(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/11 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
G01N29/11
(21)【出願番号】P 2022131323
(22)【出願日】2022-08-19
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】202111505537.X
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516333551
【氏名又は名称】東莞理工学院
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 偉偉
(72)【発明者】
【氏名】成 梦菲
(72)【発明者】
【氏名】武 静
(72)【発明者】
【氏名】馬 宏偉
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112697881(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112505155(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111781276(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111781275(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111537607(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110274956(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108680643(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104792865(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104777222(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104155368(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N29/00-29/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システムによる検出方法であって、以下のステップを含み、
ステップS1は、目標信号を確定するステップであり、目標信号を、ハニング窓によって変調された単周波数信号s(t)とし、円周波数をωとし、
ステップS2は、第一カオス解析システムを構築して第一カオス解析システム閾値Fc1を確定し、
ステップS21は、Duffing方程式で第一カオス解析システムを下記式のように構築し、
ただし、ωは、第一外部駆動力の円周波数を表し、cは、第一減衰定数を表し、且つ定数であり、xは、カオス
解析システムの変位変数を表し、Fは、外部駆動力の振幅を表し、tは、カオス
解析システムの進化時間を表し、
ステップS22は、第一パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、周期状態からカオス
解析状態に遷移する第一カオス
解析システムのカオス
解析閾値Fc1を得て、第一カオス
解析システム閾値Fc1、第一減衰定数c、第一外部駆動力の円周波数ωといったパラメータによって確定されたシステムを第一カオス
解析システムとして設定し、
ステップS3は、第一カオス解析システムのパラメータを利用して第一カオス解析検出システムを確立して目標信号の振幅を識別するステップであり、目標信号を式(2)の右側の外部駆動力項に重畳して第一カオス
解析検出システムを確立し、Duffingカオス
解析システムに対する目標信号の相変化特性を利用して、目標信号の振幅の識別を実現し、
ステップS4は、信号を重畳した時の位相差による第一カオス
解析検出システムの識別信号の振幅への影響を確定し、
ステップS41は、ステップS1における目標信号と、ステップS2における式(2)の右側の外部駆動力との間に位相差φがあるとし、φ≦0の場合、
ステップS3における第一カオス検出システムが、下記式のようになり、
ただし、ω
1 は、目標信号の円周波数を表し、且つω1=2πfであり、fは、目標信号の周波数を表し、nは、目標信号の谷の数を表し、kは整数であり、Aは、目標信号の振幅を表し、Δtは、目標信号の長さを表し、且つΔt=2πn/ωであり、
ステップS42は、位相の影響を考慮すると、第一カオス
解析システムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
φ=0の際、第一カオス
解析システムの閾値減少量ΔFc1 が最大値を取り、目標信号の振幅Aとなり、
ステップS5は、第二パラメータ条件の下で、第二カオス
解析システムを構築して第二カオス
解析検出システムを確立し、第一カオス
解析検出システムと共同で目標信号の検出及び測位を行わせ、
長距離の管路の欠陥の定量検出に適用され、以下のステップを更に含み、
ステップS6は、管路の欠陥の定量検出を行うステップであり、超音波ガイド波の伝搬速度及び構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定し、
ステップS61は、超音波ガイド波の伝搬速度がcであることが既知の場合、ステップS5により目標信号の真のピークの発生時刻td、即ち欠陥エコーの発生時刻を求め、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離Lxを下記式のように計算し、
ステップS62は、構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に従って、反射係数Rを下記式のように得て、
ただし、βは、構造の断面損失率を表し、
ステップS63は、反射係数Rが、下記式のように欠陥エコーの振幅A
d=Aと入射波の振幅A
0との比となり、
ただし、Kは、減衰補正係数を表し、0<K<1であり、
ステップS64は、式(15)及び式(16)により、構造の断面損失率βを下記式のように得て、
ステップS65は、構造の断面損失率β、及び、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離LXに基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定する、
ことを特徴とする弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス
解析システム検出方法。
【請求項2】
前記ステップS5は、具体的に、以下のステップを含み、
ステップS51は、前記第一カオス
解析システムの外部駆動力に初期位相φ
1(φ
1>0)を追加して、位相補償を行うと、式(7)が、下記式のようになり、
ステップS52は、初期位相φ
1の各々の値に対して、目標信号を重畳し、もしシステムがカオス
解析状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻し、駆動力の振幅の減少量を第一カオス
解析システムの閾値減少量ΔFと記し、もしシステムが周期状態のままの場合、ΔF=0と記して、ΔF-φ
1曲線を描き、|φ-φ
1|=2kπ の際、第一カオス
解析システムの閾値減少量ΔFが極大値を取り、(ΔF)max=Aとなり、このときの初期位相φ
1を(φ
1)
max と記し、
ステップS53は、第二カオス
解析システムを構築するステップであり、第二パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、当該システムが周期状態からカオス
解析状態に遷移する第二カオス
解析システム閾値F
c2を得て、第二カオス
解析システム閾値F
c2、第二減衰c2、
c2は、第二減衰定数を表し、且つ定数であり、第二外部駆動力の円周波数ω
2といったパラメータによって確定されたシステムを第二カオス
解析システムとして設定し、
ステップS54は、第二カオス
解析検出システムの数学モデルを下記式のように確立し、
ただし、φ
2は、第二カオス
解析検出システムの第二外部駆動力の補償初期位相を表し、
ステップS55は、第二カオス
解析検出システムの第二外部駆動力の初期位相φ
2を変換して、目標信号を重畳し、もしシステムがカオス
解析状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻し、駆動力の振幅の減少量を第二カオス
解析システムの閾値減少量ΔFと記し、もしシステムが周期状態のままの場合、ΔF=0と記して、ΔF-φ
2曲線を描き、第二カオス
解析システムの閾値減少量ΔFが極大値を取る時のφ
2を(φ
2)
maxと記し、
ステップS56は、目標信号のピークの発生時刻t
xが、下記式のようになり、
ただし、Tは、検出対象信号の長さを表し、
検出対象信号の開始時間t0を重畳して、目標信号の真のピークの発生時刻tdを下記式のように得て、
目標信号の検出及び測位が完了する、ことを特徴とする請求項1に記載の弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス
解析システム検出方法。
【請求項3】
前記ステップS3は、具体的に、以下のステップを含み、
ステップS31は、目標信号をDuffing方程式の右側の外部駆動力に重畳すると、第一カオス
解析検出システムが、下記式のようになり、
ステップS32は、目標信号が重畳された部分を着目すると、下記式のようになり、
ステップS33は、式(4)においてnが20以下の場合、下記式のようになり、
ステップS34は、Duffing方程式が周期状態からカオス
解析状態に遷移する臨界状態にある時に、ガイド波信号を重畳して、システムがカオス
解析状態となり、式(5)におけるF
c1の値を減少させることで、再び周期状態に入らせると、第一カオス
解析システムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
式(6)を利用して、目標信号の振幅の識別が実現される、ことを特徴とする請求項1に記載の弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス
解析システム検出方法。
【請求項4】
前記ステップS1において、前記目標信号s(t)は、
といった関数関係を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス
解析システム検出方法。
【請求項5】
前記ステップS2において、第一パラメータ条件は、第一カオス
解析システムの第一減衰c=c1であり、且つ第一カオス
解析システムの第一外部駆動力の円周波数ωと目標信号の円周波数ω
1と一致し、即ちω=ω
1であることとされ、前記ステップS53において、前記第二パラメータ条件は、第二カオス
解析システムの第二減衰と第一カオス
解析システムの第一減衰とが同じであり、即ちc2=c=c1であり、且つ第二カオス
解析システムの第二外部駆動力の円周波数ω
2が、
といった関係を満たすこととされる、ことを特徴とする請求項1に記載の弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス
解析システム検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波ガイド波の非破壊検出方法の分野に関し、特に、弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイド波は、伝搬距離が長く、管路の表面及び内部の欠陥を同時に検出できる等の利点を有するため、地中埋設管路、ラッピング層付き管路の検出において独自の優位性があるとされているが、小さな欠陥や距離の遠い欠陥の検出の場合、試験で得られた欠陥エコーは、極めて微弱になることが多く、ひいては、完全にノイズ信号に埋もれられてしまう。
【0003】
この困難を克服するために、研究者は、カオス解析システムの鋭敏性を利用して小さな欠陥を強化して検出を行うようにした。しかしながら、カオス解析検出システムを利用した信号識別は、検出対象信号に欠陥エコーが含まれているかのみを判定でき、欠陥エコーの出現時刻及び大きさを判定できず、本分野内で克服されにくい難題となっており、カオス解析検出方法は、超音波ガイド波信号検出での応用が非常に限られている。
【0004】
中国特許出願であるCN103323529Aには、改良されたダフィングカオス解析システムを利用して斜めひび割れ付き管路の超音波ガイド波を識別する方法が開示されており、当該発明には、1)管路の一方側の端面で超音波ガイド波信号を励起させて、超音波ガイド波を管路の全位置に行き渡させるステップと、2)励起端付近の受信端で超音波ガイド波エコー信号を受信し、管路内を伝搬した超音波ガイド波の時間履歴曲線を記録するステップであって、超音波ガイド波エコー信号には、端面エコー信号と、ノイズ信号と、ノイズに埋もれられた斜めひび割れ欠陥信号とが含まれるステップと、3)改良されたダフィングカオス解析システムを利用して超音波ガイド波エコー信号を検出及び分析し、ノイズに埋もれられた斜めひび割れ欠陥情報を抽出及び識別して、管路全体の斜めひび割れ欠陥状況を得るステップがある。この方法では、弱い欠陥エコー信号を検出できるが、信号の振幅及び発生時刻を測位できないため、欠陥の定量分析を実現できない。
【0005】
中国特許出願であるCN105954358Bには、TRとダフィング(Duffing)システムとを組み合わせた超音波ガイド波による小さな欠陥の測位及び検出方法が開示されており、当該発明は、1)管路の一方の端面で超音波ガイド波信号を励起させて、超音波ガイド波を管路の全位置に行き渡させるステップと、2)励起端付近の他方の端面で超音波ガイド波エコー信号を受信し、管路内を伝搬した超音波ガイド波の時間履歴曲線を記録するステップと、3)改良されたダフィングカオス解析システムを利用して、超音波ガイド波エコー信号を検出及び分析し、ノイズに埋もれられた小さな欠陥情報を抽出及び識別するステップと、4)得られた小さな欠陥情報付きの信号を時間反転させてから再励起させるステップと、5)反転信号を受信するステップととされる。この方法において、カオス解析検出システムは、検出信号に欠陥信号が含まれているかを判定して、時間反転検出を行う必要があるかを決定するための補助手段である。
【0006】
そこで、欠陥エコー信号の検出、定量化及び測位技術を同時に実現するために、弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法を模索して、当分野で欠陥信号を定量分析できない難題を解決することは、極めて切実かつ必要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記先行技術における欠陥に対して、弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法を提案する。当該方法は、目標信号を確定することと、第一カオス解析システムを構築して第一カオス解析システム閾値を確定することと、第一カオス解析検出システムを確立して目標信号の振幅を識別することと、位相の影響を考慮した際の第一カオス解析システムの閾値減少量を確定することと、第二カオス解析システムを構築して第二カオス解析検出システムを確立し、目標信号の検出及び測位を行うこととを含み、管路の欠陥の位置及び大きさが確定されるように管路の欠陥の定量検出を行う。本発明は、デュアルカオス解析検出システムを利用して、位相差補償により欠陥エコー目標信号の発生時刻を迅速かつ正確に検出し、求解リソースを節約し、分析効率を向上させたとともに、小さな欠陥又は遠距離の検出に方向性を与えた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、弱い超音波ガイド波信号のデュアル
カオス解析システム検出方法であって、以下のステップを含み、
ステップS1は、目標信号を確定することであり、目標信号を、変調された単周波数信号s(t)とし、
ステップS2は、第一
カオス解析システムを構築して第一
カオス解析システム閾値F
c1を確定し、
ステップS21は、Duffing方程式で第一
カオス解析システムを下記式のように構築し、
ただし、ωは、第一外部駆動力の円周波数を表し、cは、第一減衰を表し、且つ定数であり、xは、カオスシステムの変位変数を表し、Fは、外部駆動力の振幅を表し、tは、カオスシステムの進化時間を表し、
ステップS22は、第一パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、周期状態からカオス状態に遷移する第一カオスシステム閾値F
c1を得て、第一カオスシステム閾値F
c1、第一減衰c、第一外部駆動力の円周波数ωといったパラメータによって確定されたシステムを第一カオスシステムとして設定し、
ステップS3は、第一
カオス解析検出システムを確立して目標信号の振幅を識別するステップであり、目標信号を式(2)の右側の外部駆動力項に重畳して第一
カオス解析検出システムを確立し、目標信号を重畳した部分により、目標信号の振幅の識別を実現し、
ステップS4は、位相の影響を考慮した時の第一
カオス解析システムの閾値減少量を確定し、
ステップS41は、ステップS1における目標信号と、ステップS2における式(2)の右側の外部駆動力との間に位相差φがあるとし、φ≦0の場合、ステップS3における第一カオス検出システムが、下記式のようになり、
ただし、ω
1は、目標信号の円周波数を表し、且つω
1=2πfであり、fは、目標信号の周波数を表し、nは、目標信号の谷の数を表し、kは整数であり、Aは、目標信号の振幅を表し、Δtは、目標信号の長さを表し、且つΔt=2πn/ωであり、
ステップS42は、位相の影響を考慮すると、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
φ=0の際、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが最大値を取り、目標信号の振幅Aとなり、
ステップS5は、第二
カオス解析システムを構築して第二
カオス解析検出システムを確立し、第一
カオス解析検出システムと共同で目標信号の測位を行わせ、
ステップS51は、前記第一カオスシステムの外部駆動力に初期位相φ
1(φ
1>0)を追加して、位相補償を行うと、式(7)が、下記式のようになり、
がカオス状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻
ステップS53は、第二カオスシステムを構築するステップであり、第二パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、当該システムが周期状態からカオス状態に遷移する第二カオスシステム閾値F
c2を得て、第二カオスシステム閾値F
c2、第二減衰c2、第二外部駆動力の円周波数ω
2といったパラメータによって確定されたシステムを第二カオスシステムとして設定し、
ステップS54、第二
カオス解析検出システムの数学モデルを下記式のように確立し、
ただし、φ
2は、第二カオス検出システムの第二外部駆動力の補償初期位相を表し、
ステップS55は、第二カオス検出システムの第二外部駆動力の初期位相φ
2を変換して、目標信号を重畳し、もしシステムがカオス状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻し、駆動力の振幅の減少量を第二カオスシステムの閾値減少量ΔFと記し、もしシステムが周期状態のままの場合、ΔF=0と記して、ΔF-φ
2曲線を描き、第二カオスシステムの閾値減少量ΔFが極大値を取る時のφ
2を(φ
2)
maxと記し、
ステップS56は、目標信号のピークの発生時刻t
xが、下記式のようになり、
ただし、Tは、検出対象信号の長さを表し、
検出対象信号の開始時間t0を重畳して、目標信号の真のピークの発生時刻tdを下記式のように得て、
目標信号の検出及び測位が完了する、弱い超音波ガイド波信号のデュアル
カオス解析システム検出方法を提供する。
【0009】
さらに、前記ステップS3は、具体的に、以下のステップを含み、
ステップS31は、目標信号をDuffing方程式の右側の外部駆動力に重畳すると、第一
カオス解析検出システムが、下記式のようになり、
ステップS32は、目標信号が重畳された部分を着目すると、下記式のようになり、
ステップS33は、式(4)においてnが20以下の場合、限定条件が満たされ、このとき、後の2項が無視可能で、下記式のようになり、
ステップS34は、Duffing方程式が周期状態からカオス状態に遷移する臨界状態にある時に、ガイド波信号を重畳して、システムがカオス状態となり、式(5)におけるF
c1の値を減少させることで、再び周期状態に入らせると、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
式(6)を利用して、目標信号の振幅の識別が実現される。
【0010】
好ましくは、前記ステップS1において、前記目標信号s(t)は、
といった関数関係を満たす。
【0011】
好ましくは、前記ステップS2において、前記第一パラメータ条件は、第一カオスシステムの第一減衰c=c1であり、且つ第一カオスシステムの第一外部駆動力の円周波数ωと目標信号の円周波数ω
1とが一致し、即ちω=ω
1であることとされ、前記ステップS53において、前記第二パラメータ条件は、第二カオスシステムの第二減衰と第一カオスシステムの第一減衰とが同じであり、即ちc2=c=c1であり、且つ第二カオスシステムの第二外部駆動力の円周波数ω
2が
といった関係を満たすこととされる。
【0012】
本発明の1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、管路の欠陥の定量検出に適用可能である。当該方法は、以下のステップを更に含み、
ステップS6は、管路の欠陥の定量検出を行うステップであり、超音波ガイド波の伝搬速度及び構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定し、
ステップS61は、超音波ガイド波の伝搬速度がcであることが既知の場合、ステップS5により目標信号の真のピークの発生時刻t
d、即ち欠陥エコーの発生時刻を求め、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離L
xを下記式のように計算し、
ステップS62は、構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に従って、反射係数Rを下記式のように得て、
ただし、βは、構造の断面損失率を表し、
ステップS63は、反射係数Rが、下記式のように欠陥エコーの振幅A
d=Aと入射波の振幅A
0との比になり、
ただし、Kは、減衰補正係数を表し、0<K<1であり、
ステップS64は、式(15)及び式(16)により、構造の断面損失率βを下記式のように得て、
ステップS65は、構造の断面損失率β、及び、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離L
xに基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定する。
【発明の効果】
【0013】
先行技術に比べて、本発明の技術的効果は、以下の通りである。
【0014】
1、本発明が提案した弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法は、周期状態からカオス状態に遷移するDuffing方程式の臨界状態をカオス解析検出システムとして、目標信号を駆動力項に重畳して、システムがカオス解析状態に遷移し、更に駆動力の振幅を調整することで、システムを周期状態に戻すようにして、駆動力の振幅調整量により目標信号の振幅を確定し、カオス解析システムを利用した弱い信号の振幅の検出を実現し、目標信号の大きさの評価に根拠を与えている。
【0015】
2、本発明が提案した弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオスシステム検出方法は、駆動力の周波数が異なるものの、一定の関係を満たすDuffingカオスシステムを2つ構築し、デュアルカオスシステムの構築用の駆動力項に対して初期位相の補償を行うとともに、弱い信号の検出を行い、両システムのΔF-φi(i=1,2)曲線をそれぞれ描き、欠陥の位置が確定されるよう、2本の曲線のピーク値に対応する位相差により目標信号の発生時刻を確定するようにして、デュアルカオス検出システムを利用して、位相差により目標信号の発生時刻を迅速かつ正確に検出し、求解リソースを節約し、分析効率を向上させたとともに、提案したΔF-φi(i=1,2)曲線による信号の振幅及び発生時刻の分析は、直観的かつ速くて便利である利点を持っている。
【0016】
3、本発明が提案した弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオス解析システム検出方法は、管路の欠陥の定量検出において、小さな欠陥に起因した欠陥エコーが微弱なもので、それに、超音波ガイド波信号も長距離の伝搬を経ているため、欠陥エコーが極めて微弱になるにも関わらず、当該方法は、正確に識別でき、従来の方法よりも遥かに優れており、超音波ガイド波による管路の小さな欠陥の検出又は遠距離の検出の効率を向上させ、超音波ガイド波の検出効率の向上に重要な意義を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面を参照してなされた非限定的な実施例に対する以下の詳細な説明を読むことにより、本願の他の特徴、目的及び利点は、より明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、本発明に係る弱い超音波ガイド波信号のデュアル
カオス解析システム検出方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の識別対象となる目標信号図である。
【
図3】
図3は、本発明の超音波ガイド波による管路の欠陥の検出の原理図である。
【
図4a】
図4aは、本発明に係る1つの具体的な実施例の実験設備の構成図である。
【
図4b】
図4bは、本発明に係る1つの具体的な実施例の実験原理図である。
【
図5a】
図5aは、本発明に係る1つの具体的な実施例の無傷な管路の超音波ガイド波試験信号図である。
【
図5b】
図5bは、本発明に係る1つの具体的な実施例の損傷した管路の超音波ガイド波試験信号図である。
【
図6a】
図6aは、本発明のButterworthバンドパスフィルタによるフィルタリング後の無傷な管路の信号効果図である。
【
図6b】
図6bは、本発明のButterworthバンドパスフィルタによるフィルタリング後の損傷した管路の信号効果図である。
【
図7a】
図7aは、本発明の無傷な管路の第一
カオス解析検出システムによる識別結果図である。
【
図7b】
図7bは、本発明の無傷な管路の第二
カオス解析検出システムによる識別結果図である。
【
図8a】
図8aは、本発明の損傷した管路の第一
カオス解析検出システムによる識別結果図である。
【
図8b】
図8bは、本発明の損傷した管路の第二
カオス解析検出システムによる識別結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例を元に、本願を更に詳しく説明する。理解できることに、ここで説明される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、当該発明を限定するものではない。更に、説明の便宜上、図面には、関連発明に関係する部分のみが示されていることを留意されたい。
【0019】
説明すべきなのは、矛盾しない限り、本願における実施例及実施例における特徴は、互いに組み合せられてもよい。以下、図面を参照して実施例を元に本願を詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る弱い超音波ガイド波信号のデュアル
カオス解析システム検出方法を示しており、当該方法は、以下のステップを含む。
ステップS1は、目標信号を確定するステップであり、目標信号を、ハニング(Hanning)窓によって変調された単周波数信号s(t)とし、当該単周波数信号s(t)は、以下の関数関係を満たし、
ただし、ω
1は、目標信号の円周波数を表し、且つω
1=2πfであり、fは、目標信号の周波数を表し、nは、目標信号の谷の数を表し、Aは、目標信号の振幅を表し、Δtは、目標信号の長さを表し、且つΔt=2πn/ωである。
【0021】
1つの具体的な実施例において、周波数fがf=70kHzとなるように選択され、カオスシステムによる求解に合わせるために、70kHz=0.07(1/μs)、
目標信号の形状は、
図2に示すようになる。
【0022】
ステップS2は、第一カオス解析システムを構築して第一カオス解析システム閾値Fc1を確定する。
【0023】
ステップS21は、Duffing方程式で第一
カオス解析システムを下記式のように構築し、
ただし、ωは、第一外部駆動力の円周波数を表し、cは、第一減衰を表し、且つ定数であり、xは、カオスシステムの変位変数を表し、Fは、外部駆動力の振幅を表し、tは、カオスシステムの進化時間を表す。
【0024】
ステップS22は、第一パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、当該システムが周期状態からカオス状態に遷移する第一カオスシステム閾値Fc1を得て、第一カオスシステム閾値Fc1、第一減衰c、第一外部駆動力の円周波数ωといったパラメータによって確定されたシステムを第一カオスシステムとして設定し、第一パラメータ条件は、第一カオスシステムの第一減衰c=c1であり、且つ第一カオスシステムの第一外部駆動力の円周波数ωと目標信号の円周波数ω1とが一致し、即ちω=ω1であることとされる。
【0025】
1つの具体的な実施例において、第一減衰c=0.4であるとし、当該システムが周期状態からカオス状態に遷移する臨界値としてFc1=0.45781が得られ、Fc1=0.45781、c=0.4、ω=ω1といったパラメータによって確定されたシステムを第一カオスシステムとして設定する。
【0026】
ステップS3は、第一カオス解析検出システムを確立して目標信号の振幅を識別するステップであり、目標信号を式(2)の右側の外部駆動力に重畳して第一カオス解析検出システムを確立し、目標信号を重畳した部分により、目標信号の振幅の識別が実現される。
【0027】
ステップS31は、目標信号をDuffing方程式の右側の外部駆動力に重畳すると、第一
カオス解析検出システムが、下記式のようになる。
【0028】
ステップS32は、目標信号が重畳された部分を着目すると、下記式のようになる。
【0029】
ステップS33は、式(4)においてnが20以下の場合、最後の2項が示す信号の周波数と、駆動力の周波数との差が大きいため、もし検出対象信号の周波数とDuffing方程式の駆動力の周波数との差が3%以上となれば、検出対象信号によってDuffing方程式の解の変化が引き起こされないという限定条件が満たされる。このとき、後の2項が無視可能で、下記式のようになる。
【0030】
ステップS34は、Duffing方程式が周期状態からカオス状態に遷移する臨界状態にある時に、ガイド波信号を重畳して、システムがカオス状態となり、式(5)におけるF
c1の値を減少させることで、再び周期状態に入らせると、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
式(6)を利用して、目標信号の振幅の識別が実現される。
【0031】
ステップS4は、位相の影響を考慮した時の第一カオス解析システムの閾値減少量を確定する。
【0032】
ステップS41は、ステップS1における目標信号と、ステップS2における式(2)の右側の外部駆動力項の間に位相差φがあるとし、φ≦0の場合、ステップS3における第一カオス検出システムが、下記式のようになり、
ただし、kは整数であり、φは、目標信号の発生時刻に関係する。
【0033】
ステップS42は、位相の影響を考慮すると、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが、下記式のようになり、
φ=0の際、第一カオスシステムの閾値減少量ΔFが最大値を取り、目標信号の振幅Aとなる。
【0034】
ステップS5は、第二カオス解析システムを構築して第二カオス解析検出システムを確立し、第一カオス解析検出システムと共同で目標信号の測位を行わせる。
【0035】
ステップS51は、第一カオスシステムの外部駆動力に初期位相φ
1(φ
1>0)を追加して、位相補償を行うと、式(7)が、下記式のようになる。
【0036】
ステップS52は、初期位相φ
1の各々の値に対して、目標信号を重畳し、もしシステムがカオス状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻し、駆動力の振幅の減少量を第一カオスシステムの閾値減少量ΔFと記し、もしシステムが周期
【0037】
ステップS53は、第二カオスシステムを構築するステップであり、第二パラメータ条件の下で、外部駆動力の振幅Fを変換して、当該システムが周期状態からカオス状態に遷移する第二カオスシステム閾値F
c2を得て、第二カオスシステム閾値F
c2、第二減衰c2、第二外部駆動力の円周波数ω
2といったパラメータによって確定されたシステムを第二カオスシステムとして設定し、ステップS53において、第二パラメータ条件は、第二カオスシステムの第二減衰と第一カオスシステムの第一減衰とが同じであり、即ちc2=c=c1であり、且つ第二カオスシステムの第二外部駆動力の円周波数ω
2が以下の関係を満たすこととされ、
ただし、Tは、検出対象信号の長さを表す。
【0038】
1つの具体的な実施例において、第二減衰c2=0.4であり、当該システムが周期状態からカオス状態に遷移する臨界値としてFc2=0.45609が得られ、Fc2=0.45609、c2=0.4、ω2=ω1-π/Tといったパラメータによって確定されたシステムを第二カオスシステムとして設定する。
【0039】
ステップS54は、第二
カオス解析検出システムの数学モデルを下記式のように確立し、
ただし、φ
2は、第二カオス検出システムの第二外部駆動力の補償初期位相を表す。
【0040】
ステップS55は、第二カオス検出システムの第二外部駆動力の初期位相φ2を変換して、目標信号を重畳し、もしシステムがカオス状態に入った場合、駆動力の振幅を減少させて、システムを再び周期状態に戻し、駆動力の振幅の減少量を第二カオスシステムの閾値減少量ΔFと記し、もしシステムが周期状態のままの場合、ΔF=0と記して、ΔF-φ2曲線を描き、第二カオスシステムの閾値減少量ΔFが極大値を取る時のφ2を(φ2)maxと記す。
【0041】
ステップS56は、目標信号のピークの発生時刻t
xが、下記式のようになり、
検出対象信号の開始時間t
0を重畳して、目標信号の真のピークの発生時刻t
dを下記式のように得て、
目標信号の検出及び測位が完了する。
【0042】
ステップS6は、管路の欠陥の定量検出を行うステップであり、超音波ガイド波の伝搬速度及び構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定し、超音波ガイド波による管路の欠陥の検出の原理図は、
図3に示すようになる。
【0043】
ステップS61は、超音波ガイド波の伝搬速度がcであることが既知の場合、ステップS5により目標信号の真のピークの発生時刻t
d、即ち欠陥エコーの発生時刻を求め、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離L
xを下記式のように計算する。
【0044】
欠陥エコーの反射係数が欠陥の大きさに正比例するため、第一カオス解析検出システムを利用して欠陥エコーの振幅が識別されると、反射係数の求解に使用可能になるため、欠陥の大きさが得られる。
【0045】
ステップS62は、構造における垂直入射超音波ガイド波の反射法則に従って、反射係数Rを下記式のように得て、
ただし、βは、構造の断面損失率を表す。
【0046】
ステップS63は、反射係数Rが、下記式のように欠陥エコーの振幅A
d=Aと入射波の振幅A
0との比となり、
ただし、Kは、減衰補正係数を表し、0<K<1である。
【0047】
ステップS64は、式(15)及び式(16)により、構造の断面損失率βを下記式のように得る。
【0048】
ステップS65は、構造の断面損失率β、及び、欠陥から信号の励起即ち受信位置までの距離Lxに基づいて、管路の欠陥の位置及び大きさを確定する。
【0049】
本方法の有効性を検証するために、長さ5mの継ぎ目のない鋼管に対して実験研究を行った。使用した設備としては、
図4aに示すように、主に任意の信号発生器、低周波増幅器及びオシロスコープが含まれ、圧電トランスデューサを用いて超音波ガイド波信号が励起及び収集される。試験システムは、
図4bに示すように築かれ、励起信号として、n=10で中心周波数が70kHzのハニング窓変調信号が使用される。
【0050】
表1に示す3種類の作業条件を用意し、作業条件1は、無傷な管路とされ、次に励起端から3m離れた箇所で切断機を用いてひび割れを加工して欠陥をシミュレートし、それぞれ断面を3.2%及び6.4%減少させて、作業条件2及び作業条件3とする。
【0051】
【0052】
図5a及び5bは、それぞれ無傷な管路及び断面損失3.2%の場合の試験信号を示しており、損傷した管路の試験信号についても、無傷な管路と比較して、欠陥エコーが明確に見られないことが分かる。
図5a及び5bでは、左側が入射波IW、右側が端面エコーRW、中間部分が検出対象信号Csとなる。
【0053】
従来の検出方法では、フィルタリングによってノイズの影響を低減することで、欠陥エコー情報を得ることが可能である。本方法では、
図4における試験信号に対してButterworthバンドパスフィルタを用いてフィルタリングを行い、その中心周波数が70kHz、低域カットオフ周波数が60kHz、高域カットオフ周波数が80kHzとされる。フィルタリング後の無傷な管路及び断面損失3.2%の場合の効果は、それぞれ
図6a及び6bに示すようになる。
図6a及び6bにおける図示では、上の線が元の信号A、下の線がフィルタリングされた信号Bである。
【0054】
明らかなことに、フィルタリングされた後でも、損傷したものとされる作業条件では、欠陥エコーが観察され難くなっており、これは主に、小さな欠陥に起因した欠陥エコーが微弱なもので、それに、超音波ガイド波信号も長距離の伝搬を経ているため、欠陥エコーが極めて微弱になってしまうからである。
【0055】
本発明に係るデュアルカオス解析検出システムを使用すれば、小さな欠陥エコー情報を効果的に識別することが可能となる。
【0056】
無傷な管路とされる作業条件での入射波と端面エコーとの間(0.65ms~1.65ms)の信号(
図5a参照)を検出対象信号として切り取ると、T=1msとなり、それには、欠陥エコーが含まれず、ノイズ信号しかないため、デュアルカオス検出システムを利用して当該信号を識別すると、第一カオス検出システム及び第二カオス検出システムの結果は、それぞれ
図7a及び7bに示すようになり、第一カオス検出システム及び第二カオス検出システムの何れでも、ΔFの値が非常に小さく、且つランダムに分布していることが分かり、これは、当該検出対象信号に欠陥エコー(目標信号)がないことを示している。
【0057】
同様に、損傷したものとされる作業条件で、(0.65ms~1.65ms)の間の信号(
図5b参照)を切り取り、デュアルカオス検出システムを利用して識別すると、第一カオス検出システム及び第二カオス検出システムの結果は、それぞれ
図8a及び8bに示すようになり、両方でも、ΔF -φ
i曲線上のピーク値が明確に見える。各々のカオス検出システムに複数のピーク値が見られるが、これは、識別結果と位相との間に周期性があることに関連しており、式(12)を利用して、(φ
1)
maxと(φ
2)
maxとが以下の関係を満たすように保証すればよい。
よって、2つの
カオス解析検出システムの各々において、最初のピーク値を選択すれば、要件を満たすことができる。
【0058】
図8aのピーク値により、欠陥エコーのピーク値として0.04mVが識別され、式(17)により、欠陥の大きさとして、断面損失3.45%、相対誤差7.81%が識別される。
【0059】
図8a及び8bを用いて欠陥の測位が行われ、波の速度は、入射波と端面エコーとの時間差、及びそれらの伝搬距離によって求めることが可能であり、
【0060】
信号の開始時刻は、t0=0.65msになるように切り取られる。
【0061】
【0062】
同じ方法で別の作業条件を識別すると、欠陥の大きさの識別結果としては、断面損失6.61%、相対誤差3.28%となり、欠陥の位置の識別結果は3.203mとなり、相対誤差が6.7%であり、識別精度は、需要を満たすことができる。
【0063】
本発明が設計した弱い超音波ガイド波信号のデュアルカオスシステム検出方法は、周期状態からカオス状態に遷移するDuffing方程式の臨界状態をカオス検出システムとして、目標信号を駆動力項に重畳して、システムがカオス状態に遷移し、更に駆動力の振幅を調整することで、システムを周期状態に戻すようにして、駆動力の振幅調整量により目標信号の振幅を確定し、カオスシステムを利用した弱い信号の振幅の検出を実現し、目標信号の大きさの評価に根拠を与えており、そして、駆動力の周波数が異なるものの、一定の関係を満たすDuffingカオスシステムを2つ構築し、デュアルカオスシステムの構築用の駆動力項に対して初期位相補償を行うとともに、弱い信号の検出を行い、両システムのΔF-φi(i=1,2)曲線をそれぞれ描き、欠陥の位置が確定されるよう、2本の曲線のピーク値に対応する位相差により目標信号の発生時刻を確定するようにして、デュアルカオス検出システムを利用して、目標信号の発生時刻を位相差により迅速かつ正確に検出し、求解リソースを節約し、分析効率を向上させたとともに、提案したΔF-φi(i=1,2)曲線による信号の振幅及び発生時刻の分析は、直観的かつ速くて便利である利点を持っており、また、管路の欠陥の定量検出において、小さな欠陥に起因した欠陥エコーが微弱なもので、それに、超音波ガイド波信号も長距離の伝搬を経ているため、欠陥エコーが極めて微弱になるにも関わらず、当該方法は、正確に識別でき、従来の方法よりも遥かに優れており、超音波ガイド波による管路の小さな欠陥の検出又は遠距離の検出の効率を向上させ、超音波ガイド波の検出効率の向上に重要な意義を持っている。
【0064】
最後に説明すべきなのは、以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではなく、上記実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、同業者であれば理解されるように、本発明は、依然として修正又は等価な置換が可能であり、本発明の精神及び範囲から逸脱しない全ての修正又は部分的置換は、本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。