(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】ゴルフスイング矯正装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
A63B69/36 502B
(21)【出願番号】P 2022091868
(22)【出願日】2022-06-06
【審査請求日】2022-06-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年12月16日星谷ゴルフメソッド研究所で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】522225516
【氏名又は名称】株式会社サーパスゴルフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】星谷 孝幸
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198544(JP,A)
【文献】国際公開第98/31438(WO,A1)
【文献】米国特許第5763761(US,A)
【文献】米国特許第9278272(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0331195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0009204(US,A1)
【文献】米国特許第7806780(US,B1)
【文献】国際公開第2004/050195(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0065704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、
前記クランプを下端部に固定した第1アームと、
前記第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ前記第1アームの上端部を第1支点にして前記第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、
前記第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を前記第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、
前記第2アームの上端部を第2支点にして前記第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに前記第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、
前記第2アームの前記主軸回りの回転範囲を規制する第1規制手段と、
前記第1アームの前記第2軸回りの回転範囲を規制する第2規制手段と、
前記第1アームの前記第3軸回りの回転範囲を規制する第3規制手段と、を備えたゴルフスイング矯正装置。
【請求項2】
ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、
前記クランプを下端部に固定した第1アームと、
前記第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ前記第1アームの上端部を第1支点にして前記第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、
前記第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を前記第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、
前記第2アームの上端部を第2支点にして前記第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに前記第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、
前記第2アームに前記主軸回りの回転を供給する第1モータと、
前記第1アームに前記第2軸回りの回転を供給する第2モータと、
前記第1アームに前記第3軸回りの回転を供給する第3モータと、
前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータを駆動する制御手段を、備え
、
前記制御手段は、前記第1モータ、前記第2モータおよび前記第3モータそれぞれの単位時間当たりの回転数を一定にして駆動する、ゴルフスイング矯正装置。
【請求項3】
ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、
前記クランプを下端部に固定した第1アームと、
前記第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ前記第1アームの上端部を第1支点にして前記第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、
前記第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を前記第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、
前記第2アームの上端部を第2支点にして前記第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに前記第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、
前記第2アームに前記主軸回りの回転を供給する第1モータと、
前記第1アームに前記第2軸回りの回転を供給する第2モータと、
前記第1アームに前記第3軸回りの回転を供給する第3モータと、を備え、
前記第2モータおよび前記第3モータは、前記第1アームとは別の部分に配置される、ゴルフスイング矯正装置。
【請求項4】
前記第2アームの前記主軸回りの回転と、
前記シャフト部の前記第1軸回りの回転と、
前記第1アームの前記第2軸回りの回転と、
前記第1アームの前記第3軸回りの回転と、を
連動させる連動手段と、をさらに備えた請求項
1~3のいずれかに記載のゴルフスイング矯正装置。
【請求項5】
前記第2ジョイントは、前記第1ジョイントと前記第2支点との間の距離を変更する第1調整部と、
前記第2の所定角度を変更する第2調整部と、を有する請求項
1~3のいずれかに記載のゴルフスイング矯正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフスイング矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフは、ゴルフクラブでゴルフボールを打つスポーツである。ゴルフクラブは、シャフトと、シャフトの一端に固定されたグリップと、シャフトの他端に固定されたクラブヘッドとを有する。プレーヤーは、グリップを両手で把持した状態で、スイング動作を行うことで、クラブヘッドにボールを当てる。スイング動作は、ゴルフクラブを振る一連の動作である。スイング動作は、アドレスからトップまでのバックスイング、トップからインパクトまでのダウンスイング、インパクトからフィニッシュまでのフォロースイングからなる。プレーヤーは、正しいスイング動作を行えば、クラブヘッドの正しい位置にボールを当てることができる。
【0003】
このスイング動作を習得させるためのスイング動作治療機が特開2019-198544号公報に開示されている。このスイング動作治療機は、治療者に対面し、治療者の前方数十センチメートル先の略肩高さ位置に、第1ジョイント部が固定され、第1ジョイント部は、水平から下方へ任意角度傾斜した第1回転軸を有し、第1回転軸と直交する軸より任意角度治療者側に傾いて第1アームが第1回転軸を回転時際に接合されており、該第1アーム先端に第2ジョイント部が接合されており、第2ジョイント部は、ゴルフクラブをライ角に応じて傾けて把持するクラブクランプ部が先端に装着された第2アームが接合され、第2アームを第1回転軸と直交する軸回りに旋回させる第2回転軸と、第2アームを第2回転軸に直交する第3回転軸回りに旋回させる第3回転軸と、第2回転軸に機構的に連結してゴルフクラブをシャフト軸回りに回転させる第4回転軸とを有する。
【0004】
しかしながら、特開2019-198544号公報に記載のスイング動作治療機においては、プレーヤーは第1~第3回転軸それぞれを自由に回転させることができるので、治療者のスイング動作が必ずしも正しいスイング動作でない場合があるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的の一つは、理想的なスイングプレーンを移動するゴルフクラブの位置および姿勢を練習者に体感させることが可能なゴルフスイング矯正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面によれば、ゴルフスイング矯正装置は、ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、クランプを下端部に固定した第1アームと、第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ第1アームの上端部を第1支点にして第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、第2アームの上端部を第2支点にして第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、第2アームの主軸回りの回転範囲を規制する第1規制手段と、第1アームの第2軸回りの回転範囲を規制する第2規制手段と、第1アームの第3軸回りの回転範囲を規制する第3規制手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、第2ジョイントにより第2アームが上端部を第2支点にして主軸回りに回転自在に支持されるので、第2アームが上端部を第2支点にして第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに回転する。第2アームの下端部に第1ジョイントが固定され、第1ジョイントは、第1アームを支持するので、第1ジョイントにより第1アームと第2アームとが接続される。第1ジョイントは、第1アームを第2軸回りに回転自在に支持するので、第1アームは第2アームに対して第1アームの軸回りに回転する。さらに、第1ジョイントは、第1アームの上端部を第1支点にして第3軸回りに回転自在に第1アームを支持するので、第1アームは、第2アームの下端で第1アームの上端部を第1支点にして第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転する。第1アームの下端部にクランプが固定され、クランプは、ゴルフクラブのシャフト部を第1軸回りに回転自在に保持するので、ゴルフクラブが、クランプに対してシャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転する。
【0009】
さらに、第2アームの主軸回りの回転範囲が規制され、第1アームの第2軸回りの回転範囲が規制され、第1アームの第3軸回りの回転範囲が規制される。このため、ゴルフクラブを握ってスイング動作する練習者が、スイング動作中にゴルフクラブの位置および姿勢を変化させることのできる範囲が制限される。ここで、スイング動作中にクラブヘッドが移動する理想的なスイングプレーンが定義される。ゴルフクラブが理想的なスイングプレーン内を移動する間の任意のタイミングにおけるゴルフクラブの位置および姿勢を理想の位置および姿勢という。練習者が、スイング動作中にゴルフクラブの位置および姿勢を変化させることのできる範囲が制限されるので、スイング動作中に理想的なスイングプレーンに近い位置を移動するゴルフクラブの位置および姿勢を練習者に体感させることができる。その結果、理想的なスイングプレーンを移動するゴルフクラブの位置および姿勢を練習者に体感させることが可能なゴルフスイング矯正装置を提供することができる。
【0010】
この発明の他の局面によれば、ゴルフスイング矯正装置は、ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、クランプを下端部に固定した第1アームと、第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ第1アームの上端部を第1支点にして第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、第2アームの上端部を第2支点にして第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、第2アームに主軸回りの回転を供給する第1モータと、第1アームに第2軸回りの回転を供給する第2モータと、第1アームに第3軸回りの回転を供給する第3モータと、をさらに備え、制御手段は、第1モータ、第2モータおよび第3モータそれぞれの単位時間当たりの回転数を一定にして駆動する。
【0011】
この局面に従えば、第1アームおよび第2アームが自動的にそれぞれ回転するので、クラブヘッドが理想のスイングプレーン上を移動するようにゴルフクラブの位置および姿勢が変化する。このため、スイング動作中におけるゴルフクラブの理想の位置および姿勢を練習者に体感させることができる。
【0012】
この発明の他の局面によれば、ゴルフスイング矯正装置は、ゴルフクラブのシャフト部を該シャフト部の軸方向に平行な第1軸回りに回転自在に保持するクランプと、クランプを下端部に固定した第1アームと、第1アームを軸方向に平行な第2軸回りに回転自在かつ第1アームの上端部を第1支点にして第1アームの軸に直交する第3軸回りに回転自在に支持する第1ジョイントと、第1ジョイントを下端部に固定した第2アームであって、軸方向を第1アームに対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームと、第2アームの上端部を第2支点にして第2アームの軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸回りに第2アームを回転自在に支持する第2ジョイントと、第2アームに主軸回りの回転を供給する第1モータと、第1アームに第2軸回りの回転を供給する第2モータと、第1アームに第3軸回りの回転を供給する第3モータと、を備え、第2モータおよび第3モータは、第1アームとは別の部分に配置される。
好ましくは、第2アームの主軸回りの回転と、シャフト部の第1軸回りの回転と、第1アームの第2軸回りの回転と、第1アームの第3軸回りの回転と、を連動させる連動手段と、をさらに備える。
【0013】
この局面に従えば、第2アームの主軸回りの回転、シャフト部の第1軸回りの回転、第1アームの第2軸回りの回転および第1アームの第3軸回りの回転が同期するので、練習者がスイングする間にクラブヘッドが理想的なスイングプレーン上を移動するようにゴルフクラブの姿勢および位置を変化させることができる。このため、練習者に、スイング動作中の任意のタイミングにおけるゴルフクラブの理想の位置および姿勢を体感させることができる。
【0014】
好ましくは、第2ジョイントは、第1ジョイントと第2支点との間の距離を変更する第1調整部と、第2の所定角度を変更する第2調整部と、を有する。
【0015】
この局面に従えば、練習者の体格に応じて、スイング動作中においてゴルフクラブが理想の位置および姿勢となるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】スイング動作の一例を説明する第1の図である。
【
図2】スイング動作の一例を説明する第2の図である。
【
図3】本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置のアドレス時における斜視図である。
【
図4】本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置のアドレス状態における右側面図である。
【
図5】第1アームおよび第1ジョイント近傍の右側面図である。
【
図6】第1アームおよび第1ジョイント近傍の正面図である。
【
図7】ゴルフスイング矯正装置の主軸周辺の部分を拡大して示す斜視図である。
【
図8】ゴルフスイング矯正装置のスイング動作を説明する図である。
【
図9】制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】制御部が備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
【
図11】制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従ってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
図1および
図2は、スイング動作の一例を説明する図である。
図1は、アドレス姿勢のプレーヤーをプレーヤーの左斜め前方から見た図である。
図2は、アドレス姿勢のプレーヤーをプレーヤーの左側から見た図である。
図1を参照して、ゴルフクラブCは、シャフト部C1と、シャフト部C1の一端に固定されたクラブヘッドC2と、シャフト部C1の他端に固定されたグリップC3とを含む。プレーヤーは、グリップC3を把持した状態で、スイング動作をする。
【0019】
ここで、プレーヤーPがアドレスの姿勢におけるクラブヘッドC2の位置をアドレス位置APといい、プレーヤーPがトップの姿勢におけるクラブヘッドC2の位置をトップ位置TPといい、プレーヤーPがクラブヘッドC2でボールaをヒットする姿勢におけるクラブヘッドC2の位置をインパクト位置IPといい、プレーヤーPがフィニッシュの姿勢におけるクラブヘッドC2の位置をフィニッシュ位置FPという。アドレス位置APは、ボールaの飛球方向後方の近傍である。飛球方向は、ボールaからボールaを運ぼうとする目標に向かう方向であり、矢印ar1で示される。スイング動作は、クラブヘッドC2をアドレス位置APからトップ位置TPまで移動させるバックスイング、クラブヘッドC2をトップ位置TPからインパクト位置IPまで移動させるダウンスイング、クラブヘッドC2をインパクト位置IPからフィニッシュ位置FPまで移動させるフォロースイングからなる。
【0020】
スタンス方向が矢印ar2で示される。スタンス方向は、プレーヤーPの両足のつま先を結んだ線と平行である。また、プレーヤーPの両肩を結ぶ矢印ar3が定まる。正しいスイング動作におけるアドレス姿勢においては、矢印ar1、矢印ar2および矢印ar3はすべて平行である。矢印ar1と矢印ar3を含む平面が理想的なスイングプレーンSPとして定義される。なお、スイングプレーンSPの水平となす角度は、クラブの長さに応じて決まる。
【0021】
プレーヤーPが正しいスイング動作をする場合、クラブヘッドC2が描く軌跡HTは、スイングプレーンSPを通る。この場合、クラブヘッドC2が描く軌跡HTの最下点がインパクト位置IPであり、インパクト位置IPとボールaの位置とが重なる。クラブヘッドC2が描く軌跡HTのインパクト位置IPにおける接線は矢印ar1と平行である。クラブヘッドC2がインパクト位置IPにおいて、クラブヘッドC2のリーディングエッジは矢印ar1と垂直である。
【0022】
ここで、
図1および
図2に示すように、プレーヤーPが正しいスイング動作をする場合における理想的なスイングプレーンSPにおいて、クラブヘッドC2が描く軌跡HTを含む楕円ELで囲まれる領域を底面とする楕円錐を定義する。この楕円睡の頂点VPは、プレーヤーの略肩高と同じ高さに位置する。
【0023】
本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置は、プレーヤーPに正しいスイング動作を体感させるように動作する。
【0024】
図3は、本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置のアドレス時における斜視図である。
図3は、プレーヤーPの左斜め前方からゴルフスイング矯正装置1を見た図である。ここで、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向およびY方向は水平である。X方向正側がアドレス時にプレーヤーPの向く方向に相当し、Y方向正側が飛球方向に相当し、Z方向正側の上方に相当する。
【0025】
図3を参照して、ゴルフスイング矯正装置1は、ゴルフクラブCのシャフト部C1を保持するクランプ10と、クランプ10を下端部に固定した第1アームAR1と、第1アームAR1を支持する第1ジョイントJT1と、第1ジョイントJT1を下端部に固定した第2アームAR2と、第2アームAR2の上端部を支持する第2ジョイントJT2と、第2ジョイントJT2を上端に指示する支柱81と、支柱81を支持する基台80、を備える。
【0026】
図4は、本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置のアドレス状態における右側面図である。
図4は、Y方向正側から負側に向かう方向からゴルフスイング矯正装置1を見た図である。
【0027】
図4を参照して、基台80は、平板形状であり、上面にプレーヤーPがスタンス幅だけ広げた両足を載置する搭乗面84と、搭乗面84から所定距離プレーヤーの前方(X方向の正方向)に離れた位置に支持領域85とを有する。指示領域は、基台80のX方向の端部付近でY方向の中心に配置される。支柱81は、支持領域85で基台80に固定される。
【0028】
支柱81は、基台80の支持領域85から上方に延びる。支柱81は、支柱下部82と、支柱上部83を含む。支柱下部82は、2枚の金属製の平板を対向するように接続した、一方向に延びる断面矩形の形状である。支柱下部82は、基台80の支持領域85から垂直に延びるように下端が基台80に固定される。支柱上部83は、2枚の金属製の平板を対向するように接続した、一方向に延びる断面矩形の形状である。支柱上部83は、一端が支柱下部82の上端で所定角度傾斜するように固定される。支柱上部83と支柱下部82とのなす角を調整する第1調整機構を有してもよい。例えば、第1調整機構は、支柱上部83と支柱下部82とを回転可能に接続する軸部材と、支柱上部83と支柱下部82との軸部材周りの回転を規制する固定部材とを含む。固定部材は、例えば、ボルトとナットである。
【0029】
支柱上部83の支柱下部82と接続される側の端部とは反対側の他端に、第2アーム保持部51が固定される。第2アーム保持部51は、第1モータ52を保持する。第1モータ52の回転軸の回転中心を主軸AX0という。第2アーム保持部51は、主軸AX0と水平方向とのなす角度θ0が所定の角度に固定されるように第1モータ52を保持する。第2アーム保持部51は、主軸AX0と水平方向とがなす角度θ0を調整する第2調整機構を有してもよい。第2調整機構は、支柱上部83と第2アーム保持部51との間に設けられてもよいし、第2アーム保持部51と第1モータ52との間に設けられてもよい。
【0030】
第1モータ52の回転軸の端部に主回転保持部53が取り付けられる。主回転保持部53は、平板形状であり、互いに反対を向く取付面および保持面を有する。取付面と保持面とは平行である。主回転保持部53は、第1モータ52の回転軸が取付面と垂直になるように第1モータ52の回転軸の端部に取り付けられる。主回転保持部53は、保持面から垂直に突出する2つの主挟持板54を有する。2つの主挟持板54は、それぞれが対向する対向面を有する。2つの主挟持板54は、それぞれが有する対向面で第2アームAR2を挟み込むことにより、第2アームAR2を挟持する。
【0031】
第2アームAR2は、一方向に延びる断面矩形の四角柱形状である。2つの主挟持板54の間で第2アームAR2が固定される。2つの主挟持板54がそれぞれ有する対向面の間の距離を調整することにより、第2アームAR2が固定される。なお、2つの主挟持板54で第2アームAR2を固定する方法は、これに限定されず、他の固定方法が採用されてもよい。
【0032】
主回転保持部53は、第2アームAR2の軸方向が主軸AX0となす角度θ2が第2の所定角度となるように第2アームAR2を挟持する。主回転保持部53は、第2アームAR2の軸方向と主軸AX0とがなす角度θ2を調整する第3調整機構を有してもよい。第1調整機構および第2調整機構それぞれによる角度の調整に対応して、第2アームAR2の軸方向と主軸AX0とがなす角度θ2を第2の所定角度にすることができる。主回転保持部53は、第2アームAR2の軸方向の任意の位置を把持可能に構成される。このため、第2アームAR2の軸心が主軸AX0と交わる位置から第2アームAR2の端部までの距離が調整される。第2アーム保持部51、第1モータ52、主回転保持部53および2つの主挟持板54により第2ジョイントJT2が構成される。
【0033】
図5は、第1アームおよび第1ジョイント近傍の右側面図である。
図5は、Y方向正側から負側に向かう方向に第1アームAR1および第1ジョイントJT1近傍を見た図であり、
図4の点線部分を拡大して示す図である。
図6は、第1アームおよび第1ジョイント近傍の正面図である。
図6は、X方向負側から正側に向かう方向に第1アームAR1および第1ジョイントJT1近傍を見た図である。
【0034】
図5および
図6を参照して、第2アームAR2の下端に第2軸受保持部41が固定される。第2軸受保持部41は、第2回転保持部31の第2回転軸35を軸支する軸受けを有する。第2軸受保持部41が有する軸受けが軸支する回転軸の回転中心は第2軸AX2である。第2軸受保持部41は、第2軸AX2と第2アームAR2の軸心とがなす角度θ1が第1の所定角度となるように、第2アームAR2に固定される。なお、本実施の形態においては、第2アームAR2と第2軸受保持部41とは一体として形成される例を示すが、第2軸AX2と第2アームAR2の軸心とがなす角度θ1が変更可能となるように構成された第3調整機構を備えてもよい。
【0035】
第2軸受保持部41の下方に第2回転保持部31が配置される。第2回転保持部31は、断面が円形の平板形状であり、互いに平行な上面および下面を有する。第2回転保持部31の側面に溝が形成されている。第2回転保持部31は、上面の中心から垂直に延びる第2回転軸35を有する。第2回転軸35は第2回転保持部31に回転不可能な状態で固定される。第2回転軸35は、第2軸受保持部41が備える軸受により軸支され、第2回転保持部31の上方から突出する部分で落下防止部材34と接続される。このため、第2回転保持部31と第2軸受保持部41との間の距離が一定に保たれる。なお、第2軸受保持部41に第2回転軸35が固定される例を示したが、第2回転軸35が第2軸受保持部41に固定され、第2軸受保持部41が第2回転軸35に対応する軸受けを有してもよい。
【0036】
第2回転保持部31は、下面に第3軸受保持部33を有する。第3軸受保持部33は、第2回転保持部31の下面から垂直に延びる平板形状である。第3軸受保持部33は、第2回転保持部31の下面に平行な第3回転軸24を軸支する軸受けを有する。第3回転軸24の回転中心は第3軸AX3である。第2軸AX2と第3軸AX3とは直交する。
【0037】
第1アームAR1は、上方支持部21、2つの第3軸保持部23、接続部22、下方支持部14、2つの第1挟持板13および第1軸受保持部12を有する。なお、
図5においては、2つの第1挟持板13のうちY方向正側に配置される一方の図示が省略されている。
【0038】
上方支持部21は、互いに平行に対向する上面および下面を有する。上方支持部21は、上面から垂直に延びる2つの第3軸保持部23を有する。2つの第3軸保持部23それぞれは、平板形状であり、対向する平行な対向面を有する。2つの第3軸保持部23それぞれは、対向する位置に対向面に垂直な貫通穴が形成されている。2つの第3軸保持部23の間に第3軸受保持部33が配置される。第3回転軸24が、2つの第3軸保持部23それぞれに形成された貫通穴と、第3軸受保持部33の軸受けとを通る。第3回転軸24は、第3軸受保持部33が有する軸受けにより軸支されるとともに、2つの第3軸保持部23それぞれに回転不可能な状態で固定される。これにより、上方支持部21は、第3軸AX3回りに回転可能に第2回転保持部31と接続される。
【0039】
第2軸受保持部41、第2回転軸35、第2回転保持部31、第3軸受保持部33、上方支持部21、2つの第3軸保持部23および第3回転軸24により第1ジョイントJT1が構成される。なお、第1ジョイントJT1は、上記の構成に限定されることなく、第3軸AX3と第2軸AX2とが直交するように構成され、第1アームAR1がその軸心を中心に第2軸AX2回りに回転可能かつ第1アームAR1がその上端を支点にして第3軸AX3回りに回転可能になるように、第2アームAR2が第1アームAR1を保持できれば良く、他の構成が採用されてもよい。
【0040】
第3回転軸24の一端には、第3従動ローラー25が固定され、他端には第1駆動ローラー26が固定される。なお、
図6において、第3従動ローラー25および第1駆動ローラー26は、点線で示される。第3従動ローラー25および第1駆動ローラー26は、それぞれの回転中心が第3軸AX3と一致するように第3回転軸24に回転不可能な状態で固定される。第3従動ローラー25および第1駆動ローラー26それぞれは、断面円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。第3従動ローラー25の直径は第1駆動ローラー26の直径より大きい。
【0041】
上方支持部21と下方支持部14とは、2つの接続部22により接続される。下方支持部14は、互いに平行な上面と下面とを有する。2つの接続部22は、円柱形状であり、長手方向の長さが同じである。上方支持部21の下面と下方支持部14の上面とが、2つの接続部22により接続される。2つの接続部22の上端が上方支持部21の下面の異なる2点に固定され、2つの接続部22の下端が下方支持部14の上面の異なる2点に固定される。したがって、上方支持部21と下方支持部4とは互いに回転不可能な状態で2つの接続部22により接続される。
【0042】
下方支持部14は、下面から垂直に延びる2つの第1挟持板13を有する。2つの第1挟持板13の間で第1軸受保持部12が固定される。2つの第1挟持板13は、それぞれが対向する対向面を有する。第1軸受保持部12は、平板形状であり、2つの第1挟持板13がそれぞれ有する対向面に第1軸受保持部12の両端の側面がそれぞれ接するように固定される。
【0043】
第1軸受保持部12は、クランプ10を回転可能に保持する軸受けを有する。第1軸受保持部12の軸受けの回転軸の回転中心を第1軸AX1という。第1軸AX1と第1アームAR1の軸心とのなす角が予め定められた角度となるように、第1軸受保持部12が2つの第1挟持板13に固定される。なお、第1軸受保持部12が軸受けの角度を調整する第4調整機構を備えてもよい。
【0044】
クランプ10は、第1従動ローラー11に接続されている。なお、
図6において、第1従動ローラー11は、点線で示される。クランプ10は、ゴルフクラブCのシャフト部C1の軸心を第1軸AX1と並行にした状態でシャフト部C1を把持するように構成されている。第1従動ローラー11は、断面円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。クランプ10は、第1従動ローラー11と連結されており、第1従動ローラー11の回転に伴って回転する。
【0045】
図7は、ゴルフスイング矯正装置の主軸周辺の部分を拡大して示す斜視図である。
図4および
図7を参照して、支柱上部83の第2アーム保持部51の下方に、第2モータ62が固定される。第2モータ62の回転軸の端部に第2駆動ローラー63が取り付けられる。第2駆動ローラー63は、断面が円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。第2駆動ローラー63は、その回転中心が第2モータ62の回転軸と一致するように第2モータ62の回転軸に取り付けられる。第2駆動ローラー63の側面の対向する2カ所に2本のワイヤー67の端部がそれぞれ接続される。
【0046】
第2駆動ローラー63の下方で、支柱上部83に第2チューブ上方保持部64が固定される。第2チューブ上方保持部64は、平板形状であり、2つの貫通穴が形成されている。2つの貫通穴は、第2駆動ローラー63の2つの端部にそれぞれ対向するように配置される。2つの貫通穴の間隔は、第2駆動ローラー63の直径以下であるのが好ましい。第2駆動ローラー63から延びる2つのワイヤー67が、第2チューブ上方保持部64の2つの貫通穴の上方からそれぞれが進入する。第2チューブ上方保持部64の下面において、2つの貫通穴それぞれに第2チューブ65の一端が接続される。
【0047】
図5および
図6を再度参照して、第2軸受保持部41の下面に、第2チューブ下方保持部69が固定される。第2チューブ下方保持部69は、第2軸受保持部41に回転不可能な状態で固定される。第2チューブ下方保持部69は、第1平板部と第2平板部とが垂直になるように接続した断面L字形状である。第1平板部が第2軸受保持部41の下面に固定される。第2平板部に2本の第2チューブ65が接続される2つの貫通穴が形成されている。第2チューブ下方保持部69は、第2平板部に形成された2つの穴それぞれを覆うように第2平板部の一方の面から2本の第2チューブ65の一端が接続される。
【0048】
図2および
図5を参照して、第2駆動ローラー63の側面に一端が接続された2本のワイヤー67それぞれは、第2駆動ローラー63の端部から第2チューブ上方保持部64の貫通穴、第2チューブ65、および第2チューブ下方保持部69の第2平板部に形成された貫通穴を経由して、第2回転保持部31の側面の2カ所のいずれかに接続される。このため、第2駆動ローラー63が回転すると、2本のワイヤー67の一方が引かれ、他方が押し出されるので、第2回転保持部31が回転する。第2駆動ローラー63および第2回転保持部31の直径が同じ場合、第2駆動ローラー63および第2回転保持部31の回転量は同じである。
【0049】
第2駆動ローラー63および第2回転保持部31の回転に伴って、ワイヤー67が、それぞれの側面に形成された溝にはまり込む。これにより、ワイヤー67が第2駆動ローラー63および第2回転保持部31それぞれの側面に沿って巻き取られる。第2駆動ローラー63の端部からワイヤー67が延びるので、ワイヤー67が第2駆動ローラー63から延びる位置と第2チューブ上方保持部64の2つの貫通穴との相対位置が変動しない。また、第2回転保持部31の端部からワイヤー67が延びるので、ワイヤー67が第2回転保持部31から延びる位置と第2チューブ下方保持部69の第2平板部に形成された2つの貫通穴との相対位置が変動しない。このため、第2モータ62の回転力を正確に第2回転保持部31に伝達することができる。
【0050】
図4および
図7を参照して、第2アームAR2の上方の端部に第3モータ42が固定される。第3モータ42の回転軸の端部に第3駆動ローラー43が取り付けられる。第3駆動ローラー43は、断面が円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。第3駆動ローラー43は、その回転中心が第3モータ42の回転軸と一致するように第3モータ42の回転軸に取付られる。第3駆動ローラー43の側面の対向する2カ所に2本のワイヤー47の端部がそれぞれ接続される。
【0051】
第3駆動ローラー43の下方で、第3チューブ上方保持部44が第2アームAR2に固定される。第3チューブ上方保持部44は、平板形状であり、2つの貫通穴が形成されている。2つの貫通穴は、第3駆動ローラー43の両端部に対向するように配置される。2つの貫通穴の間隔は、第3駆動ローラー43の直径以下であるのが好ましい。第3駆動ローラー43から延びる2つのワイヤー47が、第3チューブ上方保持部44の2つの貫通穴の上方からそれぞれ進入する。第3チューブ上方保持部44の下面において、2つの貫通穴それぞれに第3チューブ45の一端が接続される。
【0052】
図4~
図6を参照して、第2回転保持部31の上面に、第3チューブ保持部32が固定される。第3チューブ保持部32は、第2回転保持部31に回転不可能な状態で固定される。第3チューブ保持部32は、2本の第3チューブ45が接続される2つの貫通穴が形成されておいる。第3チューブ保持部32には、2つの貫通穴それぞれを覆うように第1平板部の上方から2本の第3チューブ45の一端が接続される。
【0053】
第3駆動ローラー43の側面に一端が接続されたワイヤー47それぞれは、第3駆動ローラー43の端部から第3チューブ上方保持部44の貫通穴、第3チューブ45、および第3チューブ保持部32に形成された貫通穴を経由して、第3従動ローラー25の側面の2カ所のいずれかに接続される。このため、第3駆動ローラー43が回転すると、2本のワイヤー47ーの一方が引かれ、他方が押し出されるので、第3従動ローラー25が回転する。第3駆動ローラー43および第3従動ローラー25の直径と同じ場合、第3駆動ローラー43および第3従動ローラー25の回転量は同じである。
【0054】
第3駆動ローラー43および第3従動ローラー25の回転に伴って、ワイヤー47が、それぞれの側面に形成された溝にはまり込む。これにより、ワイヤー47が第3駆動ローラー43および第3従動ローラー25それぞれの側面に沿って巻き取られる。第3駆動ローラー43の端部からワイヤー47が延びるので、ワイヤー47が第3駆動ローラー43から延びる位置と第3チューブ上方保持部44の2つの貫通穴との相対位置が変動しない。また、第3従動ローラー25の端部からワイヤー47が延びるので、ワイヤー47が第3従動ローラー25から延びる位置と第3チューブ保持部32に形成された2つの貫通穴との相対位置が変動しない。このため、第3モータ42の駆動力を効率的に第3従動ローラー25に伝達することができる。
【0055】
図5および
図6を参照して、第3従動ローラー25と第1駆動ローラー26とは第3回転軸24により接続されるので、第3従動ローラー25の回転に伴って第1駆動ローラー26が回転する。第3従動ローラー25と第1駆動ローラー26との回転量は同じである。第1駆動ローラー26は、断面が円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。第1駆動ローラー26の側面の対向する2カ所に2本のワイヤー16の一端がそれぞれ接続される。第1従動ローラー11は、断面が円形の平板形状であり、側面に溝が形成されている。第1従動ローラー11の側面の対向する2カ所に2本のワイヤー16の他端がそれぞれ接続される。なお、
図6において、第3従動ローラー25、第1駆動ローラー26および2本のワイヤー16は、点線で示される。
【0056】
第1駆動ローラー26の側面に一端が接続されたワイヤー16は、ローラー15を経由して第1従動ローラー11の側面の2カ所にそれぞれ接続される。ローラー15は、第1挟持板13の対向面から垂直に延びる回転軸により軸支される。ローラー15の直径および回転軸の位置は、ワイヤー16が延びる方向が第1駆動ローラー26の回転面と平行な方向と第1従動ローラー11の回転面と平行な方向とになるように定められる。
【0057】
このため、第1駆動ローラー26が回転すると、2本のワイヤー16の一方が引かれ、他方が押し出されるので、第1従動ローラー11が回転する。第1駆動ローラー26および第1従動ローラー11の直径が同じ場合、第1駆動ローラー26および第1従動ローラー11の回転量は同じである。
【0058】
第1駆動ローラー26および第1従動ローラー11の回転に伴って、ワイヤー16が、それぞれの側面に形成された溝にはまり込む。これにより、ワイヤー16が第1駆動ローラー26および第1従動ローラー11それぞれの側面に沿って巻き取られる。第1駆動ローラー26の端部からワイヤー16が第1駆動ローラー26の回転面と平行にローラー15まで延びる。また、第1従動ローラー11の端部からワイヤー16が第1従動ローラー11の回転面と平行にローラー15まで延びる。このため、第1駆動ローラー26が第3従動ローラー25を介して第3モータ42の駆動力を効率的に第1従動ローラー11に伝達することができる。
【0059】
第3軸AX3回りの回転と、第1軸AX1回りの回転とは連動している。本実施の形態においては、第1駆動ローラー26および第1従動ローラー11の直径を同じにしている。このため、第3軸AX3回りの回転量と、第1軸AX1回りの回転量とは同じである。
【0060】
制御部100は、一般的なコンピューターである。制御部100は、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42を制御する。制御部100は、第1モータ52を制御して、第2アームAR2の軸心が主軸AX0と第2の所定角度だけ傾斜した状態で、第2アームAR2を主軸AX0回りに回転させる。制御部100は、第2モータ62を制御して、第1アームAR1を軸方向に平行な第2軸AX2回りに回転させる。さらに、制御部100は、第3モータ42を制御して、第1アームAR1の上端に接続される第3回転軸24を支点にして第3軸AX3回りに回転させるとともに、ゴルフクラブCのシャフト部C1をシャフト部C1の軸方向に平行な第1軸AX1回りに回転させる。
【0061】
図8は、ゴルフスイング矯正装置のスイング動作を説明する図である。
図8は、ゴルフスイング矯正装置1を正面から見た図であり、異なる時刻における複数の状態を重畳して示す図である。アドレス位置APからトップ位置TPまでのバックスイングにおける第1アームAR1、第2アームAR2およびゴルフクラブCの動きが点線の矢印で示される。この間、第2アームAR2が主軸AX0回りに徐々に逆回転し、第2アームAR2が第2軸AX2および第3軸AX3回りに徐々に逆回転し、ゴルフクラブCが第1軸AX1回りに徐々に逆回転する。
【0062】
トップ位置TPにおける、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転位置、第2アームAR2の第2軸AX2回りの回転位置および第2アームAR2の第3軸AX3回りの回転位置が、それぞれの軸において回転可能な範囲の下限値に相当する。
【0063】
そして、トップ位置TPからインパクト位置IPまでのダウンスイング、インパクト位置IPからフィニッシュ位置FPまでフォロースルーにおける第1アームAR1、第2アームAR2およびゴルフクラブCの動きが実線の矢印で示される。この間、第2アームAR2が主軸AX0回りに徐々に正回転し、第2アームAR2が第2軸AX2および第3軸AX3回りに徐々に正回転し、ゴルフクラブCが第1軸AX1回りに徐々に正回転する。
【0064】
フィニッシュ位置FPにおける、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転位置、第2アームAR2の第2軸AX2回りの回転位置および第2アームAR2の第3軸AX3回りの回転位置が、それぞれの軸において回転可能な範囲の上限値に相当する。
【0065】
図9は、制御部の構成の一例を示すブロック図である。
図9を参照して、制御部100は、それぞれがバスで接続されたCPU(中央演算処理装置)101、メモリ102、制御インターフェース(I/F)103、入力I/F104および通信I/F105を含む。
【0066】
メモリ102は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、CPU101が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAMは、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。メモリ102は、データを不揮発的に記憶するEPROM(Erasable Programmable ROM)またはHDD(Hard Disc Drive)を含んでもよい。また、メモリ102は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)106または半導体メモリが装着される外部記憶装置を含んでもよい。
【0067】
制御I/F103は、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42と接続され、それらを制御する。入力I/F104は、操作パネルと接続され、プレーヤーPが操作パネルに入力する操作を受け付け、CPU101に出力する。
【0068】
通信I/F105は、制御部100をネットワークに接続するためのインターフェースである。通信I/F105は、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターと通信する。なお、通信I/F105が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0069】
制御部100が備えるCPU101は、アプリケーションプログラムを実行する。アプリケーションプログラムは、ゴルフスイング矯正装置1を制御するプログラムを含む。
【0070】
本実施の形態においては、CPU101は、メモリ102に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU101は、CD-ROM106または半導体メモリに記憶されたプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAMに記憶し、実行するようにしてもよい。なお、CPU101が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM106に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。
【0071】
さらに、CPU101がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてメモリ102に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをメモリ102に書込みするようにして、メモリ102に記憶されたプログラムをCPU101が実行してもよい。ここでいうプログラムは、CPU101により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0072】
図10は、制御部が備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図10に示す機能は、制御部100が備えるCPU101がメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、CPUで実現される。
図10を参照して、CPU101は、設定部151と、モータ制御部153と、を含む。
【0073】
設定部151は、主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれにおける回転範囲を設定する。設定部151は、主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれに対する回転範囲を定めた組が予めメモリ102に記憶しておき、ユーザーにより指定された組で定められる回転範囲に設定する。また、設定部151は、プレーヤーPが操作パネルから回転範囲を入力する場合、プレーヤーPにより入力された主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれに対する回転範囲を設定する。
【0074】
主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれの回転範囲は、トップにおける回転位置(アドレス回転位置)とフィニッシュにおける回転位置(フィニッシュ回転位置)とで定まる。したがって、主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれにおいて、回転可能な範囲の上限値と下限値とが定められる。主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれにおいて、アドレス回転位置からトップ回転位置までの第1回転量と、アドレス回転位置からフィニッシュ回転位置までの第2回転量とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0075】
なお、主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれに対する回転範囲をデフォルトで定めた組のみがメモリ102に記憶されている場合は、設定部151は、デフォルトで定められた組で定められる回転範囲に設定する。
【0076】
モータ制御部153は、プレーヤーPによる起動指示が入力されることに応じて、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42を駆動する。操作パネルがフットスイッチを含む場合、起動指示はフットスイッチから入力されてもよい。具体的には、モータ制御部153は、第1モータ52を、アドレス回転位置から主軸AX0に対して定められたトップ回転位置となるまで第1逆回転量だけ逆回転させ、その後、主軸AX0に対して定められたフィニッシュにおける回転位置となるまで第1正回転量だけ正回転させる。第1モータ52の回転速度の絶対値は、一定であり、スイング動作全体の時間によって定まる。第1逆回転量と第1正回転量との和と、スイング動作全体の時間とから、第1モータ52の回転速度の絶対値が定まる。
【0077】
モータ制御部153は、第2モータ62を、アドレス回転位置から第2軸AX2に対して定められたトップ回転位置となるまで第2逆回転量だけ逆回転させ、その後、第2軸AX2に対して定められたフィニッシュ回転位置となるまで第2正回転量だけ正回転させる。第2モータ62の回転速度の絶対値は、一定であり、スイング動作全体の時間によって定まる。第2逆回転量と第2正回転量との和と、スイング動作全体の時間とから、第2モータ62の回転速度の絶対値が定まる。
【0078】
モータ制御部153は、第3モータ42を、アドレス回転位置から第3軸AX3に対して定められたトップ回転位置となるまで第3逆回転量だけ逆回転させ、その後、第3軸AX3に対して定められたフィニッシュ回転位置となるまで第3正回転量だけ正回転させる。第3モータ42の回転速度の絶対値は、一定であり、スイング動作全体の時間によって定まる。第3逆回転量と第3正回転量との和と、スイング動作全体の時間とから、第3モータ42の回転速度の絶対値が定まる。
【0079】
モータ制御部153は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42を同期して回転させる。第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42は、1回のスイング動作の間に、アドレス回転位置からトップ回転位置まで逆回転し、トップ回転位置からフィニッシュ回転位置まで正回転する。このため、モータ制御部153は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42を、スイング動作の開始と同時に回転を開始させ、スイング動作の終了と同時に回転を終了させる。
【0080】
図11は、制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御処理は、制御部100が備えるCPU101がメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、CPUにより実行される処理である。
図11を参照して、制御部100が備えるCPU101は、主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれにおける回転範囲を設定し(ステップS01)、処理をステップS02に進める。主軸AX0、第2軸AX2および第3軸AX3それぞれに対する回転範囲を定めた組がメモリ102に記憶されており、記憶された組で定められる回転範囲を設定する。複数の組がメモリ102に記憶されている場合は、プレーヤーPにより指定された組が選択される。また、1つの組がメモリ102に記憶されている場合は、その組が自動的に選択される。
【0081】
ステップS02においては、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転速度が決定される。CPU101は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42を同期して回転させるために、ステップS01において設定された回転範囲と、スイング動作の時間とから回転速度を決定する。
【0082】
次のステップS03においては、起動指示が受け付けられたか否かが判断される。操作パネルが備えるフットスイッチがプレーヤーにより押下された場合に起動指示が受け付けられる。起動指示が受け付けられたならば処理はステップS04に進むが、そうでなければ処理はステップS01に戻る。
【0083】
ステップS04においては、CPU101は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれをアドレス回転位置まで回転させる。アドレス回転位置は、クラブヘッドC2がアドレス位置APに位置する状態における第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置を示す。アドレス回転位置は、デフォルトで定められた位置である。
【0084】
次のステップS05においては、CPU101は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれを逆回転させ、処理をステップS06に進める。第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれを逆回転させる回転速度は、ステップS02において決定された回転速度である。
【0085】
ステップS06においては、トップ回転位置か否かが判断される。トップ回転位置ならば処理はステップS07に進むが、そうでなければ処理はステップS05に戻る。トップ回転位置は、クラブヘッドC2がトップ位置TPに位置する状態における第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置である。第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42にステッピングモータを用いる場合は、それぞれの回転量からそれぞれの回転位置が検出される。また、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転量を計測するエンコーダが用いられてもよい。また、アドレス回転位置からトップ回転位置まで回転する時間がスイング動作の時間から定まるので、ステップS05において逆回転を開始してからの経過時間に基づいて、トップ回転位置か否かが判断されてもよい。
【0086】
ステップS07においては、CPU101は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれを正回転させ、処理をステップS08に進める。第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれを正回転させる回転速度は、ステップS02において決定された回転速度である。
【0087】
ステップS08においては、フィニッシュ回転位置か否かが判断される。フィニッシュ回転位置ならば処理はステップS09に進むが、そうでなければ処理はステップS07に戻る。フィニッシュ回転位置は、クラブヘッドC2がフィニッシュ位置FPに位置する状態における第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置である。第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42にステッピングモータを用いる場合は、それぞれの回転量からそれぞれの回転位置が検出される。また、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転量を計測するエンコーダが用いられてもよい。また、トップ回転位置からフィニッシュ回転位置まで回転する時間がスイング動作の時間から定まるので、ステップS07において正回転を開始してからの経過時間に基づいて、フィニッシュ回転位置か否かが判断される。
【0088】
ステップS09においては、CPU101は、第1モータ52,第2モータ62および第3モータ42それぞれをアドレス回転位置まで回転させ、処理をステップS10に進める。ステップS10においては、スイング動作の回数が設定回数になったか否かが判断される。スイング動作の回数をカウントアップし、カウントアップ後の回数が設定回数と比較される。設定回数は、起動指示が入力される前にプレーヤーPにより設定される。スイング動作の回数が設定回数でなければ処理はステップS05にもどるが、スイング動作の回数が設定回数ならば処理は終了する。処理がステップS05に戻る場合、ステップS05~ステップS09の処理が実行される。このため、スイング動作が設定回数になるまで繰り返される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態におけるゴルフスイング矯正装置1は、ゴルフクラブCのシャフト部C1を該シャフト部C1の軸方向に平行な第1軸AX1回りに回転自在に保持するクランプ10と、クランプ10を下端部に固定した第1アームAR1と、第1アームAR1を軸方向に平行な第2軸AX2回りに回転自在かつ第1アームAR1の上端部を第1支点にして第1アームAR1の軸に直交する第3軸AX3回りに回転自在に支持する第1ジョイントJT1と、第1ジョイントJT1を下端部に固定した第2アームAR2であって、軸方向を第1アームAR1に対して第1の所定角度だけ傾斜させた第2アームAR2と、第2アームAR2の上端部を第2支点にして第2アームAR2の軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸AX0回りに第2アームAR2を回転自在に支持する第2ジョイントJT2と、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転範囲を規制する第1モータ52と、第1アームAR1の第2軸AX2回りの回転範囲を規制する第2モータ62と、第1アームAR1の第3軸AX3回りの回転範囲を規制する第3モータ42と、を備える。
【0090】
このため、第2ジョイントJT2により第2アームAR2が上端部を第2支点にして主軸AX0回りに回転自在に支持されるので、第2アームAR2が上端部を第2支点にして第2アームAR2の軸方向に対して第2の所定角度だけ傾斜した主軸AX0回りに回転する。第2アームAR2の下端部に第1ジョイントJT1が固定され、第1ジョイントJT1は、第1アームAR1を支持するので、第1ジョイントJT1により第1アームAR1と第2アームAR2とが接続される。第1ジョイントJT1は、第1アームAR1を第2軸AX2回りに回転自在に支持するので、第1アームAR1は第2アームAR2に対して第1アームAR1の軸回りに回転する。さらに、第1ジョイントJT1は、第1アームAR1の上端部を第1支点にして第3軸AX3回りに回転自在に第1アームAR1を支持するので、第1アームAR1は、第2アームAR2の下端で第1アームAR1の上端部を第1支点にして第1アームAR1の軸に直交する第3軸AX3回りに回転する。第1アームAR1の下端部にクランプ10が固定され、クランプ10は、ゴルフクラブCのシャフト部C1を第1軸AX1回りに回転自在に保持するので、ゴルフクラブCのシャフト部C1が、クランプ10に対してシャフト部C1の軸方向に平行な第1軸AX1回りに回転する。
【0091】
さらに、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転範囲が規制され、第1アームAR1の第2軸AX2回りの回転範囲が規制され、第1アームAR1の第3軸AX3回りの回転範囲が規制される。このため、ゴルフクラブCを握ってスイング動作するプレーヤーPが、スイング動作中にゴルフクラブCの位置および姿勢を変化させることのできる範囲が制限される。ゴルフクラブCの姿勢および位置を規制するので、スイング動作中に理想的なスイングプレーンSPに近い位置を移動するゴルフクラブCの位置および姿勢をプレーヤーに体感させることができる。その結果、理想的なスイングプレーンSPに近い位置を移動するゴルフクラブCの位置および姿勢をプレーヤーに体感させることができる。
【0092】
また、ゴルフスイング矯正装置1は、第1アームAR1に、第2軸AX2回りの回転を供給する第2モータ62と、第1アームAR1の軸に直交する第3軸回りの回転を供給する第3モータ42と、第2アームAR2に主軸AX0回りの回転を供給する第1モータ52と、をさらに備える。このため、第1アームAR1および第2アームAR2が自動的にそれぞれ回転させるので、クラブヘッドC2がスイングプレーンSP上を移動するようにゴルフクラブCの位置および姿勢が変化する。したがって、スイング動作中におけるゴルフクラブCの理想の位置および姿勢をプレーヤーPに体感させることができる。
【0093】
また、制御部100は、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転と、シャフト部C1の第1軸AX1回りの回転と、第1アームAR1の第2軸AX2回りの回転と、第1アームAR1の第3軸AX3回りの回転と、を同期させる。このため、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転、シャフト部C1の第1軸AX1回りの回転、第1アームAR1の第2軸AX2回りの回転および第1アームAR1の第3軸AX3回りの回転が同期するので、プレーヤーPがスイングする間にクラブヘッドC2がスイングプレーンSP上を移動するようにゴルフクラブCの姿勢および位置を変化させることができる。このため、プレーヤーPに、スイング動作中の任意のタイミングにおけるゴルフクラブCの理想の位置および姿勢を体感させることができる。
【0094】
また、第2ジョイントJT2は、第1ジョイントJT1と第2アームAR2の軸心と主軸AX0とが交わる第2支点との間の距離を変更可能であり、第2アームAR2の軸心と主軸AX0とがなす角度θ2を変更可能である。このため、プレーヤーPの体格に応じて、スイング動作中においてゴルフクラブCが理想の位置および姿勢となるようにできる。
【0095】
<第1の変形例>
本実施の形態において、ゴルフスイング矯正装置1は、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42を設けるようにしたが、これらを設けないようにしてもよい。この場合においても、第2アームAR2の主軸AX0回りの回転範囲が規制され、第1アームAR1の第2軸AX2回りの回転範囲が規制され、第1アームAR1の第3軸AX3回りの回転範囲が規制される。これにより、4つの回転軸それぞれにおいて回転可能な範囲が制限されるので、プレーヤーPに4つの回転軸それぞれにおいてゴルフクラブCを移動させることのできる範囲の上限と下限を体感させることができる。
【0096】
<第2の変形例>
本実施の形態において、ゴルフスイング矯正装置1は、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42を同期させるために、それぞれの回転速度を一定にしたが、これに限定されない。例えば、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置を予め対応付けておくなどして、第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置が同期されてもよい。スイング動作中における複数のポイントを予め定めて置き、複数のポイントごとに第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42それぞれの回転位置を記憶させ、複数のポイント間それぞれにおける第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42の回転速度が決定される。複数のポイントは、例えば、プロゴルファーのスイングに基づき決定されてもよい。例えば、プロゴルファーがゴルフスイング矯正装置1を用いてスイングすることにより、複数のポイントそれぞれにおける第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42の回転位置をゴルフスイング矯正装置1にティ-チングしてもよい。また、プロゴルファーのスイング動作をモーションピクチャーなどで取得し、複数のポイントそれぞれにおけるゴルフクラブCの位置および姿勢から第1モータ52、第2モータ62および第3モータ42の回転位置が決定される。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 ゴルフスイング矯正装置、4 下方支持部、10 クランプ、11 第1従動ローラー、12 第1軸受保持部、13 第1挟持板、14 下方支持部、15 ローラー、16 ワイヤー、21 上方支持部、22 接続部、23 第3軸保持部、24 第3回転軸、25 第3従動ローラー、26 第1駆動ローラー、31 第2回転保持部、32 第3チューブ保持部、33 第3軸受保持部、34 落下防止部材、35 第2回転軸、41 第2軸受保持部、42 第3モータ、43 第3駆動ローラー、44 第3チューブ上方保持部、45 第3チューブ、47 ワイヤー、51 第2アーム保持部、52 第1モータ、53 主回転保持部、54 主挟持板、62 第2モータ、63 第2駆動ローラー、64 第2チューブ上方保持部、65 第2チューブ、67 ワイヤー、69 第2チューブ下方保持部、80 基台、81 支柱、82 支柱下部、83 支柱上部、84 搭乗面、85 支持領域、100 制御部、101 CPU、102 メモリ、151 設定部、153 モータ制御部、AR1 第1アーム、AR2 第2アーム、AX0 主軸、AX1 第1軸、AX2 第2軸、AX3 第3軸、C ゴルフクラブ、C1 シャフト部、C2 クラブヘッド、FP フィニッシュ位置、JT1 第1ジョイント、JT2 第2ジョイント、SP スイングプレーン。
【要約】
【課題】 理想的なスイングプレーンを移動するゴルフクラブの位置および姿勢を練習者に体感させる。
【解決手段】 ゴルフスイング矯正装置1は、ゴルフクラブCを第1軸AX1回りに回転自在に保持するクランプ10と、クランプ10を下端部に固定した第1アームAR1と、第1アームAR1を第2軸AX2および第3軸AX3回りに回転自在に支持する第1ジョイントJT1と、第1ジョイントJT1を下端部に固定した第2アームAR2と、第2アームAR2の上端部を第2支点にして主軸AX0回りに第2アームAR2を回転自在に支持する第2ジョイントJT2と、第2アームAR2の回転範囲を規制する第1モータ52と、第1アームAR1の転範囲を規制する第2モータ62と、第1アームAR1の回転範囲を規制する第3モータ42と、を備える。
【選択図】
図4