(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】高回収率可変容量逆浸透膜システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230707BHJP
B01D 61/08 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
C02F1/44 C
B01D61/08
(21)【出願番号】P 2021510167
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019046270
(87)【国際公開番号】W WO2020046569
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503289595
【氏名又は名称】ヴェオリア・ウォーター・ソリューションズ・アンド・テクノロジーズ・サポート
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マック, バーナード ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ローリングス, ケヴィン
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表平01-502496(JP,A)
【文献】特開2012-206073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00- 71/82
B01D 53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過物と濃縮物を生成する可変容量逆浸透(RO)ユニットを含むROシステムで給水を処理し、前記ROユニットの回収レベルに基づき前記ROシステムで循環する前記濃縮物の量を変更させることによって前記ROユニットのスケーリングを最小化または減少させるプロセスであって、前記プロセスは、
a 第1の操作モードにおいて、
i 前記給水を加圧し、前記ROユニットを通して前記給水を向け、前記透過物と前記濃縮物を生成すること、
ii 前記濃縮物を前記ROユニットから前記ROシステムの一部を形成する濃縮物受容ユニットに向けること、
iii 前記ROユニットを第1の回収レベルで操作すること
であって、前記ROユニットを前記第1の回収レベルで前記操作することが、回収レベルが前記第1の回収レベルに達するまで同じ操作を繰り返すことである、前記ROユニットを第1の回収レベルで操作すること、
iv 前記第1の回収レベルで
の前記ROユニットの前記操作
の間、第1の濃縮物の量を前記濃縮物受容ユニットから前記ROユニットまで、かつ前記ROユニットを通り循環させること、
v 前記第1の回収レベルで
の前記ROユニットの前記操作
の後、前記ROユニットを前記第1の回収レベルよりも高い第2の回収レベルで操作すること
であって、前記ROユニットを前記第2の回収レベルで前記操作することが、回収レベルが前記第2の回収レベルに達するまで同じ操作を繰り返すことである、前記ROユニットを第2の回収レベルで操作すること、
vi 前記第2の回収レベルで
の前記ROユニットの前記操作
の間、第2の濃縮物の量を前記濃縮物受容ユニットから前記ROユニットまで、かつ前記ROユニットを通り循環させることであって、前記第2の濃縮物の量は、前記第1の濃縮物の量より少ないこと、
vii 前記第2の回収レベルで前記ROユニットを循環する前記濃縮物の量を減少させることにより、前記ROユニットを通る濃縮物サイクル時間が短縮され、これにより、前記ROユニットのスケーリングを減少または最小化させること、
viii 前記第1の濃縮物の量および前記第2の濃縮物の量を前記ROユニットを通して循環させながら、前記給水を前記第1の量の濃縮物または前記第2の量の濃縮物と組み合わせて、前記濃縮物および給水が前記ROユニットを通して向けられるようにすること、を含み、
b 第2の操作モードにおいて、
i 前記第1の回収レベルおよび前記第2の回収レベルで
の前記ROユニットの前記操作
の後、前記濃縮物の少なくとも一部を前記濃縮物受容ユニットから除去し、さらに加圧給水を前記ROユニットを通して向け、濃縮物を前記ROユニットから前記濃縮物受容ユニットに向けること、を含むプロセス。
【請求項2】
前記濃縮物受容ユニットが、前記濃縮物を受容および保持するための第1および第2のタンクを含み、前記プロセスは、前記第2の回収レベルで
の前記ROシステムの前記操作
の間、前記ROシステムから少なくとも1つのタンクを隔離することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記濃縮物受容ユニットが、複数の弁を含むパイプシステムを含み、前記プロセスは、(1)前記ROシステムが前記第1の回収レベルで
操作している間、前記第1の濃縮物の量は前記ROシステムを循環
することであって、前記ROシステムが前記第1の回収レベルで操作することが、回収レベルが前記第1の回収レベルに達するまで同じ操作を繰り返すことである、前記第1の濃縮物の量が前記ROシステムを循環すること、(2)前記ROシステムが前記第2の回収レベルで操作されている間、前記第2の濃縮物の量は前記ROシステムを循環する
ことであって、前記ROシステムが前記第2の回収レベルで操作されることが、回収レベルが前記第2の回収レベルに達するまで同じ操作を繰り返すことである、前記第2の濃縮物の量が前記ROシステムを循環すること、を行うように、前記弁を操作することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記濃縮物受容ユニットが、主セグメント、前記主セグメントから分岐する少なくとも2つのループセグメント、およびパイプネットワークに接続された複数の弁を有する前記パイプネットワークを含み、前記方法は、前記第2の回収レベルで
の前記操作の間、前記パイプネットワークに含まれる前記濃縮物の一部のみが前記ROユニットに循環し、かつ前記ROユニットを通って循環するように、前記パイプネットワーク内の弁を操作することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
透過物と濃縮物を生成する可変容量逆浸透(RO)ユニットを含むROシステムで給水を処理し、前記ROユニットの回収レベルに基づき前記ROシステムで循環する前記濃縮物の量を変更させることによって前記ROユニットのスケーリングを最小化または減少させるプロセスであって、前記プロセスは、
a 第1の操作モードにおいて、
i 前記給水を加圧し、前記ROユニットを通して前記給水を向け、前記透過物と前記濃縮物を生成すること、
ii 前記濃縮物を前記ROユニットから第1および第2の濃縮物アキュムレータを含む濃縮物受容ユニットに向けること、
iii 第1のROユニットの回収レベル
に達するまで、前記濃縮物を前記ROユニットから前記第1および第2のアキュムレータに向け、前記濃縮物を前記第1および第2の濃縮物アキュムレータからポンプに向け、前記濃縮物を前記第1および第2の濃縮物アキュムレータから前記ROユニットにポンピングし、かつ前記ROユニットを通りポンピングすること、
iv 前記第1のROユニットの回収レベルを超える第2のROユニットの回収レベル
に達するまで、前記第1の濃縮物アキュムレータを前記ROシステムから隔離し、濃縮物を前記ROユニットから前記第2のアキュムレータに、かつ前記第2の濃縮物アキュムレータから前記ポンプに向け、前記濃縮物を前記第2の濃縮物アキュムレータから前記ROユニットにポンピングし、かつ前記ROユニットを通りポンピングすること、
v 前記ROシステムから前記第1の濃縮物アキュムレータを分離することによって、前記第2のROユニットの回収レベルで前記ROユニットを循環する前記濃縮物の量が減少し、濃縮物サイクル時間を減少させ、これにより、前記ROユニットのスケーリングを減少または最小化させること、を含み、
b 第2の操作モードにおいて、
i 加圧された給水を前記ROユニットに
さらに向け、濃縮物を前記ROユニットから前記濃縮物アキュムレータユニットに向けながら、濃縮物の一部を前記濃縮物アキュムレータユニットから除去すること、を含む、プロセス。
【請求項6】
前記濃縮物アキュムレータユニットがバイパスラインを含み、前記第2のROユニットの回収レベルを超える第3のROユニットの回収レベル
に達するまで、前記プロセスが前記第1の濃縮物アキュムレータおよび前記第2の濃縮物アキュムレータを前記ROシステムから隔離し、濃縮物を前記ROユニットから前記バイパスラインに、かつ前記バイパスラインを通り、前記ポンプに向けることをさらに含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の濃縮物アキュムレータが隔離された後、圧縮空気を前記第1の濃縮物アキュムレータに向けることによって、前記第1の濃縮物アキュムレータを空にする、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
可変容量逆浸透(RO)システムで
あって、回収レベルが所定の回収レベルに達するまで同じ運転を繰り返すことによって、複数の回収レベルで運転し、
前記ROシステムで循環する濃縮物の量を変更することによって、
前記ROシステムのスケーリングを最小化または減少させるように構成された前記ROシステム
が、
透過物および前記濃縮物を生成し、第1の回収レベルおよび第2の回収レベルで運転するよう構成されたROユニット
であって、第1の回収レベルおよび第2の回収レベルの前記運転が、回収レベルが前記第1の回収レベルおよび前記第2の回収レベルに達するまで同じ運転を繰り返すことである、前記ROユニットと、
前記ROユニットの上流に配置されたポンプと、
前記透過物の少なくとも一部を送出ポイントに向けるための透過物の送出ラインと、
前記ROユニットに生成された前記透過物の一部をリサイクルするよう構成された透過物のリサイクルラインと、
前記ROシステムの一部を形成し、少なくとも2つの別個の濃縮物のコンテナと、各コンテナに接続された弁と、を含む、可変容量濃縮物受容ユニットであって、前記ROシステムは、前記ROシステムが前記第1の回収レベルで運転している場合、濃縮物を前記2つの濃縮物のコンテナから循環するよう構成され、
前記ROシステムが前記第1の回収レベルで運転することが、回収レベルが前記第1の回収レベルに達するまで同じ運転を繰り返すことであり、前記ROシステムが前記第2の回収レベルで運転している場合、前記濃縮物のコンテナの少なくとも1つを前記ROシステムから隔離するよう構成され、
前記ROシステムが前記第2の回収レベルで運転することが、回収レベルが前記第2の回収レベルに達するまで同じ運転を繰り返すことである可変容量濃縮物受容ユニットと、
前記濃縮物を前記ROユニットから前記濃縮物受容ユニットに向けるため、前記ROユニットと前記濃縮物受容ユニットの間に動作可能に接続された濃縮物ラインと、
給水を前記ROシステム内に向けるよう働く給水ラインと、
前記濃縮物を前記濃縮物受容ユニットから前記ポンプに向けるため、前記濃縮物受容ユニットと前記ポンプの間に接続された濃縮物の供給ラインと、
濃縮物を前記濃縮物受容ユニットから選択的にドレインするよう構成された濃縮物のドレインラインと、を含む、システム。
【請求項9】
前記濃縮物ラインを通り流れる前記濃縮物と関連するエネルギを受容するため、前記濃縮物ラインと動作的に関連するエネルギ回収装置を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記2つの濃縮物のコンテナが並列に配置された2つのタンクを含む、請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高回収率逆浸透(RO)膜システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ROシステムの膜のスケーリングは深刻な問題である。濃縮物中の炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩が沈殿し、かつ膜の表面に堆積すると、スケーリングが発生する。スケーリングにより、膜が詰まる。膜が詰まっていると、膜のエネルギコストが高くなり、かつ寿命が短くなる。さらに、スケーリングされた膜は、化学洗浄を伴ういくつかの洗浄プロセスを伴う頻繁な洗浄(オンラインおよびオフライン)を必要とする。洗浄に関連する洗浄とダウンタイムは高額である。
【0003】
ROシステムは通常、50から75%の回収率で動作する。80から95%程度の高い回収率を一貫して達成することは困難である。これらの高い回収率では、ROシステムを循環する濃縮物がスケーリング成分で過飽和になる。スケーリング成分で過飽和された濃縮物をかなりの期間にわたって連続的に循環させると、RO膜のスケーリングをよく生じる。これは、スケーリングの誘導時間と呼ばれるもののコンテキストでよく説明される。RO濃縮液が過飽和であり、かつスケーリングの誘導時間よりも長い時間ROシステムを連続的に循環する場合、RO膜のスケーリングが発生する可能性がある。化学薬品を使用してスケーリングの誘導時間を遅くすることはできるが、これらの化学薬品には限界がある。
【0004】
したがって、膜のスケーリングを最小化または減少させるように設計された高回収率ROシステムの必要性があり続けている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、回収レベルが増加するにつれてROシステムの体積が減少する可変体積セミバッチROシステムおよびプロセスに関する。これにより、ROシステムを介した濃縮サイクル時間が効果的に短縮され、膜スケーリングの可能性が減少する。別の言い方をすれば、ROシステムとプロセスは、比較的高い回収レベル(例えば、80から98%)で、濃縮サイクル時間がスケーリングの誘導時間よりも短くなるように設計されている。
【0006】
一実施形態では、ROシステムは、ROユニットによって生成された濃縮物を受け取り、かつ保持する2つのタンクを有する濃縮物受容ユニットを含む。比較的低い回収レベル(例えば、80%未満)では、濃縮物受容ユニット内の濃縮物の全量または実質的に全量がROシステムを循環する。しかし、回収レベルが高くなり、かつ濃縮物がスケーリング成分でより濃縮されると、タンクの1つがROシステムから分離されるため、ROシステムの容量が減少する。ROシステムの容量を減らすことにより、濃縮サイクル時間が短縮される。これにより、スケーリング成分の高い飽和レベルがROシステムに存在する時間が短縮される。
【0007】
別の実施形態では、濃縮物受容ユニットは、戦略的に配置された一連の弁を含むパイプネットワークを含む。さまざまな弁を開閉することにより、ROシステムを循環するパイプネットワーク内の濃縮液の量が変化する。比較的低い回収レベルでは、パイプネットワーク内の比較的大量の濃縮物がROシステムを循環するように弁が設定される。回収レベルと濃度の飽和が増加すると、弁が操作されて、ROシステムを循環するパイプネットワークからの濃縮物の量が減少する。これにより、より飽和した濃縮物のサイクルタイムが短縮され、膜のスケーリングが減少または最小化される。
【0008】
本発明の他の目的および利点は、そのような発明の単なる例示である以下の説明および添付の図面の検討から明らかになり、かつ自明になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、可変容量の高回収率ROシステムの概略図である。
【0010】
【
図2】
図2は、可変容量ROシステムの代替設計である。
【0011】
【
図3】
図3は、可変容量ROシステムのさらに別の代替設計である。
【0012】
【
図4】
図4は、パイプネットワークを備えた濃縮物受容ユニットを含む可変容量ROシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ROシステムの回収率は、給水がROユニットを通過する回数(サイクル)に依存する。例えば、ROシステムがパスあたり50%の回収率で動作している場合、濃度を上げるために必要な時間はシステムの容量に依存し、かつ全体的な回収率は給水がROシステムを通過するサイクル数に依存する。次の例は、この原則を示している。
【0014】
80%の回収率では、給水はシステムを5サイクル通過する。
90%の回収率では、給水はシステムを10サイクル通過する。
95%の回収率では、給水はシステムを20サイクル通過する。
98%の回収率では、給水はシステムを50サイクル通過する。
【0015】
したがって、特定のシステムのサイクル時間が2分である場合、98%の回収率の場合、合計時間は100分になる。95%の回収率の場合、合計時間は40分である。これらは比較的長いサイクル時間であり、かつスケーリングの誘導時間を超える可能性がある。
【0016】
これは、ROシステムに可変容量を提供することにより、膜のスケーリングを低減または最小化できることを示唆している。可変容量を採用することにより、回収レベルが比較的低い場合(例えば、80%未満)に、ROシステムを介して比較的大量の濃縮物を循環させるようにプロセスを設計できる。さらに、回収率が80%以上に増加すると、プロセスはROシステムを循環する濃縮物の量を減らすように設計される。これは、高飽和または過飽和濃縮物へのシステムの曝露が減少することを意味する。このプロセスは、どのような量と回収率でも、濃縮サイクル時間をスケーリングの誘導時間よりも短く制御することを目的としている。
【0017】
図面、特に
図1をさらに参照すると、水処理システムがそこに示され、一般に符号10で示されている。最初に、水処理システム10の基本的な構成要素が説明され、その後、水処理システムによって実行される方法またはプロセスが説明される。
【0018】
水処理システム10は、1つまたは複数の膜分離ユニットを含む。
図1に示される実施形態では、膜分離ユニットは、逆浸透ユニット20を含む。「逆浸透ユニット」または「ROユニット」という用語は、本明細書では、ナノ濾過システムまたはユニットを包含するものとして明示的に定義されている。逆浸透ユニット20は、単段または二段のROユニットを含むことができる。ROユニット20の上流は、高圧可変速ポンプ22である。水処理システム10は、エネルギ回収ユニット24を含む。以下に説明するように、逆浸透ユニット20からの濃縮物、および場合によっては逆浸透ユニットへの給水の両方が、エネルギ回収ユニット24を通過する。ROユニット20を出る濃縮物に関連するエネルギは、エネルギ回収ユニット24を通過する給水に効果的に伝達される。エネルギ回収ユニット24とROユニット20の入口側との間に動作可能に接続されているのは、エネルギ回収ポンプ26である。エネルギ回収ポンプ26は、エネルギ回収ユニット24を出てROユニット20に給水を汲み上げるように作動可能である。
【0019】
高圧ポンプ22の上流は、ROユニット20によって生成された濃縮物を受け取る可変容量濃縮物受容ユニット28である。濃縮物受容ユニット28は、比較的低い圧力下で操作される。濃縮物受容ユニット28内で圧力を変化させることができるが、好ましい実施形態では、その中の圧力は、圧力ポンプ22の出口側の圧力よりも低い圧力に維持される。一例では、濃縮物受容ユニット28内の圧力は、約30psiに維持される。続いて、本明細書では、濃縮物受容ユニット28と、ROシステムを循環する濃縮物の体積を変化させるプロセスについて、より詳細に説明する。
【0020】
水システム10は、給水、濃縮物、およびシステムを通る透過物の流れを制御するためのいくつかの流れ制御弁を含む。
図1に示される実施形態では、水処理システムは、自動制御弁30、32、および34を含む。さらに、逆止弁36および38が提供される。
図1に示すように、逆止弁36は左から右への流れのみを許可し、および逆止弁38は右から左への流れのみを許可する。
【0021】
水処理システム10は、透過流を顧客または選択された送出ポイントに提供するように設計されている。
図1で、「送出された透過物」という表記に注意されたい。そのすぐ上流には、自動制御弁34の下流に配置された流量制御弁40がある。以下で論じるように、流量制御弁40を選択的に調整することにより、システムによって供給される透過物の流量を制御することができる。
【0022】
水処理システム10は、2つのモードで動作するように設計されている。第1のモードは、通常の操作モードと呼ばれる。第2のモードは、濃縮物の排出モードまたはドレインモードと呼ばれる。最初に、第1の通常の操作モードで、弁30、32、および34が閉じる。加圧給水、すなわち加圧水は、ライン42を介してシステムに向けられる。ライン42の給水は、逆止弁38を通過することが防止されている。その結果、加圧給水はライン44に入り、かつエネルギ回収ユニット24を通過する。エネルギ回収ユニット24を出る給水は、エネルギ回収ポンプによってROユニット20にポンプで送られ、かつROユニット20を通ってポンプで送られる。これにより、透過物と濃縮物が生成される。この時点で自動制御弁34が閉じているので、逆浸透ユニット20を出る透過物は、逆止弁38を通ってライン50を通って送られ、そこで透過物はライン42内の給水と混合され、および混合物はエネルギ回収ユニット24を通って送られ、エネルギ回収ポンプ26は、同じものをROユニット20に、およびROユニット20を通してポンプで送る。給水と透過物のこのフローパターンはしばらく続く。一方、ROユニット20によって生成された濃縮物は、ライン46を通って、かつエネルギ回収ユニット24を通ってライン48に送られ、ライン48は、濃縮物を可変容量濃縮物受容ユニット28に送達する。上記のように、濃縮物受容ユニット28によって受容された濃縮物は、高圧ポンプ22の出口側に存在する圧力と比較して、比較的低い圧力下で保持または維持される。濃縮物受容ユニット28に保持された濃縮物は、逆止弁36を通って濃縮物受容ユニット28から、濃縮物をROユニット20にポンプで送り込み、かつROユニットを通りポンプで送り込む高圧ポンプ22に移るよう、濃縮物を誘導するのに十分な圧力である。高圧ポンプ22を出る濃縮物は、エネルギ回収ポンプ26からの流出物と混合し、かつ全混合物は、ROユニット20にポンプで送られ、かつROユニット20を通ってポンプで送られることが理解される。
【0023】
第1の操作モードの初期段階で、透過物の品質が検知またはテストされる。逆浸透ユニット20によって生成された透過物の品質が許容可能な品質に達すると、自動制御弁34が開かれる。下流の流量制御弁40は、特定の透過流量を顧客または下流の場所に供給するように設定されている。高圧ポンプ22は、PLC等の流量コントローラ22Aによって制御され、および一実施形態では、逆浸透ユニット20からの透過物の一定の流れを維持するように制御されることに留意されたい。したがって、逆浸透ユニット20を出る総透過流は、総透過流が略一定になるように可変速度高圧ポンプ22を制御するために、コントローラによって測定および使用される。逆浸透ユニット20からの透過物の流量は、流量制御弁40を通過して顧客に到達する透過物の流量を超えることができる。これは、生成された透過物の一部が、ライン50および44を介して逆浸透ユニット20を通って、かつエネルギ回収ユニット24を通って、エネルギ回収ポンプ26によって逆浸透ユニットにポンプで戻されるところまで再循環されることを意味する。
【0024】
ここで、濃縮物受容ユニット28に目を向けると、
図1において、濃縮物受容ユニットがタンク1、タンク2、およびバイパスライン28Aを含むことに留意されたい。タンクとバイパスライン28Aは平行に配置されている。タンク1の上流は自動制御弁28Bであり、およびタンク2の上流は自動制御弁28Cである。さらに、バイパスライン28Aは、自動制御弁28Dを含む。タンク1の下流には逆止弁28Eがある。タンク2の下流には逆止弁28Fがある。また、バイパスライン28Aは、逆止弁28Gを含む。逆止弁28E、28F、および28Gは、
図1に示すように、右から左への液体の流れを防ぐ。
【0025】
システム10は、システムで経験されている回収レベルに基づいて、システムを循環する濃縮物受容ユニット28からの濃縮物の量を変化させるように設計されている。一般に、低い回収レベルでは、濃縮受容ユニット28内の濃縮物の全量または実質的に全量が、ROシステムを循環する。回収レベルが上がると、システムは、システム全体の濃縮サイクルの量を減らすように設計されている。上で論じたように、高い回収レベルでは、濃縮物は、スケーリング成分で高度に飽和または過飽和にさえなる。これらの高い回収レベルでシステムを循環する濃縮物の量を減らすことにより、サイクル時間が短縮され、その結果、ROユニット20のスケーリングが減少または最小化される。
【0026】
この原則を理解するには、1つの例が役立つ場合がある。この例では、システム10は、最初は比較的低い回収レベルで動作している。この例では、比較的低い回収レベルは80%未満の回収である。ここでは、タンク1と2が回路に含まれているが、バイパスライン28は閉じている。これは、弁28Bおよび28Cが開いており、および弁28Dが閉じていることを意味する。したがって、タンク1および2内の濃縮物の全量は、この比較的低い回収レベルでシステム10を循環する。
【0027】
例えば、システムが80%の回収レベルに達すると、タンクの1つがシステムから隔離される。この例では、タンク1が分離されていると仮定する。分離されると、タンク1の濃縮物はオフラインになり、かつシステムを循環しない。これで、タンク1の濃縮物のみがシステム内を循環する。したがって、システムを循環する濃縮物の量が減少する。これにより、濃縮物がシステムを通過するサイクルタイムが短縮される。
【0028】
回収レベルが95%に達すると、バイパス弁28Dが開き、およびタンク2が回路から分離される。ここで、タンク1と2の両方が回路から分離され、かつバイパスライン28を通過する濃縮物のみがシステムを循環する。これにより、システム内で循環する濃縮物の量をさらに削減できる。
【0029】
最終的に、最終または目標の回収レベルが達成される。この例では、最終的な回収レベルは98%に設定されている。98%の回収レベルが達成されると、第1の操作モードが終了し、およびシステムは、システムから濃縮物受容ユニット28内の濃縮物を排出することを伴う第2の操作モードに切り替えられる。これについては、以下で詳しく説明する。
【0030】
図2の濃縮物受容ユニット28は、圧縮空気源が各タンクに動作可能に接続されていることを除いて、
図1と同様である。この実施形態では、圧縮空気は、タンク1またはタンク2のいずれかに向けられ、その中の濃縮物をタンクからリサイクルストリームに動かすように使用され得る。目標の回収が達成されたら、タンク1と2は、閉じ込められた空気を放出するだけで補充でき、これにより、濃縮物がタンクに誘導される。
【0031】
図3の濃縮物受容ユニット28は、タンク1およびタンク2が空気袋28Hおよび28Iを備えていることを除いて、
図2の設計と同様である。空気袋28Hおよび28Iの両方は、圧縮空気の供給源に動作可能に接続されている。空気袋28Hおよび28Iはシステムが目標の回収レベルに達したら、圧縮空気を使用して袋を膨らませ、かつ濃縮物をそれぞれのタンクから排出する。タンク1および2が使用に戻ると、空気袋28Hおよび28Iは、飽和度の低い濃縮物をタンク1および2に誘導するためにゆっくりと空気を放出する。
【0032】
図4は、可変容量濃縮物受容ユニット28の別の例を示している。この場合、可変容量濃縮物受容ユニット28は、一連の自動制御弁、V1、V2、V3、およびV4を含むパイプネットワークを備える。濃縮ライン48に動作可能に接続された一対の分岐パイプループ50および52が提供され、これは次にエネルギ回収ユニット24および高圧ポンプ22に動作可能に接続されている。自動制御弁をライン48およびパイプループ50および52に戦略的に配置することにより、システムを循環する濃縮物の量を自動的に変更および制御することができる。
【0033】
以下は、回収レベルが3つのしきい値(x%回収率、y%回収率、およびz%回収率)をステップスルーするときに自動制御弁V1、V2、V3、およびV4を制御するための論理チャートである。一例では、x%回収率は85%、y%回収率は90%、およびz%回収率は95%であり得、終了サイクルは98%回収率である可能性がある。
【0034】
【0035】
最終的に、可変容量濃縮物受容ユニット28に送達される濃縮物は、排出またはドレインが必要とされるほど濃縮されるようになる。これが発生したら、第1の操作モードから第2の操作モードに切り替えるときである。濃縮物の濃度を測定するさまざまな方法がある。さまざまな閾値または設定点を設定できる。1つの適切な手段は、濃縮物を導電率テストにかけることであり、かつ導電率が設定点に達すると、水処理システムは、濃縮物受容ユニット28からの濃縮物の排出またはドレインを再び伴う第2の操作モードに自動的に切り替えられる。この第2の操作モードでは、制御弁30および32が開いている。濃縮物受容ユニット28は低圧下に保持される。濃縮物の一部は、濃縮物受容ユニット28から、ライン52に、および動制御弁32を通って流れるように誘導される。排出される濃縮物は、適切な方法でさらに処理または処分することができる。この間、加圧された給水は、ライン54を通り、かつ自動制御弁30を通って高圧ポンプ22に送られる。事実上、高圧ポンプ22は、給水がライン54を通って高圧ポンプ22の入口側に流れるように誘導する。したがって、濃縮物の一部が濃縮物受容ユニット28から排出されている間水処理システムは、給水が高圧ポンプ22に直接向けられ、かつROユニット20を通って作動し続ける。それでも、濃縮物の一部が濃縮物受容ユニット28から排出されている間でさえ、ROユニット20は透過流を生成しており、かつこの透過流の少なくとも一部は、流れ制御弁40を通って下流の場所に送達することができ、および、この場合も、透過物の一部は、ライン50、逆止弁38、ライン44、エネルギ回収ユニット24を介して、そしてエネルギ回収ポンプ26を介して、逆浸透ユニット20に戻すことができる。したがって、同時に、ROユニット20は、ライン46を通ってエネルギ回収ユニット24を通って濃縮物受容ユニット28に戻る濃縮物を生成し続けている。好ましい実施形態では、濃縮物受容ユニット28を通る濃縮物の流れはプラグフローであり、その結果、受容ユニット内の濃縮物は、給水のみまたは給水と透過物のブレンドを処理することから生じるより低い濃縮水によって置き換えられる。第2の操作モードの間、濃縮物受容ユニット28内の濃縮物は、より濃縮されなくなる。言い換えれば、濃縮物受容ユニット28に送達される新鮮な濃縮物は、少なくとも最初は、濃縮物受容ユニット28の濃縮物よりもより少なく濃縮されている。いずれにせよ、濃縮物の濃度は継続的に監視されており、かつある時点で、水処理システムを第1モードまたは通常の操作モードに戻すことが適切である。すなわち、例えば、導電率テストを通じて、濃縮物受容ユニット28内の濃縮物を分析することができ、および導電率が第1の操作モードを可能にする設定点に達すると、水処理システム10は説明したさまざまな弁を自動的に制御することにより第1の操作モードに自動的に切り替えることができる。あるいは、第2のモードまたは濃縮物排出モードを設定された期間操作することができ、および設定された期間が経過した後、システムを第1の操作モードに戻すことができる。
【0036】
場合によっては、流量制御弁40は、顧客によって連続的または断続的に制御される。例えば、顧客は、流量制御弁40の下流に透過物保持タンクを有することができる。流量制御弁40は、透過物保持タンク内のレベルセンサーを介して変更および制御することができる。したがって、透過物保持タンク内の透過物のレベルが上昇している場合、これにより、流量制御弁が作動して、弁を通る流れが制限される。これは、一部の逆浸透システムで通常発生するように、必ずしも流量コントロール弁を完全に閉じる必要はない。これにより、顧客の水使用量または水需要に応じて、透過物の一部が0%から100%に再循環する。この操作モードにより、ROシステムは、逆浸透モジュール内で最小クロスフロー速度を維持する必要があるため、通常は利用できない高レベルの水回収を維持しながら、自動可変透過流量を提供できる。
【0037】
上で論じた水処理システム、特に可変容量濃縮物受容ユニットを提供することには多くの利点がある。可変容量濃縮物受容ユニットは、高飽和濃縮物のサイクル時間を制御することを可能にする。一例では、濃縮物が高度に飽和している高い回収率で、システムを循環する濃縮物の量を変えることにより、サイクル時間をスケーリングの誘導時間よりも短く制御することができる。これにより、膜のスケーリングが減少する。言い換えれば、可変の動作容量を有することの利点は、システムが低圧下で動作する時間を最大化しながら、システム内に高い飽和レベルが存在する時間を最小化または短縮することを可能にする。
【0038】
高回収率ROシステムに関連する国際公開第2018/0129442号に注意が向けられている。国際公開第2018/0129442号の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。特に、本明細書に記載の濃縮物受容ユニット28は、国際公開第2018/0129442号の
図2から4に示されるROシステムに組み込むことができる。
【0039】
もちろん、本発明は、本発明の範囲および本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に記載されたもの以外の特定の方法で実施することができる。したがって、本実施形態は、すべての態様において例示的であり、かつ限定的ではないと解釈されるべきであり、および添付の特許請求の範囲の意味および均等の範囲内に入るすべての変更は、そこに含まれることが意図される。