(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】プローブ端子、評価用ソケット、およびデバイスの評価方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
G01R1/073 D
(21)【出願番号】P 2021065172
(22)【出願日】2021-04-07
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390026859
【氏名又は名称】理化電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100142701
【氏名又は名称】吉永 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】阿南 太希
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-049769(JP,U)
【文献】特開2001-337128(JP,A)
【文献】特開2006-269404(JP,A)
【文献】特開2004-047377(JP,A)
【文献】特開2009-139191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
G01R 31/26-31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの試験を行うためのプローブ端子であって、
前記デバイスの外部電極と対応する位置に配置されるプローブ先端を有し、
前記プローブ先端が、前記外部電極を収容する形状で、前記外部電極の径よりも大きい内径の筒状の開口部を有する、プローブ端
子を前記デバイスに対応させて配列した評価用ソケットであって、
前記デバイスの外部電極が前記プローブ端子の前記開口部の内側に収容される高さに前記デバイスを支持する支持部と、
前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させることで前記プローブ先端の前記開口部の筒の内側を前記外部電極に接触させる移動手段とを有する、評価用ソケット。
【請求項2】
前記プローブ先端
の前記開口部が、前記デバイスに向けて移動して前記外部電極を収容したとき、前記外部電極と接触しない
内径である、請求項1に記載の
評価用ソケット。
【請求項3】
前記移動手段が、前記支持部を有するスライドボードを移動させるものである請求項
1または2に記載の評価用ソケット。
【請求項4】
前記外部電極が、はんだボールである、請求項1~3のいずれかに記載の評価用ソケット。
【請求項5】
デバイスの外部電極と対応する位置に配置されたプローブ先端を有し前記プローブ先端が前記外部電極を収容する形状で、前記外部電極の径よりも大きい内径の筒状の開口部を有するプローブ端子の前記プローブ先端を、前記デバイスの外部電極の対応する位置で前記外部電極に対して垂直方向に移動して、前記外部電極を収容する位置に配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させる
ことで前記プローブ先端の前記開口部の筒の内側を前記外部電極に接触させる移動工程とを有する、デバイスの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデバイスの評価に用いられるプローブ端子に関する。また、プローブ端子を有する評価用ソケットに関する。また、プローブ端子を用いたデバイス評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの検査等のために、電子デバイスの外部電極(外部端子)となっているはんだボールにコンタクトプローブを接触させている。
【0003】
特許文献1は、電気的接続部を有するシリンダと、電気的接続部を有し、前記シリンダ内を往復動可能なプランジャと、前記シリンダ及び前記プランジャに沿って外側に配置され、電子部品用ソケットに設置されたとき圧縮されるコイルバネと、を備えることを特徴とする電子部品用ソケットのコンタクトプローブを開示している。
【0004】
特許文献2は、ICパッケージを所定位置に案内する開孔を有するソケット基板、前記ICパッケージの外部接点に対応して複数の貫通孔が形成されている絶縁基板、前記貫通孔内に配置されるコンタクトピン、及び前記ICパッケージの外部接点を前記コンタクトピンに所定圧力で接触させるカバー部材とを備える狭ピッチICパッケージ用ICソケットにおいて、前記コンタクトピンは、前記ICパッケージの外部端子に接触する端子部とその幅が該端子部より広い幅広部とその幅が前記端子部と同じか又は細い心棒部とを含む第1プランジャ、前記心棒部がその内部を貫通するコイルバネ、及び外部回路の接続端子に接続される断面略U字形の第2プランジャから構成されていることを特徴とする狭ピッチICパッケージ用ICソケットを開示している。
【0005】
特許文献3は、絶縁基板にこれを貫通する複数のプローブ装着孔を形成し、上記各プローブ装着孔に、少なくとも一端が接触端をなす一対の導電性プランジャを、その接触端が外側を向き上記絶縁基板の表面から突出し、その間に導電性スプリングが介在するように装着し、上記各プローブ装着孔内の一対の導電性プランジャを、上記導電性スプリングが外向きの弾力を蓄える状態で抜け止めしてなることを特徴とするプローブコンタクタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-167001号公報
【文献】特開2004-152495号公報
【文献】特開2002-333453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子デバイスの故障解析などの試験にあたっては、電子デバイスのケースを外して導通する場合がある。ケースを外して試験を行う場合、内部のウェハが露出した状態となる。一般的なプローブは、外部電極(外部端子)であるはんだボールなどを基板やウェハ方向に押し込む方向(垂直方向)で接触させる場合が多い。特許文献1~3においても、垂直方向で移動させてコンタクトプローブを接触させている。
【0008】
はんだボールなどの外部電極は基板、ウェハと積層されており、垂直方向は、ウェハ方向に押し込むものとなる。コンタクトプローブによる検査は、電気の導通試験などが主たるものとなるため、部分的に接触していればよい場合が多い。このため、1つのコンタクトプローブが外部電極と接触しても、基板やウェハを押し込む力は非常に小さい。
【0009】
しかし、デバイスの種類によっては、外部電極が多数近接して配置されており、その数が多くなると、それぞれの外部電極に対応したコンタクトプローブに荷重がかかるものとなる。このため、例えば、1つのコンタクトプローブで5g程度の荷重しかかからないとしても、300個配置されていると、狭い範囲に1.5kg程度の荷重がかかるものとなる。このような荷重で基板やウェハを押し込もうとすると、薄型化や軽量化などが進んでいる電子デバイスにおいては、機械的に破壊されてしまう恐れがある。
【0010】
かかる状況下、本発明は、基板やウェハを破壊するおそれが少ない電子デバイスの評価に用いるプローブ端子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0012】
<1> デバイスの試験を行うためのプローブ端子であって、前記デバイスの外部電極と対応する位置に配置されるプローブ先端を有し、前記プローブ先端が、前記外部電極を収容する形状の開口部を有することを特徴とするプローブ端子。
<2> 前記プローブ先端が、筒状部を有する、前記<1>に記載のプローブ端子。
<3> 前記<1>または<2>に記載のプローブ端子を前記デバイスに対応させて配列した評価用ソケットであって、前記デバイスの外部電極が収容される高さに前記デバイスを支持する支持部と、前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させる移動手段とを有する、評価用ソケット。
<4> 前記移動手段が、前記支持部を有するスライドボードを移動させるものである前記<3>に記載の評価用ソケット。
<5> デバイスの外部電極と対応する位置に配置されたプローブ先端を有し前記プローブ先端が前記外部電極を収容する形状の開口部を有するプローブ端子の前記プローブ先端を、前記デバイスの外部電極の対応する位置に配置する配置工程と、
前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させる移動工程とを有する、デバイスの評価方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプローブ端子等によれば、基板やウェハを破壊するおそれが少ない電子デバイスの評価ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の電子デバイスの評価方法におけるプローブ先端とはんだボールとの位置関係を説明するための正面視した概要図である。
【
図2】本発明の評価用ソケットの構造を説明するための概要図である。
【
図4】本発明の評価用ソケットの移動手段の例を説明するための正面視した概要図である。
【
図5】本発明に係るプローブの構造例を説明するための概要図である。
【
図6】本発明に係るプローブを用いた導通経路を説明するための正面視した概要図である。
【
図7】本発明の電子デバイスの評価方法の一例を示すフロー図である。
【
図8】本発明の評価用ソケットの構造例を示す像である。
【
図9】本発明のプローブ端子の構造例を示す像である。
【
図10】本発明に係る電子デバイスの評価におけるプローブ先端と電子デバイスのはんだボールの状態を示す像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0016】
[本発明のプローブ端子]
本発明のプローブ端子は、デバイスの試験を行うためのプローブ端子であって、前記デバイスの外部電極と対応する位置に配置されるプローブ先端を有し、前記プローブ先端が、前記外部電極を収容する形状の開口部を有する。
【0017】
[本発明の評価用ソケット]
本発明の評価用ソケットは、本発明のプローブ端子を前記デバイスに対応させて配列した評価用ソケットであって、前記デバイスの外部電極が収容される高さに前記デバイスを支持する支持部と、前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させる移動手段とを有する。
【0018】
[本発明のデバイスの評価方法]
本発明のデバイスの評価方法は、デバイスの外部電極と対応する位置に配置されたプローブ先端を有し前記プローブ先端が前記外部電極を収容する形状の開口部を有するプローブ端子の前記プローブ先端を、前記デバイスの外部電極の対応する位置に配置する配置工程と、
前記外部電極が配置された水平面に対して水平方向に、前記外部電極と前記プローブ先端とを、相対的に移動させる移動工程とを有する。
【0019】
なお、本願において本発明の評価用ソケットは、本発明のプローブ端子を備えるものとすることができ、本発明のプローブ端子や本発明の評価用ソケットは、本発明のデバイスの評価方法に用いることができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0020】
[プローブ端子11]
図1は、本発明の電子デバイスの評価方法におけるプローブ先端と外部電極であるはんだボールとの位置関係を説明するための正面視した概要図である。
図1における左右の幅方向をX方向とし、上下の高さ方向をZ方向とし、またX方向とZ方向と直交する奥行方向をY方向とする。
【0021】
図1(a)は、プローブ端子11のプローブ先端111を、デバイス2の外部電極であるはんだボール22に対応する位置に配置した状態である。プローブ端子11は、プローブ10のはんだボール22に接触させるための端子である。プローブ端子11のはんだボール22と接する端部と反対側は、導通経路に接続して用いられる。プローブ端子11は、評価用ソケットに配列して設置され、支持部411との配置が所定のものとなるように配置されている。
【0022】
図1(b)は、
図1(a)に示す状態から、デバイス2を評価用ソケット4(
図2参照)の支持部411に支持させた状態を示す図である。支持部411は、評価用ソケットの一部であり、幅方向の基準位置X0の位置決めをする部分である。はんだボール22に対するプローブ端子11の位置は、デバイス2を支持部411に置くことで、対応する位置となる。
【0023】
この状態は、手動などで、デバイス2を支持部411に置くことで、プローブ端子11とはんだボール22との高さ方向の相対的な位置関係を移動させて、プローブ先端111内にはんだボール22を収容した状態である。この状態では、プローブ先端111と、はんだボール22とは接触しないように、プローブ端子11は配列されている。よって、インターポーザ基板21やウェハ23に対して、押し込む方向となるZ方向への荷重は、設計精度上かかる極めて小さいものか、実質的にゼロ程度の荷重とすることができる。
【0024】
図1(c)は、
図1(b)に示す状態からプローブ端子11とはんだボール22との幅方向の相対的な位置関係を移動させて、プローブ先端111内ではんだボール22と接触部31で接触させた状態である。
図1(c)において、デバイス2は基準位置であるX0から、試験位置となるX1に、距離L1移動している。支持部411により、高さ方向(Z方向)でデバイス2を支持した状態で、スライドボード41が、水平方向の幅方向X方向に移動することで、デバイス2をプローブ端子11と相対的に移動させている。このような移動により形成される接触部31によれば、インターポーザ基板21や、ウェハ23に対して押し込む荷重をほとんどかけることなく、はんだボール22とプローブ端子11とは接触して導通試験などができる状態となる。
【0025】
[プローブ10]
プローブ10は、デバイス2の試験を行うためのプローブ端子である。プローブ10は、プローブ先端111を有するプローブ端子11を有する。プローブ10は、デバイス2の試験対象となるはんだボール22と対応するように配置されて用いられる。
【0026】
[プローブ端子11、プローブ先端111]
プローブ端子11は、デバイスの外部電極であるはんだボール22と対応する位置に配置される。プローブ端子11は、デバイス2の評価を行うとき、はんだボール22側に向けるプローブ10の端部側の端子である。プローブ端子11の一端には、プローブ先端111が設けられている。プローブ先端111は、はんだボール22を収容する形状を有する。プローブ先端111は、デバイスに応じた外部電極を収容できる部分まで開口するような収容形状であればよい。例えば、半球状や楕円状、角柱状や、角錐状、楕円錐状などの溝形状を有することで、収容形状とすることができる。
【0027】
プローブ端子11は導電性を有する管状の部材を用いてもよい。プローブ先端111に円筒状部材等を用いることで、プローブ先端111がはんだボール22を収容した状態で、プローブ端子11とはんだボール22が安定して接触することができる。また、水平方向のいずれの方向に移動させても導通試験を行うことができる。
【0028】
[デバイス2]
デバイス2は、はんだボール22などの外部電極が配置されたインターポーザ基板21を有している。インターポーザ基板21は、デバイスの用途に合わせてその周囲のケース等に取り付けられている。
図1に示すように、デバイス2は、ウェハ23、インターポーザ基板21、外部電極であるはんだボール22が積層されている。
図1等においては、外部電極は、はんだボール22を例として説明したが、本願発明に係る外部電極は、はんだボールのほかにも、ピングリッドアレイのようなピンなどを対象としてもよい。
【0029】
[評価用ソケット4]
図2は、評価用ソケット4の概要図である。プローブ端子11は評価対象のデバイス2のはんだボール22に対応する位置に配置された状態で配列され保持されるように評価用ソケット4に支持されたものとすることができる。評価用ソケット4は、デバイス2を支持する支持部411や、デバイス2を移動させる移動手段となるスライドボード41を有するものとすることができる。
【0030】
図2(a)は、評価用ソケット4を平面視した図である。ここでは、評価用ソケット4のスライドボード41内の支持部411にデバイス2を配置した状態である。また、デバイス2を固定するために、中央にデバイス用蓋43で固定している。
【0031】
図2(b)は、評価用ソケット4を平面視した図である。ここでは、評価用ソケット4にデバイス2を配置していない状態である。デバイス2に対応させて配置されている多数のプローブ先端111を見下ろした状態である。また、評価用ソケット4の全体の蓋となるソケット蓋42で蓋をしている。
【0032】
図2(c)は、
図2(a)の中央の断面である。プローブ端子11を備えるプローブ10は、評価用ソケット4の略中央に多数配置されている。また、プローブ10は評価用ソケット4を貫通して、プローブ端子11とは反対側となる端部(
図2(c)の下側)が、導通試験等の基板などに接続できるように開放されている。
【0033】
図2(d)は、
図2(b)のA-A´断面である。スライド溝部441周辺の構成を説明するためのものである。このスライド溝部441や、ボルト61、スライドブロック62により、移動を行う。この移動について詳しくは、後述する。
【0034】
図3は、
図2(b)の評価用ソケット4の領域A1の部分拡大した概要図である。はんだボール22は、
図3に破線で示すように、高さ方向(Z方向)からみたとき、円状である。プローブ先端111は、はんだボール22を収容するような形状であり、はんだボール22の円状よりも、一回り大きい円状である。すなわち、プローブ先端111は、はんだボール22と接触することなく、その周囲を覆う配置とすることができる大きさである。
【0035】
[プローブ端子11の相対的な移動]
図4は、本発明のプローブ端子の移動手段の例を説明するための正面視した断面概要図である。
図4は、
図2(b)のA-A´断面図と、
図2(d)の部分拡大図に対応する。
図1(b)に示すように、評価用ソケット4の支持部411にデバイス2を支持させた状態で、はんだボール22はプローブ先端111に収容されており、このとき非接触である。支持部411はスライドボード41の一部として設計されている。スライドボード41が移動すると、その移動に伴い、デバイス2も移動する。
【0036】
このスライドボード41は、評価用ソケット4の各辺の近傍に設けられたスライド溝部441(
図2参照)で水平移動させることができる。スライド溝部441には、高さ方向(Z方向)の下側に向けて先細りするテーパー状の開口部が設けられている。スライドボード41は、このテーパー状と対応するテーパー状を一方(
図4で右側)にのみ有するスライドブロック62をボルト61で固定している。
【0037】
このとき、ボルト61を深く押し込めば(
図4(b))、スライドブロック62の右側のテーパー状部のみが、開口部412を接触した状態で下がる。これにより、スライドボード41は、右側に移動させられる。よって、基準位置X0から、移動位置X1まで、距離L1移動する。これにより、スライドボード41に支持されているデバイス2も移動する。このとき、スライドボード41は、評価用ソケット4において、評価用ソケット4の基台と独立してスライドするものとしていることで、プローブ先端111は移動せず、デバイス2とプローブ先端111との移動は水平方向に相対的なものとなる。
【0038】
なお、
図4では、スライドボード41によるデバイス2の移動を例に説明したが、はんだボール22と、プローブ先端111とが相対的に移動できればよく、プローブ10側を移動させてもよいし、プローブ10とデバイス2とが双方移動するものとしてもよい。
【0039】
[デバイスの評価装置]
本発明にかかるデバイスの評価装置は、本発明の評価用ソケットを備えるものとすることができる。プローブ10は、導電性を有する部材などで構成する。デバイスの評価装置は、プローブ10のプローブ端子11との他端側を、適宜、電流や電圧を測定するための評価装置基板などに接続し、導通経路を確保したものである。プローブ10は、そのプローブ先端111の内側ではんだボール22と接している以外は、従来のコンタクトプローブなどを援用するものとすることができるため、デバイスの評価装置も従来のものと同様の評価を行うことができる。
【0040】
[プローブ10]
図5(a)は、プローブ10の構造例を示す正面視した概要図である。
図5(a)は、全体概要図である。
図5(b)はプローブ先端111周辺の部分拡大図である。プローブ10は、プローブ端子11と、保持部12と、接触部13とを有している。保持部12と接触部13とは接続部121で接続されている。保持部12や接触部13は、特に接触部13には、一般的なコンタクトプローブなどを用いることができる。プローブ10は、細長いピン状の形状である。プローブ端子11は、筒状の部材である。プローブ端子11のプローブ先端111は、インターポーザ基板21に接続されたはんだボール22を収容する形状である(
図5(b))。
【0041】
[保持部12、接触部13]
保持部12は筒状のプローブ端子11を保持する部分である。また、接続部121は、保持部12と接触部13を接続する部分である。また、プローブ10は、プローブ先端111の内側にはんだボールを配置させて、水平方向に移動させてはんだボール22と接触する。このため、プローブ10の特にプローブ端子11には水平方向の力がかかるものとなる。この水平方向の力がかかったとき、プローブ10がたわむことで、はんだボール22を有するインターポーザ基板21への荷重負荷をより低減できる。このプローブ10がたわみやすいように、接続部121は緩衝するような柔軟性を有する構造とすることもできる。
【0042】
接触部13は、プローブ端子11の他端側を、デバイスの評価装置の基板5に導通させるための部分である(
図6参照)。
【0043】
[本発明のデバイスの評価方法]
図7は、本発明のデバイスの評価方法の一例を示すフロー図である。この工程は
図1を参照して行うことができる。デバイスの評価方法を開始し、ステップS11は、はんだボールに対する所定の位置にプローブ端子のプローブ先端を配置するように、評価用ソケットなどにデバイスを配置して支持させる。次に、ステップS21は、はんだボールとプローブ先端とを第一の方向に移動させる。ステップS21により、はんだボールとプローブ先端とは物理的には接触している状態となるため、ステップS31は、導通確認を行う。
【0044】
[配置工程]
ステップS11は、より詳しくは、デバイスのはんだボールと対応する位置に配置されたプローブ先端を有し、プローブ先端がはんだボールを収容する形状の開口部を有するプローブ端子を用いるものである。このプローブ端子のプローブ先端を、デバイスのはんだボールの水平方向の対応する位置に配置する。さらに、はんだボールが配置された水平面に対して垂直方向に、はんだボールと、プローブ先端の前記開口部とを、相対的に移動させるものである。これにより、はんだボールを開口部に収容する第一方向の移動工程とすることができる。これは、位置決めするための支持部411にデバイス2を支持させることで行うことができる。
【0045】
[移動工程]
ステップS21は、より詳しくは、ステップS11の後に、はんだボールが配置された水平面に対して水平方向に、はんだボールとプローブ先端とを、相対的に移動させる移動工程とすることができる。移動工程を行うことで、プローブ先端の開口部内ではんだボールを接触させ、導通確認ができる状態とする。
【0046】
[設計例]
図8は、本発明の評価用ソケットの構造例の像である。中央にプローブ端子11を配置しており、かつ、支持部にデバイスを配置することではんだボールとプローブ端子に非接触で収容された位置となる。
【0047】
図9は、本発明のプローブ端子の構造例を示す像である。
図10は、デバイスのはんだボールを、プローブ端子に非接触で収容させた状態の像である。このプローブ端子は、はんだボール間のピッチが約0.85mmで配置され、はんだボール径が約0.5mmのものを検査するためのものである。プローブ端子は、内径約0.7mm程度の筒をプローブ先端としている。このような形状として、はんだボールの中心と、プローブ先端の中心とを合わせた状態で、位置合わせをして、筒内にはんだボールを配置する。そして、はんだボールの水平方向に対して、0.1mm程度スライド移動すれば、はんだボールと、プローブ先端の接触を確保することができる。このようなプローブ端子を621個配置した評価用ソケットで、導通試験を行った結果、いずれのプローブ端子も独立して、はんだボールとの導通試験を行うことができた。また、試験対象のインターポーザ基板への負荷も小さく破壊等することはなかった。
【0048】
また、それぞれのプローブ端子のプローブ先端は、筒状のため、製造精度の個体差などではんだボール間がわずかにずれていても、プローブ先端の内側で接触させやすい。また、近接するプローブ端子間のクリアランスも確保しやすく、意図しないはんだボールとの接触も生じ難い。さらに、プローブ端子の位置の調整などのアライメントも行いやすい。
【0049】
このような、本発明に係るプローブ端子や、これを用いる本発明のデバイス評価装置、デバイスの評価方法は、次のような課題感に基づく要素や、特徴も有している。シールドを除去しているため、ウェハが垂直方向の力に弱くなっており、既存のプローブ端子では破損する場合も利用できる。故障部解析のため、導通時に、上部からウェハをプローブの筒内を通して観察可能な構造であり、顕微鏡レンズとの干渉を防止することができる。検査装置の設計や物理的な制限などが生じる場合も、上下や左右を反転しても使用できる。プローブを評価用ソケットの一部として検査用基板に配置する構成とできるため、小型化しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電子デバイスの評価に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0051】
10 プローブ
11 プローブ端子
111 プローブ先端
12 保持部
121 接続部
13 接触部
131 接触端
2 デバイス
21 インターポーザ基板
22 はんだボール
23 ウェハ
31 接触部
4 評価用ソケット
41 スライドボード
412 開口部
42 ソケット蓋
43 デバイス用蓋
441 スライド溝部
5 基板
61 ボルト
62 スライドブロック