泡または粒子のサイズは、不規則な形状の気泡または粒子の球相当直径として理解できる。
【0023】
さらに、本発明の概念は、長期間に亘って一定またはかなり一定のままである画像表示媒体内の気泡または粒子の分布を提供することができるが、その分布は、画像表示媒体全体に亘って必ずしも均一である必要はないことを理解されたい。以下でさらに詳述されるように、気泡または粒子のサイズは、画像表示媒体の異なる部分の間で異なり得、気泡または粒子の濃度もまた、画像表示媒体の異なる部分の間で異なり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ライトフィールド生成ユニット」という用語は、入射光線に基づいて光の三次元分布を形成することができる任意のユニットとして解釈されるべきである。ライトフィールド生成ユニットは、入射光線を反射するか、または入射光線を透過するように構成され得る。
【0025】
ライトフィールド生成ユニットは、複数のセルを備えることができ、各セルは、入射光線の一部との相互作用を提供するために、入射光線の一部と相互作用するように構成することができる。組み合わせて、入射光線の部分と複数のセルとの間の相互作用は、三次元ライトフィールドを形成することができる。セルは、光との相互作用が変化するように制御可能であり得、これにより、三次元ライトフィールドの分布を動的に制御でき、したがって、表示される三次元画像を動的に制御できる。しかしながら、装置が特定の静的な三次元画像の表示に適合されるように、複数のセルが入射光線との静的な相互作用を提供してもよいことが理解されるべきである。
【0026】
一実施形態によれば、気泡または粒子は、40~200nmの範囲のサイズを有する。
【0027】
200nm以下のサイズの気泡または粒子の使用は、例えば、水中で気泡を使用する場合、相対的な散乱断面積が比較的低く、その結果、画像表示媒体による散乱損失が比較的低いという点で有利であり得る。これは、光が画像表示媒体を伝播して、光が画像表示媒体の全ての部分に到達し、画像表示媒体の大きい体積から画像を形成できることを意味する。さらに、2つの散乱点の間の分離はあまり大きくなくてもよく、そのため、高解像度の均一な散乱効果が提供され、高品質の三次元画像を形成することができる。
【0028】
一実施形態によれば、気泡または粒子は、50~150nmの範囲のサイズを有する。
【0029】
150nm以下のサイズの気泡または粒子の使用は、高解像度の均一な散乱効果が得られるように、画像表示媒体による散乱損失が低く、2つの散乱点間の分離が小さいことを保証する上でさらに有利である。
【0030】
少なくとも50nmのサイズの気泡または粒子の使用は、気泡または粒子のサイズの信頼できる生成が提供され得ることをさらに容易にし得るという点で有利であり得る。
【0031】
一実施形態によれば、流体は水性液体である。これは、危険性のない液体を使用できることを意味し、画像表示媒体の取り扱いを簡素化する。これは、装置から取り除かれる画像表示媒体、例えば、画像表示媒体を交換する際に、容易に廃棄することができる。
【0032】
水性液体と実質的に透明な気体との間の屈折率の違いにより、画像表示媒体が画像を観察するために適切な強度の光を散乱させることができるように、適切なレベルの散乱を提供することができる。一方、光が画像表示媒体を伝播して、画像表示媒体の大きい体積から画像を形成するために光が画像表示媒体の全ての部分に到達できるようにする。
【0033】
粒子を形成するための適切なプラスチック材料、例えば、ポリスチレン材料を選択することにより、水性液体と粒子との間の屈折率の対応する関係が提供され得ることが理解されるべきである。しかしながら、水性液体と透明気体との間の屈折率の関係とは逆に、ポリスチレン粒子の屈折率は、水性液体の屈折率よりも大きい場合がある。
【0034】
一実施形態によれば、気泡は、空気、または酸素、窒素および/または二酸化炭素を含む他の気体で満たされる。これは、気泡に使用されている物質が無害であることも意味する。これにより、画像表示媒体の処理と気泡の生成が簡単になる。
【0035】
一実施形態によれば、流体中の気泡または粒子のサイズおよび気泡または粒子の濃度は、光線の光の波長に対して10~200dB/mの範囲の光減衰定数を提供するように選択される。
【0036】
散乱断面積は、気泡または粒子のサイズに依存するため、気泡または粒子のサイズの選択は、気泡または粒子の散乱効果を制御することができる。
【0037】
気泡または粒子の濃度の選択は、画像表示媒体の体積単位あたりの散乱点の数が変更されるときに、画像表示媒体における光減衰も制御する。
【0038】
画像表示媒体の光減衰定数は、画像表示媒体の体積を通って完全に伝播する光の量を定義することができる。光減衰定数は、大量の光が画像表示媒体によって散乱される一方で(三次元画像を形成するのに十分な強度の光を得るために)、かなりの量の光が完全に画像表示媒体(三次元画像の形成において観察可能な光の強度を散乱させることに寄与するように、入射光線から最も離れている画像表示媒体の部分が十分な光の強度を受け取ることができるように)を通過することができるように選択され得る。したがって、入射光線の強度の10%~1%の間が画像表示媒体の全体の体積を通って伝播することを可能にするように散乱減衰が設定されることが適切であり得る。これは、画像表示媒体が十分な強度の光を受け取ることを可能にする一方で、画像表示媒体が十分な強度の光を散乱することを可能にし得る。
【0039】
さらに、比較的大きな三次元画像の形成を可能にするために、画像表示媒体の体積が比較的大きいことが望ましい場合がある。例えば、画像表示媒体の体積の立方体の側面は、0.1~1mの範囲のサイズを有し得る。光の適切な散乱減衰を可能にしながら、画像表示媒体の大きい体積を有するために、したがって、10~200dB/mの範囲の光減衰定数を有することが望ましい場合がある。
【0040】
したがって、気泡または粒子のサイズ、および流体中の気泡または粒子の濃度は、光減衰定数が10~200dB/mの範囲に設定されることを保証するように選択され得る。
【0041】
一実施形態によれば、気泡または粒子のサイズおよび流体中の気泡または粒子の濃度は、200μm未満の流体中の2つの隣接する気泡または粒子間の平均距離を提供するために選択される。
【0042】
上述のように、気泡または粒子のサイズおよび気泡または粒子の濃度は、画像表示媒体の光減衰定数を制御し、光減衰定数が三次元画像の形成に使用される画像表示媒体の体積の適切なサイズを可能にするために適切であることを保証するために選択され得る。
【0043】
しかしながら、気泡または粒子の濃度の選択は、各ボクセルが光の信頼できる散乱を提供するように、画像表示媒体の最小の識別可能な単位内で十分な数の気泡または粒子が利用可能であるべきであることも考慮する必要があるかもしれない。したがって、各ボクセルについて、画像表示媒体は、複数の散乱点、すなわち、気泡または粒子を含み、十分な強度の光が各ボクセルから確実に散乱されるようにする必要がある。
【0044】
ボクセルのサイズは、装置の所望の解像度によって設定され得る。しかしながら、大きなサイズのディスプレイ(例えば、画像表示媒体の1×1×1mの寸法を有する)の場合、高品質の画像は、通常、立方体ボクセルの側面が1mmのサイズを有することを必要とする場合がある。したがって、複数の散乱点が1mmの辺を有するボクセルに適合することが望ましい場合がある。より小さなサイズのディスプレイについては、例えば、画像表示媒体の寸法が0.1×0.1×0.1mである場合、立方体のボクセルの側面がはるかに小さいことが望ましい場合があることも理解されたい。例えば、立方体のボクセルの側面のサイズは100μmである。したがって、上記の大型ディスプレイの例に関して散乱点の濃度が増加するように、複数の散乱点が100μmの側面を有するボクセルに適合することが望ましい場合がある。しかしながら、画像表示媒体の総体積が小さいため、散乱点の濃度が増加することによる光減衰定数の増加は、画像表示媒体の全体の体積を通って伝播する三次元ライトフィールドの光において問題を引き起こさない場合かもしれない。
【0045】
したがって、三次元画像の形成において適切な解像度を得るために、いくつかの実施形態では、画像表示媒体は、画像表示媒体内の隣接する気泡または粒子間の平均距離が200μm未満になるように選択され得る。他の実施形態では、画像表示媒体は、画像表示媒体内の隣接する気泡または粒子間の平均距離が30μm未満になるように選択されてもよい。
【0046】
一実施形態によれば、流体中の気泡の濃度は、2*1014気泡/m3より大きい。流体中、特に、水性液体中のそのような気泡の濃度は、画像表示媒体に抗菌機能を提供することができる。これは、画像表示媒体において細菌増殖が起こらないか、または実質的に減少することを意味し、長期使用のために画像表示媒体を装置内に維持できるため、これは特に有利であり得る。したがって、画像表示媒体中にバクテリアが存在する危険性が低く、装置内で画像表示媒体を交換するときの画像表示媒体の取り扱いを簡単にすることができる。
【0047】
一実施形態によれば、装置はさらに、画像表示媒体が配置される容器を備え、容器の壁の少なくとも一部は、流体中の気泡または粒子によって散乱された光を出力するために透明である。
【0048】
容器は、画像表示媒体を配置することができる明確な空間を提供することができる。したがって、画像表示媒体は、三次元画像を生成する際に使用される体積を形成するための容器内に維持され得る。
【0049】
容器は、光が容器の壁を透過して観察者に到達することを可能にするように、有利には透明な壁を備えることができる。画像表示媒体に形成された三次元画像を特定の方向から観察できるようにするために、容器の壁の一部を透明にすることができる。しかしながら、三次元画像をあらゆる方向から観察できるようにするために、容器の壁全体が透明であってもよい。
【0050】
一実施形態によれば、容器は、光を画像表示媒体に受け取るように、ライトフィールド生成ユニットに対して配置されてもよい。例えば、容器は、ライトフィールド生成ユニットが形成される共通の基板上に形成されてもよく、例えば、ライトフィールド生成ユニットの上方に配置されて、容器の底面を通して光を受け取る。
【0051】
装置は、1つまたは複数のレンズなどの1つまたは複数の光学構成要素を、ライトフィールド生成ユニットと容器との間に備えて、容器内の画像表示媒体における三次元ライトフィールドの分布を制御することができる。このような光学構成要素は、光を画像表示媒体に導くための容器の壁の一部を形成することができる。
【0052】
一実施形態によれば、装置は、画像表示媒体を容器内外に移送するために容器に接続された少なくとも1つのチャネルをさらに備える。
【0053】
これにより、容器内の画像表示媒体を定期的に交換することが容易になる。したがって、画像表示媒体の品質が気泡のサイズや濃度が画像表示媒体で変化するなど、劣化した場合、画像表示媒体は、チャネルを介して容器から移送され、所望の特性を備えた新しい画像表示媒体と交換することができる。
【0054】
少なくとも1つのチャネルは、装置の部品の分解を必要とすることなく、画像表示媒体の交換を容易に実行できることを保証することができる。
【0055】
画像表示媒体には長期の安定性が備わっている場合があるが、画像表示媒体の所望の品質の特性を維持するために、1日1回、週1回、または月1回などの定期的な間隔で交換する必要がある場合がある。
【0056】
一実施形態によれば、画像表示媒体は、容器内に生成されたライトフィールドの光の伝播方向に気泡または粒子の濃度が増加するように容器内に配置される。
【0057】
光が画像表示媒体を介して伝播する間に散乱されるので、光の強度は、光の伝播の方向に沿って減衰する。これは、画像表示媒体の体積の一部によって受け取られる光強度が光の伝播方向に沿って減少することを意味し、したがって、散乱光の強度が減少する可能性がある。光の伝播に沿って増加する気泡または粒子の濃度を有することにより、散乱光の強度を減少させる効果は、少なくとも部分的に打ち消され得る。これは、三次元画像の全ての部分において比較的均一な光強度で三次元画像を形成することを可能にし得る。
【0058】
追加または代替として、画像表示媒体は、容器内に配置され、容器内で生成されたライトフィールドの光の伝播方向に沿って、流体中に浮遊する気泡または粒子のサイズが増大する。気泡または粒子のサイズが大きくなると散乱強度が増大する可能性があるため、これはまた、画像表示媒体内の光の伝播方向に沿って散乱光の強度を低下させる影響を打ち消す可能性がある。
【0059】
さらに他の実施形態によれば、画像表示媒体は、増加する気泡または粒子の濃度と、増加するサイズの気泡または粒子と、容器内で生成されたライトフィールドの光の伝播方向に沿って流体中に浮遊する組み合わせとを有するように容器内に配置される。
【0060】
したがって、気泡または粒子の濃度および気泡または粒子のサイズを組み合わせて使用して、三次元画像の全ての部分で比較的均一な光強度で三次元画像を形成することが可能となる。
【0061】
表示媒体内の気泡または粒子の濃度またはサイズが異なると、気泡または粒子は、一定の時間後に一定の濃度およびランダムなサイズ分布が達成されるように再配列する傾向がある場合がある。
【0062】
一実施形態によれば、容器は、異なる特性(気泡または粒子の濃度および/または気泡または粒子のサイズ)を有する画像表示媒体の異なる部分を分離するために、透明な仕切り壁を備えることができる。透明な仕切り壁は、非常に薄く、容器内の光の伝播に最小限の影響を与えるために、画像表示媒体の流体と同じまたは少なくとも同様の屈折率を有する材料から形成することができる。したがって、透明な仕切り壁は、気泡または粒子の異なる濃度および/またはサイズが画像表示媒体内で長期間に亘って維持されることを保証することができる。
【0063】
代替的または追加的に、容器は、複数のチャネルを備えてもよく、異なる特徴を有する流体が容器の異なる部分に導入されることを可能にし、画像表示媒体は、少なくとも短時間、光の伝播方向に沿って異なる特徴を有することができる。複数のチャネルを使用して、連続的に、または必要に応じて、容器のそれぞれの部分に所望のサイズの気泡または粒子の所望の濃度を導入し、画像表示媒体の異なる部分で気泡または粒子の異なる濃度および/またはサイズを維持することができる。
【0064】
一実施形態によれば、装置は、画像表示媒体を伝播する光線の減衰の尺度として受信光の強度を検出するために画像表示媒体を透過する光を受け取るように構成される少なくとも1つの較正センサをさらに備える。
【0065】
較正センサは、装置内の画像表示媒体が交換されたときに、新しい画像表示媒体の光の減衰を決定するために使用されてもよい。較正センサの結果は、画像表示媒体が受け取る光の強度を設定するのに使用することができる。
【0066】
較正センサはまた、画像表示媒体の減衰を決定し、画像表示媒体の特性が変化して(例えば、気泡の濃度が低下した場合)、画像表示媒体を交換する必要性を識別できるかどうかを検出できるようにするために使用することもできる。
【0067】
容器が画像表示媒体を複数の区画に配置するための仕切り壁を備える場合、各区画はそれぞれの較正センサに関連付けられてもよい。したがって、各区画の較正センサからの結果は、画像表示媒体によって受け取られる光の強度を設定するための、および/または各区画の所望の特性が提供されることを制御するための入力として使用され得る。例えば、各区画内の画像表示媒体の光の所望の減衰が提供される(望ましくない特性が識別された場合、区画内の画像表示媒体を交換することができるように)。
【0068】
一実施形態によれば、装置は、ライトフィールド生成ユニットによって生成されたライトフィールドを画像表示媒体に移送するための光学システムをさらに備える。
【0069】
光学システムは、ライトフィールド生成ユニットからの光を画像表示媒体に導くことができる。これは、ライトフィールド生成ユニットと画像表示媒体との間の特定の幾何学的関係の要件が、光を導くための光学システムを使用することによって緩和され得ることを意味し得る。
【0070】
さらに、光学システムは、画像表示媒体に形成される三次元ライトフィールドを制御するための1つまたは複数のレンズおよび/または開口絞りなどの、ライトフィールドを制御するための1つまたは複数の構成要素を備え得る。
【0071】
一実施形態によれば、装置は、ライトフィールド生成ユニットによって出力される三次元ライトフィールド内の光の分布を制御するためにライトフィールド生成ユニットを制御するためのコントローラユニットをさらに備える。
【0072】
これは、三次元ライトフィールドにおける光の分布が動的に変更され得るようにライトフィールド生成ユニットが制御され得ることを意味する。例えば、ライトフィールド生成ユニットは、ユニットセルのアレイを備えることができ、各ユニットセルの光学特性は、個別に制御可能である。したがって、ユニットセルの光学特性を制御することにより、入射光とライトフィールド生成ユニットとの間の組み合わされた相互作用によって形成される三次元ライトフィールドの分布を制御することができる。
【0073】
したがって、コントローラは、ライトフィールド生成ユニットによって出力された三次元ライトフィールド内の光の分布を制御および変更することができ、したがって、装置によって形成されている三次元画像を制御および変更することができる。これは、装置が変化する三次元画像を表示することを可能にするために、例えば、装置が三次元ビデオを表示することを可能にするために使用され得る。
【0074】
一実施形態によれば、装置は、ライトフィールド生成ユニットに入射する光線を生成するように構成された少なくとも1つの光源をさらに備える。
【0075】
これは、装置が三次元ディスプレイを形成するための全ての部分と、光線を提供する光源と、光線を三次元ライトフィールドの分布に変換するためのライトフィールド生成ユニットと、観察者が見ることができる三次元画像を形成するための画像表示媒体と、を備える可能性があることを意味する。したがって、装置は、装置を容易に使用することができるように、光源とライトフィールド生成ユニットとの間に適切な関係を有するようにパッケージ化することができる。また、光源を備える装置は、三次元ディスプレイの完全なシステムがコンパクトに提供されることを可能にし得る。
【0076】
しかしながら、装置は、光源を含まずに配送および販売されてもよいことが理解されるべきである。次に、装置を使用することを望むユーザは、装置を別個に購入することができる光源と組み合わせることができる。
【0077】
光源は、レーザービームなどのコヒーレント光線を形成するように構成されてもよい。これは、ライトフィールド生成ユニットによって形成される三次元ライトフィールドの正確な制御を提供することができる。
【0078】
本発明の概念の第2の態様によれば、三次元画像を表示するための装置が提供され、前記装置は、入射光線を受け取り、三次元ライトフィールドを生成するように構成されたライトフィールド生成ユニットと、流体中に気泡が浮遊している流体を含む画像表示媒体を形成するために画像表示媒体に気泡を生成させるように構成された気泡生成装置と、を備え、気泡は、40~500nmの範囲のサイズを有する。
【0079】
この第2の態様の効果および特徴は、第1の態様に関連して上記で説明したものとほぼ類似している。第1の態様に関連して述べられた実施形態は、第2の態様とほぼ互換性がある。
【0080】
したがって、第2の態様によれば、三次元画像を表示するための装置は、適切なサイズの気泡を有する画像表示媒体が装置によって形成され得るように、気泡生成装置を備えてもよい。これは、装置が適切なサイズの気泡を生成することができ、その結果、装置が使用されるとき、または画像表示媒体を交換する必要があるときに定期的に画像表示媒体を生成できることを意味する。
【0081】
画像表示媒体は長期間の安定性を有しているかもしれないが、生成された三次元画像の品質を維持するために定期的に交換する必要があるかもしれないことを理解すべきである。例えば、画像表示媒体は、形成される三次元画像の品質の要件に応じて、1日1回、週1回、または月1回交換する必要があるかもしれない。
【0082】
気泡生成装置を有する装置のおかげで、画像表示媒体の交換を可能にするために、装置を高度なまたは複雑な機器と組み合わせる必要はない。
【0083】
さらに、装置は、画像表示媒体が受け取られるべき容器を備え得、その結果、気泡生成装置は、容器に移送される画像表示媒体に気泡を生成させるように構成され得る。装置は、三次元ライトフィールドが容器内の画像表示媒体によって受け取られ、受け取られた三次元ライトフィールドに基づいて画像表示媒体によって三次元画像が形成されるようにさらに構成され得る。
【0084】
上記、並びに本発明の概念の追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的で非限定的な詳細な説明を通じてよりよく理解されるであろう。図面では、特に明記しない限り、同様の参照番号が同様の要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図2a】それぞれ、異なる直径の気泡および粒子について、水中の気泡および水中のポリスチレン粒子の絶対および相対散乱断面積を示すチャートである。
【
図2b】それぞれ、異なる直径の気泡および粒子について、水中の気泡および水中のポリスチレン粒子の絶対および相対散乱断面積を示すチャートである。
【
図2c】それぞれ、異なる直径の気泡および粒子について、水中の気泡および水中のポリスチレン粒子の絶対および相対散乱断面積を示すチャートである。
【
図2d】それぞれ、異なる直径の気泡および粒子について、水中の気泡および水中のポリスチレン粒子の絶対および相対散乱断面積を示すチャートである。
【
図3a】画像表示媒体の粒子の異なるサイズについて、波長の関数として画像表示媒体の吸光度を示すチャートである。
【
図3b】画像表示媒体の粒子の異なるサイズについて、波長の関数として画像表示媒体の吸光度を示すチャートである。
【
図3c】画像表示媒体の粒子の異なるサイズについて、波長の関数として画像表示媒体の吸光度を示すチャートである。
【
図4】画像表示媒体中の粒子の濃度の関数としての画像表示媒体の吸光度を示すチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る複数の区画を備えた容器を備える装置における画像表示媒体の制御の概略図である。
【
図6】第2の実施形態に係る複数の区画を備えた容器を備える装置における画像表示媒体の制御の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
ここで
図1を参照すると、三次元画像を表示するための装置100が一般的に説明される。装置100は、装置100に入射する光線に基づいて三次元ライトフィールドを生成するように構成されたライトフィールド生成ユニット110を備える。装置100は、三次元ライトフィールドを受け取るように構成された画像表示媒体120をさらに備える。画像表示媒体120は、画像表示媒体120内に気泡または粒子の形態の散乱源を含む。散乱源は、三次元ライトフィールドの分布によって制御されるように、三次元ライトフィールドの光を散乱させて、画像表示媒体内に光の起点を形成する。したがって、散乱源は、観察者が見ることができる光を出力することができ、その結果、散乱源は、画像表示媒体120内の三次元ライトフィールドに基づいて三次元画像を観察者に表示することができる。
【0087】
装置100は、画像表示媒体120を配置することができる容器130をさらに備えることができる。容器130は、画像表示媒体120によって満たされ得る内部中空空間を画定する壁132を有し得る。
【0088】
容器130は、装置100の共通の基板102上に配置されてもよい。ライトフィールド生成ユニット110はまた、基板102の上または中に形成されてもよく、または基板102の上または中に取り付けられてもよい。したがって、基板102は、容器130とライトフィールド生成ユニット110との間の十分に制御された関係を規定することができ、その結果、画像表示媒体120における三次元ライトフィールドの正確な制御が提供され得る。
【0089】
しかしながら、容器130は、必ずしもライトフィールド生成ユニット110と共通の基板上に配置される必要はないことを理解されたい。逆に、容器130は、ライトフィールド生成ユニット110とは別に配置されてもよい。容器130とライトフィールド生成ユニット110は、容器130とライトフィールド生成ユニット110との間の十分に制御された関係を規定するように、共通のハウジングに取り付けられてもよい。容器130は、観察者による三次元画像の表示が共通のハウジングの外壁によって邪魔されないようにするために、そのような共通のハウジングから少なくとも部分的に延びることができる。
【0090】
容器130の壁132の少なくとも一部は、少なくとも画像表示媒体120に三次元画像を形成するために使用される波長の光に対して透明であり得る。壁132は、三次元画像が観察される容器130の側面で透明であってもよい。したがって、壁132は、三次元画像が観察される透明な窓を備えることができる。あるいは、壁132全体(またはほぼ全体)は透明であってもよい。
【0091】
容器130はさらに、ライトフィールド生成ユニット110からの光が容器130に入ることができ、したがって、容器130内の画像表示媒体120に投影されることができる表面または壁134を備えることができる。ライトフィールド生成ユニット110からの光は、共通の基板102上に配置され得る容器130の底面134を通って容器130に入ることができる。
【0092】
容器130に光が入る壁134は、少なくとも光が容器130に入る壁134の部分において、光に対して透明であってもよい。あるいは、壁134にアパーチャまたは開口部があってもよく、それを通して光が容器130に入ることができる。レンズなどの光学構成要素は、画像表示媒体120に投射される光を制御するために、壁134のアパーチャに取り付けられてもよい。
【0093】
容器130は、少なくとも第1の開口部136および第2の開口部138を備えてもよく、これにより、画像表示媒体120が容器130の内外に流れることができる。これは、画像表示媒体120を交換することができることを意味し、画像表示媒体120の特性が経時的に劣化した場合、装置100は、三次元ディスプレイの品質を維持するために新しい画像表示媒体120を備えることができる。
【0094】
第1の開口部136および第2の開口部138は、開口部136、138が三次元画像の表示を妨げないように、容器130の底壁134に形成されてもよい。したがって、開口部136、138は、光が容器130に入ることができる壁134の一部のそれぞれの側に配置することができる。
【0095】
しかしながら、開口部136、138は、画像表示媒体120を交換するために容器130の内部空間へのアクセスを可能にする他の方法で配置されてもよいことが理解されるべきである。
【0096】
装置100は、第1の開口部136に関連する入口チャネル104と、第2の開口部138に関連する出口チャネル106とを備えることができる。入口チャネル104および出口チャネル106は、コンパクトな装置100を形成するために共通の基板102に配置されてもよい。
【0097】
入口チャネル104および出口チャネル106はそれぞれ、容器130へのまたは容器130からの画像表示媒体120の流れが許可されるかどうかを制御するための弁と関連付けられてもよい。また、代わりに、容器130は、単一のチャネルに関連付けられた単一の開口部を備えることができ、チャネルを通る流れの方向は、チャネルを使用して、画像表示媒体120を容器130に移送するためと、画像表示媒体120を容器から移送するための両方で制御することができる。
【0098】
ライトフィールド生成ユニット110は、入射光線112に基づいて三次元ライトフィールドを生成するように構成され得る。ライトフィールド生成ユニット110は、入射光線112に基づいて不均一な三次元ライトフィールドを生成するように、光と異なる相互作用を有する部分を備え得る。ライトフィールド生成ユニット110は、装置100が静的な三次元画像を表示するように構成され得るように、三次元ライトフィールドを生成するための静的な構成を備え得る。しかしながら、代替の実施形態では、ライトフィールド生成ユニット110は、ユニットセル116のアレイ114を備えることができ、ユニットセル116は、ユニットセル116の光学特性を制御し、したがって、ユニットセル116のアレイ114の光学応答を制御するために個別にアドレス指定可能である。
【0099】
各ユニットセル116は、個別にアドレス指定可能であり得る。しかしながら、必ずしもユニットセル116のありとあらゆるものが個別にアドレス指定可能である必要はないことを理解されたい。
【0100】
ユニットセル116の光学特性を制御することにより、アレイに入射する光線112への影響を制御することができる。したがって、ユニットセル116は、組み合わされて、入射光線112に対する制御可能な効果を形成することができる。したがって、アレイ114は、入射光線112に基づいて三次元ライトフィールドの分布を形成および制御するために使用され得る。
【0101】
三次元ライトフィールドは、画像表示媒体120によってホログラフィック画像を表示するために使用されてもよい。制御可能なユニットセル116のおかげで、形成されるホログラフィック画像の変化が提供され得る。これは、装置100がホログラフィック画像のビデオを表示するために使用され得ることを意味する。
【0102】
ライトフィールド生成ユニット110は、入射光線112を反射するか、または入射光線112を透過するように設定され得る。光線112は、レーザービームである光線112などのコヒーレント光源によって形成されてもよく、これは、ユニットセル116のアレイ114に入射ライトフィールドの明確な関係を提供し、したがって、ユニットセル116のアレイ114を使用して三次元ライトフィールドの所望の分布を形成するための基礎として使用するのに適している。
【0103】
各ユニットセル116は、第1の状態と第2の状態との間で切り替えられ得る相変化材料(PCM)を含み得、PCMの第1の状態と第2の状態との間の切り替えは、ユニットセル116の光学特性を、光学特性の第1の条件と光学特性の第2の条件との間で切り替えるように構成される。
【0104】
PCMは、結晶状態とアモルファス状態との間で切り替わるように構成され得る。しかしながら、第1および第2の状態は、PCMの状態の他の構成であってもよいことが理解されるべきである。例えば、PCMは、2つの異なる結晶状態の間で切り替わるように構成されてもよい。
【0105】
ユニットセル116は、PCMの層を含み得、これは、材料の組み合わせがユニットセル116の光学特性を規定し得るように、例えば、材料の層のスタックにおいて他の材料と組み合わされ得る。材料の組み合わせがユニットセル116の光学特性を定義できるように、材料の層のスタックにおいて。次に、PCMの状態の切り替えは、例えば、ユニットセル116内の層のスタックの光学特性に影響を及ぼし得、その結果、ユニットセル116の光学特性の条件は、PCMの状態によって制御され得る。
【0106】
例えば、PCMの状態の切り替えは、PCMの屈折率および/または誘電率に影響を与える可能性があり、例えば、PCM層またはPCM層を含むスタックは、入射光の所与の波長に対して高反射状態から低反射状態に切り替えられてもよい。
【0107】
したがって、ユニットセル116は、ユニットセル116の光学特性の条件を制御するためのPCM層を含むことができる。例えば、所与の波長に対するユニットセル116の反射率または透過率は、PCMの状態に大きく依存するように構成され得る。
【0108】
一実施形態によれば、PCMは、ゲルマニウム、アンチモンおよびテルルの化合物である。例えば、PCMはGe2Sb2Te5(GST)で形成される。これは、アモルファス状態と結晶状態との間で変化する可能性があり、ユニットセル116のアレイ114の所望の光学特性を提供するために適切に使用され得る材料である。
【0109】
しかしながら、PCMは、2つの状態間の切り替えに基づいて光学特性の変化を提供する任意の材料であってよいことを理解されたい。PCMは、例えば、温度に曝されることに関連して(サーモクロミック材料)、または光に曝されることに関連して(フォトクロミック材料)、またはそのような材料の組み合わせに相変化を起こし得る任意の材料であり得る。例えば、VO2およびV2O3などの多くの異なる形態の酸化バナジウムを使用することができる。PCMは、上記の酸化バナジウムなどの金属酸化物材料、アゾベンゼン含有ポリジアセチレンなどのポリマー、またはジブロック(ポリ[スチレン-b-イソプレン])コポリマーなどのナノ構造ポリマーから形成されるサーモクロミック材料を含み得る。あるいは、PCMは、複屈折材料などの、印加された電場に基づいて光学特性の条件を変化させる電気光学材料、またはガーネットや強磁性金属などの、印加された磁場に基づいて光学特性の条件を変化させる磁気光学材料であってもよい。
【0110】
GSTをPCMとして使用する特定のケースでは、材料を切り替えると、プラズモン(結晶状態)から誘電体(アモルファス状態)アンテナに構造が変更される。これは、非常に類似した共振を示すが、異なる波長で、所与の波長に対してユニットセル116の構造を高反射(透過)状態から低反射(透過)状態に変更することができる。
【0111】
GSTの状態を切り替えると、光学特性が大幅に変化し、屈折率と誘電率の実部と虚部の両方に大きな変化が生じる。GSTの結晶状態では、誘電率の実部が負であることに注意されたい。これは、金属の振る舞いを示し、したがって、プラズモン共鳴をサポートすることを意味する。アモルファス状態では、GSTは、誘電率の正の実数部と大きな虚数部を伴い、非常に損失の大きい誘電体として機能する。
【0112】
ユニットセル116のPCMは、(GSTのように)熱的に切り替えることができるが、これに限定されない。異なる実施形態では、電気光学材料および磁気光学材料を代替の実施として使用できることを理解されたい。
【0113】
PCMの状態の制御は、例えば、ユニットセル116に局所的に相変化材料の状態の切り替えを誘導するために、ユニットセル116に関連する電極に制御信号を送信することによって、例えば、PCMを局所的に加熱するか、PCMを局所的な電場または磁場に及ぼすことによって、ユニットセル116を個別にアドレス指定することによって提供され得ることが理解されるべきである。
【0114】
ユニットセル116は、ユニットセル104の光学特性の条件の切り替えが、所望の動作波長に対するユニットセル116の強い効果を提供するように構成され得る。
【0115】
装置100は、制御信号がユニットセル116に提供され得るように、基板102に統合され得る制御線を備え得る。制御信号は、例えば、制御信号がユニットセル116の加熱を提供するか、または電場または磁場を形成してユニットセル116の光学特性の切り替えを引き起こすことにより、ユニットセル116の光学特性の変化を誘発し得る。
【0116】
装置100は、ユニットセル116を制御するために、ユニットセル116のそれぞれのための個別の制御線を備え得る。代替案によれば、装置100は、個々のユニットセル116が制御線を使用するクロスポイントアドレス指定によって制御され得るように、列および線に配置された複数の制御線を備え得る。
【0117】
ライトフィールド生成ユニット110は、ユニットセル116のアレイ114によって生成された三次元ライトフィールドを画像表示媒体120に移送するための光学システム118をさらに備えることができる。したがって、光学システム118は、ユニットセル116のアレイ114と画像表示媒体120との間に配置され得る。
【0118】
光学システム118は、例えば、光の光路を再方向付けすることによって、ユニットセル116のアレイ114からの光を導くことができる。これは、ユニットセル116のアレイ114と(容器130内の)画像表示媒体120との間の幾何学的関係に対する要件が緩和され得ることを意味し得る。
【0119】
光学システム118は、1つまたは複数のレンズおよび/または1つまたは複数の開口絞りをさらに備えることができ、これにより、三次元ライトフィールドが所望の寸法で画像表示媒体120に移送されるように制御することができる。
【0120】
光学システム118は、ユニットセル116のアレイ114と容器130との間の共通基板102の中または上に配置することができる。一実施形態によれば、レンズなどの光学システム118の構成要素は、壁134のレンズを通して光を容器130に移送するために、容器130の壁134に配置されてもよい。
【0121】
装置100は、装置100の動作波長の照明光を提供するための1つまたは複数の光源140をさらに備え得る。上述のように、1つまたは複数の光源140は、ユニットセル116のアレイ114上に入射光線112を提供するように構成され得る。
【0122】
ライトフィールド生成ユニット110は、反射配置または透過配置、すなわち、入射光線112を反射または透過するように配置されているユニットセル116のアレイ114で動作することができる。1つまたは複数の光源140は、反射配置または透過配置のどちらが使用されるかに応じて、ライトフィールド生成ユニット110に関連して取り付けられる。
【0123】
図1では、ユニットセル116のアレイ114によって画像表示媒体120に向かって反射される入射光線112を提供するために、ユニットセル116のアレイ114の上の共通基板102上またはその中に取り付けられた単一の光源140が示されている。したがって、光源140とユニットセル116のアレイ114との間の明確に定義された関係が提供され得る。
【0124】
光源140は、ユニットセル116のアレイ114上に入射光線112の所望の形状を形成し、アレイ114全体を照明するための1つまたは複数のレンズおよび/または1つまたは複数の開口絞りなどの光学システム142に関連付けられ得る。
【0125】
光源140は、明確に定義された動作波長を備えたレーザ光源、または調整可能な動作波長を備えたレーザ光源など、任意のタイプのレーザ光源であってよい。
【0126】
装置100は、1つまたは複数の光源140を備えることができ、これは、ユニットセル116のアレイ114上に所望の入射光線が確実に提供されるようにするために、ユニットセル116のアレイ114に対して事前定義された正確な関係で取り付けられ得ることが理解されるべきである。ユニットセル116のアレイ114によって反射または透過される入射光線112を提供するために、1つまたは複数の光源140が装置100に取り付けられてもよいことも理解されるべきである。
【0127】
しかしながら、装置100は、代替的に、光源を含まずに製造され、配送されてもよい。したがって、ユーザは、三次元ディスプレイを形成するための光源を備えた装置100をセットアップするために、光源および装置100を別々に取得することができる可能性がある。これは、独自のシステムを設計し、例えば、装置100と共に使用される光源の動作波長を選択するための柔軟性をユーザに提供することができる。
【0128】
装置100は、ライトフィールド生成ユニット110、および、特に、ユニットセル116のアレイ114の機能を制御することができるコントローラ150をさらに備えることができる。コントローラ150は、ユニットセル116のアレイ114が形成されるユニットに統合されてもよく、ユニットセル116の光学特性の条件を切り替えるために制御信号がユニットセル116にいつ提供されるかについての制御を提供してもよい。
【0129】
したがって、関連する制御回路およびコントローラ150を伴うユニットセル116のアレイ114は、集積回路パッケージなどの一体で製造され得、パッケージへの信号の入力および出力のためのピンを提供する。これは、三次元画像の表示を制御するようにユニットセル116のアレイ114を制御するための統合機能を提供する集積回路パッケージが共通基板102に取り付けられ得ることを意味し得る。
【0130】
しかしながら、コントローラ150は別個に提供されてもよいことが理解されるべきである。したがって、コントローラ150は、装置100の汎用処理ユニットを利用してもよく、処理ユニットによって実行されるソフトウェアとして実施されてもよい。これは、コントローラ150の機能の更新を可能にするために有利であり得る。簡単にするために、コントローラ150は、ユニットセル116のアレイ114とは別個に配置されるものとして
図1に示されている。
【0131】
コントローラ150は、表示されるべき所望のホログラフィック画像の情報を受け取り、三次元ライトフィールドの所望の分布を形成するために、それぞれのユニットセル116に対して設定されるべき光学特性の条件を計算するためのアルゴリズムを実行し得る。あるいは、コントローラ150は、アルゴリズムを実行することができる外部ユニットから、ユニットセル116に対して設定されるべき光学特性の条件の情報を受け取ることができる。
【0132】
コントローラ150はまた、例えば、光源140がいつアクティブ化されるかを制御するために、または入射光線112の偏光などの入射光線112の特性を制御するために、光源140を制御することができる。
【0133】
コントローラ150はまた、画像表示媒体120がいつ交換されるべきかを決定してもよく、そのような決定がなされたときに信号を出力するように構成されてもよい。コントローラ150は、測定結果の受信に基づいて、画像表示媒体120を交換する必要があると決定することができる。しかしながら、一実施形態によれば、装置100は、一定の間隔で画像表示媒体120を交換するように設定されてもよく、コントローラ150は、画像表示媒体120を交換するときを追跡するように構成されてもよい。
【0134】
画像表示媒体120は、長期間に亘って安定した特性を維持するための長期安定性を有することができ、数ヶ月に達することさえある。画像表示媒体120が交換される頻度は、三次元画像の所望の品質に応じて設定されてもよい。例えば、コントローラ150は、1時間に1回、1日1回または毎月1回、画像表示媒体の交換を制御するように設定されてもよい。
【0135】
コントローラ150は、画像表示媒体120の交換をトリガすることができる信号を出力することができる。したがって、コントローラ150は、容器130へのおよび容器130からの画像表示媒体120の流れを制御するための弁および/またはポンプを作動させることができる信号を出力することができる。画像表示媒体120の交換は自動化されてもよく、装置100はリザーバまたは画像表示媒体120の供給源に接続されるか、または新しい画像表示媒体120の形成を可能にする。したがって、コントローラ150によって出力された信号は、画像表示媒体120を交換するためのそのような自動制御をトリガすることができる。しかしながら、代わりに、コントローラ150は、例えば、ディスプレイ上に情報を提示するか、または画像表示媒体120を交換する必要があることをユーザに警告するためにランプまたはスピーカを作動させるという形で、ユーザに信号を出力することができる。したがって、ユーザは、装置100を新しい画像表示媒体120の供給に接続するなど、画像表示媒体120の交換を手動で制御することができる。
【0136】
コントローラ150は、装置100の機能を実施するために1つまたは複数のコンピュータプログラムの命令を実行できる中央処理装置(CPU)などの1つまたは複数の処理ユニットとして実施できることを理解されたい。
【0137】
代替として、コントローラ150は、例えば、組み込みシステムに配置されたファームウェアとして、または特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラーユニット(MCU)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの特別に設計された処理ユニットとして実施され得る。
【0138】
装置100は、少なくとも1つの較正センサ160をさらに備え得る。少なくとも1つの較正センサ160は、コントローラ150によって使用され得る測定結果を取得し得る。較正センサ160の測定結果は、画像表示媒体120を交換する必要があるかどうかを決定するために使用することができる。
【0139】
較正センサ160は、画像表示媒体120を通って伝播する光線の減衰の尺度として受け取られた光の強度を検出するために画像表示媒体120を通って透過される光を受け取るように構成され得る。
【0140】
較正センサ160は、光が容器130に入る壁134と反対側の容器130の内壁に取り付けられてもよい。したがって、較正センサ160は、画像表示媒体120を通って伝播した光を受け取ることができる。しかしながら、代替案として、ミラーまたは反射面が、光が容器130に入る壁134とは反対側の容器130の内壁に取り付けられてもよい。次に、較正センサ160は、ライトフィールド生成ユニット110の近くに配置され、ミラー/反射面からの後方反射を受けて、画像表示媒体120を通って伝播した(2回)光を検出することができる。いくつかの実施形態では、装置100は、(画像表示媒体の体積の異なる部分を通る光の伝播を判定することによって)画像表示媒体120の局所密度変動を判定するための複数の較正センサ160および/またはミラーを備えることができる。これにより、コントローラ150へのフィードバックがさらに改善され得る。
【0141】
較正センサ160は、装置100の画像表示媒体120が交換されたときに、新しい画像表示媒体120の光の減衰を決定するために使用されてもよい。較正センサ160の測定結果は、画像表示媒体120が受け取る光の強度を設定する際に使用されてもよい。
【0142】
較正センサ160による測定を実行するとき、較正パターンは、ライトフィールド生成ユニット110によって生成されてもよく、較正パターンは、光線を較正センサ160に集束させ、これにより、異なる色の画像表示媒体120を通して伝播する線の減衰を測定することを可能にする。
【0143】
画像表示媒体120の交換中に、較正センサ160の測定結果はまた、画像表示媒体120の特性が調整されるべきかどうかを決定するために使用されてもよい。例えば、較正センサ160は、気泡または粒子の濃度を増加する必要があるかどうかを決定するために使用され得、さらなる気泡または粒子が、容器130内の画像表示媒体120に注入され得る(入口チャネル108または気泡または粒子の他の入口を介して)。したがって、較正センサ160は、画像表示媒体120が交換されているときに、画像表示媒体120の特性を制御するために使用され得る。
【0144】
コントローラ150はまた、または代替的に、画像表示媒体の交換または調整の必要性が識別され得るように、画像表示媒体の特性が変化したかどうか(例えば、気泡の濃度が低下した場合、または画像表示媒体120内の気泡または粒子の分布が変化した場合)の検出を可能にするために、較正センサ160の測定結果を使用し得る。
【0145】
コントローラ150は、較正センサ160の測定を実行するために規則的な間隔で較正パターンを生成するように構成され得る。代替的または追加的に、較正センサ160の測定は、装置100の起動時にトリガされてもよい。
【0146】
上述のように、装置100は、リザーバまたは画像表示媒体120の供給源に接続され得る。接続は、画像表示媒体120を交換する必要が生じたときに形成され得る。したがって、装置100は、画像表示媒体120を外部供給源またはリザーバから受け取ることができる。
【0147】
画像表示媒体120は、流体中に浮遊された気泡または粒子を含み得る。流体中の気泡は、気泡が流体に溶解せず、流体の表面に上昇してそこで破裂しないという点で、長期安定性を有する可能性がある。しかしながら、長期間に亘って、いくつかの気泡が消失し、画像表示媒体120の品質が低下する可能性がある。
【0148】
流体中の粒子は、上記で説明した気泡の場合と同じ方法で消えない場合がある。しかしながら、粒子を含む画像表示媒体120の品質は、変化する流体中の粒子の分布のために劣化することもある。
【0149】
画像表示媒体120を交換する必要がある場合、気泡が形成されるか、または粒子が、容器130に導入される新しい画像表示媒体120の流体に導入される。したがって、流体中に浮遊する粒子または気泡を有する画像表示媒体120は、画像表示媒体120が交換されるときに形成され得る。
【0150】
新しい画像表示媒体120の形成は、流体に粒子を導入するなどの画像表示媒体120を形成するための手動操作を含み得る。しかしながら、流体が粒子と混合されるか、または気泡が画像表示媒体120に注入されるという点で、新しい画像表示媒体120の形成は、代替的に自動化または半自動化されてもよい。
【0151】
一実施形態では、装置100は、気泡生成装置170を備えることができる。気泡生成装置170は、流体を受け入れるように構成されてもよく、気泡が流体中に浮遊するように、流体に気泡を注入するように構成されてもよい。したがって、気泡生成装置170は、画像表示媒体120を生成することができ、画像表示媒体120を容器130に提供するために入口チャネル104に接続することができる。
【0152】
例えば、気泡生成装置170は、そこから気泡が形成されることになる気体を受け取るための気体入口を備えることができる。気泡生成装置170は、気体を加圧するための圧縮機をさらに備えることができる。気泡生成装置170は、加圧気体を流体に導入し、その中に気泡を形成するための1つまたは複数のノズルをさらに備えることができる。気体の圧力およびノズルのサイズは、流体中に形成される気泡のサイズを制御することができる。
【0153】
気泡生成装置170を備える装置100により、装置100は、画像表示媒体120を形成することができるようにするために、流体入口および気体入口に接続されるだけでよい。流体は、水であり得、気体は、空気であり得、これは、流体および気体が容易に利用可能であり得ることを意味する。また、画像表示媒体120は、このように非危険物質から形成されてもよく、これにより、交換される古い画像表示媒体120が廃棄されるときの画像表示媒体120の取り扱いが容易になる。
【0154】
次に、画像表示媒体120についてさらに詳細に説明する。画像表示媒体120は、動作波長に対して透明でなければならない流体と、流体中に浮遊する気泡または粒子とを含み、流体中に散乱点を形成する。
【0155】
以下では、粒子または気泡のサイズを選択するための要因について説明する。この点に関して、サイズは、球の直径として解釈されるべきであるが、特に、粒子は、必ずしも正確に球形であるとは限らないため、サイズは、粒子または気泡の最大断面、または粒子または気泡の同等の球形直径として解釈することもできる。
【0156】
粒子または気泡のサイズを選択するときは、次の要素が考慮される。
【0157】
1.散乱媒体は、観察者が散乱強度に関して明確なホログラフィック画像を見ることができるように十分な効率で散乱し、所望の解像度とコントラストに変換する必要がある。
【0158】
2.散乱媒体は、動作波長に対して高すぎる減衰を引き起こすべきではない。なぜなら、高減衰は、画像表示媒体120の体積の最大寸法を制限するからである。
【0159】
3.媒体内部の散乱体密度は、光を効率的に散乱させるのに十分な大きさである必要がある(すなわち、気泡または粒子の濃度は、画像表示媒体120の最小の識別可能な体積、ボクセル内に少なくとも1つまたは複数の気泡または粒子を常に有するように十分に高い必要がある)。
【0160】
本開示で使用されている気泡または粒子のサイズは、ティンダル散乱(動作波長よりサイズが小さいかまたは同様の粒子/気泡による散乱)およびレイリー散乱(動作波長よりはるかに小さい粒子による散乱)の恩恵を受ける範囲にある。ティンダルとレイリーの散乱メカニズムは、特に、散乱効率が周波数の4乗に比例するという意味で、本質的にかなり似ている。一定のバックグラウンド屈折率を有する流体のサブ波長サイズの懸濁液(例えば、水懸濁液の粒子、水懸濁液の気泡)では、散乱効果は、電荷が駆動電場と共に振動するそのような粒子/気泡の電気分極率に起因し、そのような粒子は、放射が散乱光として観測される点双極子源として機能する。
【0161】
超微細気泡または粒子のサイズ選択に関して、画像表示媒体120の各ボクセルで十分に高い散乱効率を有することと、画像表示媒体120が視界を妨げないように十分に透明であり、画像表示媒体120の全体積に亘ってボクセルを照明することを可能にするのに十分に低い吸収/散乱を有することのトレードオフがなされなければならない。
【0162】
光を弱く吸収および/または散乱する均一な媒体では、強度の減衰は、伝播距離に応じて光の強度が指数関数的に減衰することを示すビールランベルトの法則によって定義される。最も単純な形で、ビールランベールの法則は次のように書くことができる。
【0163】
【数1】
ここで、Aは、媒体の吸光度、Tは、媒体の透過率、I
tは、光の透過強度、I
0は、入射光の強度である。これは、光学的深さτの関数として次ように書くことができる。
【0164】
【数2】
これは、dB/mで表される吸収係数を使用して、必要な気泡または粒子の濃度と気泡または粒子のサイズを定義できることを意味する。
【0165】
画像表示媒体120を介して十分な伝播を達成し、画像表示媒体120の体積全体に適度な明るさを有するために、装置100は、10%~1%の間の光が画像表示媒体120の全体の体積を通って伝播することができるように設計され得る。これは、画像表示媒体120の全体の体積に亘って10~20dBだけ減少する光のパワーに対応する。
【0166】
画像表示媒体120の体積は、0.1~1mの範囲の立方体のサイズによって定義され得る。これは、観察者による三次元画像の観察を容易にするために、装置100が比較的大きい体積の画像表示媒体120を提供できることを意味する。しかしながら、少なくとも三次元表示の技術が発展するとき、画像表示媒体120の体積のさらに大きなサイズが関心対象となり得ることを理解されたい。
【0167】
光のパワーが体積全体で10~20dB低下するはずであり、画像表示媒体の体積の側面が0.1~1mの範囲にあるという仮定に基づいて、装置100は、有利には、-10~-200dB/mの減衰定数を提供するように設計され得る。
【0168】
小さな粒子または気泡の散乱強度は、周波数の4の累乗に比例するため、より短い波長と比較してより長い波長で同様の散乱強度に到達するには、より大きな照明パワーが必要になる。これは、入射光線112の光の強度が、画像表示媒体120で同様の光の散乱強度を提供するために、それぞれ青色光で最も低く、緑色光および赤色光でより強くあるべきであることを意味する。
【0169】
水中の気泡は、水中の粒子と同様に光に影響を与える可能性があり、水と空気の屈折率の間の関係は、粒子と水の屈折率の間の関係と同様である。特に、水は、約1.33の屈折率を有するが、空気は、約1.00の屈折率を有する。次に、水中の気泡の光学的挙動を、水中のプラスチック粒子の光学的挙動と比較することができる。プラスチック材料は、例えば、1.60の屈折率を有するポリスチレンとして選択することができる。測定は、水中に浮遊しているポリスチレン粒子に基づいて行われており、水中の気泡にも対応する挙動が得られると想定される場合がある。
【0170】
ここで、
図2a~
図2dを参照すると、水中の気泡(
図2aおよび
図2c)および水中のポリスチレン粒子(
図2bおよび
図2d)の散乱断面積および相対散乱断面積のシミュレーションが示されている。
【0171】
特に、50nm~200nmまでの直径を有する気泡または粒子の場合、相対散乱断面積は1未満であり、これは、そのようなサイズの気泡または粒子を含む画像表示媒体120が、散乱媒体が比較的透明であるように、かなり低い散乱損失を有することを意味する。青色光、緑色光、および赤色光に対してそれぞれ同じ散乱強度を有するために、青色光から赤色光に向かうときに、入射光線112のパワーが増加する必要があることも明らかである。
【0172】
異なるサイズのポリスチレン粒子を使用して、吸光度測定、すなわち、異なるサイズおよび異なる濃度の粒子を含む画像表示媒体120の減衰を決定するための測定が行われた。
【0173】
図3a~
図3cでは、異なるサイズの粒子の吸光度が波長の関数として示されている。
図3aでは、粒子の直径サイズは、65nmである。
図3bでは、粒子の直径サイズは、120nmである。
図3cでは、粒子の直径サイズは、250nmである。各直径サイズについて、媒体中のポリスチレンの重量パーセントの観点から、異なる濃度の吸光度が示される。同じ重量パーセントは、
図3a~
図3cの線の同じ破線によって示されている。同じ重量パーセントは、媒体中の体積単位あたりの粒子の同じ数に対応しないことを理解されたい。
【0174】
図3a~
図3cから明らかなように、粒子サイズが大きくなると、同じ重量パーセントで媒体の吸光度が大きくなる。
【0175】
これらの測定に基づいて、粒子の粒子/m
3の濃度の関数としての吸光度を定義することができる。
図4に、濃度の関数としての吸光度を示す。吸光度は、
図4のハッチングされた領域によって示されるように、有利には、0.01~0.1(減衰定数10~100dB/mに対応する)の間であり得る。そのような値は、少なくとも1m
3の画像表示媒体の体積に対して興味深いであろう。
【0176】
図4において、粒子の適切な濃度は、粒子の直径の異なるサイズに基づいて決定され得る。粒子のサイズが小さいほど、より高濃度の粒子が必要になる場合がある。
【0177】
0.01の吸光度のより低い望ましい値(10dB/mの減衰率)および0.1(100dB/mの減衰率)の高い望ましい値を使用すると、粒子のサイズが異なる場合の画像表示媒体120の特性は、次の表に従って定義される。
【0178】
【0179】
この表では、濃度は、粒子数/m3で与えられ、フィルファクタは、粒子と粒子が浮遊している流体(水)の体積分率であり、距離は、単一の粒子が存在する立方体の体積のμm単位の長さ(つまり、流体内の2つの隣接する粒子間の平均距離)、および粒子/mm3は、1mmの辺を有する立方体の体積当たりの粒子数を示す、これは、ボクセル当たりの粒子数を示している可能性がある。
【0180】
この表から、試験された範囲内の粒子を有する画像表示媒体120は、最小の認識可能な体積が非常に小さくなるように設定され得るという点で、三次元画像の高解像度が提供され得るように、画像表示媒体120の小さい体積内に多数の粒子を許容しながら、画像表示媒体120の大きい体積を介した伝播を可能にするための適切な減衰係数で設計され得る(大きい三次元ディスプレイを可能にするため)ことが明らかである。
【0181】
試験結果は流体中の粒子についてのみ得られているが、空気と水との間の屈折率コントラストは、ポリスチレンと水との間の屈折率コントラストに非常に類似しているため、流体中の気泡に基づいて対応する結果が期待でき、したがって、光学的には、気泡を含む画像表示媒体120は、粒子を含む画像表示媒体120と非常に類似している。
【0182】
超微細気泡(直径が500nm未満、特に、直径が200nm未満の気泡)は、長期安定性があり、数か月に達することがあり得る。
【0183】
気泡の不安定性は、気泡のサイズに応じて、さまざまなメカニズムが原因である可能性がある。いわゆるミリ気泡(直径が1μm~1mmの範囲)は、通常、流体内でかなり速く上昇し、表面に到達すると破裂する。いわゆるマイクロ気泡(直径が10μm~50μmの範囲)は、水中で消えてサイズが小さくなる傾向がある。しかしながら、超微細気泡(直径が500nm未満、特に、200nm未満)は、長期間の安定性を示し、数か月に達することがある。したがって、媒体の再生または交換を頻繁に行う必要がないので、そのような気泡サイズは、画像表示媒体120での使用において特に興味深いものであるという認識である。
【0184】
気泡の長期安定性は、これらの小さな気泡の大きな表面対体積比に起因する可能性があり、それらの環境との反応性が高いと考えられる。ゼータ電位測定で確認できるように、水中の超微細気泡は負の表面電荷を有している。この負の表面電荷は、反対に帯電した分子または小さな粒子との化学的相互作用を強化する。実際の実施では、超微細気泡は、電解質溶液に分散すると非常に長寿命であり、クーロン相互作用により正電荷が気泡の周囲に配置され、気体分子が気泡を逃れるのを防ぐシールドを形成する。
【0185】
さらに、表面電荷は、同じ電荷を有する粒子間の反発クーロン力により、媒体内でより均一な粒子分布を有するのに役立つ。この効果は、画像表示媒体120内の散乱強度の均一性を促進する非常に均一な平均粒子間距離で、流体中の気泡のかなり一定の分布をもたらす。
【0186】
対象の超微細気泡の場合、内部の気体圧力は、非常に大きく、約10~30気圧の範囲である。これは、気泡の長期安定性を考えると、そのような気泡の表面張力も非常に大きいことを意味する。超微細気泡は、サイズが小さいため、クーロンの反発力により隣接する粒子と継続的に相互作用しながら、溶液中で高速でランダムに動き回る傾向がある。これは、気泡間の物理的相互作用がほとんどまたはまったくないことを意味し、おそらく気泡の長期安定性にも寄与する。したがって、そのような気泡は、マイクロ気泡やミリ気泡の場合のように、媒体の表面に上昇したり、崩壊したりする傾向はさらにない。したがって、超微細気泡は、中立的な浮力を示し得、画像表示媒体120内の気泡の分布は、長期間に亘って一定に維持され得る。
【0187】
水中の超微細気泡は、2.108/ml(2.1014/m3)を超える十分な高濃度で存在する場合、抗菌機能を有する場合がある。画像表示媒体120の抗菌機能は、画像表示媒体120の取り扱いを単純化することができるので、有利であり得る。
【0188】
図4の光学散乱特性に関して所望の濃度で抗菌機能を得るための最小濃度要件であれば、最小濃度は、少なくとも直径120nm未満の気泡サイズに対して提供され得ることが分かるであろう。また、より高い吸光度が許容される場合、直径250nmの気泡サイズを使用できる。
【0189】
上記では、画像表示媒体120に気泡または粒子を設けて、画像表示媒体120内の気泡または粒子の分布を長期間に亘って一定に保つことができると説明したが、画像表示媒体120の能動的な制御を提供することは依然として興味深い可能性があることを理解されたい。
【0190】
したがって、一実施形態によれば、コントローラ150は、容器130内の画像表示媒体120を能動的に制御するための弁および/またはポンプを制御するように構成されてもよい。コントローラ150は、例えば、表示される三次元画像に依存して、画像表示媒体120を動的に制御することができる。したがって、コントローラ150は、必要に応じて画像表示媒体120の特性が確実に変更されるようにすることによって、光減衰定数の調整を制御することができる。
【0191】
コントローラ150が交換される画像表示媒体120を制御することにより、異なる光減衰定数を必要とする三次元画像を表示する前に、画像表示媒体120の能動的な制御を提供することができる。そのような制御は、比較的遅くなる可能性があり、ビデオなどの迅速な順序で表示される一連の画像内で光減衰定数を変更することができない場合がある。
【0192】
他の実施形態によれば、コントローラ150は、容器120を通して画像表示媒体120を連続的にポンピングするために画像表示媒体120の循環を制御するように構成される。次に、装置100は、画像表示媒体120を容器130を通してポンピングするための流れ制御システムを備えることができる。
【0193】
流れ制御システムは、画像表示媒体が(例えば、入口チャネル104を介して)容器130内に連続的に移送され、(例えば、出口チャネル106を介して)容器外に移送される閉回路を提供し得る。次に、画像表示媒体120の循環を提供するために、出口チャネル106を入口チャネル104に接続することができる。
【0194】
容器130の外側の流れ制御システムの経路において、流れ制御システムは、(以下でさらに詳細に論じられる
図5~
図6の実施形態に関して示される)媒体制御ユニット180を備えることができる。媒体制御ユニット180は、画像表示媒体120に気泡を導入することを可能にするために気泡生成装置170に接続されてもよい。あるいは、媒体制御ユニット180は、粒子を画像表示媒体120に導入することを可能にする粒子供給に接続されてもよい。また、媒体制御ユニット180は、サイズまたは密度またはサイズと密度の組み合わせによって気泡または粒子をフィルタリングするためのフィルタを備えてもよい。次に、媒体制御ユニット180は、気泡または粒子の入口を画像表示媒体120に混合することを制御することによって、および/または画像表示媒体120内の気泡または粒子のフィルタリングを制御することによって、画像表示媒体120の特性を動的に制御することができる。
【0195】
媒体制御ユニット180内の気泡または粒子のフィルタリングは、外力によって達成され得る。例えば、音響(圧力)波または電磁波などの外部場は、媒体制御ユニット180によって制御されて、気泡または粒子のフィルタリングを可能にするように、画像表示媒体120内の気泡または粒子に力を及ぼすことができる。フィルタリングはまた、または代わりに、少なくとも1つの半透過性膜または多孔性膜を使用して、必要に応じて、画像表示媒体120に作用する印加圧力と組み合わせて達成され得る。
【0196】
画像表示媒体120の能動的な制御は、三次元画像の表示の高度な制御のために使用されてもよい。能動的な制御は、観察される三次元画像の輝度およびコントラストを制御するために使用され得る。
【0197】
また、コントローラ150は、媒体制御ユニット180を制御するために使用することができる較正センサ160から測定結果を受け取ることができる。較正センサ160からの測定結果に基づくそのような制御は、画像表示媒体120の光減衰定数が一定に維持されることを保証し、画像表示媒体120の一定の光学特性を保証するために使用され得る。代替的には、較正センサ160からの測定結果は、画像表示媒体120の特性が動的に変更される場合、画像表示媒体120の制御のための入力として使用されてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、画像表示媒体120の体積内の位置に応じて、散乱効率を局所的に制御することが有用であろう。画像表示媒体120内の一定の気泡または粒子濃度は、光が画像表示媒体120を通って伝播するときに、指数関数的に光を減衰させるので、画像表示媒体120への光の入口から遠く離れたボクセルが、画像表示媒体120への光の入口に近いボクセルと同じくらい強く散乱するためには、より大きな強度の光が必要となる。
【0199】
画像表示媒体120のボクセルにおける散乱効率の局所的制御は、複数の方法で実現することができる。
【0200】
一実施形態によれば、画像表示媒体120は、セグメントに分割されてもよく、画像表示媒体120内の気泡の濃度は、光の画像表示媒体120への入口から離れるにつれて増加する。そのような実施は、ライトフィールドの強度が、三次元画像におけるボクセルの位置に応じて均一に(または少なくともより均一に)分布され得るという利点を有する。これにより、形成される三次元ライトフィールドを計算するためのアルゴリズムが、比較的簡単な方法で画像表示媒体120を通る光の減衰を考慮に入れることを可能にすることができる。
【0201】
画像表示媒体120のセグメント化は、容器130内にいくつかの区画130a~fを提供することによって達成され得る。したがって、各区画130a~fには別個の入口/出口を設けることができ、適切な濃度の気泡/粒子を有する画像表示媒体120を各区画130a~fに配置することができる。区画130a~fは、容器130を通る光の伝播に影響を与えないように、流体と同様の屈折率を有する透明な壁によって分割されてもよい。
【0202】
同様に、画像表示媒体120の体積の異なるセグメントに様々な濃度の気泡または粒子を有する代わりに、画像表示媒体120は、異なるセグメントに異なるサイズの粒子または気泡を備えることができる。上述のように、より大きなサイズの粒子または気泡は、光の伝播のより大きな減衰を引き起こし得、その結果、画像表示媒体120は、画像表示媒体120への光の入口からの距離が増すにつれて、気泡または粒子のサイズが増加し得る。また、前述のように、散乱効率は、周波数の4乗に比例するため、三次元画像の表示で複数の波長を組み合わせる場合は、画像表示媒体の組成は、画質を改善するために異なる波長の強度に調整され得る。
【0203】
他の実施形態によれば、三次元ライトフィールドを計算するためのアルゴリズムは、形成される三次元ライトフィールドが計算されるときに、画像表示媒体120における指数関数的減衰を補正することができる。アルゴリズムは、光の入口から画像表示媒体120への距離の増加に伴う各ボクセルの強度の指数関数的増加を使用することができる。これは、三次元ライトフィールドを計算するためのアルゴリズムの複雑さを増すかもしれない。しかしながら、容器130内の画像表示媒体120の複雑な配置または制御の必要はないかもしれない。
【0204】
図5に示されるように、画像表示媒体120の局所的制御は、媒体制御ユニット180によって提供されてもよい。媒体制御ユニット180は、気泡生成装置170(または代替として粒子供給源)に接続されてもよい。
【0205】
図5~
図6に示され、以下で論じられる実施形態は、当業者によって理解されるように、
図1~
図4に関連して上述された特徴の1つまたは複数と組み合わせることができ、簡潔にするためにここでは単に省略されることを理解されたい。
【0206】
さらに、容器130は、球の部分的なエンベロープの対向する壁によって画定される区画130a~fを備えた
図5~
図6に示され、区画130a~fのサイズは、光の入口の位置から画像表示媒体120への距離とともに増加する。容器130のそのような形状はまた、
図1~
図4に関連して上記の実施形態で使用され得ることが理解されるべきである。円筒形状を有する容器130など、容器130の他の形状が実施形態のいずれかで使用され得ることも理解されるべきである。
【0207】
ライトフィールド生成ユニット110(
図5~
図6にのみ一般的に示される)は、第1の区画130aを通って伝播して第2の区画130bに到達し、以下同様に全ての区画130a~fを通って到達するように、第1の区画130aの底面を通して容器130に投射される光を生成するように構成され得る。したがって、ライトフィールド生成ユニット110は、区画130a~f内の画像表示媒体によってホログラフィック画像を表示するために使用することができる、区画130a~f内に三次元ライトフィールドを生成することができる。
【0208】
媒体制御ユニット180は、画像表示媒体120中の気泡または粒子の濃度および/またはサイズを制御するためのフィルタおよび混合システムを備えることができる。したがって、媒体制御ユニット180は、フィルタおよび混合システムから出力される画像表示媒体120の特性を制御することができる。
図5に示されるように、複数のバルブ182a~fを使用して、容器130内のそれぞれの区画130a~fへの画像表示媒体120の入口を制御することができる。また、
図5に示されるように、区画130a~fには、それぞれの区画130a~fを空にすることを可能にするために、さらなる弁によって制御される出口チャネルを設けることができる。区画130a~fから空にされた画像表示媒体120は、廃棄物に移送されてもよい。
【0209】
画像表示媒体120の光学特性を媒体制御ユニット180で監視して、目標区画130a~fの画像表示媒体120の所望の光減衰定数および散乱特性が確実に達成されるようにすることができる。目標仕様が達成されると、適切なバルブ182a~fを開いて、画像表示媒体120を選択された区画130a~fに提供することができる。
【0210】
各区画130a~fはまた、画像表示媒体120の光減衰定数を監視するための別個の較正センサ160を備えることができる。したがって、各区画130a~f内の画像表示媒体120が目標仕様を満たすことを保証するために、それぞれの区画130a~fの充填中に、較正センサ160からの測定結果を媒体制御ユニット180に提供することができる。各区画130a~fの較正センサ160からの測定結果はまた、または代わりに、形成される三次元ライトフィールドおよび/または画像表示媒体120によって受け取られる光の強度を制御するためのコントローラ150の入力として使用され得る。
【0211】
図6にさらに示されるように、複数の区画130a~f内の画像表示媒体120の局所的制御は、画像表示媒体120の能動的制御と組み合わせることができる。
【0212】
したがって、各区画130a~fは、それぞれの区画130a~fを通して画像表示媒体120を循環させるための流れ制御システムと関連付けることができる。さらに、媒体制御ユニット180は、区画130a~fのそれぞれにおいて画像表示媒体120の特性を動的に制御することができ、その結果、特性は、異なる区画130a~fで異なるように変更することができる。
【0213】
媒体制御ユニット180はさらに、各区画130a~fのそれぞれの較正センサ160から測定結果を受信して、各区画130a~f内の画像表示媒体120の制御が、それぞれの区画130a~f内の画像表示媒体120の測定された特性に基づくことを可能にする。
【0214】
これは、容器130の様々な部分における特性の動的制御とともに、容器130内の画像表示媒体120の正確な制御が提供され得ることを意味する。したがって、画像表示媒体120の能動的かつ局所的な制御は、装置100が高品質の三次元画像を継続的に表示できることを保証し、表示される異なる三次元画像に適合するように装置100の画像表示特性を迅速に調整できるようにすることも可能である。
【0215】
上記において、本発明の概念は、限られた数の例を参照して主に説明されてきた。しかしながら、すぐに当業者によって理解されるように、添付の請求の範囲によって定義されるように、上で開示されたもの以外の他の例も、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【0216】
上記の説明では、画像表示媒体120は、主に、水と、水中に浮遊された気泡またはポリスチレン粒子とを含むという観点から説明されてきた。
【0217】
画像表示媒体120は、気泡または他の粒子材料内の他の流体および他の気体に基づいて形成されてもよいことが理解されるべきである。特に、同様の屈折率コントラストが使用される場合、画像表示媒体120は、同様の特性を提供すると予想され得る。
【0218】
特に、流体は、流体中の気泡の長期安定性を提供するのに役立つ可能性がある、界面活性剤または電解質溶液を提供され得る水などの任意の水性液体であり得ることを理解されたい。
【0219】
さらに、流体は、画像表示媒体120内の気泡の生成に使用される気体で飽和されてもよい。これにより、流体内の気泡の長期安定性がさらに向上する場合がある。
【0220】
さらに、気泡は、比較的透明な任意の種類の気体で満たされてもよい。例えば、気泡は、酸素、窒素、二酸化炭素、またはそれらの組み合わせを含む気体で満たされてもよい。そのような気体は、容易に入手可能であり、非危険物質しか含まない可能性があるからである。
【0221】
粒子は、適切な屈折率を有する任意の他の材料で形成されてもよく、所望のサイズの小さなビーズに形成されてもよいことも理解されるべきである。したがって、他のプラスチック材料、またはシリカなどの他の材料を使用することもできる。シリカ粒子は、上記のポリスチレン粒子よりも小さな屈折率(約1.45)を有する。これは、同じ散乱特性を得るために、より高い濃度の粒子を画像表示媒体で使用する必要があることを意味する。