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特許7308889ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、及び二酸化炭素を含む冷媒混合物、並びにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、及び二酸化炭素を含む冷媒混合物、並びにその使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
C09K5/04 E
C09K5/04 F
C09K5/04 A
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021124228
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2018545491の分割
【原出願日】2017-02-27
(65)【公開番号】P2021181578
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】62/301,193
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/339,427
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルバラ ハヴィランド マイナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ヒューズ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510550(JP,A)
【文献】特表2013-529703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00- 5/20
C09K 3/00
F25B 1/00
F25B 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1024重量パーセントのジフルオロメタン、1224重量パーセントのペンタフルオロエタン、2546重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2430重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び2~重量パーセントの二酸化炭素からなり、R-22に対する容積の10%以内の容積を提供する、組成物。
【請求項2】
10.122重量パーセントのジフルオロメタン、1222重量パーセントのペンタフルオロエタン、27.145.1重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、25.629.4重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び2~重量パーセントの二酸化炭素からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
冷却を生み出すプロセスであって、請求項1に記載の組成物を凝縮させる工程と、その後、冷却される物体の付近で前記組成物を蒸発させる工程と、を含む、プロセス。
【請求項4】
加熱を生み出すプロセスであって、請求項1に記載の組成物を蒸発させる工程と、その後加熱される物体の付近で前記組成物を凝縮させる工程と、を含む、プロセス。
【請求項5】
冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-22を代替する方法であって、前記R-22の代替品として、請求項1に記載の組成物を提供する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含有する、空調又はヒートポンプシステムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を備える、空調又はヒートポンプシステム。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含有する、冷却システムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を備える、冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システム、空調システム及びヒートポンプシステムにおいて使用するための組成物に関する。本発明の組成物は、冷却及び加熱を生み出す方法及び冷媒を置換える方法、並びに冷却機器、空調機器及びヒートポンプ機器において有益である。
【背景技術】
【0002】
冷却業界は、過去数十年の間、モントリオール議定書の結果として、段階的に廃止されるオゾンを破壊するクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)の代替冷媒を見出すことに取り組んできた。大部分の冷媒生産者の解決法は、ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)冷媒の商品化であった。現時点で最も広く使用されている、中でもHFC-134a、R-404A、及びR-410Aを含むこれらのHFC冷媒は、オゾン層破壊係数ゼロを有し、したがって、モントリオール議定書の結果として段階的に廃止される現在の規制による影響を受けることはない。
【0003】
地球温暖化に関する環境規制は、現在、多くのHFC冷媒の地球規模での段階的な廃止を引き起こしている。移動式空調の市場は、地球温暖化係数(global warming potential、GWP)に関する最も早期の規制に取り組んできている。この規制が他の業界、例えば、固定式空調システム及び冷却システムに適用されたとき、冷却及び空調業界のあらゆる分野において使用可能な冷媒に対する、更に大きな必要性が生じた。
【0004】
本業界は、過去数十年に亘って、R-22及び/又はR-410Aと同等の性能を提供し、かつ不燃性である、R-22及びR410Aの代替品を見出すことに特に奮闘してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加えて、本業界は、R-407A、R-407C、及び/又はR-407Fと同等の性能を提供し、かつ不燃性である、冷却及び/又は空調におけるR-407A、R-407C、及びR-407Fの代替品を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、及び二酸化炭素を含むある特定の組成物は、現在利用可能な商業用冷媒、具体的には、高GWPを有するR-22、R-410A、R-407A、R-407C、及びR-407Fの代替品として使用可能である好適な特性を有することが見出された。したがって、本発明者らは、オゾンを破壊せず、直接的な地球温暖化係数が著しく小さく、不燃性であり、R-22、R-410A、R-407A、R-407C、及びR-407Fの性能に匹敵し、したがって環境持続可能な代用品である、冷媒ガスを発見した。
【0007】
加えて、ブレンド成分としてCO2を使用することにより、多くの冷媒用途のための要件である不燃性を維持しながら、混合物中のジフルオロメタンを増加させることができる。
【0008】
本発明に従って、冷媒組成物が開示されている。冷媒組成物は、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、及び二酸化炭素を含む。
【0009】
冷媒組成物は、冷却を生み出すプロセスにおいて、冷媒R-22、R-410A、R-404A、R-407A、R-407C、又はR-407Fを置換する方法において、並びに特に、冷却システム、空調システム、及びヒートポンプシステムにおいて、非冷媒成分(例えば、潤滑剤)も含有する組成物の成分として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載される実施形態の詳細に言及する前に、いくつかの用語を定義又は明確化する。
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、伝熱流体(伝熱媒体とも呼ばれる)という用語は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される組成物を意味する。
【0012】
熱源は、熱を加える、伝達する、移動させる又は除去することが望ましい任意の空間、場所、物又は物体として定義される。熱源の例としては、スーパーマーケットの冷蔵庫又は冷凍ケース、輸送用の冷却されているコンテナ、空調を必要とする建物空間、工業用水冷器又は空調を必要とする自動車の客室などの冷却(refrigeration)又は冷却(cooling)を必要とする空間(開放されているか又は囲われている)である。いくつかの実施形態では、伝熱組成物は、伝達プロセスを通して、一定の状態を維持していてもよい(すなわち、蒸発又は凝縮しない)。他の実施形態では、気化冷却プロセスにも伝熱組成物を用いてもよい。
【0013】
ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、物又は物体として定義される。蒸気圧縮冷蔵システムは、そのようなヒートシンクの一例である。
【0014】
冷媒は、液体から気体への相変化が行われ、熱の伝達に使用されるサイクル中に再び戻る伝熱流体として定義される。
【0015】
伝熱システムは、特定の空間において加熱又は冷却効果を生み出すために使用されるシステム(又は機器)である。伝熱システムは、移動システム又は固定システムであり得る。
【0016】
伝熱システムの例としては、これらに限定されないが、固定式伝熱システム、空調機、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷機、満液式蒸発器チラー、直接膨張式チラー、ウォークインクーラー、移動式冷蔵庫、移動式伝熱システム、移動式空調ユニット、除湿器、及びそれらの組み合わせを含む、任意の種類の冷却システム及び空調システムである。
【0017】
冷却(Refrigeration)能力(冷却(cooling)能力とも呼ばれる)は、循環している冷媒1ポンド当たりの蒸発器内の冷媒のエンタルピーの変化、又は蒸発器から出る冷媒蒸気の単位体積(容積)当たりの蒸発器内の冷媒によって除去される熱を定義する用語である。冷却能力は、冷媒又は伝熱組成物が、冷却を生み出す能力の尺度である。したがって、この能力が高ければ高いほど、より多くの冷却が生み出される。冷却速度は、蒸発器内の冷媒によって除去される単位時間当たりの熱量を指す。
【0018】
性能係数(Coefficient of performance、COP)は、除去された熱量を、そのサイクルを運転するのに必要であったエネルギー入力で割ったものである。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率がより高いということである。COPは、特定の組の内部温度及び外部温度での冷却設備又は空調設備の効率評価であるエネルギー効率比(EER)と直接関連がある。
【0019】
用語「過冷却」は、所定の圧力に対してその液体の飽和点を下回る液体の温度まで低下させることを指す。飽和点とは蒸気が完全に液体に凝縮される温度であるが、過冷却とは、液体を所与の圧力でより低い温度の液体に冷却し続ける。液体を飽和温度を下回る温度(又は沸点温度)まで冷却することで、正味冷却能力を増大させ得る。それにより、過冷却は、システムの冷却能力及びエネルギー効率を向上させる。過冷却量は、飽和温度(度)を下回る冷却量である。
【0020】
過熱は、蒸気組成物がその飽和蒸気温度(組成物が冷却される場合に液体の最初の一滴が形成される温度、「露点」とも呼ばれる)をどの程度上回って加熱されるかを定義する用語である。
【0021】
温度勾配(単に「勾配」と呼ばれることもある)は、任意の過冷却又は過熱を除く、冷媒システムの構成要素内の冷媒による相変化プロセスの開始温度と終了温度との間の差異の絶対値である。この用語は、擬似共沸混合物又は非共沸組成物の、凝縮又は蒸発について説明するために使用され得る。冷却システム、空調システム又はヒートポンプシステムの温度勾配を指す場合、蒸発器内の温度勾配と凝縮器の温度勾配との平均値である平均温度勾配を提供することが一般的である。
【0022】
正味冷却効果とは、有用な冷却を生み出すために冷媒1kgが蒸発器内で吸収する熱量である。
【0023】
質量流量は、所定の時間に、冷却システム、ヒートポンプシステム又は空調システムを介して循環する冷媒の量(キログラム)である。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「潤滑剤」とは、部品の焼付き防止を補助するために圧縮機に潤滑を提供する、組成物又は圧縮機に添加される(及び任意の伝熱システム内で使用中の任意の伝熱組成物と接触する)任意の材料を意味する。
【0025】
本明細書で使用するとき、相溶化剤は、伝熱システム潤滑剤中の、開示される組成物のヒドロフルオロカーボンの溶解度を改善する化合物である。いくつかの実施形態では、相溶化剤により圧縮機への油戻しが改善される。いくつかの実施形態では、組成物をシステム潤滑剤と共に使用して、油リッチ相の粘度を低下させる。
【0026】
本明細書で使用するとき、油戻しとは、伝熱組成物の伝熱システムを介して潤滑剤を運び、圧縮機にその潤滑剤を戻す能力を意味する。すなわち、使用中、圧縮機潤滑剤の一部が、伝熱組成物によって圧縮機からシステムの他の部分に運び出されることは珍しいことではない。そのようなシステムでは、潤滑剤が効率良く圧縮機に戻らない場合、最終的に、潤滑の不足により圧縮機が故障する。
【0027】
本明細書で使用するとき、「紫外線」染料は、電磁スペクトルの紫外線又は「近」紫外線領域内の光を吸収する紫外線蛍光性組成物又はリン光性組成物として定義される。10ナノメートル~約775ナノメートルの範囲内の波長を有する、少なくともいくらかの放射線を放出する紫外線照射下において、紫外線蛍光染料によって生み出された蛍光が検出され得る。
【0028】
可燃性は、発火する及び/又は炎を伝播させる組成物の能力を意味するために使用される用語である。冷媒及び他の伝熱組成物については、燃焼下限濃度(lower flammability limit、「LFL」)とは、ASTM(American Society of Testing and Material、米国材料検査協会)E681に記述されている試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して炎を伝播することができる空気中の伝熱組成物の最低濃度である。可燃上限(upper flammability limit、「UFL」)とは、同じ試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して火炎伝播することができる、空気中における伝熱組成物の最高濃度である。また、ASTM-681の条件下で試験することによって、冷媒化合物又は混合物が可燃性であるか不燃性であるかが判定される。
【0029】
冷媒が漏れる際に、混合物の低沸点成分が優先的に漏れ得る。これにより、システム内並びに蒸気漏れの組成は、漏れる時間に亘って変化する場合がある。これにより、不燃性の混合物が、漏れが想定される状況下で可燃性になり得る。また、ASHRAE(American Society of Heating, Refrigeration and Air-conditioning Engineers、米国加熱冷凍エアコンディショニング工学会)によって不燃性として分類されるためには、冷媒又は伝熱組成物は、配合時のみならず漏れ条件下でも、不燃性でなければならない。
【0030】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較した、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への寄与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の効果を示す。100年間という対象期間のGWPが、一般的に参照される値である。混合物については、各成分に関する個々のGWPに基づいて加重平均を計算することができる。
【0031】
オゾン破壊係数(ozone depletion potential、ODP)は、物質によって生じるオゾン破壊係数を指す数値である。ODPは、CFC-11(フルオロトリクロロメタン)の類似の質量の影響と比較した化学物質がオゾンに及ぼす影響の比率である。このため、CFC-11のODPが1.0と定義される。他のCFC及びHCFCは、0.01~1.0の範囲のODPを有する。HFCは、塩素又は他のオゾン破壊性ハロゲンを含有しないので、ODPはゼロである。
【0032】
本発明で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、若しくは機器は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はそのような組成物若しくは、プロセス、方法、物品、若しくは機器などに内在する他の要素を包含し得る。
【0033】
移行句「からなる」は、特定されていないいかなる要素、工程、又は成分も除外する。特許請求の範囲における場合には、材料に通常付随する不純物を除き、このような句は、列挙された材料以外の材料の包含を特許請求項から締め出す。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の節内で現れるとき、この語句はその節の中に示される要素のみを制限するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない。
【0034】
移行句「~から本質的になる」は、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分、又は要素を含む、組成物、方法、又は機器を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、構成成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場を占める。典型的には、冷媒混合物の成分及び冷媒混合物自体は、冷媒混合物の新規及び基本的特性に実質的に影響を及ぼすことのない少量(例えば、総計約0.5重量%未満)の不純物及び/又は副生成物(例えば、冷媒構成成分の産生又は他のシステムからの冷媒成分の再利用)を含有してもよい。
【0035】
出願人が、発明又はその一部分を、「含む」などの非限定的な用語で定義する場合、(特に明記しない限り)その説明は用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いる発明も説明しているように解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0036】
また、「1つ(a)」又は「1つ(an)」の使用は、本明細書に記載の要素及び成分を説明するために採用される。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0037】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を、開示された組成物の実施形態の実践又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を下に記載する。本明細書において言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、特定の一節を引用するものでない限り、その全文が参照により本明細書に援用される。矛盾が生じた場合は、定義を含め、本明細書が優先される。更に、材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。
【0038】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンは更に、HFO-1234yf、HFC-1234yf又はR1234yfと称される場合もある。HFO-1234yfは、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)又は1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)の脱フッ化水素によるなどの、当該技術分野において既知の方法によって作製され得る。
【0039】
ジフルオロメタン(HFC-32又はR-32)は、商業的に利用可能であるか、又は例えば、塩化メチレンの脱塩素フッ素化など当該技術分野において既知の方法によって作製し得る。
【0040】
ペンタフルオロエタン(HFC-125又はR125)は市販されているか、又は、本明細書に援用される米国特許第5,399,549号に記載の2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタンの脱クロロフッ化など、当該技術分野において既知の方法によって作製され得る。
【0041】
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a又はR-134a)は市販されているか、又は、1,1-ジクロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(すなわちCCl2FCF3又はCFC-114a)の1,1,1,2-テトラフルオロエタンへの水素化によるなどの当該技術分野において既知の方法によって作製され得る。
【0042】
二酸化炭素(CO2)は多くのガス供給業者から市販されているか、又は任意多数の周知の方法によって生み出され得る。
【0043】
組成物
冷媒業界は、許容可能な性能及び環境持続可能性を提供する新規冷媒製品の開発に奮闘している。多くの用途では不燃性冷媒組成物を必要としており、新規地球温暖化規制により、新規冷媒組成物に関する地球温暖化係数(GWP)の上限が課される可能性がある。したがって、本業界では、冷却及び加熱の良好な性能も提供する、不燃性、低GWP(どのくらい低いGWPとするかは論議されている)、低毒性、低オゾン破壊係数(ODP)である成分を見出す必要がある。R-22の不燃性代替品を見出すことを、本業界は、数十年間研究してきた。長年、R-22の代用品として、R-410A(50重量パーセントのHFC-32及び50重量パーセントのHFC-125の不燃性ブレンド)が、空調及びヒートポンプに使用されてきているが、GWPが高すぎ、代替されなければならない。本明細書に記載の組成物は、かかる代替品を提供し、予想外の可燃特性を有する。
【0044】
ジフルオロメタン(HFC-32)は、冷媒又は伝熱組成物として望ましい特性を有することが見出された。したがって、その可燃性は穏やかであるが、特定用途では冷媒又は伝熱組成物は不燃性である必要があり、HFC-32を含有する混合物を、注意深く配合して不燃性を確保しなければならない。本発明者らは驚くべきことに、組成物に少量でも二酸化炭素(CO2)を添加することによって、大量のHFC-32が使用されることができ、かつ不燃性組成物を維持するような良い方式で、可燃性に影響を与えることができることを見出した。これらの組成物の漏れ挙動は、本出願の実施例に示される。
【0045】
本発明者らは、冷却機器、空調機器、及びヒートポンプ機器におけるR-22及びR-410Aの代替品として機能する性能特性を提供する不燃性組成物を特定した。これらの組成物は、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素を含む。一実施形態では、これらの組成物は不燃性である。したがって、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素を含む不燃性組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、ASTM E-681の条件下で試験される場合、不燃性である。一実施形態では、組成物は、ASTM-E681の条件下で60℃で試験される場合、不燃性である。
【0046】
加えて、R-407A、R-407C、及び/又はR-407Fとの代替を可能にする性能を提供する、不燃性の組成物が更に見出された。これらの組成物はまた、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素を含む。
【0047】
加えて、本発明の不燃性組成物は、R-404A及び/又はR-507Aとの代替を可能にする性能を提供することが見出された。これらの組成物はまた、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素を含む。
【0048】
本明細書に開示の組成物は、一実施形態では、9~26重量パーセントのジフルオロメタン(HFC-32)、約11~26重量パーセントのペンタフルオロエタン(HFC-125)、約23~46重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、約22~35重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素(CO2)を含む。これらの組成物は、クロロジフルオロメタン(R-22)の容積の約±15%以内に匹敵する容積を提供する。別の実施形態では、組成物は、約10~24重量パーセントのHFC-32、約12~24重量パーセントのHFC-125、約25~46重量パーセントのHFO-1234yf、約24~30重量パーセントのHFC-134a、及び約2~8重量パーセントのCO2を含む。これらの組成物は、R-22の容積の約±10%以内に匹敵する容積を提供する。
【0049】
R-22の代替品として、特に興味深いものを表Aに列挙している。
【0050】
【表1】
【0051】
別の実施形態では、8~40重量パーセントのジフルオロメタン(HFC-32)、約10~40重量パーセントのペンタフルオロエタン(HFC-125)、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、約6~27重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素(CO2)、を含む組成物が開示される。別の実施形態では、約18~40重量パーセントのHFC-32、約18~40重量パーセントのHFC-125、約7~28重量パーセントのHFO-1234yf、約6~27重量パーセントのHFC-134a、及び約2~10重量パーセントのCO2を含む組成物。これらの組成物は、R-410Aの容積の約±15%以内に匹敵する容積を提供する提供する。
【0052】
別の実施形態では、約8~40重量パーセントのHFC-32、約10~40重量パーセントのHFC-125、約7~39重量パーセントのHFO-1234yf、約6~26重量パーセントのHFC-134a、及び約2~20重量パーセントのCO2を含む組成物。別の実施形態では、約22~40重量パーセントのHFC-32、約22~40重量パーセントのHFC-125、約7~24重量パーセントのHFO-1234yf、約6~23重量パーセントのHFC-134a、及び約2~10重量パーセントのCO2を含む組成物。これらの組成物は、R-410Aの容積の約±10%以内に匹敵する容積を提供する。
【0053】
別の実施形態では、約28~38重量パーセントのHFC-32、約28~32重量パーセントのHFC-125、約12~19重量パーセントのHFO-1234yf、約12~19重量パーセントのHFC-134a、及び約3~8重量パーセントのCO2を含む組成物。一実施形態では、これらの組成物は、中温度冷却システム及び低温冷却システムを含む、冷却、空調、及びヒートポンプシステムにおけるR-410Aを代替するために特に有用である。
【0054】
R-410Aの代替品として、特に興味深いものを表Bに列挙している。
【0055】
【表2-1】
【0056】
【表2-2】
【0057】
【表2-3】
【0058】
別の実施形態では、R-407A、R-407C、又はR-407Fの代替品として機能することができる組成物が本明細書で開示される。一実施形態では、R-407A、R-407C、又はR-407Fを代替するための組成物は、9~26重量パーセントのジフルオロメタン(HFC-32)、約11~26重量パーセントのペンタフルオロエタン(HFC-125)、約23~46重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、約22~35重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素(CO2)を含む。別の実施形態では、R-407A、R-407C、又はR-407Fを代替するための組成物は、約10~24重量パーセントのHFC-32、約12~24重量パーセントのHFC-125、約25~46重量パーセントのHFO-1234yf、約24~30重量パーセントのHFC-134a、及び約2~8重量パーセントのCO2を含む。
【0059】
R-407A、R-407C、又はR-407Fを代替するための代替品として、特に興味深いものを表Cに列挙している。
【0060】
【表3】
【0061】
加えて、R-22の代替品として上述の組成物は、R-404A又はR-507の代替品(R-507A又はR-507Bを意味する)として機能し得る。
【0062】
別の実施形態では、本発明の組成物は、約6~26重量パーセントのジフルオロメタン、約6~26重量パーセントのペンタフルオロエタン、約23~46重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約22~35重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含み得る。
【0063】
別の実施形態では、本発明の組成物は、約4~26重量パーセントのジフルオロメタン、約2~26重量パーセントのペンタフルオロエタン、約23~50重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約22~38重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含み得る。
【0064】
別の実施形態では、本発明の組成物は、約6~40重量パーセントのジフルオロメタン、約8~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~27重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含み得る。
【0065】
別の実施形態では、本発明の組成物は、約4~40重量パーセントのジフルオロメタン、約6~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~30重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素に加え、本開示の組成物は、任意選択的に非冷媒成分を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物における任意選択的な非冷媒成分(本明細書では添加剤とも呼ばれる)は、潤滑剤、染料(紫外線染料を含む)、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、パーフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含み得る。実際に、これらの任意選択的な非冷媒成分の多くは、1つ以上のこれらの分類に適合し、それら自体が1つ以上の性能特徴の達成に役立つ品質を有し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、1つ以上の非冷媒成分は、組成物全体に対して少ない量で存在する。いくつかの実施形態では、開示の組成物における添加剤(類)の濃度の量は、全組成物の、約0.1重量パーセント未満~約5重量パーセントと同程度までである。本発明のいくらかの実施形態においては、添加剤は、本明細書にて開示される組成物において、全組成物に対して、約0.1重量パーセントから約5重量パーセントの含量で、又は約0.1重量パーセントから約3.5重量パーセントの含量で存在する。本開示の組成物として選択される添加剤成分(類)は、実用性及び/又は個々の設備構成要素、若しくはシステムの要件に基づいて選択される。
【0069】
一実施形態では、潤滑剤は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、リン酸エステル、パラフィン、ナフテン、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
本明細書に開示する潤滑剤は、市販の潤滑剤であってよい。例えば、潤滑剤は、BVM 100NとしてBVA Oilより販売されているパラフィン鉱油、商標名Suniso(登録商標)1GS、Suniso(登録商標)3GS及びSuniso(登録商標)5GSでCrompton Co.より販売されているナフテン系鉱油、商標名Sontex(登録商標)372LTでPennzoilにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Calumet(登録商標)RO-30でCalumet Lubricantsにより販売されているナフテン系鉱油、商標名Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150及びZerol(登録商標)500でShrieve Chemicalsにより販売されている直鎖アルキルベンゼン、HAB 22としてNippon Oilより販売されている分枝鎖アルキルベンゼン、商標名Castrol(登録商標)100でCastrol,United Kingdomにより販売されているポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)RL-488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)及びこれらの混合物(本章で開示される任意の混合物を意味する)であってもよい。
【0071】
潤滑剤を含む本発明の組成物では、潤滑剤は、全組成物の40.0重量%未満の量で存在する。他の実施形態では、潤滑剤の量は、全組成物の20重量%未満である。他の実施形態では、潤滑剤の量は、全組成物の10重量%未満である。他の実施形態では、潤滑剤のおおよその量は、全組成物の約0.1重量%~5.0重量%である。
【0072】
本明細書に開示する組成物の上記重量比にもかかわらず、いくつかの伝熱システムでは、本組成物が使用されている間、そのような伝熱システムの1つ以上の設備構成要素から追加の潤滑剤が得られる可能性があることが理解されている。例えば、いくつかの冷却システム、空調システム及びヒートポンプシステムでは、圧縮機及び/又は圧縮機潤滑サンプ内に潤滑剤を充填してもよい。このような潤滑剤は、任意の潤滑添加剤に加えて、このようなシステムの冷媒中に存在する。使用中、圧縮機内にあるとき、冷媒組成物は、ある量の装置潤滑剤を捕捉して、冷媒-潤滑剤組成物を出発比率から変更してもよい。
【0073】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、少なくとも1つの染料を含んでいてよい。染料は、少なくとも1つの紫外線(ultra-violet、UV)染料であってもよい。紫外線染料は、蛍光染料であってよい。蛍光染料は、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン(phenanthracene)、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン及び当該染料の誘導体及びこれらの組み合わせ(本章で開示されている当該染料又はこれらの誘導体の混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、開示する組成物は、約0.001重量パーセント~約1.0重量パーセントの紫外線染料を含有する。他の実施形態では、紫外線染料は約0.005重量パーセント~約0.5重量パーセントの量で存在し、他の実施形態では、紫外線染料は全組成物の0.01重量パーセント~約0.25重量パーセントの量で存在する。
【0075】
紫外線染料は、機器(例えば、冷却ユニット、空調器又はヒートポンプ)中での漏出点又は漏出点付近において染料の蛍光を観察することができることから、組成物の漏出を検出するにあたって有用な成分である。紫外線発光(例えば、染料からの蛍光)は、紫外線光下で観察されてもよい。したがって、こうした紫外線染料を含有する組成物が機器中の所与の点から漏出した場合、蛍光は、漏出点又は漏出点付近で検出され得る。
【0076】
本発明の組成物と共に使用され得る別の非冷媒成分は、本開示の組成物中において1つ以上の染料の溶解度を改善するために選択された少なくとも1つの可溶化剤を含めてもよい。いくつかの実施形態では、染料の可溶化剤に対する重量比は、約99:1~約1:1の範囲である。可溶化剤としては、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル及び1,1,1-トリフルオロアルカン及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の可溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、非冷媒成分は、1つ以上の潤滑剤と開示する組成物との相溶性を改善するために少なくとも1つの相溶剤を含む。相溶剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(例えば、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム又はこれらの混合物)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル、1,1,1-トリフルオロアルカン及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の相溶化剤の混合物を意味する)からなる群から選択してもよい。
【0078】
可溶化剤及び相溶剤は、ジメチルエーテル(dimethyl ether、DME)など、炭素、水素及び酸素のみを含むエーテルからなる炭化水素エーテル及びこれらの混合物(本章で開示されている任意の炭化水素の混合物を意味する)からなる群から選択されてもよい。
【0079】
相溶剤は、3~15個の炭素原子を含有する直鎖又は環式脂肪族又は芳香族炭化水素相溶剤であり得る。相溶化剤は、中でも、プロピレン及びプロパンを含む少なくともプロパン、n-ブタン及びイソブテンを含むブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン及びシクロペンタンを含むペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、並びにデカンからなる群から選択され得る少なくとも1つの炭化水素であり得る。市販の炭化水素相溶化剤としては、これらに限定されるものではないが、Exxon Chemical(USA)から商標名Isopar(登録商標)Hで販売されているもの、ウンデカン(C11)とドデカン(C12)との混合物(高純度C11~C12イソ-パラフィン)、Aromatic 150(C9~C11芳香族)(Aromatic 200(C9~C15芳香族)及びNaptha 140(C5~C11パラフィン、ナフテン及び芳香族炭化水素の混合物)、及びそれらの混合物(本章で開示の任意の炭化水素の混合物を意味する)が挙げられる。
【0080】
相溶剤は、代替的に、少なくとも1つのポリマー性相溶剤であってもよい。ポリマー相溶剤は、フッ素化アクリレート及び非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであり得、このポリマーが、式CH2=C(R1)CO22、CH2=C(R3)C644、及びCH2=C(R5)C64XR6で表される少なくとも1つのポリマーの反復単位を含む(式中、Xが酸素又は硫黄であり、R1、R3、及びR5が、H及びC1~C4のアルキルラジカルからなる群から独立して選択され、並びにR2、R4、及びR6がC及びFを含有する炭素鎖系ラジカルからなる群から独立して選択され、チオエーテル、スルホキシド、又はスルホン基及びそれらの混合物の形態でH、Cl、エーテル酸素、若しくは硫黄を更に含有し得る。かかるポリマー性相溶化剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)(登録商標)PHSでE.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE,19898,USA)から市販されているようなものが挙げられる。Zonyl(登録商標)PHSは、40重量%のCH2=C(CH3)CO2CH2CH2(CF2CF2mF(Zonyl(登録商標)(登録商標)フルオロメタクリレート又はZFMとも呼ばれる)(式中、mが1~12であり、主に2~8である)、60重量%のラウリルメタクリレート(CH2=C(CH3)CO2(CH211CH3(LMAとも呼ばれる)を重合することによって作製されたランダムコポリマーである。
【0081】
いくつかの実施形態では、相溶剤成分は、潤滑剤の金属への粘着性を低減する方式で、熱交換器に見られる金属銅、アルミニウム、鋼、又は他の金属及びその合金の表面エネルギーを減少させる添加剤を(相溶剤の総量に基づき)約0.01~30重量%含有する。金属表面エネルギーを減少させる添加剤の例としては、商標名Zonyl(登録商標)FSA、Zonyl(登録商標)FSP、及びZonyl(登録商標)FSJにてDuPontから市販されているものが挙げられる。
【0082】
本発明の組成物と共に使用され得る別の非冷媒成分は、金属表面不活性化剤であってもよい。金属表面不活性化剤には、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629-10-3)、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687-78-8)、2,2,’-オキサミドビス-エチル-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート(CAS登録番号70331-94-1)、N,N’-(ジサリシクリデン(disalicyclidene))-1,2-ジアミノプロパン(CAS登録番号94-91-7)、及びエチレンジアミンテトラ-酢酸(CAS登録番号60-00-4)及びその塩、並びにそれらの混合物(本章に開示の任意の金属表面不活性化剤の混合物を意味する)からなる群から選択される。
【0083】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、代替的にはヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート又はホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、及びそれらの混合物(本章に開示されている任意の安定剤の混合物を意味する)からなる群から選択される安定剤であり得る。
【0084】
安定剤は、以下からなる群から選択され得る:トコフェロール;ヒドロキノン;t-ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート、及びジチオホスフェート(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland(以後「Ciba」)から商標名Irgalube(登録商標)63として市販);ジアルキルチオリン酸エステル(Cibaからそれぞれ商標名Irgalube(登録商標)353及びIrgalube(登録商標)350として市販);ブチル化トリフェニルホスホロチオネート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)232として市販);アミンホスフェート(Cibaから商標名Irgalube(登録商標)349(Ciba)として市販);ヒンダードホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)168として市販)、及びトリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Cibaから商標名Irgafos(登録商標)OPHとして市販);(Di-n-オクチルホスファイト);及びイソ-デシルジフェニルホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)DDPPとして市販);トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート、リン酸トリクレシル及びトリキシレニルホスフェートを含むトリアリールホスフェート、並びにイソプロピルフェニルホスフェート(IPPP)及びビス(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP)を含む混合アルキルアリールホスフェート;Syn-O-Ad(登録商標)8784など、商標名Syn-O-Ad(登録商標)にて市販されているものなどのブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)620として市販のものなどのtert-ブチル化トリフェニルホスフェート;商標名Durad(登録商標)220及びDurad(登録商標)110で市販されているものなどのイソプロピルトリフェニルホスフェート;アニソール;1,4-ジメトキシベンゼン;1,4-ジエトキシベンゼン;1,3,5-トリメトキシベンゼン;ミルセン、アロオシメン、リモネン(特にd-リモネン);レチナール;ピネン;メントール;ゲラニオール;ファルネソール;フィトール;ビタミンA;テルピネン;δ-3-カレン;テルピノレン;フェランドレン;フェンチェン;ジペンテン;リコピンなどのカラテノイド(caratenoids)、βカロチン、及びゼアキサンチンなどのキサントフィル;ヘパキサンチン及びイソトレチノインなどのレチノイド;ボルナン;1,2-プロピレンオキシド;1,2-ブチレンオキシド;n-ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1-ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;3-エチル-3-ヒドロキシメチル-オキセタン(例えば、OXT-101(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((フェノキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-211(Toagosei Co.,Ltd));3-エチル-3-((2-エチル-ヘキシルオキシ)メチル)-オキセタン(例えば、OXT-212(Toagosei Co.,Ltd));アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);コエンザイムA;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)-2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エニル)プロパン-2-チオール));システイン((R)-2-アミノ-3-スルファニル-プロパン酸);リポアミド(1,2-ジチオラン-3-ペンタンアミド);5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-[2,3(又は3,4)-ジメチルフェニル]-2(3H)-ベンゾフラノン(Cibaから商標名Irganox(登録商標)HP-136として市販);ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標名Irganox(登録商標)PS802(Ciba)でCibaから市販されているジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート;ジドデシル3,3’-チオプロピオネート(Cibaから商標名Irganox(登録商標)PS800として市販);ジ-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)770として市販);ポリ-(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート(Cibaから商標名Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)として市販);メチルビスタローアミン;ビスタローアミン;フェノール-アルファ-ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5-ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’-ジヒドロキシアセトフェノン;2-アミノベンゾフェノン;2-クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン性液体;並びにその混合物及びそれらの組み合わせ。
【0085】
本発明の組成物と共に使用される添加剤は、代替的にはイオン性液体安定剤であってもよい。イオン性液体安定剤は、室温(およそ25℃)で液体である有機塩からなる群から選択され得、それらの塩は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、及びトリアゾリウム、並びにそれらの混合物からなる群から選択された陽イオン;並びに[BF4]-、[PF6]-、[SbF6]-、[CF3SO3]-、[HCF2CF2SO3]-、[CF3HFCCF2SO3]-、[HCClFCF2SO3]-、[(CF3SO22N]-、[(CF3CF2SO22N]-、[(CF3SO23C]-、[CF3CO2]-、及びF-、並びにそれらの混合物からなる群から選択される陰イオンを含有する。いくつかの実施形態では、イオン性液体安定剤は次からなる群から選択される;emim BF4(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩)、bmim BF4(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラボラート);emim PF6(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);及びbmim PF6(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)であり、これらの全ては、Fluka(Sigma-Aldrich)より入手可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、安定剤は、ヒンダードフェノールであり得、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,4-ジメチル-6-tertブチルフェノール;トコフェロール;などt-ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンの他の誘導体などを含むヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン;など、4、4’-チオ-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;4,4’-チオビス(3-メチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-チオビス(4メチル-6-tert-ブチルフェノール);など、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)を含むアルキリデン-ビスフェノール;4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2-、又は4,4-ビフェノールジオール誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール、2,2-又は4,4-ビフェニルジオール(2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)など);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、又は2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、(2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール、4,4-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)を含むヘテロ原子を含むビスフェノール;など、アシルアミノフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);以下などのスルフィド;ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド及びこれらの混合物(本項に開示されているフェノールのいずれかの混合物を意味する)など、1つ以上の置換又は環状直鎖又は分岐鎖脂肪族置換基を含むフェノールなどの任意の置換フェノール化合物である。
【0087】
本発明の組成物と共に使用される非冷媒成分は、代替的にトレーサーであってもよい。トレーサーは、同一の分類の化合物又は異なる分類の化合物の2種以上のトレーサー化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、トレーサーは、全組成物の重量に基づいて、約50重量百万分率(ppm)~約1000ppmの合計濃度で組成物中に存在する。他の実施形態では、トレーサーは、約50ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。代替的には、トレーサーが全濃度約100ppm~約300ppmにて存在する。
【0088】
トレーサーは、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、重水素化ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素酸化合物、アルコール、アルデヒド及びケトン、亜酸化窒素及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。あるいは、トレーサーは、フルオロエタン、1,1,-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロヘプタン、ヨードトリフルオロメタン、重水素化炭化水素、重水素化ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨード化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、トレーサーは、2つ以上のヒドロフルオロカーボン、又は1つ以上のパーフルオロカーボンと組み合わされた1つのヒドロフルオロカーボンを含有するブレンドである。
【0089】
トレーサーは、任意の希釈、汚染又は他の組成物の変更を検出できるようにするために、所定の量で本発明の組成物に添加されてもよい。
【0090】
本発明の組成物と共に使用され得る添加剤は、代替的には、本明細書において参照によって援用される米国特許出願公開第2007/0284555号に詳細に記述されているようにパーフルオロポリエーテルであってもよい。
【0091】
非冷媒成分に好適であると上で記載した特定の添加剤は、潜在的冷媒として同定されていることが理解されるであろう。しかしながら、本発明によれば、これらの添加剤が使用される場合、本発明の冷媒混合物の新規かつ基本的特徴に影響を及ぼし得る量では存在しない。冷媒混合物及びそれらを含有する本発明の組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2以外の冷媒を約0.5重量%以下で含有することが好ましい。
【0092】
一実施形態では、本明細書に開示する組成物は、所望の量の個々の成分を合わせるための任意の簡便な方法によって調製してよい。好ましい方法は、所望の成分量を計量し、その後、適切な容器内で成分を混合わせることである。必要に応じて、撹拌を用いてもよい。
【0093】
本発明の組成物は、ゼロオゾン破壊係数及び低地球温暖化係数(GWP)を有する。追加的に、本発明の組成物は、現在使用中の多くのヒドロフルオロカーボン冷媒を下回る地球温暖化係数を有することになる。
【0094】
機器及びその使用方法
本明細書で開示された組成物は、伝熱組成物又は冷媒として有用である。特に、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物が、冷媒として有用である。また、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物は、冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-22又はR-410Aの代替品として有用である。
【0095】
したがって、冷却される物体付近で、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物を蒸発させる工程と、その後その組成物を凝縮させる工程と、を含む冷却を生み出す方法が、本明細書に開示される。
【0096】
別の実施形態では、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物を蒸発させる工程と、その後加熱される物体付近でその組成物を凝縮させる工程と、を含む熱を生み出すプロセスが、本明細書に開示される。
【0097】
蒸気-圧縮冷却、空調、及びヒートポンプシステムは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を備える。冷却サイクルは、1つの工程において冷却効果を生み出し、かつ、異なる工程において加熱効果を生み出す、多重の工程において冷媒を再使用する。上記のサイクルは、以下のように簡単に説明することができる。液体冷媒が膨張装置を通って蒸発器に入り、液体冷媒が蒸発器で沸騰して、環境から熱を奪うことによって、低温の気体が形成され、冷却を生み出す。多くの場合、空気又は伝熱流体は、蒸発器の上を、又は周囲を流れ、蒸発器内の冷媒の蒸発によって生じる冷却効果を、冷却される物体まで伝達する。低圧の気体は、圧縮機へ入り、そこで気体は圧縮され、その圧力及び温度が上昇する。次いで、高圧の(圧縮された)気体状の冷媒は、凝縮器へ入り、そこで冷媒は凝縮され、その熱を環境へ放出する。冷媒は膨張装置に戻り、それを通じて液体は凝縮機におけるより高圧レベルから蒸発機における低圧レベルに膨張し、このようにして、サイクルを繰り返す。
【0098】
冷却される又は加熱される物体は、冷却又は加熱を提供することが望ましい任意の空間、場所、物又は物体として定義され得る。例としては、アパート建物、総合大学の寮、一軒家、若しくは他の付属の家屋若しくは単身者世帯住宅、病院、オフィスビル、スーパーマーケット、単科大学若しくは総合大学の教室若しくは管理棟、及び自動車又はトラックの客室などの、部屋、アパート、又は建物などの、空調、冷却、又は加熱を必要とする(開放された若しくは閉鎖された)空間などが挙げられる。
【0099】
「付近」とは、蒸発器を介して移動される空気が、冷却される物体内又は周囲を移動するように、冷媒組成物を含有するシステムの蒸発器が、冷却される物体内又は物体に近接してのいずれかに位置されていることを意味する。加熱を生み出すプロセスでは、「付近」とは、蒸発器を介して移動される空気が、加熱される物体内又は周囲を移動するように、冷媒組成物を含有するシステムの凝縮器が、加熱される物体内又は物体に近接してのいずれかに位置されていることを意味する。
【0100】
冷却、空調、又はヒートポンプシステムに、R-22又はR-410Aの代わりに、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物と代替することを含む、冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-22又はR-410Aを代替するための方法が提供される。
【0101】
冷却、空調、又はヒートポンプシステムに、R-407A、R-407C、又はR-407Fの代わりに、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物と代替することを含む、冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-407A、R-407C、又はR-407Fを代替するための方法が提供される。
【0102】
冷却、空調、又はヒートポンプシステムに、R-404A又はR-507の代わりに、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物と代替することを含む、冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-404A又はR-507を代替するための方法が提供される。
【0103】
多くの場合、異なる冷媒用に設計された最初の冷却装置において使用できる場合には、代替冷媒は最も有用である。加えて、本明細書に開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか又はまったくないR-410A用に設計された設備において、R-410Aの代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-410Aを代替するために有用であり得る。
【0104】
更に、本明細書で開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか又はまったくないR-22用に設計された設備において、R-22の代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-22を代替するために有用であり得る。
【0105】
更に、本明細書で開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか又はまったくないR-407A用に設計された設備において、R-407Aの代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-407Aを代替するために有用であり得る。
【0106】
更に、本明細書で開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか、又はまったくないR-407A用に設計された設備において、R-407Aの代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-407Cを代替するために有用であり得る。
【0107】
更に、本明細書で開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか又はまったくないR-407F用に設計された設備において、R-407Fの代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-407Fを代替するために有用であり得る。
【0108】
更に、本明細書で開示のような組成物は、システムの変更が最小限であるか又はまったくないR-404A用に設計された設備において、R-404Aの代替品として有用であり得る。更に、組成物は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含むこれらの新規組成物のために明確に変更又は完全に製造された設備において、R-404Aを代替するために有用であり得る。
【0109】
多くの用途では、開示の組成物のいくつかの実施形態は、冷媒として有用であり、代替品が求められる冷媒として、少なくとも同等の冷却性能(冷却能力を意味する)を提供する。
【0110】
一実施形態では、冷却、空調、又はヒートポンプシステムを、R-22又はR-410Aの代替品として、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物で充填することを含む、R-22又はR-410Aを代替するための方法が提供される。
【0111】
一実施形態では、冷却、空調、又はヒートポンプシステムを、R-407A、R-407C、又はR-407Fの代替品として、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物で充填することを含む、R-407A、R-407C、又はR-407Fを代替するための方法が提供される。
【0112】
一実施形態では、冷却、空調、又はヒートポンプシステムを、R-404A又はR-507の代替品として、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物で充填することを含む、R-404A又はR-507を代替するための方法が提供される。
【0113】
本方法の一実施形態では、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む冷媒組成物によって生み出される冷却能力は、同じ動作条件下で、R-22によって生み出される冷却能力の約±15%以内である。本方法の別の実施形態では、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む冷媒組成物によって生み出される冷却能力は、同じ動作条件下でR-22によって生み出される冷却能力の約±10%以内である。
【0114】
本方法の別の実施形態では、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む冷媒組成物によって生み出される冷却能力は、同じ動作条件下でR-410Aによって生み出される冷却能力の約±15%以内である。本方法の別の実施形態では、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む冷媒組成物によって生み出される冷却能力は、同じ動作条件下で、R-410Aによって生み出される冷却能力の約±10%以内である。
【0115】
加えて、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物を含有する空調又はヒートポンプシステムが、本明細書に開示される。別の実施形態では、空調又はヒートポンプシステムは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を備える。
【0116】
別の実施形態は、HFC-32、HFC-125、HFO-1234yf、HFC-134a、及びCO2を含む組成物を含有する冷却システムである。別の実施形態では、冷却システムは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を備える。
【0117】
本発明の組成物は、熱交換器内に温度勾配をいくらか有することが見出されている。これにより、向流モード又は向流特質(counter-current tendency)を呈する十字流(cross-current)で熱交換器が動作されている場合、システムはより効率的に動作する。向流特質とは、熱交換器が向流モードに可能な限り近づくほど、伝熱がより効率的であることを意味する。したがって、空調熱交換器、特に蒸発器は、向流特質のいくつかの態様を提供するように設計される。したがって、空調又はヒートポンプシステムが本明細書で提供され、このシステムは、向流モード又は向流特質を呈する十字流モードで動作する、1つ以上の熱交換器(蒸発器、凝縮器のいずれか又は両方)を含む。
【0118】
別の実施形態では、冷却システムが本明細書で提供され、このシステムは、向流モード又は向流特質を呈する十字流モードで動作する、1つ以上の熱交換器(蒸発器、凝縮器のいずれか又は両方)を含む。
【0119】
一実施形態では、冷却、空調、又はヒートポンプシステムは、固定式冷却、空調、又はヒートポンプシステムである。別の実施形態では、冷却、空調、又はヒートポンプシステムは、移動式冷却、空調、又はヒートポンプシステムである。
【0120】
加えて、いくつかの実施形態では、開示の組成物は、水、水性食塩水、(例えば、塩化カルシウム)、グリコール、二酸化炭素、又はフッ素化炭化水素流体を含み得る二次伝熱流体の使用によって、遠隔場所に冷却を提供する二次ループシステムにおいて主要冷媒として機能し得る。この場合、二次伝熱流体は、蒸発器に隣接し、冷却すべき第2の遠隔体に移動させる前に冷却させるときに、冷却すべき本体である。
【0121】
空調又はヒートポンプシステムの例としては、これらに限定されないが、空調機、住宅用のヒートポンプ、満液式蒸発器チラー及び直接膨張式チラーを含むチラー、移動式空調ユニット、除湿器、及びそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0122】
本明細書で使用するとき、移動式冷却器、空調、又はヒートポンプシステムとは、道路、鉄道、海上、又は航空の輸送ユニットに組み込まれる、任意の冷却機器、空調機器、又はヒートポンプ機器を指す。移動式空調又はヒートポンプシステムは、自動車、トラック、列車、又は他の輸送システムに使用され得る。移動式冷却器は、トラック、飛行機、又は列車の輸送用冷却器を含み得る。加えて、「複合一貫輸送」として知られている、任意の移動式キャリアに依存しないシステムに冷却を提供することを意味する機器は、本発明に含まれる。かかる複合一貫輸送システムとしては、「コンテナ」(海上/陸上複合輸送)、並びに「スワップボディ」(道路及び鉄道複合輸送)が挙げられる。
【0123】
本明細書で使用するとき、固定式空調又はヒートポンプシステムは、動作中に適所に固定されるシステムである。固定式空調又はヒートポンプシステムは、いずれかの様々な建物に関連付けられ得るか、又は取り付けられ得る。これらの固定式の用途としては、これらに限定されないが、チラー、住宅用高温ヒートポンプを含むヒートポンプ、住宅用、商業用、若しくは工業用空調システムを含み、かつダクトの有無に関わらず、屋上システムなどの建物に接続される窓付のパッケージ型端末及びそれらの外部を含む、固定式空調及びヒートポンプであり得る。
【0124】
本開示の組成物が有用であり得る冷却システムの例としては、商業用、工業用、又は住宅用冷却庫及び冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラー及び冷凍庫、満液式蒸発器チラー、直接膨張式チラー、ウォークイン及びリーチインクーラー及び冷凍庫、並びに組み合わせシステムを含む設備であり得る。いくつかの実施形態において、開示する組成物は、スーパーマーケットの冷却システムにおいて使用され得る。更に、固定型用途は、1つの位置において、冷却を生み出す一次冷媒を使用し、それが二次伝熱流体を介して遠隔地に移動させる、二次ループシステムを利用し得る。
【実施例
【0125】
本明細書に開示する概念を以下の実施例において更に説明するが、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0126】
(実施例1)
冷却性能
本発明の組成物の、空調機器及びヒートポンプ機器の典型的な条件での冷却性能を測定し、R-22との比較として、表1に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC) Fourth Assessment Report,Working Group I,2007からの値である。蒸発器勾配(Evap Glide)、容積(Vol Cap)、及び圧縮機放出温度(Compr Disch Temp)を、以下の特定の条件での本発明の組成物の物理的特性の測定値から計算する。
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
表1に提供された本発明の全ての組成物は、R-22と比較して、蒸発器の適切な勾配を維持し、低減された圧縮機の放出温度有しながら、R-22の容積の±15%以内の容積を提供する。表1の多くの組成物が、R-22の容積の±10%内の容積を提供する。
【0130】
(実施例2)
冷却性能
本発明の組成物の、空調機器及びヒートポンプ機器の典型的な条件での冷却性能を測定し、R-410Aとの比較として、表2に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007からの値である。蒸発器勾配(Evap Glide)、容積(Vol Cap)、及び圧縮機放出温度(Compr Disch Temp)を、以下の特定の条件での本発明の組成物の物理的特性の測定値から計算する。
【0131】
【表6】
【0132】
【表7-1】
【0133】
【表7-2】
【0134】
【表7-3】
【0135】
表2に提供された本発明の全ての組成物は、R-410Aと比較して、蒸発器の適切な勾配を維持し、低減された圧縮機の放出温度有しながら、R-410Aの容積の±15%以内の容積を提供する。表1の多くの組成物が、R-410Aの容積の±10%内の容積を提供する。
【0136】
(実施例3)
可燃性
以下の組成物は、ASTM E-681-09の条件下で、電子点火源を用いて試験される。かかる可燃性試験を、101kPa(14.7psia)及び相対湿度50パーセントで、23℃で本開示の組成物に行う。60℃の空気中の様々な濃度で試験を行う。組成物が60℃で不燃性である場合、ASHRAE規定によって不燃性であると判定する。結果を表3及び4に示す。
【0137】
【表8-1】
【0138】
【表8-2】
【0139】
【表8-3】
【0140】
結果は、本発明の組成物の不燃性を示す。
【0141】
(実施例4)
冷却性能
本発明の組成物の、空調機器及びヒートポンプ機器の典型的な条件での冷却性能を測定し、R-407A、R407C、及びR407Fとの比較として、表4に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007からの値である。蒸発器勾配(Evap Glide)、容積(Vol Cap)、及び圧縮機放出温度(Compr Disch Temp)を、以下の特定の条件での本発明の組成物の物理的特性の測定値から計算する。
【0142】
【表9】
【0143】
【表10】
【0144】
(実施例5)
冷却性能
本発明の組成物の、空調機器、中温冷却機器、及び低温冷却機器の典型的な条件での冷却性能を測定し、R-410Aとの比較として、表5(空調)、表6(中温冷却)、及び表7(低温冷却)に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007からの値である。平均勾配(蒸発器勾配及び凝縮器勾配の平均)、容積(Vol Cap)、COP(エネルギー効率の性能-指標の係数)、圧縮機放出温度(Compr Disch Temp)、及び相対的質量流量(R410Aに対する)を、以下の特定の条件での本発明の組成物の物理的特性の測定値から計算する。
【0145】
【表11】
【0146】
【表12】
【0147】
本発明の組成物は、空調における容積、COP、及び質量流量がR-410Aに極めて匹敵する、優れた適合性である。1234yf及びCO2のみを含む比較組成物は、受容しがたい高い温度勾配及び同様に高い質量流量を生じる約20重量%のCO2が組成物中にある場合に、容積のみ匹敵する。明確には、本発明の組成物は、R-410Aのより良好な代替品である。
【0148】
【表13】
【0149】
【表14】
【0150】
中温冷却では、本発明の組成物は、容積、COP、及び質量流量において、良好な適合性を再び提供する。
【0151】
【表15】
【0152】
【表16】
【0153】
低温冷却では、本発明の組成物は、容積、COP、及び質量流量において、良好な適合性を再び提供する。
【0154】
(実施例6)
蒸気漏れ及び可燃性
本発明の組成物を使用して、蒸気漏れの模擬実験を行った。この組成物は、36/30/14/14/6重量%でR-32/125/134a/1234yf/CO2で構成された。プログラムNIST Refleak 4.0を使用して、最初に54.4℃で90質量%いっぱいに充電されたシリンダを使用して、蒸気漏れを模擬実験した。シリンダを-40℃まで冷却し、液相及び蒸気相の組成物を用いて蒸気漏れを行い、記録した。液相組成物の漏れ結果は、以下の表8、蒸気相は表9である。
【0155】
【表17】
【0156】
【表18】
【0157】
比較例
上述の24.5/24.5/25.5/25.5重量%の比較例R-32/125/134a/1234yfに、同じ蒸気漏れ実験を模擬実験した。比較蒸気相の結果を表10に示す。
【0158】
【表19】
【0159】
表9の本発明の組成物の結果を、表10からの比較例結果と比較する。典型的には、蒸気漏れは、R-32/125/134a/1234yfのみを含有するため、R-32の最大量を含む組成物が、初期の蒸気相組成物である。しかし、本発明の組成物では、初期組成物から増加したR-32の濃度が、約40%の漏れで最大濃度に到達し、次いで減少し、これは予想外の挙動である。また、R-32とR-1234yfの可燃物の合計濃度も、約47%の漏れ後が最高点であった。
【0160】
比較例では、最も高い32+1234yfの組成物の合計は、漏れの開始時点にある。また、蒸気相の32+1234yfの可燃物の合計量のピークは、本発明の組成物の55.35重量%よりも、比較組成物の58.08重量%のほうがより高いが、R32+1234yfの初期合計量は、同じ50重量%である。これは、本発明の組成物が、全体的により良好な可燃性特性を有することを示している。
【0161】
(実施例7)
可燃性
可燃性混合物は、電子点火源を用いて、ASTM(American Society of Testing and Materials)E-681の下で試験することによって特定され得る。かかる可燃性試験を、ASTM E-681-09の条件下で、50パーセントの相対湿度(23℃で測定)で冷媒混合物に行った。
【0162】
蒸気漏れ分析及び可燃性試験を行い、本明細書に開示の組成物が、表題「Designation and Safety Classification of Refrigerants」のASHRAE規格34-2013の下、ASHRAE分類1不燃性の要件を満たすかどうかを判定した。これらの規格に従って、組成物の公称処方を開発する。次いで、製造におけるばらつきを説明するために製造許容差を割当てる。公称処方及び製造許容差によって規定される範囲内の組成を含む組成物を、本発明の実施形態に従って分析する。これらの組成物を、以下の表11に本発明の組成物として記載する。
【0163】
【表20】
【0164】
製造許容差を選択した後、最悪状況処方(WCF)を選択する。これは、製造許容差に基づいて最も可燃性の高い可能性のある処方を表す。次いで、いくつかのASHRAE規格34の漏出シナリオについての最悪の場合の条件で、NIST Refleak 3.2を用いて冷媒の蒸気漏出についてWCFをモデル化する。このモデル化に基づいて、最悪ケース分離形成物(WCFF)を特定するが、このWCFFは、冷媒液相又は冷媒蒸気相のいずれかにおいて、漏れの開始時、中間又は終了時で、最高濃度の可燃性成分が観察されるシナリオに相当する。本発明の組成物では、シリンダに初期温度54.4℃で組成物を90%までいっぱいに充填し、次いで50重量%漏らした場合のWCFFは、-40℃での蒸気組成物であることを特定した。次いで、WCFF組成物を、ASHRAE 34に従った60℃及び相対湿度50%で、ASTM E681-09に従って可燃性について試験した。発火したとき、組成物を不燃性であるとみなすためには、12リットルの球形フラスコにおけるWCFFについての火炎角が90℃未満の弧を示さなければならない。表12は、本発明に従った組成物の試験結果を含む。
【0165】
【表21】
【0166】
上に示したとおり、本発明の組成物は、ASHRAE規格34ガイドラインの下、不燃性である。
【0167】
選択された実施形態
実施例A1:ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素を含む、組成物。
【0168】
実施形態A2:組成物が不燃性である、実施形態A1の組成物。
【0169】
実施形態A3:ASTM E-681の条件下で試験された場合、組成物が不燃性である、実施形態A1及びA2のいずれかの組成物。
【0170】
実施例A4:組成物が、クロロジフルオロメタンの容積の約±15%以内に匹敵する容積を提供する、実施形態A1~A3のいずれかの組成物。
【0171】
実施例A5:組成物が、クロロジフルオロメタンの容積の約±10%以内に匹敵する容積を提供する、実施形態A1~A4のいずれかの組成物。
【0172】
実施形態A6:実施形態A1~A5のいずれかの組成物であって、約9~26重量パーセントのジフルオロメタン、約11~26重量パーセントのペンタフルオロエタン、約23~46重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約22~35重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0173】
実施形態A7:実施形態A1~A6のいずれかの組成物であって、約10~24重量パーセントのジフルオロメタン、約12~24重量パーセントのペンタフルオロエタン、約25~46重量%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約24~30重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~8重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0174】
実施例A8:組成物が、R-410Aの容積の約±15%以内に匹敵する容積を提供する、実施形態A1~A3のいずれかの組成物。
【0175】
実施例A9:組成物が、R-410Aの容積の約±10%以内に匹敵する容積を提供する、実施形態A1~A3のいずれかの組成物。
【0176】
実施形態A10:実施形態A1~A3、A8及びA9のいずれかの組成物であって、約8~40重量パーセントのジフルオロメタン、約10~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~27重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0177】
実施形態A11:実施形態A1~A3及びA8~A10のいずれかの組成物であって、約18~40重量パーセントのジフルオロメタン、約18~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~28重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~27重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0178】
実施形態A12:実施形態A1~A3及びA8~A11のいずれかの組成物であって、約8~40重量パーセントのジフルオロメタン、約10~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~39重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~26重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0179】
実施形態A13:実施形態A1~A3及びA8~A12のいずれかの組成物であって、約22~40重量パーセントのジフルオロメタン、約22~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~24重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~23重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0180】
実施形態A14:実施形態A1~A3及びA8~A13のいずれかの組成物であって、約28~38重量パーセントのジフルオロメタン、約28~32重量パーセントのペンタフルオロエタン、約12~19重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約12~19重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約3~8重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0181】
実施形態A15:実施形態A1~A14のいずれかの組成物であって、潤滑剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、パーフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食及び酸化防止剤、金属表面エネルギー減少剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調節剤、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、組成物。
【0182】
実施形態A16:実施形態A1~A15のいずれかの組成物であって、潤滑剤が、鉱物油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、パーフルオロポリエーテル、合成パラフィン、合成ナプテス(napthese)、ポリアルファ-オレフィン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【0183】
実施形態A17:実施形態A1~A14のいずれかの組成物であって、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素から本質的になる、組成物。
【0184】
実施形態A18:実施形態A1~A14のいずれかの組成物であって、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロプロペン、テトラフルオロエタン、及び二酸化炭素からなる、組成物。
【0185】
実施形態A19:実施形態A1~A5及びA15~A18のいずれかの組成物であって、約6~26重量パーセントのジフルオロメタン、約6~26重量パーセントのペンタフルオロエタン、約23~46重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約22~35重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0186】
実施形態A20:実施形態A1~A5及びA15~A18のいずれかの組成物であって、4~26重量パーセントのジフルオロメタン、約2~26重量パーセントのペンタフルオロエタン、約23~50重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約22~38重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~10重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0187】
実施形態A21:実施形態A1~A5及びA8~A18のいずれかの組成物であって、6~40重量パーセントのジフルオロメタン、約8~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~27重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0188】
実施形態A22:実施形態A1~A5及びA8~A18のいずれかの組成物であって、約4~40重量パーセントのジフルオロメタン、約6~40重量パーセントのペンタフルオロエタン、約7~40重量パーセントの2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、約6~30重量パーセントの1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び約2~20重量パーセントの二酸化炭素を含む、組成物。
【0189】
実施形態B1:冷却を生み出すプロセスであって、実施形態A1~A18のいずれかの組成物を凝縮させる工程と、その後冷却される物体の付近でその組成物を蒸発させる工程と、を含む、プロセス。
【0190】
実施形態B2:加熱を生み出すプロセスであって、実施形態A1~A18のいずれかの組成物を蒸発させる工程と、その後加熱される物体の付近でその組成物を凝縮させる工程と、を含む、プロセス。
【0191】
実施形態C1:空調又はヒートポンプシステムのR-22又はR-410Aを代替する方法であって、A1~A18のいずれかの組成物を、R-22又はR-410Aの代替品としてシステムに提供する工程を含む、方法。
【0192】
実施形態D1:実施形態A1~A18のいずれかの組成物を含有する、空調又はヒートポンプシステム。
【0193】
実施形態D2:蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張装置を備える、実施形態D1の空調又はヒートポンプシステム。
【0194】
実施形態D3:システムが、向流モード又は向流特質を呈する十字流モードで動作する、1つ以上の熱交換器を含む、実施形態D1又はD2の空調又はヒートポンプシステム。
【0195】
実施形態E1:冷却、空調、又はヒートポンプシステムのR-407A、R-407C、又はR-407Fを代替する方法であって、A1~A18のいずれかの組成物を、R-407A、R-407C、又はR-407Fの代替品としてシステムに提供する工程を含む、方法。
【0196】
実施形態F1;実施形態A1~A18のいずれかの組成物を含有する、冷却システム。
【0197】
実施形態F2:蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張装置を備える、実施形態F1の空調又はヒートポンプシステム。
【0198】
実施形態F3:システムが、向流モード又は向流特質を呈する十字流モードで動作する、1つ以上の熱交換器を含む、実施形態F1又はF2の空調又はヒートポンプシステム。
【0199】
実施形態G1:冷却、空調又はヒートポンプシステムのR-404A又はR-507を代替する方法であって、A1~A18のいずれかの組成物を、R-404A又はR-507の代替品としてシステムに提供する工程を含む、方法。