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  • 特許-電動モータ型自動車用軸流液ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】電動モータ型自動車用軸流液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/06 20060101AFI20230710BHJP
   F04D 3/02 20060101ALI20230710BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
F04D13/06 H
F04D13/06 D
F04D3/02 C
H02K7/14 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018523496
(86)(22)【出願日】2015-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2015076243
(87)【国際公開番号】W WO2017080591
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2018-05-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515069336
【氏名又は名称】ピアーブルグ パンプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Pierburg Pump Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Alfred-Pierburg-Strasse 1, 41460 Neuss, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェグナー, ロビン
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
【審判官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-502420(JP,A)
【文献】特開2008-190475(JP,A)
【文献】特開平9-228977(JP,A)
【文献】特開2010-11593(JP,A)
【文献】特開2002-138986(JP,A)
【文献】特開2011-32923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/06
F04D 3/02
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ロータポンプとして構成された電動モータ型自動車用軸流液ポンプ(10)において、
液体の吸い込み及び吐出のために軸線方向の入口開口(14)及び軸線方向の出口開口(16)を形成するポンプハウジング(12)と、
前記ポンプハウジング(12)内に備えられた電動モータ(17)であって、
複数の外側ステータコイル(20)を備えたモータステータ(18)、
前記ステータコイル(20)の径方向内側に備えられたプラスチックの射出成形体として形成されたキャン(22)、及び
軸流インペラとして構成され且つ前記キャン(22)の内側に回転可能に配置されたロータ本体(32)を有する、電動モータ(17)とを具備し、
前記キャン(22)と前記ロータ本体(32)との間は前記液体で満たされて、前記キャン(22)と前記ロータ本体(32)とは協働して滑り軸受けを構成しており、
前記ロータ本体(32)は、複数のブレード(36)を有し、
前記ブレードは、前記入口開口(14)から前記出口開口(16)まで前記ロータ本体(32)の回転軸線(33)に沿って液体を送出し、
前記ロータ本体(32)は、一体品であり、
前記ロータ本体(32)は、プラスチックで結合された永久磁石粒子を含み、
前記ロータ本体(32)は永久的な磁気特性を有し、
前記モータステータ(18)は、前記プラスチックの射出成形体として形成された前記キャン(22)内に少なくとも部分的に埋め込まれている、電動モータ型自動車用軸流液ポンプ(10)。
【請求項2】
前記永久磁石粒子は、ネオジム粒子およびフェライト粒子の少なくとも一方である、請求項1に記載の電動モータ型自動車用軸流液ポンプ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部ロータポンプとして構成された電動モータ型自動車用軸流液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータ型自動車用軸流液ポンプは、液体の吸い込み及び吐出のために軸線方向の入口開口及び軸線方向の出口開口を形成するポンプハウジングと、インペラを駆動する電動モータとを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術から種々の電動モータ型自動車用軸流液ポンプが公知であり、これらポンプでは、電動モータが軸を介してインペラを駆動する。
【0004】
本発明の目的は、簡単に構成でき且つ経済的にも製造可能な電動モータ型自動車用軸流液ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、独立請求項1の電動モータ型自動車用軸流液ポンプによって解決される。
【0006】
本発明の電動モータ型自動車用軸流液ポンプの場合、電動モータはキャンを有し、該キャンは少なくとも1つのステータコイルの径方向内側に配置されている。キャンは電子室から作動室を分離し、該作動室内に送出すべき液体が位置付けられている。キャンはポンプハウジングの一部であってもよい。キャンの内側にはロータ本体が回転可能に配置され、該ロータ本体は少なくとも1つのブレードを有し、電動モータ型自動車用軸流液ポンプの入口開口から出口開口に向けて液体を送出する。更に、ロータ本体は永久的な磁気構成を備えている。従って、ロータ本体はロータ及インペラを結合した一体の構成部品を形成する。本発明の構成に起因して、別個のインペラを駆動するための軸等の別の構成部品が省略される。それ故、電動モータ型自動車用軸流液ポンプは迅速且つ簡単に、従って経済的に製造可能である。
【0007】
好ましくは、モータステータ複数の外側ステータコイルを有する。
【0008】
好適な実施形態において、ロータ本体は一体成形されている。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、複数のステータコイルを有するモータステータは、プラスチックの射出成形体内に少なくとも部分的に埋め込まれ、該射出成形体はキャンを形成する。好適な実施形態によれば、キャンはステータコイルの径方向内側に構成されている。従って、別個の構成部品として備えられたキャンを省略でき、そして、より迅速且つ簡単にして電動モータ型自動車用軸流液ポンプの製造が可能となる。
【0010】
他の好適な実施形態において、ロータ本体及びキャンは協働し、1つの滑り軸受を構成する。本発明の趣旨での滑り軸受は、ロータ本体の外周面とキャンの内周面との間に液体で満たされた隙間を備えてなるロータ本体及びキャンの配置として理解されるべきである。従って、ロータ本体を回転可能に支持するために付加的な構成部品が要求されることはない。それ故、更なる別の構成部品の省略が可能となり、電動モータ型自動車用軸流液ポンプの迅速且つ経済的な製造が可能となる。
【0011】
好ましくは、滑り軸受はその軸線長さの全体に亘って、円筒状で且つ段付き無しに構成される。このような滑り軸受は製造を容易にする利点を提供する。付け加えて、このような滑り軸受の組み付けもまた容易である。
【0012】
別の好適な実施形態によれば、ロータ本体はプラチックで結合された永久的な磁気粒子を含む。永久的な磁気粒子は、ネオジム粒子及び/又はフェライト粒子であるのが特に好ましい。このようなロータ本体は特に安価に製造可能となり、対応の電動モータ型自動車用軸流液ポンプのコスト的な有効性が高まる。付け加えて、このようなロータ本体は、完全な金属ロータよりも小さな質量慣性モーメントを有し、これにより、電動モータ型自動車用軸流液ポンプの有効効率が改善される。
【0013】
代替的には、ロータ本体は、複数の永久磁石を備えた複数のロータシートが埋め込まれたプラスチックからなる。このようにして製造されたロータ本体は通常のよう製造され、従って安価となる利点を提供する。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、ロータ本体は、複数のブレード、特に好ましくは7つのブレードを有するべく構成されている。ブレードの数は、ポンプに要求される液圧力に従って選択される。
【0015】
本発明の更なる詳細や利点は、図面と提携した実施形態の後述の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る電動モータ型自動車用軸流液ポンプを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る電動モータ型自動車用軸流液ポンプ10を示し、該ポンプ10の駆動モータは内蔵のロータポンプとして構成されている。電動モータ型の自動車用軸流液ポンプ10は、2つの部分からなるポンプハウジング12を含み、該ポンプハウジング12は軸流液ポンプ10内に液体を吸い込む軸線方向の入口開口14を形成している。軸線方向でみて入口開口14とは反対側のポンプハウジング12の長手方向端には、自動車用電動軸流液ポンプ10から液体を吐出するために出口開口16が備えられている。
【0018】
更に、自動車用軸流液ポンプ10は駆動モータとしての電動モータ17を含み、該電動モータ17はポンプハウジング12内に備えられている。電動モータ17はポンプハウジング12内に配置された径方向外側のモータステータ18を含む。該モータステータ18は、磁束還流体(reflux body)19及びステータコイル20を有する。ステータコイル20に供給される電流は、吐出側の端に備えられた径方向外側の電子ユニット21を介して制御される。
【0019】
ステータコイル20の径方向内側にて、モータステータ18の磁束還流体19はプラスチックの射出成形体内に埋め込まれ、該射出成形体はキャン(can)22を形成する。該キャン22は入口側のリングシール24及び出口側のリングシール26を介してポンプハウジング12に密に支えられ、送出されるべき液体が存在する作動室28を電子室30から流体的に分離している。キャン22の内側には、電動モータ17の軸流インペラとして構成されロータ本体32が配置され、該ロータ本体32は入口開口14から出口開口16まで液体を該ロータ本体32の回転軸線33に沿って送り込む。ロータ本体32は、中空円筒34と、該中空円筒34の内部に備えられ且つ軸線方向に延びる7つのブレード36からなる。
【符号の説明】
【0020】
10 電動モータ型自動車用軸流液ポンプ
12 ポンプハウジング
14 入口開口
16 出口開口
17 電動モータ
18 モータステータ
19 磁束還流体
20 ステータコイル
21 電子ユニット
22 キャン
24 入口側リングシール
26 出口側リングシール
28 作動室
30 電子室
32 ロータ本体
33 回転軸線
34 中空円筒
36 ブレード
図1