(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】光信号波形測定装置及び光信号波形測定方法
(51)【国際特許分類】
G01J 11/00 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
G01J11/00
(21)【出願番号】P 2021063094
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100163876
【氏名又は名称】上藤 哲嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100187045
【氏名又は名称】梅澤 奈菜
(72)【発明者】
【氏名】上野 真樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 崇
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124237(JP,A)
【文献】特開2014-228504(JP,A)
【文献】国際公開第2008/023833(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/001560(WO,A1)
【文献】特開2001-144687(JP,A)
【文献】特開2005-345312(JP,A)
【文献】特開2010-217100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の波形を測定する光信号波形測定装置であって、
自装置に入力された光信号の減衰量を可変可能な可変減衰部と、
前記可変減衰部から出力された光信号を電気信号に変換する信号変換部と、
前記信号変換部から出力された電気信号の電力と、前記信号変換部の変換効率と、に基づいて、前記可変減衰部から出力された光信号の電力を監視する電力監視部と、
前記可変減衰部から出力された光信号の電力が所定の電力と等しくなるように、前記自装置に入力された光信号の減衰量を調整する減衰量調整部と、
前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と等しくなったときに、前記信号変換部から出力された電気信号の波形を測定する波形測定部と、
を前記自装置の筐体内に備え
、
前記波形測定部は、前記可変減衰部から出力された光信号の前記所定の電力と、前記自装置に入力された光信号の調整済みの減衰量と、前記自装置の入力端子の接続損失と、前記入力端子から前記可変減衰部を経て前記信号変換部までの光ファイバの伝送損失と、に基づいて、前記自装置に入力された光信号の電力を測定する
ことを特徴とする光信号波形測定装置。
【請求項2】
前記減衰量調整部は、(1)前記自装置の測定の初期段階では、前記自装置に入力された光信号の減衰量を所定の減衰量に設定し、(2)前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて大きいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて大きい減衰量に調整し、(3)前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて小さいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて小さい減衰量に調整する
ことを特徴とする、請求項1に記載の光信号波形測定装置。
【請求項3】
光信号の波形を測定する光信号波形測定装置を用いる光信号波形測定方法であって、
自装置に入力された光信号の減衰量を可変可能な可変減衰手順と、
前記可変減衰手順で出力された光信号を電気信号に変換する信号変換手順と、
前記信号変換手順で出力された電気信号の電力と、前記信号変換手順の変換効率と、に基づいて、前記可変減衰手順で出力された光信号の電力を監視する電力監視手順と、
前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が所定の電力と等しくなるように、前記自装置に入力された光信号の減衰量を調整する減衰量調整手順と、
前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と等しくなったときに、前記信号変換手順で出力された電気信号の波形を測定する波形測定手順と、
を前記自装置の筐体内で行
い、
前記波形測定手順は、前記可変減衰手順で出力された光信号の前記所定の電力と、前記自装置に入力された光信号の調整済みの減衰量と、前記自装置の入力端子の接続損失と、前記入力端子から前記可変減衰手順を経て前記信号変換手順までの光ファイバの伝送損失と、に基づいて、前記自装置に入力された光信号の電力を測定する
ことを特徴とする光信号波形測定方法。
【請求項4】
前記減衰量調整手順は、(1)前記自装置の測定の初期段階では、前記自装置に入力された光信号の減衰量を所定の減衰量に設定し、(2)前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて大きいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて大きい減衰量に調整し、(3)前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて小さいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて小さい減衰量に調整する
ことを特徴とする、請求項
3に記載の光信号波形測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光信号を電気信号に変換し、光信号の波形を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号を電気信号に変換し、光信号の波形を測定する技術が、特許文献1等に開示されている。特許文献1では、測定波長毎に信号変換部を選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力は、光信号波形測定対象毎に異なることがある。すると、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力が大きいときには、光信号を電気信号に変換する信号変換部で電気信号歪みが生じることがある。そして、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力がさらに大きいときには、信号変換部が損傷する原因となる。
【0005】
そこで、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力が大きいときには、ユーザが光信号波形測定装置に加え、可変減衰装置を用意する必要がある。そして、可変減衰装置から出力された光信号の電力が、信号変換部に入力されるべき範囲の光信号の電力と等しくなるように、ユーザが光信号波形測定対象から出力された光信号の減衰量を調整する必要がある。よって、測定開始前に減衰量調整する手間が生じるという問題があった。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力が、光信号波形測定対象毎に異なるとき(特に大きいとき)であっても、ユーザが光信号波形測定装置に加え、可変減衰装置を用意することなく、自動的に光信号波形測定対象から出力された光信号の減衰量を適切な減衰量に調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、光信号の波形を測定する光信号波形測定装置であって、自装置に入力された光信号の減衰量を可変可能な可変減衰部と、前記可変減衰部から出力された光信号を電気信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部から出力された電気信号の電力と、前記信号変換部の変換効率と、に基づいて、前記可変減衰部から出力された光信号の電力を監視する電力監視部と、前記可変減衰部から出力された光信号の電力が所定の電力と等しくなるように、前記自装置に入力された光信号の減衰量を調整する減衰量調整部と、前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と等しくなったときに、前記信号変換部から出力された電気信号の波形を測定する波形測定部と、を前記自装置の筐体内に備えることを特徴とする光信号波形測定装置である。
【0008】
請求項1に係る発明において、請求項2に係る発明は、前記減衰量調整部は、(1)前記自装置の測定の初期段階では、前記自装置に入力された光信号の減衰量を所定の減衰量に設定し、(2)前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて大きいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて大きい減衰量に調整し、(3)前記可変減衰部から出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて小さいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて小さい減衰量に調整することを特徴とする光信号波形測定装置である。
【0009】
請求項1又は2に係る発明において、請求項3に係る発明は、前記波形測定部は、前記可変減衰部から出力された光信号の前記所定の電力と、前記自装置に入力された光信号の調整済みの減衰量と、前記自装置の入力端子の接続損失と、前記入力端子から前記可変減衰部を経て前記信号変換部までの光ファイバの伝送損失と、に基づいて、前記自装置に入力された光信号の電力を測定することを特徴とする光信号波形測定装置である。
【0010】
前記課題を解決するために、請求項4に係る発明は、光信号の波形を測定する光信号波形測定装置を用いる光信号波形測定方法であって、自装置に入力された光信号の減衰量を可変可能な可変減衰手順と、前記可変減衰手順で出力された光信号を電気信号に変換する信号変換手順と、前記信号変換手順で出力された電気信号の電力と、前記信号変換手順の変換効率と、に基づいて、前記可変減衰手順で出力された光信号の電力を監視する電力監視手順と、前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が所定の電力と等しくなるように、前記自装置に入力された光信号の減衰量を調整する減衰量調整手順と、前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と等しくなったときに、前記信号変換手順で出力された電気信号の波形を測定する波形測定手順と、を前記自装置の筐体内で行うことを特徴とする光信号波形測定方法である。
【0011】
請求項4に係る発明において、請求項5に係る発明は、前記減衰量調整手順は、(1)前記自装置の測定の初期段階では、前記自装置に入力された光信号の減衰量を所定の減衰量に設定し、(2)前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて大きいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて大きい減衰量に調整し、(3)前記可変減衰手順で出力された光信号の電力が前記所定の電力と比べて小さいときには、前記自装置に入力された光信号の減衰量を前記所定の減衰量と比べて小さい減衰量に調整することを特徴とする光信号波形測定方法である。
【0012】
請求項4又は5に係る発明において、請求項6に係る発明は、前記波形測定手順は、前記可変減衰手順で出力された光信号の前記所定の電力と、前記自装置に入力された光信号の調整済みの減衰量と、前記自装置の入力端子の接続損失と、前記入力端子から前記可変減衰手順を経て前記信号変換手順までの光ファイバの伝送損失と、に基づいて、前記自装置に入力された光信号の電力を測定することを特徴とする光信号波形測定方法である。
【発明の効果】
【0013】
このように、本開示は、光信号波形測定対象から出力された光信号の電力が、光信号波形測定対象毎に異なるとき(特に大きいとき)であっても、ユーザが光信号波形測定装置に加え、可変減衰装置を用意することなく、自動的に光信号波形測定対象から出力された光信号の減衰量を適切な減衰量に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の光信号波形測定装置の構成を示す図である。
【
図2】本開示の光信号波形測定方法の手順を示す図である。
【
図3】本開示の大電力の入力光信号に対する処理を示す図である。
【
図4】本開示の小電力の入力光信号に対する処理を示す図である。
【
図5】本開示の減衰量制御及び補正表示のテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0016】
本開示の光信号波形測定装置の構成を
図1に示す。本開示の光信号波形測定方法の手順を
図2に示す。光信号波形測定装置2は、入力端子21、可変減衰部22、信号変換部23、波形測定部24、電力監視部25及び減衰量調整部26を、自装置の筐体内に備える。
【0017】
光信号波形測定対象1は、例えばDUT(Device Under Test)等である。光信号波形測定装置2は、例えば光サンプリングオシロスコープ等である。光信号波形測定対象1と光信号波形測定装置2とは、接続端子11及び入力端子21を介して接続される。
【0018】
可変減衰部22は、例えばVOA(Variable Optical Attenuator)等であり、例えば電圧信号等を可変減衰量の制御信号として入力している。信号変換部23は、例えばPD(Photo Diode)等であり、光信号を電気信号に変換する変換効率が入力光電力で所定の特性を有している。
【0019】
光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力は、光信号波形測定対象1毎に異なることがある(大きいことがあり、小さいこともある。)。そこで、本開示の大電力(例えば+数dBm以上)の入力光信号に対する処理を
図3に示す。そして、本開示の小電力(例えば-10数dBm以下)の入力光信号に対する処理を
図4に示す。さらに、本開示の減衰量制御及び補正表示のテーブルを
図5に示す。
【0020】
図3の左欄、中欄及び右欄では、それぞれ、大電力の入力光信号に対する処理のうちの、測定の初期段階、減衰量の制御段階及び結果の表示段階を示す。
【0021】
測定の初期段階として、減衰量調整部26は、光信号波形測定装置2の測定の初期段階では、光信号波形測定装置2に入力された光信号(大電力PIH)の減衰量を所定の減衰量AIに設定する(ステップS1)。ここで、所定の減衰量AIは、光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力のレンジが考慮されたうえで、光信号を電気信号に変換する信号変換部23で電気信号歪みが小さくなる減衰量(減衰後に、例えば+数dBm以下)に設定され、電気信号SN比が良くなる(例えばシングルモードファイバ(SMF)であれば、SN比が所望の値、例えば15~16dB以上)減衰量に設定される。或いは、所定の減衰量AIは、光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力のレンジが考慮されたうえで、ユーザの指定の減衰量に設定されてもよい。
【0022】
可変減衰部22は、光信号波形測定装置2に入力された光信号(大電力PIH)の減衰量を可変可能である(ステップS2)。信号変換部23は、可変減衰部22から出力された光信号(電力PAH)を電気信号に変換する(ステップS3)。電力監視部25は、信号変換部23から出力された電気信号の電力と、信号変換部23の変換効率と、に基づいて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAHを監視する(ステップS4)。
【0023】
光信号波形測定装置2に入力された光信号の大電力PIHは、所定の減衰量AIと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、を受けて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAH=PIH-(AI+LI+LО)(単位はdBm)に減衰される。
【0024】
減衰量の制御段階として、減衰量調整部26は、可変減衰部22から出力された光信号の電力が所定の電力PAFと等しくなるように、光信号波形測定装置2に入力された光信号(大電力PIH)の減衰量を調整する。ここで、所定の電力PAFは、信号変換部23の入力光電力の適切な範囲が考慮されたうえで、光信号を電気信号に変換する信号変換部23で電気信号歪みが小さくなる電力(減衰後に、例えば+数dBm以下)にまで減衰され、電気信号SN比が良くなる(例えばシングルモードファイバ(SMF)であれば、SN比が所望の値、例えば15~16dB以上)電力にまで減衰される。
【0025】
具体的には、減衰量調整部26は、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAHが所定の電力PAFと比べて大きいため(ステップS5で「出力>所定」)、光信号波形測定装置2に入力された光信号(大電力PIH)の減衰量を、所定の減衰量AIと比べて大きい減衰量AFHに調整する(ステップS6)。そして、ステップS2~S4が再実行される。
【0026】
光信号波形測定装置2に入力された光信号の大電力PIHは、大きい減衰量AFHと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、を受けて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAF=PIH-(AFH+LI+LО)(単位はdBm)に減衰される。
【0027】
結果の表示段階として、波形測定部24は、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAFが所定の電力PAFと等しくなったため(ステップS5で「出力=所定」)、信号変換部23から出力された電気信号の電力を受ける(ステップS8)。そして、波形測定部24は、信号変換部23から出力された電気信号の電力に信号変換部23の変換効率を適用して、光信号波形測定装置2に入力された光信号の電力を測定し、電力を例えば縦軸として、時間を例えば横軸として、波形を表示する(具体的には、ステップS9)。
【0028】
つまり、波形測定部24は、可変減衰部22から出力された光信号の所定の電力PAFと、光信号波形測定装置2に入力された光信号の調整済みの減衰量AFHと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、に基づいて、光信号波形測定装置2に入力された光信号の大電力PIH=PAF+(AFH+LI+LО)(単位はdBm)を測定・表示する(ステップS9)。
【0029】
なお、減衰量調整部26は、
図5に示した減衰量制御のテーブルを参照したうえで、可変減衰部22から出力された光信号の電力P
AHに基づいて、所定の減衰量A
Iと比べて大きい減衰量A
FH=A
I+(P
AH-P
AF)(単位はdBm)を調整してもよい。また、波形測定部24は、
図5に示した補正表示のテーブルを参照したうえで、可変減衰部22から出力された光信号の電力P
AHに基づいて、光信号波形測定装置2に入力された光信号の大電力P
IH=P
AF+(A
FH+L
I+L
О)(単位はdBm)を測定・表示してもよい。
【0030】
図4の左欄、中欄及び右欄では、それぞれ、小電力の入力光信号に対する処理のうちの、測定の初期段階、減衰量の制御段階及び結果の表示段階を示す。
【0031】
測定の初期段階として、減衰量調整部26は、光信号波形測定装置2の測定の初期段階では、光信号波形測定装置2に入力された光信号(小電力PIL)の減衰量を所定の減衰量AIに設定する(ステップS1)。ここで、所定の減衰量AIは、光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力のレンジが考慮されたうえで、電気信号SN比が良くなる(例えばシングルモードファイバ(SMF)であれば、SN比が所望の値、例えば15~16dB以上)減衰量に設定され、光信号を電気信号に変換する信号変換部23で電気信号歪みが小さくなる減衰量(減衰後に、例えば+数dBm以下)に設定される。或いは、所定の減衰量AIは、光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力のレンジが考慮されたうえで、ユーザの指定の減衰量に設定されてもよい。
【0032】
可変減衰部22は、光信号波形測定装置2に入力された光信号(小電力PIL)の減衰量を可変可能である(ステップS2)。信号変換部23は、可変減衰部22から出力された光信号(電力PAL)を電気信号に変換する(ステップS3)。電力監視部25は、信号変換部23から出力された電気信号の電力と、信号変換部23の変換効率と、に基づいて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PALを監視する(ステップS4)。
【0033】
光信号波形測定装置2に入力された光信号の小電力PILは、所定の減衰量AIと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、を受けて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAL=PIL-(AI+LI+LО)(単位はdBm)に減衰される。
【0034】
減衰量の制御段階として、減衰量調整部26は、可変減衰部22から出力された光信号の電力が所定の電力PAFと等しくなるように、光信号波形測定装置2に入力された光信号(小電力PIL)の減衰量を調整する。ここで、所定の電力PAFは、信号変換部23の入力光電力の適切な範囲が考慮されたうえで、電気信号SN比が良くなる(例えばシングルモードファイバ(SMF)であれば、SN比が所望の値、例えば15~16dB以上)電力にまで減衰され、光信号を電気信号に変換する信号変換部23で電気信号歪みが小さくなる電力(減衰後に、例えば+数dBm以下)にまで減衰される。
【0035】
具体的には、減衰量調整部26は、可変減衰部22から出力された光信号の電力PALが所定の電力PAFと比べて小さいため(ステップS5で「出力<所定」)、光信号波形測定装置2に入力された光信号(小電力PIL)の減衰量を、所定の減衰量AIと比べて小さい減衰量AFLに調整する(ステップS7)。そして、ステップS2~S4が再実行される。
【0036】
光信号波形測定装置2に入力された光信号の小電力PILは、小さい減衰量AFLと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、を受けて、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAF=PIL-(AFL+LI+LО)(単位はdBm)に減衰される。
【0037】
結果の表示段階として、波形測定部24は、可変減衰部22から出力された光信号の電力PAFが所定の電力PAFと等しくなったため(ステップS5で「出力=所定」)、信号変換部23から出力された電気信号の電力を受ける(ステップS8)。そして、波形測定部24は、信号変換部23から出力された電気信号の電力に信号変換部23の変換効率を適用して、光信号波形測定装置2に入力された光信号の電力を測定し、電力を例えば縦軸として、時間を例えば横軸として、波形を表示する(具体的には、ステップS9)。
【0038】
つまり、波形測定部24は、可変減衰部22から出力された光信号の所定の電力PAFと、光信号波形測定装置2に入力された光信号の調整済みの減衰量AFLと、入力端子21の接続損失LIと、入力端子21から可変減衰部22を経て信号変換部23までの光ファイバの伝送損失LОと、に基づいて、光信号波形測定装置2に入力された光信号の小電力PIL=PAF+(AFL+LI+LО)(単位はdBm)を測定・表示する(ステップS9)。
【0039】
なお、減衰量調整部26は、
図5に示した減衰量制御のテーブルを参照したうえで、可変減衰部22から出力された光信号の電力P
ALに基づいて、所定の減衰量A
Iと比べて小さい減衰量A
FL=A
I-(P
AF-P
AL)(単位はdBm)を調整してもよい。また、波形測定部24は、
図5に示した補正表示のテーブルを参照したうえで、可変減衰部22から出力された光信号の電力P
ALに基づいて、光信号波形測定装置2に入力された光信号の小電力P
IL=P
AF+(A
FL+L
I+L
О)(単位はdBm)を測定・表示してもよい。
【0040】
以上に説明したように、光信号波形測定対象1から出力された光信号の電力が、光信号波形測定対象1毎に異なるとき(大きい/小さいとき、特に大きいとき)であっても、ユーザが光信号波形測定装置2に加え、可変減衰装置を用意することなく、自動的に光信号波形測定対象1から出力された光信号の減衰量を適切な減衰量に調整することができる。
【0041】
そして、光信号波形測定対象1から出力された光信号の減衰量と、光信号波形測定装置2の筐体内の接続損失及び伝送損失と、を自動的に加味したうえで、可変減衰部22から出力された光信号の電力を測定・表示するのではなく、光信号波形測定装置2に入力された光信号の電力(ユーザの所望電力)を測定・表示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示の光信号波形測定装置及び光信号波形測定方法は、例えば光サンプリングオシロスコープ等に適用することができ、ユーザが光サンプリングオシロスコープ等に加え、可変減衰装置を用意することなく、測定可能な入力光の電力範囲を拡大することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:光信号波形測定対象
2:光信号波形測定装置
11:接続端子
21:入力端子
22:可変減衰部
23:信号変換部
24:波形測定部
25:電力監視部
26:減衰量調整部