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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】冷却機
(51)【国際特許分類】
   B05B 3/02 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
B05B3/02 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020102177
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021194584
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000219990
【氏名又は名称】東京オートマック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】杉山 治久
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-9/08
A61L 9/00-9/22
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液を貯留する貯留部に設けられて前記冷却液を外方に排出して冷却対象物を冷却する冷却機であって、
長尺状に形成され前記冷却液を流通させる流通部と、
前記流通部を回転させる回転駆動部とを備え、
前記流通部の一端部が、前記回転駆動部の回転軸線の一方側に設けられ、
前記流通部の他端部が、前記回転駆動部の回転軸線の他方側に設けられ少なくとも前記回転したとき前記回転軸線に対して径方向外方に向けられるように構成され、
前記他端部の端面に前記冷却液を排出する端面排出部が設けられ、
前記他端部の周面に前記冷却液を排出する周面排出部が設けられており、
前記一端部が前記冷却液の中において前記回転軸線を回転中心として回転し前記他端部が前記冷却液の外において回転して、前記冷却液が前記一端部から流入し前記他端部から排出される冷却機。
【請求項2】
前記一端部の端面が、前記回転駆動部による前記流通部の回転方向の前方に向けられている請求項1に記載の冷却機。
【請求項3】
前記流通部の長さ方向の中途部が、前記回転軸線を回転中心として螺旋状に延ばされている請求項1または請求項2に記載の冷却機。
【請求項4】
前記流通部の外周面は皮膜とされ前記流通部の内部は前記冷却液が流通する多孔質素材とされている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷却機。
【請求項5】
前記貯留部の中に設けられ前記流通部の中途部を内方において支持する円柱支持部を備え、
前記回転駆動部は、前記円柱支持部を介して前記流通部を回転させるようになっており、
前記流通部は、
前記円柱支持部の基端部から前記一端部の端面が突出し、前記円柱支持部の先端部から前記他端部の端面が突出して設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷却機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却対象物を冷却する冷却機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車などが駐停車しているときに、外光によって車内の温度が上昇し高温になりすぎてしまうことを防止するために、遮光板などが利用されている。
このような遮光板としては、自動車の窓を覆って外光を遮る遮光面部と、この遮光面部を窓に取り付けるための取り付け部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-104237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような遮光板では、ガラス窓の外光をある程度遮ることはできるものの、金属製の車体部(ボディ)等から熱が伝導して車内の温度が上昇してしまうという問題がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、冷却対象物を効果的に冷却して温度の上昇を防止することができる冷却機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、冷却液を貯留する貯留部に設けられて前記冷却液を外方に排出して冷却対象物を冷却する冷却機であって、長尺状に形成され前記冷却液を流通させる流通部と、前記流通部を回転させる回転駆動部とを備え、前記流通部の一端部が、前記回転駆動部の回転軸線の一方側に設けられ、前記流通部の他端部が、前記回転駆動部の回転軸線の他方側に設けられ、前記一端部が前記冷却液の中において前記回転軸線を回転中心として回転し前記他端部が前記冷却液の外において回転して、前記冷却液が前記一端部から流入し前記他端部から排出される。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、冷却対象物を効果的に冷却して温度の上昇を防止することができる冷却機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態としての冷却機を正面から示す断面図である。
図2図1の冷却機を示す平面図である。
図3図1のA-A線矢視図である。
図4】流通部の回転中の様子を示す説明図である。
図5】本発明の第2の実施形態における冷却機を正面から示す断面図である。
図6】冷却機を自動車の屋根に取り付け、窓を介して電源を取り出す様子を示す説明図である。
図7】中空のチューブ状に形成された流通部の回転の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における冷却機について説明する。
図1は、本発明の実施形態としての冷却機1を正面から示す断面図である。
冷却機1は、基盤部2と、貯留部3と、回転駆動部4と、円柱支持部5と、流通部6とを備えている。
基盤部2は、貯留部3を支持するものである。この基盤部2は、有底円筒状に形成されている。基盤部2の内底面2aのうち縁部の近傍には、周方向に均等間隔を空けて4個の円筒壁部2bが設けられている。これら円筒壁部2bの内方には、円柱状のマグネット2cが設けられている。これらマグネット2cは、例えば、冷却対象物である自動車の屋根に冷却機1が設置されるときに、その自動車の屋根において磁力により基盤部2を固定するものである。
また、内底面2aの中央部近傍には、充電可能な円柱型のニッケル水素電池を保持する電池ボックス2dが2個設けられている。これらニッケル水素電池は、回転駆動部4に電力を供給するものである。
【0010】
また、内底面2aの中央部には、回転駆動部4が設けられている。回転駆動部4は、回転軸部4aを備えており、例えば、DCモータなどからなっている。回転軸部4aは、内底面2aに直交する方向である高さ方向Hに向けられている。すなわち、回転駆動部4の回転軸線rは、基盤部2、貯留部3および円柱支持部5の中心点において高さ方向Hに延ばされている。
また、基盤部2の周面部2eには、オンオフを切り換える機械式のスイッチ2f(図3に示す)が設けられている。スイッチ2fは、ニッケル水素電池と回転駆動部4との間に電気的に接続されており、ニッケル水素電池から回転駆動部4への電力の供給をオンオフに切り換えるものである。
また、基盤部2の周面部2eには、ニッケル水素電池に充電するため、外部電力を取り入れ接続するコネクター2gが設けられている。コネクター2gは、ニッケル水素電池と外部充電器とを接続する役割をする。さらに、コネクター2gは、図6に示すように、自動車のシガレット電源C1からケーブルC2を介して電源を取り出す際の取入口コネクターともなる。
また、基盤部2の周面部2eには、第2のスイッチ2hが設けられている。第2のスイッチ2hは、タイマーのオンオフを切り換えるものであり、または、リモートコントロールのオンオフを切り換えるものである。すなわち、タイマーのオンオフにより、時間の経過によって自動的に回転駆動部4のオンオフを切り換えることができ、またはリモートコントロールのオンオフにより、遠隔で回転駆動部4のオンオフを切り換えることができる。
【0011】
基盤部2の上端には、貯留部3が嵌め込まれている。
貯留部3は、中空円柱状に形成されており、基盤部2と同心状に設けられている。貯留部3の内方には、水(冷却液)が貯留されるようになっている。
貯留部3の内底面3aは、縁部から中央部に向かって高さ寸法が漸次低くなるように傾斜している。これにより、内方に貯留された水が自重により中央部に向かうように案内されるようになっている。内底面3aの中央部には、貫通孔が形成されており、この貫通孔に回転軸部4aが上方に向かって貫通している。そして、内底面3aから上方に突出する回転軸部4aの周囲には、回転駆動部4の軸受とは別の軸受部3bが設けられている。そして、軸受部3bの周囲には、水密用のOリング3cが設けられている。このOリング3cの下方にもさらに水密用のOリング3dが設けられている。これらOリング3c,3dにより、2重の水漏れ防止機構とされている。
【0012】
また、貯留部3の天面部3eの縁部は、面取りされておりR形状とされている。天面部3eには、水を入れるための注入口が形成されており、この注入口には着脱可能にキャップ3fが設けられている。
また、貯留部3の内方の中央部には、円柱支持部5が設けられている。
円柱支持部5は、中空円柱状に形成されており、基盤部2および貯留部3と同心状に設けられている。円柱支持部5は、内方において流通部6を支持するものである。
円柱支持部5の高さ方向Hの両端には、それぞれ下端面5a(基端部)および上端面5b(先端部)が設けられている。下端面5aの中央部には、下方に円筒状に突出する嵌合部5cが設けられている。この嵌合部5cに、内底面3aから上方に突出する回転軸部4aが嵌め込まれ固定されている。これにより、回転駆動部4が駆動すると、貯留部3の内方において、回転軸部4aを介して円柱支持部5が回転軸線rを回転中心として回転方向Rに回転するようになっている。
【0013】
下端面5aには、中心点を挟んで対向する位置に貫通孔5a1が2個設けられている。また、上端面5bには、同様にして、中心点を挟んで対向する位置に貫通孔5b1が2個設けられている。これら貫通孔5a1と貫通孔5b1とは、高さ方向Hに対向する位置に対して回転方向Rにずらされて設けられている。すなわち、貫通孔5b1は、貫通孔5a1に対して回転方向Rの後方側にずらされて設けられている。
この円柱支持部5に2本の流通部6が支持されている。
流通部6は、円柱状であって長尺状(紐状)に延ばされて形成されている。流通部6の外周面は皮膜とされており、水を通しにくくなっている。一方、流通部6の内部は多孔質素材のスポンジ状とされ、毛細管現象により流通部6の長手方向に水が流通するようになっている。この流通部6は弾性部材からなっている。
【0014】
流通部6の一端部6aは、高さ方向Hの下方側Hd(一方側)に設けられており、他端部6bは上方側Hu(他方側)に設けられている。そして、流通部6の中途部6cは、円柱支持部5の内方に収容されている。
流通部6の一端部6aは、円柱支持部5の内方から貫通孔5a1を貫通して下端面5aから下方に突出している。一端部6aの端面6a1は、径方向に対して斜めに傾斜している。端面6a1は、図4に示すように、回転方向Rの前方に向けられている。
流通部6の他端部6bは、円柱支持部5の内方から貫通孔5b1を貫通して上端面5bから外方に突出している。他端部6bの一部は、回転駆動部4が駆動していない自然状態において、自重により緩やかに弾性変形して天面部3eに載せられ、他の一部は、自重により天面部3eから垂れ下がっている。なお、図1においては、便宜上、他端部6bが、後述するように回転軸線rに対して径方向外方に向けられた状態を示している。
【0015】
流通部6は、貫通孔5a1,5b1を貫通することによって固定されて、中途部6cが円柱支持部5の内方において支持されており、他端部6bは、固定されることなく解放されている。そのため、図4に示すように、他端部6bは、回転駆動部4が駆動すると円柱支持部5を介して回転させられ、その遠心力により回転軸線rに対して径方向外方に向けられるようになっている。
また、他端部6bの端面6b1(端面排出部)は、径方向に揃えられた開放端とされている。この端面6b1のうち、他端部6bが径方向に向けられたときの上方に配される部位は、コーティングによって被覆された被覆部とされており、残りの部位は、コーティングされず露出された露出部とされている。これにより、被覆部からは水が排出されず、露出部のみから水が排出されるようになっている。
また、他端部6bの周面には、流通部6の長手方向に配列された複数の切り欠き6b2(周面排出部)が設けられている。切り欠き6b2は、他端部6bが回転軸線rに対して径方向外方に向けられるときに基盤部2の側を向く位置に設けられている。これら複数の切り欠き6b2の開口面積は、他端部6bの基端側から先端側にいくほど大きくなっている。さらに、これら複数の切り欠き6b2は、他端部6bの基端側から先端側にいくほど水の排出方向が端面6b1に近づくようにそれぞれ傾斜している。
一端部6aが貫通孔5a1を貫通し、回転方向Rの後方側にずらされた貫通孔5b1を他端部6bが貫通することにより、流通部6の中途部6cは、高さ方向Hの下方側Hdから上方側Huにかけて回転軸線rを回転中心として回転方向Rの後方側に螺旋状に延ばされている。すなわち、中途部6cは、端面6a1から流入してくる水を回転方向Rの後方側に案内して他端部6bに送りやすくするようになっている。
【0016】
次に、冷却機1の動作について説明する。
なお、ここでは冷却対象物を自動車として説明する。例えば、自動車が駐停車していると、外光によって車内の温度が上昇してしまう。そのため、このような車内の温度の上昇を防止したいという要請や、または上昇してしまった車内の温度を早期に冷却したいという要請がある。特に、車内の温度が上昇してしまった自動車に乗車する前に、リモートコントロールなどで自動車を冷却することができると好ましい。
冷却機1は、そのような自動車を冷却する際に利用される。
まず、天面部3eの注入口からキャップ3fを取り外し、注入口を介して水を注入する。その水は貯留部3の内方に貯留されていく。そして、水が貯留部3の内方に一杯になったところで水の注入を止め、注入口にキャップ3fを取り付ける。これにより、貯留部3の内方において水が貯留された状態で保持される。なお、貯留部3の内方において水が円柱支持部5の下端面5aを超えて貯留されると、流通部6の端面6a1から毛細管現象により水が流通部6の内方に流入し他端部6bに向かって流通していく。
この状態で、冷却機1を自動車の屋根の上に設置する。このとき、冷却機1を屋根の上に載置するだけで、マグネット2cの磁力によって冷却機1が屋根の上に固定される。
【0017】
そして、スイッチ2fをオンにすると、ニッケル水素電池から電力が供給されて回転駆動部4が駆動する。すると、回転軸部4aを介して円柱支持部5が回転軸線rを回転中心として回転方向Rに回転する。これにより、流通部6も回転する。このとき、流通部6の端面6a1が回転方向Rの前方に向けられていることから、図4に示すように、端面6a1が水の流入方向Aに圧力を受けることにより、毛細管現象に加えてその圧力によって端面6a1から水がさらに流入していく。端面6a1から流入された水は、一端部6aから中途部6cへと流入していく。中途部6cは、回転方向Rの後方側に螺旋状に延ばされていることから、流入された水は中途部6cの内方を回転方向Rの後方側に案内されて他端部6bへと流入していく。
【0018】
他端部6bは、円柱支持部5を介して回転軸線rを回転中心として回転方向Rに回転することにより、その遠心力によって根元部が湾曲しながら回転軸線rに対して径方向外方に向けられる。なお、ここでは、径方向外方とは水平方向となる。すなわち、他端部6bは、水平方向に向けられて回転軸線rを回転中心として回転方向Rに回転する。そのため、他端部6bには、回転軸線rから径方向外方に向かって遠心力が働く。
中途部6cから他端部6bへと流通してきた水は、遠心力によってさらに端面6b1に向かって流通していき、複数の切り欠き6b2から噴出する。なお、回転軸線rに対して径方向に距離が遠くなるほど、冷却対象の対象面積は大きくなっていく。本実施形態では、複数の切り欠き6b2の開口面積が他端部6bの基端側から先端側にいくほど大きくなっていることから、基端側の切り欠き6b2ほど少ない水が噴出し、先端側の切り欠き6b2ほど多くの水が噴出していく。これにより、冷却対象面積にわたって効果的に水を行き渡らせることができる。また、複数の切り欠き6b2は、他端部6bの基端側から先端側にいくほど水の排出方向が端面6b1に近づくようにそれぞれ傾斜していることから、切り欠き6b2から排出される水は、基端側から先端側に行くほど、径方向外方のより遠くに噴出していく。これにより、上記と同様に、冷却対象面積にわたって効果的に水を行き渡らせることができる。
さらに、他端部6b内を流通する水は端面6b1の露出部からも噴出する。このとき、端面6b1の上方は被覆部とされており、露出部のみから噴出することから、径方向に向かって水を効果的に噴出させることができる。
なお、遠心力によって他端部6bから水が噴出することにより、負圧によって流通部6の端面6a1からさらに水が流入しやすくなる。
そして、切り欠き6b2から噴出した水は、屋根の全面のうち冷却機1の周囲に吹きかけられ、端面6b1から噴出した水は、屋根の周縁だけでなく、前方のフロントガラスやボンネット等、後方のリアガラスやトランク等にも飛沫的に吹きかけられる。
この飛沫した水の温度と気化熱により自動車の屋根やガラス等が冷却され、これら屋根やガラス等が高温になることを抑制する。または、リモートコントロールなどで乗車前に冷却機1を稼働させて、高温になった自動車の屋根、前方および後方の部位を冷却し、車内の温度を低下させる。ドライブインなどで2~3時間駐車時に自動車に取り付け稼働させておくと、自動車が冷却されたままの状態で乗車できる。また、長時間駐車の場合は、乗車の1時間ぐらい前にリモートコントロールやタイマーで稼働させておくと、車内の温度が低下したところで乗車することができる。もちろん、乗車して運転する前に、スイッチ2fをオフにし回転駆動部4の駆動を停止して、冷却機1を屋根から取り外す。
【0019】
以上より、本実施形態における冷却機1によれば、回転駆動部4によって流通部6が回転し一端部6aから水を流入させて他端部6bから水を排出することから、冷却対象物に自動的に冷却液をかけることができ、人的な冷却作業負担を軽減させるだけでなく、冷却対象物を効果的に冷却して温度の上昇を防止することができる。
また、水道水などのホースが届かないような場所であっても、冷却対象物を効果的に冷却して温度の上昇を防止することができる。
また、流通部6の中途部6cが回転軸線rを回転中心として螺旋状に延ばされていることから、一端部6aから流入する冷却液を遠心力により他端部6bへと案内することができ、流通部6の内方において冷却液をスムーズに流通させることができる。
また、端面6a1が、回転方向Rの前方に向けられていることから、圧力によって冷却液を端面6a1から内方に流入させやすくすることができ、流通部6の内方において冷却液をスムーズに流通させることができる。
【0020】
また、他端部6bが解放されていることから、他端部6bを回転時に径方向に向かせることができ、遠心力を働かせながら冷却液を効率よく排出することができる。
また、流通部6の端面6b1が開放端とされ、周面に大小の切り欠き6b2が設けられていることから、他端部6bから広いエリアにわたって冷却液を排出、飛沫することができる。
また、他端部6bが弾性部材とされ端面6b1が開放端とされていることから、開放端の開口面積を大小に変更するだけで、端面6b1から排出される液量を容易に調整することができる。
また、流通部6の中途部6cが円柱支持部5の内方において支持されることから、回転時において中途部6cを冷却液に触れさせず円柱支持部5の外周面を冷却液の中で回転させることにより、冷却液の抵抗を減らして流通部6をスムーズに回転させることができる。
また、一端部6aが下端面5aから下方に突出し、他端部6bが上端面5bから上方に突出していることから、下方から上方に向かって流通液を効率よく流通させることができる。
また、基盤部2が貯留部3の下方から貯留部3を支持することから、貯留部3の底面と冷却対象物との間にスペースを設けることができ、貯留部3に貯留される冷却液が冷却対象物の熱の影響を受けることを極力防止することができる。
【0021】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図5において、図1から図4に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0022】
冷却機1Aは、貯留部3の水量が一定以上少なくなると自動的に回転駆動部4を止める感知機能部7を備えている。
感知機能部7は、検出部7aと、制御部7bと、駆動オンオフ部7cとを備えている。
検出部7aは、貯留部3の水位を検出するものであり、例えば水位センサからなるものである。この検出部7aは、貯留部3の水位が所定の位置より下がると、注意信号を制御部7bに出力する。また、検出部7aは、貯留部3の水位が所定の位置より上がると、水位上昇信号を制御部7bに出力する。
制御部7bは、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現されるものである。この制御部7bは、検出部7aから出力される注意信号を入力すると、駆動オンオフ部7cに駆動オフ信号を出力し、一方、検出部7aから出力される水位上昇信号を入力すると、駆動オンオフ部7cに駆動オン信号を出力する。
駆動オンオフ部7cは、制御部7bから出力される駆動オフ信号を入力すると、回転駆動部4の駆動を停止し、また、制御部7bから出力される駆動オン信号を入力すると、回転駆動部4を駆動する。
これにより、貯留部3の水量が一定以上少なくなると、駆動オンオフ部7cが回転駆動部4の駆動を停止するため、無駄な電力の使用を止めることができる。また、貯留部3に水が入れられて水位が所定の位置より上がると、駆動オンオフ部7cが回転駆動部4を再度駆動することができる。
【0023】
また、感知機能部7が報知機能を備えていてもよい。すなわち、上記と同様にして、水位が所定の位置よりも下がると、制御部7bが、駆動オフ信号および報知指示信号を駆動オンオフ部7cに出力する。駆動オンオフ部7cは、それら駆動オフ信号および報知指示信号を入力すると、回転駆動部4の駆動を停止し、例えば音や光などによって利用者に水位の低下を報知する。
これにより、貯留部3の水が少なくなったことを利用者に知らせることができる。
なお、駆動オンオフ部7cが、報知指示信号を送信する送信部を備えていてもよい。これにより、水位が所定の位置よりも下がると、送信部が利用者の端末に報知指示信号を送信することができる。例えば、報知信号として利用者の端末に水位の低下を知らせるメールやメッセージを送信してもよい。
【0024】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、流通部6の外周面が皮膜とされ、内部が多孔質素材のスポンジ状とされているとしたが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、流通部6が管状に延ばされていてもよい。具体的には、図7に示すように、中空の細長い合成樹脂製チューブであってもよい。このチューブの他端部6bに、先端にいくほど開口面積が大きくなる複数の排出口6b22が形成されていてもよい。また、複数の排出口6b22は、他端部6bの基端側から先端側にいくほど水の排出方向が端面6b11に近づくようにそれぞれ傾斜していてもよい。このチューブによれば、内部が中空であり抵抗が小さくなるため、冷却液をスムーズに流通させることができる。そのため、チューブの端面6b11および排出口6b22の径寸法が小さめに設定されていてもよい。
また、流通部6の中途部6cが螺旋状に延ばされているとしたが、これに限ることはなく、その配置は適宜変更可能である。例えば、中途部6cが、回転軸線rに沿って直線上に延ばされていてもよいし、回転方向Rの前方に螺旋状に延ばされていてもよい。また、中途部6cが円柱支持部5の外周に巻かれていてもよい。また、中途部6cが、回転方向Rの前方または後方に傾斜して延ばされていてもよい。
また、端面6a1が回転方向Rの前方に向けられているとしたが、これに限ることはなく、その向きは適宜変更可能である。例えば、下方または上方に向けられていてもよいし、回転方向Rの後方に向けられていてもよい。
【0025】
また、流通部6の端面6a1が、径方向に対して斜めに傾斜しているとしたがこれに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。例えば、径方向に揃えられていてもよいし、凹凸などが形成されていてもよい。なお、その場合、一端部6aを曲げて端面6a1を回転方向Rの前方に向けてもよい。
また、流通部6の他端部6bが解放されているとしたが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、他端部6bが天面部3eの上面に接触していてもよい。この場合、他端部6bが径方向外方に向けられていてもよい。
また、他端部6bの長手寸法は適宜変更可能である。例えば、他端部6bが自然状態において上方に延ばされた状態になるようにして、回転時においてのみ遠心力により回転軸線rに対して径方向外方に向けられるようにしてもよい。これにより、回転駆動部4の駆動停止時において、他端部6bから冷却液を極力漏らさないようにすることができるだけでなく、駆動時においてその駆動状態を目視で容易に確認することができる。
また、他端部6bの端面6b1に被覆部と露出部が設けられているとしたが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、端面6b1が全面にわたって被覆され閉じられていてもよい。この場合、切り欠き6b2から冷却液を排出すればよい。また、端面6b1の全面が露出部とされていてもよい。
また、切り欠き6b2および排出口6b22が設けられているとしたが、その構成は適宜変更可能である。例えば、切り欠き6b2または排出口6b22が設けられていなくてもよい。この場合、他端部6bの周方向の一部が長手方向にわたって削り取られていてそこから冷却液が排出されるようになっていてもよい。
また、切り欠き6b2および排出口6b22は、1つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよいし、大小複数設けられていてもよい。また、切り欠き6b2および排出口6b22の開口面積が、他端部6bの基端側から先端側にいくほど大きくなっているとされているが、これに限ることはなく、開口面積は適宜変更可能である。例えば、すべての開口面積が同じであってもよい。
また、切り欠き6b2および排出口6b22が、他端部6bの基端側から先端側にいくほど水の排出方向が端面6b1に近づくようにそれぞれ傾斜しているとされているが、これに限ることはなく、傾斜角度は適宜変更可能である。例えば、すべての傾斜が同じであってもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0026】
また、円柱支持部5が設けられているとしたが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、断面が多角形の角柱であってもよいし、その他の形状であってもよい。また、円柱支持部5の下端面5aまたは上端面5bの少なくともいずれか一方は設けられていなくてもよい。さらには、円柱支持部5は設けられていなくてもよい。
また、流通部6の端面6a1が、円柱支持部5の下端面5aから下方に突出しているとしたが、これに限ることはなく、周面から突出していてもよい。
また、流通部6の端面6b1が上端面5bから上方に突出しているとしたが、これに限ることはなく、周面から突出していてもよい。
また、基盤部2が貯留部3の下方から貯留部3を支持するとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、基盤部2が貯留部3と分離されていてもよいし、貯留部3の側方や上方に設けられていてもよい。
また、円柱状のマグネット2cが設けられているとしているが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。例えば、ドーナツ状であってもよい。
また、固定用のマグネット2cが設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、紐、バンド、挟持部、接着剤または他のロック機構であってもよい。さらには、マグネット2cは設けられていなくてもよい。
【0027】
また、回転駆動部4に電力を供給するものとして、ニッケル水素電池や自動車のシガレットライター用電源を示しているが、これに限ることはなく、その他の電池や電源であってもよい。
また、回転駆動部4がDCモータであるとしているが、これに限ることはなく、回転させるものであれば適宜変更可能である。さらに、回転駆動部4とニッケル水素電池を貯留部3の上部に設けて、貯留部3の内底面3aに穴を空けないようにしてもよい。
また、流通部6が弾性部材からなるとしているが、弾性部材としては、例えば、樹脂、ゴムまたは皮など適宜変更可能である。
また、流通部6が弾性部材でなくてもよい。例えば、布、綿、金属等であってもよい。
また、流通部6が2本設けられているとしているが、これに限ることはなく、その設置数は適宜変更可能である。例えば、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
また、回転駆動部4が、貯留部3の下方に設けられるとしているが、これに限ることはなく、その位置は適宜変更可能である。例えば、貯留部3の上方、側方または内方であってもよい。
【0028】
また、タイマー機能を設けてもよい。例えば、タイマー制御部が時間を計測し、所定の時間が経過すると、駆動オンオフ部7cまたは送信部に報知信号を出力してもよい。または、タイマー制御部が、所定の時間が経過すると、回転駆動部4の駆動を停止してもよい。
また、冷却対象物として自動車としているが、これに限ることはなく、その対象は適宜変更可能である。例えば、冷却対象物としては、遊具、三輪車、建機、船、飛行機などの他の乗り物だけでなく、機械、器具、装置、住宅関連または食品などであってもよい。
【0029】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
冷却液を貯留する貯留部に設けられて前記冷却液を外方に排出して冷却対象物を冷却する冷却機であって、
長尺状に形成され前記冷却液を流通させる流通部と、
前記流通部を回転させる回転駆動部とを備え、
前記流通部の一端部が、前記回転駆動部の回転軸線の一方側に設けられ、
前記流通部の他端部が、前記回転駆動部の回転軸線の他方側に設けられ、
前記一端部が前記冷却液の中において前記回転軸線を回転中心として回転し前記他端部が前記冷却液の外において回転して、前記冷却液が前記一端部から流入し前記他端部から排出される冷却機。
【0030】
(付記2)
前記一端部の端面が、前記回転駆動部による前記流通部の回転方向の前方に向けられている付記1に記載の冷却機。
【0031】
(付記3)
前記流通部の長さ方向の中途部が、前記回転軸線を回転中心として螺旋状に延ばされている付記1または付記2に記載の冷却機。
【0032】
(付記4)
前記他端部の端面に前記冷却液を排出する端面排出部が設けられ、
前記他端部の周面に前記冷却液を排出する周面排出部が設けられている付記1から付記3のいずれか一項に記載の冷却機。
【0033】
(付記5)
前記貯留部の中に設けられ前記流通部の中途部を内方において支持する円柱支持部を備え、
前記回転駆動部は、前記円柱支持部を介して前記流通部を回転させるようになっており、
前記流通部は、
前記円柱支持部の基端部から前記一端部の端面が突出し、前記円柱支持部の先端部から前記他端部の端面が突出して設けられている付記1から付記4のいずれか一項に記載の冷却機。
【符号の説明】
【0034】
1,1A 冷却機
2 基盤部
3 貯留部
4 回転駆動部
5 円柱支持部
5a 下端面(基端部)
5b 上端面(先端部)
6 流通部
6a 一端部
6a1 端面
6b 他端部
6b1 端面(端面排出部)
6b2 切り欠き(周面排出部)
6c 中途部
Hu 上方側(他方側)
hd 下方側(一方側)
R 回転方向
r 回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7