(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】蓄電池用トレー及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20230710BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20230710BHJP
H01M 50/278 20210101ALI20230710BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20230710BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20230710BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20230710BHJP
【FI】
H01M50/271 S
H01M50/227
H01M50/271 B
H01M50/278
H01M50/298
H01M50/588 101
H01M50/591
(21)【出願番号】P 2018115671
(22)【出願日】2018-06-19
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】利藤 万鵬
(72)【発明者】
【氏名】村上 大智
(72)【発明者】
【氏名】木村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】鳴島 じゅん
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-206569(JP,A)
【文献】特開2017-021944(JP,A)
【文献】特開2014-175123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0222939(US,A1)
【文献】特開2016-051565(JP,A)
【文献】特開2017-202764(JP,A)
【文献】特開2016-171028(JP,A)
【文献】特開2014-022092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/588
H01M 50/591
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部を備えた蓄電池を収納する蓄電池収納部と、
前記蓄電池収納部と一体形成されたカバー部と、
前記カバー部の所定の位置に設けられた穴部と、
を有し、
前記カバー部の前記所定の位置は、前記穴部と前記蓄電池の前記導電部とが重ならないようにずらされ、かつ前記カバー部が前記蓄電池の前記導電部を覆う位置であり、
前記穴部は、前記カバー部の、前記導電部と対向する面に設けられ、
前記カバー部と前記蓄電池収納部は、絶縁材シートで構成されており、
一体形成された前記蓄電池収納部と前記カバー部との間に、ヒンジを構成する折り目を形成し、
前記蓄電池収納部と前記カバー部とは、前記折り目を介して分離不能に形成されており、
前記カバー部は、前記ヒンジを支点として開閉可能に構成されており、
前記蓄電池収納部を収容する補強部を更に有することを特徴と蓄電池用トレー。
【請求項2】
前記導電部は、前記蓄電池の端子又はヒューズであり、
前記穴部を介して、前記蓄電池の前記端子又は前記ヒューズと前記蓄電池の電力を外部に放出させるケーブルとが接続されることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池用トレー。
【請求項3】
前記カバー部の前記所定の位置に設けられた凹凸部を更に有し、
前記穴部は前記凹凸部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電池用トレー。
【請求項4】
請求項1に記載の蓄電池用トレーが実装されていることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池用トレー及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池を多く搭載する電子機器は、蓄電池を直接機器の筐体に固定することが多い。しかし、筐体に直接固定した場合、電池のケーブル接続作業が難しく、また故障時の電池交換作業も時間がかかる。
【0003】
特許文献1又は特許文献2には、複数個の蓄電池を1つの硬い絶縁ケースの中に収納する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-60033号公報(特許第5623483号)
【文献】特開2007-207523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1又は特許文献2では、ケース自体に強度を持たせて持ち運ぶことを前提としているため、加工用の型やケース自体が高価になってしまう。
【0006】
また、蓄電池のケーブル接続作業を行う際にはケースを開ける必要がある。このため、ケーブル接続作業時は感電にも十分注意しなければならず作業効率が悪い。
【0007】
本発明の目的は、安価でかつ蓄電池のケーブル接続作業が容易な蓄電池用トレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の蓄電池用トレーは、導電部を備えた蓄電池を収納する蓄電池収納部と、前記蓄電池収納部と一体形成され、ヒンジを支点として開閉可能なカバー部と、前記カバー部の所定の位置に設けられた穴部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様の蓄電池用トレーは、導電部を備えた蓄電池を収納する蓄電池収納部と、前記蓄電池収納部を覆うように取外し自在に構成されたカバー部と、前記カバー部の所定の位置に設けられた穴部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の電子機器蓄は、蓄電池用トレーが実装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、安価でかつ蓄電池のケーブル接続作業が容易な蓄電池用トレーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の蓄電池用トレーの構成(カバー開)を示す図である。
【
図2】実施例1の蓄電池用トレーの構成(カバー閉)を示す図である。
【
図3】実施例1の蓄電池用トレーの構成(カバー開、蓄電池入り)を示す図である。
【
図4】実施例1の蓄電池用トレーの構成(カバー閉、蓄電池入り)を示す図である。
【
図5】実施例2の蓄電池用トレーの構成(カバー別)を示す図である。
【
図6】実施例5の蓄電池用トレーの構成(カバー閉)を示す俯瞰図である。
【
図7】実施例5の蓄電池用トレーの構成(カバー閉)を示す側面断面図である。
【
図8】実施例6の蓄電池用トレー(電池入り)を実装した電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1~
図4を参照して、実施例1の蓄電池用トレーの構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、蓄電池用トレーは、蓄電池10(
図3参照)を収納する蓄電池収納部1と、蓄電池収納部1と一体形成されヒンジ5を支点として開閉可能なカバー部2を有する。蓄電池収納部1とカバー部2との間に折り目を入れることでカバー部2の開閉を容易にすることができる。
【0016】
カバー部2の所定の位置には穴部3が設けられている。カバー部2と蓄電池収納部1は、例えば、絶縁材シートで形成されている。絶縁材シートは、例えば、真空成型を用いて製作される。絶縁シートの素材として、例えば、ポリプロピレン等が用いられる。
【0017】
蓄電池収納部1は、複数の蓄電池10(
図3参照)を収納可能である。蓄電池10を収納後は、
図2に示すように、カバー部2をヒンジ5を支点にして回転させることで閉める。
【0018】
この状態では蓄電池用トレーに強度はないため、蓄電池収納部1を収容する補強部4を設ける。補強部4は、例えば、強度確保用の金属からなる補強部品を皿の形状に加工して、その上に蓄電池10を収納した蓄電池用トレーを載せる。
【0019】
図3は、カバー部2が開いた状態で複数の蓄電池10が蓄電池収納部1に収容された状態を示す。
図4は、カバー部2が閉じた状態で蓄電池10が蓄電池収納部1に収容された状態を示す。
【0020】
図3に示すように、蓄電池10には、導電部として蓄電池10の端子11とヒューズ12が備えられている。そして、
図4に示すように、穴部3を介して、蓄電池の端子11とヒューズ12は、蓄電池10の電力を外部に放出させるケーブル13と接続される。
【0021】
この際、カバー部2の設けられた穴部3は、穴部3と蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)とが重ならないようにずらされ、かつカバー部2が蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)を覆うような位置に設けられている。
【0022】
図3に示すように、カバー部2の穴部3は、蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)から少し離れた位置に設けられている。このため、カバー部2を閉めた後は
図4に示すような状態になる。よって、この状態で、人が導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)に直接触れることを防止することができる。
【0023】
また、蓄電池収納部1の内部に他の電気部品を設置したい場合でも同様であり、導電部(電気部品の端子)の少し離れた位置に穴部3を設けることで人が導電部に直接触れることを防止することができる。
【0024】
ここで、穴部3はケーブル13が通る大きさを有する。このため、
図4に示すように穴部3からケーブル13を貫通させて導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)に接続することが可能である。
【0025】
また、
図4に示すように、蓄電池用トレー32において、ケーブル13を導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)に接続接した後も、導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)がカバー部2で覆われている。さらに、穴部3もケーブル13によって塞がっている。このように、導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)は一切剥き出しにならない。この結果、作業員が持ち運ぶ際に誤って導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)に触れて感電することを防止できる。
【0026】
また、実施例1では、カバー部2と蓄電池収納部1は、例えば絶縁材シートで製作されるため繋ぎ目は一切ない。このため、蓄電池10から電解液が漏れた場合は液体を蓄電池用トレー内に溜めて、液漏れを原因とする短絡を防止できる。
【実施例2】
【0027】
実施例2の蓄電池用トレーの構成について説明する。
図3に示すように、実施例1では、蓄電池収納部1に複数の蓄電池10を収納している。これに対して、実施例2の蓄電池用トレーでは、蓄電池収納部1に蓄電池10は一個のみを収容する。
【0028】
この場合には、蓄電池用トレーは軽量化されるため、蓄電池用トレー単体でも持ち運びが可能になる。このため、強度確保用に別途補強部4を用意する必要がなくなる。さらに、カバー部2と蓄電池収納部1の絶縁材シートも薄いものを使用することができる。
【実施例3】
【0029】
図5を参照して、実施例3の蓄電池用トレーの構成について説明する。
実施例1では、
図1に示すように、カバー部2は蓄電池収納部1と一体でヒンジ5を支点として開閉可能に構成した。これに対して、
図5に示すように、実施例3の蓄電池用トレーは、カバー部2と蓄電池収納部1を別体で構成する。
【0030】
具体的には、
図5に示すように、実施例3の蓄電池用トレーは、導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)を備えた蓄電池10を収納する蓄電池収納部1と、蓄電池収納部1を覆うように取外し自在に構成されたカバー部2とを有する。そして、カバー部2の所定の位置には穴部3が設けられている。
【0031】
また、
図3、
図4に示すように、穴部3を介して、蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)と蓄電池10の電力を外部に放出させるケーブル13とが接続される。
【0032】
この際、カバー部2の設けられた穴部3は、穴部3と蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)とが重ならないようにずらされ、かつカバー部2が蓄電池10の導電部(蓄電池10の端子11とヒューズ12)を覆うような位置に設けられている。
【0033】
また、カバー部2と蓄電池収納部1は、例えば、絶縁材シートで構成されている。さらに、蓄電池収納部1を収容する補強部4を有する。その他の詳細な構成は、実施例1の構成とほぼ同じなのでその説明は省略する。
【0034】
実施例3の蓄電池用トレーは、カバー部2と蓄電池収納部1が別体で構成されているので、蓄電池用トレーが蓄電池10の全体を覆う必要はなくなり素材を少なくすることができる。
【実施例4】
【0035】
実施例4の蓄電池用トレーの構成について説明する。
実施例1では、蓄電池用トレーの強度が弱いため強度確保用に補強部4を用いていた。これに対して、実施例4の蓄電池用トレーでは、蓄電池用トレーの素材となる絶縁材シートを強度が確保できる十分厚いものに変更する。このようにすれば、強度確保用に別途補強部4を用意する必要がなくなる。
【実施例5】
【0036】
図6、
図7を参照して、実施例5の蓄電池用トレーの構成について説明する。
図6に示すように、実施例5の蓄電池用トレーは、実施例1の蓄電池用トレーのカバー部2の所定の位置に凹凸部14を設け、穴部3は凹凸部14の上部に設けられている。
【0037】
実施例1では、蓄電池10の端子11やヒューズ12が突起として存在する。このため、カバー部2を平らな面にするとケーブル13の接続作業が困難になる。そこで、実施例5では、
図6に示すように、蓄電池10の端子11やヒューズ12が入る部分において、カバー部2を変形させて凹凸部14を設ける。
【0038】
このように、凹凸部14を設けた場合、
図7に示すように、ケーブル13が、凹凸部14の穴部3を通過して端子11と接続される。この結果、ケーブル13と端子11との接続作業がよりスムーズになる。
【0039】
このように、実施例5では、蓄電池10の端子11やヒューズ12の付近に凹凸部14と穴部3を設ける。これにより、蓄電池10がカバー部2に覆われた状態でもケーブル接続作業が可能であり非常に作業効率が良い。
【実施例6】
【0040】
図8を参照して、実施例6の構成について説明する。
実施例6は、上記実施例1~6の蓄電池用トレーが実装されている電子機器30を提供する。例えば、実施例1にてケーブル接続した
図4の電池入り蓄電池用トレー32は、このまま電子機器用ラック31に実装が可能である。この電子機器用ラック31をUPS(無停電電源装置)等の電源供給を役割とする電子機器30に組み込んで使用する。
【符号の説明】
【0041】
1 蓄電池収納部
2 カバー部
3 穴部
4 補強部
5 ヒンジ
10 蓄電池
11 端子
12 ヒューズ
13 ケーブル
14 凹凸部
30 電子機器
31 電子機器ラック
32 蓄電池トレー