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特許7308973炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料の製造方法及びそれによる炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料
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  • 特許-炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料の製造方法及びそれによる炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-06
(45)【発行日】2023-07-14
(54)【発明の名称】炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料の製造方法及びそれによる炭化ケイ素-窒化ケイ素複合材料
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/30 20060101AFI20230707BHJP
   C04B 35/596 20060101ALI20230707BHJP
   C04B 35/577 20060101ALI20230707BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
C23C16/30
C04B35/596
C04B35/577
C04B41/87 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021561698
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 KR2020003339
(87)【国際公開番号】W WO2020213835
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0044654
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519053658
【氏名又は名称】トカイ カーボン コリア カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ サン チュル
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-129365(JP,A)
【文献】米国特許第07446066(US,B1)
【文献】特開平07-252662(JP,A)
【文献】特開昭56-017988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
C04B 35/596
C04B 35/577
C04B 41/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型を準備するステップと、
前記鋳型上に1100℃~1600℃で、Si、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップと、
を含み、
前記SiC-Si複合材料のうちSiは、40体積%~70体積%であり、前記SiC-Si 複合材料を形成するステップはCVD法に基づく、SiC-Si複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記導入する原料ガスのうち、窒素(N)と炭素(C)原料ガスの窒素(N)成分と炭素(C)成分が1:1である場合、Nソース/Cソースの体積比率が0.4~2である、請求項1に記載のSiC-Si複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、500℃~860℃である、請求項1に記載のSiC-Si複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、600℃~860℃である、請求項1に記載のSiC-Si複合材料の製造方法。
【請求項5】
SiC及びSiを含み、熱衝撃強度が600℃~860℃であるSiC-Si複合材料であって、
前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、40体積%~70体積%であり、前記SiC-Si 複合材料はCVD法に基づいて形成される、SiC-Si複合材料。
【請求項6】
前記SiC-Si複合材料は、不定形のSiC結晶粒と針状構造のSi結晶粒が混合されている、請求項に記載のSiC-Si複合材料。
【請求項7】
前記SiC-Si複合材料のうち、前記Siの体積比が68体積%~70体積%である場合、Si/SiCメインピークの回折強度比は0.2~1.5である、請求項に記載のSiC-Si複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素-窒化ケイ素(SiC-Si)複合材料の製造方法及びそれによる炭化ケイ素-窒化ケイ素(SiC-Si)複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
SiC(炭化ケイ素)は、六方晶系の結晶構造を有する高温型(α型)、及び立方晶系の結晶構造を有する低温型(β型)が知られている。SiCは、Siに比べて耐熱性が高いだけではなく、広いバンドギャップを有し、絶縁破壊の電界強度が大きいという特徴がある。そのために、SiC単結晶からなる半導体は、Si半導体に代って次世代パワーデバイスの候補材料として期待されている。特に、α型SiCは、シリコンよりもバンドギャップが広いため、超低電力の損失パワーデバイスの半導体材料として注目を浴びている。
【0003】
最近、ウェハーに直接的な影響を及ぼす半導体製造用部品素材に対する関心が増大しており、既存のSintered-SiC素材よりも高温で耐変形性の高い清浄性及び化学的に耐食性に優れるCVD-SiC素材を用いてプラズマガス制御装置が製造されれば、既存の素材に比べてプラズマガス制御装置の寿命が2~3倍増加するものと予測される。
【0004】
CVD-SiC素材は、CVD(化学的気相蒸着法)を用いてグラファイトにSiCを積層させた後、グラファイトを取り除いた高純度のSiCであり、このように作られたCVD-SiCは、表面平坦度のために研削加工を経てからプラズマガス制御装置の形状に応じる研削加工が行われる。
【0005】
このようなCVD-SiC素材で従来に幅広く使用されていたウェハーはダミーウェハー(dummy wafer)であって、生産工程の初期に安全性を高めるために使用され、大きさ及び厚さが重要な要素として作用する。しかし、前記ダミーウェハーは、熱衝撃強度が450℃程度であり、工程時間を短縮するために急激な昇温及び冷却時に任意にクラックが生じ、Siウェハーの破損及び拡散(diffusion)装備の破損が現れた。
【0006】
従って、高純度及び高い熱衝撃強度を有する素材が求められている実状であり、単にシリコンカーバイトだけでなく、シリコンナイトライドのようなシリコン窒化物を混合した複合材に対する要求が高まっている。
【0007】
特に、シリコン窒化物及びシリコンカーバイト複合材の高密度化、緻密性の確保などが改善されて機械的物性を改善させるための方法が研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題を解決するためのもので、本発明の目的は 、鋳型を準備するステップ、及び前記鋳型上に1100℃~1600℃でSi、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップを含むSiC-Si複合材料の製造方法を提供することにある。
【0009】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものなどに制限されず、言及されない他の課題は下記の記載によって当該分野の当業者に明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るSiC-Si複合材料の製造方法は、鋳型を準備するステップと、前記鋳型上に1100℃~1600℃で、Si、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップとを含む。
【0011】
本発明の一実施形態により、前記導入する原料ガスのうち、窒素(N)と炭素(C)原料ガスの窒素(N)成分と炭素(C)成分が1:1である場合、Nソース/Cソースの比率が0.4~2であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、10体積%~70体積%であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、500℃~860℃であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、600℃~860℃であり、前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、40体積%~70体積%であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料を形成するステップはCVD法に基づいてもよい。
【0016】
本発明の他の一実施形態に係るSiC-Si複合材料は、SiC及びSiを含み、熱衝撃強度が600℃~860℃であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、10体積%~70体積%であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、不定形のSiC結晶粒と針状構造のSi結晶粒が混合されていてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料のうち、前記Siの体積比が68体積%~70体積%である場合、Si/SiCメインピークの回折強度比は0.2~1.5であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、前述した一実施形態係る製造方法に基づいて製造されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、鋳型を準備するステップと、前記鋳型上に1100℃~1600℃でSi、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップを含むSiC-Si3N4複合材料の製造方法を提供することができる。
より詳細には、CVD方式で熱衝撃強度が高い素材(Δ℃であるSiを共に成長させてSiC素材の熱衝撃強度を高め、半導体工程にも適用可能な高純度のSiC-Si複合材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来におけるSiCウェハー(dummy wafer)の断面図である。
図2】従来におけるSiCウェハー(dummy wafer)の表面微細構造のイメージである。
図3】本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料の表面微細構造のイメージである。
図4】本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のN/Cソース比によるSi含量比の変化グラフである。
図5】本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のN/Cソース比によるSiの含量比が69%であるとき、2-thetaによる強度値グラフである。
図6】本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のSi含量による熱衝撃強度の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付する図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。また、本明細書で使用される用語は、本発明の好適な実施形態を適切に表現するために使用される用語であって、これはユーザ、運用者の意図又は本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。従って、本用語に対する定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいて下されなければならないのであろう。各図面に提示されている同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0024】
明細書の全体において、いずれかの部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これはいずれかの部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材間に更なる部材が存在する場合も含み、詳細には、構成要素(element)又は層が異なる要素又は層「上(on)」、「に接続された(connected to)」、又は「に結合された(coupled to)」ものとして示すとき、これが直接的に他の構成要素又は層にあるか、接続されるか、又は干渉構成要素又は層(intervening elements and layer)が存在し得ると理解される。
【0025】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、他の構成要素を取り除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味し、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の異なる特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたもの存在又は付加可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0026】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0027】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0028】
以下、本発明のSiC-Si複合材料の製造方法及びこれによって製造されたSiC-Si複合材料について、実施形態及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明がこのような実施形態及び図面に制限されることはない。
以下、実施形態及び比較例により本発明をより詳細に説明する。
【0029】
但し、下記の実施形態は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施形態により限定されることはない。
【0030】
本発明の一実施形態に係るSiC-Si複合材料の製造方法は、鋳型を準備するステップ、及び前記鋳型上に1100℃~1600℃でSi、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップを含む。
【0031】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、SiCに比べて相対的に高い熱衝撃強度を有するSi素材を含んでもよい。
【0032】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、CVD方式に基づいて製造し、半導体工程のうち拡散工程のような500℃以上の熱衝撃強度が求められる製品群に適用してもよい。
【0033】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料のSiC-Siは、500℃以上の熱衝撃を繰り返して加えられる過酷な工程で使用可能なもので、熱衝撃強度(ΔT)が1000℃又はそれ以上であってもよい。
【0034】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料を製造するためには、CVD法に基づいて製造されることが好ましい。
【0035】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、強度、非弾性が高く、優れた高温強度及び熱衝撃に強い性質を有し、それだけでなく、高温酸化雰囲気で酸化問題も改善されたものである。
【0036】
一側面によると、前記SiCは融点が高く、靭性が良くて耐酸化性及び耐摩耗性に優秀なものであれば、特に制限されることはない。
【0037】
一側面によると、前記Siは内部に酸素が存在せず、酸素の拡散係数が極めて低い材料であって、酸素に対するバリア(barrier)の役割を果たして高温における破壊強度、破壊靱性、耐熱衝撃特性に優れ、特に、耐摩耗性の側面でSiCよりも優れる。
【0038】
一側面によると、前記鋳型を準備するステップにおいて、前記鋳型はSiCを含んでもよく、前記SiCを含む鋳型は、焼結法又はCVDを用いて製造されたものであってもよい。当技術分野で幅広く知られたSiC焼結方法又はSiC CVD(化学気相蒸着法)であれば、制限されることなく使用されてSiC素材の鋳型を準備することができる。
【0039】
一側面によると、前記鋳型上に1100℃~1600℃であり、Si、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップにおいて、前記原料ガスの供給の速度又は種類に応じて、SiC-Si複合材料の物性が変わり得る。
【0040】
一側面によると、前記Si、N、及びCを含む原料ガスは、ケイ素、窒素、及び炭素を供給できるガスであれば特に制限されないが、その一例として、TCS、MTS、SH、SiCl、N、HN、CH及びCからなる群から選択される1つ以上を含んでもよい。
【0041】
一側面によると、前記Si、N、及びCを含む原料ガスは、ケイ素、窒素、及び炭素を全て含み、一種類のガス供給だけでCVDによる蒸着が行われてもよく、ケイ素、窒素又は炭素をそれぞれ含む各原料ガスの複合的な供給により段階的にCVDによる蒸着が行われてもよい。
【0042】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料を形成するステップは様々な温度で実行されてもよいが、熱的CVDを使用する場合1100℃~1600℃で実行されることが好ましく、1100℃よりも低い温度では蒸着が実行され難く、1600℃よりも高温では蒸着し難いか、鋳型が損傷するという恐れがある。
【0043】
一側面によると、前記Si、N、及びCを含む原料ガスを導入してSiC-Si複合材料を形成するステップは、Si、N、及びCを含む原料ガスをCVD蒸着装置の反応チャンバ内に注入するステップを含んでもよく、前記反応チャンバ内に注入されるガスは、Si、N、及びCを含む原料ガスの他にも不活性ガスをさらに含んでもよい。
【0044】
一側面によると、前記反応チャンバ内の蒸着圧力は400torr~700torrであってもよい。
【0045】
本発明の一実施形態により、前記導入する原料ガスのうち、窒素(N)と炭素(C)原料ガスの窒素(N)成分と炭素(C)成分が1:1である場合、Nソース/Cソースの比率が0.4~2であってもよい。
【0046】
一側面によると、前記数値範囲内のNソース/Cソースの比率を有する原料ガスを導入する場合、SiC及びSiの比率が適切に調和され、熱衝撃強度が高くて急激な昇温及び冷却時にもクラックが発生しない、優秀なSiC-Si複合材料を製造することができる。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のNソース/Cソース比によるSiの含量比の変化グラフである。図4に示すように、Nソース/Cソース比が0.4~2である場合、Siの含量比が約10%~70%になり、SiC-Si複合材料内で一定の含量比を含み、優秀な熱衝撃強度を確保することができる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のNソース/Cソース比=2によるSiの含量比が69%であれば、2-thetaによる強度値グラフであって、β-SiC及びα-Si結晶構造を意味し、Siの含量比により各 結晶構造のメインピークの回折強度比が変化することになる。図5に示すように、Siの含量比が69%である場合には、Siメインピークの回折強度/SiCメインピークの回折強度比が1.5になる。
【0049】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、10体積%~70体積%であってもよい。
【0050】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料のうち、Siの体積含量が10体積%未満である複合材料であれば、Siの含量が小さ過ぎて熱衝撃強度が低く、急激な温度変化によりクラックが発生することで拡散装備が破損する一方、Siの体積含量が70体積%超過すれば、Siの含量が高過ぎてSiCの含量が低くなり、CVD蒸着による成長が困難になる。
【0051】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、500℃~860℃であってもよい。
【0052】
一側面によると、前記熱衝撃強度の測定は、KS L1611測定方法により測定してもよい。
【0053】
一側面によると、前記熱衝撃強度は、急激な昇温及び冷却による温度差に基づいてもクラックが発生することなく耐える物性を意味し、ΔTのように現してもよい。
【0054】
一側面によると、前記熱衝撃強度が500℃~860℃であることは、前記SiC-Si複合材料が500℃~860℃の温度差でもクラックが発生することなく、Siウェハーの破損及び拡散装備の破損が生じないことを意味する。
【0055】
一側面によると、前記熱衝撃強度が500℃未満であれば、半導体ウェハー工程において、反復的な熱衝撃により頻繁なクラックが発生する恐れがあり、860℃を超過すれば現実的な製造が難しい。
【0056】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、600℃~860℃であり、前記SiC-Si複合材料のうち、前記Siは、40体積%~70体積%であってもよい。
【0057】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、600℃~860℃であることが好ましい。
【0058】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料のうち、熱衝撃強度を高めるために混合するSiの体積含量は、40体積%~70体積%であることが好ましい。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のSi含量による熱衝撃強度の変化を示したグラフであり、Si含量が40%を超過する時点で熱衝撃強度が600℃以上であり、Si含量が80%未満になるまで、熱衝撃強度が700℃未満まで急速に増加することが確認される。
【0060】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料を形成するステップはCVD法に基づいてもよい。
【0061】
一側面によると、前記CVD法は通常使用されるCVD(化学気相蒸着法)であれば特に制限されず、その一例として、誘導結合プラズマ化学蒸着(Inductively Coupled Plasma-ChemicalVapor Deposition;ICP-CVD)、低圧化学蒸着(Low Pressure ChemicalVapor Deposition;LPCVD)、常圧化学蒸着(Atmospheric Pressure ChemicalVapor Deposition;APCVD)及びプラズマ化学蒸着(Plasma-enhanced chemical vapor deposition;PECVD)が含まれてもよい。
【0062】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、不浸透性を有してもよい。
【0063】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、従来におけるSiCの透過特性を改善させて不透過特性を示し、高純度及び高い熱衝撃強度を有することができる。
【0064】
本発明の更なる一実施形態に係るSiC-Si3N4複合材料は、SiC及びSiを含み、熱衝撃強度が600℃~860℃である。
【0065】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、SiC及びSiが混合したもので、600℃~860℃の急激な温度差でもクラックが発生しない。
【0066】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料のうち前記Siは、10体積%~70体積%であってもよい。
【0067】
一側面によると、前記Siの体積比は、XRD装備(Regaku、DMAX2000)を用いて測定電圧と電流値がそれぞれ40kV、40mAであり、scan speed10、scan step0.05で測定し、測定されたデータ上でJCPDSデータと同じβとα-Siのピークが全て現れ、各SiCとSiの結晶相のピーク面積に総和に対する比率に基づいて分析したものである。
【0068】
一側面によると、前記SiC-Si複合素材のうち前記Siは、40体積%~70体積%であることが好ましい。
【0069】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、不定形のSiC結晶粒と針状構造のSi結晶粒が混合したものであってもよい。
【0070】
一側面によると、前記SiC結晶粒は、不定形の薄い片状であってもよく、前記Si結晶粒は針状構造として互いに混合したものであってもよい。
【0071】
図2は、従来におけるSiCウェハーの表面微細構造のイメージであり、図3は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料の表面微細構造のイメージである。図2に示すように、従来におけるSiCだけを用いたウェハーの場合、不定形の薄い片状の断面構造のみが示されていることが確認され、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料の場合、図3において、不定形のSiC結晶粒と針状構造のSi結晶粒とが混合していることが確実に確認される。
【0072】
発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合素材のうち前記Siの体積比が68体積%~70体積%である場合、Si/Si Cメインピークの回折強度比は0.2~1.5であってもよい。
【0073】
図4は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のNソース/Cソース比によるSiの含量比の変化グラフである。図4に示すように、Nソース/Cソース比が0.4~2である場合、Siの含量比が約10%~70%になって、SiC-Si複合材料内で一定の含量比を含み、優れる熱衝撃強度を確保することができる。
【0074】
図5は、本発明の実施形態により製造されたSiC-Si複合素材のNソース/Cソース比=2によるSiの含量比が69%であるとき、2-thetaによる強度値グラフであって、β-SiC及びα-Si結晶構造を意味し、Siの含量比により各 結晶構造のメインピークの回折強度比が変化する。図5に示すように、Siの含量比が69%である場合、Siメインピークの回折強度/SiCメインピークの回折強度比が1.5になる。
【0075】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、不浸透性を有してもよい。
【0076】
一側面によると、前記SiC-Si複合材料は、従来におけるSiCの透過特性を改善させて不透過特性を示し、高純度及び高い熱衝撃強度を有し得る。
【0077】
本発明の一実施形態により、前記SiC-Si複合材料は、前述した一実施形態に係る製造方法に基づいて製造されることができる。
【0078】
以下、実施形態及び比較例によって本発明をより詳細に説明する。
【0079】
但し、下記の実施形態は本発明を例示するためのもので、本発明の内容が下記の実施形態に限定されることはない。
【0080】
実施形態:SiC-Si 複合材料の製造
CVD方式に基づいてSiとSiCが形成される温度である1100℃~1600℃においてSi、N、Cソースを投入し、SiC-Si複合素材を製造した。
【0081】
この場合、Nソース/Cソース比は窒素(N)と炭素(C)原料ガスの窒素(N)成分と炭素(C)成分が1:1である場合にNソース/Cソース比に関し、0.4~2であり、全体の素材でSiの体積比は13%~70%であった。
【0082】
このような複合材料SiC-Si複合材料の熱衝撃強度は、熱衝撃強度測定器で測定した結果、Δ=600℃~860℃で測定された。
【0083】
図1は、従来におけるSiCウェハーの断面図であり、図2は、従来におけるSiCウェハーの表面微細構造のイメージである。
【0084】
図3は、一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料の表面微細構造のイメージであって、図2と比較するとき、針状と不定形の結晶粒が混合したものが確認された。これによって従来の図2に基づいた不定形構造のSiCウェハーと比較するとき、針状構造のSiが含まれていることが確かに確認された。
【0085】
図4は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のNソース/Cソース比によるSiの含量比の変化グラフであり、図4に示すように、Nソース/Cソース比が0.4~2である場合、Siの含量比が約10%~70%になり、SiC-Si複合材料のうち一定の含量比を含み、優れる熱衝撃強度を確保できることが確認された。
【0086】
図5は、本発明の一実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のNソース/Cソース比=2によるSiの含量比が69%であれば、2-thetaによる強度値グラフであり、β-SiCとα-Si結晶構造を意味し、Siの含量比により各 結晶構造のメインピークの回折強度比が変わる。図5に示すように、Siの含量比が69%であれば、Siのメインピーク回折強度/SiCメインピークの回折強度比が1.5になる。
【0087】
図6は、実施形態により製造されたSiC-Si複合材料のSi含量による熱衝撃強度の変化を示したグラフであり、Siの含量が40%を超過する時点で熱衝撃強度が600℃以上であり、Siの含量が80%未満になるときまで、熱衝撃強度が700℃未満まで急速に増加することが確認される。
【0088】
上述したように実施形態がたとえ限定された実施形態と図面によって説明されたが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば前記の基材から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で実行される、及び/又は説明された構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合せわされる、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果が達成されてもよい。従って、他の実現、他の実施形態及び特許請求の範囲と均等のものなども後述する特許請求の範囲の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6