(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】無担保ファンディングシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20230710BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019129540
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501093974
【氏名又は名称】ガブリエル サイオン
【氏名又は名称原語表記】Gabriel Scion
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル 西園
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036098(JP,A)
【文献】特開2019-200750(JP,A)
【文献】特開2004-206449(JP,A)
【文献】特開2008-090689(JP,A)
【文献】特許第6413110(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンディングシステム加盟ホテルのホテル管理サーバと、
ファンディング事業者が使用するシステムセンタサーバと、が通信ネットワークで接続され、前記ファンディングシステム加盟ホテルの未確定の将来売上債権の買取りを支援する無担保のファンディングシステムであって、
前記ホテル管理サーバは、
所定の期間ごとに、前記ファンディングシステム加盟ホテルの宿泊予約状況と宿泊売上実績を記録した宿泊予約・宿泊売上情報を前記システムセンタサーバに通知する予約・売上情報通知手段と、
前記ファンディングシステム加盟ホテルの未確定の将来売上債権の売却を申請するファンディング申請手段と、を有し、
前記システムセンタサーバは、
前記宿泊予約・宿泊売上情報を用いて、前記ファンディングシステム加盟ホテルの所定期間の宿泊予約状況及び宿泊売上実績から評価指数を算出し、該評価指数と予め定められた評価基準に基づいて、前記ファンディングシステム加盟ホテルの評価ランクを決定し、予め定められた合格基準により予約・実績評価を行い、前記評価ランクが予め定められた合格基準を満たし、ファンディング可能と判断された場合、前記ホテル管理サーバにファンディング可能通知を送信し、前記評価ランクが予め定められた合格基準を満たさず、ファンディング不可と判断された場合、前記ホテル管理サーバに前記予約・実績評価の所定期間の期間延長の通知を送信する予約・実績評価手段と、
前記ファンディング可能と判断されたファンディングシステム加盟ホテルの予約から宿泊までの期間が所定期間以上を有する未確定の予約案件の予定売上高の合計額を用いて、予約状況に基づく将来売上債権の債券買取りプランを作成する債券化仕様設計手段と、を有することを特徴とする無担保ファンディングシステム。
【請求項2】
前記予約・実績評価手段が行う予約・実績評価の評価指数は、所定期間の予約から宿泊までの期間が所定期間以上を有する予約案件の宿泊実績を抽出し、抽出した予約案件の宿泊実績から算出した予約キャンセル率、予約率、客室稼働率、及び予約/稼働割合であることを特徴とする請求項1記載の無担保ファンディングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンディングシステム加盟ホテルの未確定の将来売上債権の買い取りを支援する無担保のファンディングシステムに関し、より詳しくは、所定期間のホテルの予約・実績状況の評価によりファンディング可否判断を行い、予約状況に基づく将来売上債権の債券買取りプランを作成するシステムセンタサーバを備えた無担保のファンディングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗のキャッシュフローの改善策として、発明者は、クレジットカード決済の所定期間の売上実績に基づく未確定の将来クレジット債権を債券化して、無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されない、クレジットカード加盟店へのファンディングシステムを提案しており、店舗においては、売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保することが可能となっている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上記提案では、クレジットカードの利用率の高い店舗では有用であるが、現金払や各種電子マネー決済等クレジットカード以外の決済方法が主体の店舗においてはファンディングを有効に利用できないという欠点を有していたため、発明者は、店舗の商取引の決済及び入金が完了した確定売上高を集計し、期間別確定売上高を計算する確定売上高集計部の機能、及びファンディング事業者に支払う分別支払金額及び決済及び/又は分別支払の代行事業者に預託する留保金額の計算を行う分別支払設定部の機能を有するキャッシュレジスタ又は券売機を用いて、所定期間の売上実績に基づく未確定の将来売上債権を債券化して、無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されないように店舗を支援する無担保ファンディングシステムを提案しており、現金払等クレジットカード以外の決済方法が主体の店舗において、売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保することが可能となっている(特許文献2参照)。
【0004】
ホテル等の宿泊業においても、上記過去の売上実績に基づく未確定の将来売上債権の債券化による無担保ファンディングシステムの利用は可能であるが、予約の急増に対応して人員、設備等の手当のための資金を要する場合、過去の売り上げ実績ではなく現在の予約状況に基づく将来売上債権の債券化が望まれている。しかしながら、予約を受ける時期やキャンセル率は個々のホテルごとに異なるため、予約状況のみから将来売上を予測することが困難であり、上記無担保ファンディングシステムの利用が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際特許公開第2014/024520号明細書
【文献】特開2016-164717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、所定期間のホテルの予約・実績評価によりファンディング可否判断を行い、予約状況に基づく将来売上債権の債券買取りプランを作成するシステムセンタサーバを備えた無担保のファンディングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による無担保ファンディングシステムは、ファンディングシステム加盟ホテルのホテル管理サーバと、ファンディング事業者が使用するシステムセンタサーバと、が通信ネットワークで接続され、前記ファンディングシステム加盟ホテルの未確定の将来売上債権の買取りを支援する無担保のファンディングシステムであって、前記ホテル管理サーバは、所定の期間ごとに、前記ファンディングシステム加盟ホテルの宿泊予約状況と宿泊売上実績を記録した宿泊予約・宿泊売上情報を前記システムセンタサーバに通知する予約・売上情報通知手段と、前記ファンディングシステム加盟ホテルの未確定の将来売上債権の売却を申請するファンディング申請手段と、を有し、前記システムセンタサーバは、前記宿泊予約・宿泊売上情報を用いて、前記ファンディングシステム加盟ホテルの所定期間の宿泊予約状況及び宿泊売上実績から評価指数を算出し、該評価指数と予め定められた評価基準に基づいて、前記ファンディングシステム加盟ホテルの評価ランクを決定し、予め定められた合格基準により予約・実績評価を行い、前記評価ランクが予め定められた合格基準を満たし、ファンディング可能と判断された場合、前記ホテル管理サーバにファンディング可能通知を送信し、前記評価ランクが予め定められた合格基準を満たさず、ファンディング不可と判断された場合、前記ホテル管理サーバに前記予約・実績評価の所定期間の期間延長の通知を送信する予約・実績評価手段と、前記ファンディング可能と判断されたファンディングシステム加盟ホテルの予約から宿泊までの期間が所定期間以上を有する未確定の予約案件の予定売上高の合計額を用いて、予約状況に基づく将来売上債権の債券買取りプランを作成する債券化仕様設計手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
前記予約・実績評価手段が行う予約・実績評価の評価指数は、所定期間の予約から宿泊までの期間が所定期間以上を有する予約案件の宿泊実績を抽出し、抽出した予約案件の宿泊実績から算出した予約キャンセル率、予約率、客室稼働率、及び予約/稼働割合であることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のファンディングシステムによれば、予約の急増に対応して人員、設備等の手当のための資金を要する場合などに、現在の予約状況に基づく将来売上債権の債券化によるファンディングが可能となるので、ファンディングシステム加盟ホテルは必要な手元流動性資金を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による無担保ファンディングシステムのスキームを説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるシステムセンタサーバを用いた無担保ファンディングシステムの構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】
図2に示すシステムセンタサーバの構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の無担保のファンディングシステムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の無担保ファンディングシステムのスキームを説明するための図である。
本スキームは、ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20とファンディング事業者30の間での債権買い取り代金譲渡契約の締結を前提としている。
ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20は、ファンディング事業者30に所定期間ごとのファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊予約状況と宿泊売上実績を記録した宿泊予約・宿泊売上実績情報を通知し、ファンディング事業者30は、宿泊予約・宿泊売上実績情報に基づいてファンディングシステム加盟ホテル10の予約状況に基づくファンディングの可否を判断する。
ファンディング事業者30は、予約状況に基づくファンディングが可能と判断されれば、予約状況に基づくファンディング可能通知をホテル経営者20に通知する。ファンディング可能通知を受けたホテル経営者20は、予約を受けている将来期間のファンディングシステム加盟ホテル10の未確定の将来売上債権の債券の売却を申請し、ファンディング事業者30は、予約状況に基づくファンディングシステム加盟ホテル10の将来売上債権の債券買取りプランをホテル経営者20に通知する。
【0012】
ファンディング事業者30は、ファンディングシステム加盟ホテル10の将来期間の売上の一部を将来売上債権の債券として買取り、ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20に将来売上債権の債券買取り代金を支払う。これにより、ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20は、無担保で必要な手元流動性の資金を確保する。
ファンディング事業者30は、購入した将来売上債権の債券化対象期間になれば、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊売上実績を記録した宿泊予約・宿泊売上実績情報に基づいて、ファンディングシステム加盟ホテル10の将来売上債権の債券の償還金を計算してファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20に通知する。
ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20は、通知された償還金をファンディング事業者30に支払う。
ファンディング事業者30に支払われる債券の償還は、ファンディング事業者30が買い取った債券の額面額と、ファンディング事業者30が償還を受けた償還累積額とが一致するまで続けられる。
【0013】
図2は、本実施形態によるシステムセンタサーバを用いた無担保ファンディングシステムの構成を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、本実施形態による無担保ファンディングシステムは、ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20が用いるホテル管理サーバ200とファンディング事業者30が用いるシステムセンタサーバ300からなる。
【0014】
ホテル管理サーバ200及びシステムセンタサーバ300は、市販のPC(パーソナルコンピュータ)等を用いて構成することができ、PCを構成するCPU(中央制御装置)、メモリ、データベースを構成するハードディスク等の記憶装置、管理用として画像やテキスト等を表示する表示装置、キーボードやマウス等の入力装置、及び通信に関連するその他の入力装置等の説明及びその構成図面は省略する。また、これらを用いてソフトウェアプログラムの実行により機能する各構成部についても詳細な説明は省略する。
【0015】
本実施形態においてホテル管理サーバ200は、ファンディングシステム加盟ホテル10に設置され、ファンディングシステム加盟ホテル10の通信業務全般を扱うホテル管理サーバ通信手段210、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊予約を管理する予約管理手段220と、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊売上を管理する売上管理手段230と、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊予約状況と宿泊売上実績を記録した予約・売上情報をファンディング事業者30が用いるファンディングシステムセンタサーバ300に送信する予約・売上情報通知手段240と、ファンディングシステム加盟ホテル10の未確定の将来売上債権の売却を申請するファンディング申請手段250と、を有する。
【0016】
ホテル管理サーバ通信手段210は、ファンディングシステム加盟店10のメインバンク、旅行代理店等のホストコンピュータとの接続、ファンディング事業者30が用いるファンディングシステムセンタサーバ300との接続、メール・サーバ業務を始めFTP処理、電話、FAX、及びLANを含む専用回線通信処理を含めて、ファンディングシステム加盟ホテル10の通信全般を管理する。
【0017】
予約管理手段220は、宿泊予定客からのホテルへの直接予約、各種サイトからのネット予約、旅行代理店からの予約を受け付け、予約受付順に予約番号を付して予約管理表に記録して、予約・売上情報通知手段240に伝送する。予約管理表には、予約番号、予約日、宿泊者数、宿泊期間、客室単価、予約手数料を差し引いた宿泊料金総額が記録される。
売上管理手段230は、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊実績を予約番号と対応させて売上管理表に記録して、予約・売上情報通知手段240に伝送する。売上管理表には、予約番号、実績宿泊者数、実績宿泊期間、客室単価、予約手数料を差し引いた実績宿泊料金総額が記録される。
【0018】
予約・売上情報通知手段240は、宿泊予約状況を記録した予約管理表及び宿泊売上実績を記録した売上管理表を宿泊予約・宿泊売上実績情報として、システムセンタサーバ300にホテル管理サーバ通信手段210を介して送信する。
宿泊予約・宿泊売上実績情報は、所定期間ごとに、好ましくは日単位で送信される。
【0019】
ファンディング申請手段250は、ホテル管理サーバ通信手段210を介して、システムセンタサーバ300からの予約状況に基づくファンディング可能通知、将来売上債権の債券買取りプランを受信し、将来売上債権の債券の売却申請をシステムセンタサーバ300に送信する。
【0020】
ファンディング事業者30が用いるシステムセンタサーバ300は、ホテル管理サーバ200と公衆回線網・専用回線等の通信ネットワークを介して接続され、ファンディング事業者30の通信業務全般を扱うセンタサーバ通信手段310、データ保存手段320、予約・実績評価によるファンディング可否判断を行う予約・実績評価手段330、将来売上債権の債券化仕様の設計を行う債券化仕様設計手段340、予約状況に基づく将来売上債権の債券の償還管理を行う償還管理手段350を有する。
【0021】
図3は、
図2に示すシステムセンタサーバ300の構成を説明するためのブロック図である。
図3を参照して、本実施形態によるシステムセンタサーバ300の予約・実績評価手段330、債券化仕様設計手段340、償還管理手段350各部の構成、機能、動作について説明する。
【0022】
(予約・実績評価)
予約・実績評価手段330は、ホテル管理サーバ200から送信された宿泊予約・宿泊売上実績情報に基づいて予約・実績評価指数を計算する評価指数計算部332と、予約・実績評価指数と予め設定された判断基準に基づいてホテルの評価ランクを設定する評価ランク設定部334と、評価ランク設定部334が設定した評価ランクと予め設定された判断基準に基づいてファンディングの可否を判断し、ホテル管理サーバ200にファンディング可能通知又は予約・実績評価期間延長通知を送信するファンディング判断部336を有する。
【0023】
システムセンタサーバ300のセンタサーバ通信手段310は、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊予約・宿泊売上実績情報を受信すると、宿泊予約・宿泊売上実績情報を評価指数計算部332に伝送する。
評価指数計算部332は、ファンディングシステム加盟ホテル10の宿泊予約・宿泊売上実績情報の予約管理表及び売上管理表のデータをファンディングシステム加盟ホテル10に対応した予約・売上実績台帳に記録し、宿泊予約・宿泊売上実績情報をデータ保存手段320に保存する。
予約・売上実績台帳には、予約番号に対応させて予約日、実績宿泊者数、実績宿泊期間、客室単価、予約手数料を差し引いた実績宿泊料金総額の他に、予約日から宿泊初日までの期間を表す予約受理期間が宿泊初日順に記録される。予約番号のない宿泊客の情報については、同一宿泊日データの後に記録される。
【0024】
評価指数計算部332は、予約・売上実績台帳から所定期間以上の受理期間を有し宿泊実績のあるデータ、例えば受理期間が1か月以上の宿泊データ、をピックアップし、ピックアップしたデータを用いて、日毎の予約キャンセル率、予約率を算出する。予約キャンセル率は、キャンセル部屋数を予約客室数で除して%で表し、予約率は予約客室数をホテル総客室数で除して%で表したものである。ここで受理期間とは、予約から宿泊までの期間をいう。
また、評価指数計算部332は、予約・売上実績台帳のデータを用いて、日毎の客室稼働率及び予約/稼働割合を算出する。客室稼働率は、実宿泊客室数をホテル総客室数で除して%で表したものであり、予約/稼働割合は、所定期間以上の受理期間を有し宿泊実績のあるデータの客室数を実宿泊客室数で除して%で表したものである。
【0025】
評価指数計算部332は、算出した予約キャンセル率、予約率、客室稼働率及び予約/稼働割合を予約・売上実績台帳に記録し、予約・売上実績台帳をデータ保存手段320に保存する。
評価指数計算部332は、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約・宿泊売上実績台帳の予約キャンセル率、予約率、客室稼働率及び予約/稼働割合のデータ数が所定の数を記録できれば、ファンディングシステム加盟ホテル10の評価用データ収集完了の通知を評価ランク設定部334に伝送する。
【0026】
評価ランク設定部334は、ファンディングシステム加盟ホテル10の評価用データ収集完了の通知を受けると、データ保存手段320よりファンディングシステム加盟ホテル10の予約・宿泊売上実績台帳を呼び出し、所定期間の平均予約キャンセル率、平均予約率、平均客室稼働率及び平均予約/稼働割合を算出する。
評価ランク設定部334は、予約キャンセル率、予約率、客室稼働率及び予約/稼働割合の数値に対応した評価ポイント換算基準表と、評価ポイントの合計によりランク分けをする評価ランク基準表を有し、これらの基準表に基づいて、所定期間の平均予約キャンセル率、平均予約率、平均客室稼働率及び平均予約/稼働割合の数値からファンディングシステム加盟ホテル10の評価ランクを設定する。
【0027】
評価ランク設定部334は、所定期間の平均予約キャンセル率、平均予約率、平均客室稼働率、平均予約/稼働割合、及び評価ランクをファンディングシステム加盟ホテル10の予約・宿泊売上実績台帳に記録し、予約・売上実績台帳をデータ保存手段320に保存するとともに、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約・実績評価完了の通知をファンディング判断部336に伝送する。
【0028】
ファンディング判断部336は、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約・実績評価完了の通知を受けると、データ保存手段320よりファンディングシステム加盟ホテル10の予約・宿泊売上実績台帳を呼び出し、評価ランク設定部334が設定した評価ランクと予め設定された判断基準に基づいてファンディングの可否を判断する。
ファンディング判断部336は、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約・実績評価ランクが予め設定された判断基準に照らして合格レベルであれば、ホテル管理サーバ200にファンディング可能通知を送信し、予め設定された判断基準に照らして不合格レベルにあれば、予約・実績評価期間延長通知を送信する。
ファンディング判断部336は、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約・実績評価ランクが合格レベルであれば、ホテル管理サーバ200にファンディング可能通知を送信するとともに債券化仕様設計手段340にファンディングシステム加盟ホテル10の将来売上債権の債券買取りプランの作成依頼を伝送する。
【0029】
(将来売上債権の債券化仕様の設計)
債券化仕様設計手段340は、予約状況に基づく将来売上債権の債券の債券化対象期間及び償還開始日を設定する債券化対象期間設定部341、予約状況に基づく将来売上債権の債券化割合を設定する債券化割合設定部342、予約状況に基づく将来売上債権の債券の債券額面額及びファンディングシステム加盟ホテル10からの債券買上げ価格を設定する債券額面設定部343、ファンディングシステム加盟ホテル10が支払う償還金の支払い条件を設定する償還条件設定部344、債券化対象期間、債券額面額、債券購入価格、償還金の支払い条件を設定した債券買取りプランを作成し、ファンディングシステム加盟店10に提案する債券買取りプラン設定部345を有する。
【0030】
債券化仕様設計手段340は、ファンディングシステム加盟ホテル10の将来売上債権の債券買取りプランの作成依頼を受けると、データ保存手段320よりファンディングシステム加盟ホテル10の予約・宿泊売上実績台帳を呼び出し、ファンディングシステム加盟店10に提案する債券買取りプランを作成する。
【0031】
債券化対象期間設定部341は、予約・売上実績台帳から所定期間以上の受理期間を有する予約案件、例えば受理期間が1か月以上の予約案件、をピックアップし、ピックアップした予約案件の対応宿泊日の期間を債券化対象期間とするファンディングシステム加盟ホテル10の未確定の将来売上債権を債券化する債券化対象期間の設定を行う。
債券化対象期間の長さは、予約・実績評価の実績データの蓄積期間の長さに応じて決定することが好ましく、例えば、3か月の予約・実績評価の実績データ蓄積期間であれば、将来期間の3か月間を最大債券化対象期間長さとする。また、債券化の単位期間は、債券化、償還管理のしやすさから月単位とすることが好ましく、最大債券化対象期間長さは、債券化の単位期間の整数倍とすることが好ましい。
債券化対象期間の設定は、暫定売上高の実績データ蓄積期間の1年以内とすることが好ましい。
債券化対象期間設定部341は、設定した債券化対象期間を債券化割合設定部342及び債券買取りプラン設定部345に伝送する。
【0032】
債券化割合設定部342は、債券化対象期間の予約案件に対応する予定売上高のうちの債券化する割合である債券化割合を、予め設定された基準に基づいて設定する。債券化割合を設定する基準は、予約・実績評価の評価指数の数値に基づいて設定することが好ましい。
すなわち、予約キャンセル率数値が高ければ、債券化割合は低めに設定し、予約/稼働割合の数値が低ければ債券化割合は高めに設定する。
債券化割合設定部342は、設定した債券化割合を債券額面設定部343及び債券買取りプラン設定部345に伝送する。
【0033】
債券額面設定部343は、債券化対象期間内の所定期間以上の受理期間を有する予約案件に対応する予定売上高に債券化割合を乗じて予約状況に基づく将来売上債権の債券の債券額面額を設定し、債券額面額から手数料、利息を差し引いてファンディングシステム加盟ホテル10からの債券買上げ価格を設定する。
債券額面設定部343は、設定した債券額面額及び債券買上げ価格を償還条件設定部344及び債券買取りプラン設定部345に伝送する。
【0034】
償還条件設定部344は、ファンディングシステム加ホテル10が支払う償還金の支払い条件を設定する。将来売上債権の債券買取りに対して、ファンディングシステム加盟ホテル10がファンディング事業者30に支払う償還金は、債券化対象期間が到来すれば支払いが開始され、ファンディングシステム加盟ホテル10の債券化対象期間中の売上高に債券償還割合を乗じた額を所定期間ごとに支払い、支払った償還金が債券額面額と同一になるまで支払いが続けられる。
償還条件設定部344は、償還金分割支払いの開始日及び分割支払い日の設定と債券償還割合の設定を行う。償還金分割支払いの開始日は、債券化対象期間の開始日の翌日以降であれば特に制限されないが、債券化対象期間の開始月の翌月とすることが好ましく、償還金分割支払い日も月単位の支払いとすることが好ましい。
債券償還割合は、通常、債券化割合と同一値に設定され、償還条件設定部336は、実績売上高に債券償還割合を乗じた償還金分割支払いモデルを作成する。
償還条件設定部344は、設定した償還金の支払い条件を債券買取りプラン設定部435に伝送する。
【0035】
債券買取りプラン設定部345は、ファンディングシステム加盟ホテル10の予約状況に基づく将来売上債権の債券の買取りプランを作成し、センタサーバ通信部310を介して店舗管理サーバ200に送信する。
債券の買取りプランには、債券化対象期間、債券化割合、債券額面額、償還金の支払い条件が記載される。
【0036】
(予約状況に基づく将来売上債権の債券の償還管理)
ファンディングシステム加盟ホテル10のホテル経営者20とファンディング事業者30との間で、債権買い取り代金譲渡契約が締結されて、ファンディングシステム加盟ホテル10の将来の売上高の所定の比率の債権が将来売上債権の買取り債券としてファンディング事業者30に売却されると、システムセンタサーバ300の償還管理手段350は、償還対象期間のホテルの売上高に基づいて償還金額を計算し、センタサーバ通信部310を介してホテル管理サーバ200に送信する。
【0037】
償還管理手段350は、日次償還金額を計算する償還金額設定部352、償還の終了及び償還期間の延長を判断する償還状況判断部354、償還金額、償還終了及び償還期間延長を通知する償還通知部356を有する。
償還金額設定部342は、債券化対象期間が到来すれば、データ保存手段320から予約・売上実績台帳を呼び出し、ホテルの日次売上高に償還割合を乗じて日次償還金額を設定し、データ保存手段320に保存する。
償還金額が債券額面額に到達する最終日次売上高については、償還金額が債券額面額と同額となる分に相当する売上高を償還対象予定入金額とし、償還金額と債券額面額とが同額になるようにする。
【0038】
償還終了を判断する償還状況判断部354は、償還金額設定部342で設定された日次償還金額が債券額面額に到達すれば、債券の償還を終了とし、債券化対象期間を過ぎても日次償還金額が債券額面額に到達しなければ、償還期間を延長する。
償還期間の延長は、償還金額が債券額面額に到達するまで続けられる。
【0039】
償還通知部356は、償還金額設定部352で設定した日次償還金額及び償還状況判断部354で判断した債券の償還の終了又は償還期間の延長を店舗管理サーバ200に日次償還金額通知として通信部310を介して通知する。
償還通知部356から通信部310を介してホテル管理サーバ200に通知する日次償還金額通知は、日次償還金額、債券の償還の終了の有無及び償還期間の延長の有無の他に、将来売上債権買取り債券額面額、債券化割合、債券化対象期間、償還開始日、当日償還金を含む累積償還金額、償還残額を含む。
【符号の説明】
【0040】
10 ファンディングシステム加盟ホテル
20 ホテル経営者
30 ファンディング事業者
200 ホテル管理サーバ
210 ホテル管理サーバ通信手段
220 予約管理手段
230 売上管理手段
240 宿泊予約・宿泊売上情報通知手段
250 ファンディング申請手段
300 システムセンタサーバ
310 センタサーバ通信手段
320 データ保存手段
330 予約・実績評価手段
332 評価指数計算部
334 評価ランク設定部
336 ファンディング判断部
340 債券化仕様設計手段
341 債券化対象期間設定部
342 債券化割合設定部
343 債券額面額設定部
344 償還条件設定部
345 債券買取りプラン設定部
350 償還管理手段
352 償還金額設定部
354 償還状況判断部
356 償還通知部