(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-07
(45)【発行日】2023-07-18
(54)【発明の名称】分子を検出し分析するための集積デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20230710BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230710BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20230710BHJP
G02B 6/124 20060101ALI20230710BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20230710BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20230710BHJP
G02B 6/13 20060101ALI20230710BHJP
G02B 6/132 20060101ALI20230710BHJP
【FI】
G02B6/122
G01N21/64 Z
G01N21/64 B
G01N21/64 F
G01N21/03 Z
G02B6/124
G02B6/125 301
G02B6/122 311
G02B6/12 301
G02B6/13
G02B6/132
(21)【出願番号】P 2018562925
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(86)【国際出願番号】 US2017035412
(87)【国際公開番号】W WO2018013243
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-05-29
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516144164
【氏名又は名称】クアンタム-エスアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM-SI INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロスバーグ、ジョナサン エム.
(72)【発明者】
【氏名】カビリ、アリ
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド、ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】ファイフ、キース ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シックラー、ジェイソン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト、ローレンス シー.
(72)【発明者】
【氏名】グレン、ポール イー.
(72)【発明者】
【氏名】プレストン、カイル
(72)【発明者】
【氏名】ガセミ、ファーシッド
(72)【発明者】
【氏名】チプリアニー、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ラッキー、ジェレミー
【審査官】柳澤 朱香
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537850(JP,A)
【文献】特開2016-065878(JP,A)
【文献】国際公開第2016/023011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積デバイスの表面の部分から陥凹したトレンチ領域を有する表面と、
前記トレンチ領域に設けられ、かつ前記トレンチ領域の底面から陥凹したサンプル・ウェル・アレイであって、前記サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルが、サンプルを受け取るべく形成された、サンプル・ウェル・アレイと、
前記アレイ中の少なくとも1つのサンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合すべく形成され、及び、前記トレンチ領域の底面から第1の距離をもって、かつ前記トレンチ領域とは別個の領域中の前記集積デバイスの表面から第2の距離をもって配置された導波路であって、前記第1の距離が前記第2の距離よりも小さい、導波路とを備える、前記集積デバイス。
【請求項2】
前記第1の距離は150nm~600nmである、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項3】
前記第2の距離は250nm~2000nmである、請求項1又は2に記載の集積デバイス。
【請求項4】
前記サンプル・ウェルは、前記導波路から300nmよりも小さい距離にて表面を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項5】
前記集積デバイスは、前記集積デバイスとは別個の励起源から励起エネルギを受け取り、前記導波路に対して励起エネルギを向けるように構成された少なくとも1つの格子結合器をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項6】
前記集積デバイスは、前記少なくとも1つの格子結合器の方へ励起エネルギを反射するように構成された反射体をさらに備える、請求項5に記載の集積デバイス。
【請求項7】
前記集積デバイスは、前記少なくとも1つの格子結合器から励起エネルギを受け取り、複数の導波路に対して励起エネルギを向けるように構成されたスプリッタ構造をさらに備える、請求項5又は6に記載の集積デバイス。
【請求項8】
前記スプリッタ構造は、少なくとも1つのマルチモード干渉スプリッタを含む、請求項7に記載の集積デバイス。
【請求項9】
前記スプリッタ構造はスター結合器を含む、請求項7又は8に記載の集積デバイス。
【請求項10】
前記スプリッタ構造は、スライスされた格子結合器を含む、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項11】
前記導波路は、遠位の位置におけるよりも前記少なくとも1つの格子結合器に近接した位置において寸法が大きくなるように、前記導波路に沿って光伝搬の方向に対して直角な方向においてテーパ付けされた寸法を有する、請求項5乃至7、又は請求項10のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項12】
前記サンプル・ウェルは、前記サンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上に形成された側壁スペーサを含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項13】
前記導波路に近接した前記サンプル・ウェルの表面は、前記側壁スペーサとは異なる様式で前記サンプルと相互作用するように構成された、請求項12に記載の集積デバイス。
【請求項14】
前記集積デバイスは、前記アレイのサンプル・ウェルのアパーチャと重複する開口を金属スタックが有するように、前記トレンチ領域の前記底面上に形成された金属スタックをさらに備える、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項15】
前記金属スタックはアルミニウム層及び窒化チタン層を含み、前記アルミニウム層は前記導波路に近接している、請求項14に記載の集積デバイス。
【請求項16】
前記導波路は窒化ケイ素を含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項17】
前記集積デバイスは、前記サンプル・ウェル中に配置された前記サンプルによって放出された放出エネルギを受け取るように構成されたセンサをさらに備える、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の集積デバイス。
【請求項18】
回路を有した基板と、
前記基板の上方に形成され、前記基板に対向している第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する導波路と、
前記基板の上方に形成され、複数の電気信号を送ったり、受け取ったりするように構成された複数の金属層であって、前記複数の金属層のうちの第1の金属層が、前記導波路の前記第1の側よりも前記基板に対してより近い距離において配置され、及び、前記複数の金属層のうちの第2の金属層が、前記導波路の前記第2の側よりも前記基板に対してより遠い距離において配置され、前記第2の金属
層がクラッディング層の部分と前記導波路の前記第2の側との間に配置される、複数の金属層とを備える
、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項19】
前記集積デバイスの表面の部分から陥凹したトレンチ領域を有する、前記集積デバイスの表面と、
前記トレンチ領域中に配設された、サンプル・ウェル・アレイであって、前記サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルが、サンプルを受け取るべく形成された、サンプル・ウェル・アレイとをさらに備え、
前記導波路は、前記トレンチ領域の底面から第1の距離をもって、かつ前記トレンチ領域とは別個の領域中の前記集積デバイスの表面から第2の距離をもって配置され、前記第1の距離は前記第2の距離よりも小さい、請求項18に記載の集積デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、生物学的及び/又は化学的サンプルの迅速、超並列、定量分析を実施するためのデバイス、方法及び技法、ならびに前記デバイスを作製する方法一般を対象とする。
【背景技術】
【0002】
生物学的サンプルの検出及び分析は生物学的アッセイ(「バイオアッセイ」)を使用して実施され得る。バイオアッセイは、従来、大きく高価な実験機器を伴い、それには機器を動作させバイオアッセイを実施するようにトレーニングされた研究者を要する。その上、バイオアッセイは、従来、バルクで実施され、したがって、検出及び定量化のために大量の特定のタイプのサンプルが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかのバイオアッセイは、特定の波長の光を放出するルミネセンス・マーカでサンプルをタグ付けすることによって実施される。マーカは光源で照明されてルミネセンスが生じ、ルミネセンス光は光検出器で検出されて、マーカによって放出されたルミネセンス光の量が定量化される。ルミネセンス・マーカを使用するバイオアッセイは従来、サンプルを照明するための高価なレーザ光源と、照明されたサンプルからルミネセンスを収集するための複雑なルミネセンス検出光学素子及び電子回路とを伴う。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態は、表面の部分から陥凹したトレンチ領域を有する表面と、トレンチ領域中に配設された、サンプル・ウェル・アレイとを含む集積デバイスに関する。サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルは、サンプルを受け取るように構成され得る。集積デバイスは、アレイ中の少なくとも1つのサンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合するように構成され、トレンチ領域の表面から第1の距離において、及びトレンチ領域とは別個の領域中の表面から第2の距離において配置された導波路をさらに含む。第1の距離は第2の距離よりも小さくなり得る。
【0005】
第1の距離は150nmと600nmとの間にあり得る。第2の距離は250nmと2000nmとの間にあり得る。サンプル・ウェルは、導波路から300nmよりも小さい距離において表面を有し得る。集積デバイスは、集積デバイスとは別個の励起源から励起エネルギを受け取り、導波路に対して励起エネルギを向けるように構成された少なくとも1つの格子結合器をさらに含み得る。集積デバイスは、少なくとも1つの格子結合器の方へ励起エネルギを反射するように構成された反射体をさらに含み得る。
【0006】
集積デバイスは、少なくとも1つの格子結合器から励起エネルギを受け取り、複数の導波路に対して励起エネルギを向けるように構成されたスプリッタ構造をさらに含み得る。スプリッタ構造は、少なくとも1つのマルチモード干渉スプリッタを含み得る。スプリッタ構造はスター結合器を含み得る。スプリッタ構造は、スライスされた格子結合器を含み得る。
【0007】
導波路は、遠位の位置におけるよりも格子結合器に近接した位置において寸法が大きくなるように、導波路に沿って光伝搬の方向に対して直角な方向においてテーパ付けされた寸法を有し得る。サンプル・ウェルは、サンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上に形成された側壁スペーサを含み得る。導波路に近接したサンプル・ウェルの表面は、側壁スペーサとは異なる様式でサンプルと相互作用するように構成され得る。
【0008】
集積デバイスは、アレイのサンプル・ウェルのアパーチャと重複する開口を金属スタックが有するように、トレンチ領域のボトム表面上に形成された金属スタックをさらに含む。金属スタックはアルミニウム層及び窒化チタン層を含み得、アルミニウム層は導波路に近接している。導波路は窒化ケイ素を含み得る。集積デバイスは、サンプル・ウェル中に配置されたサンプルによって放出された放出エネルギを受け取るように構成されたセンサをさらに含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態は、基板と、基板に対向している第1の側、及び第1の側の反対側の第2の側を有する導波路と、複数の電気信号をサポートするように構成された複数の金属層とを含む集積デバイスに関する。複数の金属層のうちの第1の金属層は、導波路の第1の側よりも基板に対してより近い距離において配置され得る。
【0010】
導波路は、複数の金属層のうちの第2の金属層よりも基板に対してより近い距離において配置され得る。
集積デバイスは、表面の部分からへこまされたトレンチ領域を有する表面と、トレンチ領域中に配設された、サンプル・ウェル・アレイとを含み得る。サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルは、サンプルを受け取るように構成され得る。導波路は、トレンチ領域の表面から第1の距離において、及びトレンチ領域とは別個の領域中の表面から第2の距離において配置され得る。第1の距離は第2の距離よりも小さくなり得る。
【0011】
いくつかの実施形態は、基板にわたって導波路を形成する工程と、導波路にわたってトップ・クラッディングを形成する工程と、トップ・クラッディング中にトレンチ領域を形成する工程と、トップ・クラッディングの表面上に金属スタックを形成する工程と、導波路に近接したトレンチ領域の表面において少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程とを含む、集積デバイスを形成する方法に関する。
【0012】
本方法は、トップ・クラッディングの表面から導波路までの距離に対してトップ・クラッディングを平坦化する工程をさらに含み得る。トレンチ領域内のロケーションにおける導波路に対するトップ・クラッディングの表面との間の距離は、150nmと600nmとの間にあり得る。少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、トップ・クラッディング層に対して延在する開口を形成するために金属層を選択的にエッチングする工程を含み得る。金属層を選択的にエッチングする工程は、フォトレジスト・マスクを使用して金属層を選択的にエッチングする工程と、フォトレジスト・マスク又はハード・マスクを使用してトップ・クラッディングを選択的にエッチングする工程とを含み得る。少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、トップ・クラッディングの時間調節エッチングを実施する工程を含み得る。少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、トップ・クラッディング上に少なくとも1つのエッチング・ストップ層を形成する工程と、トップ・クラッディング及びエッチング・ストップ層にわたって誘電体層を形成する工程と、エッチング・ストップ層を露出するために少なくとも1つのエッチング・ストップ層と重複する位置において誘電体層を除去する工程とを含み得る。本方法は、少なくとも1つのサンプル・ウェルのうちのサンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上にスペーサを形成する工程をさらに含み得る。スペーサを形成する工程は、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)処理を用いて実施され得る。スペーサを形成する工程は、導波路に近接したサンプル・ウェルの表面からスペーサをエッチングする工程を含み得る。
【0013】
本発明の第1の態様によると、表面の部分から陥凹したトレンチ領域を有する表面と、 前記トレンチ領域に設けられたサンプル・ウェル・アレイであって、前記サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルが、サンプルを受け取るべく形成された、サンプル・ウェル・アレイと、 前記アレイ中の少なくとも1つのサンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合すべく形成され、及び、前記トレンチ領域の表面から第1の距離をもって、かつ前記トレンチ領域とは別個の領域中の前記表面から第2の距離をもって配置された導波路であって、前記第1の距離が前記第2の距離よりも小さい、導波路とを備える集積デバイスを要旨とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1の距離は150nm~600nmであることを要旨とする。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記第2の距離は250nm~2000nmであることを要旨とする。
本発明の第4の態様は、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、前記サンプル・ウェルは、前記導波路から300nmよりも小さい距離にて表面を有することを要旨とする。
本発明の第5の態様は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、前記集積デバイスは、前記集積デバイスとは別個の励起源から励起エネルギを受け取り、前記導波路に対して励起エネルギを向けるように構成された少なくとも1つの格子結合器をさらに備えることを要旨とする。
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記集積デバイスは、前記少なくとも1つの格子結合器の方へ励起エネルギを反射するように構成された反射体をさらに備えることを要旨とする。
本発明の第7の態様は、第5~6の態様のいずれか1つにおいて、前記集積デバイスは、前記少なくとも1つの格子結合器から励起エネルギを受け取り、複数の導波路に対して励起エネルギを向けるように構成されたスプリッタ構造をさらに備えることを要旨とする。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記スプリッタ構造は、少なくとも1つのマルチモード干渉スプリッタを含むことを要旨とする。
本発明の第9の態様は、第7~8の態様のいずれか1つにおいて、前記スプリッタ構造はスター結合器を含むことを要旨とする。
本発明の第10の態様は、第7~9の態様のいずれか1つにおいて、前記スプリッタ構造は、スライスされた格子結合器を含むことを要旨とする。
本発明の第11の態様は、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、前記導波路は、遠位の位置におけるよりも前記格子結合器に近接した位置において寸法が大きくなるように、前記導波路に沿って光伝搬の方向に対して直角な方向においてテーパ付けされた寸法を有することを要旨とする。
本発明の第12の態様は、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、前記サンプル・ウェルは、前記サンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上に形成された側壁スペーサを含むことを要旨とする。
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記導波路に近接した前記サンプル・ウェルの表面は、前記側壁スペーサとは異なる様式で前記サンプルと相互作用するように構成されたことを要旨とする。
本発明の第14の態様は、第1~13の態様のいずれか1つにおいて、前記集積デバイスは、前記アレイのサンプル・ウェルのアパーチャと重複する開口を金属スタックが有するように、前記トレンチ領域のボトム表面上に形成された金属スタックをさらに備えることを要旨とする。
本発明の第15の態様は、第14の態様において、前記金属スタックはアルミニウム層及び窒化チタン層を含み、前記アルミニウム層は前記導波路に近接していることを要旨とする。
本発明の第16の態様は、第1~15の態様のいずれか1つにおいて、前記導波路は窒化ケイ素を含むことを要旨とする。
本発明の第17の態様は、第1~16の態様のいずれか1つにおいて、前記集積デバイスは、前記サンプル・ウェル中に配置された前記サンプルによって放出された放出エネルギを受け取るように構成されたセンサをさらに備えることを要旨とする。
本発明の第18の態様は、基板と、 前記基板に対向している第1の側、及び前記第1の側の反対側の第2の側を有する導波路と、 複数の電気信号をサポートするように構成された複数の金属層であって、前記複数の金属層のうちの第1の金属層が、前記導波路の前記第1の側よりも前記基板に対してより近い距離において配置された、複数の金属層とを備える集積デバイスを要旨とする。
ことを要旨とする。
本発明の第19の態様は、第18の態様において、前記導波路は、前記複数の金属層のうちの第2の金属層よりも前記基板に対してより近い距離において配置されたことを要旨とする。
本発明の第20の態様は、第18~19の態様のいずれか1つにおいて、表面の部分から陥凹したトレンチ領域を有する表面と、 前記トレンチ領域中に配設された、サンプル・ウェル・アレイであって、前記サンプル・ウェル・アレイのうちのサンプル・ウェルが、サンプルを受け取るべく形成された、サンプル・ウェル・アレイとをさらに備え、 前記導波路は、前記トレンチ領域の表面から第1の距離をもって、かつ前記トレンチ領域とは別個の領域中の前記表面から第2の距離をもって配置され、前記第1の距離は前記第2の距離よりも小さいことを要旨とする。
本発明の第21の態様は、基板にわたって導波路を形成する工程と、 前記導波路にわたってトップ・クラッディングを形成する工程と、 前記トップ・クラッディング中にトレンチ領域を形成する工程と、 前記トップ・クラッディングの表面上に金属スタックを形成する工程と、 前記導波路に近接した前記トレンチ領域の表面において少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程とを備える、集積デバイスを形成する方法を要旨とする。
本発明の第22の態様は、第21の態様において、前記トップ・クラッディングの表面から前記導波路までの距離に対して前記トップ・クラッディングを平坦化する工程をさらに備えることを要旨とする。
本発明の第23の態様は、第22の態様において、前記トレンチ領域内の一定の位置における前記導波路に対するトップ・クラッディングの表面との間の前記距離は、150nm~600nmにあることを要旨とする。
本発明の第24の態様は、第21~23の態様のいずれか1つにおいて、前記少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、前記トップ・クラッディング層に対して延在する開口を形成するために前記金属層を選択的にエッチングする工程を備えることを要旨とする。
本発明の第25の態様は、第24の態様において、前記金属層を選択的にエッチングする工程は、 フォトレジスト・マスクを使用して前記金属層を選択的にエッチングする工程と、 フォトレジスト・マスク又はハード・マスクを使用して前記トップ・クラッディングを選択的にエッチングする工程とを備えることを要旨とする。
本発明の第26の態様は、第21~25の態様のいずれか1つにおいて、前記少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、前記トップ・クラッディングの時間調節エッチングを実施する工程を備えることを要旨とする。
本発明の第27の態様は、第21~26の態様のいずれか1つにおいて、前記少なくとも1つのサンプル・ウェルを形成する工程は、 前記トップ・クラッディング上に少なくとも1つのエッチング・ストップ層を形成する工程と、 前記トップ・クラッディング及び前記エッチング・ストップ層にわたって誘電体層を形成する工程と、 前記エッチング・ストップ層を露出するために前記少なくとも1つのエッチング・ストップ層と重複するロケーションにおいて前記誘電体層を除去する工程とを備えることを要旨とする。
本発明の第28の態様は、第21~27の態様のいずれか1つにおいて、前記少なくとも1つのサンプル・ウェルのうちのサンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上にスペーサを形成する工程をさらに備えることを要旨とする。
本発明の第29の態様は、第28の態様において、前記スペーサを形成する工程は、原子層堆積(ALD)処理を用いて実施されることを要旨とする。
本発明の第30の態様は、第28~29の態様のいずれか1つにおいて、ことを要旨とする。
本出願の様々な態様及び実施形態について、以下の図を参照しながら説明される。図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことを諒解されたい。多数の図の中に現れている項目は、それらの項目が中に現れるすべての図において同じ参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1-1】時間の関数としてマーカから光子を放出する確率のプロット。
【
図1-2A】例示的な放出のタイミング・スペクトルのプロット。
【
図1-2B】例示的な吸収波長スペクトルのプロット。
【
図1-2C】例示的な放出波長スペクトルのプロット。
【
図1-3A】放出波長と放出寿命とについての位相空間ダイアグラム。
【
図1-3B】吸収波長と放出寿命とについての位相空間ダイアグラム。
【
図1-4】放出波長と、吸収波長と、放出寿命とについての位相空間ダイアグラム。
【
図2-1A】いくつかの実施形態による、生物学的及び化学的標本の迅速可動分析のために使用され得る装置のブロック・ダイアグラム表現。
【
図2-1B】いくつかの実施形態による、集積デバイス及び器具のブロック・ダイアグラム。
【
図3-1A】いくつかの実施形態による、集積デバイスの概略図。
【
図3-1B】いくつかの実施形態による、ピクセルの行においてサンプル・ウェルに対して結合している励起エネルギと、センサの方へ向けられた各サンプル・ウェルからの放出エネルギとの概略図。
【
図3-2A】いくつかの実施形態による、集積デバイスの光学的構成要素の平面ビュー。
【
図3-2B】いくつかの実施形態による、集積デバイスの光学的構成要素の平面ビュー。
【
図3-2C】いくつかの実施形態による、テスト構造の平面図。
【
図3-2D】
図3-2Cに示されているテスト構造によって実施される測定から取得された長さの関数としての相対的パワーのプロット。
【
図4-1A】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを有する集積デバイスの断面ビュー。
【
図4-1B】いくつかの実施形態による、複数のトレンチ領域を有する集積デバイスの断面ビュー。
【
図4-1C】いくつかの実施形態による、個々のサンプル・ウェルに関連付けられた円形トレンチ領域を有する集積デバイスの平面ビュー。
【
図4-1D】いくつかの実施形態による、多数の導波路と重複する矩形トレンチ領域を有する集積デバイスの平面ビュー。
【
図4-2】いくつかの実施形態による、複数の金属層を有する集積デバイスの断面ビュー。
【
図4-3】いくつかの実施形態による、集積デバイスのピクセルの断面ビュー。
【
図4-4】いくつかの実施形態による、格子結合器の平面ビュー。
【
図4-5】いくつかの実施形態による、トップ・クラッディングとボトム・クラッディングとの厚さの関数として格子結合器の結合効率を図解するヒート・マップ。
【
図4-6】いくつかの実施形態による、カスケードMMIスプリッタ構造の平面ビュー。
【
図4-7A】いくつかの実施形態による、カスケードMMIスプリッタ構造の平面ビュー。
【
図4-7B】いくつかの実施形態による、例示的なMMIの平面ビュー。
【
図4-7C】いくつかの実施形態による、例示的なMMIの平面ビュー。
【
図4-8A】いくつかの実施形態による、例示的なスター結合器スプリッタ構造の平面ビュー。
【
図4-8B】
図4-8Aのスター結合器スプリッタ構造の領域4-802の平面ビュー。
【
図4-9A】いくつかの実施形態による、例示的なスター結合器スプリッタ構造の平面ビュー。
【
図4-9B】
図4-9Aのスター結合器スプリッタ構造の領域4-900の平面ビュー。
【
図4-9C】
図4-9Aのスター結合器スプリッタ構造の領域4-902の平面ビュー。
【
図4-10】いくつかの実施形態による、例示的なスター結合器スプリッタ構造の平面ビュー。
【
図4-11】いくつかの実施形態による、スライスされた格子結合器スプリッタ構造の平面ビュー。
【
図5-1A】いくつかの実施形態による、トレンチ領域を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-1B】いくつかの実施形態による、トレンチ領域を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-1C】いくつかの実施形態による、トレンチ領域を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2A】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2B】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2C】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2D】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2E】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-2F】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3A】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3B】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3C】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3D】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3E】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3F】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図5-3G】いくつかの実施形態による、複数のサンプル・ウェルを備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1A】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1B】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1C】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1D】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1E】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図6-1F】いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを作製するための作製シーケンス。
【
図7-1A】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-1B】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-1C】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-1D】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-1E】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-2A】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【
図7-2B】いくつかの実施形態による、複数の金属層を備える集積デバイスを作製するための作製シーケンス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明者は、単一の分子又は粒子の検出及び定量化を実施するためのコンパクトで高速な装置が、生物学的及び/又は化学的サンプルの複雑な定量的測定を実施するコストを低減し、生化学的技術的発見の速度を迅速に前進させることができることを認識し、諒解している。その上、容易に移送可能であるコスト効果的なデバイスは、先進した世界においてバイオアッセイが実施される方法を変えることができるだけでなく、発展途上の領域における人々に、初めて、彼らの健康及び幸福を劇的に改善し得る本質的診断テストへのアクセスを提供することもできる。たとえば、本明細書で説明される実施形態は、自宅にいる個人によって、又は開発途上国における遠隔クリニックの医師によって使用され得る血液、尿及び/又は唾液の診断テストのために使用され得る。
【0016】
数多く(たとえば、数百、数千、数百万又はそれ以上)のピクセルを持つピクセル化センサ・デバイスは、並列に複数の個々の分子又は粒子の検出を可能にする。分子は、限定ではなく例として、タンパク質及び/又はDNAであり得る。その上、毎秒100フレーム超においてデータを捕捉することができる高速デバイスは、分析されているサンプル内で経時的に起こる動的処理又は変化の検出及び分析を可能にする。
【0017】
発明者は、バイオアッセイ機器がよりコンパクトに作られるのを妨げる1つのハードルが、センサにおいて望ましくない検出事象を引き起こすことから励起光をフィルタリングする必要性であったことを認識し、諒解している。所望の信号光(ルミネセンス)を送り励起光を十分にブロックするために使用される光学フィルタは、厚く、かさばり、高価であり、光の入射角の変動に耐えられないことがあり、小型化を妨げている。しかしながら、発明者は、パルス励起源を使用することにより、そのようなフィルタリングの必要性を低減することができるか、又は、場合によっては、そのようなフィルタリングの必要性を完全に除去し得ることを認識し、諒解している。励起光パルスに対して光子が検出される時間を決定することが可能なセンサを使用することによって、信号光は、受け取られる光のスペクトルではなく、光子が受け取られる時間に基づいて励起光から分離されることが可能である。それに応じて、いくつかの実施形態ではかさばる光学フィルタリングの必要性が低減及び/又は除去される。
【0018】
発明者は、サンプル中に存在する分子を識別するためにルミネセンス寿命測定も使用され得ることを認識し、諒解している。光子が検出されたときを検出することが可能な光センサは、多くの事象から集められた統計値を使用して、励起光によって励起されている分子のルミネセンス寿命を測定することが可能である。いくつかの実施形態では、ルミネセンス寿命測定は、ルミネセンスのスペクトル測定に加えて行われ得る。代替的に、ルミネセンスのスペクトル測定は、サンプル分子を識別することにおいて完全に省略されてよい。ルミネセンス寿命測定はパルス励起源を用いて行われ得る。加えて、ルミネセンス寿命測定は、センサを含む集積デバイス、又は集積デバイスとは別個のシステム中に光源がロケートされたデバイスを使用して行われ得る。
【0019】
発明者はまた、生物学的サンプルから放出されたルミネセンス光を測定することが可能な単一の集積デバイス中にサンプル・ウェル(ナノ・アパーチャを含み得る)及びセンサを集積することにより、ディスポーザブル・バイオ分析集積デバイスが形成され得るようなデバイスを作り出すコストが低減されることを認識し、諒解している。ベース器具とインターフェースするディスポーザブル使い捨て集積デバイスは、サンプル分析のために高コストの生物学実験室を要するという制約なしに、世界のどこにおいても使用され得る。したがって、生物学的サンプルの定量分析を以前は実施することができなかった世界の領域に、自動化されたバイオ分析がもたらされ得る。たとえば、幼児の血液検査は、血液サンプルをディスポーザブル集積デバイス上に置き、ディスポーザブル集積デバイスを分析用の小さいポータブル・ベース器具中に置き、ユーザによる即時的レビューのために結果をコンピュータによって処理することによって実施され得る。データはまた、分析されるべき遠隔ロケーションに対してデータ・ネットワークを介して送られ、及び/又は後続の臨床分析のためにアーカイブされ得る。
【0020】
発明者はまた、ディスポーザブル使い捨てデバイスが、集積デバイス上に光源を含めないことによってより単純に及びより低いコストを求めて作られ得ることを認識し、諒解している。代わりに、光源は、サンプルを分析するためにディスポーザブル集積デバイスとインターフェースするシステムに組み込まれた、再利用可能な構成要素を含み得る。
【0021】
発明者はまた、複数の異なるタイプのルミネセンス・マーカでサンプルがタグ付けされたとき、集積デバイスの特定のピクセル中に存在するマーカのタイプを識別するために、ルミネセンス・マーカの任意の好適な特性が使用され得ることを認識し、諒解している。たとえば、マーカを識別するために、マーカによって放出されるルミネセンスの特性及び/又は励起吸収の特性が使用され得る。いくつかの実施形態では、第1のタイプのマーカを第2のタイプのマーカと区別するために、(光の波長に直接関する)ルミネセンスの放出エネルギが使用され得る。加えて、又は代替的に、特定のピクセルに存在するマーカのタイプを識別するためにルミネセンス寿命測定も使用され得る。いくつかの実施形態では、ルミネセンス寿命測定は、寿命情報を取得するために十分な解像度で光子が検出される時間を区別することが可能なセンサを使用して、パルス励起源を用いて行われ得る。加えて、又は代替的に、特定のピクセルに存在するマーカのタイプを識別するために、異なるタイプのマーカによって吸収される励起光のエネルギが使用され得る。たとえば、第1のマーカは、第1の波長の光を吸収するが、第2の波長の光を等しく吸収しないことがあり、一方、第2のマーカは、第2の波長の光を吸収するが、第1の波長の光を等しく吸収しないことがある。このように、異なる励起エネルギをそれぞれ持つ2つ以上の励起光源が使用されて、インターリーブ式にサンプルを照明するとき、サンプル中にどのタイプのマーカが存在するかを識別するためにマーカの吸収エネルギが使用され得る。異なるマーカは異なるルミネセンス強度を有することもある。それに応じて、特定のピクセルに存在するマーカのタイプを識別するために、ルミネセンスの検出された強度も使用され得る。
【0022】
発明者によって企図されるデバイスの適用の非限定的な一例は、複数のアミノ酸を有する核酸又はポリペプチド(たとえばタンパク質)など、生体分子の配列決定を実施することが可能なデバイスである。そのようなデバイスを使用して実施され得る診断テストは、対象の生物学的サンプル中の無細胞デオキシリボ核酸分子又は発現産物の配列決定など、対象の生体サンプル中の核酸分子を配列決定することを含む。
【0023】
本出願は、核酸分子など、生体分子又はそれのサブユニットを検出するためのデバイス、システム及び方法を提供する。そのような検出は配列決定を含み得る。対象から取得された生物学的サンプルから生体分子が抽出され得る。生物学的サンプルは、息、唾液、尿又は血液(たとえば、全血又は血漿)など、対象の体液又は組織から抽出され得る。対象は、病気(たとえば、癌)などの健康状態を有することを疑われることがある。いくつかの例では、対象の体液又は組織から1つ又は複数の核酸分子が抽出される。1つ又は複数の核酸は、対象の組織の一部など、対象から取得された1つ又は複数の細胞から抽出されるか、又は全血など、対象の無細胞体液から取得され得る。
【0024】
配列決定は、テンプレート核酸分子に対して相補的である核酸分子を合成し、時間とともにヌクレオチドの組込みを識別すること(たとえば、合成によって配列決定すること)など、テンプレートに対して相補的であるか又は類似している別の生体分子を合成することによる、テンプレート生体分子(たとえば、核酸分子)の個々のサブユニットの決定を含むことができる。代替として、配列決定は、生体分子の個々のサブユニットの直接識別を含むことができる。
【0025】
配列決定中に、生体分子の個々のサブユニットを示す信号がメモリ中に収集され、生体分子のシーケンスを決定するためにリアルタイムで又は後の時点において処理され得る。そのような処理は、場合によっては読取りを生じる、個々のサブユニットの識別を可能にする基準信号に対する信号の比較を含むことができる。読取りは、十分な長さ(たとえば、少なくとも約30、50、100塩基対(bp)又はそれ以上)のシーケンスであり得、これは、より大きいシーケンス又は領域を識別するために使用され得、たとえば、染色体又はゲノム領域又は遺伝子上のロケーションに対して整合され得る。
【0026】
生体分子の個々のサブユニットはマーカを使用して識別され得る。いくつかの例では、生体分子の個々のサブユニットを識別するためにルミネセンス・マーカが使用される。(本明細書では「マーカ」とも呼ばれる)ルミネセンス・マーカは外因性マーカ又は内因性マーカであり得る。外因性マーカは、ルミネセンス・ラベリングのためにレポータ及び/又はタグにおいて使用される外部ルミネセンス・マーカであり得る。外因性マーカの例は、限定はされないが、蛍光分子、蛍光体、蛍光染料、蛍光染色剤、有機染料、蛍光タンパク質、酵素、蛍光共鳴エネルギ伝達(FRET:fluorescence resonance energy transfer)に関与する種、酵素、及び/又は量子ドットを含み得る。そのような外因性マーカは、特定のターゲット又は成分に特にバインドするプローブ又は官能基(たとえば、分子、イオン及び/又はリガンド)に対して接合され得る。プローブに対して外因性マーカをアタッチすることは、外因性マーカの存在の検出を通したターゲットの識別を可能にする。プローブの例は、タンパク質、核酸(たとえばDNA、RNA)分子、脂質及び抗体プローブを含み得る。外因性マーカと官能基との組合せは、分子プローブ、ラベリングされたプローブ、ハイブリダイゼーション・プローブ、抗体プローブ、タンパク質プローブ(たとえば、ビオチン・バインディング・プローブ)、酵素ラベル、蛍光プローブ、蛍光タグ、及び/又は酵素レポータを含む、検出のために使用される任意の好適なプローブ、タグ、及び/又はラベルを形成し得る。
【0027】
本開示ではルミネセンス・マーカを参照するが、本明細書で提供されるデバイス、システム及び方法とともに他のタイプのマーカが使用され得る。そのようなマーカは質量タグ又は静電タグを含み得る。
【0028】
外因性マーカはサンプルに対して追加され得るが、内因性マーカはすでにサンプルの一部であり得る。内因性マーカは、励起エネルギの存在下でルミネセンスを出すか又は「自己蛍光する(autofluoresce)」ことがある、存在する任意のルミネセンス・マーカを含み得る。内因性蛍光体の自己蛍光は、外因性蛍光体の導入を要しないラベルフリー及び非侵襲性ラベリングを提供し得る。そのような内因性蛍光体の例は、限定ではなく例として、ヘモグロビン、オキシヘモグロビン、脂質、コラーゲン及びエラスチン架橋、還元されたニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADH)、酸化されたフラビン(FAD及びFMN)、リポフスシン、ケラチン、ならびに/あるいはポルフィリンを含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態は標本中に単一の分子を検出することによる診断テストを対象としていることがあるが、発明者はまた、いくつかの実施形態が、たとえば、遺伝子又はポリペプチドなど、1つ又は複数の核酸セグメントの核酸(たとえばDNA、RNA)配列決定を実施するために単一の分子検出能力を使用し得ることを認識している。核酸配列決定は、ターゲット核酸分子におけるヌクレオチドの順序及び位置の決定を可能にする。核酸配列決定技術は、核酸シーケンスを決定するために使用される方法、ならびに配列決定処理における速度、読取り長さ、及び誤りの出現率が変動してよい。たとえば、いくつかの核酸配列決定方法は合成による配列決定に基づき、ここでは、ターゲット核酸分子に対して相補的である核酸の新たに合成されるストランド中にヌクレオチドが組み込まれるように、ヌクレオチドの識別情報が決定される。合成方法によるいくつかの配列決定は、ターゲット核酸分子(たとえば、ターゲット核酸のコピー)のポピュレーションの存在、又はターゲット核酸のポピュレーションを達成するためのターゲット核酸の増幅の工程を要する。
【0030】
単一の分子検出及び/又は核酸配列決定を実施するために単純であまり複雑でない装置の必要性を認識しており、発明者は、異なる分子をラベリングするために、光(たとえば、ルミネセンス)マーカなど、マーカのセットを使用して単一の分子を検出するための技法を想到した。タグは、ヌクレオチド又はアミノ酸及び好適なマーカを含み得る。マーカは、単一の分子にバインドされている間に検出されるか、単一の分子からの解放時に検出されるか、又は単一の分子にバインドされている間に及びそれからの解放時に検出され得る。いくつかの例では、マーカはルミネセンス・タグである。選択されたセット中の各ルミネセンス・マーカはそれぞれの分子に関連付けられる。たとえば、DNA中に存在する核酸塩基を「ラベリングする」ために4つのマーカのセットが使用されてよく、このセットの各マーカは、タグを形成するために異なる核酸塩基に関連付けられ、たとえば、第1のマーカはアデニン(A)に関連付けられ、第2のマーカはシトシン(C)に関連付けられ、第3のマーカはグアニン(G)に関連付けられ、第4のマーカはチミン(T)に関連付けられる。その上、マーカのセット中のルミネセンス・マーカの各々は、セットの第1のマーカをセット中の他のマーカと区別するために使用され得る異なる性質を有する。このように、各マーカは、これらの区別する特性のうちの1つ又は複数を使用して一意に識別可能である。限定ではなく例として、1つのマーカを別のものと区別するために使用され得るマーカの特性は、励起に応答してマーカによって放出された光の放出エネルギ及び/又は波長、ならびに/あるいは特定のマーカを励起する励起光の波長及び/又はエネルギを含み得る。4つのマーカのセットの中からマーカを区別することにより、マーカに関連付けられた核酸塩基が一意に識別される。
【0031】
ルミネセンス・マーカは、それらが放出する光の波長、それらが放出する光の時間的特性(たとえば、それらの放出ディケイ時間期間)、及び励起エネルギに対するそれらの応答(たとえば、励起光子を吸収するそれらの確率)が変動してよい。それに応じて、ルミネセンス・マーカは、これらの性質を検出することに基づいて他のルミネセンス・マーカから識別されるか又は弁別され得る。そのような識別又は弁別技法は単独で又は任意の好適な組合せにおいて使用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、本出願で説明される集積光検出器は、蛍光寿命など、ルミネセンス寿命を測定又は弁別することができる。寿命測定は、1つ又は複数のマーカ(たとえば、蛍光分子)を励起し、放出されたルミネセンスの時間変動を測定することに基づく。マーカが励起状態に達した後にマーカが光子を放出する確率は、経時的に指数関数的に減少する。この確率が減少する速度はマーカの特性であってよく、異なるマーカでは異なってよい。マーカによって放出される光の時間的特性を検出することは、互いに対してマーカを識別すること及び/又はマーカを弁別することを可能にし得る。光子が経時的に放出される確率の減少は、指数ディケイ関数p(t)=e^(-t/τ)によって表現され得、ただし、p(t)は時間tにおける光子放出の確率であり、τはマーカの時間的パラメータである。時間的パラメータτは、光子を放出するマーカの確率がある値であるときの励起後の時間を示す。時間的パラメータτは、マーカの吸収及び放出スペクトル・プロパティとは別個であり得るマーカのプロパティである。そのような時間的パラメータτは、マーカのルミネセンス寿命、蛍光寿命又は単に「寿命」と呼ばれる。
【0033】
図1-1は、異なる寿命を持つ2つのマーカのための時間の関数として放出されている光子の確率をプロットする。確率曲線Bによって表現されるマーカは、確率曲線Aによって表現されるマーカの放出の確率よりも素早く減衰する放出の確率を有する。確率曲線Bによって表現されるマーカは、確率曲線Aによって表現されるマーカよりも短い時間的パラメータτ、又は寿命を有する。マーカは、いくつかの実施形態では、0.1~20nsにわたる寿命を有することがある。しかしながら、本明細書で説明される技法は、使用されるマーカの寿命について限定されない。
【0034】
マーカの寿命は、2つ以上のマーカ同士を区別するために使用され得、及び/又はマーカを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、異なる寿命を有する複数のマーカが励起源によって励起される寿命測定が実施され得る。一例として、それぞれ、0.5、1、2、及び3ナノ秒の寿命を有する4つのマーカが、選択された波長(たとえば、例として、635nm)を有する光を放出する光源によって励起され得る。マーカは、マーカによって放出される光の寿命を測定することに基づいて識別又は互いに分化され得る。
【0035】
寿命測定は、絶対強度値とは対照的に、どのように強度が経時的に変化するかを比較することによって相対強度測定を使用し得る。その結果、寿命測定は、絶対強度測定の困難のいくつかを回避し得る。絶対強度測定は、存在するマーカの濃度に依存することがあり、変動するマーカ濃度のための較正工程が必要とされ得る。対照的に、寿命測定はマーカの濃度に鈍感であり得る。
【0036】
実施形態は、マーカのセット中の第1のマーカを同じセット中の他のマーカと区別するために、マーカ特性の任意の好適な組合せを使用し得る。たとえば、いくつかの実施形態は、マーカを識別するためにマーカからの放出光のタイミング情報のみを使用し得る。そのような実施形態では、マーカの選択されたセット中の各マーカは、セット中の他のマーカとは異なる放出寿命を有し、ルミネセンス・マーカは、単一の励起源からの光によってすべて励起される。
図1-2Aは、一実施形態による4つのルミネセンス・マーカからの放出タイミングを図解し、ここで、4つのマーカは異なる平均放出寿命(τ)を呈する。マーカが特定の値の寿命を有するように測定される確率は、本明細書ではマーカの「放出タイミング」と呼ばれる。第1のルミネセンス・マーカからの第1の放出タイミング1-101は、τ1において寿命を有するピーク確率を有し、第2のルミネセンス・マーカからの第2の放出タイミング1-102は、τ2において寿命を有するピーク確率を有し、第3のルミネセンス・マーカからの第3の放出タイミング1-103は、τ3において寿命を有するピーク確率を有し、第4のルミネセンス・マーカからの第4の放出タイミング1-104は、τ4において寿命を有するピーク確率を有する。この実施形態では、4つのルミネセンス・マーカの寿命確率ピークは、関係τ1<τ2<τ3<τ4を満たす任意の好適な値を有し得る。この4つのタイミング放出グラフは、
図1-2Aに図解されているように、特定のルミネセンス・マーカの寿命のわずかな変動により、重複することも重複しないこともある。この実施形態では、4つのマーカの各々が励起源からの光を最大に吸収する励起波長はほぼ等しいが、そうである必要はない。上記のマーカ・セットを使用して、4つの異なる分子は、マーカ・セットからのそれぞれのマーカでラベリングされ得、マーカは単一の励起源を使用して励起され得、マーカは、光学システム及びセンサを使用してマーカの放出寿命を検出することによって互いに区別され得る。
図1-2Aは4つの異なるマーカを図解しているが、任意の好適な数のマーカが使用され得ることを諒解されたい。
【0037】
他の実施形態は、マーカのセット内でマーカの識別情報を決定するために、マーカ特性の任意の好適な組合せを使用し得る。使用され得るマーカ特性の例は、限定はされないが、励起波長、放出波長、及び放出寿命を含む。マーカ特性の組合せは位相空間を形成し、各マーカはこの位相空間内の点として表現され得る。マーカのセット内のマーカは、セット内の各マーカ間の「距離」が十分大きくなって、検出機構がセット中の各マーカを他のマーカと区別することができるように選択されるべきである。たとえば、いくつかの実施形態では、マーカのサブセットが同じ放出波長を有するが、異なる放出寿命及び/又は異なる励起波長を有する、マーカのセットが選択され得る。他の実施形態では、マーカのサブセットが同じ放出寿命を有するが、異なる放出波長及び/又は異なる励起波長を有する、マーカのセットが選択され得る。他の実施形態では、マーカのサブセットが同じ励起波長を有するが、異なる放出波長及び/又は異なる放出寿命を有する、マーカのセットが選択され得る。
【0038】
限定ではなく例として、
図1-2Bは、一実施形態による4つのルミネセンス・マーカからの放出スペクトルを図解し、ここで、マーカのうちの2つは第1のピーク発光波長を有し、他の2つのマーカは第2のピーク放出波長を有する。第1のルミネセンス・マーカからの第1の放出スペクトル1-105はλ1においてピーク放出波長を有し、第2のルミネセンス・マーカからの第2の放出スペクトル1-106もλ1においてピーク放出波長を有し、第3のルミネセンス・マーカからの第3の放出スペクトル1-107はλ2においてピーク放出波長を有し、第4のルミネセンス・マーカからの第4の放出スペクトル1-108もλ2においてピーク放出波長を有する。この実施形態では、4つのルミネセンス・マーカの放出ピークは、関係λ1<λ2を満たす任意の好適な値を有し得る。ピーク放出波長が2つ以上のルミネセンス・マーカについて同じであるこのような実施形態では、同じ放出波長を有するマーカの別個の特性が異ならなければならない。たとえば、λ1において放出する2つのマーカは、異なる放出寿命を有し得る。
図1-3Aは、放出波長と放出寿命とが広がる位相空間においてこの状況を概略的に図解する。第1のマーカは放出波長λ1及び放出寿命τ1を有し、第2のマーカは放出波長λ1及び放出寿命τ4を有し、第3のマーカは放出波長λ2及び放出寿命τ1を有し、第4のマーカは放出波長λ2及び放出寿命τ4を有する。このように、
図1-3Aに図示されているマーカ・セット中のすべての4つのマーカは互いに区別可能である。そのようなマーカ・セットを使用すると、4つのマーカの吸収波長が同一であるときでも4つのマーカ間で区別することが可能になる。これは、フォトルミネセンスの放出の時間ならびに放出波長を検出することができるセンサを使用すると可能である。
【0039】
限定ではなく例として、
図1-2Cは、別の実施形態による4つのルミネセンス・マーカからの吸収スペクトルを図解する。この実施形態では、マーカのうちの2つは第1のピーク吸収波長を有し、他の2つのマーカは第2のピーク吸収波長を有する。第1のルミネセンス・マーカの第1の吸収スペクトル1-109はλ3においてピーク吸収波長を有し、第2のルミネセンス・マーカの第2の吸収スペクトル1-110はλ4においてピーク吸収波長を有し、第3のルミネセンス・マーカの第3の吸収スペクトル1-111はλ3においてピーク吸収波長を有し、第4のルミネセンス・マーカの第4の吸収スペクトル1-112はλ4においてピーク吸収波長を有する。
図1-2Cにおいて吸収ピーク波長を共有するマーカは、放出寿命など、別のマーカ特性を介して区別可能であることに留意されたい。
図1-3Bは、吸収波長と放出寿命とが広がる位相空間においてこの状況を概略的に図解する。第1のマーカは吸収波長λ3及び放出寿命τ1を有し、第2のマーカは吸収波長λ3及び放出寿命τ4を有し、第3のマーカは吸収波長λ4及び放出寿命τ1を有し、第4のマーカは吸収波長λ4及び放出寿命τ4を有する。このように、
図1-3Aに図示されているマーカ・セット中のすべての4つのマーカは互いに区別可能である。
【0040】
そのようなマーカ・セットを使用すると、4つのマーカの放出波長が区別不可能であるときでも、4つのマーカ間で区別することが可能になる。これは、フォトルミネセンスの放出の時間を検出することができるセンサに関連して、異なる波長において放出する2つの励起源又は多数の波長において放出することが可能な単一の励起源を使用すると可能である。検出された放出事象ごとに励起光の波長が知られる場合、どのマーカが存在したかが決定され得る。励起源は第1の励起波長と第2の励起波長との間で交替し得、これはインターリービングと呼ばれる。代替的に、第1の励起波長の2つ以上のパルスが使用され、その後に第2の励起波長の2つ以上のパルスが続き得る。
【0041】
マーカを区別するために使用される励起源又は励起波長の数は2に限定されず、いくつかの実施形態では、マーカを区別するために3つ以上の励起波長又はエネルギが使用され得る。そのような実施形態では、マーカは、多数の励起波長に応答して放出される光子の強度又は数によって区別され得る。マーカは、マーカをある励起波長に露出することに応答して放出された光子の数を検出することによって多数のマーカの中から区別可能であり得る。いくつかの実施形態では、マーカは、一度に多数の励起エネルギのうちの1つに対してマーカを照明することと、マーカが最高数の光子を放出した多数の励起エネルギの中から励起エネルギを識別することとによって区別され得る。他の実施形態では、マーカを識別するために、異なる励起エネルギに応答してマーカから放出された光子の数が使用され得る。第2の励起エネルギよりも第1の励起エネルギに応答して光子を放出する確率が高い第1のマーカは、第1の励起エネルギよりも第2の励起エネルギに応答して光子を放出する確率が高い第2のマーカから区別され得る。このようにして、異なる励起エネルギに応答してある量の光子を放出する区別可能な確率を有するマーカは、その異なる励起エネルギに対して未知のマーカを露出しながら、放出された光子を測定することによって識別され得る。そのような実施形態では、マーカは多数の励起エネルギに対して露出されることがあり、マーカの識別は、マーカが光及び/又は特定数の放出された光子を放出したかどうかを決定することによって達成され得る。任意の好適な数の励起エネルギ源が使用され得る。いくつかの実施形態では、異なるマーカ(たとえば、4つの異なるマーカ)同士を区別するために4つの異なる励起エネルギが使用され得る。いくつかの実施形態では、異なるマーカ同士を区別するために3つの異なる励起エネルギが使用され得る。異なる励起エネルギに応答して放出される光子の量と組み合わせてマーカの存在を区別するために、放出寿命及び放出スペクトルを含む、マーカの他の特性が使用され得る。
【0042】
他の実施形態では、どのマーカが存在するかを区別するためにマーカ・セット中のマーカの3つ以上の特性が使用され得る。
図1-4は、マーカの吸収波長と放出波長と放出寿命とが広がる、図解となる位相空間を図解する。
図1-4では、位相空間中に8つの異なるマーカが分布されている。8つのマーカのうちの4つは同じ放出波長を有し、異なる4つのマーカは同じ吸収波長を有し、異なる4つのマーカは同じ放出寿命を有する。しかしながら、マーカのすべて3つの特性が考慮されるとき、マーカの各々はあらゆる他のマーカから区別可能である。実施形態は任意の数のマーカに限定されない。この概念は、少なくともこれら3つのマーカ特性を使用して互いに区別され得る任意の数のマーカを含むように拡張され得る。
【0043】
図に図解されていないが、他の実施形態は、吸収周波数のみに基づいてルミネセンス・マーカの識別情報を決定し得る。そのような実施形態は、マーカ・セット中のマーカの吸収スペクトルに対して整合する固有の波長に対して励起光が同調され得る場合に可能である。そのような実施形態では、各マーカから放出された光を向け、検出するために使用される光学システム及びセンサは、放出された光の波長を検出することが可能である必要はない。そのような実施形態では放出波長を検出することを要しないので、光学システム及びセンサの複雑さを低減するので、これはいくつかの実施形態では有利であり得る。
【0044】
上記で議論されたように、発明者は、マーカの様々な特性を使用して異なるルミネセンス・マーカを互いに区別することが可能である必要性を認識し、諒解している。マーカの識別情報を決定するために使用される特性のタイプは、この分析を実施するために使用される物理デバイスに影響を及ぼす。本出願は、これらの異なる実験を実施するための装置、デバイス、器具及び方法についてのいくつかの実施形態を開示する。
【0045】
発明者は、サンプルを分析するために生物学的サンプルをラベリングするために使用される1つ又はマーカから放出されるルミネセンス光の異なる特性を測定するための励起源を含む器具に関連して、光学素子とセンサとを含む、低コストで使い捨てのディスポーザブル集積デバイスが使用され得ることを認識し、諒解している。低コストの集積デバイスを使用することは、所与のバイオアッセイを実施するコストを低減する。生物学的サンプルは集積デバイス上に置かれ、バイオアッセイの完了時に、廃棄され得る。集積デバイスは、多くの異なるディスポーザブル集積デバイスとともに繰り返し使用され得る、より高価な多用途器具とインターフェースする。コンパクトなポータブル器具とインターフェースする低コストの集積デバイスは、サンプルを分析するために実験室の専門知識を要する高コストの生物学実験室の制約なしに、世界のどこにおいても使用され得る。したがって、生物学的サンプルの定量分析を以前は実施することができなかった世界の領域に、自動化されたバイオ分析がもたらされ得る。たとえば、幼児の血液検査は、血液サンプルをディスポーザブル集積デバイス上に置き、ディスポーザブル集積デバイスを分析用の小さいポータブル器具中に置き、ユーザによる即時的レビューのためにその器具に対して接続するコンピュータによって結果を処理することによって実施され得る。データはまた、分析されるべき遠隔ロケーションに対してデータ・ネットワークを介して送られ、及び/又は後続の臨床分析のためにアーカイブされ得る。代替的に、器具は、集積デバイスのセンサから取得されたデータを分析するために1つ又は複数のプロセッサを含み得る。
【0046】
I.システムの概観
本システムは、集積デバイスと、集積デバイスとインターフェースするように構成された器具とを含む。集積デバイスはピクセルのアレイを含み、ピクセルはサンプル・ウェルと少なくとも1つのセンサとを含む。集積デバイスの表面は複数のサンプル・ウェルを有し、サンプル・ウェルは、集積デバイスの表面上に置かれた標本からサンプルを受け取るように構成される。標本は、多数のサンプル、及びいくつかの実施形態では、異なるタイプのサンプルを含有し得る。複数のサンプル・ウェルは、サンプル・ウェルの少なくとも部分が標本から1つのサンプルを受け取るように、好適なサイズ及び形状を有し得る。いくつかの実施形態では、サンプル・ウェル内のサンプルの数は、いくつかのサンプル・ウェルが1つのサンプルを含有するが、他のサンプル・ウェルが0個、2つ以上のサンプルを含有するように、サンプル・ウェルの間で分布され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、標本は多数の一本鎖DNAテンプレートを含有することがあり、集積デバイスの表面上の個々のサンプル・ウェルは、一本鎖DNAテンプレートを受け取るようにサイズ決定及び整形され得る。一本鎖DNAテンプレートは、集積デバイスのサンプル・ウェルの少なくとも部分が一本鎖DNAテンプレートを含有するように、集積デバイスのサンプル・ウェルの間で分布され得る。標本はまた、サンプル・ウェル中にさらに入るタグ付けされたヌクレオチド(たとえば、dNTP)を含有し得、それがサンプル・ウェル中の一本鎖DNAテンプレートに対して相補的なDNAの鎖に組み込まれると、ヌクレオチドの識別を可能にし得る。そのような例では、「サンプル」は、ポリメラーゼによって現在組み込まれている、一本鎖DNAと、タグ付けされたヌクレオチド(たとえば、dNTP)の両方を参照することがある。いくつかの実施形態では、標本は一本鎖DNAテンプレートを含有し得、タグ付けされたヌクレオチド(たとえば、dNTP)はその後、ヌクレオチドがサンプル・ウェル内のDNAの相補的ストランドに組み込まれると、サンプル・ウェルに対して導入され得る。このようにして、ヌクレオチドの組込みのタイミングは、タグ付けされたヌクレオチド(たとえば、dNTP)が集積デバイスのサンプル・ウェルに対して導入されるときによって制御され得る。
【0048】
集積デバイスのピクセル・アレイとは別個にロケートされた励起源から励起エネルギが提供される。励起エネルギは、1つ又は複数のピクセルの方へ少なくとも部分的に集積デバイスの要素によって向けられて、サンプル・ウェル内の照明領域が照明される。マーカ又はタグは次いで、照明領域内にロケートされたとき、及び励起エネルギによって照明されたことに応答して、放出エネルギを放出し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の励起源はシステムの器具の一部であり、器具及び集積デバイスの構成要素は、1つ又は複数のピクセルの方へ励起エネルギを向けるように構成される。
【0049】
サンプルによって放出された放出エネルギは、次いで、集積デバイスのピクセル内の1つ又は複数のセンサによって検出され得る。検出された放出エネルギの特性は、放出エネルギを放出したマーカの指標を提供し得、放出エネルギに関連付けられたマーカを識別するために使用され得る。そのような特性は、センサによって検出された光子の到着時間、センサによって経時的に蓄積された光子の量、及び/又は2つ以上のセンサにわたる光子の分布を含む、光の任意の好適なタイプの特性を含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、サンプルの放出エネルギに関連付けられた1つ又は複数のタイミング特性(たとえば、蛍光寿命)の検出を可能にする構成を有し得る。センサは、励起エネルギのパルスが集積デバイス中を伝搬した後の光子到着時間の分布を検出し得、到着時間の分布は、サンプルの放出エネルギのタイミング特性の指標(たとえば、蛍光寿命のプロキシ)を提供し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、マーカ又はタグによって放出される放出エネルギの確率の指標(たとえば、蛍光強度)を提供する。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、放出エネルギの空間分布をキャプチャするようにサイズ決定及び準備され得る。1つ又は複数のセンサからの出力信号は、次いで、複数のマーカの中からマーカを区別するために使用され得、これらの複数のマーカは標本内のサンプルを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは多数の励起エネルギによって励起されることがあり、多数の励起エネルギに応答してサンプルによって放出される放出エネルギの放出エネルギ及び/又はタイミング特性は、複数のマーカからマーカを区別し得る。
【0050】
システム2-100の概略的概観が
図2-1A及び
図2-1Bに図解されている。本システムは、器具2-104とインターフェースする集積デバイス2-102の両方を備える。いくつかの実施形態では、器具2-104は、器具2-104の一部として組み込まれた1つ又は複数の励起源2-106を含み得る。いくつかの実施形態では、励起源は、器具2-104と集積デバイス2-102の両方に対して外部にあってよく、器具2-104は、励起源から励起エネルギを受け取り、それを集積デバイスに対して向けるように構成され得る。集積デバイスは、集積デバイスを受け取ることと、それを励起源との正確な光整列において保つこととのために任意の好適なソケットを使用して器具とインターフェースし得る。励起源2-106は、集積デバイス2-102に対して励起エネルギを提供するように構成され得る。
図2-1Bに概略的に図解されているように、集積デバイス2-102は多数のピクセルを有し、ピクセル2-112の少なくとも部分は、サンプルの独立した分析を実施し得る。そのようなピクセル2-112は、ピクセルがそのピクセルとは別個の源2-106から励起エネルギを受け取り、その源が複数のピクセルを励起するので、「受動源ピクセル(passive source pixel)」と呼ばれ得る。ピクセル2-112は、サンプルを受け取るように構成されたサンプル・ウェル2-108と、励起源2-106によって提供される励起エネルギでサンプルを照明したことに応答してサンプルによって放出される放出エネルギを検出するためのセンサ2-110とを有する。サンプル・ウェル2-108は、サンプルに対する励起エネルギの配送と、サンプルからの放出エネルギの検出とにおける容易さを提供するために、集積デバイス2-102の表面に近接してサンプルを保持し得る。
【0051】
サンプル・ウェル2-108に対して励起エネルギを案内結合するための光学要素は、集積デバイス2-102と器具2-104の両方の上にロケートされる。そのような源対ウェル要素は、集積デバイスに対して励起エネルギを結合するために集積デバイス2-102上にロケートされた1つ又は複数の格子結合器と、器具2-104からピクセル2-112中のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送するための導波路とを備え得る。いくつかの実施形態では、集積デバイス上にロケートされた要素は、サンプル・ウェルからセンサの方へ放出エネルギを向けるように働き得る。サンプル・ウェル2-108、励起源対ウェル光学素子の部分、及びサンプル・ウェル対センサ光学素子が集積デバイス2-102上にロケートされ得る。励起源2-106、及び源対ウェル構成要素の部分が器具2-104中にロケートされ得る。いくつかの実施形態では、単一の構成要素は、サンプル・ウェル2-108に対して励起エネルギを結合することと、サンプル・ウェル2-108からセンサ2-110に対して放出エネルギを配送することとの両方の役割を果たし得る。サンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合し及び/又はセンサに対して放出エネルギを向けるための、集積デバイス中に含めるべき好適な構成要素の例は、「分子をプローブし、検出し、分析するための集積デバイス(INTEGRATED DEVICE FOR PROBING, DETECTING AND ANALYZING MOLECULES)」と題する米国特許出願第14/821,688号、及び「分子をプローブし、検出し、分析するための外部光源を持つ集積デバイス(INTEGRATED DEVICE WITH EXTERNAL LIGHT SOURCE FOR PROBING, DETECTING, AND ANALYZING MOLECULES)」と題する米国特許出願第14/543,865号において説明されており、それらの両方はそれらの全体が援用される。
【0052】
図2-1Bに図解されているように、集積デバイスは複数のピクセルを備え、ピクセル2-112は、それ自体の個々のサンプル・ウェル2-108及び少なくとも1つのセンサ2-110に関連付けられる。複数のピクセルはアレイで準備され得、アレイ中には任意の好適な数のピクセルがあってよい。集積デバイス2-102中のピクセルの数は約10,000ピクセル~10,000,000ピクセルの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、512,000ピクセル、32,000ピクセル、64,000ピクセル、又は8,000,000ピクセルを有し得る。いくつかの実施形態では、ピクセルは512ピクセル×512ピクセルのアレイで準備され得る。集積デバイス2-102及び器具2-104は、大きいピクセル・アレイ(たとえば、10,000を超えるピクセル)に関連付けられたデータを扱うために多チャネル高速通信リンクを含み得る。
【0053】
器具2-104は、集積デバイス・インターフェース2-114を通して集積デバイス2-102とインターフェースする。集積デバイス・インターフェース2-114は、励起源2-106から集積デバイス2-102への励起エネルギの結合を改善するために、器具2-104に対して集積デバイス2-102を配置及び/又は整列するための構成要素を含み得る。励起源2-106は、少なくとも1つのサンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送するように準備された任意の好適な光源であり得る。好適な励起源の例は、「分子をプローブし、検出し、分析するための集積デバイス(INTEGRATED DEVICE FOR PROBING, DETECTING AND ANALYZING MOLECULES)」と題する米国特許出願第14/821688号において説明されており、これはそれの全体が援用される。いくつかの実施形態では、励起源2-106は、集積デバイス2-102に対して励起エネルギを配送するために組み合わされた多数の励起源を含む。多数の励起源は、多数の励起エネルギ及び/又は波長を産み出すように構成され得る。集積デバイス・インターフェース2-114は、集積デバイス上にロケートされたピクセル中のセンサから読出し信号を受け取り得る。集積デバイス・インターフェース2-114は、集積デバイスが集積デバイス・インターフェース2-114に対して集積デバイスを固定することによって器具にアタッチするように設計され得る。
【0054】
器具2-104は、器具2-104の動作を制御するためのユーザ・インターフェース2-116を含む。ユーザ・インターフェース2-116は、ユーザが、器具の機能を制御するために使用されるコマンド及び/又は設定などの情報を器具に対して入力することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ユーザ・インターフェース2-116は、ボイス・コマンドのためのボタン、スイッチ、ダイアル、及びマイクロフォンを含み得る。加えて、ユーザ・インターフェース2-116は、集積デバイス上のセンサからの読出し信号によって取得された適切な整列及び/又は情報など、ユーザが器具及び/又は集積デバイスのパフォーマンスに関してフィードバックを受け取ることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、ユーザ・インターフェース2-116は、音響フィードバックを提供するためにスピーカを使用して、ならびに視覚的フィードバックを提供するためにインジケータ・ライト及び/又はディスプレイ・スクリーンを使用してフィードバックを提供し得る。いくつかの実施形態では、器具2-104は、コンピューティング・デバイス2-120と接続するために使用されるコンピュータ・インターフェース2-118を含む。任意の好適なコンピュータ・インターフェース2-118及びコンピューティング・デバイス2-120が使用され得る。たとえば、コンピュータ・インターフェース2-118はUSBインターフェース又はファイヤワイア・インターフェースであり得る。コンピューティング・デバイス2-120は、ラップトップ又はデスクトップコンピュータなど、任意の汎用コンピュータであってよい。コンピュータ・インターフェース2-118は、器具2-104とコンピューティング・デバイス2-120との間の情報の通信を促進する。器具2-104を制御及び/又は構成するための入力情報は、器具のコンピュータ・インターフェース2-118に対して接続されたコンピューティング・デバイス2-120を通して提供され得る。出力情報は、コンピュータ・インターフェース2-118を通してコンピューティング・デバイス2-120によって受け取られ得る。そのような出力情報は、器具2-104及び/又は集積デバイス2-112のパフォーマンスに関するフィードバックならびにセンサ2-110の読出し信号からの情報を含み得る。器具2-104はまた、センサ2-110から受け取られたデータを分析し及び/又は励起源2-106に対して制御信号を送信するための処理デバイス2-122を含み得る。いくつかの実施形態では、処理デバイス2-122は、汎用プロセッサ、特別に適応されたプロセッサ(たとえば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ・コアなどの中央処理ユニット(CPU)、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、カスタム集積回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、あるいはそれらの組合せ)を備え得る。いくつかの実施形態では、センサ2-110からのデータの処理は、処理デバイス2-122と外部コンピューティング・デバイス2-120の両方によって実施され得る。他の実施形態では、コンピューティング・デバイス2-120は省略されてよく、センサ2-110からのデータの処理は処理デバイス2-122のみによって実施され得る。
【0055】
ピクセルの行を図解している集積デバイス3-102の断面概略図が
図3-1Aに図示されている。ピクセル3-112はサンプル・ウェル3-108及びセンサ3-110を含む。センサ3-110は、センサ3-110が、サンプル・ウェル3-112内のサンプルによって放出された放出エネルギを受け取るように、サンプル・ウェル3-112に対して整列及び配置され得る。好適なセンサの例は、「受け取られた光子の時間的ビニングのための集積デバイス(INTEGRATED DEVICE FOR TEMPORAL BINNING OF RECEIVED PHOTONS)」と題する米国特許出願第14/821,656号において説明されており、これはそれの全体が援用される。
【0056】
集積デバイスに結合された励起源は、集積デバイス3-102の1つ又は複数のピクセルに対して励起エネルギを提供し得る。
図3-1Bは、集積デバイス3-102に対して(破線で示された)励起エネルギ3-130を提供するための集積デバイス3-102への励起源3-106の結合を図解する概略図である。
図3-1Bは、励起エネルギ源3-106からピクセル3-112中のサンプル・ウェル3-108への励起エネルギの経路を図解する。集積デバイスから離れてロケートされた構成要素は、集積デバイスに対して励起源3-106を配置及び整列するために使用され得る。そのような構成要素は、レンズ、ミラー、プリズム、アパーチャ、減衰器、及び/又は光ファイバを含む光学的構成要素を含み得る。1つ又は複数の整列構成要素の制御を可能にするために器具中に追加の機械的構成要素が含められ得る。そのような機械的構成要素は、アクチュエータ、ステッパ・モータ、及び/又はノブを含み得る。好適な励起源及び整列機構の例は、「パルス・レーザ及びシステム(PULSED LASER AND SYSTEM)」と題する米国特許出願第62/310,398号において説明されており、これはそれの全体が援用される。
【0057】
集積デバイスは、集積デバイス中のピクセルの方へ励起エネルギ3-130を向ける構成要素を含む。各ピクセル3-112内で、励起エネルギは、ピクセルに関連付けられたサンプル・ウェル3-108に対して結合される。
図3-1Bはピクセルの行中の各サンプル・ウェルに対して結合している励起エネルギを図解しているが、いくつかの実施形態では、励起エネルギは行中のピクセルのすべてに対して結合しなくてよい。いくつかの実施形態では、励起エネルギは、集積デバイスのピクセルの行中のピクセル又はサンプル・ウェルの部分に結合し得る。励起エネルギは、サンプル・ウェル内にロケートされたサンプルを照明し得る。サンプルは、励起エネルギによって照明されていることに応答して励起状態に達し得る。サンプルが励起状態にあるとき、サンプルは放出エネルギを放出し得、放出エネルギはセンサによって検出され得る。
図3-1Bは、サンプル・ウェル3-108からピクセル3-112のセンサ3-110への(実線として図示された)放出エネルギ3-140の経路を概略的に図解する。ピクセル3-112中のセンサ3-110は、サンプル・ウェル3-108からの放出エネルギを検出するように構成及び配置され得る。いくつかの実施形態では、センサ3-110は多数のサブセンサを含み得る。
【0058】
分析されるべきサンプルは、ピクセル3-112のサンプル・ウェル3-108に導入されることが可能である。サンプルは、生物学的サンプルであるか、化学的サンプルなど、又は任意の他の好適なサンプルであり得る。サンプルは多数の分子を含み得、サンプル・ウェルは単一の分子を隔離するように構成され得る。いくつかの事例では、サンプル・ウェルの寸法は、単一の分子をサンプル・ウェル内に閉じ込めるように働いてよく、それにより、測定は単一の分子上で実施されることが可能になる。励起源3-106は、サンプルを励起するために、あるいは、サンプル・ウェル3-108内の照明エリア内にある間、サンプルに対してアタッチされるか又はさもなければサンプルに関連付けられた少なくとも1つのルミネセンス・マーカを励起するために、励起エネルギをサンプル・ウェル3-108中に配送するように構成され得る。
【0059】
励起源が励起エネルギをサンプル・ウェルに対して配送したとき、ウェル内の少なくとも1つのサンプルはルミネセンスを出し得、生じた放出はセンサによって検出され得る。本明細書で使用されるとき、「サンプルがルミネセンスを出し得る」又は「サンプルが放射を放出し得る」又は「サンプルからの放出」という句は、ルミネセンス・タグ、マーカ、もしくはレポータ、サンプル自体、又はサンプルに関連付けられた反応産物が、放出された放射を産み出し得ることを意味する。
【0060】
集積デバイスの1つ又は複数の構成要素は、放出エネルギをセンサの方へ向け得る。1つ又は複数の放出エネルギがセンサによって検出され、少なくとも1つの電気信号に変換され得る。電気信号は、
図2-1Bに図示された器具2-104の集積デバイス・インターフェース2-114など、集積デバイス・インターフェースを通して器具に接続された集積デバイスの回路中の導電線に沿って送られ得る。電気信号は、その後、処理及び/又は分析され得る。電気信号の処理又は分析は、
図2-1Bに図示されたコンピューティング・デバイス2-120など、器具2-104上にロケートされるかあるいは器具から離れてロケートされた好適なコンピューティング・デバイス上で行われ得る。
【0061】
動作中、励起源を使用してウェル内のサンプルを励起し、センサを用いてサンプル放出からの信号を検出することによって、サンプル・ウェル内のサンプルの並列分析が行われる。サンプルからの放出エネルギが、対応するセンサによって検出され、少なくとも1つの電気信号に変換され得る。得られた1つ又は複数の信号は、いくつかの実施形態では集積デバイス上で処理されるか、あるいは処理デバイス及び/又はコンピューティング・デバイスによる処理のために器具に対して送られ得る。サンプル・ウェルからの信号は、他のピクセルに関連付けられた信号とは独立して受け取られ、処理され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、サンプルは1つ又は複数のマーカでラベリングされてよく、マーカに関連付けられた放出は器具によって見分け可能である。たとえば、センサは、放出エネルギからの光子を電子に変換して電気信号を形成するように構成されることが可能であり、この電気信号は、特定のマーカからの放出エネルギに依存している寿命を見分けるために使用され得る。サンプルとラベリングするために異なる寿命を持つマーカを使用することによって、特定のサンプルは、センサによって検出された得られた電気信号に基づいて識別され得る。
【0063】
サンプルは多数のタイプの分子を含有することがあり、異なるルミネセンス・マーカは、分子タイプに一意に関連付けられ得る。励起の間又は後に、ルミネセンス・マーカは放出エネルギを放出し得る。サンプル中の分子の1つ又は複数のタイプを識別するために放出エネルギの1つ又は複数のプロパティが使用され得る。分子のタイプ同士を区別するために使用される放出エネルギのプロパティは、蛍光寿命値、強度、及び/又は放出波長を含み得る。センサは、放出エネルギの光子を含めて、光子を検出し、これらのプロパティのうちの1つ又は複数を示す電気信号を提供し得る。いくつかの実施形態では、センサからの電気信号は、1つ又は複数の時間間隔にわたる光子到着時間の分布に関する情報を提供し得る。光子到着時間の分布は、励起源によって励起エネルギのパルスが放出された後に光子が検出されるときに対応し得る。時間間隔の値は、その時間間隔中に検出された光子の数に対応し得る。多数の時間間隔にわたる相対値は、放出エネルギの時間的特性の指標(たとえば、寿命)を提供し得る。サンプルを分析することは、分布内の2つ以上の異なる時間間隔の値を比較することによってマーカ同士を区別することを含み得る。いくつかの実施形態では、強度の指標は、分布中のすべての時間ビンにわたる光子の数を決定することによって提供され得る。
【0064】
II.集積デバイス
サンプルを分析することにおける集積デバイスのパフォーマンスは、個々のサンプル・ウェルに対して配送される励起エネルギ(たとえば、光パワー)の量に依存する可能性がある。励起エネルギが励起源からサンプル・ウェルに対して伝搬するとき、光損失が起こることがあり、この光損失は、サンプル・ウェルに対して結合する励起エネルギの量を低減し、サンプルの検出においてサンプル・ウェルに関連付けられたピクセルのパフォーマンスに影響を及ぼし得る。サンプル・ウェル・アレイについて、そのような光損失は、サンプル検出が可能なピクセルの数を限定し得る。いくつかの事例では、そのような光損失は、アレイ中の個々のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送することにおける均一性を低減し得る。集積デバイスの導波路は、その導波路に近接して配置されたいくつかのサンプル・ウェル(たとえば、512個のサンプル・ウェル)に対して励起エネルギを結合し得る。励起エネルギが導波路に沿って伝搬するにつれて、総光損失の量が増加して、導波路にさらに沿って配置されたサンプル・ウェルに対して結合する励起エネルギの量が低減し得る。このようにして、導波路に沿った光損失は、導波路に近接して配置された個々のサンプル・ウェルに対して結合された励起エネルギの量の均一性に影響を及ぼし得る。本出願の態様は、励起エネルギが導波路に沿って伝搬するときの光損失を低減することによってサンプル・ウェル・アレイ内の励起エネルギの均一性を改善する集積デバイス、及び集積デバイスを形成する方法に関する。
【0065】
光損失の1つのタイプは、集積デバイスの導波路の近接からデバイスの表面まで発生する可能性がある。光損失は、表面が集積デバイスのクラッディング層にわたって金属層から形成されたときに強化され得る。集積デバイスの導波路は、集積デバイスの表面上に配置された多数のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送し得、ここで、サンプル・ウェルは金属層を通って形成される。個々のサンプル・ウェルと導波路との間の距離は、導波路からサンプル・ウェルに対する励起エネルギの結合を可能にし得るが、金属層への導波路の近接は、導波路に沿って伝搬する励起エネルギの損失に寄与し得る。それに応じて、本出願の態様は、集積デバイスの導波路と金属層との間の距離が導波路に沿って変動する集積デバイスを形成する技法に関する。いくつかの実施形態は、サンプル・ウェルがない金属層の部分よりも導波路に対してより近い距離において配置された1つ又は複数のサンプル・ウェルを含む金属層の部分に関する。このようにして、導波路に沿って他の場所においてより厚いクラッディングを有することによって導波路の近接から金属層まで発生し得る光損失を低減しながら、サンプル・ウェルは、励起エネルギ結合の所望のレベルのために導波路に対して好適な距離において配置され得る。
【0066】
少なくとも1つのサンプル・ウェルを含む領域は、集積デバイスの表面の別の部分から陥凹していてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのサンプル・ウェルを含み導波路と重複する表面の第1の領域は、導波路と重複するがサンプル・ウェルを含まない表面の第2の領域よりも導波路に対してより小さい距離において配置される。表面の陥凹した領域は、集積デバイスの形成中にその領域をエッチングすることによって形成され得、「トレンチ」領域と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、トレンチ領域は、個々のトレンチ領域が個々のサンプル・ウェルの周囲に形成されるように、単一のサンプル・ウェルを含み得る。いくつかの実施形態では、トレンチ領域は、サンプル・ウェルの行(たとえば、導波路に沿って配置されたサンプル・ウェル)又はサンプル・ウェルの多数の行(たとえば、サンプル・ウェル・アレイ全体)など、多数のサンプル・ウェルを含み得る。
【0067】
別のタイプの光損失は、導波路に沿って伝搬する光の能力に影響を及ぼすデバイスの構成要素まで導波路の近接から発生する可能性がある。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、導波路に沿った光損失に寄与し得る、金属構成要素を含み得る。集積デバイスのいくつかの実施形態は、集積デバイスの表面上の金属層内に形成されたサンプル・ウェルを含む。金属層は、1つ又は複数のセンサによってサンプル・ウェルからの放出エネルギを検出することにおいて利益を提供し得る。金属層は、バックグラウンド信号を低減するように、及び1つ又は複数のセンサによって検出される放出エネルギの量を改善するように働き得る。1つ又は複数のサンプル・ウェルを含むトレンチ領域の形成は、金属層の近接から導波路まで発生する光損失を低減することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、集積デバイスは、電気信号を送る及び/又は受け取るための配線として働くように構成された金属層を含み得る。そのような配線は、センサに結合し、センサを制御するための信号を送り、及び/又はセンサによって検出された放出エネルギを示す信号を受け取り得る。いくつかの実施形態は、導波路及び/又はセンサに対する1つ又は複数のサンプル・ウェルの近接を提供しながら、金属配線に対して適応するためのトレンチ領域の形成に関する。
【0069】
いくつかの実施形態は、各サンプル・ウェルに対して結合する励起エネルギの量における多数のサンプル・ウェルにわたる均一性を改善するための技法に関する。集積デバイスの光学的構成要素は、多数のサンプル・ウェルに対して結合された励起エネルギの量が所望の許容差量内のパワー・レベルを有するように、適切にサイズ決定及び整形され得る。集積デバイスは、励起エネルギを受け取り、励起エネルギを1つ又は複数の導波路中に向けるように構成された格子結合器を含み得る。導波路は、1つ又は複数のサンプル・ウェルへの励起エネルギの結合を可能にする構成を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の光スプリッタ構成要素(たとえば、スター結合器、マルチモード干渉スプリッタ)は、格子結合器から光(たとえば、励起エネルギ)を受け取り、光を2つ以上の導波路中に向けるように構成され得、各導波路は多数のサンプル・ウェルに近接して配置される。そのような光スプリッタ構成要素は、集積デバイスの多数の導波路の間で光のほぼ均一な分布を提供する構成を有し得る。均一な様式で多数の導波路の間で励起エネルギを分布させると、アレイ中のサンプル・ウェルによって受け取られる励起エネルギの均一性が改善し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、集積デバイスの導波路は、光伝搬の方向に対して直角な方向において1つ又は複数の寸法内でテーパ付けされ得る。導波路のそのようなテーパ付けは、導波路が、導波路に近接して配置されたサンプル・ウェルの行中にほぼ同じ量の励起エネルギを結合することを可能にし得る。励起エネルギ・パルスが導波路に沿って伝搬し、行中のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合すると、励起エネルギの量が減少し得る。導波路の寸法を減少させると、行中のサンプル・ウェルの各々がほぼ同じ量の励起エネルギを受け取るように、減少しているパワーを相殺するように導波路の伝搬モードが改変し得る。
【0071】
図3-2Aは、いくつかの実施形態による、集積デバイスの平面ビューの概略図である。励起エネルギは、格子結合器3-200に対して結合し、導波路に沿ってスプリッタ3-202まで伝搬し得る。スプリッタ3-202(たとえば、スター結合器、マルチモード干渉(MMI:multimode interference)結合器)は、複数の導波路に対して励起エネルギを結合し得、これらの導波路は、集積デバイスのピクセル・アレイ3-204に対して励起エネルギを向けるように構成される。格子結合器3-200は、法線からxy平面までの角度の方向において格子結合器3-200に対して入射する励起エネルギのビームを配置することによって結合効率が改善される構成を有し得る。格子結合器3-200は、格子結合器に対して入射する励起エネルギがピクセル・アレイ3-204から離れて向けられるように、ピクセル・アレイ3-204に対して配置され得る。そのような構成は、励起エネルギが、集積デバイスのピクセル・アレイ3-204内に配置されたセンサに達して検出されることを低減し得、それにより、集積デバイスによって実施される測定の信号対雑音比が改善し得る。
図3-2Aに図示されているように、格子結合器3-200からスプリッタ3-202に対して光を向ける導波路は、格子結合器3-200が依然として励起エネルギをスプリッタ3-202に対して結合しながら、格子結合器3-220に対して入射する励起エネルギを受け取ることを可能にするために、Uターン形状3-201を有する。Uターン形状3-201は、格子結合器3-200に対して入射する励起エネルギのビームがxy平面の法線から負のx方向の方向における角度にあるとき、格子結合器3-200の効率が改善されることを可能にする。このようにして、励起エネルギのビームは、
図3-2Aに図示されたxy平面に達する励起エネルギがピクセル・アレイ3-204から離れて向けられるように、ピクセル・アレイ3-204の方の角度から到着し得る。
【0072】
スプリッタ3-202は、スプリッタ3-202に接続された導波路にわたって励起エネルギの均一性を改善する構成を有し得る。いくつかの実施形態では、スプリッタ3-202は、128個の導波路にわたってほぼ均一な量の励起エネルギを提供し得る。個々の導波路は、導波路に沿った光伝搬の方向に対して直角に寸法内でテーパ付けされ得る。
図3-2Aでは、ピクセル・アレイ3-204内の導波路は、y方向に沿って個々の導波路の寸法のテーパ付けを有し得る。
【0073】
ピクセル・アレイ3-204は、本明細書で説明される技法によれば、トレンチ領域と重複してよい。いくつかの実施形態では、ピクセル・アレイ3-204は約2.7mmの寸法を有し得る。ピクセル・アレイ3-204のピクセルに関連付けられた個々のセンサは、ピクセル・アレイ3-204と重複するように形成され得る。
【0074】
集積デバイスは、個々の導波路の端部において励起エネルギを検出するためのエリアを含み得る。監視領域3-206は、個々の導波路に結合された格子結合器を含み得る。領域3-206中の格子結合器は、導波路からの励起エネルギを、監視領域3-206と少なくとも部分的に重複するように配置された監視センサに対して向けるように構成され得る。監視センサによる励起エネルギの検出は、励起エネルギのパルスが(負のx方向において)導波路に沿って進み、導波路に近接して配置されたサンプル・ウェル中に励起エネルギを結合した後の、導波路中の励起エネルギの量の指標を提供し得る。
【0075】
いくつかの実施形態は、集積デバイスを動作させることに対して改善されたパフォーマンスを提供するための、複製構造及び/又はテスト構造を有する集積デバイスに関する。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、光スプリッタ構成要素に結合された多数の格子結合器を含んでよく、格子結合器の各々は、外部源から励起エネルギを受け取るように構成される。
図3-2Bは、スプリッタ3-212に結合された入力格子結合器3-210を含む集積デバイスの平面ビューの概略図である。多数の格子結合器3-210は、集積デバイスと結合すべき励起エネルギのための入力の数において冗長性を提供し得る。サンプルを分析するための集積デバイスの動作中に格子結合器のうちのただ1つが使用され得るが、多数の格子結合器3-210の各々のパフォーマンス・レベルに基づいて、動作中の使用のために多数の格子結合器3-210の中から格子結合器が選択され得る。入力格子結合器のパフォーマンス・レベルは、ピクセル・アレイ3-214中の多数のサンプル・ウェルにわたって受け取られた励起エネルギの量ならびに/あるいは1つ又は複数の導波路出力において受け取られた励起エネルギの量に関する指標に基づいて決定され得る。集積デバイスが器具中に装荷されると、選択された格子結合器は、格子結合器3-210のうちのどれが集積デバイス内で励起エネルギ分布の所望のレベルを提供するかを決定することによって識別され得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスが集積デバイスの動作中に所望のしきい値を下回るパフォーマンスを経験する場合、多数の入力格子結合器3-210は集積デバイスの継続的使用を可能にし得る。異なる集積デバイスと交換するのではなく、異なる格子結合器3-210上に励起エネルギビームが配置されて、改善されたパフォーマンスが達成され、集積デバイスを用いてサンプルを分析するための動作が継続し得る。
【0076】
集積デバイスはまた、ユーザによる集積デバイスの動作に先立って集積デバイスの評価及び/又はテスト能力を提供するように構成された光学的構造を含み得る。そのようなテスト構造は、品質制御尺度の一部として作製及び/又はアセンブリ中に集積の評価を可能にし得る。いくつかのテスト構造はまた、励起源を含む器具とインターフェースする集積デバイスのための評価処理の一部として使用され得る。テスト構造3-216、3-218、3-220、及び3-224は、導波路構造における光損失の量を測定するために使用され得る、入力及び出力格子結合器に結合されたスパイラル構造を含み得る。テスト構造を通過した後に残っている光の量の指標を提供するために、光ビームは、テスト構造の一端における格子結合器と、テスト構造の別の端部から放出された光を受け取るように配置されたセンサとに対して結合するように整列され得る。
【0077】
集積デバイスのフォトニック・テスト構造の1つのタイプは、
図3-2Cに図示されたテスト構造など、多数のマッハ・ツェンダ干渉計(MZI:Mach-Zehnder Interferometer)を含み得る。MZI3-234を含む個々のMZIは、長さが異なるテスト・アームを有し、同じMMIに接続し得る。
図3-2Cに図示されているように、MMI3-232は、8つの出力に対して1つの入力を、単一のMZIに対して各出力を有し得るが、テスト構造ではMMIとMZIの他の組合せが使用され得ることを諒解されたい。このタイプのテスト構造は、光ビームを入力格子結合器3-230に対して整列し、出力格子結合器3-236から放出された光を受け取るように配置されたセンサによって検出される光を測定することによって、集積デバイスの導波路を形成するために使用される材料の屈折率の実効値のための指標を提供し得る。同じMZIに結合された2つの個々の出力格子結合器3-236からの光をセンサ・ペアが検出し得る。2つのセンサ間の検出された光の比較(たとえば、差、比)は、2つの出力格子結合器について光の相対的パワー出力の指標を提供し得る。相対的パワーは、MZIのテスト・アームの長さと、導波路の屈折の実効率とに関し得る。導波路の屈折の実効率の値は、各個々のMZIのテスト・アームの長さに対して相対的パワーを比較することによって決定され得る。相対的パワーとテスト・アーム長さとの間の関係はシヌソイド関数を有することがあり、シヌソイドの期間は実効屈折率に関する。
図3-2Dは、
図3-2Cに図示されるテスト構造など、テスト構造中に含まれる異なるMZIのための(ΔLによって示される)テスト構造長さの関数としての相対的パワーのプロットである。データ点をシヌソイド関数にフィッティングすることによって、フィッティングされたシヌソイド曲線の期間を識別することにより実効屈折率が決定され得る。そのようなテスト構造はまた、MMI3-232に接続されたMZIの各々に対して所望量の光を配送することにおけるMMI3-232の均一性及び/又は効率の指標を提供し得る。
【0078】
図4-1Aは、いくつかの非限定的な実施形態による、集積デバイス4-100の断面ビューを概略的に図解する。励起エネルギは、格子結合器4-114に結合し得、導波路4-116の伝搬軸に沿って(たとえばx軸に沿って
図4-1Aの左から右に)進み得る。導波路4-116は、導波路4-116の伝搬方向に対して直角に少なくとも部分的に延存する励起エネルギのモードをサポートし得る。そのようなモードは、励起エネルギがトップ・クラッディング4-118中に延在し、サンプル・ウェル4-108
1、4-108
2、4-108
3、4-108
4、4-108
5、及び4-108
6に対してエバネッセントに結合することを可能にし得る。
図4-1Aには6つのサンプル・ウェルのみが図示されているが、導波路とエバネッセントに結合するために導波路に沿って任意の好適な数のサンプル・ウェルが配置され得る。導波路に沿って配置されるサンプル・ウェルの数は、100~5,000の範囲内にあり得るか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしく範囲であり得る。いくつかの実施形態では、導波路に沿って配置されるサンプル・ウェルの数は、500~1,000の範囲内にあり得るか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしく範囲であり得る。サンプル・ウェル4-108中にロケートされたサンプルは、励起エネルギによって照明されていることに応答して励起状態に達し得、放出エネルギを放出し得る。サンプル・ウェルの形状及びサイズならびに/あるいは金属層4-122の組成は、放出エネルギをセンサの方へ向けるように働き得る。いくつかの実施形態では、放出エネルギの形態でサンプルによって放出されたエネルギの部分は、トップ・クラッディング4-118、導波路層4-116、ボトム・クラッディング4-110、及び誘電体層4-102を通って下方へ伝搬し得る。放出エネルギの部分は、サンプル・ウェルに関連付けられたピクセルにおける基板4-105上に配設された1つ又は複数のセンサによって受け取られ得る。
【0079】
集積デバイス4-100は、下位スタック4-150と、下位スタック4-150の上に配設された上位スタック4-151とを備え得る。いくつかの実施形態では、上位スタック4-151及び下位スタック4-150は、上位スタック4-151と下位スタック4-150が互いに接触しているように隣接する表面を有する。他の実施形態では、上位スタック4-151及び下位スタック4-150は、1つ又は複数の材料層によって分離される。
【0080】
下位スタック4-150は、上位スタック4-151のサンプル・ウェル中にロケートされたサンプルから放出される放出エネルギの指標を提供するように構成された構成要素を含み得る。下位スタック4-150は、いくつかの実施形態ではケイ素を含み得る基板4-105を備え得る。基板4-105は、
図4-1Aに図示されたz軸に沿って任意の好適な高さを有し得る。限定ではなく例として、基板4-105は、いくつかの実施形態では0.001mmと0.01mmとの間の高さ、いくつかの実施形態では0.01mmと0.1mmとの間の高さ、いくつかの実施形態では0.1mmと1mmとの間の高さを有し得る。基板4-105は、1つ又は複数のサンプルによって放出された放出エネルギを検出するように構成されたセンサを備え得る。基板4-105はまた、集積デバイスに対して結合された励起エネルギを監視するために使用されるセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114と重複するように配置された1つ又は複数の監視センサは、格子結合器4-114を通過する励起エネルギを検出し得る。センサからの電気信号は、放出寿命、強度、及び/又はスペクトルの指標を提供し得る。基板4-105は、センサによって提供される電気信号を読み出すように構成されたアナログ及び/又はデジタル電子回路をさらに備え得る。この電子回路は、トランジスタ、キャパシタ、増幅器、スイッチ、フィルタ、積分器、タイマ、又はそれらの任意の好適な組合せを備え得る。下位スタック4-150は誘電体層4-102を備え得る。いくつかの実施形態では、誘電体層4-102は基板4-105の上に配設され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層4-102は1つ又は複数の誘電体サブ層を備え得る。サブ層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む、放出エネルギに対して少なくとも部分的に透過的な任意の好適な誘電体で形成され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、下位スタック4-150は、集積デバイス内で電気配線として働くように構成された1つ又は複数の金属層を含み得る。これらの金属層は、集積デバイス内で、及び/又は金属線に対して結合することによって集積デバイスとは別個にロケートされた回路に対して電気信号をルーティングするための金属線として働き得る。金属線は、ビア(たとえば、タングステン・ビア)を通って基板4-105に電気的に結合され得る。金属層は、集積デバイスの材料層(たとえば、誘電体層)の上に又はそれの内に配設され得る。
図4-1Aに図示されているように、金属層4-103及び4-104は誘電体層4-102内に配設され、集積デバイス4-100内で金属線として働き得る。
【0082】
集積デバイスの金属層はまた、アレイのサンプル・ウェル中にロケートされたサンプル以外の源から生起する光の量を低減するように働き得る。このようにして、金属層はバッフルと見なされ得る。そのような金属層は、迷光(たとえば、励起光、バックグラウンド光)から発生し得る雑音アーティファクトを低減することによってセンサの信号対雑音比を改善し得る。金属層は、放出エネルギの検出を可能にするようにサンプル・ウェルに対して配置され得る。
図4-1Aに図示されているように、金属層4-103及び4-104は、サンプル・ウェル4-108
1、4-108
2、4-108
3、4-108
4、4-108
5、及び4-108
6と重複していない。金属層4-103は、基板4-105と格子結合器4-114との間に配置され、格子結合器4-114を通過するその量の励起エネルギが基板4-105及び/又は基板4-105のセンサに達するのを低減するように働き得る。金属層4-104は、導波路4-116の遠位端と基板4-105との間に配置され、導波路4-116の遠位端から放出される励起エネルギが基板4-105及び/又は基板4-105のセンサに達するのを低減するように働き得る。
【0083】
金属層4-103及び4-104は、いくつかの実施形態ではアルミニウムなど、任意の好適な金属から形成され得る。いくつかの実施形態では、金属層は2つ以上の金属を含み得る。金属層を形成するために使用される材料は、集積デバイスの1つ又は複数の周囲材料に対して所望の付着レベルを提供し得る。いくつかの実施形態では、金属層と接触しているライナ層が形成されてよく、集積デバイス4-100の別の構成要素との金属層の付着を改善し得る。ライナ層は、金属層と誘電体層4-102との間の付着層として働き得る。ライナ層として使用されるべき好適な材料の例は、チタン及び窒化チタンを含む。いくつかの実施形態では、ライナ層は、集積デバイスの基板に近接した金属層の表面上に形成され得る。いくつかの実施形態では、ライナ層は、サンプル・ウェルを有する集積デバイスの表面に近接した金属層の表面上に形成され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、集積デバイスは、(
図4-1Aに図示されていない)集積デバイスにおいて少なくとも部分的に重複する2つ以上の金属層を備え得る。任意の好適な数(たとえば、2、3、4、5)の重複する金属層が使用され得る。隣接する金属層は、1つ又は複数のビア(たとえば、タングステン・ビア)を通って電気的に接続され得る。
【0085】
上位スタック4-151は、アレイ中のサンプル・ウェルと、集積デバイス4-100とは別個の外部光源から励起エネルギを受け取り、励起エネルギをサンプル・ウェルのうちの1つ又は複数の方へ向けるように構成された光学的構成要素とを含み得る。上位スタック4-151は、誘電体層4-102の上に配設され得るボトム・クラッディング4-110を含んでよい。ボトム・クラッディング4-110を形成するために使用される材料は、光(たとえば、放出エネルギ、励起エネルギ)に対して所望の透過性レベルを有し得る。ボトム・クラッディング4-110は、たとえば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は、酸化チタンなど、任意の好適な誘電体材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層4-102及びボトム・クラッディング4-110は同じ誘電体材料を備えてよく、単一の誘電体スタックを形成し得る。他の実施形態では、誘電体層4-102及びボトム・クラッディング4-110は異なる誘電体材料を備え得る。
【0086】
上位スタック4-151は、1つ又は複数の特徴的波長を有する励起エネルギを伝搬するように構成された1つ又は複数の導波路を含み得る。導波路4-116は、好適な作製技法(たとえば、フォトリソグラフィ)を使用して上位スタック4-151の一部として材料の層をパターニングすることによって形成され得る。導波路4-116は、ボトム・クラッディング4-110の屈折率よりも大きい屈折率を有する1つ又は複数の材料から形成され得る。導波路4-116を形成するために使用される例示的な材料は、ケイ素及び窒化ケイ素(SixNy)を含む。
【0087】
導波路4-116は、導波路4-116内で単一のモードのみが定義され得るように、(
図4-1Aの平面に対して直角な軸に沿って定義される)幅と、(z軸に沿って定義される)高さとを有し得る。いくつかの実施形態では、単一のモードは横電気(TE:transverse electric)モードであり得る。他の実施形態では、単一のモードは横磁気(TM:traverse magnetic)モードであり得る。導波路4-116は、80nm~250nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲内にある高さを有し得る。いくつかの実施形態では、導波路4-116は、120nm~150nmの範囲内、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲内の高さを有する。導波路4-116は、200nm~1600nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲内にある幅を有し得る。いくつかの実施形態では、導波路4-116の幅は、導波路4-116が、格子結合器4-114から遠位にあるロケーションにおけるよりも、格子結合器4-114に対して近接して大きい幅を有するように、それの伝搬軸に沿ってテーパ付けされ得る。それに応じて、導波路は、モードが入力格子結合器から離れて伝搬するにつれて、様々なサンプル・ウェルに対して増加する結合係数を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、導波路4-116の幅は直線的にテーパ付けされ得る。テーパ付けされた導波管を有すると、導波路がテーパ付け構成を欠いた場合よりも、導波路と結合するように配置された様々なサンプル・ウェル4-108に対して励起エネルギのより均一な結合が可能になり得る。
【0088】
上位スタック4-151は、励起源から励起エネルギを受け取り、励起エネルギを導波路4-116に対して光学的に結合するように構成された格子結合器4-114を含み得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114は、導波路4-116と同じ材料(たとえば、ケイ素、窒化ケイ素)から形成され得る。集積デバイスの形成中に、同じフォトリソグラフィ・処理工程が格子結合器4-114と導波路4-116の両方を形成し得る。格子結合器4-114は、格子結合器4-114の平面に対して(
図4-1Aに図示されたz方向に沿って)法線的に入射する光ビームを受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114は、(
図4-1Aに図示されたz方向に沿って)格子結合器4-114の平面に対して法線からの角度において入射する光ビームを受け取るように構成され得る。そのような角度は0.1°と10°との間にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。格子結合器4-114の結合効率は、格子結合器4-114に対する反射体4-112の相対的配置に依存し得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114は、40%~70%の範囲内、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲の結合効率を有し得る。
図4-4は、格子結合器4-114などの格子結合器のための例示的な構造、導波路に対して結合するキャビティ領域を図示する。格子結合器は、y方向に沿って、幅W
cを有するキャビティ領域の側に近接した、第1の格子のR
gの半径を有し得る。キャビティ領域は、L
cのx方向に沿ってテーパ長さを有し得る。キャビティは半径テーパを持つ領域を有し得る。
図4-4に図示されているように、キャビティは、キャビティの幅W
eとW
oとの間に半径テーパを持つ領域4-404を有する。幅W
oは、キャビティが導波路に対して出力するところに対応し得る。キャビティは断熱テーパを持つ領域を有し得る。
図4-4に図示されているように、キャビティは、L
tのx方向に沿って長さを有するキャビティの幅W
gとW
oとの間に断熱テーパ領域を持つ領域4-402を有する。幅W
gにおいて、キャビティの寸法は導波路に対応し得る。
【0089】
格子結合器4-114に近接して配置された1つ又は複数の監視センサは、格子結合器4-114に対して結合することなしに、格子結合器4-114の平面を通過する励起エネルギを検出し得る。1つ又は複数の監視センサからの電気信号は、集積デバイスに対する励起源からの励起エネルギの整列の指標を提供し得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の監視センサは、格子結合器4-114の平面を通過するが格子結合器4-114とは別個の領域中を通る励起エネルギを受け取るように配置される。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114と1つ又は複数の監視センサとの間に配置された反射体は、励起エネルギがその反射体を通過することを可能にする1つ又は複数の開口を有し得る。反射体の1つ又は複数の開口は、格子結合器4-114が反射体の1つ又は複数の開口と重複していないように、格子結合器4-114に対して配置され得る。いくつかの実施形態では、反射体の1つ又は複数の開口は格子結合器4-114の周辺に近接して配置される。
【0090】
集積デバイス4-100は、z軸に沿って格子結合器4-114と少なくとも部分的に重複するように配置された反射体4-112を含み得る。反射体4-112は、格子結合器4-114を通過する光の少なくとも部分を格子結合器4-114の方へ反射し戻すことによって格子結合器の結合効率を改善し得、それにより、反射体4-112が存在しなかった場合よりも格子結合器4-114に対して結合する光の量が増強し得る。反射体4-112は、励起エネルギを少なくとも部分的に反射する材料を使用して形成され得る。反射体として使用されるべき好適な材料の例は、アルミニウム及び銅を含む。いくつかの実施形態では、反射体4-112はアルミニウムを備えてよく、アルミニウム層はボトム・クラッディング4-110と直接接触していてよい。
【0091】
格子結合器4-114の結合効率は、入射光の位相が反射体4-112からの反射光の位相とどの程度異なるかに依存し得る。格子結合器4-114の結合効率は、入射光の位相が反射光の位相とほぼ整列する場合に改善され得る。入射励起エネルギと組み合わされる反射光の位相は、格子結合器4-114と反射体4-112との間の光経路長に依存し得る。それに応じて、いくつかの実施形態は、格子結合器4-114と反射体4-112との間の距離hRが、格子結合器4-114を通過し反射体4-112によって反射される光と、格子結合器4-114によってサポートされる光のモードとの間の位相不整合を低減する光経路長を提供する集積デバイスに関する。格子結合器4-114に対して反射光と入射光との間の位相整合の好適な量を提供するために、所望の距離hRは、ボトム・クラッディング4-110を形成するために使用される材料の屈折率及び/又は励起エネルギの特徴的波長に依存し得る。いくつかの実施形態では、hRは、反射体4-112によって格子結合器4-114に対して反射される、格子結合器4-114からの光ビームが、格子結合器4-114のモードとほぼ同位相であるような長さを有し得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114の平面から伝搬し、反射体4-112によって反射し戻され、格子結合器4-114の平面の方へ伝搬するビームによって経験される位相蓄積は、2πの範囲にほぼ等しいか又はその範囲内に(たとえば、2πの5%の範囲内に)あり得る。距離hRは400nm~1200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、距離hRは約1100nmであり得る。他の実施形態では、距離hRは約550nmであり得る。
【0092】
反射体4-112は、その上に形成された複数の開口(図示されず)を有し得る。開口は、円形形状、楕円形状、矩形形状、正方形形状、又は任意の他の好適な形状を有し得る。開口は任意の好適なサイズを有し得る。開口は、反射体4-112が形成されるのと同じリソグラフィ工程中に形成され得る。たとえば、反射体4-112は、その上に形成された開口を形状が有し得るように、反射体4-112に対応する形状を有するフォトマスクを通して形成され得る。開口は、(ほぼz方向に沿って)反射体4-112の方へ伝搬する励起エネルギの部分が反射体4-112を通過することを可能にするように構成され得る。
【0093】
反射体4-112の開口と重複するように配置された1つ又は複数の監視センサは、反射体4-112を通過する励起エネルギを受け取り、受け取られた励起エネルギの量に対応する電気信号を生成し得る。監視センサによる励起エネルギの測定は、励起エネルギの入射放射を格子結合器4-114に対して整列して、導波路4-116中に結合される励起エネルギのパワーの所望のレベルを達成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、オペレータは、ノブを通して手動で、又は励起源からの励起エネルギを向けるために使用される光学的構成要素に対して結合されたアクチュエータ及びモータを通して電子的に、監視センサによって検出されるエネルギの量を調整し得る。いくつかの実施形態では、格子結合器4-114に対する励起エネルギの整列は、格子結合器4-114に対する励起エネルギの光ビームの配向を識別することを含むことがあり、ここで、個々の監視センサによって検出される光子の量はほぼ同じである。任意の好適な数の監視センサが集積デバイス中に含まれ、集積デバイスの格子結合器に対する励起源の整列のために使用されてよい。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、4つのクワドラントを形成するように準備された4つの監視センサを含んでよく、これは「クワドラント」検出器と呼ばれ得る。4つの監視センサは、反射体4-112を通して開口とそれぞれ個々に重複し得る。格子結合器に対して励起源を整列するための好適な整列機構の例は、「パルス・レーザ及びシステム(PULSED LASER AND SYSTEM)」と題する米国特許出願第62/310,398号において説明されており、これはそれの全体が援用される。
【0094】
いくつかの実施形態では、格子結合器4-114に対する励起エネルギの光ビームの整列は、励起エネルギ結合領域から遠位にある導波路の端部から結合された励起エネルギを受け取るように配置された1つ又は複数の出力センサ、ならびに/あるいは集積デバイスのピクセルに関連付けられた1つ又は複数のセンサを含む、1つ又は複数の追加のセンサによって検出された光を測定することを含み得る。光ビームの整列は、1つ又は複数の出力センサならびに/あるいは1つ又は複数のピクセル・センサによって励起エネルギの所望のレベルが検出されるように、格子結合器4-114に対してビームを配置することを含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、光ビームの整列は、少なくとも1つの出力センサ及び/又は少なくとも1つのピクセル・センサによる測定が、光ビームの異なる配置から励起エネルギの量が増加した、という指標を提供するときに達成される。整列プロセスは、異なる配向(たとえば、格子結合器4-114に対するビームの角度、格子結合器4-114上の入射ビーム・ロケーション)においてビームを配置することと、異なる配向について少なくとも1つの出力センサ及び/又は少なくともピクセル・センサによって光を検出することとを含み得る。ビーム配向は、検出された光を示す測定によって光ビームの整列位置として識別され得る。いくつかの実施形態では、ビーム配向は、少なくとも1つの出力センサ及び/又は少なくとも1つのピクセル・センサによる検出光の測定が、その配向において他のビーム配向に対して最大値であるときの整列位置として識別され得る。
【0096】
光ビームの整列位置が識別されると、1つ又は複数の監視センサによる測定は、ビーム配向が初期の整列位置から変動するかどうかの指標を提供し得る。この測定は、そのような不整列をどのように補正すべきかについての情報を提供し得る。光ビームの再整列は、1つ又は複数の監視センサによる励起エネルギの測定が、初期の整列位置に関連付けられた測定にほぼ同様になるようにビームを配置することを含み得る。このようにして、1つ又は複数の監視センサは、初期整列が達成された後に光ビームの整列を維持するためのフィードバック処理の一部として情報を提供し得る。フィードバック処理は、サンプル上で実施される測定の安定性を改善するために集積デバイスの動作中に使用され得る。
【0097】
集積デバイス4-100は、導波路4-116にわたって形成されたトップ・クラッディング4-118を含み得る。トップ・クラッディング4-118は、導波路4-116の材料の屈折率よりも低い屈折率を有する誘電体材料を含み得る。いくつかの実施形態では、トップ・クラッディング4-118は、励起エネルギ及び放出エネルギに対して所望の透過性レベルを有する1つ又は複数のサブ層を備え得る。トップ・クラッディング4-118を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。所望の透過性レベルは50%~100%の範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0098】
トップ・クラッディング4-118は、導波路4-116に対して直角な、及び上位スタック4-151の厚さに対して平行な方向において異なる寸法を有し得る。
図4-1Aに図示されているように、トップ・クラッディング4-118は、格子結合器4-114と少なくとも部分的に重複する領域では、及びサンプル・ウェル4-108と少なくとも部分的に重複する領域では集積デバイスの他の領域よりも小さい、z軸に沿った異なる寸法を有する。トップ・クラッディング4-118の寸法が集積デバイスの他のエリアから陥凹しているそのような領域は、トレンチ領域と見なされ得る。z方向に沿ったトップ・クラッディング4-118の変動は、金属層4-122によって散乱又は吸収される励起エネルギの量を低減するためにいくつかの領域ではより大きい厚さを有し、励起エネルギ結合領域4-115とサンプル・ウェル4-108を有するトレンチ領域4-120とを含む表面4-124と励起エネルギが結合する領域ではより小さい厚さを有することによって、集積デバイス4-100の改善された光学的パフォーマンスを可能にし得る。トップ・クラッディング4-118の厚さの変動は、導波路4-116に沿ったいくつかの領域に対して、導波路4-116と、金属層4-122及びトップ・クラッディング4-118の間の界面との間のより大きい距離を提供し得、それにより、それらの領域上で光損失が低減し得る。
【0099】
トップ・クラッディング4-118は、1つ又は複数のサンプル・ウェル4-108とは別個の少なくとも1つの領域において距離hCに対応する、z方向に沿った寸法を有し得る。寸法hCを有するトップ・クラッディング4-118の領域は、サンプル・ウェル4-108と重複しないようにロケートされ得る。寸法hCは、導波路4-116のトップと、トップ・クラッディング4-118のトップ表面との間の距離に対応し得る。寸法hCは、導波路4-116に沿って伝搬する光の光損失を低減するために好適な値を有し得る。トップ・クラッディング4-118上に金属層4-122を含む集積デバイスの実施形態では、寸法hCは、金属層4-122に起因する光損失から発生する光損失を低減し得る。寸法hCは200nm~2000nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、寸法hCは400nm~2000nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、寸法hCは250nm~2000nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態は、格子結合器4-114と少なくとも部分的に重複するように配置されたトップ・クラッディング4-118の励起エネルギ結合領域4-115を含む集積デバイスに関する。励起エネルギ結合領域4-115は、集積デバイス4-100の表面4-124と、表面4-124に近接した格子結合器4-114の表面との間にz方向に沿って寸法hGを有し得る。寸法hGは、トップ・クラッディング4-118の寸法hCよりも小さい値を有し得る。励起エネルギ結合領域4-115は、トップ・クラッディング4-118を部分的にエッチングすることによって形成され得る。励起エネルギ結合領域4-115の寸法hGは、励起エネルギの特徴的波長(たとえば、532nm)に対して結合効率の所望のレベルを提供し得る。それに応じて、好適な寸法hGは、励起源として使用される励起エネルギの特徴的波長に応じて変動し得る。寸法hGは200nm~800nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。励起エネルギの特徴的波長が532nmである実施形態では、寸法hGは250nm~350nmの範囲内にある。
【0101】
寸法hG及びhRは、外部源から集積デバイスの1つ又は複数の導波路に励起エネルギを向けることにおいて格子結合器の結合効率に影響を及ぼし得る。集積デバイスを形成するために使用される作製プロセスは、作製処理中に使用されるターゲット値のための値のウィンドウ内で寸法を有するようにトップ・クラッディング4-118及び/又はボトム・クラッディング4-110を形成し得る。作製処理によって導入されるトップ・クラッディング4-118及び/又はボトム・クラッディング4-110の寸法のそのような変動は、多数の集積デバイスにわたって結合効率の変動を引き起こし得る。出願人は、hG及び/又はhRのいくつかの寸法が、格子結合器のための結合効率の所望のレベルを達成するためのトップ・クラッディング4-118及び/又はボトム・クラッディング4-110の好適な寸法の範囲を拡大し得ることを認識している。それに応じて、本出願のいくつかの態様は、得られるデバイスにおける寸法hG及び/又はhRからの偏差に対する許容差の程度を提供して、格子結合器の結合効率に対する偏差の影響を低減し得る、寸法hG及び/又はhRのためのターゲット値を使用する作製技法に関する。いくつかの事例では、トップ・クラッディング4-118の励起結合領域4-115を形成するために使用される作製処理は、ボトム・クラッディング4-110の寸法hRを形成するために使用される作製処理よりもトップ・クラッディング4-118に対してより正確な寸法hGを提供し得る。いくつかの実施形態では、寸法hRは、同じ作製処理を使用して形成される異なる集積デバイスにわたって約10%だけ変動し得る。寸法hGのための好適なターゲット値は、寸法hGと寸法hRの組合せが、作製中に発生し得る寸法の変動を相殺する格子結合器4-114のための所望の結合効率を提供するように、寸法hRに対して値の広い範囲を提供するそれらの能力に基づいて選択され得る。
【0102】
図4-5は、トップ・クラッディング寸法h
G(y軸)及びボトム・クラッディング寸法h
R(x軸)の異なる値と532nmの波長とについて、格子結合器の結合効率を割合として図解するプロット(カラー・ヒート・マップの白黒変換)である。線4-503と線4-504との間のプロットのより暗い領域は、寸法h
Gと寸法h
Rの組合せを描写し、ここで、格子結合器は少なくとも50%の結合効率を有する。
図4-5は、集積デバイスの作製処理中に許容差の程度を提供する、ボトム・クラッディング及び/又はトップ・クラッディングについての寸法の指標を提供する。ボトム・クラッディングの寸法h
Rよりもトップ・クラッディングの寸法h
Gが正確に作製され得る実施形態では、寸法h
Gのターゲット値は、得られる寸法h
Rにとって好適な作製許容差を提供するように選択され得る。
図4-5に図示されているように、線4-501及び線4-502内のトップ・クラッディングの寸法h
Gの値は、約50%の結合効率の格子結合器を形成する寸法h
Rのための値の広い範囲を提供する。線4-501及び線4-502内で寸法h
Gのターゲット値を選択することにより、ボトム・クラッディングの作製処理の許容差が相殺され得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスの作製は、線4-501及び線4-502によって定義される範囲内の寸法h
Gのためのターゲット値と、線4-503及び線4-504によって定義される範囲内の寸法h
Rのためのターゲット値とを含み得る。寸法h
Gは250nm~350nmの範囲内の値を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。寸法h
Rは1025nm~1175nmの範囲内の値を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスの作製中に寸法h
Gのターゲット値は約300nmであり、寸法h
Rのターゲット値は約1100nmである。
【0103】
格子結合器は、サンプル・ウェルのアレイにわたってほぼ均一なパワー分布を提供するために1つ又は複数のスプリッタ構造に対して結合し得る。いくつかの実施形態は、入力励起エネルギを受け取り、個々の導波路中に励起エネルギを向けるように構成されたスプリッタ構造を有する集積デバイスに関する。スプリッタ構造は、個々の出力導波路の間で励起エネルギのほぼ均一な分布を提供する構成を有し得る。いくつかの実施形態では、スプリッタ構造は、所望のサイズ及び形状を有する集積デバイスを提供するために、それらが集積デバイス上に占有するエリアを低減する構成を有し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、集積デバイスは、カスケード構成を有する多数のMMIを含むスプリッタ構造を有し得る。スプリッタ構造は、7つのカスケード・レベルを有するように準備された2つの出力に対して1つの入力を有する多数のMMIを含んで、スプリッタ構造の単一の入力から128個の出力への所望のパワー分割を提供し得る。
図4-6に図示されているように、一連のカスケードMMIを有するスプリッタ構造は第1レベルMMI4-601を含んでよく、この第1レベルMMI4-601は、入力光を受け取り、第2レベルMMI4-602への入力として結合する出力を含む2つの出力にその光をスプリットする。第2レベルMMI4-602の出力は第3レベルMMI4-603への入力として結合し得る。第3レベルMMI4-603の出力は第4レベルMMI4-604への入力として結合し得る。第4レベルMMI4-604の出力は第5レベルMMI4-605への入力として結合し得る。第5レベルMMI4-605の出力は第6レベルMMI4-606への入力として結合し得る。第6レベルMMI4-606の出力は第7レベルMMI4-607への入力として結合し得る。第7レベルMMI4-607を含む、第7レベルMMIからの出力4-600は、集積デバイスの多数のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを向けるように構成された導波路に対してそれぞれ結合し得る。1入力対2出力を有するMMIは、約98%のパワー効率を有し得る。MMI構造の7つのレベルを有する
図4-6に図示された構造など、カスケードMMIを有する構造は、約87%の全効率を有し得る。いくつかの実施形態では、カスケードMMI構造の異なる出力にわたるパワー出力の変動は、2%~20%の範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0105】
カスケードMMIスプリッタ構造のMMIは、MMIカスケード・スプリッタに対して所望数のレベルを提供するために任意の好適な数の入力及び/又は出力を有し得る。
図4-7Aは、カスケードMMIの3つのレベルを有するスプリッタ構造の概略図である。格子結合器4-700のうちの少なくとも1つは、励起エネルギの入射ビームから第1レベルMMI4-701に対して励起エネルギを向けるように構成され得、この第1レベルMMI4-701は、4つの入力及び4つの出力を有する構造を有する。
図4-7Bは、第1レベルMMI4-701として使用され得る4入力4-708×4出力4-406構造を有する例示的なMMIである。このMMI設計は、後続のMMI構造に対して励起エネルギを等価的に結合することが可能である多数の入力を提供する。多数の格子結合器4-700は、集積デバイスと結合すべき励起エネルギのための入力の数において冗長性を提供し得る。サンプルを分析するための集積デバイスの動作中に格子結合器のうちのただ1つが使用され得るが、多数の格子結合器4-700の各々のパフォーマンス・レベルに基づいて、動作中の使用のために多数の格子結合器4-700の中から格子結合器が選択され得る。第1レベルMMI4-701からの出力の各々は、1入力×8出力構成を有する第2レベルMMIを含む第2レベルMMIと結合し得る。第2レベルMMIからの各出力は、1入力×4出力構成を有する第3レベルMMI4-703を含む第3レベルMMIに結合する。第3レベルMMIの各々からの出力4-704は、集積デバイスの個々のサンプル・ウェルに対して励起エネルギを結合するように構成された導波路に対して結合し得る。
【0106】
多数の導波路にわたるパワー分割の効率及び均一性は、スプリッタ構造を形成するために使用される材料(たとえば、窒化ケイ素)の厚さ及び/又は屈折率と、スプリッタ構造を囲んでいるクラッディング材料(たとえば、酸化ケイ素)の屈折率とに依存し得る。
図4-7Cは、W
MMIを有するMMIのキャビティ中に結合するために幅WG
inへと増加する幅WGbus
inを持つ入力導波路を有する例示的なMMI構造を図示する。
図4-7Cに図示されているMMI構造は、MMIキャビティの中心線に対してそれぞれ配置された4つの出力導波路を有する。出力導波路は、WGbus
outへと減少するWG
outの出力幅を有する。
図4-7Cに図示されているように、外側導波路は、MMIキャビティの中心線に対して位置P2に配置され、内側導波路は、MMIキャビティの中心線に対して位置P1に配置される。
【0107】
いくつかの実施形態では、集積デバイスは、スター結合器構成を含むスプリッタ構造を有し得る。スター結合器は、少なくとも1つの入力格子結合器と結合するように構成された入力と、個々の出力にわたってほぼ均一なパワー分布を提供するように構成された出力とを有し得る。いくつかの実施形態では、スター結合器は、出力にわたってほぼ均一なパワー分布を提供するために個々の出力にわたって異なる幅を有する出力を有し得る。
図4-8Aは、格子結合器4-800の反対側に配置された出力4-804から離れて向けられた入射ビームからの光を受け取るように構成された入力格子結合器4-800を有する例示的なスター結合器の概略図である。
図4-8Bは、領域4-802に図示されているスター結合器の部分のズームインされた概略図である。伝搬領域4-806は入力光を受け取り、光を出力4-804に対して向ける。伝搬領域4-806内の発散は、伝搬領域の厚さと、スター結合器及び/又はスター結合器を囲んでいるクラッディングを形成するために使用される材料の屈折率とに依存し得る。入力導波路のサイズ及び形状も、伝搬領域4-806によって提供される発散のレベルに対して影響を及ぼし得る。出力4-804は、
図4-8A及び
図4-8Bに図示されており出力に沿った光伝搬の方向に対して直角である平面中の寸法である幅が変動し得る。個々の導波路出力の幅の変動は、個々の出力4-804にわたってほぼ均一なパワー分布を提供し得る。隣接する出力4-804間の寸法は100nm~200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、スター結合器は、スター結合器の入力から変動する半径方向距離において配置された出力を有し得る。そのような構成はほぼ均一な幅を有する出力を提供し得、それにより、スプリッタ構造を形成し集積デバイスの空間制約に適応するために必要とされる空間量が低減され得る。
図4-9Aは、少なくとも1つの入力4-904の反対側に出力を持つ伝搬領域に対して結合された少なくとも1つの入力4-904を有する例示的なスター結合器の概略図である。
図4-9Bは4-900の領域のズームされたビューであり、
図4-9Cは領域4-902のズームされたビューである。領域4-900は、領域4-902に図示されている出力よりも入力4-904に対して近い半径方向距離における伝搬領域からの出力の準備を図示する。
【0109】
いくつかの実施形態では、スター結合器は、スター結合器の伝搬領域内に埋め込まれた格子結合器を含んでよく、この格子結合器は励起エネルギの入射ビームのための入力として働き得る。格子結合器は、湾曲しているか、直線状であるか、又はスター結合器との結合効率の所望のレベルを提供するために任意の好適な形状もしくはサイズを有し得る。
図4-10は、出力4-1002に対して結合された伝搬領域4-1004内に配置された入力格子結合器4-1000を有する例示的なスター結合器の概略図である。
【0110】
いくつかの実施形態では、格子結合器は、励起エネルギの2つの異なる特徴的波長を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、スター結合器は、伝搬領域内に2つの異なる格子結合器を有してよく、格子結合器の各々は、励起エネルギの異なる特徴的波長を受け取るように構成される。
【0111】
いくつかの実施形態では、集積デバイスは、非円形(たとえば、細長いガウス・プロファイル)の断面エリアを有する入力ビームから多数の出力導波路にわたってパワー分布を提供するように構成された、スライスされた格子結合器として構成されたスプリッタ構造を含み得る。
図4-11は、出力4-1102と結合するように構成された、スライスされた格子結合器4-1100を有するスプリッタ構造の概略図である。スライスされた格子結合器4-1100は、ガウス断面プロファイルを有する入力光を受け取り、個々の出力4-1102にわたってほぼ均一なパワー分布を提供するように構成され得る。個々のスライスは、異なる出力4-1102にわたってパワーの均一性を改善するために、スライスされた格子結合器4-1100に近接して(y方向に沿って)変動する幅を有し得る。個々のスライスの幅は、集積デバイスのピクセル・アレイの少なくとも部分と重複する領域中のすべての出力4-1102にわたって均一又はほぼ均一な幅を形成するように漸進的にテーパ付けされ得る。
図4-11に図示されているように、スライスにわたる幅の変動は、外側スライス4-1104が、1つ又は複数の内側スライス4-1106よりも、格子結合器4-1100に近接して大きい幅を有することを含み得る。いくつかの実施形態では、入力ビーム強度は格子の長さに沿ってほぼ均一であり、その場合、個々のスライス幅はほぼ同様である。
【0112】
トップ・クラッディングは、距離h
Cよりも小さい寸法を有する1つ又は複数の領域を有してよく、1つ又は複数のサンプル・ウェルを含む。そのような領域は、集積デバイスの1つ又は複数のサンプル・ウェルを含むために好適なサイズ及び形状のトレンチ領域と見なされ得る。
図4-1Aに図示されているように、集積デバイス4-100はトレンチ領域4-120を含み、ここで、トップ・クラッディング4-118は、h
Cよりも小さいz方向に沿った寸法h
Mを有する。寸法h
Mの値は、導波路4-116に対する1つ又は複数のサンプル・ウェルの近接と、導波路4-116に対する金属層4-122の近接から発生し得る光損失とを平衡させ得る。導波路4-124に沿って伝搬している励起エネルギの光損失は、導波路4-124に近接した金属層4-122の表面との散乱及び/又は吸収から発生し得る。それに応じて、寸法h
Mは、導波路4-116と結合するように配置されたサンプル・ウェル4-108
1、4-108
2、4-108
3、4-108
4、4-108
5、及び4-108
6に対する励起エネルギの均一性に影響を及ぼし得る。寸法h
Mは150nm~600nmの範囲内の値を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、寸法h
Mは約400nmであり得る。いくつかの実施形態では、寸法h
Mは300nm~600nmの範囲内の値を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、寸法h
Mは150nm~450nmの範囲内の値を有し得る。
【0113】
トレンチ領域4-120は、所望数のサンプル・ウェルを含むために任意の好適なサイズ及び形状の
図4-1Aに図示されたビューに対して直角な平面中にエリアを有し得る。いくつかの実施形態では、トレンチ4-120は矩形形状(たとえば、正方形)を有し得る。トレンチ4-120は、サンプル・ウェル4-108
1、4-108
2、4-108
3、4-108
4、4-108
5、及び4-108
6を含む、複数のサンプル・ウェルを有し得る。
図4-1Aは6つのサンプル・ウェルを図解しているが、本出願はこの点について限定されず、任意の好適な数のサンプル・ウェルがトレンチ領域中に形成され得る。
【0114】
トレンチ領域は1つ又は複数のサンプル・ウェルを含んでよく、サンプル・ウェルのうちの1つの表面は、導波路4-116から距離hwに配置され得る。集積デバイス4-100のサンプル・ウェル4-108と導波路4-116との間の寸法hwは、励起エネルギが導波路4-116に沿って伝搬するときに所望の結合レベルを提供し得る。寸法hwは、励起エネルギがサンプル・ウェル4-108に対してエバネッセントに結合することを可能にし得る。このようにして、寸法hwは、集積デバイス4-100の1つ又は複数のサンプル・ウェルに対して配送される励起エネルギの量に影響を及ぼし得る。寸法hwは0nm~400nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、hwは約300nmである。いくつかの実施形態では、寸法hwは0nm~300nmの範囲内にある。いくつかの実施形態では、寸法hwは0nm~100nmの範囲内にある。
【0115】
集積デバイスのピクセル中のセンサとサンプル・ウェルとの間の光経路長は、サンプル・ウェルから放出された光子を検出するセンサの能力に影響を及ぼし得る。サンプル・ウェルとセンサとの間の光経路長を短縮することによって、ニューメリカル・アパーチャは増加し、サンプル・ウェル中のサンプルから放出される放出エネルギの収集を改善し得る。寸法hwはまた、ピクセルにおける放出エネルギの方向性に影響を及ぼし得る。寸法hwの値は、集積デバイスのセンサが放出エネルギの所望のパワー・レベルを検出することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、ピクセル中のサンプル・ウェルとセンサとの間の距離は4μm~9μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0116】
サンプル・ウェルの深さに対応するサンプル・ウェルの寸法は、式hM-hwによって定義され得る。寸法hM-hwは50nm~450nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、寸法hM-hwは95nmと150nmとの間にある。いくつかの実施形態では、hM-hwは約100nmであってよい。いくつかの実施形態では、寸法hM-hwは250nmと350nmとの間にある。いくつかの実施形態では、hM-hwは約300nmであってよい。寸法hM-hwはまた、ピクセルにおける放出エネルギの方向性に影響を及ぼし得る。寸法hM-hwの値は、集積デバイスのセンサが放出エネルギの所望のパワー・レベルを検出することを可能にし得る。サンプル・ウェルのボトムと基板4-105中のセンサとの間の距離は、センサのうちの1つによって検出されるエネルギの量及び/又は隣接するピクセル間のクロストークを制御するように構成され得る。センサは基板4-105中の平面を占有してよく、いくつかの実施形態では、サンプル・ウェルのボトムとセンサの平面との間の距離は4μm~9μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0117】
集積デバイス4-100は、トップ・クラッディング4-118にわたって金属層4-122を含み得る。金属層は、サンプル・ウェル中のサンプルによって放出された放出エネルギのための反射体として働くことができ、放出エネルギを集積デバイスのセンサの方へ反射することによって放出エネルギの検出を改善し得る。金属層4-122は、サンプル・ウェル内で生起しない光子に起因するバックグラウンド信号を低減するように働き得る。金属層は1つ又は複数のサブ層を備えてよい。金属層として使用されるべき好適な材料の例は、アルミニウム、チタン及び窒化チタンを含む。金属層4-122は、サンプル・ウェル4-1081、4-1082、4-1083、4-1084、4-1085、及び4-1086を形成するために、トップ・クラッディング4-118のエッチングされた部分に対応する1つ又は複数の不連続性を有し得る。金属層4-122は、励起エネルギ結合領域4-115に対応する不連続性を有し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるタイプの複数のトレンチは、導波路4-116及び金属層4-122を下に進んでいる光学モードの相互作用に起因する光損失を低減するように形成され得る。いくつかの実施形態は、導波路及び導波路に近接したサンプル・ウェルの行と重複するトップ・クラッディング中のトレンチ領域を有する集積デバイスに関する。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、単一のサンプル・ウェルのためのトレンチ領域を含み得る。集積デバイスは、トップ・クラッディング中に多数のトレンチ領域を有してよく、各トレンチ領域は1つのサンプル・ウェルに対応する。
【0119】
本出願のいくつかの実施形態は、サンプル・ウェルごとにトレンチ領域を有する集積デバイスに関する。
図4-1Bは、導波路4-136に近接して配置された多数のトレンチ領域4-130を有する上位スタック4-161の概略図である。そのような構成は、
図4-1Aに図示されている例示的な集積デバイスなど、サンプル・ウェル4-128のすべてを含むために1つのトレンチ領域が形成された場合よりも、x方向に沿った導波路4-136の相対的長さを改善することができ、ここで、トップ・クラッディング4-138の厚さは寸法h
cを有する。多数のトレンチ領域4-130を有することによって、トップ・クラッディング4-138は、導波路4-136に沿った長さの量を低減し得、ここで、トップ・クラッディングは表面4-154からの寸法h
Mを有する。上位スタック4-161のためのそのような構成は、隣接するサンプル・ウェル間の領域がトップ・クラッディング厚さを有して金属層4-152で励起エネルギの吸収損失を低減するので、上位スタック4-151と比較して全体的な光損失を低減し得る。トレンチ領域4-130は、W
tのx方向に沿った寸法を有し得る。寸法W
tは300nm~2000nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、寸法W
tは500nmと1000nmとの間にある。いくつかの実施形態では、寸法W
tは約900nmである。いくつかの実施形態では、W
tは、励起エネルギ及び/又は放出エネルギの共振を提供するように構成され得る。
【0120】
トレンチ領域は、任意の好適なサイズ及び形状(たとえば、円形、矩形)を有し、集積デバイスのサンプル・ウェル及び/又は導波路に対して任意の好適な様式で準備され得る。トレンチ領域は、任意の好適な数のサンプル・ウェルを含み、集積デバイスの1つ又は複数の導波路と重複してよい。いくつかの実施形態では、ただ1つのサンプル・ウェルがトレンチ領域内に配設されるように、トレンチ領域とサンプル・ウェルとの間に1対1の対応がある。
図4-1Cは、
図4-1Bに図示された導波路4-136と交差しているxy平面に沿った例示的な平面ビューである。個々のトレンチ領域内に配設されたトレンチ領域4-130とサンプル・ウェル4-128との相対的位置は破線で図示されている。この例示的な構成では、トレンチ領域4-130は円形形状を有するが、トレンチ領域は、光損失を低減し得る他の好適な形状(たとえば、正方形、三角形)を有してよい。いくつかの実施形態では、多数のサンプル・ウェルが単一のトレンチ領域内に配設され得る。トレンチ領域は多数の導波路と重複し得る。
図4-1Dは、
図4-1Bに図示された導波路4-136と交差しているxy平面に沿った別の例示的な平面ビューである。トレンチ領域4-130は、導波路4-136に沿った光の方向に対してほぼ直角に延在し、異なる導波路4-136からの励起エネルギを結合するように配置されたサンプル・ウェル4-128を含み得る。
図4-1Dに図示されているように、サンプル・ウェル4-128a、4-128b、及び4-128cがトレンチ領域4-130b内に配設され、ここで、サンプル・ウェル4-128a、4-128b、及び4-128cは、それぞれ、導波路4-136a、4-136b、及び4-136cから励起エネルギを受け取るように配置される。
図4-1C及び
図4-1Dには3つの導波路のみが図示されているが、集積デバイスは、任意の好適な数の導波路及び1つ又は複数の導波路と重複するように配置されたトレンチ領域を有し得ることを諒解されたい。
【0121】
トレンチ領域のサイズ及び形状は、サンプル・ウェルの1つ又は複数の表面の官能化及び/又は修飾に関して1つ又は複数の利益を提供し得る。本明細書で説明されるように、サンプル・ウェルの表面は、別のタイプの分子とのあるタイプ及び/又はレベルの相互作用(たとえば、表面に対するポリメラーゼの関連付けを改善する相互作用)を提供するように修飾及び/又は官能化され得る。サンプル・ウェルの表面を官能化するための技法の1つのタイプは、集積デバイスのトレンチ領域内に粒子が常駐することを可能にする寸法を有する粒子を使用することを含み得る。粒子は、サンプル・ウェルの表面を官能化及び/又は修飾するように構成された1つ又は複数の化学種を搬送し得る。トレンチ領域の表面トポグラフィは、化学官能化及び修飾が望まれる集積デバイスの表面に近接して粒子を保持するように働き得る。粒子は、トレンチ領域の表面との好都合な表面相互作用を提供する寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子の湾曲は、粒子とトレンチ領域の表面との間の表面相互作用の量を改善し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、粒子の部分がトレンチ領域に入り得るように、トレンチ領域の寸法よりも大きい直径を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子は1ミクロン~5ミクロンの範囲内の直径を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。粒子のための好適な材料の例は、ポリスチレン及びラテックスを含む。いくつかの実施形態では、粒子は磁性粒子である。
【0122】
いくつかの実施形態では、テンプレートDNA鎖が粒子に対して結合され、粒子とトレンチ領域の表面トポグラフィとの間の相互作用が、集積デバイスのサンプル・ウェルに近接したテンプレートDNA鎖の局在化を改善し得る。粒子は、サンプル・ウェルに対する粒子の配置がテンプレートDNA鎖の局所的濃度を増加させるように、テンプレートDNA鎖の多数のコピーにバインドされてよく、それにより、サンプル・ウェル中のテンプレートDNA鎖の装荷及び保持が改善され得る。いくつかの実施形態では、テンプレートDNA鎖は約10kb長である。
【0123】
本出願のいくつかの実施形態は、集積デバイスのピクセル内のサンプル・ウェルと1つ又は複数のセンサとの間の距離を低減するための技法に関する。サンプル・ウェルがセンサに対して近く配置されるほど、センサによって放射がそれから検出され得る立体角はより広くなる。より広い収集角は、サンプル・ウェル中に配置されたサンプル・ウェルから放出される放出エネルギの収集効率を改善し得る。1つ又は複数のセンサに対してより近い距離においてサンプル・ウェルを配置するためのそのような技法は、たとえば、隣接するピクセル中のサンプル・ウェルからの放出エネルギをセンサが検出することなど、異なるピクセル間の信号クロストークを低減し得る。
【0124】
サンプル・ウェルとセンサとの間の距離を低減するための技法の1つのタイプは、集積デバイス内で電気信号をルーティングするように構成された金属層を含む集積デバイスの平面内に及び/又はその下に1つ又は複数のサンプル・ウェル層を形成することを含み得る。そのような構成は、1μm~5μmの範囲内にあるような、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であるようなサンプル・ウェルの表面とセンサとの間の距離を提供し得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスのピクセル中のサンプル・ウェルの表面とセンサとの間の距離は、2μm及び3μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。サンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送するように構成された導波路がサンプル・ウェルとセンサとの間に配置され得る。導波路は、集積デバイスのための電気的ルートとして働き得る金属層を含む平面と重複するか又はその下に配置され得る。このようにして、導波路は、集積デバイスのバック・エンド・オブ・ライン(BEOL:back-end-of-line)配線内に埋め込まれると見なされ得る。
【0125】
本出願のいくつかの実施形態は、集積デバイスの金属層と重複し及び/又は金属層とセンサとの間に配置された平面中に配置されたサンプル・ウェルを含む集積デバイスに関する。
図4-2は、金属層4-203
A、4-203
B、4-203
C、4-203
Dを含むz方向に沿った領域と重複する、z方向に沿った平面中に配置されたサンプル・ウェル4-208を含む集積デバイスの励起エネルギの伝搬軸に対して直角な断面ビューである。
図4-2に図示されているように、サンプル・ウェル4-208は、少なくとも1つの金属層4-203と、基板4-200中にロケートされたセンサとの間のxy平面中に配置される。
【0126】
図4-2に図示された集積デバイス4-260は、放出エネルギを検出するように構成された1つ又は複数のセンサを含み得る、基板4-200(たとえば、ケイ素基板)を含み得る。センサによって提供される信号は、放出エネルギの寿命、強度、及び/又はスペクトルの指標を提供し得る。集積デバイス4-260は、任意の好適な誘電体材料(たとえば、ドープされた酸化ケイ素、ドープされていない酸化ケイ素)から形成された誘電体層4-202を備え得る。集積デバイス4-260は、任意の好適な材料(たとえば、酸化ケイ素)から形成されたクラッディング4-210を含み得る。いくつかの実施形態では、クラッディング4-210は、導波路4-216に沿って伝搬する励起エネルギの光損失の量を低減し得る、ドープされていない酸化ケイ素を含み得る。
【0127】
集積デバイス4-260は、集積デバイス4-260内で電気信号をルーティングし、外部デバイス(たとえば、集積デバイス4-260とインターフェースするように構成された器具)に電気信号を送り、及び/又は外部デバイス(たとえば、器具)から電気信号を受け取るように構成された、集積デバイス4-260の1つ又は複数の金属層4-203
A、4-203
B、4-203
C及び4-203
Dを備え得る。いくつかの実施形態では、集積デバイス4-260の1つ又は複数の金属層は、サンプル・ウェル4-208を含むピクセルの外部から到着するその量の光がピクセル中のセンサによって検出されるのを低減するように働き得る。このようにして、金属層は、集積デバイスから離れる光からのバックグラウンド信号から発生する雑音アーティファクトを低減し、及び/又はセンサによって検出されている他のピクセルからの光から発生し得るクロストーク信号を低減し得る。
図4-2は4つの金属配線層を持つ集積デバイスを図解しているが、本出願の技法はこの点について限定されず、任意の他の好適な数の金属配線層が使用され得る。金属配線層は、1つ又は複数のビア(たとえば、タングステン・ビア)を通って電気的に接続され得る。たとえば、ビア4-204
Aは金属層4-203
Aを基板4-200に対して接続し得る。ビア4-204
Bは金属層4-203
Aを金属層4-203
Bに対して接続し得る。ビア4-204
Cは金属層4-203
Bを金属層4-203
Cに対して接続し得る。ビア4-204
Dは金属層4-203
Cを金属層4-203
Dに対して接続し得る。
【0128】
集積デバイス4-260の導波路4-216は、光が
図4-2の平面に対して直角な方向に伝搬することを可能にする構成を有し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの金属層は、導波路4-216の表面と基板4-200との間のz軸に沿った距離よりも小さい、z軸に沿った基板4-200からの距離において配設される。
図4-2に図示されている金属層4-203
Aは、導波路4-216の表面と基板4-200との間のz軸に沿った距離よりも小さい、z軸に沿った基板4-200からの距離をもって配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの金属層は、導波路4-216の表面と基板4-200との間のz軸に沿った距離よりも大きい、z軸に沿った基板4-200からの距離において配設される。金属層4-203
C及び4-203
Dは、導波路4-216の表面と基板4-200との間のz軸に沿った距離よりも大きい、z軸に沿った基板4-200からの距離において配設され得る。
【0129】
集積デバイス4-260はトレンチ領域4-220を含み得る。トレンチ領域4-220は、トレンチ領域4-220が1つ又は複数の金属層4-203とxy平面において重複するようにz方向に沿った寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、トレンチ領域4-220は矩形形状(たとえば、正方形)を有し得る。トレンチ領域4-220の表面は、サンプル・ウェル4-208を含む、少なくとも1つのサンプル・ウェルを含み得る。いくつかの実施形態では、トレンチ領域4-220は、x軸に沿って行中に配設された複数のサンプル・ウェル4-208を備え得る。他の実施形態では、トレンチ4-220は単一のサンプル・ウェルを備え得る。
【0130】
集積デバイス4-260は、クラッディング4-210のトップに配設された金属層4-222を含み得る。金属層4-222は、サンプル・ウェル4-208を形成するクラッディング4-210のエッチングされた部分に対応する1つ又は複数の不連続性を有し得る。金属層4-222は、1つ又は複数の好適な材料の1つ又は複数のサブ層を備え得る。金属層4-222を形成するために使用され得る好適な材料の例は、アルミニウム、チタン、及び窒化チタンを含み得る。
【0131】
集積デバイスのサンプル・ウェルは、集積デバイスの1つ又は複数の層中にキャビティの構成を有し得る。サンプル・ウェルは、集積デバイスの表面上に配設された金属層を通って延在し得る。サンプル・ウェルは、金属層と導波路との間に形成され得る誘電体材料の部分を通って形成されてよい。金属層は、放出エネルギのための反射体として働き得、サンプル・ウェルを含むピクセルのセンサによる放出エネルギの光子の収集を改善し得る。
【0132】
サンプル・ウェルは、サンプルを受け取り、ある持続時間の間サンプルを含有してサンプルの分析を可能にするために、適切にサイズ決定され、整形され得る。サンプル・ウェルの1つ又は複数の表面は、集積デバイスの導波路からある距離においてサンプルを優先的に保持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、導波路に沿った光伝搬の方向に対してほぼ平行にサンプル・ウェルの表面に付着し得る。サンプル・ウェルは断面寸法を持つアパーチャを有してよく、それは、集積デバイスから離れる光の影響が集積デバイスのサンプル及び/又はセンサに達することを低減する。サンプル・ウェルは、集積デバイスの表面において開口を形成してよく、その表面における開口のエリアはサンプル・ウェルのアパーチャを形成する。アパーチャの寸法は、サンプル・ウェル中に存在するルミネセンス・ラベルの好適な数及び/又は濃度を提供するように働き得る。サンプル・ウェルの開口は、集積デバイスの表面の1つ又は複数の金属層中に形成され得る。1つ又は複数の金属層は、集積デバイス上に堆積されたバルク溶液に達しそのバルク溶液を照明する励起エネルギの量を低減するように働き得、それにより、バックグラウンド信号に寄与するバルク溶液中に存在するルミネセンス・マーカから放出される光の量が低減し得る。
【0133】
本出願の態様は、集積デバイスの表面上に配設された金属層から好適な距離において集積デバイスのサンプル・ウェル内にサンプルを配置するための技法に関する。金属層は、マーカの周囲の状況がマーカの光子放出事象に影響を及ぼし得るので、マーカ(たとえば、蛍光体)の検出される寿命に影響を及ぼすことがある。たとえば、金属層により近いマーカについて検出される寿命は、さらに離れてロケートされた同じマーカについて検出される寿命よりも小さくなり得る。異なるマーカの寿命値が金属層の存在に起因してより小さくなるにつれて、寿命値がより狭い範囲内に圧縮されるので、寿命の指標に基づいて異なるマーカ同士を区別することは難しくなり得る。寿命の指標に基づいて異なるマーカ同士を区別することは、異なるマーカの個々の寿命の変動を広げる集積デバイスによって改善され得る。本出願のいくつかの実施形態は、集積デバイスの金属層から好適な距離においてサンプルを配置することによって、サンプルを検出するために使用されるマーカの寿命圧縮を低減するように構成された集積デバイスに関する。いくつかの実施形態では、金属層に対して遠位にあるサンプル・ウェルの第1の表面は、サンプルが優先的にサンプル・ウェルの第2の表面よりも第1の表面に関連付けられるように、第2の表面とは異なる表面化学を有することがある。
【0134】
図4-3は、いくつかの実施形態による、サンプル・ウェル4-308を含む集積デバイスの断面ビューである。サンプル・ウェル4-308は、サンプル4-391を受け取るように構成され得、サンプル4-391はサンプル・ウェル4-308の表面において保持され得る。導波路4-316に近接したサンプル・ウェル4-308の表面は、ある持続時間の間少なくとも一時的に、サンプルに付着する組成を有し得る。導波路4-316に近接したサンプル・ウェル4-308の表面は、
図4-3に図示されているように、サンプル4-391がサンプル・ウェル4-308の側壁ではなく表面に付着するための選択性を提供する1つ又は複数の材料を有し得る。そのような構成は、導波路4-316に近接してサンプル4-391を維持し得る。いくつかの実施形態では、導波路4-316に近接したサンプル・ウェル4-308の表面は、サンプル・ウェル4-308に対するサンプル4-391の光活性化されたバインドを可能にし得る。いくつかの実施形態では、導波路4-316に近接したサンプル・ウェル4-308の表面は、1つ又は複数のシラノール基(Si-OH)で終端され得る酸化ケイ素から形成され得る。シラノール基は、表面に対してあるタイプの表面化学を引き起こすために別の材料(たとえば、1つ又は複数のシラン基を持つ構造を有する化学物質)と相互作用し得る。サンプル4-391は、サンプル・ウェル4-308のトップ・アパーチャを通ってサンプル・ウェル内に配設され得る。トップ・アパーチャは、周辺光又は迷光がサンプル4-391及び/又はセンサ4-300を照明するのを低減するように構成され得る。いくつかの実施形態では、サンプル・ウェル4-308は、集積デバイスに入射する光を抑制又は低減し得るサブ波長断面寸法を有し得る。サンプル・ウェル4-308のトップ・アパーチャは、50nm及び300nmの範囲内にある幅W
Aを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。
【0135】
サンプル・ウェル4-308は、導波路4-316に沿った光伝搬の方向に対して平行又はほぼ平行なサンプル・ウェル4-308の表面と、クラッディング4-318及び金属層4-322の間の界面4-327との間に寸法dwを有し得る。寸法dwは、金属層4-322から表面において配置されたサンプルの間に好適な距離を提供し得る。寸法dwは、サンプル・ウェル中のサンプルの閉じ込めに起因して、サンプル4-391に関連付けられたマーカの光子放出事象のタイミング(たとえば、寿命)に影響を及ぼし得る。それに応じて、寸法dwは、異なるマーカの個々の寿命に関連付けられたタイミング特性に基づいてサンプル・ウェル4-308中の異なるマーカ同士を区別することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、サンプル・ウェル4-308の寸法dwは、導波路4-316から受け取られる励起エネルギの量に影響を及ぼし得る。寸法dwは50nm~450nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、寸法dwは95nmと150nmとの間にある。いくつかの実施形態では、寸法dwは250nmと350nmとの間にある。
【0136】
集積デバイスの金属層は1つ又は複数の材料層を含み得る。金属層の層として使用されるべき好適な材料の例は、アルミニウム、銅、チタン、及び窒化チタンを含み得る。
図4-3に図示されているように、金属層4-322は少なくとも2つのサブ層を含む。いくつかの実施形態では、クラッディング4-318と界面を接するように配置された第1のサブ層はアルミニウムを含み得る。アルミニウムは、いくつかの実施形態ではケイ素又は銅とともに合金にされ得る。第1のサブ層中にアルミニウムを有することによって、導波路4-176に沿って伝搬する励起エネルギの光損失が低減され得る。第1のサブ層の厚さは30nm~165nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、金属層4-322は、第1のサブ層にわたって配設された第2のサブ層を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のサブ層はチタンを含み得る。チタンは、金属層4-322内に起こる腐食の量を低減し得る。第2のサブ層の厚さは5nm~100nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第2のサブ層の厚さは約10nmであり得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、金属層4-322は、第2のサブ層にわたって及び/又は第1のサブ層にわたって配設された第3のサブ層を含み得る。第3のサブ層は窒化チタンを含み得る。第3のサブ層は5nm~100nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第3のサブ層は約30nmの厚さを有し得る。
【0139】
サンプル・ウェル4-308は、側壁スペーサ4-390で少なくとも部分的にカバーされた1つ又は複数の側壁を有し得る。側壁スペーサ4-390の組成は、サンプル4-391とのあるタイプの相互作用を有効化するように構成され得る。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ4-390は、サンプル・ウェル4-308の側壁に付着するサンプルの量を低減するためにサンプル・ウェル4-308の側壁を不動態化するように構成された組成を有し得る。スペーサでサンプル壁の側壁のみを被覆することによって、サンプル・ウェル4-308の異なるエリアにおいて、サンプル4-391との異なるタイプの相互作用が提供され得る。いくつかの実施形態では、導波路4-316に沿った光伝搬の方向に対して平行又はほぼ平行なサンプル・ウェル4-308の表面は、表面に対するサンプル4-391の付着を改善するためにシランで被覆されてよい。スペーサ4-390で側壁を被覆することによって、サンプル・ウェル4-308の1つ又は複数の表面はシランで選択的に被覆され得る。側壁スペーサ4-390の組成は、導波路に対して平行又はほぼ平行であるサンプル・ウェル4-308の表面に対して側壁スペーサ4-390の選択的被覆を提供するように選択され得る。側壁スペーサ4-390は3nm~30nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ4-390は約10nmの厚さを有し得る。側壁スペーサ4-390を形成するために使用される好適な材料の例は、TiO2、TiN、TiON、TaN、Ta2O5、Zr2O5、及びHfO2を含む。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ4-390はTiNを含み、TiNは、TiNの屈折率に起因して、センサ4-300の方への放出エネルギの所望の方向性レベルを提供し得る。側壁スペーサ4-390は、導波路4-316からの散乱放出エネルギを含む散乱光をブロックし、したがって、サンプル4-391を照明し得る散乱光の量を低減するように構成され得る。
【0140】
III.作製技法
いくつかの実施形態では、集積デバイスの形成は、単一の基板から上位スタック及び下位スタックを形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、集積デバイスは、第1の基板から上位スタックを、及び第2の基板から下位スタックを形成することと、上位スタックと下位スタックを互いに接合することとによって形成され得る。下位スタックと上位スタックの接合は、集積デバイスを形成する任意の好適な段階において行われ得る。いくつかの実施形態では、下位スタックと上位スタックの接合は、個々の集積回路を形成することに先立ってウェハレベルで行われ得る。いくつかの実施形態では、下位スタックと上位スタックの接合はダイレベルで行われてよく、上位スタック及び下位スタックは接合に先立ってさいの目に切られる。いくつかの実施形態では、上位スタックと下位スタックの接合はフリップチップ接合プロセスを通して行われ得る。
【0141】
本出願のいくつかの実施形態は、集積デバイスのクラッディング層を得られる材料層を形成することと、トレンチ領域を形成するために層の部分を選択的に除去することとによってトレンチ領域を形成するための技法に関する。
図5-1A、
図5-1B、及び
図5-1Cは、いくつかの実施形態による、集積デバイス4-100などの集積デバイスの上位スタックのトレンチ領域を形成するための方法の工程を図解する。ボトム・クラッディング5-410は任意の好適な技法を使用して形成されてよい。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング5-410は基板(たとえば、ケイ素基板)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング5-410は、集積デバイス4-100の下位スタック4-150など、集積デバイスの下位スタック上に形成され得る。
【0142】
導波路5-416及び格子結合器5-414は、1つ又は複数の材料層(たとえば、窒化ケイ素)を形成することによってボトム・クラッディング5-410にわたって形成され得る。層は、導波路によって励起エネルギを伝搬するために所望の光学的プロパティを提供するのに好適な屈折率を有し得る。導波路5-416及び/又は格子結合器5-414をパターニングするために任意の好適な作製技法が使用され得る。いくつかの実施形態では、材料層がボトム・クラッディング5-410にわたって形成されてよく、導波路5-416及び格子結合器5-414のための所望のパターンを形成するために層の露出領域が選択的にエッチングされるように、層にわたってマスクがパターニングされ得る。
【0143】
図5-1Aに図示されているように、集積デバイスのトップ・クラッディング層として、材料層5-418が導波路5-416にわたって形成され得る。層5-418は、所望の厚さまで材料を成長させ及び/又は材料を堆積させることによって形成され得る。層5-418は、励起エネルギ及び放出エネルギに対して所望の透過性レベルを有する任意の好適な誘電体材料を含み得る。層5-418を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、
図5-1Aに図示されている導波路5-416にわたって形成される層のz軸に沿った厚さは、500nm~1200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、層5-418の厚さは約850nmであり得る。層5-418は、パターニングされた層(たとえば、格子結合器5-414)にわたって形成されることによって厚さの変動を有することがある。
【0144】
層5-418は、
図5-1Bに図示されているように、集積デバイスのトップ・クラッディングの表面を形成するために平坦化され得る。いくつかの実施形態では、クラッディングは化学機械平坦化(CMP:chemical mechanical planarization)処理を通して平坦化され得る。CMPプロセスはトップ・クラッディングの表面の表面粗さを低減し得、それにより、励起エネルギが導波路5-416などの表面に近接した導波路に沿って伝搬するとき、励起エネルギの光損失が低減し得る。z方向に沿った層5-418の厚さは、平坦化処理の結果として低減され得る。いくつかの実施形態では、トップ・クラッディングの厚さは250nmだけ減少され得る。得られたトップ・クラッディングの厚さは、100nm~500nmの範囲内のz方向に沿った寸法を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。
【0145】
トレンチ領域5-420は、
図5-1C、トレンチ5-420に図示されているように、層5-418中に形成され得る。トレンチ領域5-420は、フォトマスクを通して層5-418のトップ表面を露出することによって、及び層の領域を選択的にエッチングすることによって形成され得る。いくつかの実施形態では、処理されるエッチングは、得られるトレンチ領域のz方向に沿って得られる寸法を達成するために、所望の量だけ層をエッチングするように時間調節され得る。いくつかの実施形態では、層5-418は、100nm~500nmの範囲内の値、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲に対応するz方向に沿った寸法を達成するために使用される持続時間だけ時間調節エッチングされ得る。導波路5-416に沿った光伝搬の方向に対して平行又はほぼ平行なトレンチ領域5-420の表面と、導波路5-416との間の得られた距離は、200nm~800nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、トレンチ領域5-420の表面と導波路5-416との間の距離は約400nmであり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、トレンチ領域5-420の形成は多数のエッチング処理を含み得る。トレンチ領域5-420を形成するために使用される第1の時間調節エッチング処理は、ドライ・エッチングであるか、又は任意の好適な異方性エッチングであり得る。第1のエッチング処理は、トレンチ領域5-420のエリアを定義するために使用され得る。第1のエッチング処理は、100nm~400nmの範囲内の、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲のトレンチ領域5-420に対応する層5-418の部分から厚さを除去し得る。いくつかの実施形態では、第1のエッチング処理は約190nmを除去し得る。トレンチ領域5-420を形成するために使用される第2のエッチング処理は、ウェット・エッチングであるか、又は任意の好適な等方性エッチングであり得る。第2のエッチング処理は、第1のエッチング処理後にトレンチ領域5-420の1つ又は複数のフィーチャを改良するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第2のエッチング処理はトレンチ領域5-420の隅を丸め得る。第2のエッチング処理は、5nm~100nmの範囲内の、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲のトレンチ領域5-420に対応する層5-418の部分から厚さを除去し得る。いくつかの実施形態では、第2のエッチング処理は約10nmを除去し得る。
【0147】
本出願のいくつかの実施形態は、所望の厚さを有する集積デバイスのクラッディング層を得られる材料層を形成することによってトレンチ領域を形成するための技法に関する。トレンチ領域を形成するための方法は、クラッディング層の厚さの精度を改善するために1つ又は複数のエッチング・ストップ層を形成することを含み得る。
図5-2A、
図5-2B、
図5-2C、
図5-2D、
図5-2E及び
図5-2Fは、集積デバイス5-102などの集積デバイスの上位スタック中にトレンチ領域を形成するための方法の工程を図解する。ボトム・クラッディング5-430は任意の好適な技法を使用して形成されてよい。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング5-430は基板(たとえば、ケイ素基板)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング5-430は、集積デバイス4-100の下位スタック4-150など、集積デバイスの下位スタック上に形成され得る。
【0148】
導波路5-436及び格子結合器5-434は、1つ又は複数の材料層(たとえば、窒化ケイ素)を形成することによってボトム・クラッディング5-430にわたって形成され得る。層は、導波路によって励起エネルギを伝搬するために所望の光学的プロパティを提供するのに好適な屈折率を有し得る。導波路5-436及び/又は格子結合器5-434をパターニングするために任意の好適な作製技法が使用され得る。いくつかの実施形態では、材料層がボトム・クラッディング5-430にわたって形成されてよく、導波路5-436及び格子結合器5-434のための所望のパターンを形成するために層の露出領域が選択的にエッチングされるように、層にわたってマスクがパターニングされ得る。
【0149】
材料層5-438は、
図5-2Aに図示されているように、導波路5-436にわたって形成されてよく、それにより、集積デバイスのトップ・クラッディング層が得られ得る。層5-438は、所望の厚さまで材料を成長させ及び/又は材料を堆積させることによって形成され得る。層5-438は、励起エネルギ及び放出エネルギに対して所望の透過性レベルを有する任意の好適な誘電体材料を含み得る。層5-438を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、
図5-2Aに図示されている導波路5-436にわたって形成される層のz軸に沿った厚さは、500nm~1200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、層5-438の厚さは約750nmであり得る。層5-438は、パターニングされた層(たとえば、格子結合器5-434)にわたって形成されることによって厚さの変動を有することがある。
【0150】
層5-438は、
図5-2Bに図示されているように、集積デバイスのトップ・クラッディングの表面を形成するために平坦化され得る。いくつかの実施形態では、クラッディングは化学機械平坦化(CMP)処理を通して平坦化され得る。CMP処理はトップ・クラッディングの表面の表面粗さを低減し得、それにより、励起エネルギが導波路5-436などの表面に近接した導波路に沿って伝搬するとき、励起エネルギの光損失が低減し得る。z方向に沿った層5-438の厚さは、平坦化処理の結果として低減され得る。いくつかの実施形態では、トップ・クラッディングの厚さは350nmだけ減少され得る。得られたトップ・クラッディングの厚さは、100nm~500nmの範囲内のz方向に沿った寸法を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。
【0151】
図5-2Cに図示されているように、エッチング・ストップ層5-480が層5-438の表面上に堆積され得る。エッチング・ストップ層は、集積デバイスのトレンチ領域に対応する領域を定義するようにパターニングされ得る。エッチング・ストップ層は、いくつかの領域中でリソグラフィ処理を通して選択的に除去され得るが、それは、トレンチ領域が形成されるべきである領域中では維持され得る。エッチング・ストップ層5-480を形成するために使用される好適な材料の例は、SiN、SiON、SiO
xN
y、Al、Ti、及びTiNを含む。いくつかの実施形態では、エッチング・ストップ層5-480は、多数の材料の階層化された組合せを含み得る。
【0152】
図5-2Dに図示されているように、誘電体層5-439が層5-438の表面上に形成され得る。誘電体層5-439は、層5-438の表面上に成長及び/又は堆積され得る。誘電体層5-439を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、誘電体層5-439は化学気相堆積(CVD:chemical vapor deposition)処理を通して堆積され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層5-439は高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD:high-density plasma chemical vapor deposition)処理を通して堆積され得る。誘電体層5-439は、エッチング・ストップ層5-480と少なくとも部分的に重複する領域中で選択的にエッチングされ得る。エッチング中に、エッチング・ストップ層5-480の存在は、エッチング・ストップ層5-480を越えて及び/又は層5-438中にエッチングすることを低減し得る。エッチング・ストップ層5-480を使用するエッチング処理は、z軸に沿った所望の寸法の誘電体層5-439の形成を提供し得る。そのような技法は、作製処理の一部として時間調節エッチング処理を使用することなしに、集積デバイス内の層の寸法の精度を改善し得る。エッチング・ストップ層は、
図5-2Eに図示されているように、任意の好適なリソグラフィ技法を使用して少なくとも部分的に除去され得る。エッチング・ストップ層の一部又は全部の除去は、トレンチ領域のエッジにおけるアンダーカット領域の形成及び/又は層5-438の表面の酸化を低減するように構成されたストリップ処理を通して行われ得る。誘電体層5-439の残りの部分及び層5-348は、集積デバイスのトップ・クラッディング層として働き得る。
【0153】
金属層5-422が、誘電体層5-439にわたって及び/又は層5-438の表面上に形成され得る。
図5-2Fに図示されているように、金属層5-422は、誘電体層5-439の表面上に及び層5-438の露出した表面上に堆積され得る。金属層5-422は、アルミニウム、チタン、窒化チタン、又はそれらの任意の好適な組合せを含み得る。金属層5-422及び層5-438の領域を選択的に除去することによって、サンプル・ウェル5-108
1、5-108
2、5-108
3、5-108
4、及び5-108
5が形成され得る。サンプル・ウェル5-108
1、5-108
2、5-108
3、5-108
4、及び5-108
5は、サンプル・ウェルの形成のために所望の領域を露出しているフォトマスクを適用することと、それらの領域を選択的にエッチングするために表面を露出することとによって、フォトリソグラフィ処理工程を使用して形成され得る。
図5-2Fは5つのサンプル・ウェルを図解しているが、本出願の技法はこの点について限定されず、任意の好適な数のサンプル・ウェルが形成され得る。エッチング処理は、金属層5-422を通る第1のエッチングと、層5-438における第2のエッチングとを備え得る。励起エネルギ結合領域5-435は、z軸に沿って格子結合器4-114と少なくとも部分的に重複する金属層5-435、誘電体層5-439、及び/又は層5-438の部分を除去することによって形成され得る。
【0154】
本出願のいくつかの実施形態は、集積デバイスの1つ又は複数のサンプル・ウェルを形成することの一部としてエッチング・ストップ処理を使用することによって集積デバイスを形成することに関する。
図5-3A、
図5-3B、
図5-3C、
図5-3D、
図5-3E、
図5-3F及び
図5-3Gは、集積デバイス5-102などの集積デバイスの上位スタック中にトレンチ領域を形成するための方法の工程を図解する。ボトム・クラッディング6-410は任意の好適な技法を使用して形成されてよい。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング6-410は基板(たとえば、ケイ素基板)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、ボトム・クラッディング6-410は、集積デバイス4-100の下位スタック4-150など、集積デバイスの下位スタック上に形成され得る。
【0155】
導波路6-416及び格子結合器6-414は、1つ又は複数の材料層(たとえば、窒化ケイ素)を形成することによってボトム・クラッディング6-410にわたって形成され得る。層は、導波路によって励起エネルギを伝搬するために所望の光学的プロパティを提供するのに好適な屈折率を有し得る。導波路6-416及び/又は格子結合器6-414をパターニングするために任意の好適な作製技法が使用され得る。いくつかの実施形態では、材料層がボトム・クラッディング6-410にわたって形成されてよく、導波路6-416及び格子結合器6-414のための所望のパターンを形成するために層の露出領域が選択的にエッチングされるように、層にわたってマスクがパターニングされ得る。
【0156】
材料層6-418は、
図5-3Aに図示されているように、導波路6-416にわたって形成されてよく、それにより、集積デバイスのトップ・クラッディング層が得られ得る。層6-418は、所望の厚さまで材料を成長させ及び/又は材料を堆積させることによって形成され得る。層6-418は、励起エネルギ及び放出エネルギに対して所望の透過性レベルを有する任意の好適な誘電体材料を含み得る。層6-418を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、
図5-3Aに図示されている導波路6-416にわたって形成される層のz軸に沿った厚さは、500nm~1200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、層6-418の厚さは約750nmであり得る。層6-418は、パターニングされた層(たとえば、格子結合器6-414)にわたって形成されることによって厚さの変動を有することがある。
【0157】
層6-418は、
図5-3Bに図示されているように、集積デバイスのトップ・クラッディングの表面を形成するために平坦化され得る。いくつかの実施形態では、クラッディングは化学機械平坦化(CMP)処理を通して平坦化され得る。CMP処理はトップ・クラッディングの表面の表面粗さを低減し得、それにより、励起エネルギが導波路6-416などの表面に近接した導波路に沿って伝搬するとき、励起エネルギの光損失が低減し得る。z方向に沿った層6-418の厚さは、平坦化処理の結果として低減され得る。いくつかの実施形態では、トップ・クラッディングの厚さは350nmだけ減少され得る。得られたトップ・クラッディングの厚さは、100nm~500nmの範囲内のz方向に沿った寸法を有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。
【0158】
図5-3Cに図示されているように、エッチング・ストップ層6-481が層6-418の表面上に堆積され得る。エッチング・ストップ層は、集積デバイスの個々のサンプル・ウェルに対応する領域を定義するようにパターニングされ得る。いくつかの実施形態では、エッチング・ストップ層は、いくつかの領域中でリソグラフィ処理を通して選択的に除去され得るが、それは、サンプル・ウェルが形成されるべきである領域中では維持され得る。エッチング・ストップ層6-481を形成するために使用される好適な材料の例は、SiN、SiON、SiO
xN
y、Al、Ti、及びTiNを含む。いくつかの実施形態では、エッチング・ストップ層6-481は、異なる材料の階層化された組合せを含み得る。エッチング・ストップ層6-481の厚さは、励起エネルギの光損失に対する、導波路6-416に近接したエッチング・ストップ材料の存在の影響を低減し得る、z方向に沿った寸法を有し得る。エッチング・ストップ層6-481の厚さは20nm~200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0159】
図5-3Dに図示されているように、誘電体層6-482がエッチング・ストップ層6-481及び/又は層6-418にわたって形成され得る。誘電体層6-482は、エッチング・ストップ層6-481及び/又は層6-418にわたって成長及び/又は堆積され得る。誘電体層6-482を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、誘電体層6-482は化学気相堆積(CVD)処理を通して堆積され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層6-482は高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD)処理を通して堆積され得る。
【0160】
誘電体層6-482は、表面を形成するために任意の好適な作製技法を使用して平坦化され得る。誘電体層6-482は化学機械平坦化(CMP)処理を通して平坦化され得る。誘電体層6-482の得られる高さは50nm~200nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、誘電体層6-482の得られる高さは95nm~100nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0161】
図5-3Eに図示されているように、エッチング・ストップ層6-483が誘電体層6-482の表面上に堆積され得る。エッチング・ストップ層は、集積デバイスのトレンチ領域に対応する領域を定義するようにパターニングされ得る。エッチング・ストップ層は、いくつかの領域中でリソグラフィ処理を通して選択的に除去され得るが、それは、トレンチ領域が形成されるべきである領域中では維持され得る。エッチング・ストップ層6-483は、少なくとも、z軸に沿ってエッチング・ストップ層6-481の少なくとも部分と重複している領域中で維持され得る。エッチング・ストップ層6-483を形成するために使用される好適な材料の例は、SiN、SiON、SiO
xN
y、Al、Ti、及びTiNを含む。いくつかの実施形態では、エッチング・ストップ層6-483は、多数の材料の階層化された組合せを含み得る。
【0162】
図5-3Fに図示されているように、誘電体層6-484がエッチング・ストップ層6-483及び/又は層6-418にわたって形成され得る。誘電体層6-482は、エッチング・ストップ層6-483及び/又は層6-482にわたって成長及び/又は堆積され得る。誘電体層6-483を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。いくつかの実施形態では、誘電体層6-483は化学気相堆積(CVD)処理を通して堆積され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層6-483は高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD)処理を通して堆積され得る。
【0163】
誘電体層6-484は、エッチング・ストップ層6-483と少なくとも部分的に重複する領域中で選択的にエッチングされ得る。エッチング中に、エッチング・ストップ層6-483の存在は、エッチング・ストップ層6-483を越えて及び層6-482中にエッチングすることを低減し得る。エッチング・ストップ層6-483を使用するエッチング処理は、z軸に沿った所望の寸法を有する誘電体層6-484の形成を提供し得る。そのような技法は、作製プロセスの一部として時間調節エッチング処理を使用することなしに、集積デバイス内の層の寸法の精度を改善し得る。エッチング・ストップ層6-483は、任意の好適なリソグラフィ技法を使用して除去され得る。誘電体層6-484、層6-482、及び層6-418の残りの部分は、集積デバイスのトップ・クラッディング層として働き得る。
【0164】
金属層6-422が、誘電体層6-484にわたって及び/又は層6-482の表面上に形成され得る。
図5-3Gに図示されているように、金属層6-422は、誘電体層6-484の表面上に及び層6-482の露出した表面上に堆積され得る。金属層6-422は、アルミニウム、チタン、窒化チタン、又はそれらの任意の好適な組合せを備え得る。金属層6-422及び層6-482の領域を選択的に除去することによって、サンプル・ウェル5-308
1、5-308
2、5-308
3、5-308
4、及び5-308
5が形成され得る。
図5-3Gは5つのサンプル・ウェルを図解しているが、本出願の技法はこの点について限定されず、任意の好適な数のサンプル・ウェルが形成され得る。サンプル・ウェル5-308
1、5-308
2、5-308
3、5-308
4、及び5-308
5は、サンプル・ウェルの形成のために所望の領域を露出しているフォトマスクを適用することと、それらの領域を選択的にエッチングするために表面を露出することとによって、フォトリソグラフィ処理工程を使用して形成され得る。エッチング中に、エッチング・ストップ層6-481の存在は、エッチング・ストップ層6-481を越えて及び/又は層6-418中にエッチングすることを低減し得る。エッチング・ストップ層6-481を使用するエッチング処理は、z軸に沿った所望の寸法を有する層6-482の形成を提供し得る。エッチング処理は、金属層6-422を通る第1のエッチングと、層6-482における第2のエッチングとを備え得る。励起エネルギ結合領域は、z軸に沿って格子結合器6-114と少なくとも部分的に重複する金属層6-422、誘電体層6-484、及び/又は層6-482の部分を除去することによって形成され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、集積デバイスのサンプル・ウェルは、トップ・クラッディング上に金属材料の少なくとも1つの層を含む金属スタックを形成することと、金属スタック及びトップ・クラッディングの部分を除去することとによって形成され得る。金属スタックは、トップ・クラッディングに近接して配置されたアルミニウムの層を含み得る。アルミニウム層は銅及び/又はケイ素を含み得る。いくつかの実施形態では、アルミニウム層は約2%未満の銅及び/又はケイ素を含み得る。アルミニウム層は30nm~150nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、アルミニウム層は約65nmである。いくつかの実施形態では、金属スタックは、アルミニウム層にわたって窒化チタンの層を含み得る。窒化チタン層は1nm~50nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、窒化チタン層の厚さは約10nmである。いくつかの実施形態では、金属スタックはまた、アルミニウム層にわたってチタンの層を含み得る。金属スタックが窒化チタンの層を含む実施形態では、チタンの層は、アルミニウム層と窒化チタンの層との間に配置され得る。チタン層は1nm~50nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、チタン層の厚さは約30nmである。
【0166】
図6-1A、
図6-1B、
図6-1C、
図6-1D、及び
図6-1Eは、いくつかの実施形態による、サンプル・ウェルを形成するための工程を図解する。
図6-1Aに図示されているように、金属スタック6-620は、トップ・クラッディング層6-619、導波路6-616、ボトム・クラッディング層6-610、及び基板6-600にわたって形成され得る。金属スタックを形成することに先立って、金属スタックがその上に形成されるべきであるトップ・クラッディング層6-619の表面は、好適な処理(たとえば、CMP処理)を使用して平坦化され得る。
【0167】
金属スタック6-620は、第1のサブ層6-622、第2のサブ層6-623、及び/又は第3のサブ層6-624を含み得る。第1のサブ層6-622は30nm~165nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のサブ層6-622の厚さは約65nmであり得る。第2のサブ層6-623は1nm~50nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第2のサブ層6-623の厚さは約10nmであり得る。第3のサブ層6-624は第2のサブ層6-623と接触していてよい。第1のサブ層6-622及び第3のサブ層6-624のみを含む金属スタック6-620の実施形態では、第3のサブ層6-624は第1のサブ層6-622と接触していてよい。第3のサブ層6-624は1nm~50nmnの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第3のサブ層6-624は約30nmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1のサブ層6-622はアルミニウムを含み、第2のサブ層6-623はチタンを含み、第3のサブ層6-624は窒化チタンを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、金属スタック6-620は、金属スタック6-620中に含まれる材料の安定性を改善するためにアニールされてよく、起こり得る腐食の量を低減し得る。金属スタック6-620は、300℃~500℃の範囲内の温度でアニールされるか、又はその範囲内の温度のうちの任意の温度もしくは範囲でアニールされ得る。いくつかの実施形態では、基板は約400℃の温度でアニールされ得る。金属スタック6-620のアニールは、10分~60分の範囲内の時間期間行われるか、又はその範囲内の任意の時間期間行われ得る。いくつかの実施形態では、スタックは約40分間アニールされ得る。
【0169】
図6-1Bに図示されているように、フォトレジスト層6-631が金属スタック6-620にわたって形成され得る。フォトレジスト層6-631は、金属スタック6-620内にサンプル・ウェルが形成されるべきところのロケーションに対応し得る、1つ又は複数の開口を有するようにパターニングされ得る。フォトレジスト層6-631は、エッチング処理中に、開口などを通して、露出された材料が除去され得る間、フォトレジストが存在する材料をエッチング処理から保護するように働き得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層6-631はポジ型フォトレジストを含み得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層6-631はネガ型フォトレジストを含み得る。フォトレジスト層6-631と金属スタック6-620との間に反射防止被覆層6-630が形成され得る。フォトレジスト6-631は、サンプル・ウェルが形成されるべきであるエリアに対応するフォトレジストの領域を除去するために、フォトリソグラフィ露出に続いて選択的にエッチングされ得る。
【0170】
反射防止被覆6-630は、プラズマ・エッチング処理、又は任意の好適な技法を使用して選択的に除去され得る。金属スタック6-622も、反射防止被覆6-630を選択的に除去するために使用されるサンプル処理を含む任意の好適な技法を使用して選択的に除去され得る。金属スタック6-622の部分を除去することによって金属スタック6-622中に形成された開口の断面エリアは、得られたサンプル・ウェルのアパーチャを形成し得る。いくつかの実施形態では、反射防止被覆6-630及び金属スタック6-622は、Cl2及び/又はBCl2を含むプラズマ・エッチング処理を通して除去され得る。プラズマ・エッチング処理は、フォトレジスト層6-631の開口と重複する反射防止被覆6-630及び金属スタック6-622の部分を除去し得る。
【0171】
トップ・クラッディング6-619は、フォトレジスト層6-631の開口と重複するトップ・クラッディング6-619内のキャビティを形成するために、ドライ・エッチング処理又は任意の好適な技法を使用して選択的に除去され得る。いくつかの実施形態では、トップ・クラッディング6-619の部分を除去するために使用されるドライ・エッチング処理は、1つ又は複数のフッ化炭素ガス(たとえば、CF4、CHF3、C4F8、C3H2F6)の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、ドライ・エッチング処理は、所望のエッチング深さを達成するためにある持続時間の間行われてよい。いくつかの実施形態では、ドライ・エッチング処理を使用して所望のエッチング深さを達成するために、トップ・クラッディング6-619内のロケーションにおいてエッチング・ストップ層が配置され得る。いくつかの実施形態では、エッチング処理によって形成されるキャビティの1つ又は複数の側壁は、導波路6-616に対して平行又はほぼ平行なキャビティの表面の法線に対してある角度にあり得る。キャビティの側壁は、導波路6-616に対して平行又はほぼ平行なキャビティの表面に対する法線から、1°~15°の範囲内の角度にあるか、又はその範囲内の任意の値にあり得る。いくつかの実施形態では、得られたキャビティの側壁は、導波路6-616に対して平行又はほぼ平行なキャビティの表面に対してほぼ垂直であり得る。金属スタック6-620及びトップ・クラッディング6-619の除去から得られるキャビティは、サンプル・ウェルを形成し得る。
【0172】
フォトレジスト層6-631及び/又は反射防止被覆6-630は、プラズマ除去処理(たとえば、アッシング、清浄化)、又は任意の好適な技法を使用して金属スタック6-622から除去され得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層6-631及び/又は反射防止被覆6-630は、酸素プラズマ除去処理を使用して除去され得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層6-631及び反射防止被覆6-630は、金属スタック6-622のエッチングの後に及びトップ・クラッディング6-619のエッチングに先立って除去される。そのような実施形態では、得られたサンプル・ウェルのアパーチャを形成し得る金属スタック6-622中の開口は、トップ・クラッディング6-619の除去プロセスのためのマスク(たとえば、ハード・マスク)として使用され得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層6-631及び反射防止被覆6-630は、金属スタック6-622及びトップ・クラッディング6-619のエッチングの後に除去される。
【0173】
酸化物及び金属残留物を含む残留物が、ウェット溶液又は任意の好適な処理を使用して除去され得る。いくつかの実施形態では、得られたサンプル・ウェル内の及び/又は得られたサンプル・ウェルの表面上の金属及び/又は酸化物残留物の存在を低減するために、得られた構造はウェット溶液中に置かれることがある。いくつかの実施形態では、ウェット溶液はエア・プロダクツ(Air Products)からのACT114を備え得る。
【0174】
得られたサンプル・ウェルの1つ又は複数の表面上に側壁スペーサが形成され得る。側壁スペーサを形成するために使用される好適な材料の例は、TiO2、TiN、TiON、TaN、Ta2O5、ZrO2、及びHfO2を含む。側壁スペーサは3nm~30nmの範囲内の厚さを有するか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ6-690は約10nmの厚さを有し得る。
【0175】
図6-1Dに図示されているように、スペーサ6-690は、金属スタック6-620と、金属スタック6-620及びトップ・クラッディング6-619中に形成されたキャビティの1つ又は複数の表面との上に堆積され得る。スペーサ6-690は、原子層堆積(ALD)、金属有機化学気相堆積(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)、及びイオン化物理気相堆積(IPVD:ionized physical vapor deposition)を含む好適な堆積処理を通して堆積され得る。堆積処理は、構造の露出された表面上に側壁スペーサを形成する材料の均一又はほぼ均一な形成を提供し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、スペーサ材料は、導波路に近接したサンプル・ウェルの表面から除去される。この表面は、導波路に沿った光伝搬の方向に対してほぼ平行であり得る。
図6-1Eに図示されているように、スペーサ材料は、サンプル・ウェルのボトム表面6-608から除去され得る。側壁スペーサは、水平方向表面(たとえば、サンプル・ウェルのボトム表面、金属の表面スタック)上の材料を除去し得る異方性エッチング処理を通してサンプル・ウェルのボトム表面から除去され得る。異方性エッチング処理は、サンプル・ウェルの側壁の少なくとも部分上の側壁スペーサを維持しながら、ボトム表面から側壁スペーサを除去し得る。得られた構造は、サンプル・ウェルの側壁と比較して、ボトム表面6-608に対するサンプルのバインドに対して異なる機能を提供し得る。そのような機能は、サンプルがサンプル・ウェルの側壁にわたるボトム表面6-608に優先的に付着することを可能にし得る。
【0177】
デバイス内の電気回路に対する電気的接触を提供するために、集積デバイスを通る1つ又は複数の開口が形成され得る。開口は、集積デバイスのセンサに電気的に結合された1つ又は複数の金属パッドへのアクセスを提供し得る。開口は、エッチング処理が続くリソグラフィ処理を含む、任意の好適な除去処理を使用することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の開口は、フォトリソグラフィ処理を使用して形成され得る。フォトリソグラフィ処理は、365nmの波長のためのIライン・フォトレジスト(I-line photoresist)の使用を含み得る。フォトリソグラフィ処理は、得られた集積デバイスによるサンプルの分析中にアーティファクトを形成することがある、フォトルミネセント残留物を形成し得る。そのようなフォトルミネセント残留物は異方性エッチング処理によって除去又は低減され得る。それに応じて、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の開口は、異方性エッチング処理によるサンプル・ウェルのボトム表面上に形成されたスペーサ材料の除去に先立って集積デバイス中に形成され得る。そのような作製技法は、集積デバイスを形成するために使用される工程の数を低減し得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、サンプル・ウェルの形成は、導波路6-619に対してより近くにサンプル・ウェルのボトム表面を延在するためにトップ・クラッディング6-619の除去を含んでよく、それにより、導波路6-619からの励起エネルギの結合が改善し、励起エネルギの光損失に対する金属スタック6-622の影響が低減し得る。除去プロセスは、サンプル・ウェルの1つ又は複数の側壁上でのスペーサ材料の形成の後に行われてよく、「オーバーエッチング」処理と見なされてよく、20nm~50nmの範囲内の、又はその範囲内の任意の値のトップ・クラッディング6-619の厚さを除去し得る。得られたサンプル・ウェル構造は、
図6-1Fに図示されているように、サンプル・ウェルのボトム表面に加えて側壁上にスペーサ材料がない導波路6-616に近接した部分を有し得る。ボトム表面と側壁スペーサとの間の距離は20nm~50nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、オーバーエッチング処理はCF
4を使用し得る。除去プロセスはまた、得られたサンプル・ウェル中の残留物の存在を低減し得る。
【0179】
いくつかの実施形態は、集積デバイス内で電気信号をルーティングするように構成された金属層を含む集積デバイスの平面内に及び/又はその下にサンプル・ウェルを形成することによってサンプル・ウェルがセンサに近接して配置された、集積デバイスを形成する方法に関する。そのような実施形態では、サンプル・ウェルの表面とセンサとの間の距離は2μm~3μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。サンプル・ウェルに対して励起エネルギを配送するように構成された導波路がサンプル・ウェルとセンサとの間に形成され得る。導波路は、集積デバイスのための電気的ルートとして働き得る金属層を含む平面と重複し及び/又はその下に配置された集積デバイスの平面中に形成され得る。このようにして、導波路は、集積デバイスのバック・エンド・オブ・ライン(BEOL)配線内に埋め込まれると見なされ得る。
【0180】
図7-1A、
図7-1B、
図7-1C、
図7-1D及び
図7-1Eは、導波路及びサンプル・ウェルが集積デバイスのBEOL内に埋め込まれる、集積デバイスを形成する工程を図解する。導波路7-516が、導波路7-516と基板7-500との間におけるクラッディング材料の1つ又は複数の層とともに、基板7-500にわたって形成され得る。導波路7-516と基板7-500との間の距離は、1μm~2μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、導波路7-516と基板7-500との間の距離は1.2μm~1.7μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
【0181】
図7-1Aに図示されているように、誘電体層7-502及びクラッディング層7-510が、誘電体層7-502とクラッディング層7-510との間の金属層7-503
Aとともに、基板7-500上に形成され得る。誘電体層7-502及び/又はクラッディング層7-510は、好適な材料(たとえば、誘電体材料)を成長又は堆積させること(たとえば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD:plasma-enhanced chemical vapor deposition)、高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD))によって形成され得る。誘電体層7-502は、ドープされていない二酸化ケイ素を含み得る。クラッディング層7-510を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。誘電体層7-502の部分をエッチングして基板7-500を露出し、開口を金属(たとえば、タングステン)で充填することなどによって、ビア7-504
Aが誘電体層7-502を通って形成され得る。
【0182】
導波路7-516がクラッディング層7-510にわたって形成され得、追加のクラッディングが導波路7-516にわたって形成され得る。
図7-1Bに図示されているように、1つ又は複数の金属層7-503及びビア7-504がクラッディング層内に形成され得る。エッチング・ストップ層7-720が、導波路7-516から所望の距離においてクラッディング7-510にわたって形成され得る。エッチング・ストップ層7-720は酸窒化ケイ素(たとえば、SiON)を含み得る。いくつかの実施形態では、エッチング・ストップ層7-720と導波路7-516との間のz方向に沿った距離は2μm~3μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。
図7-1Cに図示されているように、追加のクラッディング7-710がエッチング・ストップ層7-720にわたって形成され得る。1つ又は複数の金属層7-503及びビア7-504は、エッチング・ストップ層7-720のxy平面にわたってxy平面中に形成され得る。
【0183】
1つ又は複数の金属層7-503は、1つ又は複数のビア7-504を通って基板7-500に対して電気的に接続され得る。金属層のz次元に沿った寸法の値は450nm~650nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、z次元に沿った金属層の寸法は約555nmである。z次元に沿った金属層7-503A及び7-503Bなど、隣接する金属層を分離する距離は、750nm~950nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、隣接する金属層間のz次元に沿ったクラッディング7-710の寸法は約850nmであり得る。
【0184】
図7-1Dに図示されているように、クラッディング7-710の部分を除去することによってトレンチ領域7-520が形成され得る。クラッディング7-710の除去された部分はエッチング・ストップ層7-720に対して延在し得る。いくつかの実施形態では、クラッディング7-710を除去するために使用される処理は、エッチング・ストップ層7-720の少なくとも部分を除去するためにも使用され得る。エッチング・ストップ層7-720が露出されるまでクラッディング7-710をエッチングすることによって、トレンチ領域7-520が形成され得る。エッチング・ストップ層7-720は、トレンチ領域7-520の所望の深さを達成することにおける精度を改善し得る。
【0185】
図7-1Eに図示されているように、金属層7-522がトレンチ領域7-520にわたって形成され得る。金属層7-522は、本明細書で説明される技法を使用して形成され得る。本明細書で説明される技法を使用して、サンプル・ウェル7-508が金属層7-522及びクラッディング7-710内のキャビティとして形成され得る。いくつかの実施形態では、サンプル・ウェル7-508の1つ又は複数の表面は、本明細書で説明される技法を使用して側壁スペーサ7-590で被覆されてよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、集積デバイスの形成は、金属層及び金属層にわたるエッチング・ストップ層を形成することと、エッチング・ストップ層にわたってクラッディング層を形成することと、クラッディング層の部分を除去して集積デバイスの表面として金属層を作成することとによって、集積デバイスのBEOL内に金属層及び導波路を埋め込むことを含み得る。
図7-2A及び
図7-2Bは、導波路及びサンプル・ウェルが集積デバイスのBEOL内に埋め込まれる、集積デバイスを形成する工程を図解する。
【0187】
図7-2Aに図解されているように、誘電体層7-802及びクラッディング層7-810が、誘電体層7-802及び/又はクラッディング層7-810内に配設された金属層7-803
A、7-803
B、7-803
C、及び7-803
Dとともに、基板7-800上に形成され得る。誘電体層7-802及び/又はクラッディング層7-810は、誘電体材料を成長又は堆積させること(たとえば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、高密度プラズマ化学気相堆積(HDPCVD))によって形成され得る。いくつかの実施形態では、誘電体層7-802は、ドープされていない二酸化ケイ素を含み得る。クラッディング層7-810を形成するために使用される好適な材料の例は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び酸化チタンを含む。誘電体層7-802の部分をエッチングして基板7-800を露出し、開口を金属(たとえば、タングステン)で充填することなどによって、ビア7-804
Aなどのビアが誘電体層7-802を通って形成され得る。
【0188】
クラッディング層7-810内に導波路7-816が形成され得、導波路7-816と金属層7-821との間にクラッディング層7-810の領域を持つ導波路7-816にわたって金属層7-821が形成され得る。得られたデバイス中のサンプル・ウェルのためのアパーチャのロケーションに対応し得る開口7-822が金属層7-821内に形成され得る。クラッディング層7-810の部分はまた、開口7-822と重複する領域から除去され得る。開口7-822及びクラッディング層7-810の除去された領域は、得られた集積デバイス中にサンプル・ウェルを形成し得る。犠牲層7-820が金属層7-821にわたって形成され、少なくとも部分的に、金属層7-821の開口7-822及びクラッディング層7-810の除去された部分を充填し得る。犠牲層7-820は、酸窒化ケイ素(たとえば、SiON)、Ti、及び/又はTiNを含み得る。いくつかの実施形態では、犠牲層7-820と導波路7-816との間のz方向に沿った距離は2μm~3μmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。追加のクラッディング7-810がエッチング・ストップ層7-820にわたって形成され得る。
【0189】
1つ又は複数の金属層7-803及びビア7-804が、犠牲層7-820のxy平面にわたってxy平面中に形成され得る。1つ又は複数の金属層7-803は、1つ又は複数のビア7-804を通って基板7-800に対して電気的に接続され得る。金属層のz次元に沿った寸法の値は450nm~650nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、z次元に沿った金属層の寸法は約555nmである。z次元に沿った金属層7-803A及び7-803Bなど、隣接する金属層を分離する距離は、750nm~950nmの範囲内にあるか、又はその範囲内の値のうちの任意の値もしくは範囲であり得る。いくつかの実施形態では、隣接する金属層間のz次元に沿ったクラッディング7-810の寸法は約850nmであり得る。
【0190】
図7-2Bに図示されているように、クラッディング層7-810の部分から犠牲層7-820までと、犠牲層7-820の少なくとも部分とを除去することによって、トレンチ領域7-830及び/又はサンプル・ウェル7-808が形成され得る。犠牲層7-820がTi及び/又はTiNを含む実施形態では、犠牲層7-820は、ウェット化学作用を含有している過酸化物を使用して金属層7-821の部分及び/又はクラッディング層7-810の部分を露出するために除去され得る。犠牲エッチング・ストップ層が露出されるまでクラッディング7-810をエッチングすることによって、トレンチ領域7-830が形成され得る。犠牲エッチング・ストップ層は、次いで、金属層7-821が露出されるまで第2のエッチング処理を通してエッチングされ得る。
【0191】
本出願の技術のいくつかの態様及び実施形態についてこのように説明したので、様々な改変、変更、及び改善は当業者に容易に想到することを諒解されたい。そのような改変、変更、及び改善は、本出願で説明された技術の趣旨及び範囲内にあることが意図される。したがって、上記の実施形態は例として提示されているものにすぎないことと、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明の実施形態は、詳細に記載されているものとは別法で実践され得ることとを理解されたい。加えて、本明細書で説明された2つ以上のフィーチャ、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の任意の組合せは、そのようなフィーチャ、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に無矛盾でなければ、本開示の範囲内に含まれる。
【0192】
また、説明されたように、いくつかの態様は1つ又は複数の方法として具現化され得る。方法の一部として実施される行為は、任意の好適な形で順序付けられ得る。それに応じて、図解された実施形態では連続的行為として図示されていても、同時にいくつかの行為を実施することを含み得る、図解されたものとは異なる順序で行為が実施される実施形態が構築されてよい。
【0193】
本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、援用された文献中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を超えて統括するものと理解されたい。
不定冠詞「a」及び「an」は、明細書において及び特許請求の範囲において本願明細書で使用されるとき、明らかにそれとは反対に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されたい。
【0194】
「及び/又は」という句は、明細書において及び特許請求の範囲において本願明細書で使用されるとき、そのように連合された要素の「一方又は両方」を、すなわち、ある場合には共同で存在し、他の場合には選言的に存在する要素を意味するものと理解されたい。
【0195】
明細書において及び特許請求の範囲において本願明細書で使用されるとき、1つ又は複数の要素の列挙に関して、「少なくとも1つ」という句は、要素の列挙中の要素のうちのいずれか1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するものと理解されたいが、必ずしも、要素の列挙内に特に列挙されたあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、また、要素の列挙中の要素の任意の組合せを排除するわけではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素の列挙内で特に識別された要素以外の要素が、特に識別されたそれらの要素に関するか関しないかにかかわらず、場合によっては存在し得ることを可能にする。
【0196】
特許請求の範囲では、ならびに上記の明細書では、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」などのすべての移行句はオープンエンドであると、すなわち、限定はされないが含むを意味するものであると理解されたい。「から成る」及び「から本質的に成る」という移行句は、それぞれ、クローズド又はセミクローズドの移行句であるものである。