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特許7309325センサ、センサモジュール、およびセンサ筐体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】センサ、センサモジュール、およびセンサ筐体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/273 20210101AFI20230710BHJP
   A61B 5/25 20210101ALI20230710BHJP
   A61B 5/271 20210101ALI20230710BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20230710BHJP
【FI】
A61B5/273
A61B5/25
A61B5/271
A61B5/332
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018112860
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019213725
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 文幸
(72)【発明者】
【氏名】今野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】細井 みのり
(72)【発明者】
【氏名】池谷 浩彦
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504148(JP,A)
【文献】特表2017-506121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0139953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/273
A61B 5/25
A61B 5/271
A61B 5/332
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着される複数の電極と、
前記複数の電極の各々により検出される生体電位に基づいて前記被検者の生体情報を取得するプロセッサモジュールと、
体と、
前記プロセッサモジュールとは別体として提供されており、前記筐体に対して第一方向から着脱が可能である単一のカバーと、
を備えており
前記筐体には、前記第一方向と交差する第二方向に並ぶように配置された第一凹部と第二凹部が区画されており、
前記カバーは、前記着脱により、前記第一凹部と前記第二凹部の双方が覆われた状態と、前記第一凹部と前記第二凹部の双方が前記第一方向に開口した状態とを切り替え可能であり、
前記プロセッサモジュールは、開口している前記第一凹部に前記第一方向から着脱可能であり、
前記プロセッサモジュールに電力を供給する一次電池と二次電池のいずれかが、開口している前記第二凹部に前記第一方向から着脱可能である、
センサ。
【請求項2】
前記二次電池が前記カバーと一体に設けられている、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記複数の電極は、前記筐体に支持されている、
請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記複数の電極の少なくとも一つは、フレキシブル信号線を介して前記筐体に接続されている、
請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記筐体は、前記被検者に装着される装着面を有しており、
前記カバーは、前記装着面の側に装着される、
請求項3または4に記載のセンサ。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に対して第一方向から着脱が可能である単一のカバーと、
を備えており
前記筐体には、前記第一方向と交差する第二方向に並ぶように配置された第一凹部と第二凹部が区画されており、
前記カバーは、前記着脱により、前記第一凹部と前記第二凹部の双方が覆われた状態と、前記第一凹部と前記第二凹部の双方が前記第一方向に開口した状態とを切り替え可能であり、
前記カバーとは別体として提供されており、被検者に装着される複数の電極の各々により検出される生体電位に基づいて当該被検者の生体情報を取得するプロセッサモジュールが、開口している前記第一凹部に前記第一方向から着脱可能であり、
前記プロセッサモジュールに電力を供給する一次電池と二次電池のいずれかが、開口している前記第二凹部に前記第一方向から着脱可能である、
センサ筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に装着されて当該被検者の生体情報を取得するためのセンサ、および当該センサを構成するセンサモジュールならびにセンサ筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上記のようなセンサの一例として生体電位検出装置を開示している。当該装置は、電極パッドと信号処理器を備えている。電極パッドは、電極を支持している。電極パッドの下面には、電極を覆うように導電性および粘着性を有するゲル部材が装着されている。電極パッドの上面には、電極の一部である端子が露出している。信号処理器は、電極パッドの上面に着脱可能である。信号処理器は、接続部と信号処理回路を備えている。信号処理器が電極パッドに装着されると、端子と接続部が接続される。これにより、接続部を介して電極と信号処理回路が電気的に接続される。
【0003】
電極パッドは、下面が生体表面と対向するように被検者に装着される。このとき、ゲル部材が生体表面(皮膚)に密着する。生体電位に対応する信号は、ゲル部材と電極を介して端子から取り出される。信号処理器の信号処理回路は、当該信号を無線送信するための処理を行なう。信号処理を行なうための電力は、信号処理器に内蔵された電池より供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-121360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の生体電位検出装置においては、被検者ごとに電極パッドが交換され、信号処理器が新たな電極パッドに装着されて再利用される。しかしながら、信号処理器に許容されている使用態様は、電極パッドに装着されて心電図の胸部誘導に対応する生体電位を取得することのみである。
【0006】
本発明の目的は、運用コストの上昇を抑制しつつ、多彩な生体情報の取得態様をユーザに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、センサであって、
被検者に装着される複数の電極と、
前記複数の電極の各々により検出される生体電位に基づいて前記被検者の生体情報を取得するプロセッサモジュールと、
前記プロセッサモジュールに電力を供給する電池を収容する電池収容部を有している筐体と、
を備えており、
前記プロセッサモジュールは、前記筐体に対して着脱可能である。
【0008】
被検者の生体情報として例えば心電図を取得しようとする場合、使用される電極の数や装着位置、ならびにセンサ筐体の構成は、取得態様に応じて異なる。しかしながら、電極を通じて検出される生体電位に基づいて生体情報を取得するという処理機能は概ね共通である。そこで当該処理機能を有する構成をモジュール化し、電池とは独立してセンサ筐体に対して着脱可能にすることによって、複数種のセンサ筐体間でプロセッサモジュールを共有できる。求められる生体情報の取得態様に適したセンサ筐体にプロセッサモジュールを装着することによって、様々なセンサの使用環境を提供できる。また、センサ筐体ごとにプロセッサを設ける必要がないので、運用コストの上昇を抑制できる。
【0009】
したがって、上記の目的を達成するための別態様は、被検者に装着される複数の電極の各々により検出される生体電位に基づいて当該被検者の生体情報を取得するプロセッサモジュールであって、当該プロセッサモジュールは、電池を収容する電池収容部を有する筐体に対して着脱可能であり、前記電池から電力の供給を受ける。
【0010】
また、上記の目的を達成するための別態様は、被検者に装着される複数の電極の各々により検出される生体電位に基づいて当該被検者の生体情報を取得するプロセッサモジュールに電力を供給する電池を収容する電池収容部を有するセンサ筐体であって、当該センサ筐体は、前記プロセッサモジュールが着脱可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係るセンサの外観を示している。
図2図1のセンサの装着位置を示している。
図3図1のセンサの筐体の構成を示している。
図4図1のセンサに装着されるプロセッサモジュールと一次電池の構成、およびこれらが図3の筐体に装着された状態を示している。
図5図3の筐体に装着される第二カバーの構成を示している。
図6図1のセンサの第一変形例を示している。
図7図6のセンサの装着位置を示している。
図8図1のセンサの第二変形例を示している。
図9図8のセンサの装着位置を示している。
図10】第二実施形態に係るセンサの構成を示している。
図11図10のセンサの一使用態様を示している。
図12図10のセンサの別使用態様を示している。
図13図10のセンサの別使用態様を示している。
図14】第三実施形態に係るセンサの筐体の構成を示している。
図15図14の筐体が装着される電極パッドの構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。各図面においては、説明対象の各要素を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。なお、本明細書における「上」および「下」という表現は、構造の説明のために便宜上用いられているに過ぎず、当該構造の使用時における姿勢を限定する意図はない。
【0013】
図1の(A)は、第一実施形態に係るセンサ1の外観を示している。図1の(B)は、図1の(A)における矢印IBの方向から見たセンサ1の外観を示している。図1の(C)は、図1の(A)における矢印ICの方向から見たセンサ1の外観を示している。
【0014】
センサ1は、筐体11を備えている。筐体11は、上面11aと下面11bを有している。
【0015】
センサ1は、第一電極121と第二電極122を備えている。第一電極121と第二電極122は、導電性を有している。第一電極121と第二電極122は、筐体11に支持されている。第一電極と121と第二電極122は、筐体11の下面11bに露出している。
【0016】
図2に示されるように、センサ1は、被検者Sの胸部に装着される。このとき、筐体11の下面11bが被検者Sの皮膚に対向する。具体的には、導電性と粘着性を有する不図示のゲル部材が、少なくとも第一電極121と第二電極122を覆うように下面11bに装着される。これにより、センサ1が被検者Sの皮膚上に保持される。第一電極121と第二電極122は、各位置における被検者Sの生体電位を検出する。
【0017】
以降の説明において、主として電極に関して用いられる「被検者に装着される」という表現は、電極が被検者の皮膚に直接装着される場合と、ゲル部材などを介して被検者の皮膚に装着される場合とを含む意味である。
【0018】
図1の(C)に示されるように、センサ1は、第一カバー131を備えている。第一カバー131は、筐体11の下面11bに設けられている。
【0019】
図3の(A)は、第一カバー131を取り外した状態のセンサ1の外観を示している。図3の(B)は、図3の(A)における矢印IIIBの方向から見たセンサ1の外観を示している。図3の(C)は、図3の(A)における矢印IIICの方向から見たセンサ1の外観を示している。
【0020】
筐体11は、モジュール収容部11cと電池収容部11dを有している。モジュール収容部11cは、後述するプロセッサモジュール7を収容するための凹部を区画している。電池収容部11dは、後述する一次電池8を収容するための凹部を区画している。モジュール収容部11cと電池収容部11dは、筐体11に装着された第一カバー131に覆われる。
【0021】
モジュール収容部11cの底部には、第一検出端子151と第二検出端子152が設けられている。第一検出端子151と第二検出端子152は、導電性を有している。第一検出端子151は、第一電極121と電気的に接続されている。第二検出端子152は、第二電極122と電気的に接続されている。
【0022】
モジュール収容部11cの底部には、第一給電端子161と第二給電端子162がさらに設けられている。第一給電端子161と第二給電端子162は、導電性を有している。
【0023】
電池収容部11dの内側面には正極接点171が設けられている。電池収容部11dの底部には、負極接点172が設けられている。正極接点171と負極接点172は、導電性を有している。正極接点171は、第一給電端子161と電気的に接続されている。負極接点172は、第二給電端子162と電気的に接続されている。
【0024】
図4の(A)は、プロセッサモジュール7の外観を示している。図4の(B)は、図4の(A)における矢印IVBの方向から見たプロセッサモジュール7の外観を示している。図4の(C)は、図4の(A)における矢印IVCの方向から見たプロセッサモジュール7の外観を示している。
【0025】
プロセッサモジュール7の外側面には、第一検出端子711、第二検出端子712、第一給電端子713、および第二給電端子714が設けられている。第一検出端子711、第二検出端子712、第一給電端子713、および第二給電端子714は、導電性を有している。
【0026】
図4の(D)は、一次電池8の外観を示している。図4の(E)は、図4の(D)における矢印IVEの方向から見た一次電池8の外観を示している。一次電池8は、いわゆるボタン電池である。一次電池8は、正極81と負極82を有している。
【0027】
図4の(F)は、プロセッサモジュール7がモジュール収容部11cに収容され、一次電池8が電池収容部11dに収容された状態のセンサ1を示している。
【0028】
プロセッサモジュール7は、第一検出端子711、第二検出端子712、第一給電端子713、および第二給電端子714が設けられている面がモジュール収容部11cの底部に対向するように収容されている。第一検出端子711は、第一検出端子151と接触する。第二検出端子712は、第二検出端子152と接触する。これにより、筐体11の第一電極121とプロセッサモジュール7の第一検出端子711が電気的に接続される。同様に、筐体11の第二電極122とプロセッサモジュール7の第二検出端子712が電気的に接続される。
【0029】
一次電池8が電池収容部11dに収容されると、正極81が正極接点171と接触し、負極82が負極接点172と接触する。他方、プロセッサモジュール7がモジュール収容部11cに収容されると、第一給電端子713が第一給電端子161と接触し、第二給電端子714が第二給電端子162と接触する。これにより、一次電池8の正極81とプロセッサモジュール7の第一給電端子713が電気的に接続される。同様に、一次電池8の負極82とプロセッサモジュール7の第二給電端子714が電気的に接続される。
【0030】
図4の(A)に示されるように、プロセッサモジュール7は、プロセッサ72を内蔵している。プロセッサ72は、第一給電端子713および第二給電端子714と電気的に接続されている。プロセッサ72は、第一給電端子713と第二給電端子714を介して一次電池8から電力の供給を受けて動作する。
【0031】
他方、プロセッサ72は、不図示のインターフェースを介して第一検出端子711および第二検出端子712と通信可能に接続されている。第一電極121によって検出されて第一検出端子711に入力された生体電位は、当該インターフェースに含まれる適宜の回路構成を通じてプロセッサ72による処理が可能な状態とされる。第二電極122によって検出されて第二検出端子712に入力された生体電位もまた、当該インターフェースに含まれる適宜の回路構成を通じてプロセッサ72による処理が可能な状態とされる。
【0032】
プロセッサ72は、第一検出端子711と第二検出端子712に入力された生体電位に対応する情報に基づいて、被検者Sの生体情報を取得するように構成されている。具体的には、生体電位に対応する情報の経時変化に基づいて、被検者Sの心臓の動きに関する情報が取得される。当該情報としては、心拍数、心室細動、心室頻拍、心静止などが例示されうる。
【0033】
上記のようなプロセッサ72の機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサによって実現されてもよいし、マイクロコンピュータ、ASIC、FPGAなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0034】
図4の(A)に示されるように、プロセッサモジュール7は、無線通信装置73を備えうる。この場合、プロセッサ72によって取得された被検者Sの生体情報は、無線通信装置73によって遠隔装置へ無線送信されうる。そのような遠隔装置としては、当該生体情報を可視化可能な装置や、当該生体情報に基づく報知が可能な装置などが例示されうる。
【0035】
プロセッサモジュール7は、無線通信装置73に代えて不図示のストレージを備えうる。この場合、プロセッサ72によって取得された被検者Sの生体情報は、無線送信に供されることなくストレージに格納されうる。ストレージに格納された生体情報は、後に接触通信や非接触通信を介して読み出されうる。したがって、プロセッサモジュール7は、生体情報を読み出すための端子を必要に応じて備えうる。
【0036】
図3の(A)と図4の(F)から明らかなように、プロセッサモジュール7は、一次電池8とは独立して筐体11に対して着脱可能とされている。これにより、後述する様々な生体情報の取得態様に適合可能な複数種のセンサ筐体間でプロセッサモジュール7を共有できる。求められる生体情報の取得態様に適したセンサ筐体にプロセッサモジュール7を装着することによって、様々な使用環境をユーザに提供できる。また、センサ筐体ごとにプロセッサを設ける必要がないので、運用コストの上昇を抑制できる。
【0037】
センサ筐体に係る他の実施形態を説明する前に、センサ1に係るその他の利点について説明する。
【0038】
図5の(A)は、筐体11に対して装着可能な第二カバー132の外観を示している。図5の(B)は、図5の(A)における矢印VBの方向から見た第二カバー132の外観を示している。
【0039】
第二カバー132は、第一カバー131の代わりに筐体11に対して装着されうる。筐体11に装着された第二カバー132は、モジュール収容部11cと電池収容部11dを覆う。第二カバー132には、二次電池9が一体に設けられている。二次電池9は、一次電池8と同一の形状を有しており、正極91と負極92を備えている。
【0040】
二次電池9は、再充電可能に構成されている。二次電池9は、正極91と負極92にそれぞれ接触する給電端子を備えた充電装置を用いて接触式の充電がなされてもよいし、第二カバー132に給電アンテナが内蔵されることにより、非接触式の充電がなされてもよい。
【0041】
第二カバー132が筐体11に装着されると、二次電池9は、電池収容部11dに収容される。二次電池9が電池収容部11dに収容されると、正極91が正極接点171と接触し、負極92が負極接点172と接触する。これにより、二次電池9の正極91とプロセッサモジュール7の第一給電端子713が電気的に接続される。同様に、二次電池9の負極92とプロセッサモジュール7の第二給電端子714が電気的に接続される。プロセッサ72は、第一給電端子713と第二給電端子714を介して二次電池9から電力の供給を受けて動作する。
【0042】
このような構成によれば、一次電池8と二次電池9の双方を選択的に使用でき、自由度の高い利用環境をユーザに提供できる。特に、二次電池9が第二カバー132と一体に設けられているので、使用と再充電のサイクルが繰り返される中での二次電池9の紛失リスクを低減できる。
【0043】
第二カバー132は、プロセッサモジュール7と同様に、後述する様々な生体情報の取得態様に適合可能な複数種のセンサ筐体に対して共通に装着可能な仕様とされることが好ましい。
【0044】
本実施形態に係るセンサ1においては、第一電極121と第二電極122は、筐体11に支持されている。
【0045】
このような構成によれば、筐体11を被検者Sの身体に装着するのみで、所望の生体情報を取得可能な状態が得られる。また、第一電極121と第二電極122の相対位置が不変であるので、安定した検出状態を確保しやすい。
【0046】
前述のように、筐体11は、下面11bが被検者Sの皮膚に対向するように装着される。下面11bは、装着面の一例である。図3の(A)に示されるように、モジュール収容部11cと電池収容部11dは、下面11bの側に開口している。すなわち、第一カバー131または第二カバー132は、下面11bの側に装着される。
【0047】
このような構成によれば、モジュール収容部11cと電池収容部11dが第一カバー131または第二カバー132によって覆われ、さらに第一カバー131または第二カバー132が筐体11に覆われた状態でセンサ1が被検者Sに装着される。したがって、センサ1の使用時において、モジュール収容部11cに収容されたプロセッサモジュール7と電池収容部11dに収容された一次電池8または二次電池9に対する防水性の確保が容易になる。
【0048】
図6は、第一変形例に係るセンサ1Aを下面11bの側から見た外観を示している。センサ1Aは、図7に示されるように被検者Sに装着される。本例においては、第一電極121と第二電極122は、被検者Sの胸骨Bに沿って配置されるように筐体11に支持されている。
【0049】
このような構成によれば、周囲よりも硬い胸骨Bに沿って第一電極121と第二電極122が配置されるので、使用時に第一電極121と第二電極122の位置ずれを生じにくくできる。特に被検者Sが女性の場合、生体情報の取得に乳房が及ぼす影響を抑制できる。さらに、第一電極121と第二電極122の間の距離が適宜に設定されることにより、前述した心臓の動きに係る情報に加えて、NASA誘導波形を取得できる。
【0050】
図8は、第二変形例に係るセンサ1Bを下面11bの側から見た外観を示している。センサ1Bは、図9に示されるように被検者Sに装着される。本例においては、第一電極121の中央部と第二電極122の中央部を結ぶ直線Lがモジュール収容部11cを斜めに横切るように筐体11に支持されている。なお、第一電極121と第二電極122は、上記の直線Lがモジュール収容部11cと電池収容部11dの少なくとも一方を斜めに横切るように配置されうる。
【0051】
このような構成によれば、図9に示されるように、第一電極121と第二電極122が被検者Sの心臓電気軸Hに沿って配置されるようにセンサ1Bを装着できる。この場合、特に心電図波形におけるR波の振幅の検出を最適化しやすい。
【0052】
図10の(A)は、第二実施形態に係るセンサ2の外観を示している。第一実施形態に係るセンサ1と実質的に同一の構成要素については、同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0053】
センサ2は、筐体21を備えている。筐体21には第一カバー131または第二カバー132が装着されている。図10の(B)は、第一カバー131または第二カバー132を取り外した状態のセンサ2の外観を示している。筐体21は、モジュール収容部11cと電池収容部11dを有している。モジュール収容部11cと電池収容部11dは、筐体21に装着された第一カバー131または第二カバー132に覆われる。
【0054】
モジュール収容部11cの底部には、第一給電端子161と第二給電端子162に加えて、第一誘導検出端子221、第二誘導検出端子222、および第三誘導検出端子223が設けられている。第一誘導検出端子221、第二誘導検出端子222、および第三誘導検出端子223は、導電性を有している。
【0055】
図10の(C)は、図10の(B)における矢印XCの方向から見たセンサ2の外観を示している。センサ2は、第一接続端子231、第二接続端子232、および第三接続端子233を備えている。第一接続端子231、第二接続端子232、および第三接続端子233は導電性を有している。第一接続端子231と第一誘導検出端子221は、電気的に接続されている。第二接続端子232と第二誘導検出端子222は、電気的に接続されている。第三接続端子233と第三誘導検出端子223は、電気的に接続されている。
【0056】
図11に示されるように、センサ2は、第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243を備えている。第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243は導電性を有している。第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243は、筐体21に接続される。
【0057】
第一誘導検出電極241は、例えば被検者Sの右鎖骨下に装着されて当該部位の生体電位を検出する。第一誘導検出電極241は、図11に示されるフレキシブル信号線241aを介して図10の(B)に示される第一接続端子231に接続される。
【0058】
第二誘導検出電極242は、例えば被検者Sの左鎖骨下に装着されて当該部位の生体電位を検出する。第二誘導検出電極242は、図11に示されるフレキシブル信号線242aを介して図10の(B)に示される第二接続端子232に接続される。
【0059】
第三誘導検出電極243は、例えば被検者Sの左下胸部に装着されて当該部位の生体電位を検出する。第三誘導検出電極243は、図11に示されるフレキシブル信号線243aを介して図10の(B)に示される第三接続端子233に接続される。
【0060】
図4の(A)に示されるように、プロセッサモジュール7の外側面には、第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743が設けられうる。第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743は、導電性を有している。
【0061】
プロセッサモジュール7は、第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743が設けられている面がモジュール収容部11cの底部に対向するようにモジュール収容部11cに収容される。第一誘導検出端子741は、第一誘導検出端子221と接触する。第二誘導検出端子742は、第二誘導検出端子222と接触する。第三誘導検出端子743は、第三誘導検出端子223と接触する。
【0062】
これにより、第一誘導検出電極241とプロセッサモジュール7の第一誘導検出端子741が電気的に接続される。同様に、第二誘導検出電極242とプロセッサモジュール7の第二誘導検出端子742が電気的に接続される。同様に、第三誘導検出電極243とプロセッサモジュール7の第三誘導検出端子743が電気的に接続される。
【0063】
図4の(A)に示されるように、プロセッサモジュール7のプロセッサ72は、不図示のインターフェースを介して第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743と通信可能に接続されている。第一誘導検出電極241により検出されて第一誘導検出端子741に入力された生体電位は、当該インターフェースに含まれる適宜の回路構成を通じてプロセッサ72による処理が可能な状態とされる。第二誘導検出電極242により検出されて第二誘導検出端子742に入力された生体電位は、当該インターフェースに含まれる適宜の回路構成を通じてプロセッサ72による処理が可能な状態とされる。第三誘導検出電極243により検出されて第三誘導検出端子743に入力された生体電位は、当該インターフェースに含まれる適宜の回路構成を通じてプロセッサ72による処理が可能な状態とされる。
【0064】
プロセッサ72は、電池収容部11dに収容された一次電池8または二次電池9から供給される電力により動作する。プロセッサ72は、第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743に入力された生体電位に対応する情報に基づいて、被検者Sの生体情報を取得するように構成されている。
【0065】
例えば、第一誘導検出電極241に検出された生体電位の経時変化と第二誘導検出電極242に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるI誘導波形が取得されうる。例えば、第一誘導検出電極241に検出された生体電位の経時変化と第三誘導検出電極243に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるII誘導波形が取得されうる。例えば、第二誘導検出電極242に検出された生体電位の経時変化と第三誘導検出電極243に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるIII誘導波形が取得されうる。第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243の各々の装着位置を適宜に変更することにより、心電図におけるMCL1誘導波形やMCL5誘導波形なども取得されうる。
【0066】
本実施形態においては、被検者Sに装着される第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243が、それぞれフレキシブル信号線241a、242a、243aを介して筐体21に接続されている。したがって、生体電極の検出位置を被検者Sの体型に依らず正確に確保できる。また、取得したい生体情報(誘導波形)の種別に応じた電極装着位置の変更も容易である。さらに、第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243を被検者ごとの使い捨てとし、筐体21を継続的に再利用できる。
【0067】
第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243を用いた生体情報の取得に際しては、筐体21は、粘着剤を介して被検者Sの胸部に装着されうる。この場合、筐体21の第一カバー131または第二カバー132が装着されている側が被検者Sの皮膚に対向するように装着がなされることが好ましい。
【0068】
あるいは図12に示されるように、筐体21は、ストラップを介して被検者Sの首に掛けて携帯されうる。あるいは図13に示されるように、ホルダを介して筐体21を被検者Sの身体に固定してもよい。
【0069】
図11に示した例においては、第一誘導検出電極241、第二誘導検出電極242、および第三誘導検出電極243が、被検者Sの胸部周辺に装着されている。この場合、被検者Sは脱衣を免れない。しかしながら、被検者Sが脱衣に強い抵抗感を感じる場面もある(被検者Sが女性で、歯科治療中に心電図の取得が必要になる場合など)。図12図13は、脱衣を伴わずに心電図の取得を可能にするセンサ2の使用例を示している。
【0070】
この場合、第一誘導検出電極241は、被検者Sの左手首または左上腕に装着される。第二誘導検出電極242は、被検者Sの右手首または右上腕に装着される。第三誘導検出電極243は、被検者Sの右足首(脱衣不要)または右脇腹(最低限の脱衣で済む)に装着される。このような電極配置によっても、前述したI誘導、II誘導、およびIII誘導を取得できる。
【0071】
センサ2は、第三誘導検出電極243を用いない構成とされうる。この場合、取得可能な誘導の数は減るものの、脱衣を完全に不要とできる。
【0072】
衣服の外側に筐体21が配置される場合、図12図13に示した例に代えて、クリップなどを通じて筐体21を衣服に固定してもよいし、筐体21を衣服のポケットに入れて携帯してもよい。
【0073】
図14の(A)は、第三実施形態に係るセンサ3の外観を示している。第二実施形態に係るセンサ2と実質的に同一の構成要素については、同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0074】
センサ3は、筐体31を備えている。筐体31には第一カバー131または第二カバー132が装着されている。図14の(B)は、第一カバー131または第二カバー132を取り外した状態のセンサ3の外観を示している。筐体31は、モジュール収容部11cと電池収容部11dを有している。モジュール収容部11cと電池収容部11dは、筐体21に装着された第一カバー131または第二カバー132に覆われる。
【0075】
センサ3は、第一接続端子331、第二接続端子332、および第三接続端子333を備えている。第一接続端子331と第一誘導検出端子221は、電気的に接続されている。第二接続端子332と第二誘導検出端子222は、電気的に接続されている。第三接続端子333と第三誘導検出端子223は、電気的に接続されている。
【0076】
図15に示されるように、センサ3は、電極パッド34を備えている。電極パッド34は、第一誘導検出電極341、第二誘導検出電極342、および第三誘導検出電極343を支持している。電極パッド34は、粘着剤を介して被検者Sの胸部に装着される。電極パッド34は、第一誘導検出電極341が被検者Sの右鎖骨下に配置され、第二誘導検出電極342が被検者Sの左鎖骨下に配置され、第三誘導検出電極343が被検者Sの左下胸部に配置される形状を有している。
【0077】
電極パッド34は、第一接続端子351、第二接続端子352、および第三接続端子353をさらに支持している。第一接続端子351、第二接続端子352、および第三接続端子353は、導電性を有している。第一接続端子351は、第一誘導検出電極341と電気的に接続されている。第二接続端子352は、第二誘導検出電極342と電気的に接続されている。第三接続端子353は、第三誘導検出電極343と電気的に接続されている。
【0078】
筐体31は、電極パッド34に装着される。具体的には、筐体31の第一接続端子331、第二接続端子332、および第三接続端子333が、それぞれ電極パッド34の第一接続端子351、第二接続端子352、および第三接続端子353と結合することにより、装着がなされる。第一接続端子331と第一接続端子351の対、第二接続端子332と第二接続端子352の対、および第三接続端子333と第三接続端子353の対の各々は、例えばスナップフィットを構成する凸部材と凹部材として構成されうる。
【0079】
筐体31が電極パッド34に装着されると、第一誘導検出電極341とプロセッサモジュール7の第一誘導検出端子741が電気的に接続される。同様に、第二誘導検出電極342とプロセッサモジュール7の第二誘導検出端子742が電気的に接続される。同様に、第三誘導検出電極343とプロセッサモジュール7の第三誘導検出端子743が電気的に接続される。
【0080】
プロセッサ72は、電池収容部11dに収容された一次電池8または二次電池9から供給される電力により動作する。プロセッサ72は、第一誘導検出端子741、第二誘導検出端子742、および第三誘導検出端子743に入力された生体電位に対応する情報に基づいて、被検者Sの生体情報を取得するように構成されている。
【0081】
例えば、第一誘導検出電極341に検出された生体電位の経時変化と第二誘導検出電極342に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるI誘導波形が取得されうる。例えば、第一誘導検出電極341に検出された生体電位の経時変化と第三誘導検出電極343に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるII誘導波形が取得されうる。例えば、第二誘導検出電極342に検出された生体電位の経時変化と第三誘導検出電極343に検出された生体電位の経時変化に基づいて、心電図におけるIII誘導波形が取得されうる。
【0082】
このような構成によれば、電極パッド34のみを被検者Sごとの使い捨てとし、筐体31を継続的に再利用できる。また、第一誘導検出電極341、第二誘導検出電極342、および第三誘導検出電極343の相対位置が不変であるので、安定した検出状態を確保しやすい。
【0083】
これまで説明したセンサ1、センサ1A、センサ2、およびセンサ3は、互いに異なる仕様のセンサ筐体を備えており、生体情報の取得態様も相違する。しかしながら、プロセッサモジュール7が複数種のセンサ筐体間で共用できるので、運用コストの上昇を抑制しつつ、様々な使用環境を特定のユーザに提供できる。
【0084】
また、センサ筐体の仕様や生体情報の取得態様は、装着される被検者Sの身体的特徴(年齢、性別、体格、人種、障害の有無など)に応じて変更されうる。しかしながら、プロセッサモジュール7が複数種のセンサ筐体間で共用できるので、運用コストの上昇を抑制しつつ、様々な身体的特徴を有する複数のユーザにプロセッサモジュール7の共通機能を提供できる。
【0085】
さらに、一次電池8や二次電池9とは独立してプロセッサモジュール7をセンサ筐体に着脱できるので、電池寿命の観点からのセンサ筐体の仕様変更にも柔軟に適応できる。例えば、モジュール収容部11cの構成は維持されつつ、より長い寿命を有する大容量または大型の電池を収容可能に電池収容部11dの構成が変更されたセンサ筐体に対しても、共通のプロセッサモジュール7を仕様の変更なしに利用できる。
【0086】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0087】
上記の各実施形態においては、第一カバー131または第二カバー132は、モジュール収容部11cと電池収容部11dの双方を覆っている。しかしながら、モジュール収容部11cは、必ずしも電池収容部11dと同方向に開口する凹部として形成されることを要しない。例えば、プロセッサモジュール7を挿抜可能なスロットがセンサ筐体に形成されうる。この場合、モジュール収容部11cは、当該スロットと連通する空間としてセンサ筐体内に形成されうる。この場合、第一カバー131または第二カバー132は、少なくとも電池収容部11dを覆うように構成されうる。
【0088】
プロセッサモジュール7に設けられた各種端子の数と配置は、使用される電極の数とモジュール収容部11cの仕様に応じて適宜に定められうる。
【0089】
プロセッサモジュール7には、動きセンサが内蔵されうる。動きセンサは、被検者Sの姿勢や体動を検出するためのセンサであり、加速度センサやジャイロセンサによって実現されうる。この場合、これまで説明した各センサのモジュール収容部11cは、装着されたプロセッサモジュール7が同じ向きになるように構成されることが好ましい。これにより、仕様の異なる複数のセンサ間でプロセッサモジュール7が共有される場合において、動きセンサから出力される検出結果の取扱いが容易になる。
【0090】
一次電池8と二次電池9は、両者の間で形状が共通していれば、その構成はボタン電池に限定されず、適宜に定められうる。
【符号の説明】
【0091】
1、1A、2、3:センサ、11、21、31:筐体、11b:下面、11d:電池収容部、121:第一電極、122:第二電極、131:第一カバー、132:第二カバー、241、341:第一誘導検出電極、242、342:第二誘導検出電極、243、343:第三誘導検出電極、241a、242a、243a:フレキシブル信号線、7:プロセッサモジュール、8:一次電池、9:二次電池、B:胸骨、S:被検者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15