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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】2液混合容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20230710BHJP
   B65D 23/04 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
B65D81/32 T
B65D81/32 Q
B65D23/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019198496
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070495
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-007472(JP,U)
【文献】特開2010-155639(JP,A)
【文献】特開2002-370782(JP,A)
【文献】特開2010-083514(JP,A)
【文献】特開2015-163519(JP,A)
【文献】特開2017-132536(JP,A)
【文献】特表2002-500604(JP,A)
【文献】実開平05-010244(JP,U)
【文献】実開平05-000646(JP,U)
【文献】実開平07-033880(JP,U)
【文献】実開平04-048143(JP,U)
【文献】実開平02-105882(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、下端が開口した筒状の胴部とを備えた第1容器体と、
前記胴部の下端に装着され、前記開口を閉塞して前記第1容器体の内部に第1液を収納する第1収納室を区画形成する第2容器体と、を有し、
前記第2容器体は、
筒状体と、
前記筒状体の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第1可動底と、
前記第1可動底よりも上方において前記筒状体の内側に液密に装着されて前記第1可動底との間に第2液を収納する第2収納室を区画形成するとともに、前記筒状体の内周面から離れて前記第2収納室を前記第1収納室に連通させる連通位置にまで上方に移動可能な第2可動底と、
前記胴部に回動自在に装着され、前記胴部に対して回動することで前記第1可動底を上方に移動させる回動操作部と、を備えており、
前記第2可動底が、
前記筒状体の内周面に接する内側円筒部と、
頂壁部を介して前記内側円筒部に連なって前記筒状体の外側に配置される外側円筒部と、を有し、
前記第2可動底が前記連通位置になると、前記内側円筒部が前記筒状体の内周面から離れて、前記頂壁部に設けられた貫通孔を介して前記第2収納室が前記第1収納室に連通されるように構成されている、ことを特徴とする2液混合容器。
【請求項2】
口部と、下端が開口した筒状の胴部とを備えた第1容器体と、
前記胴部の下端に装着され、前記開口を閉塞して前記第1容器体の内部に第1液を収納する第1収納室を区画形成する第2容器体と、を有し、
前記第2容器体は、
筒状体と、
前記筒状体の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第1可動底と、
前記第1可動底よりも上方において前記筒状体の内側に液密に装着されて前記第1可動底との間に第2液を収納する第2収納室を区画形成するとともに、前記筒状体の内周面から離れて前記第2収納室を前記第1収納室に連通させる連通位置にまで上方に移動可能な第2可動底と、
前記胴部に回動自在に装着され、前記胴部に対して回動することで前記第1可動底を上方に移動させる回動操作部と、を備えており、
前記回動操作部が、前記胴部の外周面に摺接する操作用筒部と、前記操作用筒部の下端に連なる底壁部と、前記底壁部の内面から上方に向けて突出する内側筒部とを備え、
前記第1可動底に設けられた係止壁の下端が、前記内側筒部の内周面に設けられた傾斜面に係合することで、前記回動操作部の回動が前記第1可動底の上方への移動に変換されるように構成されている、ことを特徴とする2液混合容器。
【請求項3】
前記口部に、ポンプ式のディスペンサーが装着されている、請求項1または2に記載の2液混合容器。
【請求項4】
前記口部に、スポイト付きのキャップが装着されている、請求項1または2に記載の2液混合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容液を収納する容器として、容器の内部に、第1液と、第1液とは異なる第2液とを別々の収納室に分けて収納することができるとともに、使用時に、第1液と第2液とを容器の内部で容易に混合させることができるように構成された2液混合容器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、口部と、下端が開口した筒状の胴部とを備えた容器体と、胴部の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第1の可動底と、第1の可動底よりも上方において胴部の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第2の可動底と、胴部の内面に第2の可動底よりも上下に長く延びて設けられた凹所とを有し、第1の可動底と第2可動底との間に区画形成された第1液収納室に第1液を収納し、容器体の第2可動底よりも上方側の部分に区画形成された第2液収納室に第2液を収納することができるとともに、使用時に、突き上げ部材等により第1の可動底が上方に向けて押し上げられると、第1液収納室が加圧されることで第2の可動底も上方に押し上げられ、第2の可動底が凹所に達すると凹所を介して第1液収納室が第2液収納室に連通して第1液と第2液とが混合されるように構成された2液混合容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-155639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の2液混合容器では、胴部の内側に第2の可動底を組み付けた後、容器体の内部に第2液を充填し、次いで、第2の可動底で区画された容器体の内部に第1液を充填した後、胴部の内側に第1の可動底を組み付ける必要があり、容器への内容液の充填作業及び可動底の組付け作業が煩雑であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、第1液と第2液とを容易に混合することができるとともに、内容液の充填作業及び可動底の組付け作業を容易に行うことが可能な2液混合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の2液混合容器は、口部と、下端が開口した筒状の胴部とを備えた第1容器体と、前記胴部の下端に装着され、前記開口を閉塞して前記第1容器体の内部に第1液を収納する第1収納室を区画形成する第2容器体と、を有し、前記第2容器体は、筒状体と、前記筒状体の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第1可動底と、前記第1可動底よりも上方において前記筒状体の内側に液密に装着されて前記第1可動底との間に第2液を収納する第2収納室を区画形成するとともに、前記筒状体の内周面から離れて前記第2収納室を前記第1収納室に連通させる連通位置にまで上方に移動可能な第2可動底と、前記胴部に回動自在に装着され、前記胴部に対して回動することで前記第1可動底を上方に移動させる回動操作部と、を備えており、前記第2可動底が、前記筒状体の内周面に接する内側円筒部と、頂壁部を介して前記内側円筒部に連なって前記筒状体の外側に配置される外側円筒部と、を有し、前記第2可動底が前記連通位置になると、前記内側円筒部が前記筒状体の内周面から離れて、前記頂壁部に設けられた貫通孔を介して前記第2収納室が前記第1収納室に連通されるように構成されていることを特徴とする
【0009】
本発明の2液混合容器は、口部と、下端が開口した筒状の胴部とを備えた第1容器体と、前記胴部の下端に装着され、前記開口を閉塞して前記第1容器体の内部に第1液を収納する第1収納室を区画形成する第2容器体と、を有し、前記第2容器体は、筒状体と、前記筒状体の内側に液密且つ上方に移動可能に装着された第1可動底と、前記第1可動底よりも上方において前記筒状体の内側に液密に装着されて前記第1可動底との間に第2液を収納する第2収納室を区画形成するとともに、前記筒状体の内周面から離れて前記第2収納室を前記第1収納室に連通させる連通位置にまで上方に移動可能な第2可動底と、前記胴部に回動自在に装着され、前記胴部に対して回動することで前記第1可動底を上方に移動させる回動操作部と、を備えており、前記回動操作部が、前記胴部の外周面に摺接する操作用筒部と、前記操作用筒部の下端に連なる底壁部と、前記底壁部の内面から上方に向けて突出する内側筒部とを備え、前記第1可動底に設けられた係止壁の下端が、前記内側筒部の内周面に設けられた傾斜面に係合することで、前記回動操作部の回動が前記第1可動底の上方への移動に変換されるように構成されていることを特徴とする
【0010】
本発明の2液混合容器は、上記構成において、前記口部に、ポンプ式のディスペンサーが装着されているのが好ましい。
【0011】
本発明の2液混合容器は、上記構成において、前記口部に、スポイト付きのキャップが装着されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1液と第2液とを容易に混合することができるとともに、内容液の充填作業及び可動底の組付け作業を容易に行うことが可能な2液混合容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態である2液混合容器の半断面図である。
図2図1に示す2液混合容器の、第2容器体の部分を拡大して示す半断面図である。
図3図1に示す第2容器体の、単体での半断面図である。
図4図2に示す第2容器体の、第1液と第2液とを混合させた状態における半断面図である。
図5図1に示す2液混合容器の、変形例の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る2液混合容器1について詳細に例示説明する。
【0015】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、図1に示すように2液混合容器1を正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとし、径方向は、2液混合容器1の軸心Oを通り、軸心Oに垂直な直線に沿う方向を意味し、周方向は軸心O周りの方向を意味するものとする。
【0016】
図1に示す本発明の一実施の形態である2液混合容器1は、その内部に、2種類の液体、すなわち第1液L1及び第1液L1とは異なる第2液L2を、第1収納室R1ないし第1収納室R1とは別の第2収納室R2に分けて収納することができるとともに、使用時に、第1液L1と第2液L2とを容器内部で容易に混合させることができるものである。
【0017】
2液混合容器1に収納する第1液L1及び第2液L2としては、例えば、混合されることで所定の効能を発揮する液体化粧料となるが、混合後、比較的早期に当該効能が消失するようなものを採用することができる。
【0018】
2液混合容器1は、第1容器体10と第2容器体20とを有している。
【0019】
第1容器体10は、口部11と、口部11の下端に肩部12を介して一体に連なる胴部13とを有している。口部11は軸心Oを中心とした円筒状となっており、その外周面には雄ねじ11aが一体に設けられている。胴部13は、口部11と同軸の円筒状となっており、その下端は開口している。第1容器体10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料を射出成形して形成することができるが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の他の合成樹脂材料を射出成形して形成するようにしてもよい。
【0020】
第1容器体10は、口部11と、下端が開口した筒状の胴部13とを備えていれば、上記に限らず、例えば肩部12を備えないなど、その形状は種々変更可能である。
【0021】
第2容器体20は、第1容器体10の胴部13の下端に装着され、胴部13の開口を閉塞して第1容器体10の内部に第1液L1を収納する第1収納室R1を区画形成している。
【0022】
図2に示すように、第2容器体20は筒状体21を有している。筒状体21は、軸心Oを中心とした円筒状の小径筒部21aと、小径筒部21aの上端に段差を介して一体に連なる大径筒部21bとを有している。大径筒部21bの内径は、段差の分だけ小径筒部21aの内径よりも大きくなっている。
【0023】
小径筒部21aの外側には円筒状の固定筒部22が一体に設けられている。固定筒部22は第1容器体10の胴部13の内面に圧入により嵌合固定されるとともに、スプライン部23により胴部13に対して周方向に回り止めされている。このように、固定筒部22が胴部13に固定されることで、第2容器体20は胴部13の下端に装着されている。
【0024】
固定筒部22の下端には円環状の係止フランジ24が一体に設けられている。係止フランジ24が胴部13の下端面に当接することで、第2容器体20は第1容器体10に対して上下方向に位置決めされている。
【0025】
筒状体21の小径筒部21aの内側には第1可動底25が装着されている。第1可動底25は、円筒状の周縁部25aが小径筒部21aの内周面に摺接することで、筒状体21に対して上方に移動可能となっている。また、周縁部25aには円環状のシール部材26が装着されており、第1可動底25と小径筒部21aの内周面との間はシール部材26により液密に封止されている。
【0026】
第1可動底25の本体部25bは、中央部分が下方に向けて僅かに凹むように湾曲した皿状となっている。本体部25bの下面には軸心Oと同軸の円筒状の下向き筒部25cが一体に設けられ、下向き筒部25cの外周面には、径方向に沿って延びる係止壁25dが一体に設けられている。係止壁25dの上端部分は本体部25b及び周縁部25aにも連結されている。なお、図2においては、1つの係止壁25dのみが示されているが、下向き筒部25cの外周面には、軸心Oを挟んで一対の係止壁25dが設けられている。
【0027】
筒状体21の大径筒部21bの内側には第2可動底27が装着されている。第2可動底27は、第1可動底25よりも上方において大径筒部21bの内周面に液密に接することで、筒状体21の内側の第1可動底25との間の部分に第2液L2を収納する第2収納室R2を区画形成している。
【0028】
より具体的には、第2可動底27は、中央部分が下方に向けて凹むように湾曲した皿状の本体部27aと、本体部27aの周縁部に一体に連なる環状の内側円筒部27bと、頂壁部27cを介して内側円筒部27bに一体に連なって大径筒部21bの外側に配置される外側円筒部27dとを有している。第2可動底27は、内側円筒部27bにおいて大径筒部21bの内周面に液密に接している。
【0029】
第2可動底27は、内側円筒部27bが大径筒部21bの内周面に対して摺動し、外側円筒部27dが大径筒部21bの外周面に対して摺動することで、図2に示す位置から筒状体21に対して上方に移動可能となっている。
【0030】
頂壁部27cには、頂壁部27cを上下方向に貫通する貫通孔27eが設けられている。図2においては、1つの貫通孔27eのみが示されているが、頂壁部27cには複数の貫通孔27eが周方向に間隔を空けて設けられている。なお、貫通孔27eは、少なくとも1つ設けられていれば、その数は種々変更可能である。
【0031】
第2可動底27が、図2に示す位置から筒状体21に対して上方に移動して、内側円筒部27bが大径筒部21bの内周面に対して上方に離れる連通位置にまで達すると、第2収納室R2が頂壁部27cに設けられた貫通孔27eを介して第1収納室R1に連通する。連通位置にまで移動した第2可動底27は、外側円筒部27dにより大径筒部21bに支持される。
【0032】
外側円筒部27dの内周面には、上側突起27fと、上側突起27fよりも下方の下側突起27gとが設けられている。上側突起27fは、大径筒部21bの外周面に設けられた係止突起21cに、当該係止突起21cを乗越え可能な程度に緩く係止されている。これにより、第2可動底27は、図2に示す位置に保持されるとともに、上方に向けた力を受けたときに、上側突起27fが係止突起21cを乗り越えて連通位置に向けて移動することができる。一方、下側突起27gは、上側突起27fよりも突出高さが高くなっている。これにより、上側突起27fが係止突起21cを乗り越えて第2可動底27が連通位置に達すると、下側突起27gが係止突起21cに係合して、第2可動底27の連通位置を超えたさらに上方への移動が規制されるようになっている。
【0033】
なお、外側円筒部27dは、大径筒部21bの外周面に対して摺動する構成に限らず、大径筒部21bの外側に配置されて第2可動底27を大径筒部21bに支持させることができれば、大径筒部21bの外周面に対して僅かに間隔を空けて配置された構成であってもよい。また、下側突起27gは、上側突起27fよりも突出高さが高いものに限らず、第2可動底27の連通位置を超えたさらに上方への移動を規制するように外側円筒部27dを大径筒部21bに保持することができれば、上側突起27fと突出高さが同一であってもよく、上側突起27fよりも突出高さが低くてもよい。
【0034】
第2容器体20は胴部13に回動自在に装着された回動操作部30を有している。回動操作部30は、使用者により操作されて、胴部13に対して軸心Oを中心として回動することで、第1可動底25を筒状体21に対して上方に移動させる。
【0035】
回動操作部30は、胴部13と同軸の円筒状に形成されて胴部13の外周面に摺接する操作用筒部31と、操作用筒部31の下端に一体に連なる底壁部32とを有する有底円筒状の外形を有している。胴部13の外周面には周方向に延びる環状溝13aが設けられ、操作用筒部31の内周面に設けられた突起31aが環状溝13aにアンダーカット係合している。これにより、回動操作部30は、胴部13に対して回動可能な状態で抜け止め保持されている。
【0036】
底壁部32の内面には、当該内面から上方に向けて突出する内側筒部33が一体に設けられている。内側筒部33は、軸心Oを中心とした円筒状となっており、その内周面には周方向に向けて傾斜して(軸心Oを中心として螺旋状に)延びる傾斜面33aが設けられている。第1可動底25の係止壁25dの下端は傾斜面33aの上に乗せられて傾斜面33aに接している。また、筒状体21の小径筒部21aの下端部分には、当該部分から径方向内側に向けて延びる円環状の係止板21dが一体に設けられており、係止板21dに設けられた一対の切欠き溝21eに対応する係止壁25dが嵌め込まれることで、第1可動底25は筒状体21を介して胴部13に対して回り止めされている。
【0037】
このような構成により、回動操作部30が胴部13に対して回動すると、係止板21dにより回り止めされた係止壁25dの下端が傾斜面33aにより押されて、当該回動が第1可動底25の上方への移動に変換される。したがって、回動操作部30を胴部13に対して回動させることで、第1可動底25を図2に示す位置から上方に向けて移動させることができる。
【0038】
なお、第1可動底25と内側筒部33とをねじ結合させることで、回動操作部30の回動を第1可動底25の上方への移動に変換する構成とすることもできる。
【0039】
図1に示すように、2液混合容器1は、口部11に、ポンプ式のディスペンサー40が装着された構成とすることができる。
【0040】
ディスペンサー40は、装着キャップ41が雄ねじ11aにねじ結合して口部11に装着されており、ポンプ42及び吸引用パイプ43は第1容器体10の内部に吊り下げ保持されている。押下げヘッド44が押し下げ操作されると、ポンプ42が作動し、吸引用パイプ43の下端からポンプ42の内部に吸引された液体が、押下げヘッド44に設けられたノズル45から外部に吐出される。
【0041】
装着キャップ41に、押下げヘッド44を覆うオーバーキャップ46を着脱自在に装着した構成とすることもできる。
【0042】
上記構成を有する2液混合容器1では、図3に示すように、第2容器体20は、第1容器体10から取り外された単体においても、第2液L2を外部から密封した状態で収納可能な容器として構成される。したがって、第2可動底27を筒状体21から取り外し、第2収納室R2に第2液L2を充填した後、第2可動底27を筒状体21に装着することにより、第2容器体20への第2液L2の充填作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、第2液L2を充填する前に、筒状体21への第1可動底25の組付け作業を行うことができるので、当該組付け作業も容易である。
【0044】
さらに、第2液L2が充填された第2容器体20を、第1容器体10の胴部13の下端に装着することで、第1容器体10の内部に第1収納室R1を区画形成することができる。よって、第2液L2が充填された第2容器体20を胴部13の下端に装着し、口部11を通して第1収納室R1に第1液L1を充填した後、口部11にディスペンサー40を装着することにより、第1液L1の充填作業を容易に行うことができる。
【0045】
このように、本実施の形態の2液混合容器1では、第1液L1及び第2液L2の充填作業及び第1可動底25、第2可動底27の筒状体21への組付け作業を容易に行うことができる。
【0046】
また、上記構成を有する2液混合容器1では、図1に示すように、第1液L1と第2液L2とを、第1収納室R1と第2収納室R2とに分けて収納することができる。すなわち、使用前の流通時等において、第1液L1と第2液L2とを互いに混合させることなく、分離したままの状態に維持するように収納することができる。よって、例えば第1液L1及び第2液L2として、混合されることで所定の効能を発揮する液体化粧料となるが、混合後、比較的早期に当該効能が消失するようなものを採用した場合において、当該効能を消失させることなく、第1液L1及び第2液L2を良好な状態に維持したまま収納することができる。
【0047】
一方、使用時には、回動操作部30を胴部13に対して回動させるだけの簡単な操作で、第1液L1と第2液L2とを混合させることができる。具体的には、図4に示すように、回動操作部30を第1容器体10の胴部13に対して軸心Oを中心として回動させると、係止板21dにより回り止めされた係止壁25dの下端が傾斜面33aにより押されて、当該回動が第1可動底25の上方への移動に変換されて、第1可動底25が図2に示す位置から図4に示す位置にまで上方に移動する。なお、当該移動の範囲において、シール部材26は小径筒部21aの内周面に常に摺接し、第1可動底25と小径筒部21aとの間は液密にシールされた状態に維持される。
【0048】
第1可動底25が上方に移動すると、第2収納室R2の内部が加圧され、当該圧力により押されて第2可動底27が図2に示す位置から図4に示す連通位置にまで上方に移動する。第2可動底27が連通位置にまで移動すると、第2収納室R2が貫通孔27eを介して第1収納室R1に連通する。そして、この状態で第1可動底25が第2可動底27に対して上方に移動して第2収納室R2の容積を狭めることで、第2収納室R2に収納されている第2液L2が貫通孔27eを通して第1収納室R1に押し出されて流入し、第1収納室R1において第1液L1と第2液L2とが混合される。
【0049】
このように、本実施の形態の2液混合容器1では、使用前の流通時等において、第1液L1と第2液L2とを互いに混合させることなく分離したまま収納することができるとともに、回動操作部30を胴部13に対して回動させるだけの簡単な操作で第1液L1と第2液L2とを混合させることができる。
【0050】
また、本実施の形態の2液混合容器1では、図2に示すように、第2可動底27を、筒状体21の内周面に接する内側円筒部27bと、頂壁部27cを介して内側円筒部27bに連なって筒状体21の外周面に摺接する外側円筒部27dと、を有し、図4に示すように、第2可動底27が連通位置になると、内側円筒部27bが筒状体21の内周面から離れて、頂壁部27cに設けられた貫通孔27eを介して第2収納室R2が第1収納室R1に連通される構成としたので、第1容器体10に第2容器体20を組み付ける構成としても、第2可動底27が連通位置にまで移動して第1液L1と第2液L2とが混合された後に、外側円筒部27dにおいて第2可動底27が筒状体21に保持されるようにして、第2可動底27が容器内でガタつきを生じることを抑制することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態の2液混合容器1では、図2に示すように、回動操作部30を、胴部13の外周面に摺接する操作用筒部31と、操作用筒部31の下端に連なる底壁部32と、底壁部32の内面から上方に向けて突出する内側筒部33とを備えた構成とし、第1可動底25に設けられた係止壁25dの下端が内側筒部33の内周面に設けられた傾斜面33aに係合することで、回動操作部30の回動が第1可動底25の上方への移動に変換される構成としたので、回動操作部30の回動を第1可動底25の上方への移動に変換させる機構を簡単な構成とすることができる。
【0052】
第1液L1と第2液L2とが混合された後、オーバーキャップ46を取り外し、押下げヘッド44を押下げ操作することで、第1液L1と第2液L2とが混合されてなる内容液をノズル45から所定量ずつ吐出させることができる。
【0053】
図5に変形例として示すように、2液混合容器1は、口部11に、ポンプ付きのディスペンサー40に代えて、スポイト付きのキャップ50を装着した構成とすることもできる。
【0054】
キャップ50は、雄ねじ11aにねじ結合して口部11に装着されており、スポイト51はキャップ50に保持されてキャップ50と一体化されている。キャップ50が口部11に装着された状態において、スポイト51の吸引管51aはキャップ50から下方に向けて延びて第1収納室R1の内部に収納されている。スポイト51の弾性ポンプ部51bはキャップ50の上方に突出しており、この弾性ポンプ部51bを操作して第1収納室R1の内部の液体を吸引管51aの内部に吸引するとともに当該吸引した液体を外部に吐出させることができる。
【0055】
この変形例においても、回動操作部30を胴部13に対して回動させて第1収納室R1の内部に収納されている第1液L1と第2収納室R2の内部に収納されている第2液L2とを混合させた後、キャップ50に設けられたスポイト51を用いて第1液L1と第2液L2とが混合されてなる内容液を所定量ずつ外部に吐出させることができる。
【0056】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0057】
例えば、前記実施の形態においては、2液混合容器1は、口部11にポンプ付きのディスペンサー40ないしスポイト付きのキャップ50が装着された構成としたが、これに限らず、注出具を備えることなく単に口部11を閉塞するキャップが口部11に装着された構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 2液混合容器
10 第1容器体
11 口部
11a 雄ねじ
12 肩部
13 胴部
13a 環状溝
20 第2容器体
21 筒状体
21a 小径筒部
21b 大径筒部
21c 係止突起
21d 係止板
21e 切欠き溝
22 固定筒部
23 スプライン部
24 係止フランジ
25 第1可動底
25a 周縁部
25b 本体部
25c 下向き筒部
25d 係止壁
26 シール部材
27 第2可動底
27a 本体部
27b 内側円筒部
27c 頂壁部
27d 外側円筒部
27e 貫通孔
27f 上側突起
27g 下側突起
30 回動操作部
31 操作用筒部
31a 突起
32 底壁部
33 内側筒部
33a 傾斜面
40 ディスペンサー
41 装着キャップ
42 ポンプ
43 吸引用パイプ
44 押下げヘッド
45 ノズル
46 オーバーキャップ
50 キャップ
51 スポイト
51a 吸引管
51b 弾性ポンプ部
O 軸心
L1 第1液
L2 第2液
R1 第1収納室
R2 第2収納室
図1
図2
図3
図4
図5