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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】架台
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/17 20060101AFI20230710BHJP
【FI】
A47K3/17
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019131709
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021016418
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】緑川 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白井 健太郎
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211317(JP,A)
【文献】特開2006-152573(JP,A)
【文献】特開2002-038710(JP,A)
【文献】実開昭62-114957(JP,U)
【文献】実開昭48-047450(JP,U)
【文献】実開平03-022790(JP,U)
【文献】実開昭57-020292(JP,U)
【文献】実開平03-120879(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02- 4/00
E03C 1/12- 1/33
E04F 15/00-15/22
E04G 1/00- 7/34
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室フロア上の配管を避けて浴室ユニットのフロア脚を支える架台であって、
上板と、該上板の両端を折り曲げて形成されている一対の縦板と、該一対の縦板の下端を折り曲げて形成されている一対の底板とを有し、
前記上板の中心よりいずれか一方の縦板に寄せた位置に、前記浴室ユニットのフロア脚を取り付ける偏心穴が形成されていて、
前記上板の中心に、前記浴室ユニットのフロア脚を取り付ける中心穴が形成されていることを特徴とする架台。
【請求項2】
浴室フロア上の配管を避けて浴室ユニットのフロア脚を支える架台であって、
上板と、該上板の両端を折り曲げて形成されている一対の縦板と、該一対の縦板の下端を折り曲げて形成されている一対の底板とを有し、
前記上板の中心よりいずれか一方の縦板に寄せた位置に、前記浴室ユニットのフロア脚を取り付ける偏心穴が形成されていて、
前記一対の底板のうち、少なくとも前記偏心穴側の底板は内側に折り曲げられていることを特徴とする架台。
【請求項3】
前記偏心穴は、内面がねじ切りされていることを特徴とする請求項1または2に記載の架台。
【請求項4】
前記上板には、前記縦板がない側の辺に沿ってリブが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室フロア上の配管を避けて浴室ユニットのフロア脚を支える架台に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室には、使用者が身体を洗うためのスペースである洗い場と、使用者が入浴するための浴槽が設けられる。例えば特許文献1では、浴槽本体と洗い場とが一体となった洗い場付浴槽が開示されている。特許文献1では、洗い場付浴槽の下面に短筒が設けられていて、その内部に固定ナットが埋設されている。固定ナットには、締付ナットを有する支持脚兼用の締付ボルトが螺合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭57-020292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室を新設したり、既設の浴室を改装したりする場合、浴室のフロア床上には配管(以下、配管と称する)が設けられていることがある。浴室ユニットのフロア脚が設置される箇所に配管がある場合、配管とフロア脚が干渉してしまって浴槽を設置することができない。このため、配管を再度組み直す工事を行わなければならなくなるが、工事費や工事期間が余計にかかってしまう。
【0005】
そこでこのような場合には、配管を跨ぐように架台を配置し、その架台上にフロア脚を載置する方法が採用されている。しかしながら、フロア脚が浴室の基礎梁等の躯体に近接している場合、架台が躯体と干渉してしまって設置できない場合がある。またフロア床の中央部に別の配管や設備等が配置されている場合においても、架台を設置した上でフロア脚を載置する必要がある。この場合も、架台が他の配管やフロア床の凹凸と干渉してしまって設置できない場合がある。加えて、浴室ユニットを設置した後に架台位置を調整する場合、作業者がユニット下の空間に潜り込む必要があるため、作業性が非常に悪い。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、浴室を新設したり、既設の浴室を改装したりする際における配管と浴室ユニットのフロア脚との干渉を防ぎつつ、躯体との干渉を防ぐことが可能な架台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる架台の代表的な構成は、浴室フロア上の配管を避けて浴室ユニットのフロア脚を支える架台であって、上板と、上板の両端を折り曲げて形成されている一対の縦板と、一対の縦板の下端を折り曲げて形成されている一対の底板とを有し、上板の中心よりいずれか一方の縦板に寄せた位置に、浴室ユニットのフロア脚を取り付ける偏心穴が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、架台によって、浴室フロア上の配管を避けながらフロア脚を固定することができる。そして、上記構成では、架台の上板において、その中心よりもいずれか一方の縦板側に偏った位置に偏心穴が形成される。したがって、偏心穴が形成されている側の縦板を躯体側に位置させることで、偏心穴と躯体との間の幅を狭めることができる。これにより、フロア脚と躯体とが近接する場合における架台と躯体の干渉を防ぐことが可能となる。
【0009】
上記上板の中心に、浴室ユニットのフロア脚を取り付ける中心穴が形成されているとよい。これにより、フロア脚と躯体との間に十分な間隔がある場合には、浴室ユニットのフロア脚を中心穴に取り付けることで、浴槽をバランスよく支持することが可能となる。
【0010】
上記一対の底板のうち、少なくとも偏心穴側の底板は内側に折り曲げられているとよい。これにより、偏心穴と躯体との間の幅を狭めることができるため、躯体と架台との干渉をより好適に防ぐことが可能となる。
【0011】
上記偏心穴は、内面がねじ切りされているとよい。これにより、浴室ユニットのフロア脚としてボルトを用いた際に、フロア脚を偏心穴に螺合して架台に取り付けることが可能となる。また偏心穴の内面がねじ切りされていることにより、架台を回転させることで高さ調整を行うことができる。
【0012】
更に、偏心穴の内面がねじ切りされていることにより、フロア脚を架台に取り付けることで、架台とフロア脚とを一体にして運搬したり設置したりすることができる。そして、架台とフロア脚とが別体である構造の場合には、それらを固定する際に微調整が必要となるが、架台にフロア脚とが一体となっていることにより固定時の微調整を不要となる。したがって、浴室ユニット下に潜り込んでの作業を軽減することができ、取り付け性および施工性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
上記上板には、縦板がない側の辺に沿ってリブが形成されているとよい。これにより、偏心穴や中心穴が形成された上板の剛性を好適に確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、浴室を新設したり、既設の浴室を改装したりする際における配管と浴室ユニットのフロア脚との干渉を防ぎつつ、躯体との干渉を防ぐことが可能な架台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】浴室を説明する図である。
図2】本実施形態にかかる架台を説明する図である。
図3】本実施形態にかかる架台の他の例を説明する図である。
図4】本実施形態にかかる架台の他の例を説明する図である。
図5】本実施形態にかかる架台の他の例を説明する図である。
図6】本実施形態にかかる架台の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、浴室100を説明する図である。図1(a)は、浴室の全体図であり、図1(b)は、図1(a)の要部拡大図である。図1(a)に示すように、浴室100では、浴室フロア102に浴室ユニット108が設置される。浴室ユニット108は、洗い場側フロア108aと浴槽側フロア108bとが一体となっていて、浴槽側フロア108bに浴槽110が設置される。
【0018】
このとき、浴室フロア102上に配管104が設けられている場合には、かかる配管104を避ける架台200を浴室フロア102に設置し、浴室ユニット108のフロア脚112は架台200によって支持される。本実施形態の浴室100では、フロア脚112は、躯体106(基礎梁)に近接した位置に配置される。
【0019】
図2図6は、本実施形態にかかる架台を説明する図である。図2(a)に示すように、本実施形態の架台200は、上板202、一対の縦板204および一対の底板206を有する。一対の縦板204は、上板202の両端を折り曲げて形成されていて、一対の底板206は、一対の縦板204の下端を折り曲げて形成されている。
【0020】
ここで仮に、架台200において、浴室ユニット108のフロア脚112を取り付けるための穴が上板の中心Cに形成されている場合、図1に示す位置にあるフロア脚112を架台に取り付けることができない。詳しく説明すると、配管104は躯体106に沿うように平行に配置されるから、架台200がこれを跨ぐように角度を向けるとなると、フロア脚112から架台200の端までの距離は、すなわち穴から底板206の先端までの長さになる。したがって穴が上板の中心Cに形成されていると、フロア脚112が躯体106から架台200の半分の長さより近い場合には、架台200を使用することができない。
【0021】
これに対し本実施形態の架台200では、図2(a)に示すように、上板202の中心Cよりいずれか一方の縦板204に寄せた位置に偏心穴208が形成されている。そして、図1に示すように、偏心穴208が形成されている側の縦板204を躯体106側に位置させることにより、偏心穴208は上板202の中心Cよりも躯体106側に寄った位置に配置され、偏心穴208と躯体106との間の幅が狭まる。これにより、フロア脚112と躯体106とが近接する場合における架台200と躯体106の干渉を防ぐことが可能となる。
【0022】
図2(b)-図6は、本実施形態の架台の他の例を説明する図である。図2(b)に示す架台200aには、上板202の中心Cに中心穴210が形成されている。これにより、フロア脚112と躯体106との間に十分な間隔がある場合には、浴室ユニット108のフロア脚112を中心穴210に取り付けることで、浴室ユニット108をバランスよく支持することが可能となる。
【0023】
図3はリブを形成した例を示している。図3(a)に示す架台200bでは、上板202のうち、縦板204がない側の辺を下方に折り曲げることにより、縦板204がない側の辺に沿ったリブ212が形成されている。これにより、偏心穴208や中心穴210が形成された上板202の剛性を好適に確保することができる。
【0024】
また図3(b)に示す架台200cでは、上板202、縦板204および底板206の縁に沿うようにビード状のリブ214が形成されている。ビード状のリブ214は、溶接で取り付けてもよいし、プレスによる曲げ加工によって形成してもよい。これにより、架台200c全体の剛性の向上を図ることが可能となる。なお、図3(b)では、縁全体に沿ってリブ214が形成されている構成を例示したが、これに限定するものではなく、部分的にリブ214を形成する構成としてもよい。
【0025】
図4は底板を内側に折り曲げた例を示している。図2(a)-図3(b)に示す架台では、一対の底板206は、一対の縦板204それぞれの下端から外側に向かって折り曲げられている。これに更に、図4に示す架台200dでは、一対の底板206のうち、偏心穴208が形成されている側の底板206bを縦板204の下端から内側に向かって折り曲げている。これにより、図2(a)-図3(b)に示す架台に比して、偏心穴208と躯体106との間の幅を狭めることができるため、躯体106と架台200dとの干渉をより好適に防ぐことが可能となる。
【0026】
図5に示す架台200eでは、偏心穴208bの内面にねじ切りしている。これにより、浴槽110のフロア脚112としてボルトを用いた際に、フロア脚112を偏心穴208bに螺合して架台200に取り付けることが可能となる。したがって、施工時の作業効率を高めることが可能となる。また偏心穴208bの内面がねじ切りされていることにより、架台200を回転させることで高さ調整を行うことができる。
【0027】
加えて、偏心穴208bの内面がねじ切りされていることにより、フロア脚112を架台200に取り付けることで、架台200とフロア脚112とを一体にして運搬したり設置したりすることができる。そして、架台200とフロア脚112とが別体である構造の場合には、それらを固定する際に微調整が必要となるが、架台200にフロア脚112とが一体となっていることにより固定時の微調整を不要となる。その結果、浴室ユニット108の下に潜り込んでの作業を軽減することができ、取り付け性および施工性の向上を図ることが可能となる。
【0028】
図6に示す架台200fでは、底板206に固定穴216が形成されている。これにより、固定用のボルト(不図示)を固定穴216に挿通することにより、架台200fひいては浴室ユニット108を浴室フロア102に良好に取り付けることが可能となる。
【0029】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、浴室フロア上の配管を避けて浴室ユニットのフロア脚を支える架台に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
100…浴室、102…浴室フロア、104…配管、106…躯体、108…浴室ユニット、108a…洗い場側フロア、108b…浴槽側フロア、110…浴槽、112…フロア脚、200…架台、200a~200f…架台、202…上板、204…縦板、206、206b…底板、208、208b…偏心穴、210…中心穴、212…リブ、214…リブ、216…固定穴、C…中心
図1
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