(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】圧力検知装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230710BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 602
G06F3/044 126
(21)【出願番号】P 2020567192
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 GB2019051567
(87)【国際公開番号】W WO2019234429
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2019/051400
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516247225
【氏名又は名称】ケンブリッジ タッチ テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Touch Technologies Limited
【住所又は居所原語表記】Parallax Building, 270 Cambridge Science Park, Milton Road, Cambridge CB4 0WE United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】ルートレー、 ポール
(72)【発明者】
【氏名】ミッチ、 リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】バスターニ、 ババク
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン、 アロキア
(72)【発明者】
【氏名】アストリー、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 シャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ジャーハオ
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0179276(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107209590(CN,A)
【文献】特開2016-143410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0224171(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105549881(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041-3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルからの信号を処理するための装置であって、前記タッチパネルが、複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を備え
ており、前記複数の検知電極は、1つ以上のユーザーインタラクションの場所を示すタッチ場所データを決定するためのものであり、
前記複数の検知電極への接続のための、1つ以上の第1の圧力信号を生成するように構成された第1の回路であって、各第1の圧力信号が1つ以上の検知電極に対応し、前記対応する1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する圧力を示す、前記第1の回路と、
前記少なくとも1つの共通電極への接続のためであって、前記タッチパネルに印加された全圧を示す第2の圧力信号を生成するように構成された第2の回路と、
前記第2の圧力信号及び前記1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に基づいて、前記全圧の推定値を決定するように構成されたコントローラと
を備える、前記装置。
【請求項2】
前記コントローラが、圧力が前記タッチパネルに印加される場所を決定するようにさらに構成され、
前記第2の圧力信号及び前記1つ以上の第1の圧力信号の前記和の前記加重差に使用される係数が、場所に依存する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラが、方程式を使用し、前記全圧の前記推定値を決定し、
上式では、F
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、Q
senが、前記複数の検知電極のすべてで測定された電荷の前記和であり、C
CEが、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、
前記全圧の前記推定値が、F
CEに基づく
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラが、少なくとも1つの第1の圧力信号のそれぞれについて、前記第1の圧力信号、前記第2の圧力信号、及び前記全圧に基づいて、前記対応する1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の推定値を決定するようにさらに構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラが、圧力が前記タッチパネルに印加される場所を決定するように構成され、
前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値を決定するために使用される1つ以上の係数が、前記場所に依存する
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記タッチパネルが、N個の検知電極を備え、前記コントローラが、方程式を使用し、前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値を決定し、
上式では、F
nが、前記N個の検知電極のn
番目で誘導された圧電電荷であり、F
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
nが、前記N個の検知電極のn
番目で測定された電荷であり、Q
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、C
CEが、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、k
nが、前記N個の検知電極のn
番目に対応し、ゼロと1の間の値を有する事前に較正された定数であり、
前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値が、F
nの1つ以上の対応する値に基づく
請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の回路が、各検知電極のために、前記検知電極の静電容量を示す静電容量信号を生成するように構成され、
前記コントローラが、前記静電容量信号に基づいて、圧力が前記タッチパネルに印加される場所を決定するように構成される
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の圧力信号及び前記静電容量信号を生成することが、前記検知電極から受信した単一の信号を分離することを含む、請求項7に記載の
装置。
【請求項9】
前記第1の回路が、
前記検知電極への接続のための静電容量式タッチコントローラと、
インピーダンスネットワークを介した前記検知電極のそれぞれへの接続のための電荷増幅器であって、前記検知電極のすべてに対応する第1の圧力信号を出力するように構成された前記電荷増幅器と
を備え、
前記第2の回路が、
前記少なくとも1つの共通電極への接続のための共通電極電荷増幅器であって、前記第2の圧力信号を生成するように構成された前記共通電極電荷増幅器
を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の圧力信号及び前記第2の圧力信号を受信し、前記コントローラに前記第1の圧力信号と前記第2の圧力信号との加重差を出力するように構成された差動増幅器をさらに備え、
前記コントローラが、前記差動増幅器から受け取った前記加重差に基づいて前記全圧の前記推定値を決定するように構成される
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
タッチパネルシステムであって、
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置と、
複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を備えるタッチパネルと
を備え
ており、前記複数の検知電極は、1つ以上のユーザーインタラクションの場所を示すタッチ場所データを決定するためのものである、前記タッチパネルシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチパネルシステムを備える電子デバイス。
【請求項13】
タッチパネルからの信号を処理する方法であって、前記タッチパネルが、複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を備え
ており、前記複数の検知電極は、1つ以上のユーザーインタラクションの場所を示すタッチ場所データを決定するためのものであり、
1つ以上の第1の圧力信号を生成することであって、各第1の圧力信号が、1つ以上の検知電極から受信した信号に基づき、各第1の圧力信号が、前記対応する1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する圧力を示す、前記生成することと、
前記少なくとも1つの共通電極から受信した信号に基づいて、前記タッチパネルに印加された全圧を示す第2の圧力信号を生成することと、
前記第2の圧力信号及び前記1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に基づいて前記全圧の推定値を決定すること
を含む、前記方法。
【請求項14】
圧力が前記タッチパネルに適用される場所を決定することをさらに含み、
前記第2の圧力信号及び前記1つ以上の第1の圧力信号の前記和の前記加重差のために使用される係数が、前記場所に依存する
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記タッチパネルに印加された前記全圧の前記推定値を決定することが、方程式を使用することを含み、
上式では、F
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、Q
senが、前記複数の検知電極のすべてで測定された電荷の前記和であり、C
CEが、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、
前記全圧の前記推定値が、F
CEに基づく
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1の圧力信号のそれぞれについて、前記第1の圧力信号、前記第2の圧力信号、及び前記全圧に基づいて、前記対応する1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の推定値を決定することをさらに含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
圧力が前記タッチパネルに印加される場所を決定することを含み、
前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値を決定するために使用される1つ以上の係数が、前記場所に依存する
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記タッチパネルが、N個の検知電極を備え、前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値を決定することが、方程式を使用することを含み、
上式では、F
nが、前記N個の検知電極のn
番目で誘導された圧電電荷であり、F
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
nが、前記N個の検知電極のn
番目で測定された電荷であり、Q
CEが、前記少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、C
CEが、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、k
nが、前記N個の検知電極のn
番目に対応し、ゼロと1の間の値を有する事前に較正された定数であり、
前記1つ以上の検知電極に近接する前記タッチパネルに作用する前記圧力の前記推定値が、F
nの1つ以上の対応する値に基づく
請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
各検知電極から受信した信号に基づいて、前記検知電極の静電容量を示す静電容量信号を生成することを含み、
前記方法が、前記静電容量信号に基づいて、圧力が前記タッチパネルに印加される場所を決定することをさらに含む
請求項13~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の圧力信号及び前記静電容量信号を生成することが、前記検知電極から受信した単一の信号を分離することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検知タッチパネルからの信号を処理するための装置及び方法、ならびにその装置及び方法を使用するタッチパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜方式タッチパネル及び静電容量式タッチパネルは、コンピュータ及びモバイルデバイス用の入力デバイスとして使用される。多くの場合、一種の静電容量式タッチパネル、つまり投影型静電容量式タッチパネルがモバイルデバイスに使用される。投影型静電容量式タッチパネルの一例は、US 2010/0079384 A1に説明されている。
【0003】
投影型静電容量式タッチパネルは、導電性物体の近接によって引き起こされる電場の変化を検出することによって動作する。投影型静電容量式タッチパネルに触れる場所は、多くの場合、容量センサのアレイまたはグリッドを使用し、決定される。投影型静電容量式タッチパネルは、通常、シングルタッチイベントとマルチタッチイベントを区別できるが、投影型静電容量式タッチパネルには圧力を検知できないという欠点がある。したがって、投影型静電容量式タッチパネルは、比較的に軽いタップと比較的に重い押下を区別できない傾向がある。圧力を検知できるタッチパネルは、タッチパネルとのユーザーとの対話(複数可)についての追加情報を提供することによって、ユーザーが新しい方法でデバイスと対話できるようにする。
【0004】
WO 2016/102975 A2は、単一の信号が増幅され、次いで圧力成分及び静電容量成分に分離される、静電容量と圧力の複合検知のための装置及び方法を説明する。WO 2017/109455 A1は、単一の信号が静電容量信号、及び増幅される圧力信号に分離される、静電容量と圧力の複合的な検知のための装置及び方法を説明する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、タッチパネルからの信号を処理するための装置が提供される。タッチパネルは、複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を含む。装置は、複数の検知電極への接続のための第1の回路を含む。第1の回路は、1つ以上の第1の圧力信号を生成するように構成される。各第1の圧力信号は、1つ以上の検知電極に対応し、対応する1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力を示す。また、装置は、少なくとも1つの共通電極への接続のための第2の回路も含む。第2の回路は、タッチパネルに印加された全圧を示す第2の圧力信号を生成するように構成される。また、装置は、第2の圧力信号及び1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に基づいて全圧の推定値を決定するように構成されたコントローラも含む。
【0006】
各検知電極は、単一の第1の圧力信号に寄与する場合がある。
【0007】
コントローラは、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定するようにさらに構成されてよい。第2の圧力信号及び1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に使用される係数は、場所に依存する場合がある。
【0008】
コントローラは、以下の方程式を使用し、全圧の推定値を決定し得、
上式では、F
CEは、少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
CEは、少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、Q
senは、複数の検知電極のすべてで測定された電荷の和であり、C
CEは、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数である。全圧の推定値は、F
CEに基づく場合がある。
【0009】
コントローラは、少なくとも1つの圧力信号のそれぞれのために、第1の圧力信号、第2の圧力信号、及び全圧に基づいて、対応する1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定するようにさらに構成されてよい。
【0010】
コントローラは、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定するように構成されてよい。1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定するために使用される1つ以上の係数は、場所に依存する場合がある。
【0011】
タッチパネルは、N個の検知電極を含んでよく、コントローラは、以下の方程式を使用し、1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定してよい。
上式では、F
nは、N個の検知電極のn
番目で誘導された圧電電荷であり、F
CEは、少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
nは、N個の検知電極のn
番目で測定された電荷であり、Q
CEは、少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、C
CEは、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、k
nは、N個の検知電極のn
番目に対応し、ゼロと1の間の値を有する事前に較正された定数である。1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値は、F
nの1つ以上の対応する値に基づく場合がある。
【0012】
また、第1の回路は、各第1の電極のために、検知電極の静電容量を示す静電容量信号を生成するように構成されてもよい。コントローラは、静電容量信号に基づいて、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定するように構成されてよい。
【0013】
第1の圧力信号及び静電容量信号を生成することは、検知電極から受信した単一の信号を分離することを含んでよい。
【0014】
各第1の圧力信号は、単一の検知電極に対応してよい。
【0015】
第1の回路は、検知電極への接続のための静電容量式タッチコントローラを含んでよい。第1の回路は、インピーダンスネットワークを介した検知電極のそれぞれへの接続のための電荷増幅器を含んでよい。電荷増幅器は、検知電極のすべてに対応する第1の圧力信号を出力するように構成されてよい。第2の回路は、少なくとも1つの共通電極への接続のための共通電極電荷増幅器を含んでよい。共通電極電荷増幅器は、第2の圧力信号を生成するように構成されてよい。
【0016】
装置は、第1の圧力信号及び第2の圧力信号を受信し、コントローラに第1の圧力信号と第2の圧力信号の加重差を出力するように構成された差動増幅器をさらに含んでよい。コントローラは、差動増幅器から受け取った加重差に基づいて全圧の推定値を決定するように構成されてよい。
【0017】
タッチパネルシステムは、装置と、複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を含むタッチパネルを含んでよい。
【0018】
電子デバイスは、タッチパネルシステムを含んでよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、タッチパネルからの信号を処理する方法が提供される。タッチパネルは、複数の検知電極と少なくとも1つの共通電極との間に配置された圧電材料の層を含む。方法は、1つ以上の第1の圧力信号を生成することを含む。各第1の圧力信号は、1つ以上の検知電極から受信した信号に基づく。各第1の圧力信号は、対応する1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力を示す。また、方法は、少なくとも1つの共通電極から受信した信号に基づいて、タッチパネルに印加された全圧を示す第2の圧力信号を生成することも含む。また、方法は、第2の圧力信号及び1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に基づいて、全圧の推定値を決定することも含む。
【0020】
また、方法は、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定することも含んでよい。第2の圧力信号及び1つ以上の第1の圧力信号の和の加重差に使用される係数は、場所に依存する場合がある。
【0021】
タッチパネルに印加された全圧の推定値を決定することは、以下の方程式を使用することを含んでよく、
上式では、F
CEは、少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
CEは、少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、Q
senは、複数の検知電極のすべてで測定された電荷の和であり、C
CEは、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数である。全圧の推定値は、F
CEに基づく場合がある。
【0022】
また、方法は、少なくとも1つの第1の圧力信号のそれぞれについて、第1の圧力信号、第2の圧力信号、及び全圧に基づいて、対応する1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定することを含んでもよい。
【0023】
また、方法は、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定することも含んでよい。1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定するために使用される1つ以上の係数は、場所に依存する場合がある。
【0024】
タッチパネルは、N個の検知電極を含んでよい。1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を決定することは、以下の方程式を使用することを含んでよく、
上式では、F
nは、N個の検知電極のn
番目で誘導された圧電電荷であり、F
CEは、少なくとも1つの共通電極で誘導された圧電電荷であり、Q
nは、N個の検知電極のn
番目で測定された電荷であり、Q
CEは、少なくとも1つの共通電極で測定された電荷であり、C
CEは、ゼロと1との間の値を有する事前に較正された定数であり、k
nは、N個の検知電極のn
番目に対応し、ゼロと1の間の値を有する事前に較正された定数である。1つ以上の検知電極に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値は、F
nの1つ以上の対応する値に基づく場合がある。
【0025】
また、方法は、各検知電極から受信した信号に基づいて、検知電極の静電容量を示す静電容量信号を生成することを含んでもよい。また、方法は、静電容量信号に基づいて、圧力がタッチパネルに印加される場所を決定することを含んでもよい。
【0026】
第1の圧力信号及び静電容量信号を生成することは、検知電極から受信した単一の信号を分離することを含んでよい。
【0027】
各第1の圧力信号は、単一の検知電極に対応してよい。
【0028】
本発明の特定の実施形態は、以下の添付の図面を参照して、例としてここに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図7】圧電圧力測定用の第1のタッチパネルの断面図である。
【
図8】差動圧電圧力測定のための第1の装置を示す。
【
図10】差動圧電圧力測定値を取得する方法を示す。
【
図11】検知電極及び共通電極上の外部から誘導された電荷に対応する測定信号を示す。
【
図12】検知電極及び共通電極上の圧電誘導電荷に対応する測定信号を示す。
【
図13】差動圧電圧力測定のための第2の装置を示す。
【
図14】Aは、駆動信号に同期されたアナログ-デジタル変換器を使用し、重畳された静電容量信号及び圧電圧力信号を分離することを示す。Bは、駆動信号に同期されたアナログ-デジタル変換器を使用し、重畳された静電容量信号及び圧電圧力信号を分離することを示す。Cは、駆動信号に同期されたアナログ-デジタル変換器を使用し、重畳された静電容量信号及び圧電圧力信号を分離することを示す。
【
図15】差動圧電圧力測定用の電荷増幅器の例示的な構成を示す。
【
図16】圧電圧力測定用の第2のタッチパネルの平面図である。
【
図17】圧電圧力測定用の第3のタッチパネルの平面図である。
【
図18】差動圧電圧力測定のための第3の装置を示す。
【
図19】差動圧電圧力測定のための第4の装置を示す。
【
図20】差動圧電圧力測定のための第5の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、類似した部分は、類似した参照番号で示される。
【0031】
状況によっては、さまざまな不必要な信号が、ユーザーの指または導電性スタイラスを介して圧電圧力検知タッチパネルまたは静電容量と圧電圧力の複合的な検知タッチパネルの検知電極に結合してよい。そのような信号は、所望の圧電圧力信号とともに増幅される場合があり、圧電圧力信号と同等またはそれよりも大きい振幅である場合がある。例えば、圧電圧力検知タッチパネルまたは静電容量と圧電圧力の複合的な検知タッチパネルセンサ上に置かれたユーザーの指は、本線の干渉を検知電極の中に結合する場合がある。さらにまたは代わりに、ユーザーは静電気を帯電する場合があり、これにより圧電圧力検知タッチパネルまたは静電容量と圧電圧力の複合的な検知タッチパネルの検知電極に結合する場合がある。
【0032】
圧電センサは、通常は低周波数で高出力インピーダンスを有する2つの電極デバイスであり、これによって圧電センサは外部電場から干渉を拾いやすくなる場合がある。機械的歪みに起因して圧電センサの2つの電極で生成される所望の信号は、反対の極性である。対照的に、外部電場への結合に起因する干渉は、両方の電極で同じ極性となる。本明細書は、所望の圧電圧力信号を保持または強化しながら、外部電場への結合からの干渉が低減または除去され得るように、圧電材料の層の両側に配置された電極からの信号を結合するための方法及び装置を説明する。
【0033】
圧電検知
図1を参照すると、圧電センサ1の等価回路が示されている。
【0034】
圧電センサ1は、コンデンサCpiezoと直列の電圧源Vpiezoとしてモデル化されてよい。静電容量Cpiezoは、間に圧電材料を有して配置される第1の電極と第2の電極の間の静電容量を示す。電圧源Vpiezoは、力が圧電センサ1に印加されるとき、静電容量Cpiezoにわたって生成される開回路電圧を表す。
【0035】
また、
図2を参照すると、測定回路2の第1の例が示されている。
【0036】
第1の測定回路2は、圧電センサ1を横切って接続された入力と、増幅器A1の出力と反転入力を横切って並列に接続された抵抗器Rfb及びコンデンサCfbの形のフィードバックネットワークとを有するシングルエンド増幅器A1を含む。実際には、第1の測定回路2は、追加の受動部品、フィードバックネットワークをリセットするためのスイッチなどを含んでよい。使用される特定の構成に応じて、第1の測定回路2は、電圧、電流、電荷、またはその組み合わせを測定し得る。
【0037】
また、
図3を参照すると、測定回路3の第2の例が示されている。
【0038】
シングルエンド増幅器A1の非反転入力が、圧電センサ1の電極に接続されるよりむしろ接地される点を除き、第2の測定回路3は、第1の測定回路2と同じである。このようにして、第2の測定回路3は、接地電位にある反転入力の中に流れ込む電流I1を測定する。第2の測定回路のこの構成は、寄生容量の影響を低減または排除し得る。理想的な状況では、測定された電流I1は、誘導圧電電流信号Ipiezoに実質的に等しい。つまり、I1≒Ipiezoである。通常、第2の測定回路3は、出力VOUT1上で、圧電センサ1にわたって誘導された電荷Qpiezoに対応する電荷信号を提供するために電流信号I1を統合するように構成される。言い換えると、VOUT1は、同様に圧電センサ1に印加された力に機能的に関係する圧電電荷Qpiezoに機能的に関係している。
【0039】
また、
図4を参照すると、測定回路4の第3の例が示されている。
【0040】
第3の測定回路4が電磁干渉Vintの外部ソースに対する容量結合を表す等化回路5を含む点を除き、第3の測定回路4は第2の測定回路3と同じである。
【0041】
シングルエンド増幅器A1での潜在的な問題は、外部電場が増幅器入力で電荷を誘導し、それが圧電圧力信号と解釈される場合がある点である。この問題は、圧電圧力検知用のタッチスクリーン、または静電容量式タッチと圧電圧力の複合的な検知のためのタッチスクリーンの圧電力センサで発生する場合がある。測定される力を印加するユーザーの指または導電性スタイラスは、通常、ガラス及び/またはプラスチックの1つまたは複数の薄層によって圧電力センサを形成する電極から分離される。ユーザーの指または導電性スタイラスは、圧電力センサを形成する電極に対して異なる電位であってよい。そのような電位差は、例えば本線電源によって誘発されるピックアップなど、例えば静電帯電または他の電源に対する結合によって発生する場合がある。
【0042】
第3の測定回路4では、干渉する電磁源Vintが、1対の静電容量Cint1及びCint2を介して圧電センサ1の両方の電極に結合する。その結果、測定信号I1は、所望の圧電圧力信号Ipiezo及び不要な干渉信号Iint1の重畳である。つまり、I1=Ipiezo+Iint1である。測定信号I1の中に干渉信号成分Iint1が含まれることによって、印加された力を決定する際にエラー、例えば、印加された力の偽検出が引き起こされる場合がある、及び/または印加された力の最小の確実に信頼可能な増分を増加させる場合がある。
【0043】
差動測定
圧電センサ1を形成する1対の第1の電極と第2の電極との間の圧電材料の分極Pに応えて誘発された電流は、第1の及び第2の電極のそれぞれで反対の向きを有する。対照的に、外部ソースVintによって誘導される干渉信号は、圧電センサ1を形成する第1の及び第2の電極に同じ符号を有する。
【0044】
また、
図5を参照すると、測定回路6の第4の例が示されている。
【0045】
第4の測定回路6において、第1のシングルエンド増幅器A1では、第1の測定電流I1を受け取るために一方の入力が圧電センサ1の第1の電極7に接続され、第1の増幅器A1の他方の入力は接地されている。同様に、第2のシングルエンド増幅器A2では、第2の測定電流I2を受け取るために一方の入力が圧電センサ1の第2の電極8に接続され、第2の増幅器A2の他方の入力は接地されている。第3のシングルエンド増幅器A3では、一方の入力が第1の増幅器A1の出力Vout1に接続され、他方の入力が第2の増幅器A2の出力Vout2に接続されている。増幅器A1、A2、A3のそれぞれは、それぞれの抵抗性容量性フィードバックネットワークRfb1-Cfb1、Rfb2-Cfb2、Rfb3-Cfb3を有する。
【0046】
干渉源V
intは、第1の静電容量C
int1によって第1の電極7に、第2の静電容量C
int2によって第2の電極8に容量結合される。上述のように、第1の電極と第2の電極7、8との間の圧電材料の分極Pに応えて誘導された電流I
piezoは、端子7、8のそれぞれで反対の向きを有する。それに対し、干渉源V
Intによって誘導された干渉信号I
int1、I
int2は同じ符号を有する。したがって、第1の及び第2の測定電流は、以下のように概算し得る。
【0047】
第3の増幅器A3は差を求めるために使用され、I
INT1≒I
INT2であるとき、第3の増幅器A3の出力V
outは以下に関係する。
【0048】
このようにして、圧電センサ1の両方の電極7、8から流れる電流を測定することによって、干渉源Vintの影響が低減または除去される圧電電流Ipiezoの測度を決定することができる。
【0049】
一般的な場合、C
int1≠C
int2及びI
int1≠I
int2の場合、加重差が使用されてよい。例えば、αが較正実験から決定されたスカラー定数であるI
int1=α.I
int2である場合、次いで干渉源V
intの影響は、以下を求めることによって低減または除去され得る。
【0050】
一般的に、測定信号I1、I2の差を求めることは、アナログ信号レベルで特に構成された回路によって、またはデジタル信号へ変換に続く後処理することによって実行され得る。
【0051】
干渉コンデンサCint1、Cint2の絶対値を知ることは必要ではない。方程式(3)から、必要とされるのは、第1の電極7に導入されたノイズ対第2の電極8に導入されたノイズの比率αだけであることが認められてよい。比率αは、例えばシステムに干渉信号Vintを模倣する試験信号を意図的に導入し、圧電センサ1にいかなる力も印加することなしに、つまりI1=Iint1及びI2=Iint2となるように、第1の及び第2の測定電流I1、I2の応答を記録することによって較正実験から求められてよい。この情報は、補正率をα=I1/I2として決定するために使用されてよい。
【0052】
実際には、補正は、第4の測定回路6で第1の及び第2の増幅器A1、A2の出力Vout1、Vout2の差を求めることによって実行され得る。これは、試験信号に応えて、及びいかなる力も圧電センサ1に印加されることなく、出力Vout1、Vout2の比率を求めることによって同じように較正されてよい。較正から決定された比率β=Vout1/Vout2がほぼ1ではない場合、次いで加重差Vout1-β.Vout2は、第1の及び第2の増幅器A1、A2の出力Vout1、Vout2と、第3の増幅器A3のそれぞれの入力との間に適切なインピーダンスを挿入することによって求められてよい。代わりに、第3の増幅器A3は省略されてよく、加重差Vout1-β.Vout2は、デジタル信号領域での処理によって求められてよい。
【0053】
また、
図6を参照すると、測定回路9の第5の例が示されている。
【0054】
第5の測定回路9において、差動増幅器DA1では、一方の入力が第1の電極7に接続され、他方の入力が第2の電極8に接続されている。干渉源Vintの影響の低減または除去は、干渉静電容量Cint1、Cint2の比率に従って、第1のフィードバックネットワークRfb1、Cfb1及び第2のフィードバックネットワークRfb2、Cfb2の値を設定することによってアナログ領域で実施されてよい。例えば、Cfb1/Cfb2=Cint1/Cint2を選択することによって。そのような選択は、上述の実験と同様に較正実験によって、及び例えば帰還容量Cfb1、Cfb2を提供するために、例えばトリマコンデンサを使用することによって実行されてよい。
【0055】
圧電圧力測定用タッチパネルでの差動測定
上述した例では、差動測定は、第1の及び第2の電極7、8が実質的に同一の広がりをもち、簡略な形状である場合がある圧電センサ1に関して説明されてきた。そのような構成によって、比較的に簡略な差動測定が可能になる。しかしながら、圧電圧力測定または静電容量と圧電圧力の複合的な測定用の実際的なタッチパネルでは、第1の電極7は、共通の第2の電極8を共用する多くの電極のうちの1つであってよい。さらに、いくつかの例では、第1の電極7は、静電容量測定システムの受信Rx電極及び/または送信Tx電極としてさらに機能する電極であってよい。そのようなタッチパネルでは、第2の電極8は、いくつかの第1の電極7のそれぞれよりも比較的に大きいまたははるかに大きい総面積を有する共通の対電極であってよい。各Rx電極及び/またはTx電極に別々の適合した対電極を提供するには、追加のパターン化された1つまたは複数の導電層、及び関連付けられた電気接続が必要になるであろう。その結果、第4の測定回路または第5の測定回路6、9に関して示す簡略な差動測定は、実用的でない場合がある。
【0056】
代わりに、本明細書は、(対電極と呼ばれることもある第2の電極8に対応する)少なくとも1つのパターン化されていない共通電極を含む、圧電圧力測定用の、または静電容量と圧電圧力の複合的な測定用のタッチスクリーンから圧電信号の差動測定値を求めるための方法を説明する。また、本明細書の方法は、圧電圧力測定用の、またはそれぞれが2つ以上の第1の電極7に共通である2つ以上の第2の電極8がある静電容量と圧電圧力の複合的な測定用のタッチスクリーンにも(わずかな修正とともに)適用可能である。
【0057】
第1の装置
図7を参照すると、圧電圧力測定用の、または容量性と圧電圧力の複合的な測定用のタッチパネル10の第1の例が示されている。
【0058】
第1のパネル10は、第1の面12及び第2の反対側の面13を有する第1の層構造11を含む。いくつかの第1の検知電極14は、第1の層構造11の第1の面12上に配置される。第1の検知電極14のそれぞれは、第1の方向xで延在し(または同等に引き延ばされ)、第1の検知電極14は、第2の方向yで離間している。共通電極15は、第1の層構造11の第2の面13を実質的に覆うように配置される。
【0059】
第1の層構造11は、圧電材料16の少なくとも1つの層を含む1つ以上の層を含む。第1の層構造11に含まれる各層は、概して平面的であり、厚さ方向zに垂直である第1のx方向及び第2のy方向で延在する。第1の層構造11の1つ以上の層は、第1の層構造11の各層の厚さ方向zが第1の及び第2の面12、13に実質的に垂直になるように、第1の面と第2の面12、13との間に配置される。
【0060】
また、第1のタッチパネル10は、第1の面18及び第2の反対側の面19を有する第2の層構造17も含む。いくつかの第2の検知電極20は、第2の層構造17の第1の面18上に配置される。第2の検知電極20のそれぞれは、第2の方向yで延在し(または同等に引き延ばされ)、第2の検知電極20は第1の方向xで離間している。
【0061】
第2の層構造17は、1つ以上の誘電体層21を含む。各誘電体層21は、概して平面的であり、厚さ方向zに垂直である第1のx方向及び第2のy方向で延在する。第2の層構造17の1つ以上の誘電体層21は、第2の層構造17の各誘電体層21の厚さ方向zが、第1の及び第2の面18、19に垂直になるように、第2の層構造17の第1の面18と第2の面19との間に配置される。
【0062】
好ましくは、圧電材料16の層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリ乳酸などの圧電ポリマーを含む、または圧電ポリマーから形成される。しかしながら、圧電材料16の層は、代わりにチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックの層であってもよい。好ましくは、第1の及び第2の検知電極14、20、ならびに共通電極15は、銀ナノワイヤから形成される。しかしながら、第1の及び第2の検知電極14、20、ならびに共通電極15は、代わりにインジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な導電性酸化物から形成されてもよい。第1の及び第2の検知電極14、20、ならびに共通電極15は、薄膜としての蒸着及びパターン化に適したアルミニウム、銅、銀、または他の金属などの金属膜であってよい。第1の及び第2の検知電極14、20、ならびに共通電極15は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールまたはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などの導電性ポリマーであってよい。第1の及び第2の検知電極14、20、ならびに共通電極15は、金属メッシュ、金属ナノワイヤ、グラフェン、及び/またはカーボンナノチューブから形成されてよい。誘電体層(複数可)21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマー誘電体材料の層または感圧接着剤(PSA)材料の層を含んでよい。しかしながら、誘電体層(複数可)21は、酸化アルミニウムなどのセラミック絶縁材料の層を含んでよい。
【0063】
第1の層構造11は、第1の及び第2の反対側の面12、13が、圧電材料層16の面となるように、圧電材料16の層しか含まない場合がある。代わりに、第1の層構造11は、圧電材料16の層と第1の層構造11の第1の面12との間に積み重ねられる1つ以上の誘電体層21を含んでよい。第1の層構造11は、第1の層構造11の第2の面13と圧電材料16の層との間に積み重ねられた1つ以上の誘電体層21を含んでよい。
【0064】
第2の層構造17は、単一の誘電体層21しか含まない場合があり、その結果第2の層構造17の第1の及び第2の面18、19は、単一の誘電体層21の面である。
【0065】
代わりに、第2の層構造17を使用する必要はなく(
図17を参照)、第2の検知電極20は、第1の検知電極とともに第1の面12上に配置されてよい(
図17)。
【0066】
図7では、第1のタッチパネル10は、x、y、及びzと名前が付けられた直交軸を参照して示されている。しかしながら、第1の方向、第2の方向、及び厚さ方向は、右手直交セットを形成する必要はない。
【0067】
また、
図8を参照すると、差動圧電圧力測定用の、または静電容量と差動圧電圧力の複合的な測定用の第1の装置22が示されている。
【0068】
第1の装置22は、第1のタッチパネル10、第1の回路23、第2の回路24、及びコントローラ25を含む。第1の及び第2の検知電極14、20のそれぞれは、対応する導電性トレース26によって第1の回路23に接続される。共通電極15は第2の回路24に接続される。
【0069】
第1の回路23は、第1の及び第2の検知電極14、20から信号を受信し、任意選択で第1の及び第2の検知電極14、20に信号を送信してよい。第1の回路23は、いくつかの第1の圧電圧力信号29を測定する。第1の回路23は、グループでまたは個別に、第1の及び第2の検知電極14、20のそれぞれに接続可能である各第1の圧電圧力信号29は、第1のまたは第2の検知電極14、20の1つ以上に対応し、各第1の圧電圧力信号29は、それぞれの1つ以上の第1のまたは第2の検知電極14、20に近接するタッチパネル10に作用する圧力を示す。例えば、第1の回路は、各第1の検知電極14に対応する第1の圧電圧力信号29、及び各第2の検知電極20に対応する第1の圧電圧力信号29を測定または生成してよい。代わりに、各第1の圧電圧力信号29は、隣接する第1の検知電極または第2の検知電極14、20の対などに対応してよい。各検知電極14、20は、1つの第1の圧電圧力信号29に寄与する。
【0070】
任意選択で、第1の回路23は、第1の及び第2の検知電極14、20の各交点28に対応する相互静電容量信号27を測定してもよい。他の例では、第1の回路23は、代わりに各第1の及び第2の検知電極14、20に対応する自己容量信号を測定してもよい。第1の回路23は、静電容量信号27及び第1の圧電圧力信号29とを同時に決定してよい。代わりに、第1の回路23は、静電容量信号27の決定と、第1の圧電圧力信号29の決定を交互に行ってよい。
【0071】
例えば、第1の回路23は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO 2016/102975 A2に説明される静電容量と圧電圧力の複合的な測定のために構成されてよい。特に、第1の回路23は、WO 2016/102975 A2の
図21~
図26に示される例に関して説明されるように構成されてよい。代わりに、第1の回路23は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO 2017/109455 A1に説明される静電容量と圧電圧力の複合的な測定用に構成されてもよい。特に第1の回路23は、WO 2017/109455 A1の
図4から
図21に示される例に関して説明されるように構成されてよい。他の例では、第1の回路23は、特に
図13~
図17に関して以下に説明するように構成されてよい。
【0072】
しかしながら、本明細書の方法は、これらの例に限定されず、上述の機能を提供することができる任意の第1の回路23に適用可能である。
【0073】
第2の回路24は、共通電極15に対応する第2の圧電圧力信号30を測定する。第2の圧電信号30は、タッチパネル10に印加された全圧を示すべきである。複数の共通電極15が使用されるとき、第2の圧電信号30は、コントローラ25によるその後の総計のために各共通電極15に対応して生成されてよい。代わりに、複数の共通電極15が使用されるとき、第2の回路24は、すべての共通電極15で誘導された電荷に基づいて単一の第2の圧電信号30を生成してよい。検知電極14、20、及び共通電極(複数可)15は、圧電材料16の層の中で誘発された任意の分極Pの両側に配置されるため、理想的な条件下で、かつ外部干渉がない場合、第2の圧電圧力信号30及び第1の圧電信号29の和は(最大で測定誤差まで)ほぼゼロでなければならない。
【0074】
圧電圧力信号29、30、及び任意選択で静電容量信号27は、第1のタッチパネル10との、または第1のタッチパネル10の上にある材料の層とのユーザーとの対話に応えて生成される。以下の説明では、「ユーザーとの対話」への言及は、ユーザーがタッチパネル10または上にある材料の層に触れるまたは押すことを含むと解釈されるものとする。用語「ユーザーとの対話」は、ユーザーの指または(導電性であるかどうかに関わらず)スタイラスを伴う対話を含むと解釈されるものとする。また、用語「ユーザーとの対話」は、ユーザーの指または導電性スタイラスが、直接的な物理的接触なしに(つまり、印加圧力ゼロまたはわずか)タッチセンサまたはタッチパネルに近接していることを含むと解釈されるものとする。
【0075】
コントローラ25は、第1の及び第2の圧電圧力信号29、30を受信し、第1の装置22を組み込んだデバイスを操作するプロセッサ(図示せず)に出力される補正圧電圧力値32を生成する。コントローラ25は、第2の圧力信号30、及び第1の圧力信号29の和の加重差に基づいて、タッチパネル10に印加された全圧の推定値の形で補正圧電圧力値32を生成する。例えば、コントローラ25は、方程式(13)または(21)を使用し、補正圧電圧力値32を生成してよい。
【0076】
また、コントローラ25は、それぞれの第1の圧力信号(複数可)29、第2の圧力信号30、及び全圧に基づいて、第1の検知電極14、第1の検知電極14のグループ、または各第1の検知電極14に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を生成してもよい。例えば、コントローラ25は、以下に説明する方程式(24)または(26)を使用し、1つ以上の補正圧電圧力値32を生成してよい。追加的にまたは代替的に、コントローラ25は、それぞれの第1の圧力信号(複数可)29、第2の圧力信号30、及び全圧に基づいて、第2の検知電極20、第2の検知電極20のグループ、または各第2の検知電極20に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値を生成してもよい。例えば、コントローラ25は、以下に説明する方程式(23)または(25)を使用し、1つ以上の補正圧電圧力値32を生成してよい。
【0077】
コントローラ25は、追加的にまたは代替的に、第1の装置22を組み込んだデバイス(図示せず)を操作するプロセッサ(図示せず)に未処理の第1の圧電圧力信号及び/または第2の圧電圧力信号29、30を中継してよい。いくつかの例では、プロセッサ(図示せず)は、代わりに、コントローラ25の説明されている機能のいくつかまたはすべてを実行してよい。
【0078】
いくつかの例では、コントローラ25は、第1の及び第2の圧力信号29、30に基づいてタッチ場所データ31を決定してよい。タッチ場所データ31は、1つ以上のユーザーとの対話の場所、例えばx、y座標を示す。タッチ場所データ31は、第1の装置を組み込んだデバイス(図示せず)を操作するプロセッサ(図示せず)に出力される。全圧、1つ以上の第1の検知電極14に近接するタッチパネルに作用する圧力、及び/または1つ以上の第2の検知電極20に近接するタッチパネルに作用する圧力の推定値の形で補正圧電圧力値32を生成するために使用される係数は、場所x、yに依存する場合がある。
【0079】
測定されると、コントローラ25は、静電容量信号27を受信し、第1の装置22を組み込んだデバイス(図示せず)を操作するプロセッサ(図示せず)に信号を中継するか、容量値27の追加の処理を実行するかのどちらかである。例えば、コントローラ25は、容量値27を処理して、第1の装置22を組み込んだデバイス(図示せず)を操作するプロセッサ(図示せず)への出力のためにタッチ場所データ31を生成してよい。静電容量信号27は、第1の及び第2の圧力信号29、30単独よりもタッチ場所データ31のより正確な決定を可能にし得る。
【0080】
第1の測定方法
また、
図9及び
図10を参照すると、差動圧電圧力測定を実行する第1の方法が説明される。
【0081】
例えばユーザーの指などの、タッチパネル10に近接するまたは触れている物体33は、静電帯電によって、または電磁干渉の源Vint用のアンテナとして機能することから電位Vintに帯電する場合がある。物体33と、検知電極14、20、及び共通電極15のすべての全体的な集合体との間には、容量性結合Cextがある。総静電荷QESは、ほぼQES=Cext.Vintとして、検知電極14、20、及び共通電極15のすべての全体的な集合体の中で誘導される。正確な形状は、ユーザーが指及び/またはスタイラスをタッチパネル10に対して移動させるにつれ、絶えず変化し、異なるユーザー及び同じユーザーの異なる指の間でも変化するため、実際にCeXtを較正することは不可能である場合があることに留意されたい。さらに、Vintは、一般的に測定可能ではない場合がある。
【0082】
本明細書の第1の方法は、電極14、15、20で誘導された未知の総静電荷QESが、電極14、15、20で誘導された個々の静電荷の和から成るという前提に基づいている。
【0083】
以下、M個の第1の検知電極14のm
番目は、代わりにy
mと表記され、N個の第2の検知電極20のn
番目は代わりにx
nと表記とされる場合がある。物体33によってN個の第2の検知電極20のn
番目で誘導された静電荷、x
nがSx
nなどで表され、物体33によってM個の第1の検知電極14のm
番目で誘導された静電荷、y
mがSy
mなどで表され、物体33によって対電極15で誘導される静電荷がS
CEで表される場合、次いで総静電荷Q
ESは以下のように概算され得る。
【0084】
個々の電極x
n、y
m、15で誘導された静電荷Sx
n、Sy
m、S
CEは、代わりに誘導された総静電荷Q
ESの小数として表されてよい。例えば、静電荷Sx
nは、Sx
n=k
n.Q
ESと記載されてよく、ここではk
nは、N個の第2の検知電極x
nのn
番目で誘導された総静電荷Q
ESの小数である。同様に、静電荷Sy
mは、Sy
m=h
m.Q
ESと記載されてよく、ここではh
Mは、M個の第1の検知電極y
mのm
番目で誘導された総静電荷Q
ESの分数である。さらに、静電荷S
CEは、以下と記載されてよく、
S
CE=C
CE.Q
ES、ここではC
CEは、対電極15上で誘導された総静電荷Q
ESの小数である。これらの式を方程式(4)に代入すると、
ここでは、
【0085】
一般的には、小数kn、hm、Cx、Cy、及びCCEは、すべて、物体33がタッチパネル10に接触する、x、yで示されるタッチ座標の関数となる。言い換えると、小数knは、通常、定数ではなく、タッチ座標x、yの関数kn(x,y)であってよい。同様に、他の小数もタッチ位置の関数、つまり、hm(x,y)、Cx(x,y)、Cy(x,y)、及びCCE(x,y)であってよい。小数kn、hm、Cx、Cy、及びCCEは、既知のVint及び既知のタッチ位置x、yを用いて適切な較正実験を実行することによって較正されてよい。しかしながら、小数kn、hm、Cx、Cy、及びCCEの位置に依存する性質のため、完全な較正は、より多数の較正実験を所与のタッチパネル10のために実行することを必要とする場合がある。
【0086】
圧電材料層16の分極Pが共通電極15と検知電極xn、ymとの間で誘導されるとき、検知電極xn、ymで誘導された電荷は、共通電極15で誘導された電荷と反対の極性を有する。言い換えると、物体33への外部結合は、システム接地または共通モード電圧と、電極xn、ym、15のすべての全体的な集合体との間の電荷の流れを誘導する。それに対し、対照的に、圧電材料層16の分極Pは、対電極15と検知電極xn、ymとの間の流れに電荷を誘導する。上述したように、1つの結果は、圧電材料層16の分極Pによって誘導された電荷は、少なくとも測定誤差の範囲内で、合計がゼロになると予想されることである。
【0087】
圧電材料層16の分極PによってN個の第2の検知電極x
nのn
番目で誘導された圧電電荷がFx
nなどで表され、圧電材料層16の分極PによってM個の第1の検知電極y
nのm
番目で誘導された圧電電荷が、Fy
mなどで表され、圧電材料層16の分極Pによって対電極15で誘導された圧電電荷がF
CEで表される場合、総誘導圧電電荷Q
PTは、以下のように概算され得る。
【0088】
対電極15で誘導された圧電電荷FCEが、タッチパネル10に印加された総力の良好な測度を提供し得ることに留意されたい。
【0089】
特に
図10を参照すると、N個の第2の検知電極x
n、20のn
番目で誘導される電荷は、以下のように記載されてよい。
【0090】
同様に、M個の第1の検出電極y
m、14のm
番目で誘導された電荷は、以下のように記載されてよく、
対電極15で誘導された電荷は、以下のように記載されてよい。
【0091】
測定の第1の方法では、検知電極x
n、y
mのすべてによって測定された電荷Qx
n、Qy
mは、以下を生じさせるように合計される。
上式では、Q
senは、検知電極x
n、y
mのすべてによって測定された全電荷の和であり、上式では、方程式(5)及び(7)が、Q
senのための最終的な式を得るために利用されている。総誘導静電荷Q
ESは、方程式(10)と(11)との間で排除され、以下を生じさせ、
これは、以下として対電極15で誘導された圧電電荷F
CEのために配列し直されてよく、
上式では、対電極15で誘導される電荷Q
CEが測定されてよく、検知電極x
n、y
n上で合計された電荷Q
senは、測定された電荷Qx
1、Qx
2、...、Qx
N、及びQy
1、Qy
2、...、Qy
Mのすべてを合計することによって求められてよい。小数C
CEは、タッチパネル10に対して既知の位置x、yで、既知の干渉電位V
intに帯電、接続、または結合された物体33を使用する較正実験を通じて事前に決定され得る。上述のように、小数C
CEは、一般的に、タッチ場所x、yの関数、つまりC
CE=C
CE(x,y)である。C
CE(x,y)の適切な値は、例えば、静電容量信号27またはタッチ場所データ31を使用してタッチ場所x、yを提供することによって求められてよい。代わりに、圧電専用タッチパネルシステムでは、タッチ場所x、yは、未処理の第1の圧電信号29から推測され得る。
【0092】
このようにして、第1の方法及び方程式(13)を使用して、物体33からの外部電気干渉の影響を低減または排除し得る総圧電電荷FCEを決定し得る。総圧電電荷FCEは、圧電材料層16の歪みに依存し、したがって、ユーザー入力によってタッチパネル10に印加される力に依存する。
【0093】
実際には、電荷Qx
n、Qy
m、Q
CEは、N個の第2の検知電極x
n、20のn
番目に対応する電圧出力がVx
nであり、Qx
nに関係するようになど、電荷増幅器34を使用し検出され得る。一般的に、電荷増幅器34は入力電流を統合する。例えば、N個の第2の検知電極x
nのn
番目での電流がI
xnである場合、次いで時間tでのN個の第2の検知電極x
nのn
番目での電圧Vx
nは、理想的な条件下で、以下のように表されてよく、
ここでは、Gx
nは、N個の第2の検知電極x
nに接続されたN個の電荷増幅器34のn
番目の利得であり、τは積分変数である。同様に、M個の第1の検知電極y
mのm
番目の電圧は、以下のように表されてよく、
ここでは、Gy
mは、M個の第1の検知電極y
nに接続されたM個の電荷増幅器34のm
番目の利得であり、Iy
mは、M個の第1の検知電極y
mのm
番目での電流であり、τは積分変数である。同様に、共通電極の電圧は、以下のように表されてよく、
ここでは、G
CEは、共通電極15に接続された電荷増幅器34の利得であり、I
CEは、共通電極15での電流であり、τは積分変数である。検知電極x
n、y
mのすべてに対応する電荷増幅器信号34が次いで合計されて、合計電圧信号V
senを生じさせてよい。
【0094】
Gx
n≒Gy
m≒Gとなるように利得がすべて実質的に等しく、Gが共通利得値を示す場合、次いで方程式(17)は以下に簡略化されてよい。
【0095】
同様に、G
CE≒Gの場合、方程式(10)は、対応する電荷増幅器34出力に関して、以下のように書き直されてよい。
【0096】
方程式(18)と(19)との間でQ
ESを排除すると、方程式(12)の電圧アナログは、以下のように求められてよい。
【0097】
方程式(20)は、単にQ
CE=V
CE/G及びQ
sen=V
sen/Gを方程式(12)に代入することによって等しく求められ得る。F
CEの方程式(20)を配列し直す、つまりQ
CE=V
CE/G及びQ
sen=V
sen/Gを方程式(13)に同等に代入すると、以下に示す電荷増幅器34電圧出力に関して対電極15上で誘導された圧電電荷F
CEの式が生じる。
【0098】
したがって、電荷増幅器34の利得が共通利得Gにほぼ等しい、つまりGxn≒Gym≒GCE≒Gであるならば、次いで誘導電荷に関して派生した関係が、電荷増幅器34の対応する出力に等しく適用可能であってよいことは明らかである。電荷増幅器34の利得Gxn、Gym、GCEは共通利得値Gと完全に同一ではないため、実際の状況では完全な同一性が期待されないであろうことは言うまでもない。さらに、各電荷増幅器34は、実際には、電圧出力の低周波成分及びDC成分の時間依存減衰に加えて、DCオフセット及びドリフトを経験する(「ロールオフ」と呼ばれる場合がある)。それにも関わらず、電荷増幅器34の利得が共通利得値Gにほぼ等しい、つまりGxn≒Gym≒GCE≒Gであるならば、方程式(21)は、外部電場への結合の影響が少なくとも部分的に取り消され得る補正信号32を生成するために使用され得る。
【0099】
第2の測定方法
第2の測定方法は、第1の測定方法の拡張であり、対電極15で測定された電荷QCE及び対電極15での推定された圧電電荷FCEを使用し、加重補正に基づいて個々の検知電極xn、ymのために圧電電荷Fxn、Fymの値を推定するために使用されてよい。
【0100】
再び方程式(8)を参照すると、N個の検知電極x
n、20のn
番目の場合、
【0101】
再び方程式(10)を参照すると、対電極15の場合、
【0102】
方程式(8)と(10)との間で総静電荷Q
ESを排除すると、
これは、以下のようにN個の第2の検知電極x
n、20のn
番目の圧電電荷Fx
nのために配列し直されてよい。
ここでは対電極15上で誘導された電荷Q
CEが測定されてよく、N個の第2の検知電極x
n、20のn
番目で誘導された電荷Qx
nが測定されてよい。総圧電電荷F
CEは、方程式(13)を使用し、第1の方法から決定されてよい。小数k
n及びC
CEは、物体33が、タッチパネル10に対して既知の場所x、yで配置される間に、既知の干渉電位V
intに帯電、接続、または結合された物体33を使用し実行される較正実験を通して事前に決定されてよい。上述したように、小数k
n及びC
CEは、一般的にタッチ場所x、yの関数、つまりk
n=k
n(x,y)及びC
CE=C
CE(x,y)である。k
n(x,y)及びC
CE(x,y)の適切な値は、静電容量信号27またはタッチ場所データ31を使用して、タッチ場所x、yを提供することによって求められてよい。
【0103】
このようにして、物体33の非接地電位からの外部干渉の影響が低減または排除される、N個の第2の検知電極xn、20のn番目の圧電電荷Fxnが推定され得る。
【0104】
同様に、M個の第1の検知電極y
m、14のm
番目の場合、物体33の非接地電位からの外部干渉の影響が低減または排除される圧電電荷Fy
mが、以下を使用して求められてよい。
【0105】
実際には、電荷Qx
n、Qy
m、Q
CEは、N個の第2の検知電極x
n、20のn
番目に対応する電圧出力が、Vx
nなどであるように、電荷増幅器34を使用して検出されてよい。第一の方法と同様に、電荷増幅器34の利得が、共通利得値Gにほぼ等しい、つまりGx
n≒Gy
m≒G
CE≒Gである場合、次いで、方程式(23)は、電荷増幅器34の電圧出力に関して、以下のように表現し直されてよい。
【0106】
同様に、方程式(24)は、電荷増幅器34の電圧出力に関して、以下のように表現し直されてよい。
【0107】
実験データ
また、
図11を参照すると、検知電極x
n、y
m及び共通電極15上で外部から誘導された電荷を示す実験データが示されている。
【0108】
第1の電圧信号35(実線)は、共通電極15について測定された電荷増幅器34の出力に対応する。第2の電圧信号36(破線)は、検知電極x
n、y
mについて測定された電荷増幅器出力に対応する。
図11に示す信号35、36は、静電ポテンシャルに帯電され、タッチパネル10にほぼ接触して保持された指の形の物体33を使用し、取得された。タッチパネル10には圧力を印加されなかった。
【0109】
図11では、第1の及び第2の電圧信号35、36が対応する符号を有する(言い換えると、信号は所与のときに実質的に同じ極性を有する)ことが観察され得る。
【0110】
また、
図12を参照すると、検知電極X
n、y
m及び共通電極上の圧電誘導電荷を示す実験データが示されている。
【0111】
第1の及び第2の電圧信号35、36は、それぞれ
図11と同じように共通電極15及び検知電極x
n、y
mに対応する。しかしながら、
図12に示すデータは、外部電場からのノイズが実質的にない圧電圧力信号を生成するために、非導電性物体を使用し、タッチパネル10をタップすることに応えて取り込まれた。
【0112】
図12では、第1の及び第2の電圧信号35、36が反対の符号を有する(言い換えると、信号は所与のときに実質的に反対の極性を有する)ことが観察され得る。
【0113】
観察された極性は、
図11または
図12のいずれの理想的な場合にも正確に対応せず、これは、DCオフセットの小さい変動及び測定誤差の他の原因の結果であると考えられる。
【0114】
第2の装置
静電容量と圧力の複合的な検知のための装置が、特に本書の
図22~
図26に関して、WO 2016/102975 A2に説明されている。
【0115】
本明細書の第2の装置37(
図13)の理解を助けるために、WO 2016/102975 A2に説明される静電容量と圧力の複合的な検知のための装置の動作を簡略に説明することが役立つ場合がある。以下の説明は、本明細書の第1のタッチパネル10の構造に関して行われる。
【0116】
圧電材料16の層は、分極される(poled)。その結果、ユーザーとの対話によって印加される圧力によって、圧電材料16の層の分極Pを誘発する歪みが生じる。圧電材料16の層の分極Pは、厚さ方向に成分Ezを有する誘導電場Epを生じさせる。分極Pを生じさせる変形は、圧縮または張力から生じる場合がある。分極Pを生じさせる変形は、おもにユーザーとの対話の印加圧力に応えた圧電材料層16の面内伸長であってよい。
【0117】
誘導電場Epは、共通電極15と検知電極14、20のいずれか1つとの間に電位差を生じさせる。誘導電場Epが電極14、15、20の帯電によって生成された電場Eqによって相殺されるまで、電子は電極14、15、20上または外に流れる。言い換えると、電場Eqは、電荷Fxn、Fym、FCEから生じる。
【0118】
タッチパネル10が、静電容量と圧力の複合的な検知のために使用されるとき、検知電極14、20から受信した信号は、一般的に、圧電信号圧力信号及び印加または検知された静電容量測定信号の重畳の形をとる。特に
図22~
図26に関して、WO 2016/102975 A2に説明する静電容量と圧力の複合的な検知のための装置は、第1の及び第2の周波数依存フィルタ(図示せず)を使用して、検知電極14、20から受信した信号を、静電容量情報を含む第1の成分及び圧電圧力情報を含む第2の成分に分離することによって動作する。第1の及び第2の周波数依存フィルタ(図示せず)は、物理フィルタである場合もあれば、デジタル信号処理中に適用される場合もある。これは、圧電圧力信号及び静電容量測定信号が、一般的には異なる分離可能な周波数成分を有するために可能である。
【0119】
例えば、1対の検知電極14、20の間の相互静電容量は、通常0.1~3000pF以上、好ましくは100~2500pFの範囲に入ってよい。この範囲で静電容量に効果的に結合するために、静電容量測定信号は、通常、10kHz以上、20kH以上、50kHz以上、または100kHz以上の基底周波数を有してよい。対照的に、圧電圧力信号は、通常、数Hz~数百または数千Hzの範囲に及ぶ広帯域周波数成分を含む。これは、少なくとも部分的には、圧電圧力信号が人間のユーザーによるユーザーとの対話から生じるためである。
【0120】
また、
図13を参照すると、静電容量と差動圧電圧力の複合的な測定のための第2の装置37が示されている。
【0121】
WO 2016/102975 A2に説明する装置では、第1の及び第2の周波数依存フィルタ(図示せず)は、フロントエンドモジュールの一部としてハードウェアの中に、または例えばコントローラによってデジタルに領域の中に実装される。
【0122】
対照的に、本明細書の第2の装置37は、第1のサンプリング周波数fpiezoで静電容量測定信号39と同期するアナログ-デジタル変換器(ADC)38a、38bを使用し、第1の圧電圧力信号29を選択するために第1の周波数依存フィルタを実装する。第2の装置37は、静電容量信号27を取得するためにデジタル領域で第2の周波数依存フィルタを実装する。例えば、デジタル高域フィルタを適用することによって、または第1の圧電圧力信号29のより最近の1つまたは複数のサンプル値を使用することによってベースラインを提供する。
【0123】
第2の装置37は、静電容量と差動圧力の複合的な検知のために第1のタッチパネル10及びタッチコントローラ40を含む。第2の装置37は、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータなどの電子デバイス(図示せず)の中に組み込まれてよい。第1のタッチパネル10は、電子デバイス(図示せず)のディスプレイ(図示せず)を覆って接着されてよい。この場合、第1のタッチパネル10の材料は、実質的に透明でなければならない。カバーレンズ(図示せず)は、第1のタッチパネル10を覆って接着されてよい。カバーレンズ(図示せず)は好ましくはガラスであるが、任意の透明な材料であってよい。
【0124】
タッチコントローラ40はコントローラ25を含む。また、タッチコントローラ40は、1対の増幅器モジュール41a、41b、1対のマルチプレクサ42a、42b、1対の一次ADC38a、38b、及び1対の二次ADC43a、43bを含む第1の回路23も含む。また、タッチコントローラは、共通電極電荷増幅器44及び共通電極ADC45を含む第2の回路24も含む。コントローラ25は、リンク46を使用し、電子デバイス(図示せず)の1つ以上のプロセッサ(図示せず)と通信してよい。コントローラ25は、増幅器モジュール41a、41bの一方または両方に駆動静電容量測定信号39、V
sig(t)(
図14、以下、簡潔にするために「駆動信号」とも呼ばれる)を提供するための信号源(図示せず)を含む。
【0125】
第2の装置37は、駆動信号39、Vsig(t)が第1の増幅器モジュール41aに供給され、その結果、第1の検知電極14が送信Tx電極となり、第2の検知電極20が受信Rx電極となる例を参照して説明される。
【0126】
各増幅器モジュール41a、41bは、いくつかの別個の電荷増幅器34を含む。第1の増幅器モジュール41aの各電荷増幅器34は、導電性トレース26を介して対応する第1の検知電極14に接続される。第1の増幅器モジュール41aの各電荷増幅器34の出力は、第1のマルチプレクサ42aの対応する入力に接続される。このようにして、第1のマルチプレクサ42aは、アドレス指定された第1の検知電極14に対応する増幅信号47aを出力し得る。
【0127】
第1の一次ADC38aは、第1のマルチプレクサ42a出力から現在アドレス指定されている第1の検知電極14に対応する増幅信号47aを受信する。現在アドレス指定されている第1の検知電極14に対応する増幅信号47aは、駆動信号39Vsig(t)と圧電圧力信号29、Vpiezo(t)の重畳を含む。また、第1の一次ADC38aは、コントローラ25から第1の同期信号48a(「クロック信号」とも呼ばれる)も受信する。第1の同期信号48aは、第1のサンプリング周波数fpiezoで、及び駆動信号39、Vsig(t)の振幅が接地、共通モード、または最小値に実質的に等しくなるのに対応するときに、サンプルを取得するように第1の一次ADC38aをトリガする。このようにして、第1の一次ADC38aは、第1のマルチプレクサ42aと接続された第1の検知電極14によって生成された圧電圧力信号29、Vpiezo(t)にほぼ相当するサンプリングされた信号の形の第1のフィルタ処理信号49aを取得してよい。第1の同期信号48aは、駆動信号39、Vsig(t)の単一期間毎の間にサンプルを取得するように第1の一次ADC38aをトリガする必要はなく、代わりに、例えば他の期間ごと、10番目の期間ごと、100番目の期間ごとなどの間にサンプルを取得するように第1の一次ADC38aをトリガしてよい。
【0128】
例えば、
図14Aから14Cも参照すると、第1のフィルタ処理信号49aの形の圧電圧力信号29を取得する例が示されている。
【0129】
視覚的な目的で、
図14A~14Cでは、駆動信号39、V
sig(t)及び重畳された圧電圧力信号29、V
piezo(t)が、周波数及び振幅の差異が実際に予想されるであろうよりもはるかに少ない状態で示されている。実際には、駆動信号39、V
sig(t)は、圧電圧力信号29、V
piezo(t)よりも著しく大きな振幅を有し、数桁大きい周波数で変化すると予想されるであろう。
【0130】
特に
図14Aを参照すると、基底信号f
dの駆動信号39、V
sig(t)の例は、50:50のデューティ比及び1/f
dの期間のパルス波の形をとってよい。この例では、第1の同期信号48aは、駆動信号39、V
sig(t)の最小値、つまりゼロ期間のほぼ中間点で第1の一次ADC38aをトリガする。例えば、第1の一次ADC38aは、時間t
1、t
2=t
1+1/f
d、t
3=t
1+2/f
dなどでサンプルを取得してよい。
【0131】
特に
図14Bを参照すると、第1の検知電極14が送信機電極Txとして機能し、第2の検知電極20が受信電極Rxとして機能する状態で、増幅信号47aは、圧電圧力信号29V
piezo(t)及び駆動信号39V
sig(t)の重畳として概算されてよい。第1の同期信号48aは、増幅信号47aに対する駆動信号39、V
sig(t)の寄与が接地、共通モード、または最小値に実質的に等しいときに増幅信号47aのサンプリングをトリガする。このようにして、実質的に圧電圧力信号29、V
piezo(t)だけのサンプリングが取得され得る。
【0132】
特に
図14Cを参照すると、第1のフィルタ処理信号49aは、次いで時間t
1、t
2、t
3などでの圧電圧力信号29、V
piezo(t)の一連のサンプリングの形をとる。
【0133】
第1の二次ADC43aは、第1のマルチプレクサ42a出力から、現在アドレス指定されている第1の検知電極14に対応する増幅信号47aを受信する。第1の二次ADC43aは、駆動信号39、Vsig(t)の基底周波数fdの少なくとも数倍であるサンプリング周波数fcapで増幅信号47aをサンプリングする。第1の二次ADC43aは、コントローラ25にデジタル化された増幅信号50aを出力する。コントローラ25は、デジタル化された増幅信号50aを受信し、デジタル高域フィルタを適用してデジタル領域で第2のフィルタ処理信号を取得する。第2のフィルタ処理信号は、静電容量信号27に相当する。
【0134】
代わりに、圧電圧力信号29、Vpiezo(t)は、通常、駆動信号39、Vsig(t)の基底周波数fdよりも数桁低い周波数で変化するので、コントローラ25は、第1のフィルタ処理信号49a、例えばVpiezo(t3)の直近にサンプリングされた値を追加オフセットとして処理し、この値をデジタル化された増幅信号50aから差し引いてよい。例えば、第1のフィルタ処理信号49aの2つの直近にサンプリングされた値に基づいた線形補間、または第1のフィルタ処理信号49aの3つの直近にサンプリングされた値に基づいた二次補間など、より正確なベースライン補正が利用されてよい。
【0135】
一次及び二次ADC38a、43aは同じであってよい。しかしながら、一次及び二次ADC38a、43aが異なることが有利である場合がある。特に、一次ADC38aは、駆動信号Vsig(t)に対応するより大きな振幅を測定する必要なしに、圧電圧力信号29、Vpiezo(t)のダイナミックレンジのために最適化されてよい。さらに、第1のサンプリング周波数fpiezoは、静電容量測定信号39、Vsig(t)の基底周波数fdに最大限で等しくなくてはならないため、二次ADC43aに比較して一次ADC38aにはより低い帯域幅が必要とされる。費用重視の用途の場合、これにより一次ADC38aにより安価なADCの使用が可能になる。対照的に、性能用途の場合、これにより、同じダイナミックレンジ内のより多数の信号レベルを弁別できるより精密なADCの使用が可能になる(16ビットのADCは、通常、他はすべて等しいが、8ビットADCよりも低速である)。
【0136】
第2の検知電極20は受信側Rx電極であるため、第2の一次ADC38bのための第2の同期信号48bは第1の同期信号48aに対してオフセットされ得るという点を除き、第2の検知電極20からの信号の処理は、第1の検知電極14からの信号の処理に類似している。
【0137】
第2の増幅器モジュール41bの各電荷増幅器34は、導電性トレース26を介して対応する第2の検知電極20に接続され、第2の増幅器モジュール41bの各電荷増幅器34の出力は、第2のマルチプレクサ42bの対応する入力に接続される。このようにして、第2のマルチプレクサ42bは、アドレス指定された第2の検出電極20に対応する増幅信号47bを出力してよい。
【0138】
現在アドレス指定されている第2の検知電極20に対応する増幅信号47bは、受信した静電容量測定信号(図示せず)Vmeas(t)と圧電圧力信号29、Vpiezo(t)の重畳を含む。受信した静電容量測定信号Vmeas(t)(以下、簡潔にするために「受信信号」と呼ばれる)は、アドレス指定された第2の検知電極20と第1の検知電極14との間の相互静電容量によってアドレス指定された第2の検知電極20に結合される駆動信号39、Vsig(t)である。受信信号Vmeas(t)は、駆動信号39、Vsig(t)に関係し、それと同様の形を有し、特に、実質的に同じ周波数成分を有する。しかしながら、受信信号Vmeas(t)は、駆動信号Vsig(t)比較して、振幅の変化及び/または位相の変化を含む場合がある。第2の一次ADC38bは、コントローラ25から第2の同期信号48b(「クロック信号」とも呼ばれる)を受信する。第2の同期信号48bは、サンプリング周波数fpiezoで、及び受信信号Vmeas(t)の振幅が、接地、共通モード、または最小値に実質的に等しくなるのに対応するときにサンプルを取得するように第2の一次ADC38bをトリガする。駆動信号39、Vsig(t)の形、及び駆動信号39、Vsig(t)と受信信号Vmeas(t)との間の典型的な位相シフトに応じて、第1の同期信号と第2の同期信号48a、48bの間にいくつかの考えられる関係がある。
【0139】
受信信号Vmeas(t)が駆動信号39、Vsig(t)とほぼ同相であるとき、第2の同期信号48bは、第1の同期信号48aと同じであってよい。第2の同期信号48bは、増幅信号47bに対する受信信号Vmeas(t)の寄与が、接地、共通モード、または最小値に実質的に等しいときに、増幅信号47bのサンプリングをトリガする。このようにして、実質的には圧電圧力信号29、Vpiezo(t)だけのサンプリングが取得され得る。
【0140】
同様に、
図14Aに示されるパルス波の形の駆動信号39、V
sig(t)の場合、受信信号V
meas(t)と駆動信号39、V
sig(t)との間の最大で約φ±π/2までの小さい位相シフトφは、第1の同期信号と第2の同期信号48a、48bとの間のいかなるオフセットも必要とすることなく対応されてよい。パルス波の場合、駆動信号39、V
sig(t)及び受信信号V
meas(t)は、各期間の半分の間、それぞれ実質的にゼロに等しいため、そのような位相シフトは許容できる。
【0141】
より大きな位相シフトφまたは駆動信号39、Vsig(t)の異なる非矩形波形の場合、第2の同期信号48bは、対応するタッチパネル10について予想/測定される静電容量の範囲内で、第2の同期信号48bが、受信信号Vmeas(t)の低いまたはゼロの信号レベルの間に第2の一次ADC38bをトリガするように、第1の同期信号48aに対してオフセットされてよい。言い換えると、第2の同期信号48bは、第2の一次ADC38bのサンプリングを、駆動信号39、Vsig(t)の代わりに、受信信号Vmeas(t)に同期させてよい。
【0142】
代わりに、第2の同期信号48bは、受信信号Vmeas(t)の条件に応えて生成されるであろう。例えば、単純なコンパレータ回路は、受信信号Vmeas(t)が接地、共通モード、または最小値の事前に較正された範囲内に低下することに応えて、第2の同期信号48bを生成するために使用できるであろう。第2の同期信号48bをトリガする回路は、遅延タイマを含んでよい。
【0143】
このようにして、第2の一次ADC38bは、第2のマルチプレクサ42bを介して接続された第2の検知電極20によって生成された圧電圧力信号29、Vpiezo(t)にほぼ相当するサンプリングされた信号の形で第2のフィルタ処理信号49bを取得してよい。第2の同期信号48bは、駆動信号39、Vsig(t)または測定信号Vmeas(t)の単一期間毎の間にサンプルを取得するために第2の一次ADC38bをトリガする必要はなく、代わりに例えば他の期間ごと、10番目の期間ごと、100番目の期間ごとなどの間にサンプルを取得するように第2の一次ADC38bをトリガしてよい。
【0144】
また、コントローラ25は、マルチプレクサ42a、42b、及び/または増幅器34に第2の同期信号51を提供してもよい。第2の同期信号51は、マルチプレクサ42a、42bに、コントローラ25によって決定される順序に従って第1の及び第2の検知電極14、20の各組み合わせをアドレス指定させてよい。このようにして、タッチコントローラ25は、コントローラ25によって決定された順序に従って、第1の及び第2の検知電極14、20の各対から増幅信号47a、47bを受信してよい。順序は所定であってよく、例えば、順序は、繰り返す前に一度、第1の検知電極14及び第2の検知電極20の各対を選択してよい。順序は動的に決定されてよく、例えば、1つ以上のユーザーとの対話が検出されるとき、コントローラ25は、ユーザーのタッチのより高速及び/またはより正確な追跡を提供するために、検出された各ユーザーとの対話に隣接して第1の及び第2の検知電極14、20のサブセットを走査してよい。
【0145】
共通電極電荷増幅器44は、共通電極15から信号を受信し、共通電極増幅信号52を生成する。共通電極ADC45は、共通電極増幅信号52を受信し、圧電サンプリング周波数fpiezoでその信号をサンプリングして、第2の圧電信号30を生成する。任意選択で、共通電極ADC45は、駆動信号39、Vsig(t)の接地、共通モードまたは最小値、及び/または受信信号Vmeas(t)の接地、共通モード、または最小値に対応するときに第2の圧電信号30をサンプリングするように、第1の同期信号と同一であってよい、または第1の同期信号からオフセットされてよい、第3の同期信号48cによっても同期される。共通電極ADC45の同期は、静電容量測定値からクロストークを低減または回避するために役立つ場合がある。
【0146】
取得したフィルタ処理信号49a、49bに基づいて、コントローラ25は、アドレス指定された第1の及び第2の検知電極14、20に対応する圧力値32a、32bを計算してよい。圧力値32a、32bは、上述の第1の方法及び/または第2の方法を使用し、第1の及び第2の圧電圧力信号29、30に基づいて決定される。圧力値32a、32bは、リンク46を介して出力されてよい。
【0147】
上述のように、コントローラ25は、第1の増幅器モジュール41aの各増幅器34に駆動信号39、駆動信号39、Vsig(t)を提供する。第1の増幅器モジュール41aの各増幅器34の入力は、駆動信号39、Vsig(t)を使用し、第1のタッチパネル10の対応する第1の検知電極14を駆動するために使用されてよい。コントローラ25によって取得された駆動信号39、Vsig(t)、ならびに第1の及び第2のデジタル化された増幅信号50a、50bに基づいて、コントローラ25は、第1のアドレス指定された第1の検知電極と第2の検知電極14、20との間の相互静電容量に基づく静電容量値27及びタッチ場所データ31を計算する。容量値27及び/またはタッチ場所データ31は、リンク46を介して出力されてよい。
【0148】
また、
図15を参照すると、第2の装置での使用に適した電荷増幅器34a、34b、44の一構成の例が示されている。
【0149】
一構成では、各電荷増幅器34a、34b、44は、反転入力、非反転入力、及び出力を有するオペアンプOPを含む。
【0150】
例えば、第1の増幅器モジュール41aの一部を形成する各電荷増幅器34aは、入力抵抗R1及び直列で接続された第1のスイッチSW1を介して、対応する第1の検知電極14への結合のための反転入力を有するオペアンプOPを含む。オペアンプOPの非反転入力は、駆動信号39、Vsig(t)に接続される。駆動信号39、Vsig(t)は、コントローラ25によって、第2の装置37の別個のモジュール(図示せず)によって提供される場合もあれば、外部ソースから第2の装置37の中に受け取られる場合もある。反転入力は、実際には非反転入力と同じ電圧になるので、反転入力に、対応する第1の検知電極14を駆動させることができる。電荷増幅器34aのフィードバックネットワークは、フィードバック抵抗Rf、フィードバック容量Cf、及びオペアンプOPの反転入力と出力との間で並列に接続された第2のスイッチSW2を含む。オペアンプOPの出力は、増幅信号47aを提供する。
【0151】
オペアンプOPの非反転入力が、駆動信号39、Vsig(t)の代わりに共通モード電圧VCMに結合される点、及び反転入力が、第1の検知電極14の代わりに第2の検知電極20に接続される点を除き、第2の増幅器モジュール41bの一部を形成する各電荷増幅器34bは、第1の増幅器モジュール41aの各電荷増幅器34aと同じである。
【0152】
共通電極電荷増幅器44の反転入力が共通電極15に接続され、共通電極電荷増幅器44が第1のスイッチSW1を省略する点を除き、共通電極電荷増幅器44は、第2の増幅器モジュール41bの一部を形成する電荷増幅器34bと同じである。
【0153】
電源端子などのオペアンプOPの他の端子が存在する場合があるが、本明細書に説明する本概略図または他の概略回路図には示していない。
【0154】
第2のスイッチSW2は、対応する帰還コンデンサCfを放電できるようにする。第2のスイッチSW2の開閉は、コントローラ25によって提供される第2の同期信号51によって管理されてよい。このようにして、各電荷増幅器34a、34bの帰還コンデンサCfは、オペアンプOPのフィードバックネットワークをリセットして、過度のドリフトを防ぐために定期的に放電されてよい。任意選択で、共通電極電荷増幅器44の第2のスイッチSW2は、第2の同期信号51を使用し、同期されてもよい。
【0155】
第1のスイッチSW1は、必要に応じて、増幅器34a、34bを、対応する検知電極14、20に接続またはそれらから切断できるようにするために、コントローラ25によって提供される第2の同期信号51によって制御されてよい。
【0156】
第1の検知電極14は、送信TX電極である必要はなく、第2の検知電極20は受信Rx電極である必要はない。代わりに、コントローラ25は、第2の検知電極20が送信Tx電極であり、受信信号Vmeas(t)が、第1の検知電極14を使用し、検出されるように、第2の増幅器モジュール41bに駆動信号39Vsig(t)を提供してよい。
【0157】
他の例では、第2の装置37は、相互静電容量測定値のために構成される必要はなく、代わりにそれぞれの第1の及び第2の検知電極14、20の自己容量を測定するように構成されてよい。この場合、自己容量測定信号(図示せず)は、第1の及び第2の増幅器モジュール41a、41bの両方に提供されてよい。
【0158】
第2のタッチパネル
第1のタッチパネル10では、第1の及び第2の検知電極14、20は、細長い矩形の電極の形で示されてきた。しかしながら、他の形状を使用してもよい。
【0159】
また、
図16を参照すると、第1の及び第2の検知電極14、20の代替形状を有する第2のタッチパネル53が示されている。
【0160】
矩形である代わりに、各第1の検知電極14は、第1の方向xで等間隔に配置され、比較的に狭いブリッジセグメント55によって第1の方向xで互いに接続されたいくつかのパッドセグメント54を含んでよい。同様に、各第2の検知電極20は、第2の方向yに等間隔で配置され、比較的に狭いブリッジセグメント57によって第2の方向yで互いに接続されたいくつかのパッドセグメント56を含んでよい。第1の検知電極14のパッドセグメント54は、第2の方向yで第1の幅W1を有するひし形であり、第1の検知電極14のブリッジセグメント55は、第2の方向yで第2の幅W2を有する。第2の検知電極20のパッドセグメント56及びブリッジセグメント57は、第1の検知電極14と同じそれぞれの形状及び幅W1、W2を有する。
【0161】
第1の及び第2の検知電極14、20は、第2の検知電極20のブリッジセグメント57が、第1の検知電極14のブリッジセグメント55の上になるように配置される。代わりに、第1の及び第2の検知電極14、20は、第2の検知電極20のパッドセグメント56が第1の検知電極14のパッドセグメント54の上になるように配置されてよい。パッドセグメント54、56はひし形形状である必要はなく、代わりに円形であってよい。パッドセグメント54、56は、三角形、正方形、五角形、または六角形などの正多角形であってよい。パッドセグメント54、56は、I字形またはZ字形であってよい。
【0162】
第2のタッチパネル53の代替形状は、第1のまたは第2の装置22、37と組み合わせて等しく適用可能である。
【0163】
第3のタッチパネル
また、
図17を参照すると、第3のタッチパネル58は、第1のまたは第2の装置22、37と組み合わせて使用されてよい。
【0164】
第3のタッチパネル58が第2の層構造17を含まず、第2の検知電極20が、第1の検知電極14に加えて、第1の層構造11の第1の面12の上に配置される点を除き、第3のタッチパネル58は、第1のタッチパネル10と実質的に同じである。各第1の検知電極14は、第1の方向xに延在する連続導電性領域である。例えば、各第1の検知電極14は、第1の方向xで等間隔に配置され、比較的に狭いブリッジセグメント60によって第1の方向xで互いに接続されたいくつかのパッドセグメント59を含んでよい。各第2の検知電極20は、第2の方向yで等間隔で配置されたいくつかのパッドセグメント61を含んでよい。しかしながら、第2の検知電極20のパッドセグメント61は、第1の層構造11の第1の面12上に配置され、第1の検知電極14が組み入れられており、第1の検知電極14によって分離される。各第2の検知電極20に対応するパッドセグメント61は、導電性ジャンパ62によって互いに接続される。ジャンパ62はそれぞれ、第1の検知電極14の一部にまたがり、ジャンパ62は、ジャンパ62と第1の検知電極14の交点の回りの領域に局限される場合がある誘電材料(図示せず)の薄層によって第1の検知電極14から絶縁される。
【0165】
代わりに、薄い誘電体層(図示せず)は、第1の層構造11の第1面12、第1の検知電極14、及び第2の検知電極20の導電性パッド61の上にあってよい。第2の方向yで伸長する導電性トレース(図示せず)は、誘電体層(図示せず)の上に配置されてよく、各導電性トレース(図示せず)は、1つの第2の検知電極20を構成するパッドセグメント61の上にある。上にある導電性トレース(図示せず)は、薄い誘電体層(図示せず)を通して形成されたビア(図示せず)を使用し、各第2の検知電極20を構成するパッドセグメント61を接続してよい。
【0166】
修正例
上述の実施形態に多くの修正を加え得ることが理解される。そのような修正は、圧力検知タッチパネル及び/または投影型静電容量式検知タッチパネルの設計、製造、及び使用において既に既知であり、本明細書にすでに説明した特徴の代わりにまたは機能に加えて使用し得る同等な特徴及び他の特徴を含んでよい。一実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴によって置き換えられてよい、または補足されてよい。
【0167】
第3の装置
また、
図18を参照すると、第3の装置66は、圧力と静電容量の複合的な検知のためにタッチパネル10及び第2のコントローラ67を含む。
【0168】
第2のコントローラ67では、第1の検知電極14からの入力信号が、第1のマルチプレクサ42aによって単一の電荷増幅器34aに接続される点を除き、第2のコントローラ67は、第1のコントローラ40と同じである。電荷増幅器34aは、第1のコントローラ40に関してと同じように、第1の一次ADC38a、第1の二次ADC43a、及びコントローラ25によって処理される第1の増幅信号47aを出力する。同様に、第2の検知電極20からの入力信号は、第2のマルチプレクサ42bによって単一の電荷増幅器34bに接続されている。電荷増幅器34bは、第1のコントローラ40に関して同じように、第2の一次ADC38b、第2の二次ADC43b、及びコントローラ25によって処理される第2の増幅信号47bを出力する。共通電極15からの信号の取得及び処理は、第2の装置37に関してと同じである。
【0169】
第1のコントローラ40と同じように、一次及び二次ADC38、43の使用は必須ではない。代わりに、単一のADC(図示せず)は、信号49、50を連続して取得するように、圧電サンプリング周波数及び容量性サンプリング周波数fpiezo、fcapでの操作を交互に行うことができる。
【0170】
第4の装置
また、
図19を参照すると、圧力と静電容量の複合的な検知のための第4の装置68が示されている。
【0171】
第4の装置68は、第1のタッチパネル10と、静電容量式タッチコントローラ69の形の第1の回路23、インピーダンスネットワーク70及び電荷増幅器34、共通電極電荷増幅器44の形の第2の回路24、ならびにコントローラ25を含む測定回路とを含む。
【0172】
静電容量式タッチコントローラ69は、第1の検知電極と第2の検知電極14、20の対の間または両方の相互静電容量測定のために、個々の第1の及び第2の検知電極14、20の自己容量測定のために構成された標準的な市販されているデバイスであってよい。静電容量式タッチコントローラを提供するための適切なデバイスは、Solomon Systech maXTouch(RTM)コントローラ、Cypress Semiconductor CapSense(RTM)コントローラ、Synaptics ClearPad(RTM)コントローラ、または互換性のある機能を備えた他のデバイスを含むが、これに限定されるものではない。静電容量式タッチコントローラ69の各測定端子は、入力静電容量Cin及び導電性トレース26を介して、対応する第1のまたは第2の検知電極14、20に結合される。入力静電容量Cinは、通常、約100pF~約1nFの間の範囲の値を有する場合がある。静電容量式タッチコントローラ69は、コントローラ25に渡される容量値27を取得するために任意の標準的な方法で動作してよい。
【0173】
各検知電極14、20または隣接する検知電極14、20のグループに対応する第1の信号29を測定する代わりに、第4の装置68では、インピーダンスネットワーク70が、検知電極14、20のすべてを単一の電荷増幅器34の入力に結合する。言い換えると、第4の装置68では、方程式(11)に従ってQsen(または方程式(17)に従ってVsen)を求めるための総和は、デジタル領域からアナログ領域に移動される。各検知電極14、20は、入力抵抗Rinによって電荷増幅器34の入力に結合される。入力抵抗Rinは、静電容量式タッチコントローラ69の測定チャネル間のクロストークを抑制するほど十分に大きい。入力抵抗Rinは、通常、約10kΩ~約100kΩの間の範囲の値を有してよい。
【0174】
コントローラ25は、第1の圧電信号29及び第2の圧電信号30を受信する。コントローラ25は、例えば、方程式(13)または方程式(21)を使用し、総圧電電荷FCEに基づいて、補正圧電信号32を推定してよい。総圧電電荷FCEは、総印加圧力の推定値を提供する。コントローラ25は、タッチ場所データ31を決定するために容量値27を使用する。代わりに、静電容量式タッチコントローラ69が適切な機能性を提供する場合、静電容量式タッチコントローラ69は内部でタッチ場所データ31を決定し、コントローラ25にタッチ場所データ31を出力してよい。コントローラ25は、総圧電電荷FCEの加重差計算のための位置依存係数を調べるために、静電容量式タッチコントローラ69からのタッチ場所データ31を使用してよい。
【0175】
このようにして、第4の装置68は、従来の静電容量式タッチコントローラ69を使用し、取得された標準的な静電容量測定値と同時に印加全圧の推定値を提供するために使用され得る。これにより、従来の静電容量式タッチシステムを、圧電層16、共通電極15、インピーダンスネットワーク70、及び1対の電荷増幅器34、44を加えることによって大局的な印加力の推定値で補強できるようになる。
【0176】
第4の装置68の修正例では、入力静電容量C
inは、静電容量式タッチコントローラ69から検知電極14、20を切断するために使用され得るスイッチのアレイ(図示せず)で置き換えられてよい。そのような修正例では容量値27及び圧電信号29、30の測定は同時ではなく、代わりに時分割多重化される。例えば、第1の静電容量測定期間では、検知電極14、20は、容量値27を求めるために静電容量式タッチコントローラ69に接続されてよい。一方、第2の圧力測定期間では、検知電極14、20は、第1の及び第2の圧電信号29、30が取得される間、静電容量式タッチコントローラ69から切断されてよい。静電容量測定期間中、スイッチは、電荷増幅器34、44(
図15のSW2に類似)のフィードバックネットワークを短絡させるために使用されてよい。静電容量測定期間及び圧力測定期間は、ループで繰り返される。
【0177】
第1のタッチパネル10に関して示しているが、第4の装置68は、代わりに、第2のタッチパネル53、第3のタッチパネル58、または1つ以上の共通電極15といくつかの検知電極14、20との間に配置された圧電層16を含む任意の他の適切なタッチパネルを使用してよい。
【0178】
第5の装置
また、
図20を参照すると、圧力と静電容量の複合的な検知のための第5の装置71が示されている。
【0179】
測定回路が、入力として第1の及び第2の圧電信号29、30を受信する差動電圧増幅器72をさらに含む点を除き、第5の装置71は第4の装置68と同じである。このようにして、補正圧電信号32は、アナログ領域で直接的に取得される。第1の及び第2の圧電信号29、30の重み付けは、例えば、入力抵抗及び/または差動電圧増幅器72のフィードバックネットワークを変化させることによって達成されてよい。第4の装置と比較すると、第5の装置71は、コントローラ25に対する計算負荷を比較的に低減し得る。しかしながら、第5の装置は、例えば、タッチ場所データ31に基づいて、加重差に位置依存係数を使用することができない。
【0180】
第5の装置68の修正例では、入力静電容量C
inは、静電容量式タッチコントローラ69から検知電極14、20を切断するために使用され得るスイッチのアレイ(図示せず)で置き換えられてよい。そのような修正例では、容量値27及び補正圧電信号32の測定は同時ではなく、代わりに時分割多重化される。例えば、第1の静電容量測定期間では、検知電極14、20は、容量値27を取得するために静電容量式タッチコントローラ69に接続されてよい。第2の圧力測定期間では、検知電極14、20が静電容量式タッチコントローラ69から切断されてよく、補正圧電信号32は差動電圧増幅器72から取得されてよい。静電容量測定期間中、スイッチは、電荷増幅器34、44(
図15のSW2に類似)のフィードバックネットワークを短絡させるために使用されてよい。
【0181】
第1のタッチパネル10に関して示しているが、第5の装置71は、代わりに、第2のタッチパネル53、第3のタッチパネル58、または1つ以上の共通電極15といくつかの検知電極14、20との間に配置された圧電層16を含む任意の他の適切なタッチパネルを使用してよい。
【0182】
上述の例は、おもに複合的な圧電と静電容量式タッチパネル及び装置を参照して説明されてきたが、本明細書の第1の及び第2の方法が、静電容量を測定せず、圧電圧力信号しか測定しないタッチパネル装置でも使用され得ることが理解されるべきである。圧電タッチパネルがユーザーとの対話の座標x、yの決定を可能にするならば、係数kn(x,y)、hm(x,y)及び/またはCCE(x,y)の適切な事前に較正された値は取り出され、方程式(13)、(15)、(16)、またはその電圧同等物で適用されてよい。
【0183】
上述の例では、第1の圧電圧力信号29は、それぞれの第1のまたは第2の検知電極14、20に対応して生成されるが、これが当てはまる必要はない。他の例では、2つ以上の隣接する検知電極14、20のグループからの信号は、2つ以上の隣接する検知電極14、20のグループで誘導された電荷に対応する第1の圧電圧力信号29を生じさせるために、単一の電荷増幅器34によって結合されてよい。
【0184】
上述した例は、おもに、第1の及び第2の検知電極14、20が垂直方向で細長いタッチパネルに関して説明してきたが、これがあてはまる必要はない。他の例では、第2の検知電極20は省略されてよく、第1の検知電極14は、離散タッチパッドの2次元アレイの形をとってよい。追加の例では、第2の検知電極20は省略されてよく、第1の検知電極14は、不規則なアレイで配列され、任意の場所に配置された、または1つ以上の規則正しいアレイに配列されたいくつかの第1の検知電極14及び1つ以上の不規則なアレイにもしくは任意の場所に配置された他の第1の検知電極14の混合物で配列された離散タッチパネルの形をとってよい。本明細書の第1の及び第2の方法は、依然としてそのような例で使用され得る。
【0185】
特許請求の範囲は、本願において、特徴の特定の組み合わせに対して説明されてきたが、本発明の開示の範囲は、明示的にもしくは暗示的にのどちらかで本明細書に開示する任意の新規特徴もしくは特徴の任意の新規組み合わせまたはその任意の一般論をも、それがいずれかの請求項で現在特許請求されているのと同じ発明に関するのか否か、及びそれが本発明が軽減するのと同じ技術的な問題のいずれかまたはすべてを軽減するか否かに関わらず、含むことを理解されたい。出願人は、本明細書により、本願の、またはそこから派生する任意の追加の出願の遂行中に新しい請求項が、そのような特徴及び/またはそのような特徴の組み合わせに対して考案され得る旨を通知する。