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特許7308924試験システムと、デバイスを試験する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】試験システムと、デバイスを試験する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20230707BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230707BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/26 Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021505841
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019038909
(87)【国際公開番号】W WO2020040870
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】16/105,179
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カルバリョ、 バルキリョ ナザレ
(72)【発明者】
【氏名】オルチャニアン、 シャント
(72)【発明者】
【氏名】レイチャート、 ピーター アディソン
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002730(JP,A)
【文献】特表2008-529012(JP,A)
【文献】特開2005-309543(JP,A)
【文献】特開2010-107311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
31/26-31/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験システムであって、
試験するデバイスを受け取るための試験キャリヤであって、前記デバイスに対して少なくとも一つの構造試験を、前記試験キャリヤにおいて実行するための試験コンポーネントを含む試験キャリヤと、
複数のスロットからなる試験ラックにおける一のスロットであって、前記一のスロットは、試験アームから前記試験キャリヤを受け取るように構成され、前記試験キャリヤが、前記試験システムの一部のシステム、又は前記試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするために、前記試験キャリヤ接続されるように構成される、一のスロットと
を含み、
前記少なくとも一つの構造試験は、前記試験キャリヤが前記一のスロットに存在するときに前記試験キャリヤに存在しないコンポーネントによって前記デバイスに対して行われる試験から独立である、試験システム。
【請求項2】
前記構造試験は、前記デバイスに対してコンポーネントレベルの試験を実行するためのものである、請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記構造試験はパラメトリック試験を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項4】
前記構造試験はスキャン試験を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項5】
前記試験コンポーネントは、前記デバイスに対して機能試験を実行するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項6】
前記機能試験は、前記デバイスに対してシステムレベルの試験を実行するためのものである、請求項5に記載の試験システム。
【請求項7】
前記機能試験は、前記デバイスに入力を提供することと、前記入力に基づいて出力を取得することと、前記出力に基づいて前記デバイスが前記機能試験に合格したか否かを決定することとを含む、請求項5に記載の試験システム。
【請求項8】
前記試験キャリヤは、前記デバイスに対して前記少なくとも一つの構造試験を実行するための前記試験コンポーネントを含む試験電子機器を保持するプリント回路基板(PCB)を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項9】
前記試験キャリヤを前記スロットの中へ移動させ、及び前記スロットから出るように移動させるロボティクスをさらに含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項10】
前記試験キャリヤが第1の試験キャリヤであり、前記デバイスが第1のデバイスであり、及び前記スロットが第1のスロットであり、
前記試験システムはさらに、
1つ又は複数の追加の試験キャリヤであって、前記1つ又は複数の追加の試験キャリヤのそれぞれが、試験する異なるデバイスを受け取るためのものであり、各追加の試験キャリヤが、異なるデバイスに対して少なくとも構造試験を実行するための試験コンポーネントを含む、1つ又は複数の追加の試験キャリヤと、
1つ又は複数の追加のスロットであって、前記1つ又は複数の追加のスロットのそれぞれが、前記1つ又は複数の追加の試験キャリヤ中のターゲット試験キャリヤを受け取り、各スロットが前記ターゲット試験キャリヤが、前記試験システムの一部の、又は前記試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするように構成される、1つ又は複数の追加のスロットと
を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項11】
各試験キャリヤが、同じタイプの試験コンポーネントを含む、請求項10に記載の試験システム。
【請求項12】
前記追加の試験キャリヤの少なくとも幾つかが、異なるタイプの試験を実行するように構成された異なるタイプの試験コンポーネントを含む、請求項10に記載の試験システム。
【請求項13】
前記デバイスが、第1のデバイスであり、
前記試験キャリヤが、前記第1のデバイスを受け取るための第1のレセプタクルと、試験する第2のデバイスを受け取るための第2のレセプタクルとを含み、
前記試験コンポーネントが、前記第2のデバイスも試験するように構成される、請求項1に記載の試験システム。
【請求項14】
前記試験コンポーネントは、前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスに対して同じタイプの試験を実行するように構成される、請求項13に記載の試験システム。
【請求項15】
前記試験コンポーネントは、前記第1のデバイス及び前記第2のデバイスに対して異なるタイプの試験を行うように構成される、請求項13に記載の試験システム。
【請求項16】
前記異なるタイプの試験は非同期的に行われる、請求項15に記載の試験システム。
【請求項17】
前記試験コンポーネントは、前記構造試験で使用するための試験刺激ベクトルを表すデータを保存するメモリを含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項18】
前記試験コンポーネントは、前記構造試験を実行するための命令を実行するように構成された1つ又は複数の処理デバイスを含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項19】
前記試験コンポーネントは、前記構造試験の実行に基づいて試験結果を保存するメモリを含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項20】
前記試験コンポーネントが、前記システムとの通信のやり取りを可能にするインタフェースを含み、前記システムがコンピューティングシステムを含み、前記通信が、前記コンピューティングシステムに由来する試験を実行するための命令を含み、前記試験結果が前記試験キャリヤに由来する、請求項19に記載の試験システム。
【請求項21】
前記試験コンポーネントは、
1つ又は複数の試験プログラムを含む命令を保存するメモリと、
前記デバイスに対して前記構造試験を実行するために前記命令を実行する1つ又は複数の処理デバイスであって、前記命令が試験フローを定義する、1つ又は複数の処理デバイスと、
を含む、請求項1に記載の試験システム。
【請求項22】
前記システムは、コンピューティングシステムを含み、
前記試験キャリヤは、前記コンピューティングシステムから、前記試験フローを変更するコマンドを受信するように構成される、請求項21に記載の試験システム。
【請求項23】
デバイスを試験する方法であって、
請求項1から22のいずれか一項の試験システムによって前記デバイスを試験することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、試験キャリヤ内のデバイスを試験するための電子機器を含む試験キャリヤを有する試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
試験システムは、マイクロプロセッサ及びメモリチップなどの電子デバイスの動作を試験するように構成される。試験は、デバイスに信号を送ることと、その応答に基づいて、どのようにデバイスがこれらの信号に反応したかを決定することとを含み得る。デバイスの反応は、デバイスが試験に合格したか、或いは試験で不合格になったかを決定づける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
例示的な試験システムは、試験するデバイスを収容するための試験キャリヤを含む。試験キャリヤは、デバイスに対して少なくとも構造試験を行うための試験コンポーネントを含む。例示的な試験システムは、試験キャリヤを収容するためのスロットも含む。スロットは、試験キャリヤが、試験システムの一部の、又は試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするために、試験キャリヤが接続するインタフェースを含む。例示的な試験システムは、以下の特徴の1つ又は複数を単独で、或いは組み合わせて、含み得る。
【0004】
構造試験は、デバイスに対してコンポーネントレベルの試験を行うためのものでもよい。構造試験は、パラメトリック試験を含んでもよい。構造試験は、スキャン試験を含んでもよい。試験コンポーネントは、デバイスに対して機能試験を行うように構成されてもよい。機能試験は、デバイスに対してシステムレベルの試験を行うためのものであってもよい。機能試験は、デバイスに入力を提供することと、入力に基づいて出力を取得することと、出力に基づいて、デバイスが機能試験に合格したか否かを決定することとを含んでもよい。
【0005】
例示的な試験システムは、デバイスに対して少なくとも構造試験を行うための試験コンポーネントを有するプリント回路基板(PCB)を含んでもよい。例示的な試験システムは、スロット内へと試験キャリヤを移動させ、及びスロットから出るように試験キャリヤを移動させるロボティクスを含んでもよい。
【0006】
例示的な試験システムは、1つ又は複数の追加の試験キャリヤを含んでもよい。1つ又は複数の追加の試験キャリヤのそれぞれは、試験する異なるデバイスを収容するように構成されてもよい。各追加の試験キャリヤは、異なるデバイスに対して少なくとも構造試験を行うための試験コンポーネントを含んでもよい。例示的な試験システムは、1つ又は複数の追加のスロットを含んでもよい。1つ又は複数の追加のスロットのそれぞれは、1つ又は複数の追加の試験キャリヤ中のターゲット試験キャリヤを収容するように構成されてもよい。各スロットは、ターゲット試験キャリヤが、試験システムの一部の、又は試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするために、個々の試験キャリヤが接続するインタフェースを含んでもよい。
【0007】
各試験キャリヤは、同じタイプの試験コンポーネントを含んでもよい。追加の試験キャリヤの少なくとも幾つかが、異なるタイプの試験を行うように構成された異なるタイプの試験コンポーネントを含んでもよい。
【0008】
デバイスは、第1のデバイスでもよい。試験キャリヤは、第1のデバイスを収容するための第1のレセプタクルと、試験する第2のデバイスを収容するための第2のレセプタクルとを含んでもよい。試験コンポーネントは、第2のデバイスも試験するように構成されてもよい。試験コンポーネントは、第1のデバイス及び第2のデバイスに対して同じタイプの試験を行うように構成されてもよい。試験コンポーネントは、第1のデバイス及び第2のデバイスに対して異なるタイプの試験を行うように構成されてもよい。異なるタイプの試験は、非同期的に行われてもよい。
【0009】
試験コンポーネントは、構造試験で使用するための試験刺激ベクトルを表すデータを保存するメモリを含んでもよい。試験コンポーネントは、構造試験を行うための命令を実行するように構成された1つ又は複数の処理デバイスを含んでもよい。試験コンポーネントは、構造試験の実行に基づいて試験結果を保存するメモリを含んでもよい。試験コンポーネントは、システムとの通信のやり取りを可能にするインタフェースを含んでもよい。システムは、コンピューティングシステムを含んでもよい。通信は、コンピューティングシステムに由来する試験を行うための命令を含んでもよい。試験結果は、試験キャリヤに由来してもよい。
【0010】
試験コンポーネントは、1つ又は複数の試験プログラムを有する命令を保存するメモリと、デバイスに対して構造試験を行うための命令を実行する1つ又は複数の処理デバイスと、を含んでもよい。命令は、試験フローを定義する。
【0011】
システムは、コンピューティングシステムを含んでもよい。試験キャリヤは、コンピューティングシステムから、試験フローを変更するコマンドを受信するように構成されてもよい。
【0012】
例示的な方法は、試験するデバイスを試験キャリヤに収容することを含む。試験キャリヤは、デバイスに対して少なくとも構造試験を行う試験コンポーネントを含む。例示的な方法は、試験キャリヤをスロットに収容することも含む。スロットは、試験システムの一部の、又は試験システムの外部のシステムと通信するために、試験キャリヤが接続するインタフェースを含む。試験キャリヤは、構造試験に基づいて、システムと通信する。例示的な方法は、以下の特徴の1つ又は複数を単独で、或いは組み合わせて、含み得る。
【0013】
構造試験は、デバイスに対してコンポーネントレベルの試験を行ってもよい。構造試験は、パラメトリック試験を含んでもよい。構造試験は、スキャン試験を含んでもよい。試験コンポーネントは、デバイスに対して機能試験を行ってもよい。機能試験は、デバイスに対してシステムレベルの試験を行ってもよい。機能試験は、デバイスに入力を提供し、入力に基づいて出力を取得し、及び出力に基づいてデバイスが機能試験に合格したか否かを決定してもよい。
【0014】
例示的な試験システムは、試験するデバイスを収容するための手段であって、デバイスに対して少なくとも構造試験を行うための試験コンポーネントを含む、デバイスを収容するための手段と、試験キャリヤを収容するための手段であって、試験キャリヤが、試験システムの一部の、又は試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするために、試験キャリヤが接続するインタフェースを含む、試験キャリヤを収容するための手段と、スロット内へと試験キャリヤを移動させるため、及びスロットから出るように試験キャリヤを移動させるための手段と、を含む。例示的な試験システムは、以下の特徴の1つ又は複数を単独で、或いは組み合わせて、含み得る。
【0015】
例示的な試験システムは、デバイスを収容するための手段内へとデバイスを移動させるため、及びデバイスを収容するための手段から出るようにデバイスを移動させるための手段を含んでもよい。試験コンポーネントは、デバイスに対して機能試験も行うように構成されてもよい。
【0016】
この概要セクションを含む本明細書に記載される特徴の任意の2つ以上を組み合わせて、本明細書に具体的に記載されない実施態様を作ることができる。
【0017】
本明細書に記載されるシステム及びプロセス、又はそれらの一部は、1つ又は複数の非一時的な機械可読記憶媒体に保存され、本明細書に記載される動作を制御(例えば、調整)するために1つ又は複数の処理デバイス上で実行可能な命令を含むコンピュータプログラムプロダクトとして実現/そのようなコンピュータプログラムプロダクトによって制御され得る。本明細書に記載されるシステム及びプロセス、又はそれらの一部は、装置、方法、又は1つ若しくは複数の処理デバイスと、様々な動作を実施するための実行可能命令を保存するためのメモリとを含み得る電子システムとして実現され得る。
【0018】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の発明の詳細な説明に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、発明の詳細な説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】試験システムの例示的なキャリヤの斜視図である。
図2】例示的な試験システムの斜視図である。
図3】動作中の異なる構成における図2の試験システムの内部コンポーネントの例を示す斜視図である。
図4】動作中の異なる構成における図2の試験システムの内部コンポーネントの例を示す斜視図である。
【0020】
異なる図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載されるのは、キャリヤベースの試験システム(「試験システム」)の例示的実施態様である。このような試験システムの一例は、試験するデバイスを収容するための試験キャリヤを含む。試験キャリヤは、デバイスに対して少なくとも構造試験を行うための試験コンポーネントを有する電子機器を含む。構造試験は、デバイスの個々のコンポーネントを試験することを含む。試験キャリヤは、デバイスに対して機能試験を行うための試験コンポーネントを有する電子機器も含み得る。機能試験は、デバイスの動作全体を試験することを含む。試験システムは、試験キャリヤを収容するための試験スロット(「スロット」)を含む。スロットは、試験キャリヤが、試験システムの一部であるシステム、又は試験システムの外部のシステムと通信することを可能にするために、試験キャリヤが接続するインタフェースを含む。ロボティクスが、試験プロセス中に、スロット内へと試験キャリヤを移動させるように、及びスロットから出るように試験キャリヤを移動させるように、構成及び制御されてもよい。
【0022】
図1は、試験キャリヤ1の一例を示す。幾つかの実施態様では、試験キャリヤ1は、自立型で、可搬式であり、並びにスロット内に入ること、及びスロットから出ることが可能である。試験キャリヤ1は、試験キャリヤに保持されたデバイスに対して、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を行うように構成された試験コンポーネントを有する電子機器2を含む。この点に関して、試験キャリヤ1は、試験するデバイスを保持するためのレセプタクルを含む。レセプタクルは、デバイスを機械的且つ電気的に試験キャリヤに接続するように構成された1つ又は複数のインタフェースを含む。試験キャリヤ1では、レセプタクルは、試験キャリヤの長手方向寸法に沿って配置された2つの試験ソケット3及び4を含む。2つの試験ソケットが示されているが、試験キャリヤの他の実施態様は、2つよりも多い、又は少ない試験ソケットを含んでもよい。試験ソケットは、図1に示すのとは異なるように配置されてもよい。例えば、試験ソケットは、横寸法に沿って配置されてもよい。
【0023】
上述の通り、例示的電子機器2は、試験ソケット内のデバイスに対して、1つ又は複数の試験を行うために、試験キャリヤ自体に組み込まれてもよい。電子機器2は、試験キャリヤの内部にあり、図1では、ブロック形式で示されている。電子機器2は、試験キャリヤの一部であるプリント回路基板(PCB)上に含まれてもよい。
【0024】
電子機器2は、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方で使用する試験刺激ベクトルを表すデータを保存するメモリ5を含み得る。回路構成(下記のものなど)は、メモリからデータの全て又は一部を取り出し、取り出したデータに基づいて、刺激信号又は試験データを生成し得る。
【0025】
電子機器2は、スキャン試験回路構成6を含み得る。一般に、例示的なスキャン試験は、被試験デバイス(DUT)の内部ノードにアクセスすることと、これらの内部ノードのレジスタにビットをシフトインすることと、レジスタ内のビットに対する、これらの内部ノードの応答をモニタリングすることとを含む。ある例示的なスキャン試験システムでは、ラッチ又はフリップフロップなどのメモリ素子が、スキャンレジスタと呼ばれるシフトレジスタを形成するために接続される。DUTの内部状態は、DUTの個々のコンポーネントに適用する試験データをスキャンレジスタにシフトインすることによって制御され得る。個々のコンポーネントの状態は、スキャンレジスタに保存されたデータをシフトアウトすることによって取得され得る。
【0026】
スキャン試験回路構成6を用いて実現され得るスキャン試験システムの一例には、レベルセンシティブスキャンデザインシステム(LSSD)が含まれる。ある例示的なLSSDでは、シフトレジスタラッチは、論理的構成における基本ビルディングブロックとして動作する。クロック列は、データをシフトレジスタラッチにシフトインし、及びデータをシフトレジスタラッチからシフトアウトするように、シフトレジスタラッチの群を制御する。独立したアクセス及び制御も、独立したスキャンイン/スキャンアウト機能が行われるように、これらのラッチに対して提供される。
【0027】
電子機器2は、ソケット内のデバイスに対してパラメトリック試験を行うためのパラメトリック測定ユニット(PMU)7を含み得る。使用され得る例示的なPMUのタイプには、パーピンPMU(PPMU)が含まれる。例示的なパラメトリック試験には、DC(直流)パラメトリック試験、AC(交流)パラメトリック試験、又はACパラメトリック試験及びDCパラメトリック試験の両方が含まれ得る。あるパラメトリック試験では、パラメトリック測定ユニットは、DUT上のピンに電流又は電圧刺激信号を強制的に与え、刺激信号に対する応答を測定し、及びその測定を予想メトリックと比較する。
【0028】
この点に関して、刺激信号に対する応答は、電気信号を含み得る。電気信号は、情報内容(例えば、送信されたデータ)を含む。電気信号は、信号対雑音比、変調振幅、消光比、波長、立ち上がり時間、立ち下がり時間、スルーレート、又は波若しくは波形に関連したその他の特徴などの関連のパラメトリック情報も含む。PMUは、刺激信号に応答して送られた電気信号からパラメトリック情報を取得し、そのパラメトリック情報を1つ又は複数の予想メトリックと比較し得る。パラメトリック情報が許容可能であると見なされる場合には、入力信号を受信したピンに関連するDUTのコンポーネントは、試験に合格し得る。そうでなければ、これらのコンポーネントは、試験で不合格になり得る。PMUは、刺激信号に応答して送られた電気信号の情報内容が予想通りであるか否かも決定し得る。例えば、電気信号の電圧又は電流は、基準電圧又は基準電流と比較され得る。情報内容が許容可能であると見なされる場合には、入力信号を受信したピンに関連するDUTのコンポーネントは、試験に合格し得る。そうでなければ、これらのコンポーネントは試験で不合格になり得る。
【0029】
電子機器2は、マイクロプロセッサ8などの1つ又は複数の処理デバイスを含み得る。マイクロプロセッサ8は、試験キャリヤソケット内のDUTに対して、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を実施する命令を用いて構成(例えば、プログラム)され得る。上述の通り、構造試験は、デバイスに対してコンポーネントレベルの試験を行うことを含む。機能試験は、デバイスに対してシステムレベルの試験を行うことを含む。ある例示的な機能試験は、入力(刺激信号など)をDUTに提供することと、その入力に基づいてDUTから出力を取得することと、その出力に基づいて、デバイスが機能試験に合格したか否かを決定することとを含む。例えば、出力は、マイクロプロセッサによって、1つ又は複数のメトリックと比較され得る。比較が、DUTの出力が許容範囲内であることを示す場合、DUTは、試験に合格する。そうでなければ、DUTは、不合格になる。機能試験において、複数の出力が、同じDUTから取得され、試験プロセスの一部として1つ又は複数のメトリックと比較され得る。
【0030】
下記のように、試験システムは、図1に示す試験キャリヤなどの複数の試験キャリヤを含み得る。幾つかの実施態様では、同じ試験システムにおける2つ以上の異なる試験キャリヤが、試験キャリヤに保持されたデバイスに対して、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を行うための異なるタイプの試験コンポーネント又は異なる数の試験コンポーネントを含み得る。幾つかの実施態様では、同じ試験システムにおける2つ以上の異なる試験キャリヤが、試験キャリヤに保持されたデバイスに対して、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を行うための同じタイプの試験コンポーネント又は同じ数の試験コンポーネントを含み得る。幾つかの実施態様では、同じ試験システム内の全ての試験キャリヤが、試験キャリヤに保持されたデバイスに対して、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を行うための同じタイプの試験コンポーネント又は同じ数の試験コンポーネントを含み得る。
【0031】
上述の通り、図1の例示的な試験キャリヤは、それぞれが異なるDUTを収納する2つの試験ソケットを含む。2つのDUTに対して行われる試験は、同じタイプの試験であってもよいし、或いは異なるタイプの試験であってもよい。例えば、パラメトリック試験が、一方のDUTに対して行われてもよく、スキャン試験が、異なるDUTに対して行われる。例えば、機能試験が、一方のDUTに対して行われてもよく、構造試験が、異なるDUTに対して行われる。2つのDUTは、同期して、又は非同期的に試験され得る。前述のことは、3つ以上のDUTを保持し、及び試験するように構成された試験キャリヤにも当てはまる。例えば、試験キャリヤ内の全てのDUTに対して行われる試験が、同じタイプの試験であってもよいし、或いは異なるタイプの試験であってもよい。例えば、パラメトリック試験が、1つ又は複数のDUTに対して行われてもよく、スキャン試験が、1つ又は複数の異なるDUTに対して行われる。例えば、機能試験が、1つ又は複数のDUTに対して行われてもよく、構造試験が、1つ又は複数の異なるDUTに対して行われる。複数のDUTが、同期して、又は非同期的に試験され得る。幾つかの実施態様では、構造試験及び機能試験が、同じDUTに対して同時に、又は同時期に行われ得る。例えば、構造試験及び機能試験が、同じDUTに対して同時に行われてもよく、又は構造試験及び機能試験の一部が、時間的に重なってもよい。
【0032】
幾つかの実施態様では、試験キャリヤに対して行われる試験は、試験キャリヤの外部にあるが、試験キャリヤと通信するコンピューティングシステムによって開始又は制御され得る。このようなコンピューティングシステムの例示的な実施態様は、本明細書に記載される。幾つかの実施態様では、試験キャリヤに対して行われる試験は、試験キャリヤの外部にあるが、試験キャリヤと通信する電子機器によって開始又は制御され得る。このような電子機器の例示的な実施態様には、試験キャリヤを保持するラック内のコンポーネントが含まれる。
【0033】
試験キャリヤによって行われる試験は、試験システムによって行われる他の試験から独立していてもよいし、或いは試験システムによって行われる他の試験を補完してもよい。例えば、下記のように、試験キャリヤが試験システムのスロット内にある間に、試験システムは、試験キャリヤ内のDUTに対して試験を行い得る。試験は、スロット内に、又はスロットを保持する試験ラック内に含まれる電子機器によって行われ得る。試験は、構造試験、機能試験、又は構造試験及び機能試験の両方を含み得る。
【0034】
上述の通り、試験キャリヤに対して行われる試験は、試験システムによって行われる他の試験を補完してもよい。例えば、試験キャリヤに対して行われる試験からの出力は、スロット内に含まれる電子機器、スロットを保持する試験ラック内に含まれる電子機器、又はコンピューティングシステムに提供され得る。スロット内に含まれる電子機器、スロットを保持する試験ラック内に含まれる電子機器、又はコンピューティングシステムは、それらの出力を分析し、又はそれらの出力をスロット内に含まれる電子機器、スロットを保持する試験ラック内に含まれる電子機器、若しくはコンピューティングシステムによって別個に生成された試験結果に統合し得る。同様に、スロット内に含まれる電子機器、スロットを保持する試験ラック内に含まれる電子機器、又はコンピューティングシステムは、試験キャリヤ上のコンポーネント(電子機器2)に試験結果を出力し得る。コンポーネントは、DUTのキャリヤ上試験を行う際に、これらの外部試験結果を使用し得る。
【0035】
図2~4は、上記の、図1に関する試験キャリヤが使用され得る例示的な試験システム10のコンポーネントを示す。幾つかの実施態様では、例示的な試験システムは、モジュール式であり、試験システムが、様々な試験要件に対応することを可能にする。試験システムの各ユニットは、スライスと呼ばれる。試験動作を行うために協力して(例えば依存的に)又は独立して動作するように、2つ以上のスライスが組み合わせられ、制御されてもよい。
【0036】
図2及び3を参照して、例示的な試験システム10は、スライスごとに5つの段(又はゾーン)を含むが、適切な数の段が、試験システムに含まれ得る。ある例示的な実施態様では、5つの段は、入出力(I/O)段14、輸送段17、ローディング段18、挿入段19、及び試験段20を含む。様々な段の定義は限定を意図せず、1つ又は複数のコンポーネントが、これらの段の2つ以上において機能を行い得る。幾つかの実施態様では、異なる段が、異なるレベルの精度で動作するように構成される。例えば、より高いレベルの精度(例えば、ミクロンレベルに至るまで)がローディング段で使用されてもよく、その一方で、より低いレベルの精度が、幾つかの段、又は他の全ての段において使用されてもよい。機械的コンポーネントなどのシステムコンポーネントは、幾つかの段において、より低いレベルの精度を可能にする許容差内で動作するように構成され得る。より高い精度を必要とし得る段に、より高い精度を任せることによって、場合によっては試験システムのコスト及び複雑さを制御することができる。
【0037】
コンピューティングシステム45は、試験システム10の動作を制御及び調整するために、試験システム10と通信する。コンピューティングシステム45は、1つ又は複数の処理デバイスを含んでもよく、その例が、本明細書に記載される。試験システム10とコンピューティングシステム45との間の通信は、破線矢印46で示される。
【0038】
試験システムの異なる段は、独立して、且つ同時期に動作し得る。図3の例では、各段は、2つの平行経路21及び22を含む。各平行経路は、隣接する段間で、試験キャリヤ、デバイス、又はその両方を渡すロボティクスなどの自動化を含む。異なる段の動作は、独立して、同時期に、及び平行経路において、幾つかの同等の試験システムよりも高い試験スループット及び速い速度をサポートし得る。
【0039】
図2の例では、I/O段14は、試験済みデバイスのトレーを受け取るためのフィーダ、及び未試験デバイスのトレーを試験システムに提供するためのフィーダを含むが、これらに限定されない。図2の例では、スライスごとに3つのフィーダ23、24、25が存在するが、システムは、3つのフィーダを使用することに限定されない。第1のフィーダ23は、未試験デバイスを含むトレー用であり、第2のフィーダ24は、試験に合格しなかった試験済みデバイスを含むトレー用であり、第3のフィーダ25は、試験に合格したデバイスを含むトレー用である。この例では、フィーダ23は、手作業で、未試験デバイスのトレーがロードされる。未試験デバイスを含む大量のトレー中の1つのトレーが、フィーダ23から輸送段17へと供給される。そのトレー上の全てのデバイスが試験のために送られ、トレーが空になると、トレーは、フィーダ内に格納され、未試験デバイスを含む新しいトレーが、輸送段へと供給される。試験後にデバイスがそのトレー上へとロードされ、トレーが一杯になると(幾つかの実施態様において)、トレーは、フィーダ内に格納され、新しい空のトレーが、I/O段から輸送段へと、フィーダ24又は25から供給される。この例では、フィーダ24及び25の動作は、試験に合格したデバイスを含むトレー、及び試験に合格しなかったデバイスを含むトレーに対して同じである。
【0040】
この例では、輸送段17は、輸送ロボット30(例えば、図3)及び2つのデバイスシャトル31、32(例えば、図4)を含むが、これらに限定されない。2つのデバイスシャトルは、共に下記のローディング段18に出入りする平行輸送経路を提供し、幾つかの例では、試験スループット及び冗長信頼性をサポートする。輸送ロボット30は、トレー34(例えば、図3)から未試験デバイスを取り上げ、未試験デバイスをデバイスシャトル31及び/又は32(例えば、図4)上へと置くように制御可能である。輸送ロボット30は、デバイスシャトル31及び32から試験済みデバイスを取り上げ、ある特定のデバイスが試験に合格したか、或いは試験に合格しなかったかに応じて、トレー35又は36の適切な方に試験済みデバイスを置くように制御可能である。幾つかの実施態様では、輸送ロボット30は、空気吸引により、又は機械グリップ若しくは他の機械機構を用いて、デバイスを取り上げ、保持することができる。
【0041】
幾つかの実施態様では、2つのデバイスシャトルは、並行して、独立して、同時期に、及び/又は併発的に動作するように構成及び制御され得る。例えば、輸送ロボットは、一方のデバイスシャトルに試験予定のデバイスを提供しながら、試験が行われたデバイスを別のデバイスシャトルから除去することができる。2つのデバイスシャトルは、ローディング段と輸送段との間を独立して、並行して、同時期に、及び/又は併発的に移動するように構成され得る。例えば、一方のデバイスシャトルは、試験予定のデバイスを輸送段からローディング段に向けて、ローディング段まで輸送することができ、他方のデバイスシャトルは、試験が行われたデバイスをローディング段から離れて輸送段まで輸送する。さらに、一方のデバイスシャトルは、他方のデバイスシャトルが移動している間に、静止していてもよい。例えば、一方のデバイスシャトルは、他方のデバイスシャトルがローディング段へと、又はローディング段からデバイスを輸送する間に、試験予定のデバイスを受け取ってもよい。
【0042】
幾つかの実施態様では、ローディング段18は、ローディングロボット48、49と、50及び51などの試験キャリヤにデバイスをロードし、及び試験キャリヤからデバイスをアンロードするためのエリアとを含むが、これらに限定されない。この例では、スライスごとに2つのローディングロボットが存在するが、試験システムは、任意の適切な数のローディングロボットを含み得る。この例では、ローディングロボット48、49は、デバイスに対して取り上げて置く動作を行うために、X次元及びZ次元にも移動するように構成される。例えば、未試験デバイスは、シャトルからピックアップされて、試験のために試験キャリヤ内に移動され、試験済みデバイスは、試験キャリヤからピックアップされて、シャトルへと移動される。
【0043】
図3及び4の例では、スライスごとに、2つの試験アーム77、78が示されているが、試験システムは、任意の適切な数の試験アームを含み得る。試験アームは、未試験デバイスを含む試験キャリヤを試験ラック内の試験スロットに挿入し、及び試験済みデバイスを含む試験キャリヤを試験ラック内の試験スロットから抜き出し、又は除去するために、3つの全ての次元(X、Y、及びZ)に移動可能である(回転及び反転を含む)。試験済みデバイスを含む試験キャリヤは、ローディング段に戻され、そこで、デバイスは、ローディングロボットによってシャトル上にアンロードされる。
【0044】
各試験アームは、2つの試験キャリヤを同時に保持するように構成される(試験アームの各面又は各側面に1つずつ)。幾つかの実施態様では、試験アーム(例えば、77又は78)の各側面は、試験キャリヤを受け取り、保持し、及びリリースする試験キャリヤ保持レセプタクル(グリッパなど)を含む。一例では、グリッパは、未試験デバイスを含む試験キャリヤを試験キャリヤシャトルから受け取り、試験済みデバイスを含む試験キャリヤを(同じ又は異なる)試験キャリヤシャトルへとリリースするようにバネ式のものである。試験キャリヤシャトルは、各グリッパの開閉を制御するように構成され得る。試験キャリヤシャトル82は、試験アームとローディング位置との間で試験キャリヤを移動し得る。
【0045】
試験ラック80は、複数の試験スロットを含む。試験キャリヤ81が、試験ラックの対応するスロット内に示されている。各試験スロットは、試験キャリヤ上の試験ソケット内のデバイスを試験し、試験システムを制御するコンピューティングシステムに試験結果を報告し返すように、構成され、及び制御可能となり得る。コンピューティングシステムは、どのデバイスが試験に合格し、どのデバイスが試験で不合格になったかを記録し、それに応じてデバイスを分類し、試験結果を報告する。試験ラック内の試験スロットは、試験アームによって運用される。幾つかの実施態様では、試験中に、試験スロットは、試験キャリヤがその試験スロットにおいて交換される短時間を除き、常に占有されたままである。例えば、試験アーム77又は78は、未試験デバイスを含む試験キャリヤを保持しながら、ある試験スロットに到着し、その試験スロットから試験済みデバイスを含む試験キャリヤを抜き出し、及び他の試験キャリヤが抜き出された、その同じ試験スロット内に、未試験デバイスを含む試験キャリヤを挿入し得る。従って、試験キャリヤの除去と挿入との間の時間を除き、試験スロットは、占有されたままである。試験ラック内の各試験スロットは、試験スループットを向上させるために、このようにして運用され得る。どのように試験キャリヤが挿入され、及び抜き出されるかの例を以下に提供する。
【0046】
動作中に、試験アーム77又は78は、試験キャリヤシャトル50などの試験キャリヤシャトルから未試験デバイスを含む試験キャリヤをピックアップし、試験済みデバイスを含む試験キャリヤを(同じ又は異なる)試験キャリヤシャトル上に置くために位置付けられるように移動(例えば、反転及び回転)する。この例では、試験キャリヤは、回転(例えば、約180°)し、反転する。回転は、試験アームの長手方向軸周りのものであり、反転は、Y次元の回転を含む。この動きの結果、試験アーム上の空の第1のグリッパが、試験キャリヤシャトルから未試験デバイスを含む試験キャリヤをピックアップするための適所に位置する。従って、第1のグリッパは、試験キャリヤシャトルから未試験デバイスを含む試験キャリヤをピックアップするように制御される。次いで、試験アームは、試験キャリヤシャトル上に置くために試験済みデバイスを含む試験キャリヤを位置付けるために、試験キャリヤシャトルの上方の地点、又は試験キャリヤシャトルに近接した地点で、長手方向軸に沿って回転する。試験キャリヤを保持している試験アーム上の第2のグリッパが開かれ、それによって、試験済みデバイスを含む試験キャリヤが、試験キャリヤシャトル上に置かれる。従って、試験キャリヤシャトルは、試験済みデバイスを含む試験キャリヤをローディング段に輸送する。
【0047】
従って、このとき、第2のグリッパは、空であり、第1のグリッパは、未試験デバイスを含む試験キャリヤを保持する。従って、試験アームは、試験スロットを運用するために試験アームを位置付けるように、回転及び反転する。試験アームは、運用されるターゲット試験スロットの前に位置付けられるように垂直にも移動し得る。この回転及び反転は、試験キャリヤシャトルの上方に試験アームを位置付けるために行われる回転及び反転の逆である。従って、試験アームは、ターゲット試験スロットから、試験が行われたデバイスを含む試験キャリヤを抜き出す、又は受け取るように位置付けられる。試験が行われたデバイスを含む試験キャリヤは、その時まで空の第2のグリッパに受け取られる。試験が行われたデバイスを含む試験キャリヤの受け取りに続いて、試験アームは、まだ試験が行われていないデバイスを含む、第1のグリッパの試験キャリヤを、同じ試験スロットへ挿入するための適所に位置付けるために回転する。その後、まだ試験が行われていないデバイスを含む試験キャリヤは、その試験スロット内に押し込まれ、上記の動作が、スロットごとに繰り返される。
【0048】
図2及び4のシステムのようなシステムの例示的な実施態様は、2017年8月28日に出願された、「自動化試験システムの較正プロセス(Calibration Process For An Automated Test System)」という名称の米国特許出願第15/688,112号明細書に記載されている。米国特許出願第15/688,112号明細書は、本明細書に援用される。例えば、入出力(I/O)段14、輸送段17、ローディング段18、挿入段19、及び試験段20のロボティクス及び他のコンポーネントは、米国特許出願第15/688,112号明細書から本出願に援用されている。
【0049】
上述の通り、図4は、試験キャリヤ51の一例を示す。また、上述の通り、試験ソケット及び電子機器は、試験キャリヤ内に含まれる。幾つかの実施態様では、試験ソケットは、デバイス固有のものである。例えば、試験ソケットは、被試験デバイス(DUT)上の対応する電気接点に対して相補的な電気接点を含み得る。中でも、ローディングロボットは、未試験デバイスを試験ソケット内に置き、及び試験ソケットから試験済みデバイスを除去するように構成され得る。試験ソケットは、試験キャリヤ内に含まれ、試験キャリヤの試験ソケット内の電気接点及び被試験デバイス上の電気接点がアライメントするように、被試験デバイスを適所に誘導し得る壁を含む。例えば、電気接点が比較的大きい幾つかの実施態様では、ローディングロボットは、高いレベルの精度を必要としない場合があり、試験ソケット壁は、試験キャリヤの試験ソケット内の電気接点及び被試験デバイス上の電気接点がアライメントするように、被試験デバイスを適所に誘導することにおいて、主要な役割を果たし得る。
【0050】
未試験デバイスが試験ソケット内で静止位置に達した後に、ソケットキャップが、中でも、デバイスに対して圧力をかけて、被試験デバイスの電気接点を試験キャリヤの相補的電気接点と接続するために、試験ソケット上に配置される。幾つかの実施態様では、ソケットキャップは、試験中に、デバイスによって、又はキャリヤ上のマイクロプロセッサによって使用可能な実行可能命令を保存するメモリを含み得る。例えば、実行可能命令は、動作命令、試験ルーチンなども含み得る。従って、ソケットキャップは、デバイス及び/又は試験キャリヤ上の相補的電気接点と接続する電気接点も含み得る。幾つかの実施態様では、ソケットキャップは、様々な電気接続を実現するためにデバイスに力をかけ、任意の適切な量の力が、接続を実現するためにかけられ得る。本明細書に記載するような幾つかの実施態様では、ソケットキャップは、圧縮バネを用いて力をかける運動学的マウントでもよく、又はそのような運動学的マウントを含んでもよい。
【0051】
上記の、図1に関連する試験キャリヤが使用され得る他の試験システムには、2010年12月7日に発行され、「ディスクドライブ試験システム内の温度制御(Temperature Control Within Disk Drive Testing Systems)」という名称の米国特許第7,848,106号に記載されるディスクドライブ試験システムが含まれるが、これに限定されない。米国特許第7,848,106号は、本明細書に援用される。例えば、ロボティクス及び試験スロットは、米国特許第7,848,106号明細書から本出願に援用されている。
【0052】
本明細書に記載する例示的なシステムは、ハードウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを有する1つ又は複数のコンピュータシステムを用いて実現及び/又は制御され得る。例えば、本明細書に記載するシステムのようなシステムは、自動化要素の動作を制御するためにシステム内の様々な地点に配置された様々なコントローラ及び/又は処理デバイスを含み得る。中央コンピュータは、様々なコントローラ又は処理デバイス間の動作を調整し得る。中央コンピュータ、コントローラ、及び処理デバイスは、様々な自動化要素の制御及び調整を生じさせる様々なソフトウェアルーチンを実行し得る。
【0053】
本明細書に記載する例示的なシステムは、少なくとも部分的に、1つ又は複数のコンピュータプログラムプロダクト、例えば、1つ又は複数のデータ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又はプログラマブル論理コンポーネント)によって実行される、又はそのような1つ又は複数のデータ処理装置の動作を制御するための、1つ又は複数の非一時的な機械可読媒体などの、1つ又は複数の情報試験キャリヤにおいて有形的に具現化された1つ又は複数のコンピュータプログラムを用いて制御され得る。
【0054】
コンピュータプログラムは、コンパイル式又はインタプリタ式言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書かれてもよく、それは、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなどの任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又はある1つの場所の、若しくは複数の場所にわたり分散され、ネットワークで相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0055】
試験の全て又は一部を実施することに関連するアクションは、本明細書に記載する機能を行うための1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラマブルプロセッサによって行われ得る。試験の全て又は一部は、専用論理回路構成、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)を用いて実施され得る。
【0056】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読出し専用記憶領域、又はランダムアクセス記憶領域、又はその両方から命令及びデータを受け取る。(サーバを含む)コンピュータの要素は、命令を実行するための1つ又は複数のプロセッサと、命令及びデータを保存するための1つ又は複数の記憶領域デバイスとを含む。一般に、コンピュータは、データを保存するための大容量記憶装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスク)などの1つ又は複数の機械可読記憶媒体も含み、或いはそのような1つ又は複数の機械可読記憶媒体からデータを受信するため、又はそのような1つ又は複数の機械可読記憶媒体にデータを転送するため、又はその両方を行うために動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適した機械可読記憶媒体には、例として、半導体記憶領域デバイス(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュ記憶領域デバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、並びにCD-ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性記憶領域が含まれる。
【0057】
本明細書における「接続」とは、直接的な物理接続、又は介在するコンポーネントを含む、若しくは含まないが、それでも、接続されたコンポーネント間で信号が流れることを可能にする有線若しくは無線接続を示唆し得る。
【0058】
本明細書に記載される異なる実施態様の要素を組み合わせて、上記に具体的に記載されていない他の実施形態を作ることができる。要素は、本明細書に記載される構造から、それらの動作に悪影響を与えることなく、外すことができる。さらに、様々な別個の要素を、本明細書に記載される機能を行うための1つ又は複数の個々の要素に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4