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特許7309318部品歪みを評価するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】部品歪みを評価するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/32 20060101AFI20230710BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20230710BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G01B21/32
F02C7/00 A
F01D25/00 V
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017224119
(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2018119952
(43)【公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】15/367,419
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】イーサン・デーガニリ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェームス・バッチンガー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・リー・ホビス
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ルオ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョセフ・ロックナー
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-092063(JP,A)
【文献】特開平08-313221(JP,A)
【文献】特開2016-200446(JP,A)
【文献】米国特許第08818078(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
F01D 13/00-15/12
23/00-25/36
F02C 1/00-9/58
F23R 3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面(11)上に基準特徴(40)を有する前記外面(11)を有する部品(10)を評価する方法であって、
前記基準特徴(40)の初期状態を決定するステップと、
前記初期状態を決定した後に、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、
前記部品(10)が稼働位置にある間に、前記少なくとも1つのデューティサイクルの後に前記基準特徴(40)の後続状態を決定するステップと、
前記基準特徴(40)が前記後続状態にある間に、前記基準特徴(40)の前記外面(11)にパテ(214)を適用して複製(50)を形成するステップと
を含み、
前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記基準特徴(40)の前記複製(50)に基づく、
方法。
【請求項2】
外面(11)上に基準特徴(40)を有する前記外面(11)を有する部品(10)を評価する方法であって、
前記基準特徴(40)の初期状態を決定するステップと、
前記初期状態を決定した後に、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、
前記部品(10)が稼働位置にある間に、前記少なくとも1つのデューティサイクルの後に前記基準特徴(40)の後続状態を決定するステップと、
前記基準特徴(40)が前記初期状態にある間に、前記基準特徴(40)の複製(50)を前記外面(11)に形成するステップと
を含み、
前記基準特徴(40)の前記初期状態を決定する前記ステップは、前記基準特徴(40)の前記複製(50)に基づく、
方法。
【請求項3】
前記複製(50)を前記外面(11)に形成する前記ステップは、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前記ステップに先立って、前記基準特徴(40)が前記初期状態にある間に、前記基準特徴(40)の刻印(50)をパテ(214)内に形成するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準特徴(40)の刻印(50)をパテ(214)内に形成するステップと、
前記基準特徴(40)が前記後続状態にある間に前記パテ(214)内に前記基準特徴(40)の刻印(50)を形成するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複製(50)は、第1の複製(50)第2の複製(50)含む、請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、部品歪みを評価するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、部品が稼働位置に留まる間に部品上に配置される受動的歪みインジケータの測定およびスキャンを可能にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業用途を通して、装置部品は、多数の極端な条件(例えば、高温、高圧、大きな応力負荷など)を受ける。時間の経過とともに、装置の個々の部品は、部品の使用可能な寿命を低下させる可能性があるクリープおよび/または変形を受けることがある。そのような懸念は、例えば、いくつかのターボ機械に当てはまる可能性がある。
【0003】
ターボ機械は、発電および航空機エンジンなどの分野で広く利用されている。例えば、従来からのガスタービンシステムは、圧縮機部、燃焼器部、および少なくとも1つのタービン部を含む。圧縮機部は、空気が圧縮機部を通って流れるときに空気を圧縮するように構成される。空気は圧縮機部から燃焼器部に流れ、そこで燃料と混合されて燃焼され、高温ガス流を生成する。高温ガス流は、タービン部に供給され、タービン部は、高温ガス流からエネルギーを取り出して、圧縮機、発電機、および他の様々な負荷に動力を供給する。
【0004】
ターボ機械の動作中に、ターボ機械内、特にタービンブレードなどのターボ機械のタービン部内の様々な部品は、高温および応力によりクリープを受ける可能性がある。タービンブレードの場合には、クリープがブレードの一部または全部を伸長させて、ブレード先端部が固定構造、例えばタービンケーシングに接触し、動作中に望ましくない振動および/または性能低下を引き起こすおそれがある。
【0005】
したがって、クリープについて部品を監視することが望ましい。クリープについて部品を監視する1つの手法は、部品に歪みセンサを構成し、様々な間隔で歪みセンサを解析して、クリープ歪みに関連する変形を監視することである。しかしながら、そのような変形は、多くの場合、元の寸法の0.01%のオーダーであり、歪み監視のための特別な機器を必要とする。このような機器は、多くの場合、現場では実現できない精密な較正を必要とする。
【0006】
例えば、特殊な機器を使用して、歪みセンサの視覚画像を取得し、関連する部品の様々な時刻に撮影された画像内の歪みセンサの寸法を比較することができる。通常、このような画像において2つの軸に沿った寸法を直接測定することができ、第3の軸に沿った寸法を推定することができる。しかし、このような手法は、一般に、センサおよび部品に対する直接的な視線を必要とする。部品を測定するには、大量のスペースと分解が必要となり得る。結果として、現場での測定は、ほとんどの既存のシステムでは不可能ではないにしても、困難であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第9292916号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様および利点は、その一部を以下の説明に記載しており、あるいはその説明から明らかになり、あるいは本発明の実施により学ぶことができる。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、部品を評価するための方法が提供される。部品は、外面上に基準特徴を有する外面を有する。本方法は、基準特徴の初期状態を決定するステップと、初期状態を決定した後に、部品を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、部品が稼働位置にある間に、少なくとも1つのデューティサイクルの後に基準特徴の後続状態を決定するステップと、を含む。本方法はまた、基準特徴が初期状態または後続状態のうちの一方にある間に、基準特徴の複製を形成するステップを含み、基準特徴の初期状態を決定するステップまたは基準特徴の後続状態を決定するステップのうちの一方は、基準特徴の複製に基づく。
【0010】
本開示の別の実施形態によれば、ターボ機械の部品を評価するための方法が提供される。部品は、外面上に基準特徴を有する外面を有する。本方法は、基準特徴の初期状態を決定するステップと、部品を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、基準特徴の少なくとも一部がパテによって覆われ、基準特徴の少なくとも部分的な刻印がモールドパテ内に形成されるように、インジェクタツールを用いて部品にモールドパテを適用するステップと、部品からモールドパテを除去するステップと、基準特徴の少なくとも部分的な刻印に基づいて基準特徴の後続状態を決定するステップと、を含む。
【0011】
本発明のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の図面を参照すれば、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0012】
本発明の完全かつ可能な開示は、その最良の形態を含み、当業者に向けられて、本明細書に記載されており、それは以下の添付の図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による受動的歪みインジケータおよびその複製を含む例示的な部品の斜視図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による例示的な受動的歪みインジケータのオーバーヘッド図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガスタービンの側部部分断面図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態によるガスタービンの一部の断面図である。
図5図1の受動的歪みインジケータおよび複製の例示的な複製の概略図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態による受動的歪みインジケータを含む例示的な部品の斜視図である。
図7図5の受動的歪みインジケータの例示的な複製の図である。
図8図6の受動的歪みインジケータの複製を形成するための例示的な装置の斜視図である。
図9図6の受動的歪みインジケータの複製を形成するための別の例示的な装置の部分断面図である。
図10図6の受動的歪みインジケータの複製を形成するための例示的な装置のシェルの端面図である。
図11図10のシェルの側面図である。
図12】受動的歪みインジケータの複製を形成するための例示的な装置の斜視図であり、この装置は図10のシェルを含む。
図13】本開示の1つまたは複数の実施形態による部品を評価するための方法を示すフローチャートである。
図14】本開示の1つまたは複数の実施形態による部品を評価するための方法を示すフローチャートである。
図15】本開示の1つまたは複数の実施形態による部品を評価するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで本発明の実施形態が詳細に参照され、それらのうちの1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本発明の限定としてではなく、本発明の例示として提示される。実際、本発明の範囲または主旨から逸脱せずに、本発明に様々な修正および変形を施し得ることが、当業者にとっては明らかであろう。例えば、一実施形態の一部分として例示または記述する特徴を別の実施形態とともに用いて、またさらなる実施形態を生み出すことができる。よって、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内にある、そのような修正形態および変形形態をカバーすることを意図している。
【0015】
本主題の1つまたは複数の実施形態によれば、外面11上に基準特徴40を有する外面11を有する部品10は、少なくとも1つの関心のある時間に基準特徴40の複製50を形成することによって評価することができる。例えば、関連する関心のある時間は、装置に部品10を設置する前および/または部品10を稼働させる前の製造時もしくは別の時間、あるいは部品10を稼働させて部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけた後の時間を含んでもよい。部品10を稼働させる前に、部品10およびその任意の基準特徴40は初期状態にあるとみなすことができる。部品10を稼働させ、部品10を1つまたは複数のデューティサイクルにかけた後に、部品10およびその上の任意の基準特徴40は後続状態にあるとみなすことができる。基準特徴40の複製50に基づいて、例えば複製50を解析することによって、部品10およびその上の基準特徴40が稼働位置にあるままで、基準特徴40の状態、例えば初期状態および/または後続状態を決定することができる。上述したように、特殊な機器を使用して受動的歪みインジケータ40(これは基準特徴の実施形態である)を解析することができ、特殊な機器は一般に、部品10を測定するために装置の多くの空間および分解を必要とする。本主題によれば、部品10を装置から取り外す必要なしに、複製50をこのような専用の機器で解析することができるので、部品10が稼働位置にあるままで、複製50を解析して基準特徴40(例えば、受動的歪みインジケータ)の状態を決定することができる。
【0016】
さらに、いくつかの実施形態は、例えば、基準特徴40の後続状態を基準特徴40の初期状態と比較するなど、異なる時間間隔で基準特徴40の状態を比較することを含むことができる。言い換えれば、例示的な方法は、基準特徴40が初期状態または後続状態のうちの一方にある間に基準特徴40の複製50を形成するステップと、基準特徴40の複製50を基準特徴の初期状態または基準特徴の後続状態のうちの他方と比較するステップと、を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態は、基準特徴40の複製50を基準特徴40の初期状態と比較することを含むことができる。さらなる例として、いくつかの実施形態は、基準特徴40の複製50を基準特徴40の後続状態と比較することを含むことができる。
【0017】
さらに、いくつかの例示的な実施形態は、基準特徴40の初期状態の複製50および基準特徴40が後続状態にある間に作成される別の複製50などの、複数の複製を含むことができる。他の例示的な実施形態は、同じ状態の複数の複製50、例えば、後続状態における基準特徴40の第1の複製50および後続状態における基準特徴40の第2の複製50を含むことができる。複数の複製50を含む実施形態では、複数の複製50の特性を平均して、複製プロセスから生じる可能性のある誤差を回避または最小化することができる。例えば、例示的な方法は、後続状態における基準特徴40の第1の複製をスキャンし、後続状態における基準特徴40の第2の複製をスキャンし、両方のスキャンの結果を平均するステップを含むことができる。
【0018】
様々な例示的な実施形態では、基準特徴40の初期状態は、部品10の製造後などに部品10上の物理的基準特徴40を測定することによって決定することができ、および/または基準特徴40の初期状態は予め決定することができ、例えば、部品10および受動的歪みインジケータ40は、デジタル設計に基づいて積層造形プロセスを用いて形成することができ、デジタル記録された設計データに基づいて基準特徴40の初期状態を決定することができる。いくつかの例示的な実施形態は、部品10が基準特徴40の予め決定された初期状態を有するように設計することと、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前に基準特徴40の状態を測定することによって初期状態を決定することと、を両方含むことができるので、測定された状態および予め決定された状態の両方に基づいて初期状態を決定することができる。このような実施形態では、部品10の製造中に設計からの偏差または部品10自体の測定における誤差のいずれかから生じる可能性がある誤差を最小化または無効化することができる。
【0019】
ここで図1を参照すると、部品10は、複数の基準特徴を備え、これらの実施形態では、部品の外面11の一部分に構成された受動的歪みインジケータ40を備えて示されている。例えば、図1および図5に示すように、受動的歪みインジケータ40の少なくとも1つの複製50を設けることができる。部品10(より詳細には、部品10全体の基板)は、例えば、高温用途に利用される部品(例えば、ニッケルまたはコバルト基超合金を含む部品)などの、様々な異なる用途で使用される様々な種類の部品のいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、部品10は、燃焼部品または高温ガス経路部品などの産業用ガスタービンまたは蒸気タービン部品であってもよい。いくつかの実施形態では、部品10は、タービンブレード、圧縮機ブレード、ベーン、ノズル、シュラウド、ロータ、トランジションピース、またはケーシングであってもよい。他の実施形態では、部品10は、ガスタービン、ガスタービン、蒸気タービンなどのための他の任意の部品などのタービンの他の任意の部品であってもよい。いくつかの実施形態では、部品は、自動車部品(例えば、自動車、トラックなど)、航空宇宙部品(例えば、航空機、ヘリコプター、宇宙船、アルミニウム部品など)、機関車またはレール部品(例えば、列車、列車の軌道など)、構造物、インフラまたは土木工学の部品(例えば、橋梁、建物、建設機器など)、ならびに/あるいは発電プラントまたは化学処理の部品(例えば、高温用途に使用される配管)を含むが、これらに限定されない非タービン部品であってもよい。
【0020】
部品10は、その上または下に基準特徴40を構成することができる外面11を有する。本開示による基準特徴40は、任意の適切な技術を用いて外面11上に構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、例えば直接セラミックインクジェット印刷、エアロゾルジェット印刷、または別の適切な方法によって、部品10の外面11上に基準特徴40を印刷することができる。いくつかの実施形態では、基準特徴は、堆積技術、レーザクラッディング、電気スパーク堆積、スポット溶接、粉末床印刷、または他の適切な積層造形技術を含む付加的方法によって外面11上に形成することができる。他の例示的な実施形態には、これらに限定されるものではないが、レーザアブレーション、彫刻、機械加工などの除去技術、アニーリング、直接的な表面変色、または反射率の局所的変化を引き起こす技術などの外観変化技術、接着、溶接、ろう付けなどの適切な取り付け装置または技術を使用して、以前に形成された基準特徴40の取り付け、あるいは、基準特徴40の構成要素として機能することができる外面11の既存の特性を特定すること、が含まれる。さらに、さらなる代替的な実施形態では、部品10の製造中または製造後に、適切な埋め込み技術を使用して、外面11の下に基準特徴40を構成することができる。
【0021】
例えば図2に示すように、基準特徴40は、一般に、複数の時間間隔で少なくとも2つの基準点41と42との間の距離Dを測定するために使用できる少なくとも2つの基準点41、42を含む。当業者には理解されるように、これらの測定は、部品10のその領域における歪み、歪み速度、クリープ、疲労、応力などの量を決定するのに役立つことができ、例えば、基準特徴40は受動的歪みインジケータであってもよい。少なくとも2つの基準点41、42は、これらの間の距離Dを測定することができる限り、特定の部品10に応じて、様々な距離および様々な位置に配置することができる。さらに、少なくとも2つの基準点41、42は、これらが一貫して識別可能であって、これらの間の距離Dを測定することができる限り、ドット、線、円、ボックス、または任意の他の幾何学的または非幾何学的形状であってもよい。
【0022】
図1および図2は、例示的な実施形態を示しており、受動的歪みインジケータ40(基準特徴の一実施形態である)は、部品10の外面11の一部に付着または印刷された状態で構成された2次元受動的歪みインジケータである。図1に示す例示的な部品10の実施形態は、タービン部品、より詳細にはタービンブレードである。しかし、部品10は、上述したように、様々な追加の部品または代替部品であってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0023】
受動的歪みインジケータ40は、様々な異なる形状、サイズ、および配置された基準点41、42を組み込むことなどによって様々な異なる構成および断面を含むことができる。例えば、受動的歪みインジケータ40は、様々な形状およびサイズを有する様々な異なる基準点を含むことができる。このような実施形態は、最も外側の基準点の間(図示するような)、2つの内側または外側の基準点の間、またはそれらの間の任意の組み合わせなどの、より多様な距離測定値Dを提供することができる。このより広い多様性は、より多様な位置にわたって歪み測定値を提供することによって、部品10の特定の部分のよりロバストな歪み解析を提供することができる。
【0024】
さらに、受動的歪みインジケータ40の寸法は、例えば、部品10、受動的歪みインジケータ40の位置、測定の目標精度、適用技術、および光学測定技術に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、1ミリメートル未満から300ミリメートルを超える長さLおよび幅Wを有することができる。さらに、受動的歪みインジケータ40は、下にある部品10の性能に著しい影響を与えることなく、適用およびその後の光学的識別/測定に適した任意の厚さを有することができる。特に、この厚さは、表面11から正の厚さであってもよいし(付加的技術を利用する場合など)、あるいは表面11内に負の厚さであってもよい(除去技術を利用する場合など)。例えば、いくつかの実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、約0.01ミリメートル未満から1ミリメートルより大きい厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、実質的に均一な厚さを有してもよい。このような実施形態は、第1および第2の基準点41と42との間のその後の歪み計算のためのより正確な測定を容易にするのを助けることができる。
【0025】
任意選択的な実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、第1および第2の基準点41、42が正方形または長方形の2つの対向する辺を画定する、正に適用された正方形または長方形を含むことができる。いくつかの実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、負の空間45(すなわち、受動的歪みインジケータ材料が適用されない領域)によって分離された少なくとも2つの適用された基準点41、42を含むことができる。負の空間45は、例えば、部品10の外面11の露出した部分であってもよい。代替的にまたは追加的に、負の空間45は、少なくとも2つの基準点41、42の材料とは区別される(またはその逆)、その後に適用されるコントラスト(すなわち、視覚的なコントラスト、紫外線または赤外線スペクトルでのコントラスト、または電磁スペクトルにおける任意の他の適切な波長範囲におけるコントラスト)のある材料であってもよい。
【0026】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、受動的歪みインジケータ40は、固有の識別子47(以下、「UID」)を含むことができる。UID47は、その特定の受動的歪みインジケータ40の識別を容易にする、バーコード、ラベル、タグ、シリアル番号、パターン、または他の識別システムの任意のタイプを含むことができる。いくつかの実施形態では、UID47は、追加的または代替的に、受動的歪みインジケータ40が構成される部品10または全体のアセンブリに関する情報を含むことができる。UID47は、それによって、特定の受動的歪みインジケータ40、部品10、または全体のアセンブリの識別および追跡を助けて、過去、現在および将来の動作追跡のために測定値を相関させることを助けることができる。
【0027】
ここで、図3および図4を参照すると、図示されたガスタービン100、蒸気タービンまたは他のターボ機械などの、ターボ機械(装置の実施形態)内での動作のために、部品10(その上に構成された1つまたは複数の表面特徴40を有する)を配置することができる。ガスタービン100は、圧縮機部102、燃焼器部104、およびタービン部106を含むことができる。一般に、圧縮機部102は、加圧空気を燃焼器部104に供給し、燃焼器部104では加圧空気を燃料と混合し、混合物を燃焼させて作動流体または高温ガス流を生成する。作動流体は、タービン部106を通って流れ、タービン部106内の様々な回転可能な部品の回転を引き起こし、次に圧縮機部102(およびその様々な回転可能な部品の回転)を駆動する。図示するように、タービン部106は、高温ガス流の流れアニュラス115を横切って半径方向に延在するロータブレード112およびステータベーン114の1つまたは複数の段を含む。圧縮機部102は、さらに、ロータブレード116およびステータベーン118の1つまたは複数の段を含む。ケーシング120は、圧縮機部102、燃焼器部104、およびタービン部106の周りに延在し、それらを包囲する。図示するように、ケーシング120は、2つ以上の部分から形成されてもよい。図示する実施形態では、ケーシングは、ケーシング120を形成する第1のシェル122および第2のシェル124を含む。
【0028】
ケーシング120は、ボアスコープ130を使用してケーシング120の内部に配置されたガスタービン100の部品の定期的な検査を可能にする、内部に画定された1つまたは複数のアクセスポート126を含むことができる。一般的に理解されるように、ガスタービンの動作中、各ポート126は、適切なプラグによって閉じられる。
【0029】
ボアスコープ130は、ガスタービン100の部品の検査のために、ガスタービンケーシング120のアクセスポート126を通って延長することができる。ボアスコープ130は、一般に、本明細書で説明するように、レンズ132、および画像50(画像50は複製50の例示的な実施形態である)をプロセッサに送信するための適切な光学システムを含むことができる。光学システムは、ボアスコープの本体134内に収容することができ、ボアスコープの本体134は、例えばガスタービンケーシング120内で一般的に可撓性で移動可能であり、ガスタービン100の様々な部品の観察を容易にすることができる。カラー136は、レンズ132に近接するように、本体134の一部を取り囲むことができる。カラー136は、本明細書で説明するような位置合わせ機構を支持することができる。
【0030】
ボアスコープ130は、データ収集デバイス140の部品であってもよく、一般に表面特徴40を解析するために利用されてもよい。データ収集デバイス140は、例えば、ボアスコープ130、画像キャプチャデバイス142、およびコンピューティングデバイス144を含むことができる。画像キャプチャデバイス142は、一般に、レンズ132および光学系と通信して、レンズ132からの光を受け取り、処理して画像を生成することができる。例示的な実施形態では、例えば、画像キャプチャデバイス142は、一般に理解されるように、デジタル画像などの画像を生成するためにカメラレンズから光を受け取り、処理するカメラセンサであってもよい。
【0031】
画像キャプチャデバイス142は、コンピューティングデバイス144と通信することができる。コンピューティングデバイス144は、一般的に、画像キャプチャデバイス142およびデバイス140からの画像を格納および解析するための適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。そのようなハードウェアおよび/またはソフトウェアは、例えば、一般に表面特徴を解析することができる。例えば、受動的歪みインジケータ40を解析して、上述したように変形および歪みが生じたかどうかを判定することができる。
【0032】
コンピューティングデバイス144は、様々なコンピュータに実装された機能を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサおよび関連するメモリデバイスを含むことができる。本明細書で使用する「プロセッサ」という用語は、コンピュータに含まれるものとして当技術分野で呼ばれている集積回路を指すだけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、および他のプログラマブル回路も指す。プロセッサはまた、スキャナ60などの、プロセッサと通信している様々な他の部品から入力を受信し、制御信号をそれらに送信するための様々な入力/出力チャネルを含むことができる。プロセッサは、本明細書で説明するように、スキャナ60からの入力およびデータを格納および解析し、一般的に方法ステップを実行するための適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアをさらに含むことができる。さらに、メモリデバイスは、一般に、限定はしないが、コンピュータ可読媒体(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピーディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および/または他の適切なメモリ素子を含むメモリ素子であってもよい。このようなメモリデバイスは、一般に、プロセッサによって実装されたときに、コンピューティングデバイス144が様々な機能を実行するように構成する適切なコンピュータ可読命令を格納するように構成することができる。
【0033】
代替的な実施形態では、電界スキャナまたは他の適切な撮像装置を含むデバイスなどの、他の適切なデータ収集デバイスを利用することができる。
【0034】
特に、いくつかの実施形態では、データ収集デバイス140による部品10(本明細書で説明するロータブレード112、116または他の適切な部品など)の解析は、部品10が稼働位置とも呼ぶことができる現場にあるときに実行することができる。部品10は、ガスタービン100の部分102、104、106など、ターボ機械などのアセンブリ内に配置されている場合に稼働位置にある。特に、いくつかの実施形態では、そのような現場での解析が行われているときに、ケーシング120全体が部品10を取り囲むことができる。これらの実施形態では、ポート126を介して、レンズ132を含むボアスコープ130の一部などのデータ収集デバイス140の一部の延長により解析を行うことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、データ収集デバイス140、特に画像キャプチャデバイス142およびそのコンピューティングデバイス144は、1つまたは複数のインジケータ40の複製50を作成するように動作可能である。そのような実施形態では、複製50は、インジケータ40の画像50であってもよく、例えば、デジタル画像または画像の物理的なプリントアウトであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、画像50は、例えば、製造された際の、および/または部品10を稼働させて、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前の初期状態におけるインジケータの画像であってもよい。このような実施形態では、インジケータ40の初期状態は、例えば、基準点41と42との間の初期距離Dを決定することを含む画像50を解析することによって、インジケータの画像50に基づいて決定することができる。
【0036】
他の実施形態では、基準点41と42との間の絶対距離を測定することなく、画像50を解析して、初期状態から後続状態までの基準点41、42の変化を決定することができる。例えば、そのような実施形態は、基準点41と42との間の距離Dに関係なく、基準点41の初期状態を基準点41の後続状態と比較すること、および/または基準点42の初期状態を基準点42の後続状態と比較することを含むことができる。
【0037】
部品10を稼働させて、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけた後に、インジケータ40の後続状態を決定することができる。いくつかの実施形態では、インジケータ40の後続状態は、上述のようにボアスコープ130を使用して、部品10が稼働位置にある間に決定することができる。例えば、ボアスコープ130を介してインジケータ40を観察および/または解析してインジケータ40の後続状態を決定し、インジケータ40の後続状態をインジケータ40の初期状態のデジタル記憶画像50と比較することによって、インジケータ40を現場で解析することができる。
【0038】
図4に示す別の例として、複製50を形成するステップは、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップの前に、初期状態で基準特徴40の複製50を形成するステップを含むことができる。さらに、そのような例示的な実施形態では、基準特徴40の後続状態を決定するステップは、複製50を基準特徴40に近接して配置し、基準特徴40および複製50の画像52を作成するステップを含むことができる。図示するように、複製は画像50であってもよく、基準特徴はインジケータ40であってもよい。このような例示的な実施形態では、インジケータ40の初期状態の画像50は、部品が稼働位置にある、例えば装置に設置されている間にインジケータ40に近接して配置することができる。さらに、インジケータ40が後続状態にあるとき、例えば少なくとも1つのデューティサイクル後に、画像50をインジケータ40に近接して配置することができる。そのような実施形態では、データ収集デバイス140は、インジケータ40および複製50の画像52(図5)を作成することができ、インジケータ40は画像52では後続状態にあり、複製50はインジケータ40の初期状態を描写または再現する。この例では、インジケータ40の後続状態は、画像52に基づいて決定することができ、例えば、インジケータ40および複製50の画像52に基づいてインジケータ40と複製50とを比較することによって、画像52に基づくインジケータ40の初期状態と比較することもできる。いくつかの実施形態では、そのような比較は、基準点41および基準点42の一方または両方の任意の変化について画像52を解析することを含むことができる。いくつかの実施形態は、画像52を解析して距離Dの初期値および後続値を決定することによって、画像52に基づいて複製50をインジケータ40と比較することを含むことができる。画像52に基づいてインジケータ40の状態を決定することは、初期状態と後続状態の両方が同一の画像52に取り込まれて、同じ特徴とノイズが各状態に存在するので、有利なことに、較正の必要性を回避するか最小限にすることができる。
【0039】
次に図6図9を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、歪みセンサ40は、隆起したマーカ表面によって画定される基準点41、42を含むことができる。さらに、このような実施形態では、複製50は、基準点41、42が画定された隆起面ならびに外面11の一部を取り込む3次元複製であってもよい。例えば図7に示すように、3次元複製50の実施形態は、モールドが内部にインジケータ40の刻印を含むパテ材料で形成されたモールドを含むことができる。複製が刻印50であるいくつかの例示的な実施形態では、複製50を形成するステップは、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前に基準特徴40が初期状態にある間に、パテ214内に基準特徴40の刻印50を形成するステップを含むことができる。この実施形態では、インジケータの幾何学的形状を複製してタービンから移送して、ラボでさらに正確な測定を行うことができる。
【0040】
様々な実施形態において、パテは、剛性パテまたは可撓性パテであってもよい。例えば、パテが比較的剛性である実施形態では、インジケータ40が初期状態にあるときに刻印(複製の例示的実施形態である)50を形成することができ、刻印50がインジケータ40の初期状態の形状を保持するように、材料は十分に剛性であってもよい。図8は、インジェクタツール202を使用して、部品10を装置に取り付ける前に、例えば、部品が稼働位置にある前に、刻印50を形成することができる例示的な実施形態を示す。さらに、そのような例示的な実施形態では、部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけた後に、基準特徴40の後続状態を決定するステップは、基準特徴40が複製50(例えば、剛性モールドに形成された刻印50)に適合するかどうかを判定するステップを含むことができる。例えば、基準点41、42が同じ位置にまだ存在するかどうか、および/または同じ相対距離Dだけ離れているかどうかを判定するために、刻印50をインジケータ40の上に配置するか、またはインジケータ40に物理的に重ね合わせることができる。言い換えれば、剛性モールドが少なくとも1つのデューティサイクルの後にインジケータ40に依然として適合する場合には、部品10が著しいクリープまたは他の変形を経験していないと判定することができ、したがって部品10を継続して使用することができ、例えば、剛性モールドを使用してGo/No-Goテストを実行することができる。したがって、当業者であれば理解するように、このような実施形態による刻印50を形成するための剛性パテ材料の文脈において、本明細書で使用される「剛性」は、時間の経過とともにその形状を保持するのに十分に剛性であり、かつ、インジケータ40がその初期状態から変化した場合には、インジケータ40の後続状態に適応するように変形しないように十分に剛性でなければならない。例えば、そのような実施形態では、部品10の使用中に基準点41、42の形状および/または位置が変化した後にインジケータ40の上に置かれたときに、そこに形成されたモールド刻印50が曲がったり変形したりする場合には、パテ材料は可撓性であり、剛性ではないとみなされる。
【0041】
複製50がモールド刻印である追加の実施形態では、インジケータ40の刻印50は、インジケータ40が後続状態にある間に形成することができる。例えば、図9に示すように、ボアスコープ装置130は、ボアスコープ装置130に取り付けられたインジェクタツール202を含むことができ、したがって、いくつかの例示的な方法は、部品10が稼働位置にある間に、ボアスコープ装置130を使用してモールドパテを適用するステップを含むことができる。ボアスコープ装置上の画像キャプチャデバイス142を使用して、解析のために部品10のターゲット領域12を識別し位置決めすることができ、ターゲット領域12は、インジケータ40の少なくとも一部を含み、インジェクタツール202は、インジケータ40の刻印50(またはインジケータ40の少なくとも一部)を形成するために、部品10、特に部品10上のターゲット領域12にモールドパテを適用するために使用することができる。図9の例示的な実施例では、ボアスコープ装置130およびそれに取り付けられたインジェクタツール202は、ケーシング120内のアクセスポート126を通して挿入される。図9に示すインジェクタツール202の例示的な実施形態は、ある量のパテ214をその中に格納することができる貯蔵ボリューム210を含む。貯蔵ボリューム210は、インジェクタツール202の管状本体204内に画定されたルーメン212を介してノズル216と連通することができる。ノズル216は、部品10のターゲット領域12にパテ214を適用するために、ターゲット領域12の上または近くに配置することができる。
【0042】
そのような例示的な実施形態では、3次元データ収集デバイスを用いて複製50を直接測定することによって、基準特徴40の後続状態を決定することが可能となる。3次元データ収集デバイスを使用して複製50を直接測定することは、一般に、X軸、Y軸、およびZ軸に沿って基準特徴を直接測定して、X軸データ点、Y軸データ点、およびZ軸のデータ点を取得し、データ点から表面11のトポロジの正確な3Dデジタル複製を作成することを含む。X、Y、およびZ軸は互いに直交する。例えば、複製50は、3次元データ収集デバイス、例えば構造化光スキャナなどの光スキャナ、または3次元で直接的にデータを取得または測定することができる任意の他の適切なタイプの光スキャナでスキャンすることができる。いくつかの例示的な実施形態は、複製50の3次元データ、例えばスキャンを基準特徴の初期状態と比較することによって、基準特徴40の後続状態を基準特徴40の初期状態と比較することをさらに含むことができる。
【0043】
一般に、3次元で直接測定を得るために表面計測技術を利用する任意の適切な3次元データ収集デバイスを利用することができる。例示的な実施形態では、そのような3次元データ収集デバイスは、非接触表面計測技術を利用する非接触デバイスである。さらに、例示的な実施形態では、本開示による3次元データ収集デバイスは、3つの互いに直交する軸X、Y、およびZのそれぞれに沿った約100ナノメートル~約100マイクロメートルの分解能を有する。したがって、例示的な方法によれば、約100ナノメートル~約100マイクロメートルの分解能で、X軸データ点、Y軸データ点、およびZ軸データ点が得られる。
【0044】
あるいは、レーザスキャナなどの他の適切なデータ収集デバイスを利用してもよい。レーザスキャナは、一般に、これらの実施形態では基準特徴40およびタービン部品10などの対象物に向けてレーザビームの形態で光を放射するレーザを含む。この光は、データ収集デバイスのセンサによって検出される。例えば、いくつかの実施形態では、光は、それが接触する表面から反射され、そのデバイスのセンサによって受光される。光がセンサに到達する時間は、様々な軸に沿った測定を決定するために利用される。これらのデバイスは、通常、飛行時間型デバイスとして知られている。他の実施形態では、センサは、接触する表面上の光を検出し、センサの視野内の光の相対的な位置に基づいて測定値を決定する。これらのデバイスは、通常、三角測量デバイスとして知られている。X軸、Y軸およびZ軸のデータ点は、前述のように、検出された光に基づいて計算される。特に、例示的な実施形態では、プロセッサは、上記の開示された様々なステップを実行するために、このようなデータ収集デバイスを実行し動作させる。
【0045】
いくつかの実施形態では、レーザによって放射された光は、複数の基準特徴40などの、測定される対象物の一部分から反射するのに十分なだけの帯域で放射される。これらの実施形態では、ステッパモータまたはレーザを移動させるための他の適切な機構を利用して、光が測定される対象物全体から反射されるまで、必要に応じてレーザおよび放射帯域を移動させることができる。
【0046】
さらに、他の適切な3次元データ収集デバイスを利用することもできる。しかし、それに代えて、本開示は3次元データ収集デバイスの使用に限定されない。例えば、特に、図1図2図4、および図5で説明し図示したように、基準特徴40および/または複製50が2次元である実施形態ではそうである。
【0047】
いくつかの実施形態では、例えば図10図12に示すように、シェル220を設けることができる。例えば図10に見られるように、シェル220は、内部キャビティ222を含むことができる。例えば図11に見られるように、シェル220は、例えばボアスコープ装置130またはロボットアームによる係合のためのハンドル224を含むことができる。ボアスコープ装置は、シェル220をターゲット領域12に取り付けるために使用することができる。いくつかの実施形態では、シェル220は、ターゲット領域12の幾何学的形状に適合する予め作製されたシェル220であってもよい。いくつかの実施形態では、シェル220は、シェル220をパテ214に取り付ける内部キャビティ222内に配置された接着剤を含むことができる。ボアスコープ装置130およびシェル220を使用してパテ214に圧力を加えて、ターゲット領域12へのパテ214の適用後にパテ214を硬化させることができる。そのような圧力および任意選択の接着剤によって、パテ214をシェル220に固着させることができる。パテ214が硬化したら、それを部品10から剥がし、ボアスコープ装置130で除去することができる。したがって、基準点41、42の刻印50は、シェル220内に収容されたパテ214に形成することができる。
【0048】
ここで図13を参照すると、部品10を評価する例示的な方法300が示されており、部品10は、外面11上に基準特徴40を有する外面11を有する。例えば、上述したように、受動的歪みインジケータ40は、基準特徴の例示的な実施形態である。例示的な方法300は、ステップ310で基準特徴40の初期状態を決定し、初期状態を決定した後に、ステップ320で部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけることを含む。方法300は、少なくとも1つのデューティサイクルの後に、ステップ330で基準特徴40の複製50を形成することをさらに含む。上述したように、複製50は、様々な実施形態において、例えば写真または他の2次元画像などの基準特徴40の2次元複製、あるいはパテモールドに形成された刻印または3次元デジタル画像、例えばワイヤフレームモデルもしくはポリゴンメッシュなどの基準特徴40の3次元複製を含むことができる。例えば、デジタルレーザスキャナを使用して、基準特徴40の3次元画像を作成することができる。方法300は、ステップ340において、基準特徴40の複製50に基づいて、部品10が稼働位置にある間に、少なくとも1つのデューティサイクルの後に基準特徴40の後続状態を決定することをさらに含む。例えば、様々な実施形態では、複製50は、基準特徴40の2次元画像であって、複製50に基づいて基準特徴40の後続状態を決定するために、そこから距離Dなどの基準特徴40の様々な特性を決定することができる。他の例示的な実施形態では、複製50は、例えば、基準特徴40の刻印であってもよく、レーザスキャナまたは構造化光スキャナなどで刻印をスキャンして、刻印50に基づいて基準特徴40の後続状態を決定することができる。したがって、部品10は、複製50の画像、刻印、または他の実施形態が評価されている間、稼働位置に留まることができる。少なくともいくつかの実施形態では、方法300は、基準特徴40の複製50を基準特徴40の初期状態と比較するステップ350を含むことができる。このような実施形態では、複製50は、基準特徴40の後続状態を表し、例えば、少なくとも1つのデューティサイクルから生じる部品10の任意の応力、歪み、および/または起こり得る変形を評価するために、基準特徴40の以前に決定された初期状態と比較することができる。
【0049】
図14は、部品10を評価する別の例示的な方法302を示し、部品10は、外面11上に基準特徴40を有する外面11を有する。上記の方法300と同様に、いくつかの実施形態では、基準特徴は受動的歪みインジケータであってもよい。例示的な方法302は、ステップ312で部品10の外面11上に基準特徴40の複製50を形成し、ステップ322で複製50に基づいて基準特徴40の初期状態を決定することを含む。方法302は、初期状態を決定した後にステップ332において部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけて、部品が稼働位置にある間に、少なくとも1つのデューティサイクルの後に基準特徴40の後続状態を決定するステップをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、ボアスコープツール130を使用して部品の後続状態を決定することができ、様々な実施形態では、ボアスコープツール130は、例えば、後続状態の基準特徴40の画像を遠隔で見るか、または取り込むためのデータ収集デバイス140を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、方法302は、基準特徴40の複製50を基準特徴40の後続状態と比較するステップをさらに含むことができる。様々な例示的な実施形態では、このような比較は、複製50を基準特徴40上に物理的に重ね合わせるステップを含んでもよいし、あるいは複製50、例えば、2次元画像またはモールドパテで形成された刻印を比較のために基準特徴40に近接して配置するステップを含んでもよい。
【0050】
図15は、ターボ機械100の部品10を評価するための別の例示的な方法400を示し、部品10は、外面11上に基準特徴40を有する外面11を有する。例示的な方法400は、ステップ410で基準特徴40の初期状態を決定するステップと、ステップ420で部品10を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、基準特徴40の少なくとも一部がパテ214によって覆われ、基準特徴40の少なくとも部分的な刻印50がモールドパテ214内に形成されるように、ステップ430でインジェクタツール202を用いて部品10にモールドパテ214を適用するステップと、ステップ440で部品10からモールドパテ214を除去するステップと、ステップ450で基準特徴40の少なくとも部分的な刻印50に基づいて基準特徴40の後続状態を決定するステップと、を含む。例えば、上述したように、刻印50は、部品10およびターボ機械100から取り外すことができ、部品10およびターボ機械100が稼働したままである間に別の場所でスキャンすることができる。
【0051】
この明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、請求項により定義されており、当業者が思い付く他の例を含んでもよい。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を含む場合、または、それらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
[実施態様1]
外面(11)上に基準特徴(40)を有する前記外面(11)を有する部品(10)を評価する方法であって、
前記基準特徴(40)の初期状態を決定するステップと、
前記初期状態を決定した後に、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、
前記部品(10)が稼働位置にある間に、前記少なくとも1つのデューティサイクルの後に前記基準特徴(40)の後続状態を決定するステップと、
前記基準特徴(40)が前記初期状態または前記後続状態のうちの一方にある間に、前記基準特徴(40)の複製(50)を形成するステップと
を含み、
前記基準特徴(40)の前記初期状態を決定する前記ステップまたは前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップのうちの一方は、前記基準特徴(40)の前記複製(50)に基づく、
方法。
[実施態様2]
前記基準特徴(40)の前記複製(50)を、前記基準特徴(40)の前記初期状態または前記基準特徴(40)の前記後続状態のうちの他方と比較することによって、前記基準特徴(40)の前記後続状態を前記基準特徴(40)の前記初期状態と比較するステップをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前記ステップに先立って、前記初期状態で前記基準特徴(40)の前記複製(50)を形成するステップを含み、前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記複製(50)を前記基準特徴(40)に近接して配置し、前記基準特徴(40)および前記複製(50)の画像(52)を作成するステップを含み、前記比較するステップは、前記基準特徴(40)および前記複製(50)の前記画像(52)に基づいて、前記基準特徴(40)を前記複製(50)と比較するステップを含む、実施態様2に記載の方法。
[実施態様4]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前記ステップに先立って、前記基準特徴(40)が前記初期状態にある間に、前記基準特徴(40)の刻印(50)をパテ(214)内に形成するステップを含み、前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記基準特徴(40)が前記刻印(50)に適合するか否かを決定するステップを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様5]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記基準特徴(40)が前記後続状態にある間に前記パテ(214)内に前記基準特徴(40)の刻印(50)を形成するステップを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記複製(50)をスキャンするステップを含む、実施態様5に記載の方法。
[実施態様7]
前記複製(50)の前記スキャンを前記基準特徴(40)の前記初期状態と比較することによって、前記基準特徴(40)の前記後続状態を前記基準特徴(40)の前記初期状態と比較するステップをさらに含む、実施態様6に記載の方法。
[実施態様8]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記基準特徴(40)の画像(52)を作成するステップを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記基準特徴(40)の3次元画像(52)を作成するためにデジタルレーザスキャナで前記基準特徴(40)をスキャンするステップを含む、実施態様8に記載の方法。
[実施態様10]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記基準特徴(40)の2次元画像(52)を作成するステップを含む、実施態様8に記載の方法。
[実施態様11]
前記2次元画像(52)は前記初期状態における前記基準特徴(40)のものであり、前記2次元画像(52)は第1の2次元画像(52)であり、前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前記ステップの後に、前記第1の2次元画像(52)を前記基準特徴(40)に近接して配置するステップと、前記基準特徴(40)および前記第1の2次元画像(52)の第2の2次元画像(52)を作成するステップと、を含む、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
前記第2の2次元画像(52)に基づいて、前記基準特徴(40)の前記後続状態を前記基準特徴(40)の前記初期状態と比較するステップをさらに含む、実施態様11に記載の方法。
[実施態様13]
前記複製(50)を形成する前記ステップは、前記後続状態における前記基準特徴(40)の第1の複製(50)を形成するステップを含み、前記方法は、前記後続状態における前記基準特徴(40)の第2の複製(50)を形成するステップをさらに含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様14]
前記後続状態を決定する前記ステップは、前記第1の複製(50)をスキャンし、前記第2の複製(50)をスキャンし、前記両方のスキャンの結果を平均するステップを含む、実施態様13に記載の方法。
[実施態様15]
前記基準特徴(40)の所定の初期状態を有するように前記部品(10)を設計するステップをさらに含み、前記初期状態を決定する前記ステップは、前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかける前記ステップに先立って、前記基準特徴(40)の前記条件を測定するステップと、前記測定された条件と前記所定の条件の両方に基づいて前記初期状態を決定するステップと、を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様16]
ターボ機械(100)の部品(10)を評価するための方法であって、前記部品(10)は外面(11)上に基準特徴(40)を有する前記外面(11)を有し、前記方法は、
前記基準特徴(40)の初期状態を決定するステップと、
前記部品(10)を少なくとも1つのデューティサイクルにかけるステップと、
前記基準特徴(40)の少なくとも一部がパテ(214)によって覆われ、前記基準特徴(40)の少なくとも部分的な刻印(50)がモールドパテ(214)内に形成されるように、インジェクタツール(202)を用いて前記部品(10)に前記モールドパテ(214)を適用するステップと、
前記部品(10)から前記モールドパテ(214)を除去するステップと、
前記基準特徴(40)の前記少なくとも部分的な刻印(50)に基づいて前記基準特徴(40)の後続状態を決定するステップと
を含む方法。
[実施態様17]
前記基準特徴(40)の前記後続状態を前記基準特徴(40)の前記初期状態と比較するステップをさらに含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
解析のための前記部品(10)のターゲット領域(12)を特定するステップをさらに含み、前記ターゲット領域(12)は、前記基準特徴(40)の少なくとも一部を含み、モールドパテ(214)を前記部品(10)に適用する前記ステップは、モールドパテ(214)を前記ターゲット領域(12)に適用するステップを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様19]
前記適用されたモールドパテ(214)をシェル(220)で覆い、前記パテ(214)を硬化させるために前記パテ(214)に圧力を加えるステップをさらに含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様20]
モールドパテ(214)を適用する前記ステップは、前記部品(10)が稼働位置にある間に前記モールドパテ(214)を適用するためにボアスコープ装置(130)を使用するステップを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様21]
前記基準特徴(40)の前記刻印(50)は、前記初期状態のものである、実施態様16に記載の方法。
[実施態様22]
前記後続状態は、前記刻印(50)を前記基準特徴(40)に物理的に重ね合わせることによって決定される、実施態様21に記載の方法。
[実施態様23]
前記後続状態は、前記刻印(50)を前記基準特徴(40)に近接して配置することによって決定され、前記刻印(50)および前記基準特徴(40)の画像(52)を作成し、前記画像(52)に基づいて前記基準特徴(40)の前記後続状態を前記刻印(50)と比較するステップをさらに含む、実施態様21に記載の方法。
[実施態様24]
前記基準特徴(40)の前記刻印(50)は、前記後続状態のものであり、前記基準特徴(40)の前記後続状態を決定する前記ステップは、前記刻印(50)をスキャンするステップを含む、実施態様16に記載の方法。
[実施態様25]
前記ターボ機械はガスタービン(100)である、実施態様16に記載の方法。
【符号の説明】
【0052】
10 タービン部品
11 外面、表面
12 ターゲット領域
40 歪みセンサ、受動的歪みインジケータ、物理的基準特徴、表面特徴
41 第1の基準点
42 第2の基準点
45 負の空間
47 固有の識別子
50 複製、デジタル記憶画像、モールド刻印
52 画像
60 スキャナ
100 ガスタービン、ターボ機械
102 圧縮機部、部分
104 燃焼器部、部分
106 タービン部、部分
112 ロータブレード
114 ステータベーン
115 アニュラス
116 ロータブレード
118 ステータベーン
120 ガスタービンケーシング
122 第1のシェル
124 第2のシェル
126 アクセスポート
130 ボアスコープ、ボアスコープ装置、ボアスコープツール
132 レンズ
134 本体
136 カラー
140 データ収集デバイス
142 画像キャプチャデバイス
144 コンピューティングデバイス
202 インジェクタツール
204 管状本体
210 貯蔵ボリューム
212 ルーメン
214 モールドパテ
216 ノズル
220 シェル
222 内部キャビティ
224 ハンドル
D 距離
L 長さ
W 幅
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