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特許7309249搬送容器用受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】搬送容器用受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/14 20060101AFI20230710BHJP
   B29B 11/08 20060101ALI20230710BHJP
   B29C 69/02 20060101ALI20230710BHJP
   B29C 51/02 20060101ALI20230710BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20230710BHJP
   B65D 19/44 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B29B11/14
B29B11/08
B29C69/02
B29C51/02
B29C51/10
B65D19/44 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023095502
(22)【出願日】2023-06-09
【審査請求日】2023-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7215795(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0134633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0111238(US,A1)
【文献】特開2005-350140(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0019724(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/00-11/16
B29C 51/02
B65D 19/00-19/44
B65D 21/02-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状をなして互いに平行な第1の面及び第2の面を有するとともに熱可塑性樹脂の射出成形によって形成された矩形状の平板材からなり、
真空成形によって収納品受け部が形成される成形対象部と、
この成形対象部の両側に設けられた第1の結合部及び第2の結合部と、
前記第1の面と平行な平坦面を有し、前記第1の結合部の前記第1の面に設けられた突設部と、
前記第2の結合部に対し、前記成形対象部を挟んで、前記平坦面に設けられた長方形状の開口部と対称に設けられた係合爪と、を備え、
前記係合爪は、前記第2の結合部の座板から延設されるとともに前記第1の面側へ直角に曲折された平面部と、前記座板を平面視した場合に前記成形対象部から離れる方向へ突出するように前記平面部から延設されるとともに前記第2の面側へ鋭角に曲折された係合部と、を備えるとともに、前記平面部及び前記係合部は、両者のなす角度が小さくなるように弾性変形をさせることにより前記開口部内に配置可能な大きさになり、前記角度が大きくなるように前記弾性変形が回復することにより前記係合爪が前記開口部に係合可能な大きさになることを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
前記第2の面側へ突出するように、一定の肉厚を有する複数の突部が前記成形対象部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
前記第1の面側へ突出するように、一定の肉厚を有する当接部が前記成形対象部に設けられ、前記当接部は、前記第1の面と平行な当接面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項4】
前記係合部は先端の一部が切り欠かれることにより、前記平面部から延設された幅広部と、この幅広部に続く幅狭部が形成されており、
前記開口部は平面視した場合に前記長方形の長辺に相当する内壁面の一部が切り欠かれることにより、前記開口部内に前記係合爪が配置された場合に前記幅広部の端面に係止可能な係止部が前記成形対象部から遠い側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項5】
前記成形対象部を囲むとともに前記第2の面から突出するように設けられた境界部を備え、
前記第1の結合部及び前記第2の結合部は前記境界部の外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプリフォーム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載されたプリフォームを用いて搬送容器用受け部材を製造する方法であって、
前記プリフォームを前記射出成形によって形成する工程と、
前記真空成形によって前記プリフォームの前記成形対象部に前記収納品受け部を形成する工程と、を備えていることを特徴とする搬送容器用受け部材の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品や部品を支持するために搬送容器内に設置される受け部材の製造方法に係り、特に、搬送容器を構成する板材に対して着脱可能に取り付けられる搬送容器用受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の搬送や輸送に用いられる容器(以下、搬送容器という。)には、製品や部品が傷ついたり、破損したりすることを防ぐ目的で受け部材が設置されることが多い。この受け部材には、製品や部品を確実に支持できるように、製品や部品の形状に沿った三次元曲面が設けられる場合がある。しかしながら、このような受け部材は多品種少量生産となるため、それらを射出成形によって製造した場合、金型の作成に時間を要し、その製造コストが嵩んでしまうという課題があった。
【0003】
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1に「モータ受容トレー及び搬送セット」という名称で、車両走行用のモータの下部を受容する真空成形品のトレーに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示されたモータ受容トレーは、モータの自重を受ける支持膨出部が真空成形によってトレー本体と一体的に成形されており、搬送セットは、複数のモータ受容トレーが内部に設置された構造となっている。
このような構造のモータ受容トレーでは、支持膨出部がトレー本体に接着される従来のトレーよりも製造に係る手間が抑制されるというメリットがある。
【0004】
また、特許文献2には「製品の運搬容器」という名称で、製品を支持する受け部材を備えた運搬容器に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、熱可塑性シートの一部が真空成形により凸状に形成された成形部と、この成形部の両外側に切り残された耳部を備えた表皮部材と、この表皮部材の成形部に被せられるリブ板によって構成され、表皮部材の耳部がリブ板若しくは運搬容器に対して結合部材によって結合された構造となっている。
真空成形は金型が比較的安価なため、小ロットの製造に適するとともに、短時間で金型を作成することができる。したがって、特許文献2に開示された発明によれば、受け部材を射出成形で製造する場合よりも短時間で安価に製造することが可能である。
【0005】
さらに、特許文献3には「搬送容器の製造方法」という名称で、3次元形状の受け材を備え、部品点数が少なく、かつ、分別廃棄が容易な搬送容器を短納期で製造する方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、間隔をあけて上下方向に配置された一対の側壁に開口が設けられた台座ユニットを有するフレームと、台座ユニットの上に跨設され、一対の側壁の開口の上枠に爪部がそれぞれ嵌合する受け材を有する搬送容器の製造方法において、平板状をなすとともに立ち上がったリブが面内に格子状に設けられた矩形状の成形主部と、この成形主部を取り囲むように設けられたフランジ部と、成形主部の一対の辺の外側であってフランジ部から上下方向の下側に直角に曲がるようにそれぞれ設けられた一対の嵌合構造部と、この嵌合構造部にそれぞれ形成された爪部を有するプリフォームを射出成形によって形成する工程と、形状付けを行うために用意された成形型及びプラグにより成形主部を挟み込んで成形主部に対して真空成形を行う工程と、真空成形されたプリフォームを受け材として台座ユニットに搭載する工程を備えていることを特徴としている。
このような搬送容器の製造方法によれば、受け材がプリフォームの接合形状部と横梁によって台座ユニットに取り付けられるため、搬送容器を形成する部品点数が削減される。これにより、分別廃棄も容易になる。また、真空成形によって成形主部が上下に引き伸ばされるようにして受け材が形成される際に、リブから樹脂材料が周囲に供給されることによって成形主部が極端に薄くなることが防止されるため、受け材の強度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-179883号公報
【文献】特許第7007006号公報
【文献】特許第7215795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたモータ受容トレーでは、真空成形によって支持膨出部が形成される際に、その肉厚が薄くなって強度が低下してしまうおそれがある。また、当該モータ受容トレーでは、支持膨出部がトレー本体と一体的に成形される構造であるため、支持膨出部の位置を変更することができず、汎用性が低いという課題があった。
特許文献2に開示された発明では、真空成形により形成された表皮部材の肉厚が薄くなり、成形部の強度が低下するおそれがあるという課題があった。また、当該発明は、運搬容器に設置された固定金具にボルトとナットを用いて固定される構造であるため、運搬容器に設置する作業及び運搬容器から撤去する作業に時間を要するという課題があった。
特許文献3に開示された発明では、受け材の表面にリブの縦線及び横線の跡が残るため、受け材の肉厚が不均一になるという課題があった。また、当該発明によって製造される受け材は、搬送容器の横梁に取り付けられる構造であり、搬送容器を構成する板材には取り付けられないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、製品や部品を支持する部分の強度が低下し難く、搬送容器を構成する板材に対して容易に取り付けることが可能な受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係るプリフォームは、平面視矩形状をなして互いに平行な第1の面及び第2の面を有するとともに熱可塑性樹脂の射出成形によって形成された平板材からなり、真空成形によって収納品受け部が形成される成形対象部と、この成形対象部の両側に設けられた第1の結合部及び第2の結合部と、第1の面と平行な平坦面を有し、第1の結合部の第1の面に設けられた突設部と、第2の結合部に対し、成形対象部を挟んで、平坦面に設けられた長方形状の開口部と対称に設けられた係合爪と、を備え、係合爪は、第2の結合部の座板から延設されるとともに第1の面側へ直角に曲折された平面部と、座板を平面視した場合に成形対象部から離れる方向へ突出するように平面部から延設されるとともに第2の面側へ鋭角に曲折された係合部と、を備えるとともに、平面部及び係合部は、両者のなす角度が小さくなるように弾性変形をさせることにより開口部内に配置可能な大きさになり、上記角度が大きくなるように弾性変形が回復することにより係合爪が開口部に係合可能な大きさになることを特徴とする。
【0010】
なお、第1の発明における「平面視矩形状の平板材」及び「平坦面に設けられた長方形状の開口部」には「平面視略矩形状の平板材」及び「平坦面に設けられた略長方形状の開口部」が含まれるとともに、「第1の面側へ直角に曲折された平面部」には「第1の面側へ略直角に曲折された平面部」が含まれるものとする。
そして、第1の発明において「平面部及び係合部が開口部内に配置可能な大きさになる」とは、同一のプリフォームに設けられた平面部及び係合部が開口部内に配置されるという意味ではなく、例えば、第1の発明に係るプリフォームを用いて製造される受け部材と、第1の発明に係る別のプリフォームを結合させる際に、一方の「平面部及び係合部」が他方の「開口部」内に配置可能な状態になり得ることを意味している。また、第1の発明において「係合爪が開口部に係合可能な大きさになる」とは、同一のプリフォームに設けられた「係合爪」が「開口部」に係合するという意味ではなく、上述の場合と同様に、第1の発明に係るプリフォームを用いて製造される受け部材と、第1の発明に係る別のプリフォームを結合させる際に、一方の「係合爪」が他方の「開口部」に対して係合可能な状態になり得ることを意味している。
すなわち、これらの記載は、第1の発明に係るプリフォームを用いて製造される受け部材と、第1の発明に係る別のプリフォームが第1の面同士を向い合わせるようにして配置された状態において、一方の「平面部及び係合部」が他方の「開口部」内に配置可能であって、かつ、一方の「係合爪」が他方の「開口部」に係合可能な構造であることを意味している。
【0011】
このように、上述の受け部材とプリフォームは、一方の係合爪を他方の開口部に係合させることで互いに分離不可能な状態になる。そのため、ある板材がプリフォームの突設部と係合爪を内部に配置可能な貫通孔を有している場合には、この板材を間に挟むようにして、上述の受け部材とプリフォームを配置するとともに、板材の貫通孔を通して一方の突設部の開口部に他方の係合爪を係合させることで、上述の受け部材とプリフォームが板材の両面にそれぞれ固定される。
ただし、第1の発明では、開口部と係合爪が成形対象部を挟んで対称に設けられていることから、一方の係合爪が他方の突設部の開口部に係合している場合、他方の係合爪も同時に一方の開口部に係合した状態となる。したがって、上記構造のプリフォームにおいては、それと同じ構造の別のプリフォームから製造された受け部材と組み合わせることにより、搬送容器に用いられている板材に対して容易に取り付けることができる。
また、当該板材に受け部材とプリフォームが固定された状態において、平面部と係合部のなす角度が小さくなるように係合爪を弾性変形させると、係合爪と突設部の開口部の係合状態が解消して、上述の受け部材とプリフォームは互いに分離可能となる。すなわち、第1の発明は、それと同じ構造の別のプリフォームから製造される受け部材と組み合わせることにより、搬送容器に用いられている板材に対して取り付け可能となる。そして、第1の発明においては、その取り付けと取り外しが容易であるという作用を有する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、第2の面側へ突出するように、一定の肉厚を有する複数の突部が成形対象部に設けられていることを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、真空成形の成形型を用いて成形対象部が引き伸ばされるようにして、製品や部品を支持するための収納品受け部が成形対象部に形成される際に、突部が成形型によって押しつぶされ、その部分の樹脂材料が周囲に供給される結果、収納品受け部の薄肉化が防止されるという作用を有する。また、突部の肉厚が一定であることから、リブのある場所と無い場所で成形主部の肉厚が異なる特許文献3に記載されたプリフォームとは異なり、第2の発明では、突部の肉厚が一定であるため、真空成形によって形成される収納品受け部の肉厚が均一になるという作用を有する。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、第1の面側へ突出するように、一定の肉厚を有する当接部が成形対象部に設けられ、当接部は、第1の面と平行な当接面を備えていることを特徴とする。
第3の発明においては、第1の発明の作用に加え、第1の発明に係るプリフォームから製造される搬送容器用受け部材を取り付けることのできる板材の肉厚が第3の発明における当接部の当接面と搬送容器用受け部材の第1の面の間隔によって決定されるという作用を有する。
なお、真空成形により第1の発明の成形対象部に上記当接部に相当するものを形成し、これを第3の発明の代わりに用いることもできるが、この場合でも上述の作用は同様に発揮される。
【0014】
第4の発明は、第1の発明において、係合部は先端の一部が切り欠かれることにより、平面部から延設された幅広部と、この幅広部に続く幅狭部が形成されており、開口部は平面視した場合に長方形の長辺に相当する内壁面の一部が切り欠かれることにより、開口部内に係合爪が配置された場合に幅広部の端面に係止可能な係止部が成形対象部から遠い側に設けられていることを特徴とする。
第4の発明において「開口部内に係合爪が配置された場合」とは、同一のプリフォームに設けられた「係合爪」が「開口部」内に配置されることを意味しているのではなく、第1の発明に関する前述の説明と同様に、第4の発明に係るプリフォームを用いて製造される搬送容器用受け部材と、第4の発明に係る別のプリフォームを結合させる際に、一方の「係合爪」が他方の「開口部」内に配置され得ることを意味している。すなわち、これらの記載は、第4の発明に係るプリフォームを用いて製造される搬送容器用受け部材と、第4の発明に係る別のプリフォームが第1の面同士を向い合わせるようにして配置された状態において、一方の「係合爪」が他方の「開口部」内に配置された場合に、開口部に設けられた係止部が幅広部の端面に係止することを意味している。なお、第4の発明における幅広部の端面は、実施の形態に記載された幅広部14aの係止端面14cの上位概念に相当する。
【0015】
第4の発明に係るプリフォームを用いて製造される搬送容器用受け部材と、第4の発明に係る別のプリフォームが第1の面同士を向い合わせるようにして配置された状態で、一方の係合爪を弾性変形させて他方の開口部内に配置させ、係合爪の幅広部が開口部の係止部を通過した段階で、係合爪の弾性変形を回復させると、一方の幅広部の端面が他方の開口部の係止部に係止する。したがって、第4の発明においては、第1の発明の作用に加え、上述の搬送容器用受け部材とプリフォームを板材に取り付ける際に、係合爪が開口部に係合するという作用がより確実に発揮される。
【0016】
第5の発明は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかにおいて、成形対象部を囲むとともに第2の面から突出するように設けられた境界部を備え、第1の結合部及び第2の結合部は境界部の外側に設けられていることを特徴とする。
第5の発明においては、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の作用に加え、真空成形によって成形対象部に生じる変形の影響が第1の結合部及び第2の結合部に伝搬することを境界部が防ぐという作用を有している。
【0017】
第6の発明は、第1の発明乃至第4の発明に係るプリフォームを用いて搬送容器用受け部材を製造する方法であって、プリフォームを射出成形によって形成する工程と、真空成形によってプリフォームの成形対象部に収納品受け部を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
第6の発明では、第1の結合部及び第2の結合部が射出成形によって形成されることから、搬送容器用受け部材において搬送容器を構成する板材に取り付ける際に用いられ、真空成形では形成し難い複雑な形状の突設部や係合爪が容易に形成されるという作用を有する。また、第6の発明では、真空成形によって成形対象部に収納品受け部が形成されることから、搬送容器に収納される部品や製品ごとに形状の異なる収納品受け部を備えた搬送容器用受け部材が射出成形を用いる場合よりも安価に実現されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、搬送容器を構成する板材に着脱可能であって、かつ、板材のどちら側の面にも取り付け可能な搬送容器用受け部材を容易に製造することができる。
【0019】
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、真空成形によって成形対象部に形成される収納品受け部の強度を低下させることなく、搬送容器用受け部材を製造することができるという効果を奏する。
【0020】
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加え、当接部が成形対象部の第1の面から突出する高さを変更することで、厚さの異なる板材に対して取り付け可能な搬送容器用受け部材を製造することができるという効果を奏する。
なお、真空成形により第1の発明の成形対象部に第3の発明の当接部に相当するものを形成し、これを第3の発明の代わりに用いることもできるが、この場合でも上述の効果は同様に発揮される。
【0021】
第4の発明に係るプリフォームから製造した搬送容器用受け部材と第4の発明に係る別のプリフォームを板材に取り付ける際に、幅広部の端面が開口部の係止部に係止することにより係合爪が開口部に対して確実に係合する。これによって、搬送容器用受け部材が搬送容器の板材から外れるおそれがなくなるため、使用時の安全性が高まる。すなわち、第4の発明によれば、第1の発明の効果に加え、搬送容器の板材に設置して使用する際の安全性が高い搬送容器用受け部材を製造できるという効果を奏する。
【0022】
第5の発明によれば、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の効果に加え、成形対象部に対する真空成形の影響で第1の結合部や第2の結合部が変形してしまうおそれがないため、搬送容器の板材に対して容易に取り付け可能な搬送容器用受け部材を製造できるという効果を奏する。
【0023】
第6の発明によれば、真空成形では形成し難い複雑な形状の突設部及び係合爪と、搬送容器に収納される部品や製品ごとに形状の異なる収納品受け部を備えた搬送容器用受け部材を容易かつ安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係るプリフォームをそれぞれ上側から見た状態及び下側から見た状態を示した外観斜視図である。
図2】(a)は図1(a)及び図1(b)において第1の結合部と第2の結合部を拡大して示した斜視図であり、(b)は係合爪を拡大して示した斜視図であり、(c)は突設部の開口部に係合爪が係合した状態を示した斜視図である。
図3】(a)乃至(c)は突設部の開口部に係合爪が係合する様子を示した断面図である。
図4】(a)は図1(a)及び図1(b)に示したプリフォームを用いて製造される受け部材の一例を示した外観斜視図であり、(b)は同図(a)におけるB方向矢視図である。
図5】搬送容器の一例を示した外観斜視図である。
図6】(a)は図4(a)及び図4(b)に示した受け部材が図5に示した底板に設置された状態を示す平面図であり、(b)は同図(a)におけるC方向矢視図である。
図7】(a)は本発明の第2の実施の形態に係るプリフォームの外観斜視図であり、(b)は同図(a)におけるD-D線矢視断面図である。
図8】(a)は本発明の第3の実施の形態に係るプリフォームの外観斜視図であり、(b)は同図(a)におけるE-E線矢視断面図である。
図9】(a)は本発明の第4の実施の形態に係るプリフォームの外観斜視図であり、(b)は同図(a)におけるF-F線矢視断面図である。
図10】(a)は図6(a)におけるG-G線矢視断面図であり、(b)は同図(a)の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の搬送容器用受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォームの構造及びそれらの発明の作用及び効果について図1乃至図10を用いて具体的に説明する。
なお、以下の説明では搬送容器を構成する底板に上述の搬送容器用受け部材(以下、単に受け部材という。)が設置される場合を例に挙げているが、上記受け部材は全体が平坦な形状をしている場合だけでなく、開口部を設けることができる板状部分を少なくとも一部に有している部材であっても良いし、底板以外の板状部材に設置されるものであっても良い。そして、そのような部材に上記受け部材を設置する場合にも、以下に説明する本発明の搬送容器用受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォームの作用及び効果は同様に発揮される。
また、本発明の搬送容器用受け部材の製造方法に関し、実施例1ではプリフォーム1から受け部材15を製造する場合を例に挙げているが、受け部材15の収納品受け部15aとは形状の異なる収納品受け部を備えた他の受け部材を製造する場合や実施例2~4として説明するプリフォーム20~22のうちのいずれかのプリフォームを用いて受け部材15やそれ以外の受け部材を製造する場合にも、以下に説明する搬送容器用受け部材の製造方法に係る発明の作用及び効果は同様に発揮される。
さらに、本願明細書では、搬送容器の板材に向いている側の面及びその反対側の面をそれぞれ「第1の面」及び「第2の面」と表現している。また、本発明のプリフォームは搬送容器に設置される受け部材を製造する際に用いられる他、搬送容器の板材に受け部材を取り付ける際にも用いられる。
【実施例1】
【0026】
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係るプリフォーム1をそれぞれ上側から見た状態及び下側から見た状態を示した外観斜視図である。また、図2(a)は図1(a)及び図1(b)において第1の結合部4と第2の結合部10を拡大して示した斜視図であり、図2(b)は係合爪12を拡大して示した斜視図であり、図2(c)は突設部5の開口部9に係合爪12が係合した状態を示した斜視図である。
図1(a)及び図1(b)並びに図2(a)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るプリフォーム1は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂の射出成形によって形成されて平面視略矩形状をなす板材からなり、真空成形によって収納品受け部15a(図4(a)及び図4(b)を参照)が形成される成形対象部2と、この成形対象部2を囲むとともに第2の面1bから突出するように設けられた境界部3と、この境界部3の外側に設けられて、上述の矩形を構成する平行な2辺に対応する側面1c、1dをそれぞれ有する第1の結合部4及び第2の結合部10を備えている。そして、プリフォーム1の第1の面1aには、第2の面1bに境界部3が設けられることにより肉厚となる部分に対応する箇所に対し、平面視長方形状をなす肉盗み3a、3aが成形対象部2を間に挟むようにして対称に設けられている。
なお、肉盗み3aは、射出成形時の収縮に伴う変形を小さくする目的で設けられるものであるため、当該部分の肉厚や射出成形の条件によっては省略することもできる。
【0027】
第1の結合部4は、平面視長方形状をなす座板4aと、この座板4aに対して第1の面1aに設けられた突設部5及び突起部6、7からなり、座板4aには、側面1c、1dに対して直交する側面1e、1fの近くに円形の貫通孔8aがそれぞれ設けられている。また、突設部5は、座板4aに垂直であって、かつ、側面1cに平行な一対の側面板5a、5aと、この一対の側面板5a、5aの上端側同士を接続し、平坦で第1の面1aに平行な上面板5cと、座板4aに垂直であって、かつ、上面板5cと一対の側面板5a、5aを接続する一対の側面板5b、5bと、側面板5bと平行に設置されて一対の側面板5a、5a同士を接続する4枚の補強板5dによって構成されており、突設部5の補強板5dが設けられていない箇所には一対の開口部9、9が設けられている。なお、開口部9は平面視した場合に長方形の長辺の1つに相当する内壁面の一部が切り欠かれることにより、一対の係止部9a、9aが成形対象部2から遠い側に形成されている。また、突設部5の上面板5cには、長手方向の両端に突起部6がそれぞれ設けられ、略中央に突起部7が設けられている。さらに、第1の結合部4の座板4aには、側面1e、1fの近くに円形の貫通孔8aがそれぞれ設けられている。
【0028】
第2の結合部10の座板10aには、側面1e、1fの近くに円形の貫通孔8bがそれぞれ設けられている。そして、側面1dに対して垂直な方向へ突出するとともに平面視矩形状をなし、かつ、スリット11aによって2つに分けられた一対の係止片11b、11bが座板10aの幅方向(側面1e、1fに直交する方向)の略中央に設けられている。また、第2の結合部10の座板10aには、側面1dに対して垂直な方向へ所定の長さを有する一対のスリット10b、10bが一対の係合爪12、12をそれぞれ間に挟むようにして一対の貫通孔8b、8bの間に設けられている。
なお、後述するように受け部材15(図4(a)を参照)とプリフォーム1を結合した際に受け部材15の側面1dにプリフォーム1の突起部6が当接し、プリフォーム1の側面1dに受け部材15の突起部6が当接する。すなわち、受け部材15とプリフォーム1は、それぞれ突起部6が側面1dに当接することにより、側面1dに垂直な方向への移動が互いに規制される構造となっている。
【0029】
図2(a)に示すように、突起部7は突設部5の上面板5cの長手方向に平行な直線部分7aと、上面板5cの長手方向に対して垂直をなすように直線部分7aの両端と略中央にそれぞれ設けられた一対の突状部分7b、7b及び突状部分7cからなる。上述したように、受け部材15とプリフォーム1を結合する場合、一方のスリット11aの内部に他方の突状部分7cが配置されるとともに、一方の係止片11bが他方の突状部分7b、7cの間にそれぞれ配置される。すなわち、受け部材15とプリフォーム1は、一方の係止片11bが他方の突起部7の突状部分7b、7cの間に配置されることにより、側面1dに対して平行な方向及び垂直な方向への移動が互いに規制される構造となっている。
【0030】
係合爪12は、図2(a)に示すように両側にスリット10bが設けられた座板10aと、図2(b)に示すように座板10aから延設され、第1の面1a(図1(b)を参照)側へ略直角に曲折された平面部13と、座板10aを平面視した場合に成形対象部2から離れる方向へ突出するように平面部13から延設され、第2の面1b側へ鋭角に曲折された係合部14を備えている。また、係合部14は先端の一部が平面視略矩形状に切り欠かれることにより、平面部13から延設された幅広部14aと、この幅広部14aに続く幅狭部14bが形成されている。そして、幅狭部14bの両側には一対の係止端面14c、14cが形成されている。また、係合爪12の平面部13が延設されている座板10aの第2の面1b(図1(a)を参照)には、幅方向(側面1dと平行な方向)の両側に肉厚部12aがそれぞれ設けられている。
なお、受け部材15とプリフォーム1は一方の係合爪12を他方の突設部5の開口部9に係合させることによって互いに分離できない状態になるが、このとき、係合部14の幅狭部14bは図2(c)に示すように一対の係止部9a、9aの間に配置された状態になる。
【0031】
ここで、受け部材15とプリフォーム1を結合する手順について図3を用いて説明する。なお、図3(a)乃至図3(c)は突設部5の開口部9に係合爪12が係合する様子を示した断面図であり、図3(c)は図2(c)におけるA-A線矢視断面図に相当する。
受け部材15とプリフォーム1を結合する場合に、例えば、プリフォーム1の上方に受け部材15が配置されているとすると、互いの第1の面1a(図1(b)を参照)同士を向い合わせた状態で、図3(a)に示すようにプリフォーム1の突設部5の開口部9の上方に受け部材15の係合爪12が配置される。この状態から、受け部材15にプリフォーム1を近づけていくと、係合爪12は平面部13と係合部14のなす角度が小さくなるように弾性変形する結果、図3(b)に示すように平面部13と係合部14の幅広部14aが開口部9の側面1cから遠い側の内壁面9bと係止部9aの間を通過可能な状態になる。そして、係合部14の幅広部14aが開口部9の内壁面9bと係止部9aの間を通過すると、係合爪12の弾性変形が回復することにより、係合部14の幅狭部14bが一対の係止部9a、9aの間に配置されて図3(c)に示すように幅狭部14bの両側に形成された一対の係止端面14c、14cが一対の係止部9a、9aにそれぞれ係止する。これにより、受け部材15からプリフォーム1を引き離せない状態になる。すなわち、受け部材15とプリフォーム1は、一方の係合爪12が他方の突設部5の開口部9に係合することによって互いに分離できない状態になる。
なお、図3(c)において、係合部14の幅狭部14bの先端を指で持つなどして平面部13と係合部14の幅広部14aが開口部9の内壁面9bと係止部9aの間を通過可能になるまで、平面部13と係合部14のなす角度が小さくなる方向へ係合爪12を弾性変形させると、図3(b)に示すように係合爪12と突設部5の開口部9の係合状態が解消されるため、図3(a)に示すように係合爪12を突設部5の開口部9から取り出すことにより、受け部材15からプリフォーム1を引き離すことができるようになる。
【0032】
図4(a)はプリフォーム1を用いて製造される受け部材15の外観斜視図であり、図4(b)は図4(a)におけるB方向矢視図である。なお、受け部材15の成形対象部2に形成される収納品受け部15aは図4(a)及び図4(b)に示した形状に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
受け部材15は、図1(a)及び図1(b)に示したプリフォーム1の成形対象部2の一部に対し、製品を支持するための収納品受け部15aが真空成形によって図4(a)及び図4(b)に示すように、第2の面1bから突出するように形成された構造となっている。なお、境界部3は上述の真空成形の工程において成形対象部2の変形が第1の結合部4及び第2の結合部10に伝搬することを防ぐという作用を有している。この場合、成形対象部2に対する真空成形の影響で第1の結合部4や第2の結合部10が変形してしまうおそれがない。したがって、プリフォーム1を用いると、例えば、図5に示すような搬送容器16の底板19に対して容易に取り付け可能な受け部材15を製造することができる。
【0033】
図5は搬送容器16の外観斜視図である。また、図6(a)は図4(a)及び図4(b)に示した受け部材15が図5に示した底板19に設置された状態を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)におけるC方向矢視図である。なお、図6(b)では底板19の図示を省略している。
図5に示すように、搬送容器16は、例えば、直方体の各辺を構成するように組み合わされた複数本の角パイプ17からなるフレーム18と、このフレーム18の底面開口部18aに設置されるとともに平面視長方形をなす4つの貫通孔19aが2つずつ対をなすように形成された平面視矩形状の底板19を備えている。なお、搬送容器16は金属製に限らず、プラスチック製であっても良いし、紙製又はプラスチック製の段ボールによって形成されたものであっても良い。
【0034】
受け部材15とプリフォーム1は、図6(a)及び図6(b)に示すように、搬送容器16の底板19に第1の面1aがそれぞれ向いた状態で、貫通孔19aを通して一方の突設部5の開口部9に他方の係合爪12を係合させることによって、底板19の両面に対してそれぞれ固定される。
ただし、プリフォーム1及び受け部材15では、突設部5の開口部9と係合爪12が成形対象部2を挟んで対称に設けられていることから、一方の係合爪12が他方の突設部5の開口部9に係合すると、他方の係合爪12も同時に一方の突設部5の開口部9に係合する。すなわち、プリフォーム1は、それと同じ構造の別のプリフォーム1から製造される受け部材15と組み合わせることで、搬送容器16に用いられている底板19に対して容易に取り付け可能な構造となっている。
また、図3(b)及び図3(c)を用いて既に説明したように、係合部14の幅狭部14bの先端を指で持つなどして平面部13と係合部14のなす角度が小さくなる方向へ係合爪12を弾性変形させると、係合爪12と突設部5の開口部9の係合状態が解消して、上述の受け部材15とプリフォーム1は互いに分離可能となる。すなわち、プリフォーム1と受け部材15は底板19からの取り外しも容易となっている。
なお、受け部材15やプリフォーム1は、貫通孔8a、8bに挿通されたネジを用いて底板19に固定することもできる。ただし、そのような必要が無い場合には貫通孔8a、8bは設けなくとも良い。
【0035】
すなわち、プリフォーム1は、それと同じ構造の別のプリフォーム1から製造される受け部材15と組み合わせることにより、搬送容器16の底板19に対する取り付けが可能となり、しかも、その取り付けや取り外しは極めて容易である。
このように、プリフォーム1によれば、搬送容器16の底板19に着脱可能であって、かつ、底板19のどちら側の面にも取り付け可能な受け部材15を容易に製造することができる。
また、受け部材15とプリフォーム1を板材に取り付ける際に、図3(c)を用いて既に説明したように一対の係止端面14c、14cが一対の係止部9a、9aにそれぞれ係止するため、係合爪12は突設部5の開口部9に対して確実に係合する。この場合、受け部材15が搬送容器16の底板19から外れるおそれがないため、安全に使用することができる。したがって、プリフォーム1によれば、搬送容器16の底板19に設置して安全に使用できる受け部材15を製造することが可能である。
【0036】
なお、本発明の搬送容器用受け部材の製造方法は、例えば、プリフォーム1を用いて受け部材15を製造する場合のように、プリフォーム1を射出成形によって形成する工程と、真空成形によってプリフォーム1の成形対象部2に収納品受け部15aを形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
このような製造方法によれば、第1の結合部4と第2の結合部10が射出成形によって形成されることから、真空成形では形成し難い複雑な形状の突設部5や係合爪12が容易に形成される。また、真空成形に用いられる金型は射出成形に用いられる金型よりも製造コストが安いことから、収納品受け部15aが真空成形によって成形対象部2に形成される上記製造方法によれば、搬送容器16に収納される部品や製品ごとに形状が異なる収納品受け部15aを備えた受け部材15が射出成形を用いる場合よりも安価に実現される。
すなわち、本発明の搬送容器用受け部材の製造方法によれば、真空成形では形成し難い複雑な形状の突設部5及び係合爪12と、搬送容器16に収納される部品や製品ごとに形状の異なる収納品受け部15aを備えた受け部材15を容易かつ安価に製造することが可能である。
【実施例2】
【0037】
図7(a)は本発明の第2の実施の形態に係るプリフォーム20の外観斜視図であり、図7(b)は図7(a)におけるD-D線矢視断面図である。なお、図7(a)及び図7(b)では、図が煩雑になるのを避けるため、突部の一部についてのみ符号を付している。また、図1乃至図4を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより、適宜それらの説明を省略する。
図7(a)及び図7(b)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るプリフォーム20は、プリフォーム1において、一定の肉厚を有し、平面視波紋状をなす複数の突部20aが成形対象部2に第2の面1b側へ突出するように設けられていることを特徴とする。
このような構造のプリフォーム20を用いて受け部材15を製造する場合、真空成形の金型を用いて成形対象部2が引き伸ばされるようにして、成形対象部2に収納品受け部15aが形成される際に、突部20aが金型によって押しつぶされ、その部分の樹脂材料が周囲に供給される結果、収納品受け部15aの薄肉化が防止される。したがって、プリフォーム20によれば、収納品受け部15aの強度を低下させることなく、受け部材15を製造することができる。
【実施例3】
【0038】
図8(a)は本発明の第3の実施の形態に係るプリフォーム21の外観斜視図であり、図8(b)は図8(a)におけるE-E線矢視断面図である。なお、図8(a)及び図8(b)では、図が煩雑になるのを避けるため、突部の一部についてのみ符号を付している。また、図1乃至図4を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより、適宜それらの説明を省略する。
図8(a)及び図8(b)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るプリフォーム21は、プリフォーム1において、一定の肉厚を有し、半球殻状をなす複数の突部21aが成形対象部2に第2の面1b側へ突出するように設けられていることを特徴とする。
このような構造のプリフォーム21を用いて受け部材15を製造する場合、真空成形の金型を用いて成形対象部2が引き伸ばされるようにして、成形対象部2に収納品受け部15aが形成される際に、突部21aが金型によって押しつぶされ、その部分の樹脂材料が周囲に供給される結果、収納品受け部15aの薄肉化が防止される。したがって、プリフォーム21によれば、収納品受け部15aの強度を低下させることなく、受け部材15を製造することができる。
なお、プリフォーム21はプリフォーム20と同様の作用及び効果を有するが、突部20aと突部21aは形状や個数が異なるため、プリフォーム20とプリフォーム21では、射出成形に用いられる金型の製造コストが異なる。したがって、プリフォーム21とプリフォーム20のいずれを選択するかについては、成形対象部2や収納品受け部15aの大きさに応じて決定することが望ましい。
【実施例4】
【0039】
図9(a)は本発明の第4の実施の形態に係るプリフォーム22の外観斜視図であり、図9(b)は図9(a)におけるF-F線矢視断面図である。また、図10(a)は図6(a)におけるG-G線矢視断面図であり、図10(b)は図10(a)の変形例を示した図である。なお、図10(b)は図10(a)においてプリフォーム1の代わりにプリフォーム22を用いた図に相当する。また、図1乃至図4を用いて既に説明した構成要素については、同一の符号を付すことにより、適宜それらの説明を省略する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、プリフォーム22は、プリフォーム1において、一定の肉厚を有し、第1の面1aと平行な当接面23aを備えた当接部23が成形対象部2に第1の面1a側へ突出するように設けられていることを特徴とする。
【0040】
図6(a)及び図6(b)を用いて既に説明したように搬送容器16の底板19を受け部材15とプリフォーム1の間に挟んだ状態で一方の突設部5の開口部9に他方の係合爪12を係合させると、図10(a)に示すように受け部材15とプリフォーム1は、第1の面1aが底板19の両面にそれぞれ当接した状態で底板19に取り付けられる。
これに対し、底板19よりも薄く、底板19と同じ箇所に貫通孔19aが設けられた板材24に受け部材15とプリフォーム22を取り付けた場合、図10(b)に示すように受け部材15の第1の面1aとプリフォーム22の当接部23の当接面23aが板材24の両面にそれぞれ当接することになる。このように、プリフォーム1の代わりにプリフォーム22を用いた場合、底板19よりも薄い板材24に対して受け部材15を取り付けることができる。
すなわち、プリフォーム1の代わりにプリフォーム22を用いると、プリフォーム1から製造された受け部材15を取り付け可能な板材の肉厚が、プリフォーム22の当接部23の当接面23aと受け部材15の第1の面1aの間隔によって決定される。したがって、プリフォーム22を用いることによれば、底板19よりも薄い板材に対して受け部材15を取り付けることができる。また、当接部23が成形対象部2の第1の面1aから突出する高さを変更すると、厚さの異なる板材に対しても受け部材15を取り付けることが可能となる。
【0041】
なお、真空成形によりプリフォーム1の成形対象部2にプリフォーム22の当接部23に相当するものを形成し、これをプリフォーム22の代わりに用いることもできるが、この場合でも上述の作用及び効果は同様に発揮される。
また、搬送容器16の底板19に受け部材15を取り付ける際に、プリフォーム1やプリフォーム22の代わりに別の受け部材15を用いても良い。すなわち、一対の受け部材15、15の間に底板19を配置した状態で貫通孔19aを通して一方の突設部5の開口部9に他方の係合爪12を係合させるようにして、一対の受け部材15,15を底板19に固定するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、搬送容器を構成する板材に対し、部品や製品を支持するために設置される受け部材を製造する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…プリフォーム 1a…第1の面 1b…第2の面 1c~1f…側面 2…成形対象部 3…境界部 3a…肉盗み 4…第1の結合部 4a…座板 5…突設部 5a、5b…側面板 5c…上面板 5d…補強板 6、7…突起部 7a…直線部分 7b、7c…突状部分 8a、8b…貫通孔 9…開口部 9a…係止部 9b…内壁面 10…第2の結合部 10a…座板 10b…スリット 11a…スリット 11b…係止片 12…係合爪 12a…肉厚部 13…平面部 14…係合部 14a…幅広部 14b…幅狭部 14c…係止端面 15…受け部材 15a…収納品受け部 16…搬送容器 17…角パイプ 18…フレーム 18a…底面開口部 19…底板 19a…貫通孔 20~22…プリフォーム 20a、21a…突部 23…当接部 23a…当接面 24…板材

【要約】
【課題】製品や部品を支持する部分の強度が低下し難く、搬送容器を構成する板材に対して容易に取り付けることが可能な受け部材の製造方法とそれに用いられるプリフォームを提供する。
【解決手段】本発明のプリフォーム1は、熱可塑性樹脂の射出成形によって形成されて平面視略矩形状をなす板材からなり、真空成形によって所望の形状に加工される成形対象部2と、この成形対象部2を囲むとともに第2の面1bから突出するように設けられた境界部3と、上述の矩形を構成する平行な2辺に対応する側面1c、1dと境界部3の間にそれぞれ設けられた第1の結合部4及び第2の結合部10を備えている。そして、プリフォーム1の第1の面1aには、第2の面1bに境界部3が設けられることにより肉厚となる部分に対応する箇所に対し、平面視長方形状をなす肉盗み3a、3aが成形対象部2を間に挟むようにして対称に設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10