(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】気流シミュレーション端末装置、及び気流シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/25 20200101AFI20230707BHJP
G06T 17/00 20060101ALI20230707BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20230707BHJP
【FI】
G06F30/25
G06T17/00
F24F11/64
(21)【出願番号】P 2021177220
(22)【出願日】2021-10-29
【審査請求日】2022-05-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 稔和
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博信
(72)【発明者】
【氏名】中摩 貴浩
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-076525(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024807(WO,A1)
【文献】特開2010-262497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/25
G06T 17/00 - 17/30
F24F 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を発生させる気流発生装置を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション端末装置であって、
前記室内を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデルを作成する三次元モデル作成部と、
前記三次元モデル作成部が作成した前記室内の三次元モデルに、前記気流発生装置を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析部と、を一体に備えた携帯可能な端末装置から構成されており、外部装置との通信を行わずに前記室内での気流を解析可能に構成されて
おり、
前記気流解析部の解析結果を基に、前記室内の三次元モデル内での気流の流速、圧力、温度、及び湿度の少なくとも1つの分布を演算する分布演算部を備えると共に、
前記気流解析部の解析結果、及び前記分布演算部の演算結果を表示する表示器を一体に備え、
かつ、前記分布演算部の演算結果を基に、前記気流発生装置の配置位置の好適度合いを判定し、その判定結果を前記表示器に表示する配置判定部を備え、
前記配置判定部は、前記室内での流速の分布に基づいて評価スコアを演算し、演算した前記評価スコアを前記判定結果として前記表示器に表示する、
気流シミュレーション端末装置。
【請求項2】
前記配置判定部は、前記室内に設けられたドアまたは窓を開放して換気している状態と、前記ドアや前記窓を閉めて前記気流発生装置を配置して稼働した状態とを比較して、前記判定を行う、
請求項
1に記載の気流シミュレーション端末装置。
【請求項3】
入力装置をさらに備え、
前記三次元モデル作成部は、前記入力装置の操作に基づいて、作成した前記室内の三次元モデルへの前記気流発生装置の配置、または配置場所の変更を行う、
請求項1に記載の気流シミュレーション端末装置。
【請求項4】
入力装置をさらに備え、
前記三次元モデル作成部は、前記入力装置の操作に基づいて、作成した前記室内の三次元モデルに、気流を阻害するオブジェクト、及び、熱源となるオブジェクトを配置可能に構成されている、
請求項1に記載の気流シミュレーション端末装置。
【請求項5】
前記気流解析部は、気流の解析条件として、前記気流発生装置の配置、前記気流を阻害するオブジェクト及び前記熱源となるオブジェクトの配置、ドアの開閉状態、鉛直方向の温度分布のいずれかを含めて解析する、
請求項
4に記載の気流シミュレーション端末装置。
【請求項6】
前記気流発生装置は、空気清浄機、空間除菌装置、空間消臭装置、空間除菌消臭装置、または加湿除菌装置の何れかからなる、
請求項1乃至
5の何れか1項に記載の気流シミュレーション端末装置。
【請求項7】
気流を発生させる気流発生装置を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション方法であって、
前記室内を撮像装置で撮像する撮像工程と、
前記撮像装置で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデルを作成する三次元モデル作成工程と、
前記三次元モデル作成工程で作成した前記室内の三次元モデルに、前記気流発生装置を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析工程と、を備え、
前記撮像工程、前記三次元モデル作成工程、及び前記気流解析工程は、携帯可能な端末装置により、外部装置との通信を行わずに行わ
れ、
前記気流解析工程の解析結果を基に、前記室内の三次元モデル内での気流の流速、圧力、温度、及び湿度の少なくとも1つの分布を演算する分布演算工程を備えると共に、
前記気流解析工程の解析結果、及び前記分布演算工程の演算結果を表示器に表示するようにし、
かつ、前記分布演算工程の演算結果を基に、前記気流発生装置の配置位置の好適度合いを判定し、その判定結果を前記表示器に表示する配置判定工程を備え、
前記配置判定工程では、前記室内での流速の分布に基づいて評価スコアを演算し、演算した前記評価スコアを前記判定結果として前記表示器に表示する、
気流シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流シミュレーション端末装置、及び気流シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、気流の解析対象となる室内空間の写真データ等を専用のPC(パーソナルコンピュータ)に入力し、PCにて、入力データを自動解析して三次元CADデータとして保存し、当該三次元CADデータを用いて、気流解析アプリケーションにより、空気清浄機を配置した際の気流パターンを解析する点が記載されている。また、特許文献1では、上記のPCと、当該PCと別体に構成された小型端末との間で通信を行い、小型端末に、気流解析情報に基づいた空気清浄機のメンテナンス法等を表示する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、アレルゲンやウィルス対策として、アレルゲンやウィルスを不活化することが可能な空気清浄機、空間除菌装置、空間消臭装置などが注目されている。これに伴い、空気清浄機等を使用することでどの程度の効果が得られるかを、わかりやすく提示することが要求されている。また、空気清浄機等を室内のどの位置に配置するかによって得られる効果が異なることから、空気清浄機等の適切な配置位置を知りたいという要求もある。
【0005】
このような要求に対して、現場にて素早く対応可能とし、空気清浄機の使用者や提供者に対する利便性を向上することが望まれる。つまり、空気清浄機等の気流発生装置を室内に配置した際の気流シミュレーションを、現場にて素早く行うことできる利便性の高い装置が望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、利便性の向上を図った気流シミュレーション端末装置、及び気流シミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一実施形態の気流シミュレーション端末装置は、気流を発生させる気流発生装置を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション端末装置であって、前記室内を撮像する撮像装置と、前記撮像装置で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデルを作成する三次元モデル作成部と、前記三次元モデル作成部が作成した前記室内の三次元モデルに、前記気流発生装置を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析部と、を一体に備えた携帯可能な端末装置から構成されている
。
【0008】
また、本発明に係る一実施形態の気流シミュレーション方法は、気流を発生させる気流発生装置を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション方法であって、前記室内を撮像装置で撮像する撮像工程と、前記撮像装置で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデルを作成する三次元モデル作成工程と、前記三次元モデル作成工程で作成した前記室内の三次元モデルに、前記気流発生装置を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析工程と、を備え、前記撮像工程、前記三次元モデル作成工程、及び前記気流解析工程は、携帯可能な端末装置により行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利便性の向上を図った気流シミュレーション端末装置、及び気流シミュレーション方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る気流シミュレーション端末装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、気流の解析対象となる室内での撮像を説明する説明図である。
【
図3】気流発生装置を配置した三次元モデルの一例を示す図である。
【
図4】気流解析部の解析結果の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る気流シミュレーション方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る気流シミュレーション端末装置を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は機能ブロック図である。気流シミュレーション端末装置1は、気流を発生させる気流発生装置を室内に配置した際の室内での気流を解析する。
【0013】
図1(a)~(c)に示すように、気流シミュレーション端末装置1は、携帯可能な端末装置から構成されている。図示の例では、気流シミュレーション端末装置1がタブレット端末である場合を示しているが、これに限らず、気流シミュレーション端末装置1は、スマートフォンやノート型パーソナルコンピュータ、あるいは専用のモバイル端末であってもよく、携帯可能な端末装置であればよい。
【0014】
携帯可能な端末装置である気流シミュレーション端末装置1には、室内を撮像する撮像装置2と、表示器3と、入力装置4と、三次元モデル作成部5と、気流解析部6と、分布演算部7と、配置判定部8と、が一体に備えられている。三次元モデル作成部5、気流解析部6、分布演算部7、及び配置判定部8は、CPU等の演算素子、メモリ、記憶装置、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現されている。
【0015】
撮像装置2は、気流の解析対象となる室内をモデリングするために室内を撮像するための装置である。撮像装置2としては、奥行き(深度)の情報を取得可能な三次元カメラを用いることがより望ましい。三次元カメラとしては、例えば、2つの撮像素子を有し、2つの撮像素子の視差によって奥行き(深度)の情報を取得可能なカメラ等を用いることができる。なお、撮像装置2は、タブレット端末等に一体に構成されていてもよいし、着脱可能に構成されていてもよい。
【0016】
図2は、気流の解析対象となる室内での撮像を説明する説明図である。図中白抜き矢印は、撮影位置と撮像方向の一例を表している。気流の解析を行う作業者は、室内をモデリングするのに十分な画像データが得られるように、室内をまんべんなく撮像する。撮像装置2で得られた画像データ(三次元画像データ)は、三次元モデル作成部5に出力される。なお、パノラマ画像(例えば360°回転画像)を取得可能とする撮像制御部をさらに備え、取得したパノラマ画像をモデリングに用いるように構成することもできる。
【0017】
表示器3は、後述する気流解析部6の解析結果、分布演算部7の演算結果、配置判定部8の判定結果等を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイからなる。本実施の形態では、入力装置4を兼ねたタッチパネルディスプレイを表示器3として用いた。なお、これに限らず、表示器3と別にキーボード等の入力装置4を備えてもよい。
【0018】
三次元モデル作成部5は、撮像装置で室内を撮像した画像データ(三次元画像データ)を基に、室内の形状等の解析を行い、室内の三次元モデルを作成する。室内の画像データから室内の三次元モデルを作成する具体的な方法については公知であるため、ここでは説明を省略する。三次元モデル作成部5は、作成した室内の三次元モデルを表示してもよい。三次元モデル作成部5は、入力装置4の操作(例えばタップ操作やドラッグ操作)により、表示器3に表示された三次元モデルを修正可能に構成されてもよい。
【0019】
また、三次元モデル作成部5は、入力装置4の操作(例えばタップ操作やドラッグ操作)により、作成した室内の三次元モデルに、気流発生装置を配置可能に構成されている。
図3は、気流発生装置9を配置した三次元モデル10の一例を示す図である。気流発生装置9は、例えば、空気清浄機、空間除菌装置、空間消臭装置、 空間除菌消臭装置、または加湿除菌装置の何れかからなる。また気流発生装置9は、送風装置、除湿器、加湿器等を含んでもよい。さらに、空調用の室内機、換気装置がある場合には、これらを考慮して気流シミュレーションを行ってもよい。
【0020】
気流発生装置9は、予め3Dモデルとしてモジュール化されており、吹出口及び吸込口の位置や風量、風向が予め設定されているとよい。このモジュール化された気流発生装置9を、入力装置4の操作により三次元モデル10内に設置する。なお、
図3では三次元モデル10内に1つの気流発生装置9のみを配置した場合を示しているが、三次元モデル10内に複数の気流発生装置9を配置してもよい。例えば、空気清浄機と換気装置の2つの気流発生装置9を配置することで、換気装置を有する室内の気流解析も可能である。また、
図3の例では、卓上タイプの気流発生装置9を配置する場合を示しているが、天井に配置するタイプや床置きタイプの気流発生装置9であってもよい。
【0021】
図3では図示していないが、三次元モデル作成部5は、入力装置4の操作により、気流を阻害する任意のオブジェクトや、熱源となるオブジェクトを配置可能に構成されてもよい。例えば、会議室や病室等の人がいる位置がほぼ固定されているような室内の解析や、発熱が大きい電子機器が配置された室内の解析等においては、ほぼ固定となる人の位置や電子機器の位置等に熱源となるオブジェクトを配置することで、より詳細な解析が可能となる。例えば、昼間の時間帯に日光が入る室内においては、窓の近傍に熱源となるオブジェクトを配置して解析を行うなど、時間帯別での気流解析も可能である。
【0022】
気流解析部6は、三次元モデル作成部5が作成した室内の三次元モデル10に、気流発生装置9を配置した際の室内の気流を解析する。気流の解析条件については、入力装置4からの入力により適宜設定可能とするとよい。なお、気流の解析条件は、上記の気流発生装置9の配置や、気流を阻害するオブジェクトや熱源となるオブジェクトの配置を含む。また、気流の解析条件は、例えば、ドアの開閉状態や、高さ方向(鉛直方向)の温度分布等を含んでもよい。
【0023】
本実施の形態では、室内でのウィルスの挙動を評価すべく、一例として三次元モデル10の床面から30cmの位置に1000個程度の粒子(仮想の粒子)を一様に配置し、気流発生装置9を駆動した際の各粒子の挙動を解析した。これは、ウィルスは非常に軽く室内での動きは気流に仮想でき、また、時間の経過とともにウィルスは落下すると考えたためである。粒子を配置する床面からの高さは、好ましくは床や机等(界面近傍)が望ましい。粒子の数は、解析対象となる室内の広さに応じて適宜設定するとよく、また無数に配置してもよいし、万遍なく敷き詰めるように配置してもよい。
【0024】
図4は、気流解析部6の解析結果の一例を示す図である。
図4では、多数の矢印が示されているが、各矢印は、各粒子の流速と方向を表している。矢印の色の濃淡の度合いは流速を表し、矢印の向きは粒子が流れる方向を表している。気流解析部6は、気流発生装置9の動作を開始してから所定の解析時間(気流が定常状態に近くなる程度の時間、または、粒子が十分に室内に拡散する程度の時間であって、予め作業者により設定された時間)経過するまで気流の解析を行い、その解析結果を保存(記憶)すると共に、表示器3に表示する。なお、解析時間については、解析対象の室内の容積と気流発生装置9の吸込み・吹き出しの流量に応じて気流解析部6により自動で設定されるように構成してもよい。表示器3では、時間の経過に応じたアニメーションにより、粒子の挙動を表示してもよい。また、
図4では矢印の色の濃淡の度合いによって各粒子の流速を表したが、色の違いや矢印の長さで流速を表してもよい。なお、ここでは気流の解析結果として各粒子の流速を表示したが、これに限らず、室内での圧力の分布を解析結果として表示するようにしてもよい。
【0025】
分布演算部7は、気流解析部6の解析結果を基に、室内の三次元モデル10内での気流の流速、圧力、温度、及び湿度の少なくとも1つの分布を演算する。例えば、分布演算部7は、気流解析部6の解析結果から、解析時間経過後における各粒子の流速を抽出し、抽出した流速の分布を演算し、演算結果を表示器3に表示する。なお、分布を演算するのは「解析時間経過後における各粒子の流速」に限らず、例えば、各粒子の流速の平均値の分布であってもよいし、各粒子の流速の累計値であってもよいし、室内における圧力の分布であってもよい。分布演算部7による演算結果の表示形式は特に限定するものではないが、例えば、流速対頻度のグラフとして表示することができる。
【0026】
配置判定部8は、分布演算部7の演算結果を基に、気流発生装置9の配置位置の好適度合いを判定する。具体的には、配置判定部8は、例えば、分布演算部7が演算した流速の分布を基に、所定の計算条件を用いて評価スコアを演算する。評価スコアの計算条件は特に限定するものではないが、流速が低い粒子が多く流速が高い粒子が少ない場合にスコアが低くなり、流速が低い粒子が少なく流速が高い粒子が多い場合にスコアが高くなるように適宜な計算式等を設定するとよい。配置判定部8は、演算した判定結果(例えば評価スコア)を表示器3に表示する。分布演算部7や配置判定部8を備えることで、例えば、気流発生装置9の配置を変えて繰り返し解析を行った場合に、最も好適な気流発生装置9の配置を把握しやすくなる。また、例えば、異なる気流発生装置9を用いた場合のそれぞれの気流発生装置9の評価も行いやすくなる。
【0027】
また、配置判定部8は、部屋のドアや窓を開放して換気している状態と、ドアや窓を閉めて気流発生装置9を配置して稼働した状態との2つの条件を比較して判定しても良い。例えば、換気状態よりも評価スコアが良いか悪いかを判断して表示器3に表示しても良い。
【0028】
(気流シミュレーション方法)
図5は、本実施の形態に係る気流シミュレーション方法のフロー図である。
図5に示す全ての工程は、携帯可能な端末装置である気流シミュレーション端末装置1により行われる。
【0029】
図5に示すように、まず、ステップS1にて、撮像工程を行う。撮像工程では、三次元カメラ等の撮像装置2で気流の解析対象となる室内を撮像する(
図2参照)。
【0030】
その後、ステップS2にて、三次元モデル作成工程を行う。三次元モデル作成工程では、三次元モデル作成部5が、撮像装置2で室内を撮像した画像データを基に、室内の三次元モデル10を作成する(
図3参照)。
【0031】
その後、ステップS3にて、気流解析工程を行う。気流解析工程では、まず、ステップS31にて、解析条件の設定を行う。ステップS31の解析条件の設定では、入力装置4により、三次元モデル作成工程で作成した室内の三次元モデル10への気流発生装置9の配置(
図3参照)を含む種々の設定を行う。その後、ステップS32にて、設定した解析条件に基づき、室内の気流の解析を実行する。その後、ステップS33にて、解析結果(
図4参照)を表示器3に表示すると共に、解析結果を記憶装置等に記憶する。
【0032】
気流解析工程の後、ステップS4にて、分布演算するかを判定する。ステップS4では、例えば、入力装置4の入力により分布演算するかを判定する。ステップS4でNOと判定された場合、ステップS7に進む。ステップS4でYESと判定された場合、ステップS5にて、分布演算工程を行う。分布演算工程では、分布演算部7が、気流解析工程の解析結果を基に、室内の三次元モデル10内での気流の流速(または圧力)の分布を演算し、表示器3に表示する。
【0033】
その後、ステップS5にて、配置判定工程を行う。配置判定工程では、配置判定部8が、分布演算部7の演算結果を基に、気流発生装置9の配置位置の好適度合いを判定し(例えば評価スコアを演算し)、判定結果を表示器3に表示する。その後、ステップS7に進む。
【0034】
ステップS7では、再解析を行うかを判定する。ステップS7では、例えば、入力装置4の入力により再解析を行うかを判定する。例えば、入力装置4の操作により、気流発生装置9の配置場所が変更された場合には、YESと判定される。ステップS7でYESと判定された場合、ステップS3に戻る。ステップS7でNOと判定された場合、処理を終了する。
【0035】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る気流シミュレーション端末装置1は、室内を撮像する撮像装置2と、撮像装置2で室内を撮像した画像データを基に、室内の三次元モデル10を作成する三次元モデル作成部5と、三次元モデル作成部5が作成した室内の三次元モデル10に、気流発生装置9を配置した際の室内の気流を解析する気流解析部6と、を一体に備えた携帯可能な端末装置から構成されている。
【0036】
従来、例えば三次元モデルの作成と、気流シミュレーションとは別のサービスを利用するしかなく、気流の解析作業には非常に手間がかかっていた。そのため、現場で気流の解析を行うことは容易ではなかった。これに対して、本実施の形態によれば、携帯端末を用いて現場で気流の解析を行うことが可能になるため、例えば、空気清浄機等の気流発生装置9を使用することでどの程度の効果が得られるか等を、現場でわかりやすく提示することが可能になる。また、例えば、室内の形状等に応じて気流発生装置9の適切な配置位置を現場にて素早く検討することも可能になり、空気清浄機等の使用者や提供者に対する利便性を向上することが可能になる。このように、本実施の形態によれば、空気清浄機等の気流発生装置9を室内に配置した際の気流シミュレーションを、現場にて素早く行うことできる利便性の高い気流シミュレーション端末装置1を実現できる。
【0037】
また、ウィルスは非常に軽く室内での動きは気流に仮想できるため、気流の動きによってウィルスの挙動を精度よくシミュレートすることが可能である。そのため、本実施の形態によれば、室内でのウィルスの挙動を、現場にて素早く解析することが可能である。
【0038】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0039】
[1]気流を発生させる気流発生装置(9)を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション端末装置(1)であって、前記室内を撮像する撮像装置(2)と、前記撮像装置(3)で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデル(10)を作成する三次元モデル作成部(5)と、前記三次元モデル作成部(5)が作成した前記室内の三次元モデル(10)に、前記気流発生装置(9)を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析部(6)と、を一体に備えた携帯可能な端末装置から構成されている、気流シミュレーション端末装置(1)。
【0040】
[2]前記気流解析部(6)の解析結果を基に、前記室内の三次元モデル(10)内での気流の流速、圧力、温度、及び湿度の少なくとも1つの分布を演算する分布演算部(7)を備えた、[1]に記載の気流シミュレーション端末装置(1)。
【0041】
[3]前記気流解析部(6)の解析結果、及び前記分布演算部(7)の演算結果を表示する表示器(3)を一体に備えた、[2]に記載の気流シミュレーション端末装置(1)。
【0042】
[4]前記分布演算部(7)の演算結果を基に、前記気流発生装置(9)の配置位置の好適度合いを判定し、その判定結果を前記表示器(3)に表示する配置判定部(8)を備えた、[3]に記載の気流シミュレーション端末装置(1)。
【0043】
[5]前記気流発生装置(9)は、空気清浄機、空間除菌装置、空間消臭装置、空間除菌消臭装置、または加湿除菌装置の何れかからなる、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の気流シミュレーション端末装置(1)。
【0044】
[6]気流を発生させる気流発生装置(9)を室内に配置した際の前記室内での気流を解析する気流シミュレーション方法であって、前記室内を撮像装置(3)で撮像する撮像工程と、前記撮像装置(3)で前記室内を撮像した画像データを基に、前記室内の三次元モデル(10)を作成する三次元モデル作成工程と、前記三次元モデル作成工程で作成した前記室内の三次元モデル(10)に、前記気流発生装置(9)を配置した際の前記室内の気流を解析する気流解析工程と、を備え、前記撮像工程、前記三次元モデル作成工程、及び前記気流解析工程は、携帯可能な端末装置により行われる、気流シミュレーション方法。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…気流シミュレーション端末装置
2…撮像装置
3…表示器
4…入力装置
5…三次元モデル作成部
6…気流解析部
7…分布演算部
8…配置判定部
9…気流発生装置
10…三次元モデル