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特許7308940眼疾患の治療および防止のためのレーザ療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】眼疾患の治療および防止のためのレーザ療法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20230707BHJP
【FI】
A61F9/008 120D
A61F9/008 120E
A61F9/008 120A
A61F9/008 152
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021523889
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 US2019059709
(87)【国際公開番号】W WO2020093060
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】62/755,298
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/888,153
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518119216
【氏名又は名称】エルアイジン テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドリン, ジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】サンプルズ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バラード, マイケル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘレカル, サティッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エディントン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】バインダー, ペリー
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/049246(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0076419(US,A1)
【文献】特表2016-511118(JP,A)
【文献】特表2016-507321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における眼を治療するための眼外式自動化レーザ治療システムであって、
非接触レーザ源(206、2112)であって、前記非接触レーザ源は、少なくとも1つの波長を有するレーザビーム(76、82、84)を生成することにより、前記レーザビーム(76、82、84)を前記眼から離間された場所から指向することによって前記眼を治療するように構成されており、前記少なくとも1つの波長は、1.475μmの近赤外線波長である、非接触レーザ源と、
レーザスキャナ(214)であって、前記レーザスキャナは、前記非接触レーザ源(206、2112)に光学的に結合されており、前記レーザビーム(76、82、84)を前記非接触レーザ源(206、2112)から受け取り、前記レーザビーム(76、82、84)を前記眼に対して走査する、レーザスキャナと、
プロセッサ(604、2124)およびメモリ(2126)であって、前記メモリは、記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含み、前記記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令は、前記プロセッサ(604、2124)による実行に応答して、前記眼の外部表面上に所定の治療パターンで照射されるように、角膜縁接合部の後方の複数の角膜縁周囲強膜治療場所に前記レーザビーム(76、82、84)を指向することを前記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせ、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の0~4mm後方にあり、その結果、レーザエネルギーが表在強膜内の水分含有細胞に吸収され、より深い眼球構造内の細胞トランスダクション連鎖が影響されるように熱上昇を生成し、前記レーザビーム(76、82、84)を指向することは、前記眼の組織の光凝固を伴わずに、線維柱帯網、ぶどう膜強膜網、および/または、毛様体のうちの1つ以上のものの保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発するために十分な周期的反復時間間隔において、前記眼の外部表面上の照射された複数の角膜縁周囲強膜治療場所に前記レーザビーム(76、82、84)を反復的に指向することを含む、プロセッサおよびメモリと
を備え、
外部200μm強膜層の温度を約43℃~約45℃の温度まで増加させるように適合されている、前記レーザビーム(76、82、84)の放射照度および前記レーザビーム(76、82、84)が前記所定の治療パターンで動き回る走査速度を提供するように複数のレーザパラメータが構成されていることを特徴とする、眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項2】
前記非接触レーザ源は、1.475μmとは異なる波長を有する経瞳孔レーザを生成するようにさらに構成されており、前記メモリ(2126)は、前記経瞳孔レーザを複数の経瞳孔治療場所に指向することと、亜致死性熱上昇を誘発することと、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記眼の標的眼組織において誘出することとを記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせる記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、中心窩無血管域の周囲であるが前記中心窩無血管域上ではない黄斑上の複数の同心環形を備える前記眼の前記標的眼組織上に所定の曲線治療パターンを含む、および/または、前記メモリ(2126)は、前記経瞳孔レーザを複数の経瞳孔治療場所に指向することと、亜致死性熱上昇を誘発することと、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出することとを前記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせる記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、(i)前記黄斑を囲繞するが前記中心窩無血管域上ではない、かつ(ii)視神経円板を囲繞するが、前記視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない面積を含む、および/または、前記メモリ(2126)は、前記経瞳孔レーザを複数の経瞳孔治療場所に指向することと、亜致死性熱上昇を誘発することと、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出することとを前記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせる記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記視神経円板を囲繞するが、前記視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない面積を含む、および/または、前記メモリ(2126)は、前記経瞳孔レーザを複数の経瞳孔治療場所に指向することと、亜致死性熱上昇を誘発することと、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出することとを前記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせる記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記中心窩無血管域に隣接するが乳頭黄斑束の面積上にない面積を含む、請求項1に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項3】
前記記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令は、標的化された構造の保護熱事前調整および生体刺激を誘発し、より低い眼内圧に対して生体力学的および生化学応答を誘出するために十分なサイクル反復時間間隔において、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所に前記レーザビーム(76、82、84)を指向することを前記眼外式自動化レーザ治療システムに行わせ、および/または、前記プロセッサ(604、2124)は、前記対象の角膜縁接合部または角膜輪部の場所に対応する入力を受信するための命令とともに構成されており、前記プロセッサ(604、2124)は、前記入力に応答して、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所を決定するように構成されており、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所は、前記角膜縁接合部または前記角膜輪部に対応する入力場所から半径方向外向きにオフセットされており、前記所定の治療パターンを前記対象の眼の解剖学的構造に対して輪郭付ける、請求項2に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項4】
前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の後方の360°環形パターン内にあり、前記プロセッサ(604、2124)は、第1の治療サイクルの間、前記レーザビーム(76、82、84)を前記眼の外部表面上の事前に識別された強膜治療場所のセットに指向し、後続治療サイクルの間、前記レーザビーム(76、82、84)を事前に識別された強膜治療場所のセットに指向し、前記照射される組織の熱緩和を治療サイクル間に伴う時間の間隔において、前記事前に識別された強膜治療場所のセットの下層の強膜組織の精密な循環熱上昇を達成するように構成されている、請求項3に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項5】
前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所の照射間の時間間隔は、2%~50%の範囲内のアクティブ暴露オン時間/(アクティブ暴露+緩和オフ時間)間の比率に対応する負荷時間率を生成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項6】
前記所定の治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm後方に位置する、および/または、前記所定の治療パターンは、複数の環形治療パターンを備え、前記複数の環形治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、3.5mm後方に離間されており、前記複数の環形治療パターンは、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形または非対称パターン、または、シュレム管または前記角膜輪部の形状に対応するパターンのうちの1つ以上のものを備える、および/または、前記360°環形パターンは、鼻側で10~30°および側頭側で10~30°中断される、請求項4に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項7】
前記眼外式自動化レーザ治療システムは、放熱板(80、620)をさらに備え、前記放熱板(80、620)は、熱を前記眼の外部表面から離れるように伝達するように、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所にわたって前記眼と接触して設置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項8】
前記保護熱事前調整および療法用生体刺激は、レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、デューティサイクルのうちの1つ以上のものによって制御される、および/または、前記プロセッサ(604、2124)は、500μm~1,000μmの直径を有するスポット内において、前記レーザビーム(76、82、84)を前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所に指向するように構成されている、請求項3に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項9】
前記眼外式自動化レーザ治療システムは、前記非接触レーザ源(206、2112)を前記眼から離間された状態でドッキングするための患者インターフェース(100)をさらに備え、前記患者インターフェース(100)は、撮像および治療のために、前記眼を実質的に固定された場所に維持するスペーサ(102)を備え、前記スペーサ(102)は、前記非接触レーザ源(206、2112)を前記眼の外部表面から離間されており、接触せずに維持する、請求項1~8のいずれか一項に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項10】
前記所定の曲線治療パターンの前記黄斑上の各環形は、複数の均一に離間されており、かつ、重複するレーザパルススポットを備え、前記レーザパルススポットは、照射環形治療域を各環形内に生成するように真円に沿って連続して送達され、前記レーザパルススポットは、全ての黄斑環形のために共通走査速度で送達される、請求項2または請求項3に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項11】
前記非接触レーザ源(206、2112)は、1ms~3msの範囲内のパルス反復周期、1,000パルス/秒~333パルス/秒のパルス繰り返し率、20μs~500μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを有するレーザビーム(76、82、84)を生成するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項12】
前記複数の同心環形は、3つ~5つの連続的な同心環形を前記黄斑上に備え、各環形は、実質的に等しい幅を有し、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所は、それぞれ、一次房水流出路、毛様体突起毛様体、毛様体扁平部を覆う場所に対応する半径R、R、Rにおける前記角膜輪部の周囲の表在強膜上の3つの同心環形を備える、請求項3に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項13】
前記複数の同心環形は、5つの連続的な環形を前記表在強膜上に備え、各環形は、約500ミクロンの幅を有し、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所は、角強膜接合部から約1.5mm、約2.5mm、約3.5mmの距離における前記表在強膜上に3つの同心環形を備える、請求項4または請求項6に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項14】
前記非接触レーザ源(206、2112)は、前記複数の経瞳孔治療場所に指向するために、810nmにおけるパルス状レーザビームを生成するように動作可能である第1のダイオードレーザ源(2110)と、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所に指向するために、1,475nmにおける持続波レーザビームを生成するように動作可能である第2のダイオードレーザ源(2112)と、810nmにおける前記パルス状レーザビームおよび1,475nmにおける前記持続波レーザビームを受け取り、前記レーザスキャナ(214)による受け取りのために、共通光学経路に沿って指向するように据え付けられている少なくとも1つのビームスプリッタ(2114)とを備える、請求項2~4、6、8、10、12~13のいずれか一項に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項15】
前記眼外式自動化レーザ治療システムは、前記標的眼組織に光学的に結合されている検出器(2118)をさらに備え、前記記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令は、前記検出器(2118)を用いて検出された前記標的眼組織の位置の変化に基づいて、前記レーザビーム(76、82、84)を前記標的眼組織上の標的場所に選択的に指向することを前記レーザスキャナ(214)に行わせる、請求項2または請求項3に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項16】
前記プロセッサ(604、2124)は、各治療サイクルの速度を設定し、暴露時間および緩和時間が標的化された時間-温度履歴を生成する十分な時間間隔において、前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所の間隔を空けた照射によって、前記熱緩和を達成するように構成されている、請求項4に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項17】
前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所の照射間の時間間隔は、約10ms~約300msである、請求項5に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項18】
前記複数の角膜縁周囲強膜治療場所の照射間の時間間隔は、約100ms~約200msである、請求項17に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項19】
前記複数の環形治療パターンは、
(a)角膜縁周囲流出構造と、
(b)毛様体突起と、
(c)毛様体扁平部と
を標的化する、請求項6に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項20】
前記放熱板(80)は、前記眼の外部表面上に設置されている湾曲コンタクトレンズを備える、請求項7に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項21】
前記湾曲コンタクトレンズは、前記眼の外部表面に実質的に共形化する冷却されたコンタクトレンズを備える、請求項20に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項22】
前記直径は、約600μmであり、および/または、前記眼外式自動化レーザ治療システムは、前記対象の前記角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出するための光学撮像システムをさらに備え、および/または、前記プロセッサ(604、2124)は、前記対象の眼の前記角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状によって決定される場所において、所定の強膜治療場所を識別するように構成されている、請求項8に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項23】
前記患者インターフェース(100)は、前記眼を前記レーザビーム(76、82、84)に暴露するための前記対象の眼瞼間への設置のための検鏡(132)をさらに備える、および/または、前記患者インターフェースは、コンタクトレンズ(106)のための固定リングをさらに備え、前記固定リングは、弾力性シール面を備え、前記眼外式自動化レーザ治療システムは、負圧を前記コンタクトレンズ(106)と前記固定リングとの間に維持し、前記患者インターフェース(100)を前記眼の外部表面に固着し、前記対象の眼を実質的に不動化するように構成されている、および/または、前記負圧は、調節可能である、および/または、前記眼外式自動化レーザ治療システムは、前記スペーサ(102)および/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズ(106)を冷却するように構成されている、および/または、前記スペーサ(102)および/または固定リングは、内部流体流動チャネル(108)を備え、前記眼外式自動化レーザ治療システムは、冷却された流体を前記流体流動チャネル(108)を通して導入し、前記スペーサ(102)および/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズ(106)を冷却するように構成されている、および/または、前記眼外式自動化レーザ治療システムは、前記患者インターフェース(100)を前記対象の前記眼の外部表面に対する場所に位置付けるための位置付けアーム(186)をさらに備える、請求項9に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項24】
前記複数の同心環形は、半径方向に連続的な照射環形治療域を前記黄斑上に備える、および/または、各同心環形は、400μm~600μmの幅を有する、請求項10に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【請求項25】
前記非接触レーザ源(206、2112)は、1.5ms~2.5msの範囲内のパルス反復周期および666パルス/秒~400パルス/秒のパルス繰り返し率および50μs~150μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを有するレーザビーム(76、82、84)を生成するように構成されている、または、前記レーザ源(206、2112)は、1.8ms~2.2msの範囲内のパルス反復周期および556パルス/秒~455パルス/秒のパルス繰り返し率および80μs~120μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを有するレーザビーム(76、82、84)を生成するように構成されている、請求項11に記載の眼外式自動化レーザ治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照))
本願は、それぞれ、参照することによってその全体として組み込まれる、2018年11月2日に出願された米国仮出願第62/755,298号および2019年8月16日に出願された米国仮出願第62/888,153号に関連する。
【0002】
(分野)
経強膜眼外式IOP低下および経瞳孔神経保護レーザ治療が、眼球高血圧症および/または緑内障を患う患者の臨床管理ならびに関連疾患の治療および/または防止のために、開示される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
緑内障は、視神経円板内の網膜神経節細胞および神経線維を損傷させる、増加された眼内圧(IOP)によって特徴付けられる、視神経症である。房水が、毛様体突起から生産され、瞳孔を通して、次いで、前部房の中に、そこから線維柱帯網、シュレム管、およびぶどう膜強膜流出路を通して移動する。増加されたIOPは、房水の生産と正常流出路を通したその流出に対する抵抗との間の非平衡から生じる。緑内障は、視神経円板の胚形成および萎縮をもたらす、視神経の慢性進行性劣化につながり得る。神経損傷は、タイムリーに治療されない場合、周辺視野の進行性視覚損失を引き起こし、中心視覚の損失および不可逆的失明が続く。現在の緑内障治療の目標は、唯一の公知の修正可能リスク要因である、IOPを低減させることによって、疾患進行を停止または減速させることである。緑内障のための大部分の一般的治療は、プロスタグランジン類似体、ベータ-アドレナリン受容体アンタゴニスト、アルファ2-アドレナリンアゴニスト、および縮瞳作用物質を含有する、点眼等のIOP低下薬剤の生涯使用である。これらの薬剤は、緑内障の治療を改善しているが、それらは、局所および全身性の副作用を有する。薬剤プロトコルへの患者順守はまた、予測できず、薬剤の生涯使用は、高価であり得る。薬剤使用への不良なコンプライアンスは、緑内障患者における失明の主な原因である。
【0004】
線維柱帯切開術および抗線維化を伴う管シャント等の緑内障外科手術は、これらの問題のうちのいくつかを回避する。レーザ線維柱帯形成術(LT)およびレーザ毛様体光凝固術等のレーザベースの療法も、IOPを低下させるために実施されており、前者は、房水(AH)流出を増加させることによるものであって、後者は、その生産を減少させることによるものである。アルゴンレーザ線維柱帯形成術(ALT)は、眼に適用される隅角鏡検査レンズを使用して、レーザビームを、角膜を通して、眼の前部房の角度に偏向し、直接、線維柱帯網を照射する。ALTは、1970年代に導入された最初のタイプのLTであって、続いて、種々のレーザ、波長、および治療技法を使用して、実践されている。これらの技法のうちのいくつかは、ダイオードレーザ線維柱帯形成術(DLT)、選択的レーザ線維柱帯形成術(SLT)、マイクロパルスレーザ線維柱帯形成術(MLT)、およびチタン-サファイアレーザ線維柱帯形成術(TLT)である。
【0005】
しかしながら、LTは、通常、細隙灯送達システムおよび角膜接触隅角鏡検査レンズを使用して、経角膜的に実施され、眼の前部房隅角を可視化し、レーザビームを、その中から、シュワルベ線(SL)の下方に、色素沈着した線維柱帯網へと精密に指向し、そこで、レーザエネルギーが、吸収され、熱に変換される、眼内式手技である。488~810nm範囲内のレーザ波長が、これらの手技のために使用されており、TM内の暗く色素沈着した細胞と特異的に相互作用する。経角膜LT手技は、困難であって、隅角鏡検査レンズと眼との間の接触は、点状角膜症および感染症等の医原性角膜病変を誘発し得る。
【0006】
LTはまた、532nm SLT周波数二重Q-切替式3-nsNd:YAGレーザビーム(Geffen et al., J.Glaucoma26:201-207,2017)または810nm MDLTマイクロパルス状レーザビーム(Aquino MC and Chew PK, External Micropulse Diode Laser Trabeculoplasty(EMDLT) for Primary Open Angle Glaucoma:apilotstudy.P4-097 European Glaucoma Society 2018 Annual Congress, Firenze, Italy、および米国特許第8,945,103号参照)を伴う、経強膜アプローチを使用して、眼外式にも実施されている。SLTまたはEMDLTレーザビームは、角強膜接合部を通して、角膜縁周囲面積にわたって眼外式に印加され、従来の流出路構造(集合管、シュレム管、傍シュレム管、角強膜、およびぶどう膜TM)に影響を及ぼす。経強膜手技は、概して、表在吸収が、レーザエネルギーが線維柱帯網等の標的化されたより深い構造に到達しないように妨げるであろうため、表在強膜細胞中の水分によって吸収されることが公知の赤外線波長を使用していなかった。米国特許第6,319,274号は、眼の表面に湾入し、強膜の厚さ(750~950μm)を通したレーザエネルギー穿通を促進し、線維柱帯網に到達する、プローブから、経強膜的に指向されるより長い波長レーザエネルギーを使用する。
【0007】
眼に対する物理的プローブの手動誘導は、眼球表面を炎症させ、可変オペレータ依存転帰を生産する。強膜湾入はまた、眼内圧スパイクを誘発し、緑内障性損傷を眼に引き起こし得る。プローブ-結膜界面内のレーザエネルギーは、接触熱傷を引き起こし得、眼に触れるプローブは、潜在的感染性疾患ベクトルである。これらの問題にもかかわらず、強膜湾入プローブは、概して、強膜の中に深くへのレーザエネルギー穿通を最大限にするために必要と見なされている。強膜湾入は、レーザエネルギー源を深在強膜標的のより近くに移動させ、水分を下層強膜細胞から表出させ、表在強膜内の水分子による光エネルギーの吸収および散乱の両方を低減させる。しかしながら、眼に対するレーザプローブの手動移動は、高速移動が、治療されている眼を擦傷または別様に外傷させるため、レーザ移動速度を限定する。さらに、手動移動では、レーザプローブの速度および位置付けは、一貫した様式において、外科医によって精密に制御されることができず、実践的に再現不可能かつ肉眼的に可変のレーザエネルギー堆積を各治療にもたらす。
【0008】
IOPの低下および制御は、これまで、緑内障性患者の管理における主な目標であって、依然として、主な目標のままである。残念ながら、IOPが正常に制御されるときでも、緑内障患者のほぼ60%が、網膜神経節細胞の損失および乳頭神経線維軸索の菲薄化を伴う、継続された神経変性プロセスに起因して、視野損失の進行を被っている。
【0009】
光学コヒーレンス断層撮影血管造影(OCTA)は、加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病網膜症(DR)、網膜色素変性症(RP)を含む、慢性進行性神経栄養性神経変性網膜症を患う患者、およびPOAGを患う患者における、網膜毛細管低灌流の面積の検出を促進している。緑内障は、網膜における低減された血液灌流と関連付けられており、毛細管低灌流の存在は、神経線維菲薄化および視野欠陥進行の後の測定と相関する。IOP低下治療のみが視覚損失進行を防止するために十分ではない場合があるという懸念は、神経栄養性平衡、したがって、視神経および網膜の健康ならびに機能を改善するための神経保護治療における増加された関心につながっている。例えば、第US9,962,291号は、グリッドまたは回転線のパターンにおける網膜の閾下光凝固の使用を開示する。しかしながら、IOPを低減/制御することによって、かつ効果的神経保護療法を投与し、神経変性進行を減速させる、停止させる、可能性として、逆行させることによって、緑内障を治療するための改善されたシステムおよび方法の必要が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第6,319,274号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要約)
眼構造を照射する、レーザビームは、円形運動等、周期的サイクルにおいて、急速に移動され、標的化された眼組織を加熱する。標的化された組織の温度は、照射の間、増加し、次いで、組織が、再び、次のサイクルにおいて照射されるまで、サイクルの残りの間隔の間、減少する。急速に移動するレーザビームは、例えば、異なる屈折率のコンタクトレンズを使用することによって、眼上または内の異なる場所に指向されることができる。レーザの波長はまた、標的化された眼構造へのレーザエネルギー送達を改善するように選択され得る。レーザビームは、経強膜および/または経瞳孔的に指向されることができ、レーザビームの波長は、異なる標的化された眼構造のために異なり得る。経瞳孔ビームは、持続波および/またはパルス状レーザエネルギーを治療場所パターンに送達しながら、選択された走査速度において持続的に走査されることができる。実施例は、種々の眼疾患のための予防的治療を提供するように、特異的緑内障指標の不在下、レーザビームを照射することができる。
【0012】
ある実施例では、経強膜IOP低下レーザ治療が、レーザプローブを眼に接触させずに、実施される。レーザビームは、直接、深在強膜および線維柱帯網または毛様体突起等の強膜下標的構造を照射せず、代わりに、間接的に、眼のより表在の層内のレーザエネルギーの吸収によって発生された熱を用いて、それらを熱的に刺激する。レーザビームは、眼にわたって投影され、急速に移動され、表面構造から標的化された強膜下または眼内構造に伝搬される、熱波を誘発する。高速レーザ移動は、治療の順次サイクルの間、離間された時間間隔において、強膜上の同一治療場所を繰り返し照射する。例えば、レーザは、360°を通して、サイクル内で移動し、後続サイクルにおいて、以前の治療場所に繰り返し戻り、後続サイクルの間、その同一治療場所を照射し得る。いくつかの実施例では、レーザは、強膜表面を、持続的に、または360°経路の周囲の離間された場所において、照射し、照射の経路全体を通して、熱波を強膜の表面の下方の組織内に誘発する。熱波は、直接レーザ照射を伴わずに、強膜下組織を通した伝導によって、3次元的に360°伝搬し、標的化された強膜下構造(線維柱帯網、毛様体、および/または房水生産ならびに流出の他の標的等)に到達する。
【0013】
眼にドッキングされる、患者インターフェースは、レーザ放出源を眼から離間された位置に保持し得る。レーザ波長は、選択された組織を標的化する、例えば、強膜表面に穿通し、表在強膜の細胞水分と相互作用する、範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、波長は、1.0~1.7μm等の0.8~2.2μmまたは1~2.2μmの近赤外線波長、例えば、約0.80~0.85μmの波長または約1.4~1.6μmの波長であってもよい。いくつかの開示される実施形態では、波長は、1.47μmである。レーザエネルギーは、直接、より深い強膜構造(700μmより深い構造等)に到達し、それによって吸収されずに、短周期にわたって、治療場所における表在強膜を加熱する(例えば、100~200μm、100~550μm、または100~500μm等の100~700μmの深度まで)。直接、照射および/または加熱されない、これらのより深い構造は、線維柱帯網、ぶどう膜強膜流出網、集合管および/または小孔、ならびに/もしくは毛様体を含む。
【0014】
表在強膜加熱後、熱緩和の周期が続き、その間、熱は、線維柱帯網および/または毛様体に向かって、強膜の中により深く伝達する。繰り返される加熱および熱緩和のサイクルは、線維柱帯網、ぶどう膜強膜流出網、および/または毛様体等の意図される標的の保護熱事前調整、加温療法、ならびに療法用生体刺激を達成するために意図される。開示される実施例では、繰り返される加熱のサイクルは、加熱、熱緩和、およびより深い標的組織への熱波伝搬の複数のサイクル全体を通して、同一治療場所を反復的に標的化する、撮像システムによって、強膜表面上の同一場所に特異的に標的化される。治療場所は、角膜縁接合部の0~4mm(例えば、1~4mm)後方であり得る。
【0015】
眼の表面を冷却しながら、事前にプログラムされたパターンのレーザエネルギーを精密に送達する方法が、例えば、本システムによって実施されるステップのいずれかを行うことによって、IOPを低下させる方法として、説明される。
【0016】
開示される技術のある側面によると、対象における眼を治療するための眼外式自動化レーザ治療システムは、少なくとも1つの波長を有する、レーザビームを発生させ、レーザビームを眼から離間された場所から指向することによって眼を治療するように構成される、非接触レーザ源であって、少なくとも1つの波長は、約0.5~2.2μmの範囲内の近赤外線波長である、非接触レーザ源と、非接触レーザ源に光学的に結合され、レーザビームを非接触レーザ源から受容し、レーザビームを眼に対して走査する、レーザスキャナと、プロセッサ、およびプロセッサによる実行に応答して、レーザ治療システムに、眼の外部表面上に所定の治療パターンで照射されるように、レーザビームを複数の経強膜治療場所に指向させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含む、メモリであって、経強膜治療場所は、角膜縁接合部の0~4mm後方にあって、レーザビームは、眼の表面上の同一照射経強膜治療場所に反復的に指向され、経強膜治療場所は、眼の組織の光凝固を伴わずに、線維柱帯網および/または毛様体のうちの1つまたはそれを上回るものの保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発するために十分な時間間隔において照射される、プロセッサおよびメモリとを備える。
【0017】
いくつかの実施例では、メモリは、レーザ治療システムに、レーザビームを複数の経瞳孔治療場所に指向させ、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で標的眼組織において誘出させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含み、複数の経瞳孔治療場所は、(a)中心窩無血管域の周囲であるが、その上ではない、黄斑上の複数の同心環形を備える、眼の標的眼組織上の所定の曲線治療パターン、(b)(i)黄斑を囲繞するが、中心窩無血管域上ではなく、(ii)視神経円板を囲繞するが、視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積(c)視神経円板を囲繞するが、視神経円板もしくは隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積、または(d)中心窩無血管域に隣接するが、乳頭黄斑束の面積上にない、面積のうちの種々の単数もしくはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、記憶されたコンピュータ可読命令は、レーザ治療システムに、レーザビームを複数の経強膜および/または経瞳孔治療場所に指向させ、対象は、臨床上正常眼内圧を有するおよび/または緑内障症状もしくは診断を有していない。
【0019】
選択された実施例では、記憶されたコンピュータ可読命令は、レーザ治療システムに、レーザビームを、標的化された構造の保護熱事前調整および生体刺激を誘発し、生体力学的および生化学応答を誘出するために十分な時間間隔において、複数の経強膜治療場所に指向させ、対象の眼の眼内圧を低下させる。いくつかの実施例では、プロセッサは、約45~57℃の温度までの外側200~500μm強膜層の温度の増加を標的化する、時間間隔において、レーザビームを複数の照射される経強膜治療場所に反復的に送達するための命令とともに構成される。実施例は、レーザビームの放射照度を提供するように構成される、レーザパラメータを含むことができ、レーザビームが所定の治療パターンで動き回る、走査速度は、外側200μm強膜層の温度を約43~57℃、随意に、約43~45℃の温度まで増加させる。
【0020】
いくつかの実施例では、プロセッサは、対象の角膜縁接合部または角膜輪部の場所に対応する入力を受信するための命令とともに構成され、プロセッサは、入力に応答して、複数の経強膜治療場所を決定するように構成され、複数の経強膜治療場所は、角膜縁接合部または角膜輪部に対応する入力場所から半径方向外向きにオフセットされ、治療パターンを対象の眼の解剖学的構造に対して輪郭付ける。いくつかの実施例では、経強膜治療場所は、角膜縁接合部の後方の360°環形パターン内にあって、プロセッサは、第1の治療サイクルの間、レーザビームを眼の表面上の事前に識別された経強膜治療場所のセットに指向し、後続治療サイクルの間、レーザビームを同一の事前に識別された経強膜治療場所に指向し、照射される組織の熱緩和を治療サイクル間に伴う時間の間隔において、事前に識別された経強膜治療場所の下層の強膜組織の精密な循環熱上昇を達成するように構成される。いくつかの実施例では、プロセッサは、各治療サイクルの速度を設定し、暴露時間および緩和時間が標的化された時間-温度履歴を生産する、十分な時間間隔において、経強膜治療場所の間隔を空けた照射によって、熱緩和を達成するように構成される。いくつかの実施例では、同一経強膜治療場所の照射間の時間間隔は、2~50%範囲内のアクティブ暴露オン時間/(アクティブ暴露+緩和オフ時間)間の比率に対応する、負荷時間率を生産する。同一経強膜治療場所の照射間の例示的時間間隔は、約10~300ms、随意に、約100~200msであることができる。いくつかの実施例では、所定の治療パターンは、角膜縁接合部の約1.5mm後方に位置する。特定の実施例では、所定の治療パターンは、複数の環形治療パターンを備え、複数の環形治療パターンは、角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方に離間され、環形治療パターンは、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形、または非対称パターン、もしくはシュレム管または角膜輪部の形状に対応する、パターンのうちの1つまたはそれを上回るものを備える。さらなる実施例では、360°パターンは、鼻側で10~30°および側頭側で10~30°中断される。いくつかの実施例では、複数の環形治療パターンは、角膜縁周囲流出構造、毛様体突起、および毛様体扁平部を標的化する。
【0021】
いくつかの実施例はさらに、経強膜治療場所にわたって眼と接触して設置され、熱を眼の表面から離れるように伝達させる、放熱板を含む。いくつかの実施例では、放熱板は、眼の表面上に設置される、湾曲コンタクトレンズを備える。いくつかの実施例では、コンタクトレンズは、眼の表面に実質的に共形化する、冷却されたコンタクトレンズを備える。実施例では、レーザビームは、0.8~2.2μm、随意に、1~2.2μm、1.0~1.7μm、0.80~0.85μm、1.4~1.6μm、および/または1.47μmの波長を含む、近赤外線波長を有する。いくつかの実施例では、レーザビームは、約1.4~1.5μm、随意に、1.47μmの近赤外線波長を有する。いくつかの実施例では、保護熱事前調整および療法用生体刺激は、レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、およびデューティサイクルのうちの1つまたはそれを上回るものによって制御される。いくつかの実施例では、プロセッサは、500~1,000μm、随意に、約600μmの直径を有するスポット内において、レーザビームを経強膜治療場所に指向するように構成される。いくつかの実施例はさらに、対象の角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出するための光学撮像システムを含む。いくつかの実施例では、プロセッサは、対象の眼の角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状によって決定される場所において、所定の経強膜治療場所を識別するように構成される。
【0022】
いくつかの実施例はさらに、非接触レーザ源を眼から離間された状態でドッキングするための患者インターフェースを含み、患者インターフェースは、撮像および治療のために、眼を実質的に固定された場所に維持する、スペーサを備え、スペーサは、非接触レーザ源を眼の表面から離間され、接触せずに維持する。いくつかの実施例では、患者インターフェースはさらに、眼をレーザビームに暴露するための対象の眼瞼間への設置のための検鏡を備える。さらなる実施例では、患者インターフェースはさらに、コンタクトレンズのための固定リングを備え、固定リングは、弾力性シール面を備え、本システムは、負圧をコンタクトレンズと固定リングとの間に維持し、患者インターフェースを眼の表面に固着し、対象の眼を実質的に不動化するように構成される。いくつかの実施例では、負圧は、調節可能である。さらなる実施例では、本システムは、スペーサおよび/または固定リングならびに/もしくはコンタクトレンズを冷却するように構成される。いくつかの実施例では、スペーサおよび/または固定リングは、内部流体流動チャネルを備え、本システムは、冷却された流体を流体流動チャネルを通して導入し、スペーサおよび/または固定リングならびに/もしくはコンタクトレンズを冷却するように構成される。いくつかの実施例はさらに、患者インターフェースを対象の眼の表面に対するある場所に位置付けるための位置付けアームを含む。
【0023】
いくつかの実施例では、曲線治療パターンの黄斑上の各環形は、真円に沿って連続して送達され、照射環形治療域を各環形内に生産する、複数の均一に離間され、重複する、レーザパルススポットを備え、レーザパルススポットは、全ての黄斑環形のために共通走査速度で送達される。いくつかの実施例では、複数の同心環形は、半径方向に連続的照射環形治療域を黄斑上に備える。いくつかの実施例では、各同心環形は、400μm~600μmの幅を有する。種々の実施例では、レーザ源は、1~3msの範囲内のパルス反復周期、1,000~333パルス/秒のパルス繰り返し率、および20~500μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴う、レーザビームを生産するように構成される。いくつかの実施例では、レーザ源は、1.5~2.5msの範囲内のパルス反復周期、666~400パルス/秒のパルス繰り返し率、および50~150μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴う、レーザビームを生産するように構成される。選択された実施例では、レーザ源は、1.8~2.2msの範囲内のパルス反復周期、556~455パルス/秒のパルス繰り返し率、および80~120μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴う、レーザビームを生産するように構成される。いくつかの実施例では、環形は、3~5つの連続的同心環形を黄斑上に備え、各環形は、実質的に等しい幅を有し、複数の経強膜治療場所は、それぞれ、一次房水流出路、毛様体突起毛様体、および毛様体扁平部を覆う場所に対応する、半径R、R、およびRにおける角膜輪部の周囲の強膜上の3つの同心環形を備える。いくつかの実施例では、環形は、5つの連続的環形を強膜上に備え、各環形は、約500ミクロンの幅を有し、複数の経強膜治療場所は、角強膜接合部から約1.5、2.5、および3.5mmの距離において、3つの同心環形を強膜上に備える。いくつかの実施例では、亜致死性熱上昇は、47℃以下の温度までの黄斑上の環形内の標的組織の温度における上昇に対応し、レーザビームは、経強膜治療場所内の標的組織の温度を57℃以下まで上昇させる。
【0024】
いくつかの実施例では、レーザ源は、経瞳孔治療場所に指向するために、810nmにおけるパルス状レーザビームを生産するように動作可能である、第1のダイオードレーザ源と、経強膜治療場所に指向するために、1,475nmにおける持続波レーザビームを生産するように動作可能である、第2のダイオードレーザ源と、810nmにおけるビームおよび1,475nmにおけるビームを受容し、レーザスキャナによる受容のために、共通光学経路に沿って指向するように据え付けられる、少なくとも1つのビームスプリッタとを備える。いくつかの実施例はさらに、標的眼組織に光学的に結合される、検出器を含み、記憶されたコンピュータ可読命令は、レーザスキャナに、検出器を用いて検出された標的眼組織の位置の変化に基づいて、レーザビームを標的眼場所に選択的に指向させる。
【0025】
開示される技術の別の側面によると、対象における眼を治療するための眼外式自動化方法は、約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有する、レーザエネルギーを、眼の外部表面上で所定の治療パターンにおいて照射されるために、眼から離間された場所から複数の経強膜治療場所に指向するステップであって、経強膜治療場所は、角膜縁接合部の0~4mm後方にあって、レーザエネルギーは、眼の表面上の同一照射経強膜治療場所に反復的に指向され、経強膜治療場所は、眼の組織の光凝固を伴わずに、線維柱帯網および/または毛様体のうちの1つまたはそれを上回るものの保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発するために十分な時間間隔において照射される、ステップを含む。
【0026】
いくつかの実施例はさらに、約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有する、レーザエネルギーを、眼から離間された場所から複数の経瞳孔治療場所に指向し、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で標的眼組織において誘出させるステップを含み、複数の経瞳孔治療場所は、(a)中心窩無血管域の周囲であるが、その上ではない、黄斑上の複数の同心環形を備える、眼の標的眼組織上の所定の曲線治療パターン、(b)(i)黄斑を囲繞するが、中心窩無血管域上ではなく、(ii)視神経円板を囲繞するが、視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積、(c)視神経円板を囲繞するが、視神経円板もしくは隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積、または(d)中心窩無血管域に隣接するが、乳頭黄斑束の面積上にない、面積のうちの種々の単数またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
いくつかの実施例では、レーザエネルギーを複数の経強膜および/または経瞳孔治療場所に指向するステップは、対象が、臨床上正常眼内圧を有する、ならびに/もしくは緑内障症状または診断を有していないことに基づいて実施される。
【0028】
いくつかの実施例では、標的化された構造の保護熱事前調整および生体刺激を誘発し、生体力学的および生化学応答を誘出するために十分な時間間隔において、レーザエネルギーを複数の経強膜治療場所に指向するステップは、眼の眼内圧を低下させるように構成される。いくつかの実施例では、エネルギーを複数の照射される経強膜治療場所に反復的に送達するステップは、約45~57℃の温度までの外側200~500μm強膜層の温度の増加を標的化する、時間間隔において、エネルギーを送達するステップを含む。いくつかの実施例では、レーザエネルギーを指向するステップは、外側200μm強膜層の温度を約43~57℃、随意に、約43~45℃の温度まで増加させる、選択された放射照度および走査速度を含む。
【0029】
いくつかの実施例では、複数の経強膜治療場所は、角膜縁接合部または角膜輪部から実質的に均一距離に半径方向外向きにオフセットされ、治療パターンを対象の眼の解剖学的構造に輪郭付ける。いくつかの実施例では、経強膜治療場所は、角膜縁接合部の後方の360°環形パターン内にあって、レーザエネルギーは、第1の治療サイクルの間、眼の表面上の事前に識別された経強膜治療場所のセットに指向され、後続治療サイクルの間、レーザエネルギーは、同一の事前に識別された経強膜治療場所に指向され、照射される組織の熱緩和を治療サイクル間に伴う時間の間隔において、事前に識別された経強膜治療場所の下層の強膜組織の精密な循環熱上昇を達成する。いくつかの実施例では、各治療サイクルは、暴露時間および緩和時間が標的化された時間-温度履歴を生産する、十分な時間間隔において、経強膜治療場所の間隔を空けた照射によって、熱緩和を達成する、持続時間の間、実施される。いくつかの実施例では、同一経強膜治療場所は、2~50%範囲内のアクティブ暴露オン時間/(アクティブ暴露+緩和オフ時間)間の比率に対応する、負荷時間率を生産する、時間間隔で照射される。いくつかの実施例では、同一経強膜治療場所は、約10~300ms、随意に、約100~200msの時間間隔で照射される。いくつかの実施例では、レーザエネルギーが指向される、所定の治療パターンは、角膜縁接合部の約1.5mm後方に位置する。いくつかの実施例では、レーザエネルギーが指向される、所定の治療パターンは、複数の環形治療パターンを備え、複数の環形治療パターンは、角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方に離間され、複数の環形治療パターンは、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形、または非対称パターン、または角膜縁接合部もしくは角膜輪部の形状に対応する、パターンのうちの1つまたはそれを上回るものを備える。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、鼻側で10~30°および側頭側で10~30°中断される、360°の所定の治療パターンに指向される。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、角膜縁周囲流出構造、毛様体突起、および毛様体扁平部を標的化する、複数の環形治療パターン上の経強膜治療場所に指向される。
【0030】
いくつかの実施例はさらに、放熱板を経強膜治療場所にわたって眼と接触するように設置し、熱を眼の表面から離れるように伝達させるステップを含む。いくつかの実施例では、放熱板を眼と接触させて設置するステップは、湾曲コンタクトレンズを眼の表面上に設置するステップを含む。いくつかの実施例では、コンタクトレンズを眼上に設置するステップは、眼の表面に実質的に共形化する、冷却されたコンタクトレンズを設置するステップを含む。いくつかの実施例では、コンタクトレンズは、眼の表面上の原位置で冷却される。種々の実施例では、レーザエネルギーは、0.8~2.2μm、随意に、約1~2.2μm、1.0~1.7μm、0.80~0.85μm、1.4~1.6μm、および/または1.47μmの波長を含む、近赤外線波長を有する。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、約1.4~1.5μm、随意に、1.47μmの近赤外線波長を有する。いくつかの実施例では、保護熱事前調整および療法用生体刺激は、レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、およびデューティサイクルのうちの1つまたはそれを上回るものによって制御される。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、500~1,000μm、随意に、約600μmの直径を有するスポット内の治療場所に指向される。いくつかの実施例はさらに、光学撮像システムを用いて、対象の角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出するステップを含む。いくつかの実施例では、所定の経強膜治療場所は、対象の眼の角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状によって決定される。
【0031】
いくつかの実施例はさらに、患者インターフェースを用いて、非接触レーザを眼から離れるように間隔を空けるステップを含み、患者インターフェースは、撮像および治療のために、眼を実質的に固定された場所に維持する、スペーサを備え、スペーサは、レーザエネルギーを生産するように構成される、非接触レーザエネルギー源を、眼の表面から離間して、接触しないように維持する。いくつかの実施例では、患者インターフェースはさらに、眼をレーザエネルギーに暴露するための対象の眼瞼間への設置のための検鏡を備え、検鏡は、眼瞼間に設置され、対象の強膜を暴露する。いくつかの実施例では、患者インターフェースはさらに、コンタクトレンズのための固定リングを備え、固定リングは、弾力性シール面を備え、固定リングは、対象の眼に対して設置され、吸入力は、コンタクトレンズと眼との間に印加され、負圧を生成し、固定リングを眼に固着し、対象の眼を実質的に不動化する。いくつかの実施例では、負圧は、調節可能である。いくつかの実施例では、スペーサおよび/または固定リングならびに/もしくはコンタクトレンズは、本方法が実施されている間、冷却される。いくつかの実施例では、スペーサおよび/または固定リングは、冷却流体をスペーサならびに/もしくは固定リングおよび/またはコンタクトレンズ内の内部流体流動チャネルを通して導入することによって、冷却される。いくつかの実施例はさらに、位置付けアームを用いて、患者インターフェースを対象の眼の表面に対して治療場所内に位置付けるステップを含む。
【0032】
いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、曲線パターン内に指向され、中心窩無血管域と異なる半径において、連続的同心環形治療域を形成する。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、黄斑環形毎に、複数の均一に離間され、重複する、レーザパルススポットが、連続して、真円に沿って送達され、照射環形治療域を各環形内に生産するように、共通走査速度において、全ての黄斑環形を通して、黄斑上に曲線パターンで指向される。種々の実施例では、レーザエネルギーは、環形に指向され、50mJ~12Jの範囲内の総レーザエネルギーを、20cm~30cmの面積内に、100mW~2Wの範囲内のピークパルス電力において送達する。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、黄斑上の3~5つの連続的同心環形に指向され、各環形は、実質的に等しい幅を有し、複数の経強膜治療場所は、それぞれ、一次房水流出路、毛様体突起毛様体、および毛様体扁平部を覆う場所に対応する、半径R、R、ならびにRにおける角膜輪部の周囲の強膜上の3つの同心環形を備える。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、強膜上の5つの連続的環形に指向され、各環形は、約500ミクロンの幅を有し、複数の経強膜治療場所は、角強膜接合部から約1.5、2.5、および3.5mmの距離に、3つの同心環形を強膜上に備える。いくつかの実施例では、亜致死性熱上昇は、47℃以下の温度までの黄斑上の環形内の標的組織の温度における上昇に対応し、レーザビームは、経強膜治療場所内の標的組織の温度を57℃以下まで上昇させる。
【0033】
いくつかの実施例では、経瞳孔治療場所に指向される、レーザエネルギーは、810nmにおけるパルス状レーザビームを備え、経強膜治療場所に指向される、レーザエネルギーは、1,475nmにおける持続波レーザビームを備え、レーザエネルギーは、少なくとも1つのビームスプリッタから共通光学経路に沿って指向される。いくつかの実施例はさらに、標的眼組織の位置を検出するステップを含み、レーザエネルギーを指向するステップは、検出された位置に基づいて、レーザスキャナを用いて実施される。いくつかの実施例はさらに、対象の中心窩無血管域および/または視神経円板の位置を検出するステップを含む。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、99%またはそれを上回るパルス間重複を生産する、1.5mm/秒~2mm/秒の一定円周方向走査速度において、曲線パターンで指向される。いくつかの実施例では、レーザエネルギーは、2msのパルス反復周期および100μsのパルス持続時間において、経瞳孔的に指向される。代表的実施例では、曲線パターンは、網膜色素上皮(RPE)細胞を標的化するように構成される。
【0034】
開示される技術のさらなる側面によると、レーザ治療デバイスをレーザ治療デバイスで治療されるべき眼にドッキングするための患者インターフェースアセンブリは、コンタクトレンズ放熱板を眼に対して保定するように構成される、レンズホルダであって、流体流動入口および出口ポートと連通する、内部冷却チャネルを含む、レンズホルダと、レーザ出力をコンタクトレンズ放熱板から離間された距離に保持するために、レンズホルダにドッキング可能なスペーサとを含む。いくつかの実施例はさらに、コンタクトレンズの周囲に延在し、シールチャンバをコンタクトレンズと眼との間に生成し、吸入力が、シールチャンバに印加され、シールチャンバが、吸入力ポートと連通すると、レンズホルダを眼に対して保定する、レンズホルダ上の弾力性シールリングを含む。いくつかの実施例では、コンタクトレンズは、依然として、負の圧力をシールチャンバ内に維持しながら、空気がシールチャンバの中に通過することを可能にする、中心開口部を伴う、コンタクトレンズを備える。いくつかの実施例はさらに、検鏡を含み、検鏡は、対向眼瞼ブレードを離間された関係に保持する、ジョーを備え、ブレードは、レンズホルダの周囲に嵌合し、それを保定するように構成される。いくつかの実施例はさらに、コンタクトレンズのZ-焦点カメラ視認のためのレーザ三角測量システムを含む。いくつかの実施例はさらに、レンズホルダのシールリングを用いて、患者インターフェースを対象の眼に対して位置付けるためのX-Y-Zポジショナを含み、スペーサは、レンズホルダにドッキングされる。
【0035】
開示される技術のさらなる側面によると、レーザ治療デバイスをレーザ治療デバイスで治療されるべき眼にドッキングするための患者インターフェースは、拡大された第1の面からより小さい第2の面にテーパ状になる、円錐台状スペーサ等のスペーサ、およびコーンによって担持され、より小さい第2の面から離間される、レーザ放出源と、スペーサの第2の面と噛合するためのより大きい第1の面から、弾力性患者固定リングによって外接され、治療されるべき眼に対してシールを形成する、より小さい第2の面にテーパ状になる、レンズホルダカラーであって、冷却流体をカラーを通して循環させるために、内部冷却流体通路、入口ポート、および出口ポートを備える、カラーと、固定リングの上方においてカラー内に保持され、カラーが対象の眼に対してドッキングされると、吸入チャンバをコンタクトレンズと眼との間に形成する、放熱板コンタクトレンズ、および吸入チャンバと連通する、吸入ポートとを含む。開示される技術のさらなる側面によると、レーザ治療デバイスをレーザ治療デバイスを用いて治療されるべき眼にドッキングする方法は、検鏡のブレードを眼の中に挿入し、眼瞼を分離し、強膜を暴露するステップと、レンズホルダを検鏡のブレード間に保定し、随意に、空気をシールチャンバから吸入するステップと、X-Y-Zポジショナをアクティブ化し、スペーサをレンズホルダにドッキングさせるステップと、冷却液を流体入口ポートを通して流体出口ポートから外に導入することによって、冷却液をレンズホルダの内部冷却チャネルを通して導入するステップとを含む。いくつかの実施例はさらに、コンタクトレンズおよび眼を光学視認ソフトウェアを用いて視認するステップを含む。いくつかの実施例はさらに、眼の網膜を光学視認ソフトウェアを用いて視認するステップを含む。いくつかの実施例はさらに、強膜に対して離間された関係に保持されるレーザを用いて、患者インターフェースを通して、強膜および/または網膜のレーザ治療を実施するステップを含む。
【0036】
前述の説明は、本明細書全体を通してさらに詳細に開示される、システム、デバイス、および方法の種々の側面を説明する。説明は、読者の利便性のために提供され、任意の請求項の範囲の限定ではない。開示される技術の前述および他の目的、特徴、ならびに利点は、付随の図を参照して進められる、以下の発明を実施するための形態からより明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
対象における眼を治療するための眼外式自動化レーザ治療システムであって、
非接触レーザ源であって、前記非接触レーザ源は、少なくとも1つの波長を有するレーザビームを発生させ、前記レーザビームを前記眼から離間された場所から指向することによって前記眼を治療するように構成され、前記少なくとも1つの波長は、約0.5~2.2μmの範囲内の近赤外線波長である、非接触レーザ源と、
レーザスキャナであって、前記レーザスキャナは、前記非接触レーザ源に光学的に結合され、前記レーザビームを前記非接触レーザ源から受容し、前記レーザビームを前記眼に対して走査する、レーザスキャナと、
プロセッサおよびメモリであって、前記メモリは、記憶されたコンピュータ可読命令を含んでおり、前記記憶されたコンピュータ可読命令は、前記プロセッサによる実行に応答して、前記レーザ治療システムに、前記眼の外部表面上に所定の治療パターンで照射されるように、前記レーザビームを複数の経強膜治療場所に指向させ、前記経強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の0~4mm後方にあり、前記レーザビームは、前記眼の表面上の同一照射経強膜治療場所に反復的に指向され、前記経強膜治療場所は、前記眼の組織の光凝固を伴わずに、前記線維柱帯網および/または毛様体のうちの1つ以上のものの保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発するために十分な時間間隔において照射される、プロセッサおよびメモリと
を備える、システム。
(項目2)
前記メモリは、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを複数の経瞳孔治療場所に指向させ、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記中心窩無血管域の周囲であるが前記中心窩無血管域上ではない黄斑上の複数の同心環形を備える前記眼の標的眼組織上に、所定の曲線治療パターンを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記メモリは、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを複数の経瞳孔治療場所に指向させ、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、(i)前記黄斑を囲繞するが前記中心窩無血管域上ではない、かつ(ii)視神経円板を囲繞するが、視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積を含む、項目1または2に記載のシステム。
(項目4)
前記メモリは、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを複数の経瞳孔治療場所に指向させ、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記視神経円板を囲繞するが、前記視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積を含む、項目1-3のいずれか1項に記載のシステム。
(項目5)
前記メモリは、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを複数の経瞳孔治療場所に指向させ、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させる、記憶されたコンピュータ可読命令を含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記中心窩無血管域に隣接するが乳頭黄斑束の面積上にない面積を含む、項目1-4のいずれか1項に記載のシステム。
(項目6)
前記記憶されたコンピュータ可読命令は、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを前記複数の経強膜および/または経瞳孔治療場所に指向させ、前記対象は、臨床上正常眼内圧を有するおよび/または緑内障症状または診断を有していない、項目1-5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
前記記憶されたコンピュータ可読命令は、前記レーザ治療システムに、前記レーザビームを、前記標的化された構造の保護熱事前調整および生体刺激を誘発し、より低い眼内圧に対して生体力学的および生化学応答を誘出するために十分な時間間隔において、前記複数の経強膜治療場所に指向させる、項目1-6のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記プロセッサは、約45~57℃の温度までの外側200~500μm強膜層の温度の増加を標的化する時間間隔において、前記レーザビームを前記複数の照射される経強膜治療場所に反復的に送達するための命令とともに構成される、項目1-7のいずれか1項に記載のシステム。
(項目9)
前記レーザパラメータは、前記レーザビームの放射照度を提供するように構成され、前記レーザビームが前記所定の治療パターンで動き回る走査速度は、前記外側200μm強膜層の温度を約43~57℃、随意に、約43~45℃の温度まで増加させる、項目1-8のいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)
前記プロセッサは、前記対象の角膜縁接合部または角膜輪部の場所に対応する入力を受信するための命令とともに構成され、前記プロセッサは、前記入力に応答して、前記複数の経強膜治療場所を決定するように構成され、前記複数の経強膜治療場所は、角膜縁接合部または角膜輪部に対応する前記入力場所から半径方向外向きにオフセットされ、前記治療パターンを前記対象の眼の解剖学的構造に対して輪郭付ける、項目1-9のいずれか1項に記載のシステム。
(項目11)
前記経強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の後方の360°環形パターン内にあり、前記プロセッサは、第1の治療サイクルの間、前記レーザビームを前記眼の表面上の事前に識別された経強膜治療場所のセットに指向し、後続治療サイクルの間、前記レーザビームを同一の事前に識別された経強膜治療場所に指向し、前記照射される組織の熱緩和を治療サイクル間に伴う時間の間隔において、前記事前に識別された経強膜治療場所の下層の強膜組織の精密な循環熱上昇を達成するように構成される、項目1-10のいずれか1項に記載のシステム。
(項目12)
前記プロセッサは、各治療サイクルの速度を設定し、暴露時間および緩和時間が標的化された時間-温度履歴を生産する十分な時間間隔において、前記経強膜治療場所の間隔を空けた照射によって、前記熱緩和を達成するように構成される、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記同一経強膜治療場所の照射間の時間間隔は、2~50%範囲内のアクティブ暴露オン時間/(アクティブ暴露+緩和オフ時間)間の比率に対応する負荷時間率を生産する、項目1-12のいずれか1項に記載のシステム。
(項目14)
前記同一経強膜治療場所の照射間の時間間隔は、約10~300ms、随意に、約100~200msである、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記所定の治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm後方に位置する、項目1-14のいずれか1項に記載のシステム。
(項目16)
前記所定の治療パターンは、複数の環形治療パターンを備え、前記複数の環形治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方に離間され、前記環形治療パターンは、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形、または非対称パターン、またはシュレム管または前記角膜輪部の形状に対応するパターンのうちの1つ以上のものを備える、項目1-15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目17)
前記360°パターンは、鼻側で10~30°および側頭側で10~30°中断される、項目11-16のいずれか1項に記載のシステム。
(項目18)
前記複数の環形治療パターンは、
(a)角膜縁周囲流出構造と、
(b)毛様体突起と、
(c)毛様体扁平部と
を標的化する、項目16または17に記載のシステム。
(項目19)
前記経強膜治療場所にわたって前記眼と接触して設置され、熱を前記眼の表面から離れるように伝達させる放熱板をさらに備える、項目1-18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目20)
前記放熱板は、前記眼の表面上に設置される湾曲コンタクトレンズを備える、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記コンタクトレンズは、前記眼の表面に実質的に共形化する冷却されたコンタクトレンズを備える、項目20に記載のシステム。
(項目22)
前記レーザビームは、0.8~2.2μm、随意に、1~2.2μm、1.0~1.7μm、0.80~0.85μm、1.4~1.6μm、および/または1.47μmの波長を含む近赤外線波長を有する、項目1-21のいずれか1項に記載のシステム。
(項目23)
前記レーザビームは、約1.4~1.5μm、随意に、1.47μmの近赤外線波長を有する、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記保護熱事前調整および療法用生体刺激は、前記レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものによって制御される、項目1-23のいずれか1項に記載のシステム。
(項目25)
前記プロセッサは、500~1,000μm、随意に、約600μmの直径を有するスポット内において、前記レーザビームを前記経強膜治療場所に指向するように構成される、項目1-24のいずれか1項に記載のシステム。
(項目26)
前記対象の前記角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出するための光学撮像システムをさらに備える、項目1-25のいずれか1項に記載のシステム。
(項目27)
前記プロセッサは、前記対象の眼の前部記角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状によって決定される場所において、前記所定の経強膜治療場所を識別するように構成される、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記非接触レーザ源を前記眼から離間された状態でドッキングするための患者インターフェースをさらに備え、前記患者インターフェースは、撮像および治療のために、前記眼を実質的に固定された場所に維持するスペーサを備え、前記スペーサは、前記非接触レーザ源を前記眼の表面から離間され、接触せずに維持する、項目1-27のいずれか1項に記載のシステム。
(項目29)
前記患者インターフェースはさらに、前記眼を前記レーザビームに暴露するための前記対象の眼瞼間への設置のための検鏡を備える、項目28に記載のシステム。
(項目30)
前記患者インターフェースはさらに、コンタクトレンズのための固定リングを備え、前記固定リングは、弾力性シール面を備え、前記システムは、負圧を前記コンタクトレンズと前記固定リングとの間に維持し、前記患者インターフェースを前記眼の表面に固着し、前記対象の眼を実質的に不動化するように構成される、項目28-29のいずれか1項に記載のシステム。
(項目31)
前記負圧は、調節可能である、項目28-30のいずれか1項に記載のシステム。
(項目32)
前記システムは、前記スペーサおよび/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズを冷却するように構成される、項目28-31のいずれか1項に記載のシステム。
(項目33)
前記スペーサおよび/または固定リングは、内部流体流動チャネルを備え、前記システムは、冷却された流体を前記流体流動チャネルを通して導入し、前記スペーサおよび/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズを冷却するように構成される、項目32に記載のシステム。
(項目34)
前記患者インターフェースを前記対象の眼の表面に対する場所に位置付けるための位置付けアームをさらに備える、項目1-33のいずれか1項に記載のシステム。
(項目35)
前記曲線治療パターンの前記黄斑上の各環形は、真円に沿って連続して送達され、照射環形治療域を各環形内に生産する、複数の均一に離間され、重複するレーザパルススポットを備え、前記レーザパルススポットは、全ての黄斑環形のために共通走査速度で送達される、項目2-34のいずれかに記載のシステム。
(項目36)
前記複数の同心環形は、半径方向に連続的照射環形治療域を前記黄斑上に備える、項目35に記載のシステム。
(項目37)
各同心環形は、400μm~600μmの幅を有する、項目2-36のいずれかに記載のシステム。
(項目38)
前記レーザ源は、1~3msの範囲内のパルス反復周期、1,000~333パルス/秒のパルス繰り返し率、および20~500μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴うレーザビームを生産するように構成される、項目1-37のいずれかに記載のシステム。
(項目39)
前記レーザ源は、1.5~2.5msの範囲内のパルス反復周期、666~400パルス/秒のパルス繰り返し率、および50~150μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴うレーザビームを生産するように構成される、項目38に記載のシステム。
(項目40)
前記レーザ源は、1.8~2.2msの範囲内のパルス反復周期、556~455パルス/秒のパルス繰り返し率、および80~120μsの範囲内のパルス持続時間におけるパルスを伴うレーザビームを生産するように構成される、項目38に記載のシステム。
(項目41)
前記環形は、3~5つの連続的同心環形を前記黄斑上に備え、各環形は、実質的に等しい幅を有し、前記複数の経強膜治療場所は、それぞれ、前記一次房水流出路、前記毛様体突起毛様体、および前記毛様体扁平部を覆う場所に対応する半径R 、R 、およびR における前記角膜輪部の周囲の強膜上の3つの同心環形を備える、項目2-40のいずれかに記載のシステム。
(項目42)
前記環形は、5つの連続的環形を前記強膜上に備え、各環形は、約500ミクロンの幅を有し、前記複数の経強膜治療場所は、角強膜接合部から約1.5、2.5および3.5mmの距離における前記強膜上に3つの同心環形を備える、項目2-41のいずれかに記載のシステム。
(項目43)
前記亜致死性熱上昇は、47℃以下の温度までの前記黄斑上の環形内の前記標的組織の温度における上昇に対応し、前記レーザビームは、前記経強膜治療場所内の前記標的組織の温度を57℃以下まで上昇させる、項目2-42のいずれかに記載のシステム。
(項目44)
前記レーザ源は、前記経瞳孔治療場所に指向するために、810nmにおけるパルス状レーザビームを生産するように動作可能である第1のダイオードレーザ源と、前記経強膜治療場所に指向するために、1,475nmにおける持続波レーザビームを生産するように動作可能である第2のダイオードレーザ源と、810nmにおける前記ビームおよび1,475nmにおける前記ビームを受容し、前記レーザスキャナによる受容のために、共通光学経路に沿って指向するように据え付けられる少なくとも1つのビームスプリッタとを備える、項目2-43のいずれかに記載のシステム。
(項目45)
前記標的眼組織に光学的に結合される検出器をさらに備え、前記記憶されたコンピュータ可読命令は、前記レーザスキャナに、前記検出器を用いて検出された前記標的眼組織の位置の変化に基づいて、前記レーザビームを前記標的眼場所に選択的に指向させる、項目1-44のいずれかに記載のシステム。
(項目46)
対象における眼を治療するための眼外式自動化方法であって、前記方法は、
約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有するレーザエネルギーを、前記眼の外部表面上で所定の治療パターンにおいて照射されるために、前記眼から離間された場所から複数の経強膜治療場所に指向することであって、前記経強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の0~4mm後方にあり、前記レーザエネルギーは、前記眼の表面上の同一照射経強膜治療場所に反復的に指向され、前記経強膜治療場所は、前記眼の組織の光凝固を伴わずに、前記線維柱帯網および/または毛様体のうちの1つ以上のものの保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発するために十分な時間間隔において照射される、こと
を含む、方法。
(項目47)
約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有するレーザエネルギーを、前記眼から離間された場所から複数の経瞳孔治療場所に指向し、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させることをさらに含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記中心窩無血管域の周囲であるが前記中心窩無血管域上ではない黄斑上の複数の同心環形を備える前記眼の標的眼組織上に、所定の曲線治療パターンを含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有するレーザエネルギーを、前記眼から離間された場所から複数の経瞳孔治療場所に指向し、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させることをさらに含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、(i)前記黄斑を囲繞するが前記中心窩無血管域上ではない、かつ(ii)視神経円板を囲繞するが、視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積を含む、項目46または47に記載の方法。
(項目49)
約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有するレーザエネルギーを、前記眼から離間された場所から複数の経瞳孔治療場所に指向し、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させることをさらに含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記視神経円板を囲繞するが、前記視神経円板または隣接する視神経乳頭周囲クレセント上にない、面積を含む、項目46-48のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
約0.5~2.2μmの近赤外線波長を有するレーザエネルギーを、前記眼から離間された場所から複数の経瞳孔治療場所に指向し、亜致死性熱上昇を誘発し、療法用生体変調を所定の療法用温度範囲内で前記標的眼組織において誘出させることをさらに含み、前記複数の経瞳孔治療場所は、前記中心窩無血管域に隣接するが乳頭黄斑束の面積上にない面積を含む、項目46-49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記レーザエネルギーを前記複数の経強膜および/または経瞳孔治療場所に指向することは、前記対象が、臨床上正常眼内圧を有する、および/または緑内障症状または診断を有していないことに基づいて実施される、項目46-50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
標的化された構造の保護熱事前調整および生体刺激を誘発し、生体力学的および生化学応答を誘出するために十分な時間間隔において、前記レーザエネルギーを前記複数の経強膜治療場所に指向することは、前記眼の眼内圧を低下させるように構成される、項目46-51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記エネルギーを前記複数の照射される経強膜治療場所に反復的に送達することは、約45~57℃の温度までの前記外側200~500μm強膜層の温度の増加を標的化する時間間隔において、前記エネルギーを送達することを含む、項目46-52のいずれか1項に記載の方法。
(項目54)
前記レーザエネルギーを指向することは、前記外側200μm強膜層の温度を約43~57℃、随意に、約43~45℃の温度まで増加させる選択された放射照度および走査速度を含む、項目46-53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記複数の経強膜治療場所は、前記角膜縁接合部または角膜輪部から実質的に均一距離に半径方向外向きにオフセットされ、前記治療パターンを前記対象の眼の解剖学的構造に輪郭付ける、項目46-54のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記経強膜治療場所は、前記角膜縁接合部の後方の360°環形パターン内にあり、前記レーザエネルギーは、第1の治療サイクルの間、前記眼の表面上の事前に識別された経強膜治療場所のセットに指向され、後続治療サイクルの間、前記レーザエネルギーは、同一の事前に識別された経強膜治療場所に指向され、前記照射される組織の熱緩和を治療サイクル間に伴う時間の間隔において、前記事前に識別された経強膜治療場所の下層の強膜組織の精密な循環熱上昇を達成する、項目46-55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
各治療サイクルは、暴露時間および緩和時間が標的化された時間-温度履歴を生産する十分な時間間隔において、前記経強膜治療場所の間隔を空けた照射によって、前記熱緩和を達成する持続時間の間、実施される、項目46-56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
前記同一経強膜治療場所は、2~50%範囲内のアクティブ暴露オン時間/(アクティブ暴露+緩和オフ時間)間の比率に対応する負荷時間率を生産する時間間隔で照射される、項目46-57のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
前記同一経強膜治療場所は、約10~300ms、随意に、約100~200msの時間間隔で照射される、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記レーザエネルギーが指向される前記所定の治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm後方に位置する、項目46-59のいずれか1項に記載の方法。
(項目61)
前記レーザエネルギーが指向される前記所定の治療パターンは、複数の環形治療パターンを備え、前記複数の環形治療パターンは、前記角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方に離間され、前記複数の環形治療パターンは、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形、または非対称パターン、または前記角膜縁接合部または前記角膜輪部の形状に対応するパターンのうちの1つ以上のものを備える、項目46-60のいずれか1項に記載の方法。
(項目62)
前記レーザエネルギーは、鼻側で10~30°および側頭側で10~30°中断される360°の所定の治療パターンに指向される、項目46-61のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
前記レーザエネルギーは、
(a)角膜縁周囲流出構造と、
(b)毛様体突起と、
(c)毛様体扁平部と
を標的化する複数の環形治療パターン上の経強膜治療場所に指向される、項目46-62のいずれか1項に記載の方法。
(項目64)
放熱板を前記経強膜治療場所にわたって前記眼と接触するように設置し、熱を前記眼の表面から離れるように伝達させることをさらに含む、項目46-63のいずれか1項に記載の方法。
(項目65)
前記放熱板を前記眼と接触させて設置することは、湾曲コンタクトレンズを前記眼の表面上に設置することを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記コンタクトレンズを前記眼上に設置することは、前記眼の表面に実質的に共形化する冷却されたコンタクトレンズを設置することを含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記コンタクトレンズは、前記眼の表面上の原位置で冷却される、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記レーザエネルギーは、0.8~2.2μm、随意に、約1~2.2μm、1.0~1.7μm、0.80~0.85μm、1.4~1.6μm、および/または1.47μmの波長を含む近赤外線波長を有する、項目46-67のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
前記レーザエネルギーは、約1.4~1.5μm、随意に、1.47μmの近赤外線波長を有する、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記保護熱事前調整および療法用生体刺激は、前記レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものによって制御される、項目46-69のいずれか1項に記載の方法。
(項目71)
前記レーザエネルギーは、500~1,000μm、随意に、約600μmの直径を有するスポット内の前記治療場所に指向される、項目46-70のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
光学撮像システムを用いて、前記対象の前記角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出することをさらに含む、項目46-71のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
前記所定の経強膜治療場所は、前記対象の眼の角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状によって決定される、項目72に記載の方法。
(項目74)
患者インターフェースを用いて、前記非接触レーザを前記眼から離れるように間隔を空けることをさらに含み、前記患者インターフェースは、撮像および治療のために、前記眼を実質的に固定された場所に維持するスペーサを備え、前記スペーサは、前記レーザエネルギーを生産するように構成される非接触レーザエネルギー源を、前記眼の表面から離間して接触しないように維持する、項目46-73のいずれか1項に記載の方法。
(項目75)
前記患者インターフェースはさらに、前記眼を前記レーザエネルギーに暴露するための前記対象の眼瞼間への設置のための検鏡を備え、前記検鏡は、前記眼瞼間に設置され、前記対象の強膜を暴露する、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記患者インターフェースはさらに、コンタクトレンズのための固定リングを備え、前記固定リングは、弾力性シール面を備え、前記固定リングは、前記対象の眼に対して設置され、吸入力が、前記コンタクトレンズと眼との間に印加され、負圧を生成し、前記固定リングを前記眼に固着し、前記対象の眼を実質的に不動化する、項目74または75に記載の方法。
(項目77)
前記負圧は、調節可能である、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記スペーサおよび/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズは、前記方法が実施されている間、冷却される、項目76-77のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記スペーサおよび/または固定リングは、冷却流体を前記スペーサおよび/または固定リングおよび/またはコンタクトレンズ内の内部流体流動チャネルを通して導入することによって、冷却される、項目78に記載の方法。
(項目80)
位置付けアームを用いて、前記患者インターフェースを前記対象の眼の表面に対して治療場所内に位置付けることをさらに含む、項目46-79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
前記レーザエネルギーは、前記曲線パターン内に指向され、前記中心窩無血管域と異なる半径において、連続的同心環形治療域を形成する、項目47-80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記レーザエネルギーは、黄斑環形毎に、複数の均一に離間され、重複する、レーザパルススポットが、連続して、真円に沿って送達され、照射環形治療域を各環形内に生産するように、共通走査速度において、全ての黄斑環形を通して、前記黄斑上に前記曲線パターンで指向される、項目47-81のいずれか1項に記載の方法。
(項目83)
前記レーザエネルギーは、前記環形に指向され、50mJ~12Jの範囲内の総レーザエネルギーを、20cm ~30cm の面積内に、100mW~2Wの範囲内のピークパルス電力において送達する、項目47-82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記レーザエネルギーは、前記黄斑上の3~5つの連続的同心環形に指向され、各環形は、実質的に等しい幅を有し、前記複数の経強膜治療場所は、それぞれ、前記一次房水流出路、前記毛様体突起毛様体、および前記毛様体扁平部を覆う場所に対応する半径R 、R 、およびR における前記角膜輪部の周囲の強膜上の3つの同心環形を備える、項目47-83のいずれか1項に記載の方法。
(項目85)
前記レーザエネルギーは、前記強膜上の5つの連続的環形に指向され、各環形は、約500ミクロンの幅を有し、前記複数の経強膜治療場所は、角強膜接合部から約1.5、2.5および3.5mmの距離における前記強膜上に3つの同心環形を備える、項目47-84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記亜致死性熱上昇は、47℃以下の温度までの前記黄斑上の環形内の前記標的組織の温度における上昇に対応し、前記レーザビームは、前記経強膜治療場所内の前記標的組織の温度を57℃以下まで上昇させる、項目47-85のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
前記経瞳孔治療場所に指向される前記レーザエネルギーは、810nmにおけるパルス状レーザビームを備え、前記経強膜治療場所に指向される前記レーザエネルギーは、1,475nmにおける持続波レーザビームを備え、前記レーザエネルギーは、少なくとも1つのビームスプリッタから共通光学経路に沿って指向される、項目47-86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記標的眼組織の位置を検出することさらに含み、前記レーザエネルギーを指向することは、前記検出された位置に基づいて、レーザスキャナを用いて実施される、項目47-87のいずれか1項に記載の方法。
(項目89)
前記対象の中心窩無血管域および/または視神経円板の位置を検出することをさらに含む、項目46-88のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記レーザエネルギーは、99%以上のパルス間重複を生産する1.5mm/秒~2mm/秒の一定円周方向走査速度において、前記曲線パターンで指向される、項目46-89のいずれか1項に記載の方法。
(項目91)
前記レーザエネルギーは、2msのパルス反復周期および100μsのパルス持続時間において、経瞳孔的に指向される、項目46-90のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記曲線パターンは、網膜色素上皮(RPE)細胞を標的化するように構成される、項目46-91のいずれか1項に記載の方法。
(項目93)
レーザ治療デバイスを前記レーザ治療デバイスで治療されるべき眼にドッキングするための患者インターフェースアセンブリであって、患者インターフェースシステムは、
コンタクトレンズ放熱板を前記眼に対して保定するように構成されるレンズホルダであって、前記レンズホルダは、流体流動入口および出口ポートと連通する内部冷却チャネルを含む、レンズホルダと、
レーザ出力を前記コンタクトレンズ放熱板から離間された距離に保持するために、前記レンズホルダにドッキング可能なスペーサと
を備える、患者インターフェースアセンブリ。
(項目94)
前記コンタクトレンズの周囲に延在し、シールチャンバを前記コンタクトレンズと前記眼との間に生成し、吸入力が前記シールチャンバに印加され、前記シールチャンバが吸入力ポートと連通すると、前記レンズホルダを眼に対して保定する前記レンズホルダ上の弾力性シールリングをさらに備える、項目93に記載の患者インターフェース。
(項目95)
前記コンタクトレンズは、依然として、負の圧力を前記シールチャンバ内に維持しながら、空気が前記シールチャンバの中に通過することを可能にする中心開口部を伴うコンタクトレンズを備える、項目94に記載の患者インターフェース。
(項目96)
検鏡をさらに備え、前記検鏡は、対向眼瞼ブレードを離間された関係に保持するジョーを備え、前記ブレードは、前記レンズホルダの周囲に嵌合し、それを保定するように構成される、項目93-95のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
(項目97)
前記コンタクトレンズのZ-焦点カメラ視認のためのレーザ三角測量システムをさらに備える、項目93-96のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
(項目98)
前記レンズホルダのシールリングを用いて、前記患者インターフェースを前記対象の眼に対して位置付けるためのX-Y-Zポジショナをさらに備え、前記スペーサは、前記レンズホルダにドッキングされる、項目93-97のいずれか1項に記載の患者インターフェース。
(項目99)
レーザ治療デバイスを前記レーザ治療デバイスで治療されるべき眼にドッキングするための患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、
拡大された第1の面からより小さい第2の面にテーパ状になる円錐台状スペーサ等のスペーサ、および、前記コーンによって搬送され、前記より小さい第2の面から離間されるレーザ放出源と、
レンズホルダカラーであって、前記レンズホルダカラーは、前記スペーサの第2の面と噛合するためのより大きい第1の面から、弾力性患者固定リングによって外接され、前記治療されるべき眼に対してシールを形成する、より小さい第2の面にテーパ状になり、前記カラーは、冷却流体を前記カラーを通して循環させるために、内部冷却流体通路、入口ポート、および出口ポートを備える、レンズホルダカラーと、
前記固定リングの上方において前記カラー内に保持され、前記カラーが前記対象の眼に対してドッキングされたときに、吸入チャンバを前記コンタクトレンズと前記眼との間に形成する放熱板コンタクトレンズ、および、前記吸入チャンバと連通する吸入ポートと
を備える、患者インターフェース。
(項目100)
項目99に記載のレーザ治療デバイスを前記レーザ治療デバイスを用いて治療されるべき眼にドッキングする方法であって、前記方法は、前記検鏡のブレードを前記眼の中に挿入し、眼瞼を分離し、強膜を暴露することと、前記レンズホルダを前記検鏡のブレード間に保定し、随意に、空気を前記シールチャンバから吸入することと、前記X-Y-Zポジショナをアクティブ化し、前記スペーサを前記レンズホルダにドッキングさせることと、冷却液を前記流体入口ポートを通して前記流体出口ポートから外に導入することによって、冷却液を前記レンズホルダの内部冷却チャネルを通して導入することとを含む、方法。
(項目101)
前記コンタクトレンズおよび眼を光学視認ソフトウェアを用いて視認することをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記眼の網膜を光学視認ソフトウェアを用いて視認することをさらに含む、項目100に記載の方法。
(項目103)
前記強膜に対して離間された関係に保持されるレーザを用いて、前記患者インターフェースを通して、前記強膜および/または網膜のレーザ治療を実施することをさらに含む、項目101または102に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、眼の前部房隅角内のシュワルベ線(SL)の下方の色素沈着した線維柱帯網(TM)を可視化し、レーザビームを眼内式に指向するために、細隙灯レーザ送達システムおよび角膜接触隅角鏡検査レンズを使用して実施される、従来の先行技術の経角膜レーザ線維柱帯形成術を図式的に図示する。
【0038】
図2A図2Aおよび2Bは、レーザエネルギーを眼の表面に、その表面に接触せずに指向する、経強膜レーザ線維柱帯形成術方法の実施例を図式的に図示する。レーザビームは、流出路構造にわたる角強膜接合部を通して、眼外式に角膜縁周囲面積に指向される。
図2B図2Aおよび2Bは、レーザエネルギーを眼の表面に、その表面に接触せずに指向する、経強膜レーザ線維柱帯形成術方法の実施例を図式的に図示する。レーザビームは、流出路構造にわたる角強膜接合部を通して、眼外式に角膜縁周囲面積に指向される。
【0039】
図3図3は、前方を角膜縁接合部によって、後方を強膜縁接合部によって境界される、角強膜接合部の解剖学的構造を図式的に図示する。
【0040】
図4A図4Aおよび4Bは、概して、経強膜レーザが眼に指向され得る、種々の半径R、R、およびRを伴う、環形治療パターンの1つまたはそれを上回る場所を示す、概略図である。OAは、眼の光学軸である。
図4B図4Aおよび4Bは、概して、経強膜レーザが眼に指向され得る、種々の半径R、R、およびRを伴う、環形治療パターンの1つまたはそれを上回る場所を示す、概略図である。OAは、眼の光学軸である。
【0041】
図4C図4Cは、眼の正面図であって、角強膜接合部の領域に指向され、IOPを低下させる、レーザ照射の治療パターンを図式的に図示する。弧状パターンは、鼻側および側頭側で中断される。図示される上方および下方弧は、それらが弧のいずれかの内部中断を有していないという点で、持続する。
【0042】
図4D図4Dは、図4Cに類似する図であるが、鼻側および側頭側中断を伴わずに、角膜縁周囲領域に持続的に指向される、レーザ照射の治療パターンを図示する。
【0043】
図4E図4Eは、図4Cに類似する眼の正面図であるが、場所R、R、およびRにおける角強膜接合部の領域に指向され、IOPを低下させる、レーザエネルギーを伴う、複数の環形パターンを示す。弧は、曲率の共通中心としての光学軸を有するが、外部角膜輪部の後方の、したがって、光学軸の中心から異なる距離に離間される。
【0044】
図4F図4Fは、眼の表面に接触せずに、経強膜レーザエネルギーを眼に印加する方法を図示する。
【0045】
図4G図4G、4H、4I、および4Jは、循環治療のサイクルの実施例を図示する。
図4H図4G、4H、4I、および4Jは、循環治療のサイクルの実施例を図示する。
図4I図4G、4H、4I、および4Jは、循環治療のサイクルの実施例を図示する。
図4J図4G、4H、4I、および4Jは、循環治療のサイクルの実施例を図示する。
【0046】
図4K図4Kは、右および左眼の周囲の角度場所を図式的に図示する。
【0047】
図4L図4Lは、眼の光学軸と眼の表面における入射レーザビームとの間の角度を図式的に図示する。
【0048】
図4M図4Mは、環形治療パターンに沿って、コンタクトレンズを通して移動し、熱波を強膜内に誘発するにつれた、レーザビームの持続移動を図式的に図示する。
【0049】
図4N図4N、O、およびPは、強膜表面に指向される非接触レーザが、強膜を横断して急速に移動するにつれた、強膜壁内の3次元熱伝搬、蓄積、および緩和を図式的に図示する。
図4O図4N、O、およびPは、強膜表面に指向される非接触レーザが、強膜を横断して急速に移動するにつれた、強膜壁内の3次元熱伝搬、蓄積、および緩和を図式的に図示する。
図4P図4N、O、およびPは、強膜表面に指向される非接触レーザが、強膜を横断して急速に移動するにつれた、強膜壁内の3次元熱伝搬、蓄積、および緩和を図式的に図示する。
【0050】
図4Q図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
図4R図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
図4S図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
図4T-1】図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
図4T-2】図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
図4X図4Q、R、S、T、U、V、W、およびXは、強膜壁を通した熱波の前進および再治療の2次元例証である。
【0051】
図4Y図4Yおよび4Zは、ピーク組織温度に及ぼされるレーザ速度およびデューティサイクルの影響を図示する、グラフである。
図4Z図4Yおよび4Zは、ピーク組織温度に及ぼされるレーザ速度およびデューティサイクルの影響を図示する、グラフである。
【0052】
図5A図5Aは、経強膜手技の間、眼を安定化および冷却するための患者インターフェースの斜視図である。図5Bは、レンズを冷却し、レンズホルダと眼との間の吸入接触を可能にする、コンタクトレンズホルダによって保持される、グラフェンコンタクトレンズを図示する、患者インターフェースの断面図である。Z-焦点カメラ視認のためのレーザ三角測量もまた、図示される。図5Cは、シリコーンシール部材によって囲繞されるグラフェンコンタクトレンズを示す、患者インターフェースの底部斜視図である。
図5B図5Aは、経強膜手技の間、眼を安定化および冷却するための患者インターフェースの斜視図である。図5Bは、レンズを冷却し、レンズホルダと眼との間の吸入接触を可能にする、コンタクトレンズホルダによって保持される、グラフェンコンタクトレンズを図示する、患者インターフェースの断面図である。Z-焦点カメラ視認のためのレーザ三角測量もまた、図示される。図5Cは、シリコーンシール部材によって囲繞されるグラフェンコンタクトレンズを示す、患者インターフェースの底部斜視図である。
図5C図5Aは、経強膜手技の間、眼を安定化および冷却するための患者インターフェースの斜視図である。図5Bは、レンズを冷却し、レンズホルダと眼との間の吸入接触を可能にする、コンタクトレンズホルダによって保持される、グラフェンコンタクトレンズを図示する、患者インターフェースの断面図である。Z-焦点カメラ視認のためのレーザ三角測量もまた、図示される。図5Cは、シリコーンシール部材によって囲繞されるグラフェンコンタクトレンズを示す、患者インターフェースの底部斜視図である。
【0053】
図6A図6Aは、検鏡の斜視図であって、図6Bは、検鏡内に保定される、コンタクトレンズホルダの実施形態の斜視図であって、図6Cは、冷却流体を循環させ、コンタクトレンズを冷却するための内部冷却チャネルを伴う、コンタクトレンズホルダの隔離された断面図である。図6Dは、インターフェースコーン、コンタクトレンズホルダ、および検鏡の分解図である。図6Eは、吸入チャンバにわたってアーチ状のコンタクトレンズを示す、レンズホルダの拡大側面断面図である。
図6B図6Aは、検鏡の斜視図であって、図6Bは、検鏡内に保定される、コンタクトレンズホルダの実施形態の斜視図であって、図6Cは、冷却流体を循環させ、コンタクトレンズを冷却するための内部冷却チャネルを伴う、コンタクトレンズホルダの隔離された断面図である。図6Dは、インターフェースコーン、コンタクトレンズホルダ、および検鏡の分解図である。図6Eは、吸入チャンバにわたってアーチ状のコンタクトレンズを示す、レンズホルダの拡大側面断面図である。
図6C図6Aは、検鏡の斜視図であって、図6Bは、検鏡内に保定される、コンタクトレンズホルダの実施形態の斜視図であって、図6Cは、冷却流体を循環させ、コンタクトレンズを冷却するための内部冷却チャネルを伴う、コンタクトレンズホルダの隔離された断面図である。図6Dは、インターフェースコーン、コンタクトレンズホルダ、および検鏡の分解図である。図6Eは、吸入チャンバにわたってアーチ状のコンタクトレンズを示す、レンズホルダの拡大側面断面図である。
図6D図6Aは、検鏡の斜視図であって、図6Bは、検鏡内に保定される、コンタクトレンズホルダの実施形態の斜視図であって、図6Cは、冷却流体を循環させ、コンタクトレンズを冷却するための内部冷却チャネルを伴う、コンタクトレンズホルダの隔離された断面図である。図6Dは、インターフェースコーン、コンタクトレンズホルダ、および検鏡の分解図である。図6Eは、吸入チャンバにわたってアーチ状のコンタクトレンズを示す、レンズホルダの拡大側面断面図である。
図6E図6Aは、検鏡の斜視図であって、図6Bは、検鏡内に保定される、コンタクトレンズホルダの実施形態の斜視図であって、図6Cは、冷却流体を循環させ、コンタクトレンズを冷却するための内部冷却チャネルを伴う、コンタクトレンズホルダの隔離された断面図である。図6Dは、インターフェースコーン、コンタクトレンズホルダ、および検鏡の分解図である。図6Eは、吸入チャンバにわたってアーチ状のコンタクトレンズを示す、レンズホルダの拡大側面断面図である。
【0054】
図7A図7Aは、経強膜手技のために、対象の眼内に設置され、強膜を暴露するであろう、検鏡を図示する。図7Bは、眼内の組み立てられた患者インターフェースを図式的に図示する。典型的には、インターフェースは、横臥位の人物の眼内に挿入されるであろうが、例証目的のために、斜視図が、示されている。
図7B図7Aは、経強膜手技のために、対象の眼内に設置され、強膜を暴露するであろう、検鏡を図示する。図7Bは、眼内の組み立てられた患者インターフェースを図式的に図示する。典型的には、インターフェースは、横臥位の人物の眼内に挿入されるであろうが、例証目的のために、斜視図が、示されている。
【0055】
図8A図8Aは、レーザエネルギーが眼に指向された状態にある、横臥位の対象の眼にドッキングされる、患者インターフェースを図示する、断面図である。図8Bは、治療および/または患者インターフェースの位置付けのために眼の正面を撮像するための3-Dスキャナの概略図である。
図8B図8Aは、レーザエネルギーが眼に指向された状態にある、横臥位の対象の眼にドッキングされる、患者インターフェースを図示する、断面図である。図8Bは、治療および/または患者インターフェースの位置付けのために眼の正面を撮像するための3-Dスキャナの概略図である。
【0056】
図9A図9Aは、患者インターフェースのための制御ボックスと、冷却液の源との側面図である。患者インターフェースは、制御ボックスの底部面から投影し、レンズホルダおよび検鏡に接続される、レーザコーンを含む。管類が、冷却液の源とインターフェースを接続し、レンズを冷却する。図9Bは、図9Aの制御ボックスの斜視図であって、コンタクトレンズホルダにかかる先端/傾斜応力を低減させる、管類クランプを図示し、より明確には、冷却液のための入口および出口管類と、吸入チャンバと連通する、吸入力制御管類とを図示する。図9Cは、患者インターフェースを位置付け、対象の眼とドッキングさせるための制御アームの斜視図である。
図9B図9Aは、患者インターフェースのための制御ボックスと、冷却液の源との側面図である。患者インターフェースは、制御ボックスの底部面から投影し、レンズホルダおよび検鏡に接続される、レーザコーンを含む。管類が、冷却液の源とインターフェースを接続し、レンズを冷却する。図9Bは、図9Aの制御ボックスの斜視図であって、コンタクトレンズホルダにかかる先端/傾斜応力を低減させる、管類クランプを図示し、より明確には、冷却液のための入口および出口管類と、吸入チャンバと連通する、吸入力制御管類とを図示する。図9Cは、患者インターフェースを位置付け、対象の眼とドッキングさせるための制御アームの斜視図である。
図9C図9Aは、患者インターフェースのための制御ボックスと、冷却液の源との側面図である。患者インターフェースは、制御ボックスの底部面から投影し、レンズホルダおよび検鏡に接続される、レーザコーンを含む。管類が、冷却液の源とインターフェースを接続し、レンズを冷却する。図9Bは、図9Aの制御ボックスの斜視図であって、コンタクトレンズホルダにかかる先端/傾斜応力を低減させる、管類クランプを図示し、より明確には、冷却液のための入口および出口管類と、吸入チャンバと連通する、吸入力制御管類とを図示する。図9Cは、患者インターフェースを位置付け、対象の眼とドッキングさせるための制御アームの斜視図である。
【0057】
図10A図10Aおよび10Bは、治療方法のための自動化されたコンピュータ制御システムの概略図である。
図10B図10Aおよび10Bは、治療方法のための自動化されたコンピュータ制御システムの概略図である。
【0058】
図11図11は、眼上に図示される角膜輪部の画像ととともに、実施形態による、患者インターフェースおよびシステムを眼にドッキングさせた後、カメラによって撮影される眼の画像を示す。角膜輪部場所は、角強膜または角膜縁接合部を識別することに役立つ。角膜輪部の前境界は、角膜縁接合部である。
【0059】
図12A図12Aは、角膜輪部および角強膜または角膜縁接合部の形状を推定するために使用され得る、撮像スキームを示す。
【0060】
図12B図12Bは、治療場所の撮像および決定の例示的方法のフローチャートである。
【0061】
図13図13A-13Dは、角膜輪部および角強膜接合部の1つまたはそれを上回る場所に基づいて治療パターンを発生させるための例示的プロセスを示す。
【0062】
図14図14は、実施形態による、標的治療場所を決定するための方法のフローチャートである。
【0063】
図15図15は、ヒトの眼の斜視および部分的断面概略図である。
【0064】
図16図16は、黄斑、中心窩無血管域(FAZ)、および画像の中心における小窩を示す、中心網膜を含む、眼底の写真画像である。
【0065】
図17A図17Aは、図16における画像に類似する網膜画像であるが、瞳孔を通して視認されるような汎黄斑非損傷レーザ光刺激のための標的領域を示す。黄斑の断面は、図4Aの下に示され、その中心から周辺域までの黄斑の可変厚を図示する。
【0066】
図17B図17Bは、図17Aに類似する網膜の概略であるが、円形レーザビーム走査パターンの実施例を含む。
【0067】
図18A図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18B図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18C図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18D図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18E図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18F図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
図18G図18A-18Gは、図17Bに類似する一連の網膜画像であって、後の汎黄斑レーザ光刺激治療の間の網膜の照射のパターンを図示する。
【0068】
図19図19は、中心網膜光刺激治療を実施するように印加される、中心中心窩無血管域(FAZ)に対するレーザスポットの相対的場所を示す、概略である。
【0069】
図20図20は、治療の間の網膜加熱勾配の実施例を図示する、グラフである。
【0070】
図21図21は、例示的光学撮像および走査システムの概略である。
【0071】
図22図22は、強膜および網膜の両方を治療する、例示的治療走査パターンの端面図概略である。
【0072】
図23図23は、治療の例示的方法のフローチャートである。
【0073】
図24A図24A-24Cは、網膜面積および例示的レーザ治療パターンを図示する。
図24B図24A-24Cは、網膜面積および例示的レーザ治療パターンを図示する。
図24C図24A-24Cは、網膜面積および例示的レーザ治療パターンを図示する。
【0074】
図25図25は、例示的レーザ治療装置の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
(詳細な説明)
用語
本願および請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別様に明確に決定付けられない限り、複数形形態を含む。加えて、用語「includes(~を含む)」は、「comprises(~を備える)」を意味する。さらに、用語「coupled(結合される)」は、結合されるアイテム間の中間要素の存在を除外するものではない。
【0076】
本明細書に説明されるシステム、装置、および方法は、いかようにも、限定として解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、および相互の種々の組み合わせならびに副次的組み合わせにおいて、種々の開示される実施形態の全ての新規および非明白である特徴ならびに側面を対象とする。開示されるシステム、方法、および装置は、任意の具体的側面または特徴もしくはそれらの組み合わせに限定されず、開示されるシステム、方法、および装置は、任意の1つまたはそれを上回る具体的利点が存在する、もしくは問題が解決されることを要求するものではない。動作の任意の理論は、解説を促進するためのものであって、開示されるシステム、方法、および装置は、動作のそのような理論に限定されない。
【0077】
開示される方法のうちのいくつかの動作は、便宜的提示のために、特定のシーケンスで説明されるが、説明の本様式は、特定の順序付けが、下記に記載される具体的用語によって要求されない限り、並替を包含することを理解されたい。例えば、連続して説明される動作は、ある場合には、並べ替えられる、または並行して実施されてもよい。さらに、簡略化目的のために、添付の図は、開示されるシステム、方法、および装置が、他のシステム、方法、ならびに装置と併用され得る、種々の方法を示していない場合がある。
【0078】
眼の解剖学的構造を参照すると、「前」は、前極に向かって、眼の正面を指す。「後」は、後極に向かって、眼の背面を指す。
【0079】
「角膜輪部に輪郭が付けられた」治療パターンは、その眼の角膜輪部の輪郭を模倣する、眼の表面上の治療場所を指す。治療パターンは、角膜輪部自体にある、または角膜縁接合部の後方に離間されるが、治療されている具体的患者の輪部輪郭を保定していてもよい。
【0080】
「非接触レーザ源」は、意図される標的に指向される、レーザビームを生産し、レーザ源によって照射される標的表面と接触する部品を有していない、レーザ源(例えば、同一または異なる波長における1つまたはそれを上回るダイオード、ビーム分裂光学系、ビーム成形光学系、光学スキャナ構成要素等を含む)を指す。例えば、非接触レーザ源では、レーザビームは、照射される表面と接触するプローブから放出されない。
【0081】
眼の「光学軸」は、角膜の幾何学的中心および眼の節(中心)点を通して通過する、直線である。
【0082】
「療法用生体刺激」は、療法効果(IOPを低下させる、または網膜内の栄養機能を改善する等)を達成する、生物学的機構の刺激を指す。
【0083】
「熱事前調整」は、熱損傷から保護し、より上昇温度においてもより耐損傷性にするための組織の予備的軽度の段階的上昇加熱を指す。理論によって拘束されるわけではないが、初期の軽度の加熱(「加温療法」)は、応力がかけられるが、レーザ照射によって非致死的に損傷される、細胞等、依然として生存している細胞の折畳を最小限にする、またはその生産的再折畳を助長する、熱ショックタンパク質を誘発すると考えられる。
【0084】
治療パターンは、種々の形状を有してもよい。円周方向パターンは、角膜輪部等の湾曲構造を、例えば、湾曲または多角形形状に囲繞する。「環形」パターンは、参照構造(角膜輪部または中心窩無血管域等)を囲繞し、概して、リング/長円形状である。
【0085】
黄斑、および関連中心窩、中心窩無血管域(FAZ)、円錐突起、周中心窩、中心傍窩等の寸法の言及は、典型的ヒトの眼のための網膜解剖学的特徴を指す。
【0086】
緒言
眼外式経強膜自動化光熱レーザ送達システムは、レーザエネルギーを眼から離間された場所から指向するように構成される、非接触レーザエネルギー源から、対象における眼を照射することによって、眼内圧を低下させる。開示される実施例では、レーザエネルギーは、1.0~1.7μm等の0.8~2.2μmまたは1~2.2μmの近赤外線波長、例えば、約0.80~0.85μmの波長または約1.4~1.6μmの波長を有する。いくつかの開示される実施形態では、波長は、1.47μmである。プロセッサが、レーザエネルギーを眼の外部表面上の所定の治療パターンで照射される複数の治療場所に指向するための命令とともに構成されてもよい。治療場所は、例えば、角膜縁接合部の0~5mm(1~5mm等)前方または0~4mm(1~4mm等)後方であって、レーザエネルギーは、眼の同一照射治療場所に反復的に指向される。治療場所は、眼の1つまたはそれを上回る構造、すなわち、線維柱帯網および/または毛様体の保護熱事前調整および療法用生体刺激を誘発し、IOPを低下させる、時間間隔において照射される。
【0087】
エネルギー源およびプロセッサに結合される、エネルギー送達システムは、エネルギーを、特異的には、保護熱事前調整、眼内のより深くの標的化された構造への熱波の伝搬、ならびに標的化された構造の加温療法および生体刺激を誘発する、時間間隔において、所定の治療パターン上の複数の所定の照射治療場所に反復的に送達するように構成される。理論によって拘束されるわけではないが、これらの光熱効果は、組織の光凝固および破壊を伴わずに、最終的には、眼内圧を低下させる、細胞外マトリクスの修正等、生体力学的ならびに生化学的応答を誘発する、細胞生物学的連鎖を活性化すると考えられる。
【0088】
いくつかの実施例では、プロセッサは、エネルギーを、具体的には、約43~57℃の温度までの外側200~550μm強膜層の温度の増加を標的化する、時間間隔において、複数の照射治療場所に反復的に送達するための命令とともに構成される。例えば、レーザエネルギーの放射照度およびレーザエネルギーが治療パターンで動き回る走査速度は、外側200~550μm強膜層の温度を約43~57℃または45℃未満もしくは約43~45℃の温度まで増加させる。組織の温度の増加は、例えば、組織のベースライン温度を8または10℃以下で上回る。組織のピーク温度は、照射される組織の凝固温度を下回る。プロセッサは、対象の角膜縁接合部または角膜輪部の場所に対応する入力を受信し、入力に応答して、複数の治療場所を決定するための命令とともに構成されてもよい。治療場所は、角膜縁接合部または角膜輪部に対応する入力場所から半径方向外向きにオフセットされ、治療パターンを対象の眼の解剖学的構造に対して輪郭付け、標的化されたより深い構造への熱波のカスタマイズされた送達を達成する。
【0089】
いくつかの実施例では、治療場所は、角膜縁接合部の後方の360°パターン内にある。治療場所は、360°治療パターンと同延である、または治療パターンの一部に沿って(例えば、治療パターン上の複数の弧またはスポット内)のみであることができる。プロセッサは、第1の治療サイクルの間、レーザエネルギーを眼の表面上の事前に識別された治療場所のセットに指向し、1つまたはそれを上回る後続治療サイクル(繰り返しサイクル)の間、レーザエネルギーを同一または同一の事前に識別された治療場所のサブセットに指向する。ある時間間隔における、事前に識別された治療場所の下層の強膜組織の精密な循環熱上昇は、照射される組織の熱上昇/緩和サイクルを誘発し、治療サイクル間に、眼内のより深くの標的構造への熱波の伝搬を引き起こす。
【0090】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、各治療サイクルの速度を設定し、標的化された時間-温度履歴を生産する、時間間隔において、治療場所の照射の間隔を空けることによって、熱緩和を達成する。例えば、同一治療場所の照射間の時間間隔は、2~50%範囲内の負荷時間率(アクティブ暴露オン時間/[アクティブ暴露+緩和オフ時間]間の比率)を生産する。いくつかの実施例では、同一治療場所の照射間の時間間隔は、約10~300ms、例えば、100~200msである。しかしながら、具体的治療場所の照射間の時間間隔は、他のパラメータに応じて変動してもよい。
【0091】
いくつかの実施例では、所定の治療パターンは、角膜縁接合部の約1~1.5mm後方に位置する、360°の角膜輪部誘導円周方向パターンまたは環形の全部もしくは一部を通して延在する。概して、環形治療パターンを参照するが、エネルギーパターンは、例えば、略円周方向パターンに沿って環形の一部、多角形、または間欠治療等、多くの構成において送達されることができる。一実施例では、治療パターンは、120°の弧を通して延在する。他の所定の治療パターンは、角膜縁接合部の約2mm~3mmおよび/または3mm~4mm後方の略環形形状を通して延在してもよい。角膜輪部および角膜縁接合部は、円形以外であり得るため、360°を通して角膜縁接合部から固定距離で離間されたパターンは、角膜輪部および角膜縁接合部の形状を模倣するであろう。角膜輪部誘導パターンは、例えば、長円形、楕円形、非弧状区画を伴う略弧状、または不規則的形状であるが、それ以外は、角膜輪部を囲繞するものであってもよい。治療パターンは、治療場所が位置し得る、テンプレートを提供し、治療パターン上の治療場所は、連続的(持続パターンにある)または非連続的(治療パターンの周囲に間隔を空けて位置付けられる、スポットまたは弧等の離間された治療場所)のいずれかであってもよい。
【0092】
所定の治療パターンは、特異的におよび/または異なるように、房水生産ならびに毛様体および線維柱帯網等の流出路を標的化する、1つまたはそれを上回る治療パターンであってもよい。いくつかの実施例では、環形は、角膜縁接合部の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方に離間され、1.5mmにおける流出路、2.5mmにおける毛様体突起、および3.5mmにおける毛様体扁平部を標的化する。360°パターンは、照射によって害を受け得る、眼内の解剖学的構造を回避するために、中断されてもよい。例えば、パターンは、鼻側で10~30°および/または側頭側で10~30°等、鼻側ならびに側頭側で中断される。いくつかの実施例では、湾曲コンタクトレンズ等の放熱板が、治療場所にわたって、眼と接触して設置され、熱を眼の治療される表面から離れるように外部に伝達する。レンズは、眼の表面に実質的に共形化する、冷却されたレンズであってもよく、これは、事前に冷却されるか、または眼の表面上に水平に広下られている間に原位置で冷却されるかのいずれかである。
【0093】
保護熱事前調整および療法用生体刺激は、レーザの電力、放射照度、走査速度、サイクル繰り返し率、サイクル反復の数、スポットサイズ、およびデューティサイクルのうちの1つまたはそれを上回るものによって制御されてもよい。例えば、プロセッサは、500~1,000μm、例えば、約600μmの直径を有するスポット内において、レーザエネルギーを治療場所に指向するように構成される。本システムはまた、対象の角膜輪部および/または角膜縁接合部を検出するための光学撮像システムを含んでもよい。プロセッサは、対象の眼の角膜輪部および/または角膜縁接合部の形状ならびにサイズによって決定されるように、所定の治療場所を識別するように構成されてもよい。プロセッサによって識別される360°場所は、個々の角膜輪部の解剖学的構造によって決定される、円形、長円形、楕円形、卵状、非円形、非楕円形、非対称、または他の形状であってもよい。角膜輪部または角膜縁接合部の形状によってパターン化された輪郭が付けられた環形は、事実上、治療されている具体的対象の角膜輪部または角膜縁接合部のより大きい(より大きい直径等)バージョンである。
【0094】
本方法の開示される実施形態は、レーザエネルギー、例えば、低散乱を伴う、近赤外線レーザエネルギー(1.475μmIRレーザから等)を経強膜的に送達する。レーザは、持続波(CW)赤外線レーザであってもよい。レーザエネルギーは、主に、線維柱帯網等のより深い眼球構造内の色素沈着した細胞と相互作用する代わりに、(例えば、強膜の表面の200~500μm真下の深度までの)表在強膜内の水分含有細胞と相互作用する。細胞内の水分が、表在強膜内のレーザエネルギーを吸収すると、熱上昇が、生成され、より深い眼球構造内の細胞トランスダクション連鎖が、影響される。レーザエネルギーは、反復的に、かつ特異的に、治療サイクルの周期によって時間的に離間された時間間隔において、同一治療場所に印加され、各治療場所において、より深い強膜層ならびに房水流出路および/または毛様体の構造の中に3次元的または360°球状に伝搬する、熱波を発生させてもよい。エネルギー送達は、ALT熱傷またはSLTのキャビテーション相互作用と関連付けられるもの等の合併症を回避する、緩慢な光熱上昇を通して、光刺激療法閾値を達成する。本方法は、虹彩角膜角(図1)における線維柱帯網へのレーザの隅角鏡検標的化の必要性を回避し、接触プローブを眼の表面にわたって移動させる医原性短所を回避する。本手技はまた、局部麻酔下で、球後周囲ブロックを伴わずに、実施されてもよい。
【0095】
1つの開示される実施形態では、360°治療パターンまたはパターンの一部において、レーザを持続的に照射し、時計回り方向に、0°から開始し、サイクルを再び開始し、繰り返す前に、360°を通して、1つの方向に移動する。そのようなサイクルは、代替として、反時計回り方向または治療パターン上の非隣接場所の周囲でピンポン式に進み、サイクルを完了し得る。例えば、規定された直径のレーザスポットは、連続して、360°パターン全体を通して、0°、180°、10°、190°、20°、200°、30°、210°、40°、220°等のピンポン様式において、標的パターンを照射し、持続または断続パターンのいずれかを形成してもよい。いくつかの開示される実施例では、各サイクルは、選択された治療場所を照射し、全ての治療場所が、次のサイクルに進む前に照射されてもよい。パターン上の複数の治療場所は、眼の強膜の周囲の約30°~約360°の範囲内、例えば、約90°~約360°の範囲内、約90°~約150の範囲内、160、170、または180°、または約180°~約360°の範囲内の角度に対応してもよい。複数の治療場所は、約30°、約45°、約60°、約75°、約90°、約150°、約180°、約270°、または約360°の角度に対応してもよい。
【0096】
治療パターンは、非中断曲線を形成する、環形等の持続治療パターン、または治療パターンに沿って治療の「ダッシュ」もしくは「スポット」間に空間を有する、断続治療パターンであってもよい。治療パターンは、複数の治療パターンであってもよく、複数のパターンは、重複または非重複してもよい。例えば、複数の環形は、重複し、レーザエネルギービームのスポットサイズを上回る幅を伴う、治療環形を発生させてもよい。非重複環形は、複数の治療パターンのそれぞれ間の距離に所定の半径方向を有するであろう。例えば、各非重複治療パターンは、パターンのそれぞれが、異なる円周の角膜輪部輪郭誘導パターンであるように、角膜縁接合部から異なる固定距離であってもよい。
【0097】
いくつかの実施例では、全ての治療場所を治療するための治療パターンの周囲のレーザの円周方向移動の走査速度は、環形上の各治療場所の照射間の時間間隔を決定する。具体的治療場所の反復的照射間の時間間隔の間のレーザの移動は、エネルギーの送達を各治療場所に分画し、各治療場所の照射間の熱緩和を可能にする。各治療場所に送達される総エネルギーは、サイクルの数によって部分的に決定されてもよく、総エネルギーは、サイクルの数の積×サイクルあたり印加されるエネルギーである。
【0098】
図示される実施形態の詳細な説明(図2-4)
本方法およびシステムの詳細な実施形態が、図面を参照して説明される。図2Aは、IOPを低下させる方法を図式的に図示する。レーザエネルギーが、眼の表面から離間された非眼接触レーザエネルギー源18から放出され、角膜と強膜との間の遷移域である、角強膜接合部20に向かって指向される。図2Bは、図2Aにおけるボックスの拡大図であって、レーザエネルギーが熱波を下層線維柱帯網および房水流出路の他の構造に伝搬するように指向される、角強膜接合部をより詳しく図示する。図3は、角膜22が強膜24に衝合する、角強膜接合部20のさらなる拡大図である。角強膜接合部を形成する、角膜輪部26は、シュワルベ線(SL)28および強膜岬(SS)30によって内部から(眼内で)境界される。角膜輪部26は、角膜縁接合部(CLJ)32および強膜縁接合部(SLJ)34によって外部から(眼の表面において)境界される。CLJ32は、見掛けまたは前角膜輪部としても知られ、SLJ34はまた、外科または後角膜輪部としても知られる。結膜およびテノン嚢(図示せず)は、CLJの約0.5mm後方に挿入する前に融合する。房水を生産する、下層毛様体36は、毛様体突起38および毛様体扁平部40に分割される。線維柱帯網(TM)42は、毛様体36の近傍の角膜22の基部の周囲に位置し、房水を眼から排出するための装置の一部である。シュレム管44は、房水流出路の一部でもある、線維柱帯網42に隣接する角膜22の基部の周囲の円形リンパ状脈管である。角膜縁接合部32から強膜縁接合部34までの距離は、典型的眼では、約2mmである。
【0099】
角膜輪部および/または角膜縁周囲領域の照射は、強膜を通して進行し、集合管ならびに/もしくはその小孔、シュレム管、傍シュレム管TM、角強膜TM、およびぶどう膜TM等の一次房水流出路の構造の大部分を光刺激する、熱波を伝搬する。全てのこれらの構造は、角膜輪部の真下の空間内にある。いくつかの事例では、角膜縁接合部の後方の距離Rにおける単一治療パターンのみが、使用される。他の事例では、角膜縁接合部の後方のR、Rにおける2つの治療パターンが、熱波のより大きな拡散を房水流出路の構造および/または(毛様体内の)房水生産構造のより多くのものに達成するために使用される。さらに他の事例では、角膜縁接合部の後方の3つの治療パターンR、R、Rが、房水生産および流出の標的化された構造への熱波の広範な拡散を達成するために治療される。他の実施形態では、例えば、それぞれ、角強膜接合部から固定距離における、4つ、5つ、または6つの治療パターン等、3つを上回る治療パターンも、使用されることができる。
【0100】
角膜縁接合部からの距離R、R、Rは、R、R、Rのそれぞれが、角膜縁接合部から一定距離であるが、パターンの360°全体を通して光学軸から異なる距離であるように、角膜縁接合部の多くの場合に不規則的である輪郭を模倣する、カスタムパターンであることができる。代替として、距離R、R、Rは、治療パターンが、実質的に一定半径を有するように、パターンの360°全体を通して光学軸から固定距離である。例えば、6mmの平均角膜半径(光学軸から測定される)を有する、対象では、Rは、光学軸から7.5mmの固定半径を有し、それを角膜縁接合部から平均して1.5mm離間させてもよい。Rは、光学軸から8.5mmの固定半径を有し、それを角膜縁接合部から平均して2.5mmの距離だけ離間させてもよく、Rは、光学軸から9.5mmの固定半径を有し、それを角膜縁接合部から平均して3.5mmの距離だけ離間させてもよい。
【0101】
図3、4A、および4Bは、角膜縁周囲領域が、角膜縁接合部32の後方の距離R、R、および/またはRにおいて照射され得る、場所の実施例を示す。例えば、R、R、およびRは、それぞれ、角膜縁接合部32の約0、1.5、ならびに2.5mm後方または角膜縁接合部32の約1.5mm、2.5mm、および3.5mm後方であってもよい。いくつかの実施例では、Rは、角膜縁接合部の0~2mm後方であってもよく、Rは、角膜縁接合部32の2~3mm後方であってもよく、Rは、角膜縁接合部32の3~4mm後方であってもよい。他の反復では、R、R、およびRは、例えば、R=角膜縁接合部の0、0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5、または1.7mm、もしくはそれを上回る後方、R=角膜縁接合部の2.25、2.5、2.75、3.0、または3.25、もしくはそれを上回る後方、およびR=角膜縁接合部の3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75mm、またはそれを上回る後方の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、角膜縁接合部から約1~2mmであって、Rは、角膜縁接合部の約2~3mm後方であって、Rは、角膜縁接合部の約3~4mm後方であって、R、R、およびRは、異なる距離である。
【0102】
いくつかの実施形態では、眼の解剖学的構造は、例えば、手術用顕微鏡を使用して撮像され、次いで、指定される治療場所において、治療場所の自動化された照射によって眼に印加され得る、治療パターンにオーバーレイするための角膜輪部の形状を識別してもよい。他の実施形態では、画像分析ソフトウェアプログラムが、角膜輪部およびその前辺縁(角膜縁接合部)を認識するであろう。自動化されたシステムは、治療環形が患者の角膜輪部の実際の形状を模倣するように、角膜縁接合部からの選択された一定距離だけ角膜縁接合部から後方にオフセットされる、「カスタム角膜輪部」パターンに基づいて、治療パターンを識別するようにプログラムされてもよい。角膜輪部の形状は、多くの場合、患者間で変動し、故に、治療パターンの輪郭を患者の角膜輪部の輪郭にカスタマイズすることは、治療転帰を改善し、および/または通常ではない眼生体構造を伴う患者における眼構造の非意図的照射によって生じ得る、副作用を回避する。
【0103】
例えば、事前にプログラムされた治療パターンにおける、治療パターンに沿ったレーザビームの撮像および自動化された移動は、カスタム角膜輪部パターン上の順次治療場所の精密な照射を達成する。自動化されたプロセスは、レーザが順次治療場所を通して移動するために要求される時間間隔の制御されたタイミングが、循環治療の後続治療サイクルの間の順次治療場所の後続照射の前の遅延の事前に選択された周期を設定することを可能にする。レーザエネルギーは、接触プローブから印加されないため、レーザビームは、概して、接触および湾入プローブを用いて達成され得る、よりはるかに高速の速度において、強膜または眼の他の部分にわたって移動してもよい。
【0104】
光学コヒーレンス断層撮影(OCT)または高強度集束超音波(HIFU)は、標的化された構造のうちの1つまたはそれを上回るものを識別するために使用される、撮像モダリティの実施例である。例えば、角膜輪部の内側および外側辺縁の360°場所が、米国特許第9,618,322号に開示されるように、OCTによって撮像されてもよい。いったん角膜輪部の前辺縁が、識別およびマッピングされると、治療場所が、その前辺縁から所望の距離R、R、および/またはRだけオフセットされる、環形上で選択されてもよい。自動化されたシステムは、次いで、再現可能場所における治療環形または複数の環形を精密に照射することができる。
【0105】
場所R、R、およびRは、房水流出路および生産構造等、IOP恒常性の異なる構造を覆う強膜を照射する。図示される実施例では、Rは、一次房水流出路を照射するように位置付けられ、Rは、房水を生産する、毛様体突起毛様体を照射するように位置付けられ、Rは、毛様体扁平部および非従来のぶどう膜強膜流出路を照射するように位置付けられる。治療パターンの場所を対象の眼の具体的解剖学的構造に調整することは、合併症の尤度を低減させながら、治療転帰を改善する。オペレータは、特定の患者におけるIOP恒常性の損失に関する理由を査定し、IOP恒常性を回復するであろう、レーザエネルギーを標的化された場所に指向してもよい。一実施例では、増加されるIOPが、過剰な房水生産に起因する可能性が高い場合、レーザエネルギーおよび温熱療法刺激が、少なくともまたは排他的に、毛様体(Rにおける毛様体突起および/またはRにおける毛様体扁平部等)に指向されてもよい。増加されるIOPが、従来のまたはぶどう膜強膜流出路内の抵抗に起因すると見なされる場合、レーザエネルギーおよび低温刺激が、少なくともまたは排他的に、Rに指向されてもよい。増加されるIOPが、房水の過剰生産および損なわれた流出の両方に起因する可能性が高い場合、生産および流出路の両方が、例えば、R、R、およびRにおいて標的化されてもよい。
【0106】
図4Cに示される実施形態では、環形治療パターンが、角膜縁接合部の約1.5mm後方の距離に印加され、治療場所は、上方弧50および下方弧52等の複数の弧を形成するように中断される。これらの図示される弧はそれぞれ、治療場所が、連続的であって、離間されていないという点で、中断されないが、弧が、領域内の構造の照射を回避するために、側頭側および鼻側中断によって分離される。連続的場所が、レーザをオンにした状態において、持続波レーザビームを弧に沿って移動させることによって治療される。中断は、レーザをパルスにおいてオフおよびオンにし、非連続的治療場所を形成することによって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、レーザビームは、確実な量のレーザエネルギー堆積を伴って、一貫し、かつ常時再現可能な治療を保証する、コンピュータ駆動電気光学スキャナによって、定常かつ再現可能な速度を伴って、上方および/または下方弧50、52にわたって円周方向に移動される。図4Cおよび4Eでは、レーザエネルギーは、弧状パターンで送達され、2つの150°弧を生産する。図示される弧は、長毛様体神経を回避し、疼痛を最小限にし、前眼部虚血のリスクを回避するために、約8:30~9:30時(255°~285°)および2:30~3:30時(75°~105°)位置で中断されることを除き、持続する。
【0107】
図4Dでは、環形治療パターン54が、角膜縁接合部の約3.5mm後方の距離にあるが、上方および下方弧に分割されない、非断続パターンにおいて、印加される。図4Eでは、複数の環形治療パターンが、上方および下方弧内のR、R、およびRにおいて印加される。図4Fは、上方一次弧56および下方一次弧58を含む、治療パターンを図示するが、上方および下方弧のそれぞれ自体が、それぞれ、弧56、58を通して移動するにつれてパルス化する(オン/オフ)、その経路または形状のレーザビームによって照射される、一連の補助的断続弧である。本事例におけるレーザビームは、上方一次弧56または下方一次弧58の経路全体に沿って、眼を持続的に照射しない。治療場所を照射するシーケンスは、常時、眼の周囲の円形方向に漸次的である必要はない。例えば、一次弧56内の補助的弧のうちの1つが、照射された後、下方弧58内の補助的弧の照射が続き得、照射パターンは、弧56、58間で往復してピンポン移動し得る。しかしながら、補助的弧が照射される、シーケンスは、概して、各治療サイクルにおいて同一であって、事前に選択された周期を設定し、その間、所望の熱緩和が、次の照射サイクルが開始する前に、各治療場所において生じ得る。
【0108】
弧に沿ったレーザビームの移動の速度および/またはパルス状レーザの使用は両方とも、デューティサイクルに影響を及ぼし得、サイクル毎の均一周期の選択は、固定間隔を各治療場所の照射間に確立する。各サイクルの周期は、第1のサイクルの開始と次のサイクルの開始との間の時間である。サイクル毎の均一周期は、レーザビームを複数のサイクルを通して一定速度で移動させることによって達成されてもよい。レーザビームは、所望の熱事前調整および緩和を達成するために、1~100mm/秒または1~50mm/秒等の十分な速度で移動される。いくつかの実施例では、速度は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50mm/秒である。いくつかの実施例では、速度は、200mm/秒以下である。
【0109】
各治療場所における熱緩和の周期もまた、各サイクルの周期によって設定される。例えば、図4Gでは、90°場所において眼の照射を開始し、90°場所に戻る前に、180°、270°、および360°場所を通して、眼の周囲を時計回り方向に継続する、単一サイクルが、図示される。次のサイクルは、次いで、そのプロセスを繰り返す。本パターンは、例えば、事前に選択された一定速度等の速度において、治療場所毎に、熱緩和の周期を設定するための治療パターンで、持続波(CW)レーザのレーザビームを眼の表面にわたって移動させることによって、繰り返されることができる。例えば、90°における治療場所は、第1のサイクルにおいて照射される第1の場所であって、かつ第2のサイクルおよび後続サイクルにおいて照射される第1の場所であろう。本実施例における90°治療場所の照射間の時間間隔は、サイクルの周期に等しい。
【0110】
図4Hおよび図4Kの実施例では、サイクルは、レーザが285°において眼の表面を照射することから開始し、治療環形に沿って75°場所に移動する。レーザは、次いで、レーザが75°から105°場所にわたって移動するにつれて、オフにされるが、レーザは、次いで、再び、105°から255°の場所では、オンにされる。本事例では、上方および下方弧の形成は、1つのサイクルにおいて生じる。いくつかの実施例では、上方または下方弧の1つのみが、照射され、そのような事例では、レーザは、1つのサイクルの完了のために、例えば、285°から開始し、75°に移動してもよい。次のサイクルは、次いで、眼の周囲のレーザビームの時計回り移動を継続することによって、またはレーザビームを直接75°場所から285°場所に再指向させることによってのいずれかにおいて、後続サイクルの完了のために、285°から開始し、75°に移動するであろう。360°環形パターンを通したレーザの各移動(または使用されているパターン内の全ての場所の治療)は、所望の回数繰り返され得る、1つの治療のサイクルとなるであろう。熱緩和のための周期(サイクルの周期)は、概して、レーザビームをサイクル全体を通して一定速度で移動させることによって、複数の照射サイクル全体を通して固定されるが、しかしながら、可変間隔もまた、所望に応じて、療法効果を達成するために使用されてもよい。
【0111】
図4Iは、時計回り方式に印加される、中間長の複数の弧を治療環形の周囲に含む、治療パターンのさらに別の実施例を図示する。図4Jは、順次方式で印加される、治療環形が、複数のレーザスポットまたは弧から作製される、さらに別の治療パターンを図示する。第1のサイクルは、図4Iにおける弧のシーケンスまたは図4Jに示されるレーザスポットのシーケンスの完了を構成してもよく、後続サイクルは、第1のサイクルにおいて印加された同一場所および同一シーケンスにおける、後続強膜照射を構成するであろう。
【0112】
例証目的のために、説明される治療パターンは、時計回り方向に印加されるが、それらは、当然ながら、また、反時計回り、または眼の周囲の1つの方向もしくは他の方向に均一に移動しない、他のパターンで印加されてもよい。同一場所の反復的照射の循環性質は、図4Kに関して図示され、これは、右および左眼を36個の等しく離間された10°区画に分割する。治療場所は、例えば、10°場所またはそれらの場所のサブセットのそれぞれにおいて識別されてもよい。治療場所はまた、10°場所間に位置してもよい。各眼の周囲のレーザビームの時計回り移動の方向は、矢印54、56によって図示される。
【0113】
図4Lは、角膜72と、角膜の中心の近傍を通過し、角膜の表面に対して法線(垂直)である、光学軸OAとを有する、眼70を図式的に図示する。レーザエネルギー源(CWダイオードレーザ等)74が、眼70から外向きに離間され、レーザビーム76を眼の表面に向かってOAに対して角度θで指向し、眼の表面を照射し、房水流出路構造および/または毛様体に穿通する、熱波を生成する。レーザビームは、球体の中心の中に継続しないが、レーザビームとOAとの間の角度を図示するために、レーザの経路が、眼の中心までの破線においてトレースされている。本実施例では、角度θは、30~50°、例えば、35~40°であるが、ビーム76が眼に衝突する角度は、開示される方法の療法効果が、非特異的に強膜を通して伝搬し、房水流出路構造および/または毛様体を加熱し得る、波の発生によって達成されるため、変動してもよい。レーザビームは、したがって、伝搬される熱波を利用するために、直接、構造に照準される必要はない。
【0114】
図4Mは、強膜78の表面上の放熱板コンタクトレンズ80を通して強膜78に指向される、レーザビーム76を図示する。ビーム76は、幅82(例えば、600nm)を有し、ビーム76は、選択された速度に伴って、移動方向84に移動し、IOP恒常性を変調するために、表在強膜を通して、下層標的に向かって、x-y-z方向に3次元的に拡散する、熱波86を生成する。ビーム76が、強膜78に沿ってy方向に移動するにつれて、熱波は、レーザの経路に沿って、下層組織に3次元的に伝搬される。例えば、レーザは、図4C-4Jのうちの任意の1つに示されるパターンに沿って移動される。強膜との衝突の角度は、レーザエネルギーの反射および散乱を最小限にし、効果的組織穿通を助長するように選定されてもよい。いくつかの実施例では、レーザは、衝突点における眼球接線に対して90±45°の角度で強膜に衝突する。下記に議論されるように、コンタクトレンズ80または強膜78自体が、強膜78の中へのビーム76の一般的伝搬方向に寄与する、もしくはそれを生産することができる。
【0115】
コンタクトレンズ80(図4M)は、熱を眼の表面から離れるように伝達する、放熱板として作用する。放熱板は、本開示と矛盾しない限り、参照することによって組み込まれる、第US2018/0177632号により完全に開示される。要約すると、レンズは、レンズを通して眼の可視化を可能にし、また、選択された入射角を強膜上に提供する、または提供することを補助するための好適な光学性質を有する。典型的実施例では、光は、レーザスキャナ(2ミラー検流計スキャナ等)を用いて、対物レンズ(Fθレンズ等)を通して、眼に対する対物レンズの光学軸と平行に指向され、典型的には、眼のOAは、対物レンズの光学軸と共線形に整合される。強膜および眼は、空気の屈折率(約1.0)を上回る屈折率(例えば、1.3~1.5)を有し、強膜における衝突の半径方向位置は、眼のOAと垂直ではない接線と関連付けられるため、入射レーザビームは、コンタクトレンズ80の存在を伴わなくても、眼のOAに向かって、それと平行ではなく、ある角度で屈折される。コンタクトレンズ80はまた、眼のOAと平行に伝搬している、コンタクトレンズ80において受容されるビームのために、強膜に対して所望の入射角を生産する、事前に構成された屈折率または曲率を伴って、本屈折を補助することができる。
【0116】
一般に、レンズは、例えば、CCDまたはCMOSカメラを通して、もしくは手術用顕微鏡を通して、眼の可視化を可能にするために、レーザビームの最大限にされた伝送および低光散乱量を伴う、光学平滑度を有する。レンズは、多層化され、例えば、グラフェンの層を含有し、レンズの熱伝達性質を向上させてもよい。レンズはまた、例えば、事前に冷却または眼上の原位置冷却の一方もしくは両方によって冷却される。原位置冷却を実施するための患者インターフェースは、図5A-5Cに説明される。
【0117】
熱波の経時的3次元伝搬
強膜壁の区分を通した熱波の経時的伝搬はさらに、図4N-Pに図示される。これらの図は、50mm/秒の速度で強膜表面を横断して移動するレーザビームからの一連の中断スポットの摺動によって説明される、環形上のレーザ照射によって生じる順次事象を図示する。レーザエネルギーは、図4Nでは、概して、強膜表面と垂直に印加され、各レーザスポットが、照射されるにつれて、熱が、強膜表面の下方においてより深い構造に向かって熱波内で伝搬される。図4Oは、熱波が、線維柱帯網および毛様体等の標的化された強膜下構造(差込図)に到達するまで、強膜の中により深く伝搬することを示す。図4Pでは、波は、熱緩和が生じるにつれて、再び、強膜表面に向かって減退する。本シーケンスは、図4N-Pにおける1つのそのようなスポットに関して図示されるが、同一プロセスは、レーザが強膜表面を横断して移動するにつれて、レーザスポットのそれぞれにおいて生じる。
【0118】
図4Q-4Xも同様に、線維柱帯網(TMレベル)に向かっておよびそこから離れる熱波の伝搬ならびに減退を図示する。図4Qでは、熱波は、レーザ照射によって強膜表面に伝搬される。図4R、S、T、およびUでは、波は、次の1.64秒にわたって、徐々に前進し、TMに穿通し、その中に通過する。図4V、W、およびXは、熱緩和の周期を示し、その間、熱波は、TMレベルから離れるように、強膜表面に向かって戻るように移動する。
【0119】
図4Yは、照射される組織のピーク温度増加が、強膜に対するレーザ移動の速度を改変することによって制御されることができることを図示する。ピーク組織温度は、より多くのエネルギーが、単位時間あたり一定レーザ電力およびデューティサイクルにおいて、各照射される場所に送達されるため、レーザ移動の速度が減少するにつれて増加する。グラフは、レーザが、200°弧を通して、5、10、25、および50mm/秒で移動されるときの、0.8Wのレーザ電力および3.44%のデューティサイクルにおける、照射される強膜組織のピーク温度変化を示す。
【0120】
図4Zは、デューティサイクルがまた、レーザ速度と組み合わせて、ピーク組織温度を制御するために使用されることができることを図示する。図示される実施例では、ピーク温度は、5、10、25、および50mm/秒のレーザ速度において、11.5%または172%のデューティサイクルを伴って、4°の弧を通して移動する0.8Wのレーザ電力で比較された。ピーク温度は、10、25、および50mm/秒において、両方のデューティサイクルに関して実質的に類似したが、5mm/秒の低速レーザ速度では、ピーク温度は、約33℃から37℃まで増加した。
【0121】
ビームサイズ
眼の表面におけるレーザビームの直径は、熱波を標的化された房水生産および/または房水流出構造に指向するために十分に大きい。ビーム設置は、参照点に対するビームの中心の場所を指す。例えば、ビームの直径は、600μm等の500~1,000μmであってもよい。600μm直径レーザビームは、角膜縁接合部の1.5mm後方の環形治療パターン上に心合され、一次房水流出路構造の大部分を発生された熱および拡散する熱波で療法的に刺激し得る。600μm直径レーザビームはまた、角膜縁接合部の3.5mm後方に心合されるビームを伴う環形パターンで投影され、毛様体扁平部の非従来のぶどう膜強膜流出路を標的化してもよい。いくつかの実施形態では、600μm直径レーザビームはまた、角膜縁接合部の2.5mm後方に心合されるビームを伴う環形パターンで投影され、毛様体突起を標的化してもよい。
【0122】
本サイズのビームを用いた経強膜レーザ循環照射は、角膜縁周囲、毛様体突起、および毛様体扁平部領域の微小構造体の微細な形態的変化とともに、従来(線維柱帯網)および非従来(ぶどう膜強膜)の流出の両方を向上させ、早期IOP低減をもたらす、房水流出路の運動および再編成を伴う、生体力学的応答を生産する、局在化された光熱上昇を引き起こす。(例えば、43~45℃の温度までの)付随光刺激加温療法は、強膜の光凝固を伴わずに、周囲組織内の熱拡散および減弱につながり、治療場所を再平衡し、ベースライン体温に向かって、またはそれに戻す。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、反復的照射および熱減弱は、長期に及ぶIOP低下効果に寄与する、サイトカイン発現および後続内因性分子転写活動の生物学的連鎖を伴って、生体化学応答を誘起すると考えられる。
【0123】
一例として、1.475μmのIRレーザ波長は、増加された線維柱帯網流出(線維柱帯形成術-効果)、増加されたぶどう膜強膜流出効果、および減少された房水生産(毛様体突起治療効果)のうちの1つまたはそれを上回るものを通してIOPを降下させる、安全かつ効果的時間-温度履歴プロファイルを与える。異なる時間-温度履歴プロファイルは、強膜組織を熱的に事前調整し、熱耐性を誘発することによって、望ましくない組織凝固を伴わずに、光凝固、光刺激、および加温療法を生産することができる。熱耐性は、熱誘発細胞死に対する抵抗の一時的状態であって、熱耐性は、離間された間隔における治療場所の反復的照射と、温度を徐々に増加させることによって達成される。組織温度の漸次的増加は、組織の熱耐性を最終的に増加させ、修復および再生効果を周囲の機能不全細胞に及ぼす、自動熱調整および熱ショックタンパク質の生産等の自然保護機構を活性化すると考えられる。熱耐性は、治療場所への組織損傷を最小限にしながら、治療場所が繰り返し照射されることを可能にする。
【0124】
放射照度、走査速度、暴露時間、サイクル繰り返し率
組み合わせられた療法効果および保護熱事前調整は、温度発生-再平衡光熱プロセスを制御する、種々の要因によって制御される。これらのパラメータは、レーザ電力(W)および放射照度(W/cm)、暴露時間(mm/秒における走査速度)、ならびに負荷時間率、すなわち、オン時間/周期T(%)およびサイクル反復の数(総治療持続時間)を決定する、サイクル繰り返し率(同一細胞スポットにおける2つの連続暴露間の周期T)を含む。レーザビームは、輪部誘導走査コンピュータ制御電気光学送達システムを通して投影され、異なる弧パターンにおいて、角膜輪部の後方の異なる距離において、プログラムされた走査速度(暴露時間)および他の選択された変数において、強膜を照射し、IOP低下生体力学的ならびに生化学的応答を付随的に生産する、光熱上昇を伴う、一意の時間-温度履歴を生成してもよい。
【0125】
レーザ放射照度(W/cmにおける面積の単位にわたる電力)および走査円形速度(mm/秒)は、走査レーザビーム、例えば、0.6mm直径レーザビームによって照射されると、強膜内の37℃体温を8~20℃上回る温度上昇を生成するように選択されてもよい。強膜(18.8cm-1)内の1.475μmIR波長の吸収係数を前提として、第1の200μm深在強膜層(160~200μmの結膜から強膜深度を通して)の温度は、レーザ放射照度(W/cm)および暴露持続時間(mm/秒における走査速度ならびに反復の数によって決定される)を制御することによって、約≒45°~57℃(37°+8°または20°)まで上昇されることができる。結膜および強膜の表在の第1の吸収層の累積熱損傷のリスクを低減させるために、第1の治療サイクルのためのレーザ電力は、即時凝固反応を引き起こすであろう、閾値電力のある画分(50%、40%、30%、または20%未満等)から開始するように設定されてもよい。第1のサイクルの完了では、レーザ電力は、自動的に、各連続サイクルにおいて段階的に上昇され(例えば、第2のサイクルにおける25%、第3のサイクルにおける30%、および各連続サイクルにおける35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%まで)、熱耐性または熱細胞死に対する抵抗を増加させる、熱調整プロセスに起因して、任意の可視凝固効果を引き起こさずに、第17のサイクルにおける100%に到達する。代替実施例では、標的化されたピーク温度は、急速に到達され、次いで、減少され、ピーク温度上昇における滞留周期を維持してもよい。
【0126】
電気光学スキャナが、治療環形の周囲の50mm/秒の一定円形速度において、ビームを移動させる場合、0.6mm直径ビームによって照射される、強膜環形の各部分は、局所温度を上昇させる、12ms(0.6mm÷50mm/秒=0.012s)の暴露持続時間を受容する。レーザビームが、離れるように移動するにつれて、暴露および熱生産は、終了されるが、発生された熱は、熱緩和プロセスにおいて、隣接する周囲のより冷たい組織に向かって拡散および減弱し、最終的に、身体ベースライン温度(37℃)に伴って再平衡する。本熱緩和プロセスは、360°サイクルを完了し、次のサイクルを開始した後、レーザビームが同一スポットに戻されると中断され、熱緩和を新しい温度増加に変換する。一実施例では、13mm直径および40mm円周を有する、円形パターンにおける治療を用いると、各サイクルは、1.5%負荷時間率(12÷800=0.015または1.5%)を伴って照射するのに約800ms(40mm÷50mm/秒=0.8s)かかるであろう。
【0127】
いくつかの実施例では、強膜環形の各部分の暴露持続時間は、約2~120ms、例えば、2~20、10~20、10~15、12、24、60、または120msである。一定0.6mm(600μm)ビーム直径スポットサイズを伴う、いくつかの実施例では、環形幅の中央内の各点における照射の持続時間は、ビーム円形走査速度に依存し得る。すなわち、1.0mm/秒では、各サイクルにおける照射時間は、0.6sまたは600msであって、5.0mm/秒では、各サイクルにおける照射時間は、0.12sまたは120msであって、10.0mm/秒では、60msであって、15.0mm/秒では、40msであって、20.0mm/秒では、30msであって、25.0mm/秒では、24msであって、30.0mm/秒では、20msであって、50.0mm/秒では、12msであって、100.0mm/秒では、6msであって、300.0mm/秒では、2msである。
【0128】
プロセスは、プログラムされた時間-温度履歴のための熱上昇に耐えるように、Nサイクルにわたって継続される。強膜の第1のエネルギー吸収層の熱耐性を向上させる、熱事前調整に加え、熱はまた、それらの表在層を累積熱損傷から冷却、保護、および温存する、深冷されたコンタクトレンズ等の放熱板によって、結膜/強膜表在層から持続的に減じられてもよい。放熱板は、温度上昇の持続時間が、その減弱する熱波が選択された光熱刺激温度において深在標的に到達することを可能にするために必要とされる時間にわたって延長され、効果的加温療法のために要求される持続時間にわたって、例えば、25秒またはそれを上回って、熱波の伝搬に耐えることを可能にする。
【0129】
本明細書に説明されるシステムは、したがって、眼に沿って牽引され、潜在的に、不快感を引き起こし、強膜を引っ掻く、投影光ファイバ先端を有する、接触プローブの使用を伴わずに、療法光熱効果を誘発することができる。非接触レーザ源はまた、概して、接触プローブを眼に対して移動させることで達成され得るよりも、治療パターンを通して高速速度で移動されてもよい。本システムの自動化またはコンピュータ実装特徴はまた、精密に位置付け、レーザエネルギー送達の速度を制御する際の主観的変動を回避する、より一貫した治療を達成することに役立つ。経強膜循環レーザ療法は、球後ブロックを要求しない。また、色素沈着した細胞中のみだけではなく、細胞水分中においても、電磁エネルギーを熱に非特異的に変換するため、より効率的である。循環レーザ療法はまた、組織の時間-温度履歴を変調することによって、例えば、コンピュータ制御されたレーザ電力、ビーム移動速度(レーザ「オン」暴露時間)、ならびにサイクル反復時間(周期Tおよび負荷時間率)および繰り返されるサイクルの数(持続的加温療法の持続時間)を通して、有益な光熱刺激/加温療法を生産する。
【0130】
患者インターフェース
いくつかの実施例では、本システムは、非接触レーザエネルギー源を眼から離間されてドッキングするための患者インターフェースを含む。患者インターフェースは、撮像および治療のために、眼を実質的に固定された場所および/または焦点距離に維持する、スペーサを含んでもよい。スペーサは、例えば、眼の表面と柔接触し、レーザエネルギー源を眼の表面から離間されて(接触せずに)維持してもよい。患者インターフェースはさらに、眼を開放して保ち、眼(特に、強膜)をレーザエネルギーにより良好に暴露するために、対象の眼瞼間への設置のための検鏡を含んでもよい。いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、コンタクトレンズを眼の表面にわたって安定して位置付け、放熱板としての役割を果たし、熱を眼から離れるように外向きに伝達する、レンズホルダを含む。例えば、レンズは、治療場所において強膜に接触する、強膜コンタクトレンズであってもよい。開示される実施形態では、コンタクトレンズホルダはまた、眼に対して着座するための弾力性シール面を有する、固定リングを含んでもよく、本システムは、調節可能負圧を眼とコンタクトレンズとの間の固定リング内に維持し、患者インターフェースを眼の表面に固着させ、手技の間、対象の眼を実質的に不動化するように構成されてもよい。
【0131】
いくつかの実施例では、位置付けアームが、患者インターフェースを、選択された治療配向において、対象の眼の表面に対して治療配向に位置付ける。位置付けアームは、スペーサおよびリングを眼と接触させて精密に整合し、位置合わせし、レーザエネルギーを眼に精密に印加する、X-Y-Zコントローラによって駆動されてもよい。
【0132】
スペーサおよび/または固定リングは、冷却され、眼のレーザ照射の間、強膜の表在層を熱損傷から保護してもよい。例えば、内部流動チャネルが、スペーサおよび/またはレンズホルダ内に存在し、本システムは、冷却された流体(水または生理食塩水溶液等)を流体流動チャネルを通して導入し、スペーサおよび/または固定リングならびに/もしくはコンタクトレンズを冷却するように構成される。
【0133】
スペーサは、レーザ出力をコンタクトレンズ放熱板から離間された距離に保持するために、レンズホルダにドッキングすることができる。コンタクトレンズの周囲に延在し、シールチャンバをコンタクトレンズと眼との間に生成する、レンズホルダ上の弾力性シールリングは、レンズホルダを眼に対して保定し、吸入力がシールチャンバに印加されると、眼を実質的に不動化する、または少なくともレーザに対する眼の差動移動を無効にする。レンズ下のシールチャンバは、それを通して負圧が選択的および/または調節的にシールチャンバに印加され、随意に、レンズホルダを眼に固着し、手技の間、眼移動を制御する、吸入力ポートと連通する。レーザ三角測量システムは、コンタクトレンズのZ-焦点カメラ視認を提供し、X-Y-Zポジショナは、スペーサがレンズホルダにドッキングされた状態において、レンズホルダのシールリングを伴う患者インターフェースを対象の眼に対して位置付ける。
【0134】
いくつかの実施例では、患者インターフェースアセンブリは、拡大された第1の面からより小さい第2の面にテーパ状になる、円錐台状スペーサ等のスペーサコーンを含む。レーザ放出源(対物レンズ等)は、コーンによって担持され、より小さい第2の面から離間される。レンズホルダは、それがドッキングする、スペーサの第2の面と類似形状およびサイズのより大きい第1の面から、弾力性患者固定リングによって外接され、治療されるべき眼に対してシールを形成する、レンズホルダカラーのより小さい第2の面にテーパ状になる、カラーである。レンズホルダカラーは、冷却流体をカラーを通して循環させるために、内部冷却流体通路と、入口ポートと、出口ポートとを含む。放熱板コンタクトレンズは、固定リング内に保定され、カラーが、対象の眼に対してドッキングされ、吸入チャンバ内の空気が、チャンバから抜去されると、吸入チャンバをコンタクトレンズと眼との間に形成する。吸入チャンバによって印加される吸入力は、臨床状況に応じて変動され得る。例えば、任意の潜在的に損傷性の患者の眼内のIOP上昇を回避するために、真空は、非常に低いまたは全く使用されないこともできる。
【0135】
患者インターフェースを使用する方法では、検鏡のブレードが、眼の中に挿入され、眼瞼を分離し、強膜を暴露する。レンズホルダは、検鏡のブレード間に保定され、空気が、随意に、シールチャンバから吸入される。X-Y-Zポジショナが、スペーサをレンズホルダにドッキングするように調節され、冷却液が、流体入口および出口ポートを介して、レンズホルダの内部冷却チャネルを通して導入される。コンタクトレンズおよび眼は、光学視認ソフトウェアを用いて視認され、眼のレーザ治療は、レーザが強膜に対して離間された関係に保持された状態において、患者インターフェースを通して実施されてもよい。
【0136】
スペーサは、療法用レーザエネルギーが、眼の表面から離間されたレーザエネルギー源から眼に印加されることを可能にする。そのようなデバイスの具体的実施例は、図5A、5B、および5Cに示され、患者インターフェース100は、レーザ治療デバイスを治療されるべき眼にドッキングさせる。インターフェース100は、スペーサ102と、レンズホルダ104とを含む。レンズホルダ104は、眼科コンタクトレンズ106等の放熱板を照射されるべき眼の表面に対して保定するように構成される。図示される実施形態では、レンズは、約11.5mmの曲率半径と、約15~20mmの直径とを有する。レンズは、角膜の頂点曲率空間(例えば、1mm頂点曲率空間)を有する、強膜レンズであってもよく、レンズの周辺縁は、強膜に対して着座する。レンズは、眼にわたってアーチ状であって、吸入チャンバを形成する。
【0137】
図5Bに示されるように、弾力性シールリング120は、コンタクトレンズ106の周辺縁を取り囲み、シールをコンタクトレンズ106とコンタクトレンズ106が適用される眼の表面との間に確立する。レンズ106の曲率半径は、それが設置される角膜の曲率半径を上回ってもよく、したがって、レンズ106は、眼にわたってアーチ状になり、吸入チャンバ123をコンタクトレンズ106とコンタクトレンズ106が適用される眼の表面との間のシールリング120内に形成する。例えば、0.5mm~2mmまたは0.5~1mmの直径を有する、コンタクトレンズ106内の小中心孔122は、空気および涙液が、レンズ106を通して移動することを可能にする。図5Bに示されるように、吸入力通路124は、レンズホルダ104の壁を通して延在し、外部吸入力ポート126と連通する。レンズ106内の孔122は、依然として、シールチャンバ内の負の圧力を維持しながら、空気が、シールチャンバの中に通過することを可能にする。ビデオカメラが、2つ低電力レーザスポットを用いて、それらが円錐コンタクトレンズの表示している接近近接度感知を患者の眼に収束させるにつれて、孔122上で三角測量することによって、ドッキング接触近接度を表示する。レーザエミッタ128によって発生された三角測量レーザスポットは、治療眼焦点面内のコンタクトレンズ中心において一致する。
【0138】
眼に対して設置される、コンタクトレンズ106の内側面は、第US2018/0177632号により詳細に開示されるように、レンズの放熱板性質を向上させるために、グラフェン面であってもよい。レンズホルダ104内には、流体流動入口ポート110および出口ポート112と連通し、冷却流体(深冷された水分等)を、入口ライン114から、チャネル108を通して、出口ライン116の中に循環する、内部冷却チャネル108(図5B)が存在する。スペーサ102が、レーザビーム82(図4M)を、スペーサ102内のチャンバを通して、コンタクトレンズ106に向かって標的化するように制御可能である、レーザ源を含有する、制御ボックス118に固着される。レーザビーム84は、例えば、レーザエネルギーを眼に向かって指向し、環形治療パターンにおいて眼を照射する、弧状経路84(図4Mおよび図8A)を通して、それを移動させるように制御されてもよい。レーザビーム84は、コンタクトレンズ106を通して通過し、治療される眼の強膜および/または網膜内において、熱波を眼内の隣接する組織に伝搬する、選択された時間-温度履歴応答を伴って、標的化された加温療法を誘発する。入射角は、選択された治療場所に依存し得る。例えば、強膜における治療ビームの衝突は、強膜の接線に対して法線(または別様に眼の光学軸と平行ではない、ある角度)であることができ、瞳孔を通して経瞳孔的に通過する、治療ビームの衝突は、概して、光学軸と平行に(または平行に近いように)伝搬し、中心窩無血管域または他の眼底特徴に同心の汎黄斑環形を治療するであろう。共通レンズが、ビーム送達のために使用されることができる、または代替レンズが、いくつかの実施例では、より大きい入射角を強膜治療場所に提供する際に使用されてもよい。さらなる実施例では、隅角鏡検査レンズ送達構成に類似する、ミラー表面が、患者インターフェース100の円錐形反射内面を有すること等によって(下記に議論される円錐形スペーサ154等を用いて)、眼外式送達を強膜に提供するために使用されてもよい。
【0139】
インターフェース100はまた、アーム134、136を図6Aおよび6Bに示される開放位置に付勢する、可撓性枢動点142において継合される、一対の対向プラスチックアーム134、136を含む、眼検鏡132(図6Aおよび6B)を含んでもよい。アーム134、136の非継合開放端はそれぞれ、眼の眼瞼裂内に嵌合するように構成される、湾曲検鏡ブレード138、140を担持する。検鏡132は、検鏡アーム134、136が、相互に向かって移動され、ブレード138、140間の距離を狭め、眼の中への検鏡の挿入を促進し、照射されるべき強膜をより良好に暴露し得るように、枢動点142を中心として十分に可撓性である。アーム134、136の外向き付勢は、アームを図6Aおよび6Bに示される開放位置に戻し、治療されるべき標的化された眼組織の暴露を維持するであろう。異なるサイズの検鏡が、眼瞼を、眼瞼間の最大分離点における、事前に選択された距離、例えば、20mm、22mm、または24mmに開放するために使用されてもよい。
【0140】
検鏡132はまた、ブレード138、140間のカラー104に共形化および固着するように構成される。図6Cに示されるように、カラー104は、カラー104の内径を上部部分から底部部分に狭める、角度付けられた肩部148によって継合される、略円筒形上部部分144と、略円筒形下側部分146とを含む。内部流体通路108が、上部部分144の周囲の円周方向に延在する。弾力性シールリング120が、下側部分146の内側面上の円周方向陥凹内に着座し、コンタクトレンズの中心孔122が実質的に面の中心にある状態において、放熱板コンタクトレンズ106をカラー104の下側開放面内に心合させて保持する。図6Dは、スペーサ102、カラー104、および検鏡132が、組み立てられる方法を示す、インターフェース100の分解図である。カラー104は、検鏡132のブレード138、140間に設置され、検鏡ブレードの内側面は、カラーの下側部分146の外部円筒形表面に共形化し、カラーをブレード間に係合および保定させる。スペーサ102が、次いで、カラー104に対してドッキングされてもよい。
【0141】
図6Dにおけるスペーサ102の実施例は、円形辺縁150によって外接された開放上部面から、カラー104の上部部分144と噛合する、円形辺縁152によって外接されたより狭い底部面にテーパ状になる、形状を有する。スペーサ102は、そこからスナップ嵌合部材158が垂下し、カラー104の部分144の内側面に係合し、スペーサ102をカラー104と選択的に係合して保定する、ドッキング区分156にテーパ状になる、円錐台状中央区分154に継合される、上側略円筒形カラー152を含む。スナップ嵌合部材158は、スペーサおよびカラーに便宜的に接続し、そこから接続解除する、圧縮継手を用いて、スペーサ102およびカラー104を解放可能に相互接続するためのカラー104の内側の相補的部材に結合される。他の実施形態では、スペーサ102とカラー104との間のスナップ嵌合接続は、使用されず、スペーサ102が、代わりに、X-Y-Z位置付けシステムおよび撮像システムを使用して、カラー104に対して柔ドッキングされる。
【0142】
図6Eは、中心孔122がカラー104内に心合された状態において、コンタクトレンズ106の周辺縁がカラー104の内部辺縁内に着座されている、カラー104の拡大図である。吸入チャンバ123が、コンタクトレンズ106の下方に形成され、チャンバ123は、コンタクトレンズ106の周辺縁の下方におけるカラー104内の開口部を通して、吸入力ライン124と連通する。外部吸入力ポート126が、ライン124を通して、吸入力を引き出し、吸入力をコンタクトレンズ106と眼の表面との間に確立し、カラー104および患者インターフェース100を眼に対して比較的に不動に保定する。
【0143】
図7Aは、治療のための強膜24を暴露するために対象の眼瞼裂158内に位置付けられる、検鏡132を図示する。図7Bは、コンタクトレンズ106が眼の表面(例えば、角膜および/または強膜)に対して設置された状態における、スペーサ102がカラー104に対してドッキングされる、カラー104自体が検鏡132のブレード138、140間に保定されている、組み立てられたインターフェース100を示す。インターフェース100は、治療されている対象の眼を実質的に不動化し、眼の表面から外向きに離間されたレーザエネルギー源74から眼に向かって指向されるレーザビームに対して、眼の差動運動を阻止する。眼移動の制御は、特に、空気をコンタクトレンズ106の下方のシールリング120内の吸入チャンバから吸入することによって、効果的に達成される。吸入力は、臨床状況によって誘導されてもよい。例えば、手技は、吸入力を伴わずに、または吸入力を伴って、実施されてもよい。吸入力が、印加されるとき、吸入チャンバ内の負の圧力は、例えば、35mmHg下に制御される。5mmHgを上回らない、IOPを増加させない、緩慢な吸入力のレベルが、好ましい。コンタクトレンズ106の中心孔122は、吸入チャンバの中への空気の流入を可能にし、印加される吸入力によって誘発されるチャンバからの空気の流出と組み合わせて、吸入チャンバ内の圧力を調整することに役立つ。
【0144】
患者インターフェース100は、光学撮像システムを用いて、角膜輪部および/または角膜縁接合部の検出を改善する。レーザビームに対する眼の差動移動もまた、レーザエネルギーの標的化された送達への干渉を回避するために、患者インターフェース100(図8A)を使用して、眼の相対的移動を制御することによって、最小限にされ得る。シールリング120の弾力性シール面は、眼に対して着座され、吸入力が、レンズ106と眼70との間に引き込まれ、差動眼移動を最小限にする。患者インターフェース100はまた、非接触レーザエネルギー源または光学系74を眼70の表面から所定の距離に維持し、接触させ得ない。
【0145】
レーザエネルギーは、表面を冷却しながら、空間的および時間的プロセッサ制御下で、患者インターフェースによって、経強膜的に送達されてもよい。例えば、方法が、i)角膜縁周囲流出構造(集合管、シュレム管、線維柱帯網)、ii)毛様体突起毛様体、およびiii)毛様体扁平部ぶどう膜強膜領域にわたる前(見掛け)角膜輪部の後方の選択可能強膜子午線位置における、弧状または円周方向弧パターンでの、赤外線(I.R.)電磁エネルギー(例えば、1.475μmレーザエネルギー)の角膜輪部誘導非接触経強膜循環堆積のために設計される、コンピュータ駆動電気光学走査ビーム送達システム200(図8B)を用いて実施される。走査速度は、調節可能であって、例えば、0.1~50mm/秒の範囲内である。
【0146】
送達される赤外線レーザエネルギーの量は、レーザ放射照度(W/cm)および暴露持続時間(mm/秒における循環走査回転速度を制御することによって)を用いて用量設定され、局在化された光熱上昇を生産し得、これは、非凝固性であるが、従来(線維柱帯網)および非従来の(ぶどう膜強膜)流出路の両方を向上させる、房水(AH)流出路の再編成をもたらす、角膜縁周囲、毛様体突起、および毛様体扁平部領域の微小構造体の微細な形態的変化を伴う、生体力学的応答を誘発し得る。本方法はまた、熱が、周囲組織内で拡散および減弱し、再平衡し、ベースライン体温に戻るにつれて、付随光刺激加温療法(43~45℃)によって誘出される、生化学的応答を誘発し、これは、長期IOP低下効果に寄与する、サイトカイン発現および後続内因性分子転写活動の生物学的連鎖を誘起する。
【0147】
図8Bのレーザ治療光学システム
図8Bは、レーザビームを眼70の標的化された表面に指向し、眼の光学軸OAの周囲で回転または他のサイクルにおいてビームを急速に移動させる(図4Mまたは8Aにおけるように)ように構成される、代表的光学システム200を示す。例えば、光学システムは、LED光学エンコーダ(デジタル位置センサ)および高速デジタルサーボコントローラが、高精度および正確度を伴って、レーザビームを眼を横断して走査する、Canon製等のデジタル検流計スキャナシステムであってもよい。走査されるビームの移動は、例えば、インターフェース100の内側で時計回りまたは反時計回り移動であってもよい。
【0148】
図8Bの光学システム200は、光学ビーム202を光学ビーム源206から生産する。光学ビーム源206は、1つまたはそれを上回る半導体ダイオードレーザ、ファイバレーザ、ソリッドステートレーザ、周波数変化非線形光学材料(例えば、周波数倍増)等の1つまたはそれを上回るレーザ源を含む。代表的実施例では、光学ビーム202は、1,000~1,700nmまたは875nm~約2,100nm、例えば、1,000~2,100nm等の約800~2,200nmまたは1,000~2,200nmの波長の光学スペクトルの赤外線領域内にあるように選択される、所定の波長(1つまたはそれを上回る具体的波長および/または波長範囲に対応する)を有する。一般に、光学ビーム202の所定の波長は、すでに説明された経強膜療法用加温療法を生産するように選択される。例えば、所定の波長は、808nm、650nm、532nm、355nm等のより短い波長で生じるであろうものより広い範囲まで、光学ビーム202が眼104の強膜細胞内の水分によって吸収されるほど十分に長いように選択されてもよい。ある実施例では、光学ビーム202は、1,475nmにおける波長を有し、14,75nmダイオードレーザを伴う光学ビーム源206内で発生される。より長い所定の波長における増加された吸収は、光学ビーム202が、光学システム200の集束レンズ220と標的眼70との間のオフセット208(例えば、自由空間)を通して、眼標的70に指向されることを可能にすることができる。オフセット208の距離は、例えば、少なくとも45mm、例えば、45~55mmである。開示される実施例では、オフセットは、40mm等の35~45mmである。
【0149】
代表的実施例では、光学ビーム202は、コリメートされたビームが光学軸210に沿って伝搬するにつれて、光学ビーム源206から放出される。レンズ群212が、ビーム面積、発散、収束等のビーム特性を調節するように構成される。例えば、概して、側方光線213a、213bに関連して示される、ビーム幅が、レンズ群212を用いて調節されることができる。光学ビーム202は、光学ビーム202の方向を変動させるように構成され、例えば、ビームをインターフェース100内で回転式移動で移動させ得る、光学スキャナ214によって受容される。例証目的のために、光学スキャナ214は、光学ビーム202を3つの光学ビーム経路216a、216b、216cに沿って偏向するように示される。反射要素218が、光学ビーム202のビーム経路216a-216cを再指向するために据え付けられる。ビーム分裂要素219が、光学ビーム202を受容し、光学ビーム202を、1つまたはそれを上回るレンズ要素を含み得る、集束レンズ220に通過するように据え付けられる。カメラ222もまた、ビーム分裂要素219によって、光学システム200に結合される。ビーム分裂要素219の表面224は、照明を眼標的70から集束レンズ220を通して受容し、照明を、照明をカメラ220に指向し、眼標的70を撮像する、反射要素226に指向するように構成される、波長選択的コーティングを含むことができる。
【0150】
光学スキャナ214は、XY検流計スキャナ、3Dスキャナ、電気光学系スキャナ、または音響光学系スキャナを含む、光学ビームを眼標的70に対して走査するために好適な種々のタイプであることができる。コントローラ228が、光学ビーム源206、光学スキャナ214、および/またはカメラ222に結合され、光学ビーム源206からの光学ビーム202の放出、光学スキャナ214を用いた光学ビーム202の走査、および眼標的70に対する光学スキャナ214の整合、または眼標的104を監視する他のプロセスを協調ならびに制御することができる。コントローラ228は、典型的には、プロセッサと、走査ファイル、レーザパラメータ、および眼標的を整合ならびに/もしくはレーザ処理するためのソフトウェアを記憶し得る、メモリとを含む。コントローラ228は、1つまたはそれを上回るコンピューティングデバイス、コンピューティングユニット、PLC、PAL、ASIC等を含む、種々のタイプであることができる。メモリは、レジスタ、キャッシュ、およびRAM等の揮発性メモリ、ならびに不揮発性メモリ、または組み合わせを含むことができる。メモリは、コントローラのプロセッサ(または複数のプロセッサ)によってアクセス可能であって、プロセッサによって実行され得る、コンピュータ実行可能命令の形態におけるソフトウェアを記憶することができる。いくつかの実施例では、コントローラ228は、異なる構成要素間(光学ビーム源206と光学スキャナ214との間等)に分散されることができ、いくつかの実施例では、通信は、全ての構成要素間で要求されない。
【0151】
代表的実施例では、光学ビーム202は、眼70の角膜縁または角強膜接合部から半径方向に外向きに離間された所定の位置において選択されたスポットサイズに集束もしくは集束解除される、持続波ビームである。例えば、光学ビーム202は、光学ビーム経路216a、216cに沿って、角膜縁または角強膜接合部から半径方向に外向きに離間された眼標的70における位置に指向され、眼標的70における光学ビーム経路216bもまた、位置が図の平面の十分に下方または上方にある場合、角膜縁接合部から半径方向に外向きに離間されると理解され得る。代表的実施例では、コントローラ228は、光学スキャナ214を制御し、角強膜接合部から半径方向に外向きに離間された循環環形パターンにおいて、光学ビーム202を走査する。光学ビーム202の走査は、熱緩和が走査サイクル間に生じ得るように、眼標的70における環形パターンの順次方位角位置において、加熱の選択されたデューティサイクルを生産する。
【0152】
予期しないレンズ滑脱および/または眼移動は、カメラソフトウェアによって検出されてもよい。Z-焦点におけるカメラディスプレイは、追加整合保証を提供する。
【0153】
制御ボックスおよび位置付けアーム
図9Aに図示されるように、インターフェース100は、ユニットを手動で移動させる、または位置付けるための、ボックスの片面上のハンドル172と、トルクをインターフェース100上に誘発せずに、管類を懸架するための管類クランプ174と、滅菌生理食塩水または水、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の冷却された液体の源178からの冷却液の制御された移動のための蠕動ポンプ176(Welco Ultraポンプ等)とを含む、制御ボックス118から懸架され、それによって位置付けられてもよい。図示されるポンプ176は、冷却流体を最大100ml/分で移動させてもよいが、概して、蠕動流率は、約50ml/分に制御され、冷却された液体が源178から管類180およびポンプ176を通して移動するにつれて、ホルダ104内のコンタクトレンズ106を冷却する。コンタクトレンズ曇りは、約-10℃に設定される冷却剤液体温度で最小限にされることができる。レンズ熱容量要件は、PMMAまたはBK7レンズ等のレンズの材料の熱プロファイルによって決定される。
【0154】
図9Bにより明確に図示されるように、ポンプ176は、冷却された液体を、制御ボックス118からインターフェース100に、入口ポート110と連通する、入口ライン182を通して移動させ、冷却された液体をレンズホルダ104内のチャネル108を通して移動させ、レンズ106を原位置で冷却する。液体は、次いで、出口ポート112および出口ライン184を通して通過する。吸入力ライン186は、吸入力をレンズ106の下方に引き込むための吸入力ポート126と連通し、レーザ実装手技の間、弾力性シールリング120と眼の表面との間の接触を改善する。
【0155】
制御ボックス118は、第US2018/0177632号に開示されるもの等のレーザ支持構造(図示せず)を含んでもよい。レーザ支持構造は、1つまたはそれを上回る光ファイバもしくは光源ケーブルを収容する、1つまたはそれを上回るチャネルを含んでもよい。光学系トレイは、例えば、図8Bに関して説明されるように、1つまたはそれを上回るレーザを眼70の表面に指向する、1つまたはそれを上回る光学構成要素を支持してもよい。1つまたはそれを上回る光学構成要素はまた、インターフェース100内に含有され、眼を照明してもよい。
【0156】
制御ボックス118は、制御ボックス118およびインターフェース100の精密な設置のためにコンピュータ制御され得る、X-Y-Z位置付けアーム186(図9C)等の位置付けアームから懸架されてもよい。アーム186は、弛緩され、フランジ188を水平平面において移動させ得る、位置付けノブ190を有する、フランジ188によって、ボックス118に固着される。
【0157】
パターン化されたエネルギー送達システムおよびプロセッサ
所望の治療パターンのいずれかのために、プロセッサは、レーザエネルギー源およびスキャナに結合され、組織を複数の治療場所において加熱し、エネルギーを事前に選択された治療場所により精密に送達する、自動化またはコンピュータ実装治療方法を提供するための命令とともに構成されてもよい。複数の治療場所、例えば、第1の環形治療パターンおよび第2の環形治療パターンは、眼内筋肉の付着点等の下層解剖学的構造を回避し得る。いくつかの実施形態では、自動化された治療パターンのコンピュータ実装は、所望の治療転帰を達成するために、具体的場所の制御された加熱を達成することができるする。
【0158】
図10Aは、実施形態による、眼602へのパターン化された送達のためのシステム600を図示する。システム600は、有形媒体606(例えば、RAM)を有する、プロセッサ604を含む。プロセッサ604は、第1の光源608、随意の第2の光源610、および随意の第3の光源612に動作可能に結合される。第1の光源608は、X-Yスキャナ616によって走査される光614の第1のビームを随意のマスク618および随意の放熱板620を通して眼602上に放出する。ミラー622が、光エネルギーを眼602からディスプレイ628に結合される視認カメラ627に指向する。例えば、随意の視認カメラのための独立非治療光源が、提供されることができる。ミラー622は、眼602から戻る光ビームの一部を、例えば、カメラ627に指向してもよい。第2の光源610は、X-Yスキャナ616を通して通過することに先立って、第1のビームコンバイナ632によって、光614の第1のビームと組み合わせられる、光630の第2のビームを放出する。第3の光源612は、第1のビームコンバイナ632を通して通過することに先立って、第2のビームコンバイナ636によって、光630の第2のビームと組み合わせられる、光634の第3のビームを放出する。
【0159】
プロセッサは、本明細書に説明される方法のいずれかおよび/または方法もしくは治療のステップならびにサブステップのうちの任意の1つを実施するための1つまたはそれを上回る命令とともに構成されてもよい。プロセッサは、方法を実施するための命令を有する、メモリを備えてもよく、プロセッサは、例えば、方法を実施するように構成される、プロセッサシステムを備えてもよい。多くの実施形態では、プロセッサは、例えば、本明細書に説明される方法または治療のいずれかの1つまたはそれを上回るステップを実施するように構成される、プログラマブルアレイ論理(「PAL」)等のアレイ論理を備える。プロセッサは、コンピュータメモリまたはゲートアレイ等の有形媒体上で具現化され、本明細書に開示されるように、治療方法の1つまたはそれを上回るステップを実行するために、治療プログラムの1つまたはそれを上回る命令を備えてもよい。プロセッサは、本明細書に説明される実施形態による、患者を治療するための命令を備えてもよい。
【0160】
プロセッサは、角膜輪部の1つまたはそれを上回る場所、および/または角膜縁接合部の1つまたはそれを上回る場所を決定するための命令とともに構成されてもよい。角膜輪部の決定された場所に応答して、例えば、角膜縁接合部の1つまたはそれを上回る場所が、決定されてもよい。プロセッサは、角膜輪部の1つまたはそれを上回る場所および/または角膜縁接合部の1つまたはそれを上回る場所に基づいて、治療パターンを決定するための命令とともに構成されてもよい。治療パターンは、例えば、角膜縁接合部から1.5mm、2.5mm、および3.5mmのうちの1つまたはそれを上回るものだけ離間された治療パターンを備えてもよい。プロセッサは、非凝固製エネルギーを治療パターン上の治療場所に送達し、本明細書に説明される熱効果を誘発するように構成されてもよい。
【0161】
光学送達システムは、第1の光源、第2の光源、第3の光源、X-Yスキャナ、随意のマスク、または放熱板のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。エネルギーは、加熱の反復的サイクルの間、同一場所の再現可能加熱を達成するために、自動化された光学エネルギー送達システムによって指向される。いくつかの実施形態では、光614、630、および634のビームは、規定されたXならびにY位置において、X-Yスキャナ616によって、眼602上で走査され、眼602を治療することができる。随意のマスク618は、本明細書に説明されるように、他の部分を治療しながら、眼602に印加される光をマスクし、例えば、眼602のマスクされた部分を保護するために使用されることができる。随意の放熱板620は、本明細書に説明されるように、眼602の規定された部分の加熱を回避するために、治療の間、眼602上に設置されることができる。
【0162】
システム600は、本明細書に説明される実施形態等の任意の好適な治療手技に従って、光エネルギーを眼602に印加するために使用されることができる。多くの実施形態では、第1の光ビーム614は、第1の波長を有し、第2の光ビーム630は、第2の波長を有し、第3の光ビーム634は、第3の波長を有する。各波長は、同一または異なる波長の光であることができる。プロセッサは、光源のそれぞれに結合され、所望の範囲の波長内の波長を有する光を用いて、眼を選択的に照射することができる。ソフトウェアは、例えば、本明細書に説明されるように、レーザビームを所望の治療場所に走査するように、治療テーブルの命令を備えてもよい。
【0163】
レーザシステム600は、市販のOCTシステム等のOCTシステム625を備えてもよい。OCTシステムは、例えば、CASIA2またはCASIA SS-100 OCTスキャナ(TOMEY)であってもよい。OCTシステムは、例えば、Tomey、Heidelberg、Visante、またはOptovueによって販売されているもの等の市販のOCTシステムであってもよい。OCTシステムは、視認光学系およびビームスプリッタ626を伴うレーザ送達システムに結合されることができる。視認光学系は、例えば、手術用顕微鏡(Zeiss、Haag Streit、Leica、またはMoller Weidelによって販売されているもの等)、細隙灯、もしくは他のカスタム光学系を備えてもよい。OCTシステムは、治療の間、眼を原位置で測定するために使用されることができる。例えば、OCTシステムは、本明細書に説明されるように、眼の断層撮影を発生させ、標的組織の場所、標的組織の移動、および標的組織の伸展を決定するために、本明細書に説明されるようなOCT画像を発生させるために使用されることができる。OCTシステム625は、プロセッサ604に結合され、例えば、フィードバックループを用いて、レーザシステムを制御するために使用されることができる。検眼鏡または他の好適な眼撮像デバイスが、眼の外部および/または内部の画像を発生させるために使用されることができ、CCDもしくはCMOS検出器等の撮像検出器を含むことができる。
【0164】
プロセッサは、本明細書に説明されるように、治療パターンおよびパラメータに従って、レーザビームを眼上で走査するための命令とともに構成されることができる。
【0165】
図10Bは、本明細書に説明される治療方法のいずれかのために使用され得る、治療システムの別の実施形態を示す。本システムは、レーザスキャナ(図8Bに示されるもの等)を備えてもよく、これは、持続波またはパルス状レーザからのレーザエネルギーを眼上もしくはその内側の1つまたはそれを上回る場所に指向および走査する。スキャナは、本明細書に説明されるように、患者インターフェースまたは患者結合構造に結合されてもよい。スキャナはさらに、本明細書に説明されるように、例えば、カメラ、OCT、UBM、検眼鏡等の撮像システムに結合されてもよい。撮像システムは、本明細書に説明されるように、治療前、間、または後に、眼の1つまたはそれを上回る画像を捕捉するために使用されてもよい。
【0166】
プロセッサまたはコントローラが、エネルギー源(レーザ等)および撮像システムに結合され、治療の間、エネルギービームを複数の場所に、または1つまたはそれを上回るパターンにおいて走査し、組織を撮像するための命令とともに構成されてもよい。本システムはまた、ユーザが、治療に先立って、その前に、または後に、組織を可視化することを可能にする、プロセッサに結合される、ディスプレイを備えてもよい。ディスプレイは、ユーザが、組織治療を確認し、治療を計画することを可能にする、画像を示してもよい。ディスプレイ上に示される画像は、リアルタイムで提供されてもよく、治療に先立って使用され、ユーザが、組織を整合させ、および/または治療域もしくは標的へのパターンを選択することを可能にすることができる。識別された標的治療域は、ユーザによって、ディスプレイ上に示される画像に応答して、治療深度、場所、およびパターンをプログラムするように入力されてもよい。撮像システムは、有益な治療効果を検出するために、治療の間、眼球構造の移動を可視化するために使用されることができる。
【0167】
本明細書に説明される緑内障治療システムは、同時に、撮像指針、組織の定量的特性評価(例えば、組織凝固の弾性または存在等の機械的性質を測定する)を提供し、および/または療法タスクを実施してもよい。
【0168】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される治療システムは、2つまたはそれを上回るレーザを備えてもよい。プロセッサは、第1の波長の光を用いて、第1の場所(または複数の場所)において、第2の波長の光を用いて、第2の場所(または複数の場所)において、眼を治療するための命令とともに構成されてもよい。本明細書に説明される治療システムは、約1.0μm~約2.2μm、約1.4μm~約1.5μmの範囲内、例えば、約1.47μmの1つまたはそれを上回るレーザを備えてもよい。
【0169】
図11は、患者インターフェースおよびシステムを眼にドッキング後にカメラを用いて撮影された生体外のブタの眼の画像を示す。角膜輪部が、角膜輪部または角膜縁接合部の場所に対して緑内障治療をパターン化する使用のために明確に可視であった。パターン化は、ユーザ(例えば、医療専門家)によって手動で選択されてもよい、またはパターンは、角膜輪部の推定された場所もしくは他の着目基準に基づいて、システムによって自動的に(または半自動的に)決定されてもよい。角膜輪部の場所は、ユーザによって手動で推定される、または撮像および特徴検出を通して自動的に決定されてもよい。角膜輪部の場所は、例えば、本明細書に説明されるように、OCT等のカメラおよび/または他の撮像システムを使用して、システムによって自動的に「追跡」されてもよい。角膜輪部の場所は、角膜輪部の完全な環形輪郭を備えてもよい、または角膜輪部の形状を決定するための参照点として使用され得る、および/または治療が生じるべき、角膜輪部に沿った複数の場所(すなわち、角膜輪部の不完全な輪郭)を備えてもよい。
【0170】
本明細書に説明されるような角膜輪部の1つまたはそれを上回る場所の識別が、1つまたはそれを上回る治療場所を推定するために使用されてもよい。角膜輪部の前境界は、角膜縁接合部32のための代用として使用されてもよい。代替として、または組み合わせて、角膜縁接合部32の1つまたはそれを上回る場所が、1つまたはそれを上回るOCTスライスから推定されてもよい。例えば、眼の中心を通して撮影される単一OCT画像が、角膜縁接合部の2つの場所(眼の片側上に1つずつ)を識別するために使用されてもよく、治療場所/パターンが、識別された2つの角膜縁接合部場所に応答して決定されてもよい。いくつかの事例では、複数のOCT画像が、眼の中心に対して異なる角度で撮影されてもよく、複数の角膜縁接合部場所が、角膜縁接合部の形状を推定するために識別および使用されてもよい。図12Aは、1つのそのような撮像スキームを示し、これは、角膜縁接合部の形状を推定するために使用されてもよい。複数のOCT画像が、可変角度において、眼の中心を横断して撮影されてもよく、角膜縁接合部の1つまたはそれを上回る場所が、各画像から推定されてもよい。場所(随意に、示されるような画像)が、次いで、部分的3-D再構成を使用して、角膜縁接合部の形状を推定するために使用されてもよい。
【0171】
いくつかの事例では、角膜縁接合部の場所および/または形状が、眼の複数の角膜輪部場所に応答して、推定されてもよい。実施例として、角膜輪部を含む、画像(例えば、眼の前部画像)が、入手されてもよい(例えば、図11に示されるように)。角膜輪部の場所または複数の角膜輪部の場所が、眼の画像に基づいて決定されてもよい。例えば、前部画像内の強度の変化を検出することによって(例えば、一連の画像にわたる画像を横断して等)、複数の角膜輪部場所の場所が、決定されてもよい。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回るプロセッサが、画像を分析し、角膜輪部場所を決定するために利用されてもよい。複数の角膜輪部場所に基づいて、複数の角膜縁接合部場所が、全体を通して実質的に説明されるように、推定されてもよい。自動化された画像分析のための好適な技法は、機械学習、物体識別アルゴリズム、パターン認識アルゴリズム、ビデオ追跡アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク等を含む、自動化されたデジタル画像処理技法を含む。図12Bは、治療場所を決定するための自動化されたプロセス1200の実施例を示す。1202では、眼の画像は、好適な撮像デバイスを用いて取得され、1204において、画像内の画像特徴が、本明細書に説明されるデジタル画像処理技法のいずれかを通して等、デジタル画像処理技法を用いて分析される。1206では、好適な治療場所が、画像内の特徴に対して決定される。例えば、経強膜治療実施例における角膜縁接合部または経瞳孔実施例における黄斑もしくは視神経円板のような眼底特徴等、解剖学的特徴が、見出される場合、好適な治療場所が、見出される特徴に対して、かつそれに基づいて決定されることができる。1208では、治療場所が、整合および較正されたレーザスキャナのための好適なレーザスキャナコマンドと、マップスキャナコマンド値を1つまたはそれを上回る走査平面、表面、または体積にマッピングする、スキャナコマンドテーブルとに変換されることができる。
【0172】
図13A-13Dは、角膜輪部の1つまたはそれを上回る場所に基づいて、治療パターンを発生させるためのプロセスの実施例を示す。図13Aは、CASIA2 OCTシステムの正面カメラを用いて撮影される、眼の前部画像を示す。眼の前部画像は、角膜輪部縁の検出のためにプロセッサに転送されてもよい。図13Bは、角膜輪部の境界(縁)を決定するための処理後の画像を示す。角膜輪部内の眼の部分は、白色で着色されている一方、角膜輪部の外側の眼の部分は、黒色で着色されている。本黒色および白色画像は、次いで、角膜輪部の縁のX-Y座標を発生させるために使用されてもよい。プロセッサは、次いで、X-Y座標を使用して、角膜輪部の輪郭を発生させてもよく、これは図13Cに示されるように、ディスプレイ上に示される眼のリアルタイム画像上に、オーバーレイされてもよい。X-Y座標は、ディスプレイ上に示される角膜輪部およびX-Y座標発生角膜輪部輪郭が、共整合されるように、眼のリアルタイム画像と位置合わせされてもよい。治療パターンはまた、輪郭に基づいて、自動的に発生されることができる。弧が、形成される場合、治療パターンは、弧を上方/下方方向または選択された方位角に対して整合させるように、患者の配向を使用して発生されることができる。いくつかの実施例では、後部経瞳孔画像が、CASIA2 OCTシステムまたは別のカメラを使用して撮影され、解剖学的特徴境界が、レーザ走査座標が解剖学的特徴境界に対して発生され得るように決定されることができる。
【0173】
画像はまた、治療の中心化を補助するための眼の中心を参照した基準、例えば、眼の中心から5mm毎に半径方向外向きに表示される円形を表示してもよい。プロセッサはさらに、角膜輪部のX-Y座標および/または発生された輪郭を使用して、治療パターン、例えば、一連の角膜輪部誘導治療場所を決定してもよい。使用の間、角膜輪部輪郭および/または治療パターンは、角膜輪部の輪郭およびリアルタイム場所が、重複する、もしくは事前に選択された量だけオフセットされ、角膜輪部誘導治療パターンを角膜縁接合部から所望の距離だけ離間させるように、相互に対して位置合わせされてもよい(すなわち、共整合される)ことが、当業者によって理解されるであろう。
【0174】
図14は、標的治療場所を決定するための方法を示す。本方法は、本明細書に説明されるシステムのうちの1つまたはそれを上回るものを使用してもよい。第1のステップでは、眼の前部画像が、カメラまたはビデオレコーダによって取得されてもよい。いくつかの実施例では、後部画像が、撮影されてもよい。第2のステップでは、眼の画像は、本明細書に説明されるように、ユーザに表示されてもよいが、いくつかの実施例では、ユーザのための画像表示または取得される画像に基づくユーザ介入は、必要とされない。第3のステップでは、ビデオまたはOCT画像等の眼の1つまたはそれを上回る画像が、随意に、取得されてもよい。第4のステップでは、角膜縁接合部(または角膜輪部もしくは本明細書に説明される他の基準)の複数の場所が、眼の前部画像、眼の1つまたはそれを上回るOCT画像、もしくはそれらの任意の組み合わせから決定されてもよい。いくつかの実施例では、中心窩無血管域、視神経等の黄斑特徴の複数の場所が、後部画像、OCT画像、または組み合わせから決定される。角膜縁接合部または黄斑の複数の場所は、ユーザによって手動で、もしくはプロセッサによって自動的に、推定されてもよい。複数の角膜縁接合部場所は、随意に、対応する複数の前部または後部画像場所と位置合わせされてもよい。第5のステップでは、眼のための複数の治療場所が、角膜縁接合部または黄斑特徴の複数の場所に応答して決定されてもよい。複数の治療場所は、ユーザによって手動で、またはプロセッサによって自動的に、決定されてもよい。第6のステップでは、治療場所は、ディスプレイ上に示される前部画像上にオーバーレイされてもよいが、そのようなディスプレイは、自動化または効率的処理において省略されてもよい。治療場所は、随意に、ユーザによって調節または認証されてもよい。第7のステップでは、治療エネルギーは、本明細書に説明されるように、レーザ源およびスキャナによって、画像上に表示される治療場所に指向されてもよい。典型的には、レーザ源は、異なる波長で動作する、または選択されたモード(パルス状、持続波、もしくは繰り返し率、パルス持続時間、電力、パルスエネルギー等の選択されたパルス状特性等)で動作するために好適な複数のレーザを含む。第8のステップでは、治療が、治療場所においてリアルタイムで視認および/または自動的に監視され、眼の移動が生じる場合、治療を調節または停止してもよい。
【0175】
図14に図示される一連のステップを実施するための命令とともに構成される、プロセッサが、提供されてもよい。いくつかの事例では、プロセッサは、眼の前部および/または後部画像を取得するための命令を提供してもよい。例えば、眼の画像は、プロセッサの補助を伴うカメラを用いて、取得されてもよい。いくつかの事例では、プロセッサは、眼の画像を受信するための命令とともに構成されてもよい。
【0176】
プロセッサは、眼の画像のうちの1つまたはそれを上回るものを表示するための命令を提供してもよい。いくつかの事例では、プロセッサは、眼のOCT画像を取得するための命令を提供してもよい。いくつかの事例では、プロセッサは、眼の角膜縁接合部の複数の場所を決定するための命令を提供してもよい。プロセッサは、いくつかの事例では、眼の前部画像に応答して、複数の角膜縁接合部管場所、および/または眼の後部画像に応答して、複数の網膜場所を推定してもよい。代替として、または加えて、プロセッサは、眼の複数のOCT画像に応答して、複数のシュレム管場所、網膜場所、または他の眼球場所を推定してもよい。
【0177】
いくつかの事例では、プロセッサは、複数の治療場所を発生させるための命令とともに構成されてもよい。随意に、プロセッサは、複数の角膜縁接合部場所に応答して、眼のための複数の治療場所を発生させるための命令とともに構成されてもよい。
【0178】
いくつかの事例では、プロセッサは、治療場所を眼の前部および/または後部画像上にオーバーレイするための命令を提供してもよい。プロセッサは、複数の治療場所および複数の角膜縁接合部場所を眼の前部画像上にオーバーレイするための命令とともに構成されてもよい。随意に、プロセッサはさらに、角膜縁接合部の複数の場所と対応する複数の前部画像場所を位置合わせするように構成されてもよい。随意に、プロセッサはさらに、複数の治療場所および複数の網膜場所を眼の後部画像上にオーバーレイするための命令とともに構成されてもよく、プロセッサはさらに、網膜の複数の場所と対応する複数の後部画像場所を位置合わせするように構成されてもよい。
【0179】
プロセッサは、治療エネルギーをディスプレイ上の治療場所に指向するための命令を提供してもよい。いくつかの事例では、プロセッサは、第1の複数の治療場所における治療と第2の複数の治療場所における治療を交互させるための命令とともに構成されてもよい。随意に、プロセッサは、前部および/または後部画像上にオーバーレイされた複数の治療場所に対応する複数の座標参照場所を含む、治療テーブルを発生させるための命令とともに構成されてもよい。随意に、眼に指向されるエネルギー源は、パルス状レーザ源を備えてもよく、複数の座標参照はそれぞれ、レーザ源からのパルスに対応する。いくつかの事例では、プロセッサは、治療場所における治療をリアルタイムで表示するための命令を提供してもよい。
【0180】
上記に説明されるステップは、眼の画像を入手し、ユーザによって選択された治療領域における組織を治療するステップを示すが、当業者は、本明細書に説明される教示に基づいて、多くの変形例を認識するであろう。ステップは、異なる順序で完了されてもよい。ステップは、追加または削除されてもよい。ステップのうちのいくつかは、サブステップを含んでもよい。ステップの多くは、所望に応じて、組織を治療するために必要に応じた回数だけ繰り返されてもよい。ステップは、本明細書の任意の好適な装置を用いて印加されることができ、経強膜治療実施例に限定されない。
【0181】
本明細書における実施例は、選択された経瞳孔網膜治療および組み合わせられた経強膜-経瞳孔治療を実施するための装置および方法を含む。
【0182】
図15は、眼の前部表面の近傍の角膜、水晶体、虹彩、および瞳孔構造、ならびに眼の後極に向かって網膜、黄斑、および視神経を含む、ヒトの眼の実施例を図式的に示す。図16は、中心の近傍のより暗い黄斑部分を含む、血管アーケード内の図15の中心網膜を示す。本明細書の代表的実施例では、眼の強膜(角膜に隣接する)が、経強膜レーザの選択されたセットを伴う1,475nmの経強膜レーザビームおよびIOP低下治療のための走査パラメータを用いた照射のために標的化され、および/または眼の網膜、例えば、黄斑が、経瞳孔レーザの810nmの別個のセットならびに汎黄斑神経保護療法のための走査パラメータを用いた照射のために標的化され、それによって、例えば、完全な治療窓または事例の間、一方もしくは両方の場所における、眼組織の亜致死性かつ療法的に有利な生体変調または生体刺激を誘発する。療法上の利点は、低減された眼内圧(IOP)、神経保護、および開放隅角緑内障等の緑内障の包括的管理を含むことができる。
【0183】
生体機構
本明細書の代表的実施例によると、眼の中心網膜は、類似共通特性を共有する、慢性進行性神経変性血管網膜症およびPOAG等の他の障害の治療のために、亜致死性レーザ光刺激を受容することができる。中心網膜の亜致死性非損傷レーザ光刺激は、応力応答を誘起するように、閾下レーザエネルギーを用いて、網膜色素上皮(RPE)細胞を標的化する。慎重に選択されたレーザパラメータおよび/または走査パターンを用いることで、応力応答は、病理学的網膜血管神経栄養欠乏症を再平衡し、進行性アポトーシスプロセス(すなわち、POAGにおける網膜神経節細胞の損失)を防止および可能性として逆行させ得る、分子細胞生化学活動の連鎖を活性化するように構成されることができる。したがって、代表的実施例では、レーザパラメータは、エネルギーが、活性化閾値の上方にあるが、致死閾値(例えば、44℃~50℃)の下方にある生物学的効果を光熱刺激療法窓内で生産するように構成される、パターンで送達されるように選択される。一般に、種々のパラメータ(レーザパルスエネルギー、持続時間、フルエンス、放射照度、パターン等)は、病理選択的様式において、物学的光刺激プロセスのための大量、好ましくは、最高数の可能性として考えられるRPE細胞を動員および活性化するように選択される。そのような光熱刺激は、正常な健康なRPE細胞には、害または影響を及ぼさないが、その特異的機能不全に従って、機能不全RPE細胞のみに選択的に影響を及ぼし、改善する、内因性修復および/または再生プロセスを活性化するように構成されることができる。RPE亜致死性光刺激に対する一次応答は、熱ショックタンパク質(HSP)およびサイトカイン発現の活性化と理解され、これは、RPE細胞修復、置換、および再生につながる、事象の連鎖を誘起する。これらの事象は、改善された輸送機能、正常化された網膜自動調整、慢性炎症の低減されたバイオマーカ、修復急性炎症、および免疫変調をもたらし得る。そのような効果は、神経保護、神経栄養向上を、罹患機能不全細胞の回復および/または再生とともに提供し、失明を低減、遅延、または防止し、例えば、種々の慢性進行性変性網膜障害およびPOAG(類似性を共有し得る)における視覚機能を回復することができる。
【0184】
判別不能な網膜損傷を伴う、閾下レーザ中心網膜亜致死性光刺激の効果は、完全に「ホメオトロピック」であって、網膜機能を正常化し、疾患進行および視覚損失のリスクを低減させることができる。網膜サイトカイン発現の正常化は、病原的に異種であって、非常に異なる薬物応答プロファイルを呈し(糖尿病黄斑浮腫(DME)および中心性漿液性網膜症(CSR)等)、特定の疾患プロセスおよびその特性に特有の方法で応答する、多様な慢性進行性網膜症における網膜保護であるものと同一方法において、POAGにおける神経保護であることができる。亜致死性RPEレーザ光刺激は、疾患特異的RPE HSP活性化および細胞修復の非特異的誘因であることができる。さらに、亜致死性RPEレーザ光刺激は、機能不全細胞の機能のみを正常化することができるため、また、病理選択的であって、最悪の治療前条件を伴う眼において、有意に優れた改善が臨床上観察されているように、健康な細胞に無視可能な影響を及ぼしながら、異常細胞に影響を及ぼす。
【0185】
疾患特異的応答は、閾下レーザ中心網膜亜致死性光刺激治療後の遺伝性網膜症におけるPERG応答と比較した、乾燥AMDにおける特性的に異なるパターン網膜電図(PERG)応答によってさらに実証され得る。いずれの場合も、網膜異常が存在する。したがって、亜致死性レーザ光刺激の非特異的誘因に対する療法応答が、観察される。いずれの場合も、網膜異常は、異なる。したがって、療法応答は、常時、ホメオトロピックであるが、異なり、下層網膜異常(疾患に特有の修復応答)の性質を反映させる。POAGは、少なくとも部分的に、一次視神経症または中枢神経系疾患の発現を表し得る。PERGおよび視覚誘発電位(VEP)試験等の電気生理学的試験が、神経節細胞および視神経の機能性の電気生理学的指標を客観的に測定および監視することができる。したがって、網膜を治療することによって、緑内障性視神経における一意の疾患特有の療法応答が、誘出されることができる。したがって、POAGの少なくともいくつかの症例の根底にある、まだ識別されていない網膜異常は、存在し得、これは、IOP低減にもかかわらず、「正常」または「低」眼圧緑内障に観察される、進行性視神経萎縮を解説することに役立ち得る。また、神経栄養機能の網膜形成損失は、OAGのいくつかまたは全ての症例の根底にあり得る、別個かつ一意の網膜疾患実体であることが可能性として考えられ得るが、さらなる研究が、要求される。
【0186】
閾下汎黄斑マイクロパルスレーザ光刺激治療が、一次開放隅角緑内障を患う患者のための神経保護治療として、Luttrull et al., Chapter20-Glaucoma research and Clinical Advances:2018 to 2020:Samples JR and Klepper PA, Eds. Kugler Publications:Amsterdam, Neederlands(参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されている。閾下汎黄斑マイクロパルスレーザは、RPE細胞輸送および遺伝子発現機能を回復し、網膜栄養欠乏症を改善し、パターン網膜電図(PERG)上で増加された神経節細胞電気生理学的機能性および自動化された視野検査上で改善された視覚機能をもたらすことができる。これらの改善は、可能性として、内因性神経強化および神経保護神経栄養要因の上方調整を通して、亜致死性レーザ光刺激が、機能不全であるが、依然として生存している、網膜要素を救済し、長期生存率を助長し、神経節細胞および他のニューロンの機能性を向上させることができることを示す。POAGは、あらゆる慢性進行性変性網膜症(AMD、DR、CSC、RP等)に見出される共通特性の大部分を共有し、POAGは同様に、RPEの同一亜致死性レーザ光刺激から利点を享受し得る。
【0187】
理論的に、RPEの亜致死性光刺激の一次作用機序は、修復性急性炎症性応答であって、熱ショックタンパク質(HSP)の活性化を促し、これは、サイトカイン発現、色素上皮由来因子(PEDF)の上方調整、細胞内修復、置換、再生、改善されたRPE細胞機能、正常化された網膜ホメオトロピック自動調整、アポトーシスの抑制、慢性炎症バイオマーカの低減、ならびに上皮および/または内皮細胞において分化可能な骨髄由来造血幹細胞の網膜への動員を含む、回復修復性免疫変調応答をもたらす、細胞連鎖を誘起する。インビボ研究は、PERG上の網膜電気生理学的指標、自動化された視野検査上の薄明視視覚機能における改善が、亜致死性治療から24時間以内に実証され得ることを示している。判別可能な医原性損傷の不在は、神経保護ホメオトロピック亜致死性レーザ光刺激治療を、早期POAG治療、予防治療、および周期的再治療の潜在性とともに、天然の再生可能生理学的プロセスにし、ホメオトロピック効果を維持し、疾患進行を減速させ、視覚損失のリスクを低減させる。
【0188】
亜致死性温熱療法光刺激治療を実施し、内因性神経保護熱ショックタンパク質(HSP)の発現を伴う、網膜生化学応答を誘出するためのレーザ経瞳孔加温療法(TTT)の使用はまた、Kim et al.((Neuroprotective effect of trans-pupillary thermotherapy in the optic nerve crush of the rat. Eye(2009);23:727-733)およびMaJ et al.(Neuroprotective effect on retinal ganglion cells by trans-pupillary laser irradiation of the optic nerve head. Neurosci. Lett.(2010), doi:10.1016/j.neulet.2010.01.001)によっても提案されている。熱ショックタンパク質は、加温療法または他のタイプの生理学的および環境応力によって上方調整される、タンパク質群である。HSPは、さらに深刻な応力の条件下でも細胞生存率を向上させ得る。HSPのうちのいくつかは、恒常的に表される一方、他のHSPは、種々の種類の応力に応答して誘発可能である。神経系では、Hsc70または構造性形態と、HSP72または誘発性形態とから成る、HSP70系は、虚血、発作、および軸索切断に対して保護効果を有することができる。また、網膜神経節細胞(RGC)は、加温療法、亜鉛、ならびにゲラニルゲラニルアセトン等の薬剤による、HSP72の誘導によって、眼内圧上昇または軸索切断に対して保護されることができる。RGC死は、緑内障における主な病理事象のうちの1つであって、したがって、HSPの誘導によるRGCの保護が、緑内障を治療するために使用されることができる。しかしながら、いくつかの方法は、神経保護効果を伴って、HSP発現を増加させることが示されており、任意の全身性効果を伴わずにHSPを誘発するための非侵襲性かつ安全な方法が、さらなる調査に値する。
【0189】
TTTは、赤外線照射エネルギーが、例えば、810nmダイオードレーザによって、眼の後区画に直接送達される、加温療法が、生成される、治療モダリティである。TTTは、広範なビームおよび長暴露時間を用いて実施されることができる。Mainster (Mainster MA, Reichel E., Trans-pupillary thermotherapy for age related macular degeneration: long-pulse photocoagulation, apoptosis, and heat shock proteins. Ophthalmic Surg Lasers 2000; 31: 359-373)は、TTTが治療される組織内の温度をベースラインレベルを最大10℃上回って増加させることを示している。本加温療法を使用して、TTTが、種々の眼内腫瘍(すなわち、脈絡膜悪性黒色腫、血管腫、および網膜芽細胞腫)および加齢性黄斑変性における脈絡膜血管新生の治療のために試みられている。TTTは、治療される組織内の温度を増加させ、したがって、TTTは、HSPの発現を刺激し得る。緑内障性視神経損傷の一次部位である、視神経頭上で実施されるTTTは、HSP72の発現を治療される組織内に効果的に誘発した。損傷を眼球組織に伴わない、視神経頭内の最大限のHSP72発現のためのTTTの最適パラメータは、Kim et al. (Kim JM, Park KH, Kim YJ, Park HJ, Kim DM. Thermal injury induces heat shock protein in the optic nerve head in vivo. Invest Ophthalmol Vis Sci 2006;47:4880-4894)によって、60sにわたって100mWであると決定された。本設定では、組織損傷は、共焦点走査レーザ検眼鏡、光顕微鏡、および走査電子顕微鏡ならびに眼底検査を用いて、検出されなかった。次のステップでは、TTTが、ラットの視神経圧砕傷害モデルに適用され、神経保護効果を調査し、TTTの使用が、ラットの視神経圧砕傷害モデル内の視神経頭に近い網膜面積内のRGCの生存率を増加させたことが見出された。
【0190】
本明細書の代表的実施例では、多くの患者が、神経保護療法で補完されるIOP低下治療を要求する、またはそこから利点を享受し得る。これらの場合では、経瞳孔亜致死性光熱刺激療法方法が、随意に、IOPの低減のために、経強膜レーザ治療のために構成されるシステムと関連付けて実施される。したがって、システム実施例は、POAGを伴う眼内の視覚機能の損失および他の網膜血管栄養性神経障害を遅延、防止、またはさらに回復する目標のために、一例として、「欠乏している、罹患しているが、まだ死亡していない」RGCを含む、網膜神経節細胞(RGC)の神経保護、神経強化、および可能性として再生をもたらし得る、生化学応答を誘出し得る、中心網膜の神経保護経瞳孔亜致死性光熱刺激療法を実施するように動作可能である。本明細書の実施例によると、網膜亜致死性光刺激は、摂氏45~47℃を超えない、汎黄斑面積(必要とされる場合、中心中心窩を含む)にわたって、平坦上部ヒストグラム特性を有する、有利な温度分布プロファイルを生産する、環形(例えば、円形)治療を使用して達成され、それによって、ガウス様熱ピークプロファイルを伴って、中心累積熱ピーク上昇を回避する。いくつかの実施例では、選択された波長、例えば、810nmで、反復的マイクロパルス放出モード(RPEレベルにおけるレーザ誘発熱上昇の微細制御のため)において動作する、ダイオードレーザが、環形を照射し、中心窩にわたって心合される1.0~2.0mm中心孔の照射を回避し、外部縁を最大約3円板直径(4.5~5.0mm)等の所定の距離まで拡張させる、円形パターンにおいて指向される。このように、眼の汎黄斑面積は、中心窩中心領域(直接、レーザ誘発加熱によってではなく、間接的伝導性加熱によって加熱されるであろう)を含め、安全な加温刺激を受容することができる。
【0191】
経瞳孔および/または経強膜治療のための例示的システムおよび方法
図8Aに示される例示的インターフェース装置100が、非接触レーザシステム74(レーザシステムの走査光学系部分が便宜上示される)を、本明細書の方法実施例に従って生体刺激治療を受容する、眼70に結合するために使用されることができる。経瞳孔方法実施例では、レーザビーム71が、非接触レーザシステム(例えば、レーザスキャナを用いて)によって、眼70の瞳孔を通して、眼70の網膜の黄斑領域に指向される。
【0192】
図8Bに示される、例示的光学走査システム200は、ビームを経強膜的および経瞳孔的に指向するように構成されることができる。光学ビーム源206は、光学系を通して、レーザスキャナ214(例えば、2軸または3軸検流計スキャナ)および集束光学系220を用いて指向される、光学ビーム202を眼70に放出する。代表的実施例では、経強膜処理のために、光学ビーム202は、光学ビーム源206の1,475nmダイオードレーザからの放出に基づいて、約1,475nmの波長を有することができ、経瞳孔処理のために、光学ビーム202は、光学ビーム源206の810nmダイオードレーザからの放出に基づいて、約810nmの波長を有することができる。他の波長もまた、使用されることができることを理解されたい。一般に、波長は、標的化された眼組織の場所および吸光率(吸収性発色団等)に基づいて選択されることができる。いくつかの実施例では、光学走査システム200は、経強膜的(例えば、1,475nm)または経瞳孔的(例えば、810nm)ならびに両方のうちの少なくとも1つにおいて、光学ビーム202を指向するように構成される。
【0193】
図17Aでは、網膜の黄斑が、増加直径および円錐突起の中心からの半径方向距離の順序において、小窩、中心窩無血管域(FAZ)、中心窩、中心傍窩、および周中心窩を含む、円錐突起を中心として同心の複数の円形(または長円形)領域に分割される。図示される領域の典型的寸法が、示される。図17Bは、レーザビームが生体刺激治療のために黄斑に指向されるための複数の同心経路を示す。約0.5mmのスポットサイズを用いることで、5つの隣り合った同心経路が、FAZから半径方向に開始し、周中心窩の外側半径まで半径方向外向きに延在する(例えば、円錐突起の中心から0.25mmから円錐突起の中心から2.75mmまで)、面積に跨架することができる。いくつかの実施例では、スポットサイズおよび走査パターン半径のための所定の値は、黄斑の平均または典型的寸法に基づくことができ、さらなる実施例では、半径および/またはスポットサイズは、患者の黄斑を撮像および検査後、調節または選択されることができる(例えば、専門家によって、または機械学習画像識別ソフトウェアツールを用いて、典型的黄斑に対して色等の寸法差異の解剖学的推定を通して)。
【0194】
図18A-18Gは、治療プロセスの間の異なる時間における、例示的経瞳孔治療方法を描写する。図18Aでは、初期時間500aにおいて、パルス状レーザビームのスポット502が、ヒトの眼の瞳孔を通して指向され、眼の黄斑504の外側の場所(例えば、周中心窩内またはそれに近接する)に衝突する。黄斑504は、瞳孔を通して軸上に示され、断面描写が、軸上図の下方に投影される。図18Bは、スポット502が黄斑504を中心として曲線走査経路508の未処理の第1の環形506aに沿って時計回り方向に走査されるにつれた、初期時間500a直後の時間500bを示す。未処理の第2、第3、第4、および第5の環形506b-506eもまた、その近隣ビーム境界において相互に隣り合い、FAZ、小窩、および円錐突起を除外する、治療のための連続的面積を形成するように示される。典型的実施例では、ビーム境界は、パルス状レーザビームのパルスの強度が、半値全幅(FWHM)、1/e、1/e、ゼロ等、所定の値まで降下する、スポット502の半径方向場所として定義される。ビーム強度は、好ましくは、不均一加熱またはスポット中心に向かった温度スパイクを回避するように、スポットを横断して均一である。均一強度は、均質化光パイプ、レンズアレイ、拡散器等、種々の方法を通して達成されることができる。スポットサイズは、いくつかの実施例では、固定される、または、例えば、ビームエキスパンダもしくは他の光学系を用いて調節されることができる。図18Cは、スポット502が、未処理の第1の環形506aの治療を完了し、処理された第1の環形510aを形成後の、時間500cを描写する。スポット502は、曲線走査経路508上を進み、ここでは、未処理の第2の環形506bに沿って時計回りに走査する。図18Dは、パルス状レーザビームのパルスが、走査され、処理された第2の環形510bを完成した後のレーザ治療の間の、時間500dを示す。スポット502は、次いで、未処理の第3の環形506cの周囲の曲線走査経路508に沿って走査を開始するように指向される。図18Eに示される時間500eでは、治療プロセスは、処理された第3の環形510cを形成しており、レーザスポット502は、曲線走査経路508に沿って指向され、パルス状レーザビームのパルスを用いて、未処理の第4の環形506dの治療を開始する。図18Fは、レーザ治療の間の、時間500fを示し、その後、処理された環形506a-506dが、完成され、未処理の環形506eの走査が開始することになる。図18Gは、スポット502が指向され、未処理の環形506a-506eのそれぞれを通して連続的に指向され、処理された環形510a-510eを形成した後の、時間500gを示す。選択された実施例では、5つより多いまたはより少ない環形が、典型的には、異なるまたは可変ビームスポット直径を伴って使用されることができる。
【0195】
図19は、中心円錐突起位置1904からの異なる距離におけるビームスポット1902a-1902eの位置と、図18A-18Fに示される環形506a-506e等の個別の同心状に配列される治療環形の直径長である距離に対応する、対向位置に配列されるビームスポット1906a-1906eの位置との寸法表現1900を示す。代表的実施例では、FAZは、約0.5mm幅であって、したがって、ビームスポット1902e、1906eのビーム境界の半径方向内部位置は、距離1908を画定し、レーザビーム治療が直接照射を通して生じない、環形治療の間の円形面積に対応する。中心円錐突起位置1908から半径方向外向きに延在する、ビームスポット1902a-1902eのサイズが、環形毎に同一であって、ビームスポット1902a-1902eの隣接するものの境界が、相互に隣り合った、実施例では、累積半径方向長1912a、1912bは、0.5mmの共通スポットサイズのために、2.5mm等に画定されることができる。したがって、全体的長1914は、外側治療直径のために画定されることができ、外側環形直径1916(ビームスポット中心と整合される)は、1つの半径方向に延在するスポットサイズ分だけより小さくあることができる。
【0196】
図20では、グラフ2000は、レーザビームおよび走査パターンのためのパラメータの例示的セットを使用して、r=0mmにおける円錐突起に心合される黄斑領域を治療する、時間経過温度プロファイル2002の予測を示す。プロファイル2002は、5つの環形を中心として走査されるパルス状レーザビームの環形パターンを伴って生産され、第1のリングは、2.5mmのビーム中心半径を有し、第2のリングは、2.0mm半径を有し、第3のリングは、1.5mm半径を有し、第4のリングは、1.0mm半径を有し、第5のリングは、0.5mm半径を有する。黄斑において0.5mmの直径を有する、円形ビームスポットは、黄斑のFAZ、小窩、および円錐突起の直接照射を回避する、照射ビーム境界を画定する。環形の半径方向におけるスポットサイズおよび環形半径は、連続的レーザ治療面積を画定する。
【0197】
特定の実施例では、レーザビームおよび走査パラメータはさらに、環形のうちの1つまたはそれを上回るものの走査の間、1.66mm/秒の一定走査速度を含み、それによって、300ms暴露時間を走査環形内のビームスポット直径によって照射される各RPE細胞に提供する。他の速度も、付加的実施例では、10ms、50ms、100ms、200ms、500ms等の暴露時間の範囲を生産するように、選択されることができることを理解されたい。一連の処理パルスが、発生され、一定走査速度において、5つの環形の環形パターンに従って、黄斑に指向される。パルス状レーザビームのための処理パルスは、5%デューティサイクルを伴う、2msのパルス周期(0.5kHzパルス繰り返し率)を有することができ、100μsの処理パルス持続時間(FWHMまたは他の好適な計測値)に対応する。1.66m/秒走査率および0.5mmビームスポット直径では、99%を上回る黄斑におけるパルス間面積重複が、99%を上回る黄斑における照射面積密度を伴って達成される。マイクロパルスのピーク電力が、100mWに設定される(例えば、5%のデューティサイクル--0.1ms「オン」および2ms周期を伴う)とき、これは、持続波(CW)同等設定のための5mWの平均電力に対応し得る。黄斑におけるレーザマイクロパルスのための電力密度(放射照度)は、約50W/cmである(中間透光体内の吸収/散乱損失を考慮せずに)。別の実施例では、マイクロパルスのピーク電力は、同一5%デューティサイクルを伴って、1,000mWに設定され、持続波同等設定のために、50mWの平均電力を生産し、510W/cmの黄斑における電力密度をもたらす。異なる実施例によると、レーザおよび走査治療パラメータは、1%、2%、5%、10%、50%、100%等だけ値を変動させることによって等、類似治療効果を達成する、選択された量だけ変動されることができる。
【0198】
隣接するより小さい環形の外側半径方向ビーム境界に隣り合った各環形の内側半径方向ビーム境界を通して、連続的走査面積を画定する、前述のスポットサイズおよび5つの環形半径を用いることで、約23.5mmの総面積が、100mWマイクロパルスピーク電力を使用して、600mJ/cmのフルエンスにおける141mJの総エネルギーの送達をもたらす、処理パルスを用いて治療される。本送達は、300msの持続時間にわたって、それぞれ、1mJの150マイクロパルスを伴って、RPE細胞に直接送達される、約760mJ/cmのフルエンスに類似し得る。1.0~2.0Wの範囲内のマイクロパルスのためのピーク電力では、各0.5mm直径面積が、15~30mJの総エネルギーを受容する。一般に、低デューティサイクルにおける反復的パルス印加は、時間ベースの特性が増加される有意性を担うため、療法有効性に応じて、総プロセスフルエンスの有意性を低減させることができる。走査中断または休止が、環形間または環形の処理の間に生じてもよく、例えば、CWパルスのために定義されたデューティサイクル等のパルス状レーザビームを発生させるレーザ源の特性に基づいて、反復的または周期的であるように選択されることができ、処理パルスは、CWパルスを変調または中止することによって発生される。走査中断または休止を伴わないプロファイル2002に示されるように、第1のリングは、約9s後、第2のリングは、約t=17sに、第3のリングは、約t=23sに、第4のリングは、約t=26sに、第5のリングは、約t=28sに完了されることができる。環形を通して連続して処理することによって、FAV、小窩、および円錐突起内の温度は、例えば、範囲を超えずに、TLOWER~TUPPERの療法的に有利な範囲内であるように増加することができる(例えば、「過剰な治療」線を用いて描写されるような温度プロファイルを回避することによって)。したがって、黄斑治療面積を横断した温度均一性は、改善されることができ、中心黄斑面積と関連付けられるガウス熱スパイクは、回避または低減されることができる。
【0199】
図21は、治療対象(典型的には、ヒト)の眼2106の網膜2102および/または強膜2104ならびに眼2106の他の標的組織を治療するために使用され得る、装置2100の実施例を示す。装置2100は、装置2100を眼2106に結合する、患者インターフェースデバイス2108を含む。装置2100は、810nmの波長において、所定の持続時間、反復周波数、電力、デューティサイクル等でレーザパルスを発生させ得る、経瞳孔レーザ源2110と、1,475nmにおける持続波レーザビームを発生させ得る、経強膜レーザ源2112等との複数のレーザ源を含む、光源を含む。異なる実施例では、他の付加的レーザ源も、使用されることができ、持続波またはパルス状、波長、電力等を含む、他のレーザ源特性も、標的化される眼組織および標的化された眼組織のために使用されるレーザ治療プロセスのタイプに基づいて、選択されることができる。
【0200】
複数のレーザ源は、ビームスプリッタ2114を用いて、共通光学経路2113に沿って伝搬するように指向されることができる。2軸または3軸検流計スキャナ等の光学ビームスキャナ2116が、共通光学経路2113に結合され、レーザビームを複数のレーザ源から受容し、選択された治療プロセスに応じて、所定の走査パターンに従って、ビームを眼2106の所定の場所に向かって指向する。代表的実施例では、カメラ、光ダイオード、CCD、CMOS、撮像システム等(OCTシステム等)の検出器2118が、例えば、ビームスプリッタ2120を通して、眼2106に光学的に結合される。示されるように、検出器2118のための光学結合は、光学ビームスキャナ2116と患者インターフェースデバイス2108との間であるが、ビームスプリッタ2114と光学ビームスキャナ2116との間を含む、他の位置も、可能性として考えられる。検出器2118は、例えば、光学ビームスキャナ2116が、複数のレーザ源からのレーザビームまたは複数のビームを眼2106の標的化された場所に指向し得るように、処理されるであろう、または処理されている、眼組織の位置を監視するために使用されることができる。いくつかの実施例では、レーザビームまたは複数のビームの作業距離は、コマンドされた焦点平面が、眼2106の異なる部分を処理する間、変化しないように、強膜組織と網膜組織との間の伝搬距離差より実質的に大きい。さらなる実施例では、コマンドされた焦点は、例えば、強膜の場所と網膜の場所との間または強膜もしくは網膜の異なる場所において変動し得る。
【0201】
レーザ源2110、2112等の複数のレーザ源、光学ビームスキャナ2116、および検出器2118は、コンピューティングユニット2122に結合されることができる。コンピューティングユニット2122は、プロセッサ2124と、一例として、レーザビーム特性、レーザ波長選択、パルス繰り返し率、デューティサイクル、ビーム始動、走査パターンコマンド、ならびに眼位置合わせおよび/または走査較正等のレーザ治療を制御するために、プロセッサ2124によって実行可能な命令を記憶している、メモリ2126とを含む。メモリ2126は、眼2106が所定の位置にある状態で患者インターフェース2108に関連して光学ビームスキャナ2116を用いてレーザビームを指向するための走査位置および経路を定義する、1つまたはそれを上回るパターンコマンドファイルとともに構成されることができる。いくつかの実施例では、コンピューティングユニット2122はまた、治療前、間、および/または後に、信号を検出器2118から受信し、受信された信号を使用して、眼2106の画像を発生させることができる。いくつかの実施例では、検出器2118は、走査が検出された場所情報に関連して実施され得るように、パターンコマンドファイルが更新され得るように、眼2106に関する場所情報を提供することができる。好適な場所情報は、解剖学的参照特徴、色変動、反射率変動等を含むことができる。いくつかの実施例では、検出器2118は、例えば、高温計を用いて、標的眼組織の温度を検出するように構成されることができ、検出された温度は、治療の間の原位置を含む、パルス持続時間、ピーク電力、繰り返し率等のレーザビーム特性を調節するために使用されることができる。いくつかの実施例では、メモリ2126は、プロセッサ2124が、黄斑環形への送達を制御し、20mm~30mm(例えば、23.5mm)の中心窩無血管域を囲繞する環形処理面積内において、1W~2Wの範囲内のピークパルス電力で、1J~3Jの範囲内の総レーザエネルギーを指向し、強膜上の環形に、5mm/秒~200mm/秒の範囲内の一定走査速度で、強膜半径において、円周方向弧長に沿って、8℃~20℃の範囲内の温度上昇および比例的に低減される暴露時間を伴って、光凝固効果を生産しない、0.5%~50%の範囲内の環形のためのサイクル負荷時間率に対応する、N持続波サイクルの形態において送達するための命令とともに構成される。好適な値は、具体的患者コホートに関する臨床実践から決定されることができる。例えば、多様な患者のための閾下非損傷汎黄斑レーザ光熱刺激を提供する、治療パラメータは、異なる民族性、色素沈着、形態構造、眼球特性、および緑内障条件に伴って変動してもよい。特に、ヒト網膜色素上皮細胞RPEにおけるメラニン(主要吸収性発色団)の分布の非均一性または著しい変動性は、レーザパルスフルエンスパラメータより多く光熱効果を改変する傾向にある。エネルギー値は、患者間の色素沈着変動を含む、選択された波長から決定される、またはそれに基づいて変動し得、好適な熱上昇に影響を及ぼし、それを決定し得る。黄斑環形へのそのような送達は、各連続300ms周期にわたる150マイクロパルス、500μmのレーザスポット直径、0.00196cmのレーザスポット面積、510~1,020W/cmの放射照度範囲、15~30mJの150パルス暴露エネルギー範囲を生産する0.1~0.2mJのエネルギー範囲内の0.1msの単一マイクロパルス持続時間、および51~102mJ/cmの単一マイクロパルスフルエンスの反復的パルス列の送達に対応し得る。
【0202】
例えば、臨床上の検証および実証研究では、他の網膜レーザデバイスを使用したレーザパラメータが、成功したかつ効果的非損傷汎黄斑光刺激網膜治療を実施しており、本明細書における例示的デバイスは、そのような臨床上検証された手技に類似するレーザ暴露を送達するように制御されることができる。レーザパラメータは、2.0ms周期の5%デューティサイクル(0.1msオン+1.9msオフ)および500pps繰り返し率、300msの暴露持続時間(150マイクロパルス列を送達する)、500μmのレーザスポット直径、0.00196cmのレーザスポット面積、1.7Wのレーザ電力、867W/cmの放射照度、0.17mJの単一マイクロパルス(0.1s)エネルギー、25.5mJの150パルス暴露総エネルギー、および86.7mJ/cmの単一マイクロパルスフルエンスにおいて、マイクロパルス放出モードで動作される810nmダイオードレーザを含んだ。500μm直径スポットの0.00196cm面積によって標的化された10~14μm直径および約4,220±727細胞/mmの黄斑面積密度(Songhomitrapanda-Jonasm D. et al., Retinal Pigment Epithelial Cell Count, Distribution, and Correlations in Normal Human Eyes. AJO Volume 121, Issue 2, February 1996, Pages 181-189)を伴う、各単一RPE細胞が、上記のパラメータを用いて、150連続マイクロパルス列で照射された。重複を伴わない、本明細書に説明される例示的環形黄斑治療パターンでは、選択された環形の縁におけるRPE細胞は、選択された環形により中心の部分に対してより短い持続時間にわたって、レーザエネルギーに暴露され得(スポットの円形形状に起因して)、より少ないエネルギー(例えば、150パルスより少ない)を受容するであろう。しかしながら、本低減は、隣接する治療環形からの光熱刺激効果への近接度によって補償されることができる。いくつかの実施例では、隣接する環形の半径方向重複が提供され、半径方向におけるフルエンス変動を低減させることができる。
【0203】
強膜および網膜治療を組み合わせる、代表的治療実施例では、1つまたはそれを上回るパターンコマンドファイルは、経強膜治療のための第1のパターンコマンドのセットと、黄斑に近接する経瞳孔治療のための第2のパターンコマンドのセットと、視神経円板に近接する経瞳孔治療のための第3のパターンコマンドのセットとを含むことができる。特に、いくつかの治療は、緑内障の発症前に、または緑内障の指標を伴わずに等、予防的に印加され、緑内障が生じる確率を低減させる、もしくは緑内障発症を遅延させることができる。例えば、患者の家族歴、遺伝子、または人口集団、ある眼疾患にかかりやすい素因の可能性がより高いかどうか、および治療が陽性決定に基づいて印加され得るかどうかから決定されることができる。代替として、他の治療も、任意の指標に、またはかかりやすい素因の指標が殆どなくても印加され、神経変性進行を減速、停止、および/または逆行させ得る、神経保護療法を提供することができる。図22に示される眼の図は、眼上にオーバーレイされた経強膜治療環形走査経路および経瞳孔治療環形走査経路の実施例を示す。経強膜パターンコマンドは、ビーム特性を制御し、ビームを強膜2104の外部表面上の角膜縁接合部の0~4mm後方の複数の治療場所に指向するように構成されることができる。治療場所のうちの少なくとも1つ(および典型的には、全て)は、所定の長さの曲線または弧状走査経路区画(例えば、真円もしくはその弧状部分)を含むことができ、レーザビームは、持続波モード(但し、いくつかの実施例では、持続する一連のパルスは、使用されることができる)で動作し、同一走査経路区画に沿って、所定の走査速度において、走査するように反復的に指向される。長さおよび走査速度は、眼の線維柱帯網および/または毛様体のうちの1つまたはそれを上回るものの保護熱事前調整ならびに療法用生体刺激を誘発するために十分である、反復のための負荷時間率を定義することができる。いくつかの実施例では、複数の経強膜治療場所は、眼の外部表面上の角膜縁接合部の0~4mm(例えば、1mm、2mm、および3mm、1.5mm、2.5mm、ならびに3.5mm等)後方の範囲内の異なる直径における、3つの同心円形走査経路によって画定され、各円形走査経路は、真円または準真円を形成する、単一走査経路弧区画を含む、もしくは連続的、離間された、および/または重複区画を含む、複数の弧状区画を含む。特定の実施例では、円形走査経路はそれぞれ、鼻側および側頭側30°弧を回避しながら、9:30から2:30時の上方150°弧と、3:30から8:30時の下方150°弧とを含む。
【0204】
第2の経瞳孔治療コマンドのセットは、ビーム特性を制御し、ビームを、FAZ、小窩、および円錐突起を除き、網膜2102の黄斑領域における複数の治療場所に指向するように構成されることができる。代表的実施例では、複数の治療場所は、最外のより大きい直径環形から最内の最小直径環形までのシーケンスで走査される、FAZを中心として同心の5つの環形走査経路を含む。最内環形は、FAZの直接照射を回避するように、FAZに隣り合った、または隣接する、内側ビーム境界を有し、最内環形から開始して、各外側ビーム境界は、連続的治療面積を形成するように、次のより大きい直径環形に隣り合う、または隣接する(もしくはいくつかの実施例では、重複する)。FAZから半径方向外向きに0.5mmのビーム寸法を用いることで、かつ5つの環形の最外環形の隣り合った境界を有する、隣接する環形を用いることで、典型的ヒトの眼の黄斑のための2.75mmの半径に外側ビーム境界を有することができる。他の実施例では、5つより少ないまたはより多い環形が、走査されることができ、半径方向における異なるビームスポット寸法が、使用されることができる。典型的実施例では、ビームスポットは、走査方向に沿ったビームスポット寸法および円錐突起からの半径方向におけるビームスポット寸法のための共通値をもたらす、円形であって、さらなる実施例では、長円形、正方形、長方形、または他の非円形ビームスポット形状も、使用されることができる。治療環形は、最大直径から最小までのシーケンスで走査されることができ、シーケンスは、37~47℃等の療法用温度範囲内までのFAZ、小窩、および円錐突起の好適な温度増加と関連付けられることができる。いくつかの実施例では、異なる環形の厚さは、異なり得る。
【0205】
黄斑領域を標的化するレーザビームのためのビーム特性は、選択可能パルス特性を伴う、パルス状動作を含むことができる。例えば、パルス繰り返し率および曲線走査速度は、レーザ治療面積内の各個々の網膜色素上皮細胞(RPE)細胞が約150パルスを受容するように、選択されることができる。黄斑における0.5mmの直径を有する、円形ビームスポットのためのそのような送達を達成するために、1.666mm/秒の走査速度およびパルス繰り返し率0.5kHz(2msパルス周期)が、使用され、それによって、300msにわたって約150パルスを照射することができる。選択された好適なパルス持続時間およびピーク電力(例えば、100μsおよび100mW)を用いることで、150個の連続する小非致死的温度スパイクの時間-温度履歴が、RPE細胞毎に生成されることができ、各スパイクは、生物学的応力応答を誘出するが、RPE細胞を死滅させない、非常に高温度変化率を生産する。0.1msの上昇正面を伴う、非致死的7℃勾配を生成する際、各スパイクは、細胞に対して、約70,000℃/秒の率で、熱ショックを推測することができる。
【0206】
第3の経瞳孔治療コマンドのセットは、ビーム特性を制御し、ビームを、網膜2102の視神経円板領域に近接するが、視神経円板および下層視神経を除く、複数の治療場所に指向するように構成されることができる(例えば、照射されるレーザ光に視神経の硬膜によって境界される面積上への実質的衝突を回避させることによって)。複数の治療場所は、第2の経瞳孔治療コマンドのセットと類似するが、代わりに、視神経円板の周囲をナビゲートする、走査パターンを含むことができる。例えば、複数の治療場所は、最外のより大きい直径環形から最内の最小直径環形までシーケンスで走査される、視神経円板中心として同心の5つの環形走査経路を含むことができる。最内環形は、視神経の直接照射を回避するように、視神経円板に隣り合う、または隣接する、内側ビーム境界を有し、最内環形から開始して、各外側ビーム境界は、連続的治療面積を形成するように、次のより大きい直径環形に隣り合う、または隣接する(もしくはいくつかの実施例では、重複する)。視神経円板の大径(約1.92mm)から半径方向外向きに0.5mmのビーム寸法を用いることで、かつ隣り合った境界を有する隣接する環形を用いることで、5つの環形の最外環形は、典型的ヒトの眼の視神経円板のための3.46mmの半径に外側ビーム境界を有することができる。視神経円板の長円形形状に合致する長円形形状の経路を用いることで、5つの環形は、長円形形状であって、例えば、外側ビーム境界は、小径(約1.76mm)方向に沿って、典型的ヒトの眼の視神経円板のための3.38mmの半径にあることができる。他の実施例では、5つより少ないまたはより多い環形が、走査されることができ、半径方向における異なるビームスポット寸法が、使用されることができる。典型的実施例では、ビームスポットは、走査方向に沿ったビームスポット寸法および視神経円板中心からの半径方向におけるビームスポット寸法のための共通値をもたらす、円形であって、さらなる実施例では、長円形、正方形、長方形、または他の非円形ビームスポット形状も、使用されることができる。治療環形は、最大直径から最小直径までのシーケンスで走査されることができ、シーケンスは、37~47℃等の療法用温度範囲内までの視神経円板を囲繞する網膜細胞を有する面積の好適な温度増加網膜と関連付けられることができる。いくつかの実施例では、異なる環形の厚さは、異なり得る。
【0207】
典型的ヒトの眼の眼底における黄斑と視神経円板との間の近接度のため、第2および第3の経瞳孔治療コマンドのセットを用いて形成される、環形の実施例は、眼底において重複され、選択された面積の二重刺激治療をもたらすことができる。本明細書の実施例はまた、1つのビーム走査経路(黄斑を包囲する経路等)に沿って送達されるビームスポットが、隣接するビーム走査経路(視神経円板を包囲する別の経路等)に沿って送達されるビームスポットに実質的に重複しないように、第2および/または第3の経瞳孔治療コマンドのセットと関連付けられる走査パターンを変化させることによって、二重治療の回避を含むことができる。付加的治療パターンオプションは、図24A-24Cに示される。図24Aでは、経瞳孔治療コマンドは、概して、視神経円板の長円形輪郭に追従する、視神経円板に近接する、例示的レーザ走査経路を生産する。経瞳孔黄斑治療コマンドが、提供される場合、黄斑に近接する(または中心窩無血管域内の)処理される面積への過剰な治療を回避するために、走査経路は、示される中断走査長円形等を用いて、重複を防止するために終了するように調節されることができる。図24Bは、視神経円板および中心窩無血管域を囲繞ならびに回避する、経瞳孔治療面積を示す。いくつかの実施例では、経瞳孔治療面積を画定する、走査経路または複数の経路は、輪郭が付けられた円形および長円形(図24Aに示されるものに類似する)を含むことができるが、他の走査経路も同様に、視神経円板および黄斑に近接する選択された治療面積を「塗り潰す」ように選定されることができる。典型的実施例では、レーザビームの走査経路は、1階の通過において、重複走査経路区画を伴わずに、面積を治療するが、付加的例示的経路が、再トレースされることができる。本明細書に議論されるように、治療パラメータは、所定の走査パターンに従って、かつ選択されたCWまたはパルス状レーザパラメータおよびレーザ走査パラメータを用いて、レーザビームの持続走査を通して、網膜色素上皮細胞(RPE)細胞を標的化することによって、応力応答を誘起する、網膜の閾下亜致死性レーザ光刺激を生産するように選択される。図24Cは、網膜の面積が、閾下亜致死性レーザ光刺激のために標的化されるが、乳頭黄斑神経束の位置に対応する面積が、回避される、別の例示的治療パターンを示す。示されるように、周中心窩を含む黄斑面積およびFAZ外側の他の黄斑面積は、回避されるが、いくつかの実施例では、乳頭黄斑神経束を除く、または乳頭黄斑神経束を含む、黄斑面積が、治療されることができる。
【0208】
いくつかの実施例では、第2および第3のセットはまた、組み合わせられ、単一の治療コマンドのセットを形成することができる。OCTまたは別の撮像デバイスを使用することによって、黄斑および視神経円板が、位置特定され、その位置が、決定されることができ、第2および第3の治療場所ならびに対応する治療コマンドのセットが、決定された位置に関連して定義されることができる。場所は、治療を実施する訓練された人物によって見出されることができるが、代表的実施例は、結合された制御デバイスを使用して、患者の眼底の検出された特徴と黄斑および視神経円板を描写する画像または概略を比較することができる。例えば、検出された特徴は、1つまたはそれを上回る画像識別もしくはパターン認識アルゴリズム(深層学習、畳み込みニューラルネットワーク、サークルハフ変換等)を通して処理され、患者の黄斑および視神経円板(または経強膜治療における角膜/強膜特徴)のための重心位置、境界、配向、相対的位置、距離等を決定することができ、治療コマンドは、レーザビームが患者の眼の正しい位置に走査されるように更新されることができる。
【0209】
治療または複数の治療は、較正されたシステムを使用して実施されることができる。例えば、図23に示される方法2300では、システムのレーザ電力は、2302において、検出器を使用して、コマンドされたピークおよび/または平均電力と実際の電力を比較するように較正されることができる。光学ビームスキャナおよび患者インターフェースデバイスを使用してレーザビーム送達のためにコマンドされた場所は、レーザ試験表面および/または座標測定機械もしくはプローブ等の空間較正デバイスを使用して、1つまたはそれを上回る所定の作業平面もしくは表面(例えば、予期される強膜または網膜表面と整合する)におけるビーム送達の実際の場所と比較されることができる。2304では、較正されたデバイスを用いて、具体的患者のためのものであって、事前に計画されたノモグラムまたはカスタム発生ノモグラムに対応する、治療パターンコマンドの1つまたはそれを上回るセットが、ソフトウェアを使用して生産されることができる。2306では、患者は、仰臥位位置治療のために準備され、麻酔剤が、適切な場合、10分またはより長い時間にわたって、麻酔剤点眼に先立って、治療を受容するための選択された眼上に、Duo点眼液(Thealose 3% API-Thea Pharma)を2滴/分で事前に点眼することを含め、適用されることができる。局部プロパラカイン点眼液が、治療を開始する準備ができると点眼されることができる。2308では、検鏡が、眼内に設置されることができ、患者インターフェースデバイスが、角膜上に心合されることができる。吸入力が、印加され、検鏡のコーンが、PIDにドッキングされることができる。2310では、眼位置が、レーザ治療システムを通して検出されることができ、XY中心化または環形直径もしくは形状等の正確度を改善し得る、治療パターンの任意の変更が、ソフトウェアを使用して適用されることができる。経強膜および/または経瞳孔治療が、次いで、2312において進められることができ、2314において完了後、吸入力は、係脱されることができ、PIDは、除去されることができる。
【0210】
図25は、本明細書に説明される種々の実施例による、レーザ治療を送達するために使用され得る、例示的レーザ治療装置2500を示す。装置2500は、レーザヘッド2502が、ヘッドレスト2506と関連して所定の配向に固定され得、ヘッドレスト2506に向かって摺動し得るように、レール2504a、2504bに摺動可能に結合される、レーザヘッド2502を含む。レール2504a、2504bは、ヘッドレスト2506に対して固定関係に配列されるが、それぞれ、相互に対してを含め、調節可能であり得る。例えば、レール2504a、2504bは、後方にもたれかかり、電気制御を通して、微細に調節され得る、バックおよび/またはフットレストを有する、リクライナ(例えば、歯科用椅子)等の身体支持体2508に取り付けられることができる。患者はまた、車輪付き担架上に仰臥位で位置付けられることができる。付加的実施例では、患者は、図25における図では、患者の頭部から下向きに見られるように、直立することができる。ヘッドレスト2506は、1つまたはそれを上回る枢動式支持部材2510a-2510dを通して、身体支持体2508にしっかりと取り付けられ、それに対して調節可能であることができる。ヘッドレスト2506は、支持部材2410a、2510bに結合される、対向調節可能パッド2512a、2512bを含む、馬蹄形状のヘッドレストとして構成されることができる。代表的実施例では、ヘッドレスト2506は、異なる頭部サイズを収容するように調節されることができる。
【0211】
レーザヘッド2502は、レーザヘッド2502の移動および回転を可能にするように構成され、レーザヘッド2502が身体支持体2508およびヘッドレスト2506に近接されることを可能にする、枢動式支持部材2516a-2516cを含む、関節運動式支持アームおよびスタンド2514の端部に結合されることができる。代表的実施例では、レーザヘッド2502は、レーザヘッド2502がレール2504a、2504bに沿って固着および摺動可能に平行移動され得るように、レール2504a、2504bに除去可能に結合されることができる。いったんレール2504a、2504bに機械的に搭載または「クリック嵌め」されると、レーザヘッド2502はまた、微細な調節のため、かつレーザヘッド2502の光学構成要素を患者の眼に関連して心合させるために、内部移動段を用いて、種々の方向に調節されることができる。いくつかの実施例では、レーザヘッド2502をレール2504a、2504bに取り付けると、医師は、患者の頭部に隣接して着座し、患者インターフェースデバイス(PID)2518(一例として、図5A-5Cに示される患者インターフェースデバイス100等)を通して、患者の片眼または両眼へのレーザヘッド2502の結合を制御することを可能にされることができる。PID2518は、レーザヘッド2502に添着され、患者の顔および眼と接触されることができる。PID2518は、冷却剤溶液(PBS生理食塩水溶液等)を患者の角膜に提供するように構成される、冷却液吸入リングを含むことができる。PID2518およびレーザヘッド2502は、患者の頭部がヘッドレスト2506に静置した状態において、患者の眼と整合されることができる。フットペダルが、手動レーザ印加、撮像制御、または機械的調節のために、医師によって使用されることができる。
【0212】
レーザヘッド2502は、典型的には、2つのレーザ源、3つのレーザ源、4つのレーザ源、またはそれを上回る等の複数のレーザ源と、2ミラー検流計スキャナまたは2つの二重楔プリズム等のレーザスキャナとを含む。ある実施例では、レーザヘッド2502は、約1,470nmにおけるレーザビームを発生させるように構成される、レーザ源を含み、これは、眼内圧を低下させる、または予防治療を提供するため等、本明細書に説明される経強膜治療において使用され得る。ある実施例では、レーザヘッド2502はさらに、約810nmにおけるレーザビームを発生させるように構成される、レーザ源を含み、これは、網膜神経保護用途のため等、本明細書に説明される経瞳孔治療において使用され得る。いくつかの実施例では、810nmにおけるレーザ源(または別のレーザ源)は、ダイオードレーザ線維柱帯形成術(DLT)、マイクロパルスダイオードレーザ線維柱帯形成術(MDLT)、およびレーザ毛様体光凝固術(LCP)等の標準的緑内障治療モダリティのために構成される、レーザビームを発生させることができる。いくつかの実施例では、レーザヘッド2502はさらに、約635nmにおけるレーザビームを発生させるように構成される、レーザ源を含み、これは、レーザヘッド2502を用いて発生および走査される他のレーザビームを照準および心合させるために使用され得る。レーザヘッド2502のレーザスキャナは、患者の眼に結合されるPID2518および/またはコンタクトレンズを通して、1つまたはそれを上回るレーザビームを誘導するために使用されることができる。典型的実施例では、固定された対物レンズ(Fθレンズまたは他の走査光学系等)が、走査ミラーを用いて、選択された位置に走査されるビームを受容し、受容されたビームを標的化された治療場所に合焦(または別様に指向)するように据え付けられる。いくつかの実施例では、回転可能レンズ固定具が、代替対物レンズ(または対物レンズを伴わずに)がレーザスキャナとPID2518との間に結合され得るように、提供されることができる。代表的実施例では、レーザ源から放出されるレーザビームはそれぞれ、固定スポットサイズを有することができるが、いくつかの実施例は、例えば、インラインビームエキスパンダまたはズームレンズを用いて、可変スポットサイズを含むことができる。レーザビームは、典型的には、均質化導波管および/またはレンズアレイ等の好適な均質化光学系によって提供される、均一「シルクハット」強度プロファイルを有する。
【0213】
レーザヘッド2502はまた、PID2518を通して、例えば、レーザスキャナおよび/または対物レンズを通して結合され、患者の眼を撮像し得る、カメラ等の1つまたはそれを上回る撮像デバイスを含むことができる。OCT装置2520等のより複雑な撮像デバイスが、レーザヘッド2502内に収容するために不十分な形状因子が存在する場合、別個に置かれ、例えば、支持部材2516a-2516cに沿って、レーザヘッド2502に結合されることができる。ディスプレイ2522が、スタンド2514に結合され、眼の画像を示し、および/またはレーザ治療の制御のためのグラフィカルユーザインターフェースを提供することができる。ディスプレイ2522およびレーザヘッド2502は、レーザコントローラ2524(PCまたは他のコンピューティングデバイス等)に結合されることができ、これは、プロセッサと、レーザ治療を制御するための命令を記憶する、メモリとを含むことができる。示されるように、レーザ源は、支持部材2516cの端部において、レーザヘッド2502内に据え付けられるが、他の実施例では、レーザ源は、他の位置において、関節運動式支持アームおよびスタンド2514に結合され、支持部材2516a-2516cに沿って、光ファイバ等の好適な導波管を通して結合されることができる。医師は、照準ビーム、カメラ、および/または撮像デバイスを使用することによって、光学系およびPID2518を通してレーザヘッド2502によって放出されるレーザビームと患者の眼を整合させることができる。レーザコントローラ2524は、1つまたはそれを上回る治療ルーチンをアクティブ化するためにユーザ制御とともに構成される、入力インターフェースを含むことができる。例えば、既存の治療パターンが、レーザコントローラ2524内に事前にロードされることができる、または、患者特有のもの等の付加的ルーチンが、外部デバイスからロードされることができる。
【0214】
開示される技術の原理が、図示される実施形態を参照して説明および図示されたが、図示される実施形態は、そのような原理から逸脱することなく、配列および詳細において修正されることができることが認識されるであろう。例えば、ソフトウェア内に示される図示される実施形態の要素は、ハードウェア内に実装されてもよく、その逆も同様である。また、任意の実施例からの技術は、他の実施例のうちの任意の1つまたはそれを上回るものに説明される技術と組み合わせられることができる。図示される実施例を参照して説明されるもの等の手技および機能は、単一ハードウェアまたはソフトウェアモジュール内に実装されることができる、もしくは別個のモジュールが、提供されることができることを理解されたい。上記の特定の配列は、便宜的例証のために提供され、他の配列も、使用されることができる。
【0215】
開示される技術の原理が適用され得る、多くの可能性として考えられる実施形態に照らして、図示される実施形態は、代表的実施例にすぎず、本開示の範囲の限定として捉えられるべきではないことを認識されたい。これらの節において具体的に述べられた代替は、単に、例示的であって、本明細書に説明される実施形態のあらゆる可能性として考えられる代替を構成するわけではない。例えば、本明細書に説明されるシステムの種々の構成要素は、機能および使用において組み合わせられてもよい。したがって、添付の請求項の範囲内に該当する、全てのものが請求される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図4P
図4Q
図4R
図4S
図4T-1】
図4T-2】
図4X
図4Y
図4Z
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25