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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】洗濯機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/12 20060101AFI20230707BHJP
   D06F 33/42 20200101ALI20230707BHJP
   D06F 34/14 20200101ALI20230707BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
D06F37/12 J
D06F33/42
D06F34/14
D06F39/08 311C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021525227
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2019115233
(87)【国際公開番号】W WO2020098519
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】201811359109.9
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】公涛
(72)【発明者】
【氏名】劉尊安
(72)【発明者】
【氏名】程宝珍
(72)【発明者】
【氏名】孫广彬
(72)【発明者】
【氏名】王玲臣
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/095310(WO,A1)
【文献】特開平03-284295(JP,A)
【文献】特開2015-094544(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106702662(CN,A)
【文献】特表2018-533418(JP,A)
【文献】特表2018-528821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0024283(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/12
D06F 33/42
D06F 34/14
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内槽と集水装置を含み、前記内槽が洗浄過程で貯水に用いられ、前記内槽の底部に排水孔が設けられている洗濯機において、
更に、水位検知装置を含み、前記排水孔には常時閉の止水装置が設けられており、止水装置に対応する位置には移動可能な押上ロッドが設けられており、押上ロッドは、止水装置を押し開けて内槽と水位検知装置を密封状に連通させることが可能であり、
更に、排水孔の位置に対応する連通管路を含み、前記押上ロッドは連通管路の内部に設置されており、前記連通管路は、一端が水位検知装置と連通し、他端が排水孔に面する開放式の開口となっており、
前記押上ロッドは第1駆動装置を有しており、前記連通管路のオープンタイプの開口部を備えたもう一方の端は第2駆動装置を有しており、前記第1駆動装置と第2駆動装置は別々に駆動可能であることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記連通管路は、伸縮可能な管路/移動可能な管路であり、開口の一端は上方へ伸出して内槽の底部に当止可能であり、前記連通管路の開口の一端は、押上ロッドに固定接続されるか、押上ロッドとは別体として設置されることを特徴とする請求項に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記連通管路の開口には止水リングが設置されており、前記止水リングの直径は排水孔の直径よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記止水リングの位置は前記押上ロッドの上部よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記止水装置は止水蓋と戻しバネを含み、前記押上ロッドは止水蓋と接触して止水蓋を押し上げることが可能であり、前記戻しバネは、押上ロッドが止水蓋から離脱したあとに止水蓋を位置復帰させて閉状態とすることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯機には排水管路が更に設けられており、前記連通管路における水位検知装置と連通する一端は更に排水管路と連通することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記連通管路には、水位検知装置と排水管路にそれぞれ接続される三方分岐構造が設けられており、前記排水管路には、排水管路の開閉を制御する排水弁が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
洗濯機の制御方法であって、
前記洗濯機は、内槽と集水装置を含み、前記内槽が洗浄過程で貯水に用いられ、前記内槽の底部に排水孔が設けられており、更に、水位検知装置を含み、前記排水孔には常時閉の止水装置が設けられており、止水装置に対応する位置には移動可能な押上ロッドが設けられており、押上ロッドは、止水装置を押し開けて内槽と水位検知装置を密封状に連通させることが可能であり、前記制御方法では、洗濯機が、内槽の静止時に押上ロッドにより止水装置を押し上げることで、内槽と水位検知装置を連通させて水位を検知し、
前記洗濯機の押上ロッドと連通管路は別々に駆動可能であり、前記制御方法では、内槽の静止時に内槽の水位検知を要する場合には、連通管路が上方へ移動して排水孔を密封状に取り囲み、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽内の水が連通管路から水位検知装置に流入して検知され、排水を要する場合には、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽と集水装置が連通して排水することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記洗濯機の連通管路における水位検知装置と連通する一端は更に排水管路に接続されており、前記連通管路には、水位検知装置と排水管路にそれぞれ接続される三方分岐構造が設けられており、前記排水管路には、排水管路の開閉を制御する排水弁が設けられており、前記制御方法では、内槽の静止時に内槽内の水位検知を要する場合には、排水弁が閉止した状態で、押上ロッドと連通管路が上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽と水位検知装置が密封状に連通し、排水を要する場合には、排水弁を開放し、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開けることを特徴とする請求項8に記載の洗濯機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電気製品の分野に属し、具体的には、洗濯機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のパルセータ洗濯機は、内槽に通水孔が設けられており、内槽と外槽が連通している。内槽は洗浄槽、外槽は貯水槽となるが、内槽と外槽の側壁の間に満たされる水は洗浄には関与せず、実際に洗浄に関与するのは内槽内の水のみである。よって、大量の水資源が無駄になってしまう。このほか、内槽と外槽の間の水が多すぎる場合には、洗浄液中の液体洗剤/粉末洗剤の濃度が低下する。また、水流が内槽と外槽の間を頻繁に行き来するため、使用を続けるうちに、内槽と外槽の側壁の間の領域が汚れや垢の溜まり場となってしまう。このことから、水道水中の水垢、粉末洗剤からの遊離物、衣類のセルロース、人体の有機物及び衣類により持ち込まれる埃や細菌が内槽と外槽の側壁の間に極めて容易に滞留する。
【0003】
従来技術には、洗浄時に槽間に水を有さない洗濯機が存在する。このような洗濯機では、内槽の上部にのみ脱水孔が周設されている。また、上部に開閉可能な排水孔が設けられており、洗浄時には排水孔を閉塞することで、内槽と外槽の間に水を存在し得なくする。上記の洗濯機は内槽と外槽が連通していないため、内槽に水位検知装置を直接設置することができない。そこで、通常は、給水装置に流量計を設置し、給水弁を通過した総流量を算出することで内槽内の水量を判断する。しかし、上記の設置方式では内槽内の水量を間接的に検知するため、正確でない可能性がある。且つ、水質等を原因として流量が機能を喪失し、給水を停止できない場合もある。
【0004】
上記の洗濯機には、更に、洗浄過程で内槽とパルセータの双方が回転するデュアルパワーの設置方式も存在する。この場合には、外槽に設置したバルブプラグで内槽の排水孔を閉塞することができず、内槽の水位を検知することもできない。
【0005】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、洗濯機及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0008】
洗濯機は、内槽と集水装置を含む。前記内槽は洗浄過程で貯水に用いられ、前記内槽の底部に排水孔が設けられている。また、水位検知装置を更に含む。前記排水孔には常時閉の止水装置が設けられており、止水装置に対応する位置には移動可能な押上ロッドが設けられている。押上ロッドは、止水装置を押し開けて内槽と水位検知装置を密封状に連通させることが可能である。
【0009】
前記洗濯機は、更に、排水孔の位置に対応する連通管路を含み、前記押上ロッドは連通管路の内部に設置されている。前記連通管路は、一端が水位検知装置と連通し、他端が排水孔に面する開放式の開口となっている。
【0010】
前記連通管路は、伸縮可能な管路/移動可能な管路であり、開口の一端が上方へ伸出して内槽の底部に当止可能である。前記連通管路の開口の一端は、押上ロッドに固定接続されるか、押上ロッドとは別体として設置される。
【0011】
前記連通管路の開口には止水リングが設置されている。前記止水リングの直径は排水孔の直径よりも大きい。好ましくは、前記止水リングの位置は前記押上ロッドの上部よりも高い。
【0012】
前記止水装置は止水蓋と戻しバネを含む。前記押上ロッドは止水蓋と接触して止水蓋を押し上げることが可能である。前記戻しバネは、押上ロッドが止水蓋から離脱したあとに止水蓋を位置復帰させて閉状態とする。
【0013】
前記洗濯機には排水管路が更に設けられている。前記連通管路における水位検知装置と連通する一端は更に排水管路と連通する。好ましくは、前記連通管路には、水位検知装置と排水管路にそれぞれ接続される三方分岐構造が設けられている。前記排水管路には、排水管路の開閉を制御する排水弁が設けられている。
【0014】
前記押上ロッドは第1駆動装置を有しており、前記連通管路は開口端に第2駆動装置を有している。前記第1駆動装置と第2駆動装置は別々に駆動可能である。
【0015】
洗濯機の制御方法において、洗濯機は上記の洗濯機である。制御方法では、洗濯機が、内槽の静止時に押上ロッドにより止水装置を押し上げることで、内槽と水位検知装置を連通させて水位を検知する。
【0016】
前記洗濯機の連通管路における水位検知装置と連通する一端は更に排水管路に接続されている。前記連通管路には、水位検知装置と排水管路にそれぞれ接続される三方分岐構造が設けられている。前記排水管路には、排水管路の開閉を制御する排水弁が設けられている。前記制御方法では、内槽の静止時に内槽内の水位検知を要する場合には、排水弁が閉止した状態で、押上ロッドと連通管路が上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽と水位検知装置が密封状に連通する。排水を要する場合には、排水弁を開放し、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開ける。
【0017】
前記洗濯機の押上ロッドと連通管路は別々に駆動可能である。前記制御方法では、内槽の静止時に内槽の水位検知を要する場合には、連通管路が上方へ移動して排水孔を密封状に取り囲み、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽内の水が連通管路から水位検知装置に流入して水位検知が行われる。排水を要する場合には、押上ロッドが上方へ移動して止水蓋を押し開けることで、内槽と集水装置が連通して排水する。
【発明の効果】
【0018】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0019】
(1)洗浄過程で槽間に水が存在しないため、大量の水資源を節約可能である。また、槽間に洗浄水が蓄えられることで細菌が繁殖し、衣類を汚染するとの事態も回避可能である。
【0020】
(2)内槽には常時閉方式の止水装置が設けられており、その他の部材から干渉を受けることなく、セルフ密封を実現することができる。よって、集水装置に排水孔を閉塞するための部材を設置する必要がなく、洗浄過程で内槽が回転可能となるため、洗浄過程におけるデュアルパワーが実現される。
【0021】
(3)常時閉方式の止水装置を押し上げる押上ロッドを設置することで、排水及び水位検知を実現しているため、構造がシンプルであり、実現しやすい。且つ、水位検知は、内槽と連通することで直接行われるため、より正確な検知結果を得ることができる。
【0022】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0023】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の洗濯機を示す図である。
図2図2は、本発明における図1のA部分の拡大図である。
図3図3は、本発明における水位検知の制御方法を示す図である。
図4図4は、本発明における排水の制御方法を示す図である。
図5図5は、本発明における水位検知の制御方法を示す図である。
図6図6は、本発明における排水の制御方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0026】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0027】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0028】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0029】
図1に示すように、本発明は洗濯機に関する。前記洗濯機は、内槽1と集水装置2を含む。前記内槽1の底部には排水孔11が設けられている。また、前記内槽1の側壁には、上部にのみ脱水孔が周設されている。脱水過程では、内槽が回転することで内槽1内の残留水を上部の脱水孔から逃がし、集水装置2に流入させて本体から排出する。
【0030】
従来技術では、排水孔にバルブプラグが設置されている。バルブプラグは集水装置に設置されており、上下動することで排水孔の開閉を実現する。洗浄過程では、バルブプラグが排水孔に当止するため、内槽は洗浄過程で回動することができない。つまり、バルブプラグを設置することで内槽の運動が制限されてしまう。そこで、本発明では、内槽の排水孔11に止水装置を設置している。当該止水装置は常時閉状態であるため、内槽は、給水及び洗浄時に貯水が可能であるとともに、回転して洗浄用の動力を供給することも可能である。
【0031】
ここで、図2を参照する。図2は、図1のA部分の拡大図であって、止水装置等の構造をより明瞭に示すことが可能である。前記止水装置は機械構造であり、集水装置2に設置されている押上ロッド4によって止水装置を押し開けることができる。
【0032】
図2に示すように、前記押上ロッド4は、下部に押上ロッド4を上下方向に運動させるよう駆動可能な駆動装置が設けられている。内槽1に貯水する必要がある場合には、押上ロッド4が止水装置から離れて止水装置を閉塞状態とする。また、止水装置を開放する必要がある場合、押上ロッド4は上方へ運動して止水装置に当止することが可能である。
【0033】
本発明の洗濯機は、水位検知装置6を更に含む。前記水位検知装置6にはガス室が設けられている。前記ガス室は貯水タンクの底部と連通しており、貯水タンク内の水圧がガス室内のガスを圧縮する。よって、ガス室内のガスの圧力を測定することで、対応する水位データが得られる。
【0034】
本発明の洗濯機には、連通管路5が更に設けられている。押上ロッド4が止水装置を押し開けると、内槽1内の水が連通管路5を通じて水位検知装置6に流入することで、内槽1内の水位の検知が実現される。
【0035】
図2に示すように、前記押上ロッド4は連通管路5の内部に設置されている。連通管路5の内部に設置することで、押上ロッド4が止水装置を押し開けたとき、水を排水孔11から連通管路5に直接進入させて、水位検知装置6に流入させることが可能となる。
【0036】
前記連通管路の一端は、水位検知装置6と連通している。即ち、ガス室と連通している。また、他端は開放式の開口となっており、移動後に排水孔11を取り囲む。これにより、排水孔11内の水は連通管路5に沿って流出し、水位検知装置6に進入する。開放式の開口は排水孔11を取り囲む必要があるため、設置位置を排水孔11の位置に対応させる必要がある。即ち、連通管路5を排水孔11の位置に合わせる必要がある。排水孔11に設置されている止水蓋31が開放されたあとは、連通管路5によって排水孔11を密封状に取り囲むことができる。これにより、内槽1内の水は集水装置2に漏出することなく、連通管路5に流入して水位の検知が行われる。
【0037】
連通管路5は上下に移動する。よって、止水装置が密封状態の場合に連通管路5を退避させれば、内槽1の回転に支障をきたすことがなくなる。連通管路5は、硬質の管路として管路全体を移動可能としてもよいし、排水孔11寄りの位置を伸縮可能な管路とし、伸縮部52を設けることで排水孔11の密封及び離脱を実現してもよい。連通管路5は、上方へ移動したときに内槽1の底部に当止可能であり、排水孔11の位置全てを取り囲むことで、内槽1内の水を連通管路5沿いにのみ流動させる。
【0038】
押上ロッド4と連通管路5は、水位の検知を要する際にいずれも上方へ移動させる必要がある。そのため、連通管路5の一端を押上ロッド4に固定接続し、一体的に移動させてもよい。しかし、排水設定の違いにより、連通管路5と押上ロッド4を別体として設け、別々に駆動させてもよい。この場合には、押上ロッド4が止水装置を押し開けたあと、内槽1内の水を集水装置2にも排出することが可能となる。
【0039】
図2に示すように、前記連通管路5の開口には止水リング51が更に設置されている。前記止水リング51はゴム材質からなる。前記止水リング51は、連通管路5が内槽1と連通したときに、内槽1内の水が接続箇所から漏れ出し、集水装置2に進入することで水位検知の結果が不正確になるとの事態を防止するためのものである。つまり、止水リング51を設置することで、連通管路5が内槽1の底部に当止したときに密封構造が形成される。これにより、漏水しないよう保証可能になるとともに、検知結果の精度についても保証可能となる。
【0040】
止水リング51の直径は、排水孔11の直径よりも大きくする必要がある。また、止水リング51と排水孔11が円形でない場合には、密封効果が得られるよう、止水リング51のサイズは排水孔11を全て内部に取り囲めるようにする必要がある。
【0041】
このほか、連通管路5が排水孔11と連通するタイミングと、押上ロッド4が止水装置と接触して開放するタイミングには一定の時間差を持たせるべきである。即ち、まず連通管路5を所定の位置に設置し、確実に密封環境を形成してから、押上ロッド4を止水装置に接触させて止水装置を押し開けることで、内槽1内の水を連通管路5に進入させるべきである。好ましくは、前記止水リング51の位置は押上ロッド4の上部よりも高くなっている。こうすることで、止水リング51が先に内槽1と接触し、密封構造を形成する。また、ゴム及び管路はいずれも収縮性を有しているため、止水リング51が内槽1と接触したあとも、押上ロッド4は上方へ運動して止水装置を押し開けることが可能である。
【0042】
前記止水装置は止水蓋31を含む。図2に示すように、押上ロッド4を押し上げる際に止水蓋にかかる水の作用力が小さくなるよう、前記止水蓋31の上部は円弧状の球面をなしている。止水蓋31は排水孔11に適合しており、且つ、漏水を防止するパッキン等の構造が設けられている。
【0043】
図2に示すように、止水蓋31は止水面を有しているほか、止水蓋31の下端から押上部が延伸している。前記押上部は押上ロッド4に対応する位置に設けられている。押上ロッド4は、押上部に突き合わされることで、止水蓋31全体を押し上げることが可能である。また、これにより、止水蓋31が内槽1から分離して、内槽1内の水が排水孔11から流れ出す。
【0044】
前記止水装置は常時閉方式で止水することから、更に戻しバネ32が設けられている。押上ロッド4等の外力が作用していないとき、止水装置は戻しバネ32の作用で常時閉状態となることで、内槽1底部の密封を保証する。
【0045】
戻しバネ32は押上部の外周に装着されている。戻しバネ32は、一端が止水蓋31に当止しており、他端が固定位置に当止してネジにより空洞内に位置規制されている。
【0046】
通常、内槽の底部には排水孔が設けられている。当該排水孔は、一般的には集水装置と連通可能であり、集水装置を通じて内槽内の水を本体の外部に排出する。しかし、本発明では、内槽の排水孔11に水位検知装置6と連通可能な連通管路5を設置しているため、内槽は排水時に2種類の実施形態を有し得る。
【0047】
<実施例1>
内槽からの排水は、連通管路を経由して排出される。
【0048】
前記連通管路5における水位検知装置6側の一端には三方分岐構造が設けられている。そのため、連通管路5からの水は、水位検知装置6に流入して水位の検知を実施可能であるとともに、排水管路に流入して排水することも可能である。バルブ等の構造を設置してこれらを制御することで、水位検知機能と排水機能をそれぞれ実現可能となる。
【0049】
前記排水管路には排水弁が設けられており、排水弁の開閉によって上記の機能を実現可能である。
【0050】
上記設置方式の制御方法を図3及び図4に示す。図3は、上記のように設置した状況で水位検知を要する場合の制御方法を示している。図4は、上記のように設置した状況で排水を要する場合の制御方法を示している。
【0051】
洗濯機の内槽1は、デュアルパワー洗浄を実現すべく、洗浄過程で回転するよう設置可能である。そのため、内槽の回転を妨げないよう、内槽1の回転過程において、押上ロッド4及び連通管路5は内槽1と接触不可能とされる。内槽1は、回転を止めたときに所定の位置に停止する。当該位置において、止水装置と押上ロッド4及び連通管路5が突き合わされることで、開放及び連通の目的が実現される。
【0052】
図3に示すように、内槽1が水位検知を要する場合には、連通管路5が水位検知装置6と排水管路の双方と連通しているため、排水弁が閉止されているか否かを判断する必要がある。これをしなければ、内槽1内の水が排水管路から流出することで、水位の検知を実現できなくなる。排水弁が装置を開放している場合、洗濯機は排水弁を閉止するよう制御してからその後の操作を行う。排水弁が閉状態になると、押上ロッド4と連通管路5が上方へ移動し(同時に移動してもよいし、別々に駆動してもよい)、連通管路5上の止水リング51が内槽1の底部に当止することで、排水孔11を密封状に取り囲む。密封状の接続が形成されたあと、押上ロッド4は引き続き上方へ移動して止水蓋31を押し開ける。このとき、内槽1内の水が排水孔11から流出可能となり、連通管路5を通じて水位検知装置6に流入する。これにより、内槽1内の水圧がガス室内のガスに作用することで、ガス室内の気圧が内槽1内の水位に反応する。そして、水位検知装置6がデータを洗濯機にフィードバックすることで、水位検知過程が完了する。
【0053】
本実施例では、先に排水孔11を密封してから、止水装置の押し開け操作を実行するよう、押上ロッド4と連通管路5の駆動装置を別々に駆動させてもよい。
【0054】
内槽1が排水を要する場合には、排水管路の排水弁を確実に開放する必要がある。そして、押上ロッド4と連通管路5が上方へ移動し、連通管路5の止水リング51が内槽1に当止して排水孔11を取り囲むことで、密封状の接続が形成される。その後、押上ロッド4が止水装置を押し上げると内槽1が排水管路と連通し、内槽内の水が排出される。
【0055】
上記の方式では、排水過程において内槽内の水を集水装置に進入させる必要がないため、集水装置に洗浄水が残留して細菌が繁殖し、清浄化に不利になるとの事態が回避される。
【0056】
<実施例2>
押上ロッドと連通管路は別々に駆動され、排水は集水装置を通じて排出される。
【0057】
前記押上ロッド4と連通管路5はそれぞれ異なる役割を有している。前記押上ロッド4は、止水装置を押し上げて内槽1と外部との連通を実現するために用いられる。一方、連通管路5の役割は、排水孔11を取り囲むことで内槽1と水位検知装置6との連通を実現し、水位検知を可能とすることである。よって、押上ロッド4に第1駆動装置を設け、連通管路5に第2駆動装置を設けることで、これらを別々に駆動可能とする。内槽1が排水を要する場合には、押上ロッド4のみを駆動させて止水装置を押し開けることで、内槽1内の水を集水装置2に流入させる。そして、洗濯機が集水装置2内の水を排出することで排水を実現する。一方、内槽1の水位検知を要する場合には、押上ロッド4と連通管路5の双方を駆動させる。この場合には、先に連通管路5を駆動させて閉塞を実現してから、押上ロッド4を駆動させて止水装置を開放し、内槽1内の水を密閉された流路から水位検知装置6に進入させてもよい。
【0058】
上記のように設置する場合の制御方法を図5及び図6に示す。図5は、本実施例が水位検知を要する場合の制御方法を示している。図6は、本実施例が排水を要する場合の制御方法を示している。
【0059】
図5に示すように、内槽1が水位検知を要する場合には、押上ロッド4と連通管路5が上方へ移動する。そして、連通管路5の止水リング51が内槽1の底部に当止し、排水孔11を取り囲むことで密封構造を形成する。押上ロッド4は引き続き上方へ移動して止水蓋31を押し開け、内槽1と連通管路5を連通させる。これにより、内槽1内の水は連通管路5を通じて水位検知装置6に流入する。水位検知装置6は、水位データを取得したあと洗濯機にフィードバックし、検知を終了する。
【0060】
図6に示すように、内槽1が排水を要する場合には、押上ロッド4のみが上方へ移動して止水蓋31を押し開ける。このとき、内槽1と集水装置2の連通が実現されて、内槽1内の洗浄水が集水装置2に進入したあと、集水装置2に設置された排水管路を通じて排出される。
【0061】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0062】
1 内槽
11 排水孔
2 集水装置
31 止水蓋
32 戻しバネ
4 押上ロッド
5 連通管路
51 止水リング
52 伸縮部
6 水位検知装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6